JP7510830B2 - 液滴吐出ヘッド及びプリンタ - Google Patents

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本発明の実施形態は、液滴吐出ヘッド及びプリンタに関する。
ノズルから液滴吐出させる液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドとして、シェアードウォール型のインクジェットヘッドが知られている。このシェアードウォール型のインクジェットヘッドは、アクチュエータを隣のノズルと共有するため、各ノズルを全て独立に駆動することが難しい。従って、一般的には、2分割駆動や3分割駆動と言った分割駆動をすることで、隣の吐出の影響をできるだけ抑えるような駆動を行う。
しかしながら、このような分割駆動を行っても、完全に隣のノズルの影響を無くすことは難しい。このような影響は、相毎の液滴の吐出速度の変化を引き起こし、結果的には、用紙などの媒体に吐出した液滴が、目的位置から媒体の搬送方向にズレて着弾してしまうと言う、いわゆる着弾ズレに繋がる。
このような相毎の液滴の吐出速度の変化、即ち着弾ズレ、を抑える一つの方法として、プリカーサと称される微振動パルスがある。これは、液滴を吐出しないタイミングにおいて、各アクチュエータに吐出しない程度の微小圧力振動を発生させることで、ヘッド全体としての液滴の吐出速度の変化を抑制し、着弾ズレを小さくすることが可能な制御である。
但し、この微振動パルスは、その挿入するタイミング及び形状により、得られる効果の大きさが異なる。
特開2020-55214号公報
上記の課題を解決するため、液滴の吐出速度のばらつきを抑制することができる液滴吐出ヘッド及びプリンタを提供する。
実施形態によれば、液滴吐出ヘッドは、圧力室と、アクチュエータと、駆動回路と、を備える。圧力室は、インクが充填される。アクチュエータは、圧力室内の容積を変化させて当該圧力室に連通するノズルから液滴を吐出させる。駆動回路は、液滴の吐出時には、圧力室内の容積を拡張させる拡張パルスと、圧力室内の容積を収縮させる収縮パルスと、を含む吐出パルスをアクチュエータに印加する。また、駆動回路は、液滴を吐出しないタイミングにおいては、ノズルから液滴が吐出しない程度に圧力室内の容積を変化させる微振動パルスをアクチュエータに印加する。微振動パルスは、拡張パルス部と収縮パルス部を有する。微振動パルスにおける拡張パルス部のパルス幅は、吐出パルスにおける拡張パルスのパルス幅よりも短く、且つ、拡張パルス部の中央位置は、吐出パルスにおける拡張パルスの中央位置に対応し、微振動パルスにおける収縮パルス部のパルス幅は、吐出パルスにおける収縮パルスのパルス幅よりも短く、且つ、収縮パルス部の立ち下り位置は、吐出パルスにおける収縮パルスの立ち下り位置に対応する。そして、微振動パルスにおける拡張パルス部及び収縮パルス部のパルス幅は、0.4AL以上(ALは圧力室の圧力の固有振動周期の半分)である。
図1は、実施形態に係るプリンタの構成例を示すブロック図である。 図2は、実施形態に係るインクジェットヘッドの斜視図の例を示す。 図3は、実施形態に係るインクジェットヘッドの横断面図である。 図4は、実施形態に係るインクジェットヘッドの縦断面図である。 図5は、実施形態に係るインクジェットヘッドにおけるノズルの配置例を示す図である。 図6は、実施形態に係るヘッド駆動回路の構成例を示すブロック図である。 図7は、実施形態に係るインクジェットヘッドの動作例を示す図である。 図8は、実施形態に係るインクジェットヘッドの動作例を示す図である。 図9は、実施形態に係るインクジェットヘッドの動作例を示す図である。 図10は、実施形態に係るアクチュエータに印加される吐出パルスの例を示す図である。 図11は、マルチドロップモードでのノズルとインク吐出数との関係の例を示す図である。 図12は、図11の例に対応する駆動波形の例を示すタイミングチャートである。 図13は、マルチドロップモードでのノズルとインク吐出数及び空き回数との関係の例を示す図である。 図14は、図13の例に対応する駆動波形の例を示すタイミングチャートである。 図15は、着弾ドットの着弾ズレの例を示す図である。 図16は、相毎の直線性誤差の計測例を示す図である。 図17は、実施形態に係るアクチュエータに印加される微振動パルスの例を示す図である。 図18は、実施形態に係るヘッド駆動回路におけるマルチドロップモードでのノズルとインク吐出数及び微振動パルス挿入数との関係の例を示す図である。 図19は、図18の例に対応する駆動波形の例を示すタイミングチャートである。 図20は、実施形態に係るヘッド駆動回路におけるバイナリモードでの駆動波形の例を示すタイミングチャートである。 図21は、微振動パルスの場所依存性を確認するテストの設定内容を示す図である。 図22は、図21の各テストによる微振動パルスの場所依存性の確認結果の例を示す図である。 図23は、微振動パルスのパルス幅依存性の確認結果の例を示す図である。 図24は、実施形態に係るヘッド駆動回路から出力される吐出パルスと微振動パルスのタイミング及び形状の関係を示す波形図である。 図25は、実施形態に係るインクジェットヘッドにおける直線性誤差の計測例を示す図である。 図26は、実施形態に係るヘッド駆動回路におけるマルチドロップモードでの駆動波形の例を示すタイミングチャートである。
以下、実施形態に係るプリンタについて、図面を用いて説明する。
実施形態に係るプリンタは、インクジェットヘッドを用いて用紙などの媒体に画像を形成する。プリンタは、インクジェットヘッドが備える圧力室内のインクを媒体に吐出し、媒体に画像を形成する。プリンタは、例えばオフィス用プリンタ、バーコードプリンタ、POS用プリンタ、産業用プリンタ、3Dプリンタ等である。なお、プリンタが画像を形成する媒体は、特定の構成に限定されるものではない。実施形態に係るプリンタが備えるインクジェットヘッドは液滴吐出ヘッドの一例であり、インクは液体の一例である。
図1は、プリンタ200の構成例を示すブロック図である。
