JP7509322B2 - 検査方法及び検査システム - Google Patents

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本発明は検査方法及び検査システムに関し、さらに詳しくは、検体プール検査法を使用して多数の検体を検査する方法及びシステムに関する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は世界的に深刻になっており、その拡大の抑止が喫緊の課題となっている。また、新型コロナウイルス感染症の拡大以前にも、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)等、重篤な症状をもたらす様々なウイルス感染症がしばしば発生しており、新たなウイルス感染症に対する備えも重要な課題となっている。
こうしたウイルスを検出する装置として、そのウイルスに特異的なプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction:PCR)又は逆転写PCR(Reverse Transcription PCR:RT-PCR)等の核酸増幅法を用い、目的とする遺伝子(DNA)配列の有無の判定と定量とを行う装置が知られている。
特にウイルス感染症の急速な拡大期においては、比較的小規模な医療機関や医療関係部署において、迅速で簡便に且つ低廉なコストで感染の有無の検査が行えることが望ましい。そうした検査方法の一つとして、非特許文献1等に記載の検体プール検査法(以下、単に「プール検査法」という場合がある)が知られている。
プール検査法では、複数(一般には5人以下)の被検者からそれぞれ採取された検体(以下、これを「個別検体」という場合がある)を混合してプール検体を調製し、そのプール検体を上述したような検査装置を用いて検査する。そのプール検体が陰性であると判定された場合、そのプール検体の元である複数の個別検体は全て陰性であると判定される。一方、そのプール検体が陽性であると判定された場合には、そのプール検体の元である複数の個別検体について個々に検査を実施し、その複数の個別検体のうちの陽性である個別検体を特定する。こうしたプール検査法は、特に陽性を示す検体が比較的少ない状況下では、検査の作業効率の向上とコスト削減の両面において有効である。
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検体プール検査法の指針」、[Online]、[2021年6月28日検索]、厚生労働省、インターネット<URL: https://www.mhlw.go.jp/content/000725922.pdf>
プール検査法では、検査装置における検査自体の効率化を図ることは可能であるものの、複数の個別検体を分注し撹拌することでプール検体を調製するという、一般的な個別検体毎の検査にはない追加的な前処理作業が必要になる。検査すべき個別検体の数が増えるのに伴って、プール検体を調製するための前処理作業はかなり煩雑になる。また、検査作業全体を効率化するには、この煩雑なプール検体の調製作業を、検体に対する検査作業と並行して行えるようにする必要がある。さらに、プール検体の調製作業では作業者の感染リスクが高くなりがちであるから、作業の効率改善とリスク低減の両面から、プール検体の調製作業を含む検査の自動化が一層重要である。
こうしたことを背景として、プール検査法を広く且つ簡便に、また安全に実施するために、プール検体の調製作業を効率的に且つ低感染リスクで行える検体前処理装置の開発が強く要望されている。
こうした検体前処理装置を含めたシステムは、検体プール検査法を効率的に且つ低廉なコストで実施するのに有用であるものの次のような問題がある。
プール検査法では、プール検体の元となった個別検体を全て冷蔵庫等に保管しておき、プール検体が陽性であった場合には、そのプール検体に対応する全ての個別検体を迅速に検査して陽性である個別検体を特定する必要がある。その個別検体の再検査の際に、検査担当者は、陽性であったプール検体に対応する個別検体を保管場所から取り出して検査装置まで搬送して該装置にセットするとともに、その複数の個別検体に関する検体情報を検査装置に入力する必要がある。このように、個別検体の再検査の際には検査担当者が行わなければならない作業が多く、担当者の作業負担が大きい。また、作業が煩雑であるために、本来検査対象とすべき個別検体とは異なる個別検体の検体情報を誤って入力してしまったり入力する検体情報自体を間違えたりするリスクも小さくない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的の一つは、検体プール検査法においてプール検体が陽性であると判定された場合において、個別検体を再検査する担当者の作業の負担を軽減するとともに、プール検体と個別検体との対応付けの誤りや個別検体の取違いなどのミスを防止することができる検査方法及び検査システムを提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明に係る検査方法の一態様は、複数の個別検体を混合してプール検体を調製する前処理装置と、プール検体又は個別検体を分析する検査装置と、前記前処理装置及び前記検査装置とそれぞれ通信可能である管理用端末と、前記管理用端末からアクセス可能であるデータベースと、表示部と、を備える検査システム、を用いた検体プール検査法による検査方法であって、
前記前処理装置におけるプール検体の調製前に、前記管理用端末に搭載されている前処理装置管理用のソフトウェアにおいて、ユーザーの操作による個別検体及びプール検体に関する検体情報の入力を受け付ける検体情報入力工程と、
前記検体情報入力工程で受け付けられた検体情報を前記データベースに保存する情報保存工程と、
前記検査装置での一又は複数のプール検体に対する分析の結果を前記表示部に表示するプール検査結果表示工程と、
前記プール検体の少なくとも一つが陽性であった場合に、前記管理用端末に搭載されている検査装置管理用のソフトウェアにおいて、特定のプール検体の指定又は選択を受け付ける検体指定工程と、
前記検体指定工程で指定又は選択されたプール検体に関連付けられている複数の個別検体の検体情報を前記データベースから取得し、その取得した検体情報を、前記検査装置における検査対象の検体の検体情報を設定するための検体情報入力画面の所定位置に差し込んで前記表示部に表示する検体情報入力工程と、
を有する。
また、上記課題を解決するためになされた本発明に係る検査システムの一態様は、検体プール検査法による検査を行う検査システムであって、
複数の個別検体を混合してプール検体を調製する前処理装置と、
プール検体又は個別検体を分析する検査装置と、
前記前処理装置及び前記検査装置とそれぞれ通信可能であって、入力部及び表示部を含み、前記前処理装置及び前記検査装置における各々の動作を独立に制御する制御装置と、
前記制御装置からアクセス可能であるデータベースと、
表示部と、
を備え、前記制御装置は、
前記前処理装置でのプール検体の調製前に、前記入力部を通した、複数の個別検体及びプール検体に関する検体情報の入力を受け付けるとともに、受け付けられた検体情報を前記データベースに保存する前処理装置管理部と、
前記検査装置での一又は複数のプール検体に対する分析の結果を前記表示部に表示し、前記入力部を通した、陽性であったプール検体の指定又は選択を受け付け、指定又は選択されたプール検体に関連付けられている複数の個別検体の検体情報を前記データベースから取得して、取得した検体情報を、前記検査装置における検査対象の検体の検体情報を設定するための検体情報入力画面の所定位置に差し込んで前記表示部に表示する検査装置管理部と、
を備える。
本発明の上記態様による検査方法及び検査システムによれば、検体プール検査法での検査において、プール検体が陽性であって、そのプール検体の元である複数の個別検体をそれぞれ再検査する必要がある場合に、検査担当者による簡単な操作によって、再検査すべき個別検体の検体情報が自動的に検査対象として設定される。
これにより、個別検体を再検査する際における、検体情報の入力作業に掛かる検査担当者の負担を軽減し、検査効率の改善を図ることができる。また、陽性であるプール検体の元である複数の個別検体の検体情報が間違い無く入力されるため、プール検体と個別検体との対応付けの誤りや個別検体の取違いなどのミスを防止することができ、検査の信頼性を高めることができる。
