JP7474305B1 - 表示システム、電子機器、および、制御方法 - Google Patents

表示システム、電子機器、および、制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】画素を点灯させない非表示領域の大きさを必要最小限に定める。【解決手段】カメラには複数の画素が配置された表示パネルの一部である透過領域を透過した光が入射し、制御部は、撮影される画像の全体である撮影画像領域のうち前記表示パネルに表示させる部分である実効視野領域を特定し、透過領域のうち実効視野領域に対応する部分を、前記カメラにより撮影された画像の表示を主目的とするとき画素を点灯させない非表示領域として定める。本実施形態は、表示システム、電子機器および制御方法のいずれの形態でも実現することができる。【選択図】図1

Description

本願は、表示システム、電子機器、および、制御方法、例えば、カメラが設置された表示システムに関する。
表示装置には、カメラを備えるものがある。カメラは、表示面の一部の領域をなす透過領域の裏面に設置されることがある。これら複数の画素を用いて画像が表示される。透過領域では、個々の画素の間隙から被写体から投影される光の一部が透過される。かかる表示装置は、CUD(Camera Under Display)システムと呼ばれることがある。透過領域は、少なくともカメラの視野(FOV:Field of View)内に入射される光を透過する部分を含む。
例えば、特許文献1には、第1の表示領域と第2表示領域とを含むOLEDアレイ基板、表示パネルおよび表示装置について記載されている。第1の表示領域は、第2の表示領域に隣接し、アレイ状に配列された第1のOLED画素を含む。第2の表示領域は、アレイ状に配列された第2のOLED画素を含む。第2のOLED画素の画素密度は、第1のOLED画素の画素密度よりも小さい。第2の表示領域の背面には画像撮像用のカメラが配置される。
CUDシステムにおいて、カメラを動作させる場合、透過領域に配置された画素を消灯し、画像を表示させない。画像を表示させない領域は、非表示領域(black-out area)とも呼ばれる。非表示とすることでカメラへの画素から放射される光の入射が防止される。画素が発光した光がカメラに入射されると鮮明な画像が得られないためである。
特開2022-21644号公報
CUDシステムを備える情報機器では、非表示領域のサイズを小さくすることが期待されることがある。非表示領域を小さくすることは、主に次のような場合に期待される。例えば、一度に複数のウィンドウ(multiple windows)が表示される場合、ランドスケープウィンドウ(landscape window)が用いられる場合、ユーザインタフェース(UI:User Interface)の設計がOS(Operating System)の制約に拘束される場合、などである。なお、ランドスケープウィンドウとは、縦長のポートレートウィンドウ(portrait window)とは異なり、水平方向よりも垂直方向の高さの方が短い横長のウィンドウを指す。
通例、非表示領域の大きさはディスプレイ上のカメラの視野に対応する領域よりも大きい。しかしながら、現実にディスプレイに表示される表示画像として、カメラにより撮影された画像の一部が用いられ、その他の部分が削除されることがある。その場合には、カメラの光学系の視野よりも小さい部分を通じて入射される光が利用され、その他の部分は利用されない。撮影された画像の一部が用いられる事例として、表示される画像のアスペクト比が撮影された画像のアスペクト比と異なる場合がある。撮影された画像よりも表示される画像の方が縦長の形状を有するとき、撮影された画像の左右側方が削除され、残された部分が表示されることがある。その他、オートフレーミング(auto-framing)または自動追跡(auto-tracking)が実行される場合には、撮影された画像のうち特定の被写体を表す部分が抽出され、抽出された部分が表示される。
撮影された画像全体の領域はカメラの視野に対応するため、非表示領域のうち抽出されなかった部分に対応する領域は無用となる。
本開示は上記の課題を解決するためになされたものであり、第1態様に係る表示システムは、複数の画素が配置された表示パネルと、カメラと、制御部と、を備え、前記カメラには前記表示パネルの一部である透過領域を透過した光が入射し、前記制御部は、撮影される画像の全体である撮影画像領域のうち前記表示パネルに表示させる部分である実効視野領域を特定し、前記透過領域のうち前記実効視野領域に対応する部分を、前記カメラにより撮影された画像の表示を主目的とするとき画素を点灯させない非表示領域として定める。
