(第1の実施形態) 以下に、本発明の第1の実施形態に係る加工装置1について、図1乃至10を参照しながら詳細に説明する。図1の全体構成図に示すように、加工装置1は、装置本体2のシートSの搬送路5の上流側に供給台36が設置される。搬送路5の下流側には排出台61が設置される。
装置本体2内には、シートSを搬送する搬送部4が設けられる。搬送部4は、所定の領域毎に独立した複数個の第1~4搬送用モータ41~44によって駆動される複数個の対のローラを備える。したがって、複数個の対のローラ10~17がシートSの搬送方向Fに並んで配置される。搬送部4のシートSの搬送速度は、例えば、0.2m/秒~3.0m/秒とすることができる。
シートSの搬送路5に沿って適宜の位置には、加工部19が配置されている。加工部19は、搬送部4により搬送されるシートSの所定位置に加工処理を施す加工部材191を備える。図1に示した実施形態では、シートSの搬送路5の上流側から下流側に向けて、加工部19として3つのスリット部20、クリース部21及び横裁断部22を、それぞれ備えている。
これらの加工部19は、装置本体2に対して固定的に設置されてもよいが、フレキシブルな対応、装置の小型化及び交換作業の容易化のために、装置本体2に対してユニットとして着脱自在に設置されている。これらの加工ユニットは、いずれの設置場所にも着脱できるように、外観上同じ寸法や形状を有するように構成されている。
図2は供給台36を含むシートSの供給部3の縦断面図、図3は供給部3の平面図を示す。供給部3は、スリット部20の上流側に設置される。供給部3は、シートSを搬送路5へ供給する。供給部3は、供給台36、吸引式搬送機構31、斜行補正機構32、供給ローラ33,34、重送検知部35、供給調整部301を備える。
供給台36は、搬送路5へ供給されるシートSが載置される。供給台36は図示しない昇降部によって昇降される。供給台36の側方には、シートSの側端縁Esを当接させるガイド壁361を備える。また、供給台36の前方には、シートSの束を分離するための送風機38が設けられる。
吸引式搬送機構31は、供給台36に載置されているシートSを図示しない吸引手段によって、1枚ずつ引き付けて吸着させ、搬送する。吸引式搬送機構31は、一対のローラ311、312に掛け渡された周回走行する無端状のベルト313を備える。ベルト313は、搬送方向Fと平行に走行する。ベルト313は、シートSの搬送方向Fに直交する幅方向Wに複数並設される。ベルト313の内方には、吸引箱314が設置される。吸引箱314は、下面に吸引口が開口して形成され、吸引箱314の下面にシートSを吸い付ける。
斜行補正機構32は、吸着搬送機構31によって搬送されてきたシートSを、一対のローラ321、322に掛け渡された無端状のベルト323に載せて、搬送する。無端状のベルト323は、シートSの搬送方向Fに対してガイド部材324側に向けて所定量傾斜して設けられる。ガイド部材324のシートSの接触面は、ガイド壁361のシートS接触面と同一面内に設置される。
斜行補正機構32では、シートSの側端縁Esが、搬送方向Fに平行なガイド壁324側に押し付けられながら搬送される。これより、シートSの側端縁Esがガイド壁324に沿った状態で搬送される。斜行補正機構32は押え部325を備える。押え部325は、押えボール326及び支持部材327を有する。押えボール326は球形に形成される。押えボール326は、支持部材327によって回転自在に支持される。押えボール326は斜行するシートSの搬送方向Fが補正される際、ベルト323上のシートSを上方より押える。ベルト323の内方には吸引箱328が設置され、図示しない吸引手段によってシートをベルト323上に吸引しつつ搬送する。
重送検知部35は、シートSの重送を検知する。重送検知部35は、光学式センサまたは超音波センサ等により構成される。重送検知部35が超音波センサである場合、重送した場合に超音波の透過量または反射量の違いを検知し辛い厚いシートSであっても適正に重送を検知できる。
供給調整部301は、本発明にかかる調整部30を構成する。調整部30は、演算部451の演算結果に基づいて加工部材191がシートSへ施す加工の処理角度を調整する。供給調整部301は、供給台36を含む給紙部3全体の設置角度を調整する。供給調整部301は、回動部302を備えている。回動部302は、回動軸303を中心として供給台36を含む給紙部3全体を回動させる。回動軸303は、平面視矩形の供給台36の搬送方向下流側の一隅に設けられている。
回動部302は、図示しないモータ、切替部及び操作部を備える。モータは、供給台36を自動で回動させる。切替部は、モータの駆動による供給台36の自動での回動動作に替えて、使用者が操作部を操作することによって手動で供給台36を回動できるよう切り替えるために設けられる。切替部による自動と手動との切替は、自動で行ってもよく、手動であってもかまわない。
図1に示すスリット部20は、シートSを搬送部5の搬送方向Fに沿って裁断する。スリット部20は、左右一対のスリッター201とスリッタ用モータ48とを備える。スリッター201は、移動部202によりシートSの幅方向Wの適宜の位置に移動可能に構成される。シートSの裁断を必要としないときには、スリッター201がシートSの搬送路5の外側に退避している。なお、スリッター201のシートSの幅方向Wの移動及び位置決めは、CPUやIC等の半導体の制御装置45によって制御される。スリッタ用モータ48は、搬送方向Fに沿った裁断を行うときにスリッター201を回転駆動するための駆動源である。
裁断屑落し部27は、スリット部20における裁断によって生じた裁断屑をシートSの搬送路5の外側に排除するためのものである。裁断屑落し部27は、複数個の裁断屑落しデバイスと図示しない横方向位置決め軸とデバイス移動用モータとを備える。裁断屑落しデバイスは、横方向位置決め軸の回転に伴ってシートSの幅方向Wに移動可能に構成させる。所定位置に配置された裁断屑落しデバイスがシートSの搬送路5上の障害物になるために、シートSが裁断屑落し部27を通過する際に、シートSに含まれる裁断屑を落下させてゴミ箱23で回収する。
