JP7490417B2 - 粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は、粘着シートに関する。より具体的には、高周波を印加することにより被着体から容易に剥離し得る粘着シートに関する。
粘着シートは、部材を半永久的に固定する用途だけでなく、建材、内装材、電子部品等を加工したり検査したりする際に対象となる部材を仮固定するために使用される場合がある。
一例として、半導体装置の製造過程では、半導体ウェハの加工や半導体チップのような電子デバイス用材料を使用する際に、仮固定用シートとして粘着シートが用いられている。このように、粘着シートを電子デバイス用材料等の被着体に貼付して使用した後、使用後の粘着シートを剥離する場合には、前記被着体に対して過度な負荷をかけずにできることが望ましい。
同様に、粘着シートは、例えば、保護フィルム等の保護材、壁紙、各種ラベル用途等としての使用等も挙げられる。被着体に貼付した粘着シートに対して負荷をかけずに、被着体から剥離することが可能になれば、粘着シートに起因して生じる被着体の汚染、変形、破損等の不具合の低減及び防止が期待できる。
このように、被着体に粘着シートを一時的に貼付して用いる場合、当該粘着シートには、貼付時における十分な粘着力の発現と、剥離時における優れた剥離性とが要求されている。
例えば、特許文献1には、基材の少なくとも片面に、熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘着層が設けられた、電子部品切断時の仮固定用の加熱剥離型粘着シートが開示されている。該加熱剥離型粘着シートは、電子部品切断時には、被着体との接触面積を確保できるため、チップ飛び等の接着不具合を防止し得る接着性を発揮でき、一方で、使用後には、加熱して熱膨張性微小球を膨張させれば、被着体との接触面積を減少させることで、容易に剥離することができる旨の記載がある。
特許第3594853号公報
ところで、近年、特許文献1中に開示されているような粘着シートを各種製品の製造工程で用いる場合や、その他の各種用途で用いる場合、粘着シートの易剥離性を発現するためには、粘着シートを加熱可能な環境下に置かなければならないという制約がある。また、粘着シートの貼付対象である被着体も高温環境下に曝されることから、被着体にかかる熱履歴を極力低減したいという要求がある。このような観点から、新規な方法を用いて、被着体から剥離する時の剥離力を低減できる新規な粘着シートの開発が求められている。
このような観点から、本発明は、高周波を印加することで被着体から容易に剥離し得る粘着シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、熱膨張性粒子及び特定の誘電発熱フィラーを含み、少なくとも前記熱膨張性粒子を含有する熱膨張性層(A)を有する粘着シートが前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]~[11]を提供する。
[1] 熱膨張性粒子及び誘電発熱フィラーを含み、少なくとも前記熱膨張性粒子を含有する熱膨張性層(A)を有する粘着シートであって、
前記誘電発熱フィラーが酸化金属及び炭化半金属からなる群より選ばれる1種以上である、粘着シート。
[2] 前記誘電発熱フィラーが、酸化亜鉛、酸化チタン、チタン酸バリウム及び炭化ケイ素からなる群より選ばれる1種以上である、前記[1]に記載の粘着シート。
[3] 層(A)が前記誘電発熱フィラーを含有する、前記[1]又は[2]に記載の粘着シート。
[4] 層(A)中の前記誘電発熱フィラーの含有量が、1~30質量%である、前記[3]に記載の粘着シート。
[5] 層(A)中の前記熱膨張性粒子の含有量が、1~40質量%である、前記[1]~[4]のいずれか1つに記載の粘着シート。
[6] 層(A)が熱膨張性粘着剤層(AX)である、前記[1]~[5]のいずれか1つに記載の粘着シート。
[7] 層(A)が熱膨張性基材層(AY)であって、層(A)と隣接する非熱膨張性粘着剤層(X2)を有する、前記[1]~[5]のいずれか1つに記載の粘着シート。
[8] 支持体(Y)を有する、前記[1]~[7]のいずれか1つに記載の粘着シート。
[9] 層(A)と支持体(Y)とが、この順で直接積層されている、前記[8]に記載の粘着シート。
[10] 層(A)と、支持体(Y)と、層(A)と隣接しない非熱膨張性粘着剤層(X1)とをこの順で有する、前記[8]又は[9]に記載の粘着シート。
[11] 前記熱膨張性粒子の熱膨張開始温度が、50~240℃である、前記[1]~[10]のいずれか1つに記載の粘着シート。
本発明によれば、高周波を印加することで被着体から容易に剥離し得る粘着シートを提供できる。
本発明の一態様である粘着シートの構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の一態様である粘着シートの構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の一態様である粘着シートの構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の一態様である粘着シートの構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の一態様である粘着シートの構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の一態様である粘着シートの構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の一態様である粘着シートの構成の一例を示す断面模式図である。
本明細書中、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10以上、より好ましくは30以上、そして、好ましくは90以下、より好ましくは60以下」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、好適範囲を「10以上、60以下」とすることもできる。同様に、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「10~60」とすることもできる。なお、特に言及しない限り、好ましい数値範囲として単に「10~90」と記載する場合、10以上90以下の範囲を表す。
また、本明細書中、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」と「メタクリレート」の双方を示し、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」と「メタクリロイル基」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
また、本明細書中、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。紫外線は、例えば、紫外線源として無電極ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV-LED等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
また、本明細書中、「エネルギー線重合性」とは、エネルギー線を照射することにより重合する性質を意味する。
また、本明細書中、質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
また、本明細書中、組成物中の「有効成分」とは、当該組成物中に含まれる成分中、反応に直接関与しない溶媒(原料に含まれる水や有機溶媒、及び希釈溶剤等)を除いた成分を意味する。
また、本明細書中、「誘電発熱」とは、高周波を印加することによって、発熱する特性を意味する。
また、本明細書中、「高周波剥離性」とは、高周波の印加後、高周波の印加前より粘着力が低下して、被着体から容易に剥離できるようになる特性を意味する。
また、本明細書中、「高周波」とは、例えば、1kHz以上の周波数を意味し、1kHz以上、300MHz以下の周波数範囲であることが好ましい。
また、本明細書中、各層の厚さは、高周波印加前の熱膨張性粒子が膨張する前の23℃における値であり、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
また、本明細書中、「層」が「非熱膨張性層」であるか「熱膨張性層」であるかは、以下のように判断する。
対象となる層が熱膨張性粒子を含有する場合、当該層を熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)で、3分間加熱処理する。下記式から算出される体積変化率が5%未満である場合、当該層は「非熱膨張性層」であると判断し、5%以上である場合、当該層は「熱膨張性層」であると判断する。
・体積変化率(%)={(加熱処理後の前記層の体積-加熱処理前の前記層の体積)/加熱処理前の前記層の体積}×100
なお、熱膨張性粒子を含有しない層は「非熱膨張性層」であるとする。
[粘着シート]
本発明の粘着シートは、熱膨張性粒子及び誘電発熱フィラーを含み、少なくとも前記熱膨張性粒子を含有する熱膨張性層(A)を有する粘着シートであって、前記誘電発熱フィラーが酸化金属及び炭化半金属からなる群より選ばれる1種以上である。
本発明の粘着シートは、高周波を印加されて前記誘電発熱フィラーが発熱することで、前記熱膨張性粒子が加熱されて、熱膨張性層(A)(以下、「層(A)」ともいう。)が膨張する。その結果、対象となる被着体に貼付される粘着表面上に膨張した熱膨張性粒子に起因する凹凸が生じ、前記粘着表面の粘着力が低下することで、前記粘着シートを被着体から容易に剥離することが可能となる。
以下、本発明の粘着シートについて、より詳細に説明するが、本発明の態様は、これらに限定されるものではない。
<熱膨張性粒子>
本発明の粘着シートに用いられる熱膨張性粒子は、加熱により膨張する粒子であればよく、膨張開始温度(t)は、粘着シートの用途に応じて適宜選択される。
例えば、前記熱膨張性粒子として膨張開始温度が低いものを用いると、粘着シートの製造時、保管、若しくは流通時、又は被着体へ貼付後の使用環境が高温になる場合等に、熱膨張性粒子の意図しない膨張が生じてしまうことがある。熱膨張性粒子のこのような意図しない膨張が生じると、高周波を印加する前には被着体を十分に保持でき、高周波を印加することで被着体を容易に剥離できるという本来の目的を十分に奏することができず、また、被着体の意図しない分離等にも繋がるため、抑制されることが望ましい。
かかる観点から、本発明の一態様の粘着シートにおいて、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)は、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上、より更に好ましくは70℃以上である。
また、前述のとおり、本発明の一態様である粘着シートは、高周波を印加することで、粘着シートを被着体から容易に剥離できるため、被着体周囲の環境温度を高温にする必要がなく、被着体への熱による影響を低減することができる。
かかる利点をより有効に利用する観点から、本発明の一態様の粘着シートにおいて、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)は、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは200℃以下、より更に好ましくは180℃以下、より更に好ましくは160℃以下、より更に好ましくは140℃以下、より更に好ましくは120℃以下、より更に好ましくは110℃以下、より更に好ましくは105℃以下である。
なお、本明細書において、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)は、以下の方法に基づき測定された値を意味する。
(熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)の測定方法)
直径6.0mm(内径5.65mm)、深さ4.8mmのアルミカップに、測定対象となる熱膨張性粒子0.5mgを加え、その上からアルミ蓋(直径5.6mm、厚さ0.1mm)をのせた試料を作製する。
動的粘弾性測定装置を用いて、その試料にアルミ蓋上部から、加圧子により0.01Nの力を加えた状態で、試料の高さを測定する。そして、加圧子により0.01Nの力を加えた状態で、20℃から300℃まで10℃/分の昇温速度で加熱し、加圧子の垂直方向における変位量を測定し、正方向への変位開始温度を膨張開始温度(t)とする。
熱膨張性粒子としては、熱可塑性樹脂から構成された外殻と、当該外殻に内包され、且つ所定の温度まで加熱されると気化する内包成分とから構成される、マイクロカプセル化発泡剤であることが好ましい。
マイクロカプセル化発泡剤の外殻を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等が挙げられる。
マイクロカプセル化発泡剤の外殻に内包される内包成分としては、例えば、プロパン、プロピレン、ブテン、n-ブタン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、n-ペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、シクロプロパン、シクロブタン、石油エーテル等の低沸点液体が挙げられる。
これらの中でも、高周波を印加して剥離する際に被着体への熱による影響を低減するとともに、前述した温度上昇による熱膨張性粒子の意図しない膨張を抑制する観点とから、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)を50℃以上200℃以下とする場合、内包成分は、プロパン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、イソオクタン及びシクロプロパンが好ましい。
これらの内包成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)は、内包成分の種類を適宜選択することで調整可能である。
本発明の一態様で用いる、熱膨張性粒子の23℃における膨張前の平均粒子径は、好ましくは3~100μmである。前記平均粒子径が3μm以上であると、高周波を印加した際に粘着シートの表面上に膨張した熱膨張性粒子に起因する凹凸を十分に生じ易くする観点から好ましく、そして、前記平均粒子径が100μm以下であると、高周波を印加する前の粘着シートの貼付性が悪化することを防止できることから好ましい。このような観点から、熱膨張性粒子の23℃における膨張前の平均粒子径は、より好ましくは3~70μm、更に好ましくは4~60μm、より更に好ましくは5~50μm、より更に好ましくは5~30μm、より更に好ましくは8~20μmである。
なお、熱膨張性粒子の膨張前の平均粒子径とは、体積中位粒子径(D50)であり、レーザー回折式粒度分布測定装置(Malvern社製、製品名「マスターサイザー3000」)を用いて測定した、膨張前の熱膨張性粒子の粒子分布において、膨張前の熱膨張性粒子の粒子径の小さい方から計算した累積体積頻度が50%に相当する粒子径を意味する。
本発明の一態様で用いる、熱膨張性粒子の23℃における膨張前の90%粒子径(D90)としては、好ましくは5~150μmである。前記90%粒子径(D90)が5μm以上であると、高周波を印加した際に粘着シートの表面上に膨張した熱膨張性粒子に起因する凹凸を十分に生じ易くする観点から好ましく、そして、前記90%粒子径(D90)が150μm以下であると、高周波を印加する前の粘着シートの貼付性が悪化することを防止できることから好ましい。このような観点から、熱膨張性粒子の23℃における膨張前の90%粒子径(D90)は、より好ましくは10~100μm、更に好ましくは15~75μm、より更に好ましくは20~50μmである。
なお、熱膨張性粒子の膨張前の90%粒子径(D90)とは、レーザー回折式粒度分布測定装置(Malvern社製、製品名「マスターサイザー3000」)を用いて測定した、膨張前の熱膨張性粒子の粒子分布において、膨張前の熱膨張性粒子の粒子径の小さい方から計算した累積体積頻度が90%に相当する粒子径を意味する。
本発明の一態様で用いる熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)以上の温度まで加熱した際の、前記熱膨張性粒子の体積最大膨張率は、好ましくは1.5~200倍、より好ましくは2~150倍、更に好ましくは2.5~120倍、より更に好ましくは3~100倍である。
<誘電発熱フィラー>
本発明の粘着シートに用いられる誘電発熱フィラーは、酸化金属及び炭化半金属からなる群より選ばれる1種以上である。
前記誘電発熱フィラーは、高周波の印加により発熱可能な誘電特性を有する高周波吸収性フィラーであり、例えば、周波数27.12MHz又は40.68MHz等の高周波の印加により、発熱可能である高周波吸収性フィラーであることが好ましい。
前記誘電発熱フィラーとしては、好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、水和ケイ酸アルミニウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水和アルミノケイ酸塩等の結晶水を有する無機物質等の酸化金属、及び炭化ケイ素等の炭化半金属等が挙げられる。
これらの中では、入手のし易さ及び良好な誘電発熱を発現する観点から、好ましくは酸化亜鉛、酸化チタン、チタン酸バリウム及び炭化ケイ素からなる群より選ばれる1種以上であり、より好ましくは酸化亜鉛、酸化チタン、及び炭化ケイ素からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。また、着色性の観点、及び層(A)が樹脂から形成される層である場合に、光触媒作用によって用いる樹脂の劣化が生じる虞を回避できる観点から、これらの中では、更に好ましくは酸化亜鉛である。また、酸化亜鉛は、種類が豊富であり、様々な形状及びサイズから選択でき、粘着シートの粘着性や機械特性を用途に合わせて改良し易いという観点からも好適に用いることができる。
