図1は、本発明の実施の一形態を示す概略図である。図中、1はシャッター装置、2は移動制御盤、3は外部電源、11はシャッターカーテン、12はガイドレール、13はシャッターケース、14は開閉機、15は固定制御盤、16は固定操作部、17は接続ボックス、21は接続コネクタ、22は外部電源プラグ、23は操作部、24は駆動制御部である。
シャッター装置1は、開口部の左右端に設けられたガイドレール12に沿ってシャッターカーテン11を上下動させることにより、開口部の開閉を行うように構成されている。開口部を開く際には、シャッターカーテン11を上部のシャッターケース13内に巻き取って収納する。また、巻き取っておいたシャッターカーテン11をガイドレール12に沿って降下させることにより開口部を閉じる。
この例では、シャッターケース13内に開閉機14を設けており、少なくともシャッターケース13の巻き上げの際には開閉機14の動力により行うことができる。開閉機14は交流電力により動作し、通常時には接続ボックス17を経由して固定制御盤15と電気的に接続されていて、その動作が固定制御盤15により制御される。固定制御盤15には商用電源から電力が供給されており、開閉機14への交流電力の供給を制御し、シャッターカーテン11の上昇、下降の動作を制御する。
固定制御盤15は固定操作部16と電気的に接続されており、固定操作部16への操作者の操作が通知される。例えば、操作者が固定操作部16上の「開」ボタンを操作すると、その旨が固定制御盤15に通知され、固定制御盤15はシャッターカーテン11を上昇させるように開閉機14を駆動制御する。また、例えば操作者が固定操作部16上の「閉」ボタンを操作すると、その旨が固定制御盤15に通知され、固定制御盤15はシャッターカーテン11を下降させるように開閉機14を駆動制御する。固定操作部16には、このほかに「停」ボタンなどが設けられ、動作を中止するように制御してもよい。なお、接続ボックス17に移動制御盤2が接続された場合には、この固定操作部16に対する操作が無効になるように構成されている。これにより、この固定操作盤16に対する操作と移動制御盤2に対する操作の競合を避け、また、移動制御盤2を使用中に固定操作部16に対して行われた操作が移動制御盤2の取り外し後に意図せず実行されるのを防いでいる。
シャッターカーテン11は、停止している状態では図示しないブレーキ手段により状態が保持されている。開閉機14によってシャッターカーテン11の上げ下ろしが行われる際にはブレーキ手段は解除される。シャッターカーテン11の降下の際に障害物を検出すると、ブレーキ手段が作動してシャッターカーテン11の降下を停止させる。あるいはさらに多少上昇させる制御を行う場合もある。火災などの非常時には、ブレーキ手段が解除され、開閉機14の駆動によらずシャッターカーテン11が自重により下降し、開口部が閉じられるように構成してもよい。この場合も、障害物を検出して降下を停止するように構成されているとよい。
接続ボックス17は、開閉機14へ直接供給する交流電力を受ける。上述のように、固定制御盤15と開閉機14との間に接続ボックス17が設けられていて、通常時には固定制御盤15と開閉機14とを電気的に接続している。これにより、開閉機14への電力は固定制御盤15から供給され、固定制御盤15による制御に従って開閉機14が駆動制御されることになる。また、この接続ボックス17には後述する移動制御盤2からの接続コネクタ21が接続可能に構成されている。接続コネクタ21が接続された状態では、固定制御盤15と開閉機14との電気的な接続は切断され、代わりに移動制御盤2と開閉機14とを電気的に接続する。これによって、開閉機14への電力は移動制御盤2から供給されることになり、移動制御盤2による制御に従って開閉機14を駆動制御できるようになる。このように、接続ボックス17は開閉機14にとって交流電力の供給を直接受ける受電手段として機能する。
接続ボックス17における接続コネクタ21の接続形態は任意である。例えば、通常時には固定制御盤15と開閉機14を電気的に接続しているコネクタを外し、移動制御盤2からの接続コネクタ21に差し替える構成でよい。あるいは、接続コネクタ21を挿し込むと機械的に固定制御盤15からの電気的な接続が外れて移動制御盤2と開閉機14とが電気的に接続される構成であってもよい。あるいはまた、接続コネクタ21の接続によってスイッチやリレー、電子デバイスなどによって電気的に切り替わる構成であってもよい。
移動制御盤2は、接続コネクタ21、外部電源プラグ22、操作部23、駆動制御部24などを有して構成されている。接続コネクタ21は、上述のように接続ボックス17に接続することにより開閉機14と電気的に接続し、開閉機14に交流電力を供給するモータ側接続手段として機能する。また外部電源プラグ22は、外部電源3に接続されて電力の供給を受ける外部電源接続手段として機能する。操作部23は、操作者が開閉機14の動作を指示する指示手段として機能する。駆動制御部24は、操作部23に対する操作者の指示に従って開閉機14への電力供給を制御し、シャッターカーテン11の開閉動作を制御することができる。
