JP7495832B2 - セメント組成物およびその硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、セメント組成物およびその硬化物に関し、特に、中性子遮蔽性能を有するセメント組成物およびその硬化物に関する。
従来、出願人は、原子力関連施設や医療施設における放射線の遮蔽では、中性子の遮蔽が重要となっていることに鑑み、中性子遮蔽用コンクリートに係る発明を特許文献1として出願した。
具体的には、特許文献1の中性子遮蔽用コンクリートは、粗骨材としてカンラン岩砕石を含み、細骨材としてカンラン岩砕砂および灰ホウ石を含み、灰ホウ石の含有割合が、コンクリート質量基準で5~20質量%のコンクリートである。
特許文献1の中性子遮蔽用コンクリートによれば、普通骨材を用いたコンクリートと同程度の圧縮強度を有し、且つ優れた中性子遮蔽性能が得られる。
また、特許文献2は、2液性の発泡ウレタンの原材料を2孔式スプレーガンに圧送して部屋の内壁面、天井、床に吹き付けするに際し、2孔式スプレーガンの吐出口に粒状の灰ホウ石の中性子遮蔽材料を圧送合流させて吹き付け施工することで、遮蔽材料の密度が均一化された中性子遮蔽層の形成方法を開示する。
特開2008-39453号公報 特開2006-58209号公報
ところで、ニュートリノなどの素粒子を測定する施設では、高感度で測定する必要があるため、宇宙線や岩盤・コンクリートに含まれる自然放射能に起因する測定ノイズを避ける必要から、岩盤の遮蔽が期待できる地下1000m以深の深い位置に実験装置が設置されている。しかし、宇宙線由来の非常に高いエネルギーを有する中性子は岩盤を透過し、容易に地下水タンクに侵入する。
そのうえ、地下空洞掘削時に施工された吹付コンクリートや裏込めコンクリートの骨材中に含まれる天然放射性物質に起因する測定ノイズも無視できない。これらは、ニュートリノ観測時の支障が無きよう低減することが望まれる。
特許文献1の中性子遮蔽用コンクリートによれば、優れた中性子遮蔽性能が得られるものの、吹付施工用途については何ら開示されていない。さらに、特許文献1の中性子遮蔽用コンクリートには灰ホウ石が所定量含まれているところ、灰ホウ石がその量で含まれていると凝結が遅延し、早期の強度発現が必要な吹付コンクリートにはそのままでは使用できないことが発明者らの検討により明らかになった。
また、特許文献2の中性子遮蔽層の形成方法によれば、得られる遮蔽層は発泡ウレタンであって、コンクリートではない。したがって、特許文献2は、コンクリートの吹付施工用の組成物について上記灰ホウ石を加えることで生じる早期強度発現性の課題およびその解決策について何らヒントを与えるものではない。
上記課題に鑑みてなされた本発明の目的は、中性子の遮蔽性能が高く、吹付施工にも適した中性子遮蔽用セメント組成物およびその硬化物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的達成に向け鋭意検討を行った。その結果、本発明は、灰ホウ石を従来よりも減じてセメント組成物の早期強度発現を確保した場合であっても粒径の小さい灰ホウ石を採用することで宇宙線由来の中性子遮蔽性能を維持できること、さらには、驚くべきことに灰ホウ石を全く含まなくとも自然放射能が低減できること、を見出し、なされたものである。
すなわち、本発明の前記目的は、
結合材、水、粗骨材、細骨材および特殊混和材を含むセメント組成物であって、
前記粗骨材はカンラン岩砕石を含み、前記細骨材はカンラン岩砕砂を含み、前記特殊混和材および細骨材が灰ホウ石を含むか、あるいは前記特殊混和材のみが灰ホウ石を含む場合には、前記灰ホウ石の含有量はセメント組成物1mに対して10kg以上115kg未満の範囲であり、前記特殊混和材および細骨材がともに灰ホウ石を含まない場合には、前記カンラン岩砕石と前記カンラン岩砕砂の合計容積がセメント組成物1mに対して530L以上650L以下の範囲であることを特徴とするセメント組成物によって達成されることが見出された。
