JP7473149B2 - 高硬度ダイヤモンド基塊状工具素材およびその製法 - Google Patents

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本発明は、構成成分であるダイヤモンド粒子同士及び遷移金属炭化物が互いに強固に結合・一体化された、高硬度の塊状工具素材に関する。
本発明は特にダイヤモンド粒子同士が周期表第4族、5族、及び6族から選ばれる1種又は複数種の金属の炭化物の介在により、以て遷移金属炭化物とダイヤモンドとの強力な親和性によって強力に接合された硬質焼結材に関する。
本発明はまたダイヤモンド粒子同士が周期表第4族、5族、及び6族から選ばれる1種又は複数種の金属の炭化物の介在により、かかる化合物の電気的性質に基づいて適度の導電性乃至比抵抗を呈する硬質焼結材に関する。
本発明はまたかかる焼結材の製法にも関する。
本発明は特に硬度及び耐熱性の優れた切削工具要素として、鉄系金属材を始め多様な材種の加工に適用可能で、また幅広い分野の切削、研削・研磨加工に使用可能なダイヤモンド集合体及びその製造方法に関する。
本発明は硬度及び耐熱性に加えて、さらに放電加工による加工性の優れた切削工具要素として、現行の工具製作方式を用いることができるダイヤモンド集合体及びその製造方法に関する。
硬度が高く耐摩耗性に優れた研磨材である粉状ダイヤモンドを結合させた焼結体が切削工具のチップ等の製作に利用されてきた。このような焼結体はダイヤモンド多結晶体(PCD)とも呼ばれ、一般には超高圧高温下でコバルト(Co)を溶融してダイヤモンド粉末間に流入させ、融液相を介した溶解・析出作用によってダイヤモンド粉末の一体化が行われている。得られる焼結体内にはコバルトが閉じ込まれていることから導電性があり、切削工具などの製作に際しては面出し、切断などの工程に放電加工方式を用いることで、生産性を高めることが可能である。
しかしながら結合材のコバルトは700℃位からダイヤモンドをグラファイト化させる触媒として作用し、温度上昇に伴ってこの作用が顕著になるので、切削時の発熱による高温条件下での使用が困難という耐熱性の問題があった。また、ダイヤモンド自体、鉄との反応性があるという問題もある。従ってダイヤモンドに内包されるこれらの問題を克服し、極めて硬いダイヤモンドの特性が発揮できる切削チップ材として、鉄系材質の切削にも適用可能なダイヤモンド質塊体の開発が望まれている。
コバルト等の鉄族金属を使用せずにダイヤモンド多結晶体(塊体)を調製する方法は公知である。例えば結合材として4a, 5a, 6a族遷移金属粉末とダイヤモンド粒子とからなる混合物を加圧、焼成し、金属炭化物を介して一体化されたダイヤモンド焼結体が知られている。
特開昭51-73512号公報 特開平5-194032号公報 特開平8-176696号公報
権他、日本金属学会誌65巻4号(2001)273~278ページ
特許文献1の方法においては、ダイヤモンド粉体とチタン、ジルコニウム等の金属粉体とを混合し、ダイヤモンド安定領域の高温・高圧条件で金属を溶融し、ダイヤモンドとの反応によって生成した金属炭化物を介してダイヤモンド粉体を固結(焼結)する方法が示されており、焼結温度として最高1950℃、加熱時間15分の記載がある。
特許文献2の方法では, ダイヤモンド粉末とチタン、ジルコニウム等の金属粉末とを混合し、1700~1900℃に加熱してダイヤモンド表面に金属を分散させ、次いで2000℃以上に加熱、10~30分保持して金属をダイヤモンドとの反応による炭化物に変える方法が示されている。
特許文献3においては、ダイヤモンド粒子とチタン、ジルコニウム等の遷移金属粉末とを混合し、1300~1500℃の温度に加熱、15分程度保持して、ダイヤモンドと金属との固相反応で生じた金属炭化物中にダイヤモンド粒子が分散固定された複合焼結体の製造方法が開示されている。
金属中への炭素の拡散速度は大きく、ダイヤモンド粉末と遷移金属粉末との混合物では、昇温過程の1000℃以下で既に固相拡散によって両者の接触部で金属炭化物が生じることが知られている。従ってこれらの公知技術による生成物は、いずれも実質的にダイヤモンド(炭素)と遷移金属とによる固相反応で形成された金属炭化物を介して、ダイヤモンド粒子が固定された固相焼結品の範疇に属し、得られた焼結品の組織は明確な結晶面を持たない金属炭化物粒子の集合結合体として特徴づけられる。
