JP7488473B2 - 衝撃吸収部材 - Google Patents

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Description

本開示は、衝撃吸収部材に関する。
軸方向の圧壊により衝撃を吸収する衝撃吸収部材が知られている。このような衝撃吸収部材は、軸方向に荷重が入力されると、蛇腹状に連続的な座屈が進行することで衝撃を吸収する。衝撃吸収部材は、例えば自動車車体において、クラッシュボックスとしてサイドメンバー(フロントサイドメンバー、リアサイドメンバー)の先端に配置される。
例えば特許文献1には、軸方向に衝撃を受けると、一部が軸方向に変形して衝撃エネルギーを吸収するクラッシュボックスであって、金属製の第1層と、上記第1層よりも気泡の量が多い、金属製の第2層と、が軸方向に交互に形成された、クラッシュボックスが開示されている。一方、蛇腹状に連続的な座屈が進行するタイプの衝撃吸収部材には該当しないが、特許文献2には、厚みが略一定の衝撃吸収性基材から構成された衝撃吸収部を備える樹脂製衝撃吸収部材であって、上記衝撃吸収性基材は、衝撃吸収方向において圧縮強度が異なる複数の熱可塑性樹脂基材が結合されてなる樹脂製衝撃吸収部材が開示されている。
特開2019-86072号公報 特開2015-175430号公報
衝撃吸収部材の材料として、曲げ試験による最大曲げ角度が小さい材料を用いる場合、軸方向に荷重が入力されると、材料の破断が発生し、座屈が安定的に進行しにくい。一方、衝撃吸収部材の材料として、曲げ試験による最大曲げ角度が大きい材料を用いる場合、材料の破断が発生せず、座屈が安定的に進行しやすいものの、潰れきりによる荷重の増大(いわゆる底付き荷重)が生じる。また、潰れきりによる荷重の増大の発生を遅らせる、または無くすという点で、軽量化の観点から改善の余地がある。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、安定的な座屈進行による衝撃吸収性能の向上と、底付き荷重の低減との両立を図ることが可能な衝撃吸収部材を提供することを主目的とする。
本開示においては、軸方向の圧壊により衝撃を吸収する衝撃吸収部材であって、上記衝撃吸収部材は、上記軸方向に沿って延びた筒形状を有し、上記衝撃吸収部材は、上記軸方向に沿って、金属製の第一層と、金属製の第二層とを交互に有し、上記第一層の材料は、VDA規格238-100に規定される曲げ試験により求められる最大曲げ角度が75deg.以下であり、上記第二層は、上記第一層よりも荷重による変形が生じない層であり、かつ、(i)および(ii)の少なくとも一方を満たし、(i)上記第二層の材料の引張強さが、上記第一層の材料の引張強さよりも高いこと、(ii)上記第二層の板厚が、上記第一層の板厚よりも厚いこと、上記第一層の上記軸方向の長さをLとし、上記第一層の平面部の平均幅を(Wpaveとし、上記第二層の上記軸方向の長さをLとし、上記第二層の平面部の平均幅を(Wpaveとした場合に、上記Lおよび上記Lは、1/4(Wpave≦L≦1/2(Wpaveおよび1/4(Wpave≦L≦1/2(Wpaveを満たす、衝撃吸収部材を提供する。
本開示によれば、所定の特性を有する第一層および第二層を、所定の長さL、Lで、軸方向に沿って交互に配置することで、安定的な座屈進行による衝撃吸収性能の向上と、底付き荷重の低減との両立を図ることができる。
上記開示においては、上記第二層の材料の引張強さが、上記第一層の材料の引張強さよりも1.15倍以上高くてもよい。
上記開示においては、上記第二層の板厚が、上記第一層の板厚よりも1.15倍以上厚くてもよい。
上記開示においては、上記第一層が、荷重により生じる応力が集中する応力集中部を有していてもよい。
上記開示においては、上記応力集中部が、穴であってもよい。