図1が示すように、プリンタ200は、プロセッサ201、ROM202、RAM203、操作パネル204、通信インタフェース205、搬送モータ206、モータ駆動回路207、ポンプ208、ポンプ駆動回路209及びインクジェットヘッド100などを備える。なお、図1では、「インタフェース」を「I/F」と略記している。インクジェットヘッド100は、ヘッド駆動回路101及びチャネル群102などを備える。またプリンタ200は、アドレスバス及びデータバスなどのバスライン211を含む。プロセッサ201は、バスライン211を介して、ROM202、RAM203、操作パネル204、通信インタフェース205、モータ駆動回路207、ポンプ駆動回路209及びヘッド駆動回路101に直接又は入出力回路を介して接続する。また、モータ駆動回路207は、搬送モータ206と接続する。また、ポンプ駆動回路209は、ポンプ208と接続する。
なお、プリンタ200は、図1が示すような構成の他に、必要に応じた構成をさらに具備したり、プリンタ200から特定の構成が除外されたりしても良い。
プロセッサ201は、プリンタ200全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ201は、内部キャッシュ及び各種のインタフェースなどを備えても良い。プロセッサ201は、内部キャッシュ又はROM202が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。プロセッサ201は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなどに従って、プリンタ200としての各種の機能を実現する。
なお、プロセッサ201がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(field-programmable gate array)及びGPU(Graphics Processing Unit)などの、ハードウエア回路により実現されるものであっても良い。この場合、プロセッサ201は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
ROM202は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM202に記憶される制御プログラム及び制御データは、プリンタ200の仕様に応じて予め組み込まれる。例えば、ROM202は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなどを記憶する。
RAM203は、揮発性のメモリである。RAM203は、プロセッサ201の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM203は、プロセッサ201からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムなどを格納する。また、RAM203は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納しても良い。また、RAM203は、印刷データが展開される画像メモリとして機能しても良い。
操作パネル204は、オペレータからの指示の入力を受け付け、オペレータに種々の情報を表示するインタフェースである。操作パネル204は、指示の入力を受け付ける操作部と、情報を表示する表示部とから構成される。
操作パネル204は、操作部の動作として、オペレータから受け付けた操作を示す信号をプロセッサ201へ送信する。例えば、操作部は、電源キー、用紙フィードキー、エラー解除キー等のファンクションキーを配置したものである。
操作パネル204は、表示部の動作として、プロセッサ201の制御に基づいて種々の情報を表示する。例えば、操作パネル204は、プリンタ200の状態などを表示する。例えば、表示部は、液晶モニタから構成される。なお、操作部は、タッチパネルから構成されても良い。この場合、表示部は、操作部としてのタッチパネルと一体的に形成されても良い。
通信インタフェース205は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して外部装置とデータを送受信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース205は、LAN接続をサポートするインタフェースである。例えば、通信インタフェース205は、ネットワークを介してクライアント端末から印刷データを受信する。通信インタフェース205は、例えば、プリンタ200にエラーが発生したとき、エラーを通知する信号をクライアント端末に送信する。
モータ駆動回路207は、プロセッサ201からの信号に従って、搬送モータ206の駆動を制御する。例えば、モータ駆動回路207は、電力又は制御信号を搬送モータ206に送信する。
搬送モータ206は、モータ駆動回路207の制御に基づいて、用紙などの媒体を搬送する搬送機構の駆動源として機能する。搬送モータ206が駆動すると、搬送機構が媒体の搬送を開始する。搬送機構は、媒体をインクジェットヘッド100による印刷位置まで搬送する。搬送機構は、印刷を終えた媒体を図示しない排出口からプリンタ200の外部に排出する。
モータ駆動回路207及び搬送モータ206は、媒体を搬送する搬送部を構成する。
ポンプ駆動回路209は、ポンプ208の駆動を制御する。ポンプ208が駆動すると、インクタンクからインクがインクジェットヘッド100に供給される。
インクジェットヘッド100は、印刷データに基づいて液滴つまりインク滴を媒体に吐出する。インクジェットヘッド100は、ヘッド駆動回路101及びチャネル群102などを備える。
以下、実施形態に係るインクジェットヘッドについて、図面を用いて説明する。実施形態においては、シェアードウォール型のインクジェットヘッド100(図2を参照)を例示する。インクジェットヘッド100は、用紙にインクを吐出するものとして説明する。なお、インクジェットヘッド100がインクを吐出する媒体は、特定の構成に限定されるものではない。
次に、インクジェットヘッド100の構成例について、図2乃至図4を用いて説明する。図2は、インクジェットヘッド100の一部を分解して示す斜視図である。図3は、インクジェットヘッド100の横断面図である。図4は、インクジェットヘッド100の縦断面図である。図5は、実施形態に係るインクジェットヘッドにおけるノズルの配置例を示す図である。