本発明の一実施形態である検査システムの全体構成図。 前処理装置の内部構成の概略図。 前処理装置において各種部材が装着された状態である作業テーブルの概略上面図。 作業テーブルに装着される各種部材とこれを取り外した状態の作業テーブルの概略上面図。 個別検体ラックの装着方法を説明するための概略上面図。 検査装置の内部構成の概略図。 本実施形態の検査システムを用いたプール検査法による検査の手順の一例を示すフローチャート。 本実施形態の検査システムを用いたプール検査法による検査の手順の一例を示すフローチャート。 前処理用の検体情報設定画面の一例を示す図。 検査後の検査結果表示画面の一例を示す図。 検査用の検体情報設定画面の一例を示す図。 検査用の検体選択画面の一例を示す図。 個別検体を再検査する際の作業手順を説明するための検査結果表示画面の二つの例を示す図。 個別検体を再検査する際の作業手順を説明するための、前処理装置における検体マップと検体選択画面との関係を示す図。
以下、本発明に係る検査システムの一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
[検査システムの全体構成]
図1は、本実施形態の検査システムの全体構成図である。この検査システムは、例えば、COVID-19の原因である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染の有無を、検体プール検査法によって検査することが可能なシステムである。
図1に示すように、この検査システムは、前処理装置1と、4台の検査装置2と、制御・処理装置30と、データベース31と、操作部32と、表示部33と、バーコードリーダー4と、を含む。制御・処理装置30は、前処理装置管理部300、検査装置管理部301、及びデータベース管理部302、を含む。この例では、制御・処理装置30、データベース31、操作部32、及び、表示部33は、汎用的なパーソナルコンピューター(PC)3であり、該PC3に専用の制御・処理ソフトウェアがインストールされている。即ち、前処理装置管理部300、検査装置管理部301はそれぞれ、PC3にインストールされている所定のソフトウェア(アプリケーションプログラム)をコンピューター上で動作させることで具現化される機能ブロックである。なお、データベース31は、PC3からアクセス可能でありさえすれば、PC3に内蔵されていなくてもPC3から離れた位置に存在していてもよい。
この検査システムは4台の検査装置2を含むが、これは、本例において、前処理装置1での前処理で所定時間内に調製されるプール検体の数と、検査装置2において同じ所定時間内に検査可能である検体の数とを凡そ合わせるためであり、検査システムに含まれる検査装置2及び前処理装置1の台数はこの例に限るものではない。
制御・処理装置30は、前処理装置1と4台の検査装置2とそれぞれ通信線5を介して接続されている。この通信線5は例えば、一般的なUSB規格に則ったものとすることができる。
前処理装置1は、プール検査法による検査のためのプール検体を調製するための前処理装置であり、被検者から採取された個別検体に対する検査の際には使用されない。一方、検査装置2は、個別検体とプール検体の両方の検査が可能な装置であり、例えば、本出願人が市販している「AutoAmpTM 遺伝子解析装置」(インターネット<URL: https://www.shimadzu.co.jp/cl/products/autoamp/index.html>など参照) のような既存の装置を用いることができる。但し、検査装置2における分析や検査の手法は上記の装置で用いられているものに限らない。
図1の上側に示すように、前処理装置1は、複数の個別検体を分取し混合することで一つのプール検体を調製する装置である。本例では、個別検体はそれぞれ、被検者から採取された唾液、鼻咽腔拭い液、血液、尿などの生体試料由来の検体である。現在の知見によれば、プール検査法の場合、個別検査と同程度の検査精度を確保するには、混合される個別検体の数は5以下が望ましいとされている。この前処理装置1では、最大5個の個別検体から1個のプール検体を調製することが可能であるが、一般的には、4個又はそれ以下の個別検体から1個のプール検体を調製する。但し、これらは単に一例であり、適宜に変更が可能であって、例えば6以上の個別検体からプール検体の調製を行うようにしてもよい。
プール検査法では、前処理装置1で調製されたプール検体がいずれかの検査装置2にセットされ検査に供される。また、検査装置2による検査の結果、或るプール検体が陽性であると判定されると、そのプール検体の元である複数の個別検体が検査装置2にセットされて検査される。なお、以下に述べる例では、検査担当者自身が前処理装置1から検査装置2までプール検体や個別検体を手持ちで搬送し検査装置2にセットすることを想定しているが、この搬送作業や装置へのセット作業などを、ロボット等を用いて自動化することが可能であることは当然である。
[前処理装置の構成]
前処理装置1の詳細な構成について述べる。図2は、前処理装置1の内部構成を側面から見た状態の概略図である。図3は、前処理装置1において前処理に使用される各種部材が装着された状態である作業テーブルの概略上面図である。図4は、作業テーブルに装着される各種部材とこれを取り外した状態の作業テーブルの概略上面図である。
図2~図4及び後述する図5には、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の3軸を示している。前処理装置1及び検査装置2の設置面はX-Y平面に平行な面であり、Z軸方向は前処理装置1及び検査装置2の高さ(上下)方向である。
図2に示すように、前処理装置1は、分注ユニット10と、第1移動部11と、作業テーブル12と、第2移動部13と、制御部14と、を含む。第1移動部11は、分注ユニット10を水平方向(X軸-Y軸方向)に移動させるアクチュエーター(図示せず)を含む。第2移動部13は、作業テーブル12を水平方向(X軸-Y軸方向)に移動させるアクチュエーター(図示せず)を含む。第1、第2移動部11、13にそれぞれ含まれるアクチュエーターは、制御・処理装置30から指令を受けた制御部14による指示により動作する。なお、第1、第2移動部11、13の一方は省略することができる。
分注ユニット10は、Z軸方向に延伸するノズル101が先端に取り付けられたシリンジ100を含む。ノズル101の内部には、Z軸方向に沿って移動自在であるプランジャー(図示せず)が備えられている。シリンジ100は、プランジャーのZ軸方向のストローク長に応じた量の液体を吸引し、プランジャーのZ軸方向のストローク長に応じた量の液体を吐出するように構成される。分注ユニット10は、シリンジ100をZ軸方向に移動させるためのアクチュエーター(図示せず)と、ノズル101内のプランジャーをZ軸方向に移動させるためのアクチュエーター(図示せず)とを含む。これらアクチュエーターはいずれも、制御部14による指示により動作する。
図3及び図4に示すように、作業テーブル12の上面は概ねX-Y平面に平行に延展しており、その上面には、コンテナ収納部120と、分注チップ保持部121と、チップ廃棄部122と、が設けられている。
コンテナ収納部120には、コンテナ50が着脱自在に装填される。コンテナ50は外形が略直方体形状であって、吊り下げ持ち可能な把手(図示せず)を備える。分注チップ保持部121には、上面視で円形状である保持穴が複数(この例では20個)設けられている。その保持穴にはそれぞれ、図2に示すように、ロングチップである分注チップ56が起立した状態で保持されるように構成されている。この分注チップ56は、シリンジ100のノズル101に取り付けて使用される。
分注チップ保持部121に保持可能である分注チップ56の数は、コンテナ50に収納可能である個別検体容器54の最大数(この例では20)と同数である。チップ廃棄部122は、使用済みの分注チップ56が廃棄される、上面が開口した取り外し可能な箱である。
コンテナ50は、5個の個別検体ラック51(51A-51E)がそれぞれ収納され得る個別検体ラック収納部500、501と、1個のプール検体ラック52が収納され得るプール検体ラック収納部502と、を備える。5個の個別検体ラック51(51A-51E)は、外形が略直方体形状でほぼ同じである。このうち、4個の個別検体ラック51A-51Dが収納される個別検体ラック収納部500は、それぞれY軸方向に延伸し、X軸方向に並んで配列されている。残りの1個の個別検体ラック51Eが収納される個別検体ラック収納部501は、X軸方向に延伸し、上記4個の個別検体ラック51A-51Dの配列に対しY軸方向に隣接して配置されている。