上記開示においては、上記第一層および上記第二層の材料が鋼であり、上記第一層の材料の引張強さが1470MPa以上であってもよい。
本開示における衝撃吸収部材は、安定的な座屈進行による衝撃吸収性能の向上と、底付き荷重の低減との両立を図ることができるという効果を奏する。
本開示における衝撃吸収部材を例示する概略斜視図である。 本開示における衝撃吸収部材を例示する模式図である。 本開示における衝撃吸収部材を例示する概略側面図である。 本開示における衝撃吸収部材を例示する模式図である。 本開示における衝撃吸収部材を例示する概略側面図である。 実施例1における変位-荷重線図である。 比較例2におけるFEM解析の結果である。 実施例2、3におけるFEM解析の結果である。 実施例4、5におけるFEM解析の結果である。
以下、本開示における衝撃吸収部材について詳細に説明する。以下に示す各図は、理解を容易にするため、各部の大きさ、形状を適宜誇張している。さらに、各図において、便宜上、ハッチングまたは符号を省略する場合がある。
図1は、本開示における衝撃吸収部材を例示する概略斜視図である。また、図2(a)は、本開示における衝撃吸収部材を例示する概略側面図である。図1に示す衝撃吸収部材10は、軸方向Dの圧壊により衝撃を吸収する。また、衝撃吸収部材10は、軸方向Dに沿って延びた筒形状を有する。衝撃吸収部材10は、軸方向Dに沿って、金属製の第一層1と、金属製の第二層2とを交互に有する。なお、隣接する第一層1および第二層2を軸方向Dから観察した場合、両者は、少なくとも一部が重複するように配置されている。
第一層1の材料は、VDA規格238-100に規定される曲げ試験により求められる最大曲げ角度が75deg.以下である。一方、第二層2は、第一層1よりも荷重による変形が生じない層であり、かつ、(i)および(ii)の少なくとも一方を満たす。
(i)第二層2の材料の引張強さが、第一層1の材料の引張強さよりも高いこと
(ii)第二層2の板厚が、第一層1の板厚よりも厚いこと
また、図2(a)に示すように、第一層1の軸方向Dの長さをLとし、第二層2の軸方向Dの長さをLとする。また、第一層1の平面部の平均幅を(Wpaveとし、第二層の平面部の平均幅を(Wpaveとする。なお、(Wpaveおよび(Wpaveの詳細については後述する。LおよびLは、それぞれ、1/4(Wpave≦L≦1/2(Wpaveおよび1/4(Wpave≦L≦1/2(Wpaveの関係式を満たす。
本開示によれば、所定の特性を有する第一層および第二層を、所定の長さL、Lで、軸方向に沿って交互に配置することで、安定的な座屈進行による衝撃吸収性能の向上と、底付き荷重の低減との両立を図ることができる。
上述したように、衝撃吸収部材の材料として、曲げ試験による最大曲げ角度が小さい材料を用いる場合、軸方向に荷重が入力されると、材料の破断が発生し、座屈が安定的に進行しにくい。具体的には、最大曲げ角度が小さい材料を用いた第一層のみで衝撃吸収部材を構成した場合、初期の座屈変形時に破断が発生し、次の座屈進行が不安定になる。その結果、十分な衝撃吸収性能が得られない。これに対して、本開示においては、第一層と、その第一層よりも荷重による変形が生じない層である第二層とを交互に配置させる。これにより、座屈した第一層により、大きな面外変形が導入されることを回避できる。そのため、座屈した第一層から、第二層を介し、次に座屈する第一層に荷重を伝達することが可能になる。そのため、座屈した第一層に破断が発生しつつも、安定して座屈進行させることができる。
また、座屈による軸方向の面外変形の発生領域は、おおよそ、筒形状の軸方向に垂直な断面を構成する辺の平均長さ(軸方向に沿って延びた平面部の平均幅)である(Wp)aveに依存する。具体的に、(Wp)aveが大きい場合は、面外変形の発生領域が広くなる。本開示においては、第一層で面外変形を完結させ、第二層に変形の影響を及ぼさない座屈進行を生じさせるために、第一層の軸方向の長さLおよび第二層の軸方向の長さLを、各層の(Wpaveおよび(Wpaveとの関係性に着目し、1/4(Wpave≦L≦1/2(Wpaveおよび1/4(Wpave≦L≦1/2(Wpaveを満たすように設定した。
