JP7494966B1 - ガスメタルアーク溶接方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 0007494966000001
【課題】極低温環境下で使用される高Mn鋼用の溶接継手として、ソリッドワイヤの細かな成分調整や溶接条件の調整を必要とせず、簡便に高強度かつ極低温靭性に優れた高Mn鋼の溶接金属が得られるガスメタルアーク溶接方法を提供する。
【解決手段】鋼材をシールドガスとソリッドワイヤを用いて溶接金属を形成させるガスメタルアーク溶接方法において、鋼材の金属組織が、オーステナイト相を有し、鋼材のMn含有量が、質量%で18.0%~30.0%で、シールドガスが、下記の〔A〕又は〔B〕のいずれかのガスであることを特徴とするガスメタルアーク溶接方法である。
〔A〕体積%で1.0%以上30.0%未満の窒素ガスを含有し、残部が炭酸ガス及び不可避的不純物からなるガス
〔B〕体積%で1.0%以上30.0%未満の窒素ガス及び56.0%以上79.2%未満のArガスを含有し、残部が炭酸ガス及び不可避的不純物からなるガス
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスメタルアーク溶接方法に関し、特に、極低温環境下で使用される高Mn含有オーステナイト鋼材のガスメタルアーク溶接方法に関する。
近年、環境に対する規制が厳しくなっている。その中で、液化天然ガス(以下、LNGともいう)は、硫黄を含まないため、硫化物や硫黄酸化物等の大気汚染物質を発生させないクリーンな燃料と言われ、その需要が増加している。そして、LNGの輸送又は保管のために、LNGを輸送又は貯蔵する容器(タンク)は、LNGの液化温度である-162℃以下の温度で、優れた極低温衝撃靭性を保持することが求められている。
この優れた極低温衝撃靭性を保持することの必要性から、容器(タンク)等の材料として、従来、アルミニウム合金、9%Ni鋼、オーステナイト系ステンレス鋼等が用いられてきた。
しかしながら、アルミニウム合金は、引張強さが低いため、構造物の板厚を大きく設計する必要があり、また溶接作業性が低いという問題がある。また、9%Ni鋼は、溶接材料として高価なNi基材料を用いることが必要なため、経済的に不利となる。また、オーステナイト系ステンレス鋼は、高価であり、母材強度も低いという問題がある。
このような問題から、LNGを輸送又は貯蔵する容器用の材料として、最近では、Mnを10~35質量%の範囲で含有する高Mn含有鋼材(以下、「高Mn鋼」ともいう。)の適用が検討されている。高Mn鋼は、極低温においても、金属組織がオーステナイト相であり、脆性破壊が発生せず、またオーステナイト系ステンレス鋼と比較して、高い強度を有するという特徴がある。しかしながら、高Mn鋼母材は、圧延による加工硬化で強度を向上させているが、溶接部においては、圧延による加工硬化の影響を受けないために母材と比較すると強度が低く、高Mn鋼本来の強度を十分に活かせないことが課題であった。そこで、高Mn鋼母材と同等の強度の溶接部を達成できる溶接材料及び溶接技術の開発が要望されていた。
例えば、特許文献1においては、高Mn鋼材の化学組成に対して溶接材料(ソリッドワイヤ)の化学組成及び溶接条件を調整し、溶接金属への鋼材の希釈率を制御することにより、溶接部の強度及び極低温衝撃靭性が規定値を満足させる方法が開示されている。
特許第6978613号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、高Mn鋼材に合わせた溶接材料を選択する必要があるが、溶接材料製造のコストや工程を考慮すると、鋼材に合わせて溶接材料をその都度設計・製造するのは困難である。また、溶接条件を詳細に制御する必要があるために溶接施工管理が煩雑になってしまうという課題があった。
本発明は、上記の課題を解決し、溶接ワイヤの細かな成分調整や溶接条件の調整を必要とせず、簡便に高強度かつ極低温靭性に優れた高Mn鋼の溶接金属が得られるガスメタルアーク溶接方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために、溶接金属部の特性に及ぼす各種元素の影響を鋭意検討し、母材および溶接材料以外から溶接部に添加することが可能で、強度の向上に寄与する元素として、窒素(N)が特に有効であることを見出した。さらに、溶接金属内のN含有量を増加させると、固液共存温度範囲を狭める効果を有し、溶接金属部に発生する高温割れを抑制させる効果も発揮することを知見した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成したものである。
本発明の要旨は、次の通りである。
〔1〕鋼材をシールドガスとソリッドワイヤを用いて溶接金属を形成させるガスメタルアーク溶接方法において、
前記鋼材の金属組織が、オーステナイト相を有し、
前記鋼材のMn含有量が、質量%で18.0%~30.0%で、
前記シールドガスが、下記の〔A〕又は〔B〕のいずれかのガスであることを特徴とするガスメタルアーク溶接方法。
〔A〕体積%で1.0%以上30.0%未満の窒素ガスを含有し、残部が炭酸ガス及び不可避的不純物からなるガス
〔B〕体積%で1.0%以上30.0%未満の窒素ガス及び56.0%以上79.2%未満のArガスを含有し、残部が炭酸ガス及び不可避的不純物からなるガス
〔2〕前記〔1〕において、前記鋼材が、さらに、質量%で、
C:0.10%~0.70%、
Si:0.05%~1.00%、
P:0.030%以下、
S:0.007%以下、
Al:0.010%~0.070%、
Cr:2.50%~7.00%、
N:0.0050%~0.0500%及び
O(酸素):0.0050%以下
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とするガスメタルアーク溶接方法。
〔3〕前記〔2〕において、前記鋼材が、さらに、質量%で、
Mo:0.01%~2.00%、
V:0.01%~2.00%、
W:0.01%~2.00%、
Ni:0.01%~4.00%、
REM:0.0010%~0.0200%及び
B:0.0005%~0.0020%
のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有することを特徴とするガスメタルアーク溶接方法。
〔4〕前記〔1〕ないし〔3〕のいずれか一つにおいて、前記ソリッドワイヤが、質量%で、
C:0.20%~0.80%、
Si:0.15%~0.90%、
Mn:17.0%~28.0%、
P:0.030%以下、
S:0.030%以下、
Ni:0.01%~10.00%、
Cr:0.4%~4.0%、
Mo:0.01%~3.50%、
B:0.0010%未満、
N:0.120%以下
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とするガスメタルアーク溶接方法。
〔5〕前記〔4〕において、前記ソリッドワイヤが、さらに、質量%で、
V:0.01%~0.04%、
Ti:0.01%~0.04%、
Nb:0.01%~0.04%、
Cu:0.01%~1.00%、