個別検体ラック51Eは、通常、5個の個別検体からプール検体を調製したい場合に使用される。即ち、後述するように4個の個別検体からプール検体を調製する場合には、Y軸方向に延伸しX軸方向に4列に並ぶ個別検体ラック収納部500にのみ、それぞれ個別検体ラック51A-51Dが収納され、個別検体ラック51Eは不要である。図2では、その場合の状態を示すために、個別検体ラック51Eを点線で示している。
プール検体ラック収納部502は個別検体ラック収納部501と同様に、X軸方向に延伸し、上記4個の個別検体ラック51A-51Dの配列を挟んで、Y軸方向に個別検体ラック収納部501と反対側に配置されている。
4列の個別検体ラック収納部500とプール検体ラック収納部502との間には、その個別検体ラック51A-51Dにそれぞれ付与されている色(この例では、後述するように容器保持部が彩色されている)と同色のラベルが貼付された色標識部503が設けられている。
個別検体ラック51A-51Dは、一つのプール検体を調製するために一つのプールグループとして扱われる4個の個別検体容器54を、一列に所定間隔離して並べて収容可能である容器保持部510を備える。4個の個別検体ラック51A-51Dにおいて、容器保持部510はその個別検体ラック51A-51D毎に異なる色で標識されている。本例では具体的には、図3において左から順に、個別検体ラック51Aは赤、個別検体ラック51Bは青、個別検体ラック51Cは緑、個別検体ラック51Dは紫で標識されている。この標識の色は、上述したコンテナ50上の色標識部503のラベルの色と対応している。もちろん、色は一例であってこれに限らない。
個別検体ラック収納部501に収納され得る個別検体ラック51Eの5個の容器保持部510はそれぞれ、図3に示した状態においてY軸方向に並ぶ個別検体ラック51A-51Dにおける容器保持部510と同じ色に標識されている。従って、この例では、図3に示すように配置された個別検体ラック51Eにおける4個の容器保持部510の色は、左から順に、赤、青、緑、及び紫である。即ち、個別検体ラック51A-51Dに加えて個別検体ラック51Eが使用される場合でも、Y軸方向に直線的に並ぶ5個の容器保持部510の色は同じであり、且つX軸方向に並ぶ5列の容器保持部510の色は列毎に互いに異なる。
プール検体ラック収納部502には1個のプール検体ラック52が収納され得る。プール検体ラック52には、図2に示すように測方から見た状態で逆L字形状のハンドル53が設けられている。検査担当者はこのハンドル53を把持することでプール検体ラック52を確実に掴んで、プール検体ラック収納部502に出し入れしたり持ち運んだりすることができる。なお、ハンドル53はプール検体ラック52に着脱自在であってもよい。
個別検体ラック51と同様に、プール検体ラック52にも、4個の容器保持部520が設けられる。その4個の容器保持部520は、それぞれ、個別検体ラック51Eにおける容器保持部510と同じ色に標識されている。即ち、この例では、図3に示すように配置されたプール検体ラック52における4個の容器保持部520の色は、左から順に、赤、青、緑、及び紫である。また、ハンドル53の上面には、4個の容器保持部520に対応して左からP1、P2、P3、P4と番号が記載されており、その番号の表示色も容器保持部520に付された色と同じである。
上述したように、個別検体ラック51A-51Eは基本的に外形形状が同一であり、個別検体ラック収納部500、501の形状も基本的には同じである。しかしながら、個別検体ラック51A-51Eがそれぞれ収納され得る個別検体ラック収納部500、501は、次のようにして一意に決められており、且つその取り付けの向きも一意に決められている。
図5は、個別検体ラック51A-51Eの装着方法を説明するための概略図である。図3及び図4において、最も左側に位置する個別検体ラック収納部500Aには、その内側面(Y-Z面に平行な面))から内方に突出する位置規制片500aが設けられている。一方、個別検体ラック51Aには、上記位置規制片500aに対応する位置に切欠き51aが形成されている(図5(A)参照)。
個別検体ラック51Aを適切な向きで個別検体ラック収納部500Aに収納すると、位置規制片500aがちょうど切欠き51aに嵌るため、個別検体ラック51Aは正規の位置(深さ)まで収納され得る(図5(B)参照)。例えば、個別検体ラック51Aの向きを逆にして個別検体ラック収納部500Aに収納しようとすると、個別検体ラック51Aの底部は位置規制片500aに当接し、個別検体ラック収納部500Aに完全には収納されない。これにより、検査担当者は、向きを間違えて個別検体ラック51Aを収納しようとしたことを容易に認識することができる。
一方、図3及び図4において、左から二番目に位置する個別検体ラック収納部500Bにも、その内側面から内方に突出する位置規制片500bが設けられているが、その位置規制片500bの位置は上記の位置規制片500aとはY軸方向にずれている。個別検体ラック51Bには、位置規制片500bに対応する位置に切欠き51bが形成されている(図5(C)参照)。そのため、個別検体ラック51Bを適切な向きで個別検体ラック収納部500Bに収納すると、位置規制片500bが切欠き51bに嵌るため、個別検体ラック51Bは正規の位置(深さ)まで収納され得る(図5(D)参照)。
例えば、誤って個別検体ラック51Aを個別検体ラック収納部500Bに収納しようとすると、位置規制片500bと切欠き51aの位置が合わないため、個別検体ラック51Aの底部は位置規制片500bに当接する。その結果、個別検体ラック51Aは個別検体ラック収納部500Bに完全には収納されない。これにより、検査担当者は、個別検体ラック収納部500Bに対応しない個別検体ラック51Aを収納しようとしたことを容易に認識することができる。これは、全ての個別検体ラック51A-51E及び個別検体ラック収納部500、501において同様である。
即ち、この前処理装置1では、個別検体ラック51と個別検体ラック収納部500、501とが物理的(又は構造的)に一対一に対応しており、誤った位置への装着ができないように構成されている。また、個別検体ラック51の取付けの向きについても同様であり、誤った向きでの装着ができないように構成されている。また、プール検体ラック52についても同様であり、プール検体ラック52もプール検体ラック収納部502のみに、且つ決まった向きでのみ装着可能となっている。
上述したように、個別検体ラック51A-51Dはそれぞれ異なる色で標識されており、それらをそれぞれ収納する位置も色標識部503で視覚的に明確に示されている。それにより、検査担当者は、その色を参照して、個別検体ラック51A-51Dをそれぞれ適切な位置に収納することができる。但し、これは検査担当者の判断に頼る作業ミス防止策であり、検査担当者の注意不足等によるミスは起こり得る。それに対し、この前処理装置1では、上述したような位置規制構造によって、個別検体ラック51A-51E及びプール検体ラック52をそれぞれ装着すべき位置及びその向きが物理的に一意に決められている。このため、ラック51A-51E、52の装着ミスに起因する検体の取違いを確実に防止することができる。
[検査装置の構成]
上述したように検査装置2としては、既存の遺伝子解析装置を利用することができる。その構成と動作を概略的に説明する。図6は、検査装置2の内部構成の概略図である。
図6に示すように、検査装置2は、検査部20と、保持部23と、第1移動部21と、第2移動部22と、制御部24と、を含む。保持部23は、その上面に複数の容器25等を保持可能に構成され、ペルチエ素子などによる温調機能(加熱及び冷却機能)を有する温調保持部231と、温調機能を有さない非温調保持部232と、を含む。
第1移動部21は、検査部20を水平方向(X軸-Y軸方向)に移動させるアクチュエーター(図示せず)を含む。第2移動部22は、保持部23を水平方向(X軸-Y軸方向)に移動させるアクチュエーター(図示せず)を含む。第1、第2移動部21、22にそれぞれ含まれるアクチュエーターは、制御・処理装置30から指令を受けた制御部24による指示により動作する。なお、第1、第2移動部21、22の一方は省略することができる。
