JP7475756B1 - ヒータ線保持基材 - Google Patents

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敏雪 西野
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Abstract

ヒータ線保持基材(11)は、不織布(21)を含む不織布層(31)と、押出成形された熱融着性樹脂材(22)を含み不織布層(31)の上に熱融着された熱融着性樹脂層(32)とを備える。熱融着された不織布層(31)及び熱融着性樹脂層(32)は、熱融着性樹脂層(32)が不織布層(31)の深さ方向に侵入している複数の凹部(33)を有する。凹部(33)により不織布(21)と熱融着性樹脂材(22)とが混在している混在固着層(41)が形成されている。凹部(33)において、不織布層(31)の表面の沈み込み量は、10μm以上、かつ熱融着性樹脂層(32)の厚さ寸法以下である。

Description

本発明は、ヒータ線保持基材に関する。
一般に、各種の基材にコード状発熱体が固定された面状ヒータが知られている。このような面状ヒータの一つの形態は、古くから実用化されている電気カーペット等として広く知られている。電気カーペットは、例えば、フェルトといった厚手の不織布やポリウレタンフォーム等の断熱基材の表面に熱融着層が設けられ、その上に、表面に熱融着層が設けられたコード状発熱体が蛇行して配置され、更にその上に表皮が被せられ、それらの積層体が熱圧着によって融着固定された構造を有する。また、不織布等にコード状発熱体が縫い付けられて固定される縫合型の面状ヒータも知られている。
面状ヒータが自動車のシートヒータとして用いられるとき、電気カーペットより薄手の不織布基材が用いられることがある。例えば、特許文献1には、自動車のシートヒータとして用いられる面状ヒータについて開示されている。自動車用のシートヒータは、面状ヒータが、例えば断熱性の座席クッションに両面粘着テープで固定され、その上に表皮カバーが固着されずに被せられた構造を有する。このような面状ヒータは、即暖性、均一加熱性、省エネルギー性、屈曲耐久性、接触体感性など、各種の性能が求められている。特に、近年急速に普及している電気自動車においては、一度の充電による走行距離を延ばしたり積雪渋滞での暖房を維持したりするため、優れた省エネルギー性能が要求されている。このような高い性能を有する面状ヒータのためには、コード状発熱体を固定するヒータ線保持基材にも優れた性能が求められている。
日本国特開2003-174952号公報
本発明は、優れたヒータ線保持基材を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、ヒータ線保持基材は、不織布を含む不織布層と、押出成形された熱融着性樹脂材を含み前記不織布層の上に熱融着された熱融着性樹脂層とを備え、熱融着された前記不織布層及び前記熱融着性樹脂層は、前記熱融着性樹脂層が前記不織布層の深さ方向に侵入している複数の凹部を有し、前記凹部により前記不織布と前記熱融着性樹脂材とが混在している混在固着層が形成されており、前記凹部において、前記不織布層の表面の沈み込み量は、10μm以上、かつ前記熱融着性樹脂層の厚さ寸法以下である。
本発明によれば、優れたヒータ線保持基材を提供できる。
図1Aは、一実施形態に係る面状ヒータの構成例の概略を示す模式的な平面図である。 図1Bは、図1Aに示すIB-IB線に沿った面状ヒータの断面の概略を示す模式的な断面図である。 図2は、第1実施形態に係るヒータ線保持基材の表面付近の構成例の概略を示す模式的な断面図である。 図3は、第2実施形態に係るヒータ線保持基材の表面付近の構成例の概略を示す模式的な断面図である。 図4は、第3実施形態に係るヒータ線保持基材の表面付近の構成例の概略を示す模式的な断面図である。 図5は、第4実施形態に係るヒータ線保持基材の表面付近の構成例の概略を示す模式的な断面図である。 図6は、第5実施形態に係るヒータ線保持基材の表面付近の構成例の概略を示す模式的な断面図である。 図7は、一実施形態に係るヒータ線保持基材の製造方法の一例の概略を示すフローチャートである。
実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、例えばシートヒータとして用いられ得る面状ヒータに関する。本実施形態の面状ヒータでは、長年シートヒータとして信頼性と経済性とを獲得しているコード状発熱体が用いられている。このコード状発熱体は、ヒータ線保持基材に設けられている。本実施形態のヒータ線保持基材は、特に、省エネ効果その他の各種効果を最大限に引き出すように構成されている。
一般に、ヒータ線保持基材には、不織布が用いられている。不織布は、ヒータ線を保持するための縫合や接着に適すること、耐屈曲性が優れていること、難燃性が確保できること、安価であることなどといった、各種利点を有する。一方で、安価で目付量が少ない薄手の不織布は、断熱効果が低く、そのような不織布を用いた面状ヒータは、温度上昇の立ち上がり速度が遅く、省エネルギー性能が比較的低くなる。本実施形態のヒータ線保持基材は、不織布が用いられ、その利点が維持されながら、その欠点が克服されている。
[面状ヒータの構成]
図1Aは、本実施形態に係る面状ヒータ1の構成例の概略を示す模式的な平面図である。図1Bは、図1Aに示すIB-IB線に沿った面状ヒータ1の断面の概略を示す模式的な断面図である。
面状ヒータ1は、ヒータ線保持基材10の上にコード状発熱体5が固定された構造を有する。コード状発熱体5は、上糸6と下糸7とを用いた縫合によりヒータ線保持基材10に固定されている。例えば、ヒータ線保持基材10の表面にコード状発熱体5が自動ミシンのパターン・プログラムに従い敷線されるとともに、例えば上糸6と下糸7とにより千鳥縫いされて、コード状発熱体5がヒータ線保持基材10に縫い付けられて固定される。縫製の速度や縫い幅、糸の張力等を適度に調整することによって、コード状発熱体5を固定する強さと緩みを調整できる。面状ヒータ1がシートヒータとして用いられるとき、ユーザが着座することによる下方への変形ストレスは、コード状発熱体5の滑りによるずれで緩和され得る。このような構造により高い耐久性が得られる。ヒータ線保持基材10へのコード状発熱体5の固定は、縫合に限らず、例えば、熱融着性樹脂を用いて融着されていても、接着剤を用いて接着されていてもよい。
[ヒータ線保持基材の構成]
以下、ヒータ線保持基材10のいくつかの構成について説明する。
〈第1実施形態〉
ヒータ線保持基材10の第1実施形態について図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係るヒータ線保持基材11の表面付近の構成例の概略を示す模式的な横断面図である。ヒータ線保持基材11は、不織布層31の上に熱融着性樹脂層32が設けられた構造を有する。
不織布層31は、目付量が80g/m以上かつ350g/m以下の不織布21を含む不織布材によって形成されていることが好ましい。不織布層31は、目付量が100g/m以上かつ200g/m以下の不織布21を含む不織布材によって形成されていることがさらに好ましい。不織布21の材質は、例えば、ポリオレフィン系の樹脂である。不織布21の目付量が80g/m未満であると、腰が弱く、完成したヒータ線保持基材11にコード状発熱体5を固定したときに、コード状発熱体5の剛性に負けてヒータ線保持基材11が歪曲するおそれがある。また、不織布21の目付量が80g/m未満であると、通気性がよく保温性が劣るので、省エネルギー性の面でも劣る可能性がある。一方、不織布21の目付量が350g/mより多いと、完成したヒータ線保持基材11を例えばシートヒータに利用する場合、着座した際に人体感触として好ましくないゴワゴワ感を与えるおそれがある。また、不織布21の価格は目付量に正比例するように上昇するので、目付量が多すぎる不織布21は、経済的にも好ましくない。