Al:0.01%~0.10%
のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有することを特徴とするガスメタルアーク溶接方法。
〔6〕前記〔1〕ないし〔5〕のいずれか一つに記載の前記ガスメタルアーク溶接方法において、
溶接電流が180A~320A、
溶接電圧が20V~30V、
溶接速度が10cm/min~25cm/min、
溶接入熱量が16.2kJ/cm~49.7kJ/cmである
ことを特徴とするガスメタルアーク溶接方法。
〔7〕前記〔1〕ないし〔6〕のいずれか一つにおいて、前記溶接金属の降伏応力(0.2%耐力)が400MPa以上、引張強さが660MPa以上で、シャルピー衝撃吸収エネルギー(v-196)が28J以上であることを特徴とするガスメタルアーク溶接方法。
本発明のガスメタルアーク溶接方法を用いることにより、極低温環境下で使用される高Mn鋼用の溶接継手として、溶接金属の強度を向上させ、かつ高温割れの発生を抑制できるガスメタルアーク溶接継手を容易に製造でき、産業上格段の効果を奏する。
本発明のガスメタルアーク溶接方法における溶接継手の溶接金属部断面の一例を示す模式図である。 シャルピー衝撃試験の試験片採取位置の一例を示す模式図である。 溶接金属中のN含有量に対する0.2%耐力の変化を示す図である。 溶接金属中のN含有量に対する引張強さの変化を示す図である。
本発明は、高Mn鋼の接合に好適なガスメタルアーク溶接方法である。
本発明のガスメタルアーク溶接方法は、電極としてソリッドワイヤを使用し、アルゴン(Ar)ガスやヘリウム(He)ガス、あるいは炭酸(CO2)ガスなどをシールドガスとして、ソリッドワイヤをアーク中で溶融して溶接する方法である。
以下、溶接条件等について説明する。
[シールドガス]
本発明では、ガスメタルアーク溶接のシールドガスとして、〔A〕体積%で、1.0%以上30.0%未満の窒素(N2)ガスを含有し、残部が炭酸ガス及び不可避的不純物からなるシールドガスを用いる。または、〔B〕体積%で、1.0%以上30.0%未満の窒素ガス及び56.0%以上79.2%未満のArガスを含有し、残部が炭酸ガス及び不可避的不純物からなるシールドガスを用いる。以上の〔A〕又は〔B〕のいずれかを選択して用いれば良い。なお、以下、ガス成分含有量における「%」は、「体積%」であることを意味する。
このシールドガスの窒素は、高Mn鋼の溶接金属中に固溶すると、固溶強化により溶接金属及び溶接継手の強度を向上させる元素である。さらに、溶接金属中のN含有量を増加させると固液共存温度範囲を縮小させる傾向を示し、高温割れ感受性を改善させる。このような効果を得るためには、シールドガス中に1.0%以上の窒素の含有を必要とする。したがって、シールドガス中の窒素含有量は、1.0%以上とした。なお、好ましくは、5.0%以上であり、より好ましくは、10.0%以上である。一方で、30.0%以上の窒素がシールドガス中に含まれると、アークが不安定となり、ブローホールやピットなどの溶接欠陥が多量に発生し、継手特性を劣化させる。そのため、シールドガス中の窒素含有量は30.0%未満とする。なお、好ましくは、25.0%以下であり、より好ましくは、20.0%以下である。
次に、シールドガスの残部である炭酸(CO2)ガスについて説明する。炭酸ガスは、シールドガスとして最も使用されるガスであり、Arガスなどと比べて安価であり、溶け込みが深いことが特徴である。
この炭酸ガスを残部ガスとして用いるのが、前述の〔A〕のシールドガスである。この場合の炭酸ガスの含有量は、前記窒素ガスの含有量(1.0%以上30.0%未満)を除く残部であり、炭酸ガスの含有量は、70.0%超99.0%以下となる。
これに対し、前述の〔B〕のシールドガスのように、炭酸ガス単独ではなく、不活性ガスであるArガスと混合して用いても良い。この〔B〕の混合ガスを用いる場合には、一般的に手に入り易いArガス:炭酸ガス=4:1で混合されているガスを用いるのが好ましい。したがって、〔B〕の混合ガスの窒素ガス以外の含有量も、70.0%超99.0%以下となるので、Arガスと炭酸ガスのそれぞれの含有量は、56.0%以上79.2%未満のArガスと14.0%超19.8%以下の炭酸ガスとなる。
なお、不可避的不純物とは、窒素ガス、炭酸ガス及びArガスを除くそれ以外のガスであり、酸素(O2)ガス、水素(H2)ガス、などが例示される。
また、シールドガスのガス流量は、10L/min~30L/minが好ましい。より好ましくは、15L/min~25L/minである。
[溶接方法、溶接条件]
次に、ガスメタルアーク溶接方法に関する溶接条件等の具体例を、例示して説明する。溶接した溶接継手の溶接金属部断面の一例を図1に示す。母材1となる鋼材の板厚tは、5mm~102mmである。
後述する試験片を作製する場合は、JIS Z 3111に準拠して、この母材1を突き合わせて、開先角度θが35°~60°のV開先を形成する。ガスメタルアーク溶接用の電極として、1.0mmφ~1.6mmφのソリッドワイヤを用いることができる。予熱は行わなくてもよい。
その他の溶接条件は、電流:180A~300A(DCEN)、電圧:20V~30V、溶接速度:10cm/min~25cm/min、溶接入熱量:16.2kJ/cm~49.7kJ/cmで実施する。電流が180A未満では、十分にワイヤを溶融することができずアークが不安定となり、300Aを超えると溶滴の移行が不安定となり、多量のスパッタが発生するためである。また、溶接入熱量が16.2kJ/cm未満では、投入熱量が低く、母材と溶接金属が適切に融合せずにハンピングビードとなり、49.7kJ/cmを超えると、ビード形状が不整となる。より好ましくは、18.0kJ/cm~28.0kJ/cmである。さらに好ましくは、20.0kJ/cm~22.0kJ/cmである。また、パス間温度は150℃以下とする。
溶接姿勢としては、下向き、横向き、上向き、立向き上進などが例示できる。また、開先形状は、図1に示すV開先の他に、レ開先、K開先、X開先などでもよい。開先角度θは、前述のように、35°~60°とするのが好ましく、より好ましくは、40°~55°である。
前述の溶接条件で、1層又は多層の溶接により、V開先内に溶接金属2が形成されるが、その溶接金属2は、溶接金属の層3が多層に積み重なった形態である。なお、本発明の溶接方法(溶接条件)を外れる場合には、溶接金属の層3の一部に高温割れ4などの溶接欠陥が発生するが、本発明の溶接方法においては、そのような高温割れ4などの溶接欠陥が発生することはない。
[高Mn鋼(高Mn含有オーステナイト鋼)]
続いて、母材となる高Mn鋼について説明する。本発明において、高Mn含有オーステナイト鋼の「高Mn含有」とは、鋼材組成におけるMn含有量が、質量%で、18.0%~30.0%のことである。また、高Mn含有オーステナイト鋼のオーステナイト鋼とは、基地相(金属組織)がオーステナイト相である鋼材のことである。鋼材の結晶構造が体心立方構造(bcc)である場合、その鋼材は、低温環境下で脆性破壊を起こす可能性があるため、低温環境下での使用には適していない。ここに、低温環境下での使用を想定したとき、鋼材の金属組織の基地相は、結晶構造が面心立方構造(fcc)であるオーステナイト組織であることが必須となる。なお、「基地相がオーステナイト相である」とは、オーステナイト相が面積率で90%以上であることを意味する。オーステナイト相以外の残部は、フェライト相又はマルテンサイト相、あるいは炭化物などの析出物である。より好ましくは、オーステナイト相が95%以上であり、100%がさらに好ましい。
