JP7503223B1 - 排ガス浄化用触媒の製造装置および排ガス浄化用触媒の製造方法 - Google Patents

排ガス浄化用触媒の製造装置および排ガス浄化用触媒の製造方法 Download PDF

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Abstract

ツバ部を有する基材に対して、ツバ部へのスラリーの付着およびハニカム構造体における未コート部の発生を抑制する製造装置を提供する。ここに開示される製造装置100は、ツバ部13を有する外筒11とハニカム構造体12とを備える基材10を保持する保持部110と、基材10に供給される触媒層形成用のスラリーの粘度を調整する粘度調整機構120と、粘度調整機構120に該スラリーを供給する供給部130と、を備えている。粘度調整機構120は、外筒11の内径よりも外径が小さい円筒形状の仕切り部材122と、複数の貫通孔が形成された多孔質プレート124と、基材10の下端10bから触媒層形成用スラリーを吸引する吸引部材126と、を備えている。

Description

本発明は、排ガス浄化用触媒の製造装置および排ガス浄化用触媒の製造方法に関する。
なお、本出願は、2023年1月31日に出願された日本国特許出願2023-012487号に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
車両等の内燃機関から排出される排ガスには、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC:Hydro-Carbon)、一酸化炭素(CO)等の有害成分が含まれる。これら有害成分を排ガス中から効率よく反応・除去するために、従来から排ガス浄化用触媒が利用されている。かかる排ガス浄化用触媒は、例えば複数の排ガス流路(セル)が隔壁で仕切られたハニカム構造の基材と、基材の隔壁の表面および/または内部に設けられた触媒層とを有している。触媒層は、排ガス成分を酸化もしくは還元することで浄化する触媒金属(例えば、パラジウム、ロジウム、白金等)を含んでいる。
このような排ガス浄化用触媒の製造方法の一例として、触媒層形成用のスラリーをハニカム基材の一方の端面に供給し、他方の端面側から吸引することによって、スラリーを基材の内部に引き込む方法が知られている(例えば、特許文献1~4)。
国際公開第2021/116684号 英国特許出願公開2578239号明細書 日本国特許出願公開2020-192524号公報 日本国特許出願公開2021-120141号公報
特許文献1および2には、底面が複数の孔を有する部材で形成された容器を基材の上側の端部に載せ置いた状態で、上記容器にスラリーを供給して、セル内と容器内とに圧力差を生じさせることで、スラリーをセル内に導入することが開示されている。本発明者らが検討した結果によれば、容器とハニカム構造体の端面とが接触している場合には、ハニカム構造体の端部において未コート部が生じることを見出した。
また、基材として、外筒の端部がハニカム構造体の端面よりも外方に突出しているツバ部を有する基材(以下、「ツバ付き基材」ともいう。)を用いることがある。本発明者らが検討した結果によれば、ツバ付き基材を用いる場合、供給されるスラリーを一時的に保持する仕切り部材をツバ部の内壁側に配置することで、ツバ部へのスラリーの付着を抑制できる。その一方で、このような仕切り部材は、配置する際にツバ部と相互にぶつかって(干渉して)、好適に配置できないことがあった。特許文献3に開示される技術をツバ付き基材に用いた場合、基材にスラリーを供給する部材と、ツバ部とが相互に干渉することや、ツバ部にスラリーが付着する虞がある。ツバ部にスラリーが付着した場合には、例えばマットと共に金属製のケースに収容される際に(いわゆるキャニングの際に)、溶接不良等が生じ得るため好ましくない。特許文献4には、エアを供給してスラリーをセル内に導入するため、目詰まりする虞がある。また、供給するエアの圧を均一にする必要があり、装置の構成が複雑になる懸念がある。したがって、ツバ付き基材を用いた場合の排ガス浄化用触媒の製造方法は、未だ改善の余地があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ツバ部を有する基材を用いた際に、ツバ部へのスラリーの付着を抑制し、ハニカム構造体において未コート部が発生することを抑制する排ガス浄化用触媒の製造装置を提供することにある。また、他の目的は、ツバ部を有する基材を用いた際に、ツバ部へのスラリーの付着を抑制し、ハニカム構造体において未コート部が発生することを抑制する製造方法を提供することにある。
上記目的を実現するべく、ここに開示される技術によって下記の構成の製造装置および製造方法が提供される。
ここに開示される製造装置(1)は、内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒の製造装置であって、外筒と、上記外筒の内部に配置され、排ガスが流動可能に形成されたハニカム構造体と、を備え、上記ハニカム構造体は上記外筒よりも筒軸方向の長さが短く、上記ハニカム構造体の端面よりも筒軸方向に向けて突出したツバ部を有する基材を、上記基材の筒軸が垂直方向と略一致するように保持する保持部と、上記基材に供給される触媒層形成用スラリーの粘度を調整する粘度調整機構と、上記粘度調整機構に上記触媒層形成用スラリーを供給する供給部と、を備えている。上記粘度調整機構は、上記外筒の内径よりも外径が小さい円筒形状の仕切り部材と、上記仕切り部材の内部または下方側の端部に配置され、上記触媒層形成用スラリーが通過できるように複数の貫通孔が形成された多孔質プレートと、上記触媒層形成用スラリーが上記多孔質プレートを通過する際に、所定のせん断力がかかるように上記基材の下端から上記触媒層形成用スラリーを吸引する吸引部材と、を備えている。ここで、上記仕切り部材の下端と上記ハニカム構造体の上方側の端面とが接触せずに対向し、かつ、上記ツバ部の内壁と上記仕切り部材の外壁とのクリアランスYが0.5mm以上3mm以下となるように上記基材と上記仕切り部材とが配置され、上記多孔質プレートを通過するときの上記触媒層形成用スラリーの粘度が690mPa・s以下となるように、上記多孔質プレートの開口径と、上記吸引部材の吸引速度とが調整される。
かかる構成によれば、ツバ部の内壁側に仕切り部材を好適に配置することができる。また、粘度調整機構によって、粘度が好適に調整されているため、スラリーがハニカム構造体の端面において好適に拡散される。これにより、外筒とハニカム構造体とツバ部とを有する基材に対しても、ツバ部へのスラリーの付着を抑制し、ハニカム構造体において未コート部が発生することを抑制する製造装置が実現される。
ここに開示される製造装置(2)では、上記製造装置(1)において、上記貫通孔の開口径は、0.3mm以上0.5mm以下である。かかる構成によれば、スラリーの粘度をより好適に調整することができる。したがって、ハニカム構造体において未コート部が発生することを抑制することができる。
ここに開示される製造装置(3)では、上記製造装置(1)または(2)のいずれかにおいて、上記吸引部材は、吸引速度が30m/s以上60m/s以下である。かかる構成によれば、スラリーの粘度をより好適に調整することができる。したがって、ハニカム構造体において未コート部が発生することを抑制することができる。
ここに開示される製造装置(4)では、上記製造装置(1)~(3)のいずれかにおいて、上記ツバ部の筒軸方向の長さLに対する上記ハニカム構造体の端面と上記仕切り部材の下端とのクリアランスXの比(X/L)が0.3~0.5となるように、上記基材と上記仕切り部材とが配置される。かかる構成によれば、ツバ部へのスラリーの付着と、ハニカム構造体における未コート部の発生をより好適に抑制することができる。
ここに開示される製造装置(5)では、上記製造装置(1)~(4)のいずれかにおいて、上記基材は、筒軸方向において上記ハニカム構造体を複数備えており、上記ツバ部の筒軸方向の長さLに対する、上記基材の筒軸方向において上方側に配置される上記ハニカム構造体の端面と上記仕切り部材の下端とのクリアランスXの比(X/L)が0.3~0.5となるように、上記基材と上記仕切り部材とが配置される。かかる構成によれば、外筒と複数のハニカム構造体とツバ部とを有する基材に対しても、ツバ部へのスラリーの付着を抑制し、ハニカム構造体において未コート部が発生することを抑制する製造装置が実現される。
ここに開示される製造方法(6)では、内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒の製造方法であって、外筒と、上記外筒の内部に配置され、排ガスが流動可能に形成されたハニカム構造体と、を備え、上記ハニカム構造体は上記外筒よりも筒軸方向の長さが短く、上記ハニカム構造体の端面よりも筒軸方向に向けて突出したツバ部を有する基材を用意する用意工程と、上記基材の筒軸が垂直方向と略一致するように上記基材を保持する保持工程と、上記基材と、上記基材の上記外筒の内径よりも小さい外径の円筒形状の仕切り部材と、を配置する配置工程と、上記仕切り部材に触媒金属を含む触媒層形成用スラリーを供給する供給工程と、上記基材に供給される上記触媒層形成用スラリーの粘度を調整する粘度調整工程と、を含む。上記配置工程では、上記ハニカム構造体の上方側の端面と上記仕切り部材の下端とが、接触せずに対向し、かつ、上記基材のツバ部の内壁と上記仕切り部材の外壁とのクリアランスYが0.5mm以上3mm以下となるように上記基材と上記仕切り部材とを配置し、上記粘度調整工程では、上記触媒層形成用スラリーの粘度が690mPa・s以下となるように粘度を調整する。