上記の表示システムにおいて、前記制御部は、前記実効視野領域の変化を検出するとき、変化した実効視野領域に基づいて前記非表示領域を更新してもよい。
上記の表示システムは、前記カメラが撮影した画像の一部領域を前記実効視野領域として抽出する撮影処理部を備えてもよい。
上記の表示システムにおいて、前記撮影処理部は、前記カメラが撮影した画像から、予め設定されたアスペクト比を有する部分を前記実効視野領域として抽出してもよい。
上記の表示システムにおいて、前記撮影処理部は、前記カメラが撮影した画像から、特定の被写体を表す部分を前記実効視野領域として抽出してもよい。
上記の表示システムにおいて、前記撮影処理部は、前記特定の被写体を表す部分が前記撮影画像領域に含まれるように前記被写体を追跡してもよい。
第2態様に係る電子機器は、上記の表示システムを備えてもよい。
第3態様に係る制御方法は、複数の画素が配置された表示パネルと、カメラと、制御部と、を備え、前記カメラには前記表示パネルの一部である透過領域を透過した光が入射する表示システムの制御方法であって、前記制御部が、前記カメラが撮影した画像の全体である全画像領域のうち前記表示パネルに表示させる部分である実効視野領域を特定するステップと、前記透過領域のうち前記実効視野領域に対応する部分を、前記カメラにより撮影された画像の表示を主目的とするとき画素を点灯させない非表示領域として定めるステップと、を実行する。
本実施形態によれば、画素を点灯させない非表示領域の大きさを必要最小限に定めることができる。
本実施形態に係る電子機器の外観構成例を示す正面図である。 本実施形態に係る電子機器の内部構成例を示す断面図である。 本実施形態に係る電子機器のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係る電子機器の機能構成例を示す概略ブロック図である。 撮像画像の一例を示す図である。 実効視野領域の第1設定例を示す説明図である。 実効視野領域の第2設定例を示す説明図である。 撮影画像における実効視野領域を例示する説明図である。 投影視野領域における実効投影視野領域を例示する説明図である。 本実施形態に係る非表示領域の設定処理を例示するフローチャートである。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電子機器1の外観構成例を示す正面図である。図1に例示される電子機器1は、ノートブック型パーソナルコンピュータ(ノートPC:Personal Computer)として構成されている。電子機器1は、表示システム1dを備える。表示システム1dは、表示パネル14、カメラモジュール35および制御部100(後述)を備える。制御部100は、筐体BD01またはBD03に内蔵され、図1には表れていない。
表示パネル14は、ほぼ平板の形状を有する表示デバイスである。表示パネル14には、複数の画素と基板を有し、基板の主面の大部分をなす表示領域において複数の画素が一定間隔で二次元配列されている。表示領域の一部には、透過領域CAが設けられている。透過領域CAでは、その周囲の領域である標準領域とは異なり画素間に間隙が設けられている。透過領域CAに到来する光は、画素間の間隙を通過し、その一部がカメラモジュール35に入射される。透過領域CAは、カメラ設置表示領域(CUD:Camera Under Display area)とも呼ばれる。
カメラモジュール35には、透過領域CAを通過した光が入射され、入射された光が撮像面に投影されてなる画像が撮影される。透過領域CAの一部には、非表示領域(Black-out Area)BAが設けられる。カメラモジュール35により撮影された画像の表示を主目的とするとき非表示領域BAに配置された画素を点灯させない。その場合には、非表示領域BAでは、カメラモジュール35が撮影した画像は表示されない。非表示領域BAに配置された画素が消灯することで、画素から放射される光がカメラモジュール35に入射される事象が防止される。図5に例示される非表示領域BAを設けずに撮影される画像(図5参照)のようにコントラストが低く被写体の輪郭が不明瞭にならずに済む。