また、前記酸化チタンとしては、例えば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン等が挙げられ、これらの中では好ましくは誘電特性の観点からアナターゼ型酸化チタンである。
本発明の一態様で用いる、誘電発熱フィラーの平均粒子径は、好ましくは1~30μmである。
前記平均粒子径が1μm以上であると、フィラー内部で分極できる距離が大きくなるため分極の度合いが大きくなり、高周波を印加した際の反転運動が激しくなり、より誘電発熱し易くなる観点で好ましい。また、前記平均粒子径が30μm以下であると、周囲の誘電発熱フィラーとの距離が適度に保たれ、誘電発熱フィラー同士の距離が近づき過ぎて各々の電荷の影響を受け、高周波を印加した際の反転運動が低下することを抑制でき、誘電発熱し易くなる観点で好ましい。
かかる観点から、誘電発熱フィラーの平均粒子径は、より好ましくは2~25μm、更に好ましくは3~20μm、より更に好ましくは5~15μmである。
なお、前記誘電発熱フィラーの平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法により測定される粒度分布の測定結果から、JIS Z 8819-2:2001に準拠して算出される体積平均粒子径の値を意味する。
[粘着シートの構成]
以下に、本発明の一態様である粘着シートの例を、各図を用いて説明するが、本発明の粘着シートは、本発明の効果が発現する限り、以下の例に限定されるものではない。
図1~図7は、それぞれ、本発明の粘着シートの構成の一例を示す、粘着シート10~70の断面模式図である。
本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図1に示す粘着シート10のように、熱膨張性層(A)が熱膨張性粘着剤層(AX)(以下、「層(AX)」ともいう。)であり、層(AX)の単層からなる粘着シートが挙げられる。
図1に示す粘着シート10の場合、層(AX)は、前記熱膨張性粒子に加えて、前記誘電発熱フィラーを含有する。当該態様である場合、例えば、層(AX)が、直接、被着体と接することになるので、層(AX)中の熱膨張性粒子の膨張に起因する凹凸を、他の層を介さずに、直接、粘着シートの高周波剥離性を発現する表面1上に形成させ易くなる。その結果、粘着シートの高周波剥離性を向上させ易くなる観点から好ましい。
また、図1に示す粘着シート10において、層(AX)の片側の露出面に剥離材を設けてもよく(図示せず)、両方の露出面上に剥離材を設けてもよい(図示せず)。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図1に示す粘着シート10において、層(A)である層(AX)の片側の露出面及び/又は両方の露出面上に、更に、後述する非熱膨張性粘着剤層(X2)を有する粘着シートとしてもよい(図示せず)。当該態様の粘着シートにおいて、層(AX)及び/又は非熱膨張性粘着剤層(X2)の露出面上に剥離材を設けてもよい(図示せず)。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図2に示す粘着シート20のように、支持体(Y)を有し、層(A)である層(AX)と、支持体(Y)とをこの順で積層した構造を有する粘着シートが挙げられる。図2に示す粘着シート20の場合も、層(AX)は、前記熱膨張性粒子に加えて、前記誘電発熱フィラーを含有する。
また、図2に示す粘着シート20において、層(AX)の露出面及び/又は支持体(Y)の露出面上に剥離材を設けてもよい(図示せず)。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図2に示す粘着シート20において、層(A)である層(AX)の露出面上に、更に、後述する非熱膨張性粘着剤層(X2)を有する粘着シートとしてもよい(図示せず)。当該態様の粘着シートにおいて、非熱膨張性粘着剤層(X2)の露出面及び/又は支持体(Y)の露出面上に剥離材を設けてもよい(図示せず)。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図3に示す粘着シート30のように、層(A)と隣接しない非熱膨張性粘着剤層(X)(以下、「層(X)」ともいう。)である非熱膨張性粘着剤層(X1)と、支持体(Y)と、層(AX)とをこの順で積層した構造を有する粘着シートが挙げられる。図3に示す粘着シート30の場合も、層(AX)は、前記熱膨張性粒子に加えて、前記誘電発熱フィラーを含有する。
本明細書中、層(A)と隣接しない層(X)を、非熱膨張性粘着剤層(X1)(以下、「層(X1)」ともいう。)とも称する。
また、図3に示す粘着シート30において、層(AX)の露出面及び/又は層(X1)の露出面上に剥離材を設けてもよい(図示せず)。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図3に示す粘着シート30において、層(A)である層(AX)の露出面上に、更に、後述する非熱膨張性粘着剤層(X2)を有する粘着シートとしてもよい(図示せず)。当該態様の粘着シートにおいて、非熱膨張性粘着剤層(X2)の露出面及び/又は層(X1)の露出面上に剥離材を設けてもよい(図示せず)。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図3に示す粘着シート30において、層(X1)に替えて層(AX)を設けた両面熱膨張性粘着シートとしてもよい(図示せず)。当該態様において、両面に存在する層(AX)は互いに同一の組成であってもよく、異なる組成であってもよい。また、両面に存在する層(AX)の片側の露出面に剥離材を設けてもよく(図示せず)、両方の露出面上に剥離材を設けてもよい(図示せず)。また、当該態様において、両面に存在する層(AX)の片側の露出面及び/又は両方の露出面上に、更に、後述する非熱膨張性粘着剤層(X2)を有する粘着シートとしてもよい(図示せず)。当該態様の粘着シートにおいて、非熱膨張性粘着剤層(X2)の露出面及び/又は層(AX)の露出面上に剥離材を設けてもよい(図示せず)。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図4に示す粘着シート40のように、層(A)である熱膨張性基材層(AY)(以下、「層(AY)」ともいう。)と、非熱膨張性層(X)とをこの順で積層した構造を有する粘着シートが挙げられる。
また、図4に示す粘着シート40の場合、層(AY)が、前記熱膨張性粒子に加えて、前記誘電発熱フィラーを含有することが好ましい。当該態様である場合、例えば、熱膨張性層(A)である層(AY)は、直接、被着体と接しないため、被着体と接する層(X)から熱膨張性粒子又は誘電発熱フィラー等が脱離する虞や表面に露出する虞がなく、熱膨張性粒子又は誘電発熱フィラーにより被着体が汚染されるリスクを低減、防止できる観点から好ましい。また、層(AY)からの熱が直接被着体に伝わらないことから、被着体への熱履歴を抑制できる観点からも好ましい。
また、層(AY)を有する粘着シートの場合、図4に示す粘着シート40のように層(A)である層(AY)と、層(A)と隣接する層(X)である非熱膨張性粘着剤層(X2)とが、この順で直接積層されている態様であることが好ましい。
ここで、「直接積層」とは、例えば、図4に示す粘着シート40の場合、層(AY)と、層(X2)との間に、他の層を有さずに、2層が直接接触している構成を指す。
また、本明細書中、層(A)と隣接する層(X)を、非熱膨張性粘着剤層(X2)(以下、「層(X2)」ともいう。)とも称する。
層(AY)と、層(X2)とが、この順で直接積層されている態様であることで、粘着シートに高周波を印加し、前記熱膨張性粒子が膨張して層(X2)の表面に凹凸を形成する際、層(AY)中の熱膨張性粒子の膨張が、他の層を介さずに、直接、層(X2)の高周波剥離性を発現する表面1に影響を与えることが可能となる。その結果、高周波剥離性がより良好に奏される観点から好ましい。
また、図4に示す粘着シート40において、層(X2)の露出面及び/又は層(AY)の露出面上に剥離材を設けてもよい(図示せず)。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図5に示す粘着シート50のように、支持体(Y)と、層(A)である層(AY)と、層(X)とをこの順で積層した構造を有する粘着シートが挙げられる。図5に示す粘着シート50の場合も、層(AY)が、前記熱膨張性粒子に加えて、前記誘電発熱フィラーを含有することが好ましい。
また、図5に示す粘着シート50の場合、図4に示す粘着シート40について前述した理由と同様の観点から、層(AY)と、層(X)とが、この順で直接積層されている態様であることが好ましい。すなわち、層(X)が層(X2)であることが好ましい。
また、図5に示す粘着シート50の場合、支持体(Y)と、層(AY)とが、この順で直接積層されている態様であることが好ましい。支持体(Y)と、層(AY)とが直接積層されていることで、層(AY)中の前記熱膨張性粒子が膨張する際、支持体(Y)側での膨張が抑制され易くなるため、より、層(X)側に向けて熱膨張粒子が膨張し易くなると考えられる。その結果、熱膨張粒子に起因する膨張が、層(X)の高周波剥離性を発現する表面1に影響を与え易くなり、粘着シートの高周波剥離性がより発現し易くなる観点からより好ましい。
また、前述した理由から、図5に示す粘着シート50の場合、支持体(Y)と、層(AY)と、層(X2)との3層が、この順で直接積層されている態様であることがより好ましい。図5に示す粘着シート50の場合、「3層が、この順で直接積層されている態様」とは、支持体(Y)と、層(AY)と、層(X2)との間に、他の層を有さずに、3層が直接接触している構成を指す。
また、図5に示す粘着シート50において、支持体(Y)の露出面及び/又は層(X2)の露出面上に剥離材を設けてもよい(図示せず)。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図6に示す粘着シート60のように、非熱膨張性粘着剤層(X)と、支持体(Y)と、層(A)である層(AY)と、第非熱膨張性粘着剤層(X)とをこの順で積層した構造を有する粘着シートが挙げられる。図6に示す粘着シート60の場合も、層(AY)が、前記熱膨張性粒子に加えて、前記誘電発熱フィラーを含有することが好ましい。
また、図6に示す粘着シート60の場合、図4に示す粘着シート40について前述した理由と同様の観点から、層(AY)の支持体(Y)とは反対側に位置する層(X)が、この順で直接積層されている態様であることが好ましい。すなわち、層(AY)の支持体(Y)とは反対側に位置する層(X)が、層(A)である層(AY)と隣接する非熱膨張性粘着剤層(X2)であることが好ましい。当該態様では、層(X2)が高周波剥離性を発現する表面1を有する。
また、図6に示す粘着シート60の場合、図5に示す粘着シート50について前述した理由と同様の観点から、支持体(Y)と、層(AY)とが、この順で直接積層されている態様であることがより好ましく、支持体(Y)と、層(AY)と、層(X2)とが、この順で直接積層されている態様であることが更に好ましい。
また、図6に示す粘着シート60において、両面に存在する層(X)は互いに同一の組成であってもよく、異なる組成であってもよい。また、各層(X)の露出面には、それぞれ独立に、剥離材を設けてもよい(図示せず)。
また、図6に示す粘着シート60において、層(A)である層(AY)と隣接しない層(X)である層(X1)を、層(AX)に置換した両面熱膨張性粘着シートとしてもよい(図示せず)。当該態様において、両面に存在する層(AX)は互いに同一の組成であってもよく、異なる組成であってもよい。また、各層(AX)の露出面には、それぞれ独立に、剥離材を設けてもよい(図示せず)。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図7に示す粘着シート70のように、層(X)と、層(AY)と、層(X)とをこの順で積層した構造を有する粘着シートが挙げられる。図7に示す粘着シート70の場合も、層(AY)が、前記熱膨張性粒子に加えて、前記誘電発熱フィラーを含有することが好ましい。
また、図7に示す粘着シート70の場合、図4に示す粘着シート40について前述した理由と同様の観点から、層(AY)と、層(X)のうちの少なくとも1層とが、この順で直接積層されている態様であることが好ましい。すなわち、層(AY)の両面に位置する層(X)のうち少なくとも1つの層(X)が層(X2)であることがより好ましい。
また、図7に示す粘着シート70の場合、図4に示す粘着シート40について前述した理由と同様の観点から、層(X)と、層(AY)と、層(X)との3層が、この順で直接積層されている態様であることがより好ましい。すなわち、層(AY)の両面に位置する層(X)が両方ともに層(X2)であることがより好ましい。
また、図7に示す粘着シート70において、両面に存在する層(X)は互いに同一の組成であってもよく、異なる組成であってもよい。また、各層(X)の露出面には、それぞれ独立に、剥離材を設けてもよい(図示せず)。
以下に、前述した本発明の一態様である粘着シートの例で記述した各層について、順次説明するが、本発明の粘着シートは、本発明の効果が発現する限り、以下の例に限定されるものではない。
<熱膨張性層(A)>
前記熱膨張性層(A)は、少なくとも前記熱膨張性粒子を含有する層であり、好ましくは熱膨張性粘着剤層(AX)又は熱膨張性基材層(AY)である。
層(A)中の熱膨張性粒子の含有量は、層(A)の全量(100質量%)中、好ましくは1~40質量%、より好ましくは3~35質量%、更に好ましくは5~30質量%、より更に好ましくは10~25質量%である。
前記熱膨張性粒子の含有量が1質量%以上であると、粘着シートに高周波を印加した際に粘着シートの粘着表面に十分な凹凸を形成させて高周波剥離性を向上させ易くなる観点から好ましい。また、前記熱膨張性粒子の含有量が40質量%以下であると、層(A)を形成する塗膜の塗工性向上の観点、並びに、粘着シートに高周波を印加する前の層(A)表面の外観の悪化を抑制できる観点及び層(A)の脆化を防止できる観点から好ましい。
また、層(A)は、前記誘電発熱フィラーを含有することが好ましい。層(A)が前記熱膨張性粒子とともに、誘電発熱フィラーを含有することで、高周波を印加して発熱した誘電発熱フィラーの熱を、効率的に熱膨張性粒子の膨張に利用することができる。また、粘着シート全体における誘電発熱フィラーの含有量も低減することができる点で経済面の観点からも好ましい。
層(A)が誘電発熱フィラーを含有する場合、層(A)中の誘電発熱フィラーの含有量は、層(A)の全量(100質量%)中、好ましくは1~30質量%、より好ましくは3~25質量%、更に好ましくは4~20質量%、より更に好ましくは6~18質量%である。
前記誘電発熱フィラーの含有量が1質量%以上であると、粘着シートの高周波剥離性が向上し易くなる観点から好ましい。また、前記誘電発熱フィラーの含有量が30質量%以下であると、層(A)を形成する塗膜の塗工性向上の観点、並びに、粘着シートに高周波を印加する前の層(A)表面の外観の悪化を抑制できる観点及び層(A)の脆化を防止できる観点から好ましい。
また、層(A)は、樹脂成分を含有することが好ましい。
ここで、層(A)が樹脂成分を含有し、前記誘電発熱フィラーを含有しない場合、層(A)中の樹脂成分の含有量は、層(A)の全量(100質量%)中、好ましくは50~99質量%である。当該樹脂成分の含有量が50質量%以上であると、層(A)の脆化を防止できる観点から好ましく、そして、前記樹脂成分の含有量が99質量%以下であると、得られる粘着シートの高周波剥離性が悪化することを防止できる観点から好ましい。このような観点から、層(A)が樹脂成分を含有し、前記誘電発熱フィラーを含有しない場合、層(A)中の樹脂成分の含有量は、層(A)の全量(100質量%)中、より好ましくは60~98質量%、更に好ましくは65~97質量%、より更に好ましくは70~95質量%、より更に好ましくは75~90質量%である。
また、層(A)が樹脂成分を含有し、前記誘電発熱フィラーも含有する場合、層(A)中の樹脂成分の含有量は、層(A)の全量(100質量%)中、好ましくは50~98質量%である。当該樹脂成分の含有量が50質量%以上であると、層(A)の脆化を防止できる観点から好ましく、そして、前記樹脂成分の含有量が98質量%以下であると、得られる粘着シートの高周波剥離性が悪化することを防止できる観点から好ましい。このような観点から、層(A)が樹脂成分を含有し、前記誘電発熱フィラーを含有する場合、層(A)中の樹脂成分の含有量は、層(A)の全量(100質量%)中、より好ましくは55~90質量%、更に好ましくは60~85質量%、より更に好ましくは62~80質量%である。
当該層(A)中の樹脂成分の含有量とは、後述する熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)が含む粘着性樹脂の含有量、又は、熱膨張性基材用組成物(ay)が含有する樹脂の含有量(熱膨張性基材用組成物(ay)が無溶剤型熱膨張性基材用組成物(ay’)の場合、質量平均分子量(Mw)が50,000以下のエチレン性不飽和基を有するオリゴマーと、エネルギー線重合性モノマーとの合計含有量)と、必要に応じて添加され、それらの樹脂と反応する架橋剤及び重合開始剤等の添加剤の含有量との合計含有量とみなすことができる。
(熱膨張性層(A)の23℃における厚さ)
本発明の一態様において、層(A)の厚さは、好ましくは20~2,000μm、より好ましくは20~1,000μm、更に好ましくは20~500μmである。
