JP7495338B2 - 調整装置および調整方法 - Google Patents

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Description

本発明は、調整装置および調整方法に関する。
従来、製造装置等において温度分布を重視する温度制御系では、熱媒体(温水や冷水といった流体)を流す配管が特殊な設計で配設され、熱媒体との熱交換により実質的な温度分布制御が実施されている。具体的な事例としては、プラスチック成型機の筒状バレルの表面温度や、半導体製造装置のウェハ載置台の表面温度等が挙げられる。
特開平10-197344号公報
例えば、温度分布を重視する温度制御系では、サーモグラフィ等により温度分布を測定することは可能であるが、通常のPID制御等による温度制御系は、ピンポイントの計測点の温度を目標温度に制御する動作になるので、温度分布測定はモニタリングの機能に留まらざるを得ない。だが実際には、製造装置において熱媒体(温水や冷水)と配管との間での熱交換によって生じる温度分布には、熱伝導や熱交換効率の上流・下流配分が絡むため、モニタリングに留まる状況では不十分であり、改善が求められている。
本願はこのような課題を解決するためのものであり、温度分布がより最適な状態となるよう温度制御系へのオンラインでの調整を実現することを目的としている。
本願に係る調整装置は、熱媒体と配管との間での熱交換で生じた温度分布の適正具合を指標する適正度と、当該熱媒体に関する所定のパラメータとの関係性に基づいて、配管における現在の温度分布の適正度を推定する第1推定部と、第1推定部による推定結果に基づいて、配管における現在の温度分布がより適正な状態となるよう熱媒体の物理量を調整する調整部とを有することを特徴とする。
上記調整装置においては、熱媒体と配管との間での熱交換で生じた温度分布の適正具合を指標する適正度と、熱媒体に関する所定のパラメータとの関係性を第1モデルに学習させる第1学習部をさらに有し、第1推定部は、関係性を学習した第1モデルに基づいて、配管の現在の温度分布の適正度を推定する。
上記調整装置においては、第1学習部は、熱交換で生じた温度分布の適正度と、当該温度分布に対応する熱媒体に関する所定のパラメータとの組を学習データとして用いることで、第1モデルの学習を行う。
上記調整装置においては、第1学習部は、温度分布の適正度として、当該温度分布を示す熱画像を用いて判断された適正度と、所定のパラメータとの組を学習データとして用いて第1モデルの学習を行う。
上記調整装置においては、熱交換で生じた温度分布を示す熱画像と、当該温度分布の適正具合を指標する適正度であって当該熱画像を用いて判断された適正度との関係性に基づいて、第1学習部が用いる学習データとなる適正度を推定する第2推定部をさらに有し、第1学習部は、第2推定部により推定された適正度と、熱媒体の状態を示す所定のパラメータとの関係性を学習させる。
上記調整装置においては、熱交換で生じた温度分布を示す熱画像と、当該温度分布の適正度であって当該熱画像を用いて判断された適正度との関係性を第2モデルに学習させる第2学習部をさらに有し、第2推定部は、関係性を学習した第2モデルに基づいて、学習データとなる適正度を推定する。
上記調整装置においては、第2学習部は、配管における現在の温度分布を示す熱画像が入力された場合に、当該温度分布の適正度を出力するように、第2モデルの学習を行う。
上記調整装置においては、第1学習部は、第2推定部により推定された適正度と、熱交換で生じた温度分布に対応する熱媒体に関する所定のパラメータとの組を学習データとして用いることで、第1モデルの学習を行う。
上記調整装置においては、第1学習部は、配管を備える温度制御系が稼働しているリアルタイムにおいて第2推定部により適正度が推定されることに応じて、推定された適正度を学習データとして用いてリアルタイム第1モデルの学習を繰り返し、第1推定部は、第1学習部による繰り返し学習で更新された最新の第1モデルを用いて、配管における現在の温度分布の適正度を推定する。
上記調整装置においては、熱媒体の状態を示す所定のパラメータには、少なくとも熱媒体の温度および熱媒体の流速が含まれ、第1学習部は、配管における現在の熱媒体の温度および熱媒体の流速が入力された場合に、当該温度および当該流速に応じて現在生じている温度分布の適正度を出力するように第1モデルの学習を行う。
上記調整装置においては、調整部は、配管における現在の温度分布の代表温度が所定温度に変化したと仮定した場合の適正度であって、第1モデルを用いて推定された適正度に基づいて、配管における現在の温度分布をより適正な状態とするには、前記熱媒体の物理量をどのように調整すべきか判定する。
上述した調整装置によれば、熱媒体と配管との間での熱交換で生じた温度分布の適正具合を指標する適正度と、当該熱媒体に関する所定のパラメータとの関係性に基づいて、配管における現在の温度分布の適正度を推定し、推定結果に基づいて、配管における現在の温度分布がより適正な状態となるよう熱媒体の物理量を調整するため、温度分布がより最適な状態となるよう温度制御系へのオンラインでの調整を実現することができる。
図1は、第1の実施形態に係る調整装置が有する機能構成の一例を示す図である。 図2は、第1の実施形態に係る事前学習処理手順の一例を示す図である。 図3は、第1の実施形態に係るメイン調整処理手順の一例を示す図である。 図4は、第2の実施形態に係る調整装置が有する機能構成の一例を示す図である。 図5は、第2の実施形態に係る事前学習処理手順の一例を示す図である。 図6は、第2の実施形態に係るデータ収集処理手順の一例を示す図である。 図7は、第2の実施形態に係るメイン調整処理手順の一例を示す図である。 図8は、オペレータ判断に基づき規定された適正度と、調整装置により推定された適正度とが比較された比較結果を示す図である。
次に、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
[原理1]
熱交換により実質的な温度分布制御を実施する場合、熱交換効率は温水や冷水の温度と制御対象面との温度差に依存するとともに、温水や冷水の流速に伴う境界層の厚さにも依存する。すなわち、PID制御等により温度計測点の温度を目標温度に制御できている場合であっても、温水や冷水の温度や流速のバランスに依存して、配管に沿う温度(すなわち温度分布)は多様に変化し得ることに着眼した。
そして、温度分布を示す熱画像(例えば、サーモグラフィなどによる熱画像)を用いて当該温度分布についてオペレータの判断や製造物品質に基づき予め規定された適正度(温度分布の適正具合を指標する値)と、温度分布に対応する熱媒体(例えば、温水や冷水)に関するパラメータ(例えば、温度や流速)との組を学習データセットとして用いて、機械学習に基づき適正度とパラメータとを関連付けておけば、PID制御等により温度計測点の温度を目標温度に制御しながら、温度分布の適性度をオンラインで(すなわちシステム側で動的に)評価できるとともに、温度分布がより適正な状態に向かうように、熱媒体の物理量(例えば、温水や冷水の温度)を自動調整することが可能になることに想到した。
[第1の実施形態]
〔1.第1の実施形態の概要〕
まず、第1の実施形態における調整装置の概要を説明する。第1の実施形態における調整装置の一例である調整装置100は、例えば、プラスチック成型機等の製造装置に備えられることで、製造装置の動作を制御する。例えば、調整装置100は、熱媒体と、製造装置が有する配管との間での熱交換により、制御対象面の温度分布の代表温度が所定の目標温度となるよう各種制御を行う。一例としては、調整装置100は、代表温度と目標温度と偏差に応じてPID制御するとともに、流量制御バルブの開度も調整することで、制御対象面の温度分布の代表温度が所定の目標温度となるよう熱交換を制御する。
