実施の形態にかかる貨幣処理装置及びその制御方法を説明する。
<貨幣処理装置1の構成>
図1は、実施の形態にかかる貨幣処理装置1を示す斜視図である。
図2は、実施の形態にかかる貨幣処理装置1の紙幣入出金部15を概略的に示す側面図である。
図3は、実施の形態にかかる貨幣処理装置1の一時保留部22を概略的に示すもので、(A)は側面図、(B)は平面図である。
図1に示す貨幣処理装置1は、金融機関の窓口に設置されて二名の窓口係員(テラー)によって使用されるものである。なお、以下の左右は窓口係員側(貨幣処理装置1の前面側)から見た左右である。
貨幣処理装置1は、左側の窓口係員用の左側の操作部2Aと、右側の窓口係員用の右側の操作部2Bと、表示部3と、装置外から入金硬貨が投入される硬貨投入部4とが上面に設けられている。硬貨投入部4は、その上部開口を開閉する硬貨投入部シャッタ5を有している。
貨幣処理装置1には、高さ方向の中央よりも上部側に、装置前面から後方に凹む形状の硬貨出金部6が設けられている。硬貨出金部6には、貨幣処理装置1とは別体のカルトン7が挿入可能となっている。貨幣処理装置1は、硬貨出金部6に挿入されたカルトン7に装置本体10内から出金硬貨を放出する。
貨幣処理装置1は、その上部が、硬貨投入部4及び硬貨出金部6を含んで硬貨入出金部8となっている。硬貨入出金部8は、硬貨投入部4に投入された硬貨を識別計数しつつ一時保留する。また、硬貨入出金部8は、一時保留した硬貨を、操作部2A,2Bのうちの一方へ確定操作が入力されることで金種別に分けて収納する。また、硬貨入出金部8は、操作部2A,2Bのうちの一方へ入力された出金指示に基づいて、金種別に分けて収納している硬貨を硬貨出金部6からカルトン7に出金する。
貨幣処理装置1の前面側には、硬貨出金部6よりも下側に装置外から入金紙幣が投入される紙幣投入部11(投入部)が設けられている。この紙幣投入部11は、その開口を開閉する紙幣投入部シャッタ12を有している。貨幣処理装置1には、紙幣投入部11よりも後側かつ上側に、装置本体10内から紙幣を出金させる紙幣払出部13が設けられている。この紙幣払出部13は、その開口を開閉する紙幣払出部シャッタ14を有している。
貨幣処理装置1は、その上下方向の中間部から下部が、紙幣投入部11及び紙幣払出部13を含んで紙幣入出金部15となっている。紙幣入出金部15は、紙幣投入部11に投入された紙幣を識別計数しつつ一時保留する。また、紙幣入出金部15は、一時保留した紙幣を、操作部2A,2Bのうちの一方へ確定操作が入力されることで収納する。また、紙幣入出金部15は、操作部2A,2Bのうちの一方へ入力された出金指示に基づき、紙幣払出部シャッタ14が閉じられた状態で、収納している紙幣を紙幣払出部13内に繰り出し、その後、紙幣払出部シャッタ14を開く。
図2に示すように、紙幣入出金部15の前面側の上部には、入金用の紙幣が装置外から投入される紙幣投入部11が設けられている。紙幣入出金部15の前面側の上部には、この紙幣投入部11の後方に、入金用の紙幣のうち受け入れ不可な入金リジェクト紙幣が内部から繰り出されると共に出金用の紙幣が内部から繰り出され、これらを外部に取り出し可能とする紙幣払出部13が設けられている。紙幣は左右に横長の状態で紙幣投入部11に投入される。
紙幣入出金部15には、紙幣投入部11の後方に、紙幣を識別する識別部21が設けられている。また、紙幣入出金部15は、この識別部21の後方に、識別部21により識別された紙幣を一時保留させる一時保留部22が設けられている。
紙幣投入部11には、紙幣が装置外から集積状態で投入される。紙幣投入部11には、その後端部に、紙幣投入部11に投入された紙幣を装置本体10内に一枚ずつ取り込む繰出機構27が設けられている。繰出機構27には、装置本体10内に配設され装置本体10内で紙幣を搬送する搬送部30が接続されている。搬送部30は、紙幣を左右に横長の状態で搬送する。搬送部30は、繰出機構27に接続され、繰出機構27が繰り出した紙幣を搬送する入金搬送路31を有している。入金搬送路31は、紙幣投入部11から後方に延出する前部搬送路32を有している。前部搬送路32は、その後端部が識別部21に接続されている。
入金搬送路31は、識別部21内に配置される内部搬送路35を有している。内部搬送路35は、前部搬送路32の後端部から後方に延出している。識別部21は、繰出機構27により装置本体10内に取り込まれ内部搬送路35で搬送中の紙幣の真偽、正損及び金種と、重送、斜行等の搬送異常の有無とを識別する。
入金搬送路31は、識別部21の内部搬送路35の後端部から後方に延出する後部搬送路36を有している。この後部搬送路36の後端部が一時保留部22に接続されている。
一時保留部22は、紙幣を繰り出し可能に一時保留するものである。一時保留部22は、後部搬送路36で搬送されてきた紙幣を一枚ずつ順に取り込んで収納する。また、一時保留部22は、収納している紙幣を一枚ずつ順に後部搬送路36に繰り出す。
図3に示すように、一時保留部22は、ドラム式の巻付収納タイプとなっている。一時保留部22は、紙幣Sを、間隔をあけてテープ41と共に一枚ずつ回転体42の外周に順に巻き付けて収納する。また、一時保留部22は、収納している紙幣Sをテープ41と共に回転体42から解いて一枚ずつ繰り出す。言い換えれば、一時保留部22は、紙幣Sをテープ41と共に一枚ずつ外周に巻き付ける回転体42を有している。一時保留部22には、回転体42に巻き付けられる前のテープ41と共に移動する紙幣Sを検知する紙幣検知センサ43が入口近傍に設けられている。
巻付収納タイプの一時保留部22は、紙幣Sを受け入れた順番に収納し、収納順とは逆の順番で繰り出すことになる。一時保留部22は、例えば、図2に示す紙幣投入部11から繰り出され、識別部21で第1方向への搬送中に受け入れ可能と識別された正常な紙幣Sを一枚ずつ順番に巻き取って一時保留させると共に、このように一時保留させている紙幣Sを巻き取った順番と逆側から一枚ずつ繰り出す。一時保留部22は、1つに複数金種の紙幣Sをランダムに混合して収納する場合であっても、識別部21の識別結果から、収納する各紙幣Sの金種、表裏天地等の向き及び記番号等を把握可能となっている。よって、一時保留部22は、繰り出す各紙幣Sの金種、表裏天地等の向き及び記番号等を把握可能となっている。
搬送部30は、入金搬送路31の後部搬送路36の中間位置から上方に分岐する出金搬送路47を有している。この出金搬送路47は、紙幣払出部13に接続されている。搬送部30は、後部搬送路36における出金搬送路47の分岐位置と内部搬送路35との間位置から上方に分岐する中間搬送路48を有している。中間搬送路48は出金搬送路47の中間位置に合流している。出金搬送路47及び中間搬送路48が分岐することによって、後部搬送路36は、中間搬送路48の分岐位置と内部搬送路35との間の前側送路部51と、中間搬送路48の分岐位置と出金搬送路47の分岐位置との間の中間送路部52と、出金搬送路47の分岐位置と一時保留部22との間の後側送路部53とに分けられる。
出金搬送路47は、後部搬送路36の前側送路部51及び中間送路部52で搬送されてきた紙幣Sを紙幣払出部13に搬送する。出金搬送路47は、後部搬送路36の中間送路部52と後側送路部53との間から半円状をなして上側に延出して中間搬送路48に合流する上方送路部55と、上方送路部55の上端部から前方に前上がりに延出して紙幣払出部13に繋がる前上送路部56とを有している。
ここで、紙幣払出部13は、出金搬送路47の前上送路部56から繰り出された紙幣Sを集積させる。紙幣払出部13に集積された紙幣Sは、紙幣払出部13から装置外に取り出される。
紙幣入出金部15には、下部の前部位置に前方カセット61が設けられており、前方カセット61の後方に、上下2段、前後4列の合計8台の紙幣収納部62(貨幣収納部)が設けられている。
搬送部30は、入金搬送路31の前部搬送路32の中間位置から下方に分岐する上下搬送路66を有している。この上下搬送路66は前方カセット61に接続されている。上下搬送路66が分岐することによって、入金搬送路31の前部搬送路32は、上下搬送路66の分岐位置と紙幣投入部11との間の前側構成部68と、上下搬送路66の分岐位置と内部搬送路35との間の後側構成部69とに分けられる。
前方カセット61は、紙幣Sを一枚ずつ順に取り込んで収納可能であり、収納している紙幣Sを一枚ずつ順に繰り出し可能となっている。前方カセット61は、紙幣Sを上部から受け入れて水平状態で下から上に集積させて収納する。また、前方カセット61は、集積状態で収納している紙幣Sを上端部のものから繰り出す。すなわち、前方カセット61は、集積収納タイプとなっている。集積収納タイプの前方カセット61は、一時保留部22及び後述する紙幣収納部62のようなドラム式の巻付収納タイプに比べて紙幣Sの収納効率が大幅に高い。
搬送部30は、上下搬送路66の中間位置から後方に分岐する収納搬送路71を有している。この収納搬送路71は、上下搬送路66から水平後方に延出した後、紙幣入出金部15の後端部付近で下方に延出して最後列の上段の紙幣収納部62に接続されている。収納搬送路71は、この紙幣収納部62を介して最後列の下段の紙幣収納部62にも接続されている。収納搬送路71が分岐することによって、上下搬送路66は、収納搬送路71の分岐位置と入金搬送路31との間の上側送路部75と、収納搬送路71の分岐位置と前方カセット61との間の下側送路部76とに分けられる。
搬送部30は、収納搬送路71の中間位置から下方に分岐する、複数具体的には3カ所の分岐搬送路82,83,84を有している。分岐搬送路82は、最前列の上段の紙幣収納部62に接続されている。分岐搬送路82は、この紙幣収納部62を介して、最前列の下段の紙幣収納部62に接続されている。分岐搬送路83は、前から2列目の上段の紙幣収納部62に接続されている。分岐搬送路83は、この紙幣収納部62を介して、前から2列目の下段の紙幣収納部62に接続されている。分岐搬送路84は、前から3列目の上段の紙幣収納部62に接続されている。分岐搬送路84は、この紙幣収納部62を介して、前から3列目の下段の紙幣収納部62に接続されている。
8台の紙幣収納部62は、ほぼ同様の構成である。紙幣収納部62は、紙幣Sを繰り出し可能に収納する。紙幣収納部62は、紙幣Sを一枚ずつ順に取り込んで収納する。紙幣収納部62は、収納している紙幣Sを取り込んだ順番と逆側から一枚ずつ順に繰り出す。紙幣収納部62は、紙幣Sを計数しながら取り込む。紙幣収納部62は、紙幣Sを計数しながら繰り出す。
