JP7484877B2 - 鋼板の冷却方法、鋼板の製造方法、冷却設備、及び製造設備 - Google Patents
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Description
特許文献1の方法では、冷却終了後の鋼板を冷却目標温度とするための冷却条件について求めることができる。しかし、特許文献1には、更に、冷却処理の途中の鋼板温度を最適化する冷却条件の算出について記載も示唆もない。
(構成)
本実施形態の冷却設備は、図1に示すように、搬送テーブル7と、温度センサ2と、冷却装置3と、冷却制御部4とを備える。
なお、冷却設備の上流工程6として、熱延工程や加熱処理工程などが例示できる。
<搬送テーブル7>
搬送テーブル7は、鋼板1のパスラインPにそって複数の搬送ローラ(不図示)が配置されて構成され、鋼板1を設定された搬送速度で搬送可能となっている。搬送速度は、冷却制御部4からの指令によって設定される。
<温度センサ>
温度センサ2は、冷却前の鋼板温度を測定する。また、符号5の温度センサは、冷却後の鋼板温度を測定する。
冷却装置3は、搬送される鋼板1を冷却する装置である。
冷却装置3は、鋼板1のパスラインP(鋼板1の搬送方向)に沿って並ぶように、複数の冷却ゾーンN1~Nmが配置され、複数の冷却ゾーンN1~Nmで形成された領域で冷却を実行する。各水冷ゾーンには、それぞれ鋼板1表面に水を吹き付け可能な水冷機器(バンク)が配置されている。
ここで、本明細書では、複数の冷却ゾーンN1~Nmから選択した、水冷を行う冷却ゾーンN1~Nmの組み合わせを冷却パターンと記載する。また、冷却パターンと鋼板1の搬送速度との組み合わせを冷却条件と記載する。
本実施形態では、図1に示すように、複数の冷却ゾーンN1~Nmで一つの連続した冷却領域を構成している。
そして、本実施形態では、図2に示すように、冷却制御部4からの指令内容に応じて、複数の冷却ゾーンN1~N14が、上流側(1段目)の第1の冷却区間11と下流側(2段目)の第2の冷却区間12とに区分される。すなわち、製造する鋼板1の品質などの要求に応じて、上流側の第1の冷却区間11と下流側の第2の冷却区間12との境界位置が、動的に変更可能となっている。この場合、上流側の第1の冷却区間11での冷却速度と、下流側の第2の冷却区間12での冷却速度の制御の自由度を高くすることが可能となる。
ただし、上流側の第1の冷却区間11と下流側の第2の冷却区間12とを、物理的に分離して構成しても良い。
冷却制御部4は、図3に示すように、冷却ゾーン設定部4A、初期冷却条件設定部4B、冷却パターン修正部4C、冷却条件修正部4D、最終冷却条件決定部4E、及び指令出力部4Fを備える。
ここで、本開示は、冷却制御の条件として、次の二つを前提とする。
(1)鋼板1の搬送速度は、冷却領域では、一定速制御とする。これによって、鋼板長手方向の各鋼片部分に対して同じ冷却処理が行われて、鋼板長手方向の温度ばらつきが抑止される。
(2)各バンク単位(冷却ゾーン単位)で水流量等を制御可能な設備を対象とする。本実施形態の冷却温度の制御方法は、冷却目標温度の許容範囲を満足する水冷を行う。つまり、冷却制御は、噴射を行う冷却ゾーンN1~Nmの数(冷却パターン)と、鋼板1の搬送速度を決定することで制御を行う。なお、各バンクでの噴射量はそれぞれ一定に調整し、水の噴射/非噴射のON/OFF制御とする。
冷却ゾーン設定部4Aは、複数の冷却ゾーンN1~Nmを、上流側の第1の冷却区間11と下流側の第2の冷却区間12とに区分する処理を行う。第1の冷却区間11と第2の冷却区間12との区分が固定されている場合、冷却ゾーン設定部4Aは無くても良い。
冷却ゾーン設定部4Aは、第1の冷却区間通過後の目標値として、第1の冷却目標温度T1の範囲を入力すると共に、上記第2の冷却区間通過後の目標値として、第2の冷却目標温度T2の範囲を入力する。すなわち、第1の冷却目標温度T1及び第2の冷却目標温度T2は、所定の温度幅を有し、上限値と下限値とを有する。上限値と下限値との差は、設定が厳しい場合には狭く設定され、設定が厳しくない場合には、例えば下限値を実質無い値として設定する。