検査部20は、光学ユニット201と、分注ユニット202と、開閉ユニット205と、を含む。分注ユニット202は、前処理装置1の分注ユニット10と同様の構成を有し、Z軸方向に延伸するノズル204が先端に取り付けられたシリンジ203を含む。シリンジ203は、ノズル204の内部に設けられたプランジャーのZ軸方向のストローク長に応じた量の液体を吸引し、又そのストローク長に応じた量の液体を吐出するように構成される。分注ユニット202は、シリンジ203をZ軸方向に移動させるためのアクチュエーター(図示せず)と、ノズル204内のプランジャーをZ軸方向に移動させるためのアクチュエーター(図示せず)とを含む。これらアクチュエーターはいずれも、制御部24による指示に従って動作する。
開閉ユニット205は、保持部23に保持されている容器25の蓋に接触して該蓋を自動的に開閉するための突起部を備える開閉機構を含む。開閉ユニット205は、制御部24による指示に従って動作する。
光学ユニット201は、励起用の光を容器25中の検体に照射し、それに対して検体から放出される蛍光を検出することによって、該検体に含まれる感染症ウイルス又は遺伝子を解析するものである。光学ユニット201は、赤、緑、青の三つの波長に対応する蛍光検出をそれぞれ実施し、その検出結果を制御部24に出力する。光学ユニット201は、発光ダイオード(LED)などの光源、光源から出射した光を検体に照射するとともに検体から発した蛍光を集める光学系、検体から放出される蛍光を検出しデジタルデータとして出力するフォトダイオード(PD)を含む検出器、などを含む周知の構成を用いることができる。
この検査装置2では、例えば検査対象のプール検体は各々プール検体容器55に収容され、上述したプール検体ラック52に収納された状態で保持部23にセットされる。プール検体ラック52は、4本のプール検体容器55がX軸方向に並ぶようにセットされる。これは個別検体でも同様である。この検査装置2では、4個のプール検体又は個別検体に対して並行して検査が実施され得る。
図6は、保持部23に、一つのプール検体又は個別検体を検査するのに必要な部材が装着された状態を示しており、PCR容器25Aは四つで1セット、試薬容器25Bも四つで1セット、分注チップ25Cは三つで1セットである。四つの試薬容器にはそれぞれ、検体処理液、反応液、プライマー/プローブ液、酵素液が予め収容されている。通常、これらは少なくとも一つの検体の分析に必要な量の試薬が予め封入された状態で1セットで試薬キットとして提供されるものである。
[プール検査法を実施する際の作業手順]
本検査システムにおけるプール検査の手順を説明する。図7及び図8は、前処理装置1における検体前処理作業を含むプール検査法による検査の手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、四つの個別検体から一つのプール検体を調製する場合を例に挙げて説明する。
まず、検査担当者(以下、「担当者」という)は、プール検査法での検査に必要な以下のものが揃っているか否かを確認する(ステップS1)。
・それぞれ個別検体(被検者から採取された検体)が収容されている個別検体容器54(最大16個)。
・空のプール検体容器55(最大で4個)。
・分注チップ56(最大16個)。これは個別検体容器54の数と同数。
・プール検体ラック52(1個)。
・個別検体ラック51A-51D(最大4個)。
・コンテナ50(1個)。
担当者は、前処理装置1の分注チップ保持部121に分注チップ56をセットする(ステップS2)。
また、担当者は、空のプール検体容器55をプール検体ラック52にセットする(ステップS3)。
また、担当者は、個別検体が収容された個別検体容器54を、それぞれ対応するプールグループ用の個別検体ラック51A-51Dにセットする(ステップS4)。なお、ステップS2~S4の順序は適宜入れ替え可能である。
担当者は、制御・処理装置30において前処理装置管理ソフトウェアを起動させる。これにより、図1に示した前処理装置管理部300が能動化される。担当者が操作部32で所定の操作を行うと、前処理装置管理部300は、図9に一例を示すような、所定形式の検体情報入力画面60を表示部33に表示する。担当者は、この検体情報入力画面60上で、ステップS4においてセットした全ての個別検体についての検体情報を入力する(ステップS5)。この入力は担当者が操作部32からw手入力してもよいし、個別検体容器54に貼付されているバーコードをバーコードリーダー4で読み取ることによって自動的に入力することもできる。
図9に示す例では、検体情報入力画面60には、左側に検体マップ61、右側に管理テーブル62が表示される。
検体マップ61は、図3に示したようなコンテナ50の上面図に対応する模式的な図であり、5個の個別検体ラックと1個のプール検体ラックに対応するオブジェクトが示される。
管理テーブル62は、検体マップ61において縦方向に並ぶ5個の個別検体を含むプールグループにそれぞれ対応する四つのタブを有する。管理テーブル62の各タブには、そのタブに対応する個別検体ラックの番号P1~P4と、その個別検体ラックにセットされる4個(最大で5個)の個別検体容器の番号、例えばA1~A5が示されている。また、管理テーブル62中の各行にはそれぞれ、実施の有無を示すチェックボックスのほか、検体ID、検体名、被検者名、検体採取日、サンプルコメントなどの検体情報の入力欄が設けられている。これは検体情報の一例であり、一部を省いたり別の項目を追加したりしてもよい。
図9では、管理テーブル62中のプールAのタブが開かれており、それに対応して検体マップ61中のプール検体及び個別検体の位置が明示されている。これにより、担当者は、自分が入力しようとしているプールグループがコンテナ50内のどの位置にある個別検体ラック内の容器に対応するものであるのかを、視覚的に容易に把握することができる。担当者は、検体情報を入力したいタブを開き、入力したい個別検体の行の実施チェックボックスをクリック操作する。この操作に応じて、前処理装置管理部300は、そのチェックボックスにチェックマークを入れ、その行の入力欄への入力を可能とする。その状態で、担当者は各入力欄に必要な情報を入力する。そうして担当者は、検査対象である全ての個別検体についての検体情報を入力する。また、プール検体についても、少なくとも検体IDを検体情報として入力する。
上記の入力操作の際には、担当者が、検体マップ61上で検体情報を入力したい個別検体の位置をクリック操作すると、管理テーブル62において、その個別検体に対応するチェックボックスにチェックマークが入力されるようにしてもよい。
また、管理テーブル62において適宜の行の任意の欄をクリック操作することによって、その行のチェックボックスにチェックマークが入力されるようにしてもよい。
また、或る一つの個別検体についての検体情報の入力が終了すると、検体マップ61上でその個別検体に対応する容器の表示の態様が変化するようにしてもよい。
また、例えば実施チェックボックスにチェックマークが入っているにも拘わらず検体IDが入力されていない場合、或いは逆に、検体IDが入力されているのに実施チェックボックスにチェックマークが入っていない場合には、担当者の入力誤りの可能性があるので、次の工程に進めない(具体的には、「開始」ボタン63の操作が受け付けられない)ようにしてもよい。
このような様々な入力の制約等によって、ユーザーによる入力ミスや作業ミスの発生を回避することができる。
また、検体の取違いを防止するために、検体IDは重複することがないように規定されている。そこで、前処理装置管理部300は、検体IDが入力されたとき、検体情報入力画面60上で検体IDの重複がないか否かをチェックする。また、前処理装置管理部300は、データベース管理部302を通してデータベース31に既に登録されている検体情報における検体IDを確認し、入力された検体IDがすでに使用されていていないかどうかをチェックする。そうしたチェックの結果、検体IDが重複していた場合には警告報知を行い、別の検体IDの入力を促す。これにより、個々の検体やその検査結果を管理するために最も重要である検体IDが重複して使用されることを回避することができる。
なお、担当者が全ての入力操作をやり直したい場合には、「再初期化」ボタン65をクリック操作すればよい。この操作を受けて前処理装置管理部300は、その時点で管理テーブル62に入力されていた情報を全てクリアする。
個別検体及びプール検体についての検体情報の入力が全て終了したならば、担当者は、プール検体ラック52及び4個の個別検体ラック51A-51Dをそれぞれをコンテナ50の所定位置にセットする(ステップS6)。上述したように、プール検体ラック52は決まった向きでのみコンテナ50にセット可能である。また、個別検体ラック51A-51Dをそれぞれセットすべき個別検体ラック収納部500の位置は、該ラック51A-51Dにそれぞれ付与されている色と色標識部503のラベルの色とを合わせることで一意に決まる。それにより、担当者は判断に迷うことなく、個別検体ラック51A-51Dと個別検体ラック収納部500とを対応付けることができる。
