JP7483171B1 - 羽根車、送風機及び空気調和機 - Google Patents

羽根車、送風機及び空気調和機 Download PDF

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Abstract

羽根車は、回転軸を中心とした複数の仮想の円筒を想定した場合において、円筒部分にあたる複数の翼のそれぞれの仮想の断面をコード方向断面と定義し、コード方向断面において、前縁部と後縁部とを結ぶ直線を翼弦と定義し、翼断面の中心線をキャンバ線と定義し、キャンバ線と翼弦との間の距離を反り高さと定義し、キャンバ線上において、前縁部と後縁部とからの距離が等しくなる位置をキャンバ中点と定義し、反り高さが最大となる点を最大極値点と定義する場合に、翼の内周縁部に近い位置のコード方向断面において、最大極値点は、キャンバ中点よりも後縁部側、且つ、翼弦よりも空気の吸込み側に存在しており、キャンバ線は、前縁部と最大極値点との間に少なくとも1つの変曲点を有し、翼の外周端部に近い位置のコード方向断面において、最大極値点は、キャンバ中点よりも前縁部側、且つ、翼弦よりも空気の吸込み側に存在するものである。

Description

本開示は、羽根車、送風機及び空気調和機に関するものである。
従来、羽根車には、複数枚の羽根が放射状に設けられたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の羽根車では、羽根の付け根部の円周方向での中心をR1とし、羽根の外周部の円周方向での中心をR2とし、羽根の回転中心をOとしている。そして、特許文献1の羽根車は、OとR1とを結んだ線とOとR2とを結んだ線との間のなす角度が18~22°となり、且つR1とR2とを結ぶ線Pが、R1を通る回転軸と垂直な面に対して吸込み側に22~27°の角度で傾斜している。特許文献1の羽根車は、羽根の円周方向での断面の形状において、羽根断面内に変曲点を有する。特許文献1の羽根車は、羽根の回転方向の前縁部から変曲点までの間の吐出側が凸面となった凸形になっており、変曲点から羽根の回転方向の後縁部までの間の吐出側が凹面となった凹形になっている。特許文献1の羽根車は、羽根の付け根部から外周部に至るまでの全長に亘ってこの凸形と凹形が形成されている。
特開平09-068200号公報
羽根車の効率は、翼面上で生じる剥離を抑制することによって向上する。特許文献1の羽根車は、上述した構成で羽根を形成したので、羽根車の回転時における羽根の回転による騒音を低減できるとされている。しかし、特許文献1の羽根車は、羽根の付け根部から外周部に至るまでの全長に亘って前縁部側の凸形と後縁部側の凹形が形成されるため、羽根車の内周側と比較して気流が速い外周側における凸形によって、気流の剥離が生じて送風性能が悪化する恐れがある。
本開示は、上述のような課題を解決するためのものであり、気流の剥離を抑制し、送風性能を向上させる羽根車、送風機及び空気調和機を提供することを目的とする。
本開示に係る羽根車は、回転軸上に設けられたボス部と、ボス部の外周に設けられた複数の翼と、を備え、複数の翼のそれぞれは、回転方向で前方側の縁部である前縁部と、回転方向で後方側の縁部である後縁部と、外周側の縁部である外周端部と、内周側の縁部である内周縁部と、を有しており、回転軸を中心とした複数の仮想の円筒を想定した場合において、円筒部分にあたる複数の翼のそれぞれの仮想の断面をコード方向断面と定義し、コード方向断面において、前縁部と後縁部とを結ぶ直線を翼弦と定義し、翼断面の中心線をキャンバ線と定義し、コード方向断面において、翼弦に対して垂直な方向におけるキャンバ線と翼弦との間の距離を反り高さと定義し、キャンバ線上において、前縁部と後縁部とからの距離が等しくなる位置をキャンバ中点と定義し、キャンバ線上において、反り高さが最大となる点を最大極値点と定義する場合に、翼の外周端部よりも内周縁部に近い位置のコード方向断面において、最大極値点は、キャンバ中点よりも後縁部側、且つ、翼弦よりも空気の吸込み側に存在しており、キャンバ線は、前縁部と最大極値点との間に少なくとも1つの変曲点を有し、翼の内周縁部よりも外周端部に近い位置のコード方向断面において、最大極値点は、キャンバ中点よりも前縁部側、且つ、翼弦よりも空気の吸込み側に存在し、翼の外周端部よりも内周縁部に近い位置のコード方向断面において、変曲点は、翼弦よりも空気の吸込み側に位置するものである。
本開示に係る送風機は、ベルマウスを有するケーシングと、ケーシングの内部に収容された上記構成の羽根車と、を備え、回転軸の軸方向において、ケーシングの延びる長さを長さHと定義し、係数εが0<ε≦0.5であると定義した場合に、羽根車が、回転軸の軸方向において、空気の吸込み側及び空気の吹出し側に長さεHだけケーシングから離れた位置にある仮想面よりも内側の領域に配置されているものである。
本開示に係る空気調和機は、上記構成の羽根車と、羽根車によって供給される空気と内部を流通する冷媒との熱交換を行う熱交換器と、を備えたものである。
本開示によれば、羽根車並びに送風機及び空気調和機の羽根車は、以下のように構成されている。翼の外周端部よりも内周縁部に近い位置のコード方向断面において、最大極値点は、キャンバ中点よりも後縁部側、且つ、翼弦よりも空気の吸込み側に存在している。また、キャンバ線は、前縁部と最大極値点との間に少なくとも1つの変曲点を有する。また、翼の内周縁部よりも外周端部に近い位置のコード方向断面において、最大極値点は、キャンバ中点よりも前縁部側、且つ、翼弦よりも空気の吸込み側に存在している。羽根車は、当該構成を有することによって、気流を翼に沿わせることができるため、翼の外周側の前縁部側での気流の剥離を抑制することができ、送風性能を向上させることができる。