クリース部21は、シートSに対してシートSの幅方向Wに沿った折り型を形成する。クリース部21は、クリース刃215を備える。クリース刃215は、シートSの幅方向Wに延在する上型211及び下型212により構成される。クリース駆動部49は、上型211を上下方向に駆動するための駆動源である。上型211と下型212との間にシートSを挟んだ状態で、上型211を下向きに駆動させて、シートSを上型211の凸部で下型212の凹部に押し込むことによって、シートSに断面が略半円状の折り型を形成する。
クリース部21は、クリース調整部241を備える。クリース調整部241は、本発明にかかる調整部30を構成する。クリース調整部241は、演算部451の演算結果に基づいて加工部材191としてのクリース刃215がシートSへ施すクリース加工の処理角度を調整する。
図4は、クリース部21の平面図である。クリース調整部241は、クリース刃215の設置角度を調整する。クリース調整部241は、クリース調整部241を備えている。クリース調整部241は、回動軸213、ラック217、ピニオン218、モータ219、切替部216及び回動操作部214を備える。切替部216は、手動操作可能な機構に替えて、パネル46上に表示し、制御装置45が制御することで、自動で切り替えてもよい。
回動軸213は、クリース部21のユニット247の一方の端部近傍に設けられている。クリース調整部241は、モータ219を所定時間駆動することで、ピニオン218を所定量回転させ、ラック217を所定量移動させる。クリース刃215は、ラック217の移動に伴って回動軸213を中心として、ユニット247ごと回動される。切替部216は、モータ219の駆動によるクリース刃215の自動での回動動作に替えて、使用者が回動操作部を操作することで、手動でクリース刃215を回動できるよう切り替えるために設けられる。切替部216は、手動操作可能な機構に替えて、パネル46上に表示し、制御装置45が制御することで、自動で切り替えてもよい。
図1に示す横裁断部22は、シートSに対してシートSを幅方向Wに沿って切断する。横裁断部22は、裁断刃225及び横裁断駆動部50を備える。裁断刃225は、シートSの幅方向Wに延在する上刃221及び下刃222を備える。横裁断駆動部50は、上刃57が下刃58に向けて押し込まれるように上刃57を上下方向に駆動するための駆動源である。
横裁断駆動部50は、上刃221と下刃222との間にシートSを挟んだ状態で、上刃221を下向きに駆動させて、シートSを上刃221と下刃222とで裁断する。裁断により生じた裁断屑は、下方へ落下してゴミ箱23で回収される。なお、シートSの搬送方向Fの裁断すべき余白部が広い場合には、複数のシートSの搬送方向Fの狭い領域に分割して、狭い幅で細かく裁断することができる。
横裁断部22は、裁断調整部251を備える。裁断調整部251は、本発明にかかる調整部30を構成する。裁断調整部251は、加工部材191としての裁断刃225の設置角度を調整する。裁断調整部251は、演算部451の演算結果に基づいて裁断刃225がシートSへ施す裁断加工の処理角度を調整する。
裁断調整部251は、裁断刃225の設置角度を調整する。裁断調整部251は、裁断回動部252を備えている。裁断回動部252は、回動軸223を中心として裁断刃225をユニット257ごと回動させる。
裁断回動部252は、回動軸223、ラック227、ピニオン228、モータ229、切替部226及び回動操作部224を備える。回動軸223は、横裁断部22のユニット247の一方の端部近傍に設けられている。裁断回動部252は、モータ229を所定時間駆動し、所定方向に回転することで、ピニオン228を所定量所定方向に回転させ、ラック227を所定方向へ所定量移動させる。裁断刃225は、ラック227の移動に伴って回動軸223を中心として回動される。切替部226は、モータ229の駆動による裁断刃225の自動での回動動作に替えて、使用者が回動操作部224を操作することで、手動で裁断刃225を、回動軸223を軸心に回動できるよう切り替えるために設けられる。切替部226は、手動操作可能な機構に替えて、パネル46上に表示し、制御装置45が制御することで、自動で切り替えてもよい。
加工装置1内に設置されるシートSの搬送用駆動源や加工用駆動源は、ステッピングモータ、DCモータやサーボモータ等の適正に位置決め可能なモータが用いられる。ステッピングモータは、パルス信号を与えることによって所定のステップ単位で回転する。搬送用駆動源及び加工用駆動源のいずれかまたは双方をステッピングモータとすることで、シートSの搬送位置や、各種加工デバイスの移動位置を高速且つ高精度に制御できる。
シートSの搬送路5に沿って適宜の位置には、複数個の検出部28が配置されている。図1に示した実施形態では、検出部28として、シート検出部91~95及び読取部26が配置されている。シート検出部91~95は、対の発光素子と受光素子を備える。シート検出部91~95は、シートSがこれらの素子の間を通過して検出光を遮ることによってシートSの通過を検出する透過型の光センサである。
上記センサ群のうちシートSの搬送路5の最も上流側に設置されたシート検出部91は、供給台36から供給されたあと搬送ローラ9で把持されたシートSの前端縁Ef又は後端Ebを検出する。これより、シート検出部91で検出されたシート位置を基準にして、シートSの搬送路5上で搬送されている各シートSの位置を一義的に検出する。
読取部26は、供給ローラ34と搬送部4のローラ10の間であって、最上流のシート検出部91の下流側に設置される。読取部26は、カメラ261により構成される。当該カメラ261は、少なくとも、シートSに印刷された位置マークM1と、シートSの前端縁Ef、後端縁Ebまたは側端Esのうちいずれかの端縁Eとを撮像する。位置マークM1はシートSに形成された画像の印刷位置に関する情報を含む。