また、本発明のセメント組成物は、JIS A1101に基づいて測定されたスランプの値が12cm以上25cm以下(特に好ましくは15.5cm以上23.5cm以下)の範囲であり、JSCE-F512に基づいて測定されたV漏斗の流下時間が20秒以下(特に好ましくは10秒)の性状を有することが好ましい。
さらに、本発明のセメント組成物は急結材を含むことが好ましい。
そのうえ、本発明の前記目的は、本発明のセメント組成物の硬化物であって、硬化物の気乾試料の合計質量に対して、カールフィッシャー滴定法(加熱温度:950℃、20分)により求めた加熱水分量が8質量%以上である硬化物によっても達成することができる。
本発明によれば、特殊混和材および細骨材、または特殊混和材のみが灰ホウ石を含む場合、灰ホウ石の含有量をセメント組成物1mに対して10kg以上115kg未満の範囲とすることで、灰ホウ石に起因する凝結遅延の問題を解消しつつ、宇宙線由来の中性子遮蔽性能を維持することが可能となる。
また、特殊混和材および細骨材がともに灰ホウ石を含まない場合に、カンラン岩砕石と前記カンラン岩砕砂の合計容積がセメント組成物1mに対して530L以上650L以下の範囲であることで、灰ホウ石に起因する凝結遅延の問題を有しないだけでなく、自然放射能を低減することが可能となる。
図1は、実施例1のセメント組成物の硬化物の中性子遮蔽性能をシミュレーション計算により求めたものであり、縦軸は線源中性子1個あたりの減衰率を示し、横軸は硬化物の厚さを示す。 図2は、実施例2のセメント組成物の硬化物の中性子遮蔽性能をシミュレーション計算により求めたものであり、縦軸は線源中性子1個あたりの減衰率を示し、横軸は硬化物の厚さを示す。 図3は、比較例1(基準配合)のセメント組成物の硬化物の中性子遮蔽性能をシミュレーション計算により求めたものであり、縦軸は線源中性子1個あたりの減衰率を示し、横軸は硬化物の厚さを示す。
<セメント組成物>
本発明のセメント組成物は、結合材、水、粗骨材、細骨材および特殊混和材を含み、
前記粗骨材はカンラン岩砕石を含み、
前記細骨材はカンラン岩砕砂を含み、
前記特殊混和材および細骨材が灰ホウ石を含むか、あるいは前記特殊混和材のみが灰ホウ石を含む場合には、前記灰ホウ石の含有量はセメント組成物1mに対して10kg以上115kg未満の範囲であり、
前記特殊混和材および細骨材がともに灰ホウ石を含まない場合には、前記カンラン岩砕石と前記カンラン岩砕砂の合計容積がセメント組成物1mに対して530L以上650L以下の範囲である。
[結合材]
結合材は、水と反応しコンクリ-トの強度発現に寄与する物質を生成するものの総称で、セメント、高炉スラグ微粉末、フライアッシュなどを含めたものをいう。
セメントは、水で練ったときに硬化性を示す無機質接合材であり、本発明においては、水硬性セメントを用いる。水硬性セメントとしては、ポルトランドセメント、水硬性石灰、ローマンセメント、天然セメントなどの単味セメントを用いてもよく、石灰混合セメント、混合ポルトランドセメントなどの混合セメントを用いてもよい。
高炉スラグ微粉末は、普通ポルトランドセメントに混合して高炉セメントを製造するために用いられる。高炉セメントは、長期強度が高く、アルカリシリカ反応や塩分浸透の抑制に優れる。
フライアッシュは、火力発電所の微粉炭燃焼の際に副産される石炭灰の一部である。結合材中に含まれることで、セメント組成物の流動性が高まり、単位水量を減少でき、水和熱を低減できる。
本発明にセメント組成物において、結合材の含有量は、セメント組成物1mに対して270kg以上570kg以下であり、好ましくはセメント組成物1mに対して360kg以上550kg以下である。
[粗骨材]
