JP7491703B2 - 粒子分析方法および粒子分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、粒子分析方法および粒子分析装置に関する。
従来、血液試料に含まれる粒子の分類・計数が行われている。例えば、光学式の自動血球分析装置では、フローサイトメータを用いて血液試料中の粒子分析を行っている。フローサイトメトリー法では、具体的には、セルを流れる蛍光色素等で染色された細胞に、レーザ等の光源からの光を照射することによって得られる散乱光や蛍光の情報を用いて、細胞の数や大きさに加えて、細胞内部の核酸量等の情報をも得ている。
ところで、組織成分が色素本来の色調と異なった染色性を示す変調現象(メタクロマジー)を示す蛍光色素(メタクロマジー性染色色素)であるアクリジンオレンジ(AO)を用いて染色した血液試料をフローサイトメトリー方式の自動血球分析装置で分析する技術が提案されている(特許文献1)。具体的に、特許文献1には、フローサイトメトリーの結果に基づき、AOで染色した血球細胞の蛍光強度をそれぞれの散乱光による細胞の大きさや形状で規格化して各細胞の蛍光濃度を求め、このようにして求められた各細胞の蛍光濃度に基づいて血液試料中の細胞を分類する技術が開示されている。
米国特許出願公開第2009/0130647A1号
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、血液試料中の粒子の大きさや形状で規格化された各細胞の蛍光濃度に基づいて血液試料中の細胞を分類しているに留まっている。そのため、依然として臨床的に有用な情報を十分に取得できていないという。
そこで本発明は、メタクロマジー性染色色素を用いて血液試料に含まれる粒子を分析する際に、臨床的に有用な情報をより多く取得することを可能としうる手段を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、血液試料に含まれる各粒子の大きさで規格化された蛍光濃度に基づいて血液試料中の粒子を複数の粒子クラスタに分類(クラスタリング)した後、当該複数の粒子クラスタに含まれる少なくとも1つの粒子クラスタについて、前記粒子クラスタに含まれる各粒子の大きさを階級とするヒストグラム(本明細書中、「サイズヒストグラム」とも称する)を作成することにより、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態によれば、血液試料に含まれる粒子を分析する粒子分析方法が提供される。当該粒子分析方法は、メタクロマジー性染色色素を用いて前記粒子を染色することと、染色された前記粒子に光を照射することと、前記血液試料に含まれる各粒子が発光する、前記メタクロマジー性染色色素のスタッキング成分に由来する第1の蛍光および前記メタクロマジー性染色色素のインターカレーション成分に由来する第2の蛍光の強度を測定することと、前記各粒子が発光する前記第1の蛍光および前記第2の蛍光の強度を、前記各粒子の大きさでそれぞれ規格化することにより、前記各粒子における前記第1の蛍光および前記第2の蛍光の蛍光濃度をそれぞれ求めることと、前記規格化によって求められた前記蛍光濃度の2次元プロットにおいて、前記各粒子を赤血球クラスタ、血小板クラスタおよび有核細胞クラスタの少なくとも2つを含む複数の粒子クラスタにクラスタリングすることと、前記複数の粒子クラスタに含まれる少なくとも1つの粒子クラスタについて、前記粒子クラスタに含まれる各粒子の大きさを階級とするサイズヒストグラムを作成することとを含む点に特徴がある。
また、本発明の他の形態によれば、上述した本発明の一形態に係る粒子分析方法を実行可能な装置として、血液試料に含まれる粒子に光を照射する光源と、前記血液試料を流すフローセルと、波長の異なる第1の蛍光の強度および第2の蛍光の強度をそれぞれ検出する複数の蛍光検出部を含む光検出部と、前記血液試料に含まれる各粒子が発光する前記第1の蛍光および前記第2の蛍光の強度を、前記各粒子の大きさでそれぞれ規格化することにより、前記各粒子における前記第1の蛍光および前記第2の蛍光の蛍光濃度をそれぞれ求め、前記規格化によって求められた前記蛍光濃度の2次元プロットにおいて、前記各粒子を赤血球クラスタ、血小板クラスタおよび有核細胞クラスタの少なくとも2つを含む複数の粒子クラスタにクラスタリングし、前記複数の粒子クラスタに含まれる少なくとも1つの粒子クラスタについて、前記粒子クラスタに含まれる各粒子の大きさを階級とするサイズヒストグラムを作成する、データ処理部とを有する、粒子分析装置もまた、提供される。
本発明によれば、メタクロマジー性染色色素を用いて血液試料に含まれる粒子を分析する際に、臨床的に有用な情報をより多く取得することが可能となる。
図1は、測定試料の調製を示す概略図である。 図2は、本発明の一形態に係る粒子分析方法を実施するための装置のシステム構成を示す図である。 図3は、本形態に係る粒子分析方法を実施するための装置の一実施形態としてのフローサイトメータの概略を示す系統図である。 図4は、前方散乱光(FS)と側方散乱光(SS)との2次元スキャッタグラム(FS×SSサイトグラム)の測定例である。 第1の蛍光(FL1)と第2の蛍光(FL2)との2次元スキャッタグラム(FL1×FL2サイトグラム)の測定例である。 図6は、「規格化」の処理によって各粒子における第1の蛍光(FL1)の蛍光濃度(CRc)および第2の蛍光(FL2)の蛍光濃度(CDc)をそれぞれ求め、得られた結果に基づき作成したCRcとCDcとの2次元プロット図(本明細書中、「RNPダイアグラム」とも称する)である。 