カメラ261には、一次元CCDイメージセンサまたは平面の画像を読み取る2次元CCDイメージセンサのいずれも使用可能である。一次元CCDイメージセンサは、画像をラインスキャンで読み取る。一次元CCDイメージセンサは低コストであるために好適に使用される。また、カメラ261は、CCDイメージセンサに替えてCMOSイメージセンサ等を用いることもできる。また、カメラ261は、200万画素~1億画素、1秒間に30,60,100フレーム、分解能10分の1程度の読出しが可能なものを用いることができる。更に、グローバルシャッターを用いることで、歪みの少ない画像を得ることができ、加工処理物の加工精度向上可能となる。
図6は、シートSに施される加工情報の一例を示す。同図では、位置マークM1は、シートSの下流側の前端部分に印刷される場合を示す。位置マークM1は、加工部19でシートSに施される加工位置の基準を指し示す。読取部26が位置マークM1の周辺で読み取る範囲は、例えば、シートSの前端縁Efから20mm、左側端縁ELから20mmの範囲等とすることができる。
図7に位置マークM1周辺を拡大して示す。位置マークM1は、少なくとも所定長さの直線状部分を含む。直線状部分は、縦位置マークMf及び横位置マークMwにより構成される。縦位置マークMfは、シートSの搬送方向Fに沿って延在する。横位置マークMwは、シートSの幅方向Wに沿って延在する。縦位置マークMfの下流側端部と横位置マークMwの右端部とは結合されている。位置マークM1は平面視L字状に形状されている。カメラ261は、シートSに印刷された位置マークM1の画像データを撮像し、位置マークM1のシートSの搬送方向Fの角度とシートSの幅方向Wの位置とを検出する。
また、読取部26は、シートSに施されるべき各種処理動作に関する情報を読み取る。図7では、各種処理動作に関する情報がバーコードM2により示される場合を示す。バーコードM2は、シートSに印刷される。バーコードM2はシートSの下流側の前端部分に、位置マークM1に隣接して設けられる。
読取部26は、バーコードM2の画像データを読み取ってシートSに施されるべき各種加工情報を取得する。また、これに替えて、またはこれに加えて読取部26は、バーコードM2の画像から、シートSに施すべき加工処理情報を制御装置45の記憶部454から呼び出すための番号を取得してもよい。
バーコードM2は、シートSの縦方向や横方向のサイズ情報、位置マークM1の位置情報、縦方向の各種加工(裁断、ミシン目、コーナーカット、クリース)のための位置情報、横方向の各種加工(裁断、ミシン目、コーナーカット、クリース)のための位置情報等の各種情報を表現するマークである。なお、加工を行うために必要な各種情報は、操作用のパネル46やPC(パーソナルコンピュータ)を介して使用者が入力することもできる。
例えば、あるシートSに印刷されたバーコードM2には、図6に示すような加工を行うことを指示する加工情報が記録されている。すなわち、T1~T4のスリット位置に沿って縦方向の裁断加工を行うこと、K1~K10の裁断位置に沿って横方向の裁断加工を行い、1枚のシートSから横2行、縦5列の合計10枚の加工処理物Qを得ることがバーコードM2に記録されている。
搬送部4のローラ10の下流側には、リジェクト機構25が設けられる。リジェクト機構25は、回動部材251、回動検出部255、案内部材254、リジェクト用ローラ253及びリジェクトトレイ252を備える。回動部材251は、作動時に搬送路5を遮る姿勢となる。回動検出部255は2つの光学式センサ256及び遮光板257からなる。遮光板257は、回動部材251に固定され、回動部材251の回動動作に伴って、2つの光学式センサ256の間で移動する。これより、回動部材251がシートSを下方から支持する実線で示す水平姿勢と、シートSをリジェクトするため搬送路5を遮る二点鎖線で示す傾斜姿勢とのいずれであるかを検出する。
シートSの位置マークM1やバーコードM2が不鮮明である等何らかの理由によりリジェクトすべきシートSがある場合、回動部材251が回動され、当該シートSを搬送路5の下方へ落下させる。搬送路5の下方では、リジェクトされたシートSが案内部材254及びリジェクト用ローラ253によって案内され、リジェクトトレイ252で回収される。
加工装置1は、装置における各種動作を制御するための制御装置45を装置本体2に備えている。制御装置45には、ROM(フラッシュROM)やRAM等の記憶部454、入力デバイスとしての各種センサ26、91~95、出力デバイスとしての各種モータ41~44、47~49及び、入出力デバイスとしての操作用のパネル46、各種演算処理を行う演算部451、演算部451の検算結果に基づき調整を行う調整部30、供給部3、搬送部5及び加工部材191等の各部の動作を制御する制御部455が、それぞれ電気的に接続されている。
記憶部454には、カメラ261により撮像された位置マークM1の画像データやバーコードM2の画像データ、シートSのサイズ情報や位置マークM1の位置情報、各種加工情報、及び、シートSの前端部Ef又は後端部Ebがシート検出部91~95を通過することによって得られるシートSの位置情報等の各種情報が、CPUを介して一時的に記憶される。
バーコードM2から得られるサイズ情報や操作用のパネル46からの入力情報によってシートSの縦方向長さがRAMに記憶されている。したがって、シートSの下流側の前端縁Ef又は上流側の後端縁Ebのいずれか一方を検出することによって、シート検出部91の設置位置を基準にして、シートSの搬送路5上におけるシートSの位置、特に各シートSの後端位置を一義的に規定することができる。
上記のように最も上流に設置されたシート検出部91によってシートSの搬送路5上で搬送されている各シートSの位置を一義的に検出することができる。しかし、他のシート検出部92~95は、シートSの搬送路5が長くなってシートSの搬送路5上のシートSの縦方向の位置ズレ(搬送誤差)の累積が起こった場合に備えて、シート検出部91で得られたシートSの位置情報を修正して、当該シートSの位置情報をより正確なものにするために補助的に設置している。