また、仮に、担当者が個別検体ラック51A-51Dを対応しない個別検体ラック収納部500に装着しようとした場合であっても、上述した位置規制構造のために装着することができない。装着しようとしている個別検体ラック51A-51Dの向きが逆である場合も同様に、位置規制構造のために装着することができない。結果的に、個別検体ラック51A-51Dはそれぞれ対応する個別検体ラック収納部500にしか装着され得ず、その対応は一意に決まる。そのため、ステップS5において担当者が入力した検体情報と、実際にコンテナ50に収納されている個別検体との食い違いが生じることを防止することができる。
続いて、担当者はコンテナ50を前処理装置1のコンテナ収納部120にセットする(ステップS7)。図4に示すように、コンテナ収納部120にはその内側面から内方に突出する位置規制片120aが設けられている。一方、コンテナ50には、位置規制片120aに対応する位置に切欠き20aが形成されている。そのため、コンテナ50についても個別検体ラック51と同様に、逆向きの装着が物理的に阻止される。これにより、担当者は、コンテナ50をコンテナ収納部120に適切に装着することができる。
そのあと、担当者は、表示部33に表示されている検体情報入力画面60上の「開始」ボタンをクリック操作する。この指示を受けて前処理装置管理部300は、検体情報入力画面60の各タブにそれぞれ入力されている検体情報を、データベース管理部302を通してデータベース31に格納する。検体情報は検体IDをキーとする情報であり、検体ID以外の情報は検体IDに対し関連付けられる補助的な情報である。それ故に、上述したように、検体IDの重複は許容されない。また、プール検体の検体情報とその元である複数の個別検体の検体情報は互いに関連付けて保存される。
併せて、前処理装置管理部300は、入力された検体情報に基く前処理動作の指令を、前処理装置1の制御部14に送る。即ち、前処理の実行を指示する(ステップS8)。この指令を受けた制御部14は、分注ユニット10、移動部11、13等をそれぞれ制御することで、プール検体の調製処理を実行する(ステップS9)。具体的に、前処理装置1では、次のような処理を実行する。
制御部14は、まず、シリンジ100のノズル101に1個の分注チップ56を装着し、個別検体ラック51Aに保持されている一番目(図3中では最も下側)の個別検体容器54中から所定量の個別検体を吸引してY軸方向に同じ位置にあるプール検体容器55へ分注するように、分注ユニット10、移動部11、13をそれぞれ制御する。そのあと、制御部14は、使用済みの分注チップ56をチップ廃棄部122に廃棄するように、分注ユニット10、移動部11、13をそれぞれ制御する。
次いで、制御部14は、シリンジ100のノズル101に新しい分注チップ56を装着し、個別検体ラック51Aに保持されている二番目の個別検体容器54中から所定量の個別検体を吸引して先のプール検体容器55へ分注するように、分注ユニット10、移動部11、13をそれぞれ制御する。そのあと、使用済みの分注チップ56をチップ廃棄部122に廃棄する。
同様の動作を、個別検体ラック51Aに保持されている三番目、四番目の個別検体容器54についても実施することで、4個の個別検体を1個のプール検体容器55に分注する。そのあと、制御部14は、最後に使用した分注チップ56がノズル101に装着されている状態で、シリンジ100を上下に所定回数往復動させることによって分注された検体を撹拌するように、分注ユニット10及び移動部11、13を制御する。
こうして、1個の個別検体ラック51Aに保持されている4個の個別検体容器54中の検体を混合したプール検体が調製される。
次に、同様にして、個別検体ラック51Aの隣にある個別検体ラック51Bに保持されている4個の個別検体容器54中の検体を混合したプール検体が、プール検体ラック52中の左から二番目のプール検体容器55に調製される。個別検体ラック51C、51Dについても全く同様である。一個の個別検体の吸引には一個の分注チップ56が使用されるため、4個のプール検体の調製がなされることで、用意された全ての分注チップ56が使用される。
前処理装置1において全ての処理が終了すると、制御部14からの通知を受けた前処理装置管理部300は、前処理が終了した旨を表示部33に表示する。また、前処理装置1では、ブザーなどの警告音によって担当者の注意を喚起し得る。こうした報知を受けて担当者は、コンテナ50を前処理装置1から取り出す(ステップS10)。
担当者は、取り出したコンテナ50からプール検体ラック52を取り出す。取り出されたプール検体ラック52には、それぞれプール検体が収容されたプール検体容器55が保持されている。担当者は、プール検体ラック52を検査装置2まで搬送し、検査装置2の保持部23にそのままセットする(ステップS11)。このようにして、前処理装置1において調製されたプール検体がそれぞれ収容されている4個のプール検体容器55を、プール検体ラック52から出すことなく検査装置2にセットすることができる。これにより、複数のプール検体を検査装置2にセットする過程でのプール検体の取り違いも回避することができる。
上記ステップS11においてコンテナ50からプール検体ラック52が取り出されたあと、担当者は、個別検体ラック51A-51Dが収納されたままのコンテナ50を冷蔵庫等の保管設備に一時保管する。原則として、そのコンテナ50に収容された検体の検査結果が出るまでは、コンテナ50からの個別検体ラック51A-51Dの取り出しは行わないものとする。
そのあと、担当者は、制御・処理装置30において所定の検査装置管理ソフトウェアを起動させる(ステップS12)。これにより、図1に示した検査装置管理部301が能動化される。担当者が操作部32で所定の操作を行うと、検査装置管理部301は、図10に一例を示すような、PCR検査画面70を表示部33に表示する。このPCR検査画面70の右側には、4個の検体(今の例ではプール検体)をタブ切替えによって選択可能な検査結果表示領域71が配置されており、左側には「検体情報入力」ボタン74が配置されている。
続いて、次のようにして担当者は、検査対象であるプール検体に関する検体情報を入力する(ステップS13)。
プール検査を行う場合、担当者はPCR検査画面70上の「検体情報入力」ボタン74をクリック操作する。検査装置管理部301はこの操作を受けて、図11に一例を示すような検体情報入力画面80を、PCR検査画面70の上に重ねて又は並べて表示する。
なお、図1に示した例のように、制御・処理装置30に稼働可能である状態の複数の検査装置2が接続されている場合には、検体情報入力画面80に先立って装置の選択画面が表示され、担当者はその画面上でコンボボックスから、検査に使用する装置を一つだけ選択する。そのあと、その装置選択画面上に配置されている「次へ」ボタンをクリック操作すると、検体情報入力画面80へと移行する。
この検体情報入力画面80は、検査装置2における検査対象の検体の情報を入力するための画面である。図11に示すように、検体情報入力画面80には、上側に、検査全般に関する情報を入力するための検査情報入力領域81が配置され、下側に検査対象である4個の検体についての検体情報が一覧となっている検体情報テーブル82が配置されている。前処理装置1を使用せずに(つまりはプール検査法ではない個別検査で)個別検体を検査する際には、この検体情報テーブル82に各検体についての検体情報を一つ一つ入力する必要がある。
これに対し、プール検査法では、前処理の際に入力しデータベース31に保存されている検体情報を利用して、検査装置2における検査対象の検体情報の入力作業を簡略化することができる。即ち、担当者は、検体情報テーブル82において検体情報を入力したい行(つまりは検体1~検体4のいずれかに対応する行)の検体ID欄にカーソルを移動し、マウス等による右クリック操作を行う。この操作に応じて検査装置管理部301は、作業メニューをドロップダウンメニューとして表示する。担当者はそのメニューの中で「前処理装置管理ソフトウェアで登録した検体情報から選択する」の作業項目を選択して指示する。すると、検査装置管理部301は、図12に一例を示すような検体選択画面90を、検体情報入力画面80の上に重ねて又は横に並べて表示する。