[鋼材の基本組成]
ここで、好ましい鋼材の化学組成を次に説明する。なお、以下、「化学組成」における「%」は「質量%」であることを意味する。
本発明で使用する鋼材は、前述のMnが18.0%~30.0%を含有する高Mn鋼である。さらに、好ましくは、次の化学組成を含有する。C:0.10%~0.70%、Si:0.05%~1.00%、P:0.030%以下、S:0.007%以下、Al:0.010%~0.070%、Cr:2.50%~7.00%、N:0.0050%~0.0500%、O:0.0050%以下である。そして、残部がFe及び不可避的不純物からなる化学組成を有する高Mn鋼とするのが好ましい。化学組成の限定理由は、次のとおりである。
[Mn:18.0%~30.0%]
Mnは、オーステナイト相を安定化させる作用を有する比較的安価な元素であり、高強度と優れた極低温衝撃靱性を両立するために重要な元素である。このような効果を得るためには、18.0%以上の含有を必要とする。このため、Mn含有量は、18.0%以上とする。好ましくは、20.0%以上であり、より好ましくは、22.0%以上であり、さらに好ましくは、24.0%以上である。一方、30.0%を超えて含有しても、極低温衝撃靱性を向上させる効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となる。また、30.0%を超えて多量に含有すると、切断性の低下を招くとともに、Mn偏析を助長し、応力腐食割れの発生を助長する。このため、Mn含有量は、30.0%以下とする。好ましくは、29.0%以下であり、より好ましくは、28.5%以下であり、さらに好ましくは、28.0%以下である。
[C:0.10%~0.70%]
Cは、オーステナイト相を安定化させ、極低温衝撃靭性を向上させる作用を有する安価で重要な元素である。このような効果を得るためには、C含有量は、0.10%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.20%以上であり、さらに好ましくは、0.25%以上であり、最も好ましくは、0.35%以上である。一方、0.70%を超えてCを含有すると、Cr炭化物が過度に生成され、極低温衝撃靱性が低下することがある。このため、C含有量は、0.70%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.65%以下であり、さらに好ましくは、0.63%以下であり、最も好ましくは、0.60%以下である。
[Si:0.05%~1.00%]
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中に固溶して固溶強化により鋼材の高強度化に寄与する元素である。このような効果を得るためには、Si含有量は、0.05%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.07%以上であり、さらに好ましくは、0.10%以上であり、最も好ましくは、0.20%以上である。一方、1.00%を超えて含有すると、溶接性が低下することがある。このため、Si含有量は、1.00%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.80%以下であり、さらに好ましくは、0.70%以下であり、最も好ましくは、0.60%以下である。
[P:0.030%以下]
Pは、不純物として、粒界に偏析し、応力腐食割れの発生起点となる元素であり、本発明では、可能なかぎり低減することが望ましいが、0.030%以下であれば許容できる。このため、P含有量は、0.030%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.028%以下であり、さらに好ましくは、0.024%以下であり、最も好ましくは、0.015%以下である。一方、P含有量を0.002%未満と極端に低減するには、長時間の精錬を必要とし、精錬コストが高騰する。このため、経済的な観点から、P含有量は、0.002%以上とするのが好ましい。
[S:0.007%以下]
Sは、鋼中では、硫化物系介在物として存在し、鋼材、溶接金属の延性、極低温衝撃靭性を低下させる。このため、Sは、可能なかぎり低減することが望ましいが、0.007%以下であれば許容できる。したがって、S含有量は、0.007%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.005%以下であり、さらに好ましくは、0.004%以下である。一方、Sを0.0005%未満と極端に低減するには、長時間の精錬を必要とし、精錬コストが高騰する。このため、経済性の観点から、S含有量は、0.0005%以上とするのが好ましい。
[Al:0.010%~0.070%]
Alは、脱酸剤として作用し、鋼材の溶鋼脱酸プロセスにおいて、もっとも汎用的に使われる元素である。このような効果を得るためには、Al含有量は、0.010%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.020%以上であり、さらに好ましくは、0.030%以上である。一方、0.070%を超えて含有すると、溶接時にAlが溶接金属部に混入して、溶接金属の靭性を低下させることがある。このため、Al含有量は、0.070%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.060%以下であり、さらに好ましくは、0.050%以下である。
[Cr:2.50%~7.00%]
Crは、オーステナイト相を安定化させ、極低温衝撃靱性の向上及び鋼材強度の向上に有効に寄与する元素である。また、微細結晶域を形成させるために効果的な元素である。このような効果を得るためには、Cr含有量は、2.50%以上とするのが好ましい。より好ましくは、3.00%以上であり、さらに好ましくは、3.30%以上であり、最も好ましくは、4.00%以上である。一方、7.00%を超えてCrを含有すると、Cr炭化物が生成し、極低温衝撃靭性及び耐応力腐食割れ性が低下することがある。このため、Cr含有量は、7.00%以下とするのが好ましい。より好ましくは、6.80%以下であり、さらに好ましくは、6.50%以下であり、最も好ましくは、6.00%以下である。
[N:0.0050%~0.0500%]
Nは、オーステナイト相を安定化する作用を有する元素であり、極低温衝撃靱性の向上に有効に寄与する。このような効果を得るためには、N含有量は、0.0050%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.0060%以上であり、さらに好ましくは、0.0070%以上であり、最も好ましくは、0.0080%以上である。一方、0.0500%を超えて含有すると、鋼材製造過程で窒化物又は炭窒化物が粗大化し、極低温衝撃靭性が低下することがある。このため、N含有量は、0.0500%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.0450%以下であり、さらに好ましくは、0.0400%以下であり、最も好ましくは、0.0350%以下である。
