JP7496304B2 - 多層フィルム、および、包装袋 - Google Patents

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Description

本発明は、基材層とシーラント層とを備える多層フィルム、および、該多層フィルムを用いて形成した包装袋に関する。
各種包装材料として、基材層とシーラント層とを備える多層フィルムが広く使用されている。かかる多層フィルムは、シーラント層を内側にして、収容空間を形成するようにヒートシールすることで包装袋を形成する(製袋する)ことができる。
近年、このような多層フィルムにおいても、リサイクルの要望が高まっていることから、モノマテリアル化が要求されている。特許文献1には、プロピレン系樹脂で形成されたフィルムを基材層およびシーラント層として用いた多層フィルムが開示されている。
特開2013-71409号公報
上記のような多層フィルムを用いて包装袋を形成する際の速度の高速化が進み、ヒートシールする時間が短くなっている。このため、比較的低温でヒートシール可能なシーラント層を備える多層フィルムが要望されている。
また、このような包装袋に物品が収容された状態でヒートシールされて形成された包装体は、殺菌等の目的で加熱される場合がある。このような場合、包装袋を形成する多層フィルムが熱によって変性すると、包装体の強度や収容物の品質に悪影響を与える虞がある。このため、耐熱性に優れた多層フィルムが要望されている。
そこで、本発明は、比較的低温でヒートシール可能であると共に、耐熱性に優れた多層フィルムおよび該多層フィルムを用いた包装袋を提供することを課題とする。
本発明に係る多層フィルムは、
基材層とシーラント層とを含む多層フィルムであって、
基材層は、基材層中の全重合体の合計質量に対し、
下記プロピレン重合体A-1を30質量%~90質量%と、
下記エチレン-プロピレン共重合体A-2を10質量%~70質量%とを含み、
シーラント層は、シーラント層中の全重合体の合計質量に対し、
下記プロピレン重合体B-1を15質量%~50質量%と、
下記エチレン-プロピレン共重合体B-2を5質量%~25質量%と、
下記プロピレン共重合体B-3を20質量%~70質量%とを含む。

