JP7479213B2 - 下地処理方法および下地処理装置 - Google Patents

下地処理方法および下地処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、レーザー照射によって対象物の付着物を除去する下地処理方法および下地処理装置に関し、特に、構造物等の下地処理作業におけるレーザー照射の条件を適正化した下地処理方法および下地処理装置に関する。
例えば、橋梁等の鋼構造物の表面には、用途や機能に応じて、塗装、舗装、ライニング、樹脂シート等、種々の被膜が形成される。かかる被膜は、風雨に晒されることが多く、時間の経過とともに、劣化したり酸化物や汚れ等が付着したりすることとなる。鉄部に付着している汚れや錆をしっかりと落とさずに、塗料を塗布してもしっかり塗料が付着しないので、すぐに剥がれてしまうなど、本来の耐久性を発揮することができない。その為、下地処理作業を行い、確実に汚れや錆を除去し密着性を向上させる必要がある。そこで、かかる被膜を有する構造物等では、定期的に洗浄や剥離(下地処理作業を含む)等の除去作業を行い、必要に応じて、被膜の塗り替えや張り替え等の処理を行っている。
従来、対象物表面の錆や塗膜を除去するにおいては、塗膜剥離剤やショトブラストによる剥離処理が行われていたが、作業環境及び作業効率が悪いばかりでなく、大量の除去物の回収・廃棄処理に問題があることから、レーザー照射による錆の除去や塗膜剥離処理が提案されている。
例えば、液体中に設置したターゲットに、パルスレーザー加工をレーザースポットがターゲットに一定間隔以上離れて、スキャンして照射する金属ナノコロイド生成方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、水面からターゲットまでの距離を一定に保ち、かつ水面とターゲット表面を平行とし、パルスレーザレーザ加工を等速で照射することが記載されている。
また、高い残留応力を持つ脆性材の切断加工においても亀裂など生じさせることなく加工可能なレーザー加工装置およびレーザー加工方法として、レーザー光をパルス発振して加工対象物に一定の繰り返し周波数で照射すると共に走査するレーザー光照射機構を備え、照射機構が、繰り返し周波数をH、レーザー光のビーム径をa、レーザー光の同一加工線上への走査回数をn、パルスレーザー光の1照射あたりの移動距離Lをn/2×aとしたとき、レーザー光の走査速度SをL/(1/H)とすると共に、走査回数1回目のレーザー光の照射開始位置をL1として、走査回数n回目のレーザー光の照射開始位置Lnを、L1+(L/n)×(n-1)として走査毎に照射開始位置をずらして照射を行うことが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、ガルバノメータを用いてレーザー光を走査しマーキングを行うレーザマーキング方法において、マーキング線の描き始め地点よりも手前から前記ガルバノメータの動作を開始させるとともに、マーキング線の描き終わり地点を越えても前記ガルバノメータが動作するように制御することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2018-40033号公報 特開2018-40033号公報 特開平7-29057号公報
上述の如く、鋼材の塗装や溶接などにおいては、その作業の実施前に当該部位の表面にあるスケール(製造時に生成した鉄酸化物)を除去する必要がある。通常は、鋼材表面に微小な鉄球などをぶつけ、その運動エネルギによりスケールを除去するショットブラスが用いられるが(小規模な場合はハンディグラインダ)、粉塵、騒音、振動などの環境面に加え、使用したショット球や除去後の廃棄物処分に大きなコストがかかるといった問題がある。
そこで、従来より、環境面、コストともに改善できる方法としてレーザーによる下地処理作業が行われている。
レーザー照射による塗膜剥離処理では、レーザーアブレーションにより、化学薬品を使用することなく、処理対象物の表面の塗装膜を除去することができる。