また、調整装置100は、原理1に対応する調整処理(第1の実施形態に係る調整処理)を行う。具体的には、調整装置100は、任意の機械学習技術を用いて、熱媒体と配管との間での熱交換で生じた温度分布の適正具合を指標する適正度(例えば、温度分布を示す熱画像を用いて当該温度分布についてオペレータの判断や製造物品質に基づき予め規定された適正度)と、熱媒体に関する所定のパラメータとの関係性を第1モデルに学習させるという学習処理を事前に行っておく。すなわち、調整装置100は、事前学習により、熱媒体と配管との間での熱交換で生じた温度分布の適正具合を指標する適正度と、熱媒体に関する所定のパラメータとの関係性を学習した第1モデルを生成しておく。
また、このような状態において、調整装置100は、事前学習により得られた第1モデルを製造装置が実稼働している際に適用することで、配管における現在の温度分布の適正度をオンラインで推定する。例えば、製造装置が実稼働している最中での温度分布を適宜監視することで常時適正な状態を維持させたいといった場合、調整装置100は、事前学習により得られた第1モデルに対して、配管における現在の熱媒体に関する所定のパラメータ(例えば、熱媒体の温度や流速)を適用することで、配管における現在の温度分布の適正度を推定する。そして、調整装置100は、推定結果に基づいて、配管における現在の温度分布がより適正な状態となるよう熱媒体の物理量を調整する。
〔2.第1の実施形態における機能構成の一例〕
続いて、図1を用いて、調整装置100が有する機能構成の一例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る調整装置100が有する機能構成の一例を示す図である。図1の例によれば、調整装置100は、任意の製造装置が有する配管(流体経路)PGに流れる熱媒体の物理量を制御可能な状態で、この製造装置に備えられる。例えば、調整装置100は、サーモグラフィ装置として実現され得る。したがって、図1の例では、調整装置100は、サーモグラフィ装置としての機能を有するものとする。一方で、調整装置100に対して所定のサーモグラフィ装置が外部接続されてもよい。
(熱交換制御に関する処理部について)
図1の例によれば、調整装置100は、熱交換制御に関する処理部として、制御部110を有する。
(制御部110について)
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって、調整装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部110は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
また、図1に示すように、制御部110は、温度計側部110a、PID制御演算部110b、流量制御バルブ110cを有する。
(温度計側部110a)
温度計側部110aは、熱電対等の温度センサであってよく、熱媒体と配管PGとの間での熱交換で生じた温度分布の代表温度を取得する。例えば、温度計側部110aは、配管PGに関する所定の制御対象面で温度分布が生じている状態で、この制御対象面上のピンポイントな計測点(代表点)での温度である代表温度を計測する。
(PID制御演算部110b)
PID制御演算部110bは、温度計側部110aにより取得された代表温度が所定の目標温度となるよう、代表温度と目標温度と偏差に応じてPID制御演算を実行する。
(流量制御バルブ110cについて)
流量制御バルブ110cは、流量制御バルブの開度を調整する。例えば、流量制御バルブ110cは、作業員の操作に応じてバルブの開度を制御することもできるし、代表温度が所定の目標温度となるよう動的にバルブの開度を制御してもよい。
すなわち、制御部110は、熱媒体と配管PGとの間での熱交換で生じた温度分布の代表温度と、所定の目標温度と偏差に応じてPID制御するとともに、流量制御バルブの開度も調整することで熱交換を制御することで、制御対象面の温度分布の代表温度を所定の目標温度へと整定する。また、以下の説明では、制御対象面の温度分布の代表温度が所定の目標温度に整定されている状態(代表温度=目標温度の状態)を「整定状態」と表記する場合がある。
(第1の実施形態に関する処理部について)
図1の例によれば、調整装置100は、第1の実施形態に関する処理部として、撮像器120、流体温度取得部130、流体速度取得部131、第1学習部132、第1推定部133、調整部134を有する。また、調整装置100は、第1学習データ記憶部DB1を有する。
(撮像器120について)
撮像器120は、サーモグラフィ装置に対応し、処理対象の温度分布画像(熱画像)を撮像する。例えば、撮像器120は、非接触の処理対象から放射される赤外線エネルギーを受光し、受光した赤外線エネルギーを電気信号に変換する。そして、撮像器120は、電気信号に対して信号処理等を施し、表示画面に温度分布画像(熱画像)として擬似カラーでリアルタイムに表示する。また、撮像器120により得られた熱画像は、第1学習データ記憶部DB1に記憶される。
(流体温度取得部130について)
流体温度取得部130は、熱媒体の温度を取得する。例えば、流体温度取得部130は、配管PGの供給側において、熱媒体の温度を取得する。例えば、流体温度取得部130は、整定状態である場合での熱媒体の温度を取得する。また、流体温度取得部130は、熱媒体の温度を取得するたびに、取得した温度を第1学習データ記憶部DB1に格納する。
(流体速度取得部131について)
流体速度取得部131は、熱媒体の速度を取得する。例えば、流体速度取得部131は、配管PGの供給側において、熱媒体の速度を取得する。例えば、流体速度取得部131は、整定状態である場合での熱媒体の温度を取得する。また、流体速度取得部131は、熱媒体の速度を取得するたびに、取得した速度を第1学習データ記憶部DB1に格納する。
(第1学習データ記憶部DB1について)
第1学習データ記憶部DB1は、撮像器120により得られた熱画像と、流体温度取得部130により取得された温度と、流体速度取得部131により取得された速度とを記憶する。具体的には、第1学習データ記憶部DB1は、熱交換で生じた温度分布を示す熱画像と、当該熱画像が得られた際に流体温度取得部130により取得された熱媒体の温度と、当該熱画像が得られた際に流体速度取得部131により取得された熱媒体の速度とを時系列に応じた1つのレコードとして記憶する。
また、第1学習データ記憶部DB1に記憶される各熱画像で示される温度分布について、例えば、オペレータは、自身の経験則や製造物品質等に基づき、適正具合を指標する適正度を規定する。例えば、オペレータは、任意のタイミングで適正度を規定することができる。
このようなことから、第1学習データ記憶部DB1は、実質、熱画像が示す温度分布の適正度と、当該熱画像が得られた際に取得された熱媒体の温度と、当該熱画像が得られた際に取得された熱媒体の速度とを時系列に応じた1つのレコードとして記憶する。
より詳細には、第1学習データ記憶部DB1は、熱画像が示す温度分布の適正度と、当該熱画像が得られた際に取得された熱媒体の温度と、当該熱画像が得られた際に取得された熱媒体の速度との組を1つの学習データセットとして記憶する。また、第1学習データ記憶部DB1は、このような学習データセットを時系列に応じて複数組記憶する。すなわち、第1学習データ記憶部DB1は、第1学習部132による学習処理に必要な十分な数の学習データセットを記憶しておくことが好ましい。
なお、第1学習データ記憶部DB1は、熱画像が得られた際に取得された代表温度、および、熱画像が得られた際に取得されたバルブ開度をさらに組み合わせて1つの学習データセットとして記憶してもよい。
また、熱媒体の温度、熱媒体の速度、代表温度、バルブ開度は、熱媒体に関する所定のパラメータの一例である。
(第1学習部132について)
