JP7492072B1 - 電磁波反射板および電磁波反射装置 - Google Patents

電磁波反射板および電磁波反射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、素子パターンの割れや欠け、脱落、剥がれなどの破損もしくは寸法誤差に対する耐久性の高い電磁波反射板を提供する。【解決手段】本発明の電磁波反射板は、誘電体層と複数の素子パターン14よりなる反射制御領域を含み、素子パターンの平面形状は丸角部Arまたは丸隅部Brを含むことを特徴とする。丸角部は、平面視したとき、曲率円Aの曲率半径が素子幅wxの基準長の1/2以下の長さの円弧を含み、丸隅部は、平面視したとき、曲率円Bの曲率半径が素子幅wx基準長の3倍以下の長さの円弧を含むことが好ましい。また、本発明の電磁波反射板は、素子パターンの断面形状は丸角部または丸隅部を含むものでもよい。丸角部は、断面視したとき、曲率円の曲率半径が前記素子パターンの厚さの1/6以上の長さの円弧を含み、丸隅部は、断面視したとき、曲率円の曲率半径が前記素子パターンの厚さの1/6以上の長さの円弧を含むことが好ましい。【選択図】図4

Description

本発明は、電磁波反射板および電磁波反射装置に関する。
ミリ波に対応した各種無線機器の実用化に際し、電波の不感地帯の発生が問題となっている。ミリ波帯の電波は普及が進んでいるVHF波、UHF波と比較して著しく減衰しやすく、直進性も高いという特徴がある。この為、ミリ波帯の電波は回折による障害物背後への回り込みが難しい。
ミリ波帯の電波の不感地帯を解消するものとして、ミリ波帯の電波を反射する反射板(以下、「ミリ波反射板」と称する。)が提案されている。
特許文献1に記載のメタサーフェス反射板は、上記ミリ波反射板として機能し得る。このメタサーフェス反射板(以下、「電磁波反射板」または「リフレクトアレイ」とも称する。)は、面状の誘電体の一方の面に所定の角度にミリ波を反射する反射単位を多数有し、他方の面にグランドとして機能とする金属層を有する。各反射単位は、形状の異なる複数の金属パターン(以下、「素子パターン」とも称する。)で構成される。
反射単位が設けられた側の面に入射したミリ波は、各金属パターンと、金属層との両方で反射される。この反射波どうしが干渉することにより、ミリ波は入射時と異なる位相に反射される。
さらに、異なる金属パターンに基づく干渉波は、位相が異なるため、二次干渉を生じる。したがって、反射単位を構成する複数の金属パターンの形状を適宜設定することにより、入射したミリ波の反射方向を所望の向きに設定できる。
特開2021-48465号公報
電磁波反射板は、その原理上、比較的大きい面積の建装材として建造物の内面や外面に取り付けることで、不感地帯を効率よく解消することが期待できる。しかしながら、特許文献1に記載されているような十字型(以下、「クロスパッチ」とも称する。)形状を含む素子パターンを備えるリフレクトアレイを、安定した特性と高い良品率で作製するにあたっては課題もある。
すなわち電磁波反射板は、上述したように形状の異なる複数の素子パターンで構成されるため、素子パターンをエッチング法などによって除去加工を行う場合、製造条件のバラつきなどによって電磁波反射板を構成する素子パターンの端部にRがついたり(丸みを帯びた状態になったり)、オーバーエッチングの発生などが起こり、想定より局所的に素子パターンがやせたり、残ってしまうことで素子パターンの形状や寸法に誤差が生じることがある。また、素子パターンの端部が欠けたり破損することで素子形状に異常が起きたりする。このように電磁波反射板の素子形成プロセスにおいて、素子パターンの形状や寸法に誤差が生じることは避けられず、特許文献1の電磁波反射板では、設計パラメータ(この場合素子パターン形状に相当)に寸法誤差が生じた場合、十字型素子パターンを有する各反射単位における反射位相が設計値から大きく変化し、結果として所望方向の反射強度が低下する。
上記事情を踏まえ、本発明は、素子パターンの割れや欠け、脱落、剥がれなどの破損もしくは寸法誤差に対する耐久性の高い電磁波反射板を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、代表的な本発明の電磁波反射板の一つは、誘電体層と複数の素子パターンよりなる反射制御領域を含み、前記素子パターンの平面形状は丸角部または丸隅部を含むものである。
本発明によれば、素子パターンの割れや欠け、脱落、剥がれなどの破損もしくは寸法誤差に対する耐久性の高い電磁波反射板を提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施をするための形態における説明により明らかにされる。
図1は、リフレクトアレイの断面図である。 図2は、機能層15の配置の一例を示す図である。 図3は、リフレクトアレイ全体の構成を示す図である。 図4は、素子パターンを平面視した場合の形状の一例を示す図である。 図5は、丸角部Ar付近の拡大模式図である。 図6は、丸隅部Br付近の拡大模式図である。 図7は、素子パターンを断面視した場合の形状の一例を示す図である。 図8は、丸角部Cr付近の拡大模式図である。 図9は、丸隅部Dr付近の拡大模式図である。 図10は、素子パターンを平面視した場合の形状の別の例を示す図である。 図11は、非対称反射を発生させる方向に応じた、単位セルの配置の一例を示す図である。 図12は、非対称反射を発生させる方向に応じた、単位セルの配置の一例を示す図である。 図13は、非対称反射を発生させる方向に応じた、単位セルの配置の一例を示す図である。 図14は、比較例1に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図15は、実施例1に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図16は、実施例2に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図17は、比較例1と実施例1、2に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。 図18は、比較例2に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図19は、実施例3に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図20は、実施例4に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図21は、比較例2と実施例3、4に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。 図22は、比較例3に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図23は、実施例5に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図24は、比較例3と実施例5に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。 図25は、比較例4に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図26は、実施例6に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図27は、実施例7に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図28は、比較例4と実施例6、7に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。 図29は、実施例8に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図30は、実施例9に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図31は、比較例1と実施例8、9に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。 図32は、実施例10に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図33は、実施例11に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図34は、比較例2と実施例10、11に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。 図35は、実施例12に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図36は、実施例13に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図37は、比較例3と実施例12、13に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。 図38は、実施例14に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図39は、実施例15に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。 図40は、比較例4と実施例14、15に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本開示は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
以下の説明において、xyz座標系を適用し、xy平面上にリフレクトアレイが配置されるとする。「平面」「平面視」「平面形状」というときは、z軸方向から見た場合を意味し、「断面」「断面視」「断面形状」というときは、xz面またはyz面で切って見る場合を意味する。特に断りのない限り、層の「表面」というときはxy平面に平行な層の上側(z軸正側)の面を意味し、「側面」とは、上側(z軸正側)の面と下側(z軸負側)の面に挟まれた外周の面を意味する。
[第1実施形態]
(層構成)
リフレクトアレイの層構成について説明する。図1は、リフレクトアレイ1の断面図である。リフレクトアレイ1は、グランド層11と、誘電体層12と、素子パターン層13を含む。素子パターン層13は、複数の素子パターン14を有する層である(素子パターンを単に素子ということもある。)。なお、後述するように、素子パターン層13の厚みは、例えば、10nm以上18μm以下である。