インクジェットヘッド100は、ベース基板9を有する。インクジェットヘッド100は、ベース基板9の上面に第1の圧電部材1を接合し、第1の圧電部材1の上に第2の圧電部材2を接合する。接合された第1の圧電部材1と第2の圧電部材2とは、図3の矢印で示すように、板厚方向に沿って互いに相反する方向に分極する。
ベース基板9は、誘電率が小さく、かつ第1の圧電部材1及び第2の圧電部材2との熱膨張率の差が小さい材料を用いて形成する。ベース基板9の材料としては、例えばアルミナ(Al23)、窒化珪素(Si34)、炭化珪素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)又はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等が良い。第1の圧電部材1及び第2の圧電部材2の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)又はタンタル酸リチウム(LiTaO3)等が用いられる。
インクジェットヘッド100は、接合された第1の圧電部材1及び第2の圧電部材2の先端側から後端側に向けて、多数の長尺な溝3を設ける。各溝3は、間隔が一定でありかつ平行である。各溝3は、先端が開口し、後端が上方に傾斜する。
インクジェットヘッド100は、各溝3の側壁及び底面に電極4を設ける。電極4は、ニッケル(Ni)と金(Au)との二層構造となっている。電極4は、例えばメッキ法によって各溝3内に均一に成膜される。電極4の形成方法は、メッキ法に限定されない。他に、スパッタ法や蒸着法等を用いることもできる。
インクジェットヘッド100は、各溝3の後端から第2の圧電部材2の後部上面に向けて引出し電極10を設ける。引出し電極10は、電極4から延出する。
インクジェットヘッド100は、天板6とオリフィスプレート7とを備える。天板6は、各溝3の上部を塞ぐ。オリフィスプレート7は、各溝3の先端を塞ぐ。インクジェットヘッド100は、天板6とオリフィスプレート7とで囲まれた各溝3によって、複数の圧力室15を形成する。圧力室15は、インクタンクから供給されるインクを充填する。圧力室15は、例えば深さが300μmで幅が80μmの形状を有し、169μmのピッチで平行に配列される。このような圧力室15は、インク室とも称される。
天板6は、その内側後方に共通インク室5を備える。オリフィスプレート7は、各溝3と対向する位置にノズル8を備える。ノズル8は、対向する溝3、即ち、圧力室15と連通する。ノズル8は、圧力室15側から反対側のインク吐出側に向けて先細りの形状である。ノズル8は、隣り合う3つの圧力室15に対応したものを1セットとし、図5が示すように、溝3の高さ方向(図3及び図5の紙面の上下方向)に一定の間隔でずれて形成される。なお、図5の例では、ノズル8は318個としているが、インクジェットヘッド100が備えるノズル8の個数は、これに限定するものではないことは勿論である。
圧力室15にインクが充填されると、ノズル8にはインクのメニスカス20が形成される。メニスカス20は、ノズル8の内壁に沿って形成される。
圧力室15の隔壁を構成する第1の圧電部材1及び第2の圧電部材2は、各圧力室15に設けた電極4によって挟まれ、圧力室15を駆動するアクチュエータ16を形成する。
インクジェットヘッド100は、ベース基板9の後方側の上面に、導電パターン13が形成されたプリント基板11を接合する。インクジェットヘッド100は、プリント基板11に、後述するヘッド駆動回路101(制御部)を実装したドライブIC12を搭載する。ドライブIC12は、導電パターン13に接続する。導電パターン13は、各引出し電極10とワイヤボンディングにより導線14で結合する。
インクジェットヘッド100が有する圧力室15、電極4及びノズル8の組をチャネルと称する。インクジェットヘッド100は、溝3の数Nだけチャネルchを有する、即ち、チャネル#1(ch.1)~チャネル#N(ch.N)を有する。図5の例では、N=318である。
次に、ヘッド駆動回路101について説明する。
図6は、ヘッド駆動回路101の構成例について説明するためのブロック図である。前述の通り、ヘッド駆動回路101は、ドライブIC12内に配置される。
ヘッド駆動回路101は、印刷データに基づきインクジェットヘッド100のチャネル群102を駆動する。
チャネル群102は、圧力室15、電極4及びノズル8などを含む複数(N)のチャネル(ch.1,ch.2,…,ch.N)から構成される。即ち、チャネル群102は、ヘッド駆動回路101からの制御信号に基づいてアクチュエータ16が駆動する、各圧力室15の拡張収縮動作によりインクを吐出する。
図6が示すように、ヘッド駆動回路101は、パターンジェネレータ301、周波数設定部302、駆動信号生成部303及びスイッチ回路304などを含む。
パターンジェネレータ301は、圧力室15の容積を拡張させる拡張パルスの波形パターンと、圧力室15の容積をリリースさせる休止期間と、圧力室15の容積を収縮させる収縮パルスの波形パターンとを用いて、種々の波形パターンを生成する。
パターンジェネレータ301は、1つのインク滴を吐出させる吐出パルスの波形パターンを生成する。吐出パルスの期間が、1つのインク滴を吐出させるための区間、いわゆる1ドロップ周期となる。吐出パルスについては、後に詳述する。
また、パターンジェネレータ301は、インク滴を吐出させない微振動パルス即ちプリカーサのパターンを生成する。プリカーサについては、後に詳述する。
周波数設定部302は、インクジェットヘッド100の駆動周波数を設定する。駆動周波数は、駆動信号生成部303が生成する駆動パルスの周波数である。ヘッド駆動回路101は、駆動パルスに従って動作する。
駆動信号生成部303は、バスライン211から入力される印刷データに従い、パターンジェネレータ301で生成される波形パターンと、周波数設定部302で設定される駆動周波数とを基に、チャネル毎のパルスを生成する。チャネル毎のパルスは、駆動信号生成部303からスイッチ回路304に出力される。
スイッチ回路304は、駆動信号生成部303から出力されるチャネル毎のパルスに応じて、各チャネルの電極4に印加する電圧を切り替える。即ち、スイッチ回路304は、パターンジェネレータ301が設定する拡張パルスなどの通電時間などに基づいて、各チャネルのアクチュエータ16に電圧を印加する。