透過領域CAは、通例、カメラモジュール35の視野に対応する範囲(以下の説明では、「投影視野領域」(projected FOV)と呼ぶことがある)よりも大きくなるように設定されている。表示パネル14とカメラモジュール35とのわずかな位置関係の変動が生じても、近接する画素からの光がカメラモジュール35に入射される可能性があるためである。図2に例示されるように、カメラモジュール35は、表示パネル14の背面に接着剤35aを用いて付着され、表示パネル14ともに治具35jの側面に支持される。表示パネル14の表面は、保護膜14gに覆われる。保護膜14gは、例えば、ガラスなどの透明な素材からなる。但し、治具35jの表面には、さらにマスクプリント14mが施されている。マスクプリント14mにより治具35jを覆い隠すためである。図2の例では、マスクプリント14mは、黒色に塗付されている。
比較例では、透過領域CAの全体が非表示領域BAとして設定されることがあった。非表示領域BAは、透過領域CAのうち、カメラモジュール35の光学中心OCから光軸OAを中心とする視野FOV(Field of View)で画定される投影視野領域MBA(Minimum Black-out Area、最小限領域)を含んでいれば十分である。また、表示システム1dまたは電子機器1のアプリケーションプログラムによっては、撮影された画像の一部領域(以下の説明では、「実効視野領域」(active FOV)と呼ぶことがある)が用いられ、残りの領域が用いられずに棄却される場合がある。その場合、透過領域CAのうち、実効視野領域に対応する領域(以下の説明では、「実効投影視野領域」(projected active FOV)と呼ぶことがある)が含まれれば十分であり、残りの領域に対応する部分が含まれなくてもよい。
視野FOVは、カメラモジュール35の光学系に透過領域CAからの透過光が入射される範囲に相当する。そのため、非表示領域BAの大きさは必要最小限の大きさよりも大きくなりがちである。非表示領域BAは、いかなる画像も表示しないうえ、黒色の斑点状の外観を呈する。これに対し、本実施形態では、制御部100が後述の手順を実行し実効投影視野領域を非表示領域BAとして定める。
次に、本実施形態に係る電子機器1のハードウェア構成例について説明する。図3は、本実施形態に係る電子機器1のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。電子機器1は、CPU11、メインメモリ12、ビデオサブシステム13、表示パネル14、チップセット21、BIOS(Basic Input Output System、基本入出力システム)メモリ22、SSD(Solid State Drive)23、USB(Universal Serial Bus)コネクタ24、オーディオシステム25、ネットワークカード26、RTC(Real Time Clock)27、エンベデッドコントローラ(EC:Embedded Controller)30、電源回路31、バッテリ33、入力I/F(Interface)34、および、カメラモジュール35を備える。
CPU11は、電子機器1の各部の機能を制御する中核となる演算処理装置である。CPU11は、メインメモリ12に展開されたプログラムに記述された指令で指示される処理を実行し、その機能を実現する。なお、本願では、プログラムに記述された指令で指示される処理を実行することを、「プログラムの実行」または「プログラムを実行する」などと呼ぶことがある。
メインメモリ12は、CPU11により実行される各種のプログラムの読み込み領域を有する。メインメモリ12は、CPU11により取得された各種のデータ、CPU11により実行される処理に用いられる各種のデータを記憶するための作業領域を有する。CPU11により実行されるプログラムには、例えば、OS(Operating System、オペレーティングシステム)、周辺機器を操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム(本願では、「アプリ」と呼ぶことがある)などがある。また、CPU11とメインメモリ12は、電子機器1のコンピュータシステムをなすシステムデバイスに相当する。
ビデオサブシステム13は、CPU11からの制御に従い描画処理を行って各種の表示データを生成し、表示パネル14に出力する。ビデオサブシステム13は、例えば、ビデオコントローラとビデオメモリを備える。ビデオコントローラは、CPU11から入力される描画指令に従って描画情報を生成し、生成した描画情報をビデオメモリに書き込む。ビデオコントローラは、ビデオメモリから描画情報を読み出し、読み出した描画情報を示す表示データを表示パネルに出力する。
表示パネル14は、ビデオサブシステムから入力される表示データで指示される表示画面を表示する。
