JP7482682B2 - ふんわり感を呈する布生地又はその加工物の評価又は探索方法 - Google Patents

ふんわり感を呈する布生地又はその加工物の評価又は探索方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7482682B2
JP7482682B2 JP2020087376A JP2020087376A JP7482682B2 JP 7482682 B2 JP7482682 B2 JP 7482682B2 JP 2020087376 A JP2020087376 A JP 2020087376A JP 2020087376 A JP2020087376 A JP 2020087376A JP 7482682 B2 JP7482682 B2 JP 7482682B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxytocin
fabric
amount
test article
evaluating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020087376A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021067669A (ja
Inventor
考司 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Publication of JP2021067669A publication Critical patent/JP2021067669A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7482682B2 publication Critical patent/JP7482682B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Description

特許法第30条第2項適用 (1)平成30年10月20日 「第59回日本母性衛生学会総会・学術集会(開催日:平成30年10月19日―20日)」(朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター(新潟市中央区万代島6-1))にて公開 (2)平成31年1月29日 https://www.kao.com/jp/corporate/news/rd/2019/20190129-001/
本発明は、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物を評価又は探索する方法に関する。
衣類、タオル、寝具、ぬいぐるみ等の布生地製品を使用した際に、その素材が持つなめらかさ、やわらかさ、ふんわり感等の風合いによって、幸福・満足感、リラックス、リフレッシュ等の感情が喚起される。したがって、布生地やそれを用いた加工品の開発には、肌に接触した場合に心地良さや幸福感・満足感といった快感情を喚起する風合いを持つ素材が求められている。
しかしながら、肌触りのような風合いを客観的に評価するには専門家による判断が必要であり、そのような専門家を育成することは容易なことではない。また非専門家で感触を客観的に判断するためには多くの人数が必要であり、これも容易なことではない。
一方、オキシトシン(Oxytocin)は、9個のアミノ酸から構成されるペプチドホルモンで、主に脳の視床下部で合成されている。オキシトシンは、授乳中の母親で産生が増大し、射乳に関与しているが、近年、女性だけでなく男性でも産生されることが明らかにされ、また、動物を用いた解析により、生物間の愛着/社会性形成に関与することが報告されている(非特許文献1)。
また、オキシトシン産生促進物質には、抗不安作用やシワ及び皮膚柔軟性の改善作用があること(特許文献1)、オキシトシン活性物質が、ケラチノサイトにおけるTGF-β1の産生を増大し、熱傷等の皮膚傷害に有効であること、また表皮におけるバリア形成を促進すること等(特許文献2)が報告されている。
しかしながら、生体中のオキシトシン量と布生地の素材が齎すふんわり感との関連性は明らかにされていない。
特開2011-98898号公報 特表2002-525337号公報
Lieberwirth and Wang, CURRENT OPINION IN NEUROBIOLOGY, doi: 10.1016/j.conb.2016.05.006, 2016
本発明は、布生地の素材が齎すふんわりとした風合いを客観的且つ効率よく評価又は探索する方法、及び当該風合いを布生地に付与するための処理を評価又は探索する方法を提供することに関する。
