JP7496418B2 - パルス幅伸長装置、レーザ装置及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents

パルス幅伸長装置、レーザ装置及び電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、パルス幅伸長装置、レーザ装置及び電子デバイスの製造方法に関する。
近年、半導体露光装置においては、半導体集積回路の微細化及び高集積化につれて、解像力の向上が要請されている。このため、露光用光源から放出される光の短波長化が進められている。例えば、露光用のガスレーザ装置としては、波長約248nmのレーザ光を出力するKrFエキシマレーザ装置、並びに波長約193nmのレーザ光を出力するArFエキシマレーザ装置が用いられる。
KrFエキシマレーザ装置及びArFエキシマレーザ装置の自然発振光のスペクトル線幅は、350~400pmと広い。そのため、KrF及びArFレーザ光のような紫外線を透過する材料で投影レンズを構成すると、色収差が発生してしまう場合がある。その結果、解像力が低下し得る。そこで、ガスレーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル線幅を、色収差が無視できる程度となるまで狭帯域化する必要がある。そのため、ガスレーザ装置のレーザ共振器内には、スペクトル線幅を狭帯域化するために、狭帯域化素子(エタロンやグレーティング等)を含む狭帯域化モジュール(Line Narrow Module:LNM)が備えられる場合がある。以下では、スペクトル線幅が狭帯域化されるガスレーザ装置を狭帯域化ガスレーザ装置という。
特開2011-176358号 米国特許第7184204号
概要
本開示の1つの観点に係るパルス幅伸長装置は、第1のビームスプリッタと複数の第1の凹面ミラーとを含み、第1のビームスプリッタと複数の第1の凹面ミラーとによって構成される第1のループ光路が第1の平面上に形成される第1の遅延光学系と、第2のビームスプリッタと複数の第2の凹面ミラーとを含み、第2のビームスプリッタと複数の第2の凹面ミラーとによって構成される第2のループ光路が第1の平面と平行かつ第1の平面と異なる第2の平面上に形成される第2の遅延光学系と、第1の遅延光学系と第2の遅延光学系との間の光路上に配置され、第2のループ光路を進むパルスレーザ光のビーム断面形状の長手方向が第2の平面に直交するように、第1の遅延光学系を通過したパルスレーザ光のビームを回転させる第1のビーム回転機構とを備える。
本開示の他の1つの観点に係るレーザ装置は、パルスレーザ光を出力するレーザ発振器と、パルスレーザ光の光路上に配置されるパルス幅伸長装置と、を含むレーザ装置であって、パルス幅伸長装置は、第1のビームスプリッタと複数の第1の凹面ミラーとを含み、第1のビームスプリッタと複数の第1の凹面ミラーとによって構成される第1のループ光路が第1の平面上に形成される第1の遅延光学系と、第2のビームスプリッタと複数の第2の凹面ミラーとを含み、第2のビームスプリッタと複数の第2の凹面ミラーとによって構成される第2のループ光路が第1の平面と平行かつ第1の平面と異なる第2の平面上に形成される第2の遅延光学系と、第1の遅延光学系と第2の遅延光学系との間の光路上に配置され、第2のループ光路を進むパルスレーザ光のビーム断面形状の長手方向が第2の平面に直交するように、第1の遅延光学系を通過したパルスレーザ光のビームを回転させる第1のビーム回転機構とを備える。
本開示の他の1つの観点に係る電子デバイスの製造方法は、第1のビームスプリッタと複数の第1の凹面ミラーとを含み、第1のビームスプリッタと複数の第1の凹面ミラーとによって構成される第1のループ光路が第1の平面上に形成される第1の遅延光学系と、第2のビームスプリッタと複数の第2の凹面ミラーとを含み、第2のビームスプリッタと複数の第2の凹面ミラーとによって構成される第2のループ光路が第1の平面と平行かつ第1の平面と異なる第2の平面上に形成される第2の遅延光学系と、第1の遅延光学系と第2の遅延光学系との間の光路上に配置され、第2のループ光路を進むパルスレーザ光のビーム断面形状の長手方向が第2の平面に直交するように、第1の遅延光学系を通過したパルスレーザ光のビームを回転させる第1のビーム回転機構と、を備えるレーザ装置によってパルス幅が伸長されたレーザ光を生成し、レーザ光を露光装置に出力し、電子デバイスを製造するために、露光装置内で感光基板にレーザ光を露光することを含む。
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1は、比較例に係るレーザ装置の構成例を概略的に示す。 図2は、実施形態1に係るレーザ装置の構成を概略的に示す上面図である。 図3は、実施形態1に係るレーザ装置の構成を概略的に示す正面図である。 図4は、実施形態1に係る長大な光学パルスストレッチャ(L-OPS)の構成を概略的に示す斜視図である。 図5は、実施形態2に係るL-OPSの構成を概略的に示す斜視図である。 図6は、一対の凹面ミラーによるパルスレーザ光の伝搬動作を、一対の凸レンズに置き換えて模式的に示す図である。 図7は、L-OPSに適用されるビーム回転機構の変形例1を示す。 図8は、L-OPSに適用されるビーム回転機構の変形例2を示す。 図9は、実施形態3に係るレーザ装置の構成を概略的に示す上面図である。 図10は、実施形態3に係るレーザ装置の構成を概略的に示す正面図である。 図11は、実施形態3に係るL-OPSの構成を概略的に示す斜視図である。 図12は、露光装置の構成例を概略的に示す。
実施形態
-目次-
1.比較例に係るレーザ装置の概要
1.1 構成
1.2 動作
1.3 課題
2.実施形態1
2.1 構成
2.2 動作
2.3 L-OPSの具体例
2.3.1 構成
2.3.2 動作
2.4 作用・効果
2.5 変形例
3.実施形態2
3.1 構成
3.2 動作
3.3 作用・効果
4.ビーム回転機構の変形例1
4.1 構成
4.2 動作
4.3 作用・効果
5.ビーム回転機構の変形例2
5.1 構成
5.2 動作
5.3 作用・効果
6.実施形態3
6.1 構成
6.2 動作
6.3 L-OPSの具体例
6.3.1 構成
6.3.2 動作
6.4 作用・効果
6.5 変形例
7.電子デバイスの製造方法について
8.その他
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
1.比較例に係るレーザ装置の概要
1.1 構成
図1は、比較例に係るレーザ装置2の構成例を概略的に示す。本開示の比較例とは、出願人のみによって知られていると出願人が認識している形態であって、出願人が自認している公知例ではない。レーザ装置2は、マスターオシレータ(Master Oscillator:MO)10と、MOビームステアリングユニット20と、パワーオシレータ(Power Oscillator:PO)30と、POビームステアリングユニット40と、光学パルスストレッチャ(Optical Pulse Stretcher:OPS)50とを含む。
マスターオシレータ10は、狭帯域化モジュール(LNM)11と、チャンバ14と、出力結合ミラー(Output Coupler:OC)17とを含む。
LNM11は、スペクトル線幅を狭帯域化するためのプリズムビームエキスパンダ12と、グレーティング13とを含む。プリズムビームエキスパンダ12とグレーティング13とは、入射角度と回折角度とが一致するようにリトロー配置される。
出力結合ミラー17は、反射率が40%~60%の反射ミラーである。出力結合ミラー17とLNM11とは、光共振器を構成するように配置される。
チャンバ14は、光共振器の光路上に配置される。チャンバ14は、1対の放電電極15a、15bと、パルスレーザ光が透過する2枚のウィンドウ16a、ウィンドウ16bとを含む。チャンバ14は、エキシマレーザガスを内部に収容する。エキシマレーザガスは、例えば、レアガスとしてArガス又はKrガス、ハロゲンガスとしてFガス、バッファガスとしてNeガスを含んでいてもよい。
MOビームステアリングユニット20は、高反射ミラー21aと高反射ミラー21bとを含む。高反射ミラー21aと高反射ミラー21bとは、マスターオシレータ10から出力されたパルスレーザ光がパワーオシレータ30に入射するように配置される。
パワーオシレータ30は、リアミラー31と、チャンバ32と、出力結合ミラー35とを含む。リアミラー31と出力結合ミラー35とは光共振器を構成するように配置される。
