JP7496932B2 - 診断装置、半導体製造装置システム、半導体装置製造システムおよび診断方法 - Google Patents

診断装置、半導体製造装置システム、半導体装置製造システムおよび診断方法 Download PDF

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Description

本開示は、診断装置、半導体製造装置システム、半導体装置製造システムおよび診断方法に関し、特に、半導体装置を製造する半導体製造装置の異常を検出する診断装置および診断方法に適用して有効な技術に関する。
半導体製造装置では、経時的な要因によって半導体製造装置を構成する処理室や周辺機器に性能変動が生じたり、異物が付着したりする。これらは、半導体装置の停止や半導体ウエハ上に形成される半導体装置の不良の原因となる。
半導体製造装置のセンサデータを用いて半導体製造装置の異常を検知する方法として、例えば、特開2021-12654号公報が提案されている。
特開2021-12654号公報
特開2021-12654号公報には、半導体製造装置の処理中のセンサデータ(圧力データや温度データ等)を用い、目標値とデータとの差分を計算することで異常を検知する方法が開示されている。しかし、それらのセンサデータは、処理条件によって値が異なる。そのため、単一のしきい値を設定して異常を判定すると、処理条件によっては虚報や見逃しが発生することが課題になる。
本開示の課題は、処理条件によるバラつきを抑えつつ、半導体製造装置の排気装置または排気配管の異常を判定することが可能な診断技術を提供することにある。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
試料が処理される処理室と、試料を前記処理室へ搬送し処理室に接続された搬送室と、処理室と搬送室との間に配置されたバルブと、処理室を排気する排気装置とを備える半導体製造装置の状態が診断される診断装置において、バルブが開いた後の排気装置に係る圧力を基に排気装置または排気装置に係る排気配管の異常有無が判定される。
上記診断装置によれば、処理条件によるバラつきを抑えつつ、半導体製造装置の排気装置または排気配管の異常を判定できる。これにより、処理条件に起因する虚報や見逃しが低減できる。
図1は、実施例に係る半導体製造装置システムのハードウェア構成図。 図2は、図1の処理装置のハードウェア構成図。 図3は、図1の診断装置の機能ブロックの説明図。 図4は、図3の装置データ、しきい値データおよび相関計算用データのデータ構成例を説明する図。 図5は、実施例に係る診断装置の処理フロー図。 図6は、実施例に係る診断装置の他の処理フロー図。 図7は、実施例に係る排気配管の圧力しきい値と搬送室の圧力しきい値との決定するための処理フロー図。 図8は、実施例に係る半導体製造装置の排気配管の圧力と搬送室の圧力の構成例の説明図。 図9は、排気配管の圧力(処理中とバルブ開後)の説明図。 図10は、搬送室の圧力(しきい値適用前としきい値適用後)の説明図。 図11は、排気配管の圧力と搬送室の圧力から、排気配管の圧力のしきい値および搬送室の圧力のしきい値を決める例の説明図。
以下、実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
図1は、実施例に係る半導体製造装置システムのハードウェア構成図である。図2は、図1の処理装置のハードウェア構成図である。図3は、図1の診断装置の機能ブロックの説明図である。図4は、図3の装置データ、しきい値データおよび相関計算用データのデータ構成例を説明する図である。
図1に示すように、半導体製造装置システム100は、処理装置(PPE)101と、診断装置(DIE)111と、サーバ(SRV)117と、を含む。処理装置(PPE)101は、半導体装置を製造するために用いられる半導体製造装置であり、例えば、プラズマエッチング装置等のプラズマ処理装置である。半導体製造装置システム100は、半導体装置製造システムと言い変えることも可能である。以下の説明において、処理装置(PPE)101を、半導体製造装置101と言い換える場合もある。
