以下、図1~図11を用い、実施形態に係る画像形成装置を説明する。画像形成装置として、複合機100を例に挙げて説明する。複合機100は用紙を搬送し、用紙に印刷する。なお、プリンターのような複合機100以外の画像形成装置にも本発明は適用できる。本実施形態の説明に記載されている構成、配置等の各要素は発明の範囲を限定せず単なる説明例にすぎない。
(複合機100)
図1~図3を用いて、実施形態に係る複合機100を説明する。図1、図2は実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。図3は実施形態に係る画像形成部5cの一例を示す図である。
図1に示すように、複合機100は制御部1、記憶部2、原稿読取部3、操作パネル4、プリンター部5を含む。
制御部1は印刷や送信のようなジョブでの各部の動作を制御する。制御部1はメイン制御回路11(CPU)、画像データ生成回路12、画像処理回路13、通信回路部14を含む。メイン制御回路11はジョブに関する処理、演算を行う。画像データ生成回路12は、原稿読取部3が原稿を読み取って出力したアナログの画像信号を処理して原稿画像データを生成する。例えば、画像データ生成回路12はA/D変換回路を含む。画像処理回路13は画像処理用の集積回路である(例えば、ASIC)。画像処理回路13は原稿画像データの画像処理を行う。
通信回路部14は通信制御回路と通信メモリーを含む。通信制御回路は通信を制御する。通信メモリーは通信用ソフトウェアを記憶する。通信回路部14はコンピューター200と通信する。例えば、コンピューター200はPCやサーバーである。通信回路部14はコンピューター200からの印刷用データを受信する。受信した印刷用データに基づき、画像データ生成回路12は画像データを生成する。制御部1は生成された画像データに基づく印刷をプリンター部5に行わせる(プリントジョブ)。
記憶部2として、複合機100は、RAM、ROM、ストレージを含む。例えば、ストレージはHDD又はSSDである。記憶部2のプログラムやデータに基づき、制御部1は各部を制御する。原稿読取部3は光源、イメージセンサーを含む。原稿読取部3は原稿を読み取る。
操作パネル4は使用者の設定を受け付ける。操作パネル4は表示パネル41、タッチパネル42、ハードキー43を含む。制御部1はメッセージや、設定用画面を表示パネル41に表示させる。制御部1は操作用画像を表示パネル41に表示させる。例えば、操作用画像はボタン、キー、タブである。タッチパネル42の出力に基づき、制御部1は操作された操作用画像を認識する。ハードキー43はスタートキーやテンキーを含む。タッチパネル42、ハードキー43は使用者の設定操作(ジョブに関する操作)を受け付ける。操作パネル4の出力に基づき、制御部1は設定内容を認識する。
プリンター部5は、エンジン制御部50、給紙部5a、用紙搬送部5b、画像形成部5c、定着部5dを含む。エンジン制御部50はエンジン制御回路50a(エンジンCPU)、エンジンメモリー50bを含む(図7参照)。また、複合機100は、用紙の斜行と横ずれの矯正を制御する矯正制御回路8を含む(図7参照)。エンジンメモリー50bは印刷制御用のプログラムとデータを記憶する。制御部1の印刷指示に基づき、エンジン制御部50は給紙部5a、用紙搬送部5b、画像形成部5c、定着部5dの動作を制御する。エンジンメモリー50bが記憶するプログラムとデータに基づき、エンジン制御回路50aが制御を行う。エンジン制御回路50aは用紙搬送を制御する。
給紙部5aは用紙を収容する用紙カセット、用紙を送り出す給紙ローラーを含む。印刷時、エンジン制御回路50aは給紙部5aに用紙を供給させる。用紙搬送部5bはモーター、搬送ローラー対を含む。エンジン制御回路50aは給紙部5aから送り出された用紙を用紙搬送部5bに搬送させる。用紙搬送部5bは機内で用紙を搬送する。
画像形成部5cは画像(トナー像)を形成する。画像形成部5cは露光装置52、中間転写ユニット、4色分の画像形成ユニット51を含む。複合機100はブラックの画像を形成する画像形成ユニット51Bkと、イエローの画像を形成する画像形成ユニット51Yと、シアンの画像を形成する画像形成ユニット51Cと、マゼンタの画像を形成する画像形成ユニット51Mを含む。形成するトナー像の色が異なるが、各画像形成ユニット51Bk~51Mの構成は基本的に同じである。以下の説明では、各画像形成ユニット51のBk、Y、C、Mの符号は、特に説明する場合を除き省略する。
各画像形成ユニット51は、感光体ドラム53、帯電装置54、現像装置55を含む。印刷のとき、エンジン制御回路50aはドラムモーター(不図示)を回転させ、感光体ドラム53を回転させる。エンジン制御回路50aは感光体ドラム53を帯電装置54に帯電させる。画像データに基づき、エンジン制御回路50aは感光体ドラム53を露光装置52に露光させる。現像装置55はトナーを含む現像剤を収容する。エンジン制御部50は感光体ドラム53の静電潜像のトナーによる現像を現像装置55に行わせる。
中間転写ユニットは中間転写ベルト56、2次転写ローラー57、中間駆動ローラー58、1次転写ローラー59Bk、59Y、59C、59M、中間従動ローラー510、511を含む。各ローラーの軸線方向は平行である。中間転写ベルト56は無端状である。中間転写ベルト56は各ローラーにかけ回される。中間転写ベルト56は感光体ドラム53からトナー像の1次転写を受ける。また、2次転写ローラー57は用紙にトナー像を2次転写する。2次転写ローラー57と中間転写ベルト56のニップ(2次転写ニップ5n)がトナー像を用紙にのせる位置である。
定着部5dはヒーター、定着用ローラーを含む。エンジン制御部50はトナー像が転写された用紙を定着用ローラーに加熱・加圧させる。用紙搬送部5bは定着後の用紙を機外(排出トレイ)に排出する。
(用紙読取ユニット6とレジストレスユニット7)
