JP7511126B2 - 光学素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、光学素子、及びその製造方法に関する。
特許文献1に記載の集光レンズは、光入射側の第1の面と、これとは反対側の第2の面を有する。少なくとも第1の面には、略同心円状の溝が設けられる。溝が形成された第1の面には、紫外線硬化樹脂等による保護層が塗布、形成される。
特開2006-120247号公報
光学素子は、基材と、コーティング膜とを有する。コーティング膜は、例えばスピンコート法で基材の表面に形成される。
従来、基材の表面の周縁において、コーティング液の表面張力によって、液膜が盛り上がることがあった。その結果、コーティング膜の膜厚の均一性が悪くなることがあった。
本開示の一態様は、光学素子のコーティング膜の膜厚の均一性を向上する、技術を提供する。
本開示の一態様に係る光学素子の製造方法は、下記の処理を含む。前記光学素子は、基材と、前記基材の表面に形成されるコーティング膜と、を有する。前記コーティング膜は、位相差膜、反射防止膜、防汚膜、及び色調補正膜から選ばれる1つ以上を含む。前記基材は、前記表面に、前記表面の周縁に沿う1本以上の溝を有する。前記基材の前記表面の周縁全体の各点と前記表面の重心とを結ぶ各線分と、1本以上の前記溝とが交差している。前記コーティング膜は、1本以上の前記溝に入り込んでいる。光学素子の製造方法は、前記基材の前記表面の重心又はその近傍にコーティング液を滴下することと、前記基材を回転させ、遠心力によって前記基材の前記表面の重心から前記表面の周縁全体に向けて放射状に前記コーティング液を広げ、前記コーティング液の液膜を形成することと、前記液膜を形成する際に、前記コーティング液を1本以上の前記溝に入り込ませ、前記基材の回転中に前記コーティング液が前記基材の前記表面の周縁に達しないようにすることと、前記液膜を乾燥し、前記コーティング膜を形成することと、を含む。前記基材の前記表面は、凹曲面である。

本開示の一態様によれば、光学素子のコーティング膜の膜厚の均一性を向上できる。
図1(A)は一実施形態に係る光学素子のY軸方向に垂直な断面図であり、図1(B)は図1(A)の光学素子のX軸方向に垂直な断面図であり、図1(C)は図1(A)の基材の平面図である。 図2は図1(A)の液晶膜を拡大して示す斜視図である。 図3は、一実施形態に係る基材の平面図である。 図4は、第1変形例に係る基材の平面図である。 図5(A)は図4の基材上に形成される配向膜の断面図であり、図5(B)は図4の基材上に形成される液晶膜の断面図である。 図6は、第2変形例に係る基材の平面図である。 図7は、第3変形例に係る基材の平面図である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。また、明細書中、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
先ず、主に図1を参照して、本実施形態に係る光学素子1について説明する。図1(A)及び図1(B)に示すように、光学素子1は、基材2を含む。基材2は、例えば板状であり、第1主面21と、第1主面21とは反対向きの第2主面22とを含む。
第1主面21は、例えば凹曲面である。凹曲面は、重心P0が周縁よりも凹む曲面である。X軸方向に垂直な断面でも、Y軸方向に垂直な断面でも、凹曲面の重心P0は、凹曲面の周縁よりも凹む。
X軸方向とY軸方向とZ軸方向とは、互いに垂直である。Z軸方向は、凹曲面の重心P0における法線方向である。XY平面は、凹曲面の重心P0における接平面に対して平行である。
第2主面22は、例えば凸曲面である。凸曲面は、重心P0が周縁よりも凸む(突出する)曲面である。X軸方向に垂直な断面でも、Y軸方向に垂直な断面でも、凸曲面の重心は、凸曲面の周縁よりも凸む。
なお、基材2の第1主面21は、本参考形態では凹曲面であるが、平面又は凸曲面であってもよい。また、基材2の第2主面22は、本実施形態では凸曲面であるが、平面又は凹曲面であってもよい。
第1主面21の周縁は、例えば図1(C)に示すように円形である。但し、第1主面21の周縁は、円形には限定されず、例えば楕円形、又は矩形(正方形及び長方形を含む)を含む多角形等であってもよい。第2主面22の周縁の形状も、第1主面21の周縁の形状と同様である。
基材2は、例えばレンズである。レンズは、球面レンズでもよいし、非球面レンズでもよい。また、基材2は、両凹レンズ、平凹レンズ、凹メニスカスレンズ、両凸レンズ、平凸レンズ、及び凸メニスカスレンズのいずれでもよい。
