JP7494540B2 - 化粧ボードの施工構造、化粧ボード及びその施工法 - Google Patents

化粧ボードの施工構造、化粧ボード及びその施工法 Download PDF

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Description

この発明は、化粧ボードと下地材とを両面テープを用いて接着する施工構造、化粧ボード及その施工法に関する。
従来、壁面の仕上げ方法としては、主として2種類ある。
1つ目は躯体にビス留めした石膏ボードの上に壁紙を施工する方法である。この施工の前処理としては、例えば、石膏ボードの継目処理やくぼみ処理があった。これらの処理は、メッシュテープやパテで石膏ボードの継目やくぼみを埋め、サンドペーパー等で表面を平滑に仕上げる処理をいう。この下地ボードの調整が仕上りに大きく影響する。
また、パテ埋め作業においては、約1日の乾燥時間を要し、さらに壁紙を施工すると作業と乾燥に1~2日程要する。
2つ目は下貼りした石膏ボードや、けい酸カルシウム板、モルタル面、ラワン合板等の下地に、仮留めテープと接着剤を用いて化粧ボード(化粧パネル、化粧板等を含む。)を施工する方法である。この方法は、施工時間を短縮することができるが、工程数も多く、下貼りボードや仮留めテープ等の資材が別途必要になるだけでなく、接着剤の塗布量や作業時間の管理等、作業者の負担が増えているのが現状である。
その他にも基材にプライマーを塗布し、乾燥させた上で、両面テープを用いて施工する工法もある(特許文献1の段落[0008]、[0039]及び[0054]並びに図2参照)。
特開2018-168548号公報
しかし、上記した特許文献1の工法では、両面テープの接着面を平滑にするために、プライマー処理が必要となるため、作業工程や必要な材料が増えるとともに、プライマーの乾燥に時間が掛かり、望ましくない。
また、両面テープとして、「アクリル・オレフィン特殊共重合したポリプロピレンからなる長尺の基材」(特許文献1の段落[0039]参照))については例示されているが、基材と粘着剤との関係については記載されていない。
そこで、本発明一態様は、従来の工法と比較し、省施工化や工期短縮化が図れる化粧ボードの施工構造、化粧ボード及びその施工法を提供することを課題とする。
本発明の一態様に係る化粧ボードの施工構造は、上記目的を達成するため、下地材と、当該下地材に固定される化粧ボードと、下地材と化粧ボードとを接着する両面テープと、を備える化粧ボードの施工構造であって、両面テープは、基材と、基材の表裏面にそれぞれ位置する接着層と、を備え、両面テープのみを用いて、化粧ボードを前記下地材に直接接着していることを特徴とする。
本発明の一態様に係る化粧ボードの施工構造は、基材が、熱可塑性樹脂であり、接着層が、アクリル系又は合成ゴム系の粘着剤であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る化粧ボードの施工構造は、化粧ボードが、基材ボードと、基材ボードの一方の面側に貼り付けられ、発泡樹脂層と、発泡樹脂層の基材ボードと反対側の面側に形成された絵柄模様層とを有する化粧シートと、を備え、基材ボードは、平成12年建設省告示第1400号で定められた不燃材料、又は平成12年建設省告示第1401号で定められた準不燃材料であり、化粧シートは、平成12年建設省告示第1401号で定められた準不燃材料であり、発泡樹脂層に含まれる有機質量は、260g/m2以下であり、貼り付けに用いられる接着剤は、でんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとの比率が100:0~80:20で構成された接着剤であり、接着剤の塗布量は、固形分換算で60g/m2以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る化粧ボードの施工構造は、両面テープの厚みが、0.8~1.5mmであることを特徴とする。
本発明の一態様に係る化粧ボードの施工構造は、下地材が、離れて対向する一対のランナーと、一対のランナーの間をつなぐ複数本のスタッドと、を備え、両面テープの前記下地材側の接着層は、スタッドにのみに貼り付けられていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る化粧ボードは、両面テープの一面が貼り付けられた化粧ボードであって、両面テープは、基材と、基材の表裏面にそれぞれ位置する接着層と、を備え、化粧ボードは、両面テープのみを用いて施工面に直接接着されることを特徴とする。