(グランド層)
グランド層11は、リフレクトアレイ1に到達する電磁波を反射させるために設けられる。また、後述する誘電体層12を支持および保護するために用いられる。グランド層11の材料として、無機酸化物材料、金属材料や導電性を有する有機材料など、導電性を有する材料が用いられる。
例えば、無機酸化物材料および金属材料としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛アルミニウム(AZO)、酸化ガリウム亜鉛(GZO)、酸化スズアンチモン、Ag、Al、Au、Pt、Pd、Cu、Co、Cr、In 、Ag-Cu、Cu-AuおよびNiなどが用いられる。また、これらの材料のうちの少なくとも1つを含むナノ粒子、またはナノワイヤーを用いてもよい。導電性を有する有機 材料としては、ポリチオフェン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、カーボンナノチューブ、グラフェン等が挙げられる。特に材料コスト、導電性、製膜性の観点から、CuやAlが好ましい。また、電磁波を反射させるために はグランド層11の表面抵抗値が100Ω/□以下であることが望ましく、この条件を満たすことができれば無機酸化物材料、例えばITO、有機材料、例えばポリエチレンジオ キシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)との混合物(PEDOT/PSS)などを用いることもできる。無機酸化物材料や有機材料を用いることによって、透明性を有するリフレクトアレイを作製することもできる。
上記材料を用いる形態としては連続膜、メッシュ状、パンチング形状、周期性構造が挙げられる。ここで、メッシュとは、導体の平面に網目状の透孔(開口)が空いた状態をいう。導体がメッシュ状に形成される場合、メッシュの目は方形であってもよく、菱形であってもよい。メッシュの目を方形に形成する場合、メッシュの目は正方形であることが好ましい。メッシュの目が正方形であれば、意匠性が良い。また、自己組織化法によるランダム形状でもよい。ランダム形状にすることでモアレを防ぐことができる。金属をメッシュ状に加工する場合、金属板のパンチング加工、金属板のエッチング等の方法を採用することが可能である。
グランド層がメッシュ状である場合や、透明導電材料を使用した場合、リフレクトアレイが可視光透過性を示し、設置後の景観を保つことを可能にする。
グランド層11をメッシュ状にする場合、メッシュの線幅は、5μm以上30μm以下が好ましく、6μm以上15μm以下がより好ましい。メッシュの線間隔は、50μm以上500μm以下が好ましく、100μm以上300μm以下がより好ましい。また、メッシュの線間隔は、動作周波数(以下、「設計周波数」ともいう。)における波長をλ(m)としたとき、0.5×λ以下であることが好ましく、0.1×λ以下であることがより好ましく、0.01×λ以下であることがさらに好ましい。メッシュの線間隔が0.5×λ以下であれば、グランド層11としての性能を発揮させることができる。メッシュの線間隔が0.5×λ以上であるとグランド層を透過する電磁波が多くなるため、リフレクトアレイの反射性能が低下する。また、メッシュの線間隔は、0.001×λ以上であってもよい。
グランド層11に無機酸化物材料または金属材料を用いる場合、グランド層11の厚さは18μm以下とすることが好ましく、50nm以上2μm以下の範囲とすることがより好ましい。膜厚が50nm以上であると、ピンホールの無い、均一な膜を形成しやすく、グランド層11としての機能をより十分に果たすことができる。一方、膜厚が2μm以下であると、十分なフレキシビリティを保持させることができ、折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、グランド層11に亀裂が生じることを抑制することができる。グランド 層11を1μm以下とすることで可撓性が向上し、曲面等への貼りつけがしやすくなる。また、軽量化も可能となる。
グランド層11の形成方法として、金属材料を用いる場合であれば、スパッタ法や蒸着 法などのドライコーティング、金属材料をインキ化することによりグラビアコーティング 、ダイコーティングなどのウェットコーティング、めっき処理などの表面処理、等から選択することが可能である。または、グランド層11として、金属板を圧延したものを用いてもよい。無機酸化物材料を用いる場合であれば、グランド層11の形成方法として、ドライコーティングを選択することができる。有機材料を用いる場合であれば、グランド層11の形成方法として、ウェットコーティングを選択することができる。また、塗装やスプレー法で形成してもよい。
グランド層の形態がめっき処理や蒸着法等で形成された薄膜の場合、リフレクトアレイ の可撓性を向上させることが可能であり、それにより曲面での使用やロールtoロールでの生産プロセスを実施することが可能となる。
また、電磁波の反射効率を高めるため、グランド層による損失を低減させることが挙げられる。そのため、グランド層の表面粗さは小さい方が好ましい。
グランド層の形態が周期性構造である場合、特定の周波数を選択的に反射または透過させる機能が発現し得る。例えば、パッチ状の導電パターンが周期的に配置された構造をグランド層として使用した場合、特定の周波数のみを反射させることが可能となるため、動作周波数以外の周波数を透過させる機能を付与することができる。また、導電材料が存在しない箇所をホールとして周期的に設けた構造を使用した場合、動作周波数を非対称反射させつつ、特定の周波数のみを透過させるリフレクトアレイを設計することが可能である。
(誘電体層)
図1において、誘電体層12としては、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩化ビニル、ウレタン、アクリル、アクリルウレタン、ポリオレフイン、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコ一ン、ポリエチレンテレフタレ一卜、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリカーボネー卜、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリテトラフルオロエチレン、シクロオレフィンポリマー、エポキシ等の合成樹脂や、ポリイソプレンゴム、ポリスチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴ厶、アクリロニトリル-ブタジエンゴムブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴムおよびシリコ一ンゴム等の合成ゴム材料を樹脂成分として用いることができる。また、これら樹脂成分を、ガラス繊維や合成繊維、不織布、紙に含浸させたものを用いてもよい。とりわけ、安価で汎用性に優れている点から、ポリエチレンテレフタレ一卜(PET)を用いることが好ましい。なお、これら樹脂材料および合成ゴム材料は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。また、誘電体層12は、単層あるいは複層とすることもできる。また、誘電体層12は、上記材料を発泡化した発泡体を使用してもよい。また、発泡体としては、柔軟性の高い発泡体が好ましく用いられる。発泡体を用いることで、誘電体層の中に空気を含み比誘電率を下げることができる。
上記の材料のほかに、誘電体層12は、金属化合物を樹脂成分に含めたもので構成してもよい。誘電体層12における金属化合物の種類およびその含有量に応じて、誘電体層12の密度および誘電率を調整することができる。誘電体層12に金属化合物を含めることによって、難燃性が高まり、延焼防止効果を付与することができる。金属化合物として、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ジルコン酸チタン酸鉛、タンタル酸ビスマス酸ストロンチウム、ビスマスフェライトなどが挙げられる。金属化合物の態様は、粉末(例えば、ナノ粒子)であることが好ましい。
透明性を有する誘電体を使用した場合、リフレクトアレイが可視光透過性を示し、設置後の景観を保つことを可能にする。
誘電体層12の比誘電率は、1以上20以下の範囲にあることが好ましく、1以上10以下の範囲にあることがより好ましく、2以上4以下の範囲にあることがさらに好ましい。比誘電率が上記範囲内であると、リフレクトアレイ1において所望の反射位相特性を得 やすい傾向にある。また、誘電正接は0.00005以上0.01以下の範囲にあることが好ましく、0.00005以上0.001以下の範囲にあることが好ましい。上記範囲内であると、誘電損失の少ないリフレクトアレイ1を作製できる。
誘電体層12は、例えば、ダイコーティングやコンマコーティング、グラビアコーティングなどのウェットコーティング、Tダイ法やインフレーション法などの溶融押出法、カレンダー製膜法、溶液流延法、熱プレス法などを用いて形成することができる。また、複数の樹脂を多層に押し出してフィルムを製膜する共押出法を用いてもよい。
誘電体層12の厚みは、設計周波数により適宜選択される。設計周波数を28GHz とした場合、40μm以上250μm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることがより好ましい。薄すぎると反射位相の確保が困難となり、リフレクト アレイ1の設計が難しくなる。一方で、厚すぎても、反射位相の確保が困難となる、可撓性がなくなる、リフレクトアレイ1の総厚が厚くなるなどの傾向があり、省スペース化が難しくなる。このため、誘電体層12の厚みは、250μm以下が好ましい。設計周波数を60GHzとした場合、誘電体層12の厚みtは10μm以上250μm以下であることが好ましい。設計周波数が100GHz以上になる場合、誘電体層12の厚みを数μm以上100μm以下程度にすると、リフレクトアレイ1を設計しやすい。
(素子パターン層)
素子パターン層13は、入射してきた電磁波を非対称反射させ、対称反射とは異なる方向へ反射させるために設けられる。素子パターン層13の厚みは、例えば、10nm 以上18μm以下である。柔軟性、製膜性を考慮すると、電磁波を非対称反射させる機能に影響のない範囲内であれば、より薄いことが好ましい。