チップセット21には、各種のデバイスが接続され、個々のデバイスの動作または入出力を制御する。チップセット21は、各種のデータバスのコントローラを備える。チップセット21は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、LPC(Low Pin Connect)バスなどを有する。図3の例では、チップセット21には、BIOSメモリ22、SSD23、USBコネクタ24、オーディオシステム25、ネットワークカード26、RTC27、エンベデッドコントローラ30およびカメラモジュール35が接続されている。
BIOSメモリ22は、BIOS、エンベデッドコントローラ30などの各種デバイスの制御に用いられるシステムファームウェアなどが記憶される。BIOSメモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROMなど、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを含んで構成される。
SSD23は、補助記憶装置の一例である。SSD23には、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリ、などのプログラムの他、各種のデータを記憶する。電子機器1には、SSD23に代えて、または、SSD23とともに、HDD(Hard Disk Drive)などの他の種類の補助記憶装置が備わってもよい。
オーディオシステム25は、各種の音声データの記録、符号化、復号、入出力などを行う。
ネットワークカード26は、無線または有線でネットワークに接続し、データ通信を行う。ネットワークカード26は、例えば、無線LAN(Local Area Network)を経由して、直接または他のネットワークを経由して他の機器と接続する。
RTC27は、その時点における日時を計測する。RTC27は、バックアップ用バッテリ(図示せず)から供給される電力を消費する。バックアップ用バッテリは、バッテリ33とは別個に設けられる。よって、RTC27は、電子機器1のシャットダウンにより電源回路31から電力の供給が停止されても定常的に日時を計測することができる。
エンベデッドコントローラ30は、電源回路31を制御する電源管理機能と、入力I/F34からの入力データの入力制御機能を有する。エンベデッドコントローラ30は電源管理機能として、システムデバイスから通知される動作状態に基づいて電源回路31を制御し、CPU11を含む各デバイスに供給する電力を制御する。エンベデッドコントローラ30は、入力制御機能として、入力I/F34からの入力データの入力の要否を制御する。エンベデッドコントローラ30は、CPU11とメインメモリ12とは別個のCPUとメインメモリを有するマイクロコンピュータである。エンベデッドコントローラ30は、CPU11とメインメモリ12の動作状態に関わらず定常的に動作可能とする。
電源回路31は、エンベデッドコントローラ30の制御に従って、各デバイスへの電力の供給を制御する。電源回路31は、例えば、DC(Direct Current)/DCコンバータ、充放電ユニット、AC(Alternating Current)/DCアダプタなどを含んで構成される。DC/DCコンバータは、充放電ユニットから供給される直流電力の電圧を、各デバイスで要求される電圧に変換し、変換した電圧を有する電力を当該デバイスに供給する。充放電ユニットは、AC/DCアダプタから供給される電力のバッテリ33への充電またはバッテリ33からの放電を制御する。充放電ユニットは、例えば、AC/DCアダプタから供給される電力の一部または全部をDC/DCコンバータに供給する。充放電ユニットは、AC/DCアダプタから供給される電力のうち消費されずに余った電力をバッテリ33に充電する。充放電ユニットは、AC/DCアダプタから電力が供給されないとき、またはAC/DCアダプタからの電力が不足するとき、バッテリ33から放電される電力をDC/DCコンバータに供給する。AC/DCアダプタは、外部の商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換された直流電力を充放電ユニットに供給する。
バッテリ33は、電源回路31から供給される電力を充電可能とし、または、充電された電力を電源回路31の制御に従って放電する蓄電池である。
入力I/F34は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に応じて操作データを取得する入力デバイスを備える。図1に例示されるキーボード34kとタッチセンサ34tは、入力I/F34の一部を構成する。入力I/F34は、タッチセンサ34tとは別個に、または、タッチセンサ34tに代えて、別個のタッチセンサを備えてもよい。別個のタッチセンサは、表示パネル14と重なり合うように一体化し、タッチパネルとして構成されてもよい。