なお、基材2は、レンズには限定されず、例えばプリズムであってもよい。また、基材2は、板状ではなく、一定以上の厚みがあってもよい。
基材2の材質は、樹脂でもよいし、ガラスでもよい。樹脂レンズの樹脂は、例えばポリカーボネート、ポリイミド、ポリアクリレート、又は環状オレフィンである。ガラスレンズのガラスは、例えばBK7、又は合成石英である。
基材2は、透明基材であり、可視光を透過させる。なお、基材2は、本実施形態では透明基材であるが、不透明基材であってもよい。後者の場合としては、例えば、基材2が可視光を反射させるミラーである場合が挙げられる。
光学素子1は、コーティング膜3を更に含む。コーティング膜3は、基材2の第1主面21に形成される。コーティング膜3は、例えば位相差膜である。位相差膜は、例えば1/4波長板である。
1/4波長板と、不図示の直線偏光板とが組み合わせて用いられてもよい。直線偏光板の吸収軸と、1/4波長板の遅相軸とは、45°ずらして配置される。直線偏光板と1/4波長板とで、円偏光板が構成される。
直線偏光板は、1/4波長板を基準として基材2とは反対側に配置されてもよいし、1/4波長板と基材2との間に配置されてもよいし、基材2を基準として1/4波長板とは反対側に配置されてもよい。
位相差膜は、基材2の上に形成される配向膜31と、配向膜31の上に形成される液晶膜32とを含む。但し、配向膜31は任意の構成であって無くてもよく、位相差膜は液晶膜32のみを含んでもよい。
液晶膜32は、遅相軸と進相軸を有する。Z軸方向視で、遅相軸はX軸方向であり、進相軸はY軸方向である。遅相軸は屈折率の最も大きい方向であり、進相軸は屈折率の最も小さい方向である。
遅相軸の屈折率neと進相軸の屈折率noとの差Δn(Δn=ne-no)と、液晶膜32のZ軸方向寸法dとの積が、リタデーションRdである。つまり、Rdは、Rd=Δn×dの式から求められる。
図2に示すように、液晶膜32は、互いに平行な複数の液晶分子32aを含む。Z軸方向視で、液晶分子32aの長軸方向はX軸方向であり、液晶分子32aの短軸方向はY軸方向である。
コーティング膜3は、図示しないが、液晶膜32の上に積層される第2液晶膜を更に含む広帯域位相差膜であってもよい。広帯域位相差膜に含まれる液晶膜の数は、2つ以上であればよく、3つ以上であってもよい。Z軸方向視で、複数の液晶膜は、互いに異なる方位の遅相軸を有する。
広帯域位相差膜は、例えば、配向膜31と液晶膜32を交互に積層したものである。基材2側から、配向膜31と液晶膜32とがこの順番で積層される。なお、基材2とは別の透明基材の上に形成された液晶膜と、基材2の上に形成された液晶膜とを貼り合わせて、広帯域位相差膜を形成してもよい。
配向膜31は、液晶膜32の液晶分子32aを配向させるものである。配向膜31は、例えばポリイミドのラビング、偏光UV照射によるシランカップリング剤又はポリイミドの光分解、偏光UV照射による光二量化若しくは光異性化の利用、剪断力による流動配向処理、又は無機物の斜め蒸着による配向処理等の処理が施されたものである。複数の処理が、組み合わせて使用されてもよい。これらの中でも、配向規制力、曲面への適用性、異物の軽減の観点から、偏光UV照射による光二量化、又は光異性化の利用が好ましい。
偏光UV照射による光二量化の生じる材料としては、クマリン、ジフェニルアセチレン、又はアントラセンが用いられる。偏光UV照射による光異性化の生じる材料としては、アゾベンゼン、スチルベン、α-イミノ-βケトエステル、又はスピロピランが用いられる。偏光UV照射による光二量化と光異性化の両方の生じる材料としては、シンナメート、カルコン、又はスチルバゾールが用いられる。
配向膜31は、基材2の第1主面21にコーティングされる。コーティングの方法は、例えばスピンコート法である。樹脂組成物が基材2の第1主面21に塗布され、乾燥される。樹脂組成物の溶剤は、塗布後の加熱によって除去される。
配向膜31の厚みは、例えば1nm~10μm、好ましくは10nm~5μm、より好ましくは50nm~2μmである。配向膜31の厚みは、液晶膜32の厚みと同様に、基材2の第1主面21の各点における法線方向に測定する。
なお、上記の通り、配向膜31は、任意の構成であって、無くてもよい。その場合、基材2の第1主面21には、液晶膜32の液晶分子32aを配向させる処理が施されてもよい。