かかる構成によれば、ツバ部の内壁側に仕切り部材を好適に配置することができる。また、粘度調整工程において、粘度が好適に調整されているため、スラリーがハニカム構造体の端面において好適に拡散される。これにより、外筒とハニカム構造体とツバ部とを有する基材に対しても、ツバ部へのスラリーの付着を抑制し、ハニカム構造体において未コート部が発生することを抑制する製造方法が実現される。
ここに開示される製造方法(7)では、上記製造方法(6)において、上記配置工程では、上記ツバ部の筒軸方向の長さLに対する上記ハニカム構造体の端面と上記仕切り部材の下端とのクリアランスXの比(X/L)が0.3~0.5となるように上記基材と上記仕切り部材とを配置する。かかる構成によれば、ツバ部へのスラリーの付着と、ハニカム構造体における未コート部の発生をより好適に抑制することができる。
ここに開示される製造方法(8)では、上記製造方法(6)または(7)において、上記用意工程で用意される上記基材は、筒軸方向において上記ハニカム構造体を複数備えており、上記配置工程では、上記ツバ部の筒軸方向の長さLに対する、上記基材の筒軸方向の上方側に配置される上記ハニカム構造体の端面と上記仕切り部材の下端とのクリアランスXの比(X/L)が0.3~0.5となるように上記基材と上記仕切り部材とを配置する。かかる構成によれば、外筒と複数のハニカム構造体とツバ部とを有する基材に対しても、ツバ部へのスラリーの付着を抑制し、ハニカム構造体において未コート部が発生することを抑制する製造方法が実現される。
図1は、第1実施形態に係る排ガス浄化用触媒を模式的に示す斜視図である。 図2は、第1実施形態に係る排ガス浄化用触媒の構成を模式的に示す図である。 図3は、一実施形態に係る製造装置を模式的に示す図である。 図4は、多孔質プレートが配置された仕切り部材の一例を模式的に示す図である。 図5は、多孔質プレートが配置された仕切り部材の他の一例を模式的に示す図である。 図6は、仕切り部材が基材に配置される様子を模式的に示す図である。 図7は、一実施形態に係る排ガス浄化用触媒の製造方法の工程を示すフローチャート図である。 図8は、第2実施形態に係る排ガス浄化用触媒を模式的に示す斜視図である。 図9は、第2実施形態において、仕切り部材が基材に配置される様子を模式的に示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は、実際の寸法関係を必ずしも反映するものではない。また、本明細書において範囲を示す「A~B」(A,Bは任意の数値)の表記は、A以上B以下を意味する。
<第1実施形態>
ここに開示される製造装置を用いて製造される排ガス浄化用触媒は、種々の内燃機関、特に自動車のディーゼルエンジンやガソリンエンジンの排気系(排気管)に配置され得る。そして、かかる排ガス浄化用触媒は、当該内燃機関から排出された排ガス中の有害成分(HC、CO、NOx等)を浄化する機能を有する。
図1は、第1実施形態に係る排ガス浄化用触媒1を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示される排ガス浄化用触媒1の構造を模式的に示す図である。なお、図1および図2の矢印は、排ガス浄化用触媒1を内燃機関の排気系に配置したときに排ガスが流れる向きを示している。すなわち、図1および図2では、左側が相対的に内燃機関に近い上流側(フロント側)であり、右側が相対的に内燃機関から遠い下流側(リア側)である。また、図1および図2において、符号Dは、排ガス浄化用触媒1の筒軸方向を表している。排ガス浄化用触媒1は、筒軸方向Dが排ガスの流動方向に沿うように内燃機関の排気経路に設置される。
図1および図2に示すように、第1実施形態に係る排ガス浄化用触媒1は、ストレートフロー構造の基材10と、触媒層20と、を備えている。基材10は、排ガス浄化用触媒1の骨格を構成する部材であり、筒軸方向Dに沿って延びている。基材10は、外筒11と、外筒11の内部に配置されたハニカム構造体12とを備えている。外筒11には、筒軸方向Dの少なくとも一方の端部において、ハニカム構造体12の端面よりも筒軸方向Dの外方に向けて突出したツバ部13が設けられている。図1に示す例では、外筒11は筒軸方向Dの両端部においてツバ部13を有している。ツバ部13の内壁側にはハニカム構造体12が配置されていない。
ハニカム構造体12は、筒軸方向Dに沿って延びる複数のセル12aと、セル12aを仕切る隔壁12bと、を備えている。セル12aは、排ガスが流通可能であり、筒軸方向Dの両端が開放されている。図2に示すように、隔壁12bの表面には、触媒層20が形成されている。排ガス浄化用触媒1に流入した排ガスは、排ガス浄化用触媒1の排ガス通路内(ここでは、セル12a内)を流動している間に触媒層20と接触する。これにより、排ガス中の有害成分が浄化される。例えば、排ガスに含まれるHCやCOは、触媒層20の触媒機能によって酸化され、水や二酸化炭素等に変換(浄化)される。また、例えばNOxは、触媒層20の触媒機能によって還元され、窒素に変換(浄化)される。
触媒層20は、触媒金属を含む層である。触媒金属とは、上記したようなHC、CO、NOx等の有害成分の浄化の際に、酸化触媒及び/又は還元触媒として機能し得る金属である。このような触媒金属の例としては、白金族、すなわち、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)が挙げられる。また、上記した金属のうち2種以上が合金化したものを用いてもよい。なかでも、酸化活性が高い酸化触媒(例えばPdおよびPtのうちの少なくとも一方)、および還元活性が高い還元触媒(例えばRh)が好適な触媒金属として挙げられる。
触媒層20は、触媒金属に加えて担体を含み得る。担体は、触媒金属を担持する材料である。担体としては、特に限定されず、従来この種の触媒において用いられ得る無機化合物を用いてよい。例えば、担体は、比表面積が大きい無機多孔質体であるとよい。なお、本明細書において「比表面積」とは、特に記載のない限り、BET法により測定される比表面積を指す。担体としては、例えば、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、シリカ(SiO)、セリア(CeO)、チタニア(TiO)等の金属酸化物や、その固溶体(例えば、セリア-ジルコニア複合酸化物等)、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。
<製造装置>
図3は、ここに開示される製造装置100を模式的に示す図である。製造装置100は、基材10の筒軸が垂直方向(重力方向)と略一致するように基材10を保持する保持部110と、基材10に供給される触媒層形成用スラリーの粘度を調整する粘度調整機構120と、粘度調整機構120に触媒層形成用スラリーを供給する供給部130と、を備えている。さらに、粘度調整機構120は、基材10の上端10a側において、触媒層形成用スラリーを一時的に保持する仕切り部材122と、触媒層形成用スラリーが通過できるように複数の貫通孔が形成された多孔質プレート124と、当該スラリーが多孔質プレート124を通過する際に所定のせん断力がかかるように、基材10の筒軸方向Dの下端10b側から吸引する吸引部材126と、を備えている。また、製造装置100は、基材10と仕切り部材122とを所定位置に配置する昇降装置140をさらに含み得る。ここに開示される製造装置100では、仕切り部材122の下端とハニカム構造体12の上方側の端面12sとが接触せずに対向し、かつ、ツバ部13の内壁と仕切り部材122の外壁とのクリアランスYが0.5mm以上3mm以下となるように基材10と仕切り部材122とが配置される。そして、粘度調整機構120は、多孔質プレート124を通過するときの触媒層形成用スラリーの粘度が690mPa・s以下となるように、多孔質プレート124の貫通孔の開口径と、吸引部材126の吸引速度とが調整されている。
保持部110は、基材10を着脱可能に保持する。図示は省略するが、保持部110は、例えば昇降装置によって上下に移動可能に構成されているとよい。これにより、基材10を所望する位置に配置することができる。保持部110は、図3に示すように、後述する基材受け部126aと、供給部130の吐出部131との間で、基材10の筒軸が略垂直となるように基材10を保持する。すなわち、保持部110は、基材10(外筒11)の筒軸方向Dと垂直方向(重力方向)とが略一致するように基材10を保持する。なお、本明細書において、「垂直方向と略一致する」とは、製造装置が設置される面から延びる垂線に対して±5°程度の範囲は包含されるものとする。
保持部110は、ツバ部13を有する側の端部が上方側に配置されるように基材10を保持する。保持部110は、基材10を保持できる限りにおいて特に限定されない。保持部110は、例えば機械的に基材10を保持するメカニカルチャックや、負圧を利用して基材10を保持する真空チャック、磁力を利用して基材10を保持するマグネットチャック等であり得る。
図3に示すように、粘度調整機構120は、仕切り部材122と、多孔質プレート124と、吸引部材126と、を備えている。粘度調整機構120は、多孔質プレート124の貫通孔の開口径と、吸引部材126の吸引速度とを調整して、触媒層形成用スラリーが多孔質プレート124の貫通孔を通過するように吸引することにより、仕切り部材122に供給された触媒層形成用スラリーにせん断力をかけて、当該スラリーの粘度を好適に調整することができる。