カメラモジュール35は、光学系に入射される光で表される画像を撮影する。カメラモジュール35は、撮影した画像を示す画像データをCPU11にチップセット21を経由して出力する。本実施形態では、カメラモジュール35の光学系には、透過領域CAの一部を透過した光が入射される。
次に、本実施形態に係る電子機器1の機能構成例について説明する。図4は、本実施形態に係る電子機器1の機能構成例を示す概略ブロック図である。電子機器1は、制御部100と、記憶部200と、表示パネル14と、カメラモジュール35とを有する。
制御部100は、表示パネル14に非表示領域BAを設定する。制御部100の機能は、グラフィックコントローラ、ビデオサブシステム13、CPU11のいずれか1個またはいずれかのコントローラの組み合わせにより実現される。グラフィックコントローラは、表示パネル14に付随し、表示パネル14への画像の輝度、色調、タイミングなどの制御を主目的とするものであってもよい。
記憶部200には、制御部100により実行されるプログラム、制御部100で用いられるデータ、制御部100により生成されるデータなどが記憶される。記憶部200は、制御部100の機能の実行主体となるコントローラに備わる記憶媒体(メモリ)を用いて実現される。CPU11が実行主体となる場合には、メインメモリ12またはSSD23などの補助記憶媒体により記憶部200の機能が実現されてもよい。
制御部100は、撮影処理部102と、設定処理部104と、表示処理部106と、を備える。撮影処理部102の機能は、所定のアプリケーションプログラムをCPU11が実行して実現されてもよい。このとき、CPU11は、カメラモジュール35に専用のデバイスドライバ1を実行してカメラモジュール35と協働してもよい。
設定処理部104と表示処理部106の機能の一部または全部は、グラフィックコントローラまたはビデオサブシステム13が所定のプログラムを実行して実現される。設定処理部104と表示処理部106の他の一部の機能は、グラフィックコントローラまたはビデオサブシステム13に専用のデバイスドライバ2をCPU11が実行して実現されてもよい。
撮影処理部102は、カメラモジュール35により撮影された画像である撮影画像に対する処理を実行する。撮影処理部102は、カメラモジュール35から入力される画像データに示される撮影画像の全体である撮影画像領域の一部を実効視野領域として抽出する。撮影処理部102は、抽出した実効視野領域内の画像を表示用画像として示す表示データを表示処理部106に出力する。撮影処理部102は、実効視野領域を示す実効視野領域情報を設定処理部104に出力する。
表示用画像のアスペクト比(以下、「第2アスペクト比」と呼ぶ)として、撮影画像のアスペクト比(以下、「第1アスペクト比」と呼ぶ)とは異なる値が設定されることがある。その場合、撮影処理部102は、例えば、撮影画像領域のうちアスペクト比が第2アスペクト比と等しくなる最大の領域を実効視野領域として定め、実効視野領域内の画像を表示用画像として抽出してもよい。
アスペクト比とは、画像の高さに対する幅の比を指す。アスペクト比は、「縦横比」とも呼ばれる。第2アスペクト比が第1アスペクト比よりも大きい場合、撮影処理部102は、撮影画像の重心を通る水平方向の直線に対して線対称となるように上下両端の一部を削除し、残された部分を表示用画像として採用する。第2アスペクト比が第1アスペクト比よりも小さい場合、撮影処理部102は、撮影画像の重心を通る垂直方向の直線に対して線対称となるように左右両端の一部を削除し、残された部分を表示用画像として採用する。
図6は、実効視野領域の第1設定例を示す説明図である。図6において、横長の長方形の領域は、撮影画像領域FFを示す。撮影画像領域FFのうち塗りつぶされていない領域が実効視野領域AFを示す。この例では、第2アスペクト比が第1アスペクト比よりも小さいため、撮影画像領域FFから左右両端の塗りつぶしの領域で示される一部の領域が削除され、実効視野領域AFが抽出される。
撮影処理部102は、自動フレーミング(auto-framing)機能を有していてもよい。撮影処理部102は、例えば、カメラモジュール35からの撮影画像に対して公知の画像認識処理を実行して所定の被写体(例えば、人物の顔)が表される被写体領域を特定し、被写体領域を内接する矩形の領域を目標領域として定める。撮影処理部102は、カメラモジュール35に対して特定した目標領域に表された被写体を目標物として合焦させる(自動焦点制御(auto-focusing))。