又は、第1段目の冷却速度と第2段目の冷却速度を入力し、冷却前の鋼板実績温度から、第1の冷却目標温度T1、第2の冷却目標温度T2、及び上流側の第1の冷却区間11と下流側の第2の冷却区間12との区分を求めて設定してもよい。
ここで、本実施形態では、図2に示すように、第1の冷却区間11の最下流の冷却ゾーンN1~Nmを非噴射に設定して、上流側の第1の冷却区間11と下流側の第2の冷却区間12との間に空冷ゾーンを設定する。また、非噴射とする冷却ゾーンは、最下流側から上流側に向けて順番に設定する。
初期冷却条件設定部4Bは、冷却対象の鋼板1の材料諸元に基づき、第2の冷却区間通過後の鋼板温度を第2の冷却目標温度T2の範囲内とするための、第1の冷却パターンと第1の搬送速度からなる第1の冷却条件を算出する処理を行う。例えば、初期冷却条件設定部4Bは、第2の冷却区間通過後の鋼板温度を第2の冷却目標温度T2の範囲内の上限値などの所定温度をターゲットとして、第1の冷却パターンと第1の搬送速度からなる第1の冷却条件を算出する処理を行う。
この初期冷却条件設定部4Bの処理は、特許文献1に記載の方法など、従来公知の方法によって求めれば良い。
本例では、ステップS10にて、冷却ゾーン設定部4Aで設定された、水冷可能な水冷ゾーン(バンク)の数と、鋼板1の材料諸元、搬送速度の範囲、冷却前の鋼板実績温度を取得する。冷却前の鋼板実績温度は、温度センサ2で測定した温度とする。冷却前の鋼板実績温度は、加熱炉の抽出目標温度などから推定した温度でも良い。
初期値は、水冷可能な水冷ゾーン(バンク)をONとした状態である。ONとは、噴射ONの信号を供給して、水冷を行うゾーンに設定されていることを指す。図2では、噴射ONを「入」、噴射OFFを「切」と記載している。
次に、ステップS30では、計算温度が第2の冷却目標温度T2の下限値(本例では、目標温度-3℃とする)よりも低いか否かを判定する。満足する場合には、冷えすぎと判定してステップS40に移行する。満足しない場合には、ステップS50に移行する。
ステップ40では、複数の冷却ゾーンN1~Nmのうち、噴射ONとなっている冷却ゾーンN1~Nmのうちの最下流位置にある冷却ゾーンN1~NmをOFFとして、ステップS20に移行する。OFFとは、噴射OFFの信号を供給して、水冷を行わないゾーンに設定されていることを指す。
ステップS60では、今までに設定した、複数の冷却ゾーンN1~Nmの複数のON/OFFの設定パターン(冷却パターン)はそのままで、搬送速度を最低速度に設定して、再度、温度降下計算を実行して、第2の冷却区間通過後の鋼板温度である計算温度を求める。
ステップS80では、搬送速度を変更して、温度降下計算を実行して、第2の冷却区間通過後の鋼板温度である計算温度を求める。そして、ステップS70に移行する。
搬送速度の変更は、例えば挟みうち法にて実行する。
この処理では、まず能率を優先して搬送速度を早くするため、水冷に使用可能な水冷ゾーンを全て噴射有として初期の冷却パターン(噴射パターン)を決定する。本実施形態では、第1の冷却区間11の最終ゾーンはOFFで固定して、第1冷却区間と第2の冷却区間12の間に空冷のゾーンを形成する。
冷却パターン修正部4Cは、初期冷却条件設定部4Bが求めた第1の冷却パターンに対し、当該第1の冷却パターンで選択された水冷を行う冷却ゾーンN1~Nmの少なくとも1つの冷却ゾーンN1~Nmを非選択(OFF)に変更した第2の冷却パターンを求める。求める第2の冷却パターンは、1つでも良いし、複数であっても良い。
本実施形態では、第2の冷却パターンを複数種類求めることとする。
図2に基づき求めた、4つの第2の冷却パターンの例を図6に示す。これは、図2のパターンにおける、ゾーンNo.3,12の少なくとも1つをOFF(切)にして、4つの第2の冷却パターンを作成した例である。
ここで、最大4パターンとしたのは、計算処理時間を優先するためであり、計算処理時間に余裕がある場合には、最終噴射ゾーンのみでなく、その前段の噴射ゾーンも選択/非選択する最大16パターンで計算を行うこととなり、この方が第1の冷却目標温度T1を精度良く満たす可能性は高まる。