素子パターン層13は、表面抵抗値が100Ω/□以下であることが好ましい。素子パターン層13に用いる材料としては、例えば、導電性を有する材料で構成されている。かかる材料としては、グランド層11に用いられる材料と同じ材料を用いることが可能である。例えば、グランド層11または素子パターン層13の少なくとも一方の層がCuもしくはAlによって形成されることとすることも可能である。Cuは導電性に優れるため、導体損失を低減することができる。Alは密度が小さく軽量でありまたコストが低いため、軽量かつ安価なリフレクトアレイ1を形成できる。また、少なくとも一方の層の厚みは1μm以下とすることができる。1μm以下とすることによって可撓性が向上し、リフレクトアレイ1の曲面等への設置がしやすくなり、また軽量化を実現することが可能となる。また、導電性を有する無機材料または有機材料を誘電体層12上に製膜してもよい。柔軟性、成膜性、安定性、シート抵抗値および低コストの観点から、後述する形成方法として、蒸着法により製膜されたものを素子パターン層13として用いることが好ましい。
上記材料を用いる形態としては連続膜、メッシュ状、パンチング形状が挙げられる。
素子パターン層13の形成方法として、誘電体層12上に、導電性を有する材料を全面に形成し連続膜としたのち、加工により、素子パターン層13を形成する方法、または、直接、誘電体層12上に素子パターン層13を形成する方法をとることができる。
誘電体層12上に、導電性を有する材料を全面に連続膜として形成する方法として、金属であれば、スパッタ法や蒸着法などのドライコーティング、めっき処理や金属インキを用いるグラビアコーティング、ダイコーティングなどのウェットコーティング、等から選択することが可能である。または、金属板を圧延したものを誘電体層12に貼り合せることができる。同様に無機酸化物材料であればドライコーティング、有機系材料であれば、ウェットコーティングにより、連続膜を形成することができる。また、塗装やスプレー法を用いてもよい。
なお、誘電体層12上に素子パターン層13を直接形成する方法として、凸版印刷、平版印刷、凹版印刷、孔版印刷、転写印刷などを用いて印刷する方法や、誘電体層12にマスキングテープやマスキング剤等で素子パターン14部分以外をマスキング処理し、素子パターン層13をドライコーティングやめっき処理、塗装やスプレー法を用いることで、形成することもできる。
素子パターンがメッシュ状である場合、メッシュの線幅は、5μm以上30μm以下が好ましく、6μm以上15μm以下がより好ましい。メッシュの線間隔は、50μm以上500μm以下が好ましく、100μm以上300μm以下がより好ましい。また、メッシュの線間隔は、動作周波数における波長をλとしたとき、0.5×λ以下であることが好ましく、0.1×λ以下であることがより好ましく、0.01×λ以下であることがさらに好ましい。メッシュの線間隔が0.5×λ以下であれば性能を担保することができる。メッシュの線間隔が0.5×λ以上であるとグランド層を透過する電磁波が多くなるため、リフレクトアレイの反射性能が低下する。また、メッシュの線間隔は、0.001×λ以上であってもよい。
素子パターンがメッシュ状である場合や、透明導電材料を使用した場合、リフレクトアレイが可視光透過性を示し、設置後の景観を保つことを可能にする。
素子パターンの形態が薄膜の場合、リフレクトアレイの可撓性を向上させることが可能であり、それにより曲面での使用やロールtoロールでの生産プロセスを実施することが可能となる。
素子を薄膜で形成する場合、その厚みは公知の式(6)から算出される表皮深さよりも大きいことが好ましい。ただし、dは表皮深さ、ωは角周波数、μは材料の透磁率、σは材料の導電率である。
Figure 0007492072000002
また、電磁波の反射効率を高めるため、素子パターンによる損失を低減させることが挙げられる。そのため、素子パターンの表面粗さは小さい方が好ましい。
(機能層)
(機能の付加)
リフレクトアレイは、必要に応じて機能を付加することができる。付加される機能として、例えば、劣化防止性、意匠性、保護・耐擦傷性、防水性、ガス・水蒸気バリア性、難燃性、不燃性、自己消火性、耐候性、防汚、抗菌・抗ウィルス、耐薬品、消臭性、粘着・ 接着性などが挙げられる。これらの機能を1つ付加させてもよいし、複数を組み合わせてもよい。
機能を付加する方法としては、リフレクトアレイに、後述する機能を有する層である機能層を加えてもよいし、誘電体層12を形成する際に機能を生じさせる材料を混合させてもよい。また、リフレクトアレイに機能を有する材料を用いてコーティング加工等を施すこともできる。
機能層は、目的に応じて、素子パターン層13、グランド層11、および誘電体層12の少なくとも一つに形成することができる。また、機能層は、素子パターン層13、グランド層11、誘電体層12の全面に形成することもできるし、いずれかの層の一部のみに形成してもよい。
図2は、機能層15の配置の一例を示す図である。素子パターン層13側への積層方式は、リフレクトアレイ2aのように複数の素子パターン14同士の間の空隙を埋めるように機能層15を積層してもよいし(図2(a))、リフレクトアレイ2bのように複数の素子パターン14同士の間の空隙を維持したまま素子パターン14の上面に接するよう機能層15を積層してもよいし(図2(b))、リフレクトアレイ2cのように素子パターン14の上面と接しないよう機能層15を積層してもよい(図2(c))。なお、リフレクトアレイ2aから2cにおいて機能層15を除いた構成を共通とした場合、リフレクトアレイ2aから2cはそれぞれ異なる反射特性を有する。このため、機能層15の積層方式を変更することによって、リフレクトアレイの特性を変更することも可能である。
(機能の例)
耐候性
リフレクトアレイの劣化の原因として、大気中に曝したことによる酸化や水蒸気の吸収、太陽光などの光(紫外線)による変質、が考えられる。酸素や水蒸気による劣化を防ぐために、リフレクトアレイの表面にガスバリア性に優れた層を付与することが考えられる。また、特に酸素による劣化を防ぐには、機能層の酸素透過度が500cc/m・atm・day以下であることが好ましい。この条件を満たすことができれば、フィルムを積層してもよいし、オーバーコート層をドライコーティングまたはウェットコーティングにより付与してもよい。またこれらの層は単層でもよいし、複数を組み合わせたり、積層したりしてもよい。
また、誘電体層12の劣化を防ぐために、誘電体層12の形成時に酸化防止剤や劣化防止剤、抗酸化素材を添加してもよい。同様に水蒸気による劣化を防ぐ場合、水蒸気透過度が300g/m・day以下である層を設けることが好ましい。太陽光などからの光を防ぐ場合はUVカット性を有するフィルムや遮光性を有する層を付与することが考えられる。また、紫外線散乱剤、紫外線吸収剤や光安定剤を添加してもよい。
意匠性
リフレクトアレイを例えば建物の外装または内装に設置する場合、空間との調和を持たせるために、意匠性を付与することが考えられる。具体的には、意匠を施したシート状の素材を接着剤を用いてリフレクトアレイに貼り合せる、または、シート状の素材を熱・圧力をかけてリフレクトアレイに溶着させて貼り付ける、等によって意匠性を付与することができる。
材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等を含むポリエステル系材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等を含むオレフィン系材料等を例示できる。
リフレクトアレイ1の平面視においては、機能層15が素子パターン層13を覆っているため、機能層15を所定の態様とすることにより、素子パターン層13を視認できなくして外観を良好にできる。素子パターン層13を視認できなくする具体的態様については特に制限はなく、例えば以下のように例示できる。
・機能層に顔料や染料を含有させて不透明にする。
・機能層の少なくとも一方の面に不透明な印刷層を設ける。
・機能層として、多数の空孔を有する多孔質のフィルムを使用し、入射光の乱反射を生じさせる。
・機能層の少なくとも一方の面をサンドブラストや転写等により粗面化し、粗面化した面において入射光の乱反射を生じさせる。例えば表面ヘイズ70%以上とすると、充分に素子パターン層を視認できなくすることができる。
上述した態様は適宜組み合わせてもよい。例えば、機能層15として多孔質構造を有するフィルムを用い、さらに不透明な木目調の印刷層を設けることにより、リフレクトアレイ1を触感の柔らかい木目調の壁紙として構成できる。
また、機能層15の着色や乱反射が、単独では素子パターン層13を完全に視認できなくするのに十分でなくても、機能層を複数重ねた状態で視認できなくなっていれば問題ない。なお、機能層15が既に不透明である場合は、そのまま使用すればよいことは当然である。
保護・耐擦傷性
保護・耐擦傷性とは、リフレクトアレイに傷がつくことを防止したり、リフレクトアレイそのものの劣化を防止したりする機能のことである。このような機能を付与する方法として、リフレクトアレイにコーティング加工を施して表面硬度を高めたり、ハードコート フィルムを積層したりすることができる。保護・耐擦傷性の評価として、JIS K5600-5-4にもとづく鉛筆硬度試験にて実施し、H以上であることが好ましい。また、スチールウール(#0000)を用いて荷重1,000gf/cmで擦った時に、往復摺動回数が1000回を超えるまでは傷が生じないことが好ましい。
難燃性、不燃性、自己消火性
リフレクトアレイに難燃性、不燃性を付与する方法として、建築基準法に規定される防 火認定が適用された不燃材料、準不燃材料、難燃材料を積層することにより付与できる。例えば難燃繊維や難燃プラスチック、不燃塗料、難燃塗料などがある。難燃繊維としてハロゲン系化合物、リン系化合物、ビニロン繊維、ポリエーテルイミド繊維、アラミド繊維 、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、などがある。難燃プラスチックとして、プラスチッ ク材料にハロゲン系、リン系、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの無機系難 燃剤を添加したものがある。また、自己消火性を有する材料として、ナイロン、ポリカーボネート、塩化ビニルなどが挙げられる。形成方法としては、これらの材料を用いたものを積層するほか、誘電体層12を形成する際にこれらの材料を混合させてもよい。また、難燃プラスチックや繊維であれば、その まま誘電体層12の材料として用いることもできる。
防汚、抗菌、抗ウィルス性