本発明の一態様に係る化粧ボードの施工法は、下地材と、当該下地材に固定される化粧ボードと、下地材と前記化粧ボードとを接着する両面テープと、を備え、両面テープは、基材と、基材の表裏面にそれぞれ位置する接着層と、を備え、下地材と化粧ボードとのいずれか一方に、基材の表裏面の一面に位置する接着層を直接貼り付けた後、基材の表裏面の他面に位置する接着層を、下地材と化粧ボードとのいずれか他方に直接貼り付け、両面テープのみを用いて、化粧ボードを下地材に直接接着することを特徴とする。
本発明の一態様に係る化粧ボードの施工法は、下地材に対する化粧ボードの接着面に、基材の表裏面の一面に位置する接着層を直接貼り付けた後、基材の表裏面の他面に位置する接着層を、下地材に直接接着することを特徴とする。
本発明の一態様によれば、省施工化や工期短縮化が図れる化粧ボードの施工構造、化粧ボード及びその施工法を提供できる。
本発明の実施形態に係る化粧ボードを用いた施工構造の断面図である。 両面テープの断面図である。 化粧ボードの施工法を説明するための斜視図である。 図3に続く、斜視図である。 図4に続く、斜視図である。
(化粧ボード)
本実施形態の化粧ボード1は、図1に示すように、基材ボード2の一方の面2a側に、接着剤3を介して、化粧シート4が貼り付けられて形成されている。本実施形態の化粧ボード1は、ISO5660-1に準拠し、建築基準法施工例(昭和25年政令第338号)第1条第5号(準不燃材料)の規定に基づく加熱試験において、(1)加熱開始後10分間の総発熱量が8MJ/m2以下であり、(2)加熱開始後10分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がなく、(3)加熱開始後10分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えない条件を満たす準不燃性を有するものである。
(施工構造)
図1中、10は化粧ボード1の施工構造を示すものである。
施工構造10は、下地材30と、当該下地材30に固定される化粧ボード1と、下地材30と化粧ボード1とを接着する両面テープ20と、を備える。
化粧ボード1は、「意匠性を有するボード」の一例であり、「意匠性を有するボード」は、上記した化粧ボード1のほか、石膏ボードやケイカル板等、板状の基材全般を指し、その表面に化粧シート等がラッピングしてあるようなボードを指すものである。
化粧ボード1は、その他にも、ボードそのものが意匠性を有しているものでも良い。例えば、無垢や突板の木材や、セラミック系人造木材板、軽量強化セメントの成型品等、素材や表面形状は問わない。
なお、「意匠性を有するボード」として、本実施形態の化粧ボード1を例示したが、これに限定されず、上記例示したように種々のボードを含むものである。
また、化粧ボード1において、両面テープ20を貼る箇所は、「任意の箇所」で良く、ここで「任意の箇所」は、化粧ボード1の施工上、要求される強度を有していることを条件とし、当該条件を満たすに必要な両面テープ20の面積を主として意味する。
すなわち、「任意の箇所」とは、壁面や天井、またそこに取り付ける照明や造り付け棚等、条件によって十分な強度を有するために必要な両面テープの面積が異なるため、本発明においては「任意の箇所」という表現を用いる。
(両面テープ)
両面テープ20は、図2に示すように、基材40、その表裏面に形成された粘着層50,51、粘着層50,51の外面に被覆した剥離紙60,61とから構成されている。
両面テープ20としては、必要な密着強度を有していることの他に、地震等の多少の歪みに耐えられるよう、テープ自体に厚みあり、柔軟性のあるものである必要がある。
また、下地材であるスタッドの表面には、強度増強のために1~2mmの幅で、深さ~0.5mm程の浅い溝加工が施されている。従って、使用する両面テープが薄すぎる場合、化粧ボードと十分に密着せず、密着不足になり得る。
ここで、「必要な密着強度」としては、例えば、石膏ボードを軽量鉄骨へビス留めした場合と同等、もしくはそれ以上の強度をいう。
(両面テープ20の厚み)
テープ自体の厚みは、0.8mm以上であれば良い。
好ましくは、テープ自体の厚みは、下地材30の平滑度にもよるが、一般的に使用される軽量鉄骨のスタッドに付いているような溝に追従させるためには、0.8~1.5mmが望ましい。
(下地材)
下地材30は、壁や天井、壁材を取り付けるための構造部材のことを指し、一般的にはスタッド、ランナーのような軽量鉄鋼や、LVL等の木材のことを指すものである。
さらに、本発明では、下地材の不要な鉄筋コンクリート造の壁に直接ボードをテープ施工することも可能である。