上記の不織布材の上に、熱融着性樹脂が押出成形された熱融着性樹脂材22が配置され、熱融着性樹脂材22の全面にわたった不織布材に押圧熱融着されることで、熱融着性樹脂層32が形成されている。この熱融着性樹脂は、例えば、ポリオレフィン系の樹脂である。ポリオレフィン系の熱融着性樹脂を選択する理由は、一般的な不織布の材質がポリオレフィン系であること、難燃化しても比較的安価こと等である。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン樹脂又はオレフィン系共重合体が、単独で又は2種以上を組み合わされて、用いられ得る。ポリオレフィン樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が用いられ得る。ポリエチレンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を含む。オレフィン系共重合体としては、エチレンと、プロピレン、酢酸ビニル、アクリル酸、エチルアクリレート、塩化ビニルなどの何れかとの共重合体や、プロピレンと塩化ビニルとの共重合体などや、これらの変性体などが用いられ得る。
本実施形態で用いられるポリオレフィン系樹脂としては、これらの中でも、難燃性を与えやすく、融点や熱融着性、及び価格等を考慮すると、ポリエチレン単独よりポリオレフィン共重合体が好ましい。
熱融着性樹脂層32に用いられる熱融着性樹脂材22は、例えば、市販のポリオレフィン共重合体コンパウンドを、二軸延伸装置によりフィルム状に成形することで形成され得る。
実質的に熱融着性樹脂材22の厚さに相当する熱融着性樹脂層32の厚さは、例えば、0.03mm~0.5mmであることが好ましい。熱融着性樹脂層32の厚さは、例えば、0.03mm~0.35mmであることがさらに好ましく、例えば、0.05mm~0.15mmであることがさらに好ましい。
上述の押圧熱融着は、複数の突起のある上金型を装備したホットプレス等によって行われる。上金型が複数の突起を有しているので、この処理はデボス加工となる。その結果、ヒータ線保持基材11の表面には、熱融着性樹脂層32が不織布層31の深さ方向に侵入している複数の凹部33が形成されている。ここで凹部33において、溶融した熱融着性樹脂層32は、不織布層31の表面のみならず凹部33において深さ方向にも侵入し、凹部33の側面でも不織布層31と融着し、不織布層31に固定されている。このようにして、不織布層31と熱融着性樹脂層32とが混在している混在固着層41が形成されている。熱融着は、連続加熱ロール装置等を利用して行われてもよい。
凹部33において、不織布層31及び熱融着性樹脂層32は、その深さ方向について次のようになっていることが好ましい。すなわち、凹部33は、熱融着性樹脂層32が凹部33以外の部分よりも沈み込むことで形成されている。この熱融着性樹脂層32の沈み込みに伴い、不織布層31も、凹部33において、凹部33以外の部分に対して沈み込んでいる。凹部33における不織布層31の表面の沈み込み量、すなわち、凹部33以外の部分における不織布層31の表面位置と凹部33における不織布層31の表面位置との段差は、所定の範囲内であることが好ましい。具体的には、凹部33における不織布層31の沈み込み量は、10μm以上、かつ熱融着性樹脂層32の厚さ寸法以下であることが好ましい。凹部33における不織布層31の沈み込み量は、30μm以上、かつ熱融着性樹脂層32の厚さ寸法の1/2以下であることがさらに好ましい。
不織布層31の表面の沈み込み量が10μmより小さいと、混在固着層41の形成が不十分であり、後述のピンホールや皺の発生の抑制の効果を十分得ることができないおそれがある。また、不織布層31の表面の沈み込み量が熱融着性樹脂層32の厚さ寸法より大きいと、凹部33の成形時に、熱融着性樹脂層32の凹部33の端部に亀裂が入りやすい。亀裂が入ると、ヒータ線保持基材11の機械的強度が低下するおそれがある上に、後述のピンホールや皺の発生の抑制の効果を十分に得ることができないおそれがある。
凹部33の各々の熱融着性樹脂層32の表面における幅は、その最大部分において例えば1mm以上であることが好ましい。凹部33の各々の熱融着性樹脂層32の表面における幅は、その最大部分において例えば3mm~5mmであることがさらに好ましい。例えば、凹部33の熱融着性樹脂層32の表面における形状が円形である場合、その直径は1mm以上であることが好ましい。例えば、凹部33の熱融着性樹脂層32の表面における形状が円形である場合、その直径は3mm~5mmであることがさらに好ましい。
ホットプレスの上金型に設けられた突起部分の形状は、例えば、円柱形状又は円錐台形状が好ましい。突起部分の形状が角のある角柱形状である場合、突起の押し込みによって熱融着性樹脂層32に亀裂が入るおそれがあるので、突起部分の形状は、角のない形状が好ましい。また、柔らかく不定形な不織布21に熱融着性樹脂材22の溶融樹脂が押し込まれるので、金型の抜けをスムーズにするため、突起部分の形状は、円柱にやや大きめのテーパー角度を設けた円錐台形状であることが好ましい。突起は、例えば、下底面の直径が5mmであり、上底面の直径が3mmである円錐台形状であってもよい。突起の大きさは、例えばヒータ線保持基材11に形成される凹部33の大きさが上述のような大きさとなるように、適宜調整される。
凹部33は、例えば5cm四方に1個以上となるような密度で設けられていることが好ましい。凹部33は、例えば2cm~3cm四方に1個以上となるような密度で設けられていることがさらに好ましい。
〈ヒータ線保持基材について〉
シートヒータの省エネルギー化には、一つには、ヒータ加熱時に所定の設定温度になるまでの立ち上がり時間を短くすることが関与する。これには、ヒータ線保持基材の性能が寄与する。独立気泡的な空隙を有するポリウレタンフォームは、断熱性がよく、ヒータ加熱時の立ち上がり時間も短くなる。しかしながら、ポリウレタンフォームは、難燃性仕様のものでは非常に高価である。このため、シートヒータ用のヒータ線保持基材としては好ましくない。
これに対し、目付量が少ない薄手の不織布は、難燃仕様でも比較的安価であり、一般によく用いられている。しかしながら、空隙率が大きい不織布に直接コード状発熱体を配置すると、コード状発熱体からの熱は、接触熱伝導と対流とにより不織布に伝わり、不織布の繊維群が放熱フィンのように働く。その結果、ヒータ加熱時の立ち上がり時間は長くなり、エネルギー効率が悪くなる。このため、目付量が少ない薄手の不織布は、それのみではシートヒータ用のヒータ線保持基材として不適である。
そこで、不織布の表面を熱融着性フィルムなどで覆うことが考えられる。このようにすることで、少なくとも対流による熱損失が削減され、また、フィルムによる面方向への熱伝導が向上し、立ち上がり時間が短くなり、省エネルギー性が向上する。しかしながら、目付量が少ない薄手の不織布に熱融着性フィルムを熱融着すると、次のような課題が生じ得る。すなわち、一般に安価な熱融着性フィルムは、二軸延伸機により縦横方向に引き伸ばされて成形されるので、後工程での加熱・冷却により収縮が生じる。また、不織布表面の繊維密度の分布はランダムなので、熱融着性フィルムとの融着密度分布もランダムとなり、上述の熱融着フィルムの収縮の分布もランダムになる。その結果、熱融着性フィルムに収縮むらが生じ、熱融着性フィルムにピンホールや皺が生じやすく、またヒータ線保持基材全体としても歪曲変形が生じやすい。
