以下、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101について図面を参照して説明する。図1は、レンズ駆動装置101の斜視図である。図2は、レンズ駆動装置101の分解斜視図であり、ケース4が下側部材LBから分離された状態を示す。図3は、下側部材LBの分解斜視図であり、可動側部材MBが固定側部材RGから分離された状態を示す。図4は、可動側部材MBの分解斜視図である。図5は、固定側部材RGの分解斜視図である。図6は、可動コイル3、上側板ばね16、絶縁基板17、及びベース部材18の斜視図であり、それらの電気的接続関係を示している。なお、図2及び図3では、明瞭化のため、絶縁基板17にドットパターンが付されている。
図1~図6において、X1は、三次元直交座標系を構成するX軸の一方向を表し、X2は、X軸の他方向を表す。また、Y1は、三次元直交座標系を構成するY軸の一方向を表し、Y2は、Y軸の他方向を表す。同様に、Z1は、三次元直交座標系を構成するZ軸の一方向を表し、Z2は、Z軸の他方向を表す。図1及び図2では、レンズ駆動装置101のX1側は、レンズ駆動装置101の前側(正面側)に相当し、レンズ駆動装置101のX2側は、レンズ駆動装置101の後側(背面側)に相当する。また、レンズ駆動装置101のY1側は、レンズ駆動装置101の右側に相当し、レンズ駆動装置101のY2側は、レンズ駆動装置101の左側に相当する。また、レンズ駆動装置101のZ1側は、レンズ駆動装置101の上側(被写体側)に相当し、レンズ駆動装置101のZ2側は、レンズ駆動装置101の下側(撮像素子側)に相当する。他の図においても同様である。
レンズ駆動装置101は、図1及び図2に示すように、固定側部材RGの一部であるケース4及び下側部材LBを含む。
ケース4は、下側部材LBを覆うカバー部材である。本実施形態では、ケース4は、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性金属で形成された板材に抜き加工及び絞り加工等を施して作製されている。非磁性金属で形成されているため、ケース4は、電磁力を利用する駆動機構に磁気的な悪影響を及ぼすことはない。
ケース4は、図2に示すように、収納部4sを定める略矩形筒状の外形を有する。そして、ケース4は、略矩形筒状の外壁部4Aと、外壁部4Aの上端(Z1側の端)と連続するように設けられた略矩形環状且つ平板状の上面部4Bと、を有する。上面部4Bの中央には、開口が形成されている。外壁部4Aは、第1側板部4A1~第4側板部4A4を含む。第1側板部4A1と第3側板部4A3とは互いに対向し、第2側板部4A2と第4側板部4A4とは互いに対向している。また、第2側板部4A2及び第4側板部4A4は、第1側板部4A1及び第3側板部4A3に対して垂直に延びる。すなわち、第1側板部4A1及び第3側板部4A3は、第2側板部4A2及び第4側板部4A4に対して垂直に延びる。また、ケース4は、図1に示すように、接着剤によってベース部材18に接合されてベース部材18と共に筐体を構成する。
下側部材LBは、図3に示すように、可動側部材MBと、固定側部材RGの一部であるワイヤ8、絶縁基板17、及びベース部材18と、を含む。
可動側部材MBは、図4に示すように、レンズ体(図示せず。)を保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ体に関する光軸JDに沿ってレンズ保持部材2を移動させる第1駆動機構としての軸方向駆動機構MKと、レンズ保持部材2を光軸JDに沿って移動可能に支持する板ばね6と、レンズ保持部材2を支持する板ばね6が固定されるばね固定部材としての磁石保持部材MHと、を含む。レンズ体は、例えば、少なくとも1枚のレンズを備えた筒状のレンズバレルであり、その中心軸線が光軸JDに沿うように構成されている。
軸方向駆動機構MKは、図4に示すように、レンズ保持部材2に取り付けられる可動コイル3と、可動コイル3と対向するように離間して配置される磁石5と、を含む。軸方向駆動機構MKは、可動コイル3に流れる電流と磁石5が発生する磁界とで駆動力(推力)を発生させ、レンズ保持部材2を光軸JDに沿って上下に移動させることができる。本実施形態では、可動コイル3は、巻線タイプのコイルであり、レンズ保持部材2の周囲に環状に巻かれて形成されるコイル本体部としての巻回部13を含む。図4は、明瞭化のため、巻回部13に関しては、絶縁材料で表面を被覆された導電性の線材の詳細な巻回状態の図示を省略している。巻回部13を図示する他の図においても同様である。
磁石5は、第1磁石5A~第4磁石5Dを含む。本実施形態では、第1磁石5A~第4磁石5Dのそれぞれは、2極に着磁された直方体形状の永久磁石であり、内側(光軸JDに対向する側)がS極に着磁され、外側がN極に着磁されている。図4は、N極に着磁された部分を斜線パターンで示している。第1磁石5A~第4磁石5Dのそれぞれは、可動コイル3と対向するように可動コイル3から離間して配置されている。第1磁石5A~第4磁石5Dのそれぞれは、内側(光軸JDに対向する側)がN極に着磁され、外側がS極に着磁されていてもよい。
磁石保持部材MHは、磁石5を保持できるように構成されている。本実施形態では、磁石保持部材MHは、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することで形成されている。図4に示すように、磁石保持部材MHは、上面視で略矩形環状の枠体であり、枠体を構成する4辺のそれぞれの内側に第1磁石5A~第4磁石5Dが配置される。具体的には、第1磁石5A~第4磁石5Dは何れも、磁石保持部材MHに接着剤で固定されている。
板ばね6は、磁石保持部材MHに対してレンズ保持部材2を光軸JDに平行な方向に移動可能に支持するように構成されている。本実施形態では、板ばね6は、例えば、銅合金、チタン銅系合金(チタン銅)、又は銅ニッケル合金(ニッケルすず銅)等を主な材料とした金属板から作製されている。板ばね6の板厚は、例えば、20~70μmである。板ばね6は、磁石保持部材MHのZ1側の端面に配置される上側板ばね16と、磁石保持部材MHのZ2側の端面に配置される下側板ばね26とを含む。上側板ばね16は、互いに分離された第1上側板ばね16Aと第2上側板ばね16Bとを含む。
上側板ばね16は、図4に示すように、レンズ保持部材2に固定される第1部分(可動側支持部)としての内側部分16iと、磁石保持部材MHに固定される第2部分(固定側支持部)としての外側部分16eと、内側部分16iと外側部分16eとの間に位置する第1弾性腕部16gと、を含む。図4は、第1上側板ばね16Aにおける内側部分16iAと、二つの外側部分16eAと、二つの第1弾性腕部16gAとを示し、且つ、第2上側板ばね16Bにおける内側部分16iBと、二つの外側部分16eBと、二つの第1弾性腕部16gBとを示している。
また、上側板ばね16は、ワイヤ8と磁石保持部材MHとを繋ぐように設けられている。そのため、外側部分16eは、磁石保持部材MHのZ1側の端面に配置されている。本実施形態では、上側板ばね16は、図6に示すように、ワイヤ8に固定されるワイヤ固定部16cと、外側部分16eとワイヤ固定部16cとの間に位置する連結部16fと、を更に含む。具体的には、第1上側板ばね16Aは、図6に示すように、一つの内側部分16iAと、二つの外側部分16eAと、二つの第1弾性腕部16gAと、二つの連結部16fAと、二つのワイヤ固定部16cAと、を含む。同様に、第2上側板ばね16Bは、一つの内側部分16iBと、二つの外側部分16eBと、二つの第1弾性腕部16gBと、二つの連結部16fBと、二つのワイヤ固定部16cBと、を含む。
ワイヤ固定部16cには、図6に示すように、ワイヤ8の上端部が挿通され且つ固定される貫通孔16xが形成されている。具体的には、第1上側板ばね16Aにおける二つのワイヤ固定部16cAのうちの一方には、第1ワイヤ8Aの上端部が挿通され且つ固定される貫通孔16xA1が形成され、二つのワイヤ固定部16cAのうちの他方には、第2ワイヤ8Bの上端部が挿通され且つ固定される貫通孔16xA2が形成されている。同様に、第2上側板ばね16Bにおける二つのワイヤ固定部16cBのうちの一方には、第3ワイヤ8Cの上端部が挿通され且つ固定される貫通孔16xB1が形成され、二つのワイヤ固定部16cBのうちの他方には、第4ワイヤ8Dの上端部が挿通され且つ固定される貫通孔16xB2が形成されている。本実施形態では、ワイヤ8の上端部と上側板ばね16のワイヤ固定部16cとは半田で接合されている。
上側板ばね16がレンズ駆動装置101に組み込まれた際には、内側部分16iは、レンズ保持部材2の上側台座部12d(図4参照。)に取り付けられる。そして、内側部分16iは、レンズ保持部材2の上面(Z1側の面)に固定される。上側台座部12dの上面(Z1側の面)には、被写体側(Z1側)の端面から上方(Z1方向)に突出する丸形凸状の突起部12t(図4参照。)が形成されている。内側部分16iの固定は、内側部分16iに形成された貫通孔TH1に突起部12tが挿通され且つ接着剤が塗布されることによって実現される。なお、内側部分16iの固定は、内側部分16iに形成された貫通孔TH1に突起部12tが挿通され且つ熱かしめ又は冷間かしめが施されることによって実現されてもよい。他の突起部を用いた固定についても同様である。外側部分16eは、磁石保持部材MH(図4参照。)の上面(Z1側の面)に固定される。磁石保持部材MHの上面(Z1側の面)には、被写体側(Z1側)の端面から上方(Z1方向)に突出する丸形凸状の突起部MHt(図4参照。)が形成されている。外側部分16eの固定は、外側部分16eに形成された貫通孔TH2に突起部MHtが挿通され且つ接着剤が塗布されることによって実現される。
図4に示すように、第1上側板ばね16A及び第2上側板ばね16Bは、同じ形状を有し、且つ、光軸JDに関して2回回転対称となるように配置されている。そのため、この構成は、レンズ駆動装置101の部品点数を減らすことができる。また、同じ形状を有する第1上側板ばね16A及び第2上側板ばね16Bは、レンズ保持部材2をバランス良く空中で支持できる。また、同じ形状を有する第1上側板ばね16A及び第2上側板ばね16Bは、4本のワイヤ8(第1ワイヤ8A~第4ワイヤ8D)によって支持される可動側部材MBの重量バランスに悪影響を及ぼすことはない。