粗骨材は、骨材のうち、5mm目ふるいに重量85%以上留まるものをいう。本発明において、粗骨材がカンラン岩砕石を含むことが好ましい。カンラン岩はその産地により、その成分組成が多少異なるが、通常、SiOとMgOとを主成分とし、結晶水を約2~14質量%含むものである。
粗骨材としては、カンラン岩砕石以外の他の通常の粗骨材(砂利等)を含有させることも可能であるが、中性子遮蔽性能を向上させるためにはカンラン岩砕石(粗骨材)と後述するカンラン岩砕砂(細骨材)の合計容積が、セメント組成物の1mに対して500L以上であることが好ましい。
粗骨材の含有割合は適宜選択することができるが、セメント組成物の1mに対して140L以上510L以下、好ましくは180L以上440L以下である。
[細骨材]
細骨材は、骨材のうち、10mm目ふるいを重量で100%通過するものをいう。本発明において、細骨材がカンラン岩砕砂を含むことが好ましい。細骨材にもカンラン岩砕砂以外の他の通常の細骨材(砂等)を含有させることも可能である。
また、細骨材が灰ホウ石を含んでいてもよい。灰ホウ石は、2CaO・3B・5HOを主成分として、好ましくはBを29.50重量%以上含む鉱物である。
細骨材の含有割合は適宜選択することができるが、セメント組成物の1mに対して140L以上510L以下、好ましくは180L以上440L以下である。
[特殊混和材]
本発明のセメント組成物は、粒径150μm以下の灰ホウ石粉体を特殊混和材として含む。特殊混和材および細骨材が、または特殊混和材のみが灰ホウ石を含む場合、灰ホウ石の含有量はセメント組成物1mに対して10kg以上115kg未満の範囲であり、好ましくは灰ホウ石の含有量はセメント組成物1mに対して20kg以上80kg以下である。
特殊混和材および細骨材、または特殊混和材のみが灰ホウ石を含む場合、灰ホウ石の含有量をセメント組成物1mに対して10kg以上115kg未満の範囲とすることで、灰ホウ石に起因する凝結遅延の問題を解消しつつ、宇宙線由来の中性子遮蔽性能を維持することが可能となる。
なお、本発明のセメント組成物中に灰ホウ石が含まれる場合、灰ホウ石の配合量が従来よりも少ないことから、セメント組成物の硬化物中での灰ホウ石の分散性確保の観点から、特殊混和材のみが灰ホウ石を含むこと(すなわち、粒径150μm以下の灰ホウ石粉体のみがセメント組成物中に含まれること)が好ましい。
また、本発明のセメント組成物中の特殊混和材および細骨材がともに灰ホウ石を含まない場合、カンラン岩砕石と前記カンラン岩砕砂の合計容積がセメント組成物1mに対して500L以上700L以下の範囲であり、好ましくは550L以上650L以下である。
本発明のセメント組成物中の特殊混和材および細骨材がともに灰ホウ石を含まない場合に、カンラン岩砕石と前記カンラン岩砕砂の合計容積がセメント組成物1mに対して500L以上700L以下の範囲であることで、灰ホウ石に起因する凝結遅延の問題を有しないだけでなく、自然放射能を低減することが可能となる。なお、本発明のセメント組成物中の特殊混和材および細骨材がともに灰ホウ石を含まない場合とは、本発明のセメント組成物が灰ホウ石を含まない場合をいうものとする。
さらに、本発明のセメント組成物は、減水剤、好ましくは高性能減水剤を添加することができる。高性能減水剤がセメント組成物に添加される場合、セメントの配合量(重量)に対して0.1重量%以上5重量%以下の範囲であり、好ましくは0.4重量%以上3.5重量%以下の範囲である。なお、減水剤は、計算上はセメント組成物の合計量に含めないこととする。
そのうえ、本発明のセメント組成物には、急結材が添加されることが好ましい。急結材は、セメント組成物の凝結・硬化速度を調節する混和材料の一つであり、吹付コンクリートに使用される。急結材がセメント組成物に添加される場合、セメントの配合量(重量)に対し0.1重量%以上20重量%以下の範囲であり、好ましくは5重量%以上15重量%以下である。なお、急結材も、計算上はセメント組成物の合計量に含めないこととする。