実施の形態1に係る羽根車及びそれを備えた送風機の構成を示す斜視図である。 実施の形態1に係る羽根車の基本的な構成を説明するための概念図であり、羽根車を回転軸と垂直な平面に投影した図である。 図2のIII-III線位置の断面を矢視方向に見た概念図である。 実施の形態1に係る羽根車の翼のコード方向断面の一例を示した概念図である。 図2のIV-IV線位置のコード方向断面における翼弦及びキャンバ線を示した概念図である。 図2のV-V線位置のコード方向断面における翼弦及びキャンバ線を示した概念図である。 実施の形態1に係る羽根車の動作と気流の流れを説明するための図2のIV-IV線位置のコード方向断面における翼弦及びキャンバ線を示した概念図である。 実施の形態1に係る羽根車の動作と気流の流れを説明するための図2のV-V線位置のコード方向断面における翼弦及びキャンバ線を示した概念図である。 実施の形態2に係る羽根車であって、図2のIV-IV線位置のコード方向断面における翼弦及びキャンバ線を示した概念図である。 実施の形態2に係る羽根車であって、図2のV-V線位置のコード方向断面における翼弦及びキャンバ線を示した概念図である。 実施の形態2に係る羽根車と従来技術の羽根車との、流量係数とファン効率との関係を示したグラフである。 実施の形態2に係る羽根車と従来技術の羽根車との、流量係数と圧力係数との関係を示したグラフである。 実施の形態3に係る羽根車であって、図2のIV-IV線位置のコード方向断面における翼弦及びキャンバ線を示した概念図である。 実施の形態3に係る羽根車であって、図2のV-V線位置のコード方向断面における翼弦及びキャンバ線を示した概念図である。 実施の形態4に係る送風機であって、図1に示す送風機の回転軸に平行且つ回転軸を通る任意の面における送風機の断面を示す概念図である。 実施の形態5に係る空気調和機の構成を示す斜視図である。
以下、実施の形態に係る羽根車、送風機及び空気調和機について図面を参照しながら説明する。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の相対的な寸法の関係及び形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」及び「後」等)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置あるいは部品の配置及び向きを限定するものではない。さらに、以下の図面において、形状の面取りは行っていないが、面取りを実施しても同様の効果を得ることができる。すなわち、例えば、羽根車、送風機及び空気調和機は、C面取りが実施されても、R面取りが実施されても同様の効果が得られる。
実施の形態1.
[送風機100]
図1は、実施の形態1に係る羽根車10及びそれを備えた送風機100の構成を示す斜視図である。図1は、送風機100を吸込み側すなわち翼20の負圧面26側から見た構成の一部を示している。図1及び後述する図面において、黒塗りの太矢印Rは、羽根車10の回転方向、すなわち、羽根車10の一部であるボス部12及び翼20の回転方向を表している。また、図中の両向き矢印CDは、羽根車10の周方向を示している。
また、図1及び後述する図面において、白抜きの太矢印Fは、羽根車10が回転したときの全体的な空気の流れる方向を表している。白抜きの太矢印Fで示す空気の流れる方向において、羽根車10に対してY1側は、羽根車10に対して気流の上流側となり、羽根車10に対してY2側は、羽根車10に対して気流の下流側となる。すなわち、Y1側は、羽根車10に対して空気の吸込み側であり、Y2側は、羽根車10に対して空気の吹出し側である。
また、図1に示すX軸は、羽根車10の回転軸11に対して垂直な方向であって、羽根車10の径方向を表している。径方向においてX2側の部分はX1側の部分に対して外周側の部分に位置しており、X1側の部分はX2側の部分に対して内周側の部分に位置している。すなわち、羽根車10のX1側は、羽根車10の内周側であり、羽根車10のX2側は、羽根車10の外周側である。なお、回転軸11は、羽根車10が回転する際の仮想の回転軸である。
図1を用いて、実施の形態1に係る羽根車10及びそれを備えた送風機100について説明する。実施の形態1に係る送風機100は、空気の流れを形成する装置であり、空気を送風するために用いられる。実施の形態1に係る送風機100は、回転軸11に沿う方向に空気を送風する軸流送風機である。送風機100は、一例として、後述する空気調和機200(図16参照)に用いられる。
図1に示すように、送風機100は、ケーシング80及び羽根車10を有している。ケーシング80は、送風機100の外郭を構成する。ケーシング80は、例えば、箱状に形成されている(図示は省略)。ケーシング80は、略円筒状のベルマウス81を有している。羽根車10は、ベルマウス81の内周側に配置されている。羽根車10は、回転軸11を中心として回転自在となるように設けられている。また、送風機100は、羽根車10を回転させるモータ等の駆動部(図示は省略)を有している。
[羽根車10]
図2は、実施の形態1に係る羽根車10の基本的な構成を説明するための概念図であり、羽根車10を回転軸11と垂直な平面に投影した図である。なお、図2に記載する羽根車10は、基本的な構成を説明するために用いた概念的な図であり、各構成部材の相対的な寸法の関係及び形状等が実際のものとは異なる場合がある。図2は、翼20の負圧面26側から見た羽根車10の構成を示している。図1及び図2を用いて実施の形態1に係る羽根車10について説明する。
羽根車10は、軸流式の羽根車であり、空気等の流体の流れを形成する装置である。羽根車10は、回転軸11を中心として、黒塗りの太矢印Rで示す回転方向に回転することで空気の流れを形成する。図2に示すように、羽根車10は、回転軸11上に設けられたボス部12と、ボス部12の外周に設けられた複数の翼20と、を備えている。
(ボス部12)
ボス部12は、略円筒状の形状を有している。ボス部12の中心部には、駆動部が備える駆動軸(図示は省略)が接続される。ボス部12は、駆動軸を介して駆動部から回転駆動力が伝達されることにより、回転軸11を中心として回転する。ボス部12は、駆動部により回転駆動され回転軸11を形成する。
(複数の翼20)
複数の翼20は、羽根車10の回転に伴って翼20の間に存在している空気を押すことで空気を搬送する。複数の翼20は、ボス部12の外周側において、概ね等角度間隔で配置されている。複数の翼20のそれぞれは、ボス部12の外周壁から概ね放射状に突出している。複数の翼20はそれぞれ、ボス部12の周囲に形成され、ボス部12から径方向の外側に延びている。