チャンバ32は、光共振器の光路上に配置される。チャンバ32は、マスターオシレータ10のチャンバ14と同様の構成であってよい。すなわち、チャンバ32は、1対の放電電極33a、33bと、パルスレーザ光が透過する2枚のウィンドウ34a、ウィンドウ34bとを含む。チャンバ32は、エキシマレーザガスを内部に収容する。
リアミラー31は、反射率が50%~90%の反射ミラーである。出力結合ミラー35は、反射率が10%~30%の反射ミラーである。
POビームステアリングユニット40は、高反射ミラー40aと高反射ミラー40bとを含む。高反射ミラー40aと高反射ミラー40bとは、パワーオシレータ30から出力されたパルスレーザ光がOPS50に入射するように配置される。
OPS50は、ビームスプリッタ52と、4枚の凹面ミラー54a~54dとを含む。ビームスプリッタ52は、POビームステアリングユニット40から出力されたパルスレーザ光の光路上に配置される。ビームスプリッタ52は、入射したパルスレーザ光のうちの一部のパルスレーザ光を透過させ、その他のパルスレーザ光を反射させる反射ミラーである。ビームスプリッタ52の反射率は、40%~70%であることが好ましく、約60%であることがより好ましい。ビームスプリッタ52は、ビームスプリッタ52を透過したパルスレーザ光をレーザ装置2から出力させる。
4枚の凹面ミラー54a~54dは、ビームスプリッタ52の第1の面を反射したパルスレーザ光の遅延光路を構成する。ビームスプリッタ52の第1の面で反射されたパルスレーザ光は、4枚の凹面ミラー54a~54dで反射して、再びビームスプリッタ52でビームが結像するように配置される。
4枚の凹面ミラー54a~54dは、それぞれの焦点距離が全て略等しい凹面ミラーであってよい。凹面ミラー54a~54dのそれぞれの焦点距離fは、例えば、ビームスプリッタ52から凹面ミラー54aまでの距離に相当してよい。
凹面ミラー54aと凹面ミラー54bとは、ビームスプリッタ52の第1の面で反射されたパルスレーザ光を凹面ミラー54aで反射し、凹面ミラー54bに入射させるように配置される。凹面ミラー54aと凹面ミラー54bとは、ビームスプリッタ52の第1の面で反射されたパルスレーザ光が、ビームスプリッタ52の第1の面における像を等倍(1:1)で第1の像として結像させるように配置される。
凹面ミラー54cと凹面ミラー54dとは、凹面ミラー54bで反射されたパルスレーザ光を凹面ミラー54cで反射し、凹面ミラー54dに入射させるように配置される。さらに、凹面ミラー54dは、凹面ミラー54dで反射されたパルスレーザ光がビームスプリッタ52の第1の面とは反対側の第2の面に入射するように配置される。凹面ミラー54cと凹面ミラー54dとは、第1の像をビームスプリッタ52の第2の面に1:1で第2の像として結像させるように配置される。
1.2 動作
マスターオシレータ10のチャンバ14において放電が発生すると、レーザガスが励起され、出力結合ミラー17とLNM11とで構成される光共振器によって狭帯域化されたパルスレーザ光が出力結合ミラー17から出力される。このパルスレーザ光はMOビームステアリングユニット20によって、パワーオシレータ30のリアミラー31にシード光として入射する。
リアミラー31を透過したシード光が入射するタイミングに同期して、チャンバ32において放電が発生する。その結果、レーザガスが励起され、出力結合ミラー35とリアミラー31とで構成されるファブリペロー型の光共振器によってシード光が増幅され、出力結合ミラー35から増幅されたパルスレーザ光が出力される。出力結合ミラー35から出力されたパルスレーザ光は、POビームステアリングユニット40を経由して、OPS50に入射する。
OPS50に入射したパルスレーザ光は、ビームスプリッタ52の第1の面に入射する。ビームスプリッタ52の第1の面に入射したパルスレーザ光のうちの一部は、ビームスプリッタ52を透過し、遅延光路を周回していない0周回光(スルー光)のパルスレーザ光としてOPS50から出力される。
ビームスプリッタ52の第1の面に入射したパルスレーザ光のうち、ビームスプリッタ52の第1の面を反射したパルスレーザ光は、遅延光路に進入し、凹面ミラー54aと凹面ミラー54bとにより反射される。ビームスプリッタ52の第1の面によって反射されたパルスレーザ光の光像は、凹面ミラー54aと凹面ミラー54bとにより、1:1の第1の転写像として結像する。そして第1の転写像は、凹面ミラー54cと凹面ミラー54dとによって、ビームスプリッタ52の第2の面に1:1の第2の転写像として結像する。
凹面ミラー54dからビームスプリッタ52の第2の面に入射したパルスレーザ光の一部は、ビームスプリッタ52の第2の面により反射され、遅延光路を1周回した1周回光のパルスレーザ光としてOPS50から出力される。この1周回光のパルスレーザ光は、0周回光のパルスレーザ光から遅延時間Δt1だけ遅れて出力される。この遅延時間Δt1は、OPS50の遅延光路の光路長をLOPS、光速をcとすると、Δt1=LOPS/cと表すことができる。
第2の転写像としてビームスプリッタ52の第2の面に入射したパルスレーザ光のうち、ビームスプリッタ52を透過したパルスレーザ光は、さらに遅延光路に進入し、4枚の凹面ミラー54a、54b、54c、54dにより反射されて、再びビームスプリッタ52の第2の面に入射する。そして、ビームスプリッタ52の第2の面により反射されたパルスレーザ光は、遅延光路を2周回した2周回光のパルスレーザ光としてOPS50から出力される。この2周回光のパルスレーザ光は、1周回光のパルスレーザ光から遅延時間Δt1だけ遅れて出力される。
この後、光の遅延光路の周回が繰り返されることにより、OPS50からは、0周回光、1周回光、2周回光、3周回光・・・のパルスレーザ光が出力される。OPS50から出力されるパルスレーザ光は、遅延光路の周回数が多くなるほど光強度が低下する。
1周回光以降のパルスレーザ光は、0周回光のパルスレーザ光に対して遅延時間Δt1の整数倍だけ遅れてそれぞれ合成されて出力されることにより、パルス波形が重畳される。こうして、OPS50によってパルスレーザ光のパルス幅が伸長される。
OPS50を通過したパルスレーザ光は、図示しないモニタモジュールを通過して、レーザ装置2から出力される。モニタモジュールは、図示しないビームスプリッタ及びセンサを含み、パルスレーザ光のパルスエネルギ、スペクトル線幅、波長等を計測する。
図1では、1段のOPS50を備える例を示しているが、レーザ装置2は、2段以上のOPSを含んでいてもよい。例えば、OPS50から出力されたパルスレーザ光の光路上に、図示しないOPSを1つ以上直列に配置してもよい。
1.3 課題
レーザ装置2は、OPS50によってパルスレーザ光のパルス幅を伸長することにより、被加工物の表面におけるむら(スペックル)の発生を抑制している。スペックルは、被加工物がウエハの場合、ウエハ面上で点在して現れるため、部分的な露光量の大小を発生させ露光パターンのサイズを変化させる。スペックルとは、パルスレーザ光の光強度分布を均一化するためにパルスレーザ光を散乱させたときに、干渉によって生じる明暗の斑点である。明暗の斑点を撮影した画像をスペックル画像という。スペックルの評価指標として、一般的に以下のスペックルコントラストSCが使用される。
SC=σ(I)/Avg(I)
ここで、σ(I)はスペックル画像における強度Iの標準偏差であり、Avg(I)は強度Iの平均値である。
スペックルコントラストの低減のためにOPSでパルス幅をさらに大きく伸ばすには、非常に長い距離の光路差を生むための長大なOPSが必要になる。長大なOPSを構成すべく、複数のミラーでパルスレーザ光を反射させながら光路長を長くする場合、複数のミラーによって構成される伝搬光路を含む面に平行な方向のビームダイバージェンスが大きくなり、露光装置で要求されるパルスレーザ光の仕様を満たさなくなることがある。
図1において、レーザ装置2の高さ方向(図1の縦方向)をV軸方向、レーザ装置2の長さ方向(図1の横方向)をZ軸方向、レーザ装置2の奥行き方向(図1の紙面に直交する方向)をH軸方向とする直交座標系を導入して説明する。図1に示すレーザ装置2の場合、OPS50の凹面ミラー54a~54dは、V軸及びZ軸を含むVZ平面と平行な平面に伝搬光路(遅延光路)を形成するように配置されている。