層(A)の当該厚さが20μm以上であると、層(A)を形成し易くなり、形成された高周波印加前の層(A)を有する粘着シートの粘着表面上に凹凸が出にくく、被着体に対する十分な粘着力が得られ易くなるため好ましい。また、層(A)の当該厚さが2,000μm以下であると、層(A)及び当該層(A)を有する粘着シートをロール状に巻回する場合等の取扱い性が向上する。
当該層(A)の厚さに係る更に好適な範囲は、層(A)が熱膨張性粘着剤層(AX)である場合と、熱膨張性基材層(AY)である場合とで異なるため、それぞれの好適範囲については後述する。
なお、層(A)の23℃における厚さは、後述する実施例に記載の方法で測定される値である。
(熱膨張性粘着剤層(AX))
本発明の一態様において使用し得る前記熱膨張性粘着剤層(AX)は、例えば、少なくとも前記熱膨張性粒子を含有し、粘着性樹脂を含む熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)から形成することができる。
本発明の一態様において、層(A)が層(AX)である場合、層(AX)中における前記熱膨張性粒子の含有量の好適範囲は、層(A)中の熱膨張性粒子の含有量について、前述した範囲と同じである。当該好適範囲の設定理由も前述したとおりである。
また、本発明の一態様において、層(A)が層(AX)であり、前記誘電発熱フィラーを含有する場合、層(AX)中における前記誘電発熱フィラーの含有量の好適範囲は、層(A)中の誘電発熱フィラーの含有量について、前述した範囲と同じである。当該好適範囲の設定理由も前述したとおりである。
本発明の一態様において、層(A)が層(AX)であって、層(AX)が前記誘電発熱フィラーを含有しない場合、層(AX)中の樹脂成分の含有量の好適範囲は、層(A)中の樹脂成分の含有量について、前述した範囲と同じである。当該好適範囲の設定理由も前述したとおりである。
また、層(A)が層(AX)であって、層(AX)が前記誘電発熱フィラーも含有する場合についても、層(AX)中の樹脂成分の含有量の好適範囲は、層(A)中の樹脂成分の含有量について、前述した範囲と同じである。当該好適範囲の設定理由も前述したとおりである。
本発明の一態様において、層(A)が層(AX)である場合、層(AX)中の熱膨張性粒子及び樹脂成分、並びに必要に応じて添加される誘電発熱フィラーの合計含有量は、層(AX)の全量(100質量%)中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
〔熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)〕
層(AX)は、粘着性樹脂を含む熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)(以下、単に「組成物(ax)」ともいう。)は粘着性樹脂から形成することが好ましい。以下、組成物(ax)の好ましい態様について説明する。
層(A)が層(AX)である場合、組成物(ax)中における前記熱膨張性粒子の含有量は、組成物(ax)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは1~40質量%、より好ましくは3~35質量%、更に好ましくは5~30質量%、より更に好ましくは10~25質量%である。
前記熱膨張性粒子の含有量が1質量%以上であると、粘着シートに高周波を印加した際に層(AX)の粘着表面に十分な凹凸を形成させ易くなる観点から好ましい。また、前記熱膨張性粒子の含有量が40質量%以下であると、層(AX)を形成する塗膜の塗工性向上の観点、並びに、粘着シートに高周波を印加する前の層(AX)表面の外観の悪化を抑制できる観点及び層(AX)の脆化を防止できる観点から好ましい。
また、層(A)が層(AX)であって、層(AX)が誘電発熱フィラーを含有する場合、組成物(ax)中における前記誘電発熱フィラーの含有量は、組成物(ax)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは1~30質量%、より好ましくは3~25質量%、更に好ましくは4~20質量%、更に好ましくは6~18質量%である。
前記誘電発熱フィラーの含有量が1質量%以上であると、粘着シートの高周波剥離性が向上し易くなる観点から好ましい。また、前記誘電発熱フィラーの含有量が30質量%以下であると、層(AX)を形成する塗膜の塗工性向上の観点、並びに、粘着シートに高周波を印加する前の層(AX)表面の外観の悪化を抑制できる観点及び層(AX)の脆化を防止できる観点から好ましい。
ここで、層(A)が層(AX)であって、層(AX)が前記誘電発熱フィラーを含有しない場合、組成物(ax)中における前記粘着性樹脂の含有量は、組成物(ax)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは50~99質量%である。当該粘着性樹脂の含有量が50質量%以上であると、層(AX)の脆化を防止できる観点から好ましく、そして、前記粘着性樹脂の含有量が99質量%以下であると、得られる粘着シートの高周波剥離性が悪化することを防止できる観点から好ましい。このような観点から、層(A)が層(AX)であって、層(AX)が前記誘電発熱フィラーを含有しない場合、組成物(ax)中における前記粘着性樹脂の含有量は、組成物(ax)の有効成分の全量(100質量%)中、より好ましくは60~98質量%、更に好ましくは65~97質量%、より更に好ましくは70~95質量%、より更に好ましくは75~90質量%である。
また、層(A)が層(AX)であって、層(A1)が前記誘電発熱フィラーを含有する場合、組成物(ax)中における前記粘着性樹脂の含有量は、組成物(ax)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは50~98質量%である。当該粘着性樹脂の含有量が50質量%以上であると、層(AX)の脆化を防止できる観点から好ましく、そして、前記粘着性樹脂の含有量が98質量%以下であると、得られる粘着シートの高周波剥離性が悪化することを防止できる観点から好ましい。このような観点から、層(A)が層(AX)であって、層(AX)が前記誘電発熱フィラーを含有する場合、組成物(ax)中における前記粘着性樹脂の含有量は、組成物(ax)の有効成分の全量(100質量%)中、より好ましくは55~90質量%、更に好ましくは60~85質量%、より更に好ましくは62~80質量%である。
{粘着性樹脂}
前記粘着性樹脂としては、当該樹脂単独で粘着性を有し、質量平均分子量(Mw)が1万以上の重合体が挙げられる。
粘着性樹脂の質量平均分子量(Mw)は、粘着剤層(A1)の粘着力向上の観点から、好ましくは1万~200万、より好ましくは2万~150万、更に好ましくは3万~100万である。
粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂等のゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂等が挙げられる。
これらの粘着性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらの粘着性樹脂が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
粘着性樹脂は、側鎖に重合性官能基を導入したエネルギー線硬化型の粘着性樹脂であってもよい。
当該重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等の炭素-炭素二重結合を有するものが挙げられる。
また、エネルギー線としては、上記したものの中でも、取り扱いが容易な紫外線が好ましい。
ここで、本発明の一態様において、層(AX)に優れた粘着力を発現させ易くする観点から、粘着性樹脂がアクリル系樹脂を含むことが好ましい。
粘着性樹脂中、アクリル系樹脂の含有量は、組成物(ax)に含まれる粘着性樹脂の全量(100質量%)中、好ましくは30~100質量%、より好ましくは50~100質量%、更に好ましくは70~100質量%、より更に好ましくは85~100質量%、より更に好ましくは95~100質量%、より更に好ましくは98~100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
{{アクリル系樹脂}}
本発明の一態様において、粘着性樹脂として使用し得る、アクリル系樹脂としては、例えば、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体等が挙げられる。
アクリル系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは10万~150万、より好ましくは20万~130万、更に好ましくは35万~120万、より更に好ましくは50万~110万である。
本発明の一態様で用いるアクリル系樹脂としては、アルキル(メタ)アクリレート(m1’)(以下、「モノマー(m1’)」ともいう)に由来する構成単位(m1)及び官能基含有モノマー(m2’)(以下、「モノマー(m2’)」ともいう)に由来する構成単位(m2)を有するアクリル系共重合体(P1)がより好ましい。
モノマー(m1’)が有するアルキル基の炭素数としては、層(AX)に優れた粘着力を発現させるという観点から、好ましくは1~24、より好ましくは1~12、更に好ましくは2~10、より更に好ましくは4~8である。
なお、モノマー(m1’)が有するアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
モノマー(m1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのモノマー(m1’)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマー(m1’)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソオクチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、ブチル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上が更に好ましい。
構成単位(m1)の含有量は、アクリル系共重合体(P1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは50~99.9質量%、より好ましくは60~99.0質量%、更に好ましくは70~97.0質量%、より更に好ましくは80~95.0質量%である。
モノマー(m2’)が有する官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
つまり、モノマー(m2’)としては、例えば、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
これらのモノマー(m2’)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、モノマー(m2’)としては、ヒドロキシ基含有モノマー及びカルボキシ基含有モノマーが好ましく、ヒドロキシ基含有モノマーがより好ましい。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール類等の水酸基含有化合物が挙げられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸及びその無水物、2-(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
構成単位(m2)の含有量は、アクリル系共重合体(P1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは0.1~40質量%である。
アクリル系共重合体(P1)が、後述するアクリル系共重合体(P2)でない場合、構成単位(m2)の含有量は、アクリル系共重合体(P1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.5~20質量%、更に好ましくは1.0~15質量%、より更に好ましくは3.0~10質量%である。
アクリル系共重合体(P1)が、後述するアクリル系共重合体(P2)である場合、構成単位(m2)の含有量は、アクリル系共重合体(P1)の全構成単位(100質量%。ただし、後述する重合性化合物(Q)由来の構成単位を除く。)中、好ましくは1.0~40質量%、より好ましくは5.0~35質量%、更に好ましくは10~30質量%である。
アクリル系共重合体(P1)は、更にモノマー(m1’)及び(m2’)以外の他のモノマー(m3’)に由来の構成単位(m3)を有していてもよい。
なお、アクリル系共重合体(P1)において、構成単位(m1)及び(m2)の合計含有量は、アクリル系共重合体(P1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%、更に好ましくは90~100質量%、より更に好ましくは95~100質量%、より更に好ましくは98~100質量%である。
モノマー(m3’)としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン等が挙げられる。
また、アクリル系共重合体(P1)は、主鎖及び側鎖の少なくともいずれか一方に重合性官能基を導入した、エネルギー線硬化型のアクリル系共重合体(P2)としてもよい。
アクリル系共重合体(P2)としては、側鎖に重合性官能基を導入した、エネルギー線硬化型のアクリル系共重合体であることが好ましい。
当該重合性官能基及び当該エネルギー線は、上述のとおりである。
なお、重合性官能基は、上述の構成単位(m1)及び(m2)を有するアクリル系共重合体(P1)と、当該アクリル系共重合体の構成単位(m2)が有する官能基と反応し得る置換基(以下、単に「反応性置換基」ともいう。)及び重合性官能基を有する重合性化合物(Q)とを反応させることで導入することができる。
重合性化合物(Q)としては、重合性官能基と、反応性置換基とを有する化合物である。
重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、重合性化合物(Q)は、重合性官能基を1分子あたり1~5個有する化合物であることが好ましい。
重合性化合物(Q)における反応性置換基としては、モノマー(m2)が有する官能基に応じて適宜変更すればよいが、例えば、イソシアネート基、カルボキシル基、エポキシ基等が挙げられ、反応性等の観点から、イソシアネート基が好ましい。重合性化合物(Q)は、イソシアネート基を有すると、例えば、モノマー(m2’)の官能基がヒドロキシ基である場合に、アクリル系共重合体(P1)に容易に反応することが可能になる。
重合性化合物(Q)としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。これらの重合性化合物(Q)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、上記反応性置換基として好適なイソシアネート基を有しており、且つ主鎖と炭素-炭素二重結合基との距離が適当となる化合物であるとの観点から、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートが好ましい。
重合性化合物(Q)は、アクリル系共重合体(P1)におけるモノマー(m2’)由来の官能基全量(100当量)のうち、好ましくは15~98当量、より好ましくは25~95当量、更に好ましくは50~95当量、より更に好ましくは60~90当量、より更に好ましくは70~85当量がモノマー(m2’)由来の官能基に反応される。
{エネルギー線硬化性化合物}
本発明の一態様において、組成物(ax)は、粘着性樹脂に加えて、エネルギー線硬化性化合物を含有していてもよい。当該エネルギー線硬化性化合物としては、分子内に不飽和基を有し、エネルギー線照射により重合硬化可能なモノマー又はオリゴマーが好ましい。
当該エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート,ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等のオリゴマーが挙げられる。
これらの中でも、比較的分子量が高く、層(AX)の弾性率を低下させにくい観点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
エネルギー線硬化性化合物の分子量(オリゴマーの場合は質量平均分子量(Mw))は、好ましくは100~12,000、より好ましくは200~10,000、更に好ましくは400~8,000、より更に好ましくは600~6,000である。
組成物(ax)中、エネルギー線硬化性化合物の含有量は、前記粘着性樹脂が非エネルギー線硬化型の粘着性樹脂のみを含む場合、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは40~200質量部、より好ましくは50~150質量部、更に好ましくは60~90質量部である。
一方、前記粘着性樹脂がエネルギー線硬化型の粘着性樹脂(例えば、アクリル系共重合体(P2)等)を含む場合、組成物(ax)中、エネルギー線硬化性化合物の含有量は、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは1~30質量部、より好ましくは2~20質量部、更に好ましくは3~15質量部である。
{架橋剤}
本発明の一態様において、組成物(ax)は、上述のアクリル系共重合体(P1)又は(P2)のように、官能基を有する粘着性樹脂を含有する場合、更に架橋剤を含有することが好ましい。
当該架橋剤は、官能基を有する粘着性樹脂と反応して、当該官能基を架橋起点として、粘着性樹脂同士を架橋するものである。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