処理装置101と診断装置111との間は、LAN配線(LANケーブル)、USB配線(USBケーブル)、または、無線LAN等の等の信号の送信用および受信用の第1ネットワーク回線NWL1により接続されている。また、診断装置111とサーバ117との間は、LAN配線(LANケーブル)、USB配線(USBケーブル)、または、無線LAN等の信号の送信用および受信用の第2ネットワーク回線NWL2により接続されている。
処理装置101は、処理室(PRR)102、搬送室(COR)103、排気配管(EPI)104、第1排気装置(EXP1)105、第2排気装置(EXP2)106、排気配管104の圧力をモニタするための第1圧力計(PPM)107、搬送室103の圧力をモニタするための第2圧力計(CPM)108、バルブ(VAL)109を含む。
診断装置111は、パーソナルコンピュータ等の計算機から構成されており、この例では、外部インタフェイス回路(EXIF)112、プロセッサ(PROC)113、メモリ(MEM)114、ストレージ(STG)115を含む。メモリ114は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の高速な読み出しまたは高速な書きが可能な半導体メモリにより構成される。ストレージ115は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの大容量の記憶装置により構成される。
外部インタフェイス回路112は、この例では、処理装置101とネットワーク回線NWL1で電気的に接続されている。また、外部インタフェイス回路112は、この例では、サーバ117とネットワーク回線NWL2で電気的に接続されている。
診断装置111は、例えば、データ転送(DTR)110によって処理装置101に搭載されている各種センサーの信号データ(センサデータ)を外部インタフェイス回路112からネットワーク回線NWL1を介して受信する。診断装置111は、例えば、診断結果等の出力結果(ORE)116を外部インタフェイス回路112からネットワーク回線NWL2を介してサーバ117へ送信する。
サーバ117は、この例では、出力結果116をGUI118により表示する表示部を有する。
図2に示すように、半導体製造装置である処理装置(PPE)101は、半導体ウエハである試料212が処理される処理室102と、試料212を処理室102へ搬送し処理室102に接続された搬送室103と、処理室102と搬送室103との間に配置されたバルブ109と、を有する。また、処理装置101は、処理室102に接続された排気配管104と、排気配管104に設けられ、処理室102を排気する第1排気装置105および第2排気装置106と、排気配管104の圧力を計測(モニタ)する第1圧力計107と、搬送室103の圧力を計測(モニタ)する第2圧力計108と、を有する。
処理室102は、試料212が載置される試料台としてのウエハステージ210と、ウエハステージ210を支持するステージベース211と、を有する。試料212は、ウエハステージ210に載置され、処理室102の内部が所定の状態(圧力、ガス等)にされて、試料212に所望の処理が施される。所望の処理は、例えば、成膜処理、エッチング処理、イオン注入処理、酸化処理等である。
搬送室103は、試料212の一時的な待機場所であり、試料212の処理室102への搬入の時、および、試料212の処理室102からの搬出の時において、試料212を一時的に収納する。試料212に所望の処理を施すときに、試料212が搬送室103から処理室102へ搬入(搬送)される。試料212が処理室102へ搬入される時、処理室102と搬送室103との間を遮断するバルブ109が開き、処理室102と搬送室103とが連通する。そして、搬送室103内に配置された試料212が、ウエハステージ210の上に載置される。その後、バルブ109が閉じて、処理室102と搬送室103との間が遮断され、処理室102が密封状態となる。そして、処理室102内が所望の状態とされて、試料212に所望の処理が施される。一方、試料212に所望の処理が施された後、試料212が処理室102から搬出される。試料212を処理室102から搬送室103へ搬出(搬送)する時、バルブ109が開き、処理室102と搬送室103とが連通する。そして、ウエハステージ210の上に載置された試料212が搬送室103に搬出される。その後、バルブ109が閉じて、処理室102と搬送室103との間が遮断される。図2には、模式的に、バルブ109の開閉の方向を矢印215として示しており、バルブ109の上方向への移動はバルブ109が開くことを示し、バルブ109の下方向への移動はバルブ109が閉じることを示している。バルブ109が開いた状態は、搬送室103から処理室102へ試料212が搬送される場合のこと、または、処理室102から搬送室103へ試料212が搬送される場合のことである。