本実施の形態では、下地材30として、図3に示すように、内装仕上げ材用の鋼製壁下地材であり、同図において横に延び、上下に離れて対向する一対のランナー70,71と、上下のランナー70,71の間を縦につなぐ、複数本のスタッド80から構成されている。
(基材40)
基材40の材質は、熱可塑性樹脂であり、例えばアクリルフォーム、PEフォーム、アクリルフォーム、特殊PEフォーム、特殊ポリオレフィン等である。
基材40の厚みは、0.2~2.0mm程度である。
(粘着層50,51)
粘着層50,51の粘着剤は、アクリル系又はゴム系である。
アクリル系の粘着剤としては、アクリル系のほか、特殊アクリル系が含まれる。
ゴム系の粘着剤としては、合成ゴム系が含まれる。
(化粧ボードの施工法)
化粧ボード1の施工法は、図3~図5に示すように、下地材30と化粧ボード1とのいずれか一方に、両面テープ20における粘着層50,51の一面を貼り付けた後、当該一面の他面に、下地材30と化粧ボード1とのいずれか他方を貼り付けることで、両面テープ20を介して下地材30に対し、化粧ボード1を固定する。
例えば、両面テープ20を下地材30に先に貼り付ける場合には、スタッド80とランナー70,71とのいずれか少なくとも一方に貼り付ければ良い。
本実施形態では、図3に示すように、軽量鉄骨組の壁に施工する場合、スタッド80とランナー70,71の両方に両面テープ20を貼るとスタッド80の接着面の方が手前に出ており、スタッド80の接着不良となる可能性があるため、ランナー70,71には両面テープ20を使用せず、スタッド80のみに両面テープ20を貼り付けている。
なお、両面テープ20は予めボード1に貼っていても、下地材30に貼っていても、どちらでも良く、ボード裏面と下地材30の間に両面テープ20がある構成を取っていれば良い。
本実施形態によれば、一般的な内装壁が、地震や近隣の交通環境などによる継続的な振動によって生じる躯体の歪みや石膏ボードの狂いが原因で、石膏ボードや壁紙にひび割れ(クラック)が発生することが多いのに対し、両面テープを使用することで、化粧ボードや壁紙のひび割れが起きるのを防止できる。
また、本発明一態様によれば、化粧ボードの一面に両面テープを貼るだけで、壁紙を施工するときのようなジョイント部の剥がれや、下地の不陸を拾ってしまって仕上がりに影響がでることを防止できる。
さらに、本発明一態様は、施工時に化粧ボードを目透かし貼りにすることで、高級感のある仕上がりが可能である。
(基材ボード)
基材ボード2としては、平成12年建設省告示第1400号で定められた不燃材料、又は平成12年建設省告示第1401号で定められた準不燃材料を用いる。例えば、石膏ボード、ガラス繊維混入セメント板、繊維混入ケイ酸カルシウム板、ロックウールボード、グラスウールボードを採用できる。また、基材ボード2には、例えば、吸音性能や吸放湿性能、ホルムアルデヒド吸収分解性能等の各種機能を持たせるようにしても良い。また、基材ボード2の厚さとしては、例えば、9mm~15mmを採用できる。
(接着剤)
接着剤3としては、でんぷん糊単体、又はでんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとを配合したものを用いる。合成樹脂エマルジョンとしては、例えば、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、エチレン酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂エマルジョンを採用できる。でんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとの比率は、不燃性能の点から、100:0~80:20とする。80:20よりも合成樹脂エマルジョンの比率が大きい場合には、有機質量が増え、不燃性能が低下する。なお、100:0は、でんぷん糊単体からなる場合である。また、でんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとの比率は、密着性も考慮すると、95:5~80:20が好ましい。95:5よりも合成樹脂エマルジョンの比率が小さい場合には、基材ボード2と化粧シート4との密着性が低下し、化粧シート4端部の浮きを生じる。