また、本発明のセメント組成物は、上記結合材、水、粗骨材、細骨材、特殊混和材、減水剤および急結材以外に、他の成分を含んでいてもよい。本発明のセメント組成物が含有することができる他の成分としては、流動化剤、消泡剤、気泡剤・発泡剤、防水剤、着色剤、収縮低減剤、防錆剤、保水剤など、公知慣用の添加剤を挙げることができる。
本発明のセメント組成物の混錬直後の性状は、JIS A1101に基づいて測定されたスランプの値が12cm以上25cm以下の範囲であることが好ましく、15.5cm以上23.5cm以下であることがさらに好ましい。
また、JSCE-F512に基づいて測定されたV漏斗の流下時間が20秒以下であることが好ましく、10秒以下であることがさらに好ましい。
混錬直後の本発明のセメント組成物の、JIS A1101に基づいて測定されたスランプの値が12cm以上25cm以下の範囲であり、且つJSCE-F512に基づいて測定されたV漏斗の流下時間が20秒以下であることで、締固めや吹付けの作業性が向上しセメント組成物の硬化物の品質確保の確実性が向上するという効果が得られる。
<セメント組成物の硬化物>
本発明のセメント組成物の硬化物は、セメント組成物を硬化することにより得られる。
セメント組成物の硬化物は、例えば、セメント組成物を型枠中に打設し、締固め、任意に仕上げを行い、さらに養生を行うことで建築物、道路、ダム、高架橋、トンネル、港湾設備など様々な形状の硬化物を得ることができる。なお、本発明のセメント組成物の硬化物は高い中性子遮蔽性能を有することから、本発明のセメント組成物の硬化物は、原子力関連施設、医療施設、ニュートリノなどの素粒子を測定する施設に、特にニュートリノなどの素粒子を測定する施設に好ましく用いることができる。
また、セメント組成物の硬化物は、練り混ぜ直後のセメント組成物を、特殊な吹付け機械を使用して、圧縮空気で圧送して施工して得られる吹付コンクリート(硬化物)であってもよい。本発明のセメント組成物は灰ホウ石の含有量を従来のものよりも減じていることから灰ホウ石に起因する凝結遅延の問題が解消され、良好な吹付け施工がなされた吹付コンクリート(硬化物)が得られるとともに、その硬化物は高い中性子遮蔽性能を有する。
本発明のセメント組成物の硬化物は、この硬化物の気乾試料の合計質量に対して、カールフィッシャー滴定法(加熱温度:950℃、20分)により求めた加熱水分量は8質量%以上であり、好ましくは10質量%以上である。
なお、カールフィッシャー滴定法に供する試料は、圧縮強度試験体の粉砕物である。
本発明のセメント組成物の硬化物の気乾試料の合計質量に対して、カールフィッシャー滴定法(加熱温度:950℃、20分)により求めた加熱水分量が8質量%以上であることで、高い中性子遮蔽性能を維持できる。これは、硬化物中のカンラン岩が多くの結晶水を含むため、この結晶水中の水素原子と中性子とが弾性散乱を起こし、中速中性子が減速されること、およびカンラン岩および(含まれる場合には)灰ホウ石はともに岩石であるために鉄分が含まれており、この鉄により高速中性子の減速効果得られること、さらに灰ホウ石にはホウ素成分が含まれており、減速された低速中性子が吸収されるため、であると推察される。
また、本発明のセメント組成物において、特殊混和材および細骨材が灰ホウ石を含むか、あるいは特殊混和材のみが灰ホウ石を含む場合には、灰ホウ石の含有量はセメント組成物1mに対して10kg以上115kg未満の範囲であるが、この灰ホウ石の含有量は、本発明のセメント組成物の硬化物においては、その硬化物の気乾試料の合計質量に対して0.25質量%以上5質量%未満の範囲に相当する。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、セメント組成物の硬化物として、型枠中に打設された建築物や、吹付コンクリートを例示しているが、これらに限られるものではない。例えば、セメント組成物の硬化物が、構造物と斜面との間に裏込めされる裏込めコンクリートであってもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