次に、図4~図7を用いて、実施形態に係る用紙読取ユニット6とレジストレスユニット7の一例を説明する。図4は、実施形態に係る用紙読取ユニット6とレジストレスユニット7の一例を示す図である。図5は、実施形態に係る用紙読取ユニット6の一例を示す図である。図6は、実施形態に係るレジストレスユニット7の一例を示す図である。図7は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
複合機100は用紙読取ユニット6とレジストレスユニット7を含む。用紙読取ユニット6とレジストレスユニット7は用紙搬送経路上に設けられる。用紙読取ユニット6は搬送される用紙を読み取る。レジストレスユニット7は、印刷する用紙を搬送するローラー対7cと、矯正機構を含む。用紙読取ユニット6はレジストレスユニット7及び画像形成部5c(2次転写ニップ5n、2次転写ローラー57)よりも用紙搬送方向上流側に設けられる(図2参照)。
図5に示すように、用紙読取ユニット6は一面に透光板6bが取り付けられる。透光板6bはガラス板、又は、透光性樹脂板である。筐体6aと透光板6bによる密閉空間内にランプ6cとラインセンサー60が配される。用紙読取ユニット6はランプ6cと、レンズ6dと、ラインセンサー60を含む。用紙読取ユニット6はCIS方式のスキャナユニットである。
図7に示すように、エンジン制御部50は、エンジン制御回路50a(第1制御回路に相当)とエンジンメモリー50bを含む。また、複合機100は、矯正制御回路8(第2制御回路に相当)を含む。例えば、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8はCPUである。エンジン制御回路50aと矯正制御回路8は、信号線SLで接続される。エンジン制御回路50aと矯正制御回路8は通信する。
印刷ジョブのとき、エンジン制御回路50aは、用紙の矯正に必要な情報(用紙情報)を矯正制御回路8に送信する。用紙情報は用紙サイズである。また、用紙情報は、用紙読取ユニット6の読み取りで得られる画像データでの用紙のエッジの理想位置を示す情報でもよい。用紙情報に基づき、矯正制御回路8は用紙のずれ(斜行と横ずれ)を矯正する部材の動作を制御する(詳細は後述)。
図5は用紙搬送方向と垂直な方向(複合機100の正面方向)から用紙搬送路を見た図である。複合機100では、用紙は下から上に向けて搬送される。印刷ジョブのとき、矯正制御回路8は、ランプ6cに電流を供給し、ランプ6cを点灯させる。図5は用紙読取ユニット6が2本のランプ6cを含む例を示す。ランプ6cは主走査方向に沿って光を照射する。主走査方向は用紙搬送方向と垂直な方向である。例えば、ランプ6cはLEDランプ6cである。
ラインセンサー60は画素(受光素子、光電変換素子)を複数含む。画素は主走査方向に並べられる。ランプ6cから放たれ、原稿で反射した光は、レンズ6dを経て、ラインセンサー60の各画素に入射する。用紙搬送時(印刷ジョブのとき)、矯正制御回路8は、ラインセンサー60に読み取りを行わせる。
3ブロックに分割されたラインセンサー60を用いることができる。各ブロックが複数の画素を含む。便宜上、主走査方向の一方側(図4の右側、支点軸7g側)から順に、第1ブロック61、第2ブロック62、第3ブロック63と称する。複合機100では、中央通紙方式で用紙が搬送される。用紙搬送路の主走査方向の中央と、用紙の主走査方向の中央が一致するように、給紙部5aは用紙の位置を規制する。図4の破線は主走査方向での用紙及び用紙搬送路の中央を示すラインである。
第3ブロック63は、主走査方向の中央を読み取る位置に設けられる。第1ブロック61は印刷可能な用紙のうち、主走査方向幅が最大の用紙が用いられた場合に、主走査方向の一方側の端を読み取る位置に設けられる。
矯正制御回路8は、ラインセンサー60にトリガー信号TRと読取クロック信号CLKを入力する。ラインセンサー60は電荷転送回路(シフトレジスター、転送用CCD)を含む。トリガー信号TRにあわせて、各画素が蓄えた電荷が電荷転送回路に移される。電荷転送回路は電荷を電圧に変換しつつ、1つの読取クロック信号CLKにつき、1画素分のアナログ画像信号A1を出力する。
従来の画像形成装置でレジストローラー対が設けられる位置に、レジストレスユニット7が設けられる(図2参照)。従来のレジストローラー対は、用紙の到達当初、停止している。停止しているレジストローラー対に用紙を突き当てることで、用紙の斜行を矯正する。しかし、レジストローラー対を用いると、用紙が一時停止する。レジストレスユニット7は、用紙を止めず、用紙を搬送しつつ、用紙の姿勢(状態)を矯正する。レジストレスユニット7は、画像形成部5c(2次転写ニップ5n、2次転写ローラー57、描画位置)よりも用紙搬送方向上流側に設けられる(図2参照)。レジストレスユニット7は、用紙読取ユニット6よりも用紙搬送方向下流側に設けられる。
図6は、レジストレスユニット7の一例を示す。図6に示すように、レジストレスユニット7はケース7aとキャリッジ板7bを含む。ケース7aとキャリッジ板7bの間には隙間が設けられる。図6の例では、ケース7aは箱型である。キャリッジ板7bは板状である。ケース7aとキャリッジ板7bは何れも、主走査方向を長手方向とする。キャリッジ板7bとケース7aの底面は平行である。図6の上側の図は、レジストレスユニット7を下方向から見た図の一例である。図6の下側の図は、ケース7aの面のうち、キャリッジ板7bと向かいあう面の一例を示す図である。
ケース7aは、ローラー対7cと駆動モーター7dを内蔵する。ローラー対7cは駆動ローラー7eと従動ローラー7fを含む。駆動ローラー7eと従動ローラー7fは、軸線が平行である。駆動ローラー7eの周面と従動ローラー7fの周面が接する。下から上に向けて搬送される用紙は、駆動ローラー7eと従動ローラー7fのニップに進入する。エンジン制御回路50aは、駆動モーター7dの回転を制御する。複数のギアによって、駆動モーター7dの駆動力が駆動ローラー7eに伝達される。駆動モーター7dが回転すると、ローラー対7cも回転する。ローラー対7cの回転により、ニップに進入した用紙が下流に送られる。
