JP7483270B2 - シースルー型ディスプレイ装置 - Google Patents
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Description
非特許文献1~3のように、異なる光学系に基づく様々な取組はあるが、いずれも画角が狭く、使用用途が限定されるという課題がある。
また、ディスプレイと、ディスプレイから出射されたディスプレイ光を物体光に重畳させる光学手段により、ディスプレイで形成された実像を虚像として前方の景色と重ね合わせて視認することが可能となる。ディスプレイは物体光を遮光しない位置に配置されたるため、視野が遮られることが無いように構成する。なお、ここで、物体光とは、装置の外部の物体などの反射光のことであり、例えば、遠くの景色であれば建物や山から到達する反射光のことである。光学手段としては、ハーフミラー、ビームスプリッタを好適に用いることができる。
楕円凹面鏡が2つの焦点を有するという特性を生かして、2つの楕円凹面鏡を用いて、2焦点の1つを共焦点とし該共焦点を対称点として互いに対向配置することで、シンプルな構成で画角を広くすることができる。
ピンホールマスクを用いることで、瞳孔を通過する光が水晶体の屈折力の影響を受けることがなくなり、簡単な仕組みで入射光の向きを制限することができる。これにより、物体光すなわち透かして見える絵と、ディスプレイで形成されて重ねられる絵の何れについても、ボケて見えることなく、鮮明に見ることができる。
本発明のシースルー型ディスプレイ装置は、ユーザが装置を装着した際に、第1の楕円凹面鏡の共焦点以外の焦点と、第2の楕円凹面鏡の共焦点以外の焦点とが、共に、正面を向いたユーザの眼球の光軸上又は視線上に位置するように、第1及び第2の楕円凹面鏡が配置されることが好ましい。これにより、物体から発せられる物体光が第1の楕円凹面鏡に入射した高さとユーザの眼に届いた際の高さが一致し、装置の装着時と非装着時の視野の同一性をより向上させることができる。
遮光パネルを用いることで、ディスプレイで形成された画像の光学手段による虚像を透けさせることなく、コントラストを高めて表示することが可能となる。遮光パネルは、ディスプレイで形成される画像の光学手段による虚像と同じピクセル位置で遮光するように制御され、画像のコントラストを高める。遮光パネルの具体的な構成としては、例えば、電圧を変えることによって光の透過性が変化する液晶シャッタなどが挙げられる。
ここで、遮光パネルは、空間光変調器を用いて、物体光の空間分布を変調して2次元的に遮光するものでもよい。
第1の楕円凹面鏡における物体光の反射光を共焦点に集光する集光レンズ系を備えることにより、ピンホールを通過する光量を上げることができ、映像の明るさを向上させることが可能となる。
例えば、第1の楕円凹面鏡とピンホールマスクの間に、凹レンズ、凸レンズの順に配置することで、凹レンズにおいて集光した光を、凸レンズによって集束させてピンホールへ誘導することが可能となり、ピンホールを通過する光量を効果的に向上させることができる。また、ピンホールマスクを使用しない場合においても、集光することによりユーザの眼に到達する光量を向上できるため、ユーザは明るい視野が得られることとなる。
一般に、人の眼は左右は180°以上見ることができるが、上下では人体の構造上そうならず、そのため、物体光を遮光せずにディスプレイを配置するスペースが生まれることになる。そこで、各々の光学手段を、ユーザの視野を妨げることなく物体光の上下の最大取り込み角に沿って傾斜配置し、さらにユーザの視野を妨げることなくディスプレイを配置する。各々のディスプレイ映像は、光学手段により虚像として、物体光と重なり、物体とディスプレイ映像が重なって見えることになる。この場合、2つのディスプレイ映像は、一体化してあたかも1つのディスプレイの映像になるのが好ましく、2つの光学手段の配置を調整し、不連続な映像にならないようにすることが好ましい。
人体の構造上、人の顔には額があるため、下よりも上がやや視野が狭いといわれている。そこで、最大取り込み角につき、上を30~35°、下を45~50°とすることで、視野を妨げることのない構成とすることができる。
第1の楕円凹面鏡と物体との間に光学手段とディスプレイを設けることで、第1及び第2の楕円凹面鏡とピンホールマスクの配置を行った上で、光学手段及びディスプレイを取り付けることができ製造が容易となる。
第1の楕円凹面鏡と第2の楕円凹面鏡の間に光学手段とディスプレイを設けることで、装置をコンパクトな構成とすることができる。