冷却条件修正部4Dは、各第2の冷却パターンについて、第2の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第2の冷却目標温度T2の範囲内とする第2の搬送速度を求める。
4つの第2の冷却パターン及び第2の搬送速度からなる冷却条件による、4つの温度降下のパターンT2~PT5の例を図7に示す。
冷却条件修正部4Dは、好ましくは、第2の冷却区間通過後の鋼板温度を第2の冷却目標温度T2の範囲内から選択した所定温度とすることを目標として、第2の搬送速度を求める。所定温度は、例えば第2の冷却目標温度T2の範囲内における、上限値や目標値とする。
これによって、第2の冷却パターンの数だけ、第2の冷却パターンと第2の搬送速度とからなる第2の冷却条件が求まる。
最終冷却条件決定部4Eは、求めた各第2の冷却パターンについて、第2の搬送速度以下の搬送速度という条件で、第1の冷却区間通過後の鋼板温度を第1の冷却目標温度T1の範囲とする第3の搬送速度を求め、第2の冷却パターンと上記第3の搬送速度から、最終的な冷却条件を決定する。
そして、最終冷却条件決定部4Eは、複数の第2の冷却パターンから選択した一つの冷却パターンを、最終的な冷却条件の冷却パターンとして選択する。すなわち、第2の冷却パターンと第3の搬送速度とからなる第3の冷却条件から、最終的な冷却条件を選択する。
例えば、速度重視であれば、第3の冷却条件のうち、第2の冷却区間通過後の鋼板温度が第2の冷却目標温度T2の範囲内であって、かつ搬送速度が一番高い条件を選択する。
[第1の最終冷却条件決定部]
第1の最終冷却条件決定部は、第2の冷却パターンと第2の搬送速度の組み合わせからなる複数の第2の冷却条件(図7参照)のうち、第1の冷却区間通過後の鋼板温度が上記第1の冷却目標温度T1に一番近い第2の冷却条件の、第2の冷却パターンを最終的な冷却条件の冷却パターンとして選択すると共に、上記一番近い第2の冷却条件における上記第2の搬送速度を第3の搬送速度とする。
すなわち、図7においては、第1の冷却目標温度T1に一番近いパターンPT3の冷却条件を採用する。
本例の処理は、第2の冷却目標温度T2を精度良く満たすことを最優先する場合の処理例である。
第2の最終冷却条件決定部は、図8に示すように、第2冷却条件修正部4Eaと、最終冷却条件選択部4Ebとを備える。
第2冷却条件修正部4Eaは、複数の第2の冷却パターンについて、それぞれ第2の搬送速度以下の搬送速度で、第1の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第1の冷却目標温度T1の範囲とする第3の搬送速度を求める。そして、第2の冷却パターンと第3の搬送速度の組み合わせからなる複数の第3の冷却条件を求める。ただし、第3の搬送速度は、第2の搬送速度以下とする条件で求める。例えば、図9のように、第2の冷却条件でのパターンPT6について、第3の速度を求めて第2の冷却パターンと第3の搬送速度からなる冷却条件(パターンPT7を参照)を求める。
例えば、速度重視であれば、第3の冷却条件のうち、第2の冷却区間通過後の鋼板温度が第2の冷却目標温度T2の範囲内であって、かつ搬送速度が一番高い条件を選択する。
第2の冷却条件修正部4Eaは、次のように処理を行って第3の冷却条件を求めて良い。
この計算で求められる第3の搬送速度は、第2の冷却目標温度T2上限を満足する第2の搬送速度以下となるので、第2の冷却目標温度T2上限を満たしたまま、第1の冷却目標温度T1の範囲を満たすことができる。
ここで、複数の解(第3の冷却条件)が発生するが、能率重視(搬送速度最大)、2段目冷却温度重視などの評価指標から、適宜、選択することとなる。また、どの第3の冷却条件を適用しても冷却処理を行うことが可能である。
指令出力部4Fは、求めた最終的な冷却条件に応じた冷却指令及び搬送速度指令を出力する。