支点軸7g(支点、回動軸)がケース7aとキャリッジ板7bに設けられる。支点軸7gの一端は動かないようにキャリッジ板7bに挿し込まれる。支点軸7gはキャリッジ板7bの平面に垂直に立つ。支点軸7gは、ケース7aの主走査方向(用紙搬送方向と垂直な方向)の一方側の端部に差し込まれる。支点軸7gを支点として、他方側の端部を振って、ケース7a(レジストレスユニット7の一部)を回転する(スイングする)ことができる。図4の実線矢印で示すようにケース7aの他方側の端部を、用紙搬送方向下流側、又は、上流側に振ることができる。
レジストレスユニット7は矯正機構として、斜行矯正機構71と横ずれ矯正機構72を含む。斜行矯正機構71は斜行(スキュー)を矯正する。斜行矯正機構71は、斜行矯正用モーター73、矯正用ベルト74、斜行用歯面部材75を含む。斜行矯正のとき、矯正制御回路8は斜行矯正用モーター73を回転させる。これにより、斜行矯正機構71はローラー対7c(ケース7a)の他方側(移動側)の端部を移動(スイング)させる。
例えば、斜行矯正用モーター73はステッピングモーターである。斜行矯正用モーター73は正逆両方に回転可能である。斜行矯正用モーター73のシャフトに第1矯正用ギア76が設けられる。ケース7aのうち、キャリッジ板7bと向かい合う面に、斜行用歯面部材75(ラック歯)が取り付けられる。斜行用歯面部材75の歯は、用紙搬送方向に沿って並ぶ。斜行用歯面部材75は第2矯正用ギア77と噛み合う。矯正用ベルト74が第1矯正用ギア76と第2矯正用ギア77に回しかけられる。斜行矯正用モーター73を回転させると、第1矯正用ギア76、矯正用ベルト74、第2矯正用ギア77が回転する。その結果、斜行用歯面部材75が取り付けられたケース7aは、支点軸7gを中心として回転する。
このように、レジストレスユニット7(ケース7a、ローラー対7c)の他方側を、用紙搬送方向で移動させることができる。斜行矯正機構71によるローラー対7c(ケース7a)の他方側端部の移動量は、第1ホームポジション(第1基準位置)を中心に、搬送方向上流側に数mm~5mm程度、下流側に数mm~5mm程度でよい。第1ホームポジションの詳細は、後述する。
横ずれ矯正機構72は、用紙の主走査方向のずれである横ずれを矯正する。横ずれ矯正機構72は、横ずれ矯正用モーター78を含む。横ずれを矯正するとき、矯正制御回路8は横ずれ矯正用モーター78を回転させる。横ずれ矯正用モーター78の回転によって、矯正制御回路8は、ローラー対7cを主走査方向で移動させる。
例えば、横ずれ矯正用モーター78はステッピングモーターである。横ずれ矯正用モーター78は正逆両方に回転可能である。横ずれ矯正用モーター78のシャフトには、横ずれ矯正用ギア79が設けられる。横ずれ矯正用ギア79は、キャリッジ板7bの端縁に形成された横ずれ用歯面部材710(ラック歯)と噛み合う。横ずれ矯正用モーター78を回転させると、横ずれ矯正用ギア79が回転する。
その結果、レジストレスユニット7(キャリッジ板7bとケース7a)が主走査方向で移動する。横ずれ量は、最大数ミリ程度である。横ずれ矯正機構72によるレジストレスユニット7の主走査方向での移動範囲は、第2ホームポジション(第2基準位置)を中心に、主走査方向の一方側に数mm~5mm程度、他方側に数mm~5mm程度でよい。
次に、第1ホームポジションを説明する。第1ホームポジションは、ローラー対7cの軸方向が主走査方向と平行となるローラー対7c(ケース7a)の位置である。ホームポジションは、用紙の傾き角度と傾き方向を変えずに、ローラー対7cが用紙を送る位置である。ローラー対7c(ケース7a)の位置を第1ホームポジションとするため、第1ホームセンサー81が設けられる。第1ホームセンサー81は、回転方向でローラー対7c(ケース7a)の位置を第1ホームポジションにあわせるためのセンサーである。
例えば、透過型光センサーを第1ホームセンサー81として用いることができる。この場合、第1ホームセンサー81は発光素子と受光素子を含む。発光素子の発光面と受光素子の受光面には、隙間が設けられる。受光素子の出力レベル(出力電圧値)は、発光素子から受ける光量で変化する。ローラー対7c(ケース7a)には、検知用突起711が設けられる。図6は、ケース7aの主走査方向の他方側(移動側)の端部に検知用突起711を設ける例を示す。検知用突起711と向かい合う位置に第1ホームセンサー81が設けられる。ローラー対7c(ケース7a)を回転させたとき、検知用突起711は隙間を通過する。隙間に進入した検知用突起711は、発光素子から受光素子への光路を遮る。
第1ホームセンサー81(受光素子)の出力は、矯正制御回路8に入力される。矯正制御回路8は、第1ホームセンサー81(受光素子)の出力レベルを認識する。斜行矯正用モーター73を動作させ、第1ホームセンサー81の出力レベルが検知用突起711を検出したときのレベルになった時点に基づき、矯正制御回路8は、ローラー対7c(ケース7a)を第1ホームポジションとする。例えば、矯正制御回路8は、斜行矯正用モーター73を逆回転させる。第1ホームセンサー81の出力レベルが検知用突起711を検出したときのレベルになった時点で、矯正制御回路8は、斜行矯正用モーター73を正回転させる。所定パルス分、斜行矯正用モーター73を正回転させた後、矯正制御回路8は、斜行矯正用モーター73を停止させる。停止したとき、ローラー対7c(ケース7a)が第1ホームポジションとなる。言い換えると、停止時にローラー対7c(ケース7a)が第1ホームポジションとなる位置に、第1ホームセンサー81が設けられる。