液晶膜32は、例えば光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂等のエネルギー硬化性樹脂を含む。液晶膜32は、例えば高分子液晶膜からなればよい。
液晶膜32は、例えば下記式(a-1)~(a-10)に示す化合物を含む組成物を重合したものである。
Figure 0007511126000001
Figure 0007511126000002
上記式(a-5)及び(a-8)中、nは2~6の整数である。上記式(a-6)及び(a-7)中、Rは炭素原子数3~6のアルキル基である。
液晶膜32は、液晶組成物の塗布及び乾燥によって形成される。液晶組成物は、例えば、アクリル基又はメタクリル基を含む光硬化性の重合性液晶モノマー又は非液晶性の重合性モノマーなどである。液晶組成物は、単独で液晶相を示さない成分を含んでいてもよい。重合によって液晶相が生じればよい。液晶相を示さない成分として、例えば単官能の(メタ)アクリレート、2官能の(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレートなどが用いられる。重合性の液晶組成物は、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、重合開始剤、レベリング剤、重合禁止剤、カイラル剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、又は二色性色素など用いられる。複数種類の添加剤が併用されてもよい。
液晶組成物の塗布方法は、例えばスピンコート法である。液晶組成物の溶剤は、塗布後の加熱によって除去される。液晶組成物の溶剤は、例えば有機溶剤である。有機溶剤は、アルコール(例えばイソプロピルアルコール) 、アミド(例えばN,N-ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えばジメチルスルホキシド)、炭化水素(例えばベンゼン、若しくはヘキサン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、若しくはプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、ケトン(例えばアセトン、若しくはメチルエチルケトン)、又はエーテル(例えばテトラヒドロフラン、若しくは1,2-ジメトキシエタン)である。2種類以上の有機溶剤が併用されてもよい。
液晶膜32の厚みは、光の波長と、位相差と、Δn(Δn=ne-no)とに基づいて決められ、特に限定されないが、例えば0.1μm~20μm、好ましくは0.2μm~10μm、より好ましくは0.5μm~5μmである。なお、液晶膜32は、1/4波長板には限定されず、1/2波長板等であってもよい。
なお、コーティング膜3は、本実施形態では位相差膜であるが、位相差膜には限定されない。コーティング膜3は、位相差膜、反射防止膜、防汚膜、及び色調補正膜から選ばれる1つ以上を含めばよい。また、コーティング膜3は、その他の機能膜、例えば下地処理膜、又は保護膜等を更に含んでもよい。
反射防止膜は、光の反射を防止し、光を透過する。反射防止膜は、例えば、フッ素を含む重合膜である。反射防止膜は、例えば特開2018-119019号公報に記載のコーティング用組成物を用いて形成される。
防汚膜は、指紋等の汚れの付着を防止する。防汚膜は、例えば含フッ素有機ケイ素化合物の膜である。含フッ素有機ケイ素化合物としては、防汚性、撥水性、撥油性を付与するものであれば特に限定されず使用できる。含フッ素有機ケイ素化合物は、例えば、フルオロポリエーテル基、フルオロアルキレン基、およびフルオロアルキル基からなる群から選ばれる1つ以上の基を有する。
色調補正膜は、特定の波長域の光を吸収する光吸収膜である。光吸収膜は、例えば透明樹脂と、透明樹脂に分散される色素とを含む。なお、色調補正膜は、特定の波長域の光を反射する光反射膜であってもよい。
次に、図1を再度参照して、基材2の溝23について説明する。基材2は、コーティング膜3の形成される第1主面21に、第1主面21の周縁21aに沿う溝23を有する。溝23の本数は、図1では1本であるが、後述するように2本以上でもよい。
基材2の第1主面21の周縁21a全体の各点(図1(C)には1つの点P1のみ図示)と第1主面21の重心P0とを結ぶ各直線(図1(C)には1つの直線L1のみ図示)と、1本以上の溝23とが交差している。点P1が第1主面21の周縁21aの任意の位置に移動しても、点P1と重心P0を結ぶ直線L1と溝23とは交差する。