ここで、初期冷却条件設定部4Bは、初期冷却条件設定ステップを構成する。冷却パターン修正部4Cは、冷却パターン修正ステップを構成する。冷却条件修正部4Dは冷却条件修正ステップを構成する。最終冷却条件決定部4Eは最終冷却条件決定ステップを構成する。冷却条件修正部4Dは冷却条件修正ステップを構成する。最終冷却条件選択部4Dbは最終冷却条件選択ステップを構成する。
本実施形態では、従来技術と同様に、冷却装置3によって冷却する際、冷却目標温度は、冷却する冷却ゾーンN1~Nm(噴射ゾーン)の選択(冷却パターン)と、冷却設備を通過する鋼板1の搬送速度を決定することで制御する。ただし、本実施形態では、冷却目標温度を複数個別に持つ2段冷却とし、2段目の第2の冷却目標温度T2の許容範囲に応じて、上述のように最適な冷却条件を決定する。
一方、第2の最終冷却条件決定部の採用は、第2の冷却目標温度T2の許容範囲の幅が広い場合に採用することができる。許容範囲の幅が広い場合とは、例えば100℃以上の範囲幅(又は下限値が0℃の場合)である。例えば、第2の冷却目標温度T2の範囲の許容幅が、第1の冷却目標温度T1の範囲の許容幅よりも大幅に広い場合に有効である。
本開示は、次の構成も取り得る。
(1)鋼板を所定の搬送速度で搬送しながら冷却する鋼板の冷却方法であって、
鋼板搬送方向に並ぶと共に、それぞれ鋼板表面に水を噴射可能な水冷設備を備える複数の冷却ゾーンを備え、上記複数の冷却ゾーンから選択した冷却ゾーンで鋼板の冷却を実行し、
上記複数の冷却ゾーンから選択した冷却ゾーンの組み合わせを冷却パターンと記載し、上記冷却パターンと上記鋼板の搬送速度の組み合わせを冷却条件と記載し、
上記複数の冷却ゾーンを、上流側の第1の冷却区間と下流側の第2の冷却区間とに区分し、
上記第1の冷却区間通過後の目標値として、第1の冷却目標温度の範囲が設定され、
上記第2の冷却区間通過後の目標値として、第2の冷却目標温度の範囲が設定され、
上記第2の冷却区間通過後の鋼板温度を第2の冷却目標温度の範囲内とするための、第1の冷却パターンと第1の搬送速度からなる第1の冷却条件を算出する初期冷却条件設定ステップと、
上記第1の冷却パターンに対し、当該第1の冷却パターンで選択された冷却ゾーンの少なくとも1つの冷却ゾーンを非選択に変更した第2の冷却パターンを求める冷却パターン修正ステップと、
第2の冷却パターンについて、上記第2の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第2の冷却目標温度の範囲内とする第2の搬送速度を求める冷却条件修正ステップと、
求めた第2の冷却パターンについて、上記第2の搬送速度以下の搬送速度で、上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第1の冷却目標温度の範囲内とする第3の搬送速度を求め、上記第2の冷却パターンと上記第3の搬送速度から、最終的な冷却条件を決定する最終冷却条件決定ステップと、を備え、
上記最終的な冷却条件で鋼板の冷却を行う。
(3)上記冷却パターン修正ステップは、上記第2の冷却パターンを複数種類求め、
上記冷却条件修正ステップは、第2の冷却パターン毎に第2の搬送速度を求め、
上記最終冷却条件決定ステップは、複数の第2の冷却パターンから選択した一つの冷却パターンを、最終的な冷却条件の冷却パターンとして選択する。
上記複数の第2の冷却パターンについて、それぞれ第2の搬送速度以下の搬送速度で、上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第1の冷却目標温度の範囲とする第3の搬送速度を求めて、第2の冷却パターンと第3の搬送速度の組み合わせからなる複数の第3の冷却条件を求める第2冷却条件修正ステップと、
求めた複数の第3の冷却条件から、最終的な冷却条件を選択する最終冷却条件選択ステップと、を備える。
(8)第1の冷却区間と第2の冷却区間との間に空冷ゾーンを有する。
(9)本開示に記載した鋼板の冷却方法を用いた鋼板の製造方法。
鋼板搬送方向に並ぶと共に、それぞれ鋼板表面に水を噴射可能な水冷設備を備える複数の冷却ゾーンを備え、上記複数の冷却ゾーンから選択した冷却ゾーンで鋼板の冷却を実行可能となっており、