カメラモジュール35は、撮影処理部102からの指令に応じて、目標領域における合焦度が最も高くなるようにレンズと撮影素子との間隔を調整する。合焦度は、撮影画像のピントが合っている度合いを示す指標値である。合焦度として、例えば、目標領域における低域成分のパワーに対する高域成分のパワーの比を用いることができる。低域成分は、所定のカットオフ周波数よりも低い空間周波数成分を指す。高域成分は、所定のカットオフ周波数よりも高い空間周波数成分を指す。撮影処理部102は、特定した目標領域が中央に配置され、その上下左右の一定の周縁領域(マージン(margin))を含む矩形の領域を実効視野領域として定めることができる。
図7は、実効視野領域の第2設定例を示す説明図である。図7において、撮影画像領域FFには被写体として2名の人物と1個のテーブルが例示される。テーブルは撮影画像領域FFの底部に表わされ、人物よりもカメラモジュール35に近接していることを示す。2名の人物の頭部が撮影画像領域FFのほぼ中央部において左右に並列されている。実効視野領域AFとして、2名のうち右方の人物の頭部の全体を表す領域が設定される。
撮影処理部102は、自動追跡(auto-tracking)機能を有していてもよい。自動追跡機能とは、移動する被写体を表す被写体領域が撮影画像領域に含まれるようにカメラモジュール35の撮影方向を調整して、その被写体を追跡することを指す。自動追跡機能を実現するため、カメラモジュール35は、例えば、自動フレーミング処理を逐次に繰り返す。そのため、被写体が移動しても撮影される画像に被写体の形態が表れる。カメラモジュール35は、電子機器1のその他の部材とは別体であってもよい。その場合、カメラモジュール35は、雲台(camera platform)を備えてもよい。雲台は、光学系を支持する基台ならびに治具と、光学系の光軸方向を機械的に変更する回転機構を備える。カメラモジュール35は、撮影処理部102からの自動追跡機能の指令に応じ、被写体領域の中心が撮影画像領域の中心に配置されるように光軸の方向を機械的に変更可能とする。
撮影処理部102は、例えば、カメラモジュール35から撮影画像を取得し、一定時間(例えば、フレーム間隔)ごとに上記の手法により目標領域を定め、カメラモジュール35に対して目標領域に表された目標物として合焦させる。撮影処理部102は、直前の撮影画像に対する目標領域から最新の撮影画像に対する目標領域への変位量と合焦により得られる焦点距離に基づいて変位量が0に近似するように(最小化)、カメラモジュール35の光学系の方位を調整する。撮影処理部102は、上記の手法により一定時間ごとに定めた目標領域に基づいて実効視野領域を定めることができる。
設定処理部104には、撮影処理部102から実効視野領域情報が入力される。設定処理部104は、表示パネル14に設定される透過領域CAのうち、入力された実効視野領域情報で示される実効視野領域AFに対応する部分を非表示領域BAとして定める。設定処理部104は、予め設定された撮影画像領域FFに対する投影視野領域MBAとの幾何的関係を用い、実効視野領域AFに対して得られる実効投影視野領域(projected active FOV)を非表示領域BAとして定める。設定処理部104は、定めた非表示領域BAを示す非表示領域情報を表示処理部106に出力する。
より具体的には、図8、図9に例示されるように、設定処理部104には、予め設定された撮影画像領域FFの幅w0、高さh0および重心の座標(x0,y0)と投影視野領域MBAの幅W0、高さH0および重心の座標(X0,Y0)を設定しておく。設定処理部104は、撮影画像領域FFと投影視野領域MBAとの関係を用いて、実効視野領域AFの幅w1、高さh1および重心の座標(x1,y1)から非表示領域BAとする実効投影視野領域の幅W1、高さH1および重心の座標(X1,Y1)を、それぞれ
w1・W0/w0、h1・H0/h0、(x0+Δx・W0/w0,y0+Δy・H0/h0)
と定めることができる。ここで、(Δx,Δy)は、撮影画像領域FFの重心から実効視野領域AFの重心までの変位を示す。
即ち、設定処理部104は、実効視野領域の幅w1に、撮影画像領域FFの幅w0に対する投影視野領域MBAの幅W0の比W0/w0を乗じて非表示領域BAの幅w1を算出し、実効視野領域の高さh1に、撮影画像領域FFの高さh0に対する投影視野領域MBAの高さH0の比H0/h0を乗じて非表示領域BAの高さh1を算出する。設定処理部104は、撮影画像領域FFの重心の座標(x0,y0)に、水平方向、垂直方法それぞれの変位(Δx,Δy)に比(W0/w0,H0/h0)を乗じて得られる積(Δx・W0/w0,YΔy・H0/h0)を加算して非表示領域BAの重心の座標(X1,Y1)を定める。