例えば、主電源投入により複合機100が起動したとき、または、省電力モードが解除されてアクティブモード(印刷実行可能なモード、通常モード)に復帰したとき、矯正制御回路8は、ローラー対7c(ケース7a)を第1ホームポジションとする。斜行矯正用モーター73を励磁していないとき、ケース7aは、主走査方向の他方側は自重で下がる(ケース7aの回転方向は上下方向。図2参照)。つまり、主電源が切られているとき、又は、省電力モードのとき、ケース7aの他方側は自重で垂れ下がる。そのため、アクティブモードでは、矯正制御回路8は、第1ホームポジションまでレジストレスユニット7を持ち上げる。矯正制御回路8は、斜行矯正用モーター73を励磁して、第1ホームポジションを維持させる。
キャリッジ板7b(ローラー対7c、レジストレスユニット7)を主走査方向で移動させることもできる。主走査方向でのホームポジションである第2ホームポジションも予め定められる。例えば、ローラー対7c(キャリッジ板7b)の主走査方向の移動範囲の中央と、キャリッジ板7bの主走査方向の中央が重なる位置を、第2ホームポジションとすることができる。第2ホームポジションは、ローラー対7c(キャリッジ板7b)を主走査方向の一方側に移動でき、他方側にも移動できる位置である。
ローラー対7c(キャリッジ板7b)を第2ホームポジションとするため、第2ホームセンサー82が設けられる。以下では、主走査方向の他方側に第2ホームセンサー82を設ける例を説明する。主走査方向の一方側に第2ホームセンサー82を設けてもよい。
例えば、透過型光センサーを第2ホームセンサー82として用いることができる。この場合、第2ホームセンサー82は、発光素子と受光素子を含む。発光素子の発光面と受光素子の受光面には、隙間が設けられる。受光素子の出力レベル(出力電圧値)は、発光素子から受ける光の量で変化する。
第2ホームセンサー82は、ローラー対7c(キャリッジ板7b)が主走査方向で最も他方側に移動したときに、キャリッジ板7bの他方側の端が隙間に進入する位置に設けられる。第2ホームセンサー82は、ローラー対7c(キャリッジ板7b)が主走査方向で最も端まで移動したことを検知するためのセンサーでもある。
第2ホームセンサー82(受光素子)の出力は、矯正制御回路8に入力される。矯正制御回路8は、第2ホームセンサー82の出力レベルを認識する。キャリッジ板7bの主走査方向の端を検出したときのレベルへの変化に基づき、矯正制御回路8は、ローラー対7c(キャリッジ板7b)を第2ホームポジションとする。例えば、第2ホームセンサー82の出力レベルがキャリッジ板7bの主走査方向の端を検出したときのレベルになったとき、矯正制御回路8は、所定の距離だけローラー対7c(キャリッジ板7b)を主走査方向の中央に向けて移動させる。
また、複合機100は、二値化回路83を含む。二値化回路83は、用紙読取ユニット6(ラインセンサー60)の各画素が出力するアナログ画像信号A1の二値化処理を行い、搬送読取画像データB1(二値化信号)を生成する。例えば、二値化回路83は、コンパレーターと基準電圧生成回路を含む。基準電圧生成回路は基準電圧を生成する。コンパレーターの2つの入力端子の一方にアナログ画像信号A1が入力される。他方の入力端子には、基準電圧が入力される。所定の周期で1画素分ずつアナログ画像信号A1が入力される。コンパレーターの出力が搬送読取画像データB1となる。二値化回路83は、所定の周期で1画素ずつ搬送読取画像データB1を出力する。
受光量が多いほど、アナログ画像信号A1の電圧値は大きくなる。コンパレーターは、アナログ画像信号A1が基準電圧以上のとき、低濃度値(Highレベル、「1」)を出力する。アナログ画像信号A1が基準電圧未満のとき、コンパレーターは、高濃度値(Lowレベル、「0」)を出力する。反射光に基づき読み取るので、搬送読取画像データB1のうち、低濃度値は、用紙を読み取った画素(明るい画素)を示す。高濃度値は用紙外を読み取った画素(暗い画素)を示す。
二値化回路83が出力する搬送読取画像データB1は、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8の両方に入力される。搬送読取画像データB1に基づき、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8は、用紙読取ユニット6への用紙の先端(下流端)の到達を認識する。例えば、搬送読取画像データB1の主走査方向のラインの画像データにおいて、低濃度画素(値が「1」)の個数が予め定められた端部検知用閾値を超えたとき、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8は、用紙の先端がラインセンサー60の読み取り位置に到達したと認識する。また、搬送読取画像データB1の主走査方向のラインの画像データにおいて、低濃度画素の個数が、予め定められた端部検知用閾値を下回ったとき、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8は、用紙の後端(上流端)がラインセンサー60の読み取り位置を通過したと認識する。
(傾き角度の認識)
次に、搬送読取画像データB1に基づく用紙の傾き角度の認識の一例を説明する。用紙の下流側端辺と主走査方向が平行であることが理想的である。用紙の下流側端辺と主走査方向が平行なとき、用紙の傾きがゼロである。つまり、傾き角度ゼロが理想である。しかし、搬送中に用紙が傾くことがある。原因はローラーの摩耗、スリップなど、様々である。矯正制御回路8は、用紙の下流側端辺と主走査方向のずれを傾き角度として求める。
用紙の傾き角度θを求めるため、矯正制御回路8は、2点の基準点画素を設定する。エンジン制御回路50aから受信した用紙情報に基づき、矯正制御回路8は、2点の基準点画素を設定してもよい。例えば、用紙情報に基づき、矯正制御回路8は、印刷に用いる用紙サイズを認識する。矯正制御回路8は、認識したサイズの用紙の読み取り範囲内に、基準点画素を設定する。基準点画素間の主走査方向の距離は、印刷に使用する用紙サイズの主走査方向の幅の1/2よりも長くしてもよい。