また、接着剤3の塗布量は、不燃性能の点から、固形分換算で60g/m2以下とする。60g/m2より大きい場合には、有機質量が増え、不燃性能が低下する。また、接着剤3の塗布量は、密着性も考慮すると、固形分換算で20g/m2以上60g/m2以下であることが好ましい。20g/m2未満である場合には、基材ボード2と化粧シート4との密着性が低下し、化粧シート4端部の浮きを生じる。また、接着剤3としては、JIS A 6922(1)の品質規格に合格し、JISマーク表示されたもの、又はこれと同等の品質を有し、ホルムアルデヒド発散量が規制対象外の大臣認定を受け、さらに、発熱性の確認された日本壁装協会に登録された製品(2)を用いるのが好ましい。
(化粧シート)
化粧シート4としては、平成12年建設省告示第1401号で定められた準不燃材料を用いる。化粧シート4としては、例えば、発泡樹脂層6と、発泡樹脂層6の基材ボード2と反対側の面6a側に形成された絵柄模様層7とを備える発泡壁紙を採用することができる。発泡樹脂層6は、樹脂と、発泡剤(例えば、熱分解型発泡剤、マイクロカプセル型発泡剤)とを含む樹脂組成物による層に発泡処理を行って形成される。発泡樹脂層6を構成する樹脂としては、例えば、塩ビ系樹脂、オレフィン系樹脂を採用することができる。発泡樹脂層6の総質量は、400g/m2以下とする。また、発泡樹脂層6の有機質量は、260g/m2以下とする。260g/m2より大きい場合には、不燃性能が低下する。
絵柄模様層7は、印刷インキによって絵柄模様が印刷されて形成される。印刷インキとしては、ビヒクルとして、例えば、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、アクリル、酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種又は2種以上混合したものに、顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものを用いることができる。絵柄模様としては、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、皮紋柄、幾何学図形、文字、記号、或いは、全面ベタ等の印刷絵柄が挙げられる。
基材ボード2と発泡樹脂層6との間には、裏打材5等を形成しても良い。裏打材5としては、例えば、難燃紙、和紙、ガラス繊維不織布等抄紙体を含む不織布を採用できる。また、絵柄模様層7の発泡樹脂層6と反対側の面7aには、トップコート層8等を形成しても良い。また、最表層にエバールフィルムやナイロンフィルム等のフィルム層を有する化粧シートを使用しても良い。また、化粧シート4の厚さは、特に制限はないが、製品保管時のつぶれを考慮し、450μm未満が好ましい。
以上説明したように、本実施形態に係る化粧ボード1では、基材ボード2と、基材ボード2の一方の面2a側に貼り付けられ、発泡樹脂層6と、発泡樹脂層6の基材ボード2と反対側の面6a側に形成された絵柄模様層7とを有する化粧シート4とを備えた。そして、基材ボード2を平成12年建設省告示第1400号で定められた不燃材料又は平成12年建設省告示第1401号で定められた準不燃材料とし、化粧シート4を、平成12年建設省告示第1401号で定められた準不燃材料とした。また、化粧シート4に含まれる有機質量を260g/m2以下とした。また、貼り付けに用いられる接着剤3を、でんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとの比率が100:0~80:20で構成された接着剤とした。
それゆえ、基材ボード2が不燃性能を有し、化粧シート4の有機質量が適切な範囲に制限され、接着剤3の配合比率及び塗布量が適切な範囲に調節されるため、マンションやホテル等の特殊建築物にも使用可能な準不燃性を持たせることができる。また、化粧シートが貼り付けられているため、意匠性を向上できる。それゆえ、準不燃性を有するとともに、意匠性に優れた化粧ボード1を提供できる。また、このような化粧ボード1を用いた内装壁は、石膏ボードの施工、パテ埋め、乾燥、壁面施工、乾燥等の工程数が多く且つ時間も要する一般的な内装壁と異なり、軽量鉄骨や壁材に直接施工するのみで後の工程が不要なため、省施工が期待できる。また、基材ボード2を施工することで壁面施工が完了するため、下地の不陸、地震や経時による化粧シート4のひび割れ・破れを防止できる。
また、本実施形態に係る化粧ボード1では、ISO5660-1に準拠し、建築基準法施工例(昭和25年政令第338号)第1条第5号(準不燃材料)の規定に基づく加熱試験において、(1)加熱開始後10分間の総発熱量が8MJ/m2以下であり、(2)加熱開始後10分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がなく、(3)加熱開始後10分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えない条件を満たす準不燃性を有するようにした。それゆえ、マンションやホテル等の特殊建築物にも使用できる。