演算部451は、記憶部454に記憶された位置マークM1と、予め、記憶部454に記憶された所定の基準線Bとを比較し、位置マークM1の基準線Bに対する傾斜角度θを演算する。
予め、記憶部454に記憶される基準線Bは、シートSの搬送方向と略平行に設定することができる。また、これに替えて、搬送方向に対する直交方向に設定してもよい。基準線Bの搬送方向に対する角度は、加工装置1の設置時やシートSの加工処理中、加工装置1のメンテナンス時などに、任意に調整し、変更できることとしてもよい。
演算部451が位置マークM1の傾斜角度θを把握する方法は、公知の種々の方法を利用可能である。例えば、演算部451は、位置マークM1の画像データを基に用紙の色である白と、位置マーM1の色である黒との境界位置を認識する。その際、演算部451は必要により投影処理、微分処理、サブピクセル処理等を施してもよい。境界位置は、例えば、縦位置マークMfのうち、シートSの側端縁Esに近い外側の搬送方向に沿った直線状部分について得ることができる。また、これに替えて、縦位置マークMfの側端縁Esから遠い内側の直線状部分について得ることも可能である。
そして、演算部451は、位置マークM1の外縁である用紙との境界位置を基にして、境界線を演算する。傾斜角度θは、この位置マークM1の境界線と、これに対応する基準線Bとによりなされる角度として演算可能である。また境界線に替えて、座標そのものに基づいて傾斜角度θを演算してもよい。
また、演算部451は、カメラ261によって撮像され、記憶部454に記憶された位置マークM1とシートSの端縁Eとを比較し、位置マークM1の端縁Eに対する傾斜角度θを演算することも可能である。
調整部30は、演算部451の演算結果に基づいて加工部材191がシートSへ施す加工の処理角度を調整する。調整部30は、供給調整部301及び部材調整部を備える。供給調整部301は、供給台36の設置角度を調整する。部材調整部は、加工部材191の設置角度を調整する。部材調整部は、クリース刃215の設置角度を調整するクリース調整部241と、裁断刃225の設置角度を調整する裁断調整部251とを含む。
制御部455は、傾斜角度θが予め設定される所定範囲を超えたとき、シートSの加工処理を行わないよう制御することができる。加工装置1により加工処理されるシートSは、プリンターによって既に画像が形成されていることが多い。加工装置1でシートSに施す裁断、折り型やミシン目形成等の加工処理は、シートSの画像の形成位置に応じて行われることが要求される。
しかし、プリンターの性能により、シートSに形成される画像位置が例えば数ミリ程度ずれている場合、シートSの搬送は適切に行われているので、シートSを搬送路5から排除せずに、加工部19へ搬送し、シートSにおける画像形成位置に応じて、調整済みの加工位置で加工処理を行うことが好ましい。
シートSを搬送路から除外するかどうかの閾値としての所定範囲は、使用者が自由に変更し、設定できる。所定範囲の大きさは、プリンターの性能に影響される。シートSが搬送路5上を適切な姿勢で搬送されている場合であっても、シートSに施される印刷画像がシートSの前後及び左右の端縁Eに対し傾斜して形成されている場合には、読み取った位置マークM1の角度が目標角度からずれてしまうこととなる。
このため、使用者は、シートSに画像が印刷されている場合、プリンターの性能に基づく画像形成位置の傾斜角度の大きさに応じて、所定範囲の値を、自由に変更し、設定できることとすることが好ましい。
所定範囲は、シートSが搬送路5において不適切な姿勢または位置で搬送されているために加工部材191がシートSへ施す加工の処理角度を調整不可能であると判断すべき大きさに設定される。そして、所定範囲は、許容できる角度のずれの閾値が入力される。
また、制御部455は、所定のシートSの加工処理を行わないとき、シートSの搬送路5からの排除、搬送の停止、または搬送路を経た排出台61への排出のうちの少なくともいずれかを実行するよう制御することも可能である。そして、制御部455は、シートSの加工処理の未実行回数が所定値に至ったとき、供給台36を昇降しシートSの積載位置で待機させるよう昇降部を制御してもよい。
加工装置1は、操作用のパネル46を備える。パネル46は、傾斜角度θと、調整部30の手動による調整方法とを表示することができる。手動による調整方法としては、例えば、記憶部454に記憶された位置マークM1の画像と、基準線Bとを表示する。使用者が手動で加工部材191の設置角度を調整した場合、図示しないセンサ等によって加工部材191の設置角度が計測され、これがパネル46に表示されてもよい。位置マークM1が基準線Bに重なるか、または平行となった時、調整完了とすることができる。
次に、加工装置1の動作について説明する。まず、主電源スイッチを入れ加工装置1を立ち上げると、各種の内部動作チェックを行う。加工装置1の使用者は、供給台36に、シートSの束を載置する。供給台36上で使用者は、シートSの一方の側端縁Eがガイド壁361に接触する基準位置に調整しシートSを載置する。そして、使用者は、シートSの加工情報を、操作パネル46を用いて入力するか記憶部454から呼び出し、設定する。
図8は加工装置1の制御フローを示す。図8のステップ101で、制御装置45は、使用者の設定によりシートSの加工情報を取得する。シートSの加工情報には、シートSの搬送方向F及び幅方向Wの長さ、シートSの裁断位置、クリース形成位置が含まれる。更に、加工情報には、シートSの前端隅部分におけるシートSの側端縁Esから縦位置マークMfまでの長さ及びシートの前端縁Efから横位置マークMwまでの長さが含まれる。処理角度の許容範囲に関する情報についても加工情報に含まれる。
取得した加工情報を基に、制御装置45は、搬送方向Fに沿った裁断をするための裁断位置情報から、スリット部20での左右の各スリッター201のホームポジションから各裁断位置への幅方向Wへの移動すべき長さを算出する。また、制御装置45は、幅方向Wに沿った裁断を行うための裁断位置情報から、シートSの前端縁Efから各々の裁断位置まで搬送部4によって搬送すべき長さを算出する。