触媒層形成用スラリーを基材10のハニカム構造体12の全体に供給するためにはスラリーをすばやく拡散させる必要があり、スラリーの粘度は所定値以下であることが求められる。また、本発明者らが検討した結果によれば、仕切り部材122の下端とハニカム構造体12の端面12sとが接触している場合には、スラリーの粘度が好適に調整されていたとしても、スラリーが好適に拡散せずハニカム構造体12の外周近傍に未コート部が発生することがある。ハニカム構造体12に未コート部が発生した場合には、当該箇所において適切な触媒機能を発揮させることができないため好ましくない。そして、ツバ部13の内壁側に仕切り部材122が配置されていない場合、ツバ部13にスラリーが付着することがある。ツバ部13にスラリーが付着した場合には、キャニング時において溶接不良等の原因となり得るため好ましくない。そこで、ここに開示される製造装置においては、基材10の内径よりも外径が小さい仕切り部材122使用する。昇降装置140は、基材10のハニカム構造体12の端面12sと仕切り部材122の下端とが接触しないよう基材10および/または仕切り部材122を配置する。そして、多孔質プレート124と吸引部材126とを用いて、触媒層形成用スラリーに所定のせん断力をかけ、多孔質プレート124を通過するときのスラリーの粘度が690mPa・s以下となるように調整する。これにより、未コート部の発生と、ツバ部13へのスラリーの付着を抑制し、基材10に触媒層20を好適に形成することができる。
仕切り部材122は、内部空間を有する部材である。仕切り部材122は、基材10の上端10a側から供給される触媒層形成用スラリーを、上記内部空間において一時的に保持(収容)する。また、仕切り部材122は、スラリーが基材10に供給される際に、その位置を調整する機能を有し得る。仕切り部材122は、両端が開口した円筒形状の部材である。仕切り部材122の材質は、耐薬品性や耐腐食性を有する材料であれば特に限定されず、金属製(例えば、ステンレス鋼製)や樹脂製(例えばポリエチレン)であっても良い。
仕切り部材122の外径が外筒11の内径よりも大きい場合には、ツバ部13の内壁側に仕切り部材122を配置することができず、ツバ部13に触媒層形成用スラリーが付着し得る。したがって、仕切り部材122の外径は外筒11の内径よりも小さく設計される。これにより、ツバ部13へのスラリーの付着を防ぐことができ、さらに、仕切り部材122とツバ部13とが相互にぶつかる(干渉する)ことなく、基材10の上端10a側から仕切り部材122を容易に挿入することができる。例えば、仕切り部材122の外径は、外筒11の内径に対して1mm~10mm程度(より好ましくは1mm~6mm)小さいとよい。具体的に例えば、仕切り部材122の外径は、15mm~195mm程度であるとよい。仕切り部材122は、上端側において、上方に向けて拡径した拡径部を有していてもよい。仕切り部材122が拡径部を有していることにより、触媒層形成用スラリーを、好適に仕切り部材122の内部に収容することができる。なお、仕切り部材122が拡径部を有する場合、上記拡径部よりも下端側の外径が外筒の内径よりも小さければ、拡径部の外径は基材の内径より大きくてもよい。
図4および図5は、仕切り部材122と多孔質プレート124とを模式的に示す図である。図6は、粘度調整機構120がハニカム構造体12の上方に配置されたときの様子を模式的に示す図である。図4および図5に示すように、多孔質プレート124は、触媒層形成用スラリーが通過できるように複数の貫通孔124hが形成された部材である。多孔質プレート124は、図4に示すように、仕切り部材122の下端122aに配置されている。ただし、多孔質プレート124は、図5に示すように、仕切り部材122の内部に配置されていてもよい。例えば、多孔質プレート124は、仕切り部材122の筒軸方向の長さを100%としたときに、下端122aから50%以下の領域に配置されていることが好ましい。これにより、供給された触媒層形成用スラリーを収容する空間を十分に確保することができる。なお、図5に示す形態では、仕切り部材122の下端122aは開口している。
多孔質プレート124は、プレートの厚み方向に沿って貫通する複数の貫通孔124hを有している。多孔質プレート124は、複数の貫通孔124hを有し、触媒層形成用スラリーが通過できるよう構成されている限りにおいて、特に限定されない。貫通孔124hは、略同じ大きさで均一に形成されていることが好ましい。貫通孔124hの平面視における形状は、四角形状や六角形状等の多角形状であってもよいし、真円形状や楕円形状等の円形状であってもよい。例えば、多孔質プレート124は、金属製または樹脂製の板状部材に複数の貫通孔124hが形成された部材(例えば、パンチングプレート)であってもよいし、金属製または樹脂製の部材を網目状に編み込むことによって複数の貫通孔124hが形成された部材(例えば、メッシュプレート)であってもよい。
吸引部材126は、基材10の上端10a側に供給される触媒層形成用スラリーを、下端10b側から吸引することで、基材10の内部にスラリーを導入する。吸引部材126は、例えば、内部空間を有する基材受け部126aと、配管126bを介して基材受け部126aの内部空間と接続する吸引装置(図示せず)と、配管126bの開閉を行う開閉バルブ126cと、を備え得る。基材受け部126aは、基材10を挿入可能なように開口が形成されている。図3に示すように、基材受け部126aの開口に基材10の下端10bを挿入することにより、基材受け部126aと基材10の外壁とが密着し、基材10の下端10bが基材受け部126aの内部空間に到達する。基材10は、基材受け部126aによって概ね垂直に保持される。この状態で吸引装置を駆動することにより、ハニカム構造体12内部のガス(例えば空気)が吸引され、触媒層形成用スラリーを基材10の内部に導入することができる。
ここに開示される製造装置100では、せん断速度が増加すると粘度が低下する性質を有する(すなわち、非ニュートン性流体である)触媒層形成用スラリーを用いて、基材10に触媒層20を形成する。ここで、触媒層形成用スラリーが多孔質プレート124を通過するときのせん断速度γ(sec-1)は、多孔質プレート124の貫通孔124hの開口径Z(mm)と、貫通孔124hをスラリーが通過するときの通過速度V(mm/s)と、を用いて、式:せん断速度γ={通過速度V/(開口径Z/2)};により算出することができる。そして、所望する触媒層形成用スラリーの25℃環境下におけるせん断速度γ(sec-1)と粘度(mPa・s)との関係を予め取得しておき、当該スラリーの粘度が690mPa・s以下となるようにせん断速度γを調整するとによって、基材10に対して好適にスラリーを供給することができる。かかるせん断速度γは、上記のとおり、多孔質プレート124の貫通孔124hの開口径Zと、吸引部材126の吸引速度とを変更することにより調整することができる。
なお、上記した通過速度V(mm/s)は、以下のようにして求めることができる。まず、多孔質プレート124上に供給された触媒層形成用スラリーの液面高さ(mm)を測定する。次いで、ハイスピードカメラを用いて、吸引部材126による吸引開始から多孔質プレート124上に供給されたスラリーが全て吸引されるまでの時間(s)を計測する。そして、上記計測した液面高さ(mm)を上記計測した時間(s)で割ることにより、通過速度V(mm/s)を求めることができる。
特に限定されないが、粘度調整機構120は、せん断速度γが150sec-1以上400sec-1以下となるように開口径Zと吸引速度とが調整されていることが好ましく、せん断速度γが200sec-1以上350sec-1以下となるように開口径Zと吸引速度とが調整されていることより好ましい。これにより、触媒層形成用スラリーの粘度を好適に調整して、未コート部の発生を抑制することができる。
多孔質プレート124の貫通孔124hの開口径Z(mm)は、25℃の環境下におけるスラリーの粘度が690mPa・s以下に調整できるような大きさであれば特に限定されない。貫通孔124hの開口径Zが大きすぎる場合には、スラリーに十分なせん断力がかからず粘度が低下しないことや、粘度調整機構120に供給された触媒層形成用スラリーが多孔質プレート124上に保持できないことがある。かかる観点からは、貫通孔124hの開口径Zは、1mmを下回ることが好ましく、0.8mm以下であることがより好ましく、0.4mm以下であることがさらに好ましい。一方で、貫通孔124hの開口径Zが小さすぎる場合には、吸引部材126によって吸引しても触媒層形成用スラリーが好適に貫通孔124hを通過できないことがあり得る。かかる観点からは、貫通孔124hの開口径Zは、0.1mmを上回ることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましい。貫通孔124hの開口径Zは、触媒層形成用スラリーが粘度調整機構120に供給された際の粘度によって変更され得るため、一概には規定されないが、例えば、0.1mmを超えて1mmを下回ることが好ましく、0.3mm以上0.8mm以下であることがより好ましく、0.3mm以上0.5mm以下であることがさらに好ましく、0.3mm以上0.4mm以下であってもよい。
吸引部材126の吸引速度は、25℃の環境下におけるスラリーの粘度が690mPa・s以下に調整できるような速度であれば特に限定されない。吸引速度は遅すぎる場合には、スラリーに十分なせん断力がかからないため、好ましくない。一方で、吸引速度が速すぎる場合には、スラリーが過剰に拡散する虞がある。吸引速度は、例えば、基材のセル内での風速が20m/s~80m/sとなるように調整されていることが好ましく、30m/s~60m/sとなるように調整されていることがより好ましい。また、吸引時間は特に限定されないが、例えば1秒~20秒程度(例えば3秒~15秒)であるとよい。