より詳しくは、複数の翼20のそれぞれは、ボス部12の外周壁から、回転軸11を中心とした径方向に対し、羽根車10の回転方向で前方側に傾くように外周側に突出している。図2では、4枚の翼20を有する羽根車10を例示しているが、羽根車10が有する翼20の枚数は、4枚に限定されるものではなく、4枚より少なくてもよく、4枚より多くてもよい。
複数の翼20のそれぞれは、前縁部21、後縁部22、外周端部23及び内周縁部24を有している。前縁部21は、翼20の周縁部のうち回転方向で前方側の縁部である。後縁部22は、翼20の周縁部のうち回転方向で後方側の縁部である。外周端部23は、翼20の周縁部のうち外周側の縁部である。外周端部23は、前縁部21と後縁部22との間の外縁を形成する。内周縁部24は、翼20の周縁部のうち内周側の縁部である。内周縁部24は、ボス部12の外周壁に沿った形状を有しており、当該外周壁と接続されている。
外周端部23と前縁部21とは、外周前端部23aを介して隣接している。外周前端部23aは、回転方向における外周端部23の前側の端部であり、回転軸11の径方向における前縁部21の外周側の端部である。外周端部23と後縁部22とは、外周後端部23bを介して隣接している。外周後端部23bは、回転方向における外周端部23の後側の端部であり、回転軸11の径方向における後縁部22の外周側の端部である。
内周縁部24と前縁部21とは、内周前端部24aを介して隣接している。内周前端部24aは、回転方向における内周縁部24の前側の端部であり、回転軸11の径方向における前縁部21の内周側の端部である。内周縁部24と後縁部22とは、内周後端部24bを介して隣接している。内周後端部24bは、回転方向における内周縁部24の後側の端部であり、回転軸11の径方向における後縁部22の内側の端部である。
複数の翼20のそれぞれは、翼面35として、圧力面25及び負圧面26を有している。圧力面25は、翼20が有する2つの翼面35のうち、回転方向で前方側の面である。翼20が回転する際には、圧力面25によって空気が押されることになる。負圧面26は、翼20が有する2つの翼面35のうち回転方向で後方側の面であり、圧力面25の裏側の面である。図1及び図2は、それぞれ送風機100及び羽根車10を負圧面26側から見た構成を示しているため、圧力面25は破線の引き出し線で示している。
翼面35は、白抜きの太矢印Fで示す空気の流れる方向において、翼20の上流側(Y1側)に向いた面が負圧面26となり、下流側(Y2側)に向いた面が圧力面25となる。また、圧力面25は、翼20の回転方向に向いた面であり、負圧面26は、翼20の回転方向とは反対側に向いた面である。
複数の翼20は、ボス部12と共に、回転軸11を中心として回転する。複数の翼20が回転すると、図1の白抜きの太矢印Fで示すように、空気は、紙面手前側から回転軸11に沿って流れ送風機100に吸い込まれる。図2において、送風機100に吸い込まれた空気は、回転軸11に沿って流れ送風機100から紙面奥側に吹き出される。
図3は、図2のIII-III線位置の断面を矢視方向に見た概念図である。図4は、実施の形態1に係る羽根車10の翼20のコード方向断面CSの一例を示した概念図である。図5は、図2のIV-IV線位置のコード方向断面CS1における翼弦30及びキャンバ線31を示した概念図である。図6は、図2のV-V線位置のコード方向断面CS2における翼弦30及びキャンバ線31を示した概念図である。図3、図5及び図6のそれぞれにおいて、上下方向は回転軸11に沿う方向を表しており、上方は吸込み側を表しており、下方は吹出し側を表している。
ここで、図2に示すように、回転軸11を中心とした複数の仮想の円筒CLを想定した場合において円筒部分にあたる複数の翼20のそれぞれの仮想の断面を「コード方向断面CS」と定義する。すなわち、翼20を、回転軸11を中心とした仮想の円筒CLで切断した場合における、仮想の翼20の断面を、「コード方向断面CS」と定義する。
翼20は、回転軸11を中心とした径方向において、コード方向断面CSを複数有しているものとする。なお、図4に示すコード方向断面CSは一例である。図4に図示した圧力面25及び負圧面26等の翼面35は一例であり、翼面35は図示の態様に限定されるものではない。ここで、一例として、複数のコード方向断面CSにおいて、図2のIV-IV線位置の断面をコード方向断面CS1とし、図2のV-V線位置の断面をコード方向断面CS2とする。
図5及び図6に示すように、コード方向断面CSにおいて、前縁部21と後縁部22とを結ぶ直線を「翼弦30」と定義し、コード方向断面CSにおいて、前縁部21と後縁部22とを結ぶ翼断面の中心線を「キャンバ線31」と定義する。翼断面の中心線とは、コード方向断面CSにおいて、圧力面25と負圧面26との間の中心を通る線である。なお、図5及び図6では、翼弦30とキャンバ線31との関係を示すために、翼20の圧力面25及び負圧面26等の翼面35の図示を省略し、翼弦30及びキャンバ線31のみを示している。
また、複数のコード方向断面CSのそれぞれにおいて、前縁部21からの距離と後縁部22からの距離との比が一定の値になる点を「仮想点P」と定義する。そして、複数のコード方向断面CSのそれぞれの仮想点Pを内周縁部24から外周端部23まで結んだ線を「スパン線27」(図2参照)と定義する。なお、前縁部21からの距離と後縁部22からの距離との比は、必要とされる設計上の目的に基づき決定される。
前縁部21及び後縁部22のそれぞれから仮想点Pまでの距離は、例えば、円筒断面上の翼20の反り線に沿って測定される。すなわち、前縁部21及び後縁部22のそれぞれから仮想点Pまでの距離は、例えば、コード方向断面CSの翼20のキャンバ線31に沿って測定される。なお、図5及び図6に示す点Pの位置は一例であって、図5及び図6の位置に限定されるものではない。
また、スパン線27に沿って内周縁部24から外周端部23に向かう方向を「スパン方向」と定義する。さらに、翼20をスパン線27に沿って、回転軸11と平行に切断した断面を「スパン方向断面SS」と定義する。図3に示す断面は、ある1つのスパン線27に沿って翼20を切断したスパン方向断面SSである。