本発明者らは、素材の異なる布生地を手の平で触れた場合に感じられる風合いと生体内のオキシトシン量との関係を調べたところ、ふんわり感を呈する布生地又はふんわり感を付与するための処理がなされた布生地に触れた場合に生体内のオキシトシン量が有意に上昇することを見出した。したがって、当該オキシトシン量を指標として、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物の評価又は探索やふんわり感を付与するための処理の評価又は探索が可能であり、またふんわり感を指標として、生体内オキシトシンを上昇させる布生地又はその加工物の評価又は探索が可能であると考えられる。
すなわち、本発明は、以下の1)~3)に係るものである。
1)以下の工程(A)~(C)を含む、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物の評価又は探索方法。
(A)ヒトの皮膚と試験物品を接触させる工程
(B)前記ヒトから採取された生体試料中のオキシトシン量を測定する工程
(C)前記オキシトシン量を基準値と比較し、オキシトシン量を増加させる試験物品を、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物として評価又は選択する工程
2)以下の工程(A’)~(C’)を含む、布生地又はその加工物にふんわり感を付与するための処理剤の評価又は探索方法。
(A’)ヒトの皮膚と試験処理剤で処理された試験物品を接触させる工程
(B’)前記ヒトから採取された生体試料中のオキシトシン量を測定する工程
(C’)前記オキシトシン量を基準値と比較し、オキシトシン量が増加する場合に、当該試験処理剤を布生地又はその加工物に対してふんわり感を付与するための処理剤として評価又は選択する工程
3)以下の工程(D)~(F)を含む、生体内オキシトシンを上昇させる布生地又はその加工物の評価又は探索方法。
(D)ヒトの皮膚と試験物品を接触させる工程
(E)前記試験物品に触れた際に感じられるふんわり感を評価する工程
(F)前記評価結果に基づき、ふんわり感を呈する試験物品を、生体内オキシトシンを上昇させる布生地又はその加工物として評価又は選択する工程
本発明によれば、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物を客観的且つ効率よく評価又は探索すること、布生地又はその加工物にふんわり感を付与するための処理剤を評価又は探索することができ、また生体内オキシトシンを上昇させる布生地若しくはそれを用いた加工物を評価又は探索できる。
風合い評価値5.0以上と5.0未満の唾液中オキシトシン量変化率。 各被験品の風合い評価値平均値と唾液中オキシトシン量変化率の平均値の関連性解析。 柔軟剤処理タオルの風合い評価値。 柔軟剤処理タオルに触れた前後の唾液中オキシトシン量変化率。
本発明において、「ふんわり感」とは、布生地又はその加工物が肌に接触した場合に感じられる感触(風合い)の一つであり、厚みがあり、圧縮時に弾力感があり、ふくよかな感触を指し、やわらかさ、なめらかさとは異なる。
本発明において、「布生地」とは、糸状の天然繊維、再生繊維又は合成繊維等を織るか編むなどして、多数の繊維を薄く広いシート状に加工したものを意味し、例えば、織物、編み物、レース、フェルト、不織布等が挙げられる。
「布生地の加工物」とは、布生地を用いて縫製、圧着加工等されて作製された物品を意味し、例えば、衣類(例えば、肌着、シャツ、セーター、スカート、スウェット、吸収性物品(使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等)等)、タオル、装着品(例えば、スリッパ、スカーフ、ストール、手袋、靴下等)、装具(例えば、サポーター、マスク、ガーゼ、包帯等)、寝具(例えば、布団、マット、クッション、枕、毛布等)、カバー(例えば、布団カバー、クッションカバー、枕カバー、シーツ、座布団カバー、便座カバー等)、玩具(例えば、ぬいぐるみ等)等が挙げられる。このうち、直接肌に触れる頻度が高い衣類、タオル、寝具、玩具が好ましい。
また、本発明において、「ふんわり感を呈する布生地」には、布生地の素材自体がふんわり感を呈する場合の他、布生地の自体がふんわり感を呈しなくても、ふんわり感を呈するための化学的又は物理的処理がなされた結果、ふんわり感を呈するようになった布生地も包含される。斯かる布生地としては、例えば柔軟剤等で処理された布生地が挙げられる。