第1排気装置105は、例えば、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプとされる。第2排気装置106は、例えば、ドライポンプ等の真空ポンプとされる。排気配管104に接続された処理室102は、第2排気装置106によって所定の真空度まで粗く排気され、その後、第1排気装置105によって所定の高真空まで高精度に排気にされる。高真空は、例えば、プラズマの発生を可能とするような真空度である。
第1圧力計107は、排気配管104に接続されており、排気配管104の圧力を計測(モニタ)することができる。これにより、排気配管104に接続された処理室102の圧力を計測(モニタ)することができる。第1圧力計107により計測された圧力値(排気配管104の圧力値)は、診断装置111へデータ転送110される。
第2圧力計108は、搬送室103に接続され、搬送室103の圧力を計測(モニタ)することができる。第2圧力計108により計測された圧力値(搬送室103の圧力値)は、診断装置111へデータ転送110される。
図3に示すように、計算機により構成された診断装置111は、プロセッサ113が、例えばストレージ115に格納された診断装置111の機能を実現するソフトウエアプログラム(アプリケーションプログラムとも言う)を実行することで、計算機により実現されるように構成されている。診断装置111は、データ収集部(DAC)303と、診断部(DIG)305と、を有する。診断装置111において、各機能(303、305)はハードウェア回路により構成してよい。
データ収集部(DAC)303は、データ転送110によって送信された圧力値(排気配管104の圧力値PE(処理室102の圧力値)と搬送室103の圧力値PT)のデータを受信し、装置データ(DED)304としてストレージ115に保存する機能を具備している。
診断部(DIG)305は、処理部(PRC)306と、しきい値データ(DTH)307と、相関計算用データ(DCC)308と、を有する。処理部(PRC)306は、プロセッサ113がソフトウエアプログラムを実行することで実現される。しきい値データ(DTH)307および相関計算用データ(DCC)308は、ストレージ115に保存される。
相関計算用データ(DCC)308は、バルブ109が開いた後の所定期間における、排気配管104の圧力値PEおよび搬送室103の圧力値PTの過去の履歴データにより構成される。この過去の履歴データは、例えば、装置データ(DED)304から得ることができる。バルブ109が開いた後の所定期間は、特に制限されないが、たとえば、バルブ109が開状態となってから、5秒から10秒(5秒~10秒)の時間範囲とすることができる。ここでは、異常検出方法として、圧力の最大値として説明するが、他の変数(パラメータ)でも問題なく、具体的には、の統計量等が異常検出の候補として挙げられる。
処理部(PRC)306は、相関計算用データ(DCC)308に基づいてグラフをプロット(作成)する。そして、処理部(PRC)306は、作成したグラフに基づいて、搬送室103の圧力値と排気配管104の最大圧力値との間の相関を表す回帰曲線(排気配管104の圧力値=f(P(搬送室103の圧力値)))を生成する。そして、処理部(PRC)306は、排気配管104の最大圧力値の上位所定数(例えば、トップ10個の最大圧力値)を選択して、選択されたトップ10個の最大圧力値の平均値(PEVA10)を計算する。処理部(PRC)306は、選択されたトップ10個の最大圧力値の平均値(PEVA10)に基づいて、排気配管104の圧力値PEのしきい値PETHを生成する。しきい値PETHは、例えば、平均値(PEVA10)の85%から95%の間の圧力値、より好ましくは、90%程度の圧力値とすることができる。処理部(PRC)306は、また、しきい値PETHを回帰曲線(排気配管104の圧力値=f(P(搬送室103の圧力値)))に代入することで、搬送室103の圧力値のしきい値(所定値とも言う)PTTHを生成する。つまり、バルブ109が開いた後の所定期間における排気装置(105,106)に係る圧力の最大値と、搬送室103の圧力との相関である回帰曲線を基に所定値(しきい値PTTH)が求められる。しきい値PETH、PTTHは、しきい値データ(DTH)307としてストレージ115に保存される。しきい値PETH、PTTHについては、後述する図7および図11において詳細に説明する。