リフレクトアレイに防汚性を付与する方法として、親水性や撥水性を有する基材を積層したりコーティングしたりすることが感がられる。親水性を有する材料として、光触媒材料やシリカ系材料などを用いることができる。撥水性を有する材料として、フッ素樹脂系、シリコーン系などの材料を用いることができる。抗菌、抗ウィルス性材料として光触媒 材料、塩素系、カチオンポリマーを成分とする有機系、銀や亜鉛など金属担持系などが含まれた材料を用いることができる。形成方法としては、これら材料フィルムとして積層するまたはコーティング加工に用いる、誘電体層12の形成時に混合する、等の方法を採用することができる。
上記のように構成された本実施形態に係るリフレクトアレイ1は、接着剤やモルタル等の接合材を層状に配置することにより、建造物の内部や外部の壁面に取り付けることができる。
(素子パターン形状)
リフレクトアレイ1の素子パターン構成の一例を図3を用いて説明する。図3は、リフレクトアレイ1全体の構成を示す図である。リフレクトアレイ1は、形状の異なる素子パターン14(14a~14c)を持つ単位セル3を並べて構成された反射制御領域4が複数個並ぶことで出来る。単位セル3の中に素子パターン14a~14cがそれぞれ配置され、素子パターン14の寸法によって位相を制御することが出来る。反射制御領域4を構成する単位セル3の個数は2つ以上であればいくつでも構わない。
<平面視>
図4は、素子パターンを平面視した場合の形状の一例を示す図である。素子パターン14は、例えば図4(a)に示すようにxy平面においてx軸方向の幅である素子幅wxとy軸方向の長さである素子長lyを有する方形パッチと、y軸方向の幅である素子幅wyとx軸方向の長さである素子長lxを有する方形パッチの2つの方形パッチが交差したクロスパッチである。またクロスパッチは角部Aと隅部Bを有する。ここで、角部とは素子パターンを形成する各方形パッチの頂部を指し、隅部とは各方形パッチの各辺が交差する交差部を指す。
図4(b)は本実施形態に係るクロスパッチの素子パターン形状を示すもので、図4(a)の角部Aと隅部Bに相当する部分に丸みを与えた角部(以下、「丸角部」と称する。)Arと隅部(以下、「丸隅部」と称する。)Brを有する。図では曲率半径R1、R2の円弧による丸みの例が示されている。
図4に示したクロスパッチでは角部、丸角部は各々全部で8箇所あり、隅部、丸隅部は各々全部で4箇所あるが、本開示では図4において丸点線で囲んだ箇所の角部・丸角部、隅部・丸隅部に関し主に説明し、他の箇所における同様の説明は省略する。
(丸角部Ar)
図5は、丸角部Ar付近の拡大模式図である。クロスパッチにおいて交差領域からx軸に平行に正負に伸びるy軸正側の辺を連結してなる仮想線Kからy軸正の向きに突出する部分をアーム部16と称する。同様にx軸に平行に正負に伸びるy軸負側の辺を連結してなる仮想線Kからy軸負の向きに突出する部分、y軸に平行に正負に伸びるx軸正側の辺を連結してなる仮想線Kからx軸正の向きに突出する部分、y軸に平行に正負に伸びるx軸負側の辺を連結してなる仮想線Kからx軸負の向きに突出する部分もアーム部16である。
図5において、素子パターンのx軸方向の幅である素子幅wxとy軸方向に突出するアーム部16の中心線の長さpyを比較して同じか短い方の長さをPとする(図5の例ではwx<pyであることからwx=Pである。)。同様にy軸方向の幅である素子幅wyとx軸方向に突出するアーム部16の中心線の長さpxを比較して同じか短い方の長さをPとする。このように所定のアーム部16における素子幅と中心線の長さを比較した場合に同じか短い方の長さPを基準長Pと称する。ただし図4(b)の素子パターンにおいて素子幅というときは、丸角部および丸隅部を除いたアーム部における対向する辺が互いに平行な部分におけるx軸方向の幅およびy軸方向の幅を指す。またpyは(ly-wy)/2で、pxは(lx-wx)/2で求められる。
さらにアーム部16のx軸方向またはy軸方向に平行なそれぞれの辺が丸角部Ar方向で交わる交点を基準交点sxとし、sxを通り交角の半分の方向(図5ではアーム部16のx軸方向またはy軸方向に平行な辺に対して45°の傾きを有する方向)に伸びる直線を基準直線Sとする。
本実施形態において、平面視したときの丸角部Arの丸みは、曲率半径R1が基準長Pの1/2以下の長さの曲率円の円弧を含むことが好ましい。さらに曲率中心が基準交点sxから基準直線S上を素子の内側方向に向かってP/2×√2以下の範囲内に位置する曲率円の円弧を含んだ曲線であることが好ましい。1/2以上の曲率半径の場合、素子の先端が鋭利な形状になってしまい、素子パターンの割れや欠け、脱落、剥がれが起きやすい形状となることがある。
(丸隅部Br)
図6は、丸隅部Br付近の拡大模式図である。隣り合うアーム部16のx軸方向およびy軸方向に平行なそれぞれの辺が丸隅部Br方向で交わる交点を基準交点txとし、txを通り交角の半分の方向(図6ではアーム部16のx軸方向またはy軸方向に平行な辺に対して45°の傾きを有する方向)に伸びる直線を基準直線Tとする。
本実施形態において、平面視したときの丸隅部Brの丸みは、曲率半径R2が基準長Pの3倍以下の長さの曲率円の円弧を含めばよい。また曲率半径R2が反射制御領域4のうち、最も短い基準長Pをもつ単位セル3の基準長Pの3倍以下の長さの曲率円の円弧を含むことが好ましい。さらに曲率中心が基準交点txから基準直線T上を素子の外側方向に向かって3P×√2以下の範囲内に位置する曲率円の円弧を含んだ曲線であることが好ましい。
[第2実施形態]
<断面視>
図7は、素子パターンを断面視した場合の形状の一例を示す図である。図7(a)に示すように、素子パターンの一例であるクロスパッチは角部Cと隅部Dを有する。ここで、角部とは断面形状である方形において、誘電体層の表面と接しない側の頂部を指し、隅部とは誘電体層の表面と接する側の頂部を指す。
図7(b)は本実施形態に係るクロスパッチの素子パターン形状を示すもので、図7(a)の角部Aと隅部Bに相当する部分に丸みを与えた丸角部Crと丸隅部Drを有する。図では曲率半径R3、R4の円弧による丸みの例が示されている。
図7に示したクロスパッチでは角部、丸角部は各々全部で2箇所あり、隅部、丸隅部は各々全部で2箇所あるが、本開示では図7において丸点線で囲んだ箇所の角部・丸角部、隅部・丸隅部に関し主に説明し、他の箇所における同様の説明は省略する。
(丸角部Cr)
図8は、丸角部Cr付近の拡大模式図である。素子パターン断面において誘電体層の表面と垂直な辺と、誘電体層の表面と接しない側の前記表面と平行な辺が丸角部Cr方向で交わる交点を基準交点uxとし、uxを通り交角の半分の方向(図8では断面のx軸方向またはz軸方向に平行な辺に対して45°の傾きを有する方向)に伸びる直線を基準直線Uとする。
本実施形態において、断面視したときの丸角部Crの丸みは、曲率半径R3が素子パターンの厚さdの1/6以上の長さの曲率円の円弧を含むことが好ましい。さらに曲率中心が基準交点uxから基準直線U上を誘電体層の表面方向に向かってd/6×√2以上の範囲内に位置する曲率円の円弧を含んだ曲線であることが好ましい。d/6以下の曲率半径の場合、断面視したときの丸角部の先端が鋭利な形状になってしまい、素子パターンの割れや欠け、脱落、剥がれが起きやすい形状となることがある。また、断面視したときの素子パターンの角部が緩やかになることで、素子パターン層13側に機能層を積層する際に素子パターンと誘電体層12、機能層15の間に気泡が入りにくくなり、機能層15との密着性向上や気泡の混入による不要反射の増大、所望方向の反射性能の低下を抑える効果も期待できる。
(丸隅部Dr)
図9は、丸隅部Dr付近の拡大模式図である。素子パターン断面において誘電体層の表面と素子パターン側面端部の交わる交点を基準交点vxとし、vxを通る誘電体層の表面の法線を基準直線Vとする。
本実施形態において、断面視したときの丸角部Drの丸みは、曲率半径R4が素子パターンの厚さdの1/6以上の長さの曲率円の円弧を含むことが好ましい。さらに曲率中心が基準交点vxから基準直線V上を素子パターンの表面方向に向かってd/6以上の範囲内に位置する曲率円の円弧を含んだ曲線であることが好ましい。d/6以下の曲率半径の場合、断面視したときの素子パターンの角部の段差に引っ掛かり、滑りにくくなり、素子パターンの割れや欠け、脱落、剥がれが起きやすい形状となることがある。また、断面視したときの素子パターンの角部が緩やかになることで、素子パターン層13側に機能層を積層する際に素子パターンと誘電体層12、機能層15の間に気泡が入りにくくなり、機能層15との密着性向上や気泡の混入による不要反射の増大、所望方向の反射性能の低下を抑える効果も期待できる。
<作用・効果>
以上第1、第2実施形態で述べたように、素子パターンの角部や隅部の形状にあらかじめ丸みがついていることで製造条件のバラツキによる寸法誤差などによる反射特性のバラツキが小さくなる。また、製造工程における素子の割れや欠け、脱落、剥がれなどの破損に対する耐久性が向上し、製品のハンドリングや搬送がしやすくなる。さらに素子パターン層13側に積層した機能層15を痛めにくくするなどの効果も期待できる。
上述した実施形態では、2つの方形パッチが交差するクロスパッチ構造において存在する角部および/または隅部に丸みを与えることで耐久性を向上させるものであるが、元の素子パターン構造に角部および/または隅部が存在する構造であれば、クロスパッチ構造に限られない。図10は、素子パターンを平面視した場合の形状の別の例を示す図である。図10に示すようなエルサレム構造、エルサレム構造を囲むように円環を配置した構造、パッチ構造、長方形構造、ループ構造、多角形構造、多角形を複数組み合わせた構造、星形構造、扇形構造、円と多角形を組み合わせた構造、円から多角形を抜き取った構造、多角形から多角形や円を抜き取った構造、三日月構造などであってもよい。
(反射制御領域)
リフレクトアレイ1は少なくとも1つの反射制御領域を含む。反射制御領域の配置の仕方によって、リフレクトアレイの性質を変更することが可能である。例えば、ある波長の電磁波がある入射角度で入射した場合に、反射方向が共通である反射制御領域を周期的に配置することにより、リフレクトアレイに、単一方向への反射を行う特性を付与することが可能である。
また、ある波長の電磁波がある入射角度で入射した場合に、反射方向がそれぞれ異なる反射制御領域を含むリフレクトアレイを構成することにより、複数の方向へ電磁波を散乱させる特性を付与することも可能である。また、反射制御領域ごとに反射方向を所定の角度ずつずらす構成とすることによって、特定の箇所へ電磁波を集める特性を付与することも可能である。設計時に、リフレクトアレイに適用が予定される周波数を、以下「動作周波数」とする。