第1学習部132は、熱媒体と配管PGとの間での熱交換で生じた温度分布の適正具合を指標する適正度と、熱媒体に関する所定のパラメータとの関係性を第1モデルに学習させる。具体的には、第1学習部132は、熱交換で生じた温度分布の適正度と、この温度分布に対応する熱媒体に関する所定のパラメータとの組を学習データとして用いることで、第1モデルの学習を行う。より具体的には、第1学習部132は、温度分布の適正度として、当該温度分布を示す熱画像を用いて判断(例えば、オペレータによる判断)された適正度と、所定のパラメータとの組を学習データとして用いて第1モデルの学習を行う。
このようなことから、第1学習部132は、第1学習データ記憶部DB1に記憶される学習データセットを用いて第1モデルの学習を行う。例えば、第1学習部132は、学習データを収集する期間中の任意時点において取得された熱画像が示す温度分布の適正度(オペレータが、自身の経験則や製造物品質等に基づき判断したもの)と、当該熱画像が得られた際に取得された熱媒体の温度と、当該熱画像が得られた際に取得された熱媒体の速度との組を1つの学習データセットとして、時系列に応じた複数のこの学習データセットを用いて、適正度、熱媒体の温度、熱媒体の速度の関係性を第1モデルに学習させる。
また、例えば、第1学習部132は、配管PGにおける現在の熱媒体の温度および熱媒体の流速が入力された場合に、当該温度および当該流速に応じて現在生じている温度分布の適正度を出力するように第1モデルの学習を行う。
なお、第1学習部132は、任意時点において取得された熱画像が示す温度分布の適正度と、当該熱画像が得られた際に取得された熱媒体の温度と、当該熱画像が得られた際に取得された熱媒体の速度と、当該熱画像が得られた際に取得された代表温度と、当該熱画像が得られた際に取得されたバルブ開度との組を1つの学習データセットとして、時系列に応じた複数のこの学習データセットを用いて、適正度、熱媒体の温度、熱媒体の速度、代表温度、バルブ開度の関係性を第1モデルに学習させてもよい。
また、係る例では、第1学習部132は、配管PGにおける現在の熱媒体の温度、熱媒体の流速、現在の代表温度、現在のバルブ開度が入力された場合に、これらのパラメータに応じて現在生じている温度分布の適正度を出力するように第1モデルの学習を行う。
また、第1学習部132は、上述したような学習処理を第1の実施形態に係る調整処理の前処理、すなわち事前学習として行っておく。また、図1では不図示であるが、第1学習部132は、関係性を学習した第1モデルを所定の記憶部に記憶させておくことができる。
(第1推定部133について)
第1推定部133は、熱媒体と配管PGとの間での熱交換で生じた温度分布の適正具合を指標する適正度と、当該熱媒体に関する所定のパラメータとの関係性に基づいて、配管PGにおける現在の温度分布の適正度を推定する。具体的には、第1推定部133は、第1学習部132によりパラメータ間の関係性を学習した第1モデルに基づいて、配管PGの現在の温度分布の適正度を推定する。例えば、第1推定部133は、第1モデルに対して配管PGにおける現在の熱媒体に関するパラメータ(例えば、熱媒体の温度および熱媒体の流速、または、熱媒体の温度・熱媒体の流速・代表温度・バルブ開度)を入力することで、これらのパラメータに応じて現在生じている温度分布の適正度を算出する。そして、第1推定部133は、算出した適正度が現在の温度分布に対応する適正度であると推定する。
(調整部134について)
調整部134は、第1推定部133による推定結果に基づいて、配管PGにおける現在の温度分布がより適正な状態となるよう熱媒体の物理量を調整する。
例えば、調整部134は、第1モデルを用いた適正度の推定において入力変数として用いられたパラメータのうち熱媒体の物理量を示すパラメータを仮想的に変化させた場合の適正度に基づいて、配管PGにおける現在の温度分布をより適正な状態とするには、熱媒体の物理量をどのように調整すべきか判定する。そして、調整部134は、判定結果に応じて熱媒体の物理量を調整する。
〔3.第1の実施形態に係る調整処理の一例〕
続いて、第1の実施形態に係る調整処理の一例について説明する。第1の実施形態に係る調整処理は、第1学習部132による事前学習と、事前学習で生成された第1モデルを製造装置が実稼働している際に適用することで、配管PGにおける現在の温度分布の適正度をオンラインで推定し推定結果に応じて熱媒体の物理量を調整するというメインの調整処理とで構成される。したがって、以下では、図2を用いて事前学習の処理手順の一例を説明し、図3を用いてメイン調整処理の処理手順の一例を説明する。
〔3-1.第1の実施形態に係る事前学習の一例〕
まず、図2を用いて、第1の実施形態に係る事前学習の処理手順の一例について説明する。図2は、第1の実施形態に係る事前学習処理手順の一例を示す図である。第1の実施形態に係る事前学習は、メインの調整処理が行われるよりも前の任意のタイミングにおいて実行される。
図2の例によると、第1学習部132は、学習データを収集する期間中の任意時点tに対応する熱媒体に関するパラメータ一式を1つの学習データセットとして取得する(ステップS201)。具体的には、第1学習部132は、任意時点tで取得された熱画像が示す温度分布の適正度S(オペレータが、自身の経験則や製造物品質等に基づき判断したもの)と、任意時点tでの熱媒体の温度Tと、任意時点tでの熱媒体の流速Rと、任意時点での代表温度Pと、任意時点tでのバルブ開度Vとの組を、1つの学習データセット(Si,Ti,Ri,Pi,Vi)(i=学習データセット数)として取得する。例えば、第1学習部132は、各任意時点tに対応する学習データセットを第1学習データ記憶部DB1から取得する。
なお、第1学習データ記憶部DB1からの学習データセットの取得は、第1学習部132以外の処理部(例えば、図示しないデータ取得部)によって行われてもよい。
そして、第1学習部132は、取得された学習データセットを用いて、熱媒体に関するパラメータ間の関係性を第1モデルに学習させる(ステップS202)。具体的には、第1学習部132は、学習データセットに含まれる熱媒体に関するパラメータのうち、適正度Sと、その他の熱媒体に関するパラメータ(熱媒体の温度T、熱媒体の流速R、代表温度P、バルブ開度V)との関係性を第1モデルに学習させる。
すなわち、第1学習部132は、配管PGにおける現在の熱媒体の温度T、熱媒体の流速R、代表温度P、バルブ開度Vが入力された場合に、これらのパラメータに応じて現在生じている温度分布の適正度を出力するように第1モデルの学習を行う。また、このような事前学習により、第1学習部132は、関係性を学習した第1モデルとして関数fで規定されるモデル、具体的には、S=f(T,R,P,V)を生成することができる。なお、第1学習部132は、より単純には、例えば、熱媒体の温度Tおよび熱媒体の流速Rのみ用いることで、第1モデルとしてS=f(T,R)といった関数fを生成してもよい。
〔3-2.第1の実施形態に係るメイン調整処理の一例〕
次に、図3を用いて、第1の実施形態に係るメインの調整処理の処理手順の一例について説明する。図3は、第1の実施形態に係るメイン調整処理手順の一例を示す図である。
まず、制御部110(温度計側部110a)は、熱媒体と配管PGとの間での熱交換で生じた温度分布の代表温度Pを取得する(ステップS301)。例えば、制御部110は、配管PGに関する所定の制御対象面で温度分布が生じている状態で、この制御対象面上のピンポイントな計測点(代表点)での温度である代表温度を計測する。
次に、制御部110(PID制御演算部110b、流量制御バルブ110c)は、熱交換により代表温度Pを制御することで、代表温度Pを目標温度Xへと整定し整定状態とする(ステップS302)。例えば、制御部110は、熱交換で生じた温度分布の代表温度Pと、目標温度Xと偏差に応じてPID制御するとともに、流量制御バルブの開度も調整することで熱交換を制御することで、代表温度Pを目標温度Xへと整定する。つまり、制御部110は、代表温度P=目標温度Xという整定状態となるよう熱交換を制御する。