一方、上述したように、衝撃吸収部材の材料として、曲げ試験による最大曲げ角度が大きい材料を用いる場合、材料の破断が発生せず、座屈が安定的に進行しやすいものの、潰れきりによる荷重の増大(いわゆる底付き荷重)が生じる。これに対して、本開示においては、第一層の材料として、曲げ試験による最大曲げ角度が小さい材料を用いる。そのため、座屈した第一層に破断が発生し、潰れきった時の変形抵抗が低くなる。その結果、底付き荷重を低減することができる。このように、本開示においては、所定の特性を有する第一層および第二層を、所定の長さL、Lで、軸方向に沿って交互に配置することで、安定的な座屈進行による衝撃吸収性能の向上と、底付き荷重の低減との両立を図ることができる。
以下、本開示における衝撃吸収部材について、より詳細に説明する。
本開示における衝撃吸収部材は、軸方向に荷重が入力されると、蛇腹状に連続的な座屈が進行することで衝撃を吸収する。また、衝撃吸収部材は、軸方向に沿って延びた筒形状を有する。衝撃吸収部材の軸方向に垂直な断面形状は、特に限定されないが、例えば、正方形等の矩形、n角形(nは5以上の整数である)が挙げられる。なお、これらの矩形やn角形は厳密な多角形ではなく、多角形の角に相当する部位は、通常、円弧状に形成される。すなわち、衝撃吸収部材の軸方向に垂直な断面形状は、直線状部と円弧状部が交互に連なった形状である。衝撃吸収部材の軸方向に垂直な断面を構成する辺の長さは、直線状部の長さを意味する。すなわち、直線状部を挟む一方の円弧状部のうち当該直線状部に近い側のR止まりと、直線状部を挟む他方の円弧状部のうち当該直線状部に近い側のR止まりと、の間の距離を辺の長さとする。
図1に示すように、衝撃吸収部材10は、軸方向Dに沿って、金属製の第一層1と、金属製の第二層2とを交互に有する。「第一層と第二層とを交互に有する」とは、第一層、第二層および第一層の順に配置された構造を少なくとも有することをいう。例えば、図2(a)に示す衝撃吸収部材10は、軸方向Dに沿って、第一層11、第二層21、第一層12、第二層22、第一層13、第二層23が順に配置された構造を有する。
また、図2(a)に示すように、第一層1は、第二層2よりも荷重入力側の表面Sに近くなるように配置されていてもよく、図3に示すように、第二層2は、第一層1よりも荷重入力側の表面Sに近くなるように配置されていてもよい。衝撃吸収部材において、第一層の数は、例えば2以上、10以下であり、第二層の数は、例えば1以上、10以下である。
本開示において、第一層の材料は、VDA規格238-100に規定される曲げ試験により求められる最大曲げ角度が75deg.以下である。最大曲げ角度は、部材が軸方向に圧壊する際の蛇腹状の座屈変形挙動の安定性との相関があり、軸圧壊時の破壊挙動を定量的に表す指標となる。最大曲げ角度が75deg.以下である材料は、軸方向に荷重が入力されると、材料の破断が発生し、座屈が安定的に進行しにくい。
また、第一層の材料は、JIS Z 2241:2011に規定される金属材料引張試験方法により求められる全伸びが、10%以下であることが好ましい。
第一層の材料としては、例えば、鋼、アルミニウム合金等の金属が挙げられる。また、上記金属の引張強さは、例えば1470MPa以上であることが好ましい。また、第一層の板厚は、例えば、0.5mm以上、5mm以下であり、0.5mm以上、1.6mm以下であってもよい。