より長い光路差を生むOPSを構成するにあたり、例えば、OPS50の前段又は後段において、このVZ平面に沿ってさらに図示しない複数枚の凹面ミラーを並べて、VZ平面内に伝搬光路を展開する場合、レーザ装置2から出射されるパルスレーザ光は、VZ平面と平行なV軸方向のビームダイバージェンスが大きくなる。
露光装置に入射させるパルスレーザ光のビームダイバージェンスは、露光装置で定められている仕様を満たす必要がある。したがって、OPS50に代えて、又はOPS50に加えて、さらに長大なOPSを用いる場合、露光装置の要求仕様を満たすパルスレーザ光が得られるようにOPSを構成することが求められる。
また、レーザ装置内及びレーザ装置周辺のスペースには制限があるため、長大なOPSは省スペース化する必要がある。
2.実施形態1
2.1 構成
図2は、実施形態1に係るレーザ装置2Aの構成を概略的に示す上面図であり、図3は、レーザ装置2Aの構成を概略的に示す正面図である。なお、レーザ装置2Aに関する「正面」とは、レーザ装置2Aの外周面のうち、レーザ装置2Aのメンテナンス等のために図示しない外装カバーパネルが大きく開く側の面を「正面」と呼んでいる。レーザ装置2Aの外装カバーパネルを開けた際に、図3のような装置内部の配置構造が見える側の面が「正面」である。
図2及び図3において、図1と同様の直交座標系を適用し、レーザ装置2Aの高さ方向をV軸方向、レーザ装置2Aの長さ方向をZ軸方向、レーザ装置2Aの奥行き方向をH軸方向とする。V軸方向は重力方向と平行であってよく、重力方向と逆方向を「+V方向」とし、重力方向を「-V方向」とする。
レーザ装置2Aは、おおむね直方体の外観形状を有し、レーザ装置2Aの図示しないビーム出口は、図3における右側の側面に設けられる。レーザ装置2Aから出射されるパルスレーザ光の出射方向を「+Z方向」とする。図3の紙面の手前に向かう方向を「+H方向」とする。
レーザ装置2Aは、マスターオシレータ10と、MOビームステアリングユニット20と、パワーオシレータ30と、OPS50とを備える。これらの要素は、図1に示すレーザ装置2の構成と同様であってよい。マスターオシレータ10、又はマスターオシレータ10とパワーオシレータ30との組み合わせは、本開示における「レーザ発振器」の一例である。図2及び図3に示すレーザ装置2Aについて、図1に示す比較例と異なる点を説明する。
レーザ装置2Aは、パルス幅を伸長する長い距離の光路差を生むための長大な光学パルスストレッチャ100(以下、「L-OPS100」と表記する。)を備える。L-OPS100は、レーザ装置2Aの背面に配置される。「背面」は正面から見て奥側であり、正面と反対の面である。L-OPS100の具体的な構成例は図4を用いて後述する。レーザ装置2Aは、図1のPOビームステアリングユニット40に代えて、POビームステアリングユニット42を備える。
POビームステアリングユニット42は、L-OPS100との光のやり取りのために、高反射ミラー44aと、高反射ミラー44bと、高反射ミラー44cとを含む。
高反射ミラー44aは、パワーオシレータ30から出力されたパルスレーザ光を反射し、高反射ミラー44bに入射させるように配置される。高反射ミラー44bは、高反射ミラー44aで反射したパルスレーザ光を反射し、L-OPS100の第1のビームスプリッタBS1に入射させるように配置される。高反射ミラー44cは、L-OPS100から出力されたパルスレーザ光を反射し、OPS50に入射させるように配置される。
2.2 動作
パワーオシレータ30から出射したパルスレーザ光は、POビームステアリングユニット42の高反射ミラー44aと高反射ミラー44bとによって伝搬方向を変え、レーザ装置2A背面部のL-OPS100へ入射する。
L-OPS100に入射したパルスレーザ光は、L-OPS100によってパルス幅を伸長され、POビームステアリングユニット42に戻る。
POビームステアリングユニット42に戻ったパルスレーザ光は、高反射ミラー44cによって伝搬方向を変え、OPS50に入射する。OPS50に入射したパルスレーザ光は、OPS50によってさらにパルス幅が伸長されてレーザ装置2Aから出射する。
2.3 L-OPSの具体例
2.3.1 構成
図4は、L-OPS100の構成を概略的に示す斜視図である。L-OPS100は、第1のビームスプリッタBS1と、複数の凹面ミラー111~116と、高反射ミラー121、122と、第2のビームスプリッタBS2と、複数の凹面ミラー131~134と、高反射ミラー141~143とを含む。
第1のビームスプリッタBS1と複数の凹面ミラー111~116とによって第1のループ光路LOP1を含む第1の遅延光学系が構成される。高反射ミラー121と高反射ミラー122とによってパルスレーザ光のビームを回転させるビーム回転機構120が構成される。第2のビームスプリッタBS2と複数の凹面ミラー131~134とによって第2のループ光路LOP2を含む第2の遅延光学系が構成される。高反射ミラー141~143は、第1のループ光路LOP1及び第2のループ光路LOP2を通過したパルスレーザ光をPOビームステアリングユニット42に戻す戻り伝搬光路BOPを構成する。
なお、図4において、高反射ミラー44a、44b、121、122、141、142、143、及び44cで伝搬するパルスレーザ光の光路は太実線で示され、第1のループ光路LOP1は細実線で示され、第2のループ光路LOP2は一点鎖線で示されている。
また、図4において、パルスレーザ光の光路上に示す長方形の印は、その光路を伝搬するパルスレーザ光のビーム断面形状を模式的に表している。「ビーム断面形状」とはビーム軸に垂直なビーム断面の断面プロファイルの形状である。以後、「ビーム断面」という用語は、「ビームの断面プロファイル」あるいは「ビーム断面形状」と同義の用語として用いる。長方形の長辺方向がビーム断面の長手方向であり、長方形の短辺方向がビーム断面の短手方向である。
例えば、高反射ミラー44aに入射するパルスレーザ光は、ビーム断面の長手方向がV軸方向と平行な縦長のビーム形状を有する。高反射ミラー44aは、入射したパルスレーザ光をV軸方向(図4において-V方向)に反射して高反射ミラー44bに入射させるように配置される。高反射ミラー44bは、高反射ミラー44aからのパルスレーザ光をH軸方向(図4において-H方向)に反射してL-OPS100の第1のビームスプリッタBS1に入射させるように配置される。高反射ミラー44bから出射されたパルスレーザ光は、ビーム断面の長手方向がV軸方向と直交する横長のビーム形状を有する。
高反射ミラー44aと高反射ミラー44bとの組み合わせによって、縦長のビームを横長のビームに変換するようにパルスレーザ光を回転させるビーム回転機構43が構成される。なお、ここで「回転させる」という記載には、ビーム軸に対してビーム断面の長手方向と短手方向の向きを調整するという意味が含まれる。
第1のビームスプリッタBS1は、高反射ミラー44bと高反射ミラー121との間の光路上に配置される。凹面ミラー111~116は、第1のビームスプリッタBS1で反射されたパルスレーザ光が伝搬する遅延光路となる第1のループ光路LOP1を形成する。凹面ミラー111~116は、それぞれの焦点距離が略等しい凹面ミラーであってよい。凹面ミラー111~116のそれぞれの焦点距離f1は、例えば、第1のビームスプリッタBS1から凹面ミラー111までの距離に相当してもよい。第1のビームスプリッタBS1で反射されたパルスレーザ光は、凹面ミラー111、112、113、114、115、及び116の順で反射して、再び第1のビームスプリッタBS1でビームが結像するように配置される。
図4において、第1のループ光路LOP1は、VZ平面と平行な同一平面上に形成される。すなわち、第1のビームスプリッタBS1及び凹面ミラー111~116は、VZ平面と平行な同一平面上に第1のループ光路LOP1が構成されるように配置される。なお、「同一平面」という記載は、実質的に同一平面と見做すことができる程度の許容範囲を含んでよい。また「光路が同一平面上に形成される」とは、光路を含む平面が単一の平面であること、あるいは「同じ平面内に光路が形成されていること」と言い換えてもよい。第1のループ光路LOP1が形成される平面を「第1のループ光路平面」という。第1のループ光路平面は、第1のループ光路LOP1を含む平面と言い換えてもよい。第1のループ光路平面は本開示における「第1の平面」の一例である。
高反射ミラー121は、第1のビームスプリッタBS1から出射されたパルスレーザ光を反射して高反射ミラー122に入射させるように配置される。高反射ミラー122は、高反射ミラー121から入射したパルスレーザ光を反射して、第2のビームスプリッタBS2に入射させるように配置される。