しかしながら、特許文献1の開示技術は、液体中に設置したターゲットに、パルスレーザーをレーザースポットがターゲットに一定間隔以上離れて、スキャンして照射する金属ナノコロイド生成方法において、パルス毎のレーザー照射ピッチをスポット径の10倍以上離して照射するものであり、金属ナノコロイド生成分野固有のものであり、通常の場合においては、スポット径間の距離を大きく離すことにより、未照射部位が発生することは明確であり、この部分の処理ができないという問題がある。
また、特許文献2の開示技術は、レーザーによる熱影響を抑えることによる切断に関する方法であるが、パルス当たりの照射ピッチをスポット径の1.5倍にすることにより、重ね照射を回避し、発生した未照射部位は、次回および次々回の照射により埋めていくという方法である。本方法では、複数回の照射が必要になるため、作業効率が低下するという問題がある。
さらに、特許文献3の開示技術は、ガルバノミラーによるレーザー照射の応答遅れを防止するものであって、レーザー照射を一本の直線状に開始点から終了点まで実施することにおいて、ガルバノミラーの応答遅れによりレーザー密度が過大になる問題に対し、開始点ではガルバノミラーを照射前から稼働させること、かつ、終了点では減速せず終了点を超えても照射させるというものである。
しかしながら、この特許文献3の開示技術では、照射方向を変えながら一筆書きでレーザー照射する場合においては、所定のレーザー照射範囲を超えてしまうという問題がある。また、本方法は、1本の直線状照射では有効であるが、1本の線状照射毎にレーザーをON/OFFする必要があり、照射時間が長くなることに加え、レーザーON/OFFの直後は、レーザーが安定しない場合があるという問題がある。
レーザーは、その集光特性からエネルギ密度を高めた加工が可能となるが、設備能力(コスト)と作業効率から最適な条件で使用する必要がある。当然ながら、レーザーの集光率を高くした(スポット径の小さい)レーザー密度の高い作業では、品質(下地処理作業ではスケールの除去性能)は優れているが、作業時間が長くなり作業能率が低下する。一方、レーザー集光率を低くした(スポット径の大きい)レーザー密度の低い作業では、品質は低下するが、照射時間が短くなる。したがって、作業における品質と作業能率から最適な条件を設定する必要がある。
ここで、具体的な作業として、構造用鋼の表面スケール削除に関するレーザー条件を調査した結果を図9に示す。これから、下地処理性能として品質および作業効率に優れた最適条件を確保するようにレーザー密度(スポット径)が設定できることが分かる。レーザー密度を決めるスポット径は、レーザー照射距離により決定することができる。
そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の実情に鑑み、構造物等の下地処理作業におけるレーザー照射の条件を適正化した下地処理方法および下地処理装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、レーザー照射による下地処理作業を自動化して、作業環境を改善するとともに、作業者の安全と健康を確保することにある。
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
すなわち、本発明は、レーザー光のパルス照射によって処理対象物の付着物を除去する下地処理方法であって、上記処理対象物の処理対象領域に対するパルスレーザー光の照射によって得られる処理品質が処理品質許容範囲内となるに必要なレーザー密度を設定することにおいて、レーザー密度を決定するスポット径dをレーザー照射距離に基づいて設定するとともに、上記処理対象物の処理対象領域を含む作業領域内で、1パルス当たりのパルスレーザー光の照射位置の移動距離dがスポット径d×(1/√2~1)の範囲内となる移動速度で移動させ、上記作業領域内に移動方向を切り替えてパルスレーザー光の照射位置を移動させる下地処理作業の折り返し点を含む場合に、上記処理品質許容範囲の下限のレーザー密度となるスポット径d にレーザー照射距離を設定することを特徴とする。