後記実施例に示すとおり、健常女性を対象に、ブラインドボックス中に用意した素材の異なる5種の布生地を手の平で触れ、感じた風合い(なめらかさ、ふんわり感)を評価し、併せて唾液中オキシトシン量を測定したところ、ふんわり感の評価値が高い布生地を触れた場合にはオキシトシン量の有意な上昇が認められたが、なめらかさの評価値が高い布生地を触れた場合にはオキシトシン量の有意な変化は認められなかった(図1)。さらに、各布生地におけるなめらかさとふんわり感の評価値の平均値と、唾液中オキシトシン量変化率の平均値を算出して、両者の関連性を検討した結果、ふんわり感で有意な正相関が認められた(図2)。この結果は、生体中のオキシトシン量を指標として、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物の評価又は探索が可能であることを示すものである。またこの結果は、ふんわり感を指標として、生体内オキシトシンを上昇させる布生地又はその加工物が評価又は探索できることを示すものと考えられる。
更に、柔軟剤処理を行ってふんわり感が付与された布生地に触れた前後において唾液中オキシトシン量を測定したところ、当該布生地に触れた後ではオキシトシン量が有意に増加した(図4)。一方、柔軟剤処理を行わない布生地では接触前後でオキシトシン量に有意な変化はなかった。この結果は、生体中のオキシトシン量を指標として、布生地又はその加工物にふんわり感を付与する処理剤の評価又は探索が可能であることを示すものである。
本発明のふんわり感を呈する布生地又はその加工物の評価又は探索方法は、以下の工程(A)~(C)により行われる。
(A)ヒトの皮膚と試験物品を接触させる工程
(B)前記ヒトから採取された生体試料中のオキシトシン量を測定する工程
(C)前記オキシトシン量を基準値と比較し、オキシトシン量を増加させる試験物品を、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物として評価又は選択する工程
また、本発明の布生地又はその加工物にふんわり感を付与するための処理剤の評価又は探索方法は、以下の工程(A’)~(C’)により行われる。
(A’)ヒトの皮膚と試験処理剤で処理された試験物品を接触させる工程
(B’)前記ヒトから採取された生体試料中のオキシトシン量を測定する工程
(C’)前記オキシトシン量を基準値と比較し、オキシトシン量が増加する場合に、当該試験処理剤を布生地又はその加工物に対してふんわり感を付与するための処理剤として評価又は選択する工程
工程(A)、(A’)において、「ヒト」としては、その性別や年齢は限定されず、乳幼児や高齢者であってもよいが、成人であるのが好ましい。
「試験物品」としては、布生地又はその加工物であれば、特に制限されないが、好ましくは、ヒトの肌に接触した際にふんわり感を呈することが期待される布生地又はその加工物である。また、布生地は、ふんわり感を付与するための化学的又は物理的処理がなされた布生地であってもよい。
また、「試験処理剤」としては、例えば柔軟剤、柔軟剤を配合した洗剤等が挙げられる。
ヒトの皮膚と試験物品の接触は、ヒト自身が自発的に行ってもよく、強制的に行ってもよいが、自発的に行うのが好ましい。接触部としては、皮膚であればよく、例えば、手指や手の平(掌)、手の甲等の手、上腕、肘、下腕等が挙げられるが、無毛部が好ましく、より好ましくは手指や掌である。
好ましい接触の態様としては、ヒト自身が手の指先と手の平で試験物品に触れる態様が挙げられ、具体的には手の指先と手の平を前後左右に動かして試験物品に触れる態様が挙げられる。
試験物品への接触時間及び接触回数等の接触態様は適宜設定することができ、連続的又は断続的に行ってもよいが、一定時間試験物品に接触させた後に接触を解除して安静状態とし、再び接触させる動作を何回か繰り返して行う態様が挙げられる。例えば、試験物品に30秒間触れた後に、試験物品から手を離し、何も触れずに30秒間安静にする動作を数回(例えば、3~5回)繰り返すことが挙げられる。
本発明において、生体試料は、被験者から採取された試料であり、具体的には、血液(血漿、血清、血球(赤血球、白血球)を含む)、尿、唾液、リンパ液などが挙げられ、好ましくは唾液、血液(血漿、血清、血球を含む)、尿が挙げられ、より好ましくは安静時唾液である。
生体試料の採取するタイミングは、皮膚と試験物品との接触後であればよいが、好ましくは30分後が好ましい。さらに好ましくは60分以内であり、より好ましくは40分以内である。
工程(B)、(B’)において、生体試料中のオキシトシン量が測定される。
オキシトシンは、9個のアミノ酸残基からなるペプチドホルモンである。オキシトシンは、大脳の視床下部の室傍核や視索上核に存在する大細胞性神経細胞で合成され、脳下垂体後葉から血中に放出されることが知られている。
オキシトシン量の測定は、液体クロマトグラフ(HPLC)、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)、液体クロマトグラフタンデム型質量分析計(LC-MS/MS)、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)、あるいは酵素免疫測定法(ELISA)などの免疫学的手法により可能である。これらの測定条件は公知であり、常法に従い容易に定量できる。