また、制御装置45は、位置マークM1の傾斜角度θの大きさが許容される範囲であるかどうかの判断するための閾値である所定範囲を、加工情報または記憶部454から取得し、設定することができる。
図8のステップ102で、制御装置45は、シートSの加工処理の準備動作を行う。
加工処理の準備動作では、給紙部3において、昇降部を駆動し、供給台36をシートSの搬送路5への供給位置へ移動する。そして、送風機38を駆動し、空気流によりシートSを1枚ずつ捌く。スリット部20では直前の加工処理の裁断位置に位置するスリッター201を一旦ホームポジションへ移動する。そして、制御装置45は、算出移動量だけスリッター201を幅方向Wに移動し、スリッター201を加工位置に位置させる。横裁断部22では、上刃221を上限位置へ移動するよう横裁断駆動部50を駆動する。また、制御装置45は、リジェクト機構25において搬送路5から排除したシートSの排除回数を0に設定する。搬送部4では、搬送駆動部41~44の励磁を開始する。
使用者がシートSの加工処理開始の操作を行うと、図8のステップ103で、シートSの加工処理動作を開始する。図9は、ステップ103の加工処理の詳細なフローである。図9のステップ11で、制御装置45は、供給台36上のシートSの束から、吸引搬送機構31によって一枚ずつシートSを搬送路5へ供給する。その際、制御装置45は、まず、吸引手段を駆動し、最上位のシートSを吸引箱314の下面に引き付けて吸着させる。そして、制御装置45は、ローラ311,312を回転してベルト313を走行させる。
シートSは、ガイド壁361にシートSの一方の側端縁Esを沿わせつつ搬送路5を下流側へ搬送される。ステップ12で、重送検知部35の検出結果より、シートSが重送されたかどうか判断する。シートSが重送していたならば、ステップ20に進み、制御装置45は、供給したシートSを搬送路5から排除する。
シートSを搬送路5から排除する際、制御装置45は、重送した状態で送られた複数枚のシートSを、斜行補正機構32、供給ローラ33,34及び搬送部4のローラ10により下流側のリジェクト機構25へ搬送する。そして、制御装置45は、回動部材251の駆動源を駆動して回動部材251を水平姿勢から傾斜姿勢へと回動する。シートSは、傾斜姿勢の回動部材251によって下方へ案内され、案内部材253、案内ローラ254によって送られ、リジェクトトレイ252に回収される。
後続のシートSは、通常の設定では、処理が継続される。リジェクトすることによって、加工処理物Qの順序が入れ替わるのが好ましくない場合には、使用者が設定操作することによって、加工処理動作を停止させてもよい。使用者は、搬送路5から排除されたシートSをリジェクトトレイ252または搬送路5上から回収し、供給台36に再度積載しなおす。これより、シートSは予め想定した順序で加工処理され、排出台61に積載される。
図9のステップ20からステップ21へ進むと、制御装置45は、シートSの搬送路5からの排除回数を加算する。ステップ22へ進み、制御装置45は、シートSの搬送路5からの排除回数が予め設定した所定値を超えたかどうか判断する。所定値を超えていないとき、ステップ11に戻る。ステップ22で排除回数が所定値を超えたとき、リジェクトトレイ252が満杯であると判断し、リターンとなる。図9のリターンから図8のステップ103に戻ると終了となる。
図9のステップ12でシートSの重送が検出されないとき、ステップ13に進む。重送検知部35を通過したシートSは、斜行補正機構32に送られる。斜行補正機構32では、シートSの斜行が修正される。ベルト323上に送られて来たシートSの搬送が斜めであった場合、ガイド部材324に平行な方向に向けてシートSが搬送されるよう修正される。その際、制御装置45は、ベルト323を走行させることで、シートSが、ガイド部材324に向けて搬送されるようにする。シートSの側端縁Esがガイド部材324に接触しながら下流側へ搬送されると、シートSの斜行は修正される。
斜行補正機構32の下流側で、シートSは供給ローラ33、34によって挟持搬送される。供給ローラ34の下流側にシートSの前端縁Efが至ると、シート検出部91によってシートSの前端縁Efが検出される。その後、読取部26にシートSの位置マークM1及びバーコードM2を読み取る直前の位置までシートSをステップ搬送する。
シートSが読取部26の設置位置に至ると、カメラ261によってシートSに印刷された位置マークM1とバーコードM2とが撮像される。
カメラ261で撮像する際、必要により所定値まで減速し、且つ、カメラ261が一次元の読取の場合、シート搬送速度が一次元の読取速度の整数倍となる速度でシートSの搬送を続けながら、カメラ261が、シートSの位置マークM1及びバーコードM2の画像を撮像する。
カメラ261が、例えば一次元CCDイメージセンサにより構成される場合、主走査方向及び副走査方向の各データを順次取得する。予め設定した必要となる所定長さの撮像を実行したところでカメラ261による検出を終了する。制御装置45は、読み取られた主走査方向及び副走査方向の位置マークM1の画像データからシートSの位置を把握する。
一方、読取部26が2次元の画像を読み取り可能に構成される場合、カメラ261は、位置マークM1、バーコードM2、シートSの前端縁Ef、側端縁Esを2次元で読み取る。なお、シートSを減速しないで撮像することもある。撮像された画像データは、制御装置45に送られて記憶部454に一時的に記憶される。
ステップ14に進み、撮像した画像データが適切かどうか判断する。カメラ261で撮像した位置マークM1及び/又はバーコードM2の画像が不鮮明のために適切に読取できないと制御装置45が判断した場合、ステップ20に進み、当該シートSをリジェクト機構25によって搬送路5から排除する。そして重送を検出したときと同様に、ステップ21でシートSの排除回数を加算し、ステップ22でシートSの排除回数が所定値を超えたかどうか判断する。
図9のステップ14で画像データが適切な場合、ステップ15に進む。ステップ15で、演算部451は、記憶部454に記憶された位置マークM1と、予め、記憶部454に記憶された所定の基準線Bとを比較し、位置マークM1の基準線Bに対する傾斜角度θを演算する。