図4には、図3の装置データ(DED)304、しきい値データ(DTH)307および相関計算用データ(DCC)308のデータ構成の一例が示されている。
装置データ(DED)304は、第1圧力計107と第2圧力計108により計側された排気配管104の圧力値PEと搬送室103の圧力値PTの時系列データであり、年月日(Date)と、時間(Time)と、バルブ開判定(VALOJ)と、排気配管104の圧力PEと、搬送室103の圧力PTと、を含む。バルブ開判定(VALOJ)は、バルブ109の開状態(OPEN)と閉状態(CLOSE)との判定結果を示している。
しきい値データ(DTH)307は、排気配管104の圧力値PEのしきい値PETHと、搬送室103の圧力値PTのしきい値PTTHと、を含む。
相関計算用データ(DCC)308は、複数組の排気配管104の圧力値PEと搬送室103の圧力値PTと、を含む。
診断装置111は、パーソナルコンピュータにより構成されており、半導体製造装置101の排気装置(第1排気装置105、第2排気装置106)または排気配管104の異常を検出するためのアプリケーションが実装されるプラットフォームを備える。診断装置111は、試料212を処理する処理室102と、試料212を処理室102へ搬送するため処理室102に接続された搬送室103と、処理室102と搬送室103との間を遮断するバルブ109と、処理室102に接続された排気装置(105,106)と排気配管104と、排気配管104の圧力を計測(モニタ)する第1圧力計107を有する半導体製造装置101に、ネットワークにより接続される。診断装置111は、圧力計107により計測されたバルブ109が開いた後の所定期間の圧力値を用いて、半導体製造装置101の排気装置(105,106)または排気配管104の異常有無を判定する。つまり、バルブ109が開いた後の排気装置(105,106)に係る圧力を基に排気装置(105,106)または排気装置(105,106)に係る排気配管104の異常有無が診断装置111により判定される。
ここで、本開示の診断装置111の異常有無の判定の動作フローについて説明する。
診断装置111は、バルブ109が開いた後の所定期間、たとえば、5秒から10秒の範囲の所定期間の排気配管104の圧力値を用いて、半導体製造装置101の排気装置(105,106)または排気配管104の異常有無を判定する。バルブ109が開いた後の所定期間の排気配管104の圧力値を異常有無の判定に利用するので、処理室102における処理条件のバラつきによる排気配管104の圧力値の変動を考慮することを不要にできる。これにより、排気配管104の圧力値の変動を抑えて、半導体製造装置101の排気装置(105,106)または排気配管104の異常有無を正確に判定できるようになる。
また、本開示者らの知見によれば、第1圧力計107と第2圧力計108により計側されるところの排気配管104の圧力値PEと搬送室103の圧力値PTとは所定の相関関係を有している。一方、第1圧力計107により計側される排気配管104の圧力値は、バルブ109が開いた後であっても、計測された圧力値にバラつき(ノイズ)が発生する場合がある。そこで、計測された排気配管104の圧力値のバラつきを排除するため、排気配管104の圧力値PEの判定に利用するしきい値(PETH)を導入するのが好ましいことが分かった。また、同様の知見は第1排気装置105の電流値の最大値にも見られる。なお、しきい値(PETH)の計算については、後述する図7および図11の説明を参照できる。
診断装置111は、第2圧力計108の圧力値が、バルブ109が開いた後の所定期間において所定のしきい値(所定値)であるしきい値PTTHを上回る場合(第2圧力計108の圧力値>PTTH)、半導体製造装置101の排気装置105,106または排気配管104が異常であると判定する。つまり、バルブ109が開いた後の搬送室103の圧力が所定値以上となる場合、診断装置111により異常有無が判定される。これにより、半導体製造装置101の試料に対する処理条件による排気配管104の圧力値のバラつき、および、バルブ109が開いた後の所定期間において計測された排気配管104の圧力値のバラつき(ノイズ)を抑えつつ、半導体製造装置101の排気装置105,106または排気配管104の異常を正確に判定することができる。