スイッチ回路304は、この電圧の切り替えにより、各チャネルの圧力室15の容積を膨張させ又は収縮させて、各チャネルのノズル8からインク滴を階調数分吐出させる。
次に、上記の如く構成されたインクジェットヘッド100の動作例について、図7乃至図9を用いて説明する。
図7は、休止期間における圧力室15bの状態を示す。図7が示すように、ヘッド駆動回路101は、圧力室15bと、この圧力室15bに隣接する両隣の圧力室15a及び15cとの各壁面にそれぞれ配設された電極4の何れにも電圧+Vaを印加する。この状態では、圧力室15aと圧力室15bとで挟まれた隔壁16a及び圧力室15bと圧力室15cとで挟まれた隔壁16bは、何れも何ら歪みを生じない。
図8は、ヘッド駆動回路101が拡張パルスを圧力室15bのアクチュエータ16に印加した状態の例を示す。図8が示すように、ヘッド駆動回路101は、中央の圧力室15bの電極4の電位をグラウンド電位GNDとし、圧力室15bの両隣の圧力室15a及び15cの電極4に電圧+Vaを印加する。この状態では、各隔壁16a及び16bに対して、第1の圧電部材1及び第2の圧電部材2の分極方向と直交する方向に電圧Vaの電界が作用する。この作用により、各隔壁16a及び16bは、圧力室15bの容積を拡張するようにそれぞれ外側に変形する。
図9は、ヘッド駆動回路101が収縮パルスを圧力室15bのアクチュエータ16に印加した状態の例を示す。図9が示すように、ヘッド駆動回路101は、中央の圧力室15bの電極4に正極性の電圧+Vaを印加し、両隣の圧力室15a及び15cの電極4の電位をグラウンド電位GNDとする。この状態では、各隔壁16a及び16bに対して、図8の状態とは逆の方向に電圧Vaの電界が作用する。この作用により、各隔壁16a及び16bは、圧力室15bの容積を収縮するようにそれぞれ内側に変形する。
圧力室15bの容積が拡張又は収縮された場合、圧力室15b内に圧力振動が発生する。この圧力振動により、圧力室15b内の圧力が高まり、圧力室15bに連通するノズル8からインク滴が吐出される。
このように、各圧力室15a、15b及び15cを隔てる隔壁16a及び16bは、当該隔壁16a及び16bを壁面とする圧力室15bの内部に圧力振動を与えるためのアクチュエータ16となる。即ち、圧力室15は、アクチュエータ16の動作によって拡張又は収縮される。
また、各圧力室15は、それぞれ隣接する圧力室15とアクチュエータ16(隔壁)を共有する。このため、ヘッド駆動回路101は、各圧力室15を個別に駆動することができない。ヘッド駆動回路101は、各圧力室15をm(mは2以上の整数)個おきに(m+1)個のグループに分割して駆動する。本実施形態では、ヘッド駆動回路101が、各圧力室15を2つおきに3つの組に分けて分割駆動する、いわゆる3分割駆動の場合を例示する。よって、この例では、前述したように、ノズル8は、隣り合う3つの圧力室15に対応したものを1セットとし、溝3の高さ方向に一定の間隔でずれて形成されている。なお、3分割駆動はあくまでも一例であり、4分割駆動又は5分割駆動などであっても良い。
次に、ヘッド駆動回路101がアクチュエータ16に印加する吐出パルスについて説明する。
図10は、吐出パルスの構成例について説明するための図である。吐出パルスは、インク滴の吐出1回分の波形を示す。なお、図10における+Va,0,-Vaは、圧力室15、例えば圧力室15bの電極4に印加される電位と、当該圧力室15bに隣接する圧力室15、例えば圧力室15aの電極4に印加される電位と、の電位差を示している。図10が示すように、吐出パルスは、第1の所定時間の拡張パルスD1と、第2の所定時間の収縮パルスP1と、を含む。さらに、吐出パルスは、第3の所定時間の休止時間(切断時間CP)と、第4の所定時間の拡張パルスD2と、第5の所定時間の収縮パルスP0と、を含む。
インク滴を吐出する際には、先ず、アクチュエータ16には拡張パルスD1が印加される。拡張パルスD1は、アクチュエータ16が形成する圧力室15の体積を拡張させる。即ち、拡張パルスD1は、圧力室15を図8の状態にする。この状態において、圧力室15の圧力が低下し、圧力室15に共通インク室5からインクが供給される。拡張パルスD1は、所定のパルス幅に形成される。即ち、拡張パルスD1は、第1の所定時間、圧力室15の体積を拡張させる。例えば、拡張パルスD1のパルス幅は、圧力室15の圧力の固有振動周期、即ち音響的共振周期、の半分(AL)程度である。
当該第1の所定時間経過後、アクチュエータ16には、収縮パルスP1が印加される。収縮パルスP1は、アクチュエータ16が形成する圧力室15の体積を減少させる。即ち、収縮パルスP1は、圧力室15を図9の状態にする。この収縮パルスP1によって圧力室15の圧力が上昇することで、ノズル8に形成されるメニスカス20の速度は、インク滴が吐出される閾値を超える。メニスカス20の速度が吐出閾値を超えたタイミングで、圧力室15のノズル8からインク滴が吐出する。
第2の所定時間経過後、圧力室15は、リリースされる。即ち、圧力室15は、デフォルトの状態(図7の状態)に戻る。圧力室15がデフォルトの状態を維持している間に圧力室15の圧力が下降する。圧力室15の圧力が下降することで、ノズル8に形成されるメニスカス20の速度は、インク滴が吐出される閾値以下となる。メニスカス20の速度が吐出閾値以下となったタイミングで、圧力室15のノズル8からのインク滴吐出が切断される。
第3の所定時間経過後、アクチュエータ16には、拡張パルスD2が印加される。拡張パルスD2は、インク液滴吐出後の圧力室内の圧力振動を打ち消し、次の吐出が前の吐出の影響を受けないようにする。この拡張パルスD2は、拡張パルスD1のパルス幅に比較して十分に狭いため、圧力室15の体積を、圧力室15に共通インク室5からインクが供給されるほど拡張させることはない。残留振動を打ち消す効果は、この拡張パルスD2のパルス幅、即ち第4の所定時間と、パルス印加タイミング、即ち切断時間CPの第3の所定時間と、によって調整することができる。
また、収縮パルスP0は、拡張パルスD1による圧力室15の体積の拡張をより強力にするために、拡張パルスD1の前に挿入されている。収縮パルスP0の幅は、1AL以下である。パルス幅が1AL以下である場合、圧力室15内の圧力振動の振幅を増加させることができる。
複数回連続でインク滴を吐出する場合は、図10の吐出パルスを吐出回数分連続で繰り返したものとなる。