図7は、図6に示すRNPダイアグラムから赤血球クラスタ(RBCn)をゲーティングすることによって分離して作成された、赤血球クラスタ(RBCn)についてのサイズヒストグラムの一例(後述する実施例において、赤血球の形態所見を伴う血液試料について本発明を適用して測定した際に作成されたもの)である。 図8Aは、赤血球クラスタ(RBCn)について、当該クラスタに含まれる各粒子の第1の蛍光(FL1)の強度を横軸とし、当該クラスタに含まれる各粒子の大きさ(前方散乱光(FS)の強度)を縦軸とした2次元プロット図である。 図8Bは、血小板クラスタ(PLTn)について、当該クラスタに含まれる各粒子の第1の蛍光(FL1)の強度を横軸とし、当該クラスタに含まれる各粒子の大きさ(前方散乱光(FS)の強度)を縦軸とした2次元プロット図である。 図8Cは、有核細胞クラスタ(NCn)について、当該クラスタに含まれる各粒子の第1の蛍光(FL1)の強度を横軸とし、当該クラスタに含まれる各粒子の大きさ(ここでは、前方散乱光(FS)の強度)を縦軸とした2次元プロット図である。 図9Aは、後述する実施例において、赤血球の形態所見を伴う血液試料について本発明を適用して測定した際に作成されたRNPダイアグラムである。 図9Bは、後述する実施例において、赤血球の形態所見を伴わない血液試料について本発明を適用して測定した際に作成された、赤血球クラスタのサイズヒストグラムである。 図10Aは、後述する実施例において、血小板の形態所見を伴う血液試料について本発明を適用して測定した際に作成されたRNPダイアグラムである。 図10Bは、後述する実施例において、血小板の形態所見を伴う血液試料について本発明を適用して測定した際に作成された、血小板クラスタのサイズヒストグラムである。 図10Cは、後述する実施例において、血小板の形態所見を伴わない血液試料について本発明を適用して測定した際に作成された、血小板クラスタのサイズヒストグラムである。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
本発明の一形態(第1の形態)は、血液試料に含まれる粒子を分析する粒子分析方法であって、メタクロマジー性染色色素を用いて前記粒子を染色することと、染色された前記粒子に光を照射することと、前記血液試料に含まれる各粒子が発光する、前記メタクロマジー性染色色素のスタッキング成分に由来する第1の蛍光および前記メタクロマジー性染色色素のインターカレーション成分に由来する第2の蛍光の強度を測定することと、前記各粒子が発光する前記第1の蛍光および前記第2の蛍光の強度を、前記各粒子の大きさでそれぞれ規格化することにより、前記各粒子における前記第1の蛍光および前記第2の蛍光の蛍光濃度をそれぞれ求めることと、前記規格化によって求められた前記蛍光濃度の2次元プロットにおいて、前記各粒子を赤血球クラスタ、血小板クラスタおよび有核細胞クラスタの少なくとも2つを含む複数の粒子クラスタにクラスタリングすることと、前記複数の粒子クラスタに含まれる少なくとも1つの粒子クラスタについて、前記粒子クラスタに含まれる各粒子の大きさを階級とするサイズヒストグラムを作成することとを含む、粒子分析方法である。
以下、本形態に係る粒子分析方法を実施するための好ましい実施形態について、分析をフローサイトメータを用いたフローサイトメトリー法により行う場合を例に挙げて具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、下記の具体的な実施形態のみには限定されない。
図1は、測定試料の調製を示す概略図である。本発明に係る粒子分析方法においては、まず、血液中の粒子を含む試料(血液試料)を準備し、所定の染色色素(メタクロマジー性染色色素)を用いて(通常は当該色素と血液試料とを混合して)測定試料を調製する。これにより、上記所定の染色色素によって血液試料に含まれる粒子が染色される。フローサイトメトリー法による粒子の分析においては、上記で調製された測定試料に光を照射し、それによって試料に含まれる粒子から発生する散乱光および蛍光を電気信号として検出する。そして、検出された電気信号に基づいて、試料に含まれる粒子についての分析が行われる。
[測定試料の調製]
本形態においては、上述したように、測定を行う試料(測定試料)として、血液中の粒子を含む試料(血液試料)を準備し、所定の染色色素(メタクロマジー性染色色素)を用いて(通常は当該色素と血液試料とを混合して)測定試料を調製する。この場合、例えば、図1に示すように、所要量の染色色素10を一定量に分注する際に、20~50℃の範囲に加温し、この加温され分注された染色色素10Aに、血液中の粒子を含む試料(血液試料)20を添加して、5~10秒間攪拌し、このようにして得られた測定試料30を20~50℃の範囲に保温して、10~40秒間保持する。その結果、本発明においては、測定試料30の調製を、15~60秒間で完了することができる。
ここでは、例えば、メタクロマジー性染色色素10を1mLずつ分注し、この分注されたメタクロマジー染色色素10Aに対して、測定目的粒子数が1×10個/μL程度になるように調製された血液試料20を2μLずつ添加する。また、メタクロマジー性染色色素10としては、例えば、pH7.4のトリス緩衝液を用いて調製した0.5~1.5mg/dLのアクリジンオレンジが用いられうる。特に、色素濃度は0.75mg/dL程度が好適であり、このメタクロマジー性染色色素10を1mLに分注するとともにその分注時に45℃に加温し、加温した1mLの染色色素10Aに2μLの血液試料20を添加して5秒間攪拌し、得られた試料を45℃に保温して30秒間保持することにより、適正な測定試料30が調製されうる。また、別途凍結乾燥させたアクリジンオレンジにpH6.4~pH8.2のリン酸緩衝液やトリス緩衝液などの緩衝液と血液試料20とを順次加えることにより測定試料を調製してもよい。