第2のビームスプリッタBS2は、高反射ミラー122と、高反射ミラー141との間の光路上に配置される。なお、第2のビームスプリッタBS2は、高反射ミラー142と高反射ミラー143との間の光路上に配置されてもよい。
凹面ミラー131~134は、第2のビームスプリッタBS2で反射されたパルスレーザ光が伝搬する遅延光路となる第2のループ光路LOP2を形成する。凹面ミラー131~134は、それぞれの焦点距離が全て略等しい凹面ミラーであってよい。例えば、凹面ミラー131~134のそれぞれの焦点距離f2は、第2のビームスプリッタBS2から凹面ミラー131までの距離に相当してもよい。第2のビームスプリッタBS2で反射されたパルスレーザ光は、凹面ミラー131、132、133、及び134の順で反射して、再び第2のビームスプリッタBS2でビームが結像するように配置される。
第2のループ光路LOP2は、VZ平面と平行な面上に形成される。第2のループ光路LOP2が形成される平面を第2のループ光路平面という。第2のループ光路平面は、第2のループ光路LOP2を含む平面と言い換えてもよい。第2のループ光路平面は、第1のループ光路平面と平行であり、かつ第1のループ光路平面とは異なる(非同一の)平面である。第2のビームスプリッタBS2及び凹面ミラー131~134は、VZ平面と平行な同一平面上に第2のループ光路LOP2が構成されるように配置される。第2のループ光路平面は本開示における「第2の平面」の一例である。
凹面ミラー111、115、113、131、及び133と、凹面ミラー116、112、114、134、及び132とのそれぞれは、レーザ装置2Aの長手方向の両端に互いに対向するように配置される。レーザ装置2Aの長手方向とは、図2において横方向(Z軸方向)である。
すなわち、凹面ミラー111、凹面ミラー115及び凹面ミラー113は、レーザ装置2Aの長手方向の一方の端部(図2において右側の端部、以下、第1の端部という。)に、この順番でV軸方向に沿って一列に並んで配置される。凹面ミラー116、凹面ミラー112及び凹面ミラー114は、レーザ装置2Aの長手方向の他方の端部(図2において左側の端部、以下、第2の端部という。)に、この順番でV軸方向に沿って一列に並んで配置される。凹面ミラー111と凹面ミラー116とは第1のビームスプリッタBS1を挟んで対向する位置に配置される。
同様に、凹面ミラー131と凹面ミラー133とは、レーザ装置2Aの長手方向の第1の端部に、この順番でV軸方向に沿って一列に並んで配置される。凹面ミラー134と凹面ミラー132とは、レーザ装置2Aの長手方向の第2の端部に、この順番でV軸方向に沿って一列に並んで配置される。凹面ミラー131と凹面ミラー134とは第2のビームスプリッタBS2を挟んで対向する位置に配置される。
高反射ミラー121と高反射ミラー122とによって構成されるビーム回転機構120の伝搬光路と、高反射ミラー141~143によって構成される戻り伝搬光路BOPとは、第2のループ光路LOP2と同一平面上に形成される。すなわち、高反射ミラー121から高反射ミラー122を経て第2のビームスプリッタBS2にパルスレーザ光を入射させる伝搬光路と、第2のビームスプリッタBS2から高反射ミラー141、142を経て高反射ミラー143に至る戻り伝搬光路BOPとが、第2のループ光路平面上に形成されるように、高反射ミラー121、122及び高反射ミラー141~143が配置される。
L-OPS100は本開示における「パルス幅伸長装置」の一例である。ビーム回転機構120は本開示における「第1のビーム回転機構」の一例である。高反射ミラー121と高反射ミラー122とは本開示における「第1のビーム回転機構」を構成している「2枚以上のミラー」の一例であり、高反射ミラー121、122のそれぞれは本開示における「第1のビーム回転機構」を構成している「ミラー」の一例である。ビーム回転機構43は本開示における「第2のビーム回転機構」の一例である。また、高反射ミラー44aと高反射ミラー44bとは本開示における「第2のビーム回転機構」を構成している「2枚以上のミラー」の一例であり、高反射ミラー44a、44bのそれぞれは本開示における「第2のビーム回転機構」を構成している「ミラー」の一例である。高反射ミラー141~143は本開示における「戻り伝搬光学系」の一例であり、戻り伝搬光路BOPは本開示における「戻り伝搬光学系内に形成される光路」の一例である。
H軸方向は本開示における「第1の軸方向」の一例である。Z軸方向は本開示における「第2の軸方向」の一例である。V軸方向は本開示における「第3の軸方向」の一例である。凹面ミラー111~116のそれぞれは本開示における「第1の凹面ミラー」の一例である。凹面ミラー131~134のそれぞれは本開示における「第2の凹面ミラー」の一例である。
2.3.2 動作
POビームステアリングユニット42の高反射ミラー44a、44bで構成されるビーム回転機構43は、第1のループ光路LOP1を進むパルスレーザ光のビーム断面の長手方向が第1のループ光路平面に対して直交するように、パルスレーザ光を回転させる。
ビーム回転機構43から出射されたパルスレーザ光は、第1のビームスプリッタBS1に入射する。第1のビームスプリッタBS1の第1の面で反射されたパルスレーザ光は、凹面ミラー111、凹面ミラー112、凹面ミラー113、凹面ミラー114、凹面ミラー115及び凹面ミラー116の順に反射され、第1のループ光路LOP1を伝搬する。第1のループ光路LOP1を伝搬するパルスレーザ光は、ビーム断面の長手方向が第1のループ光路平面に直交するビーム形状を保って第1のループ光路LOP1を周回する。
つまり、第1のループ光路LOP1を伝搬するパルスレーザ光は、ビーム断面の短手方向が第1のループ光路平面に平行なビーム形状の状態で第1のループ光路LOP1を周回する。
第1のループ光路LOP1を伝搬したパルスレーザ光は、凹面ミラー116から第1のビームスプリッタBS1に再度入射する。第1のループ光路LOP1を周回して第1のビームスプリッタBS1に再入射したパルスレーザ光のうち、第1のビームスプリッタBS1の第2の面を透過したパルスレーザ光は再度、第1のループ光路LOP1を伝搬する。
その一方、第1のループ光路LOP1を周回して第1のビームスプリッタBS1に再入射したパルスレーザ光のうち、第1のビームスプリッタBS1の第2の面で反射されたパルスレーザ光は、第1のビームスプリッタBS1の第1の面を透過した0周回光のパルスレーザ光と合成されてビーム回転機構120の高反射ミラー121に入射する。
ビーム回転機構120に入射したパルスレーザ光は、高反射ミラー121、122によって反射され、第2のループ光路LOP2を伝搬するパルスレーザ光のビーム断面の長手方向が第2のループ光路平面に対して直交するようにパルスレーザ光が回転する。
ビーム回転機構120から出射されたパルスレーザ光は、第2のビームスプリッタBS2の第1の面に入射し、第2のビームスプリッタBS2の第1の面で反射されたパルスレーザ光は、第2のループ光路LOP2を伝搬する。第2のビームスプリッタBS2の第1の面を透過したパルスレーザ光は0周回光として第2のビームスプリッタBS2から出射され、高反射ミラー141に入射する。第2のループ光路LOP2を伝搬したパルスレーザ光は、第2のビームスプリッタBS2に再度入射する。第2のループ光路LOP2を周回して第2のビームスプリッタBS2に再入射したパルスレーザ光のうち、第2のビームスプリッタBS2の第2の面を透過したパルスレーザ光は再度、第2のループ光路LOP2を伝搬する。
その一方、第2のループ光路LOP2を周回して第2のビームスプリッタBS2に再入射したパルスレーザ光のうち、第2のビームスプリッタBS2の第2の面で反射されたパルスレーザ光は、第2のループ光路LOP2から分かれて高反射ミラー141に入射する。第2のビームスプリッタBS2から高反射ミラー141に入射したパルスレーザ光は、高反射ミラー141、142、143の順に反射され、POビームステアリングユニット42の高反射ミラー44cへ戻される。高反射ミラー44cによって反射されたパルスレーザ光はOPS50に入射する。OPS50による動作は図1で説明したとおりである。
OPS50から出射されたパルスレーザ光は、図示しない露光装置に入射する。露光装置では、被加工物に対して適切な露光を実施するために、露光装置に入射させるパルスレーザ光のビームダイバージェンスの条件が定められている。