2つの基準点画素が同じ時点(ライン)で低濃度値になったとき(用紙を読み取ったとき)、矯正制御回路8は、傾き角度θがゼロと認識する。2点のうち、何れか一方が早く低濃度値になったとき、矯正制御回路8は、用紙が傾いていると認識する。主走査方向の一方側の基準点画素の方が早く低濃度値になったとき、矯正制御回路8は、用紙の主走査方向の一方側の隅が下流側に突出する方向で傾いていると認識する。主走査方向で他方側の基準点画素の方が早く低濃度値となったとき、矯正制御回路8は、用紙の主走査方向の他方側の隅が下流側に突出する方向で傾いていると認識する。
用紙が傾いているとき、矯正制御回路8は、アークタンジェント(tan-1)の演算を行って、傾き角度θを求める。具体的に、矯正制御回路8は、以下の演算を行う。
傾き角度θ=tan-1(a/b)
ここで、aは一方の基準点画素が低濃度値となってから他方の基準点画素が低濃度値となるまでの用紙の搬送距離である。例えば、矯正制御回路8は、一方の基準点画素が低濃度値となってから他方の基準点画素が低濃度値となるまでのライン数と、1ラインの周期と、単位時間あたりの用紙搬送速度を乗じて、aを求める。bは2つの基準点画素の距離である。一方の基準点画素から他方の基準点画素までの画素数に1画素のピッチを乗ずることにより、bを求めることができる。aを高さとし、bを底辺とする直角三角形に基づき、傾き角度θを求める。
(横ずれ量の認識)
次に、搬送読取画像データB1に基づく横ずれ量の認識の一例を説明する。横ずれとは、理想的な用紙の位置と、実際の用紙の位置との主走査方向でのずれ量である。搬送中に用紙の位置が理想的な位置からずれることがある。理想的な用紙の位置は、用紙の主走査方向の中央と、用紙搬送路の主走査方向の中央が一致する位置である。
エンジン制御回路50aから受信した用紙情報に基づき、矯正制御回路8は、横ずれ量を求めてもよい。例えば、矯正制御回路8は、印刷に用いる用紙サイズを認識する。用紙サイズによって、用紙が理想的な位置のときの用紙のエッジ(端縁)の位置は決まっている。言い換えると、主走査方向でずれていない場合、用紙端を読み取る画素の位置は決まっている。矯正制御回路8は、搬送読取画像データB1のうち、主走査方向で最も端の低濃度値の画素の位置を認識する。
記憶部2は、各用紙のサイズにおいて、主走査方向でずれていないときの用紙端の画素の位置を定義したデータ(横ずれ量認識用データD0)を不揮発的に記憶してもよい(図1参照)。矯正制御回路8は、認識した用紙サイズについて、最も端の低濃度画素の位置が、横ずれ量認識用データD0で定義された位置に対し、どの方向に何画素ずれているかを認識する。矯正制御回路8は、ずれ方向(主走査方向の一方側と他方側のいずれにずれているか)を認識できる。また。矯正制御回路8は、ずれの画素数に搬送読取画像データB1の1画素のピッチを乗じて、主走査方向の横ずれ量を求める。
(通信不良の判定)
次に、図8、図9を用いて、実施形態に係るエンジン制御回路50aと矯正制御回路8の通信不良の判定の一例を説明する。図8は、実施形態に係るエンジン制御回路50aによる通信不良の判定の一例を示す図である。図9は、実施形態に係る矯正制御回路8による通信不良の判定の一例を示す図である。
エンジン制御回路50aと矯正制御回路8は、信号線SLにより、通信可能に接続される。例えば、エンジン制御回路50aを含む基板と、矯正制御回路8を含む基板は、ハーネスで接続される。ハーネスは、複数本の信号線SLを束ねたものである。ハーネスの信号線SLに異常が生じて、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8の間で適切に通信ができなくなる場合がある。また、ハーネスを接続するソケットに異常がある場合や、ソケットにハーネスをしっかり接続できていない場合も、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8の間で適切に通信ができなくなる場合がある。その他の要因で適切に通信ができない場合もある。
用紙情報を利用して、矯正制御回路8は、傾き角度、傾き方向、横ずれ量、横ずれ方向を認識する。エンジン制御回路50aと矯正制御回路8の間の通信に不良がある場合、用紙の斜行、横ずれを適切に補正できない場合がある。通信不良状態で矯正を行うと、斜行やずれが酷くなるおそれがある。そこで、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8は、両制御回路間の通信に不良があるか否かを判定する。判定結果に応じて、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8は、実行する処理を定める。以下、図8、図9を用いて、通信不良の判定の流れの一例を説明する。
ここで、複合機100は、電源装置101(電源回路)を含む(図1参照)。例えば、電源装置101は、整流回路、電圧変換回路を含む。電源装置101は、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8を動作させるための電圧を生成する。アクティブモードのとき、電源装置101は、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8に電力を供給する。省電力モードのとき、電源装置101は、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8に電力を供給しない。複合機100の主電源が投入されたとき、電源装置101はアクティブモードで電力供給を開始する。アクティブモード中、所定の移行条件が満たされたとき、電源装置101は、省電力モードに移行する。省電力モード中、所定の復帰条件が満たされたとき、電源装置101は、アクティブモードに復帰する。