移動制御盤2を使用する場合には、外部電源プラグ22を外部電源3に接続するとともに、接続コネクタ21を接続ボックス17に接続する。これにより、駆動制御部24による制御に従って、外部電源3からの電力を開閉機14に供給できるようになる。なお、接続コネクタ21を接続ボックス17に接続した場合、シャッター装置1に設けられている固定制御盤15及び固定操作部16は利用できないようにするとよい。これにより、固定制御盤15及び固定操作部16と、移動制御盤2との競合を回避することができ、また、移動制御盤2を使用中に固定操作部16に対して行われた操作が移動制御盤2の取り外した後に意図せず実行されるのを防ぐことができる。
そして、操作部23を操作すれば、その操作に従って駆動制御部24は開閉機14を駆動制御し、シャッターカーテン11を上下動させる。例えば停電により固定制御盤15が利用できない場合や、災害発生によりシャッターカーテン11が降下した後、復旧までの間にシャッターカーテン11を巻き上げて開口を確保する場合などに利用することができる。さらに、固定制御盤15や固定操作部16の故障などによりシャッターカーテン11が動かせない場合についても、移動制御盤2を接続することによりシャッターカーテン11を動作させることができる。このように、従来では災害や故障などが発生すると専門の作業員が到着するまで復旧できなかったが、この移動制御盤2を用いることによって専門の作業員でなくても復旧することができ、早期の復旧を可能として事業の継続を図ることが可能になる。
例えば、操作者が操作部23上の「開」ボタンを操作すると、駆動制御部24は外部電源3を用いてシャッターカーテン11を上昇させるように開閉機14を駆動制御する。また、例えば操作者が操作部23上の「閉」ボタンを操作すると、駆動制御部24は外部電源3を用いてシャッターカーテン11を下降させるように開閉機14を駆動制御する。
操作部23におけるこれらのボタンは押し切りとするとよく、操作者がボタンを押している間だけ開閉機14が駆動してシャッターカーテン11が上下動し、ボタンを放すとシャッターカーテン11の動作が停止するように制御するとよい。あるいは「停」ボタンを設け、「開」、「閉」ボタンを1度押せばその状態を保持してシャッターカーテン11は動作し、「停」ボタンの操作によりシャッターカーテン11の動作が停止するように制御してもよい。あるいは、押し切りと押した状態を保持する操作を切り換えられるように構成してもよい。もちろん、操作部23に設ける操作手段はボタンに限られるものではなく、例えば切替レバーなど、他の周知の操作手段であってもよいことは言うまでもない。
なお、操作者が操作部23において操作を行い、外部電源3によって開閉機14を動作させてシャッターカーテン11を上昇中、あるいは下降中には、当該動作中であることを示す「上昇中」、「下降中」、あるいは「動作中」などのランプや回転灯を点灯させ、あるいは警報や音声などを発報して、注意を喚起するように構成してもよい。もちろん、これらの他、様々な制御動作を示す表示や発報を行うように構成してもよい。これらの表示手段や発報手段は、移動制御盤2に設けるほか、移動制御盤2とは別に設けることも可能である。
移動制御盤2は、固定制御盤15が通常の状態で使用されている場合には利用されないので、非常時や固定制御盤15が動作しない場合などに備えて保管しておけばよい。また、この移動制御盤2は複数のシャッター装置1に対して共通して使用することができるため、複数のシャッター装置1が設置されている場合でも1ないし数台の移動制御盤2を保有していれば済む場合もあり、コストを抑えることができる。
外部電源3としては、自家発電でもよいし、移動可能な発電機やバッテリなどでもよい。発電機やバッテリなどが移動可能である場合、これらの外部電源3と移動制御盤2とを一体に構成し、一体に移動可能なように構成してもよい。また、固定制御盤15の故障に備えて商用電源を外部電源3として利用可能に構成してもよい。
固定制御盤15は商用電源を用いていることから、シャッター装置1を設置した際に電源の状態は決まっており、設置時に配線などを正常に行っておけば、その後に不具合が生じることは少ない。そのため、固定制御盤15には保護回路を設けていないか、一応設けているのみである。これに対して移動制御盤2では、どのような外部電源3が接続されるか分からないことから、開閉機14や内部回路を保護する手段を設けておくことが望ましい。また、様々な外部電源3に対応するためにも、保護回路の設置が望ましい。
例えば外部電源3が三相交流電源であり、開閉機14が三相交流モータである場合を考えると、外部電源3から正相で三相交流が供給されるとは限らず、逆相で供給される場合もある。これは、外部電源3側の配線の違いのみでも発生し、同じ外部電源プラグ22であっても、移動制御盤2に供給される三相交流は正相の場合も逆相の場合もある。逆相のまま開閉機14に電力の供給を行った場合、正相の場合に対して開閉機14は逆回転する。そのため、シャッターカーテン11の上昇を指示した場合にシャッターカーテン11は下降し、下降を指示した場合に上昇し、これによってシャッター装置1が破損したり、人に危害が及ぶなどの不具合が生じることが想定される。
このような場合に対応するため、外部電源3から供給された三相交流の逆相を検出する逆相検出部を駆動制御部24に設け、逆相検出部が三相交流の逆相を検出した場合に、開閉機14への電力供給を行わないように制御すればよい。あるいは、通常の操作部23の指示に対する動作制御とは逆の動作制御を行ってもよい。例えば、操作部23から「開」が指示されると、正相時にはシャッターカーテン11を上昇させる制御を行うが、逆相検出部が逆相を検出している場合には、正相時にシャッターカーテン11を下降させる制御と同等の制御を行う。逆相であることから開閉機14は上昇側に回転し、シャッターカーテン11は上昇することになる。同様に、操作部23から「閉」が指示されると、正相時にはシャッターカーテン11を下降させる制御を行うが、逆相検出部が逆相を検出している場合には、正相時にシャッターカーテン11を上昇させる制御と同等の制御を行う。逆相であることから開閉機14は下降側に回転し、シャッターカーテン11は下降することになる。