これらの架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの架橋剤の中でも、凝集力を高めて粘着力を向上させる観点、入手し易さ等の観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の非環式脂肪族ポリイソシアネート;等の多価イソシアネート化合物等が挙げられる。
また、イソシアネート系架橋剤としては、当該多価イソシアネート化合物のトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含むイソシアヌレート型変性体等も挙げられる。
組成物(ax)中、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂が有する官能基の数により適宜調整されるものであるが、官能基を有する粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.03~7質量部、更に好ましくは0.05~5質量部である。
{光重合開始剤}
本発明の一態様において、組成物(ax)が、粘着性樹脂として、エネルギー線硬化型の粘着性樹脂及び/又はエネルギー線硬化性化合物を含む場合、更に光重合開始剤を含有することが好ましい。当該一態様において、組成物(ax)が、光重合開始剤を含有することで、当該組成物(ax)から形成される粘着剤層は、比較的低エネルギーのエネルギー線の照射によっても、十分に硬化反応を進行させ、粘着力を所望の範囲に調整することが可能となる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィノキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物、更には、アミンやキノン等の光増感剤等が挙げられる。光重合開始剤としては、より具体的には、例えば、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロルニトリル、ジベンジル、ジアセチル、8-クロールアンスラキノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、エネルギー線硬化型の粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.03~5.0質量部、更に好ましくは0.05~3.0質量部、より更に好ましくは0.1~2.0質量部である。
{粘着付与剤}
本発明の一態様において、組成物(ax)は、粘着力をより向上させる観点から、更に粘着付与剤を含有していてもよい。
本明細書において、「粘着付与剤」とは、粘着性樹脂の粘着力を補助的に向上させる成分であって、質量平均分子量(Mw)が1万未満のものを指し、前述した粘着性樹脂とは区別されるものである。
粘着付与剤の質量平均分子量(Mw)は1万未満であり、好ましくは400~9,000、より好ましくは500~8,000、更に好ましくは800~5,000である。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、スチレン系樹脂、石油ナフサの熱分解で生成するペンテン、イソプレン、ピペリン、1,3-ペンタジエン等のC5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂、石油ナフサの熱分解で生成するインデン、ビニルトルエン等のC9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂、及びこれらを水素化した水素化樹脂等が挙げられる。
粘着付与剤の軟化点は、好ましくは60~170℃、より好ましくは65~160℃、更に好ましくは70~150℃である。
なお、本明細書において、粘着付与剤の「軟化点」は、JIS K 2531に準拠して測定される値を意味する。
粘着付与剤は、1種を単独で用いてもよく、軟化点、構造等が異なる2種以上を併用してもよい。2種以上の粘着付与剤を用いる場合、それら複数の粘着付与剤の軟化点の加重平均が、上記範囲に属することが好ましい。
組成物(ax)が粘着付与剤を含む場合、当該粘着付与剤の含有量は、組成物(ax)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは0.01~65質量%、より好ましくは0.1~50質量%、更に好ましくは1~40質量%、より更に好ましくは2~30質量%である。
{粘着剤用添加剤}
本発明の一態様において、組成物(ax)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の添加剤以外にも、一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤を含有していてもよい。
このような粘着剤用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、防錆剤、顔料、染料、遅延剤、反応促進剤(触媒)、紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、これらの粘着剤用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
組成物(ax)が、これらの粘着剤用添加剤を含有する場合、組成物(ax)中のそれぞれの粘着剤用添加剤の含有量は、それぞれ独立して、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部、更に好ましくは0.01~6質量部である。
〔熱膨張性粘着剤層(AX)の23℃における厚さ〕
本発明の一態様において、層(A)が、層(AX)である場合、層(AX)の23℃における厚さは、良好な粘着力を発現させると共に、熱膨張性粒子を加熱により膨張させた際に、層(AX)の粘着表面に凹凸を良好に形成させる観点から、好ましくは20~2,000μm、より好ましくは20~1,000μm、更に好ましくは20~500μm、より更に好ましくは20~150μm、より更に好ましくは30~100μmである。
層(AX)の当該厚さが20μm以上であると、層(AX)を形成し易くなり、形成された高周波印加前の層(AX)の粘着表面上に凹凸が出にくく、被着体に対する十分な粘着力が得られ易くなるため好ましい。また、層(AX)の当該厚さが2,000μm以下であると、粘着シートをロール状に巻回する場合等の取扱い性が向上する。また、層(AX)の当該厚さが150μm以下であると、高周波印加後の層(AX)の粘着表面上に凹凸をより良好に形成し易くなり、高周波剥離性が良好になるため好ましい。
なお、層(AX)の23℃における厚さは、後述する実施例に記載の方法で測定される値である。
(熱膨張性基材層(AY))
本発明の一態様において使用し得る前記熱膨張性基材層(AY)は、少なくとも前記熱膨張性粒子を含有する。また、層(AY)は、非粘着性の基材である。
本明細書中、「非粘着性」の層であるか否かの判断は、対象となる層の表面に対して、JIS Z0237:1991に準拠して測定したプローブタック値が50mN/5mmφ未満であれば、当該層は「非粘着性」であると判断する。
なお、本明細書において、前記プローブタック値の具体的な測定方法は、次の方法により評価することができる。
〔プローブタック値の測定方法〕
測定対象となる層を軽剥離フィルム上に調製し、一辺10mmの正方形に切断した後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で24時間静置し、軽剥離フィルムを除去したものを試験サンプルとする。
23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、タッキング試験機(日本特殊測器株式会社製,製品名「NTS-4800」)を用いて、軽剥離フィルムを除去して表出した、前記試験サンプルの表面におけるプローブタック値を、JIS Z0237:1991に準拠して測定する。
具体的には、直径5mmのステンレス鋼製のプローブを、1秒間、接触荷重0.98N/cmで、試験サンプルの表面に接触させた後、当該プローブを10mm/秒の速度で、試験サンプルの表面から離すのに必要な力を測定する。そして、その測定した値を、その試験サンプルのプローブタック値とする。
本発明の一態様において、層(A)が層(AY)である場合、層(AY)中における前記熱膨張微粒子の含有量の好適範囲は、層(A)中の熱膨張性粒子の含有量について、前述した範囲と同じである。当該好適範囲の設定理由も前述したとおりである。
また、本発明の一態様において、層(A)が層(AY)であり、前記誘電発熱フィラーを含有する場合、層(AY)中における前記誘電発熱フィラーの含有量の好適範囲は、層(A)中の誘電発熱フィラーの含有量について、前述した範囲と同じである。当該好適範囲の設定理由も前述したとおりである。
本発明の一態様において、層(A)が層(AY)であって、層(AY)が前記誘電発熱フィラーを含有しない場合、層(AY)中の樹脂成分の含有量の好適範囲は、層(A)中の樹脂成分の含有量について、前述した範囲と同じである。
また、層(A)が層(AY)であって、層(AY)が前記誘電発熱フィラーも含有する場合についても、層(AY)中の樹脂成分の含有量の好適範囲は、層(A)中の樹脂成分の含有量について、前述した範囲と同じである。
本発明の一態様において、層(A)が層(AY)である場合、層(AY)中の熱膨張性粒子及び樹脂成分、並びに必要に応じて添加される誘電発熱フィラーの合計含有量は、層(AY)の全量(100質量%)中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
なお、層(AY)と積層する他の層との層間密着性を向上させる観点から、層(AY)の表面に対して、酸化法、凹凸化法等による表面処理、易接着処理、あるいはプライマー処理を施してもよい。
酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理等が挙げられ、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
〔熱膨張性基材層用組成物(ay)〕
層(AY)は、熱膨張性基材層用樹脂(以下、単に「基材層用樹脂」ともいう。)及び熱膨張性粒子を含む熱膨張性基材層用組成物(ay)(以下、単に「組成物(ay)」ともいう。)から形成することが好ましい。以下、組成物(ay)の好ましい態様について説明する。
層(A)が層(AY)である場合、組成物(ay)中における前記熱膨張性粒子の含有量は、組成物(ay)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは1~40質量%、より好ましくは3~35質量%、更に好ましくは5~30質量%、より更に好ましくは10~25質量%である。
前記熱膨張性粒子の含有量が1質量%以上であると、粘着シートに高周波を印加した際に層(AY)に隣接する層(X2)の粘着表面に十分な凹凸を形成させ易くなる観点から好ましい。また、前記熱膨張性粒子の含有量が40質量%以下であると、層(AY)を形成する塗膜の塗工性向上の観点、並びに、粘着シートに高周波を印加する前の層(AY)に隣接する層(X2)表面の外観の悪化を抑制できる観点及び層(AY)の脆化を防止できる観点から好ましい。
層(A)が層(AY)であって、層(AY)が誘電発熱フィラーを含有する場合、組成物(ay)中における前記誘電発熱フィラーの含有量は、組成物(ay)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは1~30質量%、より好ましくは3~25質量%、更に好ましくは4~20質量%、更に好ましくは6~18質量%である。
前記誘電発熱フィラーの含有量が1質量%以上であると、粘着シートの高周波剥離性が向上し易くなる観点から好ましい。また、前記誘電発熱フィラーの含有量が30質量%以下であると、層(AY)を形成する塗膜の塗工性向上の観点、並びに、粘着シートに高周波を印加する前の層(AY)に隣接する層(X2)表面の外観の悪化を抑制できる観点及び層(AY)の脆化を防止できる観点から好ましい。
ここで、層(A)が層(AY)であって、層(AY)が前記誘電発熱フィラーを含有しない場合、組成物(ay)中における前記基材層用樹脂の含有量は、組成物(ay)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは50~99質量%である。当該基材層用樹脂の含有量が50質量%以上であると、層(AY)の脆化を防止できる観点から好ましく、そして、前記基材層用樹脂の含有量が99質量%以下であると、得られる粘着シートの高周波剥離性が悪化することを防止できる観点から好ましい。このような観点から、層(A)が層(AY)であって、層(AY)が前記誘電発熱フィラーを含有しない場合、組成物(ay)中における前記基材層用樹脂の含有量は、組成物(ay)の有効成分の全量(100質量%)中、より好ましくは60~98質量%、更に好ましくは65~97質量%、より更に好ましくは70~95質量%、より更に好ましくは75~90質量%である。
また、層(A)が層(AY)であって、層(AY)が前記誘電発熱フィラーを含有する場合、組成物(ay)中における前記基材層用樹脂の含有量は、組成物(ay)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは50~98質量%である。当該基材層用樹脂の含有量が50質量%以上であると、層(AY)の脆化を防止できる観点から好ましく、そして、前記基材層用樹脂の含有量が98質量%以下であると、得られる粘着シートの高周波剥離性が悪化することを防止できる観点から好ましい。このような観点から、層(A)が層(AY)であって、層(AY)が前記誘電発熱フィラーを含有する場合、組成物(ay)中における前記基材層用樹脂の含有量は、組成物(ay)の有効成分の全量(100質量%)中、より好ましくは55~90質量%、更に好ましくは60~85質量%、より更に好ましくは62~80質量%である。
{基材用樹脂}
層(AY)の形成材料である組成物(ay)に含まれる基材層用樹脂としては、非粘着性樹脂であってもよく、粘着性樹脂であってもよい。
つまり、組成物(ay)に含まれる基材層用樹脂が粘着性樹脂であっても、組成物(ay)から層(AY)を形成する過程において、当該粘着性樹脂が重合性化合物と重合反応し、得られる樹脂成分が非粘着性樹脂となり、当該樹脂を含む層(AY)が非粘着性となればよい。
組成物(ay)に含まれる前記基材層用樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは1,000~100万、より好ましくは1,000~70万、更に好ましくは1,000~50万である。
また、当該基材層用樹脂が2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
組成物(ay)に含まれる前記基材層用樹脂としては、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
また、上記アクリルウレタン系樹脂としては、以下の樹脂(U1)が好ましい。
・ウレタンプレポリマー(UP)と、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物とを重合してなるアクリルウレタン系樹脂(U1)。
ここで、本明細書中、「プレポリマー」とは、モノマーが重合してなる化合物であって、さらなる重合を行うことでポリマーを構成することが可能な化合物を意味する。
{{アクリルウレタン系樹脂(U1)}}
前記アクリルウレタン系樹脂(U1)の主鎖となるウレタンプレポリマー(UP)としては、ポリオールと多価イソシアネートとの反応物が挙げられる。
なお、ウレタンプレポリマー(UP)は、更に鎖延長剤を用いた鎖延長反応を施して得られたものであることが好ましい。
ウレタンプレポリマー(UP)の原料となるポリオールとしては、例えば、アルキレン型ポリオール、エーテル型ポリオール、エステル型ポリオール、エステルアミド型ポリオール、エステル・エーテル型ポリオール、カーボネート型ポリオール等が挙げられる。
これらのポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いるポリオールとしては、ジオールが好ましく、エステル型ジオール、アルキレン型ジオール及びカーボネート型ジオールから選ばれる1種以上がより好ましく、エステル型ジオール及びカーボネート型ジオールから選ばれる1種以上が更に好ましい。
エステル型ジオールとしては、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール等のアルカンジオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール;等のジオール類から選択される1種又は2種以上と、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4-ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4'-ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸及びこれらの無水物から選択される1種又は2種以上と、の縮重合体が挙げられる。
具体的には、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3-メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリネオペンチルテレフタレートジオール等が挙げられる。
アルキレン型ジオールとしては、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール等のアルカンジオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;等が挙げられる。