インクジェットヘッド100は、印刷モードとして、マルチドロップモードと、バイナリモードとの2つを有する。マルチドロップモードは、形成するドットの大きさなどに応じて1つから最大ドロップ数までの何れかの個数のドロップを吐出して媒体に1つのドットを形成するモードである。バイナリモードは、ドロップ吐出個数は一定、例えば最大ドロップ数として、媒体に1つのドットを形成するモードである。
図11は、マルチドロップモードでのノズル8とインク吐出数との関係の例を示す図である。ここでは、隣り合う3つのノズル8の組、即ち#100ノズル、#101ノズル及び#102ノズルにおける、2ライン分の印刷を行う場合の例を示している。これらのノズル8は、3n+1、3n+2及び3n+3相に相当する。ここに示さない他のノズル8の組に関しても同様の関係が成り立つ。図11の例は、2ライン分の吐出全てを最大ドロップ数である3ドロップで行う例である。
図12は、図11の例のような印刷を実現するための駆動波形の例を示すタイミングチャートである。3分割駆動のインクジェットヘッド100のヘッド駆動回路101は、この駆動波形に示すように、アクチュエータ16に印加する吐出パルスを制御する。即ち、ヘッド駆動回路101は、ライン1の印刷のために、先ず3n+1相のノズル8である#100ノズルに対応するアクチュエータ16に、図10が示す吐出パルスを3回連続印加する。次に、ヘッド駆動回路101は、3n+2相の#101ノズルに対応するアクチュエータ16に吐出パルスを3回連続印加する。そして、ヘッド駆動回路101は、3n+3相の#102ノズルに対応するアクチュエータ16に吐出パルスを3回連続印加する。その後、ヘッド駆動回路101は、ライン2の印刷のために、ライン1の場合と同様に、#100ノズルに対応するアクチュエータ16に吐出パルスを3回連続印加する。次に、ヘッド駆動回路101は、#101ノズルに対応するアクチュエータ16に吐出パルスを3回連続印加する。そして、ヘッド駆動回路101は、#102ノズルに対応するアクチュエータ16に吐出パルスを3回連続印加する。
図13は、マルチドロップモードでのノズル8とインク吐出数との関係の別の例を示す図である。この例は、最大ドロップ数である3ドロップで行わない場合が存在する例である。即ち、ライン1においては、3n+1相の#100ノズルでは最大ドロップ数である3ドロップ、3n+2相の#101ノズルでは2ドロップ、3n+3相の#102ノズルでは1ドロップとしている。また、ライン2においては、3n+1相の#100ノズルでは0ドロップ、3n+2相の#101ノズル及び3n+3相の#102ノズルでは最大ドロップ数である3ドロップとしている。
図14は、図13の例のような印刷を実現するための駆動波形の例を示すタイミングチャートである。即ち、ヘッド駆動回路101は、ライン1の印刷のために、先ず#100ノズルに対応するアクチュエータ16に、吐出パルスを3回連続印加する。次に、ヘッド駆動回路101は、#101ノズルに対応するアクチュエータ16に吐出パルスを2回連続印加する。そして、ヘッド駆動回路101は、#102ノズルに対応するアクチュエータ16に吐出パルスを1回印加する。その後のライン2の印刷のためには、ヘッド駆動回路101は、#100ノズルに対応するアクチュエータ16には吐出パルスを印加しない。次に、ヘッド駆動回路101は、#101ノズルに対応するアクチュエータ16に吐出パルスを3回連続印加する。そして、ヘッド駆動回路101は、#102ノズルに対応するアクチュエータ16に吐出パルスを3回連続印加する。
このように、最大ドロップ数よりも少ないドロップ数のノズル8に対しては、吐出パルスを印加しない空き時間が発生する。即ち、図13及び図14の例では、ライン1では、#101ノズルに関して吐出パルス1回分と#102ノズルに関して吐出パルス2回分、ライン2では、#100ノズルに関して吐出パルス3回分の空き時間が発生する。
インクジェットヘッド100の性能の評価指標は、「直線性誤差」と呼ぶ媒体の搬送方向の着弾位置ズレ量で行う。図15は、この着弾ドットの着弾ズレの例を示す図である。図5が示すようなノズル8の配置を有する3分割駆動のインクジェットヘッド100によりドットによる直線を形成する場合、図15に矢印で示すような着弾ズレが発生する。この矢印で示したような着弾ドットの搬送方向における位置ズレ量を、各ノズルの直線性誤差とする。なお、矢印の基準となる点線は、例えば全部の着弾ドットの最小二乗法を用いた直線等を用いる。
3分割駆動のインクジェットヘッド100においては、各分割の相(3n+1相、3n+2相及び3n+3相)によって、吐出速度が変化する。図16は、相毎の直線性誤差の計測例を示す図である。同図において、実線は3n+1相、細線は3n+2相、太線は3n+3相、をそれぞれ示している。
このような着弾ズレを抑えるため、プリカーサと称される微振動パルスを駆動波形に挿入することが行われる。微振動パルスは、圧力室15からインクを吐出させないパルスである。即ち、微振動パルスは、圧力室15からインクを吐出させないが、圧力室15に圧力振動を生じさせるパルスである。
図17は、微振動パルスの構成例について説明するための図である。図17が示すように、微振動パルスは、所定時間の拡張パルスDPを含む。即ち、微振動パルスは、アクチュエータ16が形成する圧力室15の体積を拡張させる拡張パルスである。拡張パルスは、圧力室15を図8の状態にする。この状態において、圧力室15の圧力が低下し、圧力室15内に圧力振動が生じる。
さらに、微振動パルスは、吐出パルスの収縮パルスP1よりも短い収縮パルスPPを含むことができる。