[O(酸素):0.0050%以下]
O(酸素)は、鋼中では酸化物系介在物として存在し、鋼材の極低温衝撃靱性を低下させる。このため、O(酸素)は、できるだけ低減することが好ましいが、0.0050%以下であれば許容できる。このため、O(酸素)含有量は、0.0050%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.0045%以下であり、さらに好ましくは0.0040%以下である。一方、O(酸素)を0.0005%未満と極端に低減するには、長時間の精錬を必要とし、精錬コストが高騰する。このため、経済性の観点から、O(酸素)は、0.0005%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.0006%以上である。
[鋼材の任意的選択組成]
上述した化学組成が高Mn鋼の好ましい基本組成であるが、この基本組成に加え、必要に応じて含有してもよい任意的選択組成を次に示す。それらは、Mo:0.01%~2.00%、V:0.01%~2.00%、W:0.01%~2.00%、Ni:0.01%~4.00%、REM:0.0010%~0.0200%及びB:0.0005%~0.0020%のうちの1種又は2種以上である。それぞれの組成の限定理由は、次のとおりである。
[Mo、V及びW:0.01%~2.00%]
Mo、V及びWは、いずれも、オーステナイト相の安定化に寄与するとともに、鋼材の強度向上、極低温衝撃靭性の向上にも寄与する元素であり、必要に応じて1種又は2種以上選択して含有することができる。このような効果を得るためには、Mo、V及びWの含有量をそれぞれ0.01%以上含有することが好ましい。一方、Mo、V及びWの含有量がそれぞれ2.00%を超えて含有すると、粗大な炭窒化物が増加し、破壊の起点となり、極低温衝撃靭性が低下する。このため、Mo、V及びWを含有する場合には、2.00%以下とするのが好ましい。より好ましくは、Mo、V及びWの含有量いずれもが1.70%以下であり、さらに好ましくは、1.50%以下である。
[Ni:0.01%~4.00%]
Niは、オーステナイト相の安定化に寄与するとともに、オーステナイト粒界を強化する元素であり、鋼材の極低温衝撃靭性の向上にも寄与する元素である。このような効果をえるためには、Ni含有量を0.01%以上含有することが好ましい。より好ましくは、0.10%以上、さらに好ましくは、0.20%以上である。一方、Niは高価な元素であり、4.00%を超える含有は、経済的に不利となる。そのため、Ni含有量は、4.00%以下とするのが好ましい。より好ましくは、3.75%以下であり、さらに好ましくは、3.50%以下である。
[REM:0.0010%~0.0200%]
REMは、Sc、Y、La、Ceなどの希土類元素であり、介在物の形態制御を介し、鋼材の靭性向上、さらには延性、耐硫化物応力腐食割れ性を向上させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、REM含有量は、0.0010%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.0015%以上である。一方、0.0200%を超えて含有すると、非金属介在物量が増加し、靭性、さらには延性、耐硫化物応力割れ性が低下することがある。このため、REM含有量は、0.0200%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.0180%以下である。
[B:0.0005%~0.0020%]
Bは、粒界に偏析し、鋼材の靭性向上に寄与する作用を有する元素である。このような効果を得るためには、B含有量は、0.0005%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.0008%以上である。一方、0.0020%を超えて含有すると、粗大な窒化物や炭化物が増加し、靭性が低下することがある。このため、B含有量は、0.0020%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.0018%以下である。
[鋼材の残部組成]
上述した化学組成以外の残部組成は、Fe及び不可避的不純物からなる。なお、不可避的不純物としては、Ca、Mg、Ti、Nb、Cuが例示でき、合計で0.05%以下であれば許容できる。また、前述の基本組成及び任意的選択組成を満足する限り、これら以外の元素を含有させても良く、そのような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
[高Mn鋼の製造方法]
さらに、本発明で使用する高Mn鋼の好ましい製造方法について説明する。なお、以下に記載の方法以外の製造方法であっても、同等の高Mn鋼が得られれば良く、以下の製造方法に限定されるものではない。
上述した鋼材組成を有する溶鋼を、転炉、電気炉等、常用の溶製方法で溶製し、連続鋳造法あるいは造塊-分塊圧延法等の常用の鋳造方法により、所定寸法のスラブ等の鋼素材とする。なお、溶製に際しては、真空脱ガス炉等による2次精錬を実施してもよい。
得られた鋼素材は、さらに加熱され、熱間圧延及びその後の冷却を施されて、所定寸法の鋼材とされる。なお、加熱温度:1100℃~1300℃の範囲の温度で加熱し、仕上圧延終了温度:790℃~980℃で熱間圧延を終了し、直ちに冷却等を施すことにより、極低温衝撃靭性に優れた鋼材とすることができる。また、鋼材特性の調整のために、さらに、焼鈍処理等の熱処理を行ってもよい。
また、本発明で使用する高Mn鋼の好ましい機械的特性について説明する。上記した鋼材組成を有する極低温用の高強度鋼材で、板厚は、例えば、5mm~102mmであり、常温の降伏応力(0.2%耐力)が400MPa以上であり、シャルピー衝撃吸収エネルギー(v-196)が28J以上であるのが好ましい。さらに、常温の引張強さが660MPa以上であるのが好ましい。より好ましくは、引張強さが800MPa以上である。
[ソリッドワイヤの基本組成]
本発明は、上述した高Mn鋼同士を、ガスメタルアーク溶接により1層又は多層の溶接金属からなる溶接金属部を形成した溶接継手とする溶接方法である。この時に使用するソリッドワイヤとして、好ましい化学組成を以下に示す。なお、以下、ソリッドワイヤの「化学組成」における「%」は、「質量%」であることを意味する。
本発明で使用するソリッドワイヤとして好ましい基本組成は、次のとおりである。C:0.20%~0.80%、Si:0.15%~0.90%、Mn:17.0%~28.0%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Ni:0.01%~10.00%、Cr:0.4%~4.0%、Mo:0.01%~3.50%を含有する。さらに、B:0.0010%未満及びN:0.120%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有する。それぞれの化学組成の限定理由は、次のとおりである。