なお、外部電源3から三相交流が供給される場合、欠相検出など、他の検出手段を設けてもよい。さらに、外部電源3が開閉機14へ供給する交流電力と異なる場合には、これを検出して開閉機14への電力供給を行わないように制御したり、あるいは、電力変換を行って開閉機14へ供給する交流電力に合わせるようにしてもよい。例えば外部電源3が直流電源の場合、直流-交流変換を行えばよい。また、交流電力であっても単相交流と三相交流の変換を行うように構成してもよい。さらに、電圧の変換などを行ってもよい。
これらの検出手段を含め、駆動制御部24には外部電源3との接続状態をテストする手段を設けておくことができる。このテストで問題がなければ通電ランプを点灯させ、あるいは問題があればエラーランプを点灯したり発報したりするように構成することができる。ランプはいずれか一方でもよいし、両方設けてもよい。または、テスト結果に応じて、正常な動作がなされるように制御を変更するように構成してもよい。さらには、様々な外部電源3に対応するため、外部電源3に応じた電力変換を行う手段を駆動制御部24に設け、開閉機14が必要とする電力に変換した上で駆動制御を行うように構成してもよい。
駆動制御部24には、上述のような外部電源3のチェック及び対応する制御機能以外にも、様々な機能を持たせることができる。例えば、シャッターカーテン11が上限に達したことを検知する上限検知手段をシャッター装置1に設けておき、駆動制御部24がシャッターカーテン11を巻き上げるように開閉機14を駆動制御している場合に、上限検知手段からシャッターカーテン11が上限に達した旨の検知信号を接続コネクタ21を介して受け取ると開閉機14を停止させる制御を行う。特に大型のシャッター装置1では、シャッターカーテン11が上限に達したことを目視しづらい場合がある。そのため、操作部23が押し切りの操作である場合、シャッターカーテン11が上限に達しても操作者が上昇の操作を続けてしまい、シャッター装置1が破損することが考えられる。上限検知手段を設けることによって、このような不具合を解消することができる。また、上限検知手段は、実際の上限に設置していなくても、実際の上限よりも下の任意の位置に設けておき、このあらかじめ設定されている位置までシャッターカーテン11を上昇させたら開閉機14を停止させるように構成することもできる。例えば、とりあえず通行できる高さまでシャッターカーテン11を上昇させればよい場合などに対応することができる。シャッターカーテン11の上昇に時間を要する場合、途中までの上昇で止めることにより時間を短縮することができる。
もちろん、シャッターカーテン11が下限に達したことを検知する下限検知手段をシャッター装置1に設けておき、駆動制御部24がシャッターカーテン11を降ろすように開閉機14を駆動制御している場合に、下限検知手段からシャッターカーテン11が下限に達した旨の検知信号を接続コネクタ21を介して受け取ると開閉機14を停止させる制御を行ってもよい。操作部23が押し切りの操作であっても、シャッターカーテン11が下限に達した時点でシャッターカーテン11の動作を停止させることができる。
なお、シャッター装置1にエマーゼンシスイッチが設けられている場合には、このエマーゼンシスイッチを上限検知手段、下限検知手段として利用し、エマーゼンシスイッチにより上限あるいは下限へ到達したことを検知してシャッターカーテン11の上昇あるいは下降を停止させるようにしてもよい。あるいは、例えば上限検知手段や下限検知手段が動作しなかった場合に、エマーゼンシスイッチにより強制的に上昇あるいは下降を停止させることもできる。
さらに、駆動制御部24には障害物感知機能を設けることもできる。シャッター装置1がシャッターカーテン11の降下中に障害物を検出する障害物検出手段を有している場合、駆動制御部24がシャッターカーテン11を降下させていて障害物検出手段が障害物を検知した旨の検知信号を受け取ると、シャッターカーテン11を停止させるように開閉機14を制御する。あるいはさらに多少上昇させて停止させるように制御してもよい。障害物検出手段からの障害物の検知信号は、接続コネクタ21を介して受け取るほか、無線により受け取る方法もある。もちろん、機械式の障害物感知装置が備えられているシャッター装置1では、その機械式の障害物感知装置により開閉機14の駆動力を断ってシャッターカーテン11の下降を停止するように構成してもよい。なお、障害物感知機能を有する構成の概略については、いくつかを後述する。
さらにまた、駆動制御部24にインバータを内蔵し、開閉機14をインバータ制御してシャッターカーテン11を上昇、下降させる際の速度を制御できるように構成してもよい。これにより、速度を変更できるシャッター装置1にも対応することができる。
図2は、移動制御盤2を含む回路の一例を示す結線図であり、図3は、移動制御盤2を用いない状態での接続ボックス17周辺の回路の一例を示す結線図である。図中、41はブレーカ、42は逆相防止リレー、43はヒューズ、44は切替スイッチ、45は下降スイッチ、46は上昇スイッチ、17A~Dはコネクタ、18は上限リミットスイッチ、21-1,2はコネクタである。