第一層は、荷重により生じる応力が集中する応力集中部を有していてもよい。応力集中部を設けることで、第一層の変形が生じやすくなる。図4(a)は、本開示における衝撃吸収部材を例示する概略側面図であり、図4(b)は、図4(a)のA-A断面図である。図4(a)、(b)に示すように、第一層1は、荷重により生じる応力が集中する応力集中部5として、丸穴を有している。図4(b)において、2つの応力集中部5は、第一層1の断面に対向する位置に配置されている。応力集中部としては、例えば、穴(貫通穴)、溝(未貫通溝)が挙げられる。応力集中部の平面視形状としては、例えば、丸、矩形、スリットが挙げられる。図4(b)に示すように、応力集中部5である穴には、その穴縁から筒形状の中空部側に突出した縦壁6が配置されていてもよい。縦壁は、例えばバーリング加工により成形される。
本開示において、第二層は、第一層よりも荷重による変形が生じない層である。第二層が第一層よりも荷重による変形が生じない層に該当するか否かは、FEM(Finite Element Method)解析により座屈変形挙動を評価することにより、確認することができる。
第二層の材料としては、例えば、鋼、アルミニウム合金等の金属が挙げられる。また、上記金属の引張強さは、例えば980MPa以上であり、1180MPa以上であってもよく、1470MPa以上であってもよい。また、第二層の板厚は、例えば、0.5mm以上、5mm以下であり、0.5mm以上、1.6mm以下であってもよい。
第二層は、下記(i)および(ii)の少なくとも一方を満たす。
(i)第二層の材料の引張強さが、第一層の材料の引張強さよりも高いこと
(ii)第二層の板厚が、第一層の板厚よりも厚いこと
衝撃吸収部材が、(i)第二層の材料の引張強さが、第一層の材料の引張強さよりも高いこと、を満たす場合、引張強さ比は、例えば1.15倍以上であり、1.3倍以上であってもよい。衝撃吸収部材が上記(i)を満たす場合、衝撃吸収部材は、上記(ii)を満たしてもよく、満たさなくてもよい。後者の具体例としては、第二層の材料の引張強さが第一層の材料の引張強さよりも高く、かつ、第二層の板厚が第一層の板厚と同じ場合、または、第二層の板厚が第一層の板厚よりも薄い場合が挙げられる。「第二層の板厚が第一層の板厚と同じ」とは、両者の板厚の差が0.1mm以下であることをいう。
衝撃吸収部材が、(ii)第二層の板厚が、第一層の板厚よりも厚いこと、を満たす場合、板厚比は、例えば1.15倍以上であり、1.3倍以上であってもよい。衝撃吸収部材が上記(ii)を満たす場合、衝撃吸収部材は、上記(i)を満たしてもよく、満たさなくてもよい。後者の具体例としては、第二層の板厚が第一層の板厚よりも厚く、かつ、第二層の材料の引張強さが第一層の材料の引張強さと同じ場合、または、第二層の材料の引張強さが第一層の材料の引張強さよりも低い場合が挙げられる。第二層の材料の引張強さが第一層の材料の引張強さと同じ場合としては、例えば、第二層の材料の引張強さおよび第一層の材料の引張強さが、ともに1470MPa級である場合が挙げられる。一方、第二層の材料の引張強さが第一層の材料の引張強さよりも低い場合としては、例えば、第二層の材料の引張強さが980MPa級であり、第一層の材料の引張強さが1470MPa級である場合が挙げられる。
また、図2(a)に示すように、第一層1の軸方向Dの長さをLとし、第二層2の軸方向Dの長さをLとする。また、第一層1の平面部の平均幅を(Wpaveとし、第二層の平面部の平均幅を(Wpaveとする。ここで、平面部とは、軸方向に沿って延びる平面領域をいい、平面部の幅は、軸方向を法線方向とする平面で切断した場合の断面を構成する辺の長さに該当する。図2(b)に示すように、第一層1は、4つの辺を有し、それぞれの辺の長さ(平面部の幅)が、Wp、Wp、Wp、Wpであり、(Wpaveは、Wp、Wp、Wp、Wpの平均値である。同様に、図2(c)に示すように、第二層2は、4つの辺を有し、それぞれの辺の長さ(平面部の幅)が、Wp、Wp、Wp、Wpであり、(Wpaveは、Wp、Wp、Wp、Wpの平均値である。