図8のスタートは、主電源投入、又は、省電力モード解除によって、アクティブモードで電源装置101が電力供給を開始し、エンジン制御回路50aが起動した時点である。まず、エンジン制御回路50aは、矯正制御回路8との通信を開始する(ステップ♯11)。そして、エンジン制御回路50aは、通信不良か否かを判定する(ステップ♯12)。例えば、エンジン制御回路50aは、通信開始後、予め定められた時間内に適切な返信(応答)がないとき、通信不良と判定してもよい。言い換えると、矯正制御回路8との通信においてタイムアウトが生じたとき、エンジン制御回路50aは、通信不良と判定してもよい。反対に、エンジン制御回路50aは、通信開始後、予め定められた時間内に適切な返信(応答)があったとき、通信不良ではないと判定してもよい。
通信不良ではないと判定したとき(ステップ♯12のNo)、エンジン制御回路50aは、通信不良でない(通信良好である)ことを示すデータをエンジンメモリー50bに記憶させる(ステップ♯13)。エンジンメモリー50bが通信不良ではないことを示すデータを記憶している場合、印刷ジョブを行うとき、エンジン制御回路50aは、印刷ジョブ開始から終了まで、ローラー対7c(駆動モーター7d)を回転させ続ける。具体的に、1枚目の用紙の給紙開始から最後の用紙がローラー対7cを抜けるまで、ローラー対7c(駆動モーター7d)を回転させ続ける。エンジン制御回路50aと矯正制御回路8の通信が不良でないとき、エンジン制御回路50aは、ローラー対7cで用紙をいったん止めずに、そのまま送り出す。
一方、通信不良と判定したとき(ステップ♯12のYes)、エンジン制御回路50aは、印刷ジョブのとき、通信不良であることを示すデータをエンジンメモリー50bに記憶させる(ステップ♯14)。また、エンジン制御回路50aは、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8の間で通信不良が生じていることを伝えるメッセージを表示パネル41に表示させる(ステップ♯15)。これにより、使用者に通信不良が生じていることを知らせることができる。なお、エンジン制御回路50aは、横ずれ矯正を行えないことを伝えるメッセージを表示パネル41に表示させてもよい。ステップ♯13、ステップ♯15により、エンジン制御回路50aは本フローチャートの処理を終了する(エンド)。
次に、図9を用いて、矯正制御回路8が行う判定処理の一例を説明する。図9のスタートは、主電源投入、又は、省電力モード解除による矯正制御回路8への電力供給の開始により、矯正制御回路8が起動した時点である。
矯正制御回路8はエンジン制御回路50aとの通信を開始する(ステップ♯21)。そして、矯正制御回路8は通信不良か否かを判定する(ステップ♯22)。例えば、矯正制御回路8は、通信開始後、予め定められた時間内に適切な返信(応答)がないとき、通信不良と判定してもよい。言い換えると、エンジン制御回路50aとの通信においてタイムアウトが生じたとき、矯正制御回路8は、通信不良と判定してもよい。反対に、矯正制御回路8は、通信開始後、予め定められた時間内に適切な返信(応答)があったとき、通信不良ではないと判定してもよい。
通信不良ではないと判定したとき(ステップ♯22のNo)、矯正制御回路8は、通信不良でない(通信良好である)ことを示すデータを矯正制御回路8内のメモリーに記憶させる(ステップ♯23)。通信不良と判定したとき(ステップ♯22のYes)、矯正制御回路8は、通信不良であることを示すデータを矯正制御回路8内のメモリーに記憶させる(ステップ♯24)。なお、エンジン制御回路50aのかわりに、矯正制御回路8が、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8の間で通信不良が生じていることを伝えるメッセージを表示パネル41に表示させてもよい。
そして、矯正制御回路8は、ホームポジションでローラー対7c(ケース7a、キャリッジ板7b)の位置を矯正機構に固定させる(ステップ♯25)。ステップ♯23、又は、ステップ♯25により、矯正制御回路8は本フローチャートの処理を終了する(エンド)。具体的に、矯正制御回路8は、ローラー対7c(ケース7a、キャリッジ板7b)の位置が第1ホームポジションとなるように、斜行矯正用モーター73(斜行矯正機構71)を動作させる。第1ホームポジションとした後、矯正制御回路8は、斜行矯正用モーター73を励磁し、斜行矯正用モーター73のローターを固定する。また、矯正制御回路8は、ローラー対7c(ケース7a、キャリッジ板7b)の位置が第2ホームポジションとなるように、横ずれ矯正用モーター78(横ずれ矯正機構72)を動作させる。第2ホームポジションとした後、矯正制御回路8は、横ずれ矯正用モーター78を励磁し、横ずれ矯正用モーター78のローターを固定する。印刷ジョブのとき、エンジン制御回路50aは、ホームポジションで固定されたローラー対7cを回転させて、ローラー対7cに用紙を搬送させる。
通信不良の場合、印刷ジョブの開始、終了を矯正制御回路8に伝えられない可能性がある。そこで、アクティブモードの間(印刷ジョブを行うモードの間)、矯正制御回路8は、ローラー対7cのホームポジションでの固定を継続してもよい。また、用紙先端到達と後端通過を認識できるように、アクティブモードの間、矯正制御回路8は、ランプ6c点灯、ラインセンサー60の読取を継続させてもよい。
(通信不良と判定した場合のレジストレスユニット7の動作)
次に、図10を用いて、通信不良と判定した場合のレジストレスユニット7の動作制御の一例を説明する。図10は、通信不良と判定した場合のレジストレスユニット7の動作制御の一例を示す図である。複数枚を連続して印刷する印刷ジョブの場合、エンジン制御回路50aは、1枚ずつ図10の処理を行う。
通信不良と判定したとき、矯正制御回路8は、傾き方向、傾き角度、横ずれ量、及び、横ずれ方向を認識しない。また、矯正制御回路8は、斜行矯正用モーター73と横ずれ矯正用モーター78を回転させない。矯正制御回路8は、ローラー対7cをスイングせず、主走査方向で移動させない。