本発明はダイヤモンドを主材とする高硬度の焼結体において、鉄を含むすべての材料の加工への適用が可能であり、かつ結合材によるグラファイト化への相転換促進も生じない塊状工具素材を提供することを課題とする。
加えて本発明はダイヤモンドを主材とする高硬度の焼結体において、一般的なコバルト系ダイヤモンド焼結体(PCD)と同様の条件で製作・加工が可能であり、かつ適度の導電性を有する塊状工具素材を提供することを課題とする。
ダイヤモンドと遷移金属との混合粉末の固相焼結による、ダイヤモンドと遷移金属炭化物とで構成された複合材料は公知である。しかし固相焼結においては、焼結時における粒子の変形、移動、再配列による緻密化が期待できないので、焼結原料の調製の際に粒度配合を含めた綿密な原料設計を行っても、真比重に近い焼結品を得るのは困難である。
一方遷移金属炭化物の溶融温度は2500℃以上であって、3000℃を超えるものもあることから、遷移金属炭化物の液相焼結にはヒーターを含めた反応装置の設計に大きな課題があり、またかかる高温条件下でダイヤモンドのグラファイト化を阻止するための過大な超高圧力を付加する必要もあり、実現には大きな困難を伴う。
この解決策として、本発明者は結合材となる遷移金属炭化物を、出発原料間の反応によって形成し、その際に放出される大きな発熱を効果的に利用することによって、生成された反応生成物を生成環境内で融点近傍まで昇温し、それによって液相焼結またはそれに近い状況での焼結が可能になることを知見した。
従って、本発明の要旨とするところは、整粒ダイヤモンド粒子及び遷移金属材を含む出発材料間の密な接触下における2000℃以上の加熱処理履歴を経て一体化したダイヤモンドを主体とする複合材塊状体であって、該ダイヤモンド粒子同士は遷移金属炭化物を介して相互に結合し、一体化していることを特徴とする硬質塊状工具素材にある。
本発明は特に、ダイヤモンド粒子を周期表4、5、6族遷移金属から選ばれる一種以上の金属粉末と密に混合して加圧下での加熱焼結操作に供し、その際にダイヤモンド粒子の表面に形成された(in situ formed) 遷移金属炭化物を結合材として一体化したものである。
本発明においては切削工具等の素材として、或いは研磨・研削砥粒の原料として好適な高硬度ダイヤモンド集合体の作製において、結合材原料として、ダイヤモンドのグラファイト化への触媒作用を持つ従来のコバルト等の鉄系金属に代えて4a, 5a, 6a族遷移金属を用い、ダイヤモンドと遷移金属との反応によって炭化物が形成される際に生じる高温を利用して緻密化を図る。ダイヤモンド粒子は生成した遷移金属炭化物を介して強固に結合一体化され、鋼材等、鉄系材料を含むすべての硬質材料加工への利用が可能なダイヤモンド基複合材が達成される。
すなわち本発明は、以下の工具素材およびその製造方法に関する。
[1]
ダイヤモンド粒子及び遷移金属材を含む出発材料間の密な接触下における2000℃以上の加熱処理の履歴を経て一体化したダイヤモンドを主体とする複合材塊状体であって、該ダイヤモンド粒子同士は遷移金属炭化物を介して相互に結合し、一体化していることを特徴とする硬質塊状工具素材。
[2]
前記遷移金属がTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wから選ばれる[1]に記載の工具素材。
[3]
前記遷移金属炭化物が前記加熱処理の際に形成された1種以上の遷移金属炭化物の自形晶を含む、[1]又は[2]に記載の工具素材。
[4]
前記加熱処理が遷移金属炭化物の溶融を伴い、固化した遷移金属炭化物結晶を含有する、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の工具素材。
[5]
室温において30GPa以上のビッカース硬さ(VHN)を呈する、[1]乃至[4]に記載の工具素材。
[6]
ダイヤモンド粒子を容積比にて全体の20乃至90%含有する、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の工具素材。
[7]
前記ダイヤモンド粒子のD50平均粒度が0.1~200μmである、[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の工具素材。
[8]