この検体選択画面90は、検体情報テーブル82上で指定された行に差し込むべき検体を選択するための画面である。図12に示すように、検体選択画面90には、下側に、データベース31に格納されている検体の一覧を示す管理検体一覧テーブル91が配置され、上側に、管理検体一覧テーブル91に表示する内容(検体の種類)を絞るための絞り込み条件を示す絞り込み条件選択領域92が配置されている。
図示した例では条件による絞り込みはなされていないが、絞り込み条件選択領域92に示されている絞り込み条件の一つにチェックマークが付されると、検査装置管理部301は、データベース管理部302を通してデータベース31から取得した検体情報を、その条件に応じて絞り込んで管理検体一覧テーブル91に掲載する。これにより、例えばプール検体のみの検体情報や未検査である検体の検体情報のみを確認することができる。なお、図12では、図が煩雑になるのを避けるため管理検体一覧テーブル91の各欄が空欄であるが、実際には、すでにデータベース31に登録されている様々な情報が各欄に表示される。
管理検体一覧テーブル91における1行は一つの検体(個別検体又はプール検体)に対応する。この場合、検体情報入力画面80の検体情報テーブル82における一つの行は一つのプール検体であるから、担当者は、管理検体一覧テーブル91に表示されている検体情報を参照してプール検体である一つの行を選択する。検査装置管理部301は、この操作を受けて選択されたプール検体についての検体情報を、検体情報テーブル82の指定された行の各欄に自動的に差し込む処理を行う。担当者は、検体情報入力画面80の検体情報テーブル82における四つの検体にそれぞれ対応する行に、それぞれ該当するプール検体の検体情報を差し込む処理を行う。即ち、前処理装置1での前処理の際にデータベース31に登録した検体情報を、そのまま検査装置2における検査の際にも利用することで、再度の面倒な入力作業を簡略化することができる。
また、前処理装置1において調製したプール検体をバーコードで管理する場合には、バーコードを利用して再度の面倒な入力作業を簡略化することができる。即ち、図11に示すような検体情報入力画面80が表示された状態で、担当者は、検体情報テーブル82において検体情報を入力したい行の検体ID欄にカーソルを移動し、その検体ID欄を選択指示する。その状態で、担当者は、バーコードリーダー4を用い、プール検体容器55に貼付されているバーコードを読み取らせる。或いは、担当者が、バーコードに記載されている数字を手入力する。この入力操作を受けて検査装置管理部301は、データベース管理部302により、入力されたバーコードで示される検体IDに対応する検体情報をデータベース31において検索する。そして、該当する検体IDがヒットすると、それに対応する検体情報をデータベース31から読み出し、検体情報テーブル82の各欄に差し込む。なお、検索の結果、該当する検体情報がデータベース31に存在しなければ、検体の取違い、検体情報の入力ミス等が想定されるため、警告を報知して担当者の注意を喚起する。
上述したいずれかの方法によって、担当者による面倒な入力作業を簡略化しながら、検査装置2での検査対象であるプール検体についての検体情報を確実に且つ間違いなく入力することができる。入力が終了したならば、担当者は、検体情報入力画面80上の「検査開始」ボタン83をクリック操作することで検査開始を指示する。検査装置管理部301は、設定された検体情報に基く検査動作の指令を、指定された検査装置2の制御部24に送る。即ち、検査装置2に対し検査の実行を指示する(ステップS14)。
指令を受けた制御部24は、光学ユニット201、分注ユニット202、開閉ユニット205、移動部21、22、温調保持部231等をそれぞれ制御することで、最大4個のプール検体に対するPCR検査を実行する(ステップS15)。具体的に、検査装置2では、次のような処理を実行する。なお、検査に先立って、担当者は、PCR容器25A、試薬容器25B、分注チップ25Cをそれぞれ保持部23の所定位置にセットしておく。
制御部24は、まず、シリンジ203のノズル204に1個の分注チップ(ロングチップ)25Cを装着し、プール検体容器55中から所定量aのプール検体を吸引してPCR容器25Aの一つへ分注するように、分注ユニット202、移動部21、22をそれぞれ制御する。そのあと、制御部24は、使用済みの分注チップ25Cをチップ廃棄部(図示せず)に廃棄するように、分注ユニット202、移動部21、22をそれぞれ制御する。
次いで、制御部24は、シリンジ203のノズル204に1個の分注チップ(ショートチップ)25Cを装着し、先のPCR容器25Aから所定量b(<a)のプール検体を吸引して別のPCR容器25Aへ分注するように、分注ユニット202、移動部21、22をそれぞれ制御する。そのあと、制御部24は、使用済みの分注チップ25Cをチップ廃棄部に廃棄するように、分注ユニット202、移動部21、22をそれぞれ制御する。なお、ロングチップを用いてプール検体を所定量a採取して一つのPCR容器25Aに一時的に分注したあと、ショートチップを用いてプール検体を所定量b採取して別のPCR容器25Aに分注するのは、所定量bを正確に分注するためである。従って、こうした手順は必須ではない。
次に、プール検体を採取したPCR容器25Aに、試薬容器に収容されている検体処理液を所定量添加する処理を行う。引き続いて、検体処理液が添加されたPCR容器25Aを加熱及び急冷する処理を実施する。具体的には、例えば、制御部24はそのPCR容器25Aを加熱して検体温度を90℃に5分間維持し、そのあと、そのPCR容器25Aを急冷して検体温度を20℃(常温)に戻すように温調保持部231の温調部を制御する。続いて、そのPCR容器25Aに反応液、プライマー/プローブ液、試薬混合液を順にそれぞれ所定量添加する処理を行う。
次に、制御部24は、PCR容器25Aに対し所定のサーマルサイクル処理を行い、さらに遺伝子を増幅させる増幅処理を繰り返し行うように、温調部を制御する。1サイクルの増幅処理が終了する度に、制御部24は、PCR容器25A内の液温度を60℃に維持した状態で、3波長蛍光検出を実行するように、光学ユニット201等を制御する。なお、開閉ユニット205は、上記のような試薬を採取する際に、試薬容器25Bなどの蓋の開閉を実行する。
増幅処理の繰り返しの過程で実施される3波長蛍光検出で得られたデータは、制御部24において処理される。その処理結果が制御・処理装置30に送られ、検査装置管理部301はその検査結果を表示部33の画面上に表示する。その検査結果は、図13(B)に一例を示すように、PCR検査画面70内の検査結果表示領域71中に増幅曲線グラフ72及びCt値テーブル73として示される。なお、検査結果のデータは、検体情報入力画面80上の検査情報入力領域81に含まれるファイル保存先として指定されたファイルに格納され、データベース31又は制御・処理装置30内の他の記憶装置に保存される。
検査が終了すると、医師は上記のような表示部33の画面上で検査結果を確認する(ステップS16)。4個のプール検体に対しそれぞれ検査結果が得られる。そして、ウイルス感染の陽性であると判定され得るプール検体がない(ステップS17においてNoである)場合には、個別検体についての再検査は不要であるので一連の作業を終了する。一方、ウイルス感染の陽性であると判定され得るプール検体がある場合には、ステップS17からS18へ進む。
陽性のプール検体がある場合、そのプール検体の調製元である複数の個別検体のうちの少なくとも一つが陽性である可能性が高い。そのため、例えば医師から指示を受けた担当者が、それら複数の個別検体についての再検査を実施する。その際には、検査装置2での検査対象は個別検体であるから、本来は、個別検体の検体情報を改めて入力する必要がある。それに対し、この検査システムでは、次のようにしてプール検体に対応する複数の個別検体の検体情報が自動的に入力される(ステップS19)。
具体的には、担当者は、図13(A)に示すような、検査中及び検査終了後に表示されるPCR検査画面70の検査結果表示領域71において、陽性である検体(この例では検体1)のタブを開き、増幅曲線グラフ72の領域内で右クリック操作を行う。或いは、過去の検査結果を確認するために任意のデータファイルを指定することで図13(B)に示すような結果確認画面71Aを表示させ、担当者は、その画面71A内の増幅曲線グラフ72上で右クリック操作を行う。すると、これらの操作に応じて検査装置管理部301は、作業メニューをドロップダウンメニューとして表示する。担当者はその中で「このプール検体に含まれる個別検体の検査を行う」の作業項目を選択する。なお、このドロップダウンメニューは、プール検査法の場合にのみ表示される。