L-OPS100における第1のループ光路LOP1及び第2のループ光路LOP2を伝搬するパルスレーザ光は、複数の凹面ミラー111~116及び凹面ミラー131~134で反射しながら伝搬することにより、ビーム断面の短手方向のビームダイバージェンスが広がるものの、ビーム断面の短手方向は長手方向よりも露光装置で要求されるビームダイバージェンスの仕様に対してマージンが大きい(余裕がある)。これは、パワーオシレータ30から出力されるパルスレーザ光のビーム断面の短手方向のビームダイバージェンスが長手方向のビームダイバージェンスよりも小さいためである。
実施形態1に係るレーザ装置2Aでは、露光装置の要求に対してマージンが大きいビーム断面の短手方向が第1のループ光路LOP1及び第2のループ光路LOP2のそれぞれのループ光路平面と平行になるように、ビーム回転機構43、120によってパルスレーザ光を回転させて、第1のループ光路LOP1及び第2のループ光路LOP2に入射させている。
2.4 作用・効果
実施形態1におけるL-OPS100及びこれを含むレーザ装置2Aによれば、次のような効果が得られる。
(1)パルスレーザ光がL-OPS100の第1のループ光路LOP1と第2のループ光路LOP2とを通ることで、パルス幅を大きく伸ばすことができる。レーザ装置2Aによれば、パルス幅が伸長されたレーザ光を生成することができ、スペックルコントラストを低減できる。
(2)パルスレーザ光のビーム断面の長手方向が第1のループ光路LOP1及び第2のループ光路LOP2のそれぞれに対して直交するようにビーム回転機構43、120でビームを回転することで、仕様に対するマージンが大きいビーム断面の短手方向が伝搬光路を含む面と平行になり、ビームダイバージェンス拡大の影響を相対的に低減できる。
(3)第2のループ光路LOP2と、高反射ミラー121から第2のループ光路LOP2にパルスレーザ光を入射させる入射光路と、戻り伝搬光路BOPとを同一平面上に配置することにより、L-OPS100の厚み方向(図2~図4において、H軸方向)のスペースを小さくできる。
(4)L-OPS100をレーザ装置2Aの背面に配置することにより、レーザ装置2A本体の全高(図3においてV軸方向の寸法)を比較例1に係るレーザ装置2から変更せずに済む。
(5)L-OPS100をレーザ装置2Aの背面に配置することにより、組立性及び調整性が良好となる。
2.5 変形例
実施形態1では、POビームステアリングユニット42からL-OPS100にパルスレーザ光を入射し、L-OPS100でパルス幅が伸長されたパルスレーザ光をPOビームステアリングユニット42に戻す構成を説明したが、POビームステアリングユニット42の一部又は全部はL-OPS100の構成に含まれてもよい。例えば、図4に示すビーム回転機構43はL-OPS100の構成に含まれてもよい。
図4では、6枚の凹面ミラー111~116を用いて第1のループ光路LOP1を構成する例を示しているが、第1のループ光路LOP1を構成する凹面ミラーの枚数はこの例に限らない。第1のループ光路LOP1を構成する凹面ミラーの枚数は偶数枚であることが好ましく、4枚以上の偶数枚であることがさらに好ましい。
同様に、図4では、4枚の凹面ミラー131~134を用いて第2のループ光路LOP2を構成する例を示してるが、第2のループ光路LOP2を構成する凹面ミラーの枚数はこの例に限らない。第2のループ光路LOP2を構成する凹面ミラーの枚数は偶数枚であることが好ましく、4枚以上の偶数枚であることがさらに好ましい。
第1のループ光路LOP1を構成する凹面ミラーの枚数を2n枚とすると、第1のループ光路LOP1を構成する2n枚の凹面ミラーは、n枚ずつの凹面ミラーの列に分けられて、n枚の凹面ミラーの列同士が互いにZ軸方向に分かれて対面して配置される。この対面する配置構造におけるそれぞれの片側のミラー列においては、n枚の凹面ミラーがV軸方向に並んで配置される。ここでのnは2以上の整数である。
同様に、第2のループ光路LOP2を構成する凹面ミラーの枚数を2m枚とすると、第2のループ光路LOP2を構成する2m枚の凹面ミラーは、m枚ずつの凹面ミラーの列に分けられて、m枚の凹面ミラーの列同士が互いにZ軸方向に分かれて対面して配置される。この対面する配置構造におけるそれぞれの片側のミラー列においては、m枚の凹面ミラーがV軸方向に並んで配置される。ここでのmは2以上の整数である。図4は、n=3、m=2の例である。
3.実施形態2
3.1 構成
図5は、実施形態2に係るL-OPS100Bの構成を概略的に示す斜視図である。図4で説明したL-OPS100に代えて、図5に示すL-OPS100Bを採用してもよい。図5に示す構成について、図4と異なる点を説明する。
図5に示すL-OPS100Bは、図4で説明した6枚の凹面ミラー111~116に代えて、8枚の凹面ミラー111~118を備える。凹面ミラー111~118は、第1のビームスプリッタBS1で反射されたパルスレーザ光が伝搬する遅延光路となる第1のループ光路LOP1Bを形成する。凹面ミラー111~118は、それぞれの焦点距離が略等しい凹面ミラーであってよい。第1のビームスプリッタBS1で反射されたパルスレーザ光は、凹面ミラー111、112、113、114、115、116、117、及び118の順で反射して、再び第1のビームスプリッタBS1でビームが結像するように配置される。
図4で説明したL-OPS100では、6枚の凹面ミラー111~116を用いて第1のループ光路LOP1が構成されているのに対し、図5に示すL-OPS100Bでは、8枚の凹面ミラー111~118を用いて第1のループ光路LOP1Bが構成されている。
つまり、図5に示すL-OPS100Bでは、第1のループ光路LOP1Bを構成する凹面ミラーが8枚、第2のループ光路LOP2を構成する凹面ミラーが4枚であり、レーザ装置2Aの長手方向に互いに対面するように配置された凹面ミラーの片側の配列枚数がそれぞれ偶数枚ずつとなるように、凹面ミラー111~118及び凹面ミラー131~134が配置されている。
図5に示すとおり、凹面ミラー111、117、113、及び115と、凹面ミラー118、112、116、114とのそれぞれは、レーザ装置2Aの長手方向(Z軸方向)の両端に互いに対面になるように配置される。凹面ミラー111、117、113、115は、レーザ装置2Aの長手方向の第1の端部に、この順番でV軸方向に沿って一列に並んで配置される。凹面ミラー118、112、116、114は、レーザ装置2Aの長手方向の第2の端部に、この順番でV軸方向に沿って一列に並んで配置される。凹面ミラー111と凹面ミラー118とは第1のビームスプリッタBS1を挟んで対向する位置に配置される。凹面ミラー117と凹面ミラー112とが対向し、凹面ミラー113と凹面ミラー116とが対向し、凹面ミラー115と凹面ミラー114とが対向するように配置される。第1のループ光路LOP1Bは、VZ平面と平行な同一平面上に形成される。その他の構成は図4に示す構成と同様であってよい。
第2のループ光路LOP2を構成する凹面ミラーの枚数は図4と同様に4枚であり、レーザ装置2Aの長手方向に互いに対面するように配置された凹面ミラーの片側の配列枚数が偶数ずつとなるように配置されている。
3.2 動作
第1のループ光路LOP1Bでは、一対の凹面ミラーで像を反転させながらパルスレーザ光を伝搬している。図6は、一対の凹面ミラーによるパルスレーザ光の伝搬動作を模式的に示す図である。図6では、一対の凹面ミラーを一対の凸レンズに置き換えて示している。図6に示す凸レンズ211と凸レンズ212とは、例えば、凹面ミラー111と凹面ミラー112とに相当する。
図5に示す第1のループ光路LOP1Bの場合、Z軸方向に対面して配置される凹面ミラー111~118の片側の凹面ミラーの枚数が偶数ずつになることで、像反転させる凹面ミラーの対の数が偶数になり、第1のビームスプリッタBS1で再合流する際の第1のループ光路LOP1Bを伝搬したパルスレーザ光(周回光)の像が、第1のビームスプリッタBS1を透過した0周回光のパルスレーザ光(スルー光)に対して反転しない。すなわち、像反転させる一対の凹面ミラーが偶数組配置されていればよく、図5に示す凹面ミラー111~118は、像反転させる一対の凹面ミラーが4組配置されている例である。