プロピレン重合体A-1:
プロピレンに由来する構造単位を95質量%以上含む。

エチレン-プロピレン共重合体A-2:
エチレンに由来する構造単位を10質量%~50質量%と、プロピレンに由来する構造単位を50質量%~90質量%含む。

プロピレン重合体B-1:
プロピレンに由来する構造単位を95質量%以上含む。

エチレン-プロピレン共重合体B-2:
エチレンに由来する構造単位を10質量%~50質量%と、プロピレンに由来する構造単位を50質量%~90質量%含む。

プロピレン共重合体B-3:
プロピレンに由来する構造単位を94質量%~99質量%と、エチレンおよび炭素数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1つに由来する構造単位を1質量%~6質量%含む。但し、プロピレン重合体B-1とは異なる。
本発明に係る包装袋は、上記の多層フィルムを含む。
本発明によれば、比較的低温でヒートシール可能であると共に、耐熱性に優れた多層フィルムおよび該多層フィルムを用いた包装袋を提供することができる。
本発明に係る多層フィルムは、基材層とシーラント層とを含む。
基材層は、下記プロピレン重合体A-1と、下記エチレン-プロピレン共重合体A-2とを含む。また、基材層は、さらに下記エチレン-α-オレフィン共重合体A-3を含んでもよい。
シーラント層は、下記プロピレン重合体B-1と、下記エチレン-プロピレン共重合体B-2と、下記プロピレン共重合体B-3とを含む。また、シーラント層は、さらに下記エチレン-α-オレフィン共重合体B-4を含んでもよい。
プロピレン重合体A-1,B-1は、プロピレンに由来する構造単位を含む。プロピレン重合体A-1におけるプロピレンに由来する構造単位の含有量としては、95質量%以上であり、好ましくは97質量%~100質量%であり、より好ましくは99質量%~100質量%である。また、プロピレン重合体A-1は、プロピレン単独重合体であってもよい。プロピレン重合体B-1におけるプロピレンに由来する構造単位の含有量としては、95質量以上であり、好ましくは97質量%~100質量%であり、より好ましくは99質量%超~100質量%である。また、プロピレン重合体B-1は、プロピレン単独重合体であってもよい。
プロピレン重合体A-1,B-1は、エチレンおよび/または炭素数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位を含んでもよい。プロピレン重合体A-1におけるエチレンおよび/または炭素数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位の含有量としては、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは0質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0質量%~1質量%ある。プロピレン重合体B-1におけるエチレンおよび/または炭素数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位の含有量としては、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは0質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0質量%~1質量%未満ある。炭素数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられ、好ましくは、1-ブテンである。
また、プロピレン重合体A-1とプロピレン重合体B-1とは、同一の重合体であることが好ましく、異なる重合体であってもよい。
エチレン-プロピレン共重合体A-2,B-2は、エチレンに由来する構造単位を含む。エチレン-プロピレン共重合体A-2,B-2それぞれにおけるエチレンに由来する構造単位の含有量としては、10質量%~50質量%であり、耐ブロッキング性および低温での耐衝撃性に優れる観点から、好ましくは20質量%~50質量%であり、より好ましくは20質量%~40質量%である。
また、エチレン-プロピレン共重合体A-2,B-2は、エチレンに由来する構造単位の他に、プロピレンに由来する構造単位を含む。エチレン-プロピレン共重合体A-2,B-2それぞれにおけるプロピレンに由来する構造単位の含有量としては、50質量%~90質量%であり、好ましくは50質量%~80質量%であり、より好ましくは60質量%~80質量%である。
また、エチレン-プロピレン共重合体A-2とエチレン-プロピレン共重合体B-2とは、同一の重合体であることが好ましく、異なる重合体であってもよい。
プロピレン重合体A-1とエチレン-プロピレン共重合体A-2との合計の質量に対するプロピレン重合体A-1の質量割合としては、ヒートシール性および耐ブロッキング性のバランスに優れるという観点から、好ましくは50質量%~90質量%であり、より好ましくは60質量%~90質量%であり、さらに好ましくは60質量%~80質量%である。また、プロピレン重合体A-1とエチレン-プロピレン共重合体A-2との合計の質量に対するエチレン-プロピレン共重合体A-2の質量割合としては、ヒートシール性および耐ブロッキング性のバランスに優れるという観点から、好ましくは10質量%~50質量%であり、より好ましくは10質量%~40質量%であり、さらに好ましくは20質量%~40質量%である。
プロピレン重合体B-1とエチレン-プロピレン共重合体B-2との合計の質量に対するプロピレン重合体B-1の質量割合としては、ヒートシール性および耐ブロッキング性のバランスに優れるという観点から、好ましくは50質量%~90質量%であり、より好ましくは60質量%~90質量%であり、さらに好ましくは60質量%~80質量%である。また、プロピレン重合体B-1とエチレン-プロピレン共重合体B-2との合計の質量に対するエチレン-プロピレン共重合体B-2の質量割合としては、ヒートシール性および耐ブロッキング性のバランスに優れるという観点から、好ましくは10質量%~50質量%であり、より好ましくは10質量%~40質量%であり、さらに好ましくは20質量%~40質量%である。
プロピレン重合体A-1およびエチレン-プロピレン共重合体A-2の製造方法としては、チーグラー・ナッタ触媒や、メタロセン触媒などを用いて、原料であるプロピレンやエチレンなどを重合させる方法が挙げられる。
プロピレン重合体A-1およびエチレン-プロピレン共重合体A-2の重合方法としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性溶剤中で重合する方法、液状のプロピレンやエチレン中で重合する方法、気体であるプロピレンやエチレン中に触媒を添加し、気相状態で重合する方法、またはこれらを組み合わせて重合する方法が挙げられる。