昇降装置140は、基材10および/または仕切り部材122を所定の位置に配置するように構成されている。図3および図6に示す例では、昇降装置140は、仕切り部材122を上下に移動するように構成されている。昇降装置140は、ここでは、仕切り部材122の下端122aと、ハニカム構造体12の上方側の端面12sとが接触せず対向するように、仕切り部材122を配置する。これによって、ハニカム構造体12に未コート部が発生することを抑制できる。昇降装置140は、図6に示すように、仕切り部材122の外壁122bがツバ部13の内壁13aと対向する位置に仕切り部材122を配置する。すなわち、仕切り部材122の下端122aは、ツバ部13の上端よりもハニカム構造体12の端面12s側に侵入する位置に配置される。昇降装置140は、仕切り部材122の外壁122bとツバ部13の内壁13aとが直接接触しないように、仕切り部材122を配置する。仕切り部材122の外径は、上記したとおり、外筒11の内径よりも小さく設計されている。このため、昇降装置140は、仕切り部材122とツバ部13とが干渉することなく、上記したような位置に仕切り部材122を容易に配置することができる。
昇降装置140は、基材10および/または仕切り部材122を所望する位置に配置できるように構成されている限り、特に限定されない。図3に示す例では、仕切り部材122を上下に移動させる昇降装置140を示しているが、製造装置100は、保持部110を上下させるように構成された昇降装置(図示せず)を備えていてもよい。この場合においても、仕切り部材122は、保持部110に保持された基材10のツバ部13の上方から挿入され、ツバ部13内に仕切り部材122が配置されるように構成されている。このとき、吸引部材126は、昇降装置140によって上下する保持部110および基材10と同調して上下しても良いし、吸引部材126を固定し、保持部110および基材10だけが上下してもよい。また、製造装置100は、仕切り部材122を上下に移動させるように構成される第1の昇降装置と、保持部110を上下に移動させるように構成される第2の昇降装置と、を備えていてもよい。昇降装置140は、例えば、モータ等を含む電動式の昇降装置であってもよいし、ポンプを含んだ流体圧式の昇降装置であってもよい。
ツバ部13の内壁13aと仕切り部材122の外壁122bとの距離をクリアランスY(mm)としたときに、クリアランスYが大きすぎる場合には、供給された触媒層形成用スラリーは、吸引部材126によって吸引しても適切に拡散し難く、ハニカム構造体12の端面12sにおいて未コート部が発生し得る。一方で、クリアランスYが小さすぎる場合には、仕切り部材122とツバ部13とが干渉して、基材10および仕切り部材122を好適に配置することができない。上記した観点からは、昇降装置140は、クリアランスYが0.1mmを超えて4mm以下となるように基材10および仕切り部材122を配置することが好ましく、クリアランスYが0.5mm以上3mm以下となるように基材10および仕切り部材122を配置することがより好ましい。これにより、仕切り部材122とツバ部13とが干渉することなく配置することができるため、より効率よく排ガス浄化用触媒1を製造することができる。また、かかる排ガス浄化用触媒1において、未コート部の発生を抑制することができる。
図6に示す例では、昇降装置140は、仕切り部材122の外壁122bとツバ部13の内壁13aとが対向するように仕切り部材122を基材10の上端10aから挿入して、仕切り部材122の下端122aと、ハニカム構造体12の上方の端面12sとが接触しない位置に仕切り部材122を配置する。特に限定されるものではないが、ハニカム構造体12の端面12sと仕切り部材122の下端122aとの距離をクリアランスX(mm)、ツバ部13の筒軸方向に沿う長さ(すなわち、基材10の上端10aとハニカム構造体12の上方側の端面12sとの距離)をツバ部の長さL(mm)としたときに、昇降装置140は、ツバ部の長さLに対するクリアランスXの比(X/L)が0.1を超えて0.8以下となるように基材10および仕切り部材122を配置することが好ましく、0.3以上0.5以下となるように基材10および仕切り部材122を配置することがより好ましい。これにより、触媒層形成用スラリーを適切に拡散することができ、ツバ部13への付着や、未コート部の発生を抑制することができる。
ハニカム構造体12の端面12sと仕切り部材122の下端122aとのクリアランスXは、上記したツバ部の長さLに対するクリアランスXの比(X/L)を満たすように適宜調整されればよく、特に限定されない。例えば、昇降装置140は、クリアランスXが1mmを超えて9mm以下となるように基材10および仕切り部材122を配置することが好ましく、クリアランスXが2mm以上8mm以下となるように基材10および仕切り部材122を配置することがより好ましく、クリアランスXが3mm以上5mm以下となるように基材10および仕切り部材122を配置することがさらに好ましい。これにより、未コート部の発生とツバ部13へのスラリーの付着が生じることを抑制し、ハニカム構造体12の内部に好適に触媒層形成用スラリーを供給することができる。
供給部130は、粘度調整機構120に触媒層形成用スラリーを供給する。供給部130は、例えば、スラリーを吐出する吐出部131と、スラリーを一時的に貯留する貯留タンク(図示せず)と、貯留タンクと吐出部131とを接続する配管(図示せず)と、を備え得る。ただし、供給部130は、触媒層形成用スラリーを粘度調整機構120に供給することができる限りにおいて特に限定されない。供給部130は、予め定められた量のスラリーを粘度調整機構120に供給するように構成されている。
<排ガス浄化用触媒の製造方法>
図7は、ここに開示される排ガス浄化用触媒の製造方法の大まかな工程を示すフローチャート図である。ここに開示される製造方法は、上記したような製造装置100を用いて好適に実施され得る。ここに開示される製造方法は、ツバ部13を有する外筒11とハニカム構造体12とを備える基材10を用意する用意工程S10と、基材10の筒軸方向Dと垂直方向とが略一致するように基材10を保持する保持工程S20と、基材10と仕切り部材122とを配置する配置工程S30と、触媒層形成用スラリーを仕切り部材122に供給する供給工程S40と、仕切り部材122に供給される触媒層形成用スラリーの粘度を調整する粘度調整工程S50と、を含む。ここに開示される製造方法は、配置工程S30において、基材10の内径よりも外径が小さい仕切り部材122の下端122aと、ハニカム構造体12の上方側の端面12sとが、接触せずに対向し、かつ、ツバ部13の内壁13aと仕切り部材122の外壁122bとのクリアランスYが0.5mm以上3mm以下となるように基材10と仕切り部材122とを配置し、粘度調整工程S50において、触媒層形成用スラリーの粘度が690mPa・s以下となるように粘度を調整することによって特徴付けられており、それ以外の製造プロセスは従来と同様であってもよい。また、任意の段階でさらに他の工程を含んでいてもよい。
用意工程S10では、基材10を用意する。基材10は、上記したように排ガス浄化用触媒1の骨格を構成する部材である。ここに開示される製造方法では、ツバ部13を有する外筒11と、ハニカム構造体12と、を備える基材10を用意する。基材10は、例えばステンレス鋼(SUS)で構成されるメタル基材であり得る。このようなツバ部13を有する基材10は、例えば以下のようにして用意することができる。まず、金属製(例えば、ステンレス鋼製)の外筒11を用意する。次いで、波形に成形した金属箔を平板状の金属箔と重ねてロール状に巻回することで、ハニカム構造体12を用意する。ハニカム構造体12の筒軸方向Dの長さは、外筒11の筒軸方向Dの長さよりも短くなるように形成する。そして、ハニカム構造体12を外筒11に装入する。このとき、外筒11の筒軸方向Dのいずれかの端部において、ハニカム構造体12の端面12sよりも外筒11の端部が筒軸方向Dに向けて突出するようにハニカム構造体12を外筒11に装入する。これにより、ツバ部13を有する外筒11と、ハニカム構造体12と、を備える基材10を用意することができる。なお、基材10は、SUS製以外、例えば、Fe-Cr-Al系合金、Ni-Cr-Al系合金等の金属基材であってもよいし、コージェライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素等のセラミックスで構成されるセラミックス基材であってもよい。
基材10は、排ガスが流動可能に形成されたハニカム構造体12を有している。図1および図2に示すように、ハニカム構造体12は、筒軸方向Dに規則的に配列された複数のセル12aと、複数のセル12aを仕切る隔壁12bとを備えている。セル12aは、排ガスが流動する経路であって、筒軸方向Dに沿って延びている。セル12aは、基材10を筒軸方向Dに貫通する貫通孔である。セル12aの形状、大きさ、数等は、例えば、排ガス浄化用触媒1に供給される排ガスの流量や成分等を考慮して設計すればよい。隔壁12bは、セル12aに面し、隣り合うセル12aの間を区切っている。特に限定されるものではないが、基材10の容積(セル12aの容積を含んだ見掛けの体積)は、概ね0.01L以上、例えば0.1以上であって、概ね6L以下、例えば1L以下、0.5L以下であってもよい。また、特に限定されるものではないが、隔壁12bの厚みは、機械的強度を向上したり圧損を低減したりする観点等から、概ね10μm以上、例えば20μm以上であって、概ね500μm以下、例えば200μm以下、100μm以下であってもよい。