なお、設定処理部108は、非表示領域BAを定める際、カメラモジュール35におけるレンズの歪み補正、レンズの焦点距離、などの要件を、さらに考慮した手法を用いてもよい。実効視野領域は可変であるため、設定処理部104は、実効視野領域の変化が検出される都度、変化後の実効視野領域に対して非表示領域BAを更新すればよい。
表示処理部106には、設定処理部104から非表示領域BAを示す非表示領域情報が入力される。表示処理部106は、ビデオサブシステム13により取得される表示画像のうち非表示領域BA内の部分を表示パネル14に表示させず、残りの部分を表示パネル14に表示させる。表示処理部106は、例えば、表示画像のうち非表示領域BA内に配置される画素ごとに消灯に相当する輝度値(例えば、0)を設定し、それ以外の画素ごとの輝度値を変更せずに維持する。表示処理部106は、画素ごとの輝度値を示す表示データを表示パネル14に出力する。表示処理部106は、表示パネル14の表示領域に配置された画素のうち、非表示領域BA内に配置された画素に対する電力の供給を停止して消灯させてもよい。その場合、表示処理部106は、非表示領域BAの画素に対する輝度値の設定を要しない。
次に、本実施形態に係る非表示領域BAの設定処理の例について説明する。図10は、本実施形態に係る非表示領域BAの設定処理を例示するフローチャートである。
(ステップS102)設定処理部104は、予め記憶部200に記憶された投影視野領域情報と撮影画像領域情報を読み出し、投影視野領域(X0,Y0,W0,H0)と撮影画像領域(x0,y0,w0,h0)を特定する。
(ステップS104)設定処理部104は、撮影処理部102から実効視野領域情報を取得し、実効視野領域(x1,y1,w1,h1)を特定する。
(ステップS106)設定処理部104は、撮影画像領域(x0,y0,w0,h0)と投影視野領域(X0,Y0,W0,H0)との関係に基づいて、実効視野領域(x1,y1,w1,h1)から実効投影視野領域(X1,Y1,W1,H1)を算出する。
(ステップS108)設定処理部104は、算出した実効投影視野領域(X1,Y1,W1,H1)を非表示領域として定める。設定処理部104は、定めた非表示領域を示す非表示領域情報を表示処理部106に出力する。
(ステップS110)設定処理部104は、撮影処理部102から通知される実効視野領域が変化したか否かを判定する。変化したと判定するとき(ステップS110 YES)、ステップS106の処理に進む。変化していないと判定するとき(ステップS110 NO)、ステップS110の処理を繰り返す。
また、電子機器1は、ノートPCに限られず、タブレット端末装置、携帯電話機、など、他の形態の情報機器として構成されてもよい。また、表示システム1dは、表示パネル14、カメラモジュール35およびグラフィックコントローラが一体化した表示装置として構成されてもよい。また、表示システム1dにおいて、その一部であるコントローラが、表示パネル14とカメラモジュール35と別体に構成されてもよい。
また、上記の説明では、撮影処理部102が制御部100の一部である場合を例にしたが、これには限られない。表示システム1dにおいて撮影処理部102は制御部100とは別個に備わり、制御部100において省略されてもよい。撮影処理部102の機能は、CPU11に限られず、その他の演算回路により実現されてもよい。
以上に説明したように、上記の実施形態に係る表示システム1dは、複数の画素が配置された表示パネル14と、カメラ(例えば、カメラモジュール35)と、制御部100と、を備える。カメラには表示パネルの一部である透過領域CAを透過した光が入射する。制御部100は、撮影される画像の全体である撮影画像領域のうち表示パネル14に表示させる部分である実効視野領域を特定し、透過領域CAのうち実効視野領域に対応する部分を、前記カメラにより撮影された画像の表示を主目的とするとき画素を点灯させない非表示領域BAとして定める。
この構成により、撮影画像領域のうち表示パネル14に表示させる実効視野領域に対応する部分が非表示領域BAとして定まる。非表示領域BAは、撮影画像領域に対応する投影視野領域MBAよりも小さくなる。そのため、画像の表示による画質の劣化の防止に必要最小限の非表示領域を定めることができる。
制御部100は、実効視野領域の変化を検出するとき、変化した実効視野領域に基づいて非表示領域BAを更新してもよい。
この構成により、実効視野領域の変化に追従して非表示領域BAが変化する。そのため、実効視野領域の変化に関わらず、画像の表示による画質の劣化の防止に必要最小限の非表示領域を定めることができる。