「メタクロマジー(異調染色)」とはもともと、色素によって染色される成分が当該色素の本来の色調とは異なった染色性を示す変調現象を意味する語である。本明細書では、この用語を利用して、「メタクロマジー性染色色素」を、当該色素による染色の対象の種類または染色の方式に応じて異なる波長を有する複数の蛍光を発する性質を持った色素として定義する。メタクロマジー性染色色素の具体例としては、アクリジンオレンジ(AO)のほか、プロフラビン、アクリフラビン、アテブリンなどが挙げられるが、後述するスタッキング成分とインターカレーション成分とがそれぞれ発光する蛍光の波長が異なる色素であれば特に制限なく用いることが可能である。ただし、メタクロマジー性染色色素のスタッキング成分が発光する蛍光はオレンジ色の蛍光であることが好ましく、インターカレーション成分が発光する蛍光は緑色の蛍光であることが好ましい。この観点から、メタクロマジー性染色色素としてはアクリジンオレンジ(AO)が特に好ましく用いられる。
[調製された試料の測定および分析]
図2は、本発明の一形態に係る粒子分析方法を実施するための装置のシステム構成を示す図である。また、図3は、本形態に係る粒子分析方法を実施するための装置の一実施形態としてのフローサイトメータの概略を示す系統図である。
図2および図3に示すように、当該装置は、図1を参照しつつ上記で説明した測定試料30の調製を実施する試料調製部40と、測定試料30についてフローサイトメトリー法による分析を実施するフローサイトメータ50と、から構成されている。フローサイトメータ50は、測定試料30を流す検出領域としてのフローセル51と、フローセル51を流れる測定試料30(具体的には、当該試料に含まれる粒子)に対して光を照射する光源であるレーザ光源52とを有している。レーザ光源52は、フローセル51に対して照射光集光レンズ53を介して配置されている。また、フローサイトメータ50においては、フローセル51における測定試料30への光照射によって測定試料30中の各粒子から発生する前方への散乱光を検出する前方小角散乱光検出器(FSs)61および前方大角散乱光検出器(FLs)62が、それぞれ散乱光集光レンズ54を介して配置されている。なお、前方大角散乱光検出器(FLs)62の配置は必須ではない。さらに、フローサイトメータ50においては、フローセル51における測定試料30への光照射によって測定試料30中の各粒子から発生する側方への散乱光を検出する側方散乱光検出器(SS)63がビームスプリッタ55を介して配置されている。また、フローサイトメータ50においては、フローセル51における測定試料30への光照射によって測定試料30中の各粒子から発生する波長の異なる2つの蛍光をそれぞれ検出するための第1蛍光検出器(FL1)64および第2蛍光検出器(FL2)65が、それぞれビームスプリッタ56,57および波長選択フィルタ58,59を介して配置されている。なお、ビームスプリッタの代りにダイクロイックミラーを用いてもよい。上述した各検出器61,62,63,64,65は、光照射された測定試料30に含まれる各粒子から発生する散乱光および蛍光の強度を検出する光検出部(散乱光検出部、蛍光検出部)として機能する。
そして、フローサイトメータ50は、プロセッサ(CPU)70を有している。このプロセッサ(CPU)70は、光検出部によって検出された各粒子から発生する散乱光および蛍光の強度に基づいて血液試料中に含まれる粒子の分析を行うデータ処理部としても機能し、本形態に係る粒子分析方法におけるデータ処理(蛍光強度の規格化による蛍光濃度の算出、試料に含まれる粒子のクラスタリング、サイズヒストグラムの作成)に関連する工程を実施する。
続いて、図2および図3に示す構成を有する装置を使用した、本発明に係る粒子分析方法について、詳細に説明する。
まず、上述した試料調製部40により調製された測定試料30を、フローサイトメータ50のフローセル51に供給して、分析を開始する。測定試料30がフローセル51に供給されると、レーザ光源52は、フローセル51を流れる測定試料30(具体的には、当該試料に含まれる粒子)に対して光を照射する。ここで、照射光の波長について特に制限はないが、照射光の中心波長は、好ましくは408nm、445nm、473nmまたは488nmである。
測定試料30に対して光が照射されると、測定試料30中に含まれる各粒子から、前方への散乱光(前方散乱光(FS))が発生し、当該前方散乱光(FS)は前方小角散乱光検出器(FSs)61および前方大角散乱光検出器(FLs)62によって検出される。また、測定試料30に対して光が照射されると、測定試料30中に含まれる各粒子から、側方への散乱光(側方散乱光(SS))が発生し、当該側方散乱光(SS)は側方散乱光検出器(SS)63によって検出される。さらに、測定試料30に対して光が照射されると、測定試料30中に含まれる各粒子からは蛍光が発生する。ここで、本形態に係る方法においては、メタクロマジー性染色色素を用いて血液試料中に含まれる粒子を染色している。したがって、測定試料30に対する光の照射により、測定試料30中に含まれる各粒子からは、波長の異なる複数(例えば、2つ)の蛍光が発生する。具体的に、当該複数の蛍光は、当該メタクロマジー性染色色素のスタッキング成分に由来する蛍光(本明細書中、「第1の蛍光(FL1)」とも称する)および当該メタクロマジー性染色色素のインターカレーション成分に由来する蛍光(本明細書中、「第2の蛍光(FL2)」とも称する)を含んでいる。