検査装置管理部301は、図14に一例を示すような検体情報入力画面80を表示部33に表示する。また、検査装置管理部301は、データベース管理部302を通して、指示されたプール検体に関連付けられている複数の個別検体、つまりはそのプール検体の調製元である個別検体についての検体情報をデータベース31から取得する。そして、その検体情報を検体情報テーブル82の各欄に差し込む。つまり、番号がP1であるプール検体が陽性である場合には、図14中に示すように、検体情報入力画面80に重ねて表示される検体マップ61中に点線で示す4個の個別検体についての検体情報が、自動的に検体情報テーブル82の各欄に差し込まれる。これにより、再検査の対象である個別検体の検体情報の入力作業が簡略化される。また、担当者が誤った検体情報を入力することも回避することができる。なお、図14中に示す検体マップ61は、検体情報入力画面80内に表示してもよいし或いは表示しなくてもよい。
上述したように個別検体の検体情報の入力作業を終えたならば、担当者は、冷蔵庫からコンテナ50を取り出し、陽性と判定されたプール検体に対応付けられている個別検体ラック51A-51Dをコンテナ50から取り出す。プール検体ラック52において、陽性であったプール検体が収容されていたプール検体容器55の容器保持部520の色は判明しているので、担当者は、それと同じ色が付与されている個別検体ラック51A-51Dを取り出せばよい。これにより、検査結果が陽性ではないプール検体に対応する個別検体ラック51A-51Dを担当者が取り出してしまうミスを低減することができる。
担当者は、コンテナ50から取り出した個別検体ラック51にアダプターとしてのハンドルを装着し、ハンドルを把持して検査装置2まで搬送し該装置2にセットする(ステップS20)。個別検体ラック51を検査装置2にセットしたあとは、ステップS13~S16で述べたプール検体に対する検査及びその検査結果の確認と同様の手順で、個別検体ラック51に保持されている4個の個別検体容器54中の個別検体に対する検査をそれぞれ実行する(ステップS21)。そして、医師が各個別検体に対する検査結果をそれぞれ確認する(ステップS22)。それによって、いずれの個別検体が陽性であるのかを特定することができる。
以上のように、本実施形態の検査システムによれば、検査担当者が関わる様々な作業を簡略化、省力化するとともに、作業上のミスやミスとまでは言えない注意不足等に起因する検体の取違いなどを防止し、信頼性の高いプール検査を行うことができる。
なお、上記実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、追加、修正を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
例えば、上述した前処理装置1や検査装置2の具体的な構成は単に一例にすぎず、各装置1、2の構成を適宜に変更可能であることは当然である。
また、検体情報を入力するため又は検査結果を確認するための画面などにおける、各要素の配置や形状を含む表示の態様は、単に一例であり、適宜に変更することができることは当然である。また、そうした画面上での操作の手順や具体的な操作の内容も単に一例であって、適宜に変更することができることは当然である。
[種々の態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)本発明に係る検査方法の一態様は、複数の個別検体を混合してプール検体を調製する前処理装置と、プール検体又は個別検体を分析する検査装置と、前記前処理装置及び前記検査装置とそれぞれ通信可能である管理用端末と、前記管理用端末からアクセス可能であるデータベースと、表示部と、を備える検査システム、を用いた検体プール検査法による検査方法であって、
前記前処理装置におけるプール検体の調製前に、前記管理用端末に搭載されている前処理装置管理用のソフトウェアにおいて、ユーザーの操作による個別検体及びプール検体に関する検体情報の入力を受け付ける検体情報入力工程と、
前記検体情報入力工程で受け付けられた検体情報を前記データベースに保存する情報保存工程と、
前記検査装置での一又は複数のプール検体に対する分析の結果を前記表示部に表示するプール検査結果表示工程と、
前記プール検体の少なくとも一つが陽性であった場合に、前記管理用端末に搭載されている検査装置管理用のソフトウェアにおいて、特定のプール検体の指定又は選択を受け付ける検体指定工程と、
前記検体指定工程で指定又は選択されたプール検体に関連付けられている複数の個別検体の検体情報を前記データベースから取得し、その取得した検体情報を、前記検査装置における検査対象の検体の検体情報を設定するための検体情報入力画面の所定位置に差し込んで前記表示部に表示する検体情報入力工程と、
を有する。
第1項に記載の検査方法における検査の種類は特に限定されないが、一例として、ウイルス感染症の感染の有無の検査である。その場合、個別検体は被検者から採取された唾液、鼻咽腔拭い液、血液、尿などの生体試料由来の検体である。
第1項に記載の検査方法において、管理用端末はパーソナルコンピューターを含むコンピューターである。前処理装置管理用のソフトウェア及び検査装置管理用のソフトウェアは、コンピューターに予めインストールされたそれぞれ異なるアプリケーションソフトウェア(コンピュータープログラム)である。
また、データベースは管理用端末に内蔵されていても管理用端末とは別体であってもよい。つまり、コンピューターに内蔵されたハードディスドライブやソリッドステートドライブなどの記憶装置に上記データベースが構築されるようにしてもよいし、或いは、コンピューターとは別の記憶装置に上記データベースが構築されるようにしてもよい。
第1項に記載の検査方法では、検体プール検査法による検査に際し、ユーザー(検査担当者)は、前処理装置でプール検体の調製を実施するのに先立って、管理用端末において前処理装置管理用のソフトウェア上のユーザーインターフェイスにより、混合される複数の個別検体や混合したあとのプール検体に関する検体情報を入力する。入力された検体情報はデータベースに保存される。前処理装置で調製されたプール検体は検査装置で分析されるが、その分析結果からプール検体は陽性である場合と陰性である場合とがある。
複数のプール検体のうちの或るプール検体が陽性であった場合、ユーザーは、管理用端末において検査装置管理用のソフトウェア上のユーザーインターフェイスにより、陽性であったプール検体を指定する又は選択する。この指定又は選択の操作は、例えばポインティングデバイスによるクリック操作で行えるようにすることができる。例えば複数のプール検体の中から或る一つのプール検体が選択されると、そのプール検体に関連付けられている複数の個別検体の検体情報がデータベースから読み出され、検体情報入力画面の所定位置に差し込まれて表示部に表示される。
即ち、第1項に記載の検査方法では、陽性であったプール検体を指定する又は選択するだけで、そのプール検体の元である複数の個別検体についての検体情報が、検査装置で検査の対象である検体の情報として自動的に設定される。これにより、検体プール検査法で個別検体を再検査する際における、検体情報の入力作業に掛かる検査担当者の負担を軽減し、検査効率の改善を図ることができる。また、陽性であるプール検体の元である個別検体の検体情報が間違い無く入力されるため、プール検体と個別検体との対応付けの誤りや個別検体の取違いなどのミスを防止することができ、検査の信頼性を高めることができる。
(第2項)第1項に記載の検査方法において、前記検査装置はPCR検査装置であり、該検査装置による分析の結果はPCRの増幅曲線であるものとすることができる。
第2項に記載の検査方法によれば、PCR検査を効率的に且つ正確に実施することができる。
(第3項)第1項又は第2項に記載の検査方法は、前記検体情報入力画面に配置されている所定のボタンがクリック操作されたのに応じて、前記検査装置における分析を開始する分析実行工程、をさらに有するものとすることができる。
例えば、上記検体情報入力工程が実行されることで、検体情報入力画面に検査対象である複数の個別検体の検体情報が設定され、ユーザーがそれに対応する個別検体を検査装置にセットしたうえで、検体情報入力画面内の所定のボタンをクリックする操作を行うと、検査装置ではセットされた複数の個別検体に対する分析が開始される。これにより、ユーザーは個別検体をセットするという作業を除き、検体情報入力画面に自動的に設定された検体情報を確認し、同じ画面上のボタンをクリックするというごく簡単な操作を行うだけで、個別検体の再検査の実行を指示することができる。