前記ELISA法は、例えばOxytocin ELISA kit(Enzo)を使用して実施することができる。
次いで、オキシトシン量が基準値と比較され、オキシトシン量を増加させる試験物品が、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物として評価又は選択される(工程(C))、又はオキシトシン量が増加する場合に、当該試験処理剤が布生地又はその加工物に対してふんわり感を付与するための処理剤として評価又は選択される(工程(C’))。
すなわち、オキシトシン量(例えば生体試料中のタンパク質量当たりのオキシトシン量)を基準値と比較することにより、オキシトシン量を増加させる試験物品が同定される。
基準値としては、ふんわり感の度合いが異なる試験物品に触れた場合(例えば、ふんわり感の度合いがより低い試験物品接触群、プラセボ群(ふんわり感を呈さない試験物品接触群))に測定されるオキシトシン量や、試験物品に触れる前に測定されたオキシトシン量、試験物品に触れない個体における所定のオキシトシン量等が挙げられる。
なお、ふんわり感の度合いは、例えば、10cmのVisual Analog Scale(VAS;一定の長さの直線上に感覚量の程度を示す方法、すなわち直線の左端を「ふんわりしていない」、右端を「非常にふんわりしている」とし、該当する箇所に線を引く方法)を用い、左端から線を引いた箇所までの距離(cm)により測定することができる。
具体的には、工程(C)においては、ふんわり感の度合いがより高い試験物品接触群とふんわり感の度合いがより低い試験物品接触群との間;試験物品接触群とプラセボ群との間;又は試験物品接触前後で、オキシトシン量を比較し、試験物品の接触又はふんわり感の度合いがより高い試験物品との接触によりオキシトシン量が上昇する場合にその増加量や増加率に基づいて、又は所定のオキシトシン量を超える場合にその値に基づいて当該試験物品を、当該オキシトシン量を増加させる物品として同定することができる。
例えば、試験物品接触群におけるオキシトシン量が、対照群と比較して10%以上、好ましくは20%以上に増加している、或いは基準値と比較して統計学的に有意に増加していれば、当該試験物品を、オキシトシン量を増加させる物品として同定することができる。また、試験物品接触群におけるオキシトシン量が所定のオキシトシン量(例えば、単位タンパク量当たり2pg)を超える場合に、当該試験物品を、オキシトシン量を増加させる物品として同定することができる。
そして、同定されたオキシトシン量を増加させる試験物品は、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物として評価又は選択することができる。
また、工程(C’)においては、プラセボ群として処理剤による処理がなされていない試験物品接触群を用意することにより、当該処理剤によるふんわり感付与の効果を同定することができる。
例えば、試験処理剤で処理された試験物品への接触前後でオキシトシン量を比較し、当該物品の接触によりオキシトシン量が統計学的に有意に増加、或いは10%以上、好ましくは20%以上増加し、プラセボ群では試験物品への接触前後でオキシトシン量に変化がない場合に、当該処理剤を布生地又はその加工物に対してふんわり感を付与するための処理剤として同定することができる。
このようにして選択されたふんわり感を呈する布生地又はその加工物は、肌に接触した場合に、ふんわりとした感触を与える布生地又はその加工物となり得る。また、選択された布生地又はその加工物がふんわり感を齎すための特定の化学的又は物理的処理がなされている場合には、当該処理手段は、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物を製造するための処理として利用できる。
また、ふんわり感を指標とした生体内オキシトシンを上昇させる布生地又はその加工物の評価又は探索は、以下の工程(D)~(F)により行うことができる。
(D)ヒトの皮膚と試験物品を接触させる工程
(E)前記試験物品に触れた際に感じられるふんわり感を評価する工程
(F)前記評価結果に基づき、ふんわり感を呈する試験物品を、生体内オキシトシンを上昇させる布生地又はその加工物として評価又は選択する工程
ここで、(D)のヒトの皮膚と試験物品との接触は、前記(A)と同様である。
(E)のふんわり感の評価は、被験者において、試験物品に触れた際に感じられるふんわり感を、前述した10cmのVisual Analog Scale(VAS)等を用いて評価することができる。