プロピレン重合体A-1およびエチレン-プロピレン共重合体A-2の製造方法として、好ましくは、生産性の観点から、実質的に不活性溶剤の不存在下で、プロピレン重合体A-1を生成する第一工程を行い、次いで、該プロピレン重合体A-1の存在下、気相中で、プロピレンとエチレンとを重合して、エチレン-プロピレン共重合体A-2を生成する第二工程を行う方法である。これによって、プロピレン重合体A-1およびエチレン-プロピレン共重合体A-2を含むプロピレン重合体組成物を製造することができる。
プロピレン重合体A-1およびエチレン-プロピレン共重合体A-2の、エチレン含量の調整方法としては、重合時の各工程で、水素ガスや金属化合物などの分子量調節剤およびエチレンを、それぞれ適切な量で加える方法、重合時の温度・圧力などを調節する方法が挙げられる。
プロピレン重合体A-1およびエチレン-プロピレン共重合体A-2の生成割合は、第一工程および第二工程における重合時間、重合槽の大きさ、重合槽中の重合体の保持量、重合温度、重合圧力などにより制御することができる。必要に応じて、ポリプロピレンの残留溶媒や製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、ポリプロピレンが融解する温度以下の温度で乾燥を行ってもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55-75410号、特許第2565753号公報に記載された方法等が挙げられる。
第二工程で得られる重合体の230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートとしては、フィルムの加工性や衛生性を良好にするという観点から、好ましくは0.001g/10分~10g/10分であり、より好ましくは0.01g/10分~10g/10分であり、さらに好ましくは0.01g/10分~5g/10分である。
なお、プロピレン重合体B-1およびエチレン-プロピレン共重合体B-2は、プロピレン重合体A-1およびエチレン-プロピレン共重合体A-2と同様に、上記の方法で製造することができる。
エチレン-α-オレフィン共重合体A-3,B-4は、エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数4~12(好ましくは炭素原子数4~8)のα-オレフィンに由来する構造単位を含む。エチレン-α-オレフィン共重合体A-3,B-4それぞれにおけるエチレンに由来する構造単位の含有量としては、70質量%~95質量%であり、好ましくは75質量%~95質量%であり、より好ましくは80質量%~95質量%である。また、エチレン-α-オレフィン共重合体A-3,B-4それぞれにおける炭素原子数4~12(好ましくは炭素原子数4~8)のα-オレフィンに由来する構造単位の含有量としては、5質量%~30質量%であり、好ましくは5質量%~25質量%であり、より好ましくは5質量%~20質量%である。炭素原子数4~12のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。炭素数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位は、1種単独のα-オレフィンに由来する構造単位であっても、2種以上のα-オレフィンに由来する構造単位であってもよい。炭素数4~12のα-オレフィンとして、ヒートシール強度を改良するという観点から、好ましくは、1-ヘキセンである。
また、エチレン-α-オレフィン共重合体A-3と,エチレン-α-オレフィン共重合体B-4とは、同一の重合体であることが好ましく、異なる重合体であってもよい。
エチレン-α-オレフィン共重合体A-3,B-4の密度は、好ましくは850kg/m~950kg/mであり、より好ましくは850kg/m~930kg/mであり、さらに好ましくは880kg/m~930kg/mある。エチレン-α-オレフィン共重合体A-3,B-4の密度が850kg/m以上であることにより剛性の観点で優れた多層フィルムを得ることができ、950kg/m以下であることにより、低温での耐衝撃性に優れた多層フィルムを得ることができる。
エチレン-α-オレフィン共重合体A-3,B-4の190℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートとして、好ましくは0.1g/10分~50g/10分であり、より好ましくは0.1g/10分~10g/10分であり、さらに好ましくは1g/10分~5g/10分である。
エチレン-α-オレフィン共重合体A-3,B-4の分子量分布としては、好ましくは1以上5以下であり、より好ましくは1以上4以下であり、さらに好ましくは2以上4以下である。エチレン-α-オレフィン共重合体A-3,B-4の分子量分布が1以上とすることで、押出負荷が低減され、加工性が良好となる。また、エチレン-α-オレフィン共重合体A-3,B-4の分子量分布が5以下であることにより、低温での耐衝撃性に優れた多層フィルムを得ることができる。ここで、「分子量分布」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と記載することがある。)により測定される重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)のことである。
エチレン-α-オレフィン共重合体A-3,B-4の分子量分布を上記の範囲とする方法としては、例えば、メタロセン触媒を用いて、エチレンとα-オレフィンを共重合して、エチレン-α-オレフィン共重合体の密度を850kg/m~950kg/mとする方法が挙げられる。
エチレン-α-オレフィン共重合体A-3,B-4は、例えば、メタロセン触媒を用いて製造することができる。メタロセン触媒としては、例えば、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を持つ遷移金属化合物(以下、「メタロセン系遷移金属化合物」と記載することがある。)を用いてなるオレフィン重合用触媒である。
メタロセン系遷移金属化合物としては、例えば、式 MLaXn-a(式中、Mは元素の周期律表の第4族またはランタナイド系列の遷移金属原子である。Lはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基またはヘテロ原子を含有する基であり、少なくとも一つはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基である。複数のLは互いに架橋していてもよい。Xはハロゲン原子、水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基である。nは遷移金属原子の原子価を表し、aは0<a≦nを満足する整数である)で表される化合物が挙げられる。
上記の式で表されるメタロセン系遷移金属化合物としては、例えば、ビス(1,3-n-ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3-n-プロピルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3-ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