第2のループ光路LOP2も同様であり、Z軸方向に対面して配置される凹面ミラー131~134の片側の凹面ミラーの枚数が偶数ずつになることで、像反転させる凹面ミラーの対の数が偶数になり、第2のビームスプリッタBS2で再合流する際の第2のループ光路LOP2を伝搬したパルスレーザ光(周回光)の像が、第2のビームスプリッタBS2を透過した0周回光のパルスレーザ光(スルー光)に対して反転しない。図5に示す凹面ミラー131~134は、像反転させる一対の凹面ミラーが2組配置されている例である。
3.3 作用・効果
実施形態2に係るL-OPS100Bによれば、第1のループ光路LOP1B及び第2のループ光路LOP2のそれぞれのループ光路において、ループ光の像がスルー光に対して反転しないため、ループ光のポインティングもスルー光のポインティングと逆方向を向くことがなく、ループ光とスルー光が重ね合わされた際に見かけ上のビームサイズとダイバージェンスが大きくなることを抑制できる。
4.ビーム回転機構の変形例1
4.1 構成
ビーム回転機構120の変形例1を図7に示す。図4及び図5に示したビーム回転機構120に代えて、図7に示すようなビーム回転機構123を採用してもよい。
ビーム回転機構123は、3枚以上の高反射ミラーで構成してもよい。例えば、ビーム回転機構123は、4枚の高反射ミラー124a、124b、124c、及び124dで構成されてよい。
高反射ミラー124aは、図7に示されていない第1のループ光路LOP1を通過したパルスレーザ光を反射して高反射ミラー124bに入射させるように配置される。高反射ミラー124bは、高反射ミラー124aで反射されたパルスレーザ光を反射して高反射ミラー124cに入射させるように配置される。高反射ミラー124cは、高反射ミラー124bで反射されたパルスレーザ光を反射して高反射ミラー124dに入射させるように配置される。高反射ミラー124dは、高反射ミラー124cで反射されたパルスレーザ光を反射して、図7に示されていない第2のビームスプリッタBS2に入射させるように配置される。高反射ミラー124a、124b、124c、及び124dのそれぞれの入射光と反射光とのなす角度(入射角と反射角の和)は、例えば、90度であってよい。
ビーム回転機構123は本開示における「第1のビーム回転機構」の一例である。高反射ミラー124a、124b、124c、124dは本開示における「第1のビーム回転機構」を構成している「4枚以上のミラー」の一例である。
4.2 動作
高反射ミラー124aに入射したパルスレーザ光は、高反射ミラー124a、124b、124c、124dの順に反射され、第2のビームスプリッタBS2に入射する。
ビーム回転機構123は、図4のビーム回転機構120に比べて、高反射ミラーの枚数を増やして、図示しない他の機器と干渉しないようにパルスレーザ光を伝搬させるとともに、第2のループ光路LOP2でパルスレーザ光のビーム断面の短手方向がループ光路平面と平行になるように、パルスレーザ光を回転する。
4.3 作用・効果
変形例1に係るビーム回転機構123を採用することにより、周囲のスペースに応じた適切なミラー配置ができる。
また、変形例1に係るビーム回転機構123によれば、他の機器と干渉しないようにパルスレーザ光を伝搬させることができ、かつ、第2のループ光路LOP2でパルスレーザ光のビーム断面の短手方向がループ光路平面と平行になるように、遅延光路を展開できる。
5.ビーム回転機構の変形例2
5.1 構成
ビーム回転機構120の変形例2を図8に示す。図4及び図5に示したビーム回転機構120に代えて、図8に示すようなビーム回転機構125を採用してもよい。ビーム回転機構125は、4枚の高反射ミラー126a、126b、126c、及び126dで構成されてよい。
ビーム回転機構125を構成するミラーにおける入射光と反射光とのなす角度は90度以外でもあってよい。例えば、高反射ミラー126bの入射光と反射光とのなす角度と、高反射ミラー126cの入射光と反射光とのなす角度とは、それぞれ45°であってよい。
高反射ミラー126aは、図8に示されていない第1のループ光路LOP1を通過したパルスレーザ光を反射して高反射ミラー126bに入射させるように配置される。高反射ミラー126bは、高反射ミラー126aから出射されたパルスレーザ光を45度の反射角で反射して高反射ミラー126cに入射させるように配置される。高反射ミラー126cは、高反射ミラー126bから出射されたパルスレーザ光を反射角45度で反射して高反射ミラー126dに入射させるように配置される。高反射ミラー126dは、高反射ミラー126cから出射されたパルスレーザ光を反射して、図8に示されていない第2のビームスプリッタBS2に入射させるように配置される。
ビーム回転機構125は本開示における「第1のビーム回転機構」の一例である。高反射ミラー126a、126b、126c、126dは本開示における「第1のビーム回転機構」を構成している「4枚以上のミラー」の一例である。
5.2 動作
高反射ミラー126aに入射したパルスレーザ光は、高反射ミラー126a、126b、126c、126dの順に反射され、第2のビームスプリッタBS2に入射する。
ビーム回転機構125は、図4のビーム回転機構120に比べて、高反射ミラーの枚数を増やして、図示しない他の機器と干渉しないようにパルスレーザ光を伝搬させるとともに、第2のループ光路LOP2でパルスレーザ光のビーム断面の短手方向がループ光路平面と平行になるように、パルスレーザ光を回転する。
5.3 作用・効果
変形例2に係るビーム回転機構125についても、変形例1と同様に、周囲のスペースに応じた適切なミラー配置ができる。また、変形例2に係るビーム回転機構125によれば、他の機器と干渉しないようにパルスレーザ光を伝搬させることができ、かつ、第2のループ光路LOP2でパルスレーザ光のビーム断面の短手方向がループ光路平面と平行になるように、遅延光路を展開できる。
6.実施形態3
6.1 構成
図9は、実施形態3に係るレーザ装置2Bの構成を概略的に示す上面図であり、図10は、レーザ装置2Bの構成を概略的に示す正面図である。レーザ装置2Bの構成について、図2及び図3に示す構成と異なる点を説明する。
実施形態3に係るレーザ装置2Bは、実施形態1におけるレーザ装置2Aの背面に配置したL-OPS100の第1のループ光路LOP1と第2のループ光路LOP2とに対するパルスレーザ光の通過順番を入れ替えた構成となっている。
L-OPS100に代えて、レーザ装置2Bの背面に配置されるL-OPS100Cの詳細な構成は図11を用いて後述する。
L-OPS100Cにおいて、L-OPS100の第1のループ光路LOP1と第2のループ光路LOP2を通す順番を入れ替えた構成を採用したことにより、L-OPS100Cへ入射するパルスレーザ光及びL-OPS100Cから出射するパルスレーザ光のそれぞれのビーム断面の長手方向と短手方向の方向がL-OPS100の場合から変わる。このため、レーザ装置2Bは、POビームステアリングユニット40とは異なる構成のPOビームステアリングユニット45を備える。
POビームステアリングユニット45は、L-OPS100Cとの光のやり取りのために、高反射ミラー46aと、高反射ミラー46bと、高反射ミラー46cと、高反射ミラー46dと、高反射ミラー46eとを含む。
高反射ミラー46aは、パワーオシレータ30から出力されたパルスレーザ光を反射し、高反射ミラー46bに入射させるように配置される。高反射ミラー46bは、高反射ミラー46aから出射されたパルスレーザ光を反射し、高反射ミラー46cに入射させるように配置される。高反射ミラー46cは、高反射ミラー46bから出射されたパルスレーザ光を反射し、L-OPS100Cに入射させるように配置される。高反射ミラー46dは、L-OPS100Cから出射されたパルスレーザ光を反射し、高反射ミラー46eに入射させるように配置される。高反射ミラー46eは、高反射ミラー46dから出射されたパルスレーザ光をOPS50に入射させるように配置される。
6.2 動作
POビームステアリングユニット45は、パワーオシレータ30から出射されたパルスレーザ光のビーム断面の長手方向と短手方向の向きを、高反射ミラー46a、46b、46cによって調整してパルスレーザ光をL-OPS100Cに向けて出射する。すなわち、パワーオシレータ30から出射されたパルスレーザ光は、高反射ミラー46a、46b、及び46cの順に反射されて、L-OPS100Cに入射する。
L-OPS100Cによってパルス幅が伸長されてL-OPS100CからPOビームステアリングユニット45に向けて出射された戻り光(伸長パルスレーザ光)は、高反射ミラー46dと高反射ミラー46eとによってビーム断面の長手方向と短手方向の向きを調整してOPS50に向けて出射される。