以上の説明では、半導体製造装置101にネットワークにより接続された診断装置111を設けた半導体製造装置システム100の構成例を説明したが、診断装置111はこの構成例に限定されない。診断装置111は、例えば、サーバSRVで実行されるソフトウエアにより構成して、そのサーバSRVをネットワークにより半導体製造装置101に接続することにより構成してもよい。
次に、図5を用いて、診断装置111の実施する診断アルゴリズムに係る異常診断フローを説明する。図5は、実施例に係る診断装置の処理フロー図である。この診断方法に係る処理フローは、診断アルゴリズムに係る異常診断フローを示している。図5には、半導体製造装置101の動作フロー50と、診断装置111の異常診断の動作フロー51と、を含む診断方法が示されている。
まず、半導体製造装置101の動作フロー50を説明する。
半導体製造装置101の動作フロー50は、ステップS100、ステップS101と、ステップS103と、を有する。
ステップS100:バルブ109が閉じた状態(Close)から開いた状態(Open)とされる。
ステップS101:バルブ109が開いた状態において、処理前の試料212であるウエハを搬送室103から処理室102の内部へ搬入される。または、処理後の試料212であるウエハを処理室102から搬送室103の内部へ搬出される。
ステップS102:バルブ109が開いた状態(Open)から閉じた状態(Close)とされる。なお、ステップS100からステップS102において、第1圧力計107と第2圧力計108は、排気配管104の圧力値PEと搬送室103の圧力値PTとを計測して、診断装置111のデータ収集部(DAC)303へデータ転送110しており、装置データ(DED)304には、時系列データが格納されている。
図8は、実施例に係る半導体製造装置101の排気配管104の圧力PEと搬送室103の圧力PTの構成例の説明図である。図8において、グラフ81は、横軸は時間Tを示し、縦軸は第1圧力計107により計測された排気配管104の圧力値PEを示している。グラフ82は、横軸は時間Tを示し、縦軸は第2圧力計108により計測された搬送室103の圧力値PTを示している。83は、バルブ109が開いた状態(Open)の期間を示している。TAは、バルブ109が開いた状態(Open)の後の所定期間を示している。所定期間TAは、たとえば、5秒から10秒の範囲である。バルブ109が開いた状態(Open)の後の所定期間TAにおける排気配管104の圧力値PEを用いて、半導体製造装置101の排気装置(105,106)または排気配管104の異常有無を判定する。
図5に示すように、診断装置111の動作フロー51は、ステップS200、ステップS201と、ステップS202と、ステップS203と、を有する。
ステップS200:診断装置111の処理部306は、データ収集部(DAC)303から、処理室102の排気配管104の圧力値PEと搬送室103の圧力値PTとについて、バルブ109の開いた状態(Open)の後の時系列データ(図8参照)を取得する。
ステップS201:診断装置111の処理部306は、取得した時系列データにおいて、バルブ109の開いた状態(Open)の後の所定時間TA内の処理室102の排気配管104の圧力値PEを算出する。
ステップS202:処理部306は、ステップS201で算出された排気配管104の圧力値PEを結果圧力に代入する。
ステップS203:処理部306は、結果圧力が排気配管104の圧力値PEのしきい値PETHよも大きい場合(排気配管104の圧力値PE>PETH)、異常発報を行う。一方、結果圧力がしきい値PETHよりも大きくない場合(排気配管104の圧力値PE<PETH)、異常発報を行わずに、異常診断の動作フローを終了する。ここで、排気配管104の圧力値PEのしきい値PETHは、後述する図7および図11の説明を参照できる。