図2に示すスパン線27a、スパン線27b及びスパン線27cは、翼20のスパン方向断面SSを示すスパン線27の一例である。図2に示すスパン線27bは、翼20の円筒断面であるコード方向断面CSにおける前縁部21と後縁部22との間の中間点となる仮想点Pを通るスパン線27である。つまり、回転軸11を中心とした翼20のコード方向断面CSでは、前縁部21とスパン線27bとの間の距離と、後縁部22とスパン線27bとの間の距離と、が等しくなる。すなわち、回転軸11を中心とした翼20のコード方向断面CSでは、前縁部21と仮想点Pとの間の距離と、後縁部22と仮想点Pとの間の距離と、が等しくなる。
図2に示すスパン線27aは、スパン線27bよりも前縁部21側に位置するスパン線27のうちの1つである。図2に示すスパン線27aは、翼20の円筒断面であるコード方向断面CSにおいて、前縁部21と後縁部22との間の中間点よりも前縁部21側にある仮想点Pを通るスパン線27である。つまり、回転軸11を中心とした翼20のコード方向断面CSでは、前縁部21とスパン線27aとの間の距離が、後縁部22とスパン線27aとの間の距離よりも小さくなる。すなわち、回転軸11を中心とした翼20のコード方向断面CSでは、前縁部21と仮想点Pとの間の距離が、後縁部22と仮想点Pとの間の距離よりも小さくなる。
図2に示すスパン線27cは、スパン線27bよりも後縁部22側に位置するスパン線27のうちの1つである。図2に示すスパン線27cは、翼20の円筒断面であるコード方向断面CSにおいて、前縁部21と後縁部22との間の中間点よりも後縁部22側にある仮想点Pを通るスパン線27である。つまり、回転軸11を中心とした翼20のコード方向断面CSでは、前縁部21とスパン線27cとの間の距離が、後縁部22とスパン線27cとの間の距離よりも大きくなる。すなわち、回転軸11を中心とした翼20のコード方向断面CSでは、前縁部21と仮想点Pとの間の距離が、後縁部22と仮想点Pとの間の距離よりも大きくなる。
図3に示すように、後縁部22側の翼20のスパン方向断面SSは、内周縁部24と外周端部23との間の領域の例えば全域において、内周縁部24から外周端部23にかけて吸込み側が凸となっている。すなわち、後縁部22側での翼20は、径方向の中間部28と外周端部23との間の領域において、径方向の中間部28から外周端部23にかけて吸込み側が凸となり吹出し側が凹となるように湾曲している。
ボス部12における前縁部21との接続部分と、ボス部12における後縁部22との接続部分との中間点を「ボス中間点12a」と定義し、ボス中間点12aを通る回転軸11の軸方向に垂直な断面を「ボス中間断面40」と定義する。ボス中間断面40と回転軸11の軸方向に対する後縁部22側のスパン方向断面SSとの距離を「後縁側翼高さSh」と定義する。後縁部22側での翼20のスパン方向断面SSにおいて、内周縁部24から外周端部23にかけて「後縁側翼高さSh」が最小となる吸込み側に凹となる極値点を「後縁側凹部29」と定義すると、翼20は、「後縁側凹部29」を有する。
なお、回転軸11からボス中間断面40上の任意の点までの距離を「距離r」と定義する。図2に示すように、回転軸11から内周縁部24までの距離を距離r1と定義し、回転軸11から外周端部23までの距離を距離r2と定義する。この場合、ν=(r-r1)/(r2-r1)と定義すると、後縁側凹部29は、0.4<ν<0.8の範囲に存在することが望ましい。
図5及び図6に示すように、キャンバ線31上の翼弦30からの距離を「反り高さH」と定義する。反り高さHは、コード方向断面CSにおいて、翼弦30に対して垂直な方向におけるキャンバ線31と翼弦30との間の距離である。キャンバ線31上において、反り高さHが最大となる点を「最大極値点33」と定義し、キャンバ線31上において、前縁部21と後縁部22とからの距離が等しくなる位置を「キャンバ中点34」と定義する。
図5に示すように、翼20の外周端部23よりも内周縁部24に近い位置のコード方向断面CS1において、最大極値点33は、キャンバ中点34よりも後縁部22側、且つ、翼弦30よりも空気の吸込み側に存在する。図5に示すように、翼20の外周端部23よりも内周縁部24に近い位置のコード方向断面CS1において、キャンバ線31は、前縁部21と最大極値点33との間に少なくとも1つの変曲点32を有する。変曲点32は、前縁部21から後縁部22へ向かうにつれて、キャンバ線31が、吸込み側に凸から吹出し側に凸へ、または、吹出し側に凸から吸込み側に凸へ変わる点である。
図6に示すように、翼20の内周縁部24よりも外周端部23に近い位置のコード方向断面CS2において、最大極値点33は、キャンバ中点34よりも前縁部21側、且つ、翼弦30よりも空気の吸込み側に存在する。
[羽根車10の作用効果]
羽根車10は、以下のように構成されている。翼20の外周端部23よりも内周縁部24に近い位置のコード方向断面CS1において、最大極値点33は、キャンバ中点34よりも後縁部22側、且つ、翼弦30よりも空気の吸込み側に存在している。また、キャンバ線31は、前縁部21と最大極値点33との間に少なくとも1つの変曲点32を有する。また、翼20の内周縁部24よりも外周端部23に近い位置のコード方向断面CS2において、最大極値点33は、キャンバ中点34よりも前縁部21側、且つ、翼弦30よりも空気の吸込み側に存在している。羽根車10は、当該構成を有することによって、気流を翼20に沿わせることができるため、翼20の外周側の前縁部21側での気流の剥離を抑制することができる。そのため、羽根車10は、送風性能を向上させ、送風効率を高めることができ、ファン効率の高効率化を図ることができる。
一般的な軸流送風機では、羽根車の効率は、翼面上で生じる剥離を抑制することによって向上する。また、羽根車は、羽根車の翼面積を大きくするか、回転数を大きくすることで大風量化を図ることができる。しかし、羽根車は、羽根車における翼の高さが設計制約以上に大きくなるような翼面積の拡大、また、羽根車の強度とモータの能力の上限とから決まる最大回転数以上に羽根車を回転させるような回転数の増大を採用することはできない。
特許文献1の羽根車では、羽根の付け根部の円周方向での中心をR1とし、羽根の外周部の円周方向での中心をR2とし、羽根の回転中心をOとしている。そして、特許文献1の羽根車は、OとR1とを結んだ線とOとR2とを結んだ線との間のなす角度が18~22°となり、且つR1とR2とを結ぶ線Pが、R1を通る回転軸と垂直な面に対して吸込み側に22~27°の角度で傾斜している。