上記スタッキング成分に由来する蛍光(第1の蛍光(FL1))は、メタクロマジー性染色色素が核酸に対して静電相互作用によりスタッキングすることによって発生する蛍光であり、当該色素としてアクリジンオレンジ(AO)を用いた場合には中心波長が約645~655nm程度の蛍光である。そして、第1の蛍光(FL1)の蛍光強度は、核酸のうち主としてリボ核酸(RNA)の存在量と相関している。一方、上記インターカレーション成分に由来する蛍光(第2の蛍光(FL2))は、メタクロマジー性染色色素が核酸に対してインターカレートすることにより発生する蛍光であり、当該色素としてアクリジンオレンジ(AO)を用いた場合には中心波長が約520~530nm程度の蛍光である。そして、第2の蛍光(FL2)の蛍光強度は、核酸のうち主としてデオキシリボ核酸(DNA)の存在量と相関している。測定試料30への光照射により、測定試料30中に含まれる各粒子から発生した上記第1の蛍光(FL1)および第2の蛍光(FL2)は、第1蛍光検出器(FL1)64および第2蛍光検出器(FL2)65によってそれぞれ検出される。
上述したように各検出器による散乱光(前方散乱光(FS)および側方散乱光(SS))並びに蛍光(第1の蛍光(FL1)および第2の蛍光(FL2))の強度は、各検出器において電気信号に変換され、プロセッサ(CPU)70へと伝達される。そして、プロセッサ(CPU)70は、このようにして得られた電気信号を用いて、各種のデータ処理を行う。例えば、プロセッサ(CPU)70は、前方散乱光(FS)の強度に基づいて各粒子の大きさに関するパラメータを算出し、側方散乱光(SS)の強度に基づいて各粒子の大きさや各粒子に含まれる顆粒の量に関するパラメータを算出する。また、プロセッサ(CPU)70は、第1の蛍光(FL1)および第2の蛍光(FL2)の強度に基づいて、各粒子におけるスタッキング成分の量およびインターカレーション成分の量に関するパラメータをそれぞれ算出する。ここで、上述したように、第1の蛍光(FL1)の蛍光強度は、核酸のうち主としてリボ核酸(RNA)の存在量と相関しており、第2の蛍光(FL2)の蛍光強度は、核酸のうち主としてデオキシリボ核酸(DNA)の存在量と相関している。したがって、第1の蛍光(FL1)および第2の蛍光(FL2)の強度に由来する電気信号から算出される、各粒子におけるスタッキング成分の量およびインターカレーション成分の量に関するパラメータは、それぞれ各粒子におけるRNA量およびDNA量に関するパラメータとみなすことができる。
本実施形態において、プロセッサ(CPU)70は、次いで、各粒子が発光する第1の蛍光(FL1)および第2の蛍光(FL2)の強度を、各粒子の大きさでそれぞれ規格化する。これにより、各粒子における第1の蛍光(FL1)および第2の蛍光(FL2)の蛍光濃度をそれぞれ求めることができる。なお、散乱理論によれば、前方散乱光(FS)の強度(散乱断面積)は当該前方散乱光を発光した粒子の大きさ(直径)に比例することが知られている。したがって、各粒子が発光する蛍光(FL1,FL2)の強度を、各粒子の大きさに関するパラメータ(前方散乱光(FS)の強度または当該強度に基づき算出される直径)で除算することにより、各粒子のサイズを揃えたと仮定した場合の蛍光強度(すなわち、蛍光濃度)が算出される。本明細書では、この処理を「規格化」と称しているのである。なお、本明細書では、便宜上、各粒子が発光する第1の蛍光(FL1)の蛍光濃度をCRc(Cell RNA concentration;細胞内RNA濃度)と称し、各粒子が発光する第2の蛍光(FL2)の蛍光濃度をCDc(Cell DNA concentration;細胞内DNA濃度)と称する。以下ではまず、血液試料の測定により規格化の完了の時点までで得られるいくつかの情報について、説明する。
図4は、前方散乱光(FS)と側方散乱光(SS)との2次元スキャッタグラム(FS×SSサイトグラム)の測定例である。図4において、紫色のイベントは赤血球成分を示しており、緑色のイベントは血小板成分を示しており、青色のイベントは有核細胞成分を示している。図4に示すように、FS×SSサイトグラムにおいては紫色のイベント(赤血球成分)のクラスタと青色のイベント(有核細胞成分)のクラスタとは重なって表示されている。また、紫色のイベント(赤血球成分)の一部は緑色のイベント(血小板成分)のクラスタ内に存在している。したがって、FS×SSサイトグラムをそのまま用いた場合には、どのようにゲーティングを施したとしても、特定の血球成分を他の血球成分から分離することはできない。
また、図5は、第1の蛍光(FL1)と第2の蛍光(FL2)との2次元スキャッタグラム(FL1×FL2サイトグラム)の測定例である。図5に示すように、FL1×FL2サイトグラムにおいても、紫色のイベント(赤血球成分)のクラスタと青色のイベント(有核細胞成分)のクラスタとは重なって表示されている。一方、青色のイベント(有核細胞成分)のクラスタはサイトグラムの右上に独立して存在している。したがって、図5に示すように青色のイベント(有核細胞成分)のクラスタに対してゲートを設定することで、有核細胞成分のみをゲーティングすることが可能である。