前記評価結果に基づき、ふんわり感を呈すると認められた試験物品は、生体内オキシトシンを上昇させる布生地又はその加工物として評価又は選択できる(F)。また、試験物品がふんわり感を齎すための化学的又は物理的処理がなされている場合には、当該処理手段は、生体内オキシトシンを上昇させる布生地又はその加工物を製造するための処理として評価できる。
上述した実施形態に関し、本発明においては更に以下の態様が開示される。
<1>以下の工程(A)~(C)を含む、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物の評価又は探索方法。
(A)ヒトの皮膚と試験物品を接触させる工程
(B)前記ヒトから採取された生体試料中のオキシトシン量を測定する工程
(C)前記オキシトシン量を基準値と比較し、オキシトシン量を増加させる試験物品を、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物として評価又は選択する工程
<2>以下の工程(A’)~(C’)を含む、布生地又はその加工物にふんわり感を付与するための処理剤の評価又は探索方法。
(A’)ヒトの皮膚と試験処理剤で処理された試験物品を接触させる工程
(B’)前記ヒトから採取された生体試料中のオキシトシン量を測定する工程
(C’)前記オキシトシン量を基準値と比較し、オキシトシン量が増加する場合に、当該試験処理剤を布生地又はその加工物に対してふんわり感を付与するための処理剤として評価又は選択する工程
<3>生体試料が血液、血清、血漿、尿又は唾液である<1>又は<2>の方法。
<4>以下の工程(D)~(F)を含む、生体内オキシトシンを上昇させる布生地又はその加工物の評価又は探索方法。
(D)ヒトの皮膚と試験物品を接触させる工程
(E)前記試験物品に触れた際に感じられるふんわり感を評価する工程
(F)前記評価結果に基づき、ふんわり感を呈する試験物品を、生体内オキシトシンを上昇させる布生地又はその加工物として評価又は選択する工程
<5>ヒトの皮膚と試験物品の接触が、ヒトの手による試験物品への接触である<1>~<4>のいずれかの方法。
<6>布生地の加工物が、衣類、タオル、装着品、装具、寝具、カバー及び玩具から選ばれる<1>~<5>のいずれかの方法。
実施例1 ふんわり感を呈する布生地の評価
1.方法
(1)試験参加者
20-50代の健常女性14名を対象に実施した。
(2)被験品
ワイピングクロス(ブライトン製、ワイピングクロス マイクロファイバー)、シルク毛布(ニューベーシックシルク毛布ST-16384K(6))、カシミヤセーター(ユニクロ製、カシミヤセーター)、ぬいぐるみ生地(りぶはあと製、ねむねむプレミアム抱きまくらの生地)、マイクロファイバー毛布(ナイスデイ製、mofuaプレミアムマイクロファイバー毛布)を約25×20cm(縦×横)に裁断し、台紙に貼り付けた。各素材で右・左手用の2つを作成した。
(3)触覚刺激と風合い評価
ハンドソープを用いて、手の平を洗浄した。視覚情報が触感覚に影響を及ぼすことから(柳澤、高辻、日本機械学会論文集、78、3830-3841、2012;山本ら、基礎心理学研究、33、1、9-18、2014)、試験参加者はブラインドボックス(約40×50×30cm、縦×横×高さ)に両手を入れ、手の平と指先を前後左右に動かして、台紙に貼り付けた被験品に触れた。触れ方は、被験品に30秒間触れた後に、被験品から手を離し、何も触れずに30秒間安静にする動作を5回繰り返した。
触覚刺激直後に、手の平で感じた風合い(なめらかさ、ふんわり感)を10cmのVisual Analog Scale(VAS;一定の長さの直線上に感覚量の程度を示す方法。直線の左端を「(なめらかでない、または、ふんわりしていない」、右端を「非常になめらか、または、非常にふんわりしている」とし、該当する箇所に線を引く)を用いて評価した。左端から線を引いた箇所までの距離(cm)を各風合いの評価値とした。
(4)唾液採取
触覚刺激前と刺激30分後に、口腔内を水で漱口後、全唾液を遠沈管に10分間吐出した。唾液を遠心分離(15,000rpm、10min)して、上清を-80℃で保管した。
(5)オキシトシン測定
唾液サンプルの上清(1.5~3.0ml)と等量の0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液を混和した。遠心分離(3,000rpm、30min)後の上清の固相抽出を、Sep-pak C18カラム(200mg、3cc、Waters)を用いて、下記のように行った。C18カラムに1mlの100%アセトニトリル(ACN)、次いで10mlの0.1%TFA溶液(v/v)を通し、その後で0.1%TFA溶液(v/v)と混和した唾液(3.0~6.0ml)を通し、10mlの0.1%TFA溶液(v/v)で洗浄した後、3mlの95%ACN/5%(0.1%TFA溶液)(v/v)で溶出させた。溶出した溶液のACNをNガスで揮発させ、残った水溶液を凍結乾燥に供した。凍結乾燥後のサンプルをOxytocin ELISA kit(Enzo)中のAssay buffer(250μl)で再融解し、Oxytocin ELISA kitでオキシトシン濃度(pg/ml)を定量した。またBio-rad Protein assay (BIO-RAD)で、ウシ血清アルブミンで作成した検量線を基に唾液タンパク濃度(mg/ml)を定量し、各サンプルの単位タンパク量当たりのオキシトシン量(pg/mg protein)を算出し、触覚刺激前後の変化率(%)を算出した。