また、本実施形態に係る化粧ボード1では、貼り付けに用いられる接着剤3をでんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとを95:5~80:20の比率で含むものとし、接着剤3の塗布量を固形分換算で20g/m2以上60g/m2以下としたため、密着性を向上することができる。
以下に、本発明の実施形態に係る化粧ボード1の第1の実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、裏打材5として、坪量65g/m2の普通紙(日本製紙(株)製:「NI65AT」)を用意した。続いて、裏打材5の表面に、EVA樹脂(住化ケムテックス製:「S-7400(HQ)」)100質量部に対して、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(松本油脂製薬:「FT-16」)12.2質量部と、無機粉体である炭酸カルシウム(朝日鉱末製:「MC-100」)90質量部を加えたペーストをコーティング法により塗布して、発泡樹脂層6を形成した。発泡樹脂層6の有機質量は、200g/m2とした。続いて、発泡樹脂層6の表面に、グラビア印刷法によりアクリル樹脂系インキで絵柄模様の印刷を行って、絵柄印刷層を形成した。絵柄印刷層の坪量は、2g/m2とした。続いて、絵柄印刷層の表面に、グラビアコート法でアクリル系トップコートを塗布して、トップコート層8を形成した。トップコート層の坪量は、5g/m2とした。続いて、発泡剤を加熱発泡させ、表面保護層側の面にエンボスロール加圧によってエンボス模様を付与し、全体を冷却・乾燥させて、準不燃の不燃性能を持つ化粧シート4(準不燃材料)を形成した。
続いて、形成した化粧シート4の裏打材5に、リップコーターを用いて、でんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとを配合した接着剤3を塗工した後、55℃の温風で60秒乾燥させた。合成樹脂エマルジョンとしては、エチレン酢酸ビニル樹脂を用いた。また、接着剤3の塗布量は、固形分換算で40g/m2とした。続いて、塗工した接着剤3を介して、化粧シート4を基材ボード2に貼り付けた。基材ボード2としては、準不燃材料(QM-9828)の不燃性能を持つ、厚さ9.5mm、スクエアエッジの石膏ボード(タイガーボード GB-R9)を用いた。続いて、化粧シート4の表面に、熱ロールによりエバールフィルムでラミネートを行った。これにより、実施例1の化粧シート4を作製した。
(実施例2)
実施例2では、化粧シート4として、塩化ビニル系樹脂(東ソー(株)製:「T-70A」)100質量部に対して、充填剤(備北粉化工業(株)製:「BF-200S」)165質量部と、発泡剤((株)ユニセル製:「OH-300N」)2.5質量部とを加えたペーストを塗布してなる発泡樹脂層6を有する塩ビ系壁紙を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2の化粧ボード1を作製した。
(実施例3)
実施例3では、発泡樹脂層6の有機質量を260g/m2とした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2の化粧ボード1を作製した。
(実施例4)
実施例4では、発泡樹脂層6の有機質量を260g/m2とした。それ以外は実施例2と同様にして、実施例4の化粧ボード1を作製した。
(実施例5)
実施例5では、接着剤3の塗布量を固形分換算で10g/m2とした。それ以外は実施例3と同様にして、実施例5の化粧ボード1を作製した。
(実施例6)
実施例6では、接着剤3の塗布量を固形分換算で20g/m2とした。それ以外は実施例3と同様にして、実施例6の化粧ボード1を作製した。
(実施例7)
実施例7では、接着剤3の塗布量を固形分換算で60g/m2とした。それ以外は実施例3と同様にして、実施例7の化粧ボード1を作製した。
(実施例8)
実施例8では、接着剤3のでんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとの配合比を100:0とした。それ以外は実施例3と同様にして、実施例8の化粧ボード1を作製した。
(実施例9)