上記複数の冷却ゾーンから選択した冷却ゾーンの組み合わせを冷却パターンと記載し、上記冷却パターンと上記鋼板の搬送速度の組み合わせを冷却条件と記載し、
上記複数の冷却ゾーンを、上流側の第1の冷却区間と下流側の第2の冷却区間とに区分し、
上記複数の冷却ゾーンを用いた水冷制御を行う冷却制御部を備え、
上記冷却制御部は、上記第1の冷却区間通過後の目標値として、第1の冷却目標温度の範囲が設定されると共に、上記第2の冷却区間通過後の目標値として、第2の冷却目標温度の範囲が設定され、
上記冷却制御部は、
上記第2の冷却区間通過後の鋼板温度を第2の冷却目標温度の範囲内とするための、第1の冷却パターンと第1の搬送速度からなる第1の冷却条件を算出する初期冷却条件設定部と、
上記第1の冷却パターンに対し、当該第1の冷却パターンで選択された冷却ゾーンの少なくとも1つの冷却ゾーンを非選択に変更した第2の冷却パターンを求める冷却パターン修正部と、
第2の冷却パターンについて、上記第2の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第2の冷却目標温度の範囲内とする第2の搬送速度を求める冷却条件修正部と、
求めた第2の冷却パターンについて、上記第2の搬送速度以下の搬送速度で、上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第1の冷却目標温度の範囲内とする第3の搬送速度を求め、上記第2の冷却パターンと上記第3の搬送速度から、最終的な冷却条件を決定する最終冷却条件決定部と、
最終的な冷却条件に応じた指令を出力する指令出力部と、
を備える。
(12)上記冷却パターン修正部は、上記第2の冷却パターンを複数種類求め、
上記冷却条件修正部は、第2の冷却パターン毎に第2の搬送速度を求め、
上記最終冷却条件決定部は、複数の第2の冷却パターンから選択した一つの冷却パターンを、最終的な冷却条件の冷却パターンとして選択する。
上記複数の第2の冷却パターンについて、それぞれ第2の搬送速度以下の搬送速度で、上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第1の冷却目標温度とする第3の搬送速度を求めて、第2の冷却パターンと第3の搬送速度の組み合わせからなる複数の第3の冷却条件を求める第2冷却条件修正部と、
求めた複数の第3の冷却条件から、最終的な冷却条件を選択する最終冷却条件選択部と、を備える。
(17)第1の冷却区間と第2の冷却区間との間に空冷ゾーンを有する。
(18)本開示の鋼板の冷却設備を有する鋼板の製造設備。
シミュレーションの条件及び結果を図10~図14に示す。
図10は、第2の冷却目標温度T2だけを193℃に設定したものである。
この例は、初期冷却条件設定部4Bの処理だけによって、冷却条件を求めた例である。また、この例は、急冷却して冷却を停止した例である。
この例は、目標温度の許容範囲を±3℃以内としたものであるが、第2の冷却目標温度T2に冷却制御がされていることが分かる。
この例は、図10と同様に、初期冷却条件設定部4Bの処理だけによって、冷却条件を求めた例である。ただし、冷却目標温度を高めに設定した例である。
この例も、目標温度の許容範囲を±3℃以内としたものであるが、第2の冷却目標温度T2に冷却制御がされていることが分かる。
この例は、本実施形態に基づき、第1の最終冷却条件決定部の処理を採用して、最終的な冷却条件を求めたものである。
この例は、冷却速度について、2段階の急冷却(2段階とも冷却速度を高く設定した冷却)の場合の例である。第2の冷却目標温度T2の制御精度を高くした例であるが、第1段目の計算温度が第1の冷却目標温度T1に近似していることが分かる。
この例は、本実施形態に基づき、第2の最終冷却条件決定部の処理を採用して、最終的な冷却条件を求めたものである。
この例は、冷却速度について、前段を緩冷却、後段を急冷却とした2段階の冷却(1段階の冷却速度を低くし設定した冷却)の場合の例である。そして、第1の冷却目標温度T1の制御精度を高くした例であるが、後段の計算温度も第2の冷却目標温度T2となっていることが分かる。
この例は、本実施形態に基づき、第2の最終冷却条件決定部の処理を採用して、冷却条件を求めたものである。