本発明は、レーザー光のパルス照射によって処理対象物の付着物を除去する下地処理装置であって、上記処理対象物の処理対象領域にパルスレーザー光を照射するパルスレーザー光照射装置と、上記パルスレーザー光照射装置の動作を制御する制御装置とを備え、上記パルスレーザー光照射装置は、上記処理対象物の処理対象領域にパルスレーザー光を照射するレーザー照射距離を可変設定する照射距離可変設定手段と、上記処理対象領域を含む作業領域内でパルスレーザー光の照射位置を移動させるスキャン手段を備え、上記制御装置は、上記照射距離可変設定手段により、上記処理対象物の処理対象領域に対するパルスレーザー光の照射によって得られる処理品質が処理品質許容範囲内となるに必要なレーザー密度を設定することにおいて、レーザー密度を決定するスポット径dpをレーザー照射距離に基づいて設定するとともに、上記処理対象物の処理対象領域を含む作業領域内で、1パルス当たりのパルスレーザー光の照射位置の移動距離dがスポット径d×(1/√2~1の範囲内となる移動速度で移動させるように、上記パルスレーザー光照射装置の動作を制御し、上記作業領域内に移動方向を切り替えてパルスレーザー光の照射位置を移動させる下地処理作業の折り返し点を含む場合に、上記照射距離可変設定手段により、上記処理品質許容範囲の下限のレーザー密度となるスポット径d にレーザー照射距離を設定することを特徴とする。
本発明では、上記処理対象物の処理対象領域に対するパルスレーザー光の照射によって得られる処理品質が処理品質許容範囲内となるに必要なレーザー密度を設定することにおいて、レーザー密度を決定するスポット径dpをレーザー照射距離に基づいて設定するとともに、上記処理対象物の処理対象領域を含む作業領域内で、1パルス当たりのパルスレーザー光の照射位置の移動距離dがスポット径d×(1/√2~1)の範囲内となる移動速度で移動させ、上記作業領域内に移動方向を切り替えてパルスレーザー光の照射位置を移動させる下地処理作業の折り返し点を含む場合に、上記処理品質許容範囲の下限のレーザー密度となるスポット径d にレーザー照射距離を設定することにより、それぞれのワークに最適な条件での下地処理作業が施可能となり、下地処理品質の改善と作業効率の向上が得られる。
また、本発明によれば、従来の機械的な下地処理作業(ショットブラスト)を自動化することができ、これにより、作業者の環境面での改善や、複雑形状の対象材の下地処理作業も可能になる。
すなわち、本発明では、加工作業の品質と能率の両面から最適な条件を与えることができる。
本発明が適用された下地処理装置の構成を示すブロック図である。 上記下地処理装置に備えられた2軸のガルバノミラー機構の構造を模式的に示す斜視図である。 上記下地処理装置におけるパルスレーザー光の照射位置の送り状態を示す模式図である。 上記下地処理装置におけるパルスレーザー光の照射位置の移動速度の説明に供する図であり、(A)は1パルス当たりの移動距離dをスポット径d分とした移動速度の場合を示し、(B)は1パルス当たりの移動距離dをスポット径dの(1/√2)倍とした移動速度の場合を示している。 実際の作業環境においてレーザー照射して測定して得られたスポット径dを示す特性図である。 一筆書きレーザー照射におけるレーザースポットの移動軌跡を模式的に示す平面図である。 一筆書きレーザー照射の折り返し点近傍においてレーザースポットが重なることを模式的に示す平面図である。 一筆書きレーザー照射の折り返し点近傍においてレーザースポットが重なることによる下地処理作業の品質低下とその対策についての説明に供する図である。 構造用鋼の表面スケール削除に関するレーザー条件を調査した結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、共通の構成要素については、共通の指示符号を図中に付して説明する。また、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
本発明は、例えば図1のブロック図に示すように、ロボットにより下地処理作業を行う下地処理装置100に適用される。