ピンホールは、シートヒータの使用時において、加熱・冷却サイクルのストレスによって、また繰返し着座押圧のストレスによって、熱融着性フィルムの亀裂の起点になりやすい。また、ピンホールの多発は、不織布内の対流を増加させ、熱融着性フィルムの効果を低下させ、省エネルギー性能を低下させるおそれがある。また、ヒータ線保持基材全体の歪曲変形は、コード状発熱体をそこに縫合で固定する際には、正確な縫製動作の妨げとなり、コード状発熱体に通針不良を引き起こしやすい。またコード状発熱体をそこに接着で固定する際には、コード状発熱体の剛性によって、ヒータ線保持基材に最初に発生した皺と歪曲の程度が更に増大し、製品歩留の悪化を引き起こしやすい。
これら課題に対して、本実施形態に係るヒータ線保持基材11では、デボス加工により、凹部33が形成されている。これにより、不織布21と熱融着性フィルムといった熱融着性樹脂材22を熱融着した際に発生する熱融着性樹脂材22の収縮力は、凹部33で緩和され、熱収縮の影響は、広範囲に及ばなくなる。より詳しくは、凹部33が設けられることで、熱融着性樹脂材22が不織布21の表面のみならず凹部33の側面でも不織布21に溶融侵入することで、熱融着性樹脂層32と不織布層31との接触機会が増加しており、熱融着性樹脂材22が不織布21を強く抱き込んで混在固着層41が形成されている。このため、熱融着性樹脂層32の収縮力が、凹部33で緩和して広範囲に及ばない。その結果、熱収縮によって熱融着性樹脂層32に発生し得るピンホールや皺の数が低減される。また、ヒータ線保持基材11全体としても歪曲変形が生じにくく、平面性の高いヒータ線保持基材11を実現できる。
また、熱融着性樹脂層32によって不織布層31の内と外の空気の流通が遮断され、コード状発熱体5からの熱が、空隙の多い不織布層31内には拡散しにくくなっている。このようにして、本実施形態に係るヒータ線保持基材11では、断熱材的な働きが実現されている。また、コード状発熱体5からの熱は、連続固体である熱融着性樹脂層32によって平面方向に拡散しやすくなっている。以上のように、これら構成によって、目付量が少ない薄い不織布21を母材としつつも、省エネルギー化に有利なヒータ線保持基材11が実現される。このようにして上記課題を解決したヒータ線保持基材11がシートヒータといった面状ヒータ1に用いられることで、面状ヒータ1の高い省エネルギー性能が実現される。
上述のとおり熱融着性樹脂層32の厚さが0.03mm~0.5mmであることが好ましい理由は、熱融着性樹脂層32の厚さが0.03mmより薄い場合、凹部33を設けても、熱融着時の熱収縮力によってピンホールが多発するおそれがあるためである。また、熱融着性樹脂層32の厚さが0.5mmより厚い場合、不織布層31に歪曲が生じ、シートヒータ製作の歩留りが悪くなるおそれがある。また、熱融着性樹脂層32の厚さが0.5mmより厚い場合、シートヒータの昇温時の立ち上がり時間が長くなるとともに、オーバー・シュートが大きくなるため、消費電力が大きくなり、省エネルギー性能を低下させるおそれがある。
〈第2実施形態〉
ヒータ線保持基材10の第2実施形態について図3を参照して説明する。ここでは、第1実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。図3は、本実施形態に係るヒータ線保持基材12の表面付近の構成例の概略を示す模式的な横断面図である。
本実施形態のヒータ線保持基材12も、不織布層31の上に熱融着性樹脂層32が設けられた構造を有する。ここで本実施形態のヒータ線保持基材12では、不織布層31を構成する不織布構造体は、不織布21の表面にアルミニウムの微粒子26が付着したものである。
不織布21の表面へのアルミニウムの微粒子26の付着は、例えば、気相堆積、例えば真空蒸着、スパッタリング、プラズマ溶射等によって行われ得る。真空蒸着によれば、アルミニウムは原子レベルで堆積するので、形成されるアルミニウム堆積層は緻密となり、熱伝導の点から好ましい。スパッタリングやプラズマ溶射は堆積速度が速いが、形成されるアルミニウム堆積層は、微小ではあるものの粒状物の堆積となり、微細であっても空隙を含む。気相堆積による方法では、アルミニウムの微粒子26の量は、不織布21の深さ方向に応じて少なくなる。また、アルミニウムの微粒子26は、アルミニウム蒸発源から影になる面には付着されない。
また、不織布21の表面へのアルミニウムの微粒子26の付着は、例えば、アルミニウムの微粒子26を液状接着剤に混合し、不織布21の表面にそれを吹き付けて乾燥固着させることで行われてもよい。また、アルミニウムの微粒子26を含む不織布構造体は、予めアルミニウムコートされた長繊維の切り屑を集め、それを用いて不織布を形成することで作製されてもよい。
アルミニウム堆積層の厚さは、例えば、3μm~50μm、好ましくは5μm~15μmである。アルミニウム堆積層の厚さが3μm以下の場合、アルミニウムによる熱伝導性が低下する。アルミニウム堆積層の厚さが50μm以上の場合、アルミニウム堆積層が剥がれ易くなる。また、アルミニウム堆積層の厚さが50μm以上の場合、不織布構造体の生産において、時間当たりの生産量が低下し、コストが高くなる。
本実施形態においても、熱融着は、複数の突起のある上金型を装備したホットプレス等によってデボス加工を伴って行われ得る。本実施形態のヒータ線保持基材12では、凹部33によって形成される混在固着層42では、不織布21とアルミニウムの微粒子26とを含む不織布層31と熱融着性樹脂層32とが混在している。すなわち、混在固着層42では、不織布21とアルミニウムの微粒子26と熱融着性樹脂材22とが混在している。本実施形態においても、不織布21とアルミニウムの微粒子26とを含む不織布層31の表面の凹部33における沈み込み量は、10μm以上、かつ熱融着性樹脂層32の厚さ寸法以下であることが好ましい。
本実施形態のヒータ線保持基材12によれば、コード状発熱体5からの熱は、混在固着層42のアルミニウムの微粒子26によって、第1実施形態のヒータ線保持基材11の場合よりも、さらに平面方向に拡散しやすくなっている。これにより、目付量が少なく薄い不織布21を母材にしたヒータ線保持基材12であっても、ヒータ線保持基材12を用いて製造された面状ヒータ1は、立ち上がり時間が短く、省エネルギー性能が高いものとなる。
本実施形態のように、目付量が少ない薄手の不織布の表面にアルミニウムの微粒子を付着させた不織布材と熱融着性樹脂材とをホットプレス等により熱融着すると、一般的には、前述と同様の課題が生じ得る。すなわち、加熱・冷却過程で不織布材との接触密度差等によって熱融着性樹脂材に収縮むらができ、それによって熱融着性樹脂層にピンホールや皺ができやすい。また、ヒータ線保持基材全体としても歪曲変形が生じやすい。このとき、不織布材の内部では、アルミニウムの微粒子が付着した不織布の先端領域は不定形に引っ張られ、アルミニウムの微粒子の偏在が起こりやすい。この場合、平面方向の熱伝導性が不均一になるおそれがある。このような状態では、面状ヒータとしては、加熱の偏在を引き起こし、局所加熱を誘発するおそれがある。