この例は、冷却速度について、前段を弱冷却、後段を急冷却とした2段階の冷却(1段階の冷却速度を低くし設定した冷却)の場合の例である。第1の冷却目標温度T1の制御精度を高くした例であるが、後段の計算温度も第2の冷却目標温度T2となっていることが分かる。
ここで、図13,図14のように、前段を緩冷却や弱冷却の場合、第1の冷却目標温度T1の精度を高くする観点から第2の最終冷却条件決定部の処理を採用することが好ましい。
また、実機の冷却設備において、実板試験を実施してみたところ、本開示の手法で冷却条件を求めることで、狙い通りの冷却実績(第2の冷却目標温度T2)を達成することができ、材料の引張特性や疲労特性についても満足する結果を得ることが出来た。
2 温度センサ
3 冷却装置
4 冷却制御部
4A 冷却ゾーン設定部
4B 初期冷却条件設定部
4C 冷却パターン修正部
4D 冷却条件修正部
4E 最終冷却条件決定部
4Ea 第2の冷却条件修正部
4Eb 最終冷却条件選択部
4F 指令出力部
7 搬送テーブル
9 開閉弁
10 冷却水ヘッダ
11 第1の冷却区間
12 第2の冷却区間
N1~N14 冷却ゾーン
P パスライン
T1 第1の冷却目標温度
T2 第2の冷却目標温度
Claims (18)
- 鋼板を所定の搬送速度で搬送しながら冷却する鋼板の冷却方法であって、
鋼板搬送方向に並ぶと共に、それぞれ鋼板表面に水を噴射可能な水冷設備を備える複数の冷却ゾーンを備え、上記複数の冷却ゾーンから選択した冷却ゾーンで鋼板の冷却を実行し、
上記複数の冷却ゾーンから選択した冷却ゾーンの組み合わせを冷却パターンと記載し、上記冷却パターンと上記鋼板の搬送速度の組み合わせを冷却条件と記載し、
上記複数の冷却ゾーンを、上流側の第1の冷却区間と下流側の第2の冷却区間とに区分し、
上記第1の冷却区間通過後の目標値として、第1の冷却目標温度の範囲が設定され、
上記第2の冷却区間通過後の目標値として、第2の冷却目標温度の範囲が設定され、
上記第2の冷却区間通過後の鋼板温度を第2の冷却目標温度の範囲内とするための、第1の冷却パターンと第1の搬送速度からなる第1の冷却条件を算出する初期冷却条件設定ステップと、
上記第1の冷却パターンに対し、当該第1の冷却パターンで選択された冷却ゾーンの少なくとも1つの冷却ゾーンを非選択に変更した第2の冷却パターンを求める冷却パターン修正ステップと、
第2の冷却パターンについて、上記第2の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第2の冷却目標温度の範囲内とする第2の搬送速度を求める冷却条件修正ステップと、
求めた第2の冷却パターンについて、上記第2の搬送速度以下の搬送速度で、上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第1の冷却目標温度の範囲内とする第3の搬送速度を求め、上記第2の冷却パターンと上記第3の搬送速度から、最終的な冷却条件を決定する最終冷却条件決定ステップと、を備え、
上記最終的な冷却条件で鋼板の冷却を行う、
ことを特徴とする鋼板の冷却方法。 - 上記冷却条件修正ステップは、上記第2の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第2の冷却目標温度の範囲内から選択した所定温度とする第2の搬送速度を求める、
ことを特徴とする請求項1に記載した鋼板の冷却方法。 - 上記冷却パターン修正ステップは、上記第2の冷却パターンを複数種類求め、
上記冷却条件修正ステップは、第2の冷却パターン毎に第2の搬送速度を求め、
上記最終冷却条件決定ステップは、複数の第2の冷却パターンから選択した一つの冷却パターンを、最終的な冷却条件の冷却パターンとして選択する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した鋼板の冷却方法。 - 上記最終冷却条件決定ステップは、第2の冷却パターンと第2の搬送速度の組み合わせからなる上記複数の第2の冷却条件のうち、上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度が上記第1の冷却目標温度に一番近い第2の冷却条件における第2の冷却パターンを最終的な冷却条件の冷却パターンとして選択すると共に、上記一番近い第2の冷却条件における上記第2の搬送速度を第3の搬送速度とする、