図10は、シートS1が傾斜して搬送された状態を示す。同図では、縦位置マークMfの下流側端部が基準線Bから長さL1だけ同図において右方にずれて搬送されている。そして、縦位置マークMfの直線状部分Gは基準線Bに対し傾斜角度θ1だけ傾斜して搬送されている。また、横位置マークMwの直線状部分Hは搬送方向Fに直交する幅方向Wに延びる基準線Dに対し搬送方向Fと同じ傾斜角度θ1だけ傾斜して搬送されている。
制御部455は、傾斜角度θが、予め設定される所定範囲を超えているかどうか判断する。傾斜角度θが、予め設定される所定範囲を超えているとき、シートSの加工処理を行わないよう制御する。このため、ステップ15を満たさないとき、ステップ20へ進み、シートSを搬送路5から排除する。
この場合、制御部455は、リジェクト板を作動させて、シートSをリジェクトトレイ252へリジェクトする。一方、制御部455は、傾斜角度θが予め設定される所定範囲内のとき、シートSを搬送路から除外せずに、加工部19へ搬送する。
たとえば、印刷画像が、目標位置から1°~2°程度傾斜して形成されることがあるプリンターを用いて印刷を施したシートSを加工処理する場合、使用者は所定範囲を3°と設定することができる。
そして、カメラ261によって読み取られた縦位置マークMfの基準線Bに対する傾斜角度θが、3°を超える場合には、加工処理すべきでないと判断する。シートSは、搬送路5から排除される。読み取られた縦位置マークMfの傾斜角度θが、3°以内であるときは、シートSの加工処理を実行可能と判断する。
図9のステップ16で、加工部材19の角度を調整する。パネル46には、演算部451による演算の結果得られた傾斜角度θと、調整部30の手動による調整方法とが表示される。図9に示すシートSを加工処理する場合、スリット部20及び横裁断部22で搬送方向F及びこれに直交する幅方向Wに裁断される際の処理角度を調整することができる。
使用者がスリット部20のスリッター201の処理角度の調整を手動によって行う場合、切替部206を操作し、スリッター201の設置角度を手動で調整できるようにする。そして、使用者は、回動軸203を軸心に、スリッター201を所定の処理角度だけ移動させる。パネル46には、スリッター201の手動による移動の移動後の角度が表示されることが好ましい。これより、使用者は、パネル46の表示を見ながら、スリッター201の角度を容易に調整することができる。
スリッター201の設置角度を自動で調整する場合、制御部455は、モータ209を処理角度に応じた回転方向に所定時間だけ駆動する。ピニオン208は、所定方向へ所定量回転され、ラック207は搬送方向Fに直交する幅方向Wに略沿って左右いずれかの方向へ所定量移動される。ラック207の移動に伴い、スリッター201は、回動軸203を軸心として、ユニット237ごと回動され、搬送方向Fから所定の処理角度だけ傾斜して設置される。
使用者が横裁断部22の裁断刃225の処理角度の調整を手動によって行う場合、切替部226を操作し、加工部材191の設置角度を手動で調整できるようにする。そして、使用者は、回動軸232を軸心に、裁断刃225を所定の処理角度だけ移動させる。パネル46には、裁断刃46の手動による移動量が逐一表示されることが好ましい。これより、使用者は、パネル46の表示を見ながら、加工部材191の角度を容易に調整することができる。
裁断刃225による処理角度を自動で調整する場合、制御部455は、裁断刃調整部251のモータ229を処理角度に応じた回転方向に所定時間だけ駆動する。ピニオン228は、所定方向へ所定量回転され、ラック227は搬送方向に略沿って上流側または下流側のいずれかの方向へ所定量移動される。ラック227の移動に伴い、裁断刃225は、回動軸223を軸心として、ユニット257ごと回動され、搬送方向Fに直交する方向から所定の処理角度だけ傾斜して設置される。
図10に示すシートS1について裁断刃225による処理角度を調整する場合、図5に示す搬送方向Fに直交する幅方向Wに沿って設置された裁断刃225を、傾斜角度θ1だけ傾斜するよう移動させる。よって、制御部455は、モータ229を同図において反時計回りに回転する。ピニオン228は、反時計回りに回転され、ラック227は搬送方向F下流側に向けて所定量移動される。ラック227の移動に伴い、裁断刃225は、回動軸223を軸心として、回動され、搬送方向Fに直交する方向から角度θ1だけ傾斜して設置される。
図9のステップ17に進み、シートSの加工処理を実行する。制御部455が記憶部454に記憶された位置マークM1の画像データと、記憶部454に記憶された所定の基準線Bとを比較し、搬送路5におけるシートSに施された印刷の位置を規定する。そして、スリット部20の各スリッター201を、バーコードM2が示す所定のスリット位置に、位置マークM1の基準線BからのずれL1及び傾斜角度θ1の双方を考慮した所定の幅方向Wの位置へ移動し、スリット加工を行う。スリッター201の幅方向Wの位置は、シートSの搬送位置に合わせ、順次適切な位置へ移動される。
シートSが横裁断部22に至ると、上刃221、及び下刃222によって、シートSに幅方向Wに沿った裁断処理を施す。その際、カメラ261で撮像した横位置マークMwの搬送位置に応じて、バーコードM2による設定値を修正することができる。また、カメラ261の撮像後シートSについての搬送誤差を検出していた場合には、修正後のシートSの位置情報をシート検出部92~94で得られたシートSの位置情報に更に修正することができる。そして、これらの修正量に対応する所定位置でシートSの搬送を停止する。搬送方向Fに直交する幅方向Wから角度θ1だけ傾斜して設置された裁断刃225により、画像に合わせて裁断処理する。加工部19の加工処理により得られた加工処理物Qは、排出台61に排出される。
図9のステップ18で装置の停止操作がされるとリターンとなる。また停止操作されない場合に、ステップ19に進み、供給台36上にシートSが載置されている間は、ステップ11に戻り、後続のシートSを搬送路5へ供給する。ステップ19でシートSがなくなると、リターンとなる。