6.3 L-OPSの具体例
6.3.1 構成
図11は、実施形態3に係るL-OPS100Cの構成を概略的に示す斜視図である。図11に示す構成について、図4に示す構成と異なる点を説明する。
図4のビーム回転機構43の代わりに、高反射ミラー46a、46b及び46cが配置され、高反射ミラー46a、46b及び46cによってパワーオシレータ30からのパルスレーザ光を反射することにより、L-OPS100Cにパルスレーザ光を入射させる。
また、図11に示す高反射ミラー46a、46bを省略し、1枚の高反射ミラー46cでパワーオシレータ30からのパルスレーザ光をL-OPS100Cに入射させてもよい。
L-OPS100Cは、図4のビーム回転機構120の代わりに高反射ミラー128のみが配置される。高反射ミラー128は、高反射ミラー46cから出射されたパルスレーザ光を反射して第2のビームスプリッタBS2に入射させるように配置される。
高反射ミラー141と高反射ミラー142とは、第2のループ光路LOP2を通過したパルスレーザ光を第1のループ光路LOP1に導くための折り返し光路FOPを構成する。高反射ミラー141と高反射ミラー142とは、本開示における「折り返し伝搬光学系」の一例であり、折り返し光路FOPは本開示における「折り返し伝搬光学系内に形成される光路」の一例である。
また、L-OPS100Cは、図4の高反射ミラー143の代わりに、高反射ミラー153と高反射ミラー154とで構成されるビーム回転機構157が配置される。
第2のビームスプリッタBS2は、高反射ミラー128と高反射ミラー141との間に配置される。または、第2のビームスプリッタBS2は、高反射ミラー142と高反射ミラー153との間の光路上に配置してもよい。
第2のループ光路LOP2と、高反射ミラー128、高反射ミラー141、高反射ミラー142、高反射ミラー153及び高反射ミラー154で構成されるパルスレーザ光の伝搬光路とが同一平面になるように、各ミラーが配置される。
第1のビームスプリッタBS1は、高反射ミラー154と高反射ミラー46dとの間の光路上に配置される。
また、図4の高反射ミラー44cの代わりに、高反射ミラー46dと高反射ミラー46eとで構成されるビーム回転機構47が配置される。
6.3.2 動作
パワーオシレータ30から出射されたパルスレーザ光は、高反射ミラー46a、46b、46cを介して高反射ミラー128に入射し、高反射ミラー128によって反射されて第2のビームスプリッタBS2に入射する。
高反射ミラー46aに入射するパルスレーザ光は、ビーム断面の長手方向がV軸方向に向いている。高反射ミラー46a、46b、46cによって反射されて高反射ミラー46cから出射されたパルスレーザ光のビーム断面の長手方向はV軸方向を向いている。すなわち、高反射ミラー46a~46cは、ビームを回転させることなく(非回転で)、パルスレーザ光を伝搬する。
高反射ミラー46a、46b、46cによって非回転で伝搬されたビームは、第2のループ光路LOP2においてパルスレーザ光のビーム断面の長手方向が、第2のループ光路平面に対して直交する向きに向いている。
高反射ミラー46a、46b、46c及び高反射ミラー128で伝搬されたパルスレーザ光は、第2のビームスプリッタBS2の第1の面に入射し、第2のビームスプリッタBS2の第1の面で反射されたパルスレーザ光は、第2のループ光路LOP2を伝搬する。第2のビームスプリッタBS2の第1の面を透過したパルスレーザ光と、第2のループ光路LOP2を伝搬して第2のビームスプリッタBS2の第2の面で反射されたパルスレーザ光とは、高反射ミラー141、142で反射された後、ビーム回転機構157に入射する。
ビーム回転機構157は、第1のループ光路LOP1においてパルスレーザ光のビーム断面の長手方向が、第1のループ光路平面に対して直交するように、パルスレーザ光を回転させる。
ビーム回転機構157の高反射ミラー154から出射されたパルスレーザ光は、第1のビームスプリッタBS1に入射する。第1のビームスプリッタBS1で反射されたパルスレーザ光は、第1のループ光路LOP1を伝搬する。第1のループ光路LOP1を周回した後に第1のビームスプリッタBS1で反射されたパルスレーザ光(ループ光)と、第1のループ光路LOP1を周回せずに第1のビームスプリッタBS1を透過したパルスレーザ光(スルー光)とは、ビーム回転機構47に入射する。
高反射ミラー46dに入射したパルスレーザ光は、高反射ミラー46dと高反射ミラー46eとによって反射される。高反射ミラー46dと高反射ミラー46eとは、高反射ミラー46eから出射されるパルスレーザ光のビーム断面の長手方向がV軸方向に向くように、ビームを回転させる。高反射ミラー46eで反射されたパルスレーザ光はOPS50に入射する。
図11に示す第2のループ光路LOP2は本開示における「第1のループ光路」の一例であり、図11に示す第1のループ光路LOP1は本開示における「第2のループ光路」の一例である。また、図11に示す第2のビームスプリッタBS2は本開示における「第1のビームスプリッタ」の一例であり、図11に示す第1のビームスプリッタBS1は本開示における「第2のビームスプリッタ」の一例である。図11に示す凹面ミラー131~134のそれぞれは本開示における「第1の凹面ミラー」の一例であり、図11に示す凹面ミラー111~116のそれぞれは本開示における「第2の凹面ミラー」の一例である。ビーム回転機構157は本開示における「第1のビーム回転機構」の一例である。
6.4 作用・効果
実施形態3に係るL-OPS100C及びこれを含むレーザ装置2Bによれば、実施形態1と同様の作用・効果が得られる。また、実施形態3の構成によれば、周囲のスペースに応じた適切な配置の自由度が増す。
6.5 変形例
図11に示した第1のループ光路LOP1を構成する凹面ミラー111~116の代わりに、図5で説明した第1のループ光路LOP1Bを構成する凹面ミラー111~118を用いてもよい。
7.電子デバイスの製造方法について
図12は、露光装置80の構成例を概略的に示す。露光装置80は、照明光学系804と投影光学系806とを含む。照明光学系804は、レーザ装置2Aから入射したレーザ光によって、レチクルステージRT上に配置された図示しないレチクルのレチクルパターンを照明する。投影光学系806は、レチクルを透過したレーザ光を、縮小投影してワークピーステーブルWT上に配置された図示しないワークピースに結像させる。ワークピースはフォトレジストが塗布された半導体ウエハ等の感光基板である。
露光装置80は、レチクルステージRTとワークピーステーブルWTとを同期して平行移動させることにより、レチクルパターンを反映したレーザ光をワークピースに露光する。以上のような露光工程によって半導体ウエハにレチクルパターンを転写後、複数の工程を経ることで半導体デバイスを製造できる。半導体デバイスは本開示における「電子デバイス」の一例である。レーザ装置2Aに限らず、レーザ装置2Bなどを用いてもよい。
8.その他
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。したがって、特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかである。また、本開示の実施形態を組み合わせて使用することも当業者には明らかである。
本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される用語は、明記が無い限り「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」、「有する」、「備える」、「具備する」などの用語は、「記載されたもの以外の構成要素の存在を除外しない」と解釈されるべきである。また、修飾語「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。また、「A、B及びCの少なくとも1つ」という用語は、「A」「B」「C」「A+B」「A+C」「B+C」又は「A+B+C」と解釈されるべきである。さらに、それらと「A」「B」「C」以外のものとの組み合わせも含むと解釈されるべきである。

Claims (20)

  1. 第1のビームスプリッタと複数の第1の凹面ミラーとを含み、前記第1のビームスプリッタと前記複数の第1の凹面ミラーとによって構成される第1のループ光路が第1の平面上に形成される第1の遅延光学系と、