下地処理作業用のロボットは、多関節リンクから構成されるマニピュレータロボット、3軸(X,Y,Z)から構成される3軸ロボット、あるいは移動台車による搬送装置なども含めたものであり、この下地処理装置100では、マニピュレータ20(ロボットアーム21を含む)とロボット制御部30からなるマニピュレータロボット40が採用されている。
すなわち、この下地処理装置100は、パルスレーザー光照射装置10をマニピュレータロボット40に持たせてレーザー光のパルス照射によって対象物1の付着物を除去する下地処理作業を行うもので、パルスレーザー光照射装置10、マニピュレータロボット40、統括制御装置50などからなる。
パルスレーザー光照射装置10は、レーザー発振部11と、レーザー発振部11からレーザー光を伝送する光ファイバー12およびレーザー光を照射するレーザーヘッド部13からなる。
このパルスレーザー光照射装置10は、統括制御装置50によりレーザー光照射条件が制御され、レーザー発振部11によりパルスレーザー光Lpを発生し、レーザーヘッド部13から出射して、対象物1に照射する。
このパルスレーザー光照射装置10のレーザーヘッド部13には、図2に示すように、2つのモータ131X、131Yと2つのミラー132X、132Yからなる2軸のガルバノミラー機構130が設けられている。
この2軸のガルバノミラー機構130は、レーザー発振部11から光ファイバー12を介して供給されるパルスレーザー光LpをX軸方向とY軸方向に独立してレーザーの反射角度を変更させて走査することができるようになっている。
2軸のガルバノミラー機構130は、対象物1の処理対象領域内でパルスレーザー光Lpの照射位置を移動させるスキャン手段として機能する。
すなわち、ミラー132Xは、モータ131XによりZ軸周りに回転することにより、対象物1に照射するパルスレーザー光LpをX軸方向に走査する。
また、ミラー132Yは、モータ131YによりX軸周りに回転することにより、対象物1に照射するパルスレーザー光LpをY軸方向に走査する。
なお、上記2軸のガルバノミラー機構130における二つのミラー132X、132Yは、それぞれポリゴンミラーに置き換えることができる。
すなわち、パルスレーザー光照射装置10のレーザーヘッド部13の位置を固定した状態で、所定の範囲内を照射することができるようになっている。
なお、ガルバノミラーやポリゴンミラーによる走査では光軸が法線方向と一致するのは一点のみで、パルスレーザー光Lpの焦点位置は円弧状に位置することになるので、この2軸のガルバノミラー機構130は、テレセントリックf-θレンズ(あるいはテレセントリックf-θレンズと同等の光学特性を有するテレセントリック光学系)133を介してパルスレーザー光Lpを対象物1に照射するようになっている。すなわち、カルバノミラー走査によるレーザー照射では、対象物1まで焦点距離が変化するので、レーザー処理能力の低下幅が小さい範囲内でパルスレーザー光Lpの照射位置を走査するように、レーザー照射範囲を制約する必要がある。
また、マニピュレータロボット40のマニピュレータ20は、多関節のロボットアーム21を備え、ロボットアーム21の先端部21Aに上記パルスレーザー光照射装置10のレーザーヘッド部13が取り付けられている。
すなわち、上記ロボットアーム21の先端部21Aに取り付けられた上記パルスレーザー光照射装置10のレーザーヘッド部13は、上記マニピュレータロボット40の作業範囲内の任意の位置において、任意の方向に向けてパルスレーザー光Lpを照射することができるようになっている。
また、このマニピュレータロボット40は、処理対象物1の処理対象領域にレーザーヘッド部13からパルスレーザー光Lpを照射するレーザー照射距離を可変設定する照射距離可変設定手段として機能する。
統括制御装置50は、上記ロボットアーム21の先端部21Aに取り付けられたパルスレーザー光照射装置10のレーザーヘッド部13が予め設定したマニピュレータロボット40による下地処理作業軌道を通過するように所定のロボット動作条件をロボット制御部30に送信し、ロボット制御部30はこれに基づいてロボットを制御するとともに、パルスレーザー光照射装置10のレーザー照射条件をレーザー発振部11に送信し、レーザー発振部11はこれに基づきレーザー照射するとともにガルバノミラー機構130が動作することにより、この下地処理装置100による一連の下地処理作業動作を自動制御する。