実施例9では、接着剤3のでんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとの配合比を85:15とした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例9の化粧ボード1を作製した。
(比較例1)
比較例1では、発泡樹脂層6の有機質量を300g/m2とした。それ以外は実施例1と同様にして、比較例1の化粧ボード1を作製した。
(比較例2)
比較例2では、発泡樹脂層6の有機質量を300g/m2とした。それ以外は実施例2と同様にして、比較例2の化粧ボード1を作製した。
(比較例3)
比較例3では、接着剤3の塗布量を固形分換算で80g/m2とした。それ以外は実施例3と同様にして、比較例3の化粧ボード1を作製した。
(比較例4)
比較例4では、接着剤3のでんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとの配合比を75:25とした。それ以外は実施例3と同様にして、比較例4の化粧ボード1を作製した。
(性能評価)
実施例1~9、比較例1~4の化粧ボード1に対して、以下の性能評価を行った。
(不燃性能)
準不燃性評価では、ISO5660-1に準拠し、建築基準法施工例(昭和25年政令第338号)第1条第5号(準不燃材料)の規定に基づく加熱試験において、以下の基準(1)(2)(3)のすべてを満足するかを判定した。そして、満足すると判定した場合を合格「○」とし、満足しないと判定した場合を不合格「×」とした。
(1)加熱開始後10分間の総発熱量が8MJ/m2以下
(2)加熱開始後10分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がない
(3)加熱開始後10分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えない
(密着性)
密着性評価では、基材ボード2へ化粧シート4を貼り付けた(ラッピングした)直後に化粧シート4端部の浮き(跳ね返り)があるかを確認した。そして、浮きなしと判定した場合を合格「○」とし、浮きありと判定した場合を不合格「×」とした。
(評価結果)
評価結果を表1に示す。表1では、「不燃性能」「密着性」の評価結果に加え、これらの評価結果を基にした「総合評価」の結果も示した。「総合評価」では、「○」「△」を合格とし、「×」を不合格とする。
Figure 0007494540000001
上記表1に示すように、実施例1~9の化粧ボード1では、「不燃性能」の評価結果が合格「○」となり、「総合評価」が合格「○」「△」となった。具体的には、実施例1~4、6、7、9では、「不燃性能」「密着性」が合格「○」となり、「総合評価」が「○」の合格となった。また、実施例4では、「不燃性能」が合格「○」だが、接着剤3の塗布量を固形分換算で10g/m2とした(少なくした)ため、「密着性」が不合格「×」となり、総合評価が「△」の合格となった。また、実施例8では、「不燃性能」が合格「○」だが、接着剤3のでんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとの配合比を100:0とした(でんぷん糊を多くした)ため、「密着性」が不合格「×」となり、総合評価が「△」の合格となった。
一方、比較例1、2の化粧ボード1では、発泡樹脂層6の有機質量を300g/m2とした(多くした)ため、「不燃性能」が不合格「×」となり、「総合評価」が不合格「×」となった。また、比較例3の化粧ボード1では、接着剤3の塗布量を固形分換算で80g/m2とした(多くした)ため、「不燃性能」が不合格「×」となり、「総合評価」が不合格「×」となった。また、比較例4の化粧ボード1では、接着剤3のでんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとの配合比を75:25とした(合成樹脂エマルジョンを多くした)ため、「不燃性」が不合格「×」となり、「総合評価」が不合格「×」となった。
したがって、実施例1~9の化粧ボード1は、比較例1~4の化粧ボード1と異なり、準不燃性を有することが確認された。また、実施例1~9の化粧ボード1は、化粧シート4が貼り付けられているため、意匠性が向上することが確認された。それゆえ、準不燃性を有するとともに、意匠性に優れた化粧ボード1を提供可能であることが確認された。また、実施例1~4、6、7、9の化粧ボード1は、実施例5、8の化粧ボード1と異なり、基材ボード2と化粧シート4との密着性に優れることが確認できた。
(第2の実施例)
以下に、本発明の実施形態に係る両面テープ20の第2の実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(実験のポイント)