上記のメタロセン系遷移金属化合物は、活性化助触媒と接触させて用いることが好ましい。活性化助触媒としては、例えば、アルモキサン化合物や、有機アルミニウム化合物とトリチルボレート、アニリニウムボレート等のホウ素化合物とを併用してなる活性化助触媒が挙げられる。また、SiO、Al等の無機担体、エチレン、スチレン等の重合体等の有機担体を含む粒子状担体と組み合わせて用いても良い。
プロピレン共重合体B-3は、プロピレンに由来する構造単位と、エチレンおよび炭素数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1つに由来する構造単位とを含む。但し、プロピレン共重合体B-3は、プロピレン重合体B-1とは異なるものである。プロピレン共重合体B-3におけるプロピレンに由来する構造単位の質量割合としては、94質量%~99質量%であり、好ましくは94質量%~98質量%であり、より好ましくは94質量%~97質量%である。プロピレン共重合体B-3に含まれるプロピレンに由来する構造単位の含有量は、プロピレン重合体B-1に含まれるプロピレンに由来する構造単位の含有量よりも少ないことが好ましい。また、プロピレン共重合体B-3におけるエチレンおよび炭素数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1つに由来する構造単位の質量割合としては、1質量%~6質量%であり、好ましくは2質量%~6質量%であり、より好ましくは3質量%~6質量%である。プロピレン共重合体B-3は、不均一系触媒を用いて製造されたものであってもよく、均一系触媒(例えば、メタロセン触媒等)を用いて製造されたものであってもよい。またプロピレン共重合体B-3は、温度190℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが好ましくは1g/10分~10g/10分であり、より好ましくは1g/10分~8g/10分であり、さらに好ましくは2g/10分~5g/10分である。またプロピレン共重合体B-3は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点が120~165℃であり、好ましくは120~150℃であり、より好ましくは125~150℃である。
基材層は、基材層中の全重合体の合計質量に対し、上記プロピレン重合体A-1を30質量%~90質量%、好ましくは50質量%~90質量%、より好ましくは60質量%~90質量%含み、上記エチレン-プロピレン共重合体A-2を10質量%~70質量%、好ましくは10質量%~50質量%、より好ましくは10質量%~40質量%含む。
また、基材層は、上記エチレン-α-オレフィン共重合体A-3を含む場合、基材層中の全重合体の合計質量に対し、上記プロピレン重合体A-1を30質量%~85質量%、好ましくは40質量%~85質量%、より好ましくは50質量%~85質量%含み、上記エチレン-プロピレン共重合体A-2を10質量%~40質量%、好ましくは10質量%~30質量%、より好ましくは10質量%~25質量%含み、上記エチレン-α-オレフィン共重合体A-3を5質量%~30質量%、好ましくは5質量%~25質量%、より好ましくは10質量%~25質量%含む。
プロピレン重合体A-1とエチレン-プロピレン共重合体A-2とエチレン-α-オレフィン共重合体A-3との合計質量に対し、プロピレン重合体A-1とエチレン-プロピレン共重合体A-2との合計質量の割合は、好ましくは70質量%~95質量%であり、より好ましくは75質量%~95質量%であり、さらに好ましくは75質量%~90質量%である。プロピレン重合体A-1とエチレン-プロピレン共重合体A-2との合計質量の割合が上記の範囲であることで、多層フィルムが加熱された際に多層フィルムの表面に凹凸(ゆず肌)が生じて外観が悪くなるのを抑制することができる。
シーラント層は、基材層中の全重合体の合計質量に対し、上記プロピレン重合体B-1を15質量%~50質量%、好ましくは20質量%~50質量%、より好ましくは20質量%~40質量%含み、上記エチレン-プロピレン共重合体B-2を5質量%~25質量%、好ましくは5質量%~20質量%、より好ましくは7質量%~20質量%含み、上記プロピレン共重合体B-3を20質量%~70質量%、好ましくは35質量%~65質量%、より好ましくは40質量%~60質量%含む。
また、シーラント層は、上記エチレン-α-オレフィン共重合体B-4を含む場合、基材層中の全重合体の合計質量に対し、上記プロピレン重合体B-1を15質量%~50質量%、好ましくは20質量%~50質量%、より好ましくは20質量%~40質量%含み、上記エチレン-プロピレン共重合体B-2を5質量%~25質量%、好ましくは5質量%~20質量%、より好ましくは7質量%~20質量%含み、上記エチレン-α-オレフィン共重合体B-4を2質量%~15質量%、好ましくは5質量%~15質量%、より好ましくは7質量%~15質量%含み、プロピレン共重合体B-3を20質量%~70質量%、好ましくは30質量%~70質量%、より好ましくは40質量%~60質量%含む。
プロピレン重合体B-1とエチレン-プロピレン共重合体B-2とエチレン-α-オレフィン共重合体B-4との合計質量に対し、プロピレン重合体B-1とエチレン-プロピレン共重合体B-2との合計質量の割合は、好ましくは30質量%~80質量%、より好ましくは35質量%~65質量%であり、さらに好ましくは40質量%~60質量%である。プロピレン重合体B-1とエチレン-プロピレン共重合体B-2との合計質量の割合が上記の範囲であることで、良好なヒートシール性を有する多層フィルムを得ることができる。
本発明の多層フィルムを構成する基材層および/またはシーラント層には、必要に応じて、添加剤やその他の樹脂を添加してもよい。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、メルトフローレート調整剤等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、1分子中にフェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。その他の樹脂としては、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体やスチレン-イソプレン-スチレン共重合体を水添したスチレン系共重合体ゴム等のエラストマーが挙げられる。
上記のように構成される基材層は、上記プロピレン重合体A-1と、上記エチレン-プロピレン共重合体A-2と、好ましくは上記エチレン-α-オレフィン共重合体A-3とを溶融混練して(好ましくは各種添加剤を加えて溶融混錬して)形成することができる。