以上より、本実施形態に係る加工装置1によれば、演算部451の演算結果に基づいて加工部材191がシートSへ施す加工の処理角度を調整する調整部30を備えたので、シートSの搬送不良により装置内でシートSの画像が傾斜して搬送されているとき、及びシートSの搬送は正常だが、シートSの画像が傾斜して印刷されているときの双方で、画像に合わせた位置で該シートSに加工処理を施すことができる。
また、基準線Bは、シートSの搬送方向Fと略平行に設定されている場合は、演算部451は位置マークM1の基準線Bに対する傾斜角度θを容易に演算することができる。
そして、基準線Bの角度は、任意に調整できる場合は、状況に応じて適切にシートSを加工処理できる。例えば、加工装置1の設置の際に基準線Bを変更したり、加工装置1の使用途中 において基準線Bを再度改めて設定したりすることが可能となる。
更に、演算部451は、基準線B、Dと位置マークM1の直線状部分G,Hとを比較することで傾斜角度θを演算する場合は、容易に傾斜角度θを演算できる。
更に、調整部30は、供給台36の設置角度を調整する供給調整部301を備えるので、る調整部とを備えたので、供給調整部301により加工部材191がシートSへ施す加工の処理角度を容易に変更できる。
更に、調整部30は、加工部材191の設置角度を調整する部材調整部を備えるので、部材調整部により容易に加工部材191の角度を変更できる。
更に、制御部455は、傾斜角度θが予め設定される所定範囲を超えたとき、シートSの加工処理を行わないよう制御するので、シートSが不適切に加工処理される事態を回避可能である。
制御部455は、所定のシートSの加工処理を行わないとき、シートSの搬送路5から排除するよう制御する場合は、装置の動作を停止することなく後続のシートSの処理を継続することができる。また、搬送路5から排除した後回収したシートSを、再度搬送路5へ供給し、加工部19に搬送し、加工処理することができる。搬送の停止、または搬送路を経た排出台への排出のうちの少なくともいずれかを実行する。
更に、制御部455は、シートSの加工処理の未実行回数が所定値に至ったとき、給紙台36を昇降しシートSの積載位置で待機させるよう昇降部を制御する場合は、リジェクトトレイ252が満杯になった時に使用者にシートSをリジェクトトレイ252から回収させるよう促すことができる。また、加工処理未実行のシートSを供給台36へ容易に積載できる。
更に、パネル46に、傾斜角度と、調整部30の手動による調整方法とを表示する場合は、容易に手動により調整部30を調整できる。
更に、調整部30は、手動及び自動の双方の調整機構を備えたので、利用者の利便性が向上する。
(第2の実施形態)上記第1の実施形態では、加工部材191としての裁断刃225がシートSへ施す裁断加工の処理角度を、裁断刃調整部251によって、手動でまたは自動で調整した。本第2の実施形態ではこれに替えて、加工部材191としてのクリース刃215がシートSへ施すクリース加工の処理角度を手動でまたは自動で調整する。
クリース刃215がシートSへ施すクリース加工の処理角度θを手動で調整するときは、使用者がクリース調整部241の切替部216を操作し、クリース刃215の設置角度を手動で調整できるようにする。
パネル46には、傾斜角度θと、クリース調整部30の手動による調整方法とが表示される。使用者は、パネル46の表示に従って回動操作部214を操作する。そして、クリース刃215を、回動軸213を軸心に、所定の処理角度だけ傾斜させる。必要により、パネル46に、リース刃215の設置角度が手動操作に伴って変更されたときに当該設置角度を読取手段によって読取り、表示されるようにしてもよい。これより、使用者は、パネル46の表示を見ながら、クリース刃215の角度を容易に調整することができる。
クリース加工の処理角度を自動で調整するときは、制御部455は、切替部216を自動調整に切り替え、モータ219を処理角度に応じた時間だけ駆動する。制御部455は、処理角度に応じた回転方向にモータ219を回転させ、これにより、ピニオン218は、所定方向へ所定量回転される。ピニオン218の回転によりラック217は所定方向へ所定量移動される。そして、ラック217の移動に伴い、クリース刃215は、ユニット247ごと回動軸213を中心として回動される。クリース刃215は搬送方向に直交する方向から所定角度傾斜して設置される。
(第3の実施形態)本第3の実施形態では、供給調整部301を調整することで、加工部材191によるシートSの処理角度を手動でまたは自動で調整する。図11に第3の実施形態にかかる加工処理の詳細なフローを示す。ステップ31~35については図9に示すステップ11~15と同様である。
図10のステップ35で、制御部455は、傾斜角度θが、予め設定される所定範囲内であると判断したとき、ステップ36に進む。ステップ36で、傾斜角度θが予め記憶部454に記憶した所定の処理可能範囲を超えているかどうか判断する。傾斜角度θが処理可能範囲を超えているとき、ステップ40に進む。ステップ40で、制御部455は、リジェクト板を作動させて、シートSをリジェクトトレイ252へ回収する。
このとき後続のシートSの処理は中断される。ステップ41で、制御部455は、給紙台36を降下し、シートSの積載位置で待機させるよう昇降部を制御する。使用者は、傾斜角度θが加工処理の処理可能範囲を越えると判断されたシートSをリジェクトトレイ252から回収し、供給台36に再度積載しなおす。
パネル46には、傾斜角度θと、調整部30の手動による調整方法とが表示される。使用者が手動による調整を行う際、供給調整部301の切替部を操作し、供給台36の設置角度を手動で調整できるようにする。そして、使用者は、回動軸303を軸心に、供給台36を所定角度だけ回動させる。パネル46に、供給台36の手動による移動量が順次表示されるよう構成することが好ましい。これより、使用者は、パネル46の指示を見ながら、供給台36の角度を容易に調整することができる。