続いて、図6は、上述した「規格化」の処理によって各粒子における第1の蛍光(FL1)の蛍光濃度(CRc)および第2の蛍光(FL2)の蛍光濃度(CDc)をそれぞれ求め、得られた結果に基づき作成したCRcとCDcとの2次元プロット図(本明細書中、「RNPダイアグラム」とも称する)である。なお、図6に示すRNPダイアグラムにおいては、上述したゲーティングによって削除されうる青色のイベント(有核細胞成分)についても、存在位置の確認のために表示されている。すなわち、上述した定義に基づき、RNPダイアグラムにおいては、横軸が各粒子の第1の蛍光(FL1)の蛍光濃度(CRc)を示し、縦軸が各粒子の第2の蛍光(FL2)の蛍光濃度(CDc)を示している。このことを反映して、粒子内のRNA濃度およびDNA濃度がともに比較的高い有核細胞成分(有核細胞クラスタ;PCn)はRNPダイアグラムの右上の領域にクラスタを形成していることがわかる。また、粒子内のRNA濃度およびDNA濃度がともに比較的低い赤血球成分(赤血球クラスタ;RBCn)はRNPダイアグラムの左下の領域にクラスタを形成しており、粒子内のRNA濃度は比較的高い一方でDNA濃度は比較的低い血小板成分(血小板クラスタ;PLTn)はRNPダイアグラムの右下の領域にクラスタを形成していることもわかる。
以上の通り、上述した「規格化」の処理を施して各粒子における第1の蛍光(FL1)および第2の蛍光(FL2)の蛍光濃度をそれぞれ求め、これらの蛍光濃度を2つの軸とする2次元プロット図を作成することにより、血液試料中に含まれる各粒子をクラスタリングすることができるのである。そして、本形態に係る粒子分析方法においては、血液試料中に含まれる各粒子を、赤血球クラスタ、血小板クラスタおよび有核細胞クラスタの少なくとも2つを含む複数の粒子クラスタにクラスタリングすることが必須であり、赤血球クラスタ(RBCn)、血小板クラスタ(PLTn)および有核細胞クラスタ(NCn)をいずれも含む複数の粒子クラスタにクラスタリングすることが好ましい。
次に、本形態に係る粒子分析方法では、上記で作成したRNPダイアグラム(図6)から、当該RNPダイアグラムを用いたクラスタリングによって生成した複数の粒子クラスタに含まれる少なくとも1つの粒子クラスタについて、当該粒子クラスタに含まれる各粒子の大きさを階級とするヒストグラム(サイズヒストグラム)を作成する。
図7は、図6に示すRNPダイアグラムから赤血球クラスタ(RBCn)をゲーティングすることによって分離して作成された、赤血球クラスタ(RBCn)についてのサイズヒストグラムの一例である。このサイズヒストグラムは、赤血球クラスタ(RBCn)に含まれる各粒子について、サイズを階級とするヒストグラムである。なお、サイズヒストグラムを作成する際に用いられる各粒子の大きさに関する情報について、図7では前方散乱光(FS)の強度を採用しているが、これには制限されず、場合によっては側方散乱光(SS)の強度などを採用してもよい。
本形態に係る粒子分析方法では、上記で作成した少なくとも1つの粒子クラスタについてのサイズヒストグラムに基づいて、当該粒子クラスタに含まれる各粒子を分析することをさらに含むことが好ましい。なお、この分析は、フローサイトメータ50が備えるプロセッサ(CPU)70(データ処理部)が行ってもよいし、他のコンピュータが行ってもよいし、医師や看護師、臨床検査技師等の医療従事者が行ってもよい。
具体的には、例えば、上記で作成したサイズヒストグラムにおける各粒子の大きさを示す軸を複数の領域に分割し、分割によって得られた前記複数の領域のそれぞれにおける前記粒子の数または比率に基づいて前記少なくとも1つの粒子クラスタを複数のサブクラスタに再分類することができる。これを図7に示す赤血球クラスタ(RBCn)についてのサイズヒストグラムについて見ると、図7においては、各粒子の大きさを示す軸(すなわち、横軸)が、所定の閾値を境界として2つの領域に分割されている。ここで、図7において境界として示されている閾値は、正常赤血球のサイズの下限値に対応する前方散乱光(FS)の強度の値である。これにより、赤血球クラスタ(RBCn)に含まれる粒子のうち、正常赤血球よりもサイズが小さい粒子(破砕赤血球、小型赤血球)の数または比率を測定することができる。ただし、分割は2つの領域への分割に限られず、3つ以上の領域への分割であってもよい。例えば、赤血球クラスタ(RBCn)に含まれる粒子を再分類する際には、例えば、正常赤血球のサブクラスタと、大赤血球サブクラスタ、破砕赤血球サブクラスタおよび/または小型赤血球サブクラスタと、を含む複数のサブクラスタに再分類することも好ましい。
また、上記で作成したサイズヒストグラムが血小板クラスタ(PLTn)についてのヒストグラムを含む場合には、当該サイズヒストグラムに基づき、当該血小板クラスタ(PLTn)を、正常血小板のサブクラスタと、巨大血小板サブクラスタ、大血小板サブクラスタおよび/または小型血小板サブクラスタと、を含む複数のサブクラスタに再分類することも好ましい。さらに、上記で作成したサイズヒストグラムが有核細胞クラスタ(NCn)についてのヒストグラムを含む場合には、当該有核細胞クラスタ(NCn)を、正常有核細胞のサブクラスタと、大有核細胞サブクラスタ、破砕有核細胞サブクラスタおよび/または小型有核細胞サブクラスタと、を含む複数のサブクラスタに再分類することも好ましい。
本形態に係る粒子分析方法の好ましい実施形態では、上記で説明したようにしてサイズヒストグラムを作成した粒子クラスタについて、当該粒子クラスタに含まれる各粒子の第1の蛍光(FL1)の強度または第2の蛍光(FL2)の強度を一方の軸とし、当該粒子クラスタに含まれる各粒子の大きさを他方の軸とした2次元プロット図を作成する。