例に用いる材料は以下の表1に示すとおりである。
Figure 0007495832000001
<1.実施例1、2および比較例1のセメント組成物の調整>
表2に示す組成で、公称容量50L強制二軸型ミキサを用い、練り量25Lで混錬し、セメント組成物を調整した。練り混ぜ手順としては、まず、セメント(C)、細骨材(S)および粗骨材(G)を上記公称容量50L強制二軸型ミキサに投入して15秒練り混ぜ、水を(W)を投入してさらに30秒練り混ぜた。この混錬物を一旦掻き落し、さらに90秒間練り混ぜて排出し、セメント組成物とした。なお、実施例1において、特殊混和材(P)は最初にセメント(C)等と共に上記ミキサ中に投入し、減水剤(AD)は水の計量時に添加した。
表2に示すように、比較例1は、普通骨材を使用し、特殊混和材として灰ホウ石を含んでいない基準配合である。実施例1および2は、ともに、普通骨材に代えて、粗骨材としてカンラン岩砕石を、細骨材としてカンラン岩砕砂を使用している。また、実施例1は、さらに特殊混和材(灰ホウ石(粉体、150μm以下))を含んでいる。なお、表2において、実施例1のS(1)とG(1)の合計量はセメント組成物1mあたり559Lであり、実施例2のS(1)とG(1)の合計量はセメント組成物1mあたり567Lである。
Figure 0007495832000002
<2.セメント組成物のフレッシュ性状の評価>
上記<1.実施例1、2および比較例1のセメント組成物の調整>で調整したセメント組成物(フレッシュコンクリート)について、JIS A1101に基づきスランプ値を、JIS A1128に基づき空気量を、JSCE-F512に基づきV-漏斗流下時間を、JIS A1156に基づきフレッシュコンクリートの温度(Co温度)を測定した。結果を以下の表3に示す。
Figure 0007495832000003
表3に示すように、比較例1(基準配合)から骨材を置き換えた実施例2、骨材の置き換えに加えて特殊混和材(灰ホウ石(粉末))を添加した実施例1においても、フレッシュ性状は比較例1(基準配合)と同等の性状を有していた。
<3.圧縮強度の評価>
調整された各セメント組成物について直径100mm、高さ200mmのセメント組成物の硬化物を作成し、材齢7日、材齢28日における圧縮強度をJIS A1108に基づいて測定した。結果を表4に示す。
Figure 0007495832000004
表4に示すように、実施例1、2のセメント組成物の硬化物は、比較例1(基準配合)のものと比べても同等の圧縮強度を示していた。
<4.水分量>
上記<3.圧縮強度の評価>で作成した各セメント組成物の硬化物の粉砕試料を用い、105℃乾燥減量法により付着水分を、カールフィッシャー滴定法により加熱水分を、それぞれ求めた。ここで、加熱水分は、セメント組成物の硬化物内の結合水分と結晶水分の合計値を示している。結果を表5に示す。
Figure 0007495832000005
表5に示すように、実施例1、2に試料において測定された加熱水分の値が10質量%以上であることから、実施例1、2においてはカンラン岩が含まれていることがわかる。
<5.Bの含有量>
上記<3.圧縮強度の評価>で作成した各セメント組成物の硬化物の粉砕試料を用い、ICP-AES法により硬化物中のB量(wt%)を求めた。結果を表6に示す。
Figure 0007495832000006
表6に示すように、実施例1にのみBが検出された。Bは通常の細骨材、粗骨材中には含まれていないところ、灰ホウ石には含まれていることから、Bを測定することでセメント組成物の硬化物中の灰ホウ石の存在を確認することができる。
<6.遮蔽計算結果>