特許文献1に記載されている羽根車の翼は、羽根の円周方向での断面の形状において、羽根断面内に変曲点を有している。特許文献1の羽根車は、羽根の回転方向の前縁から変曲点までの間の吐出側が凸面となった凸形になっており、変曲点から羽根の回転方向の後縁までの間の吐出側が凹面となった凹形になっている。特許文献1の羽根車は、羽根の付け根部から外周部に至るまでの全長に亘ってこの凸形と凹形とが形成されるように羽根を形成したので、翼の高さを大きくすることなく羽根車の回転時の羽根の回転による騒音を低減できるものとされている。
羽根車において、翼の前縁部を通過する気流の回転方向成分の大きさは、半径に比例する。そのため、翼の前縁部を通過する気流の回転方向成分の大きさは、外周端部よりも内周縁部に近い位置では、内周縁部よりも外周端部に近い位置よりも小さく、内周縁部よりも外周端部に近い位置では、外周端部よりも内周縁部に近い位置よりも大きい。すなわち、翼の前縁を通過する気流の回転方向成分の大きさは、径方向において内周縁部に近づくほど小さくなり、外周端部に近づくほど大きくなる。
特許文献1に記載されている羽根車の翼は、羽根の付け根部から外周部に至るまでの全長に亘って前縁部側の凸形と後縁部側の凹形とが形成されているため、気流が速い外周側の凸形によって、気流の剥離が生じ、送風性能が悪化する恐れがある。したがって、羽根車は、翼の外周側の前縁部側での気流の剥離を抑制する必要がある。
図7は、実施の形態1に係る羽根車10の動作と気流の流れを説明するための図2のIV-IV線位置のコード方向断面CS1における翼弦30及びキャンバ線31を示した概念図である。図7の上下方向は、回転軸11に沿う方向を表しており、上方は空気の吸込み側を表しており、下方は空気の吹出し側を表している。図7において、破線の矢印FAは、翼20の周囲の気流を示している。
図7に示すように、翼20の外周端部23よりも内周縁部24に近い位置のコード方向断面CS1において、最大極値点33は、キャンバ中点34よりも後縁部22側、且つ、翼弦30よりも空気の吸込み側に存在する。
これにより、図7の破線の矢印FAで示すように、気流は、翼20の後縁部22側、すなわち翼20の前縁部21よりも後縁部22に近い部分で曲率半径が小さくなるように曲げられるため、翼20の静圧上昇を大きくできる。そのため、羽根車10は、当該構成を備えていない場合と比較して、翼20の同一回転数時における風量を増加することができる。
また、上記形状に加えて、図5及び図7に示すように、翼20の外周端部23よりも内周縁部24に近い位置のコード方向断面CS1において、キャンバ線31は、前縁部21と最大極値点33との間に少なくとも1つの変曲点32を有する。
これにより、羽根車10は、当該構成を備えていない場合と比較して、翼20の後縁部22側の曲率半径を小さくすることができると同時に、翼20の前縁部21側での気流の剥離を抑制し、翼20の送風効率を高めることができる。すなわち、羽根車10は、翼20の前縁部21よりも後縁部22に近い部分の曲率半径を小さくすることができると同時に、翼20の後縁部22よりも前縁部21に近い部分での気流の剥離を抑制し、翼20の送風効率を高めることができる。そのため、羽根車10は、上記構成を有していない場合と比較してファン効率の高効率化を図ることができる。
なお、羽根車10は、上記の構成を備えていない場合と比較して、翼20の前縁部21と後縁部22との位置は変わらない。そのため、羽根車10は、羽根車10の大きさを変えることなく、上記の効果、例えば、羽根車10のファン効率の高効率化及び同一回転数時における風量の増加等を得ることができる。
図8は、実施の形態1に係る羽根車10の動作と気流の流れを説明するための図2のV-V線位置のコード方向断面CS2における翼弦30及びキャンバ線31を示した概念図である。図8の上下方向は、回転軸11に沿う方向を表しており、上方は空気の吸込み側を表しており、下方は空気の吹出し側を表している。図8において、破線の矢印FAは、翼20の周囲の気流を示している。
図8に示すように、翼20の内周縁部24よりも外周端部23に近い位置のコード方向断面CS2において、最大極値点33は、キャンバ中点34よりも前縁部21側、且つ、翼弦30よりも空気の吸込み側に存在する。
上述したように、翼の前縁部を通過する気流の回転方向成分の大きさは、半径に比例するため、外周端部側の翼の前縁部を通過する気流の回転方向成分の大きさが内周縁部側の翼の前縁部を通過する気流の回転方向成分の大きさよりも大きくなる。これにより、羽根車10は、翼20の内周縁部24よりも外周端部23に近い部分では、前縁部21側を通過した気流が翼20に沿って流れるため、気流の剥離を抑制することができ、翼20の送風効率を高めることができる。そのため、羽根車10は、上記構成を有していない場合と比較してファン効率の高効率化を図ることができる。
また、羽根車10は、最大極値点33がキャンバ中点34よりも前縁部21側、且つ、翼弦30よりも空気の吸込み側に存在することで翼20の前縁部21側での曲率半径を小さくできる。すなわち、羽根車10は、最大極値点33がキャンバ中点34よりも前縁部21側、且つ、翼弦30よりも空気の吸込み側に存在することで翼20の後縁部22よりも前縁部21に近い部分での曲率半径を小さくできる。
そのため、羽根車10は、上記の構成を有していない羽根車と比較して、翼20の前縁部21側での静圧上昇を大きくできるため、翼20の前縁部21側から後縁部22側へかけての圧力勾配を小さくすることができる。その結果、羽根車10は、上記の構成を有していいない羽根車と比較して、翼20の同一回転数時における風量を増加することができる。そのため、羽根車10は、上記構成を有していない場合と比較してファン効率の高効率化を図ることができる。
なお、羽根車10は、上記の構成を備えていない場合と比較して、翼20の前縁部21と後縁部22との位置は変わらない。そのため、羽根車10は、羽根車10の大きさを変えることなく、上記の効果、例えば、羽根車10のファン効率の高効率化及び同一回転数時における風量の増加等を得ることができる。
実施の形態2.