ハニカム構造体12は、上記したような複数のセル12aと隔壁12bとによって形成されたハニカム構造を有している。なお、本明細書において、「ハニカム構造」とは、セル12aの筒軸方向Dに直交する断面形状が六角形であるものだけでなく、セル12aの断面形状が正方形、平行四辺形、長方形、台形等の矩形や、その他の多角形(例えば、三角形、八角形)、波形、円形等種々の幾何学形状であるものを含み得る。
図3に示すように、外筒11の筒軸方向Dに沿う長さL1は、外筒11の内部に配置されるハニカム構造体12の筒軸方向Dに沿う長さL2よりも長い。特に限定されるものではないが、外筒11の筒軸方向Dに沿う長さL1は、概ね40mm以上、例えば50mm以上、60mm以上であって、概ね230mm以下、例えば200mm以下、150mm以下であってもよい。また、ハニカム構造体12の筒軸方向Dに沿う長さL2は、概ね20mm以上、例えば40mm以上、60mm以上であって、概ね190mm以下、例えば130mm以下、100mm以下であってもよい。
ツバ部13は、外筒11において筒軸方向Dの少なくとも一方の端部に設けられていればよい。特に限定されないが、図3の上方側(上端10a側)におけるツバ部13の筒軸方向Dに沿う長さL(L3)は、例えば3mm以上50mm以下であることが好ましく、4mm以上40mm以下であってもよく、5mm以上30mm以下であってもよい。また、図3に示すように、外筒11は筒軸方向Dの両端部においてツバ部13を有していてもよい。外筒11がツバ部13を筒軸方向Dの両端部に有する場合、図3の下方側(下端10b側)のツバ部13の筒軸方向Dに沿う長さL4は、上記した長さL3と同程度であってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは、外筒11の筒軸方向Dの両端部においてツバ部が設けられているときは、2つのツバ部の長さは同程度であるとよい。
外筒11の内径は、特に限定されないが、例えば20mm以上200mm以下であることが好ましく、30mm以上190mm以下程度であってもよい。ハニカム構造体12は外筒11の内部に配置されている。ハニカム構造体12の外径は、外筒11に装入可能であれば特に限定されない。すなわち、ハニカム構造体12の外径は、外筒11の内径よりもやや小さく設計され得る。また、図1に示す例では、基材10の外形は円筒形状である。ただし、基材10の外形は、後述する配置工程S30において仕切り部材122を配置可能な限りにおいて、特に限定されない。例えば、基材10の外形は、楕円筒形状等であってもよい。
保持工程S20では、上記用意した基材10の筒軸が垂直方向と略一致するように基材10を保持する。すなわち、基材10は、基材10の筒軸方向Dと垂直方向とが略一致するように保持部110によって保持される。基材10は、ツバ部13が上方に配置されるように保持される。また、基材10は、ハニカム構造体12の端面12sが略水平となるように保持されることが好ましい。これにより、後述する配置工程S30や供給工程S40を好適に実施することができる。
配置工程S30では、基材10と仕切り部材122とを所望する位置に配置する。ここでは、上記保持された基材10に仕切り部材122を配置する。例えば、図6に示すように、仕切り部材122は、基材10の上端10aから挿入され、仕切り部材122の下端122aと、ハニカム構造体12の端面12sとが接触しない位置に配置される。図6に示すように、仕切り部材122の下端122aとハニカム構造体12の端面12sとは、対向して配置される。
仕切り部材122は、基材10の上端10a側から挿入され、仕切り部材122の下端122aがハニカム構造体12の上方の端面12sと対向するように配置される。仕切り部材122は、基材10の上端10a(より詳細には、ツバ部13の上端)よりもハニカム構造体12の端面12s側に侵入する位置に配置される。仕切り部材122は、下端122a側の外壁122bとツバ部13の内壁13aとが対向する位置に配置される。このとき、図6に示すように、ハニカム構造体12の上方の端面12sと、仕切り部材122の下端122aとは直接接触しておらず、離間している。また、ツバ部13の内壁13aと、仕切り部材122の外壁122bとは直接接触しておらず、離間している。仕切り部材122の外径は、上記したとおり、外筒11の内径よりも小さく設計されている。このため、仕切り部材122とツバ部13とが干渉することなく、上記したような位置に仕切り部材122を容易に配置することができる。
基材10と仕切り部材122とが適切な位置に配置されていない状態で、後述する供給工程S40が実施された場合には、ハニカム構造体12の端面12sに未コート部が生じる虞がある。配置工程S30では、ツバ部13の内壁13aと仕切り部材122の外壁122bとの距離をクリアランスYが、0.1mmを超えて4mm以下となるように基材10と仕切り部材122とを配置することが好ましく、0.5mm以上3mm以下となるように基材10と仕切り部材122とを配置することがより好ましい。これにより、ツバ部13と仕切り部材122とが相互にぶつかることなく配置することができるため、より効率よく排ガス浄化用触媒1を製造することができる。また、かかる排ガス浄化用触媒1において、未コート部の発生を抑制することができる。
図6に示す例では、仕切り部材122は、外壁122bとツバ部13の内壁13aとが対向するように基材10の上端10aから挿入され、仕切り部材122の下端122aと、ハニカム構造体12の上方の端面12sとが接触しない位置に配置される。特に限定されないが、ハニカム構造体12の端面12sと仕切り部材122の下端122aとの距離をクリアランスX(mm)、ツバ部13の筒軸方向に沿う長さ(すなわち、基材10の上端10aとハニカム構造体12の上方側の端面12sとの距離)をツバ部の長さL(mm)としたときに、配置工程S30では、ツバ部の長さLに対するクリアランスXの比(X/L)が、0.1を超えて0.8以下となるように基材10と仕切り部材122とを配置することが好ましく、0.3以上0.5以下となるように基材10と仕切り部材122とを配置することがより好ましい。これにより、触媒層形成用スラリーを適切に拡散することができ、ツバ部13への付着や、未コート部の発生を抑制することができる。
ハニカム構造体12の端面12sと仕切り部材122の下端122aとのクリアランスXは、上記したツバ部の長さLに対するクリアランスXの比(X/L)を満たすように適宜調整されればよく、特に限定されない。例えば、クリアランスX(mm)が1mmを超えて9mm以下となるように基材10と仕切り部材122とを配置することが好ましく、2mm以上8mm以下となるように基材10と仕切り部材122とを配置することがより好ましく、3mm以上5mm以下となるように基材10と仕切り部材122とを配置することがさらに好ましい。これにより、未コート部が生じることを抑制し、ハニカム構造体12の内部に好適に触媒層形成用スラリーを供給することができる。
供給工程S40では、供給部130を用いて、粘度調整機構120(より詳細には、仕切り部材122の内部)に触媒層形成用スラリーを供給する。供給部130は、予め定められた量のスラリーを仕切り部材122の内部空間に供給する。供給されたスラリーは、仕切り部材122の内部に一時的に収容される。
供給工程S40で供給される触媒層形成用スラリーは、上記した基材10の隔壁12bの少なくとも表面に触媒層20を形成するために用いられる材料である。触媒層形成用スラリーは、少なくとも触媒金属を含む。触媒層形成用スラリーは、触媒金属と、触媒金属を担持するための担体と、これらを分散させるための分散媒とを含み得る。
触媒金属は、触媒層形成用スラリー中においてイオンの形態で含まれることが好ましい。これにより、例えば触媒層形成用スラリー中の触媒金属の濃度を均一にすることができる。触媒層形成用スラリーとしては、触媒金属を含む水溶性の金属塩を含むスラリー、触媒金属の錯体を含むスラリー等を使用することができる。金属塩としては、例えば、硝酸パラジウム、硝酸ロジウム等の硝酸塩;硫酸パラジウム、硫酸ロジウム等の硫酸塩等が挙げられる。触媒金属の錯体としては、テトラアンミン錯体、シアノ錯体、ハロゲノ錯体、ヒドロキシ錯体等が例示される。
分散媒としては、従来この種のスラリーに用いられている分散媒を特に制限なく使用することができる。分散媒としては例えば、水、脱イオン水、純水等の水系分散媒を好ましく用いることができる。
触媒層形成用スラリーSは、粘度を調製するための増粘剤が含まれていてもよい。増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂や、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
触媒層形成用スラリーSは、さらに、バインダ、助触媒成分、分散剤、その添加材等をさらに含んでいてもよい。バインダとしては、例えば、アルミナゾル、シリカゾル等が挙げられる。助触媒成分としては、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属元素が挙げられる。
ここに開示される製造方法では、供給工程S40において供給されるスラリーは、せん断速度が増加すると粘度が低下する性質を有するスラリーである。かかる触媒層形成用スラリーのせん断速度が4sec-1のときの粘度は、例えば8000mPa・s以上20000mPa・s以下であることが好ましく、10000mPa・s以上18000mPa・s以下であることがより好ましく、12000mPa・s以上17000mPa・s以下であることがさらに好ましい。ここで、せん断速度が4sec-1のときの粘度は、仕切り部材122に供給されて、静置された際の粘度を想定するものである。かかるせん断速度が4sec-1のときの粘度が上記した範囲内であることにより、粘度調整機構120に供給された際に、多孔質プレート124上に好適に保持される。なお、本明細書において、せん断速度が4sec-1のときの粘度とは、E型粘度計(東機産業株式会社製、TVE-35H)を用いて、測定温度25℃、せん断速度4sec-1で測定したときの粘度(mPa・s)のことである。