また、制御部110は、代表温度P=目標温度Xという整定状態を維持できているか否かを判定し、整定状態でなくなったと判定した場合には(ステップS303;No)、ステップS301からの処理を再度行うことで整定状態となるよう制御する。
一方、第1推定部133は、整定状態である場合には(ステップS303;Yes)、この整定状態での熱媒体に関するパラメータを取得する(ステップS304)。具体的には、第1推定部133は、整定状態での熱媒体に関するパラメータとして、整定状態におけるある共通するタイミングでの、熱媒体の温度T、熱媒体の流速R、代表温度P、バルブ開度Vを取得する。例えば、第1推定部133は、流体温度取得部130により計測された熱媒体の温度Tを取得し、流体速度取得部131により計測された熱媒体の流速Rを取得し、温度計側部110aにより計測された代表温度Pを取得し、流量制御バルブ110cにより調整されたバルブ開度Vを取得する。なお、このような取得は、第1推定部133以外の処理部(例えば、図示しないデータ取得部)によって行われてもよい。
次に、第1推定部133は、第1学習部132による事前学習で得られている第1モデル(S=f(T,R,P,V))に対して、ステップ304で取得された各種パラメータを入力することで、これらのパラメータに応じて現在生じている温度分布の適正度Sを算出する(ステップS305)。また、第1推定部133は、算出したこの適正度Sを、配管PGにおける現在の温度分布の適正具合を指標する適正度として推定する。また、第1推定部133は、ステップS305での推定結果を図示しない所定の記憶部に記憶させることができる。
最後に、調整部134は、ステップS305での推定結果に基づいて、配管PGにおける現在の温度分布がより適正な状態となるよう熱媒体の物理量を調整する(ステップS306)。ここで行われる調整処理の一例について説明する。
例えば、熱交換の物理的な知見に基づけば、代表温度Pを一定に維持するためには、熱媒体の温度Tを上昇させた場合には流速Rを減少させる必要があり、熱媒体の温度Tを下降させた場合には流速Rを増加させる必要がある。そこで、調整部134は、ステップS305での適正度の推定において入力変数として用いられたパラメータのうち、例えば、熱媒体の温度Tを仮想的に上昇させた場合および下降させた場合の適正度Sに基づいて、温度分布がより適正な状態となるには、熱媒体の温度Tをどのように調整すればよいか判定する。そして、調整部134は、この判定結果に応じて、熱媒体の温度Tを調整する。
(具体的な一例その1)
より具体的な一例を挙げる。なお、ここでは第1モデルとしてS=f(T,R)を用いた場合を例に挙げる。例えば、特定の整定状態で、熱媒体の温度T=20.4[℃],熱媒体の流速R=3.7[m/min]であったとして、第1推定部133は、S=f(T,R)に対して、熱媒体の温度T=20.4[℃],熱媒体の流速R=3.7[m/min]を入力することで、適正度S=7.48を推定したとする。
このような状態において、調整部134は、熱媒体の温度T=20.4[℃]から熱媒体のT=20.0[℃]へと温度を仮想的に下降させる。熱媒体の温度Tが下降すると、熱媒体の流速Rは増加することになるため、調整部134は、熱媒体の流速R=3.7[m/min]から流速R=4.0[m/min]へと流速を仮想的に増加させる。
また、第1推定部133は、上記のように設定された仮想的条件である水温T=20.0[℃]および流速R=4.0[m/min]をS=f(T,R)に入力することで、仮想的条件での適正度Sを推定する。例えば、第1推定部133は、仮想的条件では適正度S=7.01を推定したとする。
ここで、実際の適正度S=7.48と、仮想的条件下での適正度S=7.01とを比較すると、仮想的条件下での方が適正度Sがより低下しているため、調整部134は、熱媒体の温度を下降させるのは得策ではないと判断する。
また一方で、調整部134は、熱媒体の温度T=20.4[℃]から熱媒体のT=20.8[℃]へと温度を仮想的に上昇させる。熱媒体の温度Tが上昇すると、熱媒体の流速Rは減少することになるため、調整部134は、熱媒体の流速R=3.7[m/min]から流速R=3.4[m/min]へと流速を仮想的に下降させる。
また、第1推定部133は、上記のように設定された仮想的条件である水温T=20.8[℃]および流速R=3.4[m/min]をS=f(T,R)に入力することで、仮想的条件での適正度Sを推定する。例えば、第1推定部133は、仮想的条件では適正度S=7.95を推定したとする。
ここで、実際の適正度S=7.48と、仮想的条件下での適正度S=7.95とを比較すると、仮想的条件下での方が適正度Sがより増加しているため、調整部134は、熱媒体の温度を上昇させるのが得策であると判断する。
(具体的な一例その2)
また、他の一例も挙げる。例えば、上記例とは異なる別の整定状態で、熱媒体の温度T=21.0[℃],熱媒体の流速R=4.0[m/min]であったとして、第1推定部133は、S=f(T,R)に対して、熱媒体の温度T=21.0[℃],熱媒体の流速R=4.0[m/min]を入力することで、適正度S=8.61を推定したとする。
このような状態において、調整部134は、熱媒体の温度T=21.0[℃]から熱媒体のT=20.6[℃]へと温度を仮想的に下降させる。熱媒体の温度Tが下降すると、熱媒体の流速Rは増加することになるため、調整部134は、熱媒体の流速R=4.0[m/min]から流速R=4.3[m/min]へと流速を仮想的に増加させる。
また、第1推定部133は、上記のように設定された仮想的条件である水温T=20.6[℃]および流速R=4.3[m/min]をS=f(T,R)に入力することで、仮想的条件での適正度Sを推定する。例えば、第1推定部133は、仮想的条件では適正度S=8.78を推定したとする。
ここで、実際の適正度S=8.61と、仮想的条件下での適正度S=8.78とを比較すると、仮想的条件下での方が適正度Sがより増加しているため、調整部134は、熱媒体の温度を下降させるのが得策であると判断する。
また一方で、調整部134は、熱媒体の温度T=21.0[℃]から熱媒体のT=21.4[℃]へと温度を仮想的に上昇させる。熱媒体の温度Tが上昇すると、熱媒体の流速Rは減少することになるため、調整部134は、熱媒体の流速R=4.0[m/min]から流速R=3.7[m/min]へと流速を仮想的に下降させる。
また、第1推定部133は、上記のように設定された仮想的条件である水温T=21.4[℃]および流速R=3.7[m/min]をS=f(T,R)に入力することで、仮想的条件での適正度Sを推定する。例えば、第1推定部133は、仮想的条件では適正度S=8.15を推定したとする。
ここで、実際の適正度S=8.61と、仮想的条件下での適正度S=8.15とを比較すると、仮想的条件下での方が適正度Sがより低下しているため、調整部134は、熱媒体の温度を下降させるのは得策ではないと判断する。
これまでの具体的な一例についてまとめると、調整部134は、第1モデルを用いれば、状況に応じて熱媒体の物理量をどのように調整すべきか調整指針が得ることができるようになるため、調整指針に従って熱媒体の物理量を調整することで、温度分布をより適正な状態に向かわすことができるようになる。
なお、調整部134は、熱媒体の物理量を調整する一例として熱媒体の温度Tを調整する場合には、例えば、一定の温度に維持された温水と、一定の温度に維持された冷水との混合比を変化させるといった処理を行うことができる。例えば、調整部134は、配管PGに対して熱媒体を供給する機構に作用することで、温水と冷水との混合比を変化させることができる。
[原理2]
上述した第1の実施形態では、調整装置100が、オペレータの判断に基づき予め規定された適正度と、熱媒体に関する所定のパラメータとの関係性を事前に機械学習しておくことで、機械学習結果である第1モデルを用いて配管における現在の温度分布の適正度をオンラインで推定する例を示した。このようなことから、第1の実施形態では、処理に用いられる適正度は、オペレータの判断に依存していた。