下側板ばね26は、図4に示すように、内側形状が略円形状となるように構成されている。そして、下側板ばね26は、レンズ保持部材2に接着剤で固定される第1部分としての二つの内側部分26iと、磁石保持部材MHに固定される第2部分としての四つの外側部分26eと、内側部分26iと外側部分26eとの間に位置する四つの弾性腕部26gとを含む。
下側板ばね26がレンズ駆動装置101に組み込まれた際には、内側部分26iは、レンズ保持部材2の下側台座部12b(図10(B)参照。)に取り付けられる。そして、内側部分26iは、レンズ保持部材2の下面(Z2側の面)に固定される。下側台座部12bの下面(Z2側の面)には、凹部12r(図10(B)参照。)が形成されている。内側部分26iの固定は、内側部分26iに形成された貫通孔TH4に対応する凹部12rに接着剤が塗布されることによって実現される。外側部分26eは、磁石保持部材MHの下面(Z2側の面)に固定される。磁石保持部材MHの下面(Z2側の面)には、撮像素子側(Z2側)の端面から下方(Z2方向)に突出する丸形凸状の突起部MHb(図10(B)参照。)が形成されている。外側部分26eの固定は、外側部分26eに形成された貫通孔TH5に突起部MHbが挿通され且つ接着剤が塗布されることによって実現される。
ワイヤ8は、固定側部材RGに対して、光軸JDに非平行な方向に可動側部材MBを移動可能に支持するように構成されている。本実施形態では、ワイヤ8は、例えば銅合金等の導電性を有し且つ弾性に優れた金属材料で形成されたサスペンションワイヤであり、第1ワイヤ8A~第4ワイヤ8Dを含む。ワイヤ8は、固定側部材RGとしてのベース部材18に対して、光軸JDに垂直な方向に磁石保持部材MHを移動可能に支持する。第1ワイヤ8A~第4ワイヤ8Dのそれぞれは、図3に示すように、下端部(Z2側の端部)が半田又は導電性接着剤等でベース部材18に固定され、且つ、上端部(Z1側の端部)が半田又は導電性接着剤等で上側板ばね16のワイヤ固定部16cに固定される。導電性接着剤は、例えば、合成樹脂中に銀粒子等の導電性フィラーが分散された接着剤である。導電性接着剤は、熱硬化型であってもよく、紫外線硬化型であってもよく、湿気硬化型であってもよい。本実施形態では、ワイヤ8は、ベース部材18に埋設された金属部材7のワイヤ支持部SPにその下端部が半田付けされ、上側板ばね16のワイヤ固定部16cにその上端部が半田付けされる。
また、磁石保持部材MHの四隅には、図2に示すように、制振材GL1(図3も参照。)が取り付けられている。制振材GL1は、磁石保持部材MHに対するワイヤ8の振動を抑制するための部材である。制振材GL1は、磁石保持部材MHに対するワイヤ8の移動に応じて弾性的に伸縮できるように構成されている。本実施形態では、制振材GL1は、ワイヤ8の本来の動きに影響を与えることなく、ワイヤ8の振動を抑制できるように構成されている。具体的には、制振材GL1は、流動性のある接着剤を紫外線又は熱で硬化させることで形成されるゲル状ダンパー材である。制振材GL1は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性シリコーンゴム、又は紫外線硬化性シリコーンゴム等の他の材料で形成されてもよい。
この構成により、可動側部材MBは、第1ワイヤ8A~第4ワイヤ8Dによって、光軸JDに垂直な方向であるX軸方向とY軸方向のそれぞれに移動可能に支持されている。
絶縁基板17は、導電パターンが形成された基板である。絶縁基板17は、フレキシブルプリント基板、リジッドプリント基板、及びフレキシブルリジッドプリント基板の何れであってもよい。本実施形態では、絶縁基板17は、多層基板であり、第2駆動機構としての径方向駆動機構RKを構成する固定コイル9を含む。固定コイル9は、導電パターンによって絶縁基板17に形成されたフィルムタイプのコイルであり、図3に示すように、第1固定コイル9A~第4固定コイル9Dを含む。固定コイル9は、巻線タイプであってもよく、積層タイプであってもよい。
径方向駆動機構RKは、光軸JDに垂直なX軸方向に沿って磁石保持部材MHを移動させる第1径方向駆動機構、及び、光軸JD及びX軸のそれぞれに垂直なY軸方向に沿って磁石保持部材MHを移動させる第2径方向駆動機構を含む。
第1径方向駆動機構は、絶縁基板17に設けられた第1固定コイル9A及び第3固定コイル9Cと、Z軸方向において第1固定コイル9Aと対向するように離間して配置される第1磁石5Aと、Z軸方向において第3固定コイル9Cと対向するように離間して配置される第3磁石5Cと、を含む。
第2径方向駆動機構は、絶縁基板17に設けられた第2固定コイル9B及び第4固定コイル9Dと、Z軸方向において第2固定コイル9Bと対向するように離間して配置される第2磁石5Bと、Z軸方向において第4固定コイル9Dと対向するように離間して配置される第4磁石5Dと、を含む。
略直方体形状を有するレンズ駆動装置101は、例えば、撮像素子(図示せず。)を実装したメイン基板(図示せず。)の上に取り付けられる。カメラモジュールは、例えば、メイン基板と、レンズ駆動装置101と、レンズ保持部材2に装着されたレンズ体と、レンズ体に対向するようにメイン基板に実装された撮像素子とで構成される。可動コイル3は、図6に示すように、上側板ばね16、ワイヤ8、ベース部材18、及びメイン基板を介して不図示の電流供給源としての制御装置(制御回路)に接続される。固定コイル9は、絶縁基板17、ベース部材18、及びメイン基板を介して電流供給源としての制御装置に接続される。そのため、上側板ばね16及びワイヤ8は、導電性材料で形成されている。可動コイル3に電流が流れると、軸方向駆動機構MKは、光軸JDに平行な方向に沿った電磁力を発生させる。同様に、固定コイル9に電流が流れると、径方向駆動機構RKは、光軸JDに垂直な方向に沿った電磁力を発生させる。
レンズ駆動装置101は、軸方向駆動機構MKによる光軸JDに平行な方向に沿った電磁力を利用し、撮像素子のZ1側(被写体側)において、光軸JDに平行な方向に沿ってレンズ保持部材2を移動させることでレンズ調整機能の一つである自動焦点調整機能を実現する。具体的には、レンズ駆動装置101は、撮像素子から離れる方向にレンズ保持部材2を移動させてマクロ撮影を可能にし、撮像素子に近づく方向にレンズ保持部材2を移動させて無限遠撮影を可能にしている。
レンズ駆動装置101は、径方向駆動機構RKによる光軸JDに垂直な方向に沿った電磁力を利用し、撮像素子のZ1側(被写体側)において、光軸JDに垂直な方向に沿ってレンズ保持部材2を移動させることでレンズ調整機能の別の一つであるシフト機能(手振れ補正機能)を実現する。
次に、レンズ保持部材2の詳細について説明する。レンズ保持部材2は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することで形成されている。具体的には、レンズ保持部材2は、図4に示すように、光軸JDに沿って延びるように形成された筒状部12と、筒状部12の外周面から径方向外側に突出するフランジ部(鍔状部)52とを含む。本実施形態では、筒状部12の内周面には接着剤でレンズ体が固定される。また、筒状部12の内周面には、接着剤が入り込むようにねじ溝が形成されている。ねじ溝内で硬化した接着剤は、仮に筒状部12から剥離した場合であっても、接着剤の形状とねじ溝の形状とがかみ合うことによってレンズ体の上下動を抑制できる。但し、ねじ溝は省略されてもよい。
また、筒状部12には、被写体側の端面に上側台座部12dが設けられ、且つ、撮像素子側の端面に下側台座部12b(図10(B)参照。)が設けられている。上側台座部12dには、上側板ばね16の内側部分16iが取り付けられる。具体的には、X1側の上側台座部12dには第1上側板ばね16Aの内側部分16iAが載置され且つ固定され、X2側の上側台座部12dには第2上側板ばね16Bの内側部分16iBが載置され且つ固定される。下側台座部12bには、下側板ばね26の内側部分26iが取り付けられる。本実施形態では、下側板ばね26の内側部分26iは、接着剤で下側台座部12bに固定される。また、筒状部12の外周面には可動コイル3を支持するコイル支持部12jが設けられている。
レンズ保持部材2は、図4に示すように、被写体側(Z1側)の端面から上方(Z1方向)に突出した角形凸状の突出部72を更に含む。突出部72は、第1突出部72A及び第2突出部72Bを含む。
突出部72は、可動コイル3を構成する線材33の両端が巻き付けられて保持されるように構成されている。本実施形態では、第1突出部72Aには、線材33の巻き始め側の端部33Aが巻き付けられ、第2突出部72Bには、線材33の巻き終わり側の端部33Bが巻き付けられる。
第1突出部72Aに巻き付けられた巻き始め側の端部33Aは、図6に示すように、半田又は導電性接着剤等によって、第2上側板ばね16Bの内側部分16iBに形成された接続板部16hBに通電可能に接続される。また、第2突出部72Bに巻き付けられた巻き終わり側の端部33Bは、図6に示すように、半田又は導電性接着剤等によって、第1上側板ばね16Aの内側部分16iAに形成された接続板部16hAに通電可能に接続される。
図3に示すように、レンズ保持部材2と磁石保持部材MHとが板ばね6で接続された状態では、板ばね6は、磁石保持部材MHに対してレンズ保持部材2が光軸JDに沿って移動可能となるように、レンズ保持部材2を支持している。
上側板ばね16は、可動コイル3に電流を供給できるようにするための給電部材としても機能する。本実施形態では、図6に示すように、第1上側板ばね16Aの内側部分16iAにおける接続板部16hAは、導電性接着剤を介して線材33の巻き終わり側の端部33Bに通電可能に接続されている。また、第1上側板ばね16Aのワイヤ固定部16cAは、半田を介して、第1ワイヤ8A及び第2ワイヤ8Bに通電可能に接続されている。そして、第1ワイヤ8A及び第2ワイヤ8Bは、ベース部材18を介して電流供給源に通電可能に接続されている。同様に、第2上側板ばね16Bの内側部分16iBにおける接続板部16hBは、導電性接着剤を介して線材33の巻き始め側の端部33Aに通電可能に接続されている。また、第2上側板ばね16Bのワイヤ固定部16cBは、半田を介して、第3ワイヤ8C及び第4ワイヤ8Dに通電可能に接続されている。そして、第3ワイヤ8C及び第4ワイヤ8Dは、ベース部材18を介して電流供給源に通電可能に接続されている。なお、下側板ばね26は、電流が流れないため、非導電性材料で形成されていてもよい。また、線材33と接続板部16hとは半田で接合されてもよい。