つまり、バルブ109が開いた後の排気装置(105,106)に係る圧力を基に排気装置(105,106)または排気装置(105,106)に係る排気配管104の異常有無が判定されるステップ(S200-S203)が半導体製造装置101の状態を診断するためのアプリケーションにより実行される。
図9は、排気配管104の圧力PE(処理中とバルブ開後)の説明図である。図9において、グラフ91は、試料212を処理室102内で処理している最中の排気配管104の圧力値PEの一例であり、横軸が時間T、縦軸が排気配管104の圧力値PEを示している。グラフ92は、バルブ109の開いた状態(Open)の後の所定時間TAの排気配管104の圧力値PEの一例であり、横軸が時間T、縦軸が排気配管104の圧力PEを示している。
グラフ91に示すように、試料212を処理室102内で処理している最中の排気配管104の圧力値PEは、処理条件に応じて、高い圧力値となったり、低い圧力値となったりしてバラつくことが分かる。
一方、グラフ92に示すように、バルブ109の開いた状態(Open)の後の所定時間TAの排気配管104の圧力値PEは、グラフ91に示す排気配管104の圧力値PEと比較して、圧力値PEのバラつきが抑えられていることが分かる。つまり、半導体製造装置101の排気装置105,106または排気配管104の異常を検出する際に、バルブ109の開いた状態(Open)の後の所定時間TAの排気配管104の圧力値PEに基づいて異常を検出することで、処理条件による圧力値PEのバラつきを抑えつつ、半導体製造装置101の排気装置105,106または排気配管104の異常を検出することができる。
グラフ92では、処理条件による圧力値PEのバラつきを抑えられているものの、圧力値PEの一部に、少なからずのバラつき(ノイズ)が発生しているのが分かる。そこで、排気配管104の圧力値PEのしきい値PETHを設定し、排気配管104の圧力値PEがしきい値PETHより大きいか否かによって、導体製造装置101の排気装置105,106または排気配管104に異常があることを知らせる異常発報を行うか否かを判断するのが良い。これにより、バルブ109が開いた後の所定期間において計測された排気配管104の圧力値のバラつき(ノイズ)を抑えつつ、半導体製造装置101の排気装置105,106または排気配管104の異常を正確に判定することができる。
次に、図6を用いて、診断装置111の実施する診断アルゴリズムに関する異常診断フローの他の例を説明する。図6は、実施例に係る診断装置の他の処理フロー図である。この処理フローは、診断アルゴリズムに係る異常診断フローを示している。図6には、半導体製造装置101の動作フロー50と、診断装置111の異常診断の動作フロー61と、を含む診断方法が示されている。
半導体製造装置101の動作フロー50は、図5の半導体製造装置101の動作フロー50と同じであるので、重複する説明は省略する。
診断装置111の異常診断の動作フロー61は、ステップS200、ステップS301と、ステップS302と、ステップS303と、ステップS304と、ステップS203と、を有する。
ステップS200:診断装置111の処理部306は、データ収集部(DAC)303から、処理室102の排気配管104の圧力値PEと搬送室103の圧力値PTとについて、バルブ109の開いた状態(Open)の後の時系列データ(図8参照)を取得する。
ステップS301:診断装置111の処理部306は、取得した時系列データにおいて、バルブ109の開いた状態(Open)の後の所定時間TA内の処理室102の排気配管104の最大圧力値PEを算出(抽出)する。
ステップS302:診断装置111の処理部306は、バルブ109の開いた状態(Open)の後の所定時間TA内の搬送室103の圧力値PTが搬送室103の圧力値PTのしきい値PTTH以上か否かを判定する。所定時間TA内の搬送室103の圧力値PTがしきい値PTTH以上(PT>PTTH)の場合(はい)、ステップS303へ移行する。所定時間TA内の搬送室103の圧力値PTがしきい値PTTH以上(PT>PTTH)でない場合(いいえ)、ステップS304へ移行する。
ステップS303:処理部306は、ステップS201で算出された排気配管104の最大圧力値を結果圧力に代入する。
ステップS304:処理部306は、結果圧力を無効として、異常診断の動作フローを終了する。