前記ダイヤモンド粒子のD50平均粒度が0.1~50μmである、[1]乃至[7]のいずれか一項に記載の工具素材。
[9]
前記ダイヤモンド粒子が粒度分布において複数の極大値(多峰分布)を呈する、[1]乃至[8]のいずれか一項に記載の工具素材。
[10]
前記ダイヤモンド粒子が粒度分布において2個の極大値を呈する、[1]乃至[9]のいずれか一項に記載の工具素材。
[11]
室温において10Ω・cm以下の比抵抗値を呈する、[1]乃至[10]のいずれか一項に記載の工具素材。
[12]
室温において1Ω・cm以下の比抵抗値を呈する、[1]乃至[11]のいずれか一項に記載の工具素材。
[13]
出発材料間の反応熱によって加熱された、[1]乃至[12]のいずれか一項に記載の工具素材。
[14]
加熱を、5℃/秒以上の昇温速度でおこなう、[13]に記載の工具素材。
[15]
ダイヤモンド粒子及び遷移金属粉末を含有する出発原料を2000℃以上の反応温度に供し、該出発原料成分間の反応によって遷移金属炭化物を含有するセラミックス相を形成、該セラミックス相を介してダイヤモンド粒子同士を結合してダイヤモンド基焼結複合材とし、この際上記セラミックスを少なくとも部分的に溶融して全体を一体化してなる、[1]乃至[12]のいずれか一項に記載の工具素材の製造方法。
[16]
前記出発原料が配合された混合粉からなり、成分間の反応熱によって反応温度を達成する、[15]に記載の方法。
[17]
前記出発原料が配合された混合粉からなり、前記反応温度を配合成分間の反応熱及び反応容器外からの加熱によって達成する、[12]乃至[16]のいずれか一項に記載の方法。
本発明においては、鉄を含むすべての材料の加工が可能であり、かつ結合材によるグラファイト化への相転換促進も生じず、さらに現在一般的なコバルト系ダイヤモンド焼結体(PCD)と同様の条件で製作・加工が可能なダイヤモンドを主材とする高硬度の焼結体の製作が可能となった。即ち焼結反応の際に発生する高熱を積極的(効果的)に利用することによって生成した遷移金属炭化物を溶融し、一旦溶融相を出現させることで液相焼結による緻密化を可能とするものである。
本発明においては、溶融状態の継続時間が極端に短いことから、反応で生じた炭化物は通常5μm以下の微結晶であって、セラミックス結合相の強化に寄与している。
本発明では目的複合材の製造に特に燃焼合成反応が利用可能であるが、この手法は短時間に大きな発熱を伴う。そして、反応時間は最長でも数秒と極度に短いのが特徴である。このためダイヤモンドのグラファイト化が始まる誘導時間内に反応が完結するので、グラファイト化阻止のための大きな加圧力を反応領域に付加する必要がないという利点がある。
加えて燃焼合成反応を利用した焼結反応は、焼結反応時における高温持続時間が短いことから、温度上昇に伴う反応装置(例えばパンチ、ダイ)への負担が小さく、装置設計が容易という利点も得られる。
本発明焼結品の破断面を示すSEM写真である(実施例1)。 本発明と対比のため、固相反応状態を示すSEM写真である(比較例1)。
高融点無機化合物を成分元素間の反応で合成する技術自体は、自己燃焼合成法として1970年頃から実用化されており、各種セラミックスの合成や、反応熱を用いた焼結に利用されている。例えば金属チタン粉末とカーボン粉末との等モル混合物から炭化チタン(TiC)を形成する反応において、発生する反応熱がすべて生成物の炭化チタンの加熱に充てられると仮定すると3000℃を超える温度上昇になり、炭化チタンの融点に達することが知られている。
一方粒径表示~44μmのチタン粉と~5μmの黒鉛粉との等モル混合粉を用いたTiC形成における反応開始温度(着火温度)は1500K以上との研究報告があり(非特許文献1)、本発明者も平均粒径8μmのダイヤモンド粉と粒径表示~45μmのチタン粉との混合粉末をペレットに成型し、アルゴン雰囲気中で1300℃に1時間保った実験を行ったが、ダイヤモンド粒子表面に固相反応によるTiCの形成は認められたものの、燃焼の形跡は認められなかった。従って外部熱源による予熱によって燃焼合成反応を開始するには1500K以上の予熱が必要であり、そのような予熱との併用で反応ゾーン温度が4000℃を超える可能性すらある。
但し混合粉中における固相反応によってTiCが形成される反応は1000℃以下で既に始まっており、形成されたTiCが燃焼合成反応開始の抑制に作用することから、反応開始のための外部熱源による昇温速度はできるだけ大きくする必要があり、毎秒5℃以上とすることが好ましい。