ベース部材18は、液晶ポリマー等の合成樹脂を用いた射出成形によって形成される。本実施形態では、ベース部材18は、図5に示すように、上面視で矩形状の輪郭を有し、中央に開口18kを有する。ベース部材18の被写体側の面(Z1側の面)である上面には、接着剤により絶縁基板17が固定される。本実施形態では、ベース部材18の上面には、センサ10を収容する凹部19が形成されている。センサ10は、第1センサ10A及び第2センサ10Bを含み、凹部19は、第1凹部19A及び第2凹部19Bを含む。センサ10は、絶縁基板17の下側(Z2側)に取り付けられた状態で凹部19内に収容される。具体的には、第1センサ10Aは第1凹部19A内に収容され、第2センサ10Bは第2凹部19B内に収容される。
センサ10は、可動側部材MBのX軸方向及びY軸方向における位置を検出するように二つ設けられている。本実施形態では、センサ10は、ホール素子で構成され、センサ10が受ける磁石5からの磁界の大きさに応じて変化する出力電圧を測定し、磁石5を含む可動側部材MBの位置を検出するように構成されている。但し、センサ10は、巨大磁気抵抗効果(Giant Magneto Resistive effect: GMR)素子、半導体磁気抵抗(Semiconductor Magneto Resistive: SMR)素子、異方性磁気抵抗(Anisotropic Magneto Resistive: AMR)素子、又はトンネル磁気抵抗(Tunnel Magneto Resistive: TMR)素子等の磁気抵抗素子を利用して可動側部材MBの位置を検出するように構成されていてもよい。
絶縁基板17は、図5に示すように、ベース部材18に取り付けられる多層基板であり、固定コイル9及びセンサ10のそれぞれと外部との通電を可能にしている。具体的には、絶縁基板17には、固定コイル9以外にも、センサ10を実装するための半田ランド及び導電パターン等(以下、「導電パターン等」とする。)の構成が含まれている。
ベース部材18には、図7に示すような、銅、鉄、又はそれらを主成分とする合金等の材料を含む金属板から形成された金属部材7がインサート成形によって埋め込まれている。図7(A)は、ベース部材18から抜き出された状態の金属部材7の斜視図であり、図7(B)は、ベース部材18に埋め込まれた状態の金属部材7の斜視図である。本実施形態では、金属部材7は、第1金属部材7A、第2金属部材7B、及び第3金属部材7Cを含む。第1金属部材7Aは、第1端子部材7A1~第12端子部材7A12を含む。第2金属部材7Bは、右前金属部材7B1及び右後金属部材7B2を含む。第3金属部材7Cは、左前金属部材7C1及び左後金属部材7C2を含む。
第1金属部材7Aは、ベース部材18から露出する外部端子部TNと、絶縁基板17の導電パターンに接続される接続部CNと、外部端子部TNと接続部CNとを繋ぐ繋ぎ部CBと、接続部CNから開口18k側へ突出し、ベース部材18の内縁部NEから露出する突出片PTと、を有する。
具体的には、図7(B)に示すように、第1金属部材7Aの一つである第7端子部材7A7は、ベース部材18から露出する第7外部端子部TN7(図7(A)参照。)と、絶縁基板17の導電パターンに接続される第7接続部CN7と、第7接続部CN7から開口18k側へ突出し、ベース部材18の内縁部NEから露出する第7突出片PT7と、を有する。同様に、第1金属部材7Aの別の一つである第12端子部材7A12は、ベース部材18から露出する第12外部端子部TN12と、絶縁基板17の導電パターンに接続される第12接続部CN12と、第12接続部CN12から開口18k側へ突出し、ベース部材18の内縁部NEから露出する第12突出片PT12と、を有する。
なお、図7(A)では、明瞭化のため、第2端子部材7A2~第12端子部材7A12については、参照符号と引き出し線を用いた繋ぎ部CBの参照がなされていない。しかしながら、第2端子部材7A2~第12端子部材7A12も、第1端子部材7A1と同様に繋ぎ部CBを有する。
また、図7(B)では、明瞭化のため、第1端子部材7A1~第6端子部材7A6及び第8端子部材7A8~第11端子部材7A11については、参照符号と引き出し線を用いた外部端子部TN、接続部CN、及び突出片PTのそれぞれの参照がなされていない。しかしながら、第1端子部材7A1~第6端子部材7A6及び第8端子部材7A8~第11端子部材7A11も、第7端子部材7A7及び第12端子部材7A12と同様に、外部端子部TN、接続部CN、及び突出片PTを有する。
第2金属部材7Bは、ベース部材18の開口18kを臨む内縁部NEと外縁部OEとの間に延在する二つの第1延在部EPと、二つの第1延在部EPを連結する連結部CTと、第1延在部EPの延在方向と交差する方向に延在する二つの第2延在部SEと、ワイヤ8が固定されるワイヤ支持部SPと、第2延在部SEとワイヤ支持部SPとを連結する延長部ELと、を有する。二つの第1延在部EPのそれぞれの一端(内端)は、内縁部NEから内側に突出しているとともに、二つの第1延在部EPのそれぞれの他端(外端)は、外縁部OEから外側に突出している。第2延在部SEは、第1延在部EPと繋がるように設けられており、第2延在部SEの第1延在部EPから離れた位置にある離間部AP(図7(A)参照。)は、下方側へ折り曲げられるとともに、上面がベース部材18内に埋設されている。
具体的には、第2金属部材7Bの一つである右前金属部材7B1は、第1延在部EPとしての右側縦延在部EP1及び左側縦延在部EP2と、右側縦延在部EP1と左側縦延在部EP2とを連結する連結部CTと、第2延在部SEとしての右側横延在部SE1及び左側横延在部SE2と、第1ワイヤ8Aの下端部が固定されるワイヤ支持部SPと、右側横延在部SE1とワイヤ支持部SPとを連結する延長部ELと、を有する。そして、右側横延在部SE1の右端部にある離間部AP1は、下方側へ折り曲げられるとともに、上面がベース部材18内に埋設され、左側横延在部SE2の左端部にある離間部AP2は、下方側へ折り曲げられるとともに、上面がベース部材18内に埋設されている。延長部ELは、上面がベース部材18内に埋設されている。第2金属部材7Bの別の一つである右後金属部材7B2についても同様である。なお、右後金属部材7B2のワイヤ支持部SPには、第4ワイヤ8Dの下端部が固定される。
離間部APの上面がベース部材18に埋設される構成は、第2金属部材7Bがベース部材18から剥がれにくくなるという効果をもたらす。
第3金属部材7Cは、ベース部材18から露出する外部端子部TKと、ワイヤ8が固定されるワイヤ支持部SPと、外部端子部TKとワイヤ支持部SPとを連結する延長部EMと、を有する。
具体的には、第3金属部材7Cの一つである左前金属部材7C1は、外部端子部TKとしての第13外部端子部TK13と、第2ワイヤ8Bが固定されるワイヤ支持部SPと、第13外部端子部TK13とワイヤ支持部SPとを連結する延長部EMと、を有する。同様に、第3金属部材7Cの別の一つである左後金属部材7C2は、外部端子部TKとしての第14外部端子部TK14と、第3ワイヤ8Cが固定されるワイヤ支持部SPと、第14外部端子部TK14とワイヤ支持部SPとを連結する延長部EMと、を有する。
次に、図8を参照し、第1金属部材7Aの外部端子部TNと絶縁基板17の導電部PDとの接続関係について説明する。図8は、第1金属部材7Aの外部端子部TNと絶縁基板17の導電部PDとの接続関係を示す図である。具体的には、図8(A)は、絶縁基板17の底面図であり、図8(B)は、金属部材7の上面図である。なお、図8(A)の破線は、各要素間の電気的接続関係を表している。この各要素間の電気的接続は、絶縁基板17に形成された導電パターンによって行われる。また、図8(A)では、明瞭化のため、実際には不可視の固定コイル9が一点鎖線で表されている。
図8(B)に示すように、第1外部端子部TN1は、第1接続部CN1に接続されている。第1接続部CN1は、絶縁基板17の導電部PD1に接続される。そして、導電部PD1は、図8(A)に示すように、第2センサ10Bの第1端子に接続されている。
同様に、第2外部端子部TN2は、第2接続部CN2に接続されている。第2接続部CN2は、絶縁基板17の導電部PD2に接続される。そして、導電部PD2は、第2センサ10Bの第2端子に接続されている。
第3外部端子部TN3は、第3接続部CN3に接続されている。第3接続部CN3は、絶縁基板17の導電部PD3に接続される。そして、導電部PD3は、第1固定コイル9Aの一端に接続されている。
第4外部端子部TN4は、第4接続部CN4に接続されている。第4接続部CN4は、絶縁基板17の導電部PD4に接続される。そして、導電部PD4は、第1センサ10Aの第1端子に接続されている。
第5外部端子部TN5は、第5接続部CN5に接続されている。第5接続部CN5は、絶縁基板17の導電部PD5に接続される。そして、導電部PD5は、第1センサ10Aの第2端子に接続されている。
第6外部端子部TN6は、第6接続部CN6に接続されている。第6接続部CN6は、絶縁基板17の導電部PD6に接続される。そして、導電部PD6は、第1センサ10Aの第3端子に接続されている。
第7外部端子部TN7は、第7接続部CN7に接続されている。第7接続部CN7は、絶縁基板17の導電部PD7に接続される。そして、導電部PD7は、第1センサ10Aの第4端子に接続されている。
第8外部端子部TN8は、第8接続部CN8に接続されている。第8接続部CN8は、絶縁基板17の導電部PD8に接続される。そして、導電部PD8は、第2センサ10Bの第3端子に接続されている。
第9外部端子部TN9は、第9接続部CN9に接続されている。第9接続部CN9は、絶縁基板17の導電部PD9に接続される。そして、導電部PD9は、第2センサ10Bの第4端子に接続されている。
第10外部端子部TN10は、第10接続部CN10に接続されている。第10接続部CN10は、絶縁基板17の導電部PD10に接続される。そして、導電部PD10は、第2固定コイル9Bの一端に接続されている。
第11外部端子部TN11は、第11接続部CN11に接続されている。第11接続部CN11は、絶縁基板17の導電部PD11に接続される。そして、導電部PD11は、第3固定コイル9Cの一端に接続されている。
第12外部端子部TN12は、第12接続部CN12に接続されている。第12接続部CN12は、絶縁基板17の導電部PD12に接続される。そして、導電部PD12は、第4固定コイル9Dの一端に接続されている。