この例においては、開閉機14は三相交流モータであるものとして示している。また、シャッター装置1には上限検知手段として上限リミットスイッチ18が設けられている。さらに、移動制御盤2にはいくつかの保安回路を設けている。
接続ボックス17には、この例では4つのコネクタ17A~Dが設けられている。固定制御盤15から開閉機14を動作させるための三相交流電力は3本の電力線U’,V’,W’が接続ボックス17のコネクタ17Cに接続されている。また、接続ボックス17のコネクタ17Aは開閉機14と接続され、開閉機14へ供給される三相交流電力を3本の電力線u,v,wで受け取る。図3に示すように、移動制御盤2を用いない通常の状態では、コネクタ17Cはコネクタ17Aに接続されており、固定制御盤15から出力される3本の電力線U’,V’,W’と3本の電力線u,v,wとがそれぞれ接続される。これにより、固定制御盤15による制御に従って開閉機14に三相交流電力が供給され、開閉機14が駆動されることになる。例えば、固定操作部16で上昇のスイッチが操作され、固定制御盤15から正相の三相交流が出力された場合に、開閉機14が順方向に回転してシャッターカーテン11を巻き上げる。また、固定操作部16で下降のスイッチが操作され、固定制御盤15から逆相の三相交流が出力された場合に、開閉機14が逆方向に回転してシャッターカーテン11を下降させることができる。もちろん、防災信号に連動した動作なども行うことができるなど、固定制御盤15が有している様々な制御についても対応することができる。
また、移動制御盤2を用いない通常の状態では、コネクタ17Dをコネクタ17Bに接続している。コネクタ17Bの制御線aはシャッター装置1に設けられている上限リミットスイッチ18に接続されている。移動制御盤2を用いない通常の状態では、この例では制御線aには何も接続されていない状態であるため、通常時には上限リミットスイッチ18の出力は利用されていない。通常時のシャッターカーテン11の上限及び下限の制御は固定制御盤15により行っている。
コネクタ17Bの制御線bと制御線cは固定操作部16に接続されており、固定操作部16に対して行われる操作を有効または無効にするためのものである。移動制御盤2を用いない通常の状態では、コネクタ17Bにコネクタ17Dを接続することによって制御線bと制御線cとが短絡される。これによって固定操作部16が利用可能になる。制御線bと制御線cの接続を解放すると、固定操作部16に対する操作は無効になる。これによって、固定操作部16に対する操作と、移動制御盤2の操作部23に対する操作との競合を回避することができる。また、固定操作部16は通電中にボタン操作が行われるとその操作を維持する構成の場合があり、移動制御盤2を使用中に固定操作部16に対して操作が行われるとその操作が維持され、移動制御盤2を取り外した後に、維持されている操作に対応した制御が固定制御盤15で実行されて、意図せずシャッターカーテン11が上昇または下降するのを防いでいる。ここでは制御線bと制御線cの短絡あるいは解放により固定操作部16の有効または無効を切り替えているが、もちろん、固定操作部16を有効または無効にする方法はこれに限られるものではなく、例えば1本の制御線への通電の有無やデータ通信により行ってもよいし、無線によって行ってもよく、さらには固定制御盤15の制御によって実現してもよく、種々の公知の方法により実現すればよい。
一方、移動制御盤2においては、外部電源3からの三相交流電力を外部電源プラグ22で受け取る。ここでは三相の3本の電力線R,S,Tと1本のアース線Nの計4本が結線されている。3本の電力線R,S,Tはブレーカ41を介して逆相防止リレー42に接続されるとともに、3本のうち2本については下降スイッチ45および上昇スイッチ46に接続されている。2本の電力線はあらかじめ決めておけばよく、この例では、電力線Rと電力線Tが下降スイッチ45および上昇スイッチ46に接続された例を示している。
ブレーカ41は過電流を防止するものであり、移動制御盤2内の回路及び開閉機14を保護するために設けられている。また、逆相防止リレー42は、外部電源3からの三相交流が逆相で供給されている場合に、開閉機14が動作しないようにするためのものである。上述したように、逆相のままで開閉機14を動作させてしまうと、開閉機14は所定の回転方向とは逆に回転してしまう。例えば上昇のスイッチ投入により開閉機14がシャッターカーテン11を下降させるように回転してしまったり、下降のスイッチ投入により開閉機14がシャッターカーテン11を上昇させるように回転してしまい、思わぬ事故に発展する可能性がある。このような事態を防止するため、逆相防止リレー42が挿入されている。この逆相防止リレー42は、外部電源3からの三相交流が正相であれば、例えば図示しないランプを点灯させて動作可能であることを示すとともに、出力をOnにする。この例では電力線Rの電力を出力することとしているが、これに限られるものではない。また、外部電源3からの三相交流が逆相であることを検出すると出力はOffになり、後述するように操作部23の切替スイッチ44を操作しても下降スイッチ45及び上昇スイッチ46が入らず、よって開閉機14は動作しなくなる。