ことを特徴とする請求項3に記載した鋼板の冷却方法。 - 上記最終冷却条件決定ステップは、
上記複数の第2の冷却パターンについて、それぞれ第2の搬送速度以下の搬送速度で、上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第1の冷却目標温度の範囲内とする第3の搬送速度を求めて、第2の冷却パターンと第3の搬送速度の組み合わせからなる複数の第3の冷却条件を求める第2冷却条件修正ステップと、
求めた複数の第3の冷却条件から、最終的な冷却条件を選択する最終冷却条件選択ステップと、を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載した鋼板の冷却方法。 - 上記第2冷却条件修正ステップは、第2の冷却パターンと第2の搬送速度からなる複数の第2の冷却条件について、それぞれ上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度を求め、求めた複数の第2の冷却条件のうち、上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度が上記第1の冷却目標温度より高い第2の冷却条件についてだけ、それぞれ上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第1の冷却目標温度の範囲内とする第3の搬送速度を算出して、第2の冷却パターンと第3の搬送速度の組み合わせからなる第3の冷却条件を求める、
とを特徴とする請求項5に記載した鋼板の冷却方法。 - 上記冷却パターン修正ステップは、上記第1の冷却パターンで選択された冷却ゾーンであって、上記第1の冷却区間における最下流に位置する冷却ゾーン、及び上記第2の冷却区間における最下流に位置する冷却ゾーンから選択した冷却ゾーンを非選択として、第2の冷却ゾーンを設定する、
ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載した鋼板の冷却方法。 - 第1の冷却区間と第2の冷却区間との間に空冷ゾーンを有することを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか1項に記載した鋼板の冷却方法。
- 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載した鋼板の冷却方法を用いた鋼板の製造方法。
- 鋼板を所定の搬送速度で搬送しながら冷却する鋼板の冷却設備であって、
鋼板搬送方向に並ぶと共に、それぞれ鋼板表面に水を噴射可能な水冷設備を備える複数の冷却ゾーンを備え、上記複数の冷却ゾーンから選択した冷却ゾーンで鋼板の冷却を実行可能となっており、
上記複数の冷却ゾーンから選択した冷却ゾーンの組み合わせを冷却パターンと記載し、上記冷却パターンと上記鋼板の搬送速度の組み合わせを冷却条件と記載し、
上記複数の冷却ゾーンを、上流側の第1の冷却区間と下流側の第2の冷却区間とに区分し、
上記複数の冷却ゾーンを用いた水冷制御を行う冷却制御部を備え、
上記冷却制御部は、上記第1の冷却区間通過後の目標値として、第1の冷却目標温度の範囲が設定されると共に、上記第2の冷却区間通過後の目標値として、第2の冷却目標温度の範囲が設定され、
上記冷却制御部は、
上記第2の冷却区間通過後の鋼板温度を第2の冷却目標温度の範囲内とするための、第1の冷却パターンと第1の搬送速度からなる第1の冷却条件を算出する初期冷却条件設定部と、
上記第1の冷却パターンに対し、当該第1の冷却パターンで選択された冷却ゾーンの少なくとも1つの冷却ゾーンを非選択に変更した第2の冷却パターンを求める冷却パターン修正部と、