カーボネート型ジオールとしては、例えば、1,4-テトラメチレンカーボネートジオール、1,5-ペンタメチレンカーボネートジオール、1,6-ヘキサメチレンカーボネートジオール、1,2-プロピレンカーボネートジオール、1,3-プロピレンカーボネートジオール、2,2-ジメチルプロピレンカーボネートジオール、1,7-ヘプタメチレンカーボネートジオール、1,8-オクタメチレンカーボネートジオール、1,4-シクロヘキサンカーボネートジオール等が挙げられる。
ウレタンプレポリマー(UP)の原料となる多価イソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
これらの多価イソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらの多価イソシアネートは、トリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
これらの中でも、本発明の一態様で用いる多価イソシアネートとしては、ジイソシアネートが好ましく、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、及び脂環式ジイソシアネートから選ばれる1種以上がより好ましい。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられるが、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が好ましい。
本発明の一態様において、アクリルウレタン系樹脂(U1)の主鎖となるウレタンプレポリマー(UP)としては、ジオールとジイソシアネートとの反応物であり、両末端にエチレン性不飽和基を有する直鎖ウレタンプレポリマーが好ましい。
当該直鎖ウレタンプレポリマーの両末端にエチレン性不飽和基を導入する方法としては、ジオールとジイソシアネート化合物とを反応してなる直鎖ウレタンプレポリマーの末端のNCO基と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させる方法が挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アクリルウレタン系樹脂(U1)の側鎖となる、ビニル化合物としては、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含む。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が好ましく、アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを併用することがより好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを併用する場合、アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対する、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの配合割合としては、好ましくは0.1~99質量部、より好ましくは0.5~30質量部、更に好ましくは1.0~20質量部、より更に好ましくは1.5~10質量部である。
当該アルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1~24、より好ましくは1~12、更に好ましくは1~8、より更に好ましくは1~3である。
また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、上述の直鎖ウレタンプレポリマーの両末端にエチレン性不飽和基を導入するために用いられるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと同じものが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル以外のビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系ビニル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メタ(アクリルアミド)等の極性基含有モノマー;等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル化合物中の(メタ)アクリル酸エステルの含有量としては、当該ビニル化合物の全量(100質量%)中、好ましくは40~100質量%、より好ましくは65~100質量%、更に好ましくは80~100質量%、より更に好ましくは90~100質量%である。
ビニル化合物中のアルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの合計含有量としては、当該ビニル化合物の全量(100質量%)中、好ましくは40~100質量%、より好ましくは65~100質量%、更に好ましくは80~100質量%、より更に好ましくは90~100質量%である。
本発明の一態様で用いるアクリルウレタン系樹脂(U1)は、ウレタンプレポリマー(UP)と、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物とを混合し、両者を重合することで得られる。
当該重合においては、更にラジカル開始剤を加えて行うことが好ましい。
本発明の一態様で用いるアクリルウレタン系樹脂(U1)において、ウレタンプレポリマー(UP)に由来の構成単位(u11)と、ビニル化合物に由来する構成単位(u12)との含有量比〔(u11)/(u12)〕としては、質量比で、好ましくは10/90~80/20、より好ましくは20/80~70/30、更に好ましくは30/70~60/40、より更に好ましくは35/65~55/45である。
{{オレフィン系樹脂}}
組成物(ay)に含まれる基材層用樹脂として好適な、オレフィン系樹脂としては、オレフィンモノマーに由来の構成単位を少なくとも有する重合体である。
上記オレフィンモノマーとしては、炭素数2~8のα-オレフィンが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、1-ヘキセン等が挙げられる。
これらの中でも、エチレン及びプロピレンが好ましい。
具体的なオレフィン系樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE、密度:880kg/m以上910kg/m未満)、低密度ポリエチレン(LDPE、密度:910kg/m以上915kg/m未満)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度:915kg/m以上942kg/m未満)、高密度ポリエチレン(HDPE、密度:942kg/m以上)、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂;ポリプロピレン樹脂(PP);ポリブテン樹脂(PB);エチレン-プロピレン共重合体;オレフィン系エラストマー(TPO);ポリ(4-メチル-1-ペンテン)(PMP);エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH);エチレン-プロピレン-(5-エチリデン-2-ノルボルネン)等のオレフィン系三元共重合体;等が挙げられる。
本発明の一態様において、オレフィン系樹脂は、更に酸変性、水酸基変性、アクリル変性から選ばれる1種以上の変性を施した変性オレフィン系樹脂であってもよい。
例えば、オレフィン系樹脂に対して酸変性を施してなる酸変性オレフィン系樹脂としては、上述の無変性のオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸又はその無水物を、グラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
上記の不飽和カルボン酸又はその無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、アコニット酸、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。
なお、不飽和カルボン酸又はその無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オレフィン系樹脂に対してアクリル変性を施してなるアクリル変性オレフィン系樹脂としては、主鎖である上述の無変性のオレフィン系樹脂に、側鎖として、アルキル(メタ)アクリレートをグラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
上記のアルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1~20、より好ましくは1~16、更に好ましくは1~12である。
上記のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、前述のモノマー(m1’)として選択可能な化合物と同じものが挙げられる。
オレフィン系樹脂に対して水酸基変性を施してなる水酸基変性オレフィン系樹脂としては、主鎖である上述の無変性のオレフィン系樹脂に、水酸基含有化合物をグラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
上記の水酸基含有化合物としては、上述した水酸基含有化合物と同様のものが挙げられる。
{{アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂}}
本発明の一態様において、組成物(ay)は、本発明の効果を損なわない範囲で、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の基材層用樹脂を含有してもよい。
そのような基材層用樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;アクリルウレタン系樹脂には該当しないポリウレタン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
ただし、層(AY)が膨張して非熱膨張性粘着剤層(X)の粘着表面に凹凸を形成しやすくする観点、及び加熱膨張後のシート形状維持性を良好にする観点から、組成物(ay)中のアクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の基材層用樹脂の含有量は、少ない方が好ましい。
アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の基材層用樹脂の含有量としては、組成物(ay)中に含まれる基材層用樹脂の全量100質量部に対して、好ましくは30質量部未満、より好ましくは20質量部未満、更に好ましくは10質量部未満、より更に好ましくは5質量部未満、更になお好ましくは1質量部未満である。
{基材用添加剤}
本発明の一態様において、組成物(ay)には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、基材用添加剤を含有してもよい。
基材用添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が挙げられる。
なお、これらの基材用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの基材用添加剤を含有する場合、それぞれの基材用添加剤の含有量は、それぞれ独立して、前記基材層用樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部である。
{無溶剤型熱膨張性基材層用組成物(ay’)}
本発明の一態様で用いる組成物(ay)の一態様として、質量平均分子量(Mw)が50,000以下のエチレン性不飽和基を有するオリゴマーと、エネルギー線重合性モノマーと、前述の熱膨張性粒子を配合してなり、溶剤を配合しない、無溶剤型熱膨張性基材用組成物(ay’)(以下、単に「組成物(ay’)」ともいう。)が挙げられる。
組成物(ay’)では、溶剤を配合しないが、エネルギー線重合性モノマーが、前記オリゴマーの可塑性の向上に寄与するものである。
組成物(ay’)に対して、エネルギー線を照射することで、エチレン性不飽和基を有するオリゴマー、エネルギー線重合性モノマー等が重合し、層(AY)が形成される。
なお、組成物(ay’)に配合される熱膨張性粒子の種類、配合量(含有量)については、組成物(ay)について前述したとおりである。当該好適な態様及び好適範囲の設定理由も前述したとおりである。
また、組成物(ay’)に配合されてもよい誘電発熱フィラーの種類、配合量(含有量)については、組成物(ay)について前述したとおりである。当該好適な態様及び好適範囲の設定理由も前述したとおりである。
組成物(ay’)に含まれる前記オリゴマーの質量平均分子量(Mw)は、50,000以下であるが、好ましくは1,000~50,000、より好ましくは2,000~40,000、更に好ましくは3,000~35,000、より更に好ましくは4,000~30,000である。
また、前記オリゴマーとしては、前述の組成物(ay)に含まれる樹脂のうち、質量平均分子量が50,000以下のエチレン性不飽和基を有するものであればよいが、前述のウレタンプレポリマー(UP)が好ましく、両末端にエチレン性不飽和基を有する直鎖ウレタンプレポリマーがより好ましい。
なお、当該オリゴマーとしては、エチレン性不飽和基を有する変性オレフィン系樹脂も使用し得る。
エネルギー線重合性モノマーとしては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンタン(メタ)アクリレート、トリシクロデカンアクリレート等の脂環式重合性化合物;フェニルヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノールエチレンオキシド変性アクリレート等の芳香族重合性化合物;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリンアクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等の複素環式重合性化合物等が挙げられる。
これらのエネルギー線重合性モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
組成物(ay’)中における、前記オリゴマーと、前記エネルギー線重合性モノマーとの含有量比[オリゴマー/エネルギー線重合性モノマー]は、質量比で、好ましくは20/80~90/10、より好ましくは30/70~85/15、更に好ましくは35/65~80/20である。
本発明の一態様において、組成物(ay’)は、更に光重合開始剤を配合してなることが好ましい。
光重合開始剤を含有することで、比較的低エネルギーのエネルギー線の照射によっても、十分に硬化反応を進行させることができる。
当該光重合開始剤としては、熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)が含有してもよい光重合開始剤と同様のものが挙げられ、それらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
組成物(ay’)中、光重合開始剤の含有量は、前記オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの全量(100質量部)に対して、好ましくは0.01~5.0質量部、より好ましくは0.01~4.0質量部、更に好ましくは0.02~3.0質量部である。
ここで、層(A)が層(AY)であって、層(AY)が前記誘電発熱フィラーを含有しない場合、組成物(ay’)中における、前記オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの合計含有量は、組成物(ay’)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは50~99質量%である。当該合計含有量が50質量%以上であると、層(AY)の脆化を防止できる観点から好ましく、そして、前記合計含有量が99質量%以下であると、得られる粘着シートの高周波剥離性が悪化することを防止できる観点から好ましい。このような観点から、層(A)が層(AY)であって、層(AY)が前記誘電発熱フィラーを含有しない場合、組成物(ay’)中における前記オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの合計含有量は、組成物(ay’)の有効成分の全量(100質量%)中、より好ましくは60~98質量%、更に好ましくは65~97質量%、より更に好ましくは70~95質量%、より更に好ましくは75~90質量%である。
また、層(A)が層(AY)であって、層(AY)が前記誘電発熱フィラーを含有する場合、組成物(ay’)中における、前記オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの合計含有量は、組成物(ay’)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは50~98質量%である。当該合計含有量が50質量%以上であると、層(AY)の脆化を防止できる観点から好ましく、そして、前記合計含有量が98質量%以下であると、得られる粘着シートの高周波剥離性が悪化することを防止できる観点から好ましい。このような観点から、層(A)が層(AY)であって、層(AY)が前記誘電発熱フィラーを含有する場合、組成物(ay’)中における前記オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの合計含有量は、組成物(ay’)の有効成分の全量(100質量%)中、より好ましくは55~90質量%、更に好ましくは60~85質量%、より更に好ましくは62~80質量%である。