8台の紙幣収納部62は、何れも、ドラム式の巻付収納タイプとなっている。すなわち、紙幣収納部62は、紙幣Sを、間隔をあけてテープ86と共に一枚ずつ回転体87の外周に順に巻き付けて収納する。また、紙幣収納部62は、収納している紙幣Sをテープ86と共に回転体87から解いて巻き付けた順番と逆側から一枚ずつ繰り出す。
巻付収納タイプの紙幣収納部62は、紙幣Sを受け入れた順番に収納する。また、紙幣収納部62は、収納している紙幣Sを収納順とは逆の順番で繰り出す。このため、紙幣収納部62は、1つに複数金種の紙幣Sをランダムに混合して収納する場合であっても、識別部21の識別結果から、収納する各紙幣Sの金種、表裏天地等の向き及び記番号等を把握可能となっている。よって、紙幣収納部62は、繰り出す各紙幣Sの金種、表裏天地等の向き及び記番号等を把握可能となっている。
収納搬送路71及び分岐搬送路82,83,84は、例えば、一時保留部22から後部搬送路36に繰り出され、内部搬送路35で第2方向に搬送されて識別部21を通過しつつ識別部21で識別された紙幣Sを8台の紙幣収納部62に選択的に収納させる。8台の紙幣収納部62は、例えば、8台全部を、それぞれが設定された単一金種の紙幣Sのみを収納する単金種収納部に設定したり、8台のうちの何台かを、それぞれが設定された単一金種の紙幣Sのみを収納する単金種収納部に設定し、残りを、それぞれ複数金種の紙幣Sを金種混合で収納する金種混合収納部に設定したりすることができる。ここでは、8台の紙幣収納部62のうち、少なくとも1台が金種混合収納部に設定され、1台が異常紙幣等収納用の異常紙幣等収納部に設定され、残りが単金種収納部に設定されている。単金種収納部に設定された複数の紙幣収納部62は、一時保留部22に保留された紙幣Sを金種ごとに収納する。
貨幣処理装置1は、識別部21での識別結果に基づいて、紙幣Sを金種ごとに設けられた紙幣収納部62に金種ごとに分配する等の制御を行う制御部91を有している。制御部91は、例えば、一時保留部22に設けられた紙幣検知センサ43の検知状態に基づいて、一時保留部22に保留された紙幣Sの枚数と、一時保留部22に保留された紙幣Sの隣り合う紙幣Sと紙幣Sとの間隔とを検出する。具体的に、制御部91は、紙幣検知センサ43で紙幣Sを検知した回数から紙幣Sの枚数を検出する。また、制御部91は、隣り合う紙幣Sと紙幣Sとの間の紙幣Sのない空間を紙幣検知センサ43が検出している時間と、テープ41の走行速度とを乗算することで、隣り合う紙幣Sと紙幣Sとの間の間隔を検出する。テープ41の走行速度は、回転体42の回転速度から割り出される。
<紙幣入出金部15の作動>
次に、紙幣入出金部15の主な作動について説明する。
図4は、実施の形態にかかる貨幣処理装置1において、先の取引にかかる紙幣の入金確定後に、後の取引にかかる紙幣を割り込み入金する場合の処理のフローチャートである。
図5は、実施の形態にかかる貨幣処理装置1の紙幣入出金部15を概略的に示す側面図であって、入金処理ルートを太線で示すものである。
図6は、実施の形態にかかる貨幣処理装置1の紙幣入出金部15を概略的に示す側面図であって、分配処理ルートを太線で示すものである。
図7は、実施の形態にかかる貨幣処理装置1の紙幣入出金部15を概略的に示す側面図であって、返却処理ルートを太線で示すものである。
図8は、第1の割込入金処理のフローチャートである。
図9は、第2の割込入金処理のフローチャートである。
「入金処理」
制御部91は、操作部2A,2Bの一方に入金処理開始の操作が入力されることで入金処理を受け付ける(ステップS101:YES)と、入金処理を行う(ステップS102)。
この入金処理において、制御部91は、まず、紙幣投入部11の紙幣投入部シャッタ12を開く。次に、制御部91は、紙幣投入部11内に装置外から紙幣Sが投入されたことを図示略のセンサが検知すると、紙幣投入部シャッタ12を閉じる。そして、制御部91は、搬送部30により、図5に太線で示す入金処理ルートで紙幣Sを搬送させる。
すなわち、制御部91は、紙幣投入部11内の紙幣Sを繰出機構27で一枚ずつ分離して装置本体10内に繰り出させ、前部搬送路32と、識別部21の内部搬送路35と、後部搬送路36の前側送路部51及び中間送路部52とで搬送させる。このときの内部搬送路35の第1方向での搬送中に、識別部21が紙幣Sを一枚ずつ識別することになる。制御部91は、この識別の結果、受け入れ可能と識別された正常な紙幣Sを、図5に太実線で示すように、後部搬送路36の中間送路部52から後側送路部53で一時保留部22に搬送させ、一時保留部22に一時保留させる。他方、制御部91は、識別部21で受け入れ不可と識別された入金リジェクト紙幣Sを、図5に太破線で示すように、後部搬送路36の中間送路部52から出金搬送路47で紙幣払出部13に搬送させる。
このとき、制御部91は、後側送路部53から一時保留部22に紙幣Sを受け入れるタイミングで回転体42を正回転させることになる。その際に、制御部91は、回転体42の回転のタイミング及び回転速度を紙幣検知センサ43の出力に基づいて制御することで、後側送路部53から受け入れた紙幣Sを、図3に示すように、所定の一定の第1の巻き付け間隔L1で回転体42に巻き付けさせる。言い換えれば、回転体42が、一の入金処理で一時保留部22に保留する全ての紙幣Sを、取り込み順序で隣り合う紙幣S同士が相互間に所定の一定の第1の巻き付け間隔L1を開けるように、テープ41と共に巻き付ける。
紙幣投入部11に投入された紙幣Sを全て、一時保留部22及び紙幣払出部13の何れかに搬送した状態になると、制御部91は、識別部21の識別結果から、今回の入金処理で一時保留部22に一時保留させた紙幣Sの金種別の枚数及び総額等の金額情報を表示部3に表示させて入金処理を終了する。紙幣払出部13に搬送された紙幣Sは、紙幣払出部シャッタ14を開くことで、外部に取り出し可能となる。
「分配処理」
入金処理後の金額情報の表示部3への表示後、操作者によって操作部2A,2Bの一方に承認操作が入力されると(ステップS103:YES)、制御部91は、分配処理を開始させて(ステップS104)、搬送部30により図6に太線で示す分配処理ルートで紙幣Sを搬送させる。
すなわち、制御部91は、回転体42を逆回転させることで、一時保留部22に一時保留させていた紙幣Sを一時保留部22から一枚ずつ繰り出させ、後部搬送路36と、識別部21の内部搬送路35と、前部搬送路32の後側構成部69と、上下搬送路66の上側送路部75と、収納搬送路71とで搬送させる。このときの内部搬送路35の第2方向での搬送中に、識別部21が紙幣Sを一枚ずつ識別することになり、制御部91は、その結果に基づいて、収納搬送路71及び分岐搬送路82~84の適宜のものによって8台の紙幣収納部62の対応するものに紙幣Sを分配する。分配された紙幣Sを8台の紙幣収納部62の対応するものが収納する。識別部21により正常搬送で適正に識別された正常な紙幣Sは、単金種収納部に設定された紙幣収納部62の対応する金種のものに収納される。他方、識別部21で搬送異常を検出した場合、及び、識別部21で識別異常を生じた場合、これらの異常紙幣は、異常紙幣等収納部に設定された所定の紙幣収納部62に収納される。制御部91は、今回の入金処理で一時保留部22に一時保留させていた紙幣Sを全て紙幣収納部62に収納させる。
このとき、紙幣Sを収納する各紙幣収納部62は、収納搬送路71及び分岐搬送路82~84の接続されたものから受け入れた紙幣Sを、所定の巻き付け間隔で回転体87にテープ86と共に巻き付けて収納する。
「返却処理」
入金処理後の金額情報の表示部3の表示後、操作者によって操作部2A,2Bの一方に、承認操作ではなく(ステップS103:NO)、キャンセル操作が入力されると(ステップS105:YES)、制御部91は、入金をキャンセルし、返却処理を行う(ステップS106)。返却処理では、制御部91は、搬送部30によって図7に太線で示す返却処理ルートで紙幣Sを搬送させる。すなわち、制御部91は、回転体42を逆回転させることで、一時保留部22に一時保留させていた紙幣Sを一時保留部22から一枚ずつ繰り出させ、後部搬送路36の後側送路部53及び中間送路部52と、中間搬送路48と、出金搬送路47の前上送路部56とで紙幣払出部13に搬送させる。制御部91は、今回の入金処理で一時保留部22に一時保留させていた紙幣Sを全て紙幣払出部13に搬送させた後、紙幣払出部シャッタ14を開く。これにより、紙幣払出部13に搬送された紙幣Sは、装置外に取り出し可能となる。
「割込入金処理」
上記のように、制御部91は、先の取引にかかる紙幣Sを一時保留部22に一時保留させる入金処理(ステップS102)の後、操作者により操作部2A,2Bの一方に承認操作が入力されて入金処理が確定されると(ステップS103:YES)、この先の取引にかかる一時保留部22に一時保留させていた紙幣Sの分配処理を開始する(ステップS104)。これによって、一時保留部22に一時保留させていた紙幣Sを紙幣収納部62の対応するものに分配する。
制御部91は、この分配処理の最中に、操作部2A,2Bの一方に後の取引にかかる紙幣Sの割込入金処理の開始の操作が入力されると(ステップS107:YES)、この後の取引にかかる紙幣Sの第1の割込入金処理を行う(ステップS108)。なお、操作部2A,2Bの一方に、割込入金処理の開始の操作が入力されず(ステップS107:NO)、後述する割込出金処理の開始の操作も入力されずに(ステップS407:NO)、分配処理が終了すると(ステップS109:YES)、先の取引に関する一連の処理を終了する。ここでは、ステップS102で実行された先の取引を第1の入金取引とし、ステップS108で実行される後の取引を第2の入金取引として区別して説明する。第2の入金取引は、第1の入金取引に関する一連の処理となる。
図8に示すように、第1の割込入金処理(ステップS108)において、制御部91は、一時保留部22に第1の入金取引にかかる紙幣Sが残っていても、一時保留部22の繰り出し動作すなわち回転体42の回転を停止させる(ステップS201)。それと共に、制御部91は、この回転体42の停止時点で、すでに搬送部30に繰り出されていた第1の入金取引にかかる紙幣Sについては、図6に太線で示す分配処理ルートで搬送部30により、それぞれ対応する紙幣収納部62に収納させる。
すなわち、制御部91は、すでに搬送部30に繰り出されていた第1の入金取引にかかる紙幣Sを、後部搬送路36と、識別部21の内部搬送路35と、前部搬送路32の後側構成部69と、上下搬送路66の上側送路部75と、収納搬送路71とで搬送させる。そして、制御部91は、その際の識別部21の結果に基づいて、第1の入金取引にかかる紙幣Sを収納搬送路71及び分岐搬送路82~84の適宜のものによって8台の紙幣収納部62の対応するものに収納させる(ステップS202)。
