JP7477879B2 - 弓用ストリングのループ部形成方法および弓用ストリングの製造方法 - Google Patents
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Description
また、和弓において、最近では、ケブラー(登録商標)、ザイロン、アラミド繊維等の合成繊維製の弦が主流となっている。特に近年、後述するようなアーチェリー用(洋弓用)のストリングを和弓に転用して用いる場合も見受けられる。
ストリング本体の両端には弓本体にかけるループ部が設けてあり、通常は弓の上下両端に設けたリムチップにループ部をかけることで弓に弦を張る。リムチップには、ループ部が嵌合する嵌合溝が形成されていることが多い。
このとき、左右それぞれに2本のピン(計4本)を有するストリング作成装置(一般的に、ストリングジグあるいはジグと称される)が用いられる場合が多い。このようなストリング作成装置は、長尺状で長さが可変自在の基台と、この基台の両端に軸支された左右の回動自在ステージと、この左右の回動自在ステージそれぞれの両端部に立設されたピンと、からなり、計4本のピンにスリトング原糸をループ状に周回させるのである。ストリング作成装置については、例えば、AVALONのPSM-A-BASICがある。
そして、16str.のストリングを作成する場合には、16str.の半分の8回、ストリング原糸をピンの間に周回させる。
ループ部形成工程の後、所望により、矢をつがえる箇所を保護するためなどの目的でセンターサービングを形成する(センターサービング形成工程)。
また、下記特許文献1にあるように、熱収縮プラスチックチューブを用いてループ部を補強する技術もある。
最後に、補強部の両端部付近同士を連結糸で固定して補強部をループ化する(補強部ループ化工程)。このとき、補強部の両端部付近に加えて、ストリングの両端部も所定長さに亘って補強することが多い。また、連結糸として補強糸と同じものを用いることもある。
このサーバーはボビンに巻かれた補強糸が内部にセットされ、糸出し口から外部に補強糸を引っ張り出すのであるが、引っ張り出された補強糸にはサーバーの内側からテンション(通常、500~1,500g程度の場合が多い)がかかっている。
そして、束状ストリングに補強糸の先端を巻き付けた後、サーバーの糸出し口を集束ストリングに近接させた状態で、サーバーを弾くように付勢して束状ストリングを中心にサーバーを回転させ、サーバーの遠心力を利用して、テンションのかかった補強糸を束状ストリングに「強く」巻くのである。このような方法は、例えば、動画配信サイト(https://www.youtube.com/watch?v=uEVHLoFAqG4 10:50~12:30参照)などで確認することができる。
巻き付け部の形成や巻き付け部の圧縮は、束状ストリングにテンションがかかった状態(例えば、束状ストリングをジグに周回させたままの状態)で行うことが好ましい。
「巻き付け部を圧縮」する方法は、例えば、巻き付け部の左右から補強糸を延ばしておき、この補強糸を把持して互いに相手方向に向かって強く引っ張ることができる。束状ストリングに対して補強糸をスライドさせ、巻き付け部のみを圧縮するのである。
前述したように、巻き付け工具(サーバー)を用いて補強糸を巻く場合、サーバーの遠心力などを利用するため、束状ストリングに補強糸が強く巻かれてしまう。その結果、補強部形成工程において「巻き付け部を圧縮」しにくくなることがあった。この現象は、束状ストリングに付着しているワックスを拭き取った場合、より顕著になっていた。
そこで本願発明者は鋭意研究開発を重ねるとともに試行錯誤を繰り返し、束状ストリングの所定箇所に補強糸を手巻き作業で巻き付けることで、サーバーなどの巻き付け工具を用いた場合よりも適度な強さで(緩めに)巻き付けられることを利用し、このようにして得られた巻き付け部を圧縮することで補強部の強度を従来以上に確保するという、いわば逆転の発想によって本願発明を完成させたのである。
補強部形成工程S1は、複数本のストリング原糸からなる束状ストリングの所定箇所に所定長さの補強部を形成する工程である。
より具体的には、図2(a)~(c)に例示するように、ストリング作成装置8の4本のピン83にストリング原糸21を掛け渡すように複数回周回(16str.のストリングの場合は8回)させて環状の束状ストリング2を得ることができきる。