これに対して、本実施形態に係るヒータ線保持基材12では、デボス加工により、凹部33が形成されている。これにより、不織布21及びアルミニウムの微粒子26を含む不織布材と熱融着性樹脂材22とを熱融着した際に発生する熱融着性樹脂材22の収縮力は、凹部33で緩和され、熱収縮の影響は、広範囲に及ばないようになる。その結果、熱収縮によって熱融着性樹脂層32に発生し得るピンホールや皺の数が低減される。また、ヒータ線保持基材12全体としても歪曲変形が生じにくく、平面性の高いヒータ線保持基材12が実現される。また、加熱の偏在など局所加熱のおそれがないヒータ線保持基材12が実現される。
〈第3実施形態〉
ヒータ線保持基材10の第3実施形態について図4を参照して説明する。ここでは、第2実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。図4は、本実施形態に係るヒータ線保持基材13の表面付近の構成例の概略を示す模式的な横断面図である。
本実施形態のヒータ線保持基材13も、不織布層31の上に熱融着性樹脂層32が設けられた構造を有する。第2実施形態と同様に、不織布層31を構成する不織布構造体は、不織布21の表面にアルミニウムの微粒子26が付着したものである。本実施形態のヒータ線保持基材13では、熱融着性樹脂層32を構成する熱融着性樹脂構造体は、熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散したものである。
高熱伝導率材の微粒子は、例えば、アルミニウム、銅などの金属微粒子であってもよい。また、高熱伝導率材の微粒子は、例えば、アルミナ、マグネシアなどのセラミック微粒子であってもよい。また、高熱伝導率材の微粒子は、例えば、黒鉛(グラファイト)の微粒子などであってもよい。また、高熱伝導率材の微粒子は、例えば、炭化ケイ素の微粒子などであってもよい。すなわち、例えば、熱融着性樹脂層32を構成する熱融着性樹脂構造体は、熱融着性樹脂にアルミニウム、銅、アルミナ、マグネシア及び黒鉛などのうち少なくとも何れか1つの微粒子が分散したものであってよい。
本実施形態のヒータ線保持基材13では、このような高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体を含む熱融着性樹脂材23によって、熱融着性樹脂層32が形成されている。本実施形態の高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23は、熱融着性樹脂のみからなる第2実施形態の熱融着性樹脂材22と比較して、熱伝導性に優れる。このため、高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23によって形成された本実施形態のヒータ線保持基材13の熱融着性樹脂層32は、コード状発熱体5からの熱を平面方向に拡散しやすい。
アルミニウム、銅などの金属微粒子は、高い熱伝導率を有する。一方で、これらはやや多目に添加しただけで熱融着性樹脂材23が硬くなり、デボス加工の際に、熱融着性樹脂層32に亀裂が入りやすい。このため、アルミニウム、銅などの金属微粒子はあまり多く添加できず、これらによって熱融着性樹脂層32の熱伝導性を顕著に高めるのは容易ではない。また、アルミナ、マグネシアのセラミック微粒子は、上記の金属微粒子よりやや多目に添加することはできる。一方で、これらは熱伝導率が比較的低く、これらによって熱融着性樹脂層32の熱伝導性を顕著に高めるのは容易ではない。鱗状黒鉛などの黒鉛は、金属材料に次いで比較的高い熱伝導率を有する。さらに、黒鉛は、滑性が高い。このため、黒鉛は、多目に添加しても熱融着性樹脂材23はあまり硬くならない。これらのことから、黒鉛は、熱融着性樹脂材23に添加する材料としては、特に好適である。
高熱伝導率材の微粒子を用いて熱融着性樹脂層32の平面方向の熱伝導性を高めることは、不織布21に付着したアルミニウムの微粒子26の不均一な熱伝導の補助を担うことができる。条件によっては、高熱伝導率材の微粒子を添加した熱融着性樹脂層32を形成することで、不織布21へのアルミニウムの微粒子26の付着を省くこともできる。
さらに、高熱伝導率材のうち鱗状黒鉛といった黒鉛を選択した場合、熱融着性樹脂層32は、上述の利点に加えて、面状ヒータ1に遠赤外線放射機能を与え得る。この遠赤外線放射機能によって、例えば、シートヒータは、接触熱伝導によって人体を加熱するほか、遠赤外線という熱線によって人体を加熱することができるようになる。その結果、熱融着性樹脂層32に黒鉛が添加されたヒータ線保持基材13を用いることで、シートヒータへの印加電力を減らしても体感温度を維持できるという省エネルギー効果が得られる。
本実施形態においても、熱融着は、複数の突起のある上金型を装備したホットプレス等によってデボス加工を伴って行われ得る。本実施形態のヒータ線保持基材13では、凹部33によって形成される混在固着層43では、不織布21とアルミニウムの微粒子26とを含む不織布層31と熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂層32とが混在している。すなわち、混在固着層43では、不織布21とアルミニウムの微粒子26と高熱伝導率材の微粒子と熱融着性樹脂材とが混在している。
本実施形態のように、目付量が少ない薄手の不織布の表面にアルミニウムの微粒子を付着させた不織布材と、黒鉛などを含む熱融着性樹脂材とをホットプレス等により熱融着すると、上述の場合と同様の課題が生じ得る。すなわち、一般的には、加熱・冷却過程で不織布材との接触密度差等によって熱融着性樹脂材に収縮むらができ、それによって熱融着性樹脂層にピンホールや皺ができやすい。また、ヒータ線保持基材全体としても歪曲変形を生じやすい。このとき、不織布材の内部では、アルミニウムの微粒子の偏在が起こり、平面方向の熱伝導性が不均一になるおそれがある。このような状態では、面状ヒータとしては、加熱の偏在を引き起こし、さらに、黒鉛などを含む熱融着性樹脂層が加熱の偏在を一層強め、局所加熱を誘発するおそれがある。
これに対して、本実施形態に係るヒータ線保持基材13では、デボス加工により、凹部33が形成されている。これにより、不織布材と熱融着性樹脂材23とを熱融着した際に発生する熱融着性樹脂材23の収縮力が、凹部33で緩和される。その結果、熱収縮によって熱融着性樹脂層32に発生し得るピンホールや皺の数が低減される。また、ヒータ線保持基材13全体としても歪曲変形が生じにくく、平面性の高いヒータ線保持基材13が実現される。また、加熱の偏在など局所加熱のおそれがない、ヒータ線保持基材13が実現される。
〈第4実施形態〉
ヒータ線保持基材10の第4実施形態について図5を参照して説明する。ここでは、第3実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。図5は、本実施形態に係るヒータ線保持基材14の表面付近の構成例の概略を示す模式的な横断面図である。
本実施形態のヒータ線保持基材14も、不織布層31の上に熱融着性樹脂層32が設けられた構造を有する。第3実施形態と同様に、不織布層31を構成する不織布構造体は、不織布21の表面にアルミニウムの微粒子26が付着したものである。本実施形態のヒータ線保持基材14では、熱融着性樹脂層32は、熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂材23と、熱融着性樹脂で形成された熱融着性樹脂材22とが積層された構造体である。熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂材23は、第3実施形態の熱融着性樹脂層32を構成する熱融着性樹脂材23と同様である。熱融着性樹脂で形成された熱融着性樹脂材22は、第2実施形態の熱融着性樹脂層32を構成する熱融着性樹脂材22と同様である。