本開示においては、LおよびLが、それぞれ、1/4(Wpave≦L≦1/2(Wpaveおよび1/4(Wpave≦L≦1/2(Wpaveの関係式を満たす。LおよびLが、上記関係式を満たすことにより、第一層で面外変形を完結させ、第二層に変形の影響を及ぼさない座屈進行を生じさせることができる。
およびLの値は、特に限定されないが、それぞれ、例えば15mm以上75mm以下である。なお、衝撃吸収部材は、通常、複数の第一層を有するが、各々の第一層におけるLの値が、上記範囲にあることが好ましい。また、衝撃吸収部材が複数の第二層を有する場合、各々の第二層におけるLの値が、上記範囲にあることが好ましい。
衝撃吸収部材が複数の第一層を有する場合、各々の第一層におけるLの値は、同じであってもよく、異なっていてもよい。「各々の第一層におけるLの値が同じ」とは、複数の第一層において、Lの最大値とLの最小値との差が1mm以下であることをいい、「各々の第一層におけるLの値が異なる」とは、複数の第一層において、Lの最大値とLの最小値との差が1mmより大きいことをいう。
衝撃吸収部材が複数の第二層を有する場合、各々の第二層におけるLの値は、同じであってもよく、異なっていてもよい。「各々の第二層におけるLの値が同じ」とは、複数の第二層において、Lの最大値とLの最小値との差が1mm以下であることをいい、「各々の第二層におけるLの値が異なる」とは、複数の第二層において、Lの最大値とLの最小値との差が1mmより大きいことをいう。
また、図5に示すように、荷重入力側の表面Sに最も近い第二層におけるL(第二層21におけるL21)の値は、他の第二層におけるLの平均値(第二層22、第二層23における、L22、L23の平均値)よりも大きくてもよい。荷重入力側の表面Sに最も近い第一層(第一層11)は、最も大きな面外変形が導入されやすいが、その第一層に隣接する第二層におけるL(第二層21におけるL21)を大きくすることで、次に座屈する第一層に荷重を効率よく伝達することができる。荷重入力側の表面Sに最も近い第二層におけるLの値は、他の第二層におけるLの平均値の1.2倍以上であることが好ましい。
また、衝撃吸収部材が複数の第一層および第二層を有する場合、Lの平均値は、Lの平均値より小さくてもよく、同じであってもよく、大きくてもよい。「Lの平均値がLの平均値と同じ」とは、両者の差が1mm以下であることをいう。
本開示における衝撃吸収部材は、軸方向の圧壊により衝撃を吸収する任意の用途に用いることができるが、典型的な用途としては、自動車用クラッシュボックスが挙げられる。
本開示における衝撃吸収部材の製造方法は、特に限定されないが、例えば、金属板に、プレス曲げ、絞り、巻きおよびロールフォーミング等の加工をいずれか一つあるいは複数行うことにより、筒形状を形成する方法が挙げられる。筒形状を閉断面にするために、適宜接合を行ってもよい。接合方法としては、例えば、スポット溶接、カシメおよびスポット摩擦攪拌接合等の断続接合、アーク(プラズマ)溶接、レーザー溶接および摩擦攪拌接合等の連続接合が挙げられる。また、上記接合方法により、第一層および第二層を接合することができる。
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
[実施例1]
1470MPa級の鋼(板厚1.0mm、試作鋼)および980MPa級の鋼(板厚1.8mm)を用いて、試験体を作製した。1470MPa級の鋼の材料特性を表1に示す。
Figure 0007488473000001
具体的には、図4(a)に示すように、第一層1(1470MPa級の鋼、L=30mm)および第二層2(980MPa級の鋼、L=30mm)を、溶接により交互に3層ずつ配置した。さらに、長手方向の両端に端板(板厚9mm)を溶接により配置した。なお、インパクターと衝突する側(荷重入力側)に位置する第一層には、切り欠き部を設けた。また、図4(b)に示すように、第一層1(1470MPa級の鋼)には、対向する2つ平面部に、丸穴(応力集中部)を設けた。試験体の断面は、80mm×80mmの正方形とした。