しかしながら、例えば、温度分布についてオペレータの判断に基づき適正度が規定された熱画像(例えば、サーモグラフィ等による熱画像)を学習データとして機械学習すれば、人手に頼らずともオンラインで第1モデルの学習データとなる適正度を収集することができるようになるため、収集した適正度とパラメータとを関連付けるという機械学習をリアルタイムで繰り返すことができるようになる。そして、この結果、温度分布に対応する熱媒体の物理量の経時変化に応じて温度分布がより適正な状態に向かうよう調整することが可能になることに想到した。
[第2の実施形態]
〔1.第2の実施形態の概要〕
まず、第2の実施形態における調整装置の概要を説明する。第2の実施形態における調整装置の一例である調整装置200は、調整装置100に対して、原理2に対応する調整処理(第2の実施形態に係る調整処理)を行うための処理部が新たに追加されたものに対応し、基本的な機能としては調整装置100と同一である。
したがって、例えば、調整装置200は、熱媒体と、製造装置が有する配管との間での熱交換により、制御対象面の温度分布の代表温度が所定の目標温度となるよう各種制御を行う。一例としては、調整装置200は、代表温度と目標温度と偏差に応じてPID制御するとともに、流量制御バルブの開度も調整することで、制御対象面の温度分布の代表温度が所定の目標温度となるよう熱交換を制御する。
また、調整装置200は、原理2に対応する調整処理(第2の実施形態に係る調整処理)を行う。具体的には、調整装置200は、任意の機械学習技術を用いて、熱媒体と配管との間での熱交換で生じた温度分布を示す熱画像と、当該温度分布の適正度であって当該熱画像を用いて当該温度分布についてオペレータの判断や製造物品質に基づき予め規定された適正度との関係性を第2モデルに学習させるという学習処理を事前に行っておく。すなわち、調整装置200は、事前学習により、熱媒体と配管との間での熱交換で生じた温度分布を示す熱画像と、当該温度分布の適正度であって当該熱画像を用いて当該温度分布についてオペレータの判断に基づき予め規定された適正度との関係性を学習した第2モデルを生成しておく。
また、このような状態において、調整装置200は、事前学習により得られた第2モデルに対して、製造装置が実稼働している際に適宜得られた熱画像を適用することで、第1モデルの学習に用いられる学習データとなる適正度をオンラインで収集してゆく。また、調整装置200は、収集された適正度と、熱媒体に関する所定のパラメータとの関係性を第1モデルに学習させるという学習処理をこのリアルタイムで繰り返すことで、繰り返し学習で更新された最新の第1モデルを用いて、配管における現在の温度分布の適正度をオンラインで推定する。そして、調整装置100は、推定結果に基づいて、配管における現在の温度分布がより適正な状態となるよう熱媒体の物理量を調整する。
〔2.第2の実施形態における機能構成の一例〕
続いて、図4を用いて、調整装置200が有する機能構成の一例について説明する。図4は、第2の実施形態に係る調整装置200が有する機能構成の一例を示す図である。図4の例によれば、調整装置200は、任意の製造装置が有する配管(流体経路)PGに流れる熱媒体の物理量を制御可能な状態で、この製造装置に備えられる。例えば、調整装置200は、サーモグラフィ装置として実現され得る。したがって、図4の例では、調整装置200は、サーモグラフィ装置としての機能を有するものとする。一方で、調整装置200に対して所定のサーモグラフィ装置が外部接続されてもよい。
以下の説明では、調整装置200が有する処理部のうち、調整装置100と共通する処理部(すなわち、同一符号が付された処理部)については説明を省略または簡略化する。
(熱交換制御に関する処理部について)
図4の例によれば、調整装置200は、熱交換制御に関する処理部として、制御部110を有する。また、図4に示すように、制御部110は、温度計側部110a、PID制御演算部110b、流量制御バルブ110cを有する。
(第2の実施形態に関する処理部について)
図4の例によれば、調整装置200は、第2の実施形態に関する処理部として、撮像器120、流体温度取得部130、流体速度取得部131、第1学習部132、第1推定部133、調整部134を有する。また、調整装置100は、第1学習データ記憶部DB1を有する。また、調整装置200は、調整装置100に対して新たに追加された処理部として、第2学習データ記憶部DB2と、第2学習部232と、第2推定部233とを有する。
(第2学習データ記憶部DB2について)
第2学習データ記憶部DB2は、撮像器120により得られた熱画像と、当該熱画像が示す温度分布の適正度であって、当該熱画像を用いて判断された適正度(オペレータが、自身の経験則や製造物品質等に基づき判断したもの)とを記憶する。具体的には、第2学習データ記憶部DB2は、熱交換で生じた温度分布を示す熱画像と、当該熱画像を用いて判断された適正度とを時系列に応じた1つのレコードとして記憶する。
より詳細には、第2学習データ記憶部DB2は、熱交換で生じた温度分布を示す熱画像と、当該熱画像を用いて判断された適正度とを時系列に応じた1つの学習データセットとして記憶する。また、第2学習データ記憶部DB2は、このような学習データセットを時系列に応じて複数組記憶する。すなわち、第2学習データ記憶部DB2は、第2学習部232による学習処理に必要な十分な数の学習データセットを記憶しておくことが好ましい。
(第2学習部232について)
第2学習部232は、熱交換で生じた温度分布を示す熱画像と、当該温度分布の適正度であって当該熱画像を用いて判断された適正度との関係性を第2モデルに学習させる。このようなことから、第2学習部232は、第2学習データ記憶部DB2に記憶される学習データセットを用いて第2モデルの学習を行う。例えば、第2学習部232は、学習データを収集する期間中の任意時点において取得された熱画像と、当該熱画像が示す温度分布の適正度であって当該熱画像を用いて判断された適正度との関係性を第2モデルに学習させる。
また、例えば、第2学習部232は、配管PGにおける現在の温度分布を示す熱画像が入力された場合に、当該温度分布の適正度を出力するように第2モデルの学習を行う。
また、第2学習部232は、上述したような学習処理を第2の実施形態に係る調整処理の前処理、すなわち事前学習として行っておく。また、図4では不図示であるが、第2学習部232は、関係性を学習した第2モデルを所定の記憶部に記憶させておくことができる。
(第2推定部233について)
第2推定部233は、熱交換で生じた温度分布を示す熱画像と、当該温度分布の適正具合を指標する適正度であって当該熱画像を用いて判断された適正度との関係性に基づいて、第1学習部132が用いる学習データとなる適正度を推定する。具体的には、第2推定部233は、第2学習部232により熱画像と適正度との関係性を学習した第2モデルに基づいて、第1学習部132が用いる学習データとなる適正度を推定する。
このようなことから第2推定部233は、第1モデルの学習に用いられる学習データセット中の1つの学習データとなる適正度をオンラインで推定する。ここで、第1の実施形態では、この学習データとして用いられる適正度は、オペレータの判断に基づき規定されたものであった。しかしながら、第2の実施形態では、第2推定部233が、第2モデルを用いてオンラインで(すなわち動的に)学習データとなる適正度を推定することで、学習データとしての適正度を動的収集する点で第1の実施形態とは異なる。
また、第2推定部233は、推定した適正度を第1学習データ記憶部DB1に記憶させる。第2の実施形態では、第1学習データ記憶部DB1は、例えば、第2推定部233により推定された適正度と、この適正度の推定において第2モデルへの入力変数として用いられた熱画像が得られた際に取得された熱媒体の温度と、当該熱画像が得られた際に取得された熱媒体の流速と、当該熱画像が得られた際に取得された代表温度と、当該熱画像が得られた際に取得されたバルブ開度との組を1つの学習データセットとして記憶する。