供給台36を自動で調整する際は、制御部455は、供給調整部301を制御する。制御部455は、供給調整部301のモータを処理角度に応じた回転方向に所定時間だけ駆動する。供給台36は、回動軸303を軸心として回動され、所定の処理角度だけ傾斜して設置される。
図11のステップ31に戻り、制御部455は、再度供給台36からシートSの供給を行う。シートSは搬送路5を所定角度傾斜して搬送される。ステップ32で重送がないか確認した後、ステップ33で、カメラ261によって再度位置マークM1を撮像する。得られた位置マークM1の画像データと、記憶部454に記憶された所定の基準線Bとを再度比較する。
供給台36が適切に角度調整されている場合、位置マークM1の直線状部分Gは、基準線Bに対し略平行となる。ステップ35で位置マークM1の傾斜角度が所定範囲内であると判断され、ステップ36において、位置マークM1の傾斜角度が所定の処理可能範囲であると判断されると、ステップ37に至る。
ステップ37で、そして、シートSが加工部19に至り、加工部材19で、加工処理する。加工部材191がシートSへ施す加工の処理角度を調整することができ、適切な処理角度で加工処理を実行可能となる。
(第4の実施形態)図12は、本第4の実施形態にかかる加工装置によって処理を行うシートS2の平面図である。本第4の実施形態では、カメラ261は、少なくとも、シートS2の位置マークM1とシートS1の端縁Eを撮像する。端縁Eには、シートS2の前端縁Ef、後端Eb及び左右の側端縁Esが含まれる。そして、演算部451は、カメラ261によって撮像され、記憶部454に記憶された位置マークM1を、同じくカメラ261によって撮影され、記憶部454に記憶されたシートS1の端縁Eと比較する。例えば、演算部451は、位置マークM1の同図におけるシートS2の左側の端縁EL2に対する傾斜角度θ2を演算することができる。
更に、位置決め精度向上のために下流側のシート検出部92~94が、シートSの前端縁Efを検出したタイミングを、カメラ261が撮像した前端縁Efの位置について、シートSの搬送方向Fの搬送による誤差の有無をチェックしてもよい。
制御部45は、シートS2についての搬送誤差を検出した場合には、記憶部454に記憶されたシートS2の位置情報をシート検出部92~94で得られたシートS2の位置情報に修正する。そして、シートS2を下流側の加工部19にステップ搬送させ、修正されたシートS2の位置情報、及び加工情報に基づいて、加工処理を施すことができる。
これより、撮像された端縁Eの位置を用いてより適切にシートSを加工処理できる。特にシートS2の搬送は正常だが、シートS2の画像が図12に示すように、傾斜して印刷されているとき、画像に合わせ、加工処理するかどうかを判断することができる。また、シートSの搬送姿勢に関わらず、画像を基準としてこれに合わせた位置で該シートSに加工処理を施すことができる。
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の態様で実施可能である。例えば、シートSに対してシートSの搬送方向Fの加工を施す加工手段として5つの着脱自在な加工ユニット247,257を用いたが、シートSの搬送方向Fの加工手段の配置数やそれらの配置順番やそれらの加工デバイスは、所望とする加工内容に応じて、適宜変更することができる。シートSの幅方向Wの加工部19についても、同様である。
また、シート検出部91~95の配置場所や配置数も、使用する加工手段に応じて適宜変更することができる。また、上記実施形態では、シート検出部91~95を設けて、シートSの縦方向の搬送誤差を検出したが、これらのシート検出部91~95を設けずに、シート検出部91で検出されたシート位置だけを基準にして、シートSの搬送路5上で搬送されている各シートSのそれぞれのシート位置を一義的に検出するように構成することができる。
また、本発明において、横方向に移動して横方向に位置決めし得るスリット部20のスリッター201は、縦方向の裁断加工を施したが、これに限定されず、縦方向のミシン目加工、縦方向のクリース加工、又は、被加工対象物のコーナー部分への丸め加工等から適宜選択して用いることができる。これらの加工デバイスは、加工ユニット内にシートが無い状態で、すなわち、加工デバイスにシートが噛み込まれていない状態で、横方向に位置決め移動する。
また、位置マークM1は、シートSにL字状に形成したが、シートSに印刷され、加工処理を施す所定位置、または前記所定位置の基準の少なくともいずれかを指し示すことができればよく、シートの後端縁、側端縁としてもよく、加工処理位置に対応して設けたシートの切欠き、マーク、凹凸等であってもよい。更に、位置マークM1はL字状に替えて四角形や三角形、多角形としてもよい。位置マークM1はシートの前端隅部に設けたがシートの中央部分や後端部分でもよく、側縁近傍でもよい。
また、シートが重送したとき、及びシートに加工処理を施さないときには、リジェクト機構によってシートを搬送路5から排除したが、これに替えて、ローラの回転及びベルトの走行を停止することで、シートの搬送を停止してもよい。この場合、使用者は必要によりローラを逆回転し、またベルトを逆走させることで、シートを回収し、供給台に再度載置することができる。また、加工処理を施さないままでシートを搬送路を経て排出台への排出してもよい。これらシートの搬送路からの排除、搬送の停止、または搬送路を経た排出台への排出を適宜組み合わせて実行してもよい。
また、手動及び自動の双方の調整機構を備えたが、いずれか一方で会ってもよい。また、パネルに調整部の手動による調整方法を表示したが、必ずしも表示しなくてもよい。
制御装置45は、検出部28の検出結果に基づいて、加工部19におけるシートSの加工位置を調整したが、加工位置の調整を行わなくてもよい。検出部28は、シートSの搬送方向F及び前記搬送方向Fに直交する幅方向Wの少なくともいずれかの指示部Uの位置を検出したが、搬送方向に傾斜する方向を検出してもよく、他のなんらかの指示を検出してもよい。