逆相防止リレー42の出力はヒューズ43を介して切替スイッチ44に接続されている。ヒューズ43は、切替スイッチ44および下降スイッチ45または上昇スイッチ46への過電流や装置の過熱を防止するものである。このヒューズ43が切れると切替スイッチ44への電力供給及び下降スイッチ45や上昇スイッチ46への電力供給が遮断され、これによって開閉機14への電力供給も遮断されて開閉機14の動作が停止する。
切替スイッチ44は操作部23に設けられるものであり、ここでは下降と上昇を選択操作できるように構成されている。中立の状態ではいずれにも接続されておらず、下降側に切り替えると下降スイッチ45と接続され、上昇側に切り替えると上昇スイッチ46と接続される。切替スイッチ44は、このような切替型のスイッチのほか、上昇、下降の各ボタンによる切替や、押し切りのボタンによる構成などであってもよいが、上昇と下降の両方を同時に指示できないように構成されている。
下降スイッチ45は、例えば電磁接触器や電磁開閉器などで構成され、切替スイッチ44、及び、三相交流の3本の電力線のうちの1本、この例ではS線と接続されている。この通電によって、ブレーカ41を通して接続されている三相交流の3本の電力線のうちの2本、この例ではR線とW線、T線とU線を接続する。すなわち、切替スイッチ44が下降側に切り替えられると下降スイッチ45は通電し、R線はW線に、T線はU線に接続される。なお、S線はそのままV線となる。このような接続により、下降が指示された際には逆相の三相交流電力が開閉機14に供給されて、開閉機14は正相の場合とは逆に回転することになる。なお、下降スイッチ45が通電していない状態では、R線とW線、T線とU線は遮断された状態にある。
また上昇スイッチ46も、例えば電磁接触器や電磁開閉器などで構成され、切替スイッチ44、及び、接続コネクタ21-2に接続されており、後述するコネクタ17B、上限リミットスイッチ18を通じて三相交流の3本の電力線のうちの1本、この例ではv線と接続されている。この通電によって、ブレーカ41を通して接続されている三相交流の3本の電力線のうちの2本、この例ではR線とU線、T線とW線を、それぞれ接続する。すなわち、切替スイッチ44が上昇側に切り替えられ、かつ、上限リミットスイッチ18がOnの状態であれば上昇スイッチ46は通電し、R線はU線に、T線はW線に接続される。なお、この場合もS線はそのままV線となる。このような接続により、上昇が指示された際には正相の三相交流電力が開閉機14に供給されて、開閉機14は正回転することになる。なお、上昇スイッチ46が通電していない状態では、R線とU線、T線とW線は遮断された状態にある。
この例ではブレーカ41を通して接続されている三相交流の3本の電力線のうちの2本として、R線とT線について接続を切り替えることとしているが、もちろん、他の2本の組み合わせであってもよい。また、ここでは開閉機14の回転方向として上昇時を正回転、下降時を逆回転として説明しているが、もちろん、開閉機14によっては、あるいは開閉機14の利用方法によっては、逆の動作の場合もあり、実際の開閉機14の動作に応じて設定すべきものである。
上述のように上昇スイッチ46は接続コネクタ21-2に接続されている。この接続コネクタ21-2が接続されるコネクタ17Bの制御線aは、上限リミットスイッチ18に接続されている。この上限リミットスイッチ18は、三相交流の3本の電力線のうちの1本、ここではv線と接続されている。上限リミットスイッチ18は、上述した上限検知手段に対応するものであり、シャッターカーテン11が所定の位置まで上昇したことを検知するものである。この例では、シャッターカーテン11が降りている状態ではスイッチがOnになっており、シャッターカーテン11が所定の位置まで上昇するとスイッチがOffになる。この上限リミットスイッチ18がOffになると、上昇スイッチ46の通電は停止し、R線とU線、T線とW線は遮断されて、開閉機14は動作を停止する。これによって、所定位置まで上昇したシャッターカーテン11は、その位置以上に上昇することなく停止する。
なお、上限リミットスイッチ18は、通常時のシャッターカーテン11の上限位置とは異なる位置に設置しておくこともできる。例えば大型のシャッター装置などの場合に、非常時には作業員や小型の車両が通れるだけ開けばよい場合に、通常よりも低い位置に上限リミットスイッチ18を設けておけば、開口部の解放までに要する時間を短縮することができる。
停電時や固定制御盤15の故障時、あるいは災害などで自動的にシャッターカーテン11が降下した後に復旧操作までの間などでは、固定制御盤15及び固定操作部16を用いてシャッターカーテン11を上昇あるいは下降させることができない。このような場合に、移動制御盤2を用いることによって、外部電源3を利用したシャッターカーテン11の上昇あるいは下降を行うことができる。
移動制御盤2を使用する際には、接続ボックス17のコネクタを差し替えるとともに、外部電源3との接続を行う。図2に示す例では、接続ボックス17のコネクタ17Aに接続されていたコネクタ17Cを外し、移動制御盤2のコネクタ21-1に差し替える。これによって、移動制御盤2の出力であるU,V,W,Nの各線がu,v,w,nの各線と結線される。なお、n線はシャーシなどにアースされている。コネクタ17Cをコネクタ17Aから外したことによって固定制御盤15と開閉機14とは電気的に切り離され、固定制御盤15及び固定操作部16と移動制御盤2との競合を回避することができる。