溝23は、図1(C)に示すように、環状に形成される。溝23は、本実施形態では円環状に形成されるが、楕円環状、又は多角環状等に形成されてもよい。溝23が環状に形成される場合、点P1が第1主面21の周縁21aの任意の位置に移動しても、点P1と重心P0を結ぶ直線L1と溝23とは確実に交差する。
溝23は、コーティング膜3の材料であるコーティング液を内部に溜める。コーティング液は、基材2の第1主面21の重心P0に滴下され、重心P0から第1主面21の周縁21a全体に向けて放射状に広がる。コーティング液は、直線L1上を重心P0から点P1に向けて広がる際に、溝23に入り込み、溝23からあふれ出さない。
溝23は、コーティング液が第1主面21の周縁21aに達するのを防止する。その結果、第1主面21の周縁21aにおいて、図1(A)及び図1(B)に破線で示すような液膜の盛り上がりを防止できる。なお、液膜の盛り上がりは、表面張力によって形成される。
コーティング液は、基材2の第1主面21と溝23の側面23aとを連続的に濡らす。それゆえ、基材2の第1主面21と溝23の側面23aとの角には、表面張力による液膜の盛り上がりは、形成されない。液膜の膜厚は、重心P0から溝23までの間において、均一になる。
この状態で、液膜が乾燥され、コーティング膜3が形成される。コーティング膜3は、基材2の溝23に入り込んでいる。溝23に入り込んだコーティング膜3の膜厚は、溝23の深さDよりも小さい。溝23と第1主面21の周縁21aの間には、コーティング膜3は形成されない。
本実施形態によれば、第1主面21の周縁21aにおいて、図1(A)及び図1(B)に破線で示すような液膜の盛り上がりを防止できる。その結果、コーティング膜3の膜厚の均一性を向上できる。コーティング膜3の膜厚は、重心P0から溝23までの間において均一である。
また、本実施形態によれば、コーティング膜3の成膜条件を変更することなく、コーティング膜3の膜厚の均一性を向上できる。成膜条件は、例えば、コーティング液の粘度及び表面張力、基材2の回転数等を含む。成膜条件を変更しないので、膜厚及び膜質を維持できる。膜質は、例えば、位相差等の性能、及び耐久性などを含む。
全て(図1では1本)の溝23は、例えば、基材2の第1主面21の周縁21aから10mm以内、好ましくは3mm以内、より好ましくは1mm以内、更に好ましくは0.5mm以内の周縁領域に形成されている。周縁領域に全ての溝23を形成することによって、コーティング膜3の膜厚の均一な領域を広くすることができる。
基材2の第1主面21のうち周縁領域を除く中央領域において、コーティング膜3の膜厚の最大値と最小値の差が、例えば1μm以下であり、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは50nm以下であり、更に好ましくは20nmである。
溝23は、例えばレーザー加工により形成される。なお、溝23は、マシニング加工等により形成されてもよい。また、溝23は、第1主面21にマスクパターンを施したうえで、エッチング加工によって形成されてもよい。溝23の加工方法は、特に限定されない。
溝23の断面形状は、図1(A)及び図1(B)では矩形であるが、矩形には限定されない。例えば、矩形の角にはテーパーが形成されてもよく、角が丸みを帯びていてもよい。また、溝23の断面形状は、砂時計のような、くびれを有していてもよい。
溝23の深さDと幅Wは、コーティング液が溝23からあふれ出さないように決められる。溝23の幅Wは、特に限定されないが、例えば1μm~100μmであり、好ましくは0.5μm~10μmである。溝23の深さDは、特に限定されないが、例えば100μm~10mmであり、好ましくは1mm~5mmである。溝23の深さDは、基材2の厚さよりも小さければよい。
なお、図1では、溝23の存在を強調すべく、基材2の第1主面21の大きさに対する溝23の幅の大きさを、実際よりも大きく表示してある。実際には、図3に示すように、溝23は線状に見える。後述の図4~図7でも、図3と同様に、溝23は線状に図示する。
光学素子1の製造方法は、例えば下記(A)~(D)を含む。(A)基材2の第1主面21の重心P0又はその近傍にコーティング液を滴下する。基材2の第1主面21の重心P0は、基材2の第1主面21と基材2の回転中心線との交点である。その回転中心線は、Z軸方向に平行である。重心P0の近傍とは、重心P0から10mm以内の領域である。
