JP7482578B2 - 多段メカニカルシール装置およびこれを備えるポンプ - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、軸方向に省スペース化できる多段メカニカルシール装置を提供することを課題とする。
そして、本発明の一態様に係る多段メカニカルシール装置によれば、タンデム配置ではなく、各段のメカニカルシール部の摺動部の組が径方向に並ぶように配置されるので、軸方向に対してコンパクトな構成によってシールできる。そのため、例えば、関連機器のレイアウトによっては、シングル型のメカニカルシール装置同様の軸方向レイアウトを採用し得て軸方向に省スペース化できる。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
ケーシング1は、シャフト2と直交する面に沿って略中央で二分割可能に構成され、上部中央が吐出側1outとされている。本実施形態のケーシング1は、その内周面の接液部を覆うように、耐摩耗に優れたゴム製のライナ5が装着される。
ケーシング1には、その背面側に軸封装置30が設けられている。本実施形態の軸封装置30は、径方向内側に設けられた一次側メカニカルシール部10と、径方向外側に設けられた二次側メカニカルシール部20と、を備える。
特に、本実施形態では、各メカニカルシール部10、20は、ゴム弾性を利用したスプリングパッキンにより摺動部の組によるシール部位MS1、MS2に押圧力を加えるメカニカルシール機構を備えて構成されている。
一次側回転環支持ベース31は、シャフト2のスリーブ6に対して支持ベース固定ねじ36によって一体回転するように固定される。二次側回転環支持ベース32は、一次側回転環支持ベース31の外周面に、略円筒状のすべり軸受(水中軸受)34を介して回転自在に支持される。
回転環11は、軸方向に沿ったすり割り部11sに、回転環支持ピン15が軸方向後方からスライド移動可能に嵌合された状態で、回転環11の基端部が円環状凹部31dに嵌合されることで、一次側回転環支持ベース31と一体で回転するとともに、軸方向の所定範囲でのスライド移動が可能に保持されている。
静止環12は、軸方向に沿ったすり割り部12sに、静止環支持ピン16が軸直方向外側からスライド移動可能に嵌合されるとともにゴムスプリングパッキン13で軸方向後方に押圧され且つ径方向の位置が保持された状態で固定側ベース33の円環状凹部33aに支持されている。
回転環21は、軸方向に沿ったすり割り部21sに、回転環支持ピン25が軸方向後方からスライド移動可能にされた状態で、回転環21の基端部が円環状凹部32dに嵌合されることで、二次側回転環支持ベース32と一体で回転するとともに、軸方向の所定範囲でのスライド移動が可能に保持されている。
静止環22は、軸方向に沿ったすり割り部22sに、静止環支持ピン26が軸直方向外側からスライド移動可能に嵌合されるとともにゴムスプリングパッキン23で軸方向後方に押圧され且つ径方向の位置が保持された状態で固定側ベース33の円環状凹部33bに支持されている。
内外の各メカニカルシール部10、20のゴムスプリングパッキン13、23は、円環状に形成されたゴム製の部材であり、静止環支持ベース33の液室内面側に形成された円環状凹部33a,33bに嵌め込まれる円環状の固定部13a、23aと、この固定部13a、23aを基端側として各静止環12、22を押圧付勢する部分に向けて斜めに張り出す円錐面部13b、23bと、この円錐面部13b、23bの先端の位置から液室内面側に向けて径方向に延びる円筒状の押圧部13c、23cと、を有する。押圧部13c、23cの内部には金属製の心金が埋入されている。
つまり、各メカニカルシール部10、20は、ゴムスプリングパッキン13、23の円錐面部13b、23bの裏側(押圧部13c、23cの懐部分)に、静止環12、22への押圧付勢力を補助する押圧部材として皿バネ14、24が、ポンプのケーシング1側の部材である静止環支持ベース33の円環状凹部33a,33bの対向面との間に介装されている。
なお、本実施形態の例では、注水路51は、注水口が形成された上部横穴51aと、上部横穴51aに連通する竪穴51bと、竪穴51bに連通して中間室50内に開口する下部横穴51cと、を有し、上部横穴51aの注水口からクエンチング用の液体を注水して中間室50に満たすことが可能になっている。また、静止環支持ベース33の内周面に「洗浄水入口」を形成することができる。
本実施形態の遠心ポンプは、インペラ3を回転させることにより被送流体を昇圧して、ケーシング1の吸込側1inから吐出側1outに被送流体が移送される。
このとき、シャフト2が回転すると、インペラ3と共に、スリーブ6上に固定された一次側メカニカルシール部10の回転環11が一体で回転するとともに、一次側回転環支持ベース31に対してすべり軸受34を介して装着された二次側回転環支持ベース32がつれまわり、これにより、二次側メカニカルシール部20の回転環21が回転する。
そして、各メカニカルシール部10、20の内外の回転環11、21は、軸方向で対向する静止環12、22との協働により、軸封装置30の二段のメカニカルシール部10、20から被送流体が外部へ漏れるのを防止する。
エキスペラ107は、シャフト103の回転によって回転し、インペラ103の背面側圧力を低減して、被送流体がスタフィングボックス132のシール部110を通って外部へ漏れるのを防止する。
そして、本実施形態の多段メカニカルシール装置によれば、径方向の内外に設けた二段のメカニカルシール部10、20がタンデム配置ではなく、内外のメカニカルシール部10、20の摺動部の組によるシール部位MS1、MS2が径方向に並んで配置されるので、図1に示したようなエキスペラを有しない構成として、軸方向に省スペース化を図ることができる。
