JP7473785B2 - タイヤ加硫用ブラダー - Google Patents

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Description

本発明は、離型剤からなるコーティング層を備えたタイヤ加硫用ブラダーに関し、更に詳しくは、コーティング層の剥がれを抑制して生産性の向上を可能にしたタイヤ加硫用ブラダーに関する。
タイヤの加硫工程では、タイヤ加硫金型の中に配置された未加硫タイヤの内側に収縮状態のタイヤ加硫用ブラダーを挿入した後、タイヤ加硫金型を閉型した状態でブラダーの内部に加熱媒体および加圧媒体を注入してブラダーを膨張させて未加硫タイヤを加圧および加熱して未加硫タイヤを加硫する。所定時間加硫した後はタイヤ加硫金型を開型し、ブラダーを収縮させてタイヤ内面から剥離させ、加硫したタイヤをブラダーから抜き出す。このとき、タイヤ内面とブラダー表面の貼り付きを防止するために、予めタイヤ内面に離型剤が塗布されている。ところが、このような離型剤は加硫後にタイヤ内面に残存するため、タイヤの外観に影響するだけでなく、特にタイヤ内面に吸音材やセンサ等を接着する場合に、その接着性を阻害することがあった。
そのため、近年、未加硫タイヤの内面に離型剤を塗布する代わりに、ブラダー表面にコーティング層を予め設けておき、ブラダー自体に離型性を付与することが提案されている(例えば、特許文献1には、このようなコーティング層を備えたブラダーで製造された空気入りタイヤが記載されている)。しかしながら、一般的にブチルゴムが主成分であるブラダー本体と一般的にシリコーンが主成分であるコーティング層とは接着性を充分に確保することが難しい傾向がある。そのため、加硫を繰り返すとコーティング層に剥がれが生じて、短期間でブラダーが使用不能になって交換が必要となり、生産性が低下するという問題がある。
国際公開第2018/146884号
本発明の目的は、離型剤からなるコーティング層を備えたタイヤ加硫用ブラダーにおいて、コーティング層の剥がれを抑制して生産性の向上を可能にしたタイヤ加硫用ブラダーを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のタイヤ加硫用ブラダーは、加硫時にタイヤ内面に当接する最外面にコーティング層を有し、前記コーティング層とブラダー本体との間にプライマー層を有するタイヤ加硫用ブラダーであって、前記コーティング層はタイヤの付着を防止する離型剤成分を含み、前記プライマー層は、複数のプライマー成分を含み、各プライマー成分は前記ブラダー本体を構成するゴム成分と前記コーティング層を構成する離型剤成分との両方に対して接着性を有し、前記複数のプライマー成分は前記プライマー層中において相分離構造を有していることを特徴とする。
本発明の発明者は、離型剤からなるコーティング層を備えたタイヤ加硫用ブラダーにおけるコーティング層の剥がれを抑制するために、コーティング層とブラダー本体との間に両者に対して接着性を有するプライマー層を設けることを着想し、このプライマー層について鋭意研究した結果、ブラダー本体を構成するゴム成分とコーティング層を構成する離型剤成分との両方に対して接着性を有する複数のプライマー成分を用いて、この複数のプライマー成分がプライマー層中において相分離構造を有するようにすることがコーティング層の剥がれを抑制するのに有効であることを知見した。即ち、相分離して海島構造を形成した複数のプライマー成分によって、プライマー層の表面に微細な凹凸が形成されてプライマー層の表面積が増加するので、プライマー層とコーティング層との接触面積が増加し、プライマー層を介したブラダー本体とコーティング層の接着力を高めることができる。また、前述のプライマー層の表面積の増加によって、コーティング層(離型剤)の塗布量をより多く確保することができ、これにより離型性を高めることができる。更に、前述のプライマー層の表面の微細な凹凸に起因してコーティング層の表面にも微細な凹凸が形成されてコーティング層の表面が粗くなるので、加硫時にコーティング層とタイヤとが当接する接触面積を低減することができ、この点からも離型性を高めることができる。本発明は、この知見に基づいて、上述のように複数のプライマー成分を用いてプライマー層中において相分離構造を形成するようにしている。その結果、上述の作用効果によって、コーティング層の剥がれを抑制して生産性の向上することができる。
本発明においては、プライマー層のJIS B 0601に準拠して測定される表面粗さRaP が0.1μm~100μmであることが好ましい。また、プライマー層のISO 25178に準拠して測定される表面粗さSaP が0.1μm~100μmであることが好ましい。これにより、上述のプライマー層の表面の微細な凹凸を適度に設けることが可能になり、プライマー層を介したブラダー本体とコーティング層の接着力を高めながら、離型性を向上するには有利になる。