そのような2次元プロット図の一例として、図8Aは、赤血球クラスタ(RBCn)について、当該クラスタに含まれる各粒子の第1の蛍光(FL1)の強度を横軸とし、当該クラスタに含まれる各粒子の大きさ(ここでは、前方散乱光(FS)の強度)を縦軸とした2次元プロット図である。そして、当該2次元プロット図において、縦軸(前方散乱光(FS)の強度)は複数(ここでは、小さいほうからRC0~RC3の4つ)の領域に分割されている。ここでは、赤血球クラスタが、粒子の大きさが大きいほうから大赤血球サブクラスタ(RC3)、正常赤血球サブクラスタ(RC2)、破砕赤血球サブクラスタ(RC1)および小型赤血球サブクラスタ(RC0)の4つのサブクラスタに再分類されている。なお、この2次元プロット図における複数の領域は、上述したサイズヒストグラムに基づく分析において当該サイズヒストグラムを分割することによって得られた複数の領域に相当することが好ましい。ただし、これらは異なっていてもよい。
ここで、図8Aに示す2次元プロット図の横軸は各粒子におけるRNA量(言い換えれば、幼若度)の指標となる第1の蛍光(FL1)の強度を示すことから、図8Aに示す赤血球クラスタ(RBCn)についての2次元プロット図に基づけば、赤血球クラスタに含まれる各粒子の幼若度に関する情報と大きさに関する情報とを同時に取得することが可能である。その結果、いずれか一方の情報(例えば、赤血球クラスタに含まれる粒子のサイズ分布)だけからは把握することができない臨床的に有用な知見(例えば、幼若網赤血球比率(IRF)といった網赤血球の幼若度など)が得られる可能性が広がる。
図8Bおよび図8Cは、血小板クラスタ(PLTn)および有核細胞クラスタ(NCn)について同様に作成した2次元プロット図である。具体的に、図8Bは、血小板クラスタ(PLTn)について、当該クラスタに含まれる各粒子の第1の蛍光(FL1)の強度を横軸とし、当該クラスタに含まれる各粒子の大きさ(ここでは、前方散乱光(FS)の強度)を縦軸とした2次元プロット図である。そして、当該2次元プロット図において、縦軸(前方散乱光(FS)の強度)は複数(ここでは、小さいほうからPC0~PC3の4つ)の領域に分割されている。ここでは、血小板クラスタが、粒子の大きさが大きいほうから巨大血小板サブクラスタ(PC3)、大血小板サブクラスタ(PC2)、正常血小板サブクラスタ(PC1)および小型血小板サブクラスタ(PC0)の4つのサブクラスタに再分類されている。
ここで、図8Bに示す2次元プロット図の横軸は各粒子におけるRNA量(言い換えれば、幼若度)の指標となる第1の蛍光(FL1)の強度を示すことから、図8Bに示す血小板クラスタ(PLTn)についての2次元プロット図に基づけば、血小板クラスタに含まれる各粒子の幼若度に関する情報と大きさに関する情報とを同時に取得することが可能である。その結果、いずれか一方の情報(例えば、血小板クラスタに含まれる粒子のサイズ分布)だけからは把握することができない臨床的に有用な知見(例えば、幼若血小板比率(IPF)といった血小板の幼若度など)が得られる可能性が広がる。
また、図8Cは、有核細胞クラスタ(NCn)について、当該クラスタに含まれる各粒子の第1の蛍光(FL1)の強度を横軸とし、当該クラスタに含まれる各粒子の大きさ(ここでは、前方散乱光(FS)の強度)を縦軸とした2次元プロット図である。そして、当該2次元プロット図において、縦軸(前方散乱光(FS)の強度)は複数(ここでは、小さいほうからNC0~NC3の4つ)の領域に分割されている。ここでは、有核細胞クラスタが、粒子の大きさが大きいほうから大有核細胞サブクラスタ(NC3)、正常有核細胞サブクラスタ(NC2)、破砕有核細胞サブクラスタ(NC1)および小型有核細胞サブクラスタ(NC0)の4つのサブクラスタに再分類されている。図8Cに示す有核細胞クラスタ(NCn)についての2次元プロット図に基づけば、有核細胞クラスタに含まれる各粒子の幼若度に関する情報と大きさに関する情報とを同時に取得することが可能である。その結果、いずれか一方の情報だけからは把握することができない臨床的に有用な知見が得られる可能性が広がる。
なお、上述した2次元プロット図が示す結果に基づき、例えば小型赤血球サブクラスタ(RC0)、小型血小板サブクラスタ(PC0)および小型有核細胞サブクラスタ(NC0)における粒子の総数から、細胞外小胞(Extracellular Vesicles;EV)の総数を把握することも可能である。また、その際に把握されたEVの幼若度の分布に関する情報も同時に得られることから、臨床的に有用な知見が提供されうる。また、図8A~図8Cに示す2次元プロット図は、赤血球クラスタ、血小板クラスタおよび有核細胞クラスタのそれぞれに含まれる粒子に対応するイベントをそれぞれ表示するものである。ただし、後述する実施例のように、複数の粒子クラスタのそれぞれに含まれる粒子に対応するイベントを合わせて1つの2次元プロット図に表示するようにしてもよい。
図8A~図8Cでは、各粒子の第1の蛍光(FL1)の強度を横軸とし、少なくとも1つの粒子クラスタに含まれる各粒子の大きさ(前方散乱光(FS)の強度)を縦軸とした2次元プロット図を例に挙げて説明したが、他の形態もまた、採用されうる。例えば、各粒子の大きさの指標として側方散乱光(SS)の強度を用いてもよい。また、各粒子の第2の蛍光(FL2)の強度を横軸として同様に作成された2次元プロット図もまた、臨床的に有用な知見を提供してくれる可能性がある。例えば、各粒子の第2の蛍光(FL2)の強度は、各粒子におけるDNA量を反映している。したがって、各粒子の第2の蛍光(FL2)の強度を横軸として同様に作成された2次元プロット図に基づくことで、各粒子クラスタにおける異常の有無を判定することができる。ここで、「異常」とは、その粒子クラスタに含まれる粒子におけるDNA量が正常な状態と比較して増加している状態をすべて含む概念である。当該「異常」としては、例えば、各粒子クラスタに含まれる粒子における各種の小体(ハウエル・ジョリー小体、パッペンハイマー小体など)、マラリア原虫、バベシア、タイレリア、トリパノソーマ、糸状虫のミクロフィリアの存在等が挙げられる。すなわち、これらの「異常」を有する粒子においては、通常の赤血球と比較して血球内のDNA量が多い。したがって、上記2次元プロット図において各粒子の第2の蛍光(FL2)の強度を一方の軸として設定し、当該軸に所定の閾値を設定することで、DNA量が当該閾値以上である粒子が存在すれば、当該粒子は何らかの上記「異常」を有している可能性が高いと判定することができる。