したがって、第2の実施形態では、第1学習部132は、第2推定部233により推定された適正度と、この適正度の推定元となる熱画像が得られた際の熱交換で生じた温度分布に対応する熱媒体に関する所定のパラメータとの組を学習データとして用いることで、第1モデルの学習を行う。
また、第2の実施形態では、第2推定部233は、製造装置が実稼働している際の情報を用いてリアルタイムで学習データとなる適正度を収集することができる。このようなことから、第1学習部132は、第2推定部233により収集された適正度とパラメータとを関連付けるという機械学習をリアルタイムで繰り返すことができるようになる。すなわち、第1学習部132は、配管PGを備える温度制御系が稼働しているリアルタイムにおいて第2推定部233により適正度が推定されることに応じて、推定された適正度を学習データとして用いてリアルタイムで第1モデルの学習を繰り返す。そして、第1推定部133は、第1学習部132による繰り返し学習で更新された最新の第1モデルを用いて、配管PGにおける現在の温度分布の適正度を推定する。
〔3.第2の実施形態に係る調整処理の一例〕
続いて、第2の実施形態に係る調整処理の一例について説明する。第2の実施形態に係る調整処理は、第2学習部232による事前学習と、事前学習で生成された第2モデルを製造装置が実稼働している際に適用することで、配管PGにおける現在の温度分布の適正度をオンラインで推定し推定結果に応じて熱媒体の物理量を調整するというメインの調整処理とで構成される。したがって、以下では、図5を用いて事前学習の処理手順の一例を説明し、図6および7を用いてメイン調整処理の処理手順の一例を説明する。
〔3-1.第2の実施形態に係る事前学習の一例〕
まず、図5を用いて、第2の実施形態に係る事前学習の処理手順の一例について説明する。図5は、第2の実施形態に係る事前学習処理手順の一例を示す図である。第2の実施形態に係る事前学習は、メインの調整処理が行われるよりも前の任意のタイミングにおいて実行される。
図5の例によると、第2学習部232は、学習データを収集する期間中の任意時点tにおいて取得された熱画像Gと、当該熱画像が示す温度分布の適正度であって当該熱画像を用いて判断された適正度Sとの組を1つの学習データセットとして取得する(ステップS501)。具体的には、第2学習部232は、任意時点tでの熱画像Gと、任意時点tでの熱画像Gに対してオペレータ判断された適正度Sとの組を、1つの学習データセット(Gi,Si)(i=学習データセット数)として取得する。例えば、第2学習部232は、各任意時点tに対応する学習データセットを第2学習データ記憶部DB2から取得する。
なお、第2学習データ記憶部DB2からの学習データセットの取得は、第2学習部232以外の処理部(例えば、図示しないデータ取得部)によって行われてもよい。
そして、第2学習部232は、取得された学習データセットを用いて、熱画像Gと適正度Sとの間での関係性を第2モデルに学習させる(ステップS502)。すなわち、第2学習部232は、配管PGにおける現在の温度分布を示す熱画像Gが入力された場合に、入力された熱画像Gが示す温度分布の適正度を出力するように第2モデルの学習を行う。また、このような事前学習により、第2学習部232は、関係性を学習した第2モデルとして関数gで規定されるモデル、具体的には、S=g(G)を生成することができる。
〔3-2.第2の実施形態に係るメイン調整処理の一例(1)〕
次に、図6を用いて、第2の実施形態に係るメインの調整処理の中で行われる学習データ収集の一例について説明する。ここでいう学習データの収集とは、第2推定部233を中心としたデータ収集処理であり、第1モデルの学習データとして用いられる適正度の動的収集を指し示す。また、係るデータ収集処理は、製造装置が実稼働しているリアルタイムに行われてよい。図6は、第2の実施形態に係るデータ収集処理手順の一例を示す図である。
まず、制御部110(温度計側部110a)は、熱媒体と配管PGとの間での熱交換で生じた温度分布の代表温度Pを取得する(ステップS601)。例えば、制御部110は、配管PGに関する所定の制御対象面で温度分布が生じている状態で、この制御対象面上のピンポイントな計測点(代表点)での温度である代表温度を計測する。
次に、制御部110(PID制御演算部110b、流量制御バルブ110c)は、熱交換により代表温度Pを制御することで、代表温度Pを目標温度Xへと整定し整定状態とする(ステップS602)。例えば、制御部110は、熱交換で生じた温度分布の代表温度Pと、目標温度Xと偏差に応じてPID制御するとともに、流量制御バルブの開度も調整することで熱交換を制御することで、代表温度Pを目標温度Xへと整定する。つまり、制御部110は、代表温度P=目標温度Xという整定状態となるよう熱交換を制御する。
また、制御部110は、代表温度P=目標温度Xという整定状態を維持できているか否かを判定し、整定状態でなくなったと判定した場合には(ステップS603;No)、ステップS601からの処理を再度行うことで整定状態となるよう制御する。
一方、第2推定部233は、整定状態である場合には(ステップS603;Yes)、この整定状態での温度分布を示す熱画像を取得する(ステップS604)。例えば、第2推定部233は、整定状態にある中での任意のタイミングにおいて撮像器120により得られた熱画像を取得する。
また、第2推定部233は、整定状態での熱媒体に関するパラメータを取得する(ステップS605)。具体的には、第2推定部233は、上記任意のタイミングでの、熱媒体の温度T、熱媒体の流速R、代表温度P、バルブ開度Vを取得する。例えば、第2推定部233は、流体温度取得部130により計測された熱媒体の温度Tを取得し、流体速度取得部131により計測された熱媒体の流速Rを取得し、温度計側部110aにより計測された代表温度Pを取得し、流量制御バルブ110cにより調整されたバルブ開度Vを取得する。
なお、ステップS604およびS605での取得は、第2推定部233以外の処理部(例えば、図示しないデータ取得部)によって行われてもよい。
次に、第2推定部233は、第2学習部232による事前学習で得られている第2モデル(S=g(G))に対して、ステップ604で取得された熱画像Gを入力することで、この熱画像Gが示す温度分布の適正度Sを算出する(ステップS606)。また、第2推定部233は、算出したこの適正度Sを、熱画像Gが示す温度分布の適正度Sとして推定する。
また、第2推定部233は、ステップS606で推定された適正度Sと、ステップS605で取得された熱媒体に関するパラメータとの組を、今回(i回目)でのデータ収集処理で収集した1つの学習データセット(Si,Ti,Ri,Pi,Vi)(i=学習データセット数)として第1学習データ記憶部DB1に記憶させる(ステップS607)。具体的には、第2推定部233は、今回(i回目)推定された適正度Siと、この適正度Siの推定において第2モデルへの入力変数として用いられた熱画像が得られた際(整定状態にある中での任意のタイミング)に取得された熱媒体の温度Tiと、当該熱画像が得られた際に取得された熱媒体の流速Riと、当該熱画像が得られた際に取得された代表温度Piと、当該熱画像が得られた際に取得されたバルブ開度Viとの組を、1つの学習データセットとして記憶させる。
次に、第2推定部233は、第1学習データ記憶部DB1において今回(i回目)までに蓄積されている学習データセット数iに基づき、第1モデルの学習に十分な数の学習データセット(オンラインデータ)が蓄積されたか否かを判定する(ステップS608)。例えば、第2推定部233は、「今回(i回目)までに蓄積されている学習データセット数i(学習データの累計数)≧N(例えば、N=20個)、かつ、前回第1モデルの学習が行われた時点からさらに学習データセットがn個(例えば、5個)蓄積された」との必要条件を満たす場合には、第1モデルの学習に十分な数の学習データセット(オンラインデータ)が蓄積されたと判定し、この必要条件を満たさない場合には、第1モデルの学習に十分な数の学習データセット(オンラインデータ)が蓄積されていないと判定する。