また、上記のように構成されるシーラント層は、上記プロピレン重合体B-1と、上記エチレン-プロピレン共重合体B-2と、好ましくは上記エチレン-α-オレフィン共重合体B-4と、上記プロピレン共重合体B-3とを溶融混練して(好ましくは各種添加剤を加えて溶融混錬して)形成ことができる。
上記の溶融混練を行う方法としては、従来公知の方法及び装置を用いて行うことができる。例えば、上記の各材料を、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合装置を用いて混合した後、溶融混練する方法が挙げられる。または、定量供給機を用いて、一定の割合で、上記の各材料をそれぞれ連続的に供給することによって均質な混合物を得た後、該混合物を、単軸又は二軸以上の押出機、バンバリーミキサー、ロール式混練機等を用いて、溶融混練する方法が挙げられる。
基材層を形成する際の溶融混練温度としては、好ましくは190℃~320℃であり、より好ましくは210℃~280℃である。シーラント層を形成する際の溶融混練温度としては、好ましくは190℃~320℃であり、より好ましくは210℃~280℃である。
基材層とシーラント層とを積層して多層フィルムを製造する方法としては、公知のフィルム製造方法が挙げられ、例えば、Tダイ法、チューブラー法等が挙げられ、好ましくはTダイ法である。
基材層とシーラント層とを積層させる方法としては、複数の押出機からダイ内に流入した溶融樹脂をダイ内で層状に組み合わせるフィードブロック式ダイを用いる方法と、複数の押出機からダイ内に流入した溶融樹脂が別々のマニホールドに送り込まれてダイのリップ部直前で層状に組み合わせるマルチマニホールド式ダイを用いる方法がある。
基材層の厚さとシーラント層の厚さとの合計を100%として、基材層の厚さは、好ましくは70%~90%であり、より好ましくは70%~85%であり、さらに好ましくは75%~85%である。また、基材層の厚さとシーラント層の厚さとの合計を100%として、シーラント層の厚さは、好ましくは10%~30%であり、より好ましくは15%~30%であり、さらに好ましくは15%~25%である。基材層の厚みとシーラント層の厚みとが上記の範囲であることで、基材層とシーラント層との間で層間剥離がより発生しにくくなると共に、ヒートシール強度と落袋強度に優れた多層フィルムとなり、また、多層フィルムが加熱された際に多層フィルムの表面に凹凸(ゆず肌)が生じるのを抑制することができる。
多層フィルムの厚みとしては、好ましくは5~500μmであり、より好ましくは30~150μmである。
多層フィルムの用途としては、包装用途(具体的には、重量物包装用途)等が挙げられ、例えば、食品、繊維、雑貨等の包装用途が挙げられる。好ましくは、レトルト食品包装用多層フィルムである。また、多層フィルムは、包装袋を形成する材料として用いられてもよい。
多層フィルムには、通常工業的に採用されている方法によって、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されてもよい。
多層フィルムを複合フィルムの少なくとも1層として用いて、その他のバリヤー性フィルムや転写性フィルムと複合しても良い。
バリヤー性フィルムとしては、例えば、延伸ナイロンフィルム、アルミニウム箔、ポリ塩化ビニリデンフィルム等が挙げられ、厚みが5~20μmであることが好ましい。
転写性フィルムとしては、ナイロンフィルム、ポリプロピレン二軸延伸フィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム等が挙げられ、厚みが10~20μmであることが好ましい。
多層フィルムとその他のフィルムを複合する方法としては、例えば、ドライラミネート法や押出ラミネート法等が挙げられる。
以上のように、基材層が、上記プロピレン重合体A-1を上記の範囲で含み、上記エチレン-プロピレン共重合体A-2を上記の範囲で含み、シーラント層が、上記プロピレン重合体B-1を上記の範囲で含み、上記エチレン-プロピレン共重合体B-2を上記の範囲で含み、上記プロピレン共重合体B-3を上記の範囲で含むことで、比較的低温でヒートシール可能であると共に、耐熱性に優れた多層フィルムを得ることができる。
また、基材層が上記エチレン-α-オレフィン共重合体A-3を上記の範囲で含み、シーラント層が上記エチレン-α-オレフィン共重合体B-4を上記の範囲で含むことで、多層フィルムを用いて形成した包装袋に物品を収容してヒートシールによって密封することで形成した包装体が、比較的高い位置から落下した際に破損するのを抑制する(換言すれば、落袋強度を向上させる)ことができる。
また、エチレン-α-オレフィン共重合体A-3が炭素原子数4~8のα-オレフィンに由来する単量体単位を含み、エチレン-α-オレフィン共重合体B-4が炭素原子数4~8のα-オレフィンに由来する単量体単位を含むことで、落袋強度をより向上させることができる。
プロピレン重合体A-1とプロピレン重合体B-1とが同一の重合体であり、エチレン-プロピレン共重合体A-2とエチレン-プロピレン共重合体B-2とが同一の重合体であり、エチレン-α-オレフィン共重合体A-3とエチレン-α-オレフィン共重合体B-4とが同一の重合体であることで、使用原料の種類を減らすことができ、多層フィルムを製造する際の装置依存性を下げることができる。
また、プロピレン重合体A-1がプロピレン単独重合体であり、プロピレン重合体B-1がプロピレン単独重合体であることで、耐熱性を向上させることができる。
プロピレン共重合体B-3のメルトフローレートが上記の範囲であることで、生産性と耐衝撃性を向上させることができる。
基材層の厚さとシーラント層の厚さとが上記の範囲であることで、基材層とシーラント層との間で層間剥離がより発生しにくくなると共に、ヒートシール強度と落袋強度に優れた多層フィルムとなり、また、多層フィルムが加熱された際に多層フィルムの表面に凹凸(ゆず肌)が生じるのを抑制することができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例における各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
プロピレン重合体組成物におけるプロピレン重合体およびエチレン-プロピレン共重合体の含有量は、それぞれの重合時の物質収支から得られたものである。
プロピレン重合体組成物におけるエチレン-プロピレン共重合体におけるエチレンに由来する構造単位の含有量は、プロピレン重合体組成物の全体のIRスペクトル測定を行い、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている「(ii)ブロック共重合体に関する方法」に従い、下記式(1)により算出したものである。ここで、式(1)中のET、EAおよびEBは、それぞれ、プロピレン重合体組成物全体におけるエチレン構造単位の含有量、プロピレン重合体におけるエチレン構造単位の含有量およびエチレン-プロピレン共重合体におけるエチレン構造単位の含有量を示し、PAおよびPBは、それぞれ、プロピレン重合体およびエチレン-プロピレン共重合体の含有量を示す。