言い換えれば、制御部91は、第2の入金取引にかかる紙幣Sの入金処理を受け付けた場合、第1の入金取引にかかる紙幣Sについての一時保留部22の繰り出し動作を停止すると共に、搬送部30を制御して、当該一時保留部22以外の装置本体10内に残留している第1の入金取引にかかる紙幣Sを所定の紙幣収納部62に搬送する。これにより、装置本体10内に残留する第1の入金取引にかかる紙幣Sと、第2の入金取引(第1の割込入金処理)で入金された紙幣Sとが搬送部30内で混在して違算となることを防止する。
制御部91は、第1の入金取引にかかる紙幣Sのうち、搬送部30に繰り出されていた紙幣Sが全て紙幣収納部62に収納された後、上記と同様の入金処理を開始する(ステップS203)。すなわち、制御部91は、紙幣投入部11の紙幣投入部シャッタ12を開き、第2の入金取引にかかる紙幣Sが紙幣投入部11内に装置外から投入されたことを図示略のセンサで検知すると、紙幣投入部シャッタ12を閉じる。そして、制御部91は、紙幣投入部11内にある第2の入金取引にかかる紙幣Sに対して入金処理を行って、図5に太線で示す入金処理ルートで紙幣Sを搬送させる。すなわち、制御部91は、紙幣Sを、前部搬送路32と、内部搬送路35と、後部搬送路36の前側送路部51及び中間送路部52とで搬送させ、その際に識別部21で受け入れ可能と識別された正常な紙幣Sを後側送路部53で一時保留部22に一時保留させる。他方、制御部91は、識別部21で受け入れ不可と識別された入金リジェクト紙幣Sを、後部搬送路36の中間送路部52から出金搬送路47で紙幣払出部13にリジェクトさせる。
このとき、制御部91は、図3に示すように、第1の入金取引の後の第2の入金取引にかかる紙幣Sのうち、受け入れ可能と識別された正常な紙幣Sであって最初に一時保留部22に一時保留させる紙幣Sについて、すでに一時保留部22に一時保留されている第1の入金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1とは異なる第2の巻き付け間隔L2(区分け巻き付け間隔)を、第1の入金取引にかかる紙幣Sの紙幣群G1との間に設けるようにして回転体42に巻き付けさせる(ステップS204)。この第2の巻き付け間隔L2は、回転体42の回転を紙幣検知センサ43の出力に基づいて制御することで設けられる。ここでは、第1の巻き付け間隔L1よりも第2の巻き付け間隔L2の方が大となるように設定されている。
その後、制御部91は、第1の入金取引の後の第2の入金取引にかかる紙幣Sのうち、受け入れ可能と識別された正常な紙幣Sであって2枚目以降に一時保留部22に一時保留させる紙幣Sについて、全て所定の第1の巻き付け間隔L1で回転体42に巻き付けさせる(ステップS205)。ここで、後の第2の入金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1は、先の第1の入金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1と同等である。一時保留部22の回転体42は、第2の入金取引の入金処理で保留する全ての紙幣Sを、取り込み順序で隣り合う紙幣S同士が、相互間に所定の第1の巻き付け間隔L1を開けるようにテープ41と共に巻き付ける。
これにより、制御部91は、先の第1の入金取引にかかる紙幣Sの紙幣群G1と、後の第2の入金取引にかかる紙幣Sの紙幣群G2との間に、紙幣群G1における紙幣Sの巻き付け間隔L1及び紙幣群G2における紙幣Sの巻き付け間隔L1とは異なる巻き付け間隔L2を、紙幣検知センサ43の出力に基づいて設ける。
以上のように、制御部91は、一時保留部22に保留された第1の入金取引にかかる紙幣Sを紙幣収納部62に分配している途中で第2の入金取引にかかる紙幣Sの処理を受け付ける。それと共に、制御部91は、一時保留部22の回転体42を紙幣検知センサ43の出力に基づいて制御して、第1の入金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1とは異なる第2の巻き付け間隔L2を第1の入金取引にかかる紙幣Sと第2の入金取引にかかる紙幣Sとの間に設ける。これにより、第2の入金取引にかかる入金処理中にジャムなどのエラーが発生した場合、制御部91は、一時保留部22に保留された紙幣Sのうち、第2の入金取引で一時保留した紙幣Sを一時保留部22から紙幣払出部13すなわち装置本体10外に払い出す。その一方で、制御部91は、第2の入金取引で一時保留した紙幣Sとの間に第2の巻き付け間隔L2が検出されることで区分けされる、第1の入金取引で一時保留部22に保留された紙幣Sについては、一時保留部22に保留したままとすることができる。
制御部91は、第2の入金取引で紙幣投入部11に投入された紙幣Sを全て、一時保留部22及び紙幣払出部13の何れかに搬送した状態になると、識別部21の識別結果から、第2の入金取引で一時保留部22に一時保留させた紙幣Sの金種別の枚数及び総額等の金額情報を表示部3に表示させて、第2の入金取引にかかる第1の割込入金処理(ステップS108)を終了する。
制御部91は、第2の入金取引にかかる紙幣Sの入金処理後の金額情報の表示部3への表示後、操作者によって操作部2A,2Bの一方に承認操作が入力されると(ステップS110:YES)、第2の入金取引にかかる紙幣Sの入金処理を確定すると共に、待機を開始することになる(ステップS111)。そして、制御部91は、所定の待機時間の待機中(ステップS114:NO)に、操作部2A,2Bの一方に、更に後の取引にかかる紙幣Sの入金処理の開始の操作が入力されて割込入金処理が開始されると(ステップS112:YES)、この更に後の取引にかかる紙幣Sの第2の割込入金処理を行う(ステップS113)。すなわち、制御部91は、後の取引にかかる入金処理の終了後に、更に後の取引にかかる入金処理がある場合、当該更に後の取引にかかる入金処理を受け付ける。ここでは、この更に後の取引を第3の入金取引として説明する。第3の入金取引は、第2の入金取引と同様、第1の入金取引に関する一連の処理となる。
第3の入金取引にかかる紙幣Sの第2の割込入金処理(ステップS113)の開始時点では、一時保留部22は停止しており、搬送部30に紙幣の残存はない。このため、制御部91は、図9に示すように、第1の割込入金処理(ステップS108)のステップS203~S205と同様のステップS303~S305を行う。
制御部91は、これらのステップS303~S305で、第2の入金取引の後の第3の入金取引にかかる紙幣Sのうち、受け入れ可能と識別された正常な紙幣Sであって最初に一時保留部22に一時保留させる紙幣Sについては、すでに一時保留部22に一時保留されている第2の入金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1とは異なる第2の巻き付け間隔L2(区分け巻き付け間隔)を、第2の入金取引にかかる紙幣Sの紙幣群との間に設けるようにして回転体42に巻き付けさせる(ステップS304)。この第2の巻き付け間隔L2は、回転体42の回転を紙幣検知センサ43の出力に基づいて制御することで設けられる。ここでは、第1の巻き付け間隔L1よりも第2の巻き付け間隔L2の方が大となるように設定されている。第2の入金取引にかかる紙幣Sと第3の入金取引にかかる紙幣Sとの間の第2の巻き付け間隔L2は、第1の入金取引にかかる紙幣Sと第2の入金取引にかかる紙幣Sとの間の第2の巻き付け間隔L2と同等である。
その後、制御部91は、第2の入金取引の後の第3の入金取引にかかる紙幣Sのうち、受け入れ可能と識別された正常な紙幣Sであって2枚目以降に一時保留部22に一時保留させる紙幣Sについては、全て所定の第1の巻き付け間隔L1で回転体42に巻き付けさせる(ステップS305)。ここで、後の第3の入金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1は、先の第1,第2の入金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1と同等である。一時保留部22の回転体42は、第3の入金取引の入金処理で保留する全ての紙幣Sを、取り込み順序で隣り合う紙幣S同士が、相互間に所定の第1の巻き付け間隔L1を開けるようにテープ41と共に巻き付ける。
これにより、制御部91は、先の第2の入金取引にかかる紙幣Sの紙幣群と、後の第3の入金取引にかかる紙幣Sの紙幣群との間に、第2の入金取引にかかる紙幣Sの紙幣群における紙幣Sの巻き付け間隔L1及び第3の入金取引にかかる紙幣Sの紙幣群における紙幣Sの巻き付け間隔L1とは異なる巻き付け間隔L2を、紙幣検知センサ43の出力に基づいて設ける。
制御部91は、第3の入金取引で紙幣投入部11に投入された紙幣Sを全て、一時保留部22及び紙幣払出部13の何れかに搬送した状態になると、識別部21の識別結果から、第3の入金取引で一時保留部22に一時保留させた紙幣Sの金種別の枚数及び総額等の金額情報を表示部3に表示させて第3の入金取引にかかる第2の割込入金処理を終了する(ステップS113)。そして、制御部91は、ステップS110にて第3の入金取引の第2の割込入金処理に関する承認を待機する。制御部91は、ステップS110~S113を繰り返すことで、第1の入金取引の途中で、第2の入金取引及び第3の入金取引に加えて、さらに複数回の入金取引を連続して実行可能となる。
以上のように、制御部91は、第1,第2の入金取引にかかる紙幣Sを一時保留部22に一時保留した状態で、第3の入金取引にかかる紙幣Sの処理を受け付けると共に、紙幣検知センサ43の出力に基づいて一時保留部22の回転体42を制御して、第2の入金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1とは異なる第2の巻き付け間隔L2を第2の入金取引にかかる紙幣Sと第3の入金取引にかかる紙幣Sとの間に設ける。これにより、制御部91は、第3の入金取引にかかる入金処理中にジャムなどのエラーが発生した場合、一時保留部22に保留された紙幣Sのうち、第3の入金取引で一時保留した紙幣Sを紙幣払出部13すなわち装置本体10外に払い出す。その一方で、制御部91は、第3の入金取引で一時保留した紙幣Sとの間に第2の巻き付け間隔L2が検出されることで区分けされる第2の入金取引及び第1の入金取引で一時保留部22に保留された紙幣Sについては、一時保留部22に保留したままとすることができる。