ヘッド駆動回路101は、このような微振動パルスを印加することで、圧力室15内の圧力を調整し、吐出されたインクの速度(吐出速度)を安定させる。図18は、ノズルとインク吐出数及び微振動パルス挿入数との関係の例を示す図である。また、図19は、図18の例に対応する駆動波形の例を示すタイミングチャートである。これら図18及び図19が示すように、ヘッド駆動回路101は、図13及び図14の例に示した吐出パルスPDが出力されない空き時間に、微振動パルスを挿入する。図18及び図19の例では、ヘッド駆動回路101は、最大ドロップ数3回の内、吐出パルスPDを1回または2回出力した後に、微振動パルスPCを出力する。即ち、ライン1の印刷における3n+2相の#101ノズルでは、吐出パルスPDを2回出力した後に、吐出パルスPDの1回分のタイミングにおいて、つまり、液滴の吐出時であれば吐出パルスPDを出力するべきタイミングで、微振動パルスPCを出力する。換言すれば、同じ3n+2相の他のノズルでの吐出パルスPDの1回分の出力タイミングに同期して、微振動パルスPCを出力する。また、ライン1の印刷における3n+3相の#102ノズルでは、吐出パルスPDを1回出力した後に、吐出パルスPDの2回分のタイミングそれぞれにおいて、つまり、同じ3n+3相の他のノズルでの吐出パルスPDのそれぞれの出力タイミングに同期して、微振動パルスPCを出力する。なお、ライン2の印刷における3n+1相の#100ノズルのように、吐出パルスPDを1回も出力しない場合には、ヘッド駆動回路101は、吐出パルスPDの3回分のタイミングそれぞれにおいて、つまり、同じ3n+1相の他のノズルでの吐出パルスPDのそれぞれの出力タイミングに同期して、微振動パルスPCを出力する。
図20は、バイナリモードでの駆動波形の例を示すタイミングチャートである。バイナリモードでの吐出パルスPDの個数は、設計によるが、ここでは1回分としている。図20が示すように、ヘッド駆動回路101は、バイナリモードにおいても、マルチドロップモードと同様に、吐出パルスPDが出力されない空き時間に、微振動パルスPCを挿入する。
ヘッド駆動回路101は、微振動パルスPCの印加位置即ちタイミングとパルス幅即ち形状とを適切に制御することで、吐出速度をより安定させることができる。
この微振動パルスPCのタイミングと形状は、以下のようにして決定することができる。
図21は、微振動パルスPCの場所依存性を確認する32個のテストにおける設定内容を示す図である。これらのテストは、微振動パルスPCの形状を固定して、即ち拡張パルスDP及び収縮パルスPPのパルス幅を5μsとして、拡張パルスDP及び/又は収縮パルスPPの印加位置を変えて、直進性を確認するものである。
ここで、拡張パルスD1における「前」は、微振動パルスPCの拡張パルスDPを前詰め、即ち、拡張パルスDPの立ち下がりタイミングを、吐出パルスPDの拡張パルスD1の立ち下がりタイミングに合致させることを示す。拡張パルスD1における「中央」は、微振動パルスPCの拡張パルスDPを中央揃え、即ち、拡張パルスDPのパルス幅の中央のタイミングを、吐出パルスPDの拡張パルスD1のパルス幅の中央のタイミングに合致させることを示す。拡張パルスD1における「後」は、微振動パルスPCの拡張パルスDPを後ろ詰め、即ち、拡張パルスDPの立ち上がりタイミングを、吐出パルスPDの拡張パルスD1の立ち上がりタイミングに合致させることを示す。
拡張パルスD2における「前」、「中央」及び「後」についても、同様に、拡張パルスDPを拡張パルスD2に対して「前詰め」、「中央揃え」及び「後ろ詰め」とすることを示す。
また、収縮パルスP1における「後」は、微振動パルスPCの収縮パルスPPを後ろ詰め、即ち、収縮パルスPPの立ち下がりタイミングを、吐出パルスPDの収縮パルスP1の立ち下がりタイミングに合致させることを示す。
図22は、図21の各テストによる微振動パルスPCの場所依存性の確認結果の例を示す図である。ここで、白丸と実線で示すテスト結果は、3分割駆動のインクジェットヘッド100における両端3ノズル、図5の例で言えば#001ノズル~#003ノズルと#316ノズル~#318ノズル、における3周期直線性を示す。黒丸と点線で示すテスト結果は、両端3ノズルを除いた中央ノズル、図5の例で言えば#004ノズル~#315ノズル、における3周期直線性を示す。3分割駆動のインクジェットヘッド100においては、図16が示すように、各分割の相(3n+1相、3n+2相及び3n+3相)により直線性誤差には傾向が存在する。そのため、3ノズル毎の最大値と最小値の差の全ノズル平均をとることによって、直線性誤差の良し悪しを判断することができる。但し、インクジェットヘッド100の端部と端部を除く中央部分とでは直線性誤差の傾向が異なる。よって、ここでは、両端3ノズルの平均とそれ以外のノズルの平均とでそれぞれ3周期直線性を計測している。
図22が示すように、テスト03、テスト05及びテスト09の設定を用いれば、インクジェットヘッド100の端部と中央部分で良好な直進性が両立する。
図23は、これらのテスト03、テスト05及びテスト09における微振動パルスPCのパルス幅依存性の確認結果の例を示す図である。即ち、図23は、テスト03、テスト05及びテスト09の拡張パルスDP及び/又は収縮パルスPPのタイミングで、形状即ちパルス幅を変えて、3周期直線性を計測した結果を示している。但し、これは、AL=2.8μsのインクジェットヘッド100での計測例である。図23においても、図22と同様に、白丸と実線で示す計測結果は、3分割駆動のインクジェットヘッド100における両端3ノズルにおける3周期直線性を示し、黒丸と点線で示す計測結果は、中央ノズルにおける3周期直線性を示す。
よって、図23が示すように、テスト09において、パルス幅を1.3μs以上にすれば、インクジェットヘッド100の端部と中央部分で良好な直進性が両立することが判る。
図24は、この吐出パルスPDと微振動パルスPCのタイミング及び形状の関係を示す波形図である。ここで、実線が吐出パルスPDを示し、太線が微振動パルスPCを示す。なお、吐出パルスPDと微振動パルスPCは別々に出力させるが、波形のタイミングおよび形状を分かりやすく説明するため、図24は、それらを重ねて表記している。また、LDは微振動パルスPCの拡張パルスDPのパルス幅を、LPは微振動パルスPCの収縮パルスPPのパルス幅を、それぞれ示している。図23における0.9μsと1.3μsとを結ぶそれぞれの直線から推測すると、1.1~1.2μs以上にすれば、十分良好な直進性が得られる。よって、微振動パルスPCは、中央揃えで0.4AL以上のパルス幅LDの拡張パルスDPと、後ろ詰めの0.4AL以上のパルス幅LPの収縮パルスPPと、を備えることが望ましいことが判る。また、拡張パルスDP及び収縮パルスPPのパルス幅LD及びLPは、AL=2.8μsのインクジェットヘッド100であれば、1.3μs以上、即ち、0.46AL以上であることが望ましい。なお、これらパルス幅LD及びLPの上限については、誤吐出を引き起こさない幅であれば良い。この誤吐出を引き起こさない幅は、インクの粘土等の微振動パルスPCのタイミング及び形状とは別の条件に依存するため、ここでは規定しない。