巻き付け部4は、図2(d)および図3に例示するように、束状ストリング2の所定箇所に補強糸3を巻き付けて形成する。巻き付け部4の長さは、形成しようとするループ部7の大きさなどに応じて決定することができる。巻き付け部4の長さは、例えば、5~20cm程度、好ましくは10~15cm程度とすることができる。
さらに、手巻き作業で巻き付ける際には、1本の補強糸3を用いて、束状ストリング2の所定箇所の中央部から左右両方向それぞれに向けて巻き付けることが好ましい。図3は、束状ストリング2の所定箇所の中央部から左右両方向それぞれに向けて補強糸3を巻き付けて、巻き付け部4を形成している様子を例示してある。
そして、図4(a)などに例示するように、巻き付け部4の左右から、巻き付け部4に巻き付けた補強糸の両端31が延びた状態のままとしておくことが好ましい。
補強部折返し工程S2は、補強部形成工程S1で得られた補強部5を概ね中央部から折り返す工程である。補強部5で補強された束状ストリング2の部分(所定箇所)を概ね中央部から折り返すのである。
補強部ループ化工程S3は、補強部折返し工程S2で折り返された補強部5の両端部付近同士を連結糸6で固定してループ化する工程である。補強部5で補強された束状ストリング2の部分(所定箇所)をループ化するのである。両端部付近には両端部も含まれる。
上記、補強部形成工程S1と、補強部折返し工程S2と、補強部ループ化工程S3によって、ストリング一方側のループ部7が形成される。その反対側には他方側のループ部を同様の手順で形成する。そして、図9に例示するように、所望によりセンターサービング12などを形成して、弓用ストリング1を得ることができる。本実施形態の弓用ストリング1は、ストリング本体11と、ストリング本体11の両端部にそれぞれ設けたループ部7と、ストリング本体11の中間部に設けたセンターサービング12を有する。
1 弓用ストリング
11 ストリング本体
12 センターサービング
2 束状ストリング
21 ストリング原糸
3 補強糸
31 (巻き付け部に巻き付けた)補強糸の両端
4 巻き付け部
5 補強部
6 連結糸
7 ループ部
8 ストリング作成装置
81 基台
82 回動自在ステージ
83 ピン
Claims (7)
- 複数本のストリング原糸からなる束状ストリングの所定箇所に所定長さの補強部を形成する補強部形成工程と、
この補強部形成工程で得られた前記補強部を概ね中央部から折り返す補強部折返し工程と、
この補強部折返し工程で折り返された前記補強部の両端部付近同士を連結糸で固定してループ化する補強部ループ化工程と、を有する、弓用ストリングのループ部形成方法において、
前記補強部形成工程では、
束状ストリングの所定箇所に補強糸を巻き付けて所定長さの巻き付け部を形成し、前記巻き付け部の長さが短くなるように、巻き付け部を圧縮して補強部とする、
弓用ストリングのループ部形成方法。
- 補強部形成工程では、
束状ストリングに補強糸を巻き付けて所定長さの巻き付け部を形成し、巻き付け部の長さが10~50%短くなるように、巻き付け部を圧縮して補強部を形成する、
請求項1に記載の弓用ストリングのループ部形成方法。
- 補強部形成工程の前に、
補強部を形成する束状ストリングの所定箇所に付着しているワックスの一部又は全部を拭き取るワックス拭き取り工程を有する、
請求項1または2に記載の弓用ストリングのループ部形成方法。
- 補強部形成工程では、
束状ストリングの所定箇所に補強糸を、巻き付け工具を用いることなく手巻き作業で巻き付けて、所定長さの巻き付け部を形成する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の弓用ストリングのループ部形成方法。
- 補強部形成工程では、
束状ストリングの所定箇所に補強糸を、所定箇所の中央部から左右両方向それぞれに向けて巻き付けて、所定長さの巻き付け部を形成する、
請求項4に記載の弓用ストリングのループ部形成方法。
- 弓用ストリングが、和弓用ストリングである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の弓用ストリングのループ部形成方法。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の弓用ストリングのループ部形成方法によってループ部を形成する工程を含む、
弓用ストリングの製造方法。
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