図10のスタートは、エンジン制御回路50aが用紙先端(下流端)到達を認識した時点である。なお、上述したように、二値化回路83の出力は、エンジン制御回路50aと矯正制御回路8の両方に入力されている。そのため、エンジン制御回路50aも、用紙読取ユニット6への用紙先端の到達を認識できる。
図10のスタートの前に、エンジン制御回路50aは、駆動モーター7dとローラー対7cを停止させている。なお、矯正制御回路8は、ローラー対7c(ケース7a、キャリッジ板7b)の位置を第1ホームポジションと第2ホームポジションで維持している。
エンジン制御回路50aは、ローラー対7cで用紙をいったん止める(ステップ♯31)。言い換えると、エンジン制御回路50aは、用紙の下流側端部をローラー対7cに突き当てる。そして、エンジン制御回路50aは用紙を撓ませる(ステップ♯32)。用紙を撓ませるため、エンジン制御回路50aは、ローラー対7cよりも1つ上流側の搬送ローラー対を回転させる。用紙の撓みによって、用紙の下流側端部がローラー対7cのニップに沿う。横ずれは矯正できないが、斜行を矯正することができる。
エンジン制御回路50aは、駆動モーター7dとローラー対7cの回転を開始する(ステップ♯33)。なお、用紙読取ユニット6への用紙先端の到達の認識から、駆動モーター7dとローラー対7cの回転を開始するまでの待ち時間は、予め定められる。例えば、待ち時間は、用紙読取ユニット6の読取位置からローラー対7cまでの距離と、用紙を撓ませるための搬送距離との合計距離を、用紙搬送速度で除して得られる時間とされる。
搬送読取画像データB1に基づき、エンジン制御回路50aは、用紙の後端(上流側端部)が用紙読取ユニット6を通過したことを認識する(ステップ♯34)。後端通過認識後、次の用紙が用紙読取ユニット6に到達する前に、エンジン制御回路50aは、駆動モーター7dとローラー対7cを停止させる(ステップ♯35→エンド)。
(通信不良ではないと判定した場合のレジストレスユニット7の動作)
次に、図11を用いて、通信不良ではないと判定した場合のレジストレスユニット7の動作制御の一例を説明する。図11は、通信不良ではないと判定した場合のレジストレスユニット7の動作制御の一例を示す図である。複数枚を連続して印刷する印刷ジョブの場合、エンジン制御回路50aは、1枚ずつ図11の処理を行う。
通信不良ではないと判定したとき、矯正制御回路8は、傾き方向、傾き角度、横ずれ量、及び、横ずれ方向を認識する。そして、矯正制御回路8は、斜行矯正用モーター73と横ずれ矯正用モーター78を動作させ、斜行と横ずれを矯正する。
上述のように、通信不良ではないと判定している場合、印刷ジョブ開始から終了まで、エンジン制御回路50aは、ローラー対7c(駆動モーター7d)を回転させ続ける。エンジン制御回路50aは、ローラー対7cで用紙をいったん止めずに、送り出す。
図11のスタートは、印刷ジョブの開始時点である。印刷ジョブ中、矯正制御回路8は、各用紙を用紙読取ユニット6に読み取らせる。例えば、1枚目の用紙の給紙が開始されると、矯正制御回路8は、ランプ6cの点灯を開始する(ステップ♯41)。矯正制御回路8はランプ6cへの電流供給を開始する。また、矯正制御回路8は、読み取りをラインセンサー60に開始させる(ステップ♯42)。矯正制御回路8は、ラインセンサー60へのトリガー信号TRと読取クロック信号CLKの入力を開始する。
搬送読取画像データB1に基づき、矯正制御回路8は、用紙の先端(下流端)の到達を認識する(ステップ♯43)。続いて、搬送読取画像データB1に基づき、矯正制御回路8は、読み取り中の用紙の傾き方向と傾き角度θを認識する(ステップ♯44)。さらに、搬送読取画像データB1に基づき、矯正制御回路8は、読み取り中の用紙の横ずれ量と横ずれの方向を認識する(ステップ♯45)。そして、矯正制御回路8は、ローラー対7c7をホームポジションから矯正位置に移動させる(ステップ♯46)。用紙がレジストレスユニット7(ローラー対7c)に進入する前に、矯正制御回路8は矯正位置への移動を完了する。
(1)用紙の主走査方向の一方側(支点軸7g側)の隅が搬送方向下流側に突出している場合
用紙の到達前に、矯正制御回路8は、ローラー対7c(ケース7a)の他方側(移動側)の端部を用紙搬送方向上流側に移動させる。第1ホームポジションから傾き角度θと同じ角度だけローラー対7c(ケース7a)を移動(回動)させた位置が矯正位置である。
(2)主走査方向の他方側(移動側)の隅が搬送方向下流側に突出している場合
用紙の到達前に、矯正制御回路8は、ローラー対7c(ケース7a)の他方側の端部を用紙搬送方向下流側に移動させる。第1ホームポジションから傾き角度θと同じ角度だけローラー対7c(ケース7a)を移動(回動)させた位置が矯正位置である。
(3)主走査方向の一方側(支点軸7g側)に横ずれしている場合
用紙の到達前に、矯正制御回路8は、ローラー対7c(キャリッジ板7b)を主走査方向の一方側に、認識した横ずれ量だけ移動させる。
(4)主走査方向の他方側(移動側)に横ずれしている場合
用紙の到達前に、矯正制御回路8は、ローラー対7c(キャリッジ板7b)を主走査方向の他方側に、認識した横ずれ量だけ移動させる。
続いて、矯正制御回路8は、ローラー対7c(ケース7a、キャリッジ板7b)を矯正位置から第1ホームポジション及び第2ホームポジションに移動させる(ステップ♯47)。用紙のローラー対7cへの進入後、用紙が2次転写ニップ5nに到達する前に、矯正制御回路8は、各ホームポジションへの移動を完了させる。各ホームポジションへの復帰動作によって、用紙を止めずに、斜行と横ずれを矯正することができる。
矯正制御回路8は、印刷ジョブの最後の用紙を読み取ったか否かを確認する(ステップ♯48)。言い換えると、矯正制御回路8は、最後の用紙が用紙読取ユニット6を通過したか否かを確認する。最後の用紙ではないとき(ステップ♯48のNo)、矯正制御回路8は、次の用紙について、ステップ♯43を行う(ステップ♯43に戻る)。用紙と用紙の間には、紙間が設けられる。紙間では、搬送読取画像データB1の主走査方向のラインのデータは、全て高濃度値となる。矯正制御回路8は、2つの基準点画素が低濃度値(Highレベル)になったかどうかを再び監視する。