制御部91は、第2の入金取引にかかる紙幣Sの第1の割込入金処理(ステップS108)の直後の上記ステップS112において、操作部2A,2Bの一方に第3の入金取引にかかる紙幣Sの割込入金処理の開始の操作が入力されずに(ステップS112:NO)、所定の待機時間が経過すると(ステップS114:YES)、分配処理を再開させて(ステップS115)、分配処理が終了するのを待つ(ステップS116)。すると、制御部91は、一時保留部22から、図6に太線で示す分配処理ルートで、第2の入金取引にかかる紙幣Sを分配処理した後、第1の入金取引にかかる残りの紙幣Sを分配処理する。このとき、制御部91は、第2の入金取引にかかる紙幣Sと、第1の入金取引にかかる残りの紙幣Sとの境界を、紙幣検知センサ43の出力に基づいて第2の巻き付け間隔L2を検知することで認識する。
なお、第3の入金取引にかかる紙幣Sの第2の割込入金処理(ステップS113)が行われ、承認されて(ステップS110:YES)、次の入金取引にかかる紙幣Sの割込入金処理の開始の操作が入力されずに(ステップS112:NO)、所定の待機時間が経過した場合(ステップS114:YES)も、制御部91は、分配処理を再開させる(ステップS115)。この場合、一時保留部22には、第2の入金取引にかかる紙幣Sの後に、第3の入金取引にかかる紙幣Sを一時保留している。このため、制御部91は、一時保留部22から、第3の入金取引にかかる紙幣Sを分配処理した後、第2の入金取引にかかる紙幣Sを分配処理し、その後、第1の入金取引にかかる残りの紙幣Sを分配処理する。制御部91は、この場合、第3の入金取引にかかる紙幣Sと、第2の入金取引にかかる紙幣Sとの境界を、紙幣検知センサ43の出力に基づいて最初に検出する第2の巻き付け間隔L2で認識し、第2の入金取引にかかる紙幣Sと、第1の入金取引にかかる残りの紙幣Sとの境界を、2回目に検出する第2の巻き付け間隔L2で認識する。分配処理が終了すると、制御部91は、第1の入金取引から始まった一連の処理を終了する。
「割込入金処理に対する返却処理」
一時保留部22に保留している最後の入金取引にかかる紙幣Sの入金処理後の金額情報の表示部3への表示後、操作者によって操作部2A,2Bの一方にキャンセル操作が入力されると(ステップS117:YES)、制御部91は、最後の入金取引にかかる紙幣Sについて返却処理を行った後(ステップS118)、最後以外の入金取引にかかる紙幣Sについて分配処理を再開させる(ステップS115)。
例えば、第2の入金取引にかかる紙幣Sの第1の割込入金処理(ステップS108)についての入金処理後の金額情報の表示部3の表示後、操作者によって操作部2A,2Bの一方に、承認操作が入力されずに(ステップS110:NO)、キャンセル操作が入力されると(ステップS117:YES)、制御部91は、この第2の入金取引にかかる紙幣Sの第1の割込入金処理についての入金をキャンセルし、この第2の入金取引にかかる紙幣Sについての返却処理を行う(ステップS118)。
すなわち、制御部91は、回転体42を逆回転させることで、一時保留部22に一時保留させていた、この第2の取引にかかる紙幣Sを一時保留部22から一枚ずつ繰り出させ、図7に太線で示す返却処理ルートで、後部搬送路36の後側送路部53及び中間送路部52と、中間搬送路48と、出金搬送路47の前上送路部56とで紙幣払出部13に搬送させる。紙幣払出部13に搬送された紙幣Sは、紙幣払出部シャッタ14が開かれることで外部に取り出し可能となる。
このとき、制御部91は、第2の入金取引にかかる紙幣Sと、その前の第1の入金取引にかかる紙幣Sとの境界を、紙幣検知センサ43の出力に基づいて検出される第2の巻き付け間隔L2で認識する。制御部91は、第2の入金取引にかかる紙幣Sについての返却処理の後、分配処理を再開させる(ステップS115)ことで、一時保留部22に残っている第1の入金取引にかかる紙幣Sを紙幣収納部62に収納する。制御部91は、分配処理が終了すると(ステップS116:YES)、第1の入金取引から始まった一連の処理を終了する。
また、例えば、第3の入金取引にかかる紙幣Sの第2の割込入金処理(ステップS113)についての入金処理後の金額情報の表示部3の表示後、操作者によって操作部2A,2Bの対応する一方に、承認操作が入力されずに(ステップS110:NO)、キャンセル操作が入力されると(ステップS117:YES)、制御部91は、この第3の入金取引にかかる紙幣Sの第2の割込入金処理についての入金をキャンセルし、この第3の入金取引にかかる紙幣Sについての返却処理を行う(ステップS118)。
すなわち、制御部91は、回転体42を逆回転させることで、一時保留部22に一時保留させていた、この第3の入金取引にかかる紙幣Sを一時保留部22から上記と同様に紙幣払出部13に搬送させる。このとき、制御部91は、第3の入金取引にかかる紙幣Sと、その前の第2の入金取引にかかる紙幣Sとの境界を、紙幣検知センサ43の出力に基づいて最初に検出される第2の巻き付け間隔L2で認識する。制御部91は、第3の入金取引にかかる紙幣Sについての返却処理の後、分配処理を再開させる(ステップS115)ことで、一時保留部22に残っている第2の入金取引にかかる紙幣Sを紙幣収納部62に収納し、続いて、一時保留部22に残っている第1の入金取引にかかる紙幣Sを紙幣収納部62に収納する。
このとき、制御部91は、第2の入金取引にかかる紙幣Sと、その前の第1の入金取引にかかる紙幣Sとの境界を、紙幣検知センサ43の出力に基づいて2回目に検出される第2の巻き付け間隔L2で認識する。制御部91は、分配処理が終了すると(ステップS116:YES)、第1の入金取引から始まった一連の処理を終了する。
図10は、実施の形態にかかる貨幣処理装置1の紙幣入出金部15を概略的に示す側面図であって、出金処理ルートを太線で示すものである。
図11は、実施の形態にかかる貨幣処理装置1において、先の取引にかかる紙幣Sの入金確定後に、後の取引にかかる紙幣Sを割り込み出金する場合の処理の一部のフローチャートである。
図12は、第1の割込出金処理のフローチャートである。
図13は、第2の割込出金処理のフローチャートである。
「出金処理」
制御部91は、操作部2A,2Bの一方に、出金させる紙幣Sの金額情報と共に出金処理の選択操作が入力されると、単金種収納部に設定された紙幣収納部62から紙幣Sを出金させる。すなわち、制御部91は、図10に太線で示すように、出金対象金種の紙幣Sが収納された紙幣収納部62から、収納していた紙幣Sを計数させながら繰り出させる。そして、制御部91は、繰り出された紙幣Sを、分岐搬送路82~84の適宜のものと、収納搬送路71と、上下搬送路66の上側送路部75と、前部搬送路32の後側構成部69と、識別部21の内部搬送路35とに搬送させる。この内部搬送路35を搬送中に識別部21が紙幣Sの識別を行うことになり、制御部91は、搬送異常及び識別異常の何れもない正常な紙幣Sを、図10に太実線で示すように、後部搬送路36の前側送路部51及び中間送路部52と、出金搬送路47とで紙幣払出部13に搬送させる。制御部91は、その際の識別部21の識別結果に基づいて出金させる紙幣Sの金額情報を確認する。紙幣払出部13に搬送された紙幣Sは、紙幣払出部シャッタ14が開かれることで外部に取り出し可能となる。
他方、識別部21で搬送異常及び識別異常の何れかがあった出金リジェクト紙幣Sについては、制御部91は、図10に太破線で示すように、後部搬送路36の前側送路部51、中間送路部52及び後側送路部53によって一時保留部22に一時保留させる。
そして、制御部91は、出金処理の最後に、分配処理と同様にして、一時保留部22から出金リジェクト紙幣Sを、異常紙幣等収納部に設定された所定の紙幣収納部62に収納させる。
「割込出金処理」
上記したように、制御部91は、入金処理(ステップS102)において、先の取引にかかる紙幣Sを一時保留部22に一時保留させ、その後、承認操作が入力されると(ステップS103:YES)、この先の取引にかかる一時保留部22に一時保留させていた紙幣Sの分配処理を開始させる(ステップS104)。
この分配処理の最中に、操作部2A,2Bの一方に、後の取引にかかる紙幣Sの割込入金処理の開始ではなく(ステップS107:NO)、後の取引にかかる紙幣Sの割込出金処理の開始の操作が入力されると(ステップS407:YES)、この後の取引にかかる紙幣Sの第1の割込出金処理を行う(ステップS408)。ここでは、先の取引を第1の入金取引とし、後の取引を第1の出金取引として区別して説明する。第1の出金取引は、第1の入金取引に関する一連の処理となる。
図12に示すように、第1の割込出金処理(ステップS408)において、制御部91は、一時保留部22に第1の入金取引にかかる紙幣Sが残っていても、一時保留部22の繰り出し動作すなわち回転体42の回転を停止させる(ステップS501)。それと共に、制御部91は、この回転体42の停止時点で、すでに搬送部30に繰り出されていた第1の入金取引にかかる紙幣Sについては、図6に太線で示す分配処理ルートで搬送部30により、それぞれ対応する紙幣収納部62に収納させる。
すなわち、制御部91は、すでに搬送部30に繰り出されていた第1の入金取引にかかる紙幣Sを、後部搬送路36と、識別部21の内部搬送路35と、前部搬送路32の後側構成部69と、上下搬送路66の上側送路部75と、収納搬送路71とで搬送させる。制御部91は、その際の識別部21の結果に基づいて、第1の入金取引にかかる紙幣Sを収納搬送路71及び分岐搬送路82~84の適宜のものによって8台の紙幣収納部62の対応するものに収納させる(ステップS502)。
言い換えれば、制御部91は、第1の出金取引にかかる紙幣Sの出金処理を受け付けた場合、第1の入金取引にかかる紙幣Sについての一時保留部22の繰り出し動作を停止すると共に、搬送部30を制御して、当該一時保留部22以外の装置本体10内の搬送部30に残留している第1の入金取引にかかる紙幣Sを所定の紙幣収納部62に搬送する。これにより、装置本体10内に残留する第1の入金取引にかかる紙幣Sと、第1の出金取引(第1の割込出金処理)で出金された紙幣Sとが搬送部30内で混在して違算となることを防止する。
制御部91は、第1の入金取引にかかる紙幣Sのうち、搬送部30に繰り出されていた紙幣Sが全て紙幣収納部62に収納された後、上記と同様の出金処理を開始する(ステップS503)。すなわち、制御部91は、単金種収納部に設定された紙幣収納部62のうち、出金対象金種の紙幣Sが収納された紙幣収納部62から、収納していた紙幣Sを計数させながら繰り出させる。そして、制御部91は、繰り出された紙幣Sを、図10に太線で示す出金ルート、すなわち、分岐搬送路82~84の適宜のものと、収納搬送路71と、上下搬送路66の上側送路部75と、前部搬送路32の後側構成部69と、識別部21の内部搬送路35と、後部搬送路36の前側送路部51及び中間送路部52と、出金搬送路47とで紙幣払出部13に搬送させる。その際の識別部21の識別結果に基づいて出金させる紙幣Sの金額情報を確認する。紙幣払出部13に搬送された紙幣Sは、紙幣払出部シャッタ14が開かれることで外部に取り出し可能となる。