上記例によれば、第2推定部233は、例えば、第1モデルの学習がこれまでに行われていない状態では、例えば、学習データセットが20個蓄積された場合(学習データセット数i=20となった場合)において、第1モデルの学習に十分な数の学習データセットが蓄積されたと判定することができる。
一方、第2推定部233は、第1モデルの学習が少なくとも1回以上行われている場合には、前回第1モデルの学習が行われた時点からさらに学習データセットが5個蓄積された場合において、第1モデルの学習に十分な数の学習データセットが蓄積されたと判定することができる。
したがって、第2推定部233は、現在の学習データセット数iと必要条件とに基づき、第1モデルの学習に十分な数の学習データセットが蓄積されたと判定した場合には(ステップS608;Yes)、第1学習部132に対して第1モデルを学習するよう指示する。一方、第2推定部233は、現在の学習データセット数iと必要条件とに基づき、第1モデルの学習に十分な数の学習データセットが蓄積されていないと判定している間は(ステップS608;No)、第1モデルの学習に十分な数の学習データセットが蓄積されたと判定できるまでステップS604からの処理を繰り返す。
第1学習部132は、第2推定部233からの指示を受け付けると(ステップS608;Yesの場合)、第1学習データ記憶部DB1に記憶されている学習データセットのうち、最新の(上位の)N個(例えば、N=20個)の学習データセットを用いて、パラメータ間の関係性を第1モデルに学習させる(ステップS609)。
上記例によれば、第1学習部132は、第1モデルの学習がこれまでに行われていない初回については、これまでに蓄積されている合計20個の学習データセット(Si,Ti,Ri,Pi,Vi/i=1~20)を用いて、パラメータ間の関係性を第1モデルに学習させる。一方、第1学習部132は、第1モデルの学習が少なくとも1回以上行われている場合であって、前回第1モデルの学習が行われた時点からさらに学習データセットが5個蓄積された場合については、これまでに蓄積されている学習データセットのうち、最新の20個の学習データセット(例えば、Si,Ti,Ri,Pi,Vi/i=6~25)を用いて、パラメータ間の関係性を第1モデルに学習させる。
なお、第1学習データ記憶部DB1からの学習データセットの取得は、第1学習部132以外の処理部(例えば、図示しないデータ取得部)によって行われてもよい。
また、ここで行われる学習の具体的な内容については図2のステップS202と同一であってよい。したがって、第1学習部132は、学習データセットに含まれる熱媒体に関するパラメータのうち、適正度Sと、その他の熱媒体に関するパラメータ(熱媒体の温度T、熱媒体の流速R、代表温度P、バルブ開度V)との関係性を第1モデルに学習させる。
すなわち、第1学習部132は、配管PGにおける現在の熱媒体の温度T、熱媒体の流速R、代表温度P、バルブ開度Vが入力された場合に、これらのパラメータに応じて現在生じている温度分布の適正度を出力するように第1モデルの学習を行う。また、第1学習部132は、関係性を学習した第1モデルとして関数fで規定されるモデル、具体的には、S=f(T,R,P,V)を生成することができる。なお、第1学習部132は、より単純には、例えば、熱媒体の温度Tおよび熱媒体の流速Rのみ用いることで、第1モデルとしてS=f(T,R)といった関数fを生成してもよい。
また、第1学習部132は、前回生成した第1モデルを、今回のステップS609で生成した第1モデルに更新する(ステップS610)。
ここで、ステップS604~S608にかけては、製造装置の現在の状況に応じた学習データセットであって、第1モデルの学習に十分な数の学習データセットが得られるようデータ収集が繰り返されることとなる。このため、調整装置200は、ステップS609およびS610によって製造装置の現在の状況が反映された高性能な第1モデルを学習することができるようになるため、適正度を精度よく推定することができるようになる。また、これにより調整装置200は、例えば、配管PGの内部の汚れ等により熱伝導や熱交換効率が徐々に影響を受けて変化する場合であっても、温度分布をより適正な状態で維持できるよう調整することができるようになる。
〔3-3.第2の実施形態に係るメイン調整処理の一例(2)〕
次に、図7を用いて、第2の実施形態に係るメインの調整処理の処理手順の一例について説明する。図7は、第2の実施形態に係るメイン調整処理手順の一例を示す図である。なお、第2の実施形態に係るメイン調整処理は、例えば、図6に示したデータ収集処理に平行して製造装置が実稼働しているリアルタイムに行われる。また、第2の実施形態に係るメイン調整処理は、用いられる第1モデルが、第2推定部233によりオンライン推定された適正度を学習データとして生成されたものであること以外は、図3の例と同一である。したがって、図3で説明した、調整処理の具体的な一例については説明を省略する。
まず、制御部110(温度計側部110a)は、熱媒体と配管PGとの間での熱交換で生じた温度分布の代表温度Pを取得する(ステップS701)。例えば、制御部110は、配管PGに関する所定の制御対象面で温度分布が生じている状態で、この制御対象面上のピンポイントな計測点(代表点)での温度である代表温度を計測する。
次に、制御部110(PID制御演算110部b、流量制御バルブ110c)は、熱交換により代表温度Pを制御することで、代表温度Pを目標温度Xへと整定し整定状態とする(ステップS702)。例えば、制御部110は、熱交換で生じた温度分布の代表温度Pと、目標温度Xと偏差に応じてPID制御するとともに、流量制御バルブの開度も調整することで熱交換を制御することで、代表温度Pを目標温度Xへと整定する。つまり、制御部110は、代表温度P=目標温度Xという整定状態となるよう熱交換を制御する。
また、制御部110は、代表温度P=目標温度Xという整定状態を維持できているか否かを判定し、整定状態でなくなったと判定した場合には(ステップS703;No)、ステップS301からの処理を再度行うことで整定状態となるよう制御する。
一方、第1推定部133は、整定状態である場合には(ステップS703;Yes)、この整定状態での熱媒体に関するパラメータを取得する(ステップS704)。具体的には、第1推定部133は、整定状態での熱媒体に関するパラメータとして、整定状態におけるある共通するタイミングでの、熱媒体の温度T、熱媒体の流速R、代表温度P、バルブ開度Vを取得する。例えば、第1推定部133は、流体温度取得部130により計測された熱媒体の温度Tを取得し、流体速度取得部131により計測された熱媒体の流速Rを取得し、温度計側部110aにより計測された代表温度Pを取得し、流量制御バルブ110cにより調整されたバルブ開度Vを取得する。
次に、第1推定部133は、図6のステップS610で更新されている第1モデルであって、現時点で最新の第1モデル(S=f(T,R,P,V))に対して、ステップ704で取得された各種パラメータを入力することで、これらのパラメータに応じて現在生じている温度分布の適正度Sを算出する(ステップS705)。また、第1推定部133は、算出したこの適正度Sを、配管PGにおける現在の温度分布の適正具合を指標する適正度として推定する。また、上述した通り、ステップS705で用いられる第1モデルは、第2推定部233によりオンライン推定された適正度(ステップS606で推定された適正度)を学習データとして、各種パラメータとの関係性を学習したものである。
最後に、調整部134は、ステップS705での推定結果に基づいて、配管PGにおける現在の温度分布がより適正な状態となるよう熱媒体の物理量を調整する(ステップS706)。ここで行われる調整処理の一例説明については図3の例と同様であるため省略する。