上記<3.圧縮強度の評価>で作成した各セメント組成物の硬化物の中性子遮蔽性能をシミュレーション計算により求めた。使用した計算コードは、米国ロスアラモス国立研究所で開発された放射線挙動シミュレーションコードMCNPバージョン6.2である。核データには、日本原子力研究開発機構で整備されたJENDL-4.0及びJENDL-4.0/HEを使用した。
シミュレーション計算は、一般に原子力施設で用いられる低速中性子から宇宙線由来の高速中性子まで幅広いエネルギー範囲(2.45MeV,10MeV,20MeV,100MeV,1GeV)に対して行った。それぞれの結果を図1~図3に示す。
図1~図3は、線源中性子1個当たりの減衰率を示したものである。これらから、実施例1のコンクリート(セメント組成物の硬化物、以下同じ)は、普通骨材を使用した比較例1(基準配合)のコンクリートに対して、2.45MeV中性子源に対しては1.58倍、10MeV中性子源に対しては1.26倍、20MeV中性子源に対しては1.23倍の遮蔽性能(中性子束を1/100に減衰するのに必要な遮蔽厚比)を有することがわかる。また、実施例2のコンクリートは、比較例1(基準配合)のコンクリートに対して、2.45MeV中性子源に対しては1.40倍、10MeV中性子源に対しては1.18倍、20MeV中性子源に対しては1.16倍の遮蔽性能を有していることがわかる。
<7.自然放射能量>
上記<3.圧縮強度の評価>で作成した各セメント組成物の硬化物の中に含まれる天然に存在する放射能量(ウラン系列、トリウム系列、カリウム40)を、ゲルマニウム検出器を用いて行った。結果を表7に示す。
Figure 0007495832000007
表7に示すように、ウラン系列核種については、最もエネルギーの大きいPa-234mで比較すると、比較例1(基準配合)の放射能は0.12 Bq/gであったが、実施例1、実施例2ではともに不検出であった。またトリウム系列核種については、最もエネルギーの大きいAc-228で比較すると、比較例1の放射能に対して実施例1は23%、実施例2は28%という結果となった。K-40(カリウム40)については、比較例1の放射能に対して実施例1、実施例2ともに6%という結果となった。このように、基準配合の比較例1のセメント組成物の硬化物と比較して、実施例1、2の硬化物は、その硬化物に含まれる天然に存在する放射能量が非常に小さいことがわかる。

Claims (4)

  1. 結合材、水、粗骨材、細骨材および特殊混和材を含むセメント組成物であって、
    前記粗骨材はカンラン岩砕石を含み、
    前記細骨材はカンラン岩砕砂を含み、
    前記特殊混和材および細骨材が灰ホウ石を含むか、あるいは前記特殊混和材のみが灰ホウ石を含む場合には、前記灰ホウ石の含有量はセメント組成物1mに対して10kg以上115kg未満の範囲であると共に、
    前記特殊混和材および細骨材がともに灰ホウ石を含まない場合には、前記カンラン岩砕石と前記カンラン岩砕砂の合計容積がセメント組成物1mに対して500L以上700L以下の範囲であること
    を特徴とするセメント組成物。
  2. JIS A1101に基づいて測定されたスランプの値が12cm以上25cm以下の範囲であり、JSCE-F512に基づいて測定されたV漏斗の流下時間が20秒以下の性状を有することを特徴とする請求項1に記載のセメント組成物。
  3. 急結材を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のセメント組成物。
  4. 請求項1~3の何れか一項に記載のセメント組成物の硬化物であって、前記硬化物の気乾試料の合計質量に対して、カールフィッシャー滴定法(加熱温度:950℃、20分)により求めた加熱水分量が8質量%以上であることを特徴とする硬化物。
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