ここで、出金処理において、識別部21で搬送異常が検出された紙幣S又は識別部21で識別異常を生じた紙幣Sなどの出金リジェクト紙幣Sについて、制御部91は、後部搬送路36の前側送路部51、中間送路部52及び後側送路部53を介して一時保留部22に一時保留させる。
このとき、制御部91は、図3に示すように、第1の入金取引の後の第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sのうち、最初に一時保留部22に一時保留させる出金リジェクト紙幣Sについては、すでに一時保留部22に一時保留されている第1の入金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1とは異なる第2の巻き付け間隔L2(区分け巻き付け間隔)を、一時保留部22にすでに一時保留されている第1の入金取引にかかる紙幣Sとの間に設けるようにして回転体42に巻き付けさせる(ステップS504)。この第2の巻き付け間隔L2は、回転体42の回転を紙幣検知センサ43の出力に基づいて制御することで設けられる。ここでは、第1の巻き付け間隔L1よりも第2の巻き付け間隔L2の方が大となるように設定されている。
その後、制御部91は、第1の入金取引の後の第1の出金取引にかかる紙幣Sのうち、出金リジェクト紙幣Sであって2枚目以降に一時保留部22に一時保留させる出金リジェクト紙幣Sについては、全て所定の第1の巻き付け間隔L1で回転体42に巻き付けさせる(ステップS505)。ここで、後の第1の出金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1は、先の第1の入金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1と同等である。一時保留部22の回転体42は、第1の出金取引の出金処理で保留する全ての出金リジェクト紙幣Sを、取り込み順序で隣り合う出金リジェクト紙幣S同士が、相互間に所定の第1の巻き付け間隔L1を開けるようにテープ41と共に巻き付ける。
これにより、制御部91は、先の第1の入金取引にかかる紙幣Sの紙幣群と、後の第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sの紙幣群との間に、第1の入金取引にかかる紙幣Sの紙幣群における紙幣Sの巻き付け間隔L1及び第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sの紙幣群における紙幣Sの巻き付け間隔L1とは異なる巻き付け間隔L2を、紙幣検知センサ43の出力に基づいて設ける。
以上のように、制御部91は、一時保留部22に保留された第1の入金取引にかかる紙幣Sを紙幣収納部62に分配している途中で第1の出金取引にかかる紙幣Sの処理を受け付ける。それと共に、制御部91は、一時保留部22の回転体42を紙幣検知センサ43の出力に基づいて制御して、第1の入金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1とは異なる第2の巻き付け間隔L2を第1の入金取引にかかる紙幣Sと第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sとの間に設ける。これにより、第1の出金取引にかかる出金処理中にジャムなどのエラーが発生した場合、制御部91は、一時保留部22に保留された紙幣Sのうち、第1の出金取引で一時保留した出金リジェクト紙幣Sを、分配処理によって異常紙幣等収納部に設定された紙幣収納部62に収納する。その一方で、制御部91は、第1の出金取引で一時保留した紙幣Sとの間に第2の巻き付け間隔L2が検出されることで区分けされる、第1の入金取引で一時保留部22に保留された紙幣Sについては、一時保留部22に保留したままとすることができる。
制御部91は、第1の出金取引にかかる金額情報に基づく出金紙幣Sを全て紙幣払出部13に搬送させると共に、発生した出金リジェクト紙幣Sを全て一時保留部22に保留させると、待機を開始することになる(ステップS411)。そして、制御部91は、所定の待機時間の待機中(ステップS414:NO)に、操作部2A,2Bの一方に、更に後の取引にかかる紙幣Sの割込出金処理の開始の操作が入力されて割込出金処理が開始されると(ステップS412:YES)、この更に後の取引にかかる紙幣Sの第2の割込出金処理を行う(ステップS413)。すなわち、制御部91は、後の取引にかかる出金処理の終了後に、更に後の取引にかかる出金処理がある場合、当該更に後の取引にかかる出金処理を受け付ける。ここでは、この更に後の取引を第2の出金取引として説明する。第2の出金取引は、第1の出金取引と同様、第1の入金取引に関する一連の処理となる。
第2の出金取引にかかる紙幣Sの第2の割込出金処理(ステップS413)の開始時点では、一時保留部22は停止しており、搬送部30に紙幣Sの残存はない。このため、制御部91は、図13に示すように、第1の割込出金処理(ステップS408)のステップS503~S505と同様のステップS603~S605を行う。
制御部91は、これらのステップS603~S605で、第1の出金取引の後の第2の出金取引にかかる紙幣Sのうち、最初に一時保留部22に一時保留させる出金リジェクト紙幣Sについては、すでに一時保留部22に一時保留されている第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1とは異なる第2の巻き付け間隔L2(区分け巻き付け間隔)を、第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sとの間に設けるようにして回転体42に巻き付けさせる(ステップS604)。この第2の巻き付け間隔L2は、回転体42の回転を紙幣検知センサ43の出力に基づいて制御することで設けられる。ここでは、第1の巻き付け間隔L1よりも第2の巻き付け間隔L2の方が大となるように設定されている。第1の出金取引にかかる紙幣Sと第2の出金取引にかかる紙幣Sとの間の第2の巻き付け間隔L2は、第1の入金取引にかかる紙幣Sと第1の出金取引にかかる紙幣Sとの間の第2の巻き付け間隔L2と同等である。
その後、制御部91は、第1の出金取引の後の第2の出金取引にかかる紙幣Sのうち、2枚目以降に一時保留部22に一時保留させる出金リジェクト紙幣Sについては、全て所定の第1の巻き付け間隔L1で回転体42に巻き付けさせる(ステップS605)。ここで、後の第2の出金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1は、先の第1の入金取引及び第1の出金取引にかかる紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1と同等である。一時保留部22の回転体42は、第2の出金取引の出金処理で保留する全ての出金リジェクト紙幣Sを、取り込み順序で隣り合う出金リジェクト紙幣S同士が、相互間に所定の第1の巻き付け間隔L1を開けるようにテープ41と共に巻き付ける。
これにより、制御部91は、先の第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sの紙幣群と、後の第2の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sの紙幣群との間に、第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sの紙幣群における出金リジェクト紙幣Sの巻き付け間隔L1及び第2の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sの紙幣群における出金リジェクト紙幣Sの巻き付け間隔L1とは異なる巻き付け間隔L2を、紙幣検知センサ43の出力に基づいて設ける。
制御部91は、第2の出金取引にかかる金額情報に基づく出金紙幣Sを全て紙幣払出部13に搬送させると共に、発生した出金リジェクト紙幣Sを全て一時保留部22に保留させると、第2の出金取引にかかる出金処理が完了したと判断する。制御部91は、ステップS411~S414を繰り返すことで、第1の入金取引の途中で、第1の出金取引、第2の出金取引に加えて、さらに複数回の出金取引を連続して行うことが可能になる。
以上のように、制御部91は、第1の出金取引にかかる紙幣Sを出金した後、第1の入金取引及び第1の出金取引にかかる紙幣Sを一時保留部22に一時保留した状態で、第2の出金取引にかかる紙幣Sの処理を受け付ける。それと共に、制御部91は、紙幣検知センサ43の出力に基づいて一時保留部22の回転体42を制御して、第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sの第1の巻き付け間隔L1とは異なる第2の巻き付け間隔L2を第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sと第2の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sとの間に設ける。これにより、第2の出金取引にかかる出金処理中にジャムなどのエラーが発生した場合、制御部91は、一時保留部22に保留された出金リジェクト紙幣Sのうち、第2の出金取引で一時保留した出金リジェクト紙幣Sを、分配処理によって異常紙幣等収納部に設定された紙幣収納部62に収納する。その一方で、制御部91は、第2の出金取引で一時保留した出金リジェクト紙幣Sとの間に第2の巻き付け間隔L2が検出されることで区分けされる第1の出金取引及び第1の入金取引で一時保留部22に保留された紙幣Sは、一時保留部22に保留したままとすることができる。