[C:0.20%~0.80%]
Cは、固溶強化により、溶接金属の強度を上昇させる作用を有する元素であり、また、Cは、オーステナイト相を安定化させ、溶接金属の極低温衝撃靭性を向上させる作用を有する安価で重要な元素である。このような効果を得るためには、C含有量は、0.20%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.25%以上であり、さらに好ましくは、0.28%以上である。一方、0.80%を超えて含有すると、溶接金属中に炭化物が過度に生成され、極低温衝撃靭性が低下し、さらに、溶接時の高温割れが生じやすくなることがある。そのため、C含有量は、0.80%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.75%以下であり、さらに好ましくは、0.70%以下であり、最も好ましくは、0.63%以下である。
[Si:0.15%~0.90%]
Siは、脱酸剤として作用し、Mnの歩留りを高めるとともに、溶融金属の粘性を高め、ビード形状を安定的に保持する効果がある。そのような効果を得るためには、Si含有量は、0.15%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.18%以上であり、さらに好ましくは、0.20%以上であり、最も好ましくは、0.25%以上である。一方、0.90%を超えて含有すると、溶接金属の極低温衝撃靭性を低下させ、また、凝固時に偏析し、凝固セル界面に液相を生成して、耐高温割れ性を悪化させることがある。そのため、Si含有量は、0.90%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.80%以下であり、さらに好ましくは、0.75%以下であり、最も好ましくは、0.70%以下である。
[Mn:17.0%~28.0%]
Mnは、安価に、オーステナイト相を安定化させる作用を有する元素であるが、Mn含有量が17.0%未満では、溶接金属中にフェライト相が生成し、極低温衝撃靭性が著しく低下することがある。このため、Mn含有量は、17.0%以上とするのが好ましい。より好ましくは、18.0%以上であり、さらに好ましくは、18.5%以上である。一方、Mn含有量が28.0%を超えると、積層欠陥エネルギーが上がり変形中の抵抗が下がるため、強度が低下することがある。そのため、Mn含有量は、28.0%以下とするのが好ましい。より好ましくは、27.0%以下であり、さらに好ましくは、26.0%以下である。
[P:0.030%以下]
Pは、結晶粒界に偏析し、高温割れを誘発する元素であり、本発明では、可能なかぎり低減することが好ましいが、0.030%以下であれば、許容できる。そのため、P含有量は、0.030%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.020%以下であり、さらに好ましくは、0.018%以下であり、最も好ましくは0.014%以下である。一方、P含有量を0.002%未満と極端に低減するには、長時間の精錬を必要とし、精錬コストが高騰する。このため、経済的な観点からは、P含有量は、0.002%以上とするのが好ましい。
[S:0.030%以下]
Sは、溶接金属中では、硫化物系介在物MnSとして存在する。MnSは、破壊の発生起点となるため、極低温衝撃靭性を低下させることがある。そのため、S含有量は、0.030%以下にするのが好ましい。より好ましくは、0.025%以下であり、さらに好ましくは、0.020%以下であり、最も好ましくは、0.017%以下である。一方、過度の低減は、精練コストの高騰を招く。そのため、S含有量は、0.001%以上とするのが好ましい。
[Ni:0.01%~10.00%]
Niは、オーステナイト粒界を強化する元素であり、粒界に偏析し、極低温衝撃靱性を向上させる。また、Niは、オーステナイト相を安定化する効果もあるため、さらに含有量を増加すれば、オーステナイト相を安定化させて、溶接金属の極低温衝撃靭性を向上させる。このような効果を得るためには、Ni含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。より好ましくは、1.00%以上である。一方、Niは、高価な元素であり、10.00%を超える含有は、経済的に不利となる。そのため、Ni含有量は、10.00%以下とするのが好ましい。より好ましくは、8.00%以下であり、さらに好ましくは、7.00%以下であり、最も好ましくは、6.00%以下である。
[Cr:0.4%~4.0%]
Crは、極低温でオーステナイト相を安定化させ、極低温衝撃靱性の向上および溶接金属強度の向上に有効に寄与する元素である。また、Crは、溶融金属の固液共存領域の温度範囲を狭め、高温割れの発生を抑制するのに有効に作用する。このような効果を得るためには、Cr含有量は、0.4%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.8%以上であり、さらに好ましくは、1.0%以上であり、最も好ましくは、1.2%以上である。一方、4.0%を超えて含有すると、Cr炭化物が生成し、極低温衝撃靭性の低下を招くことがある。そのため、Cr含有量は、4.0%以下とするのが好ましい。より好ましくは、3.5%以下であり、さらに好ましくは、3.2%以下であり、最も好ましくは、2.8%以下である。
[Mo:0.01%~3.50%]
Moは、オーステナイト粒界を強化する元素であり、粒界に偏析し、溶接金属の強度を向上させる。また、固溶強化により溶接金属の強度を向上させる作用も有する。そのような効果を得るためには、Mo含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.50%以上であり、さらに好ましくは、1.00%以上であり、最も好ましくは、1.50%以上である。一方、3.50%を超えて含有すると、溶接金属の強度を上昇させる効果は限定的となり、また炭化物として析出し、破壊の発生起点となり、極低温衝撃靭性の低下を招くことがある。そのため、Mo含有量は、3.50%以下とするのが好ましい。より好ましくは、3.30%以下であり、さらに好ましくは、3.10%以下であり、最も好ましくは、3.00%以下である。
[B:0.0010%未満]
Bは、不可避的に混入する元素であり、オーステナイト粒界に偏析する。Bが0.0010%以上混入した場合は、オーステナイト粒界で窒化ホウ素を形成し、強度を低下させ、さらに、窒化ホウ素が破壊の起点となり、極低温衝撃靭性を低下させることがある。そのため、B含有量は、0.0010%未満とするのが好ましい。より好ましくは、0.0008%以下であり、さらに好ましくは、0.0005%以下である。一方、B含有量の下限については限定されるものではないが、過度の低減は、精錬コストの高騰を招くため、B含有量は、0.0001%以上とするのが好ましい。