例えば、ヒータ線保持基材14は、不織布材と熱融着性樹脂で形成された熱融着性樹脂材22とを熱融着させ、その後、さらに熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂材23を熱融着させることで形成される。不織布材と熱融着性樹脂で形成された熱融着性樹脂材22とを熱融着させたときに、熱融着性樹脂材22の収縮むらによって、ピンホールができたとしても、さらに熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂材23を熱融着することで、このピンホールが補修され得る。
本実施形態においても、熱融着は、複数の突起のある上金型を装備したホットプレス等によってデボス加工を伴って行われ得る。なお、熱融着性樹脂で形成された熱融着性樹脂材22の熱融着と、熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂材23の熱融着との両方において、デボス加工を伴ったホットプレス等が行われてもよい。また、熱融着性樹脂で形成された熱融着性樹脂材22の熱融着においては、デボス加工を伴ったホットプレス等が行われ、熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂材23の熱融着においては、デボス加工を伴わないホットプレス等が行われてもよい。
本実施形態のヒータ線保持基材14では、凹部33によって形成される混在固着層44では、不織布21とアルミニウムの微粒子26とを含む不織布層31と、熱融着性樹脂材22と熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂層32とが混在している。すなわち、混在固着層43では、不織布21とアルミニウムの微粒子26と高熱伝導率材の微粒子と熱融着性樹脂材とが混在している。
熱融着性樹脂で形成された熱融着性樹脂材22と、熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂材23との上下の位置関係は、適宜に変更されてもよい。例えば、不織布材に、不織布21のみを用いるか、アルミニウムの微粒子26が付着した不織布21を用いるかによって、平面方向の熱伝導性が異なるので、それらの構造に応じて、熱融着性樹脂で形成された熱融着性樹脂材22と、熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂材23との上下の位置関係が変更されてもよい。
また、面状ヒータ1の構成については、熱融着性樹脂で形成された熱融着性樹脂材22と熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂材23とが積層された熱融着性樹脂層32の上にコード状発熱体5が配置される構成に限らない。例えば、熱融着性樹脂で形成された熱融着性樹脂材22と熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂材23との間にコード状発熱体5が配置されてもよい。コード状発熱体5の固定は、縫合に限らず、例えば、熱融着によって行われてもよい。熱融着性樹脂で形成された熱融着性樹脂材22と熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂材23との間にコード状発熱体5が配置される場合、高い平面方向の熱伝導性が得られるため、特に面状ヒータ1の省エネルギー性能は高くなる。
熱融着性樹脂で形成された熱融着性樹脂材22と熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された熱融着性樹脂材23とを積層することは、コスト増にはなり得る。しかしながら、第1実施形態乃至第3実施形態の利点を全て得ながら、さらに発生し得るピンホールを塞ぐことで、不織布層31における対流による熱損失を著しく抑制することができる。その結果、省エネルギー性に貢献するヒータ線保持基材14が実現される。
〈第5実施形態〉
ヒータ線保持基材10の第5実施形態について図6を参照して説明する。ここでは、第1実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。図6は、本実施形態に係るヒータ線保持基材15の表面付近の構成例の概略を示す模式的な横断面図である。
本実施形態のヒータ線保持基材15も、不織布層31の上に熱融着性樹脂層32が設けられた構造を有する。ここで本実施形態のヒータ線保持基材15では、熱融着性樹脂層32を形成する熱融着性樹脂材24に、予め熱処理して収縮して皺を有する状態の熱融着性樹脂材を用いている。熱融着性樹脂材24は、例えば、二軸延伸装置により、例えば220℃の高温でフィルム状に形成された熱融着性樹脂材が、それよりも低い、例えば180℃の熱ローラーや熱風炉で加熱され、テンションをあまり掛けず、徐冷的な環境で巻き取られて、適度に収縮したものである。
本実施形態においても、熱融着は、複数の突起のある上金型を装備したホットプレス等によってデボス加工を伴って行われ得る。本実施形態のヒータ線保持基材15では、凹部33によって形成される混在固着層45では、不織布層31と熱融着性樹脂層32とが混在しており、不織布21と熱融着性樹脂材24とが混在している。
本実施形態のヒータ線保持基材15では、熱融着性樹脂材24が予め収縮しているので、不織布21への熱融着において、ピンホールや皺の発生が抑制され得、また、ヒータ線保持基材15全体の歪曲が抑制され得る。すなわち、第1実施形態乃至第3実施形態の利点を全て得ながら、加工の容易さと高い経済性とが実現され得る。
なお、熱融着性樹脂材を予め収縮させることは、本実施形態のように第1実施形態の態様との組み合わせのみならず、第2乃至4実施形態の態様と組み合わせて用いられてもよい。
[ヒータ線保持基材の製造方法]
図7は、ヒータ線保持基材10の製造方法の一例の概略を示す。上述の通り、ヒータ線保持基材10の製造では、不織布材を準備し(ステップS1)、また、融着性樹脂材を準備する(ステップS2)。不織布材の上に融着性樹脂材を配置し、デボス加工を伴う押圧熱融着処理を行い(ステップS3)、ヒータ線保持基材10を完成させる。
上述の5つの実施形態のヒータ線保持基材に係る実施例と、それらを用いたシートヒータの実施例について説明する。
[ヒータ線保持基材の作製]
〈不織布材〉
不織布として、FMVSS302の難燃規格適合の、目付量が約150g/m、厚さが1.5mm、引張強度が縦横方向とも80N以上のものを使用した。
不織布にアルミニウムの微粒子を付着させる場合には、次のように不織布材を作製した。すなわち、上述の不織布へのアルミニウムの微粒子の付着は、真空蒸着によって行った。真空蒸着における真空度は、約10-6Torrとした。不織布の表面におけるアルミニウム層の厚さは概ね10μmであり、不織布の深さ方向約50μmにおいてアルミニウム層の厚さが概ねゼロになった。
〈熱融着性樹脂材〉
熱融着性樹脂として、市販の難燃性ポリオレフィン樹脂コンパウンドQU1548A1(三菱ケミカル(株)製)を使用した。この樹脂を用いて、短軸押出機からなる二軸延伸フィルム製造装置を使い、厚さ0.1mmの熱融着性樹脂材を作製した。