(B)基材2を回転させ、遠心力によって基材2の第1主面21の重心P0から第1主面21の周縁21a全体に向けて放射状にコーティング液を広げ、液膜を形成する。液膜は、スピンコート法によって形成される。液膜の膜厚は、コーティング液の塗布量及び粘度、並びに基材2の回転数等によって調整される。
(C)コーティング液を広げる際に、コーティング液を溝23に入り込ませる。コーティング液は、溝23からあふれ出さず、第1主面21の周縁21aには到達しない。コーティング液の液膜は、重心P0から溝23までの間において、均一な膜厚を有する。
(D)コーティング液の液膜を乾燥し、コーティング膜3を形成する。液膜の乾燥は、例えば加熱乾燥等である。液膜に含まれる溶剤を除去することによって、コーティング膜3が得られる。
コーティング膜3が複数の膜を積層したものである場合、膜毎にコーティング液が用意され、膜毎に上記(A)~(D)が実施される。例えば、コーティング膜3が配向膜31と液晶膜32を含む場合、先ず、配向膜31用のコーティング液を用いて上記(A)~(D)が実施され、配向膜31が形成される。その後、液晶膜32用のコーティング液を用いて上記(A)~(D)が実施され、液晶膜32が形成される。
次に、図4を参照して、第1変形例に係る基材2について説明する。以下、相違点について主に説明する。本変形例では、環状の溝23A、23B、23Cが、基材2の第1主面21の周縁21aから10mm以内の周縁領域に形成されている。第1主面21の周縁21aが円形である場合、環状の溝23A、23B、23Cが同心円状に形成される。
基材2の第1主面21の周縁21a全体の各点(図4には1つの点P1のみ図示)と第1主面21の重心P0とを結ぶ各直線(図4には1つの直線L1のみ図示)と、2本以上(図4では3本)の溝23A、23B、23Cとが交差している。直線L1は、複数本の溝23A、23B、23Cと交差する。
コーティング液は、直線L1上を重心P0から点P1に向けて広がる際に、最も内側の溝23Aからあふれ出してもよい。コーティング液は、最も外側の溝23Cからあふれ出さなければよい。複数本の溝23A、23B、23Cのいずれかにおいて、コーティング膜3の膜厚が溝の深さよりも小さければよい。
例えば、図5(A)に示すように、中間の溝23Bにおいて、配向膜31の膜厚が溝23Bの深さよりも小さい。また、図5(B)に示すように、最も外側の溝23Cにおいて、液晶膜32の膜厚が溝23Cの深さよりも小さい。図5(B)に示すように、液晶膜32は、配向膜31よりも外側に広がっていてもよい。
基材2の厚みが薄く、個々の溝23A、23B、23Cの深さが十分に深くない場合でも、複数本の溝23A、23B、23Cが直線L1と交差すれば、コーティング液が点P1に到達するのを防止できる。また、複数種類のコーティング液が用いられ、コーティング液の総塗布量が多い場合でも、複数本の溝23A、23B、23Cが直線L1と交差すれば、コーティング液が点P1に到達するのを防止できる。
次に、図6を参照して、第2変形例に係る基材2について説明する。以下、相違点について主に説明する。本変形例では、溝23Aが切れ目B1、B2、B3を有し、別の溝23Bが切れ目B1、B2、B3を塞ぐように形成される。溝23Bの長さは溝23Aの切れ目B1、B2、B3の長さよりも長く、溝23Bと溝23Aとは重なっている。溝23Bと溝23Aとは、ラビリンスを形成し、コーティング液が基材2の第1主面21の周縁21aに達するのを防止する。これらの溝23A、23Bは、基材2の第1主面21の周縁21aから10mm以内の周縁領域に形成されている。
本変形例によれば、上記実施形態と同様に、基材2の第1主面21の周縁21a全体の各点(図6には1つの点P1のみ図示)と第1主面21の重心P0とを結ぶ各直線(図6には1つの直線L1のみ図示)と、1本以上の溝23A、23Bとが交差している。従って、本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。
なお、図6では溝23Aの切れ目B1、B2、B3の長さがほぼ同じであって、溝23Bの長さがほぼ同じである例を図示しているが、本変形例はこれに限定されない。本変形例の趣旨は、任意の点P1と重心P0を結ぶ任意の直線が、1以上の溝と交差すれば、上記実施の形態と同様の効果が得られる。前記趣旨を満たすことができれば、X-Y平面視でみたときに、溝が一筆書きのように連続している必要はなく、不連続の溝となっていてもよい。図6に示す変形例は、溝23A、溝23Bが補完しあって前記趣旨を満たす。前記趣旨を満たせば、溝23Aの長さが一律である必要はなく、溝23Bの長さが一律である必要はない。