ステップS203:処理部306は、結果圧力が排気配管104の圧力値PEのしきい値PETHよりも大きい場合(排気配管104の圧力値PE>PETH)、異常発報を行う。一方、結果圧力がしきい値PETHよりも大きくない場合(排気配管104の圧力値PE<PETH)、異常発報を行わずに、異常診断の動作フローを終了する。
つまり、バルブ109が開いた後の排気装置(105,106)に係る圧力を基に排気装置(105,106)または排気装置(105,106)に係る排気配管104の異常有無が判定されるステップ(S200、S301-S304、S203)が半導体製造装置101の状態を診断するためのアプリケーションにより実行される。
次に、図7、図10および図11を用いて、排気配管104の圧力値PEのしきい値PETHおよび搬送室103の圧力値PTのしきい値PTTHについて説明する。図7は、実施例に係る排気配管104の圧力しきい値(PETH)と搬送室103の圧力しきい値(PTTH)との決定するための処理フロー図である。図10は、搬送室103の圧力PT(しきい値適用前としきい値適用後)の説明図である。図11は、排気配管104の圧力PEと搬送室103の圧力PTの相関計算用データ(DCC)から、排気配管104の圧力PEのしきい値PETHおよび搬送室103の圧力PTのしきい値PTTHを決める一例の説明図である。
図7には、処理部306が搬送室103の圧力値PTのしきい値PTTHを決めるための処理フローを示しており、この処理フローは、任意のタイミングにおいて、処理部306により実行される。処理フローは、ステップS400、ステップS401と、ステップS402と、ステップS403と、ステップS404と、を有する。
ステップS400:処理部(PRC)306は、相関計算用データ(DCC)308に基づいてグラフをプロット(作成)する。相関計算用データ(DCC)308は、バルブ109が開いた後の所定期間における、排気配管104の圧力値PEおよび搬送室103の圧力値PTの過去の履歴データにより構成される。この過去の履歴データは、例えば、装置データ(DED)304から得ることができる。バルブ109が開いた後の所定期間は、特に制限されないが、たとえば、バルブ109が開状態となってから、5秒から10秒(5秒~10秒)の時間範囲とすることができる。
ステップS401:処理部(PRC)306は、作成したグラフに基づいて、搬送室103の圧力値PTと排気配管104の最大圧力値との間の回帰曲線RCを生成する(図11参照)。つまり、ここでは、排気配管104の圧力値PEと搬送室103の圧力値PTとは所定の相関関係を有しているので、搬送室103の圧力値PTと異常を判定したい処理室102の排気配管104の圧力値PEの最大圧力値の間の回帰曲線RCを作成する。回帰曲線RCは、例えば、以下の式で表される。
排気配管104の圧力値PE=f(P(搬送室103の圧力値PT))
ステップS402:処理部(PRC)306は、排気配管104の最大圧力値の上位所定数(例えば、トップ10個の最大圧力値)を選択する(図11参照)。
ステップS403:選択されたトップ10個の最大圧力値の平均値(PEVA10)を計算する(図11参照)。
ステップS404:処理部(PRC)306は、選択されたトップ10個の最大圧力値の平均値(PEVA10)に基づいて、排気配管104の圧力値PEのしきい値PETHを生成する。しきい値PETHは、例えば、平均値(PEVA10)の85%から95%の間の圧力値、より好ましくは、平均値(PEVA10)の90%程度の圧力値とすることができる。処理部(PRC)306は、また、しきい値PETHを回帰曲線RCに代入することで、搬送室103の圧力値PTのしきい値PTTHを生成する。しきい値PETH、PTTHは、処理部(PRC)306により、しきい値データ(DTH)307としてストレージ115に保存される。
図7で求めた搬送室103の圧力値PTのしきい値PTTHを設定することで、図10のグラフ92(図9のグラフ92と同じ)に示したバラつき(ノイズ)を抑えることができる。図10のグラフ93は、搬送室103の圧力値PTのしきい値PTTHを用いた場合における、バルブ109の開いた状態(Open)の後の所定時間TAの排気配管104の圧力値PEの一例であり、横軸が時間T、縦軸が排気配管104の圧力PEを示している。つまり、しきい値PTTHを用いることで、バルブ109の開いた状態(Open)の後の所定時間TAの排気配管104の圧力値PEのバラつきが抑えられていることが分かる。