なお、導電部PD1~導電部PD12は、絶縁基板17に形成された導電パターンの一部であり、導電パターンは、導電部PD1~導電部PD12の部分が絶縁基板17の下面に露出している。また、第1固定コイル9Aの他端と第3固定コイル9Cの他端とは導電パターンによって接続されている。同様に、第2固定コイル9Bの他端と第4固定コイル9Dの他端も導電パターンで接続されている。
上述の構成により、軸方向駆動機構MKに関する電流は、例えば図6~図8に示すように、第13外部端子部TK13から、第2ワイヤ8B、第1上側板ばね16Aのワイヤ固定部16cA、連結部16fA、外側部分16eA、第1弾性腕部16gA、内側部分16iA、接続板部16hA、可動コイル3の巻き終わり側の端部33B、巻回部13、巻き始め側の端部33A、第2上側板ばね16Bの接続板部16hB、内側部分16iB、第1弾性腕部16gB、外側部分16eB、連結部16fB、ワイヤ固定部16cB、及び、第3ワイヤ8Cを経て、第3金属部材7Cの第14外部端子部TK14に流れ、或いはその逆方向に流れる。
第1径方向駆動機構に関する電流は、例えば、第3端子部材7A3の第3外部端子部TN3から、第3接続部CN3、絶縁基板17の導電部PD3、第1固定コイル9A、第3固定コイル9C、絶縁基板17の導電部PD11、及び、第11端子部材7A11の第11接続部CN11を経て、第11外部端子部TN11に流れ、或いはその逆方向に流れる。
第2径方向駆動機構に関する電流は、例えば、第10端子部材7A10の第10外部端子部TN10から、第10接続部CN10、絶縁基板17の導電部PD10、第2固定コイル9B、第4固定コイル9D、絶縁基板17の導電部PD12、及び、第12端子部材7A12の第12接続部CN12を経て、第12外部端子部TN12に流れ、或いはその逆方向に流れる。
次に、図9を参照し、上側板ばね16によるレンズ保持部材2と磁石保持部材MHとの接続について説明する。図9は、可動側部材MBの構成要素の上面図である。
レンズ保持部材2は、図9(B)に示すように、可動コイル3が取り付けられた状態で、磁石保持部材MHの内側に配置される。図9(B)では、明瞭化のため、レンズ保持部材2にドットパターンが付されている。
その後、レンズ保持部材2の突出部72に巻き付けられた線材33には、図9(C)に示すように、導電性接着剤DAが塗布される。図9(C)では、明瞭化のため、導電性接着剤DAにドットパターンが付されている。
その後、上側板ばね16は、図9(D)に示すように、レンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれの上面に配置される。図9(D)では、明瞭化のため、上側板ばね16にドットパターンが付されている。具体的には、上側板ばね16の内側部分16iは、図9(D)に示すように、レンズ保持部材2の上側台座部12dに載置され、上側板ばね16の外側部分16eは、磁石保持部材MHの端面ES1に載置される。
上側台座部12dから上方に突出する四つの突起部12tは、図9(D)に示すように、内側部分16iに形成された貫通孔TH1に挿通され、且つ、図9(E)に示すように、接着剤AD1が塗布される。図9(E)では、明瞭化のため、接着剤AD1と、後述の接着剤AD2、接着剤AD3、及び制振材GL2にドットパターンが付されている。その結果、上側板ばね16の内側部分16iは、レンズ保持部材2に固定される。そして、上側板ばね16の接続板部16hと突出部72に巻き付けられた線材33とは、図9(D)に示すように、導電性接着剤DA(図9(C)参照。)によって接合される。
端面ES1から上方に突出する突起部MHtは、図9(D)に示すように、外側部分16eに形成された貫通孔TH2に挿通される。そして、貫通孔TH2に挿通された突起部MHtの先端には、図9(E)に示すように、接着剤AD2が塗布される。また、上側板ばね16の外側部分16eには、貫通孔TH2とは別の位置に貫通孔TH3が形成されている。そして、貫通孔TH3には接着剤AD3が塗布される。その結果、上側板ばね16の外側部分16eは、磁石保持部材MHに固定される。なお、外側部分16eに形成された二つの貫通孔のそれぞれに塗布された接着剤は、磁石保持部材MHと上側板ばね16との間の相対回転を抑制できるという効果をもたらす。
また、レンズ保持部材2と磁石保持部材MHとの間には、図9(E)に示すように、制振材GL2が取り付けられる。
制振材GL2は、磁石保持部材MHに対するレンズ保持部材2の振動を抑制するための部材である。制振材GL2は、磁石保持部材MHに対するレンズ保持部材2の移動に応じて弾性的に伸縮できるように構成されている。本実施形態では、制振材GL2は、レンズ保持部材2の本来の動きに影響を与えることなく、レンズ保持部材2の振動を抑制できるように構成されている。具体的には、制振材GL2は、流動性のある接着剤を紫外線又は熱で硬化させることで形成されるゲル状ダンパー材である。制振材GL2は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性シリコーンゴム、又は紫外線硬化性シリコーンゴム等の他の材料で形成されてもよい。
このようにして、上側板ばね16は、レンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれの上側に固定される。
次に、図10を参照し、下側板ばね26によるレンズ保持部材2と磁石保持部材MHとの接続について説明する。図10は、可動側部材MBの構成要素である磁石保持部材MH、レンズ保持部材2、下側板ばね26、及び磁石5の底面図である。
レンズ保持部材2は、図10(B)に示すように、可動コイル3が取り付けられた状態で、磁石保持部材MHの内側に配置される。図10(B)では、明瞭化のため、レンズ保持部材2にドットパターンが付されている。
下側板ばね26は、図10(C)に示すように、レンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれの下面に配置される。図10(C)では、明瞭化のため、下側板ばね26にドットパターンが付されている。
下側板ばね26は、レンズ保持部材2に固定される第1部分としての二つの内側部分26iと、磁石保持部材MHに固定される第2部分としての四つの外側部分26eと、内側部分26iと外側部分26eとの間に位置する四つの弾性腕部26gと、を含む。二つの内側部分26iのそれぞれには、貫通孔TH4が二つずつ形成され、四つの外側部分26eのそれぞれには、貫通孔TH5が形成されている。
具体的には、図10(B)及び図10(C)に示すように、下側板ばね26の内側部分26iは、レンズ保持部材2の下側台座部12bに載置され、下側板ばね26の外側部分26eは、磁石保持部材MHの端面ES2に載置される。
下側板ばね26は、図10(B)及び図10(C)に示すように、内側部分26iに形成された貫通孔TH4が、下側台座部12bに形成された凹部12rに対応するように下側台座部12b上に配置され、且つ、図10(D)に示すように、接着剤AD4が塗布される。その結果、下側板ばね26の内側部分26iは、レンズ保持部材2に固定される。なお、図10(D)では、明瞭化のため、接着剤AD4及び後述の接着剤AD5にドットパターンが付されている。
端面ES2から下方に突出する突起部MHbは、図10(C)に示すように、外側部分26eに形成された貫通孔TH5に挿通され、且つ、図10(D)に示すように、接着剤AD5が塗布される。その結果、下側板ばね26の外側部分26eは、磁石保持部材MHに固定される。
このようにして、下側板ばね26は、レンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれの下側に固定される。
磁石5は、図10(E)に示すように、接着剤(図示せず。)によって磁石保持部材MHに取り付けられる。図10(E)では、明瞭化のため、磁石5にドットパターンが付されている。
次に、図11を参照し、レンズ保持部材2、磁石保持部材MH、及びワイヤ8を接続する上側板ばね16の詳細について説明する。図11は、上側板ばね16の拡大斜視図及び上面図である。具体的には、図11(A)は、図6の破線で囲まれた範囲R1の拡大斜視図である。図11(B)は、図11(A)に示す部分の上面図である。
図11に示すように、上側板ばね16は、レンズ保持部材2に固定される内側部分16iと、磁石保持部材MHに固定される外側部分16eと、内側部分16iと外側部分16eとの間に設けられる第1弾性腕部16gと、外側部分16eの外側に位置する板状部16pと、外側部分16eと板状部16pとを繋ぐように設けられた連結部16fと、を有する。以下の説明は、第1上側板ばね16Aの一端部(第1ワイヤ8Aが固定される部分)に関するが、第1上側板ばね16Aの他端部(第2ワイヤ8Bが固定される部分)、第2上側板ばね16Bの一端部(第3ワイヤ8Cが固定される部分)、及び第2上側板ばね16Bの他端部(第4ワイヤ8Dが固定される部分)についても同様に適用され得る。
具体的には、第1上側板ばね16Aは、内側部分16iA、外側部分16eA、第1弾性腕部16gA、板状部16pA、及び連結部16fAを有する。
板状部16pは、外側部分16eの外側(光軸JDから遠い側)に位置し、連結部16fを介して外側部分16eに接続されている。また、板状部16pは、ワイヤ固定部16c及び切断部16sを含んで構成されている。具体的には、第1上側板ばね16Aの板状部16pAは、第1ワイヤ8A(図6参照。)が固定されるワイヤ固定部16cA及び切断部16sAを含む。そして、ワイヤ固定部16cAよりも光軸JDから遠い側に位置する板状部16pAの外縁部には、図11(B)に示すように、凹状の切欠き部RSが形成されている。切断部16sAは、切欠き部RSを挟んで分離された二つの部分(左切断部16sAL及び右切断部16sAR)を有する。すなわち、左切断部16sAL及び右切断部16sARは、切欠き部RSの両側に設けられている。
より具体的には、図11(B)に示すように、外縁部に沿った切欠き部RSの幅寸法W1は、切欠き部RSの深さ寸法DP1よりも大きく、且つ、左切断部16sALの幅寸法W2よりも大きく、且つ、右切断部16sARの幅寸法W3よりも大きい。
また、本実施形態では、左切断部16sALと右切断部16sARとは、図11(B)に示すように、上面視で同一直線上に位置するように形成されている。切断用レーザ光による切断が容易になるようにするためである。但し、左切断部16sALと右切断部16sARとは、上面視で互いに異なる直線上に位置するように形成されていてもよい。