燃焼合成反応を利用することによって、短時間で従来に無い高温が達成され、本発明のダイヤモンド基塊体の独特の性状・構造が実現される。
反応は、金属がすべて炭化物となることにより完了し、反応熱の発生が止まる。これは、たとえば加熱ヒーターの電気抵抗変化等、外部加熱装置等に反応の終了が反映されることにより、認識できる。
本発明品においては、遷移金属炭化物のマトリックス相中や、ダイヤモンド粒子表面に微細な炭化物の自形晶が観察されることから、ダイヤモンド粒子と遷移金属粒子との接触部で一旦液相が生じ、冷却時に炭化物の結晶として晶出したと推察される。
焼結のための加圧力は生成物の緻密化のため、またダイヤモンドのグラファイト化への誘導時間延長のために大きくすることが望ましい。但し通常のダイヤモンド焼結体の製作に用いられている5GPaを超える加圧は必ずしも必要でなく、HIPやホットプレスの加圧技術も用いることができる。
本発明に用いる上記遷移金属種としてはTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wから選ぶのが好適である。これらの金属は本発明において粉体としてダイヤモンドと密接して加熱され、発熱反応によって炭化物を生成するが、この際、本発明の高温環境下で自形晶として晶出する。
上記遷移金属種のうち最も好ましいのは、入手の容易さ並びに発熱量の大きさの観点からチタンである。ただこれらの金属材は結合材形成成分として予め出発原料中に広く一様に分布していることが要求されるので微粉の使用が望まれるが、チタン微粉は表面が活性で自然発火し易いことから取り扱いが困難である。
代替品のチタン源として水素化チタンを用いることができる。これらは10μm以下の微粉の入手が容易で、特に水素化チタンは昇温過程で遊離した水素によって反応空間が還元雰囲気に保たれ、高温下におけるダイヤモンドの消耗阻止に有効である。
本発明の塊状工具素材は、基本的に出発材料としてのダイヤモンド粒子、遷移金属粉末の混合物を加圧下で加熱することによって作製されるが、この際出発材料にホウ素粉末を含有させて処理することもできる。チタン、ジルコニウムなどとホウ素との反応は、炭素との反応に比して発熱量が約60%大きいことから、ダイヤモンドの一部をホウ素と置換することにより、短時間であるがより液相焼結に近い状態を生じることができる。さらに反応で生じた遷移金属のホウ化物は、セラミックス相の物性改善、特に比抵抗値の低減に寄与する。
本発明の塊状工具素材は、室温において30GPa以上のビッカース硬さ(VHN)を有する。このような硬度は、焼結体の骨材となるダイヤモンド粒子の含有量を、容積比にて全体の20乃至90%とすることによって達成できる。
特に骨材となるダイヤモンド粒子の含有量を、容積比にて全体の80%以上とすることにより、70GPaを超える高硬度の工具素材を容易に得ることができる。導電性のセラミックス相の含有量低下により、放電加工は困難であるが、形状精度の規格が緩やかな工具素材、例えば岩盤掘削機の刃先として、焼結品をそのまま用いることができる。
一方粒度も工具素材の用途に応じて0.1μmから200μm(D50平均粒度)にわたる広い範囲から選ぶことができる。比較的粗いサイズは大型の工具刃先用の素材として用いられるが、粗すぎる粒子は単結晶の欠点であるへき開割れによる消耗が目立つのに加えて、質量対表面積の観点から、相対的に結合材による保持力が低下するという欠点か生じる。従ってより好ましいサイズの上限は50μm程度である。
上記のダイヤモンド粒子の粒度は、極大値が単一の通常の分布品の他、粒度配合による充填密度向上などの用途に応じて2個あるいはそれ以上の極大値(多峰分布)を呈するものも利用可能である。例えばIRM 30-40(D50=27.9μm)を用いる際に、IRM4-6(D50=3.72μm)の砥粒を4割程度添加することで、ダイヤモンドに関して充填密度を70%以上に高めることができる。
本発明で得られる遷移金属炭化物の比抵抗値は、コバルトに比して一桁程度大きいものの、十分な導電性を有することから、本発明の複合材は、焼結時に生成される遷移金属化合物の導電性に基づいて一定の導電性、室温において10Ω・cm以下の比抵抗値、特に1Ω・cm以下の比抵抗値とすることができる。