粘度調整工程S50では、粘度調整機構120に供給される触媒層形成用スラリーの粘度を好適に調整する。本発明者らの検討によれば、配置工程S30において、上記したとおり、仕切り部材122とハニカム構造体12の端面12sとが接触せずに対向するよう配置され、粘度調整工程S50において、触媒層形成用スラリー粘度が690mPa・s以下となるように粘度を調整することにより、ツバ部13へのスラリーの付着とハニカム構造体12における未コート部の発生を抑制して、基材10に触媒層形成用スラリーを好適に供給できることを見出した。
粘度調整工程S50では、例えば、25℃の環境下における触媒層形成用スラリーの粘度を、200mPa・s以上690mPa・s以下に調整することが好ましく、230mPa・s以上690mPa・s以下に調整することがより好ましい。かかるスラリーの粘度は、上記したとおり、多孔質プレート124の貫通孔124hの開口径Zと、吸引部材126の吸引速度とを変更することによって、調製することができる。
特に限定されないが、せん断速度との関係では、触媒層形成用スラリーのせん断速度が230sec-1のときの粘度が200mPa・s以上690mPa・s以下であることが好ましい。あるいは、せん断速度が300sec-1のときの粘度が200mPa・s以上600mPa・s以下であることが好ましい。なお、本明細書において、せん断速度が230sec-1のときの粘度とは、上記と同様のE型粘度計を用いて、測定温度25℃、せん断速度230sec-1で測定したときの粘度(mPa・s)のことであり、せん断速度が300sec-1のときの粘度とは、上記と同様のE型粘度計を用いて、測定温度25℃、せん断速度300sec-1で測定したときの粘度(mPa・s)のことである。
上記スラリーが導入された基材10に対して、乾燥工程および焼成工程を実施することにより、排ガス浄化用触媒1を作製することができる。乾燥工程は、従来この種の技術で実施されている乾燥と同様の条件で実施することができ、特に限定されない。例えば、50℃~200℃程度の温度で、1分~30分程度乾燥するとよい。また、焼成工程についても、特に限定されない。例えば、400℃~1000℃程度の温度で、20秒~5時間程度焼成することよい。
<第2実施形態>
上記した第1実施形態では、基材10は、筒軸方向Dにおいてハニカム構造体12を一つ備えていた。しかしながら、基材10の形態はこれに限定されるものではない。図8は、第2実施形態に係る排ガス浄化用触媒200を模式的に示す斜視図である。図8に示すように、第2実施形態に係る排ガス浄化用触媒200は、基材210は、筒軸方向Dにおいて複数のハニカム構造体212を備えている。なお、このこと以外は、上記した第1実施形態と同様であってよく、詳細な説明については省略する。
図8に示すように、第2実施形態に係る排ガス浄化用触媒200は、ストレートフロー構造の基材210と、触媒層(図示せず)と、を備えている。図8の矢印は、第2実施形態に係る排ガス浄化用触媒を内燃機関の排気系に配置したときに排ガスが流れる向きを示している。すなわち、図8では、左側が相対的に内燃機関に近い上流側(フロント側)であり、右側が相対的に内燃機関から遠い下流側(リア側)である。また、図8において、符号Dは、第2実施形態に係る排ガス浄化用触媒の筒軸方向を表している。第2実施形態に係る排ガス浄化用触媒は、筒軸方向Dが排ガスの流動方向に沿うように内燃機関の排気経路に設置される。
基材210は、外筒211と、外筒211の内部に配置された複数(ここでは2つ)のハニカム構造体212と、を備えている。基材210は、基材210の上流側に配置されるハニカム構造体を第1ハニカム構造体212fと、下流側に配置されるハニカム構造体を第2ハニカム構造体212rとを有している。外筒211は、筒軸方向Dの少なくとも一方の端部において、ハニカム構造体212の端面よりも筒軸方向Dに向けて突出したツバ部213が設けられている。図8に示す例では、外筒211は筒軸方向Dの両端部においてツバ部213を有している。すなわち、図8に示す例では、第1ハニカム構造体212fの端面よりも筒軸方向Dの外方(図8の左側)に向けて突出した上流側のツバ部213と、第2ハニカム構造体212rの端面よりも筒軸方向Dの外方(図8の右側)に向けて突出した下流側のツバ部213と、を有している。ツバ部213の内壁面には、いずれのハニカム構造体212も配置されていない。
第1ハニカム構造体212fと第2ハニカム構造体212rとは、それぞれ、筒軸方向Dに沿って延びる複数のセル212aと、セル212aを仕切る隔壁212bと、を備えている。セル212aは、排ガスが流通可能であり、筒軸方向Dの両端が開放されている。第1ハニカム構造体212fと第2ハニカム構造体212rとは、その構成が同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、第1ハニカム構造体212fの筒軸方向Dの長さと、第2ハニカム構造体212rの筒軸方向Dの長さとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは、第1ハニカム構造体212fの筒軸方向Dの長さは、第2ハニカム構造体212rの筒軸方向Dの長さよりも短いとよい。
第2実施形態に係る排ガス浄化用触媒200は、EHCとも呼称される通電加熱式(電気加熱式ともいう)の排ガス浄化用触媒であってもよい。かかる通電加熱式触媒は、ハニカム構造体212を加熱して、所定の高温環境とすることにより、ハニカム構造体212の触媒層に含まれる触媒金属を活性化させて、より好適な触媒浄化性能を発揮させることができる。例えば、第2実施形態に係る排ガス浄化用触媒200は、第1ハニカム構造体212fが加熱されるように構成されている。具体的には、図8に示すように、基材210の外周面に基材210を挟んで相互に対向するように形成された一対の電極層225と、電極(端子)224とを備えている。これにより、第1ハニカム構造体212fだけでなく、下流側に配置される第2ハニカム構造体212rも加熱されて、より好適な浄化性能を発揮させることができる。なお、EHCが備える電極は、基材を挟んで相互に対向するように設けられていなくてもよい。例えば、EHCが2つの電極を備える場合、基材の中心から一方の電極へ向かう直線を0度としたときに、他方は45度~90度の位置に配置されていてもよい。また、EHCが備える電極は1本であってもよいし、3本以上(例えば4本)であってもよい。
電極層225は、効率よく発熱体(ここでは、基材210)を発熱できるように、基材210の表面に電流を拡散する機能を有している。電極層225のサイズ、外形、位置等は、適宜設定すればよく、特に限定されない。
図9は、粘度調整機構120がハニカム構造体212の上方に配置されたときの様子を模式的に示す図である。基材210は、保持部110によって、基材210の筒軸方向と垂直方向とが略一致するように保持される。ここでは、保持部110は、基材210の第1ハニカム構造体212fが上方側に配置されるように、基材210を保持する。昇降装置140は、仕切り部材122の下端122aと、筒軸方向Dにおいて上方側に配置される第1ハニカム構造体212fの端面212sとが接触せず、対向するように仕切り部材122を配置する。昇降装置140は、図9に示すように、仕切り部材122の外壁122bがツバ部213の内壁213aと対向する位置に仕切り部材122を配置する。すなわち、仕切り部材122の下端122aは、ツバ部213の上端よりも第1ハニカム構造体212fの端面212s側に侵入する位置に配置される。昇降装置140は、仕切り部材122の外壁122bとツバ部213の内壁213aとが直接接触しないように、仕切り部材122を配置する。
仕切り部材122の外径が外筒211の内径よりも大きい場合には、ツバ部213の内壁側に仕切り部材122が配置されず、ツバ部213に触媒層形成用スラリーが付着し得る。このため、仕切り部材122の外径は、外筒211の内径よりも小さく設計される。これにより、ツバ部213へのスラリーの付着を防ぐことができ、さらに、仕切り部材122とツバ部213とが相互にぶつかる(干渉する)ことなく、仕切り部材122を基材210の上端210a側から容易に挿入することができる。
ツバ部213の内壁213aと仕切り部材122の外壁122bとの距離をクリアランスY(mm)としたときに、クリアランスYが大きすぎる場合には、供給された触媒層形成用スラリーは、吸引部材126によって吸引しても適切に拡散し難く、ハニカム構造体212の端面212sにおいて未コート部が発生し得る。一方で、クリアランスYが小さすぎる場合には、仕切り部材122とツバ部213とが干渉して、好適に配置することができない。上記した観点からは、昇降装置140は、クリアランスYが0.1mmを超えて4mm以下となるように基材210と仕切り部材122とを配置することが好ましく、クリアランスYが0.5mm以上3mm以下となるように基材210と仕切り部材122とを配置することがより好ましい。これにより、仕切り部材122をツバ部213と干渉することなく配置することができるため、より効率よく排ガス浄化用触媒200を製造することができる。また、かかる排ガス浄化用触媒200において、未コート部の発生を抑制することができる。