連結部16fAは、板状部16pAから内側(光軸JDに近い側)に延在する延在部ENと、一端部が外側部分16eAに繋がるとともに、他端部が延在部ENに繋がる弾性変形可能な第2弾性腕部AMと、を有する。具体的には、第2弾性腕部AMは、図11(A)に示すように、一端部が外側部分16eAの第1部分PN1に繋がるとともに、他端部が延在部ENに繋がる第2左側弾性腕部AMLと、一端部が外側部分16eAの第2部分PN2に繋がるとともに、他端部が延在部ENに繋がる第2右側弾性腕部AMRと、を含む。
そして、二つの第2弾性腕部AMのそれぞれは、少なくとも一つの湾曲部BTを有する。図11に示す例では、第2左側弾性腕部AML及び第2右側弾性腕部AMRのそれぞれは、3つの湾曲部BT(第1湾曲部BT1~第3湾曲部BT3)を有する。
具体的には、第2左側弾性腕部AML及び第2右側弾性腕部AMRのそれぞれは、外側に(光軸JDから離れる方向に)突出したU字状の第1湾曲部BT1を含む。第2左側弾性腕部AMLの第1湾曲部BT1と第2右側弾性腕部AMRの第1湾曲部BT1とは延在部ENを介して互いに繋がっている。そして、板状部16pAの一部は、第2左側弾性腕部AMLの第1湾曲部BT1と第2右側弾性腕部AMRの第1湾曲部BT1との間に位置している。すなわち、板状部16pAの一部は、第2左側弾性腕部AMLの第1湾曲部BT1と第2右側弾性腕部AMRの第1湾曲部BT1との間に挟まれるように配置されている。図11(B)の一点鎖線L1は、第2左側弾性腕部AMLの第1湾曲部BT1の最も外側の点(光軸JDから最も遠い位置にある点)と、第2右側弾性腕部AMRの第1湾曲部BT1の最も外側の点(光軸JDから最も遠い位置にある点)とを結ぶ仮想線である。そして、この一点鎖線L1は、図11に示す例では、板状部16pAに形成された貫通孔16xA1を横切っている。なお、貫通孔16xA1には、第1ワイヤ8Aの上端部が挿通され且つ固定される。
延在部ENは、第2弾性腕部AMに繋がる幅広部HWと、板状部16pAの幅寸法W4よりも小さい幅寸法W5を有する幅狭部HNと、を含む。第2弾性腕部AMは、幅広部HWから枝分かれして延びるように構成されている。すなわち、板状部16pAは、一つの幅狭部HNを介して二つの第2弾性腕部AMに接続されるように構成されている。
上述の構成は、第2弾性腕部AMの設計自由度を高めることができるという効果をもたらす。例えば、上述の構成は、第2弾性腕部AMの全長が所望の長さに調整され易くすることができるという効果をもたらす。
次に、図12及び図13を参照し、レンズ駆動装置101の製造方法のうちの半田付け工程及び分離工程について説明する。図12は、上側板ばね16及び第1連結部材CM1を含む第1被加工材WP1の斜視図である。具体的には、図12(A)は、ケース4が取り付けられる前のレンズ駆動装置101の斜視図であり、レンズ保持部材2、磁石保持部材MH、及びワイヤ8に接続された状態の第1被加工材WP1を示す。図12(B)は、ワイヤ8が半田付けされた状態の第1被加工材WP1の斜視図である。なお、図12(A)では、明瞭化のため、第1被加工材WP1に細かいドットパターンが付されている。図12(B)では、明瞭化のため、第1連結部材CM1に粗いドットパターンが付されている。
図13は、第1連結部材CM1から切り離される上側板ばね16の詳細図である。具体的には、図13(A)は、図12(B)の破線で囲まれた範囲R2の拡大上面図である。図13(B)は、図2の破線で囲まれた範囲R3の拡大側面図である。なお、図13(A)では、明瞭化のため、ワイヤ固定部16cにおける半田SDに細かいドットパターンが付され、第1連結部材CM1に粗いドットパターンが付され、第1連結部材CM1における加熱用レーザ光が照射される範囲STにクロスパターンが付されている。また、図13(B)では、明瞭化のため、ワイヤ固定部16cにおける半田SDに細かいドットパターンが付されている。
第1被加工材WP1は、第1上側板ばね16Aと第2上側板ばね16Bとが同時にレンズ保持部材2及び磁石保持部材MHに取り付けられるように、第1上側板ばね16Aと第2上側板ばね16Bとを第1連結部材CM1で連結した状態で提供される金属板である。第1被加工材WP1は、接着剤AD1~接着剤AD3(図9(E)参照。)を用いてレンズ保持部材2及び磁石保持部材MHに固定された上側板ばね16がワイヤ8に半田付けされた後で、切断用レーザ光によって切断される。その結果、第1被加工材WP1を構成する第1連結部材CM1は、上側板ばね16から切り離される。具体的には、第1連結部材CM1を上側板ばね16から切り離すために用いられる切断用レーザ光は、図12(B)の一点鎖線で表される切断線CLに沿って照射される。切断線CLは、第1切断線CL1~第4切断線CL4を含む。すなわち、第1被加工材WP1は、第1切断線CL1~第4切断線CL4のそれぞれに沿って切断用レーザ光が照射され且つ切断される。より具体的には、第1上側板ばね16Aの一端は、第1切断線CL1に沿って照射される切断用レーザ光によって第1連結部材CM1から切り離され、第1上側板ばね16Aの他端は、第2切断線CL2に沿って照射される切断用レーザ光によって第1連結部材CM1から切り離される。また、第2上側板ばね16Bの一端は、第3切断線CL3に沿って照射される切断用レーザ光によって第1連結部材CM1から切り離され、第2上側板ばね16Bの他端は、第4切断線CL4に沿って照射される切断用レーザ光によって第1連結部材CM1から切り離される。
より具体的には、レンズ駆動装置101の製造方法は、半田付け工程及び分離工程を有する。半田付け工程では、図13(A)に示すように板状部16pから外側に延設された延設部EGに加熱用レーザ光が照射され、ワイヤ8の上端部と板状部16pに設けられたワイヤ固定部16cとが半田付けされる。半田付け工程の後で行われる分離工程では、切断用レーザ光によって第1切断線CL1のところで第1連結部材CM1が切断され、板状部16pと延設部EGとが分離される。
ワイヤ8の上端部は、板状部16pに設けられたワイヤ固定部16cに半田付けされる。具体的には、図13(B)に示すように、第1ワイヤ8Aの上端部は、第1上側板ばね16Aの板状部16pAに設けられたワイヤ固定部16cAに半田付けされる。
なお、分離工程の後において、板状部16pAには、ワイヤ固定部16cAよりも外側(光軸JDから遠い側)の位置に、第1上側板ばね16Aの切断部16sAが設けられている。そして、切断部16sAの切断面は、板状部16pAの板面(上面)に対して斜めに形成されている。図13(B)の破線L2は、切断部16sAの切断面を含む仮想平面を表し、破線L3は、板状部16pAの板面(上面)を含む仮想平面を表す。そして、図13(B)の角度θは、切断部16sAの切断面と板状部16pAの板面(上面)との間に形成される角度を表す。図13(B)に示す例では、角度θは、90度未満の鋭角となっている。
また、第1被加工材WP1には、図13(A)に示すように、板状部16pAと延設部EGとに跨るように開口OPが形成されている。そして、開口OPの一方の側に位置する部分は、分離工程において、他方の側に位置する部分から分離される。具体的には、開口OPの内側(光軸JDに近い側)に位置する部分である板状部16pAは、分離工程において、開口OPの外側(光軸JDから遠い側)に位置する部分である延設部EGから分離される。
分離工程では、板状部16pAからの延設部EGの分離は、図13(A)に示すように、一点鎖線で表される第1切断線CL1に沿って切断用レーザ光が板状部16pAと延設部EGとの間に照射されることによって行われる。本実施形態では、分離工程で使用される切断用レーザ光は、半田付け工程で使用される加熱用レーザ光とは異なる。例えば、切断用レーザ光は、加熱用レーザ光とは異なる光源で生成される。但し、切断用レーザ光は、加熱用レーザ光と同じ光源で生成されてもよい。
延設部EGの延設方向(光軸JDを中心とする円の径方向)と直交する方向における開口OPの幅寸法W6は、図13(A)に示すように、延設部EGの延設方向における開口OPの寸法DP2よりも大きい。また、開口OPの幅寸法W6は、開口OPの両側に位置する部分のそれぞれの幅寸法よりも大きい。すなわち、開口OPの幅寸法W6は、開口OPの左側に位置する左部分LPの幅寸法W7より大きく、且つ、開口OPの右側に位置する右部分RPの幅寸法W8より大きい。
なお、図11に示す切欠き部RSは、開口OPの一部を構成している。そのため、開口OPの幅寸法W6は、図11(B)に示す切欠き部RSの幅寸法W1と同じである。また、左部分LPの幅寸法W7は、図11(B)に示す左切断部16sALの幅寸法W2と同じであり、右部分RPの幅寸法W8は、図11(B)に示す右切断部16sARの幅寸法W3と同じである。
図13(A)に示す例では、加熱用レーザ光は、延設部EGにおける範囲ST内に照射される。そして、加熱用レーザ光によって延設部EGに加えられた熱は、左部分LP及び右部分RPを介して板状部16pAに伝えられ、更に、板状部16pAの上面に塗布された半田ペーストに伝えられる。また、延設部EGは、幅狭部NRを介して第1連結部材CM1の残りの部分に接続されている。加熱用レーザ光によって延設部EGに加えられた熱が第1連結部材CM1の残りの部分に逃げてしまうのを抑制するためである。
板状部16pAからの熱を受けた半田ペーストは溶融して流動性を有するようになり、図13(A)の細かいドットパターンで示すように、板状部16pAの上を延設部EGに向かって径方向に広がる。開口OPは、溶融した半田ペーストが第1切断線CL1を超えて延設部EG側に広がるのを抑制する。具体的には、溶融した半田ペーストは、開口OPの内側(光軸JDに近い側)の縁に達すると、開口OPを回避するように左部分LP及び右部分RPの少なくとも一方に向かって広がる。すなわち、溶融した半田ペーストは、開口OPの内側(光軸JDに近い側)の縁に達した後は、径方向に直交する方向等の径方向以外の方向に広がり、第1切断線CL1を超えて延設部EG側に広がることが抑制される。なお、溶融した半田ペーストの一部は、図13(B)に示すように、第1ワイヤ8Aを伝い、ワイヤ固定部16cAに形成された貫通孔16xA1(図11(B)参照。)を通って板状部16pA(ワイヤ固定部16cA)の下側(Z2側)にも達する。