図9は、実施の形態2に係る羽根車10であって、図2のIV-IV線位置のコード方向断面CS1における翼弦30及びキャンバ線31を示した概念図である。図10は、実施の形態2に係る羽根車10であって、図2のV-V線位置のコード方向断面CS2における翼弦30及びキャンバ線31を示した概念図である。次に、実施の形態2に係る羽根車10について説明する。
実施の形態2に係る羽根車10は、回転軸11を中心とした翼20のコード方向断面CSに特徴を有している。なお、実施の形態2に係る羽根車10は、以下に説明する構成以外の他の構成については実施の形態1に係る羽根車10と同様である。実施の形態2に係る羽根車10の特徴について、既に示した図2、図9及び図10を参照しつつ説明する。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図2、図9及び図10に示すように、羽根車10は、回転軸11の径方向における翼20の全域において、キャンバ線31が翼弦30よりも空気の吸込み側に位置するように形成されている。すなわち、羽根車10は、翼20の内周縁部24から外周端部23にかけてのどのコード方向断面CSにおいても、キャンバ線31が翼弦30よりも空気の吸込み側に位置するように形成されている。
[羽根車10の作用効果]
羽根車10は、回転軸11の径方向における翼20の全域において、キャンバ線31が翼弦30よりも空気の吸込み側に位置するように形成されている。羽根車10は、キャンバ線31が翼20の全域で翼弦30よりも空気の吸込み側に位置するように形成されているため、当該構成を有していない羽根車と比較して、羽根車10の昇圧量を大きくし、ファン効率を改善できる。
仮に、翼の一部でキャンバ線が翼弦よりも空気の吹出し側に位置するように形成されている場合、気流は、当該部により昇圧効果を得られる方向とは逆方向に大きく曲げられるため、羽根車は、翼の仕事がなされない。したがって、翼の一部でキャンバ線が翼弦よりも空気の吹出し側に位置するように形成されている場合、羽根車は昇圧量が小さくなってしまう。もしくは、羽根車は、当該部において気流が翼に沿わなくなり、気流の剥離が生じるため、羽根車のファン効率が悪化する。これに対し、実施の形態2に係る羽根車10の翼20は、キャンバ線31が翼20の全域で翼弦30よりも空気の吸込み側に位置するように形成されているため、羽根車10の昇圧量を大きくでき、当該構成を有していない羽根車と比較してファン効率を改善できる。
図11は、実施の形態2に係る羽根車10と従来技術の羽根車との、流量係数とファン効率との関係を示したグラフである。図11において、丸印が従来技術の羽根車を示し、バツ印が実施の形態2に係る羽根車10を示している。なお、従来技術の羽根車は、実施の形態2に係る羽根車10の特徴をもたない一般的な羽根車である。図11に示すように、実施の形態2に係る羽根車10は、従来技術の羽根車と比較して、いずれの領域においても流量係数に対するファン効率が高いため、従来技術の羽根車に対してファン効率が改善されている。
図12は、実施の形態2に係る羽根車10と従来技術の羽根車との、流量係数と圧力係数との関係を示したグラフである。図12において、丸印が従来技術の羽根車を示し、バツ印が実施の形態2に係る羽根車10を示している。なお、従来技術の羽根車は、実施の形態2に係る羽根車10の特徴をもたない一般的な羽根車である。図12に示すように、実施の形態2に係る羽根車10は、従来技術の羽根車と比較して、いずれの領域においても流量係数に対する圧力係数が高いため、従来技術の羽根車に対して同一回転数時における風量を増加させることができる。
実施の形態3.
図13は、実施の形態3に係る羽根車10であって、図2のIV-IV線位置のコード方向断面CS1における翼弦30及びキャンバ線31を示した概念図である。図14は、実施の形態3に係る羽根車10であって、図2のV-V線位置のコード方向断面CS2における翼弦30及びキャンバ線31を示した概念図である。次に、実施の形態3に係る羽根車10について説明する。
実施の形態3に係る羽根車10は、内周縁部24及び外周端部23のそれぞれに近い部分における、回転軸11を中心とした翼20のコード方向断面CSに特徴を有している。なお、実施の形態3に係る羽根車10は、以下に説明する構成以外の他の構成については実施の形態1又は実施の形態2に係る羽根車10と同様である。実施の形態3に係る羽根車10の特徴について、既に示した図2、図13及び図14を参照しつつ説明する。なお、実施の形態1又は実施の形態2と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
上述したように、キャンバ線31上の翼弦30からの距離を「反り高さH」と定義する。反り高さHは、コード方向断面CSにおいて、翼弦30に対して垂直な方向におけるキャンバ線31と翼弦30との間の距離である。
反り高さHに関して、図13に示すように、翼20の外周端部23よりも内周縁部24に近い位置のコード方向断面CS1において、翼弦30に対して垂直な方向における最大極値点33と翼弦30との間の距離を「距離H」と定義する。
反り高さHに関して、図14に示すように、翼20の内周縁部24よりも外周端部23に近い位置のコード方向断面CS2において、翼弦30に対して垂直な方向における最大極値点33と翼弦30との間の距離を「距離H」と定義する。
羽根車10は、距離Hが距離Hによりも大きくなるように形成されている。すなわち、羽根車10は、距離H<距離Hの関係を満たすように形成されている。
[羽根車10の作用効果]
上述したように、翼の前縁部を通過する気流の回転方向成分の大きさは、半径に比例するため、外周端部側の翼の前縁部を通過する気流の回転方向成分の大きさが内周縁部側の翼の前縁部を通過する気流の回転方向成分の大きさよりも大きくなる。また、コード方向断面CSを定義した際の、回転軸11を中心とした翼20の複数の円筒断面の面積は、軸方向の高さが一定のもとでは半径に比例するため、内周縁部24から外周端部23に向かうほど翼弦長を大きくできる。
羽根車10は、翼弦長を大きくとることによって、同一回転数時における風量を増加することができる。したがって、羽根車10は、距離H<距離Hの関係を満たすように形成されていることによって、当該構成を有していない構成と比較して、気流の大きさが翼20の内周側よりも大きな外周側において更に静圧を上昇させることができる。そのため、羽根車10は、当該構成を備えていない場合と比較して、翼20の同一回転数時における風量を増加することができる。そのため、羽根車10は、上記構成を有していない場合と比較してファン効率の高効率化を図ることができる。
実施の形態4.