本発明においては、コーティング層のJIS B0601に準拠して測定される表面粗さRaC が0.1μm~100μmであることが好ましい。また、コーティング層のISO 25178に準拠して測定される表面粗さSaC が0.1μm~100μmであることが好ましい。これにより、上述のコーティング層の表面の微細な凹凸を適度に設けることが可能になり、離型性を向上するには有利になる。
本発明においては、複数のプライマー成分がそれぞれブラダー本体を構成するゴム成分とコーティング層を構成する離型剤成分との両方に対して作用する官能基を含む化合物からなる仕様にすることもできる。
本発明のタイヤ加硫用ブラダーが使用されるタイヤ加硫装置の一例を示す断面図である。 本発明のタイヤ加硫用ブラダーの膜部の構造を模式的に示す断面図である。 本発明のタイヤ加硫用ブラダーの膜部の一部を拡大して示す説明図である。 プライマー層の相分離構造を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すタイヤ加硫装置は、空気入りタイヤTの外表面を成形するタイヤ加硫金型10(以下、モールド10という)と、空気入りタイヤTの内側に挿入される筒状のタイヤ加硫用ブラダー20(以下、ブラダー20という)と、ブラダー20を操作する中心機構30と、ブラダー10の内側に加熱媒体と加圧媒体とを供給するための媒体供給手段40とを備えている。尚、図1では省略しているが、タイヤ加硫装置は、モールド10を外部から加熱するための加熱手段も備える。
本発明は、このような一般的な加硫装置に用いられるブラダー20に関するものであるので、加硫装置の構造は特に限定されない。即ち、ブラダー20以外の構成要素(モールド10、中心機構30、媒体供給手段40、不図示の加熱手段など)については、一般的な構造を採用することができる。
ブラダー20は、タイヤTの内面に当接する円筒状の膜部21と、この膜部21の両端に形成されてモールド10や中心機構30に把持される一対のクランプ部22とで構成される。また、ブラダー20の少なくとも膜部21は、図2に示すように、ブラダー本体21aとプライマー層21bとコーティング層21cとからなる積層体で構成される。尚、図1,2に示すブラダー20は、タイヤTの径方向外側に拡張した状態にある。
ブラダー本体21aは、ブラダー20の最内層に配置され、膨縮自在のゴムで構成される。ブラダー本体21aを構成するゴム組成物は、ゴム成分中にブチルゴムを50質量%以上、好ましくは51質量%~99質量%含有する。このようにブチルゴムを主成分とすることで、ブラダー20としての柔軟性やブラダー20内に封入される加熱媒体や加圧媒体の透過防止性能を確保することができる。ブラダー本体21aを構成するゴム組成物として、ブチルゴム以外のゴム成分を配合することもできる。
コーティング層21cは、膜部21の最外面に配置され、加硫時には空気入りタイヤTの内面に接触する。コーティング層21cは、シリコーン成分を有効成分として含有する離型剤で構成される。このように離型剤からなるコーティング層21cを備えることで、加硫時にタイヤがブラダー20(ブラダー本体21)の表面に密着することを防止することができる。離型剤に含まれるシリコーン成分としては、オルガノポリシロキサン類が挙げられ、例えば、ジアルキルポリシロキサン、アルキルフェニルポリシロキサン、アルキルアラルキルポリシロキサン、3,3,3-トリフルオロプロピルメチルポリシロキサン等を挙げることができる。ジアルキルポリシロキサンは、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルイソプロピルポリシロキサン、メチルドデシルポリシロキサンである。アルキルフェニルポリシロキサンは、例えば、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体である。アルキルアラルキルポリシロキサンは、例えば、メチル(フェニルエチル)ポリシロキサン、メチル(フェニルプロピル)ポリシロキサンである。これらのオルガノポリシロキサン類は、1種または2種以上を併用してもよい。
プライマー層21bは、ブラダー本体21aとコーティング層21cとの層間に設けられる。プライマー層21bは、接着性が必ずしも良くないブラダー本体21a(ブチルゴム)とコーティング層21c(シリコーン)との層間に介在して、ブラダー本体21aとコーティング層21cとの接着を助けて、コーティング層21cがブラダー本体21aから剥がれることが抑制するものである。プライマー層21bは、ブラダー本体21aを構成するゴム成分とコーティング層21cを構成する離型剤成分(例えばシリコーン成分)との両方に対して接着性を有するプライマー成分を含む。特に、プライマー成分は、ブラダー本体21aを構成するゴム成分と反応して接着性を発揮する官能基とコーティング層21cを構成する離型剤成分と反応して接着性を発揮する官能基とを含む化合物であるとよい。