高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材は、次のように作製した。すなわち、高熱伝導率材の微粒子として、鱗状黒鉛(グラファイト)MCP-10(日本黒鉛工業(株)製)を用いた。上述の難燃性ポリオレフィン樹脂コンパウンド100重量部に対し、鱗状黒鉛を10重量部添加した。これら混合物を混錬機でよく撹拌した。その後、短軸押出機を有する二軸延伸フィルム製造装置を使い、高熱伝導率材の微粒子が分散した厚さ0.1mmの熱融着性樹脂材、すなわち、黒色の高熱伝導率を有する熱融着性樹脂材を作製した。この黒色の高熱伝導率を有する熱融着性樹脂材の表面抵抗の平均値は、概ね10Ω/cmであった。
〈熱融着〉
不織布材と熱融着性樹脂材との熱融着は、複数の突起のある上金型を装備したホットプレスにより行った。突起部分は、下底面の直径が5mmであり、上底面の直径3mmであり、高さが50μmである、円錐台形状の突起とした。突起の密度は、3cm四方に1個とした。
〈実施例1〉
実施例1として、図2を参照して説明した第1実施形態に係るヒータ線保持基材11を作製した。アルミニウムの微粒子が真空蒸着されていない不織布21の上に、高熱伝導率材の微粒子が分散していない熱融着性樹脂材22を配置し、複数の突起のある上金型を装備したホットプレスにより、これらを熱融着させた。ホットプレスによる加熱温度は180℃、加熱時間は10秒とした。この熱融着により、不織布21と熱融着性樹脂材22とが混在した混在固着層41が形成された。
〈実施例2〉
実施例2として、図3を参照して説明した第2実施形態に係るヒータ線保持基材12を作製した。不織布21上にアルミニウムの微粒子26が真空蒸着された不織布材の上に、高熱伝導率材の微粒子が分散していない熱融着性樹脂材22を配置し、複数の突起のある上金型を装備したホットプレスにより、これらを熱融着させた。ホットプレスによる加熱温度は180℃、加熱時間は10秒とした。この熱融着により、不織布21とアルミニウムの微粒子26と熱融着性樹脂材22とが混在した混在固着層42が形成された。
〈実施例3〉
実施例3として、図4を参照して説明した第3実施形態に係るヒータ線保持基材13を作製した。不織布21上にアルミニウムの微粒子26が真空蒸着された不織布材の上に、高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23を配置し、複数の突起のある上金型を装備したホットプレスにより、これらを熱融着させた。ホットプレスによる加熱温度は180℃、加熱時間は20秒とした。この熱融着により、不織布21とアルミニウムの微粒子26と高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23とが混在した混在固着層43が形成された。
〈実施例4〉
実施例4として、図5を参照して説明した第4実施形態に係るヒータ線保持基材14を作製した。不織布21上にアルミニウムの微粒子26が真空蒸着された不織布材の上に、高熱伝導率材の微粒子が分散していない熱融着性樹脂材22を配置し、複数の突起のある上金型を装備したホットプレスにより、これらを熱融着させた。ホットプレスによる加熱温度は180℃、加熱時間は10秒とした。続いて、さらにこの上に、高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23を配置し、複数の突起のある上金型を装備したホットプレスにより、これらを熱融着させた。ホットプレスによる加熱温度は180℃、加熱時間は20秒とした。これらの熱融着により、不織布21とアルミニウムの微粒子26と高熱伝導率材の微粒子が分散していない熱融着性樹脂材22と高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23とが混在した混在固着層44が形成された。
〈実施例5〉
実施例5として、図6を参照して説明した第5実施形態に係るヒータ線保持基材15を作製した。高熱伝導率材の微粒子が分散していない熱融着性樹脂材22を、平面のホットプレスで押圧加熱し、その後徐冷した。このときのホットプレスによる加熱温度は180℃、加熱時間は10秒とした。このようにして、収縮して小さな皺が散在する状態の熱融着性樹脂材24を準備した。
アルミニウムの微粒子が真空蒸着されていない不織布21の上に、上述の収縮により小さな皺が散在する状態の熱融着性樹脂材24を配置し、複数の突起のある上金型を装備したホットプレスにより、これらを熱融着させた。ホットプレスによる加熱温度は180℃、加熱時間は10秒とした。この熱融着により、不織布21と熱融着性樹脂材24とが混在した混在固着層45が形成された。
〈比較例1〉
比較例1として、不織布21上にアルミニウムの微粒子26が真空蒸着された不織布材の上に、高熱伝導率材の微粒子が分散していない熱融着性樹脂材22を配置し、突起がない平面状の上金型を装備したホットプレスにより、これらを熱融着させた試料を作製した。ホットプレスによる加熱温度は180℃、加熱時間は10秒とした。すなわち、実施例2と同じ層構造で、凹部33を有しないヒータ線保持基材を作製した。
〈比較例2〉
比較例2として、アルミニウムの微粒子が真空蒸着されていない不織布21のみの試料をヒータ線保持基材として準備した。
〈試料〉
以上のとおり準備した実施例及び比較例に係る試料の構成を表1に示す。
Figure 0007475756000001
[面状ヒータの作製]
上述の各実施例及び比較例に係るヒータ線保持基材を用いて、面状ヒータを作製した。すなわち、図1に示したように、各ヒータ線保持基材10の上にコード状発熱体5を固定した面状ヒータ1を作製した。
〈コード状発熱体〉
コード状発熱体5は次のとおりとした。巻芯には、全芳香族ポリエステル繊維を集束し、外径0.25mmとしたものを用いた。抵抗素線には、φ0.075mmの銅錫3%合金線を用いた。3本の抵抗素線を撚って撚り素線を作り、その撚り素線6本を引き揃えて、上記巻芯に1.815mmピッチで横巻きした。この上に絶縁被覆層としてETFE樹脂を0.2mmの厚さで押出し被覆して、外径0.9mmのコード状発熱体5を作製した。
実施例1~5及び比較例1~2の全ての場合において、このコード状発熱体の敷線長は、5.75±0.06mとした。その抵抗値は、1.9±0.02Ωであった。
〈コード状発熱体の固定〉
実施例1~5及び比較例1~2の全ての場合のヒータ線保持基材10に関して、自動ミシンを用いて蛇行パターン・プログラムに従い、ヒータ線保持基材10上に、コード状発熱体5を敷線すると同時に、それを上糸6と下糸7とにより縫合固定して、面状ヒータ1を作製した。
なお、実施例4に対応する面状ヒータ1として、実施例2のヒータ線保持基材12の表面にコード状発熱体5を縫合固定し、その上に、高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23を配置し、突起のない上金型を装備したホットプレスにより、これらを熱融着させて作製した面状ヒータ1を以下の実験に用いた。
[各種測定の方法]
〈ヒータ線保持基材の形状測定〉
実施例1~5及び比較例1に係るヒータ線保持基材の測定においては、それらを30cm四方に切断して試料とした。実施例1~5に係るヒータ線保持基材の断面を顕微鏡で観察し、凹部33の深さを測定した。なお、不織布は繊維が不定形に散在している構成を有するため、測定した深さは、平均的な概略値である。また、各試料の中央部10cm四方を顕微鏡で観察し、ピンホールの数を測定した。また、各試料の平面からの最大歪曲寸法を測定した。
〈面状ヒータの温度特性の測定〉
実施例1~5及び比較例1~2に係る面状ヒータの試料を、自動車用の断熱・弾性シートの上に接着せずに配置し、シートの表皮は被せず、直接面状ヒータの表面の温度特性を測定した。測定は、室温25℃の無風環境で行った。