2.結果
(1)なめらかさ、ふんわり感評価値が5.0以上と5.0未満の時に二分して、唾液中オキシトシン量の変化率を比較した結果、図1に示すように、ふんわり感評価値が5.0以上で、5.0未満に比べて、有意に増加した。一方で、なめらかさでは有意な変化は認められなかった。
(2)さらに各被験品で風合い評価値の平均値と、唾液中オキシトシン量変化率の平均値を算出して、両者の関連性を検討した結果、図2に示すように、ふんわり感で有意な正相関が認められた(r=0.93、p<0.05)。一方で、なめらかさでは有意な相関は認められなかった(r=0.44)。
実施例2 ふんわり感を付与するための処理剤の評価
1.方法
(1)試験参加者
20-50代の健常女性10名を対象に実施した。
(2)被験品
綿100%で1枚当たり260匁(約81g)、大きさが約35×91cm(縦×横)の泉州タオルを使用した。ドラム型洗濯・乾燥機(SHARP、Wash&Dry、ES-H10C)で、洗剤Aのみ、または洗剤Aと柔軟剤Bで洗濯、乾燥したタオルを被験品とした。
(3)触覚刺激と風合い評価
ハンドソープを用いて、手の平を洗浄した。机の上にタオルを折り畳まずに置いて提示し、机の上で、または机から持ち上げて、手の平側のみで触れた。触れ方は、被験品に30秒間触れた後に、被験品から手を離し、何も触れずに30秒間安静にする動作を5回繰り返した。
タオルに5回触れた直後に、手の平で感じた風合い(なめらかさ、ふんわり感)を10cmのVisual Analog Scale(VAS;一定の長さの直線上に感覚量の程度を示す方法。直線の左端を「(なめらかでない、または、ふんわりしていない」、右端を「非常になめらか、または、非常にふんわりしている」とし、該当する箇所に線を引く)を用いて評価した。左端から線を引いた箇所までの距離(cm)を各風合いの評価値とした。
(4)唾液採取
タオルに触れる前と触れた30分後に、口腔内を水で漱口後、全唾液を遠沈管に10分間吐出した。唾液を遠心分離(15,000rpm、10min)して、上清を-80℃で保管した。
(5)オキシトシン測定
唾液サンプルの上清(1.5~3.0ml)と等量の0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)を混和した。遠心分離(3,000rpm、30min)後の上清の固相抽出を、Sep-pak C18カラム(200mg、3cc、Waters)を用いて、下記のように行った。C18カラムに1mlの100%アセトニトリル(ACN)、次いで10mlの0.1%TFA溶液(v/v)を通し、その後で0.1%TFA溶液(v/v)と混和した唾液(3.0~6.0ml)を通し、10mlの0.1%TFA溶液(v/v)で洗浄した後、3mlの95%ACN/5%(0.1%TFA溶液)(v/v)で溶出させた。溶出した溶液のACNをNガスで揮発させ、残った水溶液を凍結乾燥に供した。凍結乾燥後のサンプルをOxytocin ELISA kit(Enzo)中のAssay buffer(250μl)で再融解し、Oxytocin ELISA kitでオキシトシン濃度(pg/ml)を定量した。またBio-rad Protein assay(BIO-RAD)で、ウシ血清アルブミンで作成した検量線を基に唾液タンパク濃度(mg/ml)を定量し、各サンプルの単位タンパク量当たりのオキシトシン量(pg/mg protein)を算出し、触覚刺激前後の変化率(%)を算出した。
2.結果
(1)タオルの風合い評価値
タオルに触れた後の風合い評価値を検討した結果、図3に示すように、洗剤と柔軟剤で洗濯、乾燥したタオルで、洗剤のみで洗濯、乾燥したタオルに比べて、ふんわり感評価値が有意に高かった(p<0.05)。一方で、なめらかさ評価値に有意な差は認められなかった(p=0.14)。
(2)タオルに触れた前後の唾液中オキシトシン量の変化
タオルに触れた前後の唾液中オキシトシン量の変化率を検討した結果、図4に示すように、洗剤と柔軟剤で洗濯、乾燥したタオルに触れた後で増加傾向を示した(p<0.1)。一方で、洗剤のみで洗濯、乾燥したタオルに触れた後では、有意な変化は認められなかった(p=0.36)。