[比較例1]
表1に示す1470MPa級の鋼(板厚1.0mm)を用い、試験体を作製した。具体的には、第一層(1470MPa級の鋼、L=180mm)を溶接により形成し、さらに、長手方向の両端に端板(板厚9mm)を溶接により配置した。なお、インパクターと衝突する側(荷重入力側)に位置する第一層には、切り欠き部を設けた。また、比較例1では、実施例1とは異なり、丸穴(応力集中部)を設けなかった。試験体の断面は、実施例1と同じく80mm×80mmの正方形とした。
[評価]
実施例1および比較例1で作製した試験体に対して、衝突試験を行った。具体的には、試験体の一端をロードセルにボルト固定し、試験体の他端に、平板のインパクターを有する錘体(重量335kg)を落下衝突させた。錘体の落下高さは4.5m、すなわち衝突初速度は33.8km/hとした。また、試験体の変形荷重(荷重F)は、試験体の固定側のロードセルにより計測した。また、レーザーにて錘体変位(変位δ)を計測した。
衝突試験の結果、実施例1および比較例1で作製した試験体には、いずれも破断が確認された。実施例1では、試験体が分断するほどの破断が発生した。また、実施例1における変形の状態変化を評価したところ、第一層が破断しつつも、厚手の第二層が抵抗することで、第二層を介して、第一層の座屈が進行していることが確認された。
図6は、実施例1における変位-荷重線図である。図6に示すように、変位δが120mmまでは、実測およびCAE(Computer Aided Engineering)解析の結果は概ね一致した。実測では、初期、変位δ=30mm付近、変位δ=80mm付近に、それぞれ明瞭なピークが確認された。このことから、破断しつつも、安定して座屈進行していたことが推察される。一方、CAE解析では、変位δが150mm以降になると、急激な荷重増加がみられた。この荷重増加は、いわゆる底付き荷重と呼ばれるものである。
底付き荷重は、実際の衝突現象において衝撃吸収部材の変形を阻害するため、できる限り発生までの変位δを遅らせるか、発生させないことが好ましい。底付き荷重を低減することで、衝撃吸収部材の実変形率が増大し、例えば、部材長を短くできる等の軽量化を図ることができる。一方、実測の結果では、変位δが150mm以降になっても、顕著な荷重増加がみられなかった。すなわち、破断発生により底付き荷重が回避されたことが示唆された。これは、上述したように、実施例1では、試験体が分断するほどの破断が発生したためであると推測される。このように、実施例1で作製した衝撃吸収部材は、安定的な座屈進行による衝撃吸収性能の向上と、底付き荷重の低減との両立を図ることができた。
[比較例2]
FEM解析により座屈変形挙動を評価した。第一層および第二層として、ともに1470MPa級の鋼(板厚1.0mm)の材料特性を用いた。層構成は、実施例1と同じく、第一層(L=30mm)および第二層(L=30mm)交互に3層ずつ配置した。座屈変形時の変形速度(衝突速度)は10m/sとした。その結果を図7に示す。図7に示すように、第二層(特に、第二層22における白矢印部分)が変形時に十分に抵抗しないことが確認された。その結果、座屈した第一層12から、第二層22を介して、第一層13に安定して座屈が進行しないことが示唆された。
[実施例2、3]
FEM解析により座屈変形挙動を評価した。実施例2では、第一層として1470MPa級の鋼(板厚1.0mm)の材料特性を用い、第二層として1760MPa級の鋼(板厚1.0mm)の材料特性を用いた。実施例3では、第一層として1470MPa級の鋼(板厚1.0mm)の材料特性を用い、第二層として1470MPa級の鋼(板厚1.2mm)の材料特性を用いた。これらの点以外は、比較例2と同様にしてFEM解析を行った。