測定には、3本の熱電対を用いた。熱電対は、コード状発熱体に接触しない位置であって、面状ヒータの中央部とその左右へそれぞれ約5cm離れた部分とに配置した。各熱電対の先端を、面状ヒータに接着剤で固定した。3本の熱電対を汎用の温度ロガーに接続し、1秒ごとの温度変化を記録し、3本の平均値を測定値とした。このようにシートヒータを単独に近い環境条件で測定するのは、各試料間の本質的な性能の差を明確にするためである。
また、面状ヒータの中央部に接着された測定用熱電対に隣り合わせた位置に、温度制御用の熱電対を接着した。温度制御用熱電対の配置は、コード状発熱体に接触しない位置とした。温度制御用熱電対を、温度制御器に接続した。コード状発熱体の抵抗は温度依存性があるので、試料ごとに、40℃の消費電力が82.1Wになるよう予め電力計を見ながら印加電圧(概ね12.5V)を微調整した。
立ち上がり時間の測定では、面状ヒータを、温度制御器を介さずに直接直流電源に接続した。電源のスイッチをONにすると、3本の熱電対を用いて測定される温度が上昇する。温度ロガーで記録された3つの温度を平均して測定値とした。各試料について、電源のスイッチをONにしてから面状ヒータの表面温度が40℃に達するまでの時間を、立ち上がり時間として測定した。
消費電力の測定では、面状ヒータを、ON-OFFタイプの温度制御器を介して直流電源に接続した。温度制御器の設定は、OFF点設定温度を40℃、ON点設定温度を39.5℃、ヒステリシス幅0.5℃とした。スイッチをONにして自動温度制御状態にし、積算電力計を用いて消費電力を測定した。電源スイッチをONにした瞬間から30分間の積算電力の平均値を平均消費電力として決定した。
〈面状ヒータの遠赤外線放射の測定〉
面状ヒータ単体を、25℃無風の空中に吊るし、温度制御器を介して直流電源に接続した。温度制御器の設定温度を40℃とし、自動温度制御状態にした。シートヒータの表面から15cm離れた空中に、面状ヒータが隠れる大きさの黒色の布を張った。面状ヒータの中央部に相当する黒色布の表面の温度を、遠赤外線サーモグラフィーを用いて測定した。1分間隔で10分間測定し、その平均温度を遠赤外線加熱として決定した。
〈面状ヒータの着座ストレスに対する耐久性の測定〉
自動車用の断熱・弾性シートと表皮カバーとの間に面状ヒータを挟んで配置した。面状ヒータに、直流電源を接続し、直流13.5Vを印加した。人体模倣ロボットを用いて着座ストレスを模倣した。乗車と着座のためのシートの回転・スライド、40kgの荷重印加、上下振動20回の後、離座と降車のための逆動作を行い、これを1サイクルとした。このサイクルを1万回繰り返す試験を行った。この試験後、ヒータ線保持基材の破壊によって生じた蒸着アルミニウムの微小片が熱融着性樹脂層32から飛び出していないか、また、熱融着性樹脂層32の破壊によって黒鉛を含む微小片が飛散していないか等を、目視でチェックした。
〈帯電防止能の測定〉
自動車用の断熱・弾性シートと表皮カバーとの間に面状ヒータを挟んで配置した。面状ヒータに、直流電源を接続し、スイッチOFFの非通電状態とした。表皮カバーの表面を約30cm四方にわたりポリエステルの布で強く10回擦った後に、直ちに静電気テスターを用いて、25mm離れた位置での帯電圧を測定した。
[各種測定の結果及び評価]
〈ヒータ線保持基材の形状〉
凹部33の深さ、ピンホールの数、及び歪曲の寸法の測定結果を表2に示す。
Figure 0007475756000002
高さ50μmの突起を有する上金型を装備したホットプレスにより製造した実施例1~5に係るヒータ線保持基材には、概ね上金型の突起に対応した深さの凹部33が形成されていることが確認できた。凹部33において不織布層31は、10μm以上沈み込んでいた。不織布層31に熱融着性樹脂層32が深さ方向に十分に食い込んでいる状態であり、不織布、アルミニウムの微粒子、高熱伝導率材の微粒子、熱融着性樹脂材等が混在した混在固着層が形成されていることが確認できた。
また、ピンホールの数については、凹部が設けられていない比較例1のヒータ線保持基材では、非常に多数のピンホールが確認された。これに対して、凹部33が設けられた実施例1~5のヒータ線保持基材では、ピンホールの発生が抑制されていることが確認できた。これは、熱融着時に熱融着性樹脂層32に発生する収縮力が凹部33によって食い止められ、広範囲にわたる収縮力の拡大が緩和されていることを示している。
また、ヒータ線保持基材の歪曲寸法については、次の通りとなった。ヒータ線保持基材の歪曲は、何れも四隅の角部に最も大きく現れた。凹部が設けられていない比較例1のヒータ線保持基材では、歪曲が非常に大きかった。その歪曲は、コード状発熱体5を縫合する際に自動ミシンで縫合できない程度であり、自動ミシンを手動で操作しながらコード状発熱体5の縫合作業を行う必要が生じ、精度の高いコード状発熱体5の縫合は困難であった。これに対して、凹部33が設けられた実施例1~5のヒータ線保持基材では、歪曲が小さかった。その歪曲は、コード状発熱体5を縫合する際に自動ミシンで縫合できる程度であった。
〈面状ヒータの特性〉
各種特性の測定結果を表3に示す。
Figure 0007475756000003
立ち上がり時間については、次のようになった。熱融着性樹脂層が設けられていない比較例2では、立ち上がり時間は非常に長かった。これに対して、熱融着性樹脂層32と、アルミニウムの微粒子26を含む不織布層31とを有する実施例2~4では、立ち上がり時間が顕著に短くなった。不織布層31に含まれるアルミニウムの微粒子26が立ち上がり時間の短縮に効果を発揮することが確認できた。また、不織布層31にアルミニウムの微粒子26を含まないが熱融着性樹脂層32を有する実施例1、5では、立ち上がり時間が比較例2の場合よりも短くなった。これらの結果から、熱融着性樹脂層32が立ち上り時間の短縮に効果を発揮することが確認できた。これは、熱融着性樹脂層32によって不織布21を流過する空気が遮断され、不織布21が断熱材的に働くためと考えられた。以上の通り、実施例1~5では、立ち上り時間が短縮され、省エネルギー効果が得られることが確認できた。なお、比較例1では、材料と構造に見合う立ち上り時間の短縮に効果が得られなかった。これは、コード状発熱体5の縫合を半手作業で行う必要があったことに起因すると考えられた。
平均消費電力に関しても、実施例1~5及び比較例1~2では、立ち上がり時間と類似の傾向が認められ、実施例1~5では、省エネルギー効果が得られることが確認できた。
〈面状ヒータの遠赤外線放射〉
遠赤外線加熱の測定結果によると、高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23を有する実施例3、4の場合、概ね4℃~5℃の測定用黒色布の表面温度の上昇が認められた。この温度上昇は、遠赤外線放射による温度上昇が主である。これに対して、高熱伝導率材の微粒子が分散していない熱融着性樹脂材22を有する実施例1、2、5、及び比較例1、2の場合、測定用黒色布の表面温度の上昇は、概ね1℃程度であり小さかった。
なお、本測定では、面状ヒータから15cm離れた位置に配置した黒色布で温度測定を行った。これに対して、面状ヒータがシートヒータとして用いられる場合には、シートヒータと人体は密接状態になる。この場合、遠赤外線による人体の暖房感は、本実施例の場合より大きくなる。
高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23を有する実施例3、4の場合、発熱エネルギーのうち人体加熱には不向きな熱線成分が少なく、人体加熱に有効な遠赤外線成分が多くなる結果が得られた。これらを用いたシートヒータでは、遠赤外線放射による省エネルギー効果が得られることが明らかになった。