この下地処理装置100におけるマニピュレータロボット40の制御は、基本的には、ロボット制御部30を用いて事前にティー チングにより動作軌道がプログラミングされる。
また、レーザー照射は、統括制御装置50にて決定されたレーザー照射パターンをレーザー発振部11に指令を出し、レーザー発振部11は、統括制御装置50からの指令に基づきレーザーヘッド部13に組み込まれているガルバノミラー機構130を駆動することによりレーザー照射を所定の通り実施する。
統括制御装置50は、ロボット制御部30から、ロボットがレーザー照射すべき所定の位置に到着した信号を受け取り、レーザー発振部11にレーザー照射開始の指令を送る。また、統括制御装置50は、レーザー発振部11から、レーザー照射完了の信号を受け取り、ロボット制御部30に次の照射位置に移動する開始指令を送る。
統括制御装置50は以上の制御動作をレーザー照射開始位置から終了位置まで繰り返すことにより、対象物1の処理対象領域全体の下地処理作業を実施する。
例えば、図3に示すように、2軸のガルバノミラー機構130によるパルスレーザー光Lpの照射位置の走査範囲すなわちレーザー照射範囲の大きさを、例えば、50mm×50mmとした四角の基本面積で、対象物1の全処理対象領域をX方向に(n-1)分割し、Y方向に(m-1)分割し、左上端点を(1,1)とし、X軸方向に50mm進んだ点を(1,2)とし、順次進めていき右方向の終端を(1,n)とする。
次に、Y方向下向きに50mm進んだ点を(2,n)とし、今度はX方向を左方向に50mm進んだ点を(2,n-1)とし、順次進めていき左方向の終点を(2,1)とする。
以降同様に、右下の最終点(m,n)まで、この操作を実施する。
マニピュレータ40の移動方法としては、上記点に基づき、左上点(1,1)からスタートし、斜線で示す照射範囲AR11を2軸のガルバノミラー機構130により走査して下地処理作業を行った後、次の(1,2)点にレーザーヘッド部13を移動させ、同様に点々で示す照射範囲AR12を2軸のガルバノミラー機構130により走査して下地処理作業を実施する。
ここで、この下地処理装置100における統括制御装置50では、それぞれのワークに対するレーザー照射の最適条件を決定すべく、対象物1毎の作業仕様(加工品質や作業能率など)に基づき、最適なスポット径d(レーザー密度)を実現するためのレーザー照射距離を関数プログラムとして内蔵されており、これに基づいて照射距離と1パルス当たりのレーザー移動距離が設定される。ここで、最適なスポット径dは、事前のオフライン試験等の結果から、対象物1毎に所定の品質・能率が得られるように決められる。
例えば、図4の(A)に示すように、上記処理対象物の処理対象領域に対するパルスレーザー光の照射によって得られる処理品質が処理品質許容範囲内となるに必要なレーザー密度を設定することにおいて、レーザー密度を決定するスポット径dをレーザー照射距離に基づいて設定するとともに、1パルス当たりの移動距離dをd=dすなわちスポット径d分移動させる移動速度とする。
これにより、照射するパルスの重なりもなく、かつ未照射部位を最小にできることから効率的なレーザー照射が可能である。
ただし、同一スポット径dにおいて未照射部位を許容できない加工の場合などでは、図4の(B)に示すように、1パルス当たりの移動距離dをdm=d/√2すなわちスポット径dの(1/√2)倍として一部重なりを許容する移動速度とすることにより、未照射部分および重なり部分の両方を最小にすることができる。
実験により、1パルス当たりの移動距離dを、スポット径dの(1/√2~1)倍の範囲で設定すればよいことが確認されている。
この下地処理装置100における上記統括制御装置50は、上記処理対象物1の処理対象領域に照射するパルスレーザー光Lpのスポット径dをレーザー照射距離によって可変にすることができ、上記処理対象物1の処理対象領域に照射するパルスレーザー光Lpをデフォーカスさせることによりスポット径dを最適値に設定することができる。