反射制御領域のx軸方向のサイズLxは、動作周波数の波長をλ、反射制御領域に入射する電磁波の入射角度のx軸成分をθix、反射制御領域から反射する電磁波の反射角度のx軸成分をθrxとし、θix≠-θrxの場合、例えば式(1)によって決定される。
Figure 0007492072000003
(単位セル)
反射制御領域をx軸に沿ってyz平面で等間隔にn分割した長さをy軸方向にも有する区画を、x軸の正の方向に沿ってそれぞれ単位セル1、単位セル2、...、単位セルnと定義する。ただし、nは2以上の整数とし、各単位セルのx軸、y軸方向のサイズはLx/nとする。
単位セルは、そこに入射した電波を所定の位相差で反射させる作用を有する。反射制御領域内において、それぞれの単位セルが異なる反射位相を示すことから、反射波面が傾き、対称反射とは異なる反射である非対称反射が実現する。
図11~13は、非対称反射を発生させる方向に応じた、単位セルの配置の一例を示す図である。x軸方向に沿ってのみ非対称反射を行う場合(図11(a))、反射制御領域内のx軸方向に沿って異なる反射位相を示す単位セルを配置する(図11(b))。この場合、反射制御領域のy軸方向には同一の単位セルを任意の間隔で配置する。
同様に、y軸方向に沿ってのみ非対称反射を行う場合(図12(a))、反射制御領域内のy軸方向に沿って異なる反射位相を示す単位セルを配置する(図12(b))。この場合、反射制御領域のx軸方向には同一の単位セルを任意の間隔で配置する。
反射制御領域において、x軸、y軸両方向に沿って異なる反射位相を示す単位セルを配置した場合(図13(b))、入射波のx軸成分およびy軸成分が共に非対称反射するため、反射波のx軸成分およびy軸成分は、共に入射波のそれらと異なる(図13(a))。
(反射制御領域内の反射位相、インピーダンスの分布)
反射制御領域内における反射位相の分布は例えば公知の式(2)に従うよう決定される。ここで、動作周波数の波長をλ(m)、反射制御領域に入射する電波の入射角度のx軸成分をθix、反射制御領域から反射する電波の反射角度のx軸成分をθrx、反射制御領域内の任意の座標x1、x2における反射位相をそれぞれφx1、φx2とする。
Figure 0007492072000004
その他の指針としては、反射位相のみならず、表面インピーダンスを反射制御領域内に割り当てることもでき、その場合、表面インピーダンスの分布は例えば公知の式(3)、式(4)、式(5)により表される。ここで、Zsは表面インピーダンス、η1は入射波のインピーダンスとする。
Figure 0007492072000005
Figure 0007492072000006
Figure 0007492072000007
(製造方法)
リフレクトアレイの基本構成の主な製造方法としては、プリント基板等に用いられる銅張積層板または、誘電体層の片面もしくは両面に蒸着法やスパッタ法のドライコーティング、めっき処理やウェットコーティング等により金属膜を形成した誘電体層に対し、切削またはエッチング等を施すことにより素子パターンを形成する。
具体的には、銅張積層板は、例えば、エポキシ等の樹脂をガラスクロス等の基材に含侵させた絶縁体に銅箔を張り合わせたものである。銅張積層板は板状の形状を有しており、板状の形状の絶縁体の両面に銅箔が張り合わされている。一方の面の銅箔を素子パターン層13とし、他方の面の銅箔はグランド層11に適用する。絶縁体は誘電体層12に該当する。
誘電体の両面に金属膜を形成する場合、一方の金属膜から素子パターン層13を形成し、他方の金属膜はグランド層11に適用する。誘電体は、誘電体層12となる。
平面視における素子パターンは、素子パターンの角部および/または隅部に曲率半径Rの素子パターンを形成したフォトマスクを用いることで作製することができる。
また、断面視における素子パターンにおいて角部および/または隅部に曲率半径Rの素子パターンを形成する方法としては、エッチング液の種類や濃度、温度、液の攪拌、エッチング時間、レジストの種類や厚みなどの要素を組み合わせて調整することで作製することができる。これらを調整することで深さ方向のエッチング速度とサイドエッチ速度を最適化する。なお、エッチング液は、塩化銅液、塩化第二鉄液、アルカリエッチング液などを選定することができる。一般的に塩化銅液、塩化第二鉄液などの酸性系のエッチング液は深さ方向へのエッチング指向性が高い。
なお、一般的に切削の場合、素子パターンの寸法誤差は±100μm程度であり、エッチングの場合、素子パターンの寸法誤差は±50μm程度である。
その他の製造方法としては、誘電体層上に素子パターンやグランド層を直接形成する方法があげられる。凸版印刷、平版印刷、凹版印刷、孔版印刷、転写印刷などを用いて印刷する方法や、誘電体層にマスキングテープやマスキング剤等で素子パターン部分以外をマスキング処理し、素子パターンをドライコーティングやめっき処理、塗装やスプレー法を用いることで、形成することもできる。
基本構成への他層(保護層、接着層、意匠層等の機能層15)の積層では、貼り合わせや印刷・コーティング、押出成型が挙げられ、貼り合わせには例えば、ドライラミネートやウェットラミネート、熱ラミネート、押出ラミネートを用いることが挙げられるが、これに限定されるものではない。
大型サイズのリフレクトアレイが求められる場合、複数枚のリフレクトアレイを並べて一つのリフレクトアレイを構成しても良い。
[実施例]
以下に実施例1~15、比較例1~4について説明する。実施例1~7に関してはまずクロスパッチの素子パターン形状を有する比較例について述べ、当該クロスパッチの角部、隅部に曲率半径R1、R2の丸みを与えた実施例について説明する。さらに断面の角部に曲率半径R3の丸みを与えたものを実施例8~15として説明する。
(比較例1)
誘電体の両面に銅箔が設けられた300mm角の銅張積層板(住友ベークライト株式会社製ELC-4762)を準備した。誘電体12はガラス/エポキシ樹脂(厚さ1.564mm)であり、グランド層11および素子パターン層13のもととなる層である銅箔の厚さはいずれも18μm、総厚は1.6mmである。
銅張積層板の両面にフォトレジスト層を形成し、一方の面のフォトレジスト層に所定の素子パターンのフォトマスクを介して露光した。フォトレジスト層を現像してエッチングを施し、素子パターン層13を形成したリフレクトアレイを作製した。なお、銅の導電率は5.8×10^7siemens/m、誘電体層12の比誘電率は4.5、誘電正接tanδは0.014であった。
動作周波数を4.85GHzとし、狙いの反射特性(目的とする反射特性)をθix= -60°、θrx=0°、θiy=θry=0°に設定し、式(1)を使用して反射制御領域4のx軸方向のサイズLxを71.376mmに決定した。
反射制御領域4の分割数を3とし、単位セルのx軸方向およびy軸方向のサイズは23 .792mmとした。素子の形状は、xy平面において、2つの方形パッチが直交したクロスパッチとした。ここで、反射制御領域内の各素子は素子幅のみが異なるとし、具体的には素子幅を変数とし、同一素子内の素子長は15.000mmとした。
はじめに、素子幅に対する単位セルの反射位相を、Ansys製の有限要素法解析ソフトウェア(HFSS)を用いて解析した。次に、単位セルの解析結果を踏まえ、式(4)のインピーダンス分布に従うよう各単位セルにおける素子幅を決定した。
リフレクトアレイ1は、反射制御領域4をx軸方向およびy軸方向に4個×12個で配置しxy平面におけるサイズは285.504mm角とした。y軸と平行の偏波をθix=- 60゜、θiy=0゜でリフレクトアレイ1に照射した際の反射特性について、HFSSを用いて解析した。
図14は、比較例1に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。ただし、図14の横軸は反射角度θx、縦軸はRCS(レーダー反射断面積)とした。RCSは実質的に反射電波の強度に対応する値である。このリフレクトアレイ1では、θix=- 60゜で入射した電波が所望のθiy=0゜方向に反射し、そのRCSは7.022dBsmであった。なお、以下の図面の説明において、方形の角部・隅部についてはR=0mmと表示する。
(実施例1)
素子パターン形状以外が比較例1に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの角部および隅部に曲率半径(R1およびR2)0.6mmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下である。図15は、実施例1に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =-60゜で入射した電磁波が所望のθrx=0゜方向に反射し、そのRCSは6.992dBsmであった。
図17は、比較例1と実施例1に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は-0.030dBsmであり、比較例1に記載したリフレクトアレイと比較し、角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(実施例2)
素子パターン形状以外が比較例1に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの角部に曲率半径(R1)0.6mm、隅部に曲率半径(R2)3.0mmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下である。図16は、実施例2に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =-60゜で入射した電磁波が所望のθrx=0゜方向に反射し、そのRCSは7.165dBsmであった。
図17は、比較例1と実施例2に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は0.143dBsmであり、比較例1に記載したリフレクトアレイと比較し、角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(比較例2)
誘電体の両面に銅箔が設けられた300mm角の銅張積層板(中興化成工業株式会社製CGP-500)を準備した。誘電体12はフッ素樹脂含浸ガラスクロス(厚さ764μm)であり、グランド層11および素子パターン層13のもととなる層である銅箔の厚さはいずれも18μm、総厚は0.8mmである。