〈面状ヒータの着座ストレスに対する耐久性〉
実施例1~5の場合には、試験後に熱融着性樹脂層32に皺が生じたが、熱融着性樹脂層32が破壊されることはなかった。また、実施例2~4の場合には、熱融着性樹脂層32を破ってアルミニウムの微粒子26やアルミニウムの微粒子26が付着した不織布21が面状ヒータ1の表面に出てくることはなかった。また、実施例3、4の場合には、熱融着性樹脂層32が破壊されることはなく、黒鉛を含む微小片の飛散も認められなかった。一方、比較例1の場合には、多数できたピンホールのうち大部分のピンホールにおいて、その縁にひび割れが発生していた。
このように、凹部33を有する熱融着性樹脂層32は、着座ストレスに対して十分な耐久性を有することが確認できた。また、凹部33を有する熱融着性樹脂層32は、不織布21に付着したアルミニウムの微粒子26を十分に保護し、高い安全性を提供できることが確認できた。
〈帯電防止能〉
アルミニウムの微粒子26と高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23とを有する実施例3、4の場合、帯電圧が比較的低くなり、アルミニウムの微粒子26と高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23とをいずれも有しない実施例1、5、比較例2の場合、帯電圧が比較的高くなるという結果が得られた。
アルミニウムの微粒子26と高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23とを有する実施例3、4の場合と、アルミニウムの微粒子26のみを有する実施例2、比較例1の場合とを比較すると、高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23を有する実施例3、4の場合に帯電圧が比較的低くなった。このことから、帯電した静電気が、抵抗値が低く電路としては優れているアルミニウムの微粒子26ではあまり消費されず、適度な高抵抗を有する高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23で比較的早く消費されることが分かった。このように、高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23は帯電防止体として機能することが明らかになった。高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23を用いたシートヒータは、高熱伝導率材の微粒子が分散していない熱融着性樹脂材22を用いたシートヒータと比較して、静電気による各種ノイズを低減できることが明らかになった。
以上の通りであり、実施形態に係るヒータ線保持基材10を用いたシートヒータでは、従来から信頼性が保証されているコード状発熱体が使用され得る。そして、実施形態に係るヒータ線保持基材10を用いたシートヒータは、目付量が少なく薄い不織布を母材にしたヒータ線保持基材であっても、昇温速度が速く、消費電力が小さく、省エネルギーを実現できる。
また、実施形態に係るヒータ線保持基材10を用いたシートヒータは、着座ストレスに強く、設計の自由度も高く、コストパフォーマンスにも優れている。さらに、高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂材23を含むヒータ線保持基材10を用いたシートヒータは、遠赤外線放射による人体加熱に適した機能を有し、また、帯電防止機能も有しする。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。

Claims (10)

  1. 不織布を含む不織布層と、
    押出成形された熱融着性樹脂材を含み前記不織布層の上に熱融着された熱融着性樹脂層と
    を備え、
    前記不織布層は、前記不織布の表面にアルミニウムの微粒子が付着した不織布構造体であり、
    熱融着された前記不織布層及び前記熱融着性樹脂層は、前記熱融着性樹脂層が前記不織布層の深さ方向に侵入している複数の凹部を有し、
    前記凹部により前記不織布と前記熱融着性樹脂材とが混在している混在固着層が形成されており、
    前記凹部において、前記不織布層の表面の沈み込み量は、10μm以上、かつ前記熱融着性樹脂層の厚さ寸法以下である、
    ヒータ線保持基材。
  2. 前記不織布の目付量が80g/m以上、350g/m以下である、請求項1に記載のヒータ線保持基材。
  3. 前記凹部の各々の前記熱融着性樹脂層の表面における幅の最大部分は1mm以上であり、前記凹部は、5cm四方に1個以上設けられている、
    請求項1又は2に記載のヒータ線保持基材。
  4. 前記熱融着性樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂で形成されており、
    前記熱融着性樹脂層の厚さは、0.03mm~0.5mmである、
    請求項1又は2に記載のヒータ線保持基材。
  5. 前記熱融着性樹脂層は、熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体である、請求項1に記載のヒータ線保持基材。
  6. 前記熱融着性樹脂層は、熱融着性樹脂に高熱伝導率材の微粒子が分散した熱融着性樹脂構造体で形成された層と、熱融着性樹脂で形成された層とが積層された構造体である、請求項1に記載のヒータ線保持基材。
  7. 前記高熱伝導率材の微粒子は、アルミニウム、銅、アルミナ、マグネシア及び黒鉛のうち少なくとも何れか1つの微粒子である、請求項5又は6に記載のヒータ線保持基材。
  8. 前記熱融着性樹脂層は、表面に皺を有する、請求項1又は2に記載のヒータ線保持基材。
  9. 不織布を含む不織布材を準備することと、
    押出成形された熱融着性樹脂を含む熱融着性樹脂材を準備することと、
    前記不織布材の上に前記熱融着性樹脂材を重ねて、突起のある上金型を装備したホットプレスによって、前記熱融着性樹脂材を全面にわたり前記不織布材に押圧熱融着させることと
    を含み、
    前記不織布材は、前記不織布の表面にアルミニウムの微粒子が付着した不織布構造体であり、
    前記不織布材を準備することは、
    前記不織布の表面にアルミニウムの微粒子を気相堆積によって付着させることと、
    前記不織布の表面にアルミニウムの微粒子を混合させた接着剤を吹き付けることによって付着させることと
    の何れかを含み、
    前記押圧熱融着によって、前記不織布材による不織布層と、前記熱融着性樹脂材による熱融着性樹脂層とを有し、前記熱融着性樹脂材が前記不織布材の深さ方向に加熱による溶融により侵入している複数の凹部を有し、前記凹部により前記不織布層と前記熱融着性樹脂層とが混在している混在固着層が形成されており、前記凹部において、前記不織布層の表面の沈み込み量は、10μm以上、かつ前記熱融着性樹脂層の厚さ寸法以下である、ヒータ線保持基材を形成する、
    ヒータ線保持基材の製造方法。
  10. 前記熱融着性樹脂材を準備することは、押出成形された熱融着性樹脂を含む熱融着性樹脂材を熱収縮させて皺を有する状態とすることを含み、
    前記熱融着性樹脂層は、表面に皺を有する、
    請求項に記載のヒータ線保持基材の製造方法。
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