また、接続ボックス17のコネクタ17Bに接続されていたコネクタ17Dを外し、移動制御盤2のコネクタ21-2を接続する。これにより、上限リミットスイッチ18の出力が移動制御盤2の上昇スイッチ46に接続され、駆動制御部24で上限リミットスイッチ18の検知結果を利用することができるようになる。それとともに、コネクタ17Bの制御線bと制御線cの接続を解放し、固定操作部16に対する操作を無効にして、移動制御盤2の操作部23との競合を回避し、また移動制御盤2が取り外された後の誤動作を防止する。
さらに、外部電源プラグ22についても外部電源3に接続する。例えば発電機に接続したり、壁面の非常用電源や商用電源などの三相交流電源に接続すればよい。外部電源3からの三相交流R,S,Tはブレーカ41を介して逆相防止リレー42に供給される。ここで外部電源3から供給される三相交流が正相であるか否かが判断される。供給される三相交流が正相であれば、図示しないランプの点灯などによって外部電源3が正常に供給されていることを示すとともに、ここではR線の電力をヒューズ43を介して切替スイッチ44へ供給する。もちろん、R線に限られるものではなく、下降スイッチ45あるいは上昇スイッチ46を動作させることができる電力が確保できればいずれの相から電力の供給を受けてもよい。
この時点で、移動制御盤2にとって逆相の三相交流が外部電源3から供給されていた場合には、逆相防止リレー42により逆相が検出され、出力が遮断される。そのため、切替スイッチ44への電力供給は行われず、切替スイッチ44を上昇側あるいは下降側へ切り替えても上昇スイッチ46または下降スイッチ45も動作せず、この移動制御盤2によるシャッターカーテン11の上昇、下降は行えない。
外部電源3から正相の三相交流が供給されている場合でも、切替スイッチ44を操作するまでは、下降スイッチ45も上昇スイッチ46も動作しない。よってU線、W線は遮断状態であり、開閉機14は動作しない。
切替スイッチ44を上昇側に切り替えると、上昇スイッチ45はR線と、上限リミッタスイッチ18を介してv線と接続されて通電し、R線はU線と接続され、T線はW線と接続される。これによって、R,S,T線に供給される正相の三相交流が正相のままU,V,W線に出力されることになる。開閉機14は正相の三相交流により駆動され、シャッターカーテン11は上昇する。
シャッターカーテン11の上昇が所定位置に達すると、上限リミットスイッチ18がOffになる。すると上昇スイッチ45はOffになり、よってR線とU線の接続およびT線とW線の接続は遮断される。これにより、開閉機14に供給されていた電力は遮断され、シャッターカーテン11の上昇は停止する。このようにして、降りていたシャッターカーテン11を上昇させ、開口を確保することができる。
切替スイッチ44を下降側に切り替えると、下降スイッチ45が通電し、R線はW線と接続され、T線はU線と接続される。これによって、R,S,T線に供給される正相の三相交流は、それぞれW,V,U線に出力され、逆相の三相交流として出力されることになる。開閉機14は逆相の三相交流により駆動され、正相の場合とは逆に回転して、シャッターカーテン11は下降する。シャッターカーテン11が降りきったら切替スイッチ44を中立の位置に戻せば、下降スイッチ45の通電が遮断され、開閉機14は停止してシャッターカーテン11の降下も停止する。この例では下限検知手段を設けていないので自動的に降下が停止することはないが、シャッターカーテン11が下限に到達したことは容易に目視で確認できる。もちろん、下限検知手段を設けて検知結果を駆動制御部24に通知し、この検知結果により降下の制御を行うことも可能である。
図4は、移動制御盤2を含む回路の変形例を示す結線図である。図中、47は逆相スイッチである。上述の回路の例では、外部電源3から逆相の三相交流が供給された場合には、逆相防止リレー42によって逆相であることを検出して開閉機14の動作を行わないように制御していた。図4に示す回路の例では、外部電源3から逆相の三相交流が供給された場合でも、開閉機14を動作させて正常にシャッターカーテン11を上昇、下降させることができるようにしている。特にこの例では、外部電源3から逆相の三相交流が供給されているとき、操作部23への指示に対する動作制御とは逆の動作制御、すなわち上昇の指示に対して下降の制御を行い、また下降の指示に対して上昇の制御を行い、結果としてシャッターカーテン11を正常に上昇、下降させる。以下、図2に示した回路例と異なる部分について主に説明してゆく。
逆相防止リレー42の出力側には逆相スイッチ47が接続されており、逆相スイッチ47は3本の電力線のうちの1本、ここではS線と接続されている。この逆相スイッチ47は、例えば電磁接触器や電磁開閉器、各種リレーなどで構成されている。通電すると、切替スイッチ44の上昇側と上昇スイッチ46を接続し、切替スイッチ44の下降側と下降スイッチ45を接続するとともに、上昇スイッチ46と接続コネクタ21-2を介して上限リミットスイッチ18とを接続し、さらに下降スイッチ45と3本の電力線のうちの1本、ここではV線と接続する。また、逆相スイッチ47の通電が遮断されると、切替スイッチ44の上昇側と下降スイッチ45を接続し、切替スイッチ44の下降側と上昇スイッチ46を接続するとともに、上昇スイッチ46と3本の電力線のうちの1本、ここではV線と接続し、さらに下降スイッチ45と接続コネクタ21-2を介して上限リミットスイッチ18とを接続する。なお、切替スイッチ44はヒューズ43を介して3本の電力線のうちの1本、ここではR線と接続されている。