ブラダー本体21a(ブチルゴム)に対して作用する官能基としては、スルフィド系官能基、アミド系官能基、チウラム系官能基、ジチオカルバミン酸系官能基を例示することができ、なかでもスルフィド系官能基、アミド系官能基を好ましく用いることができる。また、コーティング層21c(シリコーン)に対して作用する官能基としては、アルコキシル系官能基、ヒドロキシル系官能基、ジオール系官能基、ポリエーテル系官能基を例示することができ、なかでもアルコキシル系官能基、ヒドロキシル系官能基を好ましく用いることができる。
プライマー成分として好適な上述の官能基を含む化合物としては、例えば、ブラダー本体21a(ブチルゴム)に対して作用する官能基としてアミノ基を含み、コーティング層21c(シリコーン)に対して作用する官能基としてアルコキシ基を含むシラン化合物、具体的には、アミノ基を有するシランカップリング剤及びその加水分解縮合物、シラノール末端ポリオルガノシロキサンとアミノ基を有するシランカップ剤の縮合反応物を例示することができる。特に、下記一般式(1)で表されるポリシロキサンを好ましく用いることができる。下記のポリシロキサンは、シリコーン成分を含むコーティング層やブチルゴムからなるブラダー本体との反応性に優れるので、コーティング層の剥離を防止するには有利になる。
Figure 0007473785000001
上記一般式(1)において、nは0~1000の整数である。R1 は炭素数1~20のアルキル基またはアリール基であり、好ましくはメチル基(炭素数:1)である。OR2 は炭素数1~20のアルコキシ基であり、好ましくはエトキシ基(炭素数:2)である。R3 は炭素数1~20のアルキレン基であり、好ましくはn‐プロピレン基(炭素数:3)である。
本発明のプライマー層21bには上述の各種プライマー成分を用いることができるが、本発明のプライマー層21bは単一のプライマー成分で構成されるものではなく、複数のプライマー成分を必ず含む。本発明の発明者は、プライマー層21b(プライマー成分)について鋭意研究した結果、複数のプライマー成分を用いることで、プライマー層21b中において相分離構造が形成されて、コーティング層21cの剥がれを抑制するのに有効であることを知見した。即ち、図3に模式的に示すように、相分離構造を形成した複数のプライマー成分A,Bによって、プライマー層21bの表面に微細な凹凸が形成されて、プライマー層21bの表面積が増加するので、プライマー層21bとコーティング層21cとの接触面積が増加し、プライマー層21bを介したブラダー本体21aとコーティング層21cの接着力を高めることができる。また、前述のプライマー層21bの表面積の増加によって、コーティング層21c(離型剤)の塗布量をより多く確保することができ、これにより離型性を高めることができる。更に、前述のプライマー層21bの微細な凹凸に起因してコーティング層21cの表面にも微細な凹凸が形成されてコーティング層21cの表面が粗くなるので、加硫時にコーティング層21cとタイヤとが当接する接触面積を低減することができ、この点からも離型性を高めることができる。本発明は、この知見に基づいて、上述のように複数のプライマー成分を用いてプライマー層21b中において相分離構造を形成するようにしている。その結果、上述の作用効果によって、コーティング層21cの剥がれを抑制して生産性の向上することができる。
尚、相分離構造とは、図4に模式的に示すように、複数のプライマー成分A,Bが相溶せずに、いずれかの成分が凝集して核形成・成長することで、この凝集した成分が、連続的に分布する他の成分の中に混在した状態である。具体的には、連続的に分布するプライマー成分Aの中に、図4(a)に示すように凝集したプライマー成分B(図中の斜線部)が不連続的に混在した所謂「海島構造」や、図4(b)に示すように凝集したプライマー成分B(図中の斜線部)も比較的連続的に混在した所謂「相互連結構造」などを指す。図示の例では2種類のプライマー成分A,Bが相分離した状態を示しているが、3種類以上のプライマー成分を含む場合も同様に、いずれかの成分が凝集して核形成・成長して同様の構造を形成することになる。