第2の冷却パターンについて、上記第2の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第2の冷却目標温度の範囲内とする第2の搬送速度を求める冷却条件修正部と、
求めた第2の冷却パターンについて、上記第2の搬送速度以下の搬送速度で、上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第1の冷却目標温度の範囲内とする第3の搬送速度を求め、上記第2の冷却パターンと上記第3の搬送速度から、最終的な冷却条件を決定する最終冷却条件決定部と、
最終的な冷却条件に応じた指令を出力する指令出力部と、
を備えることを特徴とする鋼板の冷却設備。 - 上記冷却条件修正部は、上記第2の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第2の冷却目標温度の範囲内から選択した所定温度とする第2の搬送速度を求める、
ことを特徴とする請求項10に記載した鋼板の冷却設備。 - 上記冷却パターン修正部は、上記第2の冷却パターンを複数種類求め、
上記冷却条件修正部は、第2の冷却パターン毎に第2の搬送速度を求め、
上記最終冷却条件決定部は、複数の第2の冷却パターンから選択した一つの冷却パターンを、最終的な冷却条件の冷却パターンとして選択する、
ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載した鋼板の冷却設備。 - 上記最終冷却条件決定部は、第2の冷却パターンと第2の搬送速度の組み合わせからなる上記複数の第2の冷却条件のうち、上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度が上記第1の冷却目標温度に一番近い第2の冷却条件における第2の冷却パターンを最終的な冷却条件の冷却パターンとして選択すると共に、上記一番近い第2の冷却条件における上記第2の搬送速度を第3の搬送速度とする、
ことを特徴とする請求項12に記載した鋼板の冷却設備。 - 上記最終冷却条件決定部は、
上記複数の第2の冷却パターンについて、それぞれ第2の搬送速度以下の搬送速度で、上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第1の冷却目標温度とする第3の搬送速度を求めて、第2の冷却パターンと第3の搬送速度の組み合わせからなる複数の第3の冷却条件を求める第2冷却条件修正部と、
求めた複数の第3の冷却条件から、最終的な冷却条件を選択する最終冷却条件選択部と、を備える、
ことを特徴とする請求項12に記載した鋼板の冷却設備。 - 上記第2冷却条件修正部は、第2の冷却パターンと第2の搬送速度からなる複数の第2の冷却条件について、それぞれ上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度を求め、求めた複数の第2の冷却条件のうち、上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度が上記第1の冷却目標温度より高い第2の冷却条件についてだけ、それぞれ上記第1の冷却区間通過後の鋼板温度を上記第1の冷却目標温度の範囲内とする第3の搬送速度を算出して、第2の冷却パターンと第3の搬送速度の組み合わせからなる第3の冷却条件を求める、
とを特徴とする請求項14に記載した鋼板の冷却設備。 - 上記冷却パターン修正部は、上記第1の冷却パターンで選択された冷却ゾーンであって、上記第1の冷却区間における最下流に位置する冷却ゾーン、及び上記第2の冷却区間における最下流に位置する冷却ゾーンから選択した冷却ゾーンを非選択として、第2の冷却ゾーンを設定する、
ことを特徴とする請求項10~請求項15のいずれか1項に記載した鋼板の冷却設備。 - 第1の冷却区間と第2の冷却区間との間に空冷ゾーンを有することを特徴とする請求項10~請求項16のいずれか1項に記載した鋼板の冷却設備。
- 請求項10~請求項17のいずれか1項に記載した鋼板の冷却設備を有する鋼板の製造設備。
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