本発明の塊状工具素材は、破砕・粉砕工程を経て研削砥粒として用いることもできる。特に10μm以下の整粒されたダイヤモンド粒子を用いた焼結品から得られるメッシュサイズ砥粒は、多結晶質砥粒として研削能率は見かけの二次粒子サイズに依存し、研削面粗さは一次粒子サイズに依存するという、優れた性能を発揮する。
似た効果は土木工事に用いられている粗い砥粒においても発揮される。例えば100μm近傍の砥粒を主材料として塊状工具素材を作製し、破砕・粉砕によって得られた多結晶質砥粒をメタルボンド工具として用いることができる。この場合の効果として、砥粒表面に多数の刃先となるエッジが存在することによる切削乃至切断速度の向上、エッジが鈍くなった粒子が脱落して新しい砥粒が現れることで切れ味の持続があり、加工能率の大幅な向上となる。
〔実施例1〕
ダイヤモンド粒子IRM 30-40(D50=27.9μm、トーメイダイヤモンド社製)と、チタン粉末(TSP350 <45μm、大阪チタニウムテクノロジーズ社製)との質量比7:3混合粉末をニオブ製の反応容器に充填し、反応容器周囲にグラファイト製ヒーターを配置した。
室温で反応容器を6.5GPaに加圧した後、ヒーターへの通電により5℃/秒の昇温速度で約1700℃まで加熱し、この間に混合粉末に着火した。着火後3分でヒーターによる加熱を停止し、冷却・除圧して直径約70mm、高さ約60mm、重量910gの反応生成物を回収した。
得られた焼結品のビッカース硬さは55GPa、比抵抗値は0.2Ω・cmであった。研磨面の低倍率写真に見られるダイヤモンドとTiCとの面積比はほぼ7:3であった。
本焼結品の破断面のSEM写真を図1に示す。各砥粒の表面に自形面を持つTiCの存在が認められる。
比較のために、チタン粉に接して1300℃に1時間保持した同品種のダイヤモンド砥粒(IRM8-16)の表面状態を図2のSEM写真で示す。砥粒(形状輪郭の明瞭な粒子)の表面に見られる小粒子が固相反応で生じたTiCであるが、これらの粒子には自形面が認められない。
〔実施例2〕
ダイヤモンド粒子(IRM 8-16(D50=9.7μm))、水素化チタン粉末(TCH100、<10μm、トーホーテック社製)、アモルファスホウ素の質量比70:25:5混合粉末を出発原料として、上記と同じ加圧・加熱条件で焼結反応を行った。
得られた焼結品のビッカース硬さは57GPa, 比抵抗値は0.05Ω・cmであった。
〔実施例3〕
前記各実施例と同一の加圧・加熱条件を用いて下表のとおり4種類の焼結操作を行った。反応生成物のダイヤモンド含有率、ビッカース硬さ、及び比抵抗値を併せて示す。
本発明の塊状工具素材はダイヤモンドを主材とする高硬度の焼結体として、鉄を含むすべての材料の加工への適用が可能であり、かつ結合材によるグラファイト化への相転換促進も生じず、さらに現在一般的なコバルト系ダイヤモンド焼結体(PCD)と同様の条件で製作・加工が可能であり、かつ適度の導電性を有することによって放電加工が加工な、応用性の高い工具素材として利用可能である。

Claims (4)

  1. 出発原料が、ダイヤモンド粒子、および、ダイヤモンド粒子との間で燃焼合成反応によって遷移金属炭化物含有セラミックス相を形成する遷移金属粉末を含有し、前記出発原料全体を成分間の反応によって2000℃以上の高温を生じ、かつダイヤモンドのグラファイト化が始まる誘導時間内に反応が完結する燃焼合成反応に供し、
    該セラミックス相を介してダイヤモンド粒子同士を結合してダイヤモンド基焼結複合材とし、この際上記セラミックスを少なくとも部分的に溶融して全体を一体化してなる、塊状工具素材の製造方法。
  2. 前記出発原料が配合された混合粉からなり、成分間の反応熱によって反応温度を達成する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記出発原料が配合された混合粉からなり、前記反応温度を配合成分間の反応熱及び反応容器外からの加熱によって達成する、1または2に記載の方法。
  4. 反応を、5GPa以上の加圧下で、5℃/秒以上の昇温速度でおこなう、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
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