昇降装置140は、例えば、仕切り部材122の外壁122bとツバ部213の内壁213aとが対向するように仕切り部材122を基材210の上端210aから挿入して、仕切り部材122の下端122aと、筒軸方向Dにおいて上方側に配置されるハニカム構造体212の端面212sとが接触しない位置に仕切り部材122を配置する。特に限定されるものではないが、第2実施形態において、基材10の筒軸方向Dにおいて上方側に配置されるハニカム構造体212の端面212sと、仕切り部材122の下端122aとの距離をクリアランスX(mm)、ツバ部213の筒軸方向に沿う長さ(すなわち、基材210の上端210aと、筒軸方向Dにおいて上方側に配置されるハニカム構造体212の端面212sとの距離)をツバ部の長さL(mm)としたときに、昇降装置140は、ツバ部の長さLに対するクリアランスXの比(X/L)が0.1を超えて0.8以下となるように基材210と仕切り部材122とを配置することが好ましく、0.3以上0.5以下となるように基材210と仕切り部材122とを配置することがより好ましい。これにより、触媒層形成用スラリーを適切に拡散することができ、ツバ部213への付着や、未コート部の発生を抑制することができる。
第1ハニカム構造体212fの端面212sと仕切り部材122の下端122aとのクリアランスXは、上記したツバ部の長さLに対するクリアランスXの比(X/L)を満たすように適宜調整されればよく、特に限定されない。例えば、昇降装置140は、クリアランスXが1mmを超えて9mm以下となるように基材210と仕切り部材122とを配置することが好ましく、クリアランスXが2mm以上8mm以下となるように基材210と仕切り部材122とを配置することがより好ましく、クリアランスXが3mm以上5mm以下となるように基材210と仕切り部材122とを配置することがさらに好ましい。これにより、未コート部の発生とツバ部213へのスラリーの付着が生じることを抑制し、ハニカム構造体212の内部に好適に触媒層形成用スラリーを供給することができる。
上述した製造方法によって得られる排ガス浄化用触媒は、自動車やトラック等の車両や、自動二輪車や原動機付き自転車をはじめとして、船舶、タンカー、水上バイク、パーソナルウォータークラフト、船外機等のマリン用製品、草刈機、チェーンソー、トリマー等のガーデニング用製品、ゴルフカート、四輪バギー等のレジャー用製品、コージェネレーションシステム等の発電設備、ゴミ焼却炉等の内燃機関から排出される排ガスの浄化に好適に用いることができる。
以下、ここで開示される技術の試験例を説明する。なお、以下の説明は、ここで開示される技術を試験例に示されるものに限定することを意図したものではない。
<実施例1>
図3に示すような製造装置を用いて、排ガス浄化用触媒を作製した。まず、基材としてツバ部を有する外筒と、基材の上流側に配置される第1ハニカム構造体と、下流側に配置される第2ハニカム構造体と、を備える、通電加熱式触媒用のメタル基材(ステンレス鋼製、筒軸方向の長さ:70mm、内径130mm、セル数:600cpsi)を準備した。メタル基材は、筒軸方向の両端部においてツバ部を有し、各ツバ部の筒軸方向に沿う長さは、それぞれ10mmであるものを準備した。また、円筒形状の仕切り部材と、厚み方向に複数の貫通孔が設けられた多孔質プレートと、を用意した。多孔質プレートを、仕切り部材の下方側の端部(第1ハニカム構造体の端面と対向する側の端部)に配置した。このようにして、複数の貫通孔が設けられた多孔質プレートを有する仕切り部材(筒軸方向の長さ:9mm、外径:124mm、貫通孔の開口径Z:0.4mm)を用意した。次いで、触媒金属(Pd)と担体(アルミナ:Al)と水と増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース(HEC))とを混合した触媒層形成用スラリーを用意した。実施例1のスラリーでは、せん断速度が4s-1のときの粘度Vが12000mPa・sとなるように増粘剤の量を調整した。なお、かかるスラリーの粘度VはE型粘度計(東機産業株式会社製、TVE-35H)を用いて、測定温度25℃、せん断速度4sec-1で測定したときの値である。そして、せん断速度を連続的に変化させつつスラリーの粘度を測定し、当該スラリーの25℃環境下におけるせん断速度γ(sec-1)と粘度(mPa・s)との関係を取得した。
上記用意した基材を製造装置の保持部にセットした。このとき、基材の筒軸が垂直方向と一致するように基材を保持部に保持させた。次いで、上記用意した仕切り部材を、仕切り部材の下端と第1ハニカム構造体の端面とが接触せずに対向するように配置した。このとき、第1ハニカム構造体の端面からツバ部の上端までの長さL(mm)に対する、第1ハニカム構造体の端面と仕切り部材の下端とのクリアランスX(mm)の比(X/L)が、0.5となるように仕切り部材を配置した。また、ツバ部の内壁と仕切り部材の外壁とのクリアランスYが3mmとなるように、仕切り部材を配置した。そして、上記用意した実施例1の触媒層形成用スラリー110gを、仕切り部材の内部に供給した。その後、スラリーが供給された端面とは反対の端面側からスラリーを吸引した。スラリーの吸引は、吸引装置を3秒間稼働させ、基材のセル内での風速が45m/sとなる条件で実施した。そして、触媒層形成用スラリーが供給された基材を製造装置から取り外し、乾燥した後、焼成することにより、実施例1の排ガス浄化用触媒を得た。
また、多孔質プレートを通過するときのせん断速度γ(sec-1)を、貫通孔の開口径Z(mm)と、触媒層形成用スラリーが多孔質プレートを通過するときの通過速度V(mm/s)と、を用いて、式:γ={V/(Z/2)};により算出した。なお、触媒層形成用スラリーが多孔質プレートを通過するときの通過速度V(mm/s)は、多孔質プレート上に供給されたスラリーの液面高さと、ハイスピードカメラ(シナノケンシ株式会社製、PLEXLOGGER PL―3)によって計測される吸引時間(すなわち、触媒層形成用スラリーの吸引開始から多孔質プレート上に供給されたスラリーが全て吸引されるまでの時間)と、を用いて算出した。また、算出したせん断速度γおよび上記取得した25℃環境下におけるせん断速度γ(sec-1)と粘度(mPa・s)との関係から実施例1のスラリーの粘度(mPa・s)を求めた。せん断速度γおよびスラリーの粘度を表1に記載する。
<実施例2、比較例1および比較例2>
開口径Zを表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2、比較例1および比較例2の排ガス浄化用触媒を作製した。
<実施例3、比較例3および比較例4>
第1ハニカム構造体の端面からツバ部の上端までの長さL(mm)に対する、第1ハニカム構造体の端面と仕切り部材の下端とのクリアランスX(mm)の比(X/L)を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3、比較例3および比較例4の排ガス浄化用触媒を作製した。
<実施例4、比較例5および比較例6>
ツバ部の内壁と仕切り部材の外壁とのクリアランスY(mm)を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4、比較例5および比較例6の排ガス浄化用触媒を作製した。
<比較例7および比較例8>
比較例7および比較例8のスラリーでは、せん断速度が4s-1のときの粘度Vが18000mPa・sとなるように増粘剤の量を調整した。また、比較例8では、開口径Zを0.3mmとした。これらのこと以外は実施例1と同様にして、比較例7および比較例8の排ガス浄化用触媒を作製した。
<実施例5>
実施例5では、基材としてツバ部を有する外筒と、ハニカム構造体と、を備えるメタル基材(ステンレス鋼製、筒軸方向の長さ:70mm、内径130mm、セル数:600cpsi)を準備した。すなわち、メタル基材は、基材の筒軸方向においてハニカム構造体を一つ備えている。メタル基材は、筒軸方向の両端部においてツバ部を有し、各ツバ部の筒軸方向に沿う長さは、それぞれ10mmであるものを準備した。上記用意した基材に対して、仕切り部材の下端とハニカム構造体の上方側の端面とが対向するように、仕切り部材を配置した。ハニカム構造体の端面からツバ部の上端までの長さを長さL(mm)に対するクリアランスX(mm)の比(X/L)は、0.5となるように仕切り部材を配置した。また、このとき、ツバ部の内壁と仕切り部材の外壁とのクリアランスYが0.5mmとなるように、仕切り部材を配置した。これらのこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の排ガス浄化用触媒を作製した。
<未コート部の有無およびツバ部付着高さの評価>
上記作製した各例の排ガス浄化用触媒のツバ部において、触媒層形成用スラリーが付着した高さを測定した。具体的には、ツバ部において任意の4点で触媒層形成用スラリーが付着した付着高さ(ハニカム構造体の端面からの距離)を測定した。そして、かかる4点の付着高さの平均を算出し、各例のツバ部付着高さを求めた。ツバ部付着高さがツバ部の高さの50%以下(すなわち、5mm以下)であるものを良好(○)と評価し、ツバ部付着高さがツバ部の高さの50%を超えるものを不良(×)として評価した。また、各例の排ガス浄化用触媒において、触媒層形成用スラリーを供給した側(すなわち、仕切り部材が配置された側)の第1ハニカム構造体の端面(実施例5においてはハニカム構造体の端面)をマイクロスコープによって観察し、未コート部の有無を確認した。これらの結果を表1に示す。
Figure 0007503223000001