以下、実施例を用いて本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例のみに限定されるわけではない。
[赤血球の形態所見を伴う血液試料の測定例]
成人男性から採取された血液試料について、本発明を適用して測定を行った。なお、顕微鏡観察による当該血液試料の血液形態検査では、赤血球に関する形態所見が見られた。具体的には、破砕赤血球および小型赤血球の存在が有意に増加していることが確認された。
メタクロマジー性染色色素であるアクリジンオレンジ(AO)の0.006g/L溶液2mLに、当該血液試料5μLを添加し、混合して測定試料を調製した。次いで、全自動血球計数器(日本光電工業株式会社製、MEK-9000シリーズ、セルタックG+試作機)を用いて測定を行った。次いで、得られたFS、SS,FL1(蛍光波長525nm)、FL2(蛍光波長650nm)のデータを用い、図6に示すようなRNPダイアグラムを作成した。ここで、上記血液試料を用いて実際に作成されたRNPダイアグラムを図9Aに示す。そして、当該RNPダイアグラムから赤血球クラスタ(RBCn)にゲートを設定(ゲーティング)することによりデータを分離し、分離された赤血球クラスタに含まれる粒子について、図7に示すサイズヒストグラムを作成した。そして、正常赤血球のサイズの下限値を基準として、横軸(前方散乱光(FS)の強度)について閾値を設定し、横軸の値が当該閾値未満である粒子を破砕赤血球または小型赤血球であると判定した。図7に示す結果は、血液形態検査において破砕赤血球および小型赤血球の存在が観察されたことと符合するものである。
なお、顕微鏡観察による血液形態検査では赤血球に関する形態所見が見られなかった血液試料について、上記と同様の手法により赤血球クラスタについてのサイズヒストグラムを作成した例を図9Bに示す。図9Bに示すサイズヒストグラムにおいては、赤血球クラスタに含まれる粒子のうち、閾値未満のサイズを有する粒子はほとんど見られなかった。この結果は、血液形態検査において赤血球に関する形態所見が見られなかったことと符合するものである。
[血小板の形態所見を伴う血液試料の測定例(2)]
成人男性から採取された血液試料について、本発明を適用して測定を行った。なお、顕微鏡観察による当該血液試料の血液形態検査では、血小板に関する形態所見が見られた。具体的には、巨大血小板(Giant Platelet)の存在が有意に増加していることが確認された。
上記で準備した血液試料を用いて、上記と同様の手法により測定試料を調製し、全自動血球計数器(日本光電工業株式会社製、MEK-9000シリーズ、セルタックG+試作機)を用いて測定を行った。次いで、得られたFS、SS,FL1(蛍光波長525nm)、FL2(蛍光波長650nm)のデータを用い、図6に示すようなRNPダイアグラムを作成した。ここで、上記血液試料を用いて実際に作成されたRNPダイアグラムを図10Aに示す。そして、当該RNPダイアグラムから赤血球クラスタにゲートを設定(ゲーティング)することによりデータを分離し、分離された赤血球クラスタに含まれる粒子について、図10Bに示すサイズヒストグラムを作成した。そして、巨大血小板のサイズの下限値を基準として、横軸(前方散乱光(FS)の強度)について閾値を設定し、横軸の値が当該閾値以上である粒子を巨大血小板(Giant Platelet)であると判定した。図10Bに示す結果は、血液形態検査において巨大血小板の存在が観察されたことと符合するものである。
なお、顕微鏡観察による血液形態検査では血小板に関する形態所見が見られなかった血液試料について、上記と同様の手法により赤血球クラスタについてのサイズヒストグラムを作成した例を図10Cに示す。図10Cに示すサイズヒストグラムにおいては、血小板クラスタに含まれる粒子のうち、閾値以上のサイズを有する粒子はほとんど見られなかった。この結果は、血液形態検査において血小板に関する形態所見が見られなかったことと符合するものである。
以上の通り、メタクロマジー性染色色素を用いた本発明を適用して血液試料中の粒子を分析することで、臨床的に有用な情報をより多く取得することが可能となる。
10 メタクロマジー性染色色素、
10A 分注されたメタクロマジー性染色色素、
20 血液試料、
30 測定試料、
40 試料調製部、
50 フローサイトメータ、
51 フローセル、
52 レーザ光源、
53 照射光集光レンズ、
54 散乱光集光レンズ、
55,56,57 ビームスプリッタ、
58,59 波長選択フィルタ、
61 前方小角散乱光検出器(FSs)、
62 前方大角散乱光検出器(FLs)、
63 側方散乱光検出器(SS)、
64 第1蛍光検出器(FL1)、
65 第2蛍光検出器(FL2)、
70 プロセッサ(CPU)。

Claims (11)

  1. 血液試料に含まれる粒子を分析する粒子分析方法であって、
    メタクロマジー性染色色素を用いて前記粒子を染色することと、
    染色された前記粒子に光を照射することと、