制御部91は、第1の出金取引にかかる紙幣Sの第1の割込出金処理(ステップS408)の直後の上記ステップS412において、操作部2A,2Bの一方に第2の出金取引にかかる紙幣Sの割込出金処理の開始の操作が入力されずに(ステップS412:NO)、所定の待機時間が経過すると(ステップS414:YES)、分配処理を再開させて(ステップS415)、分配処理が終了するのを待つ(ステップS416)。すると、制御部91は、一時保留部22から、図6に太線で示す分配処理ルートで、第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sを異常紙幣等収納部に設定された紙幣収納部62に分配処理した後、第1の入金取引にかかる残りの紙幣Sを単金種収納部あるいは金種混合収納部に設定された紙幣収納部62に分配処理する。このとき、制御部91は、第1の出金取引にかかる紙幣Sと、第1の入金取引にかかる残りの紙幣Sとの境界を、紙幣検知センサ43の出力に基づいて第2の巻き付け間隔L2を検知することで認識する。
なお、第2の出金取引にかかる紙幣Sの第2の割込入金処理(ステップS413)が行われ、次の出金取引にかかる紙幣Sの割込出金処理の開始の操作が入力されずに(ステップS412:NO)、所定の待機時間が経過した場合(ステップS414:YES)も、制御部91は、分配処理を再開させる(ステップS415)。この場合、一時保留部22には、第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sの後に、第2の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sを一時保留している。このため、制御部91は、一時保留部22から、第2の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sを、異常紙幣等収納部に設定された紙幣収納部62に収納させる分配処理を行った後、第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣を、同じく異常紙幣等収納部に設定された紙幣収納部62に収納させる分配処理を行い、その後、第1の入金取引にかかる残りの紙幣Sを単金種収納部あるいは金種混合収納部に設定された紙幣収納部62に収納させる分配処理を行う。制御部91は、この場合、第2の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sと、第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sと境界を、紙幣検知センサ43の出力に基づいて最初に検出する第2の巻き付け間隔L2で認識し、第1の出金取引にかかる紙幣Sと、第1の入金取引にかかる残りの紙幣Sとの境界を、2回目に検出する第2の巻き付け間隔L2に基づいて認識する。分配処理が終了すると、第1の入金取引から始まった一連の処理を終了する。
以上の実施の形態において、第1の入金取引にかかる紙幣Sについての分配処理中に、第2の入金取引にかかる紙幣Sについての第1の割込入金処理を実行可能とし、この第1の割込入金処理の完了後、続けて、第2の割込出金処理を実行可能としても良い。すなわち、第1の入金取引にかかる紙幣Sについての分配処理中に、第2の入金取引にかかる紙幣Sについての第1の割込入金処理を実行可能とし、この第1の割込入金処理の完了後、続けて、第2の割込入金処理及び第2の割込出金処理から処理を選択して実行可能としても良い。更に続けて、第2の割込入金処理及び第2の割込出金処理から処理を選択して繰り返し実行可能としても良い。
また、実施の形態において、第1の入金取引にかかる紙幣Sについての分配処理中に、第1の出金取引にかかる紙幣Sについての第1の割込出金処理を実行可能とし、この第1の割込出金処理の完了後、続けて、第2の割込入金処理を実行可能としても良い。すなわち、第1の入金取引にかかる紙幣Sについての分配処理中に、第2の出金取引にかかる紙幣Sについての第1の割込出金処理を実行可能とし、この第1の割込出金処理の完了後、続けて、第2の割込入金処理及び第2の割込出金処理から処理を選択して実行可能としても良い。更に続けて、第2の割込入金処理及び第2の割込出金処理から処理を選択して繰り返し実行可能としても良い。
図14は、実施の形態にかかる貨幣処理装置1において、先の取引にかかる紙幣Sの入金確定後に、後の取引にかかる紙幣Sを割り込み入金する場合の処理の変形例のフローチャートである。
図15は、第3の割込入金処理のフローチャートである。
制御部91は、図14に示すように、ステップS111とステップS112との間に、ステップS701を実行するようにしても良い。すなわち、制御部91は、第2の入金取引にかかる紙幣Sの第1の割込入金処理(ステップS108)の後の金額情報の表示部3への表示後、操作者によって操作部2A,2Bの一方に承認操作が入力されて、第2の入金取引にかかる紙幣Sの第1の割込入金処理が確定されると(ステップS110:YES)、待機を開始する(ステップS111)。それと共に、制御部91は、一時保留部22の回転体42を紙幣収納方向に所定量回転させるように制御して、この第2の入金取引にかかる紙幣Sに対し、その繰り出し方向前方に、第1の巻き付け間隔L1よりも広い第2の巻き付け間隔L2(区分け巻き付け間隔)を予め設けておく(ステップS701)。言い換えれば、制御部91は、第2の入金取引にかかる紙幣Sの入金処理が確定されると(ステップS110:YES)、所定の一定の待機時間経過するまで、一時保留部22に保留された紙幣Sの紙幣収納部62への分配処理を停止して、割込入金処理を待機すると共に、当該停止中に、一時保留部22の回転体42を紙幣収納方向に所定量回転させるように制御して、一時保留部22において、第2の入金取引にかかる紙幣Sに対し、その繰り出し方向前方に第3の入金取引の紙幣Sとの間で設けるべき第2の巻き付け間隔L2を予め設けておく。
そして、制御部91は、所定の一定の待機時間経過する間に(ステップS114:NO)、操作者により操作部2A,2Bの一方に割込入金処理開始の入力が行われると(ステップS112:YES)、第3の割込入金処理(ステップS702)を行う。この第3の割込入金処理は、図15に示すように、図9に示す第2の割込入金処理に対して、ステップS303,S305と同様のステップS803,S805のみを行う。すなわち、一時保留部22において、ステップS701で、第2の入金取引にかかる紙幣Sに対して、その繰り出し方向前方に、予め第2の巻き付け間隔L2を設けておくため、第2の割込入金処理のステップS304は行わずに済む。これにより、第3の入金取引を即座に行うことができる。
なお、先の取引にかかる紙幣Sの入金処理のステップS103の承認操作の後、ステップS104の分配処理開始の前に、所定の待機時間待機し、その間にステップS701の処理を行うと共に、この待機時間中に後の取引にかかる紙幣Sの入金処理を受け付けるようにしても良い。この場合、この待機時間中に後の取引にかかる紙幣Sの入金処理を受け付けると、ステップS702の割込入金処理を行って、承認操作でこの割込入金処理の入金が確定されると、ステップS104において分配処理を開始する。また、この待機時間中に後の取引にかかる紙幣Sの入金処理を受け付けなければ、ステップS104において分配処理を開始する。
図16は、実施の形態にかかる貨幣処理装置1において、先の取引にかかる紙幣Sの入金確定後に、後の取引にかかる紙幣Sを割り込み出金する場合の処理の変形例の一部のフローチャートである。
図17は、第3の割込出金処理のフローチャートである。
制御部91は、図16に示すように、ステップS411とステップS412との間に、ステップS901を実行するようにしても良い。すなわち、制御部91は、第1の出金取引にかかる紙幣Sの第1の割込出金処理後(ステップS408)、待機を開始する(ステップS411)。それと共に、制御部91は、一時保留部22の回転体42を紙幣収納方向に所定量回転させるように制御して、この第1の出金取引にかかる紙幣Sに対し、その繰り出し方向前方側に、第1の巻き付け間隔L1よりも広い第2の巻き付け間隔L2(区分け巻き付け間隔)を予め設けておく(ステップS901)。言い換えれば、制御部91は、第1の出金取引にかかる紙幣Sの第1の割込出金処理(ステップS408)の後、所定の一定の待機時間経過するまで、一時保留部22に保留された紙幣Sの紙幣収納部62への分配処理を停止して、割込出金処理を待機すると共に、当該停止中に、一時保留部22の回転体42を紙幣収納方向に所定量回転させるように制御して、第1の出金取引にかかる紙幣Sに対し、その一時保留部22における繰り出し方向前方に、第2の出金取引の紙幣Sとの間で設けるべき第2の巻き付け間隔L2を予め設けておく。
そして、制御部91は、所定の一定の待機時間経過する間に(ステップS414:NO)、操作者により操作部2A,2Bの一方に割込出金処理開始の入力が行われると(ステップS412:YES)、第3の割込出金処理(ステップS902)を行う。この第3の割込出金処理は、図17に示すように、図13に示す第2の割込出金処理に対して、ステップS603,S605と同様のステップS1003,S1005のみを行う。すなわち、一時保留部22において、ステップS901で、第1の出金取引にかかる紙幣Sに対して、その繰り出し方向前方に第2の巻き付け間隔L2を予め設けておくため、第2の割込出金処理のステップS604は行わずに済む。これにより、第2の出金取引を即座に行うことができる。
なお、制御部91は、先の取引にかかる紙幣Sの入金処理のステップS103の承認操作の後、ステップS104の分配処理開始の前に、所定の待機時間待機し、その間にステップS901の処理を行うと共に、この待機時間中に後の取引にかかる紙幣Sの出金処理を受け付けるようにしても良い。この場合、制御部91は、この待機時間中に後の取引にかかる紙幣Sの出金処理を受け付けると、ステップS902の第3の割込出金処理を行った後、ステップS104において分配処理を開始する。また、制御部91は、この待機時間中に後の取引にかかる紙幣Sの出金処理を受け付けなければ、ステップS104において分配処理を開始する。
図18は、実施の形態にかかる貨幣処理装置1において、第2の割込入金処理の直前及び第2の割込出金処理の直前に追加可能なフル状態又はニアフル状態の解消処理のフローチャートである。
例えば、第1の入金取引にかかる紙幣Sについての分配処理中に、第2の入金取引にかかる紙幣Sについての第1の割込入金処理を行った後、さらに第3の入金取引にかかる紙幣Sについての第2の割込入金処理を開始するにあたって、その直前の第1の割込入金処理によって、一時保留部22が、それ以上紙幣Sを保留することができないフル状態又はフル状態に近いニアフル状態になっていることがある。この場合、制御部91は、第2の入金取引にかかる一時保留部22に一時保留した紙幣S及び第1の入金取引にかかる一時保留部22に一時保留した紙幣Sの中から、所定枚数の紙幣Sを一時保留部22から分配処理によって紙幣収納部62に収納し、一時保留部22の紙幣Sの保留枚数Ntを所定の閾値Nk以下としてから、第2の割込入金処理を開始するようにしても良い。