表1に示すように、仕切り部材の下端とハニカム構造体の端面とが接触せず対向する位置であって、仕切り部材の外壁とツバ部の内壁とのクリアランスYが0.5mm以上3mm以下となる位置に仕切り部材が配置され、多孔質プレートを通過するときの粘度が690mPa・s以下に調整されている実施例1~5は、ツバ部への付着高さがツバ部の高さの50%以下であり、未コート部がないことがわかる。また、表1の実施例4と実施例5に示すように、基材の筒軸方向におけるハニカム構造体の個数が1つであっても、複数であっても基材と仕切り部材とが所定の位置に配置され、多孔質プレートを通過するときの粘度が690mPa・s以下に調整されていることにより、ツバ部への付着高さがツバ部の高さの50%以下であり、未コート部がないことがわかる。すなわち、基材の内径よりも外径が小さい仕切り部材の下端と、ハニカム構造体の上方側の端面とが接触せずに対向し、かつ、仕切り部材の外壁とツバ部の内壁とのクリアランスYが0.5mm以上3mm以下となる位置に基材および仕切り部材を配置し、多孔質プレートを通過するときの触媒層形成用スラリーの粘度が690mPa・s以下となるように粘度を調整することによって、ツバ部へのスラリーの付着と、未コート部の発生とを抑制することができる製造方法が実現される。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は、他にも種々の形態にて実施することができる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を、他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
1 排ガス浄化用触媒
10 基材
10a 上端
10b 下端
11 外筒
12 ハニカム構造体
13 ツバ部
13a 内壁
20 触媒層
100 製造装置
110 保持部
120 粘度調整機構
122 仕切り部材
122a 下端
124 多孔質プレート
124h 貫通孔
126 吸引部材
130 供給部
140 昇降装置
200 排ガス浄化用触媒
210 基材
210a 上端
211 外筒
212 ハニカム構造体
212f 第1ハニカム構造体
212r 第2ハニカム構造体
213 ツバ部
213a 内壁
213r ツバ部
224 電極(端子)
225 電極層

Claims (6)

  1. 内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒の製造装置であって、
    外筒と、前記外筒の内部に配置され、排ガスが流動可能に形成されたハニカム構造体と、を備え、前記ハニカム構造体は前記外筒よりも筒軸方向の長さが短く、前記ハニカム構造体の端面よりも筒軸方向に向けて突出したツバ部を有する基材を、前記基材の筒軸が垂直方向と略一致するように保持する保持部と、
    前記基材に供給される触媒層形成用スラリーの粘度を調整する粘度調整機構と、
    前記粘度調整機構に前記触媒層形成用スラリーを供給する供給部と、
    を備えており、
    前記粘度調整機構は、
    前記外筒の内径よりも外径が小さい円筒形状の仕切り部材と、
    前記仕切り部材の内部または下方側の端部に配置され、前記触媒層形成用スラリーが通過できるように複数の貫通孔が形成された多孔質プレートと、
    前記触媒層形成用スラリーが前記多孔質プレートを通過する際に、所定のせん断力がかかるように前記基材の下端から前記触媒層形成用スラリーを吸引する吸引部材と、を備えており、
    ここで、前記仕切り部材の下端と前記ハニカム構造体の上方側の端面とが接触せずに対向し、かつ、前記ツバ部の内壁と前記仕切り部材の外壁とのクリアランスYが0.5mm以上3mm以下となり、かつ、前記ツバ部の筒軸方向の長さLに対する前記ハニカム構造体の端面と前記仕切り部材の下端とのクリアランスXの比(X/L)が0.3~0.5となるように前記基材と前記仕切り部材とが配置され、
    前記多孔質プレートを通過するときの前記触媒層形成用スラリーの粘度が690mPa・s以下となるように、前記多孔質プレートの開口径と、前記吸引部材の吸引速度とが調整される、
    排ガス浄化用触媒の製造装置。
  2. 前記貫通孔の開口径は、0.3mm以上0.5mm以下である、
    請求項1に記載の製造装置。
  3. 前記吸引部材は、吸引速度が30m/s以上60m/s以下である、
    請求項1または2に記載の製造装置。
  4. 内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒の製造装置であって、
    外筒と、前記外筒の内部に配置され、排ガスが流動可能に形成されたハニカム構造体と、を備え、前記ハニカム構造体は前記外筒よりも筒軸方向の長さが短く、前記ハニカム構造体の端面よりも筒軸方向に向けて突出したツバ部を有する基材を、前記基材の筒軸が垂直方向と略一致するように保持する保持部と、
    前記基材に供給される触媒層形成用スラリーの粘度を調整する粘度調整機構と、
    前記粘度調整機構に前記触媒層形成用スラリーを供給する供給部と、
    を備えており、
    前記粘度調整機構は、
    前記外筒の内径よりも外径が小さい円筒形状の仕切り部材と、
    前記仕切り部材の内部または下方側の端部に配置され、前記触媒層形成用スラリーが通過できるように複数の貫通孔が形成された多孔質プレートと、
    前記触媒層形成用スラリーが前記多孔質プレートを通過する際に、所定のせん断力がかかるように前記基材の下端から前記触媒層形成用スラリーを吸引する吸引部材と、を備えており、
    前記基材は、筒軸方向において前記ハニカム構造体を複数備えており、
    ここで、前記仕切り部材の下端と前記ハニカム構造体の上方側の端面とが接触せずに対向し、かつ、前記ツバ部の内壁と前記仕切り部材の外壁とのクリアランスYが0.5mm以上3mm以下となり、かつ、前記ツバ部の筒軸方向の長さLに対する、前記基材の筒軸方向において上方側に配置される前記ハニカム構造体の端面と前記仕切り部材の下端とのクリアランスXの比(X/L)が0.3~0.5となるように前記基材と前記仕切り部材とが配置され、
    前記多孔質プレートを通過するときの前記触媒層形成用スラリーの粘度が690mPa・s以下となるように、前記多孔質プレートの開口径と、前記吸引部材の吸引速度とが調整される、
    排ガス浄化用触媒の製造装置。
  5. 内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒の製造方法であって、
    外筒と、前記外筒の内部に配置され、排ガスが流動可能に形成されたハニカム構造体と、を備え、前記ハニカム構造体は前記外筒よりも筒軸方向の長さが短く、前記ハニカム構造体の端面よりも筒軸方向に向けて突出したツバ部を有する基材を用意する用意工程と、
    前記基材の筒軸が垂直方向と略一致するように前記基材を保持する保持工程と、
    前記基材と、前記基材の前記外筒の内径よりも小さい外径の円筒形状の仕切り部材と、を配置する配置工程と、
    前記仕切り部材に触媒金属を含む触媒層形成用スラリーを供給する供給工程と、
    前記基材に供給される前記触媒層形成用スラリーの粘度を調整する粘度調整工程と、
    を含み、
    前記配置工程では、前記ハニカム構造体の上方側の端面と前記仕切り部材の下端とが、接触せずに対向し、かつ、前記基材のツバ部の内壁と前記仕切り部材の外壁とのクリアランスYが0.5mm以上3mm以下となり、かつ、前記ツバ部の筒軸方向の長さLに対する前記ハニカム構造体の端面と前記仕切り部材の下端とのクリアランスXの比(X/L)が0.3~0.5となるように前記基材と前記仕切り部材とを配置し、
    前記粘度調整工程では、前記触媒層形成用スラリーの粘度が690mPa・s以下となるように粘度を調整する、
    排ガス浄化用触媒の製造方法。
  6. 内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒の製造方法であって、
    外筒と、前記外筒の内部に配置され、排ガスが流動可能に形成されたハニカム構造体と、を備え、前記ハニカム構造体は前記外筒よりも筒軸方向の長さが短く、前記ハニカム構造体の端面よりも筒軸方向に向けて突出したツバ部を有する基材を用意する用意工程と、
    前記基材の筒軸が垂直方向と略一致するように前記基材を保持する保持工程と、
    前記基材と、前記基材の前記外筒の内径よりも小さい外径の円筒形状の仕切り部材と、を配置する配置工程と、
    前記仕切り部材に触媒金属を含む触媒層形成用スラリーを供給する供給工程と、
    前記基材に供給される前記触媒層形成用スラリーの粘度を調整する粘度調整工程と、
    を含み、
    前記用意工程で用意される前記基材は、筒軸方向において前記ハニカム構造体を複数備えており、
    前記配置工程では、前記ハニカム構造体の上方側の端面と前記仕切り部材の下端とが、接触せずに対向し、かつ、前記基材のツバ部の内壁と前記仕切り部材の外壁とのクリアランスYが0.5mm以上3mm以下となり、かつ、前記ツバ部の筒軸方向の長さLに対する、前記基材の筒軸方向の上方側に配置される前記ハニカム構造体の端面と前記仕切り部材の下端とのクリアランスXの比(X/L)が0.3~0.5となるように前記基材と前記仕切り部材とを配置し、
    前記粘度調整工程では、前記触媒層形成用スラリーの粘度が690mPa・s以下となるように粘度を調整する、
    排ガス浄化用触媒の製造方法。
JP2024504138A 2023-01-31 2023-10-31 排ガス浄化用触媒の製造装置および排ガス浄化用触媒の製造方法 Active JP7503223B1 (ja)

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