その後、溶融した半田ペーストは、冷却固化されて半田SDとなる。図13では、冷却固化された半田SDは、細かいドットパターンで表されている。
その後、切断用レーザ光によって第1切断線CL1のところで第1連結部材CM1が切断され、延設部EGを含む第1連結部材CM1は、板状部16pAから切り離される。
この製造方法によって製造されるレンズ駆動装置101の上側板ばね16は、加熱用レーザ光を照射できるように構成された延設部EGを含まない。そのため、レンズ駆動装置101は、延設部EGを受け入れるための空間を収納部4s内に用意する必要がない。そのため、この製造方法を用いれば、レンズ駆動装置101の更なる小型化が実現され得る。
次に、図14及び図15を参照し、ベース部材18の製造方法について説明する。図14及び図15は、金属部材7を含む第2被加工材WP2の詳細図である。具体的には、図14(A)は、ベース部材18に埋設された状態の第2被加工材WP2の斜視図である。図14(B)は、ベース部材18に埋設される前の第2被加工材WP2の斜視図である。なお、図14(A)では、明瞭化のため、第2被加工材WP2に粗いドットパターンが付されている。図14(B)では、明瞭化のため、金属部材7に細かいドットパターンが付されている。図15(A)は、ベース部材18に埋設された状態の第2被加工材WP2の上面図である。図15(B)は、一部(内側連結部材CMA1)が切り離された状態の第2被加工材WP2の上面図であり、図15(A)に対応している。なお、図15(A)及び図15(B)では、明瞭化のため、第2被加工材WP2のうちの基準面を含む仮想平面上に位置している部分に細かいドットパターンが付され、第2被加工材WP2のうちの基準面を含む仮想平面上に位置していない部分に粗いドットパターンが付されている。基準面は、例えば、第2被加工材WP2の材料である金属板の未加工の表面に相当する。すなわち、図15は、細かいドットパターンが付された部分が同一平面上に位置していることを表している。
第2連結部材CM2は、ベース部材18が射出成形によって製作される際に金型内で金属部材7が所定位置に固定されるようにするための部材であり、内側連結部材CMA1及び外側連結部材CMA2を含む。
内側連結部材CMA1は、金属部材7の内側に配置される放射形状の連結部材である。図14に示す例では、内側連結部材CMA1は、第1金属部材7Aを構成する第1端子部材7A1~第12端子部材7A12(図7(A)参照。)のそれぞれに連結され、且つ、第2金属部材7Bの1つである右前金属部材7B1を構成する二つの第1延在部EPのそれぞれの内端(図7(A)参照。)に連結され、且つ、第2金属部材7Bの別の1つである右後金属部材7B2を構成する二つの第1延在部EPのそれぞれの内端(図7(A)参照。)に連結されている。
外側連結部材CMA2は、金属部材7の外側に配置される枠状の連結部材である。図14に示す例では、外側連結部材CMA2は、右前金属部材7B1を構成する二つの第1延在部EPのそれぞれの外端(図7(A)参照。)に連結され、且つ、右後金属部材7B2を構成する二つの第1延在部EPのそれぞれの外端(図7(A)参照。)に連結され、且つ、第3金属部材7Cの1つである左前金属部材7C1に連結され、且つ、第3金属部材7Cの別の1つである左後金属部材7C2に連結されている。
図14(B)の一点鎖線は、切断用レーザ光が照射される位置を表している。具体的には、第2被加工材WP2は、図14(A)に示すようにベース部材18に埋設された状態で固定され、且つ、切断用レーザ光によって切断される。その結果、内側連結部材CMA1及び外側連結部材CMA2は、金属部材7から切り離される。
次に、図16を参照し、第2連結部材CM2から切り離された金属部材7が埋設されたベース部材18について説明する。図16は、第2連結部材CM2から切り離された金属部材7が埋設されたベース部材18を示す図である。具体的には、図16(A)はベース部材18の上面図であり、図16(B)はベース部材18の底面図であり、図16(C)はベース部材18の側面図である。なお、図16では、明瞭化のため、金属部材7に粗いドットパターンが付されている。
第1金属部材7Aを構成している第1端子部材7A1~第12端子部材7A12のそれぞれは、ベース部材18から露出する外部端子部TNと、絶縁基板17(図8(A)参照。)の導電パターン(導電部PD)に接続される接続部CNと、接続部CNから開口18k側へ突出し、ベース部材18の内縁部NEから露出する突出片PTと、を有する。突出片PTの先端部は、ベース部材18の開口18kを臨む内縁部NEから内側に突出している。
そして、接続部CN及び突出片PTの上面は、図16(A)に示すように、ベース部材18から露出しており、複数の突出片PTの先端部は、ベース部材18の内縁部NEに沿うように並んで配置されている。具体的には、第1突出片PT1~第7突出片PT7のそれぞれの先端部は、内縁部NEのうちの中心角が約110度の円弧部分NE1に沿うように並んで配置され、第8突出片PT8~第12突出片PT12のそれぞれの先端部は、内縁部NEのうちの中心角が約70度の別の円弧部分NE2に沿うように並んで配置されている。なお、図16(A)は、円弧部分NE1及び円弧部分NE2のそれぞれの範囲を点線で表している。ベース部材18の内縁部NEから露出する複数の突出片PTの先端部は、内縁部NEに沿うように等間隔に並んでいなくてもよく、等間隔で並んでいてもよい。
また、接続部CN及び突出片PTの下面は、接続部CN及び突出片PTの上面と同様に、図16(B)に示すように、ベース部材18から露出している。すなわち、接続部CN及び突出片PTは、上面及び下面がベース部材18から露出するようにベース部材18に部分的に埋設されている。
また、ベース部材18には、第2金属部材7Bが埋設されている。第2金属部材7Bは、図16(A)に示すように、ベース部材18の内縁部NEと外縁部OEとの間に延在する第1延在部EPを有する。第1延在部EPの一端(内端)は、内縁部NEから内側に突出しているとともに、第1延在部EPの他端(外端)は、外縁部OEから外側に突出している。
また、第1延在部EPは、開口18kを挟んでベース部材18の両側にそれぞれ設けられている。具体的には、図16(A)に示すように、ベース部材18の前側(X1側)には右前金属部材7B1の第1延在部EPが配置され、ベース部材18の後側(X2側)には右後金属部材7B2の第1延在部EPが配置されている。
また、第1延在部EPは、ベース部材18の両側に二つずつ配置されている。具体的には、図16(A)に示すように、ベース部材18の前側(X1側)には右前金属部材7B1を構成する右側縦延在部EP1及び左側縦延在部EP2が配置され、ベース部材18の後側(X2側)には右後金属部材7B2を構成する右側縦延在部EP1及び左側縦延在部EP2が配置されている。この構成は、第2金属部材7Bのねじれを防止できるという効果をもたらす。
また、開口18kを挟んでベース部材18の両側に配置される二つの第1延在部EPは同一直線上に位置するように配置されている。具体的には、図16(A)に示すように、ベース部材18の前側(X1側)に配置される右前金属部材7B1の右側縦延在部EP1と、ベース部材18の後側(X2側)に配置される右後金属部材7B2の右側縦延在部EP1とは、一点鎖線L4上に位置するように配置されている。同様に、ベース部材18の前側(X1側)に配置される右前金属部材7B1の左側縦延在部EP2と、ベース部材18の後側(X2側)に配置される右後金属部材7B2の左側縦延在部EP2とは、一点鎖線L5上に位置するように配置されている。
また、第2金属部材7Bは、二つの第1延在部EP同士を連結する連結部CTを有するように構成されている。具体的には、図16(A)に示すように、右前金属部材7B1は、右側縦延在部EP1と左側縦延在部EP2とを連結する連結部CTを有する。同様に、右後金属部材7B2は、右側縦延在部EP1と左側縦延在部EP2とを連結する連結部CTを有する。
また、第1延在部EPは、延在方向の全域(全長)にわたって、ベース部材18の上面に露出している。そして、第1延在部EPを埋設する部分におけるベース部材18の上面と第1延在部EPの上面とは面一となっている。具体的には、図16(C)に示すように、右前金属部材7B1の右側縦延在部EP1の上面TF1、右前金属部材7B1の左側縦延在部EP2の上面TF2、及び、第1延在部EPを埋設する部分におけるベース部材18の上面TF3は、面一となっている。右後金属部材7B2についても同様である。
また、第2金属部材7Bには、第1延在部EPの延在方向と交差する方向に延在する第2延在部SEが第1延在部EPと繋がるように設けられている。そして、第2延在部SEの第1延在部EPから離れた位置にある離間部APは、下方側へ折り曲げられるとともに、上面がベース部材18に埋設される。なお、第2延在部SEの残りの部分(離間部AP以外の部分)は、延在方向の全域(全長)にわたって、ベース部材18の上面に露出している。
具体的には、図16(A)に示すように、第2金属部材7Bの一つである右前金属部材7B1には、第1延在部EPの延在方向(X軸方向)と交差する方向(Y軸方向)に延在する第2延在部SEが第1延在部EPと繋がるように設けられている。より具体的には、第2延在部SEの一つである右側横延在部SE1は、第1延在部EPの一つである右側縦延在部EP1と繋がるように設けられ、第2延在部SEの別の一つである左側横延在部SE2は、第1延在部EPの別の一つである左側縦延在部EP2と繋がるように設けられている。
右側縦延在部EP1から離れた位置にある右側横延在部SE1の離間部AP1(図7も参照。)は、延長部ELを介してワイヤ支持部SPに繋がっている。また、離間部AP1は、延長部ELに接続されるところで、下方側へ折り曲げられるとともに、上面がベース部材18に埋設されている。左側縦延在部EP2から離れた位置にある左側横延在部SE2の離間部AP2(図7も参照。)は、左側横延在部SE2の先端部を構成している。また、離間部AP2は、下方側へ折り曲げられるとともに、上面がベース部材18に埋設されている。第2金属部材7Bの別の一つである右後金属部材7B2についても同様である。
また、第1延在部EPの上面と突出片PTの上面とは、同じ高さに位置している。具体的には、図15(A)及び図15(B)に示すように、第2被加工材WP2は、右前金属部材7B1の右側縦延在部EP1の上面TF1(図16(C)参照。)と、右前金属部材7B1の左側縦延在部EP2の上面TF2(図16(C)参照。)と、突出片PTの上面UFとが同一平面上に位置するように構成されている。図15(B)の細かいドットパターンが付された部分は、同一平面上に位置していることを表している。