EB=(ET-EA×PA)/PB・・・(1)
プロピレン重合体組成物、エチレン-プロピレン共重合体組成物およびプロピレン共重合体組成物のメルトフローレートは、JIS K 7210に従って、温度230℃、荷重21.18Nで測定したものである。
エチレン-α-オレフィン共重合体組成物のメルトフローレートは、JIS K 7210に従って、温度190℃、荷重21.18Nで測定したものである。
エチレン-α-オレフィン共重合体組成物の密度は、JIS 6922に従って測定したものである。
[シール強度(単位:N/15mm)]
東洋テスター工業株式会社製ヒートシーラーを使用して、多層フィルムをシーラント層が内側となるように二つに折り返し、折り返し位置と対向する側の端部同士を、下記条件で、折り返し位置の延びる方向に沿って)帯状にヒートシールした。

シールバー:平面両面加熱
シール温度:180℃または200℃
シール圧力:1.0kg/cm
シール時間:1.0sec
シール幅:10mm

そして、シール幅方向に対して直角方向に15mm幅の試験片を切り出した。そして、引張試験機(オリエンテック製テンシロン)を使用して、剥離角90°、引張速度200mm/minの条件で試験片のヒートシール強度を測定した。
[耐熱性評価]
多層フィルムと、厚み7μmの二軸延伸ナイロンフィルムと、厚み12μmのポリエチレンテレフタラートフィルムとを、この記載の順でドライラミネート法により積層した複合フィルムを用いて、西部機械株式会社製スタンディングパウチ製袋機により多層フィルム面を内側にして三辺をそれぞれ240℃、0.5秒の条件で3回ヒートシールして包装袋を作製した。得られた包装袋の上に1kgの錘を載せて120℃のオーブン内で30分エージングし、包装袋の内面同士の融着有無を評価した。
[落袋強度評価]
多層フィルムと、厚み7μmの二軸延伸ナイロンフィルムと、厚み12μmのポリエチレンテレフタラートフィルムとを、この記載の順でドライラミネート法により積層した複合フィルムを用いて、西部機械株式会社製スタンディングパウチ製袋機により多層フィルム面を内側にして三辺をそれぞれ240℃、0.5秒の条件で3回ヒートシールして包装袋を作製した。得られた包装袋に水200gを充填した後、ヒートシールされていなかった残り一辺をインパルスシーラーで1.5秒ヒートシールして密封して、縦150mm、横130mmの大きさの水入り包装袋を作製した。この水入り包装袋を5℃で24時間状態調整した後、70cmの高さから20回繰返して落下させてテストを行った。テストは各10袋で行い、割れなかった回数の合計によって落袋強度を評価した。全く割れなかった場合は200点、全て1回で割れた場合は0点となる。
実施例および比較例で用いた各成分は、以下のとおりである。
[プロピレン重合体組成物(1)]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程では、気相中でプロピレンを重合し、次いで、第二工程では、気相中でプロピレンとエチレンとを共重合し、プロピレン重合体A-1(B-1)とエチレン-プロピレン共重合体A-2(B-2)とからなるプロピレン重合体組成物を得た。得られたプロピレン重合体組成物は、プロピレン重合体A-1(B-1)の含有量が77質量%であり、エチレン-プロピレン共重合体A-2(B-2)の含有量が23質量%であり、エチレン-プロピレン共重合体A-2(B-2)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量が30質量%であった。
得られたプロピレン重合体組成物100質量部に対して、水酸化カルシウム0.005質量部、スミライザーGP(2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-6-[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、住友化学株式会社製)0.075質量部、スミライザーGS(2,4―ジ-t-アミル-6-[1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学株式会社製)0.03質量部、および、メルトフローレート調整剤として2,5-ジメチル-2,5ジ(ターシャリ-ブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット状のプロピレン重合体組成物(1)を得た。得られたペレット状のプロピレン重合体組成物(1)は、230℃で測定したメルトフローレートが2.5g/10分であった。以下、「PP1」とも称する。
[プロピレン重合体組成物(2)]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程では、気相中でプロピレンを重合し、次いで、第二工程では、気相中でプロピレンとエチレンとを共重合し、プロピレン重合体A-1(B-1)とエチレン-プロピレン共重合体A-2(B-2)とからなるプロピレン重合体組成物を得た。得られたプロピレン重合体組成物は、プロピレン重合体A-1(B-1)の含有量が70質量%であり、エチレン-プロピレン共重合体A-2(B-2)の含有量が30質量%であり、エチレン-プロピレン共重合体A-2(B-2)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量が30質量%であった。
得られたプロピレン重合体組成物100質量部に対して、水酸化カルシウム0.005質量部、スミライザーGP(2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-6-[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、住友化学株式会社製)0.075質量部、スミライザーGS(2,4―ジ-t-アミル-6-[1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学株式会社製)0.03質量部、および、メルトフローレート調整剤として2,5-ジメチル-2,5ジ(ターシャリ-ブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット状のプロピレン重合体組成物(2)を得た。得られたペレット状のプロピレン重合体組成物(2)は、230℃で測定したメルトフローレートが3.1g/10分であった。以下、「PP2」とも称する。
[エチレン-α-オレフィン共重合体組成物(1)]
エチレン-α-オレフィン共重合体組成物(1)として、スミカセンE FV205(エチレン-1-ヘキセン共重合体組成物、住友化学株式会社製)を用いた。エチレン-α-オレフィン共重合体組成物(1)は、エチレン-α-オレフィン共重合体A-3(B-4)の含有量が99.9質量%であった。また、エチレン-α-オレフィン共重合体A-3(B-4)におけるエチレンに由来する構造単位は93質量%であり、炭素原子数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位は7質量%であった。エチレン-α-オレフィン共重合体組成物(1)は、190℃で測定したメルトフローレートが2.2g/10分であり、密度は921kg/mであった。以下、「PE1」とも称する。