最後の用紙の場合(ステップ♯48のNo)、矯正制御回路8は、本フローチャートの処理を終了する(エンド)。フローチャートを終了するとき、矯正制御回路8は、ランプ6cを消灯し、ラインセンサー60の読み取りを終了させる。
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(複合機100)は、レジストレスユニット7、用紙読取ユニット6、駆動モーター7d、第1制御回路(エンジン制御回路50a)、第2制御回路(矯正制御回路8)を含む。レジストレスユニット7は、印刷する用紙を搬送するローラー対7cと、矯正機構を含む。用紙読取ユニット6は、レジストレスユニット7よりも用紙搬送方向の上流側に設けられる。用紙読取ユニット6は、印刷のために搬送される用紙を読み取る。駆動モーター7dは、ローラー対7cを回転させる。第1制御回路は、駆動モーター7dの回転を制御する。第1制御回路は、ローラー対7cを回転させて、ローラー対7cに用紙を搬送させる。第2制御回路は、第1制御回路と通信する。第2制御回路は、第1制御回路と第2制御回路の通信が不良か否かを判定する。不良ではないと判定したとき、第2制御回路は、第1制御回路から取得した用紙情報と、用紙読取ユニット6の読み取りで得られた搬送読取画像データB1に基づき、理想的な搬送状態からの用紙のずれを認識する。認識したずれに基づき、第2制御回路は、ローラー対7cに用紙が進入した状態でローラー対7cの位置を矯正機構に移動させることにより、ずれを矯正する。不良と判定したときには、第2制御回路は、予め定められたホームポジションにローラー対7cの位置を矯正機構に固定させ、ずれを矯正しない。
第1制御回路との通信が不良のとき、第2制御回路は、ローラー対7cをホームポジションで固定する。通信不良のとき、用紙のずれ(斜行と横ずれ)を矯正するための動作を矯正機構に行わせない。通信不良のとき、ローラー対7cを通過させた用紙の斜行や横ずれが酷くなることを防ぐことができる。通信不良があっても、斜行、横ずれが大きくならないように用紙を搬送することができる。通信不良の障害が発生しても、印刷を禁止しなくてすむ。引き続き使用できる(印刷できる)画像形成装置を提供することができる。
画像形成装置(複合機100)は表示パネル41を含む。第1制御回路と第2制御回路の通信が不良のとき、第1制御回路又は第2制御回路は、第1制御回路と第2制御回路の間の通信不良が生じていることを伝えるメッセージを表示パネル41に表示させる。通信不良が生じていることを使用者に知らせることができる。修理が必要であることを使用者に知らせることができる。
第1制御回路と第2制御回路の通信が不良でないとき、第1制御回路は、ローラー対7cで用紙をいったん止めずに、そのまま送り出す。通信に問題がないとき、ローラー対7c(レジストレスユニット7)で用紙を止めずに搬送することができる。例えば、従来では、用紙を一時停止させて斜行を矯正していた。用紙を停止しなくても、斜行や横ずれを矯正することができる。生産性が高い(単位時間あたりの印刷枚数が多い)画像形成装置を提供することができる。
第1制御回路と第2制御回路の通信が不良のとき、第1制御回路は、ローラー対7cで用紙をいったん止める。第1制御回路は、用紙の下流側端部をローラー対7cに突き当て、用紙を撓ませ、撓み生成後、ローラー対7cの回転を開始させる。通信不良のとき、用紙をローラー対7cに突き当てて斜行を矯正することができる。通信不良か否かによって、搬送時のローラー対7cの動作を異ならせることができる。少なくとも斜行を矯正することができる。
レジストレスユニット7は、ケース7aを備える。ケース7aは、ローラー対7cを含む。ケース7aは、用紙搬送方向と垂直な方向である主走査方向の一方側に設けられた支点軸7gを有する。ケース7aは、支点軸7gを支点として主走査方向の他方側がスイングする。矯正機構は、用紙の斜行を矯正するための斜行矯正機構71を含む。斜行矯正機構71は、斜行矯正用モーター73を含む。斜行を矯正するとき、斜行矯正用モーター73の回転によってケース7aの他方側をスイングさせる。搬送読取画像データB1に基づき、第2制御回路は、用紙の傾き角度を認識する。第2制御回路は、斜行矯正用モーター73を動作させ、用紙が進入しているローラー対7cの角度を変化させることにより、斜行を矯正する。通信に問題がないとき、用紙を止めずに、斜行を矯正することができる。従来のように、停止させたレジストレスローラー対7cに用紙の先端を突き当てなくてもよい。生産性が高い画像形成装置を提供することができる。
矯正機構は、用紙の主走査方向のずれである横ずれを矯正するための横ずれ矯正機構72を含む。横ずれ矯正機構72は、横ずれ矯正用モーター78を含む。横ずれを矯正するとき、横ずれ矯正機構72は、横ずれ矯正用モーター78の回転によってローラー対7cを主走査方向で移動させる。搬送読取画像データB1に基づき、第2制御回路は、用紙の横ずれ量を認識する。第2制御回路は、横ずれ矯正用モーター78を動作させ、用紙が進入しているローラー対7cを主走査方向で移動させることにより、横ずれを矯正する。用紙を止めずに、用紙の横ずれ(主走査方向の位置のずれ)を矯正することができる。ローラー対7cを停止させず、斜行と横ずれを同時に矯正することができる。ずれのない画像を印刷することができる。しかも、生産性が高い(単位時間あたりの印刷枚数が多い)画像形成装置を提供することができる。
ホームポジションは、ローラー対7cの軸線方向と主走査方向が平行となる位置である。通信不良が生じているとき、傾きを変えずに用紙を下流に送り出すことができる。用紙のずれを拡大せずに用紙を搬送することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。