図15は、実施の形態4に係る送風機100であって、図1に示す送風機100の回転軸11に平行且つ回転軸11を通る任意の面における送風機100の断面を示す概念図である。実施の形態4に係る送風機100について、図15及び既に示した図1を参照しつつ説明する。なお、実施の形態1~実施の形態3と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
実施の形態4に係る送風機100は、ベルマウス81を有するケーシング80と、ケーシング80の内部に収容された実施の形態1~3のいずれか1つの羽根車10とを備えている。換言すれば、実施の形態4に係る送風機100は、ベルマウス81を有するケーシング80と、回転軸11の軸方向に見た場合に、ベルマウス81の内周側に配置された実施の形態1~3のいずれか1つの羽根車10と、を備えている。
ケーシング80は、羽根車10を内部に収容する箱状に形成されている。ケーシング80は、空気の吹出し側及び吸込み側のそれぞれに略円筒形状のベルマウス81を有している。ベルマウス81は、例えば、回転軸11の軸方向において、ケーシング80の中央部から離れるにつれて回転軸11からの距離が大きくなる形状となっている。すなわち、ケーシング80は、例えば、回転軸11の軸方向において、ベルマウス81によってケーシング80の中央部から離れるにつれて回転軸11からの距離が大きくなる形状となっている。
なお、ベルマウス81及びケーシング80は、当該形状に限定されるものではなく、回転軸11の軸方向において、ケーシング80の中央部から離れるにつれて回転軸11からの距離が小さくなければどのような形状でもよい。すなわち、ケーシング80は、全体の形状が円筒形でもよい。
図15において、翼20を回転させた際の軌跡の一例を羽根車10として示している。また、図15の点線で描かれた羽根車10Sは、空気の吹出し側及び空気の吸込み側のそれぞれの方向に羽根車10を移動させた際に、羽根車10の効果を得ることができる範囲の限界の位置を示している。
ここで、回転軸11の軸方向において、ケーシング80の延びる長さを長さHと定義する。なお、回転軸11が鉛直方向になるようにケーシング80を設置した場合に、ケーシング80の長さHは、ケーシング80の高さになる。
図15に示すように、羽根車10は、回転軸11の軸方向において、空気の吸込み側及び空気の吹出し側に長さεHだけケーシング80から離れた仮想面SFよりも内側の領域で羽根車10の効果を発揮できる。このとき、係数εは、0より大きく0.5以下であればよい(0<ε≦0.5)。すなわち、羽根車10は、回転軸11の軸方向において、空気の吸込み側及び空気の吹出し側に長さεHだけケーシング80から離れた位置にある仮想面SFよりも内側の領域に配置されている。
[送風機100の作用効果]
図15に示すように、送風機100は、回転軸11の軸方向において、空気の吸込み側及び空気の吹出し側に長さεHだけケーシング80から離れた面よりも内側の領域内に羽根車10を配置することで羽根車10の効果を発揮できる。実施の形態4に係る送風機100は、上記の構成によれば、大きさを変えることなく、羽根車10のファン効率の高効率化及び同一回転数時における風量の増加等を可能とする送風機を得ることができる。
実施の形態5.
図16は、実施の形態5に係る空気調和機200の構成を示す斜視図である。実施の形態5に係る空気調和機200について、図16を参照しつつ説明する。なお、実施の形態1~実施の形態4と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態5では、空気調和機200としてビル用マルチエアコンの室外機を例示しているが、空気調和機200は、ビル用マルチエアコンの室外機に限定されるものではない。
図16に示すように、空気調和機200は、実施の形態1~3に係る羽根車10及びそれを備えた実施の形態4の送風機100を有している。また、空気調和機200は、筐体203を備えている。また、空気調和機200は、筐体203の内部に羽根車10によって供給される空気と内部を流通する冷媒との熱交換を行う熱交換器204を備えている。
筐体203は、図16に示すように、箱状に形成されており、例えば直方体状に形成されている。なお、筐体203の形状は直方体に限定されるものではない。筐体203の上部には、筐体203の内部に吸い込んだ室外空気を筐体203の空気調和機200の外に吐き出すための吹出口202が形成されている。
筐体203の各側面部には、室外空気を筐体203の内部に吸い込むための吸込口201が形成されている。吸込口201は、筐体203の側面の4面全てに形成されていてもよく、4面の全てではなく、4面の内、いずれか1面以上に形成されていてもよい。また、吸込口201は、筐体203の側面の一部分に形成されていてもよく、側面全体に形成されていてもよい。
筐体203の内部において、吸込口201から吹出口202に至る風路内には、送風機100及び熱交換器204が設けられている。送風機100は、送風機100が形成する空気の流れる方向において、吹出口202の上流側で且つ熱交換器204の下流側に配置されている。熱交換器204は、室外空気と熱交換器204の内部を流れる冷媒との熱交換を行い、空調空気を作り出すものである。
空気調和機200において、送風機100の羽根車10が回転すると、室外空気は、吸込口201から筐体203の内部に吸い込まれる。この室外空気は、熱交換器204を通過する際、冷媒との熱交換により加熱又は冷却されて空調空気となる。この熱交換された空調空気は、吹出口202から空調対象域に吹き出される。
[空気調和機200の作用効果]
上述したように、送風機100は、従来の羽根車と比較して羽根車の大きさを変えることなく、従来よりも高効率かつ大風量となっている。したがって、実施の形態5に係る空気調和機200によれば、送風機100ではない送風機を有する従来の空気調和機と比較して空気調和機200の寸法を大きくすることなく、従来よりも電力効率を向上させ、大風量で運転することができる。