また、レーザー照射距離は、ワーク形状や周辺設備の干渉などにより、常に一定の距離に制御することは難しいが、上記レーザー密度(スポット径d)の許容範囲内になるようにレーザー照射距離を制御することで、最適な条件でレーザー照射を行うことができる。
すなわち、この下地処理装置100における統括制御装置50は、例えば、領域内の処理対象領域が曲面である場合に、上記曲面によるレーザー照射距離の変化に伴うスポット径dの変化が処理品質許容範囲のレーザー密度となるスポット径dの変化範囲内になるレーザー照射距離に設定することにより、曲面の処理対象領域に対して最適な条件でレーザー照射を行うことができる。
また、この下地処理装置100における統括制御装置50は、レーザーヘッド部13から見た対象物1の処理対象領域形状に凹凸があり、レーザー照射距離が変化する場合において、最も遠い位置に対して品質許容値内のレーザー密度が下限値となるスポット径dに設定し、レーザー光の照射距離が小さくなるにつれてスポット径が小さく(レーザー密度が大きく)なる方向にスポット径を設定することにより、曲面の処理対象領域に対して最適な条件でレーザー照射を行うことができる。
この下地処理装置100におけるパルスレーザー光照射装置10には、焦点深度(焦点を挟んで遠近方向にスポット径dが同一とみなせる範囲)の大きい光学系を用いることが望ましい。
なお、パルスレーザー光のスポット径dは、実際に作業するように組み上げた下地処理装置100におけるパルスレーザー光照射装置10を用いて、実際の作業環境においてレーザー照射し、その時のスポット径dを測定することが望ましい。
すなわち、一般的には、レーザー装置メーカから入手することが考えられるが、メーカから必要な情報を得ることができなかったり、あるいは、得られたとしてもラボ試験結果であって実際にシステムとして組み上げた最終装置や使用環境において実際の値とメー カ値とが異なる場合がある。
スポット径の測定には、照射対象ワークとして、レーザー照射痕が明確に確認できる樹脂(塩化ビニルなど)を用いる。
レーザーヘッド部13に設けられたレンズからワークまでの距離を照射距離として、これを変更することによりレーザーの焦点位置が変化し、スポット径dを変化させることができる。
このようにしてスポット径dを変化させてレーザー照射した時のレーザー照射痕を顕微鏡撮影し(100倍程度の拡大で十分である)、複数の照射痕に対し、その照射方向および垂直方向の径をそれぞれ測定し、平均値化することで最終的な平均スポット径とする。測定する照射痕の数は10個以上が望ましい。
実際に得られたスポット径dの測定結果を図5に示す。
この下地処理装置100では、このようにして測定した結果として得られたスポット径dに基づき、処理対象物1の処理対象領域に対するパルスレーザー光の照射によって得られる処理品質が処理品質許容範囲内となるに必要なレーザー密度を得るスポット径dをレーザー照射距離に基づいて設定し、上記処理対象物1の処理対象領域を含む作業領域内で、1パルス当たりのパルスレーザー光Lpの照射位置の移動距離dmがスポット径d×(1/√2~1)の範囲内となる移動速度で移動させるように制御している。
また、この下地処理装置100におけるパルスレーザー光照射装置10では、パルスレーザー光の照射方向をガルバノミラーによりX方向、Y方向独立に制御可能な2軸のガルバノミラー機構130がレーザーヘッド部13に設けられている。
ガルバノミラーはサーボモータにより駆動され、折り返し点では減速・加速する必要がある。そして、例えば、図6に一筆書きレーザー照射におけるレーザースポットLSの移動軌跡を示す。本図が示すように、矢印Aで示す移動軌跡の一筆書きレーザー照射では両端部で180度方向を変更し、また、矢印Bで示す移動軌跡の一筆書きレーザー照射では90度方向変更するので、レーザー照射の方向の変更点毎に、減速・加速する必要があり、この減速・加速により単位時間当たりのレーザー密度が高くなり、品質に影響する場合がある。