この回路例における移動制御盤2を接続した場合の動作について簡単に説明する。まず外部電源3から正相の三相交流が供給されている場合には、逆相防止リレー42は正相であることを検出して逆相スイッチ47が通電状態となる。これにより、切替スイッチ44の上昇側と上昇スイッチ46が接続されるとともに、切替スイッチ44の下降側と下降スイッチ45が接続される。また、上昇スイッチ46と上限リミットスイッチ18とが接続され、下降スイッチ45はV線に接続される。
この状態で切替スイッチ44を上昇側に切り替えると上昇スイッチ46が通電し、R線はU線と接続され、T線はW線と接続される。これによって、R,S,T線に供給される正相の三相交流が正相のままU,V,W線に出力されることになり、開閉機14は正相の三相交流により駆動されてシャッターカーテン11は上昇する。シャッターカーテン11の上昇が所定位置に達すると、上限リミットスイッチ18がOffになることにより上昇スイッチ46の通電は遮断され、よってR線とU線の接続およびT線とW線の接続は遮断される。これにより、開閉機14に供給されていた電力は遮断され、シャッターカーテン11の上昇は所定の位置で停止する。
切替スイッチ44を下降側に切り替えると下降スイッチ45が通電し、R線はW線と接続され、T線はU線と接続される。これによって、R,S,T線に供給される正相の三相交流は、それぞれW,V,U線に出力され、逆相の三相交流として出力されることになる。開閉機14は逆相の三相交流により駆動され、正相の場合とは逆に回転して、シャッターカーテン11は下降することになる。
外部電源3から逆相の三相交流が供給されている場合には、逆相防止リレー42は逆相であることを検出して逆相スイッチ47は遮断状態となる。これにより、切替スイッチ44の上昇側と下降スイッチ45が接続されるとともに、切替スイッチ44の下降側と上昇スイッチ46が接続される。また、上昇スイッチ46はV線に接続され、下降スイッチ45は上限リミットスイッチ18と接続される。
この状態で切替スイッチ44を上昇側に切り替えると下降スイッチ45が通電し、R線はW線と接続され、T線はU線と接続される。これによって、R,S,T線に供給される逆相の三相交流は、それぞれW,V,U線に出力され、逆相の逆相、すなわち正相の三相交流として出力されることになる。そのため、開閉機14は正相の三相交流により駆動されてシャッターカーテン11は上昇する。シャッターカーテン11の上昇が所定位置に達すると、上限リミットスイッチ18がOffになることにより下降スイッチ45の通電は遮断され、よってR線とW線の接続およびT線とU線の接続は遮断される。これにより、開閉機14に供給されていた電力は遮断され、シャッターカーテン11の上昇は所定の位置で停止する。
切替スイッチ44を下降側に切り替えると上昇スイッチ46が通電し、R線はU線と接続され、T線はW線と接続される。これによって、R,S,T線に供給される逆相の三相交流が逆相のままU,V,W線に出力されることになり、開閉機14は逆相の三相交流により駆動されて正相の場合とは逆に回転し、シャッターカーテン11は下降することになる。
このようにして、外部電源3から供給される三相交流が正相の場合も、また逆相の場合でも、切替スイッチ44を上昇側に切り替えればシャッターカーテン11は上昇し、下降側に切り替えればシャッターカーテン11は下降させることができる。従って、外部電源3からの三相交流が正相でも逆相でも移動制御盤2を利用することができる。
図5、図6は、本発明の実施の一形態の変形例を示す概略図である。図中、51は障害物感知部、52は受信部、53は障害物感知制御部である。この変形例では、シャッター装置1が障害物感知機能を有している場合に、移動制御盤2を用いる場合についても障害物感知機能を利用できるようにした一例を示している。
障害物感知部51は、座板などに設けられ、シャッターカーテン11を降下中に物や人が挟まれたことをスイッチなどで感知した場合に、検知信号を受信部52に送る。受信部52は、障害物感知部51からの検知信号を受信する。障害物感知部51と受信部52の間の検知信号の送受は、例えば赤外線や電波などの無線で行う場合や、コードを用いた有線で行う場合があり、いずれの構成であってもよい。無線の場合、障害物感知部51は電池などで動作する。
図5に示す例では、障害物感知制御部53は受信部52で受信した障害物感知部51からの検知信号を受け取り、障害物があると判断する。そして、移動制御盤2を用いていない通常の状態では接続ボックス17を介して固定制御盤15に対して障害物を感知した旨の信号を送ってシャッターカーテン11の下降停止や反転上昇などの制御を行わせる。移動制御盤2の接続コネクタ21が接続ボックス17に接続された状態では、この障害物感知制御部53や受信部52への電力供給を移動制御盤2から受けるとともに、受信部52で障害物感知部51からの検知信号を受信した場合には、移動制御盤2の駆動制御部24に対してシャッターカーテン11の降下を停止させる。駆動制御部24では、障害物感知制御部53からの指示に従い、開閉機14を停止させ、これによりシャッターカーテン11の降下は停止する。
また図6に示す例では、移動制御盤2を用いていない通常の状態において、障害物感知制御部53は受信部52で受信した障害物感知部51からの検知信号を、接続ボックス17を経由して受け取り、障害物があると判断すると固定制御盤15に対して障害物を感知した旨の信号を送ってシャッターカーテン11の下降停止や反転上昇などの制御を行わせる。