なお、図18及び図19に関して、ヘッド駆動回路101は、同相の他のノズルでの吐出パルスPDの出力タイミングに同期して、微振動パルスPCを出力すると説明した。この同期とは、この図24に示すように、微振動パルスPCの拡張パルスDPが同相の他のノズルでの吐出パルスPDの拡張パルスD1と中央揃えとなり、且つ、微振動パルスPCの収縮パルスPPが同相の他のノズルでの吐出パルスPDの収縮パルスP1に対し後ろ詰めとなることを指す。
図25は、実施形態に係るインクジェットヘッドにおける直線性誤差の計測例を示す図である。即ち、これは、パルス幅1.3μsの拡張パルスDPを拡張パルスD1に対し中央揃え、パルス幅1.3μsの収縮パルスPPを収縮パルスP1に対し後ろ詰めタイミングとなる微振動パルスPCを、吐出パルスPDの空き時間に挿入した場合を示す。同図において、実線、細線及び太線は、図16と同様に、3n+1相、3n+2相及び3n+3相をそれぞれ示している。図25と図16を比較すると、このような微振動パルスPCのタイミング及び形状を採用することにより、インクジェットヘッド100の端部及び中央部の両方で直線性誤差が小さい印刷を実現することができることが判る。
図26は、マルチドロップモードでの、印刷開始時における駆動波形の例を示すタイミングチャートである。特に、印刷結果において直線性誤差が目視で目立つのは、細い横一直線の画像、及び、ベタ印刷開始時のエッジ部である。特に、ベタ印刷開始時のエッジ部では、吐出が一番最初に行われる相である3n+1相は、その直前に隣のノズルからの振動が何も発生していない。そのため、3n+1相は、3n+2相及び3n+3相に比べて、吐出速度が速くなる。逆に言えば、3n+2相及び3n+3相は、直前の3n+1相及び3n+2相の振動の影響を受けるので、3n+1相に比べて吐出速度が遅くなる。そこで、ヘッド駆動回路101は、図26に時刻t1で示す実際の印刷開始時点以前の、吐出パルスPDを印加していないタイミングにおいて、少なくとも1回分、この例では3回分、の微振動パルスPCを発生させる。即ち、ヘッド駆動回路101は、クライアントからの印刷データに従った吐出パルスを出力するのに先だって、微振動パルスPCを出力し、その後に印刷データに従った吐出パルスを出力する。こうすることによって、印刷開始時に最初に吐出する相である3n+1相は、直前の微振動パルスPCの影響により吐出速度が低下して、この3n+1相での吐出の影響を受けた3n+2相及び3n+3相の吐出速度に近づき、結果として直線性誤差が向上する。
以上のように構成されたインクジェットヘッド100は、マルチドロップモードでは、最大ドロップ数に満たない吐出パルスPDをアクチュエータに印加する場合、吐出パルスPDを印加しない残りの期間に微振動パルスPCをアクチュエータに印加する。また、マルチドロップモード及びバイナリモードにおいて吐出パルスPDを印加しないアクチュエータに対しては、微振動パルスPCをアクチュエータに印加する。そして、この印加する微振動パルスPCは、吐出パルスPDの拡張パルスD1に対し中央揃えタイミングの拡張パルスDPと、吐出パルスPDの収縮パルスP1に対し後ろ詰めタイミングの収縮パルスPPを含む。その結果、インクジェットヘッド100は、相毎のインク滴の吐出速度のばらつきを抑制し、弾着ズレを小さくすることができる。
また、拡張パルスDP及び収縮パルスPPは、それぞれ、0.4AL以上のパルス幅を有する。望ましくは、微振動パルスPCは、例えばAL=2.8μsのインクジェットヘッド100であれば1.3μs以上の拡張パルスDP及び収縮パルスPPを含む。その結果、インクジェットヘッド100は、より相毎のインク滴の吐出速度のばらつきを抑制し、弾着ズレをさらに小さくすることができる。
なお、上記実施形態は、3分割駆動を行うインクジェットヘッド100を例にして説明した。しかしながら、インクジェットヘッド100は、他の分割数の分割駆動を行っても良いことは勿論である。
また、上記実施形態は、吐出パルスPDが、拡張パルスD1と収縮パルスP1に加えて、拡張パルスD2と収縮パルスP0を含むものを例に説明した。しかしながら、吐出パルスPDは、拡張パルスD2及び/又は収縮パルスP0を有さなくても構わない。
さらに、上記実施形態は、微振動パルスPCにおける収縮パルスPPを吐出パルスPDの収縮パルスP1に対し後ろ詰めタイミングとして、拡張パルスDPのタイミングを変更した場合について説明した。しかしながら、収縮パルスPPのタイミングについても変更してテストすることで、微振動パルスPCの挿入するタイミング及び形状を決定するようにしても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] インクが充填される圧力室と、
前記圧力室内の容積を変化させて当該圧力室に連通するノズルから液滴を吐出させるアクチュエータと、
前記液滴の吐出時には、前記圧力室内の容積を拡張させる拡張パルスと、前記圧力室内の容積を収縮させる収縮パルスと、を含む吐出パルスを前記アクチュエータに印加し、且つ、前記液滴を吐出しないタイミングにおいて、前記ノズルから前記液滴が吐出しない程度に前記圧力室内の容積を変化させる微振動パルスを前記アクチュエータに印加する駆動回路と、
を備え、
前記微振動パルスは、拡張パルス部と収縮パルス部を有し、
前記微振動パルスにおける前記拡張パルス部の中央位置は、前記吐出パルスにおける前記拡張パルスの中央位置に対応し、
前記微振動パルスにおける前記収縮パルス部の立ち下り位置は、前記吐出パルスにおける前記収縮パルスの立ち下り位置に対応する、
液滴吐出ヘッド。
[2] 前記微振動パルスにおける前記拡張パルス部及び前記収縮パルス部のパルス幅は、0.4AL以上(ALは前記圧力室の圧力の固有振動周期の半分)である、[1]に記載の液滴吐出ヘッド。
[3] 前記駆動回路は、前記液滴を吐出しないとき、前記液滴を吐出する場合に前記アクチュエータに印加するべき前記吐出パルスのタイミングで、前記微振動パルスを前記アクチュエータに印加する、[1]に記載の液滴吐出ヘッド。
[4] 前記液滴吐出ヘッドは、前記ノズルを複数備え、
前記駆動回路は、それぞれ複数の前記ノズルを含む複数のグループに分割し、グループ単位で前記吐出パルス及び前記微振動パルスの印加を制御し、