(第4項)第1項~第3項のいずれか1項に記載の検査方法において、前記検体指定工程では、特定のプール検体の検査結果の指定又は選択を受けて該プール検体が指定又は選択されたものと判断することができる。
通常、PCR検査では増幅曲線が陽性、陰性の判断に利用される。第4項に記載の検査方法では、例えば増幅曲線が表示されている画面上において陽性であるプール検体を選択することができるので、作業に無駄な操作がなくなり、作業効率を向上させるのに有利である。
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載の検査方法において、前記検体情報入力工程では、前記取得した検体情報が差し込まれた検体情報入力画面内に又は該画面とともに、前記前処理装置において個別検体が収容された個別検体容器と調製後のプール検体が収容されるプール検体容器とがセットされる作業面に対応した容器配置情報、を表示することができる。
第5項に記載の検査システムでは、ユーザーは、検体情報入力画面に差し込まれた検体情報に対応する個別検体が置かれていた位置を、容器配置情報で確認することができる。これにより、例えば差し込まれた検体情報が一つのプール検体を調製するのに使用された個別検体に対応しているか否かを確認することができ、容器の搬送やセット等で発生し得る個別検体の取違いをより一層確実に回避することができる。
(第6項)また、本発明に係る検査システムの一態様は、検体プール検査法による検査を行う検査システムであって、
複数の個別検体を混合してプール検体を調製する前処理装置と、
プール検体又は個別検体を分析する検査装置と、
前記前処理装置及び前記検査装置とそれぞれ通信可能であって、入力部及び表示部を含み、前記前処理装置及び前記検査装置における各々の動作を独立に制御する制御装置と、
前記制御装置からアクセス可能であるデータベースと、
表示部と、
を備え、前記制御装置は、
前記前処理装置でのプール検体の調製前に、前記入力部を通した、複数の個別検体及びプール検体に関する検体情報の入力を受け付けるとともに、受け付けられた検体情報を前記データベースに保存する前処理装置管理部と、
前記検査装置での一又は複数のプール検体に対する分析の結果を前記表示部に表示し、前記入力部を通した、陽性であったプール検体の指定又は選択を受け付け、指定又は選択されたプール検体に関連付けられている複数の個別検体の検体情報を前記データベースから取得して、取得した検体情報を、前記検査装置における検査対象の検体の検体情報を設定するための検体情報入力画面の所定位置に差し込んで前記表示部に表示する検査装置管理部と、
を備える。
第6項に記載の検査システムを利用することで、第1項に記載の検査方法を実施することができ、検査担当者に掛かる負担を軽減しながら、効率的に検体プール検査を遂行することができる。また、プール検体で陽性が発生した場合でも、的確に且つ迅速に陽性である個別検体を特定することができ、検体プール検査の信頼性を高めることができる。
1…前処理装置
10…分注ユニット
100…シリンジ
101…ノズル
11、13…移動部
12…作業テーブル
120…コンテナ収納部
120a…位置規制片
121…分注チップ保持部
122…チップ廃棄部
14…制御部
2…検査装置
20…検査部
201…光学ユニット
202…分注ユニット
203…シリンジ
204…ノズル
205…開閉ユニット
21、22…移動部
23…保持部
231…温調保持部
232…非温調保持部
24…制御部
25…容器
25A…PCR容器
25B…試薬容器
25C…分注チップ
30…制御・処理装置
300…前処理装置管理部
301…検査装置管理部
302…データベース管理部
31…データベース
32…操作部
33…表示部
4…バーコードリーダー
5…通信線
50…コンテナ
500、500A~500D、501…個別検体ラック収納部
502…プール検体ラック収納部
503…色標識部
51、51A~51E…個別検体ラック
510、520…容器保持部
52…プール検体ラック
53…ハンドル
54…個別検体容器
55…プール検体容器
56…分注チップ
60…検体情報入力画面
61…検体マップ
62…管理テーブル
63…「開始」ボタン
65…「最初期化」ボタン
70…PCR検査画面
71…検査結果表示領域
71A…結果確認画面
72…増幅曲線グラフ
73…Ct値テーブル
74…「検体情報入力」ボタン
80…検体情報入力画面
81…検査情報入力領域
82…検体情報テーブル
90…検体選択画面
91…管理検体一覧テーブル
92…絞り込み条件選択領域

Claims (6)

  1. 複数の個別検体を混合してプール検体を調製する前処理装置と、プール検体又は個別検体を分析する検査装置と、前記前処理装置及び前記検査装置とそれぞれ通信可能である管理用端末と、前記管理用端末からアクセス可能であるデータベースと、表示部と、を備える検査システム、を用いた検体プール検査法による検査方法であって、
    前記前処理装置におけるプール検体の調製前に、前記管理用端末に搭載されている前処理装置管理用のソフトウェアにおいて、ユーザーの操作による個別検体及びプール検体に関する検体情報の入力を受け付ける検体情報入力工程と、
    前記検体情報入力工程で受け付けられた検体情報を前記データベースに保存する情報保存工程と、
    前記検査装置での一又は複数のプール検体に対する分析の結果を前記表示部に表示するプール検査結果表示工程と、
    前記プール検体の少なくとも一つが陽性であった場合に、前記管理用端末に搭載されている検査装置管理用のソフトウェアにおいて、特定のプール検体の指定又は選択を受け付ける検体指定工程と、
    前記検体指定工程で指定又は選択されたプール検体に関連付けられている複数の個別検体の検体情報を前記データベースから取得し、その取得した検体情報を、前記検査装置における検査対象の検体の検体情報を設定するための検体情報入力画面の所定位置に差し込んで前記表示部に表示する検体情報入力工程と、
    を有する検査方法。
  2. 前記検査装置はPCR検査装置であり、該検査装置による分析の結果はPCR増幅曲線である、請求項1に記載の検査方法。
  3. 前記検体情報入力画面に配置されている所定のボタンがクリック操作されたのに応じて、前記検査装置における分析を開始する分析実行工程、をさらに有する、請求項1に記載の検査方法。
  4. 前記検体指定工程では、特定のプール検体の検査結果の指定又は選択を受けて該プール検体が指定又は選択されたものと判断する、請求項1に記載の検査方法。
  5. 前記検体情報入力工程では、前記取得した検体情報が差し込まれた検体情報入力画面内に又は該画面とともに、前記前処理装置において個別検体が収容された個別検体容器と調製後のプール検体が収容されるプール検体容器とがセットされる作業面に対応した容器配置情報、を表示する、請求項1に記載の検査方法。
  6. 検体プール検査法による検査を行う検査システムであって、
    複数の個別検体を混合してプール検体を調製する前処理装置と、
    プール検体又は個別検体を分析する検査装置と、
    前記前処理装置及び前記検査装置とそれぞれ通信可能であって、入力部及び表示部を含み、前記前処理装置及び前記検査装置における各々の動作を独立に制御する制御装置と、
    前記制御装置からアクセス可能であるデータベースと、
    表示部と、
    を備え、前記制御装置は、
    前記前処理装置でのプール検体の調製前に、前記入力部を通した、複数の個別検体及びプール検体に関する検体情報の入力を受け付けるとともに、受け付けられた検体情報を前記データベースに保存する前処理装置管理部と、
    前記検査装置での一又は複数のプール検体に対する分析の結果を前記表示部に表示し、前記入力部を通した、陽性であったプール検体の指定又は選択を受け付け、指定又は選択されたプール検体に関連付けられている複数の個別検体の検体情報を前記データベースから取得して、取得した検体情報を、前記検査装置における検査対象の検体の検体情報を設定するための検体情報入力画面の所定位置に差し込んで前記表示部に表示する検査装置管理部と、
    を備える検査システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001159635A (ja) 1999-11-30 2001-06-12 Aloka Co Ltd 検体処理システム

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