また、上述したように、実施の形態5に係る空気調和機200は、実施の形態1~3のいずれか1つの羽根車10と、羽根車10によって供給される空気と内部を流通する冷媒との熱交換を行う熱交換器204と、を備えている。この構成によれば、空気調和機200は、羽根車10を有しているため、羽根車10以外の羽根車を有している従来の空気調和機と比較して、空気調和機200の寸法を大きくすることなく、従来よりも電力効率を向上させ、大風量で運転することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
10 羽根車、10S 羽根車、11 回転軸、12 ボス部、12a ボス中間点、20 翼、21 前縁部、22 後縁部、23 外周端部、23a 外周前端部、23b 外周後端部、24 内周縁部、24a 内周前端部、24b 内周後端部、25 圧力面、26 負圧面、27 スパン線、27a スパン線、27b スパン線、27c スパン線、28 中間部、29 後縁側凹部、30 翼弦、31 キャンバ線、32 変曲点、33 最大極値点、34 キャンバ中点、35 翼面、40 ボス中間断面、80 ケーシング、81 ベルマウス、100 送風機、200 空気調和機、201 吸込口、202 吹出口、203 筐体、204 熱交換器、CD 両向き矢印、CL 円筒、CS コード方向断面、CS1 コード方向断面、CS2 コード方向断面、F 太矢印、FA 矢印、H 高さ、H 距離、H 距離、P 仮想点、R 太矢印、SF 仮想面、SS スパン方向断面、Sh 後縁側翼高さ、r 距離、r1 距離、r2 距離。

Claims (7)

  1. 回転軸上に設けられたボス部と、
    前記ボス部の外周に設けられた複数の翼と、
    を備え、
    前記複数の翼のそれぞれは、
    回転方向で前方側の縁部である前縁部と、
    前記回転方向で後方側の縁部である後縁部と、
    外周側の縁部である外周端部と、
    内周側の縁部である内周縁部と、
    を有しており、
    前記回転軸を中心とした複数の仮想の円筒を想定した場合において、円筒部分にあたる前記複数の翼のそれぞれの仮想の断面をコード方向断面と定義し、
    前記コード方向断面において、前記前縁部と前記後縁部とを結ぶ直線を翼弦と定義し、翼断面の中心線をキャンバ線と定義し、
    前記コード方向断面において、前記翼弦に対して垂直な方向における前記キャンバ線と前記翼弦との間の距離を反り高さと定義し、
    前記キャンバ線上において、前記前縁部と前記後縁部とからの距離が等しくなる位置をキャンバ中点と定義し、
    前記キャンバ線上において、前記反り高さが最大となる点を最大極値点と定義する場合に、
    前記翼の前記外周端部よりも前記内周縁部に近い位置の前記コード方向断面において、前記最大極値点は、前記キャンバ中点よりも前記後縁部側、且つ、前記翼弦よりも空気の吸込み側に存在しており、前記キャンバ線は、前記前縁部と前記最大極値点との間に少なくとも1つの変曲点を有し、
    前記翼の前記内周縁部よりも前記外周端部に近い位置の前記コード方向断面において、前記最大極値点は、前記キャンバ中点よりも前記前縁部側、且つ、前記翼弦よりも空気の吸込み側に存在し、
    前記翼の前記外周端部よりも前記内周縁部に近い位置の前記コード方向断面において、前記変曲点は、前記翼弦よりも空気の吸込み側に位置する羽根車。
  2. 前記キャンバ線は、
    前記回転軸の径方向における前記翼の全域において、前記翼弦よりも空気の吸込み側に位置するように形成されている請求項1に記載の羽根車。
  3. 前記翼の前記外周端部よりも前記内周縁部に近い位置の前記コード方向断面において、前記翼弦に対して垂直な方向における前記最大極値点と前記翼弦との間の距離を距離Hと定義し、
    前記翼の前記内周縁部よりも前記外周端部に近い位置の前記コード方向断面において、前記翼弦に対して垂直な方向における前記最大極値点と前記翼弦との間の距離を距離Hと定義した場合に、
    距離H<距離Hの関係を満たすように形成されている請求項1又は2に記載の羽根車。
  4. ベルマウスを有するケーシングと、
    前記ケーシングの内部に収容された請求項1又は2に記載された羽根車と、
    を備え、
    前記回転軸の軸方向において、前記ケーシングの延びる長さを長さHと定義し、係数εが0<ε≦0.5であると定義した場合に、
    前記羽根車が、
    前記回転軸の前記軸方向において、空気の吸込み側及び空気の吹出し側に前記長さεHだけ前記ケーシングから離れた位置にある仮想面よりも内側の領域に配置されている送風機。
  5. ベルマウスを有するケーシングと、
    前記ケーシングの内部に収容された請求項3に記載された羽根車と、
    を備え、
    前記回転軸の軸方向において、前記ケーシングの延びる長さを長さH と定義し、係数εが0<ε≦0.5であると定義した場合に、
    前記羽根車が、
    前記回転軸の前記軸方向において、空気の吸込み側及び空気の吹出し側に前記長さεH だけ前記ケーシングから離れた位置にある仮想面よりも内側の領域に配置されている送風機。
  6. 請求項1又は2に記載の羽根車と、
    前記羽根車によって供給される空気と内部を流通する冷媒との熱交換を行う熱交換器と、
    を備えた空気調和機。
  7. 請求項3に記載の羽根車と、
    前記羽根車によって供給される空気と内部を流通する冷媒との熱交換を行う熱交換器と、
    を備えた空気調和機。
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