[エチレン-α-オレフィン共重合体組成物(2)]
エチレン-α-オレフィン共重合体組成物(2)として、タフマーA4085s(エチレン-ブテン共重合体組成物、三井化学株式会社製)を用いた。エチレン-α-オレフィン共重合体組成物(2)は、エチレン-α-オレフィン共重合体A-3(B-4)の含有量が99.9質量%であった。また、エチレン-α-オレフィン共重合体A-3(B-4)におけるエチレンに由来する構造単位は80質量%であり、炭素原子数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位は20質量%であった。エチレン-α-オレフィン共重合体組成物(2)は、190℃で測定したメルトフローレートが3.6g/10分であり、密度は885kg/mであった。以下、「PE2」とも称する。
[プロピレン共重合体組成物]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でエチレンとプロピレンを共重合し、プロピレン共重合体B-3を得た。得られたプロピレン共重合体B-3におけるエチレンに由来する構造単位の含有量は4.0質量%であった。
得られたプロピレン共重合体100質量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.045質量部、イルガノックス1010(BASF社製)0.2質量部、イルガフォス168(BASF社製)0.03質量部、および、メルトフローレート調整剤として2,5-ジメチル-2,5ジ(ターシャリ-ブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット状のプロピレン共重合体組成物を得た。得られたペレット状のプロピレン共重合体組成物は、230℃で測定したメルトフローレートが3.3g/10分であった。以下、「R-PP」とも称する。
[実施例1]
基材層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(1)80質量%とエチレン-α-オレフィン共重合体組成物(1)20質量%とをペレットブレンドした混合物を用いた。シーラント層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(1)40質量%とエチレン-α-オレフィン共重合体組成物(1)10質量%とプロピレン共重合体組成物50質量%とをペレットブレンドした混合物を用いた。
これらの混合物を、濾過精度40μmの金属フィルターを使用した3台の押出機のうち2台で基材層用樹脂組成物を溶融混錬し、残り1台でシーラント層用樹脂組成物を溶融混練した後、フィードブロック型のTダイ(ダイ幅1250mm、リップ開度0.8mm)に投入して、基材層/シーラント層比が83%/17%となるようにダイ温度240℃で溶融押出を行った。
押し出された溶融膜をチルロール(回転数50m/分、冷却温度50℃)で冷却固化させ、厚さ70μmの多層フィルムを得た。多層フィルムの基材層およびシーラント層に含まれる各成分の含有量を表1および2に示す。
[実施例2]
基材層/シーラント層比を75%/25%とした以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを作製し、評価を行った。
[実施例3]
基材層用樹脂組成物として、プロピレン系重合体組成物(1)80質量%とエチレン-α-オレフィン共重合体組成物(2)20質量%とをペレットブレンドした混合物を用い、シーラント層用樹脂組成物として、プロピレン系重合体組成物(1)40質量%とエチレン-α-オレフィン共重合体組成物(2)10質量%とプロピレン共重合体組成物50質量%とをペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを作製し、評価を行った。
[実施例4]
基材層用樹脂組成物として、プロピレン系重合体組成物(2)80質量%とエチレン-α-オレフィン共重合体組成物(1)20質量%とをペレットブレンドした混合物を用い、シーラント層用樹脂組成物として、プロピレン系重合体組成物(2)50質量%とエチレン-α-オレフィン共重合体組成物(1)10質量%とプロピレン共重合体組成物40質量%とをペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを作製し、評価を行った。
[実施例5]
シーラント層用樹脂組成物として、プロピレン系重合体組成物(2)30質量%とエチレン-α-オレフィン共重合体組成物(1)10質量%とプロピレン共重合体組成物60質量%とをペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例4と同様の方法によって、多層フィルムを作製し、評価を行った。
[比較例1]
シーラント層用樹脂組成物として、プロピレン系重合体組成物(1)90質量%とエチレン-α-オレフィン共重合体組成物(1)10質量%とをペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを作製し、評価を行った。
[比較例2]
シーラント層用樹脂組成物として、プロピレン系重合体組成物(1)10質量%とエチレン-α-オレフィン共重合体組成物(1)10質量%とプロピレン共重合体組成物80質量%とをペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを作製し、評価を行った。
[比較例3]
基材層用樹脂組成物として、プロピレン系重合体組成物(1)100質量%を用い、シーラント層用樹脂組成物として、プロピレン系重合体組成物(1)50質量%とプロピレン共重合体組成物50質量%とをペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを作製し、評価を行った。
Figure 0007496304000001
Figure 0007496304000002
Figure 0007496304000003
<まとめ>
表3を見ると、各実施例は、比較例1よりも180℃シール強度が高いことが認められる。また、各実施例は、比較例2よりも耐熱性が高いことが認められる。つまり、プロピレン重合体A-1とエチレン-プロピレン共重合体A-2とを本発明の範囲で含む基材層と、プロピレン重合体B-1とエチレン-プロピレン共重合体B-2とプロピレン共重合体B-3とを本発明の範囲で含むシーラント層とを積層することで、比較的低温でヒートシール可能であると共に、耐熱性に優れた多層フィルムを得ることができる。
また、実施例1~5は、実施例6および比較例1,2よりも落袋強度が高いことが認められる。つまり、基材層がエチレン-α-オレフィン共重合体A-3を本発明の範囲で含み、シーラント層がエチレン-α-オレフィン共重合体B-4を本発明の範囲で含むことで、比較的低温でヒートシール可能であると共に、耐熱性に優れ、かつ、落袋強度
の高い多層フィルムを得ることができる。