Claims (5)

  1. 以下の工程(A)~(C)を含む、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物の評価又は探索方法。
    (A)ヒトの皮膚と試験物品を接触させる工程
    (B)前記ヒトから採取された唾液中のオキシトシン量を測定する工程
    (C)前記オキシトシン量を基準値と比較し、オキシトシン量を増加させる試験物品を、ふんわり感を呈する布生地又はその加工物として評価又は選択する工程
  2. 以下の工程(A’)~(C’)を含む、布生地又はその加工物にふんわり感を付与するための処理剤の評価又は探索方法。
    (A’)ヒトの皮膚と試験処理剤で処理された試験物品を接触させる工程
    (B’)前記ヒトから採取された唾液中のオキシトシン量を測定する工程
    (C’)前記オキシトシン量を基準値と比較し、オキシトシン量が増加する場合に、当該試験処理剤を布生地又はその加工物に対してふんわり感を付与するための処理剤として評価又は選択する工程
  3. 以下の工程(D)~(F)を含む、唾液中オキシトシンを上昇させる布生地又はその加工物の評価又は探索方法。
    (D)ヒトの皮膚と試験物品を接触させる工程
    (E)前記試験物品に触れた際に感じられるふんわり感を評価する工程
    (F)前記評価結果に基づき、ふんわり感を呈する試験物品を、唾液中オキシトシンを上昇させる布生地又はその加工物として評価又は選択する工程
  4. ヒトの皮膚と試験物品の接触が、ヒトの手による試験物品への接触である請求項1~のいずれか1項記載の方法。
  5. 布生地の加工物が、衣類、タオル、装着品、装具、寝具、カバー及び玩具から選ばれる請求項1~のいずれか1項記載の方法。
JP2020087376A 2019-10-18 2020-05-19 ふんわり感を呈する布生地又はその加工物の評価又は探索方法 Active JP7482682B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019191454 2019-10-18
JP2019191454 2019-10-18