実験のポイントとしては、軽量鉄鋼 角スタッド(40×45×長さ70mm(桐井製作所製))の中央に両面テープ(20×20mm)を貼り、その上に石膏ボード(30mm×78mm、9.5m厚(吉野石膏製GBR))の裏面が合うよう重ね、8kgローラーで1往復した後、23℃/50%RH、1時間養生させたサンプルについて、下記の表2の条件で引張試験を行った。
Figure 0007494540000002
(実施例11)
実施例11は、両面テープの基材に、アクリルフォームを、粘着剤にアクリル系を用いて、両面テープの厚みは、1.20mmである。
(実施例12)
実施例12は、両面テープの基材に、PEフォームを、粘着剤にアクリル系を用いて、両面テープの厚みは、1.20mmである。
(実施例13)
実施例13は、両面テープの基材に、アクリルフォームを、粘着剤に特殊アクリル系を用いて、両面テープの厚みは、1.10mmである。
(実施例14)
実施例14は、両面テープの基材に、特殊PEフォームを、粘着剤に特殊アクリル系を用いて、両面テープの厚みは、1.00mmである。
(実施例15)
実施例15は、両面テープの基材に、特殊ポリオレフィンを、粘着剤に合成ゴム系を用いて、両面テープの厚みは、1.20mmである。
(比較例11)
比較例11は、両面テープの基材に、アクリルフォームを、粘着剤に特殊アクリル系を用いて、両面テープの厚みは、0.60mmである。
(比較例12)
比較例12は、両面テープの基材に、不織布を、粘着剤にアクリル系を用いて、両面テープの厚みは、0.12mmである。
(比較例13)
比較例13は、両面テープの基材に、スフ布を、粘着剤に天然ゴム系を用いて、両面テープの厚みは、0.40mmである。
(実施結果)
上記した実施例11~15及び比較例11~13については、下記の表3のように、両面テープを使用してサンプルを作成し、引張試験を行った。
「参考」として、石膏ボードをビス(ケイモト製作所ユニクロビス)1本を用いて角スタッドに留め、同様に引張試験を行った。
Figure 0007494540000003
(評価方法及び判定基準)
引張試験を行い、石膏ボードと角スタッドの固定が外れた際のサンプルの状態で判定した。判定基準は、下記の通りである。

・石膏ボード材破(亀裂の大きさがボード厚み方向で4mm以上):◎
・石膏ボード材破(亀裂の大きさがボード厚み方向で4mm以下):〇
・石膏ボード裏面紙の剥離あり :△
・石膏ボード裏面紙の剥離なし :×
(評価の結果)
上記評価結果の通り、実施例11~実施例15のうち、実施例11~実施例13については、ビス留めした参考のものと、同等の強度を持っていることが確認できた。
実施例11~実施例15のうち、残る実施例14及び実施例15についても、ビス留めした参考のものよりは劣るが、遜色がないことが確認できた。
比較例11~比較例13は、実施例11~実施例15と比較して、強度が劣っていた。
粘着剤の材質の点から、実施例11~実施例15及び比較例11~比較例13を比較すると、特殊アクリルを含むアクリル系及び合成ゴム系が強度の点で優れていることが確認できた。これに対し、合成ゴム系を用いた実施例15に比較し、天然ゴム系を使用した比較例13は劣っていた。
両面テープの厚みの点からは、比較例11の0.60mmでは薄く、実施例11~実施例15では、1.00mm以上であれば良好な結果を確認できた。
1 化粧ボード
2 基材ボード
3 接着剤
4 化粧シート
5 裏打材
6 樹脂層
10 施工構造
20 両面テープ
30 下地材
40 基材
50,51 接着層
60,61 剥離紙
70,71 ランナー
80 スタッド

Claims (7)

  1. 下地材と、当該下地材に固定される化粧ボードと、前記下地材と前記化粧ボードとを接着する両面テープと、を備える化粧ボードの施工構造であって、
    前記両面テープは、基材と、前記基材の表裏面にそれぞれ位置する接着層と、を備え、
    前記両面テープのみを用いて、前記化粧ボードを前記下地材に直接接着し
    前記化粧ボードは、
    基材ボードと、
    前記基材ボードの一方の面側に貼り付けられ、発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層の前記基材ボードと反対側の面側に形成された絵柄模様層とを有する化粧シートと、を備え、
    前記基材ボードは、平成12年建設省告示第1400号で定められた不燃材料、又は平成12年建設省告示第1401号で定められた準不燃材料であり、