このような場合、例えば、制御部91は、図4に示すフローチャートのステップS112とステップS113との間に、図18に示すようなステップS1101~S1104の処理を行う。制御部91は、第3の入金取引にかかる紙幣Sについての割込入金処理の開始が入力されると(ステップS112:YES)、まず、一時保留部22がフル状態又はニアフル状態であるか否かを判定する(ステップS1101)。制御部91は、一時保留部22がフル状態又はニアフル状態であると判定した場合(ステップS1101:YES)、一時保留部22に保留されている一部の紙幣Sの分配処理を開始する(ステップS1102)。制御部91は、一時保留部22に保留されている紙幣Sの一部を紙幣収納部62に分配する。そして、制御部91は、一時保留部22に保留されている紙幣Sの保留枚数Ntが所定の閾値Nk以下となる(ステップS1103:YES)と、分配処理を停止して(ステップS1104)、ステップS113の第2の割込入金処理を実行する。この場合、制御部91は、ステップS1101において一時保留部22がフル状態又はニアフル状態でないと判定した場合(ステップS1101:NO)、そのまま、ステップS113の第2の割込入金処理を実行する。
また、第1の入金取引にかかる紙幣Sについての分配処理中に、第1の出金取引にかかる紙幣Sについての第1の割込出金処理を行った後、第2の出金取引にかかる紙幣Sについての第2の割込出金処理を開始するにあたって、その直前の第1の割込出金処理によって、一時保留部22が、それ以上紙幣Sを保留不可なフル状態又はニアフル状態になっていることがある。この場合、制御部91は、第1の出金取引にかかる一時保留部22に一時保留した出金リジェクト紙幣S及び第1の入金取引にかかる一時保留部22に一時保留した紙幣Sの中から、所定枚数の紙幣Sを一時保留部22から分配処理によって紙幣収納部62に収納し、一時保留部22の紙幣Sの保留枚数Ntを所定の閾値Nk以下としてから、第2の割込出金処理を開始するようにしても良い。
このような場合、例えば、制御部91は、図18に示すようなステップS1101~S1104の処理を、図11に示すフローチャートのステップS412とステップS413との間に行う。制御部91は、第2の出金取引にかかる紙幣Sについての割込出金処理の開始が入力されると(ステップS412:YES)、まず、一時保留部22がフル状態又はニアフル状態であるか否かを判定する(ステップS1101)。制御部91は、一時保留部22がフル状態又はニアフル状態であると判定した場合(ステップS1101:YES)、一時保留部22に保留されている一部の紙幣Sの分配処理を開始する(ステップS1102)。制御部91は、一時保留部22に保留されている紙幣Sの一部を紙幣収納部62に分配する。そして、制御部91は、一時保留部22に保留されている紙幣Sの保留枚数Ntが所定の閾値Nk以下になったと判定する(ステップS1103:YES)と、一時保留部22からの紙幣Sの分配処理を停止して(ステップS1104)、ステップS413の第2の割込出金処理を実行する。この場合、制御部91は、ステップS1101において一時保留部22がフル状態又はニアフル状態でないと判定した場合(ステップS1101:NO)、そのまま、ステップS413の第2の割込出金処理を実行する。
前述したように、第1の入金処理により、一時保留部22がフル状態又はニアフル状態である場合、この一時保留部22に保留されている紙幣Sを全て分配した後に次の第2の入金処理を行うとすると、一時保留部22に保留された紙幣Sの全てを分配するまで、第2の入金処理を長時間待たなければいけなかった。また、例えば、通常店舗での一般的な入金処理では100枚以下の紙幣Sの入金が多い。このため、制御部91は、フル状態又はニアフル状態の一時保留部から100枚分配した後、入金処理を受け付けるようにする。もちろん、制御部91が一時保留部22から紙幣Sを100枚分配する場合に限られるものではなく、制御部91は、紙幣Sを50枚又は200枚分配してもよく、紙幣Sの分配枚数を任意に設定できるものであってもよい。
また、制御部91は、一時保留部22から所定枚数(前述の実施例では100枚)の紙幣Sを分配したのち、次の第2の入金処理を実行する場合を例示して説明したが、制御部91は、一時保留部22に間隔L2をあけて巻き取った取引ごとに分配してもよい。例えば、一時保留部22に間隔L2をあけて巻き取った複数の取引にかかる紙幣Sが保留されている場合、例えば、制御部91は、100枚又は100枚前後となる紙幣Sを取引ごとに分配する。例えば、直近の入金処理で、30枚(第1の入金処理)、20枚(第2の入金処理)、20枚(第3の入金処理)、30枚(第4の入金処理)が入金されている場合、制御部91は、この直前の第1の入金処理~第4の入金処理までの紙幣S(100枚)を間隔L2に基づいて分配する。
制御部91は、同様のステップS1101~S1104の処理を、図14に示すフローチャートのステップS112とステップS702との間に行っても良い。この場合、ステップS1102~S1104を実行すると、ステップS701で、第2の入金取引にかかる紙幣Sに対して、その繰り出し方向前方に予め設けておいた第2の巻き付け間隔L2が、S1102~S1104の分配処理によって消失するため、制御部91は、ステップS702の第3の割込入金処理にかえて図9に示すステップS113の第2の割込入金処理を行う。
制御部91は、同様のステップS1101~S1104の処理を、図16に示すフローチャートのステップS412とステップS902との間に行っても良い。この場合、ステップS1102~S1104を実行すると、ステップS901で、第1の出金取引にかかる紙幣Sに対して、その繰り出し方向前方に予め設けておいた第2の巻き付け間隔L2が、S1102~S1104の分配処理によって消失するため、制御部91は、ステップS902の第3の割込出金処理にかえて、図13に示すステップS413の第2の割込出金処理を行う。
また、第1の入金取引にかかる紙幣Sと第2の入金取引にかかる紙幣Sとの区分けを、第2の巻き付け間隔L2によって行うのに加えて、識別部21で識別された紙幣Sの識別情報(例えば、記番号、金種情報、紙幣Sの表裏及び天地方向)を用いて行っても良い。すなわち、制御部91は、識別部21により取得された紙幣Sの識別情報に基づいて、第1の入金取引にかかる紙幣Sと第2の入金取引にかかる紙幣Sとを区分けする。その結果、制御部91は、識別部21を通って一時保留部22に保留された先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる紙幣Sの順番を記番号で把握することができる。第2の入金取引にかかる紙幣Sと第3の入金取引にかかる紙幣Sとの区分けも同様に行うことができる。
この場合、制御部91は、上記と同様、入金確定を契機に、先の取引にかかる紙幣Sを一時保留部22から紙幣収納部62に分配している途中で、後の取引にかかる処理(入金処理)を受け付けた場合、先の取引にかかる紙幣Sの分配を中断し、後の取引にかかる紙幣Sを一時保留部22に収納する。ここで、後の取引にかかる入金処理中にジャムなどのエラーが発生した場合、制御部91は、一時保留部22に保留された紙幣Sの例えば記番号の中で、記憶部に記憶された後の取引にかかる紙幣Sの記番号のうち、最先(1枚目)に一時保留部22に保留された紙幣Sの記番号を有する紙幣Sを一時保留部22から繰り出して、紙幣払出部13すなわち装置本体10外に払い出す。すなわち、制御部91は、後の取引にかかる紙幣Sの処理中にエラーが発生した場合、紙幣Sの識別情報に基づいて、当該後の取引にかかる紙幣Sのうち最初の紙幣Sまでを装置本体10外に搬送する。仮に、識別部21で最先に保留された紙幣Sの記番号が読み取れなかった場合、2枚目以降に読み取られた紙幣Sの記番号に基づいて最先の紙幣Sを把握して繰り出す。なお、記憶部のメモリ容量を小さくするため、制御部91は、後の取引にかかる紙幣Sの2枚目又は3枚目までを記憶部に記憶させてもよい。これにより、制御部91は、1枚目の紙幣Sの識別情報を正確に読み取れない場合でも、2枚目又は3枚目の紙幣Sの識別番号に基づいて1枚目の紙幣Sが保留されている位置を把握することができ、この後の取引にかかる全ての紙幣Sを一時保留部22から正確に繰り出すことができる。よって、貨幣処理装置1では、後の取引にかかる紙幣Sの入金処理中にエラーが発生した場合でも、先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる紙幣Sとを確実に区分けすることができる。
特に、前述した実施の形態のように、一時保留部22において、先の取引にかかる紙幣Sの巻き取り間隔と、この先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる紙幣Sとの間の巻き取り間隔とを異ならせることで、巻き取り間隔に基づいてこれらの紙幣Sを区分けしつつ、さらに識別情報を含めて区分けを判断することで、より確実にこれらの紙幣Sを区分けすることができる。
制御部91は、第1の入金取引にかかる紙幣Sと第1の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sとの区分けも同様に紙幣Sの識別情報に基づいて行うことができ、第1の出金取引にかかる紙幣Sと第2の出金取引にかかる出金リジェクト紙幣Sとの区分けも同様に紙幣Sの識別情報に基づいて行うことができる。
前述した実施の形態では、貨幣が紙幣Sの場合を具体的に説明したが、紙幣Sに限定されるものではなく、硬貨の場合にも適用可能であり、紙幣Sと硬貨との両方に適用することも可能である。
以上の通り、実施の形態では、
(1)貨幣処理装置1は、紙幣S(貨幣)が投入される紙幣投入部11(投入部)と、前記紙幣投入部11に投入された紙幣Sを装置本体10内に取り込む繰出機構27と、前記繰出機構27により前記装置本体10内に取り込まれた紙幣Sを識別する識別部21と、前記識別部21により識別された紙幣Sをテープ41と共に一枚ずつ外周に巻き付ける回転体42を有する一時保留部22と、前記一時保留部22に保留された紙幣Sを金種ごとに収納する紙幣収納部62(貨幣収納部)と、前記識別部21での識別結果に基づいて、紙幣Sを前記紙幣収納部62に金種ごとに分配する制御部91と、を有し、前記制御部91は、前記一時保留部22に保留された先の取引にかかる紙幣Sを前記紙幣収納部62に分配している途中で後の取引にかかる紙幣Sの処理を受け付けると共に、前記一時保留部22の前記回転体42を制御して、前記先の取引にかかる紙幣Sの巻き付け間隔L1とは異なる区分け巻き付け間隔L2を前記先の取引にかかる紙幣Sと前記後の取引にかかる紙幣Sとの間に設ける。