実施例2、3の結果を、それぞれ図8(a)、(b)に示す。図8(a)に示すように、実施例2では、第二層(特に、第二層22における白矢印部分)が変形時に抵抗することが確認された。その結果、座屈した第一層12から、第二層22を介して、第一層13(特に黒矢印部分)に安定して座屈が進行することが示唆された。また、図8(b)に示すように、実施例3においても、実施例2と同様の傾向が確認された。このように、第二層の材料が第一層の材料よりも引張強さが高い場合、および、第二層の板厚が第一層の板厚よりも厚い場合に、安定的に座屈が進行することが確認された。
[実施例4、5]
FEM解析により座屈変形挙動を評価した。実施例4では、第一層として1470MPa級の鋼(板厚1.0mm)の材料特性を用い、第二層として1760MPa級の鋼(板厚1.0mm)の材料特性を用い、第一層に丸穴(応力集中部)を設けた。実施例5では、第一層として1470MPa級の鋼(板厚1.0mm)の材料特性を用い、第二層として1470MPa級の鋼(板厚1.2mm)の材料特性を用い、第一層に、丸穴(応力集中部)と、その穴縁から筒形状の中空部側に突出した縦壁とを設けた。これらの点以外は、比較例2と同様にしてFEM解析を行った。
実施例4、5の結果を、それぞれ図9(a)、(b)に示す。図9(a)に示すように、実施例4では、第二層(特に、第二層22における白矢印部分)が変形時に抵抗することが確認された。その結果、座屈した第一層12から、第二層22を介して、第一層13(特に黒矢印部分)に安定して座屈が進行することが示唆された。また、図9(b)に示すように、実施例5においても、実施例4と同様の傾向が確認された。このように、第一層が応力集中部を有する場合に、安定的に座屈が進行することが確認された。
1 … 第一層
2 … 第二層
5 … 応力集中部
10 … 衝撃吸収部材

Claims (6)

  1. 軸方向の圧壊により衝撃を吸収する衝撃吸収部材であって、
    前記衝撃吸収部材は、前記軸方向に沿って延びた筒形状を有し、
    前記衝撃吸収部材は、前記軸方向に沿って、金属製の第一層と、金属製の第二層とを交互に有し、
    前記第一層の材料は、VDA規格238-100に規定される曲げ試験により求められる最大曲げ角度が75deg.以下であり、
    前記第二層は、前記第一層よりも荷重による変形が生じない層であり、かつ、(i)および(ii)の少なくとも一方を満たし、
    (i)前記第二層の材料の引張強さが、前記第一層の材料の引張強さよりも高いこと、
    (ii)前記第二層の板厚が、前記第一層の板厚よりも厚いこと、
    前記第一層の前記軸方向の長さをLとし、前記第一層の平面部の平均幅を(Wpaveとし、前記第二層の前記軸方向の長さをLとし、前記第二層の平面部の平均幅を(Wpaveとした場合に、前記Lおよび前記Lは、1/4(Wpave≦L≦1/2(Wpaveおよび1/4(Wpave≦L≦1/2(Wpaveを満たす、衝撃吸収部材。
  2. 前記第二層の材料の引張強さが、前記第一層の材料の引張強さよりも1.15倍以上高い、請求項1に記載の衝撃吸収部材。
  3. 前記第二層の板厚が、前記第一層の板厚よりも1.15倍以上厚い、請求項1または請求項2に記載の衝撃吸収部材。
  4. 前記第一層が、荷重により生じる応力が集中する応力集中部を有する、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の衝撃吸収部材。
  5. 前記応力集中部が、穴である、請求項4に記載の衝撃吸収部材。
  6. 前記第一層および前記第二層の材料が鋼であり、
    前記第一層の材料の引張強さが1470MPa以上である、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の衝撃吸収部材。
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