[N:0.120%以下]
Nは、ワイヤ製造過程で不可避的に混入する元素であるが、0.120%を超えて含有すると、ワイヤの強度が過度に上昇し、伸線性が著しく低下する。そのため、N含有量は、0.120%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.110%以下であり、さらに好ましくは、0.100%以下である。一方、Nは、溶接金属の粒内強度の向上に有効に寄与するとともに、オーステナイト相を安定化し、極低温衝撃靱性の安定的向上に寄与する。このような効果を得るには、N含有量は、0.003%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.004%以上であり、さらに好ましくは、0.006%以上である。
[ソリッドワイヤの任意的選択組成]
上述した化学組成が本発明で用いる溶加材として好ましい基本組成であるが、この基本組成に加え、必要に応じて、次の任意的選択組成を含有してもよい。それらは、V:0.01%~0.04%、Ti:0.01%~0.04%、Nb:0.01%~0.04%、Cu:0.01%~1.00%、Al:0.01%~0.10%、のうちから選ばれた1種又は2種以上である。それらの組成の限定理由は、次のとおりである。
[V:0.01%~0.04%]
Vは、炭化物形成元素であり、微細な炭化物を析出させて、溶接金属の強度向上に寄与する。このような効果を得るためには、V含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。一方、0.04%を超えて含有すると、炭化物が粗大化して、溶加材の伸線加工時に割れの発生起点となり、伸線加工性を低下させ、ワイヤの製造性を低下させることがある。そのため、V含有量は、0.04%以下とするのが好ましい。
[Ti:0.01%~0.04%]
Tiは、炭化物形成元素であり、微細な炭化物を析出させて、溶接金属の強度向上に寄与する。また、溶接金属の凝固セル界面に炭化物を析出させて、高温割れの発生抑制に寄与する。このような効果を得るためには、Ti含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.02%以上である。一方、Ti含有量が0.04%を超えると、炭化物が粗大化して、ソリッドワイヤの伸線加工時に割れの発生起点となり、伸線加工性を低下させ、ワイヤの製造性を低下させることがある。そのため、Ti含有量は、0.04%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.03%以下である。
[Nb:0.01%~0.04%]
Nbは、炭化物形成元素であり、炭化物を析出させて、溶接金属の強度向上に寄与する。また、溶接金属の凝固セル界面に炭化物を析出させて、高温割れの発生抑制に寄与する。このような効果を得るためには、Nb含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.02%以上である。一方、Nb含有量が0.04%を超えると、炭化物が粗大化して、ソリッドワイヤの伸線加工時に割れの発生起点となり、伸線加工性を低下させ、ワイヤの製造性を低下させることがある。そのため、Nb含有量は、0.04%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.03%以下である。
[Cu:0.01%~1.00%]
Cuは、オーステナイト相を安定化する元素であり、極低温でもオーステナイト相を安定化させて、溶接金属の極低温衝撃靭性を向上させる。このような効果を得るためには、Cu含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.10%以上であり、さらに好ましくは、0.20%以上である。一方、Cu含有量が1.00%を超えると、熱間延性が低下し、ワイヤの製造性が低下することがある。そのため、Cu含有量は、1.00%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.70%以下であり、さらに好ましくは、0.50%以下である。
[Al:0.01%~0.10%]
Alは、脱酸剤として作用し、溶融金属の粘性を高め、ビード形状を安定的に保持し、スパッタの発生を低減する重要な作用を有する。また、溶融金属の液相線温度を高め、溶接金属の高温割れ発生の抑制に寄与する。このような効果を得るには、Al含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.02%以上であり、さらに好ましくは、0.03%以上である。一方、0.10%を超えて含有すると、溶融金属の粘性が高くなりすぎて、逆に、スパッタの増加や、ビードが広がらず融合不良などの欠陥が増加することがある。そのため、Al含有量は、0.10%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.06%以下であり、さらに好ましくは、0.05%以下である。
[ソリッドワイヤの残部組成]
上述した化学組成以外の残部組成は、Fe及び不可避的不純物からなる。なお、不可避的不純物としては、H、O、Mg、Zn、Reなどが例示でき、合計で0.010%以下であれば許容できる。また、前述の基本組成及び任意的選択組成を満足する限り、これら以外の元素を含有させても良く、そのような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
[溶接金属の化学組成]
本発明のガスメタルアーク溶接方法により得られた高Mn鋼用溶接継手は、その溶接金属の強度がさらに向上し、高温割れの発生をより一層抑制できるものである。そして、常温での降伏応力(0.2%耐力)が400MPa以上、引張強さが660MPa以上で、シャルピー衝撃吸収エネルギー(v-196)が28J以上の特性が得られる。
この溶接金属の化学組成としては、ソリッドワイヤの化学組成とほぼ同様の化学組成を有しており、一部高Mn鋼の化学組成から混入する化学組成もある。
具体的な好ましい化学組成は、次のとおりである(%は、質量%である)。C:0.20%~0.80%、Si:0.15%~0.90%、Mn:17.0%~29.0%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Ni:0.01%~10.00%、Cr:0.4%~5.5%、Mo:0.01%~3.50%である。さらに、B:0.0010%以下、N:0.0200%~0.1500%を含有し、残部組成は、Fe、任意的選択組成及び不可避的不純物であることが好ましい。