このように、貨幣処理装置1では、一時保留部22に保留された先の取引にかかる紙幣Sを紙幣収納部62に分配している途中で後の取引にかかる優先度の高い紙幣処理を受け付けることができるため、後の取引を行う際の待機時間を短くすることが可能となる。また、一時保留部22における先の取引にかかる紙幣Sの巻き付け間隔L1とは異なる区分け巻き付け間隔L2を先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる紙幣Sとの間に設けることで、先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる紙幣Sとを確実に区別して、後の取引にかかる紙幣Sを適切に処理することができる。
(2)前記装置本体10内に配設され、当該装置本体10内の紙幣Sを搬送する搬送部30を有し、前記制御部91は、前記後の取引にかかる紙幣Sの処理を受け付けた場合、前記一時保留部22の繰り出し動作を停止すると共に、前記搬送部30を制御して、当該一時保留部22以外の装置本体10内に残留している紙幣Sを所定の前記紙幣収納部62に搬送する。
このように、後の取引を受け付けた時点で一時保留部22以外の装置本体10内に残留している先の取引にかかる紙幣Sを所定の紙幣収納部62に搬送するので、先の取引にかかる入金処理で入金された紙幣Sと、後の取引にかかる入金処理で入金された紙幣Sとを確実に区分けすることができる。
(3)前記制御部91は、前記後の取引にかかる処理の終了後に、更に後の取引にかかる処理がある場合、当該更に後の取引にかかる処理を受け付ける。
このように、貨幣処理装置1は、複数の後の取引がある場合、当該複数の後の取引にかかる処理を連続して行うことができる。
(4)前記制御部91は、先の取引にかかる紙幣Sの入金完了の確定後、一定時間経過するまで前記一時保留部22に保留された紙幣Sの前記紙幣収納部62への分配を停止すると共に、当該停止中に、前記一時保留部22の前記回転体42を制御して、先の取引にかかる紙幣Sに対する前記区分け巻き付け間隔L2を予め設けておく。
貨幣処理装置1では、先の取引にかかる紙幣Sの入金完了が確定した場合でも、一時保留部22から紙幣収納部62への分配をすぐには行わないので、この間に後の取引にかかる処理を受け付けることができ、後の取引をより迅速に行わせることができる。よって、待機時間を短くすることが可能となる。また、制御部91は、一時保留部22を停止している間に、先の取引にかかる最後の紙幣Sと、後の取引にかかる最初の紙幣Sとの間隔を、先の取引にかかる紙幣S同士の間隔と異ならせるように回転体42を制御しておくので、先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる紙幣Sとを確実に区分けしてそれぞれの処理を行うことができる。
(5)前記制御部91は、前記識別部21により取得された紙幣Sの識別情報に基づいて、先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる紙幣Sとを区分けする。
このように、制御部91は、紙幣Sの識別情報に基づいて、先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる紙幣Sとを識別することができるので、先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる紙幣Sとをより確実に区分けすることができる。
(6)前記制御部91は、後の取引にかかる紙幣Sの処理中にエラーが発生した場合、前記識別情報に基づいて、当該後の取引にかかる紙幣Sのうち最初の紙幣Sまでを前記装置本体10外に搬送する。
後の取引にかかる貨幣の処理中にエラーが発生した場合、入金完了が確定した先の取引にかかる貨幣と入金完了が未確定の後の取引にかかる貨幣とが装置本体内で混在し、違算の原因となってしまう恐れがある。
実施の形態の貨幣処理装置1では、エラーが発生した場合、制御部91は、紙幣Sの識別情報に基づいて、後の取引にかかる紙幣Sのうち最初の紙幣Sまでを装置本体10外に搬送することで、入金完了が確定した先の取引にかかる紙幣Sと、入金完了が未確定の後の取引にかかる紙幣Sとを確実に区別することができる。
(7)紙幣S(貨幣)が投入される紙幣投入部11(投入部)と、前記紙幣投入部11に投入された紙幣Sを装置本体10内に取り込む繰出機構27と、前記繰出機構27により前記装置本体10内に取り込まれた紙幣Sを識別する識別部21と、前記識別部21により識別された紙幣Sをテープ41と共に一枚ずつ外周に巻き付ける回転体42を有する一時保留部22と、前記一時保留部22に保留された紙幣Sを金種ごとに収納する紙幣収納部62(貨幣収納部)と、前記識別部21での識別結果に基づいて、紙幣Sを前記紙幣収納部62に金種ごとに分配する制御部91と、を有し、前記制御部91は、紙幣Sの出金処理において、前記一時保留部22の前記回転体42を制御して、前記識別部21でリジェクト紙幣(リジェクト貨幣)と判定された出金リジェクト紙幣(出金リジェクト貨幣)と当該出金リジェクト紙幣以外の紙幣Sとの間に、当該出金リジェクト紙幣以外の紙幣Sの巻き付け間隔L1とは異なる区分け巻き付け間隔L2を設ける。
このように、貨幣処理装置1は、出金リジェクト紙幣Sを一時保留部22で保留する際に、一時保留部22における出金リジェクト紙幣以外の紙幣Sの巻き付け間隔L1とは異なる区分け巻き付け間隔L2を出金リジェクト紙幣以外の紙幣Sと出金リジェクト紙幣Sとの間に設けることで、出金リジェクト紙幣と出金リジェクト紙幣以外の紙幣Sとを区別することができる。
(8)紙幣S(貨幣)が投入される紙幣投入部11(投入部)と、前記紙幣投入部11に投入された紙幣Sを装置本体10内に取り込む繰出機構27と、前記繰出機構27により前記装置本体10内に取り込まれた紙幣Sを識別する識別部21と、前記識別部21により識別された紙幣Sをテープ41と共に一枚ずつ外周に巻き付ける回転体42を有する一時保留部22と、前記一時保留部22に保留された紙幣Sを金種ごとに収納する紙幣収納部62(貨幣収納部)と、前記識別部21での識別結果に基づいて、紙幣Sを前記紙幣収納部62に金種ごとに分配する制御部91と、を有する貨幣処理装置1の制御方法であって、前記制御部91は、前記一時保留部22に保留された先の入金取引にかかる紙幣Sを前記一時保留部22から繰り出して前記紙幣収納部62に分配している途中で、後の入金取引にかかる紙幣Sの処理を受け付けると、前記一時保留部22からの先の入金取引にかかる紙幣Sの繰り出しを停止し、前記先の入金取引にかかる紙幣Sの巻き付け間隔L1とは異なる区分け巻き付け間隔L2を前記先の入金取引にかかる紙幣Sと前記後の入金取引にかかる紙幣Sとの間に設けて前記後の入金取引にかかる紙幣Sを前記一時保留部22に保留する。
このように、一時保留部22に保留された先の取引にかかる紙幣Sを紙幣収納部62に分配している途中で後の取引にかかる優先度の高い紙幣処理を受け付ける。これにより、後の取引を行う際の待機時間を短くすることが可能となる。また、一時保留部22における先の取引にかかる紙幣Sの巻き付け間隔L1とは異なる区分け巻き付け間隔L2を先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる紙幣Sとの間に設けることで、先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる紙幣Sとを確実に区別して、後の取引にかかる紙幣Sを適切に処理することができる。
(9)前記制御部91は、先の取引にかかる紙幣Sの入金完了の確定後、一定時間経過するまで前記一時保留部22に保留された紙幣Sの前記紙幣収納部62への分配を停止すると共に、当該停止中に、先の取引にかかる紙幣Sに対する前記区分け巻き付け間隔L2を前記一時保留部22に予め設けておく。
このように、先の取引にかかる紙幣Sの入金完了が確定した場合でも、一時保留部22から紙幣収納部62への分配をすぐには行わないので、この間に後の取引にかかる処理を受け付けることができ、後の取引をより迅速に行わせることができる。よって、後の取引を行う際の待機時間を短くすることが可能となる。また、制御部91は、一時保留部22を停止している間に、先の取引にかかる最後の紙幣Sと、後の取引にかかる最初の紙幣Sとの間隔を異ならせるので、先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる紙幣Sとを確実に区分けしてそれぞれの処理を行うことができる。
(10)紙幣S(貨幣)が投入される紙幣投入部11(投入部)と、前記紙幣投入部11に投入された紙幣Sを装置本体10内に取り込む繰出機構27と、前記繰出機構27により前記装置本体10内に取り込まれた紙幣Sを識別する識別部21と、前記識別部21により識別された貨幣をテープ41と共に一枚ずつ外周に巻き付ける回転体42を有する一時保留部22と、前記一時保留部22に保留された紙幣Sを金種ごとに収納する紙幣収納部62(貨幣収納部)と、前記識別部21での識別結果に基づいて、紙幣Sを前記紙幣収納部62に金種ごとに分配する制御部91と、を有する貨幣処理装置1の制御方法であって、前記制御部91は、前記一時保留部22に保留された入金取引にかかる紙幣Sを前記一時保留部22から繰り出して前記紙幣収納部62に分配している途中で、紙幣Sの出金処理を受け付けると、前記一時保留部22からの入金取引にかかる紙幣Sの繰り出しを停止して、出金処理を行い、当該出金処理中に前記識別部21でリジェクト紙幣(リジェクト貨幣)と判定された出金リジェクト紙幣(出金リジェクト貨幣)を、当該出金リジェクト紙幣以外の紙幣Sとの間に、当該出金リジェクト紙幣以外の紙幣Sの巻き付け間隔L1とは異なる区分け巻き付け間隔L2を設けて前記一時保留部22に保留する。
このように、貨幣処理装置1では、一時保留部22に保留された先の取引にかかる紙幣Sを紙幣収納部62に分配している途中で後の取引にかかる出金処理を受け付ける。これにより、出金処理を行う際の待機時間を短くすることが可能となる。また、一時保留部22における先の取引にかかる紙幣Sの巻き付け間隔L1とは異なる区分け巻き付け間隔L2を先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる出金リジェクト紙幣との間に設けることで、先の取引にかかる紙幣Sと後の取引にかかる出金リジェクト紙幣とを確実に区別することができる。