銅張積層板の両面にフォトレジスト層を形成し、一方の面のフォトレジスト層に所定の素子パターンのフォトマスクを介して露光した。フォトレジスト層を現像してエッチングを施し、素子パターン層13を形成したリフレクトアレイを作製した。なお、銅の導電率は5.8×10^7siemens/m、誘電体層12の比誘電率は2.6、誘電正接tanδは0.0025であった。
動作周波数を27.2GHzとし、狙いの反射特性(目的とする反射特性)をθix=-33°、θrx=0°、θiy=θry=0°に設定し、式(1)を使用して反射制御領域4のx軸方向のサイズLxを20.238mmに決定した。
反射制御領域4の分割数を3とし、単位セルのx軸方向およびy軸方向のサイズは6.746mmとした。素子の形状は、xy平面において、2つの方形パッチが直交したクロスパッチとした。ここで、反射制御領域内の各素子は素子幅のみが異なるとし、具体的には素子幅を変数とし、同一素子内の素子長は3.250mmとした。
はじめに、素子幅に対する単位セルの反射位相を、Ansys製の有限要素法解析ソフトウェア(HFSS)を用いて解析した。次に、単位セルの解析結果を踏まえ、式(4)のインピーダンス分布に従うよう各単位セルにおける素子幅を決定した。
リフレクトアレイ1は、反射制御領域4をx軸方向およびy軸方向に3個×9個で配置しxy平面におけるサイズは60.714mm角とした。y軸と平行の偏波をθix=- 33゜、θiy=0゜でリフレクトアレイ1に照射した際の反射特性について、HFSSを用いて解析した。
図18は、比較例2に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。ただし、図18の横軸は反射角度θx、縦軸はRCS(レーダー反射断面積)とした。RCSは実質的に反射電波の強度に対応する値である。このリフレクトアレイ1では、θix=- 33゜で入射した電波が所望のθiy=0゜方向に反射し、そのRCSは0.259dBsmであった。
(実施例3)
素子パターン形状以外が比較例2に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの角部および隅部に曲率半径(R1およびR2)0.05mmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下である。図19は、実施例3に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =-33゜で入射した電磁波が所望のθrx=0゜方向に反射し、そのRCSは0.269dBsmであった。
図21は、比較例2と実施例3に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は0.010dBsmであり、比較例2に記載したリフレクトアレイと比較し、素子の角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(実施例4)
素子パターン形状以外が比較例2に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの角部に曲率半径(R1)0.05mm、隅部に曲率半径(R2)0.25mmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下である。図20は、実施例4に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =-33゜で入射した電磁波が所望のθrx=0゜方向に反射し、そのRCSは0.274dBsmであった。
図21は、比較例2と実施例4に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は0.015dBsmであり、比較例2に記載したリフレクトアレイと比較し、角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(比較例3)
誘電体の両面に銅箔が設けられた300mm角の銅張積層板(中興化成工業株式会社製CGP-500)を準備した。誘電体12はフッ素樹脂含浸ガラスクロス(厚さ764μm)であり、グランド層11および素子パターン層13のもととなる層である銅箔の厚さはいずれも18μm、総厚は0.8mmである。
銅張積層板の両面にフォトレジスト層を形成し、一方の面のフォトレジスト層に所定の素子パターンのフォトマスクを介して露光した。フォトレジスト層を現像してエッチングを施し、素子パターン層13を形成したリフレクトアレイを作製した。なお、銅の導電率は5.8×10^7siemens/m、誘電体層12の比誘電率は2.6、誘電正接tanδは0.0025であった。
動作周波数を28.0GHzとし、狙いの反射特性(目的とする反射特性)をθix=0°、θrx=45°、θiy=θry=0°に設定し、式(1)を使用して反射制御領域4のx軸方向のサイズLxを15.1524mmに決定した。
反射制御領域4の分割数を3とし、単位セルのx軸方向およびy軸方向のサイズは5.0508mmとした。素子の形状は、xy平面において、2つの方形パッチが直交したクロスパッチとした。
はじめに、素子幅に対する単位セルの反射位相を、Ansys製の有限要素法解析ソフトウェア(HFSS)を用いて解析した。素子長と素子幅を変更して狙いの反射特性となるように自動解析を行うことで、素子14a、14b、14cの素子長と素子幅を決定した。
リフレクトアレイ1は、反射制御領域4をx軸方向およびy軸方向に4個×12個で配置しxy平面におけるサイズは60.6096mm角とした。y軸と平行の偏波をθix=0゜、θiy=45゜でリフレクトアレイ1に照射した際の反射特性について、HFSSを用いて解析した。
図22は、比較例3に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。ただし、図22の横軸は反射角度θx、縦軸はRCS(レーダー反射断面積)とした。RCSは実質的に反射電波の強度に対応する値である。このリフレクトアレイ1では、θix=0゜で入射した電波が所望のθiy=45゜方向に反射し、そのRCSは-0.712dBsmであった。
(実施例5)
素子パターン形状以外が比較例3に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの素子14aの角部に曲率半径0.035mm、素子14aの隅部に曲率半径0.091mm、素子14bの角部に曲率半径0.041mm、素子14bの隅部に曲率半径0.062mm、素子14cの角部に曲率半径0.039mm、素子14cの隅部に曲率半径0.061mmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下である。図23は、実施例5に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =0゜で入射した電磁波が所望のθrx=45゜方向に反射し、そのRCSは-0.738dBsmであった。
図24は、比較例3と実施例5に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は-0.027dBsmであり、比較例3に記載したリフレクトアレイと比較し、素子の角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(比較例4)
誘電体の両面に銅箔が設けられた300mm角の銅張積層板(中興化成工業株式会社製CGP-500)を準備した。誘電体12はフッ素樹脂含浸ガラスクロス(厚さ764μm)であり、グランド層11および素子パターン層13のもととなる層である銅箔の厚さはいずれも18μm、総厚は0.8mmである。
銅張積層板の両面にフォトレジスト層を形成し、一方の面のフォトレジスト層に所定の素子パターンのフォトマスクを介して露光した。フォトレジスト層を現像してエッチングを施し、素子パターン層13を形成したリフレクトアレイを作製した。なお、銅の導電率は5.8×10^7siemens/m、誘電体層12の比誘電率は2.6、誘電正接tanδは0.0025であった。
動作周波数を60.0GHzとし、狙いの反射特性(目的とする反射特性)をθix=0°、θrx=45°、θiy=θry=0°に設定し、式(1)を使用して反射制御領域4のx軸方向のサイズLxを7.065mmに決定した。
反射制御領域4の分割数を3とし、単位セルのx軸方向およびy軸方向のサイズは2.355mmとした。素子の形状は、xy平面において、2つの方形パッチが直交したクロスパッチとした。ここで、反射制御領域内の各素子は素子幅のみが異なるとし、具体的には素子幅を変数とし、同一素子内の素子長は1.700mmとした。
はじめに、素子幅に対する単位セルの反射位相を、Ansys製の有限要素法解析ソフトウェア(HFSS)を用いて解析した。次に、単位セルの解析結果を踏まえ、式(4)のインピーダンス分布に従うよう各単位セルにおける素子幅を決定した。
リフレクトアレイ1は、反射制御領域4をx軸方向およびy軸方向に9個×18個で配置しxy平面におけるサイズは63.585×42.390mmとした。y軸と平行の偏波をθix=0゜、θiy=45゜でリフレクトアレイ1に照射した際の反射特性について、HFSSを用いて解析した。
図25は、比較例4に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。ただし、図25の横軸は反射角度θx、縦軸はRCS(レーダー反射断面積)とした。RCSは実質的に反射電波の強度に対応する値である。このリフレクトアレイ1では、θix=0゜で入射した電波が所望のθiy=45゜方向に反射し、そのRCSは3.915dBsmであった。
(実施例6)
素子パターン形状以外が比較例6に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの角部および隅部に曲率半径(R1およびR2)0.07mmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下である。図26は、実施例6に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =0゜で入射した電磁波が所望のθrx=45゜方向に反射し、そのRCSは3.866dBsmであった。
図28は、比較例4と実施例6に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は-0.050dBsmであり、比較例4に記載したリフレクトアレイと比較し、素子の角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(実施例7)