前述のようにプライマー層21bの表面に微細な凹凸を形成する観点からは、図4(a)に示す海島構造になるように複数のプライマー成分を用いるとよい。例えば、2種類のプライマー成分を用いる場合、凝集する方のプライマー成分が少ない方が海島構造を形成しやすいので、一方のプライマー成分(凝集しやすい成分)と他方のプライマー成分(凝集しにくい成分)との比(重量比)を例えば5:5~3:7程度に設定することが好ましい。
更に、本発明の発明者は、複数のプライマー成分を用いるに際して、分子量の異なる同種のプライマー成分であっても上述の相分離構造を形成することを知見した。例えば、複数のプライマー成分として、上述の一般式(1)の化合物を用いる場合、R1 、OR2 、R3 は共通にして、nのみを異ならせる(分子量を異ならせる)ことでも、上述の相分離構造を良好に形成することができる。特に上述の一般式(1)に基づいて2種のプライマー成分を得る場合、一方のプライマー成分についてはnを例えば9~18(分子量1000~2000)とし、他方のプライマー成分についてはnを例えば470~870(分子量15000~40000)とするとよい。
本発明では、複数のプライマー成分を用いることで、プライマー層21bの表面に微細な凹凸が形成される。このとき、プライマー層21bのJIS B 0601に準拠して測定される表面粗さRaP は好ましくは0.1μm~100μmであるとよい。また、プライマー層のISO 25178に準拠して測定される表面粗さSaP は好ましくは0.1μm~100μmであるとよい。これにより、上述のプライマー層21bの表面の微細な凹凸を適度に設けることが可能になり、プライマー層21bを介したブラダー本体21aとコーティング層21cの接着力を高めながら、離型性を向上するには有利になる。
更に、プライマー層21bの凹凸に起因してコーティング層21cの表面にも微細な凹凸が形成されるが、コーティング層のJIS B0601に準拠して測定される表面粗さRaC は好ましくは0.1μm~100μmであるとよい。また、コーティング層のISO 25178に準拠して測定される表面粗さSaC は好ましくは0.1μm~100μmであるとよい。これにより、上述のコーティング層の表面の微細な凹凸を適度に設けることが可能になり、離型性を向上するには有利になる。
尚、表面粗さRa,Saは、それぞれの規格(JIS B0601、ISO 25178)に準拠して測定された算術平均高さであり、接触式粗さ計、原子間力顕微鏡、あるいはレーザー顕微鏡等により測定することができる。
ブラダー20は加硫工程に繰り返し伸縮変形するため、プライマー層21bやコーティング層21cの厚さを適度な範囲に設定して、これらの層をブラダー本体21の変形に追従しやすくすることが好ましい。具体的には、プライマー層21bとコーティング層21cの厚さの合計が1μm~200μmであることが好ましい。尚、各層の厚さは、ブラダー20をインフレートしない状態でタイヤの赤道に対応する位置で測定した厚さである。
本発明のタイヤ加硫用ブラダーは、上述のブラダー本体21aの外表面に、複数のプライマー成分からなるプライマーを塗布して上述のプライマー層21bを形成し、更に、プライマー層21bの外表面に離型剤を塗布して上述のコーティング層21cを形成することで製造される。即ち、従来の一般的なブラダー(ブラダー本体21a)に適用することができる。
プライマーは、プライマー成分(ブラダー本体21aを構成するゴム成分とコーティング層21cを構成する離型剤成分の両方に対して作用する官能基を含む化合物)を含有する組成物を0.1質量%~10質量%の濃度に希釈した溶液であり、刷毛で塗ったり、スプレーで吹き付けることで、ブラダー本体21aの表面に配置される。尚、複数のプライマー成分を含むプライマー層21bは、例えば、予め複数のプライマー成分を混合して調製したプライマーを塗布することで形成することができる。或いは、単一のプライマー成分を含むプライマーを塗布した後に、別のプライマー成分を含むプライマーを重ねて塗布することで形成してもよい。プライマーを塗布してから、次に離型剤を塗布するまでに、ブラダー本体21aとプライマーを反応させて、プライマー層21bをブラダー本体21aの表面上で硬化させるとよい。硬化させる際の温度は室温程度(例えば5℃~40℃)が好ましく、時間は10分~15分にするとよい。