シースルー型ディスプレイ装置1を用いて、遠方の景色や近くの物を見るとする。外の景色や物から到来する物体光10(太陽光や照明光の反射光)は、遮光パネル4を通り、第1の楕円凹面鏡21において反射する。また、カラー液晶ディスプレイ5から出射されたディスプレイ光は、ハーフミラー6により反射された後、物体光10と同様に、第1の楕円凹面鏡21において反射する。第1の楕円凹面鏡21において反射した光は、凹レンズ7において集光され、凸レンズ8において集束し、ピンホールマスク3へと誘導される。ピンホールマスク3へと誘導された光は、第2の楕円凹面鏡22において反射し、ユーザの眼9に到達する。
ピンホールマスク3には、ピンホール3aが設けられている。ピンホールカメラと同様、近距離から遠距離まで全てピントが合わせられ、撮影される像に歪みが生じない等のメリットをそのまま享受でき、ユーザの眼9の瞳孔を通過する光は、水晶体の屈折力の影響を受けることがなく、簡単な仕組みで、ユーザの眼9の瞳孔への入射光の向きを制限することができる。これにより、遠方の景色や近くの物の物体光による映像と、ディスプレイで形成された映像とが重ねられた場合において、どちらの映像についても、ピントがボケて映るということがなく、ユーザは両方の映像を鮮明に視認することができる。
しかしながら、ピンホール3aは、小さな針穴であることから、前後の絵が鮮明に見えたとしても、画角が狭くなってしまうという問題があり、本発明のシースルー型ディスプレイ装置1においては、第1の楕円凹面鏡21と第2の楕円凹面鏡22という2つの楕円凹面鏡が用いられている。これらの2つの楕円凹面鏡を用いる特徴について、図6を参照しながら説明する。
図3(1)に示すように、物体光(10a~10c)は、遮光パネル4を通り、第1の楕円凹面鏡21において反射する。これに対して、物体光10dは、遮光パネル4によって遮られている。かかる遮光パネル4の機能や構造については、後述する。第1の楕円凹面鏡21において反射した物体光(10a~10c)は、凹レンズ7において集光され、凸レンズ8において集束し、ピンホールマスク3へと誘導される。ピンホールマスク3へと誘導された光は、物体光(20a~20c)として第2の楕円凹面鏡22において反射し、ユーザの眼9に到達する。
ユーザが眼9を動かして上目にした場合には、物体光20aが眼に入り、下目にした場合には、物体光20cが眼に入ることになる。物体光20aは、物体11による物体光10aと同じであり、物体11の上側の映像になる。また、物体光20cは、物体11による物体光10cと同じであり、物体11の下側の映像になる。図2又は図3(1)に図示するとおり、物体11の物体光の上下の取り込み角が大きく、上下の視野角は人の視野角の範囲をカバーできている。
これに対して、遮光パネル4により遮光を行った場合は、リング状の表示映像14が、部位14aだけではなく、部位14bについても黒色に表示されており、コントラストが向上していることが分かる。このように、遮光パネル4を設けることにより、ディスプレイで形成された映像のハーフミラーによる虚像50を透けさせることなく、コントラストを高めて表示することが可能となる。また、図5(1)に示すように、あえてコントラストを低下させて表示するといったことも可能である。
ピンホール3aを通過した光は第2の楕円凹面鏡22において反射して、ユーザの眼9に到達する。
図8に示すように、シースルー型ディスプレイ装置100を用いて、遠方の景色や近くの物を見ると、景色や物から到来する物体光10は、遮光パネル4を通り、第1の楕円凹面鏡21に入射し反射する。カラー液晶ディスプレイ(5a,5b)から出射されたディスプレイ光は、ハーフミラー(6a,6b)により反射された後、物体光10と同様に、第1の楕円凹面鏡21に入射し反射する。第1の楕円凹面鏡21において反射した光は、そのままピンホールマスク3へと誘導され、ピンホールマスク3へと誘導された光は、第2の楕円凹面鏡22に入射し反射して、ユーザの眼9に到達する。
図12は、実施例4のシースルー型ディスプレイ装置の構成イメージ図を示している。シースルー型ディスプレイ装置102は、第1の楕円凹面鏡21、第2の楕円凹面鏡22、遮光パネル4、カラー液晶ディスプレイ(5a,5b)及びハーフミラー(6a,6b)から構成される。
このように、シースルー型ディスプレイ装置102は、ピンホールマスク3、凹レンズ7及び凸レンズ8が設けられない構成とすることで、よりシンプルな構造とすることができ、装置の低コスト化が図れる。また、装置の軽量化、コンパクト化を図ることができる。