素子パターン形状以外が比較例2に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの角部に曲率半径(R1)0.07mm、隅部に曲率半径(R2)0.35mmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下である。図27は、実施例7に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =0゜で入射した電磁波が所望のθrx=45゜方向に反射し、そのRCSは3.641dBsmであった。
図28は、比較例4と実施例7に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は-0.274dBsmであり、比較例4に記載したリフレクトアレイと比較し、角部および隅部における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(実施例8)
素子パターン形状以外が比較例1に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの角部および隅部に曲率半径(R1およびR2)0.6mmの丸みと各十字型素子パターンの素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)に曲率半径(R3)3.6μmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下であり、R3は素子パターンの厚さdの1/6以上である。図29は、実施例8に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =-60゜で入射した電磁波が所望のθrx=0゜方向に反射し、そのRCSは7.008dBsmであった。
図31は、比較例1と実施例8に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は-0.015dBsmであり、比較例1に記載したリフレクトアレイと比較し、素子の角部および隅部における曲率半径の丸みと素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(実施例9)
素子パターン形状以外が比較例1に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの角部および隅部に曲率半径(R1およびR2)0.6mmの丸みと各十字型素子パターンの素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)に曲率半径(R3)54μmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下であり、R3は素子パターンの厚さdの1/6以上である。図30は、実施例9に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =-60゜で入射した電磁波が所望のθrx=0゜方向に反射し、そのRCSは7.027dBsmであった。
図31は、比較例1と実施例9に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は0.005dBsmであり、比較例1に記載したリフレクトアレイと比較し、素子の角部および隅部における曲率半径の丸みと素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(実施例10)
素子パターン形状以外が比較例2に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの角部および隅部に曲率半径(R1およびR2)0.05mmの丸みと各十字型素子パターンの素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)に曲率半径(R3)3.6μmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下であり、R3は素子パターンの厚さdの1/6以上である。図32は、実施例10に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix=-33゜で入射した電磁波が所望のθrx=0゜方向に反射し、そのRCSは0.268dBsmであった。
図34は、比較例2と実施例10に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は0.009dBsmであり、比較例2に記載したリフレクトアレイと比較し、素子の角部および隅部における曲率半径の丸みと素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(実施例11)
素子パターン形状以外が比較例2に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの角部および隅部に曲率半径(R1およびR2)0.05mmの丸みと各十字型素子パターンの素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)に曲率半径(R3)54μmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下であり、R3は素子パターンの厚さdの1/6以上である。図33は、実施例11に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =-33゜で入射した電磁波が所望のθrx=0゜方向に反射し、そのRCSは0.280dBsmであった。
図34は、比較例2と実施例11に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は0.021dBsmであり、比較例2に記載したリフレクトアレイと比較し、素子の角部および隅部における曲率半径の丸みと素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(実施例12)
素子パターン形状以外が比較例3に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの素子14aの角部に曲率半径0.035mm、素子14aの隅部に曲率半径0.091mm、素子14bの角部に曲率半径0.041mm、素子14bの隅部に曲率半径0.062mm、素子14cの角部に曲率半径0.039mm、素子14cの隅部に曲率半径0.061mmの丸みと各十字型素子パターンの素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)に曲率半径(R3)3.6μmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下であり、R3は素子パターンの厚さdの1/6以上である。図35は、実施例12に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =0゜で入射した電磁波が所望のθrx=45゜方向に反射し、そのRCSは-0.753dBsmであった。
図37は、比較例3と実施例12に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は-0.041dBsmであり、比較例3に記載したリフレクトアレイと比較し、素子の角部および隅部における曲率半径の丸みと素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(実施例13)
素子パターン形状以外が比較例3に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの素子14aの角部に曲率半径0.035mm、素子14aの隅部に曲率半径0.091mm、素子14bの角部に曲率半径0.041mm、素子14bの隅部に曲率半径0.062mm、素子14cの角部に曲率半径0.039mm、素子14cの隅部に曲率半径0.061mmの丸みと各十字型素子パターンの素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)に曲率半径(R3)54μmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下であり、R3は素子パターンの厚さdの1/6以上である。図36は、実施例13に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =0゜で入射した電磁波が所望のθrx=45゜方向に反射し、そのRCSは-0.697dBsmであった。
図37は、比較例3と実施例13に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は0.014dBsmであり、比較例3に記載したリフレクトアレイと比較し、素子の角部および隅部における曲率半径の丸みと素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(実施例14)
素子パターン形状以外が比較例4に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの角部および隅部に曲率半径(R1およびR2)0.07mmの丸みと各十字型素子パターンの素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)に曲率半径(R3)3.6μmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下であり、R3は素子パターンの厚さdの1/6以上である。図38は、実施例14に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =0゜で入射した電磁波が所望のθrx=45゜方向に反射し、そのRCSは3.841dBsmであった。
図40は、比較例4と実施例14に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は-0.074dBsmであり、比較例4に記載したリフレクトアレイと比較し、素子の角部および隅部における曲率半径の丸みと素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