移動制御盤2の接続コネクタ21が接続ボックス17に接続された状態では、この障害物感知制御部53は動作せず、受信部52への電力供給及び受信部52で受信した障害物感知部51からの検知信号の受け取りを移動制御盤2が行う。受信部52で障害物感知部51からの検知信号を受信した場合には、移動制御盤2の駆動制御部24が開閉機14を停止させる制御を行い、これによってシャッターカーテン11の降下を停止させる。
このようにして、移動制御盤2を用いてシャッターカーテン11を降下させている場合でも、障害物感知機能を利用して、物や人が挟まった場合にシャッターカーテン11の降下を停止させることができる。なお、図5に示した例では、障害物感知制御部53が故障していると対応することができないが、図6に示した例では障害物感知制御部53が故障していても、移動制御盤2を使用している状態で障害物感知機能が動作する。また、これらの例に限らず、例えば障害物感知部51が無線で検知信号を発信している場合、受信部52を移動制御盤2内に設けることによって、シャッター装置1の受信部52の故障にも対応することができる。
図7は、本発明の実施の一形態の別の変形例を示す概略図である。図中、61は危害防止用連動中継器、62は自動閉鎖装置である。この変形例では、シャッター装置1が防災信号を受けて自動的にシャッターを閉じる防災シャッターの場合を示しており、図6と同様に障害物感知機能も有している例を示している。
危害防止用連動中継器61は、煙感知器など、防災設備からの防災信号の発報を受けると、自動閉鎖装置62に閉鎖信号を出す。この危害防止用連動中継器61と障害物感知制御部53は一体に構成される場合がある。自動閉鎖装置62は、危害防止用連動中継器61から閉鎖信号を受け取ると、開閉機14のブレーキを解除し、シャッターカーテン11を自重降下させる。
障害物感知部51と受信部52とは有線もしくは無線で結ばれている。移動制御盤2を使用していない通常の状態では、障害物感知部51で物や人の挟まれを検出すると、その検知信号は受信部52で受信され、接続ボックス17を経由して危害防止用連動中継器61に送られる。平常時は、危害防止用連動中継器61に送られてきた障害物の検知信号は障害物感知制御部53に送られ、さらに固定制御盤15に送られてシャッターカーテン11の下降停止や反転上昇などの制御が行われる。災害発生によりシャッターカーテン11が自重降下している場合には、危害防止用連動中継器61に送られてきた障害物の検知信号に従い、自動閉鎖装置が復旧して開閉機14のブレーキがかかり、シャッターカーテン11の降下を停止させる。なお、障害物検知時、機械的に自動閉鎖装置を復旧させる場合もある。
移動制御盤2の接続コネクタ21が接続ボックス17に接続された状態では、シャッターカーテン11の降下中に障害物感知部51が障害物を検出すると、障害物感知部51は検知信号を発報し、これを受信部52で受信して移動制御盤2の駆動制御部24に送られる。駆動制御部24では、障害物を感知した旨の検知信号に従って開閉機14を停止させる制御を行い、これによってシャッターカーテン11の降下を停止させる。
このようにして、通常時や災害発生時だけでなく、移動制御盤2を用いてシャッターカーテン11を降下させている場合でも、障害物感知機能を利用して、物や人が挟まった場合にシャッターカーテン11の降下を停止させることができる。なお、この例では受信部52で受信した検知信号を移動制御盤2が直接受け取る例を示しているが、例えば図5に示した例のように障害物感知制御部53を経由して受け取るように構成してもよい。
図8は、本発明の実施の一形態のさらに別の変形例を示す概略図である。この変形例では、基本的には手動のシャッター装置に、開閉機14及び接続ボックス17を設けた構成を示している。上述の各例ではシャッター装置1に固定制御盤15や固定操作部16を設けている例を示しているが、例えば手動のシャッター装置1に開閉機14及び接続ボックス17を設けておき、移動制御盤2を用いて開閉できるように備えておくことが考えられる。
大型の手動シャッター装置では、点検や検査等、あるいは非常時などにシャッターカーテン11を降下させると、巻き上げの際には足場を確保した上で作業員が巻き上げの操作を行う必要がある。このような場合に、移動制御盤2の外部電源プラグ22を外部電源3に接続するとともに、接続コネクタ21を接続ボックス17に接続することにより、移動制御盤2で開閉機14を駆動制御し、操作部23に対する操作者の指示に従ってシャッターカーテン11を上下動させることができる。
この場合、例えば接続ボックス17をシャッター装置1のガイドレールなどに設けておけば、壁面のハツリ工事などが不要であり、また商用電源を引くための電設工事も不要であることから、安価にシャッター装置1を設け、あるいは機能追加することができる。
また、ほぼ開いた状態で使用される場合や、ほぼ閉じられた状態で使用されるシャッター装置1においては、固定制御盤15や固定操作部16を設けず、シャッターカーテン11の上昇や下降は移動制御盤2で行うようにしてもよい。この場合、固定制御盤15や固定操作部16などに要する費用が削減され、シャッター装置1の設置コストを大幅に削減することができる。
さらに、移動制御盤2は複数のシャッター装置1に共通して使用することができることから、コストの削減効果は大きい。