離型剤は、シリコーン成分を有効成分として含有する組成物であり、例えば2質量%~10質量%の濃度に希釈されて使用される。離型剤も、刷毛で塗ったり、スプレーで吹き付けることで、プライマー層21b上に塗布される。離型剤の塗布後に、プライマー層21bと離型剤を反応させて、コーティング層21cをプライマー層21bの表面上で硬化させるとよい。硬化させる際の温度は例えば25℃~200℃が好ましく、時間は5分~180分にするとよい。コーティング層21cの施工は好ましくは焼き付け塗布で行うとよい。コーティング層21cを形成する工程は、1回以上3回以下の範囲で実施することができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1に示す基本構造を有するブラダー製造用金型を用いてタイヤを製造するにあたって、プライマー層に含まれるプライマー成分の比(重量比)、相分離構造の有無、プライマー層の表面粗さRaP ,SaP 、コーティング層の表面粗さRaC ,SaC を表1に示すように異ならせたタイヤ加硫用ブラダー(従来例1~2、実施例1~4)を用いて空気入りタイヤを製造した。尚、各例で製造した空気入りタイヤのタイヤサイズはいずれも195/65R15である。
各例において、プライマー層として塗布するプライマーの濃度は5質量%とし、ブラダー本体の表面に刷毛を用いて塗布した。プライマー成分としては後述のプライマー成分1~3のいずれかを用い、複数のプライマー成分を用いる場合はこれらプライマー成分1~3から2種以上を選択して予め混合してプライマーを調製した。プライマー塗布後の硬化条件は、室温(25℃)かつ15分とした。コーティング剤はスプレーで噴霧し、硬化条件は150℃かつ80分とした。
プライマー層の表面粗さRaP ,SaP 、コーティング層の表面粗さRaC ,SaC は、各層について、それぞれの規格(JIS B0601、ISO 25178)に準拠して測定した。
プライマー成分1,2は、下記式(2)で表されるポリシロキサンである。式中、Meはメチル基、Etはエチル基を表す。プライマー成分1は式中のnが9(分子量:1000)であり、プライマー成分2は式中のnが240(分子量:18000)である。
Figure 0007473785000002
プライマー成分3は、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン1モルに0.5モルの水を滴下し、室温で2時間間加水分解縮合させたのち、生成したエタノールを留去することで得た、アミノ基およびエトキシシリル基を有するポリシロキサンである。
各例について、下記に示す方法により耐膜剥がれ性の評価を行った。
耐膜剥がれ性
各例のタイヤ加硫用ブラダーを用いて繰り返し加硫を行い、コーティング層の剥離が生じるまでの加硫回数を測定した。評価結果は、従来例1の値を100とする指数で示した。この指数が大きいほど、加硫回数が多く、耐膜剥がれ性に優れることを意味する。
Figure 0007473785000003
表1から明らかなように、単一種類のプライマー成分からなるプライマー層を用いた従来例1,2と比較して、実施例1~4のタイヤ加硫用ブラダーでは、耐膜剥がれ性を大幅に向上することができた。
10 タイヤ加硫金型(モールド)
20 タイヤ加硫用ブラダー(ブラダー)
21 膜部
21a ブラダー本体
21b プライマー層
21c コーティング層
22 クランプ部
30 中心機構
40 媒体供給手段
T 空気入りタイヤ

Claims (5)

  1. 加硫時にタイヤ内面に当接する最外面にコーティング層を有し、前記コーティング層とブラダー本体との間にプライマー層を有するタイヤ加硫用ブラダーであって、
    前記コーティング層はタイヤの付着を防止する離型剤成分を含み、
    前記プライマー層は、複数のプライマー成分を含み、各プライマー成分は前記ブラダー本体を構成するゴム成分と前記コーティング層を構成する離型剤成分との両方に対して接着性を有し、前記複数のプライマー成分は前記プライマー層中において相分離構造を有していることを特徴とするタイヤ加硫用ブラダー。
  2. 前記プライマー層のJIS B 0601に準拠して測定される表面粗さRaP が0.1μm~100μmであることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ加硫用ブラダー。
  3. 前記プライマー層のISO 25178に準拠して測定される表面粗さSaP が0.1μm~100μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ加硫用ブラダー。
  4. 前記コーティング層のJIS B0601に準拠して測定される表面粗さRaC が0.1μm~100μmであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ加硫用ブラダー。
  5. 前記コーティング層のISO 25178に準拠して測定される表面粗さSaC が0.1μm~100μmであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ加硫用ブラダー。
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