つまり、バルブ109が開いた後の所定時間TAの排気配管104の圧力値PEを用いる事で、処理条件によるバラつきを抑えることができる(図9のグラフ91とグラフ92を参照)。また、搬送室103の圧力値PEにおいてしきい値(PTTH)を設定することで、処理条件によるバラつきがある状態(図9のグラフ91参照)からバラつきが、71%程度改善ができる(図10のグラフ93参照)。ここでは、圧力値として説明したが、第1排気装置105の電流値の統計量を用いても、同様の効果が得られる。
実施例に係る診断装置によれば、処理条件によるバラつきを抑えつつ、半導体製造装置の排気装置または排気配管の異常有無を判定できる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
100:半導体製造装置システム
101:半導体製造装置(処理装置)
102:処理室
103:搬送室
104:排気配管
105:第1排気装置
106:第2排気装置
107:第1圧力計
108:第2圧力計
109:バルブ
111:診断装置
117:サーバ
210:ウエハステージ
212:試料

Claims (5)

  1. 試料が処理される処理室と、前記試料を前記処理室へ搬送し前記処理室に接続された搬送室と、前記処理室と前記搬送室との間に配置されたバルブと、前記処理室を排気する排気装置と、前記排気装置に係る排気配管とを備える半導体製造装置の状態が診断される診断装置において、
    前記バルブが開いた後の前記搬送室の圧力が所定値以上となる場合、前記バルブが開いた後の前記排気配管の圧力を基に前記排気装置または前記排気配管の異常有無が判定され、
    前記所定値は、前記バルブが開いた後の前記排気配管の圧力と前記搬送室の圧力との相関を基に求められた値であり、
    前記バルブが開いた状態は、前記搬送室から前記処理室へ前記試料が搬送される場合のことまたは前記処理室から前記搬送室へ前記試料が搬送される場合のことであることを特徴とする診断装置。
  2. 半導体製造装置がネットワークを介して接続された請求項1に記載の診断装置を備えることを特徴とする半導体製造装置システム。
  3. 請求項に記載の半導体製造装置システムにおいて、
    前記診断装置は、パーソナルコンピュータであることを特徴とする半導体製造装置システム。
  4. 試料が処理される処理室と、前記試料を前記処理室へ搬送し前記処理室に接続された搬送室と、前記処理室と前記搬送室との間に配置されたバルブと、前記処理室を排気する排気装置と、前記排気装置に係る排気配管とを備える半導体製造装置がネットワークを介して接続され、前記半導体製造装置の状態を診断するためのアプリケーションが実装されたプラットフォームを備える半導体装置製造システムにおいて、
    前記バルブが開いた後の前記搬送室の圧力が所定値以上となる場合、前記バルブが開いた後の前記排気配管の圧力を基に前記排気装置または前記排気配管の異常有無が判定されるステップが前記アプリケーションにより実行され、
    前記所定値は、前記バルブが開いた後の前記排気配管の圧力と前記搬送室の圧力との相関を基に求められた値であり、
    前記バルブが開いた状態は、前記搬送室から前記処理室へ前記試料が搬送される場合のことまたは前記処理室から前記搬送室へ前記試料が搬送される場合のことであることを特徴とする半導体装置製造システム。
  5. 試料が処理される処理室と、前記試料を前記処理室へ搬送し前記処理室に接続された搬送室と、前記処理室と前記搬送室との間に配置されたバルブと、前記処理室を排気する排気装置と、前記排気装置に係る排気配管とを備える半導体製造装置の状態を診断する診断方法において、
    前記バルブが開いた後の前記搬送室の圧力が所定値以上となる場合、前記バルブが開いた後の前記排気配管の圧力を基に前記排気装置または前記排気配管の異常有無を判定する工程を有し、
    前記所定値は、前記バルブが開いた後の前記排気配管の圧力と前記搬送室の圧力との相関を基に求められた値であり、
    前記バルブが開いた状態は、前記搬送室から前記処理室へ前記試料が搬送される場合のことまたは前記処理室から前記搬送室へ前記試料が搬送される場合のことであることを特徴とする診断方法。
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