次に、図17及び図18を参照し、第1金属部材7Aの詳細について説明する。図17は、第1金属部材7Aのうちの一つである第6端子部材7A6の詳細を示す。具体的には、図17(A)は、第6端子部材7A6の六面図である。図17(B)は、第6端子部材7A6の上方斜視図である。図17(C)は、第6端子部材7A6の下方斜視図である。図18は、第6端子部材7A6が埋設されたベース部材18の斜視図であり、図14(A)の破線で囲まれた範囲R4内の部分の拡大図に相当する。具体的には、図18(A)は、範囲R4内の部分の下方斜視図であり、図18(B)は、範囲R4内の部分の上方斜視図である。なお、図18では、明瞭化のため、金属部材7にドットパターンが付されている。
なお、以下の説明は、主に第6端子部材7A6に関するが、第1端子部材7A1~第5端子部材7A5及び第7端子部材7A7~第12端子部材7A12のそれぞれにも同様に適用され得る。特に、第1端子部材7A1~第12端子部材7A12のそれぞれにおける接続部CNは、半田付けの際に重要となる熱容量を揃えるために、同一形状であることが望ましい。
第6端子部材7A6は、ベース部材18から露出する第6外部端子部TN6と、絶縁基板17(図8(A)参照。)の導電パターン(導電部PD6)に接続される第6接続部CN6と、第6外部端子部TN6と第6接続部CN6とを繋ぐ第6繋ぎ部CB6と、図18(B)に示すように第6接続部CN6から開口18k側へ突出してベース部材18の内縁部NEから露出する第6突出片PT6と、を有する。
具体的には、第6接続部CN6は、基部BPと、基部BPから絶縁基板17側である上側(Z1側)へ突出した凸部PRとを有する。そして、図18(B)に示すように、基部BPの上面と第6突出片PT6の上面UF6とは、同じ高さに位置している。すなわち、基部BPの上面と第6突出片PT6の上面UF6とは、同一平面上に位置している。
本実施形態では、凸部PRは、ハーフパンチ加工によって形成されている。そのため、第6接続部CN6の裏側(Z2側)には凹部REが形成される。但し、凸部PRは、他の加工方法によって形成されてもよい。
凸部PRは、半田又は導電性接着剤によって絶縁基板17の導電部PDに接合されるように構成されている。本実施形態では、凸部PRと導電部PDとの接合は、凸部PRの表面と凸部PRの周囲にある基部BPの表面とに半田ペーストが塗布され、且つ、凸部PRと導電部PDとが対向するように配置された状態で、凸部PRの裏側にある凹部REに加熱用レーザ光が照射されることによって実現される。すなわち、凸部PRと導電部PDとの接合は、半田付けによって実現される。
また、本実施形態では、基部BPの上面(図18(B)参照。)及び第6突出片PT6の上面UF6(図18(B)参照。)は、基準面(図15における細かいドットパターンが付された部分参照。)の一部であり、同一平面上に位置している。すなわち、第1金属部材7Aは、接続部CN(凸部PR)と導電部PDとの接合に用いられる半田ペーストが塗布される面(基部BPの上面)が基準面と同じ高さになるように、ベース部材18に埋め込まれている。そのため、この構成は、第1金属部材7Aに曲げ加工が施される必要もなく、ベース部材18のインサート成形が容易に実現され得るという効果をもたらす。
基部BPの外周には、図17(A)及び図17(B)に示すように、基部BPよりも低い位置に、基部BPに対して段差DSを形成して外側に突出する埋設片EDが設けられている。埋設片EDは、タブとも称される。図17に示す例では、埋設片EDは、第1埋設片ED1及び第2埋設片ED2を含む。本実施形態では、埋設片EDは、凸部PRと同様にハーフパンチ加工によって形成されている。但し、埋設片EDは、他の加工方法によって形成されてもよい。
また、埋設片EDは、図18(B)に示すように、上面及び下面を含んでベース部材18に埋設されている。ベース部材18は、埋設片EDが埋設される部分TPの厚さTK1が、第6突出片PT6が埋設される部分QPの厚みTK2よりも厚くなるように構成されている。
この構成は、第6端子部材7A6がベース部材18から剥がれにくくなるという効果をもたらす。
次に、図19を参照し、第1金属部材7Aの別の一つである第7端子部材7A7の詳細について説明する。図19は、ベース部材18に埋設される第7端子部材7A7の斜視図である。具体的には、図19(A)は、ベース部材18に埋設された第7端子部材7A7の上方斜視図であり、図14(A)の破線で囲まれた範囲R4内の部分の拡大図に相当する。図19(B)は、第7端子部材7A7の上方斜視図であり、図19(A)におけるベース部材18の図示が省略されたときの状態を表している。なお、図19では、明瞭化のため、金属部材7にドットパターンが付されている。
第7端子部材7A7は、J字状に湾曲する第7繋ぎ部CB7を有する点で、直線状の第6繋ぎ部CB6を有する第6端子部材7A6等の他の端子部材と異なるが、その他の点で他の端子部材と共通している。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
具体的には、第7繋ぎ部CB7は、第7外部端子部TN7よりも外側(光軸JDから遠い側であるY1側)に延びた後で折り返されるように構成されている。第1センサ10Aが収容される第1凹部19Aを回避するためである。また、ベース部材18の端部(Y1側の端部)と第7外部端子部TN7との間の距離DX1(図16(B)参照。)が、ベース部材18の端部(Y1側の端部)と第6外部端子部TN6等の他の外部端子部との間の距離と等しくなるようにするためである。
ベース部材18の張り出し部18pは、図19(A)に示すように、ベース部材18の外縁部OEよりも外側(Y1側)に延びる第7繋ぎ部CB7の外端部を覆うことができるように構成されている。また、張り出し部18pは、ケース4を下側部材LBに取り付ける際の位置決め部として機能するように構成されている。
この構成により、第7端子部材7A7は、第1凹部19Aとの干渉を避けながらも、第7外部端子部TN7を適切な位置に配置できる。
上述のように、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101は、例えば図3に示すように、レンズ体を保持可能なレンズ保持部材2及びレンズ保持部材2を光軸方向へ移動させる第1駆動機構としての軸方向駆動機構MKを含む可動側部材MBと、可動側部材MBを光軸方向と交差する方向へ移動可能に支持するサスペンションワイヤとしてのワイヤ8と、ワイヤ8の下端部を支持する支持部材としてのベース部材18と、可動側部材MBを光軸方向と交差する方向へ移動させる第2駆動機構としての径方向駆動機構RKと、を備えている。
そして、可動側部材MBは、例えば図4に示すように、レンズ保持部材2を光軸方向へ移動可能に支持する上側板ばね16及び下側板ばね26と、レンズ保持部材2の外側に設けられ上側板ばね16が固定されるばね固定部材としての磁石保持部材MHと、を有する。
そして、上側板ばね16は、例えば図11に示すように、レンズ保持部材2に固定された第1部分としての内側部分16iと、磁石保持部材MHに固定された第2部分としての外側部分16eと、内側部分16iと外側部分16eとの間に設けられた弾性変形可能な第1弾性腕部16gと、外側部分16eの外側に位置する板状部16pと、外側部分16eと板状部16pとを繋ぐように設けられた連結部16fと、を有する。
そして、ワイヤ8の上端部は、板状部16pに設けられたワイヤ固定部16cに半田付けされており、板状部16pには、ワイヤ固定部16cよりも外側の位置に、上側板ばね16の切断部16sが設けられている。
この構成により、レンズ駆動装置101は、更なる小型を実現できる。レンズ駆動装置101は、ワイヤ固定部16cと外側部分16eとの間に、従来の構成における突出部を有さないためである。なお、突出部は、サスペンションワイヤとワイヤ固定部との間の半田付けの際にワイヤ固定部を加熱するためのレーザ光を照射できるように設けられた部分である。
ワイヤ固定部16cよりも光軸JDから遠い側に位置する板状部16pの外縁部には、例えば図11に示すように、凹状の切欠き部RSが形成されていてもよい。そして、切断部16sは、切欠き部RSを挟んで両側にそれぞれ設けられていてもよい。
この構成は、切断用レーザ光によって切断される切断部16sの長さ(幅寸法)を小さくできる。また、この構成は、例えば図13(A)に示すように、切断され且つワイヤ固定部16c(板状部16p)から切り離される第1連結部材CM1に、半田付けのための加熱用レーザ光が照射される範囲STが提供されるようにする。そのため、凹状の切欠き部RSは、溶融した半田が範囲ST内に移動するのを抑制でき、溶融した半田に加熱用レーザ光が照射されてしまうのを防止できる。
切断部16sの切断面は、例えば図13(B)に示すように、板状部16pの板面に対して斜めに形成されていてもよい。例えば、切断用レーザ光は、上側板ばね16の上側(Z1側)で光軸JDの近くに設置されたレーザ光源から板状部16pの板面に対して斜めに照射されてもよい。この構成は、上側板ばね16が切断用レーザ光によって切断される際に、例えば磁石保持部材MH等の上側板ばね16以外の部材に切断用レーザ光が照射されてしまうのを防止できる。
上側板ばね16は、板状部16pの外縁部に沿った切欠き部RSの幅寸法W1が、例えば図11(B)に示すように、切欠き部RSの深さ寸法DP1よりも大きく、且つ、切欠き部RSの両側に位置する切断部16sのそれぞれの幅寸法W2、W3よりも大きくなるように形成されていてもよい。すなわち、上側板ばね16は、例えば図13(A)に示す開口OPの幅寸法W6が、深さ寸法DP1よりも大きく、且つ、開口OPの両側に位置する部分のそれぞれの幅寸法W7、W8よりも大きくなるように形成されていてもよい。
この構成は、ワイヤ8とワイヤ固定部16cとの間の半田付けの際に溶融した半田が、板状部16pから外側に延設された延設部EGに移動してしまうのを抑制できる。
連結部16fは、例えば図11に示すように、板状部16pから内側に延在する延在部ENと、一端部が外側部分16eの離間した2箇所にそれぞれ繋がるとともに、他端部が延在部ENに繋がった二つの弾性変形可能な第2弾性腕部AMとを有していてもよい。そして、二つの第2弾性腕部AMのそれぞれは、少なくとも一つの湾曲部BTを有していてもよい。