Claims (9)

  1. 基材層とシーラント層とを含む多層フィルムであって、
    基材層は、基材層中の全重合体の合計質量に対し、
    下記プロピレン重合体A-1を30質量%~90質量%と、
    下記エチレン-プロピレン共重合体A-2を10質量%~70質量%とを含み、
    シーラント層は、シーラント層中の全重合体の合計質量に対し、
    下記プロピレン重合体B-1を15質量%~50質量%と、
    下記エチレン-プロピレン共重合体B-2を5質量%~25質量%と、
    下記プロピレン共重合体B-3を20質量%~70質量%とを含む、
    多層フィルム。

    プロピレン重合体A-1:
    プロピレンに由来する構造単位を95質量%以上含む。

    エチレン-プロピレン共重合体A-2:
    エチレンに由来する構造単位を10質量%~50質量%と、プロピレンに由来する構造単位を50質量%~90質量%含む。

    プロピレン重合体B-1:
    プロピレンに由来する構造単位を95質量%以上含む。

    エチレン-プロピレン共重合体B-2:
    エチレンに由来する構造単位を10質量%~50質量%と、プロピレンに由来する構造単位を50質量%~90質量%含む。

    プロピレン共重合体B-3:
    プロピレンに由来する構造単位を94質量%~99質量%と、エチレンおよび炭素数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1つに由来する構造単位を1質量%~6質量%含む。但し、プロピレン重合体B-1とは異なる。
  2. 前記基材層は、基材層中の全重合体の合計質量に対し、さらに下記エチレン-α-オレフィン共重合体A-3を5質量%~30質量%を含み、
    前記シーラント層は、シーラント層中の全重合体の合計質量に対し、さらに下記エチレン-α-オレフィン共重合体B-4を2質量%~15質量%含む、
    請求項1に記載の多層フィルム。

    エチレン-α-オレフィン共重合体A-3:
    エチレンに由来する構造単位を70質量%~95質量%と、炭素原子数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位を5質量%~30質量%含む。

    エチレン-α-オレフィン共重合体B-4:
    エチレンに由来する構造単位を70質量%~95質量%と、炭素原子数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位を5質量%~30質量%含む。
  3. 前記エチレン-α-オレフィン共重合体A-3が炭素原子数4~8のα-オレフィンに由来する単量体単位を含み、
    前記エチレン-α-オレフィン共重合体B-4が炭素原子数4~8のα-オレフィンに由来する単量体単位を含む、
    請求項2に記載の多層フィルム。
  4. 前記プロピレン重合体A-1と前記プロピレン重合体B-1とが同一の重合体であり、
    前記エチレン-プロピレン共重合体A-2と前記エチレン-プロピレン共重合体B-2とが同一の重合体であり、
    前記エチレン-α-オレフィン共重合体A-3と前記エチレン-α-オレフィン共重合体B-4とが同一の重合体である、
    請求項2または3に記載の多層フィルム。
  5. 前記プロピレン重合体A-1がプロピレン単独重合体であり、
    前記プロピレン重合体B-1がプロピレン単独重合体である、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  6. 前記プロピレン共重合体B-3は、温度190℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが1g/10分~10g/10分である、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  7. 前記シーラント層は、前記プロピレン共重合体B-3の含有量が35質量%~65質量%である、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  8. 前記基材層の厚さと前記シーラント層の厚さとの合計を100%として、
    前記基材層の厚さが70%~90%であり、前記シーラント層の厚さが10%~30%である、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の多層フィルムを含む包装袋。
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