[比較結果について]
熱画像で示される温度分布について、オペレータにより判断された適正度と、これまで説明してきた第1モデルを用いて調整装置100(調整装置200)により推定された適正度Sとが比較された。図8に、このときの比較結果を示す。図8は、オペレータ判断に基づき規定された適正度と、調整装置により推定された適正度とが比較された比較結果CRを示す図である。
図8に示す「適正度S」は、対応する「水温T[℃]」(熱媒体の温度)と、対応する「流速R[m/min]」とによって生じた温度分布を示す熱画像を対象にオペレータ判断された適正度を示す。例えば、図8の例では、水温T=20.0[℃]および流速R=3.4[m/min]の組に対して、適正度S=6.0が対応付けられている。係る例は、水温T=20.0[℃]および流速R=3.4[m/min]によって生じた温度分布を示す熱画像を用いて、オペレータがこの場合の温度分布の適正度Sは「6.0」であると判断した例を示す。
また、図8に示すS=f(T,R)は、対応する「水温T[℃]」(熱媒体の温度)と、対応する「流速R[m/min]」とを第1モデルに入力することで調整装置100(調整装置200)により推定された適正度を示す。例えば、図8の例では、水温T=20.0[℃]および流速R=3.4[m/min]の組に対して、関数f(T,R)=6.1が対応付けられている。係る例は、調整装置100(調整装置200)が、水温T=20.0[℃]および流速R=3.4[m/min]を第1モデルに入力することで、この場合の温度分布の適正度Sは「6.1」であると推定した例を示す。
なお、関数fで規定される第1モデル(S=f(T,R))は、例えば、「Q=-8.62899+0.37926T+ 0.30702R」、「S=6.06190+1.15680Q+29.12857Q-41.11125Q」といった2個の多項式で構成され得る。
また、図8に示す比較結果CRによれば、オペレータ判断の適正度(適正度S)と、調整装置100(調整装置200)により推定された適正度(S=f(T,R))との間に大きな差はなく、第1モデルを用いることで人物による判断に近い推定結果が得られることが示された。例えば、人物による判断結果を正解とするならば、調整装置100(調整装置200)は、第1モデルを用いることで正解に近い概ね妥当な推定結果を得ることが可能であることが示された。
[その他]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、受付部は、受付手段や受付回路に読み替えることができる。
100 調整装置
110a 温度計側部
110b PID制御演算部
110c 流量制御バルブ
120 撮像器
130 流体温度取得部
131 流体速度取得部
132 第1学習部
133 第1推定部
134 調整部
200 調整装置
232 第2学習部
233 第2推定部
DB1 第1学習データ記憶部
DB2 第2学習データ記憶部
PG 配管

Claims (12)

  1. 熱媒体と配管との間での熱交換で生じた温度分布の適正具合を指標する適正度と、当該熱媒体に関する所定のパラメータとの関係性に基づいて、前記配管における現在の温度分布の適正度を推定する第1推定部と、
    前記第1推定部による推定結果に基づいて、前記配管における現在の温度分布がより適正な状態となるよう熱媒体の物理量を調整する調整部と
    を有することを特徴とする調整装置。
  2. 熱媒体と配管との間での熱交換で生じた温度分布の適正具合を指標する適正度と、熱媒体に関する所定のパラメータとの関係性を第1モデルに学習させる第1学習部をさらに有し、
    前記第1推定部は、前記関係性を学習した前記第1モデルに基づいて、前記配管の現在の温度分布の適正度を推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の調整装置。
  3. 前記第1学習部は、前記熱交換で生じた温度分布の適正度と、当該温度分布に対応する熱媒体に関する所定のパラメータとの組を学習データとして用いることで、前記第1モデルの学習を行う
    ことを特徴とする請求項2に記載の調整装置。
  4. 前記第1学習部は、前記温度分布の適正度として、当該温度分布を示す熱画像を用いて判断された適正度と、前記所定のパラメータとの組を学習データとして用いて前記第1モデルの学習を行う
    ことを特徴とする請求項3に記載の調整装置。
  5. 前記熱交換で生じた温度分布を示す熱画像と、当該温度分布の適正具合を指標する適正度であって当該熱画像を用いて判断された適正度との関係性に基づいて、前記第1学習部が用いる学習データとなる適正度を推定する第2推定部をさらに有し、
    前記第1学習部は、前記第2推定部により推定された適正度と、前記熱媒体の状態を示す所定のパラメータとの関係性を学習させる
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の調整装置。
  6. 前記熱交換で生じた温度分布を示す熱画像と、当該温度分布の適正度であって当該熱画像を用いて判断された適正度との関係性を第2モデルに学習させる第2学習部をさらに有し、
    前記第2推定部は、前記関係性を学習した前記第2モデルに基づいて、前記学習データとなる適正度を推定する
    ことを特徴とする請求項5に記載の調整装置。
  7. 前記第2学習部は、前記配管における現在の温度分布を示す熱画像が入力された場合に、当該温度分布の適正度を出力するように、前記第2モデルの学習を行う
    ことを特徴とする請求項6に記載の調整装置。
  8. 前記第1学習部は、前記第2推定部により推定された適正度と、前記熱交換で生じた温度分布に対応する熱媒体に関する所定のパラメータとの組を学習データとして用いることで、前記第1モデルの学習を行う
    ことを特徴とする請求項7に記載の調整装置。
  9. 前記第1学習部は、前記配管を備える温度制御系が稼働しているリアルタイムにおいて前記第2推定部により適正度が推定されることに応じて、推定された適正度を学習データとして用いてリアルタイムで前記第1モデルの学習を繰り返し、
    前記第1推定部は、前記第1学習部による繰り返し学習で更新された最新の第1モデルを用いて、前記配管における現在の温度分布の適正度を推定する
    ことを特徴とする請求項5~8のいずれか1つに記載の調整装置。
  10. 前記熱媒体の状態を示す所定のパラメータには、少なくとも前記熱媒体の温度および熱媒体の流速が含まれ、
    前記第1学習部は、前記配管における現在の熱媒体の温度および熱媒体の流速が入力された場合に、当該温度および当該流速に応じて現在生じている温度分布の適正度を出力するように前記第1モデルの学習を行う
    ことを特徴とする請求項2~9のいずれか1つに記載の調整装置。
  11. 前記調整部は、前記第1モデルを用いた適正度の推定において入力変数として用いられたパラメータを仮想的に変化させた場合の適正度に基づいて、前記配管における現在の温度分布をより適正な状態とするには、前記熱媒体の物理量をどのように調整すべきか判定する
    ことを特徴とする請求項2~10のいずれか1つに記載の調整装置。
  12. 調整装置が実行する調整方法であって、
    熱媒体と配管との間での熱交換で生じた温度分布の適正具合を指標する適正度と、当該熱媒体に関する所定のパラメータとの関係性に基づいて、前記配管における現在の温度分布の適正度を推定する第1推定工程と、
    前記第1推定工程による推定結果に基づいて、前記配管における現在の温度分布がより適正な状態となるよう熱媒体の物理量を調整する調整工程と
    を含むことを特徴とする調整方法。
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