以上の化学組成の中でも、本発明に係る溶接金属の特徴として、N含有量が、0.0200%~0.1500%であるのが好ましい。Nは、前述したように、高Mn鋼の溶接金属中に固溶すると、固溶強化により溶接金属及び溶接継手の強度を向上させる元素である。さらに、Nは、含有量が増加すると固液共存温度範囲を縮小させる傾向を示し、高温割れ感受性を改善させる。このような効果を得るためには、溶接金属中のN含有量は、0.0200%以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.0500%以上である。一方、N含有量が0.1500%を超えると、Nが過飽和となり、ブローホールやピットなどの溶接欠陥が発生する。そのため、N含有量は、0.1500%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.1200%以下である。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示してより詳細に説明するためのものにすぎず、本発明の権利範囲を限定するものではない。
まず、試験材として、表1に示す組成の極低温用高Mn鋼材(板厚:20mm)を用意した。また、表2に示す組成の溶鋼を、真空溶解炉で溶製し、鋳造して鋼塊100kgを得、その得られた鋼塊を、1200℃に加熱した後、熱間圧延し、ついで冷間圧延(伸線)して、1.2mmΦのガスメタルアーク溶接用ソリッドワイヤを得た。
上記の表1の鋼材を、JIS Z 3111に準拠して、突き合わせて、50°V形開先を形成した(図1参照)。そして、上記の表2のソリッドワイヤを溶接材料として、電流200A~250A、電圧24V~26V、溶接速度14cm/min、ガス流量20L/minの溶接条件で、溶極式のガスメタルアーク溶接を行って、前記V形開先内に溶着金属を有する溶接継手を得た。
Figure 0007494966000002
Figure 0007494966000003
[ピット、ブローホールの評価]
得られた溶接継手に、JIS Z 3104の規定に準拠して、放射線透過試験を実施し、第1種のきずが2類の合格基準を満たさないものをピット、ブローホール「有」と評価した。
[耐高温割れ性の評価]
溶接後、ミクロカッターにて溶接線方向中心位置より、観察面が溶接線と垂直な断面である厚さ10mmのマクロ試験片を採取し、溶接金属の断面を光学顕微鏡で観察し(30倍)、高温割れの有無を判定した。なお、高温割れは、光学顕微鏡での組織写真中において、開口部が観察されれば、高温割れとして判定した。高温割れの発生が認められる場合は、高温割れが「有」と評価した。高温割れの発生が認められない場合は、「無」と評価した。
[溶接金属の機械的特性]
得られた溶接金属から、JIS Z 3111の規定に準拠して、引張試験片(平行部径6mmΦ)及びシャルピー衝撃試験片(Vノッチ)を採取し、引張試験及び衝撃試験を実施した。なお、試験片(Vノッチ)の採取位置を図2に示す。試験片6のVノッチ8の方向は、母材1の表面に垂直である。試験片6の中心線7が母材1の板厚tの中間点(1/2t)の位置を通り、Vノッチ8の位置が溶接金属2の溶融線5間の中間点(溶接金属中央)の位置となるように、試験片6を採取した。
引張試験は、室温で、各3本実施し、得られた値(0.2%耐力)の平均値を、当該ワイヤを用いた溶接金属の引張特性とした。ここで、シールドガス種の違いによって、溶接金属の常温(25℃)の降伏応力(0.2%耐力)及び引張強さが平均20MPa以上向上したものを機械的特性が良好であると評価した。
また、シャルピー衝撃試験は、各3本実施し、試験温度:-196℃における吸収エネルギー(V-196)を求め、その平均値を、当該ワイヤを用いた溶接金属の極低温衝撃靭性とした。なお、-196℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが28J以上であるものを優れた極低温衝撃靭性を有すると評価した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 0007494966000004
シールドガスに窒素ガスを含まない一般的なガスメタルアーク溶接で作製した継手の特性を比較例として、継手No.1、6、11、13、15、18に示す。
本発明例で作製した溶接継手はいずれも、溶接時に高温割れの発生がなく、耐高温割れ性に優れる溶接継手である。シールドガスに窒素ガスを含まない一般的なガスメタルアーク溶接継手と比べて、溶接金属の常温(25℃)の降伏応力(0.2%耐力)及び引張強さが平均20MPa以上向上した。また、優れた極低温衝撃靭性も得られた。
ここで、窒素ガスを含まないシールドガス及び窒素ガスを含むシールドガスを用いて作製した溶接継手が0.2%耐力及び引張強さに及ぼす違い(平均20MPa以上向上)を、表3のデータに基づいてさらに説明する。例えば、表3の継手No.1~5は、いずれもNo.aの鋼材とNo.Aのワイヤを用いて作製した継手である。しかし、シールドガスの種類が、継手No.1は窒素ガスを含まない炭酸ガス単独のガスであり、継手No.2~5は窒素ガスが10体積%~40体積%含有するガスである。得られた継手の溶着金属特性を調べると、0.2%耐力については、継手No.1(窒素ガスなし)が403MPaであったのに対し、継手No.2(窒素ガス10体積%含有)が441MPaであり、その差は38MPaとなった。また、引張強さについては、継手No.1が778MPaに対し、継手No.2が803MPaとなり、その差は25MPaであった。さらに、継手No.3(窒素ガス20体積%含有)の場合には、0.2%耐力が460MPaであり、継手No.1との差は57MPaであった。また、引張強さが819MPaであり、継手No.1との差は41MPaであった。同様に、継手No.4(窒素ガス30体積%含有)の場合は、0.2%耐力の差が82MPaであり、引張強さの差が52MPaであった。また、継手No.5(窒素ガス40体積%含有)の場合は、0.2%耐力の差が101MPaであり、引張強さの差が57MPaであった。以上のように、シールドガスに窒素ガスを含有させると窒素ガスの含有量に応じて引張強さと0.2%耐力が向上した。
なお、継手No.4、5、9、10、17はシールドガス中の窒素ガス含有量が過多で、ピットやブローホールが多発しており、溶接継手として不適切であった。
さらに、継手No.18及び19は、本発明に係る溶接方法に用いられる鋼材及びソリッドワイヤであって、好適範囲から外れる化学組成を有する鋼材又はソリッドワイヤによる溶接継手の例である。継手No.18では、シールドガスに窒素ガスを含有していないので、本発明で好ましいとする0.2%耐力に達していない。しかしながら、継手No.19のようにシールドガスに窒素ガスを含有させると他の実施例と同様に溶接金属中のN含有量が増加し、強度を向上させる効果が得られることがわかった。
[シールドガス中の窒素含有量と溶接金属の強度との関係]
上記表3のデータを基に、溶接金属中のN含有量(ppm)に対する0.2%耐力の変化及び引張強さの変化をシールドガスの窒素含有量(体積%)ごとに整理した。図3が溶接金属中のN含有量に対する0.2%耐力の変化を示す図であり、図4が溶接金属中のN含有量に対する引張強さの変化を示す図である。ここで、シールドガスの窒素含有量の条件ごとにグルーピングして整理した。