前記駆動回路はさらに、各グループにおける最初のノズルに対応する前記アクチュエータに前記吐出パルスを印加するのに先立って、前記最初のノズルに対応する前記アクチュエータに前記微振動パルスを印加する、[1]に記載の液滴吐出ヘッド。
[5] 1つのドットを形成するために所定の個数の液滴を吐出するプリンタであって、
媒体を搬送する搬送部と、
インクが充填される圧力室と、
前記圧力室内の容積を変化させて当該圧力室に連通するノズルから前記液滴を吐出させるアクチュエータと、
前記液滴の吐出時には、前記圧力室内の容積を拡張させる拡張パルスと、前記圧力室内の容積を収縮させる収縮パルスと、を含む吐出パルスを前記アクチュエータに印加し、且つ、前記液滴を吐出しないタイミングにおいて、前記ノズルから前記液滴が吐出しない程度に前記圧力室内の容積を変化させる微振動パルスを前記アクチュエータに印加する駆動回路と、
を備える液滴吐出ヘッドと、
を備え、
前記微振動パルスは、拡張パルス部と収縮パルス部を有し、
前記微振動パルスにおける前記拡張パルス部の中央位置は、前記吐出パルスにおける前記拡張パルスの中央位置に対応し、
前記微振動パルスにおける前記収縮パルス部の立ち下り位置は、前記吐出パルスにおける前記収縮パルスの立ち下り位置に対応する、
プリンタ。
1…第1の圧電部材、 2…第2の圧電部材、 3…溝、 4…電極、 5…共通インク室、 6…天板、 7…オリフィスプレート、 8…ノズル、 9…ベース基板、 10…引出し電極、 11…プリント基板、 12…ドライブIC、 13…導電パターン、 14…導線、 15,15a,15b,15c…圧力室、 16…アクチュエータ、 16a,16b…隔壁、 20…メニスカス、 100…インクジェットヘッド、 101…ヘッド駆動回路、 102…チャネル群、 200…プリンタ、 201…プロセッサ、 202…ROM、 203…RAM、 204…操作パネル、 205…通信インタフェース、 206…搬送モータ、 207…モータ駆動回路、 208…ポンプ、 209…ポンプ駆動回路、 211…バスライン、 301…パターンジェネレータ、 302…周波数設定部、 303…駆動信号生成部、 304…スイッチ回路、 CP…切断時間、 D1,D2,DP…拡張パルス、 LD,LP…パルス幅、 P0,P1,PP…収縮パルス、 PC…微振動パルス、 PD…吐出パルス。

Claims (4)

  1. インクが充填される圧力室と、
    前記圧力室内の容積を変化させて当該圧力室に連通するノズルから液滴を吐出させるアクチュエータと、
    前記液滴の吐出時には、前記圧力室内の容積を拡張させる拡張パルスと、前記圧力室内の容積を収縮させる収縮パルスと、を含む吐出パルスを前記アクチュエータに印加し、且つ、前記液滴を吐出しないタイミングにおいて、前記ノズルから前記液滴が吐出しない程度に前記圧力室内の容積を変化させる微振動パルスを前記アクチュエータに印加する駆動回路と、
    を備え、
    前記微振動パルスは、拡張パルス部と収縮パルス部を有し、
    前記微振動パルスにおける前記拡張パルス部のパルス幅は、前記吐出パルスにおける前記拡張パルスのパルス幅よりも短く、且つ、前記拡張パルス部の中央位置は、前記吐出パルスにおける前記拡張パルスの中央位置に対応し、
    前記微振動パルスにおける前記収縮パルス部のパルス幅は、前記吐出パルスにおける前記収縮パルスのパルス幅よりも短く、且つ、前記収縮パルス部の立ち下り位置は、前記吐出パルスにおける前記収縮パルスの立ち下り位置に対応
    前記微振動パルスにおける前記拡張パルス部及び前記収縮パルス部のパルス幅は、0.4AL以上(ALは前記圧力室の圧力の固有振動周期の半分)である、
    液滴吐出ヘッド。
  2. 前記駆動回路は、前記液滴を吐出しないとき、前記液滴を吐出する場合に前記アクチュエータに印加するべき前記吐出パルスのタイミングで、前記微振動パルスを前記アクチュエータに印加する、請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  3. 前記液滴吐出ヘッドは、前記ノズルを複数備え、
    前記駆動回路は、それぞれ複数の前記ノズルを含む複数のグループに分割し、グループ単位で前記吐出パルス及び前記微振動パルスの印加を制御し、
    前記駆動回路はさらに、各グループにおける最初のノズルに対応する前記アクチュエータに前記吐出パルスを印加するのに先立って、前記最初のノズルに対応する前記アクチュエータに前記微振動パルスを印加する、請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 1つのドットを形成するために所定の個数の液滴を吐出するプリンタであって、
    媒体を搬送する搬送部と、
    インクが充填される圧力室と、
    前記圧力室内の容積を変化させて当該圧力室に連通するノズルから前記液滴を吐出させるアクチュエータと、
    前記液滴の吐出時には、前記圧力室内の容積を拡張させる拡張パルスと、前記圧力室内の容積を収縮させる収縮パルスと、を含む吐出パルスを前記アクチュエータに印加し、且つ、前記液滴を吐出しないタイミングにおいて、前記ノズルから前記液滴が吐出しない程度に前記圧力室内の容積を変化させる微振動パルスを前記アクチュエータに印加する駆動回路と、
    を備える液滴吐出ヘッドと、
    を備え、
    前記微振動パルスは、拡張パルス部と収縮パルス部を有し、
    前記微振動パルスにおける前記拡張パルス部のパルス幅は、前記吐出パルスにおける前記拡張パルスのパルス幅よりも短く、且つ、前記拡張パルス部の中央位置は、前記吐出パルスにおける前記拡張パルスの中央位置に対応し、
    前記微振動パルスにおける前記収縮パルス部のパルス幅は、前記吐出パルスにおける前記収縮パルスのパルス幅よりも短く、且つ、前記収縮パルス部の立ち下り位置は、前記吐出パルスにおける前記収縮パルスの立ち下り位置に対応
    前記微振動パルスにおける前記拡張パルス部及び前記収縮パルス部のパルス幅は、0.4AL以上(ALは前記圧力室の圧力の固有振動周期の半分)である、
    プリンタ。
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