    第2のビームスプリッタと複数の第2の凹面ミラーとを含み、前記第2のビームスプリッタと前記複数の第2の凹面ミラーとによって構成される第2のループ光路が前記第1の平面と平行かつ前記第1の平面と異なる第2の平面上に形成される第2の遅延光学系と、
    前記第1の遅延光学系と前記第2の遅延光学系との間の光路上に配置され、前記第2のループ光路を進むパルスレーザ光のビーム断面形状の長手方向が前記第2の平面に直交するように、前記第1の遅延光学系を通過したパルスレーザ光のビームを回転させる第1のビーム回転機構と、
    を備えるパルス幅伸長装置。
  2. 請求項1に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第2の遅延光学系を通過したパルスレーザ光を伝搬する戻り伝搬光学系をさらに備え、
    前記戻り伝搬光学系内に形成される光路が前記第2の平面と同一平面上に形成される、
    パルス幅伸長装置。
  3. 請求項2に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記戻り伝搬光学系は、複数のミラーで構成されている、
    パルス幅伸長装置。
  4. 請求項1に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第1の遅延光学系の前段に第2のビーム回転機構をさらに備え、
    前記第2のビーム回転機構は、前記第1のループ光路を進むパルスレーザ光のビーム断面形状の長手方向が前記第1の平面に直交するように、前記第1の遅延光学系に入射させるパルスレーザ光のビームを回転させる、
    パルス幅伸長装置。
  5. 請求項4に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第2のビーム回転機構は、2枚以上のミラーを含む、
    パルス幅伸長装置。
  6. 請求項1に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第1の遅延光学系は、4枚以上の前記第1の凹面ミラーを含む、
    パルス幅伸長装置。
  7. 請求項1に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第1の遅延光学系は、互いに対面に配置された一対の前記第1の凹面ミラーが偶数組配置されている、
    パルス幅伸長装置。
  8. 請求項1に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第2の遅延光学系は、4枚以上の前記第2の凹面ミラーを含む、
    パルス幅伸長装置。
  9. 請求項1に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第2の遅延光学系は、互いに対面に配置された一対の前記第2の凹面ミラーが偶数組配置されている、
    パルス幅伸長装置。
  10. 請求項1に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第1のビーム回転機構は、2枚以上のミラーを含む、
    パルス幅伸長装置。
  11. 請求項1に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第1のビーム回転機構は、4枚以上のミラーを含む、
    パルス幅伸長装置。
  12. 請求項11に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第1のビーム回転機構を構成している前記4枚以上のミラーのうちの少なくとも1つのミラーにおける入射光と反射光とのなす角度が45度である、
    パルス幅伸長装置。
  13. 請求項1に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記パルス幅伸長装置は、前記パルスレーザ光を出力するレーザ装置の背面に配置されている、
    パルス幅伸長装置。
  14. 請求項1に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第1の平面は、重力方向と平行である、
    パルス幅伸長装置。
  15. 請求項1に記載のパルス幅伸長装置であって、
    nとmをそれぞれ2以上の整数として、
    前記第1の遅延光学系は、2n枚の前記第1の凹面ミラーを含み、
    前記第2の遅延光学系は、2m枚の前記第2の凹面ミラーを含み、
    前記第1の平面に直交する方向を第1の軸方向とし、
    前記第1の軸方向に直交し、かつ、互いに直交する2つの方向を第2の軸方向、第3の軸方向とする場合に、
    前記2n枚の前記第1の凹面ミラーは、n枚ずつの前記第1の凹面ミラーの列が前記第2の軸方向に互いに対面して配置され、それぞれの片側の前記第1の凹面ミラーの列においてn枚の前記第1の凹面ミラーが前記第3の軸方向に並んで配置されており、
    前記2m枚の前記第2の凹面ミラーは、m枚数ずつの前記第2の凹面ミラーの列が前記第2の軸方向に互いに対面して配置され、それぞれの片側の前記第2の凹面ミラーの列にm枚の前記第2の凹面ミラーが前記第3の軸方向に並んで配置されている、
    るパルス幅伸長装置。
  16. 請求項15に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第1のビームスプリッタに対して前記第1の軸方向からパルスレーザ光が入射される、
    パルス幅伸長装置。
  17. 請求項15に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第1のビームスプリッタに対して前記第3の軸方向からパルスレーザ光が入射される、
    パルス幅伸長装置。
  18. 請求項1に記載のパルス幅伸長装置であって、
    前記第1のビームスプリッタと前記第1のビーム回転機構との間の光路上に、前記第1の遅延光学系を通過したパルスレーザ光を伝搬する折り返し伝搬光学系をさらに備え、
    前記折り返し伝搬光学系内に形成される光路が前記第1の平面と同一平面上に形成される、
    パルス幅伸長装置。
  19. パルスレーザ光を出力するレーザ発振器と、
    前記パルスレーザ光の光路上に配置されるパルス幅伸長装置と、を含むレーザ装置であって、
    前記パルス幅伸長装置は、
    第1のビームスプリッタと複数の第1の凹面ミラーとを含み、前記第1のビームスプリッタと前記複数の第1の凹面ミラーとによって構成される第1のループ光路が第1の平面上に形成される第1の遅延光学系と、
    第2のビームスプリッタと複数の第2の凹面ミラーとを含み、前記第2のビームスプリッタと前記複数の第2の凹面ミラーとによって構成される第2のループ光路が前記第1の平面と平行かつ前記第1の平面と異なる第2の平面上に形成される第2の遅延光学系と、
    前記第1の遅延光学系と前記第2の遅延光学系との間の光路上に配置され、前記第2のループ光路を進む前記パルスレーザ光のビーム断面形状の長手方向が前記第2の平面に直交するように、前記第1の遅延光学系を通過した前記パルスレーザ光のビームを回転させる第1のビーム回転機構と、
    を備えるレーザ装置。
  20. 電子デバイスの製造方法であって、
    第1のビームスプリッタと複数の第1の凹面ミラーとを含み、前記第1のビームスプリッタと前記複数の第1の凹面ミラーとによって構成される第1のループ光路が第1の平面上に形成される第1の遅延光学系と、
    第2のビームスプリッタと複数の第2の凹面ミラーとを含み、前記第2のビームスプリッタと前記複数の第2の凹面ミラーとによって構成される第2のループ光路が前記第1の平面と平行かつ前記第1の平面と異なる第2の平面上に形成される第2の遅延光学系と、
    前記第1の遅延光学系と前記第2の遅延光学系との間の光路上に配置され、前記第2のループ光路を進むパルスレーザ光のビーム断面形状の長手方向が前記第2の平面に直交するように、前記第1の遅延光学系を通過した前記パルスレーザ光のビームを回転させる第1のビーム回転機構と、
    を備えるレーザ装置によってパルス幅が伸長されたレーザ光を生成し、
    前記レーザ光を露光装置に出力し、
    電子デバイスを製造するために、前記露光装置内で感光基板に前記レーザ光を露光することを含む電子デバイスの製造方法。
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