    前記血液試料に含まれる各粒子が発光する、前記メタクロマジー性染色色素のスタッキング成分に由来する第1の蛍光および前記メタクロマジー性染色色素のインターカレーション成分に由来する第2の蛍光の強度を測定することと、
    前記各粒子が発光する前記第1の蛍光および前記第2の蛍光の強度を、前記各粒子の大きさでそれぞれ規格化することにより、前記各粒子における前記第1の蛍光および前記第2の蛍光の蛍光濃度をそれぞれ求めることと、
    前記規格化によって求められた前記蛍光濃度の2次元プロットにおいて、前記各粒子を赤血球クラスタ、血小板クラスタおよび有核細胞クラスタの少なくとも2つを含む複数の粒子クラスタにクラスタリングすることと、
    前記複数の粒子クラスタに含まれる少なくとも1つの粒子クラスタについて、前記粒子クラスタに含まれる各粒子の大きさを階級とするサイズヒストグラムを作成することと、
    前記サイズヒストグラムを作成した前記少なくとも1つの粒子クラスタについて、前記粒子クラスタに含まれる各粒子の前記第1の蛍光の強度または前記第2の蛍光の強度を一方の軸とし、前記粒子クラスタに含まれる各粒子の大きさを他方の軸とした2次元プロット図を作成することと、
    前記2次元プロット図において、前記他方の軸を各粒子の大きさに基づいて複数のサブクラスタに再分類し、粒子の大きさが最も小さいサブクラスタにおける粒子の総数を細胞外小胞の総数として取得することと、
    を含む、粒子分析方法。
  2. 前記サイズヒストグラムが赤血球クラスタについてのサイズヒストグラムを含み、
    前記赤血球クラスタを、正常赤血球のサブクラスタと、大赤血球サブクラスタ、破砕赤血球サブクラスタおよび/または小型赤血球サブクラスタと、を含む複数のサブクラスタに再分類することを含む、請求項に記載の粒子分析方法。
  3. 前記サイズヒストグラムが血小板クラスタについてのヒストグラムを含み、
    前記血小板クラスタを、正常血小板のサブクラスタと、巨大血小板サブクラスタ、大血小板サブクラスタおよび/または小型血小板サブクラスタと、を含む複数のサブクラスタに再分類することを含む、請求項またはに記載の粒子分析方法。
  4. 前記サイズヒストグラムが有核細胞クラスタについてのヒストグラムを含み、
    前記有核細胞クラスタを、正常有核細胞のサブクラスタと、大有核細胞サブクラスタ、破砕有核細胞サブクラスタおよび/または小型有核細胞サブクラスタと、を含む複数のサブクラスタに再分類することを含む、請求項のいずれか1項に記載の粒子分析方法。
  5. 前記第1の蛍光がオレンジ色の蛍光であり、前記第2の蛍光が緑色の蛍光である、請求項1~のいずれか1項に記載の粒子分析方法。
  6. 前記メタクロマジー性染色色素が、アクリジンオレンジ(AO)である、請求項に記載の粒子分析方法。
  7. 前記血液試料に含まれる粒子に照射される光の中心波長が、408nm、445nm、473nmまたは488nmである、請求項1~のいずれか1項に記載の粒子分析方法。
  8. 前記第1の蛍光の強度を前記一方の軸として得られた前記2次元プロット図に基づいて、前記少なくとも1つの粒子クラスタに含まれる各粒子の幼若度に関する情報と大きさに関する情報とを同時に取得することをさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の粒子分析方法。
  9. 前記第2の蛍光の強度を前記一方の軸として得られた前記2次元プロット図に基づいて、前記少なくとも1つの粒子クラスタにおける異常の有無を判定することをさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の粒子分析方法。
  10. 前記細胞外小胞の幼若度の分布に関する情報を取得することをさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の粒子分析方法。
  11. 血液試料に含まれる粒子に光を照射する光源と、
    前記血液試料を流すフローセルと、
    波長の異なる第1の蛍光および第2の蛍光をそれぞれ検出する複数の蛍光検出部を含む光検出部と、
    前記血液試料に含まれる各粒子が発光する前記第1の蛍光および前記第2の蛍光の強度を、前記各粒子の大きさでそれぞれ規格化することにより、前記各粒子における前記第1の蛍光および前記第2の蛍光の蛍光濃度をそれぞれ求め、
    前記規格化によって求められた前記蛍光濃度の2次元プロットにおいて、前記各粒子を赤血球クラスタ、血小板クラスタおよび有核細胞クラスタの少なくとも2つを含む複数の粒子クラスタにクラスタリングし、
    前記複数の粒子クラスタに含まれる少なくとも1つの粒子クラスタについて、前記粒子クラスタに含まれる各粒子の大きさを階級とするサイズヒストグラムを作成し、前記サイズヒストグラムを作成した前記少なくとも1つの粒子クラスタについて、前記粒子クラスタに含まれる各粒子の前記第1の蛍光の強度または前記第2の蛍光の強度を一方の軸とし、前記粒子クラスタに含まれる各粒子の大きさを他方の軸とした2次元プロット図を作成し、前記2次元プロット図において、前記他方の軸を各粒子の大きさに基づいて複数のサブクラスタに再分類し、粒子の大きさが最も小さいサブクラスタにおける粒子の総数を細胞外小胞の総数として取得する、データ処理部と、
    を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法を実施するための粒子分析装置。
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