本発明の一態様において、組成物(ay’)には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前述した基材用添加剤を含有してもよい。
なお、それらの基材用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。基材用添加剤を含有する場合、それぞれの基材用添加剤の含有量は、それぞれ独立して、前記オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの全量(100質量部)に対して、好ましくは0.0001~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部である。
〔熱膨張性基材層(AY)の23℃における厚さ〕
本発明の一態様において、層(A)が、層(AY)である場合、層(AY)の厚さは、好ましくは20~2,000、より好ましくは20~1,000μm、更に好ましくは20~500μm、より更に好ましくは25~400μm、より更に好ましくは30~300μmである。
層(AY)の当該厚さが20μm以上であると、層(AY)を形成し易くなり、形成された高周波印加前の層(AY)を有する粘着シートの粘着表面上に凹凸が出にくく、被着体に対する十分な粘着力が得られ易くなるため好ましい。また、層(AY)の当該厚さが2,000μm以下であると、層(AY)及び当該層(AY)を有する粘着シートをロール状に巻回する場合等の取扱い性が向上する。また、層(AY)の当該厚さが500μm以下であると、高周波印加後の非熱膨張性粘着剤層(X)の粘着表面上に凹凸をより良好に形成し易くなり、高周波剥離性が良好になるため好ましい。
なお、層(AY)の23℃における厚さは、後述する実施例に記載の方法で測定される値である。
(非熱膨張性粘着剤層(X))
本発明の一態様において使用し得る非熱膨張性粘着剤層(X)は、前述した熱膨張性粘着剤層(AX)以外の粘着剤層である。
層(X)は、前記熱膨張性粒子を含有しないことが好ましいが、本発明の目的に反しない範囲で前記熱膨張性粒子を含有していてもよい。
層(X)が前記熱膨張性粒子を含有する場合、その含有量は少ないほど好ましく、層(X)の全量(100質量%)中、好ましくは3質量%未満、より好ましくは1質量%未満、更に好ましくは0.1質量%未満、より更に好ましくは0.01質量%未満、より更に好ましくは0.001質量%未満である。
また、層(X)が前記熱膨張性粒子を含有する場合、前述した式から算出される層(X)の体積変化率(%)は、5%未満であり、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、更に好ましくは0.1%未満、より更に好ましくは0.01%未満である。
また、前述のとおり、本明細書中、前記熱膨張性粒子を含有しない層は「非熱膨張性層」であるとする。そのため、前述した式から算出される粘着剤層の体積変化率(%)が5%以上であっても、当該粘着剤層が前記熱膨張性粒子を含有しない場合、当該粘着剤層は層(X)であるとする。
本発明の一態様において使用し得る前記層(X)は、前記誘電発熱フィラーを含有しないことが好ましいが、本発明の目的に反しない範囲で前記誘電発熱フィラーを含有していてもよい。
層(X)が前記誘電発熱フィラーを含有する場合、その含有量は少ないほど好ましく、層(X)の全量(100質量%)中、好ましくは1質量%未満であり、より好ましくは0.1質量%未満、更に好ましくは0.01質量%未満、より更に好ましくは0.001質量%未満である。
層(X)は、粘着性樹脂を含有する粘着剤組成物(x)から形成されることが好ましい。
粘着剤組成物(x)としては、前記熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)と同様のものが挙げられる。
ただし、粘着剤組成物(x)中における粘着性樹脂の含有量は、粘着剤組成物(x)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは35~100質量%、より好ましくは50~100質量%、更に好ましくは60~99.5質量%、より更に好ましくは70~99.5質量%、更に好ましくは80~99.5質量%、より更に好ましくは85~99.5質量%である。
また、粘着剤組成物(x)は、前記熱膨張性粒子を含有しないことが好ましいが、本発明の目的に反しない範囲で前記熱膨張性粒子を含有していてもよい。
粘着剤組成物(x)が前記熱膨張性粒子を含有する場合、その含有量は少ないほど好ましく、粘着剤組成物(x)中における熱膨張性粒子の含有量は、粘着剤組成物(x)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは3質量%未満、より好ましくは1質量%未満、更に好ましくは0.1質量%未満、より更に好ましくは0.01質量%未満、より更に好ましくは0.001質量%未満である。
また、粘着剤組成物(x)は、前記誘電発熱フィラーを含有しないことが好ましいが、本発明の目的に反しない範囲で前記誘電発熱フィラーを含有していてもよい。
粘着剤組成物(x)が前記誘電発熱フィラーを含有する場合、その含有量は少ないほど好ましく、粘着剤組成物(x)中における誘電発熱フィラーの含有量は、粘着剤組成物(x)の有効成分の全量(100質量%)中、1質量%未満であり、好ましくは0.1質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満、更に好ましくは0.001質量%未満である。
特に、層(X)が、図4又は図5における層(X2)、並びに、図6における層(X2)、並びに、図7における層(X2)等のように、層(AY)の影響を受けて高周波剥離性を発現する表面1を有する層(X)である場合、前記誘電発熱フィラーを含有しない態様であることが好ましく、前記誘電発熱フィラーを含有する場合でもその含有量は少ないほど好ましい。熱膨張性基材層(AY)中の熱膨張性粒子を膨張させた際に、層(X)中の前記誘電発熱フィラーの含有量が少ないほど、前記熱膨張性粒子の膨張を阻害しにくく、層(X)の高周波剥離性を発現する表面1に凹凸を良好に形成させることができるためである。
本発明の一態様において、層(X)中の樹脂の含有量は、層(X)の全量(100質量%)中、好ましくは35~100質量%、より好ましくは50~100質量%、更に好ましくは60~100質量%、より更に好ましくは70~100質量%、更に好ましくは80~100質量%、より更に好ましくは85~100質量%である。
〔非熱膨張性粘着剤層(X)の23℃における厚さ〕
本発明の一態様である粘着シートにおいて、層(X)の23℃における厚さは、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、層(X)が、図4又は図5における層(X2)、並びに、図6における層(X2)、並びに、図7における層(X2)等のように、高周波剥離性を発現する表面1を有する層(X)である場合、次の範囲が好適である。
層(X)が高周波剥離性を発現する表面1を有する層(X)である場合(好ましくは層(X)が、層(X2)であり、高周波剥離性を発現する表面1を有する層(X)である場合)、層(X)の23℃における厚さは、好ましくは2~10μm、より好ましくは3~8μm、更に好ましくは3~7μmである。
層(X)が前記態様で用いられる場合、層(X)の23℃における厚さが前記範囲であることで、粘着剤層としての良好な粘着力を発現させると共に、熱膨張性基材層(A2)中の熱膨張性粒子を膨張させた際に、層(X)の高周波剥離性を発現する表面1に凹凸を良好に形成できる観点から好ましい。
また、本発明の一態様において、層(X)の23℃における厚さは、例えば、層(X)が、図3における層(X1)、及び、図6における層(X1)のように、高周波剥離性を発現する表面1を有しない層(X)である場合、次の範囲が好適である。
層(X)が高周波剥離性を発現する表面1を有しない層(X)である場合(好ましくは層(X)が、層(X1)であり、高周波剥離性を発現する表面1を有しない層(X)であり、被着体に対して貼付される表面を有する層である場合)、層(X)の23℃における厚さは、好ましくは2~150μm、より好ましくは3~125μm、更に好ましくは5~100μm、より更に好ましくは8~80μm、より更に好ましくは12~70μm、より更に好ましくは15~50μmである。
層(X)が前記態様で用いられる場合、層(X)の23℃における厚さが2μm以上であれば、十分な粘着力が得られやすくなり、被着体からの意図しない剥離、被着体の位置ズレ等を抑制できる傾向にある。一方、層(X)の23℃における厚さが150μm以下であれば、粘着シートの取り扱いが容易になる傾向にある。
なお、層(X)の23℃における厚さは、後述する実施例に記載の方法で測定される値である。
(支持体(Y))
本発明の一態様において使用し得る支持体(Y)は、非熱膨張性層である。また、支持体(Y)は、非粘着性である。
支持体(Y)は、前記熱膨張性粒子を含有しないことが好ましいが、本発明の目的に反しない範囲で前記熱膨張性粒子を含有していてもよい。例えば、支持体(Y)に含まれる支持体用樹脂を選択することで、熱膨張性粒子が含まれていたとしても、体積変化率を上記範囲に調整することは可能である。
ただし、支持体(Y)が前記熱膨張性粒子を含有する場合、その含有量は少ないほど好ましく、支持体(Y)の全量(100質量%)中、好ましくは3質量%未満、より好ましくは1質量%未満、更に好ましくは0.1質量%未満、より更に好ましくは0.01質量%未満、より更に好ましくは0.001質量%未満である。
また、支持体(Y)が前記熱膨張性粒子を含有する場合、前述した式から算出される支持体(Y)の体積変化率(%)は、5%未満であり、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、更に好ましくは0.1%未満、より更に好ましくは0.01%未満である。
また、前述のとおり、本明細書中、前記熱膨張性粒子を含有しない層は「非熱膨張性層」であるとする。そのため、前述した式から算出される支持体の体積変化率(%)が5%以上であっても、当該支持体が前記熱膨張性粒子を含有しない場合、当該支持体は支持体(Y)であるとする。
また、支持体(Y)は、前記誘電発熱フィラーを含有しないことが好ましいが、本発明の目的に反しない範囲で前記誘電発熱フィラーを含有していてもよい。
支持体(Y)が前記誘電発熱フィラーを含有する場合、その含有量は少ないほど好ましく、支持体(Y)の全量(100質量%)中、好ましくは1質量%未満であり、より好ましくは0.1質量%未満、更に好ましくは0.01質量%未満、より更に好ましくは0.001質量%未満である。
また、本発明の一態様において使用し得る支持体(Y)としては、例えば、図2、図3、図5及び図6に示す粘着シートにおいて、支持体(Y)が前記誘電発熱フィラーを含有し、層(A)を加熱する役割を担う層として用いられてもよい(図示せず)。
支持体(Y)の形成材料としては、例えば、支持体用樹脂、金属、紙材等が挙げられ、得られる粘着シートの用途に応じて適宜選択することができる。
支持体(Y)に用いられる支持体用樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;ポリウレタン、アクリル変性ポリウレタン等のウレタン樹脂;ポリメチルペンテン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂が好ましい。
前記支持体用樹脂を形成材料として用いた支持体(Y)としては、前記支持体用樹脂を含有する樹脂フィルム又は樹脂シートが挙げられる。
前記金属としては、例えば、アルミニウム、スズ、クロム、チタン等が挙げられる。
前記紙材としては、例えば、薄葉紙、中質紙、上質紙、含浸紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、無塵紙等が挙げられる。
これらの形成材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
2種以上の形成材料を組み合わせた支持体(Y)としては、紙材をポリエチレン等の熱可塑性樹脂でラミネートしたもの、樹脂を含有する樹脂フィルム又はシートの表面に金属層を形成したもの等が挙げられる。
金属層の形成方法としては、例えば、金属を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のPVD法により蒸着する方法、金属箔を一般的な粘着剤を用いて貼付する方法等が挙げられる。
これらの支持体(Y)の中でも、樹脂フィルム又はシートが好ましく、ポリエステル系樹脂からなるフィルム又はシートがより好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成されるフィルム又はシートが更に好ましい。
また、支持体(Y)中における前記支持体用樹脂の含有量は、支持体(Y)の全量(100質量%)中、好ましくは60~100質量%、より好ましくは70~100質量%、更に好ましくは80~100質量%、より更に好ましくは90~100質量%、より更に好ましくは95~100質量%、より更に好ましくは98~100質量%である。
また、支持体(Y)は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、支持体用添加剤を含有してもよい。支持体用添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が挙げられる。
なお、これらの支持体用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの支持体用添加剤を含有する場合、それぞれの支持体用添加剤の含有量は、それぞれ独立して、支持体(Y)を形成する支持体用樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部である。
また、支持体(Y)上に積層される他の層との層間密着性を向上させる観点から、支持体(Y)の一方の表面又は両方の表面に対し、酸化法や凹凸化法等の表面処理を施してもよい。
酸化法としては、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、クロム酸酸化(湿式)、火炎処理法、熱風処理法、オゾン照射処理法、紫外線照射処理法、紫外線-オゾン処理法等が挙げられる。また、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
また、支持体(Y)の一方又は両方の表面上には、必要に応じて、プライマー層、目止め層等を設けてもよい。
プライマー層を構成する成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
目止め層は、支持体(Y)と、支持体(Y)に隣接する層との密着性を更に向上させるために、又は、支持体(Y)が紙材等の柔軟すぎる支持体の場合に、剛性を付与するために設けられる。当該目止め層としては、特に制限はないが、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を主成分として、必要に応じ、クレー、シリカ、炭酸カルシウム等のフィラーを添加したもの等からなる層が挙げられる。
これらその他の層を有する場合、その厚さは、それぞれ独立に、好ましくは、0.05~30μm、より好ましくは0.1~5μm、更に好ましくは0.1~1μm、より更に好ましくは0.1~0.5μmである。
〔支持体(Y)の23℃における厚さ〕
本発明の一態様において、支持体(Y)の23℃における厚さは、粘着シートの用途に応じて適宜設定されるが、取扱性及び経済性の観点から、好ましくは5~250μm、より好ましくは10~200μm、更に好ましくは25~150μmである。
なお、支持体(Y)の23℃における厚さは、後述する実施例に記載の方法で測定される値である。
(剥離材)
本発明の一態様で使用し得る剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シート、片面剥離処理をされた剥離シート等が用いられ、剥離材用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
剥離材用の基材としては、例えば、プラスチックフィルム、紙材等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム;ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のオレフィン樹脂フィルム等が挙げられ、紙材としては、例えば、上質紙、グラシン紙、クラフト紙等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー;シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。剥離剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
剥離材の厚さは、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はないが、好ましくは10~200μm、より好ましくは20~150μm、更に好ましくは35~80μmである。