(実施例15)
素子パターン形状以外が比較例4に記載のリフレクトアレイと同様であるリフレクトアレイを作製した。素子パターン形状としては、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)のみが異なるとし、具体的には各十字型素子パターンの角部および隅部に曲率半径(R1およびR2)0.07mmの丸みと各十字型素子パターンの素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)に曲率半径(R3)54μmの丸みを帯びた形状とした。各素子パターンにおいてR1は基準長Pの1/2以下であり、R2は基準長Pの3倍以下であり、R3は素子パターンの厚さdの1/6以上である。図39は、実施例15に係るリフレクトアレイの反射特性を示すグラフである。θix =0゜で入射した電磁波が所望のθrx=45゜方向に反射し、そのRCSは3.793dBsmであった。
図40は、比較例4と実施例15に係るリフレクトアレイの反射特性を比較した結果を示すグラフである。各十字型素子パターンの素子の平面視における角部および隅部、素子断面の角部における曲率半径の丸みの有無によるRCSの変化は-0.123dBsmであり、比較例4に記載したリフレクトアレイと比較し、素子の角部および隅部における曲率半径の丸みと素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)における曲率半径の丸みの有無によって、反射特性に影響を及ぼしておらず、反射特性が安定することが期待される。
<評価>
上述した実施例、比較例で用いたリフレクトアレイの構成データと反射特性の結果を、実施例1~7および比較例1~4に関して表1、実施例8~15に関して表2にまとめた。なお、各素子の曲率半径は、10点を測定した値の平均値である。
Figure 0007492072000008
Figure 0007492072000009
(摩耗試験評価)
学振型摩耗堅牢度試験機(テスター産業株式会社製、AB-301)を用いて、実施例1~15及び比較例1~4のリフレクトアレイの素子パターン層表面を以下の条件で耐摩擦性試験を行い、耐久性を評価した。評価結果を表1および表2にまとめた。
評価環境条件:25℃、60%RH
摩擦子:綿(リフレクトアレイの素子パターン層表面と接触する試験機の摩擦子先端部(2cm×2cm)に、前記の摩擦子を動かないよう取付け固定)
摩擦子先端部接触面積:1cm×1cm
往復距離:120mm
往復速度:30c/min
荷重:400g/cm
往復回数:100往復
擦り終えたリフレクトアレイを顕微鏡観察し、擦った個所の傷および繊維の引っ掛かりの有無を評価した。結果は表1および表2に示す通りとなった。
比較例1~4のリフレクトアレイでは、素子表面に傷がつき、摩擦子の綿の繊維が素子に多く引っ掛かった状態になっているのに対して、実施例1~15の素子が丸みを帯びたリフレクトアレイでは、素子表面に傷がつかず、摩擦子の綿の繊維も素子に引っ掛からなかった。
したがって、素子パターン形状として、反射制御領域4内の各素子パターンの素子の角部および隅部、素子断面の角部(素子表面と素子側面の交差部)を丸みを帯びた形状とすることで、素子の割れや欠け、脱落、剥がれなどの破損につながる要因を抑制することができる。
さらに素子パターン形状にこうした丸角部、丸隅部を含んでいても反射特性に影響を及ぼさず安定した反射特性を得ることできることが判明した。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。異なる実施形態の間の組み合わせも可能である。また支持体に電磁波反射板を設けて電磁波反射装置とすることで設置や移動の利便性を向上させることもできる。
本発明の内容となり得る態様を以下に述べる、ただしこれに限られるものではない。
(態様1)
誘電体層と複数の素子パターンよりなる反射制御領域を含み、
前記素子パターンの平面形状は丸角部または丸隅部を含むことを特徴とする電磁波反射板。
(態様2)
前記丸角部は、平面視したとき、曲率半径R1が基準長Pの1/2以下の長さの曲率円の円弧を含み、
前記丸隅部は、平面視したとき、曲率半径R2が基準長Pの3倍以下の長さの曲率円の円弧を含む、ことを特徴とする、態様1に記載の電磁波反射板。
(態様3)
前記丸角部は、平面視したとき、曲率中心が基準交点sxから基準直線S上を素子の内側方向に向かってP/2×√2以下の範囲内に位置する前記曲率円Aの円弧を含み、
前記丸隅部は、平面視したとき、曲率中心が基準交点txから基準直線T上を素子の外側方向に向かって3P×√2以下の範囲内に位置する前記曲率円Bの円弧を含む、ことを特徴とする、態様2に記載の電磁波反射板。
(態様4)
誘電体層と複数の素子パターンよりなる反射制御領域を含み、
前記素子パターンの断面形状は丸角部または丸隅部を含むことを特徴とする電磁波反射板。
(態様5)
前記丸角部は、断面視したとき、曲率半径R3が前記素子パターンの厚さdの1/6以上の長さの曲率円の円弧を含み、
前記丸隅部は、断面視したとき、曲率半径R4が前記素子パターンの厚さdの1/6以上の長さの曲率円の円弧を含む、ことを特徴とする、態様4に記載の電磁波反射板。
(態様6)
前記丸角部は、断面視したとき、曲率中心が基準交点uxから基準直線U上を前記誘電体層の表面方向に向かってd/6×√2以上の範囲内に位置する前記曲率円Cの円弧を含み、
前記丸隅部は、断面視したとき、曲率中心が基準交点vxから基準直線V上を素子パターンの表面方向に向かってd/6以上の範囲内に位置する前記曲率円Dの円弧を含む、
ことを特徴とする、態様5に記載の電磁波反射板。
(態様7)
前記素子パターンが2つの方形パッチが直交したクロスパッチを含む、態様1~6のいずれか一つに記載の電磁波反射板。
(態様8)
前記素子パターンがクロスパッチおよび、その周りを囲む円環からなる、態様1~6のいずれか一つに記載の電磁波反射板。
(態様9)
前記素子パターンがエルサレムクロス形状からなる、態様1~6のいずれか一つに記載の電磁波反射板。
(態様10)
前記素子パターンを覆うように配置された機能層を含む、態様1~9のいずれか一つに記載の電磁波反射板。
(態様11)
前記機能層が多孔質構造を有する、態様10に記載の電磁波反射板。
(態様12)
前記機能層の表面ヘイズが70%以上である、態様10または11に記載の電磁波反射板。
(態様13)
前記機能層は、電波が伝搬する空気層とインピーダンス整合がとられるように形成されることを特徴とする、態様10~12のいずれか一つに記載の電磁波反射板。
(態様14)
接着剤またはモルタルの接合材を層状に配置してなる、態様1~13のいずれか一つに記載の電磁波反射板。
(態様15)
支持体に、態様1~14のいずれか一つに記載の電磁波反射板を設けた電磁波反射装置。
1 リフレクトアレイ
2 機能層を積層したリフレクトアレイ
3 単位セル
4 反射制御領域
11 グランド層
12 誘電体層
13 素子パターン層
14 素子パターン
15 機能層
16 アーム部

Claims (15)

  1. 誘電体層と複数の素子パターンよりなる反射制御領域を含み、
    前記素子パターンの断面形状は丸角部および丸隅部を含むことを特徴とする電磁波反射板。
  2. 前記素子パターンの断面形状における前記丸角部の丸みは、断面視したとき、曲率半径R3が前記素子パターンの厚さdの1/6以上の長さの曲率円の円弧を含み、
    前記素子パターンの断面形状における前記丸隅部の丸みは、断面視したとき、曲率半径R4が前記素子パターンの厚さdの1/6以上の長さの曲率円の円弧を含む、ことを特徴とする、請求項に記載の電磁波反射板。
  3. 前記素子パターンの断面形状における前記丸角部の丸みは、断面視したとき、曲率中心が基準交点uxから基準直線U上を前記誘電体層の表面方向に向かってd/6×√2以上の範囲内に位置する前記曲率円の円弧を含み、
    前記素子パターンの断面形状における前記丸隅部の丸みは、断面視したとき、曲率中心が基準交点vxから基準直線V上を素子パターンの表面方向に向かってd/6以上の範囲内に位置する前記曲率円の円弧を含む、
    ことを特徴とする、請求項に記載の電磁波反射板。
  4. 記素子パターンの平面形状は丸角部または丸隅部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電磁波反射板。
  5. 前記素子パターンの平面形状における前記丸角部の丸みは、平面視したとき、曲率半径R1が基準長Pの1/2以下の長さの曲率円の円弧を含み、
    前記素子パターンの平面形状における前記丸隅部の丸みは、平面視したとき、曲率半径R2が基準長Pの3倍以下の長さの曲率円の円弧を含む、ことを特徴とする、請求項に記載の電磁波反射板。
  6. 前記素子パターンの平面形状における前記丸角部の丸みは、平面視したとき、曲率中心が基準交点sxから基準直線S上を素子の内側方向に向かってP/2×√2以下の範囲内に位置する前記曲率円の円弧を含み、
    前記素子パターンの平面形状における前記丸隅部の丸みは、平面視したとき、曲率中心が基準交点txから基準直線T上を素子の外側方向に向かって3P×√2以下の範囲内に位置する前記曲率円の円弧を含む、ことを特徴とする、請求項に記載の電磁波反射板。
  7. 前記素子パターンが2つの方形パッチが直交したクロスパッチを含む、請求項1~6のいずれか一つに記載の電磁波反射板。
  8. 前記素子パターンがクロスパッチおよび、その周りを囲む円環からなる、請求項1~6のいずれか一つに記載の電磁波反射板。
  9. 前記素子パターンがエルサレムクロス形状からなる、請求項1~6のいずれか一つに記載の電磁波反射板。
  10. 前記素子パターンを覆うように配置された機能層を含む、請求項1~6のいずれか一つに記載の電磁波反射板。
  11. 前記機能層が多孔質構造を有する、請求項10に記載の電磁波反射板。
  12. 前記機能層の表面ヘイズが70%以上である、請求項10に記載の電磁波反射板。
  13. 前記機能層は、電波が伝搬する空気層とインピーダンス整合がとられるように形成されることを特徴とする、請求項10に記載の電磁波反射板。
  14. 接着剤またはモルタルの接合材を層状に配置してなる、請求項1~6のいずれか一つに記載の電磁波反射板。
  15. 支持体に、請求項1~6のいずれか一つに記載の電磁波反射板を設けた電磁波反射装置。
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