この構成は、第2弾性腕部AMが弾性変形することでワイヤ8の過度の変形を抑制できるため、ワイヤ8の破断又は座屈等を防止できる。
なお、図11に示す例では、連結部16fは、二つの第2弾性腕部AMのそれぞれの他端部が合流して一つの延在部ENに繋がり、その一つの延在部ENが板状部16pに繋がるように構成されている。しかしながら、連結部16fは、二つの第2弾性腕部AMのそれぞれが別々の延在部ENを介して板状部16pに繋がるように構成されていてもよい。
二つの第2弾性腕部AMの湾曲部BTは、例えば図11(B)に示すように、それぞれ外側に突出したU字状の第1湾曲部BT1を含んでいてもよい。この場合、U字状の第1湾曲部BT1の一端部同士は延在部ENを介して互いに繋がっていてもよい。そして、上側板ばね16は、二つのU字状の第1湾曲部BT1の間に板状部16pの一部が位置するように構成されていてもよい。
この構成は、第2弾性腕部AMの長さを長くできるという効果をもたらす。そのため、この構成は、上側板ばね16の設計自由度を高めることができる。
延在部ENは、図11(B)に示すように、板状部16pの幅寸法W4よりも小さい幅寸法W5を有する幅狭部HNを有していてもよい。
この構成は、ワイヤ8とワイヤ固定部16cとの間の半田付けの際に、ワイヤ固定部16cに伝えられた熱が、延在部ENを通じて外に逃げてしまうのを抑制できる。
本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101の製造方法は、板状部16pから外側に延設された延設部EGに加熱用レーザ光を照射することによって、ワイヤ8の上端部と板状部16pに設けられたワイヤ固定部16cとを半田付けする半田付け工程と、半田付け工程の後に、板状部16pと延設部EGとを分離する分離工程とを有する。
この製造方法によって製造されるレンズ駆動装置101は、更なる小型化が実現される。最終的に板状部16pから切り離される延設部EGに加熱用レーザ光を照射することによって、ワイヤ8とワイヤ固定部16cとの間の半田付けが実現されるためである。すなわち、レンズ駆動装置101は、加熱用レーザ光を照射するための部分が最終製品に含まれないように製造されるためである。
板状部16pと延設部EGとに跨るように開口OPが形成されていてもよい。この場合、分離工程において、開口OPの一方の側に位置する部分が他方の側に位置する部分から容易に分離され得る。
また、分離工程は、切断用レーザ光を板状部16pと延設部EGとの間に照射することによって行われてもよい。この場合、板状部16pと延設部EGとの間に照射される切断用レーザ光は、図13(B)に示すような切断部16sが形成されるように、上側板ばね16の板面に対し、斜めに照射されてもよい。この分離工程は、上側板ばね16が切断用レーザ光によって切断される際に、例えば磁石保持部材MH等の上側板ばね16以外の部材に切断用レーザ光が照射されてしまうのを防止できる。
なお、半田付け工程で使用される加熱用レーザ光の光源は、分離工程で使用される切断用レーザ光の光源とは異なるものであってもよく、同じものであってもよい。
延設部EGの延設方向と直交する方向における開口OPは、その幅寸法W6が、図13(A)に示すように、延設部EGの延設方向における開口OPの寸法DP2よりも大きく、且つ、開口OPの両側に位置する部分のそれぞれの幅寸法W7、W8よりも大きくなるように形成されていてもよい。この構成は、ワイヤ8とワイヤ固定部16cとの間の半田付けの際に溶融した半田が、板状部16pから外側に延設された延設部EGに移動してしまうのを抑制できる。
本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101は、開口18kを有するベース部材18と、ベース部材18の上面に配置され、導電パターンが形成された絶縁基板17と、ベース部材18及び絶縁基板17の上方に配置され、レンズ体を保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ保持部材2をベース部材18に対して移動させる、少なくとも可動コイル3及び磁石5を有して構成される軸方向駆動機構MKと、を備えている。ベース部材18は、絶縁性の合成樹脂材で形成されている。そして、ベース部材18には、例えば図7に示すように、複数の第1金属部材7A(第1端子部材7A1~第12端子部材7A12)が埋設されている。第1金属部材7Aは、それぞれ、ベース部材18から露出する外部端子部TNと、絶縁基板17の導電パターンに接続される接続部CNと、接続部CNから開口18k側へ突出し、ベース部材18の内縁部NEから露出する突出片PTと、を有する。接続部CNの上面及び突出片PTの上面UFは、ベース部材18から露出している。複数の突出片PTの先端部は、ベース部材18の内縁部NEに沿うように並んで配置されている。
この構成は、ベース部材18における導電パターンの形成を不要とするため、レンズ駆動装置101の生産性を向上させることができる。また、この構成は、接続部CNが突出片PTを介して内側連結部材CMA1に繋がるように構成されているため、ベース部材18内での第1金属部材7Aの引き回しの自由度を高めることができる。なお、内側連結部材CMA1は、開口18k内に配置されている第2被加工材WP2の一部であり、最終的には切断されて第1金属部材7Aから切り離される部材である。
接続部CNの下面及び突出片PTの下面は、接続部CNの上面及び突出片PTの上面UFと同様に、ベース部材18から露出するように構成されていてもよい。
この構成は、ベース部材18のインサート成形の際に、接続部CN及び突出片PTが金型等によって押さえ付けられるのを可能にするため、ベース部材18内における第1金属部材7Aの位置決め精度を高めることができる。
接続部CNは、例えば図17(A)に示すように、基部BPと、基部BPから絶縁基板17側である上方へ突出した凸部PRとを有していてもよい。この場合、接続部CNは、例えば図18(B)に示すように、基部BPの上面と突出片PTの上面とが同じ高さに位置するように構成されていてもよい。
この構成は、基部BPと絶縁基板17との間に半田等の接合材を設けることを可能にするため、接続部CNと絶縁基板17の導電部PD(導電パターン)との間の接合材による良好な接続を実現できる。また、この構成は、接続部CNと突出片PTとの間に、折り曲げを必要としない。なお、接続部CNは、例えば図18(A)に示すように、基部BPの下面と突出片PTの下面とが同じ高さに位置するように構成されていてもよい。
基部BPの外周には、例えば図17(A)に示すように、基部BPよりも低い位置に、基部BPとの間に段差DSを有して外側に突出した複数の埋設片EDが設けられていてもよい。この場合、埋設片EDは、上面及び下面を含んでベース部材18に埋設されていてもよい。そして、ベース部材18は、例えば図18(B)に示すように、埋設片EDが埋設される部分TPの厚さTK1が、突出片PTが埋設される部分QPの厚さTK2よりも厚くなるように構成されていてもよい。
この構成は、接続部CNがベース部材18から剥がれたり脱落したりするのを抑制することができる。
ベース部材18には、例えば図16(A)に示すように、第2金属部材7Bが埋設されていてもよい。この場合、第2金属部材7Bは、ベース部材18の開口18kを臨む内縁部NEと外縁部OEとの間に延在する第1延在部EPを有していてもよい。そして、第1延在部EPの一端は、内縁部NEから内側に突出しているとともに、第1延在部EPの他端は、外縁部OEから外側に突出していてもよい。
この構成は、例えば図15(A)に示すように、内側連結部材CMA1によって接続部CNが保持されるため、第1金属部材7Aのベース部材18内での引き回しの自由度を向上させることができる。なお、内側連結部材CMA1は、開口18k内に配置され且つ第1延在部EPと突出片PTとに繋がり且つ最終的には切断されて金属部材7から切り離される部材である。
第1延在部EPは、図16(A)に示すように、開口18kを挟んでベース部材18の両側にそれぞれ設けられていてもよい。この構成は、ベース部材18のインサート成形の際の金属部材7の姿勢を安定化させることができるという効果をもたらす。
また、第1延在部EPは、ベース部材18の両側に二つずつ配置されていてもよい。この構成は、ベース部材18のインサート成形の際の金属部材7の捩れを抑制できるという効果をもたらす。
また、ベース部材18の両側に配置される二つの第1延在部EPは、例えば図16(A)に示すように、同一直線上に位置するように配置されていてもよい。この構成は、ベース部材18のインサート成形の際の金属部材7の姿勢を更に安定化させることができるという効果をもたらす。
また、第2金属部材7Bは、二つの第1延在部EP同士を連結する連結部CTを有していてもよい。この構成は、第2金属部材7Bの剛性を高めることができるという効果をもたらす。
また、第1延在部EPは、延在方向の全域(全長)にわたって、ベース部材18の上面に露出するように構成されていてもよい。この場合、図16(C)に示すように、第1延在部EPを埋設する部分におけるベース部材18の上面TF3と第1延在部EPの上面TF1、TF2とは面一となっていてもよい。この構成は、第1延在部EPに曲げ加工が施される必要もなく、ベース部材18のインサート成形が容易に実現され得るという効果をもたらす。
また、第2金属部材7Bには、例えば図16(A)に示すように、第1延在部EPの延在方向と交差する方向に延在する第2延在部SEが第1延在部EPと繋がるように設けられていてもよい。この場合、第2延在部SEの第1延在部EPから離れた位置にある離間部APは、下方側へ折り曲げられるとともに、上面がベース部材18に埋設されていてもよい。この構成は、第1延在部EPがベース部材18から剥がれてしまうのを抑制できるという効果をもたらす。
また、ベース部材18は、第1延在部EPの上面と突出片PTの上面UFとが同じ高さに位置するように構成されていてもよい。この構成は、ベース部材18に埋設される金属部材7の形状が複雑になってしまうのを防止できるという効果をもたらす。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
例えば、本実施形態では、ワイヤ8の下端部は、ベース部材18に埋設された金属部材7のワイヤ支持部SPに固定されているが、ベース部材18に重ねられるプリント配線基板又は絶縁基板17に固定されていてもよい。