シースルー型ディスプレイ装置103は、実施例1のシースルー型ディスプレイ装置1とは異なり、2枚の凸レンズ(8a,8b)を備える。また、実施例1のシースルー型ディスプレイ装置1では、第1の楕円凹面鏡21とピンホールマスク3の間に凹レンズ7及び凸レンズ8を配置するのに対し、実施例5のシースルー型ディスプレイ装置103では、第1の楕円凹面鏡21とピンホールマスク3の間に凸レンズ8aを配置し、ピンホールマスク3と第2の楕円凹面鏡22の間に凸レンズ8bを配置する。これにより、第1の楕円凹面鏡21において反射した光は、凸レンズ8aによって集光され、ピンホールマスク3を通過した後、光は拡がるが、凸レンズ8bによって集束され、第2の楕円凹面鏡22において反射し、ユーザの眼9に到達する。
シースルー型ディスプレイ装置104は、実施例1のシースルー型ディスプレイ装置1とは異なり、反射鏡(16a,16b)、平凹レンズ70及び平凸レンズ80を備える。すなわち、第1の楕円凹面鏡21において反射した光は、平凹レンズ70において集光され、平凸レンズ80において集束し、反射鏡16aにより反射した後、ピンホールマスク3のピンホール3aへと誘導される。更に、ピンホール3aを通過した光は、反射鏡16b及び第2の楕円凹面鏡220により反射し、ユーザの眼9に到達する。本実施例の構成によれば、第1の楕円凹面鏡21と第2の楕円凹面鏡220が、2焦点の1つを共焦点とし該共焦点を対称点として互いに対向配置された構成ではない場合においても、反射鏡(16a,16b)を用いて、第1の楕円凹面鏡21と第2の楕円凹面鏡220の間隔を狭めつつ、画角を広く維持することができる。
シースルー型ディスプレイ装置105は、実施例1~6のシースルー型ディスプレイ装置とは異なり、ユーザが装置105を装着した際に、第1の楕円凹面鏡210の共焦点以外の焦点F1と、第2の楕円凹面鏡221の共焦点以外の焦点F1´とが、共に、正面を向いたユーザの眼9の眼球の光軸上(或いは視線上)にそれぞれ位置するように、第1及び第2の楕円凹面鏡(210,221)が配置されている。これにより、物体11から発せられる物体光10eが第1の楕円凹面鏡210に入射した高さとユーザの眼9に届いた際の高さが略同一となり、装置105の装着時と非装着時の視野の同一性をより向上させている。
図15に示すように、物体光10eは、遮光パネル4を通り、第1の楕円凹面鏡210において反射する。遮光パネル4の機能や構造については、実施例1と同様である。第1の楕円凹面鏡210において反射した物体光10eは、平凹レンズ70aにおいて集光され、平凸レンズ80aにおいて集束し、反射鏡16c、反射鏡16dの順に反射した後、ピンホールマスク3のピンホール3aへと誘導される。ピンホール3aを通過した物体光20dは、平凸レンズ80bにおいて集光され、ハーフミラー6d、反射鏡16eの順に反射した後、平凹レンズ70bにおいて集束し、第2の楕円凹面鏡221において反射して、ユーザの眼9に到達する。
このように、図15に示す光学系では、第1の楕円凹面鏡210と第2の楕円凹面鏡221がピンホール3aに対して対称となっており、ピンホール3aの位置に共焦点が位置するように構成されている。
また、カラー液晶ディスプレイ5dから発せられたディスプレイ光30は、平凸レンズ80cにおいて集光され、ハーフミラー6dを透過した後、反射鏡16eにおいて反射し、平凹レンズ70bにおいて集束し、第2の楕円凹面鏡221において反射して、ユーザの眼9に到達する。
このような構成とすることにより、ユーザが、シースルー型ディスプレイ装置105を使用せずに物体11を見た場合と同じ高さの目線で、物体11を視認できるため、違和感なく使用することができる。
1)ハーフミラーは、図2に示すハーフミラー(6a,6b)のように、上下2面の配置が好ましいが、1面でもよく、また3面以上でもよい。1面のみ設けられる場合には、下側に設けられることが好ましい。3面以上の場合は、上下以外に左右に分割して配置することでもよい。
2)上述の実施例では、ユーザの眼の固定位置に、第2の楕円凹面鏡22又は第2の楕円凹面鏡220の反射光が結像するように構成されているが、ユーザの眼の上下左右の動きに追従し、装置本体の位置が微調整される構成であってもよい。
2 楕円凹面鏡
3 ピンホールマスク
3a ピンホール
4 遮光パネル
5,5a~5d カラー液晶ディスプレイ
6,6a~6d ハーフミラー
7 凹レンズ
8,8a,8b 凸レンズ