また、前記粘着シートの23℃における総厚(各層の合計厚さ。但し、剥離材は除く。)は、粘着シートの用途に応じて適宜設定されるが、好ましくは30μm以上、より好ましくは70μm以上、更に好ましくは95μm以上であり、そして、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは180μm以下、より更に好ましくは175μm以下である。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、導電性物質を含有しないことが好ましい。導電性物質としては、例えば、カーボンブラック、亜鉛、銅、チタン、アルミニウム等の金属単体等が挙げられる。導電性物質の含有量は、各層、それぞれ独立に、層の全質量(100質量%)中、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましく、0.01質量%以下であることがより更に好ましく、0質量%であることがより更に好ましい。導電性物質の含有量が少ないことで、粘着シートに高周波を印加した際のスパークの発生や、電気絶縁破壊による粘着シートや被着体の変質といった不具合の発生を防止し易くなる。
[粘着シートの製造方法]
本発明の一態様である粘着シートの製造方法は、特に制限はないが、例えば、少なくとも下記工程(1)を有する、粘着シートの製造方法が挙げられる。
・工程(1):剥離材の剥離処理表面上に、熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、熱膨張性層(A)である熱膨張性粘着剤層(AX)を形成する工程。
組成物(ax)が前記誘電発熱フィラーを含有し、当該工程(1)のみを用いる場合、少なくとも前述の図1に示す態様の粘着シートを得ることができる。
また、例えば、前述の図2に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の一例として、次の工程(1a)を有する、粘着シートの製造方法が挙げられる。
・工程(1a):支持体(Y)の片側の表面上に、組成物(ax)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、熱膨張性層(A)である熱膨張性粘着剤層(AX)を形成する工程。
また、例えば、前述の図2に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の他の態様として、次の工程(1a’)を有する、粘着シートの製造方法が挙げられる。
・工程(1a’):剥離材の剥離処理表面上に、熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射して、熱膨張性層(A)である熱膨張性粘着剤層(AX)を形成し、支持体(Y)の片側の表面に、形成された層(AX)の粘着表面を貼り合わせて、粘着シートを得る工程。
また、例えば、前述の図3に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の一例として、上記工程(1a)に加えて、下記工程(2a)及び(3a)を有する、粘着シートの製造方法が挙げられる。
・工程(2a):剥離材の剥離処理表面上に、粘着剤組成物(x)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線照射し、非熱膨張性粘着剤層(X)を形成する工程。
・工程(3a):工程(1a)で得られた積層体の支持体(Y)の層(AX)とは反対側の表面に、工程(2a)で形成した層(X)の粘着表面を貼り合わせて、層(AX)と隣接しない非熱膨張性粘着剤層(X1)を有する粘着シートを得る工程。
また、前述の図3に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の他の態様として、例えば、前述の工程(1a)又は(1a’)と同様の方法で得られた粘着シートの支持体(Y)の熱膨張性粘着剤層(AX)とは反対側の表面に対して、粘着剤組成物(x)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、層(AX)と隣接しない非熱膨張性粘着剤層(X1)を有する粘着シートを得る方法としてもよい。
また、例えば、前述の図3に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の一例として、次の工程(1b)~(3b)を有する、粘着シートの製造方法が挙げられる。
・工程(1b):剥離材の剥離処理表面上に、熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射して、熱膨張性層(A)である熱膨張性粘着剤層(AX)を形成する工程。
・工程(2b):工程(1b)の剥離材とは別の剥離材の剥離処理表面上に、粘着剤組成物(x)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、非熱膨張性粘着剤層(X)を形成する工程。
・工程(3b):支持体(Y)の片側の表面に、工程(1b)で形成した層(AX)の粘着表面を貼り合わせ、支持体(Y)の層(AX)とは反対側の表面に、工程(2b)で形成した層(X)の粘着表面を貼り合わせて、層(AX)と隣接しない非熱膨張性粘着剤層(X1)を有する両面粘着シートを得る工程。
また、例えば、前述の図3に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の一例として、次の工程(1c)~(2c)を有する、粘着シートの製造方法が挙げられる。
・工程(1c):支持体(Y)の片側の表面上に、粘着剤組成物(x)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、非熱膨張性粘着剤層(X)を形成する工程。
・工程(2c):工程(1c)で得られた積層体の支持体(Y)の層(X)とは反対側の表面に、熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、熱膨張性層(A)である熱膨張性粘着剤層(AX)を形成して、層(AX)と隣接しない非熱膨張性粘着剤層(X1)を有する粘着シートを得る工程。
ここで、工程(1c)及び工程(2c)を有する製造方法について、支持体(Y)上に形成する層(X)及び層(AX)の順序は逆になってもよいが、層(AX)を先に形成した後から層(X)を乾燥により形成する場合、少なくとも層(AX)が含有する熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)より低い温度で層(X)を形成する塗膜の乾燥を行う必要があり、形成できる層(X)の組成が制限される。そのため、層(X)を乾燥により形成する場合、層(X)を先に形成した後から層(AX)を形成する方法を用いることが望ましい。
以下に説明する各製造方法においても、熱膨張性層(A)の形成と同時又は層(A)の形成後に他の層を形成する等の目的で行う乾燥処理は、層(A)が含有する熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)より低い温度で行う必要がある点は同様である。
また、例えば、前述の図4に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の一例として、次の工程(1d)~(3d)を有する、粘着シートの製造方法が挙げられる。
・工程(1d):剥離材の剥離処理表面上に、熱膨張性基材層用組成物(ay)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、熱膨張性基材層(AY)を形成する工程。
・工程(2d):工程(1d)で用いた剥離材とは別の剥離材の剥離処理表面上に、粘着剤組成物(x)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、非熱膨張性粘着剤層(X)を形成する工程。
・工程(3d):工程(1d)で形成した層(AY)側の表面と、工程(2d)で形成した層(X)の粘着表面とを貼り合わせて、層(AY)と隣接する非熱膨張性粘着剤層(X2)を有する粘着シートを得る工程。
また、前述の図4に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の他の態様として、例えば、前述の工程(1d)と同様の方法で得られた熱膨張性基材層(AY)の剥離材とは反対側の表面に対して、粘着剤組成物(x)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、層(AY)と隣接する非熱膨張性粘着剤層(X2)を有する粘着シートを得る方法としてもよい。
また、例えば、前述の図7に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の一例として、上記工程(1d)~(3d)に加えて、下記工程(4d)~(5d)を有する、粘着シートの製造方法が挙げられる。なお、当該製造方法において、上記工程(2d)で形成した非熱膨張粘着剤層(X)は第1の非熱膨張性粘着剤層(X)と称するものとする。
・工程(4d):工程(2d)で用いた剥離材とは別の剥離材の剥離処理表面上に、粘着剤組成物(x)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、第2の非熱膨張性粘着剤層(X)を形成する工程。
・工程(5d):工程(3d)で形成した粘着シートの層(AY)の層(X2)とは反対側の表面に、工程(4d)で形成した第2の非熱膨張性粘着剤層(X)の粘着表面を貼り合わせて、層(AY)の両面に層(AY)と隣接する非熱膨張性粘着剤層(X2)を有する両面粘着シートを得る工程。
また、前述の図7に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の他の態様として、例えば、前述の図4に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の他の態様により得られた粘着シートの層(AY)の層(X2)とは反対側の表面に対して、粘着剤組成物(x)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、層(AY)の両面に層(AY)と隣接する非熱膨張性粘着剤層(X2)を有する両面粘着シートを得る方法としてもよい。
また、例えば、前述の図5に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の一例として、次の工程(1f)~(3f)を有する、粘着シートの製造方法が挙げられる。
・工程(1f):剥離材の剥離処理表面上に、粘着剤組成物(x)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、非熱膨張性粘着剤層(X)を形成する工程。
・工程(2f):支持体(Y)の片面に、熱膨張性基材層用組成物(ay)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、支持体(Y)と熱膨張性基材層(AY)とが積層(好ましくは直接積層)された基材積層体を形成する工程。
・工程(3f):工程(1f)で形成した層(X)の粘着表面と、工程(2f)で形成した基材積層体の層(AY)側の表面とを貼り合わせて、層(AY)と隣接する非熱膨張性粘着剤層(X2)を有する粘着シートを得る工程。
また、前述の図5に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の他の態様として、例えば、前記工程(2f)により得られた基材積層体の層(AY)の支持体(Y)とは反対側の表面に対して、粘着剤組成物(x)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、支持体(Y)と、層(AY)と、層(AY)と隣接する非熱膨張性粘着剤層(X2)を有する粘着シートを得る方法としてもよい。
また、例えば、前述の図6に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の一例として、前記工程(1f)~(3f)に加えて、下記工程(4f)~(5f)を有する、粘着シートの製造方法が挙げられる。なお、当該製造方法において、上記工程(1f)で形成した非熱膨張粘着剤層(X)は第1の非熱膨張性粘着剤層(X)と称するものとする。
・工程(4f):工程(1f)で用いた剥離材とは別の剥離材の剥離処理表面上に、粘着剤組成物(x)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、第2の非熱膨張性粘着剤層(X)を形成する工程。
・工程(5f):工程(3f)で形成した粘着シートの支持体(Y)の層(X2)及び熱膨張性基材層(AY)とは反対側の表面に、工程(4f)で形成した第2の非熱膨張性粘着剤層(X)の粘着表面を貼り合わせて、層(AY)と隣接する非熱膨張性粘着剤層(X2)と、層(AY)と、支持体(Y)と、層(AY)と隣接しない非熱膨張性粘着剤層(X1)とを、この順で有する両面粘着シートを得る工程。
また、前述の図6に示す本発明の一態様である粘着シートの製造方法の他の態様として、例えば、前述の図5に示す本発明の一態様である粘着シートの他の態様である製造方法により得られた粘着シートの支持体(Y)の層(X2)及び層(AY)とは反対側の表面に対して、粘着剤組成物(x)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又は当該塗膜にエネルギー線を照射し、層(AY)と隣接する非熱膨張性粘着剤層(X2)と、層(AY)と、支持体(Y)と、層(AY)と隣接しない非熱膨張性粘着剤層(X1)とを、この順で有する両面粘着シートを得る方法としてもよい。
また、前述した粘着シートの製造方法において、熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)、熱膨張性基材層用組成物(ay)、及び粘着剤組成物(x)は、それぞれ独立に、更に希釈溶剤を配合し、前記各組成物を溶液の形態としてもよい。
用いる希釈溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、トルエン、キシレン、n-プロパノール、イソプロパノール等の有機溶媒が挙げられる。
なお、これらの有機溶媒は、前記各組成物中に含まれる各成分の製造時に使用された有機溶剤をそのまま用いてもよいし、それ以外の1種以上の有機溶剤を加えてもよい。
前記各組成物の溶液中の有効成分濃度としては、それぞれ独立に、好ましくは5~60質量%、より好ましくは10~50質量%、更に好ましくは15~45質量%である。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
また、熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)、熱膨張性基材層用組成物(ay)、及び粘着剤組成物(x)から形成される塗膜を乾燥する工程は、それぞれ独立に、熱膨張性粒子を含む組成物から形成された塗膜及び/又は層と共に乾燥する場合、当該熱膨張性粒子の膨張を抑制する観点から、乾燥温度を前記熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)未満で行うことが好ましい。
一方、前記組成物(x)のうち、熱膨張性粒子を含まない組成物(x)から形成された塗膜のみを乾燥する場合、乾燥温度は、所望の層を形成できる限り、特に制限はないが、好ましくは60~150℃、より好ましくは70~140℃、更に好ましくは75~130℃である。
また、熱膨張性粒子を含むか否かに関わらず、前記塗膜の乾燥時間は、所望の層を形成できる限り、特に制限はないが、それぞれ独立に、好ましくは30秒~5分間である。
なお、本発明の一態様である粘着シートの製造方法は、前述した例に限定されるものではない。
[粘着シートの用途]
本発明の一態様である粘着シートは、被着体への貼付時には十分な粘着力を有しながらも、被着体から剥離する際には、高周波を印加することにより容易に剥離することが可能なため、高周波を印加する環境下での使用が可能な被着体を用いる限り、あらゆる用途に適用可能である。
前記被着体としては、特に限定されないが、前記粘着シートは高周波剥離性を有し、剥離時に被着体にかかる負荷を低減できる観点から、被着体の好適な一態様として脆性材料が挙げられる。当該脆性材料の好適例としては、後述する電子デバイス用ウェハ等が挙げられる。
また、前記粘着シートが高周波剥離性を有し、粘着シートに起因して生じる被着体の汚染、変形、破損等の不具合を抑制、防止することが期待できる観点から、被着体の好適な一態様としては電子デバイス用材料が挙げられる。
前記電子デバイス用材料としては、例えば、半導体チップ等の電子デバイス用チップ、半導体ウェハ等の電子デバイス用ウェハ、化合物半導体、半導体パッケージ等の電子デバイス用パッケージ、電子部品、サファイア基板、ディスプレイ、パネル用基板等が挙げられる。これらの中では、電子デバイス用ウェハがより好ましい。
また、本発明の一態様である粘着シートは、例えば、前述したような、電子デバイス用材料の製造工程等において、仮固定用シートとして用いることができる。このような使用態様における粘着シートとしては、具体的には、例えば、電子デバイス用ウェハ等の被着体をダイシングする際に用いられるダイシングシート、電子デバイス用ウェハ等の被着体を研削する工程に用いられるバックグラインドシート、電子デバイス用ウェハ等の被着体を貼付したバックグラインドシートを支持するための支持体を仮固定するために用いる仮固定シート、ダイシングによって個片化された電子デバイス用チップ等の被着体同士の距離を拡大させるために用いられるエキスパンドテープ、電子デバイス用チップ等の被着体の表裏を反転させるために用いられる転写テープ、検査対象物を検査するための仮固定用シート等が好適な例として挙げられる。
したがって、本発明の一態様である粘着シートは、電子デバイス用材料の加工及び/又は検査に用いる仮固定粘着シートとして好適に用いることができる。
また、本発明の一態様である粘着シートは高周波剥離性を有し、被着体から容易に剥離することが可能であることから、粘着シートに起因して生じる被着体の汚染、変形、破損等の不具合を抑制、防止することが期待できる。そのため、本発明の一態様である粘着シートの用途としては、電子デバイス用材料以外にも、例えば、ウィンドーフィルム等の保護フィルム用途、壁紙、ラッピングフィルム等の保護・意匠性付与用途、リターナブルラベル等の各種ラベル用途、一時的な掲示物等を貼付する際の使用等、種々の用途が挙げられる。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性値は、以下の方法により測定した値である。