    前記化粧シートは、平成12年建設省告示第1401号で定められた準不燃材料であり、
    前記発泡樹脂層に含まれる有機質量は、260g/m 2 以下であり、
    前記貼り付けに用いられる接着剤は、でんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとの比率が100:0~80:20で構成された接着剤であり、
    前記接着剤の塗布量は、固形分換算で60g/m 2 以下であることを特徴とする化粧ボードの施工構造。
  2. 前記基材は、熱可塑性樹脂であり、
    前記接着層は、アクリル系又は合成ゴム系の粘着剤であることを特徴とする請求項1に記載の化粧ボードの施工構造。
  3. 前記両面テープの厚みは、0.8~1.5mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧ボードの施工構造。
  4. 前記下地材は、離れて対向する一対のランナーと、前記一対のランナーの間をつなぐ複数本のスタッドと、を備え、
    前記両面テープの前記下地材側の前記接着層は、前記スタッドにのみに貼り付けられていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の化粧ボードの施工構造。
  5. 両面テープの一面が貼り付けられた化粧ボードであって、
    前記両面テープは、基材と、前記基材の表裏面にそれぞれ位置する接着層と、を備え、
    前記化粧ボードは、前記両面テープのみを用いて施工面に直接接着され
    前記化粧ボードは、
    基材ボードと、
    前記基材ボードの一方の面側に貼り付けられ、発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層の前記基材ボードと反対側の面側に形成された絵柄模様層とを有する化粧シートと、を備え、
    前記基材ボードは、平成12年建設省告示第1400号で定められた不燃材料、又は平成12年建設省告示第1401号で定められた準不燃材料であり、
    前記化粧シートは、平成12年建設省告示第1401号で定められた準不燃材料であり、
    前記発泡樹脂層に含まれる有機質量は、260g/m 2 以下であり、
    前記貼り付けに用いられる接着剤は、でんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとの比率が100:0~80:20で構成された接着剤であり、
    前記接着剤の塗布量は、固形分換算で60g/m 2 以下であることを特徴とする化粧ボード。
  6. 下地材と、当該下地材に固定される化粧ボードと、前記下地材と前記化粧ボードとを接着する両面テープと、を備え、
    前記両面テープは、基材と、前記基材の表裏面にそれぞれ位置する接着層と、を備え、
    前記下地材と前記化粧ボードとのいずれか一方に、前記基材の前記表裏面の一面に位置する前記接着層を直接貼り付けた後、
    前記基材の前記表裏面の他面に位置する前記接着層を、前記下地材と前記化粧ボードとのいずれか他方に直接貼り付け、前記両面テープのみを用いて、前記化粧ボードを前記下地材に直接接着し、
    前記化粧ボードは、
    基材ボードと、
    前記基材ボードの一方の面側に貼り付けられ、発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層の前記基材ボードと反対側の面側に形成された絵柄模様層とを有する化粧シートと、を備え、
    前記基材ボードは、平成12年建設省告示第1400号で定められた不燃材料、又は平成12年建設省告示第1401号で定められた準不燃材料であり、
    前記化粧シートは、平成12年建設省告示第1401号で定められた準不燃材料であり、
    前記発泡樹脂層に含まれる有機質量は、260g/m 2 以下であり、
    前記貼り付けに用いられる接着剤は、でんぷん糊と合成樹脂エマルジョンとの比率が100:0~80:20で構成された接着剤であり、
    前記接着剤の塗布量は、固形分換算で60g/m 2 以下であることを特徴とする化粧ボードの施工法。
  7. 前記下地材に対する前記化粧ボードの接着面に、前記基材の前記表裏面の一面に位置する前記接着層を直接貼り付けた後、
    前記基材の前記表裏面の他面に位置する前記接着層を、前記下地材に直接接着することを特徴とする請求項に記載の化粧ボードの施工法。
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