9 ユーザの眼
10a~10e,20a~20d 物体光
11 物体
12 視認映像
13 背景
14 表示映像
14a,14b 部位
15 集光レンズ系
16a~16e 反射鏡
21,210 第1の楕円凹面鏡
22,220,221 第2の楕円凹面鏡
30 ディスプレイ光
50 虚像
70,70a,70b 平凹レンズ
80,80a~80c 平凸レンズ
Claims (15)
- 2焦点の1つを共焦点とする第1及び第2の楕円凹面鏡を有し、第1の楕円凹面鏡の前記共焦点以外の焦点に入射する物体光を第2の楕円凹面鏡の前記共焦点以外の焦点に結像させる光学系と、
前記物体光を遮光しない位置に配置されたディスプレイと、
前記物体光の光路上に配置され、前記ディスプレイから出射されたディスプレイ光を前記物体光に重畳させる光学手段、
を備えたことを特徴とするシースルー型ディスプレイ装置。 - 第1及び第2の楕円凹面鏡は、前記共焦点を対称点として互いに対向配置されることを特徴とする請求項1に記載のシースルー型ディスプレイ装置。
- 前記共焦点にピンホールを配置するピンホールマスクを更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のシースルー型ディスプレイ装置。
- ユーザが装置を装着した際に、第1の楕円凹面鏡の前記共焦点以外の焦点と、第2の楕円凹面鏡の前記共焦点以外の焦点とが、共に、正面を向いたユーザの眼球の光軸上又は視線上に位置するように、第1及び第2の楕円凹面鏡が配置されたことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のシースルー型ディスプレイ装置。
- 前記物体光を遮光し得る遮光パネルを更に備え、
前記遮光パネルは、第1の楕円凹面鏡における前記物体光の入射光路上であって、前記光学手段の前段に配置されたことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のシースルー型ディスプレイ装置。 - 第1の楕円凹面鏡における前記物体光の反射光を前記共焦点に集光する集光レンズ系を更に備えたことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載のシースルー型ディスプレイ装置。
- 第1の楕円凹面鏡における前記物体光の反射光を前記共焦点に集光する第1の集光レンズ系と、前記共焦点を通過した光を集束する第2の集光レンズ系を更に備えたことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載のシースルー型ディスプレイ装置。
- 前記集光レンズ系は、凹レンズと凸レンズから構成される系、又は、凹凸レンズから構成される系であることを特徴とする請求項6に記載のシースルー型ディスプレイ装置。
- 前記ディスプレイと前記光学手段が各2セット設けられ、
各々の前記光学手段は、前記物体光の上下の最大取り込み角に沿って傾斜配置され、
各々の前記ディスプレイから出射されたディスプレイ光が、前記物体光に重畳されたことを特徴とする請求項1~8の何れかに記載のシースルー型ディスプレイ装置。 - 前記最大取り込み角は、上が30~35°であり、下が45~50°であることを特徴とする請求項9に記載のシースルー型ディスプレイ装置。
- 前記光学手段は、第1の楕円凹面鏡における前記物体光の入射光路上に配置され、
前記ディスプレイは、第1の楕円凹面鏡と前記物体光を発する物体の間で、かつ、前記物体光を遮光しない位置に配置された、ことを特徴とする請求項1~10の何れかに記載のシースルー型ディスプレイ装置。 - 前記光学手段は、第1の楕円凹面鏡における前記物体光の反射光路上に配置され、
前記ディスプレイは、第1の楕円凹面鏡と第2の楕円凹面鏡の間で、かつ、前記物体光を遮光しない位置に配置された、ことを特徴とする請求項1~10の何れかに記載のシースルー型ディスプレイ装置。 - 前記光学手段は、ハーフミラー、又は、ビームスプリッタであることを特徴とする請求項1~12の何れかに記載のシースルー型ディスプレイ装置。
- 前記遮光パネルは、空間光変調器を用いて、前記物体光の空間分布を変調して2次元的に遮光することを特徴とする請求項5に記載のシースルー型ディスプレイ装置。
- 請求項1~14の何れかのシースルー型ディスプレイ装置を備えたヘッドマウントディスプレイ装置。
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