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021067669A JP2021067669A (ja) 2021-04-30
JP7482682B2 true JP7482682B2 (ja) 2024-05-14

Family

ID=75637159

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020087376A Active JP7482682B2 (ja) 2019-10-18 2020-05-19 ふんわり感を呈する布生地又はその加工物の評価又は探索方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7482682B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20150004873A1 (en) 2013-06-26 2015-01-01 Coily-Q Toys LLC Spring-actuated appendage for stuffed animal and method for use
JP2019132822A (ja) 2018-01-31 2019-08-08 花王株式会社 快感情向上剤の評価又は探索方法
JP2019205685A (ja) 2018-05-29 2019-12-05 花王株式会社 吸収性物品
JP2019207233A (ja) 2018-05-29 2019-12-05 花王株式会社 シートの快感情喚起性能の評価方法及び快感情喚起シート

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20150004873A1 (en) 2013-06-26 2015-01-01 Coily-Q Toys LLC Spring-actuated appendage for stuffed animal and method for use
JP2019132822A (ja) 2018-01-31 2019-08-08 花王株式会社 快感情向上剤の評価又は探索方法
JP2019205685A (ja) 2018-05-29 2019-12-05 花王株式会社 吸収性物品
JP2019207233A (ja) 2018-05-29 2019-12-05 花王株式会社 シートの快感情喚起性能の評価方法及び快感情喚起シート

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
山口 創,皮膚感覚と心,日本香粧品学会誌,Vol.46/No.1,p.51-58

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021067669A (ja) 2021-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3804678B1 (en) Absorbent article
JP6694096B2 (ja) シートの快感情喚起性能の評価方法及び快感情喚起シート
WO2011137573A1 (zh) 利用布料电容传感器来产生心理信号的方法及系统
Demura et al. Gender and age differences in basic ADL ability on the elderly: comparison between the independent and the dependent elderly
RU2762019C1 (ru) Способ оценки функциональной способности листа вызывать ощущение комфорта и лист, вызывающий ощущение комфорта
JP7482682B2 (ja) ふんわり感を呈する布生地又はその加工物の評価又は探索方法
WO2006023969A2 (en) Massage devices and methods of using same
McQueen et al. Odor retention on apparel fabrics: Development of test methods for sensory detection
JP2024041706A (ja) 乳児のオキシトシンレベルの予測方法
CN212913027U (zh) 一种双拉手硅胶搓澡巾
JP6254334B1 (ja) 生物由来成分結合繊維及びその製造方法
Bernard Factors affecting human comfort response to garments
JP6732375B2 (ja) サニタリーショーツ
JP6980221B2 (ja) インナー手袋
Churchill et al. Application of Descriptive Analysis to Non‐Food Products
JPH11344488A (ja) 皮膚刺激性の評価方法
JP2008223159A (ja) 繊維製品の洗濯方法、供給方法および洗濯された繊維製品ならびに人間の皮膚に接し得る製品へ癒される感覚等を付与する方法
KR880004205Y1 (ko) 동세선(銅細線)이 포함된 부직포
Kwok The development of textiles for paraplegic and quadriplegic patients in paediatric hospitals
KR200464437Y1 (ko) 수트
JP2004000303A (ja) 泡立て具、同泡立て具により生成した泡を用いた洗浄方法、及び手袋型洗浄具
CN2136025Y (zh) 一次性无菌卫生垫
JP3149097U (ja) マッサージ補助具
Asad et al. Subjective Evaluations of Fabric Wear Prickle Sensation by Using New Rating Scale
Foxhoven et al. Energy Expenditure of Household Tasks.

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20200520

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230323

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240423

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240430

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7482682

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150