[質量平均分子量(Mw)]
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC-8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL-L」、「TSK gel G2500HXL」、「TSK gel G2000HXL」、及び「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/分
[各層の厚さ]
株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG-02J」、標準規格:JIS K6783、Z1702、Z1709に準拠)を用いて、23℃の条件下で測定した。
[熱膨張性粒子の平均粒子径(D50)、90%粒子径(D90)]
レーザー回折式粒度分布測定装置(Malvern社製、製品名「マスターサイザー3000」)を用いて、23℃における膨張前の熱膨張性粒子の粒子分布を測定した。
そして粒子分布の粒子径の小さい方から計算した累積体積頻度が50%及び90%に相当する粒子径を、それぞれ「熱膨張性粒子の平均粒子径(D50)」及び「熱膨張性粒子の90%粒子径(D90)」とした。
[誘電発熱フィラーの平均粒子径]
レーザー回折・散乱法により、誘電発熱フィラーの粒度分布を測定した。粒度分布測定の結果からJIS Z 8819-2:2001に準じて体積平均粒子径を算出した。
以下の製造例及び実施例において、各層の形成に使用した材料の詳細は以下のとおりである。
<粘着性樹脂を含む溶液>
・アクリル系共重合体(P1)を含む溶液:n-ブチルアクリレート(BA)/メチルメタクリレート(MMA)/アクリル酸(AA)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=86/8/1/5(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有する、Mw60万のアクリル系共重合体を含む溶液(希釈溶剤:酢酸エチル、有効成分濃度(溶液中の樹脂含有量):40質量%)
・アクリル系共重合体(P2))を含む溶液:n-ブチルアクリレート(BA)/メチルメタクリレート(MMA)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=52/20/28(質量比)からなる原料モノマーに由来する構成単位を有するアクリル系共重合体に、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)をアクリル系共重合体中の全ヒドロキシ基に対する付加率がモル数基準で90%となるように反応させた、Mw50万のエネルギー線硬化型のアクリル系共重合体を含む溶液(希釈溶剤:酢酸エチル、有効成分濃度(溶液中の樹脂含有量):35質量%)
<添加剤>
・イソシアネート系架橋剤(i):東ソー株式会社製、製品名「コロネート(登録商標)L」、有効成分濃度:75質量%
・イソシアネート系架橋剤(ii):東ソー株式会社製、製品名「コロネート(登録商標)HX」、有効成分濃度:100質量%
・エネルギー線硬化性化合物(i):日本合成化学工業株式会社製、製品名「シコウUT-4332」、多官能ウレタンアクリレート
・光重合開始剤(i):ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド
・光重合開始剤(ii):1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
・フタロシアニン系顔料
<熱膨張性粒子>
・熱膨張性粒子(i):Nouryon社製、製品名「Expancel(登録商標)031-40」(DUタイプ)、膨張開始温度(t)=88℃、平均粒子径(D50)=12.6μm、90%粒子径(D90)=26.2μm
・熱膨張性粒子(ii):松本油脂製薬株式会社製、製品名「マツモトマイクロスフェアー(登録商標)FN-190SSD」、膨張開始温度(t)=181℃、平均粒子径(D50)=16.2μm、90%粒子径(D90)=26.3μm
<誘電発熱フィラー>
・酸化亜鉛:堺化学工業株式会社製、製品名「LPZINC11」、平均粒子径=11μm
・亜鉛:富士フイルム和光純薬株式会社製、製品名「亜鉛、粉末」、平均粒子径=9μm
<剥離材>
・重剥離フィルム:リンテック株式会社製、製品名「SP-PET382150」、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面にシリコーン系剥離剤から形成した剥離剤層を設けたもの、厚さ:38μm
・軽剥離フィルム:リンテック株式会社製、製品名「SP-PET381031」、PETフィルムの片面にシリコーン系剥離剤から形成した剥離剤層を設けたもの、厚さ:38μm
製造例1(重剥離フィルムと、熱膨張性粘着剤層(AX)と、支持体(Y)とを積層した積層体の形成)
前記アクリル系共重合体(P1)を含む溶液の有効成分100質量部に、イソシアネート系架橋剤(i)0.74質量部(有効成分比)、熱膨張性粒子(i)及び酸化亜鉛を配合し、トルエンで希釈し、均一に撹拌して、有効成分濃度25質量%の、熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)を調製した。
熱膨張性粒子(i)及び酸化亜鉛の配合量は、熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)の全量(有効成分100質量%)中、熱膨張性粒子(i)が20質量%、酸化亜鉛が8質量%となるように配合した。
そして、支持体(Y)として、PETフィルム(東洋紡株式会社製、製品名「コスモシャインA4300」、厚さ:50μm)を用い、当該PETフィルムの片面にに、調製した熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)を塗布して塗膜を形成した。当該塗膜を70℃で5分間乾燥して、支持体(Y)上に厚さ60μmの熱膨張性粘着剤層(AX)を形成した。
そして、熱膨張性粘着剤層(AX)の露出面と重剥離フィルムの剥離剤層の表面とを貼り合わせて、重剥離フィルムと、熱膨張性粘着剤層(AX)と、支持体(Y)とをこの順で積層した積層体を作製した。
製造例2(非熱膨張性粘着剤層(X1)の形成)
前記アクリル系共重合体(P2)を含む溶液の有効成分100質量部に、エネルギー線硬化性化合物(i)12質量部(有効成分比)、イソシアネート系架橋剤(i)1.1質量部(有効成分比)、光重合開始剤(i)1質量部(有効成分比)を配合し、トルエンで希釈し、均一に撹拌して、有効成分濃度30質量%の粘着剤組成物(x-1)を調製した。
そして、軽剥離フィルムの剥離面上に、調製した粘着剤組成物(x-1)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で1分間乾燥して、厚さ20μmの非熱膨張性粘着剤層(X1)を形成した。
製造例3(非熱膨張性粘着剤層(X2)の形成)
前記アクリル系共重合体(P1)を含む溶液の有効成分100質量部に、イソシアネート系架橋剤(ii)0.74質量部(有効成分比)を配合し、トルエンで希釈し、均一に撹拌して、有効成分濃度25質量%の粘着剤組成物(x-2)を調製した。
そして、重剥離フィルムの剥離剤層の表面上に、調製した粘着剤組成物(x-2)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で1分間乾燥して、厚さ5μmの非熱膨張性粘着剤層(X2)を形成した。
実施例1(粘着シートの形成)
製造例2で形成した非熱膨張性粘着剤層(X1)の粘着剤層表面と、製造例1で形成した積層体の支持体(Y)の表面とを貼り合わせて、以下の構成を有する粘着シートを作製した。
<重剥離フィルム>/<熱膨張性粘着剤層(AX)、厚さ:60μm>/<支持体(Y)、厚さ:50μm>/<非熱膨張性粘着剤層(X1)、厚さ:20μm>/<軽剥離フィルム>
実施例2~6及び比較例1
熱膨張性粘着剤層(AX)を形成する熱膨張性粘着剤層用組成物(ax)に用いる熱膨張性粒子の種類及び配合量、並びに、誘電発熱フィラーの種類及び含有量を、それぞれ、下記表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
実施例7
(1)無溶剤型熱膨張性基材用組成物(ay’)の調製
エステル型ジオールと、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させて得られた末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、2-ヒドロキシエチルアクリレートを反応させて、質量平均分子量(Mw)5,000のオリゴマーである、両末端にエチレン性不飽和基を有する直鎖ウレタンプレポリマーを得た。
そして、上記で合成したウレタンプレポリマー40質量部(有効成分比)に、エネルギー線重合性モノマーとして、イソボルニルアクリレート(IBXA)40質量部(有効成分比)、及びフェニルヒドロキシプロピルアクリレート(HPPA)20質量部(有効成分比)を配合し、上記ウレタンプレポリマー及びエネルギー線重合性モノマーの全量(100質量部)に対して、更に光重合開始剤(ii)2.0質量部(有効成分比)、及び、添加剤として、フタロシアニン系顔料0.2質量部(有効成分比)を配合し、エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製した。
そして、当該エネルギー線硬化性樹脂組成物に、熱膨張性粒子(i)及び酸化亜鉛を配合し、溶剤を含有しない、組成物(ay’)を調製した。
熱膨張性粒子(i)及び酸化亜鉛の配合量は、組成物(ay’)の全量(有効成分100質量%)中、前記エネルギー線硬化性樹脂組成物が64質量%、熱膨張性粒子(i)が20質量%、酸化亜鉛が16質量%となるように配合した。
(2)熱膨張性基材層(AY)と支持体(Y)とを積層した基材積層体の形成
支持体(Y)として、PETフィルム(東洋紡株式会社製、製品名「コスモシャインA4300」、厚さ:50μm)を用い、当該PETフィルムの片面に前記組成物(ay’)を塗布して塗膜を形成した。
そして、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製、製品名「ECS-401GX」)及び高圧水銀ランプ(アイグラフィックス株式会社製、製品名「H04-L41」)を用いて、照度160mW/cm、光量500mJ/cmの条件で紫外線照射し、当該塗膜を硬化させ、厚さ100μmの熱膨張性基材層(AY)を支持体(Y)としてのPETフィルム上に形成した。なお、紫外線照射時の上記の照度及び光量は、照度・光量計(EIT社製、製品名「UV Power Puck II」)を用いて測定した値である。
(3)粘着シートの形成
製造例3で形成した非熱膨張性粘着剤層(X2)の粘着表面と、前記基材積層体の熱膨張性基材層(AY)の表面とを貼り合わせた。次に、製造例2で形成した非熱膨張性粘着剤層(X1)の粘着表面と、前記基材積層体の支持体(Y)であるPETフィルム表面とを貼り合わせた。
これにより、以下の構成を有する粘着シートを作製した。
<重剥離フィルム>/<非熱膨張性粘着剤層(X2)、厚さ:5μm>/<熱膨張性基材層(AY)、厚さ:100μm>/<支持体(Y)、厚さ:50μm>/<非熱膨張性粘着剤層(X1)、厚さ:20μm>/<軽剥離フィルム>
[高周波剥離性評価]
(高周波印加前後の層(AX)又は層(X2)の粘着力)
各実施例及び比較例で作製した粘着シートにおいて、それぞれ、非熱膨張性粘着剤層(X1)を形成しなかったこと以外は、各実施例及び比較例と同様にして、粘着力評価用の粘着シートを作製した。
得られた粘着力評価用の粘着シートを、それぞれ、縦(MD)250mm×横(TD)25mmの大きさに切断した試験片を作製した。
ここで、MD方向のMDとは、Machine Directionの略記であり、MD方向は粘着シート成型時の長尺方向を意味する。また、TD方向のTDとは、Transverse Directionの略記で、TD方向は粘着シート成型時の幅方向を意味する。ここで、実施例及び比較例で作製した粘着シートにおける「MD方向」とは、熱膨張性粘着剤層(AX)又は非熱膨張性粘着剤層(X2)を形成する際の前記各組成物を塗布した方向を指す。
そして、当該試験片の重剥離フィルムを除去し、表出した層(AX)(実施例1~6に対応)又は層(X2)(実施例7に対応)の表面を、アルミ板(株式会社パルテック製、製品名「A5052P」、サイズ:長さ100mm×幅25mm×厚さ2mm)の表面に対し、JIS Z0237:2000に基づき2kgのゴムローラで貼合し、その直後から、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で20分間静置した。
上記条件で静置後、引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、製品名「テンシロン(登録商標)」)を用いて、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引張速度300mm/分にて層(AX)又は層(X2)をアルミ板から引き剥がし、高周波印加前の層(AX)又は層(X2)の粘着力(N/25mm)を測定した。
また、高周波印加後の粘着力は、前述と同様にして試験片を作製し、前記23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で20分間静置した後、次のとおり測定した。当該試験片に対して前述と同様の引き剥がし法による評価を行う直前に、高周波誘電加熱装置(山本ビニター株式会社製、製品名「YRP-400T-RC」)の電極間に当該試験片を固定した状態で、周波数40MHz、出力130Wの条件下に、30秒間高周波を印加した。その後、前述の引き剥がし法と同様にして高周波印加後の層(AX)又は層(X2)の粘着力(N/25mm)を評価した。
なお、比較例1においては、後述するように高周波を印加することができなかったため、高周波印加前の状態のみ評価した。
実施例及び比較例で得られた各粘着シートを前述の評価方法を用いて評価した。結果を下記表1又は表2に示す。
表1及び2より、実施例1~7の粘着シートは、高周波を印加した際の剥離性に優れていることが確認された。
また、実施例4の粘着シートは、誘電発熱フィラーの含有量が多く、熱膨張性粘着剤層(AX)を形成した際の露出面の外観が実施例1~3及び5~6の粘着シートと比べて凹凸が目立つ状態であった。
一方、比較例1の粘着シートは、高周波を印加しようとした際、亜鉛に起因するスパークが発生したため、高周波誘電加熱装置の安全装置が働き、高周波を印加することができなかった。また、亜鉛は、誘電性物質ではないことから、仮に、高周波を印加できても、実施例で使用した誘電発熱フィラーのように発熱しないものと考えられる。
本発明の一態様である粘着シートは、被着体への貼付時には十分な粘着力を有しながらも、高周波を印加することにより被着体から容易に剥離することが可能であるため、高周波を印加可能な被着体を用いる限り、あらゆる用途に適用可能である。
例えば、前述したような、電子デバイス用材料の製造工程等において用いる各種の仮固定用シートとして用いることができる。
また、本発明の一態様の粘着シートは、電子デバイス用途以外にも、例えば、前述したウィンドーフィルム等の保護フィルム用途、壁紙、ラッピングフィルム等の保護・意匠性付与用途、リターナブルラベル等の各種ラベル用途、一時的な掲示物等を貼付する際の使用等、種々の用途が挙げられる。
10、20、30、40、50、60、70 粘着シート
AX 熱膨張性粘着剤層(AX)
AY 熱膨張性基材層(AY)
X1 熱膨張性層(A)と隣接しない非熱膨張性粘着剤層(X1)
X2 熱膨張性層(A)と隣接する非熱膨張性粘着剤層(X2)
Y 支持体(Y)
1 高周波剥離性を発現する表面

Claims (8)

  1. 熱膨張性粒子及び誘電発熱フィラーを含む粘着シートであって、少なくとも前記熱膨張性粒子を含有する熱膨張性層(A)と、支持体(Y)と、層(A)と隣接しない非熱膨張性粘着剤層(X1)とをこの順で有し、
    前記誘電発熱フィラーが酸化金属及び炭化半金属からなる群より選ばれる1種以上である、粘着シート。
  2. 前記誘電発熱フィラーが、酸化亜鉛、酸化チタン、チタン酸バリウム及び炭化ケイ素からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 層(A)が前記誘電発熱フィラーを含有する、請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 層(A)中の前記誘電発熱フィラーの含有量が、1~30質量%である、請求項3に記載の粘着シート。
  5. 層(A)中の前記熱膨張性粒子の含有量が、1~40質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着シート。
  6. 層(A)が熱膨張性粘着剤層(AX)である、請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着シート。
  7. 層(A)が熱膨張性基材層(AY)であって、層(A)と隣接する非熱膨張性粘着剤層(X2)を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着シート。
  8. 前記熱膨張性粒子の熱膨張開始温度が、50~240℃である、請求項1~7のいずれか1項に記載の粘着シート。
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