特に、本実施形態の場合、一次側メカニカルシール部10と二次側メカニカルシール部20との間に中間室50を設けており、中間室50は、静止環支持ベース33に形成された注水路51からクエンチングを行えるので、スラリー液用の軸封装置として優れた構成といえる。
例えば、上記実施形態では、本発明に係る多段メカニカルシール装置が、遠心ポンプの軸封部に装備された例を示したが、これに限らず、本発明に係る多段メカニカルシール装置は、回転軸の周囲を軸封する軸封部を有する機器において、当該機器の一の軸封部に装備することができる。
例えば、図3に示すように、各メカニカルシール部10、20は、摺動部の組を径方向に離隔配置したことにより、一次側メカニカルシール部10に比べ、二次側メカニカルシール部20の周速が高くなる。そのため、回転速度の追従性に鑑みて、二次側メカニカルシール部20に、マグネットカップリングによる変速機構を付加することは好ましい。
従動マグネット41は、二次側回転環支持ベース32に同軸に外嵌され、駆動マグネット42は、従動マグネット41の軸線に対して自身の駆動軸42mの軸線が直交配置される。駆動マグネット42は、駆動軸42mを駆動する動力を、ポンプを駆動するシャフト2から、例えばVベルト等の動力伝達手段を介して得るように設けることができる。
1in 吸込側
1out 吐出側
2 シャフト(回転軸)
3 インペラ
3a 羽根
3b 裏羽根
4 ハウジング
5 ライナ
6 スリーブ
10 一次側メカニカルシール部
11 回転環
12 静止環
13 ゴムスプリングパッキン
14 皿バネ
15 回転環支持ピン
16 静止環支持ピン
20 二次側メカニカルシール部
21 回転環
22 静止環
23 ゴムスプリングパッキン
24 皿バネ
25 回転環支持ピン
26 静止環支持ピン
30 軸封装置(軸封部)
31 一次側回転環支持ベース
32 二次側回転環支持ベース
33 固定側ベース
34 すべり軸受
35 端部シール
36 支持ベース固定ねじ
40 マグネットカップリング
41 従動マグネット
42 駆動マグネット
50 中間室
51 注水路
101 ケーシング
102 シャフト
103 インペラ
106 スリーブ
107 エキスペラ
110 シール部
111 シール
130 軸封装置
131 画成空間
132 スタフィングボックス
Claims (8)
- 回転軸の周囲を軸封する軸封部を有する機器に用いられる多段型のメカニカルシール装置であって、
前記機器の一の軸封部でのシール部位が径方向に並ぶ複数のメカニカルシール部を備え、
各メカニカルシール部は、前記回転軸側に配置される円環状の回転環と、前記機器のケーシング側に配置されて前記回転環の摺接面に対して軸方向に対向する摺接面を有する円環状の静止環と、を有し、
前記複数のメカニカルシール部は、前記シール部位に対するシール機能を同時に発揮する、径方向の内側の一次側メカニカルシール部と、径方向の外側の二次側メカニカルシール部と、によって構成され、
前記一次側メカニカルシール部の回転環は、前記機器の前記回転軸側に配置される一次側回転環支持ベースに支持され、
前記二次側メカニカルシール部の回転環は、前記一次側回転環支持ベースの外周面にすべり軸受を介して装着された二次側回転環支持ベースに支持され、
前記二次側回転環支持ベースは、前記すべり軸受で支持された状態で回転するように構成されていることを特徴とする多段メカニカルシール装置。 - 各メカニカルシール部は、前記機器のケーシング側に配置されて前記静止環を前記回転環の方向に押圧付勢する円環状のゴムスプリングパッキンを備える請求項1に記載の多段メカニカルシール装置。
- 前記ゴムスプリングパッキンは、前記ケーシング側に配置される支持部材の内面に形成された円環状凹部に嵌め込まれる円環状の固定部と、該固定部を基端側として前記静止環を押圧付勢する部分に向けて斜めに張り出す円錐面部と、該円錐面部の先端の位置から前記回転軸側に向けて径方向に延びる円筒状の押圧部と、を有する請求項2に記載の多段メカニカルシール装置。
- 各メカニカルシール部は、前記ゴムスプリングパッキンの前記円錐面部の裏側に、前記静止環への押圧付勢力を補助する押圧部材としての皿バネが、前記ケーシング側に配置されて前記静止環を支持するための固定側ベースに形成された装着面との間に介装されている請求項3に記載の多段メカニカルシール装置。
- 前記一次側メカニカルシール部と前記二次側メカニカルシール部との間には、クエンチングが可能に構成された中間室が設けられている請求項1~4のいずれか一項に記載の多段メカニカルシール装置。
- 前記二次側メカニカルシール部には、マグネットカップリングによる変速機構が設けられている請求項1~5のいずれか一項に記載の多段メカニカルシール装置。
- 前記マグネットカップリングは、前記二次側メカニカルシール部の前記回転環を支持する支持部材に前記回転軸と同軸に装着される円盤状の従動マグネットと、該従動マグネットの軸線とは自身軸線が直交配置される円筒状の駆動マグネットと、を備え、
前記駆動マグネットは、当該駆動マグネットを回転駆動する動力を前記機器の回転軸から得る動力伝達手段を介して設けられている請求項6に記載の多段メカニカルシール装置。 - 請求項1~7のいずれか一項に記載の多段メカニカルシール装置を軸封部に備えることを特徴とするポンプ。
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