なお、一筆書きレーザー照射は、レーザー照射の方向の変更点でレーザーをOFFする必要が無く、作業時間の短縮につながる。
しかし、一筆書きレーザー照射では、例えば図7に示すように端部折り返し時に、レーザー移動速度が減速することに加え、折り返し点においてレーザースポットLSが完全に重なってしまうことにより投入エネルギが必要以上に大きくなり、通常の制御目標値CN1に設定して下地処理作業を行うと、図8に示す品質特性F1のように品質低下となる部分が発生する虞がある。
そこで、この下地処理装置100における統括制御装置50は、上記作業領域内に移動方向を切り替えてパルスレーザー光Lpの照射位置を移動させる下地処理作業の折り返し点を含む場合に、制御目標値を切り替えて上記処理品質許容範囲の下限のレーザー密度となるスポット径dにレーザー照射距離を設定することにより、制御目標値CN2で下地処理作業を行い、図8に示す品質特性F2のように折り返し点近傍においても良好な品質で下地処理作業を行うことができるようにしている。
このように、下地処理作業の品質の許容範囲を有効活用することで、品質低下する部分を最小限にすること、条件によっては、品質低下部分を無くすことが可能となる。
1 対象物、10 レーザー照射装置、11 レーザー発振部、12 光ファイバー、13 レーザーヘッド部、20 マニピュレータ、21 ロボットアーム、21A 先端部、30 ロボット制御部、40 マニピュレータロボット、50 統括制御装置、100 下地処理装置、130 ガルバノミラー機構、131X、131Y モータ、132X、132Y ミラー、133 テレセントリックf-θレンズ

Claims (2)

  1. レーザー光のパルス照射によって処理対象物の付着物を除去する下地処理方法であって、
    上記処理対象物の処理対象領域に対するパルスレーザー光の照射によって得られる処理品質が処理品質許容範囲内となるに必要なレーザー密度を設定することにおいて、
    レーザー密度を決定するスポット径dをレーザー照射距離に基づいて設定するとともに、
    上記処理対象物の処理対象領域を含む作業領域内で、1パルス当たりのパルスレーザー光の照射位置の移動距離dがスポット径d×(1/√2~1)の範囲内となる移動速度で移動させ、
    上記作業領域内に移動方向を切り替えてパルスレーザー光の照射位置を移動させる下地処理作業の折り返し点を含む場合に、上記処理品質許容範囲の下限のレーザー密度となるスポット径d にレーザー照射距離を設定する
    ことを特徴とする下地処理方法。
  2. レーザー光のパルス照射によって処理対象物の付着物を除去する下地処理装置であって、
    上記処理対象物の処理対象領域にパルスレーザー光を照射するパルスレーザー光照射装置と、
    上記パルスレーザー光照射装置の動作を制御する制御装置と
    を備え、
    上記パルスレーザー光照射装置は、上記処理対象物の処理対象領域にパルスレーザー光を照射するレーザー照射距離を可変設定する照射距離可変設定手段と、上記処理対象領域を含む作業領域内でパルスレーザー光の照射位置を移動させるスキャン手段を備え
    上記制御装置は、上記照射距離可変設定手段により、上記処理対象物の処理対象領域に対するパルスレーザー光の照射によって得られる処理品質が処理品質許容範囲内となるに必要なレーザー密度を設定することにおいて、レーザー密度を決定するスポット径dをレーザー照射距離に基づいて設定するとともに、上記処理対象物の処理対象領域を含む作業領域内で、1パルス当たりのパルスレーザー光の照射位置の移動距離dがスポット径d×(1/√2~1)の範囲内となる移動速度で移動させるように、上記パルスレーザー光照射装置の動作を制御し、上記作業領域内に移動方向を切り替えてパルスレーザー光の照射位置を移動させる下地処理作業の折り返し点を含む場合に、上記照射距離可変設定手段により、上記処理品質許容範囲の下限のレーザー密度となるスポット径d にレーザー照射距離を設定することを特徴とする下地処理装置。
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