表示システム1dは、カメラが撮影した画像の一部領域を実効視野領域として抽出する撮影処理部102を備えてもよい。
この構成により、カメラが撮影した撮影画像の一部領域である実効視野領域に基づいて、画像の表示による画質の劣化の防止に必要最小限の非表示領域を定めることができる。
撮影処理部102は、カメラが撮影した画像から、予め設定されたアスペクト比を有する部分を実効視野領域として抽出してもよい。
この構成により、カメラが撮影した撮影画像のうち所定のアスペクト比を有する実効視野領域に基づいて、画像の表示による画質の劣化の防止に必要最小限の非表示領域を定めることができる。
撮影処理部102は、カメラが撮影した撮影画像のうちカメラが撮影した画像から、特定の被写体を表す部分を実効視野領域として抽出してもよい。
この構成により、カメラが撮影した撮影画像のうち特定の被写体を表す部分を含む実効視野領域に基づいて、画像の表示による画質の劣化の防止に必要最小限の非表示領域を定めることができる。
撮影処理部102は、特定の被写体を表す部分が撮影画像領域に含まれるように被写体を追跡してもよい。
この構成により、カメラが撮影した撮影画像のうち特定の被写体を表す部分が継続して含まれるように変動する実効視野領域に基づいて、画像の表示による画質の劣化の防止に必要最小限の非表示領域を定めることができる。
本実施形態は、制御部100の機能を有するグラフィックコントローラと、複数の画素が配置された表示パネル14を備える表示装置として構成されてもよい。表示装置は、透過領域CAの裏面にカメラモジュール35を備えてもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
1…電子機器、1d…表示システム、12…メインメモリ、13…ビデオサブシステム、14…表示パネル、21…チップセット、22…BIOSメモリ、23…SSD、24…USBコネクタ、25…オーディオシステム、26…ネットワークカード、27…RTC、30…エンベデッドコントローラ、31…電源回路、33…バッテリ、34…入力I/F、35…カメラモジュール、100…制御部、102…撮影処理部、104…設定処理部、106…表示処理部、200…記憶部、CA…透過領域、BA…非表示領域、MBA…投影視野領域

Claims (8)

  1. 複数の画素が配置された表示パネルと、カメラと、制御部と、を備え、
    前記カメラには前記表示パネルの一部である透過領域を透過した光が入射し、
    前記制御部は、
    撮影される画像の全体である撮影画像領域のうち前記表示パネルに表示させる部分である実効視野領域を特定し、
    前記透過領域のうち前記実効視野領域に対応する部分を、画素を点灯させない非表示領域として定め、前記カメラにより撮影された画像を前記表示パネルに表示させる
    表示システム。
  2. 前記制御部は、
    前記実効視野領域の変化を検出するとき、
    変化した実効視野領域に基づいて前記非表示領域を更新する
    請求項1に記載の表示システム。
  3. 前記カメラが撮影した画像の一部領域を前記実効視野領域として抽出する撮影処理部を備える
    請求項2に記載の表示システム。
  4. 前記撮影処理部は、
    前記カメラが撮影した画像から、予め設定されたアスペクト比を有する部分を前記実効視野領域として抽出する
    請求項3に記載の表示システム。
  5. 前記撮影処理部は、
    前記カメラが撮影した画像から、特定の被写体を表す部分を前記実効視野領域として抽出する
    請求項3に記載の表示システム。
  6. 前記撮影処理部は、
    前記特定の被写体を表す部分が前記撮影画像領域に含まれるように前記被写体を追跡する
    請求項5に記載の表示システム。
  7. 請求項1に記載の表示システムを備える
    電子機器。
  8. 複数の画素が配置された表示パネルと、カメラと、制御部と、を備え、
    前記カメラには前記表示パネルの一部である透過領域を透過した光が入射する表示システムの制御方法であって、
    前記制御部が、
    前記カメラが撮影した画像の全体である全画像領域のうち前記表示パネルに表示させる部分である実効視野領域を特定するステップと、
    前記透過領域のうち前記実効視野領域に対応する部分を、画素を点灯させない非表示領域として定め、前記カメラにより撮影された画像を前記表示パネルに表示させるステップと、
    を実行する制御方法。
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