次に、図7を参照して、第3変形例に係る基材2について説明する。以下、相違点について主に説明する。本変形例では、上記第2変形例と同様に、溝23Aが切れ目B1、B2、B3を有し、別の溝23Bが切れ目B1、B2、B3を塞ぐように形成される。本変形例では、上記第2変形例とは異なり、溝23Cが切れ目B4、B5、B6を有し、別の溝23Dが切れ目B4、B5、B6を塞ぐように形成される。溝23Dの長さは溝23Cの切れ目B4、B5、B6の長さよりも長く、溝23Dと溝23Cとは重なっている。溝23Dと溝23Cとは、ラビリンスを形成し、コーティング液が基材2の第1主面21の周縁21aに達するのを防止する。これらの溝23A、23B、23C、23Dは、基材2の第1主面21の周縁21aから10mm以内の周縁領域に形成されている。
本変形例によれば、上記第1変形例と同様に、基材2の第1主面21の周縁21a全体の各点(図7には1つの点P1のみ図示)と第1主面21の重心P0とを結ぶ各直線(図7には1つの直線L1のみ図示)と、2本以上の溝23A、23B、23C、23Dとが交差している。従って、本変形例によれば、上記第1変形例と同様の効果が得られる。
以上、本開示に係る光学素子及びその製造方法について説明したが、本開示は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
1 光学素子
2 基材
21 第1主面(表面)
21a 周縁
22 第2主面
23 溝
3 コーティング膜
P0 重心
P1 点
L1 直線

Claims (9)

  1. 基材と、前記基材の表面に形成されるコーティング膜と、を有し、前記コーティング膜は、位相差膜、反射防止膜、防汚膜、及び色調補正膜から選ばれる1つ以上を含み、前記基材は、前記表面に、前記表面の周縁に沿う1本以上の溝を有し、前記基材の前記表面の周縁全体の各点と前記表面の重心とを結ぶ各線分と、1本以上の前記溝とが交差しており、前記コーティング膜は、1本以上の前記溝に入り込んでいる、光学素子の製造方法であって、
    前記基材の前記表面の重心又はその近傍にコーティング液を滴下することと、
    前記基材を回転させ、遠心力によって前記基材の前記表面の重心から前記表面の周縁全体に向けて放射状に前記コーティング液を広げ、前記コーティング液の液膜を形成することと、
    前記液膜を形成する際に、前記コーティング液を1本以上の前記溝に入り込ませ、前記基材の回転中に前記コーティング液が前記基材の前記表面の周縁に達しないようにすることと、
    前記液膜を乾燥し、前記コーティング膜を形成することと、
    を含み、
    前記基材の前記表面は、凹曲面である、光学素子の製造方法。
  2. 前記基材の前記表面の周縁全体の各点と前記表面の重心とを結ぶ各線分と、2本以上の前記溝とが交差している、請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  3. 前記溝が環状に形成される、請求項1又は2に記載の光学素子の製造方法。
  4. 一の前記溝が切れ目を有し、別の前記溝が前記切れ目を塞ぐように形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  5. 前記コーティング膜は、前記位相差膜を含み、
    前記位相差膜は、前記基材の上に形成される配向膜と、前記配向膜の上に形成される液晶膜とを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  6. 全ての前記溝は、前記基材の前記表面の周縁から10mm以内の周縁領域に形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  7. 前記基材の前記表面のうち前記周縁領域を除く中央領域において、前記コーティング膜の膜厚の最大値と最小値の差が1μm以下である、請求項6に記載の光学素子の製造方法。
  8. 前記基材の前記表面の周縁は、円形である、請求項1~のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  9. 前記基材は、レンズである、請求項1~のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
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