図3から分かるように、同じ鋼材と同じソリッドワイヤの組み合わせで、シールドガス中の窒素ガス含有量を変化させると、0.2%耐力は、窒素ガスがない場合より、窒素ガスを10体積%含有する場合の方が高くなり、窒素含有量が20体積%、30体積%、40体積%と増加するほど0.2%耐力は高くなっている。図4の引張強さの場合も全く同じように、窒素含有量が10体積%から40体積%と増えるに従い、引張強さが高くなっている。これらのことからも、本発明の窒素ガスを混合したシールドガスを用いることが溶接金属の強度向上には有効であることを確認した。
1 母材(鋼材)
2 溶接金属
3 溶接金属の層
4 高温割れ
5 溶融線
6 試験片
7 試験片の中心線
8 Vノッチ位置
t 板厚

Claims (14)

  1. 鋼材をシールドガスとソリッドワイヤを用いて溶接金属を形成させるガスメタルアーク溶接方法において、
    前記鋼材の金属組織が、オーステナイト相を有し、
    前記鋼材のMn含有量が、質量%で18.0%~30.0%で、
    前記シールドガスが、下記の〔A〕又は〔B〕のいずれかのガスであることを特徴とするガスメタルアーク溶接方法。
    〔A〕体積%で1.0%以上30.0%未満の窒素ガスを含有し、残部が炭酸ガス及び不可避的不純物からなるガス
    〔B〕体積%で1.0%以上30.0%未満の窒素ガス及び56.0%以上79.2%未満のArガスを含有し、残部が炭酸ガス及び不可避的不純物からなるガス
  2. 前記鋼材が、さらに、質量%で、
    C:0.10%~0.70%、
    Si:0.05%~1.00%、
    P:0.030%以下、
    S:0.007%以下、
    Al:0.010%~0.070%、
    Cr:2.50%~7.00%、
    N:0.0050%~0.0500%及び
    O(酸素):0.0050%以下
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる
    ことを特徴とする請求項1に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  3. 前記鋼材が、さらに、質量%で、
    Mo:0.01%~2.00%、
    V:0.01%~2.00%、
    W:0.01%~2.00%、
    Ni:0.01%~4.00%、
    REM:0.0010%~0.0200%及び
    B:0.0005%~0.0020%
    のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有する
    ことを特徴とする請求項2に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  4. 前記ソリッドワイヤが、質量%で、
    C:0.20%~0.80%、
    Si:0.15%~0.90%、
    Mn:17.0%~28.0%、
    P:0.030%以下、
    S:0.030%以下、
    Ni:0.01%~10.00%、
    Cr:0.4%~4.0%、
    Mo:0.01%~3.50%、
    B:0.0010%未満、
    N:0.120%以下
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  5. 前記ソリッドワイヤが、さらに、質量%で、
    V:0.01%~0.04%、
    Ti:0.01%~0.04%、
    Nb:0.01%~0.04%、
    Cu:0.01%~1.00%、
    Al:0.01%~0.10%
    のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有する
    ことを特徴とする請求項4に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  6. 前記ガスメタルアーク溶接方法において、
    溶接電流が180A~320A、
    溶接電圧が20V~30V、
    溶接速度が10cm/min~25cm/min、
    溶接入熱量が16.2kJ/cm~49.7kJ/cmである
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  7. 前記ガスメタルアーク溶接方法において、
    溶接電流が180A~320A、
    溶接電圧が20V~30V、
    溶接速度が10cm/min~25cm/min、
    溶接入熱量が16.2kJ/cm~49.7kJ/cmである
    ことを特徴とする請求項4に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  8. 前記ガスメタルアーク溶接方法において、
    溶接電流が180A~320A、
    溶接電圧が20V~30V、
    溶接速度が10cm/min~25cm/min、
    溶接入熱量が16.2kJ/cm~49.7kJ/cmである
    ことを特徴とする請求項5に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  9. 前記溶接金属の降伏応力(0.2%耐力)が400MPa以上、引張強さが660MPa以上で、シャルピー衝撃吸収エネルギー(v-196)が28J以上である
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  10. 前記溶接金属の降伏応力(0.2%耐力)が400MPa以上、引張強さが660MPa以上で、シャルピー衝撃吸収エネルギー(v-196)が28J以上である
    ことを特徴とする請求項4に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  11. 前記溶接金属の降伏応力(0.2%耐力)が400MPa以上、引張強さが660MPa以上で、シャルピー衝撃吸収エネルギー(v-196)が28J以上である
    ことを特徴とする請求項5に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  12. 前記溶接金属の降伏応力(0.2%耐力)が400MPa以上、引張強さが660MPa以上で、シャルピー衝撃吸収エネルギー(v-196)が28J以上である
    ことを特徴とする請求項6に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  13. 前記溶接金属の降伏応力(0.2%耐力)が400MPa以上、引張強さが660MPa以上で、シャルピー衝撃吸収エネルギー(v-196)が28J以上である
    ことを特徴とする請求項7に記載のガスメタルアーク溶接方法。
  14. 前記溶接金属の降伏応力(0.2%耐力)が400MPa以上、引張強さが660MPa以上で、シャルピー衝撃吸収エネルギー(v-196)が28J以上である
    ことを特徴とする請求項8に記載のガスメタルアーク溶接方法。
JP2023038286A 2023-03-13 ガスメタルアーク溶接方法 Active JP7494966B1 (ja)

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