JP7471704B1 - ステンレスタンク用電解研磨装置、およびステンレスタンクの電解研磨方法 - Google Patents

ステンレスタンク用電解研磨装置、およびステンレスタンクの電解研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】少ない電解研磨液、および少ない電力量で大型のステンレスタンク全体の電解研磨をすることができる、小型化したステンレスタンク用電解研磨装置、およびステンレスタンクの電解研磨方法を提供する。【解決手段】電解槽2と、電極体3と、搬送用クレーン4と、タンク反転機5と、を備え、前記電解槽は、上面が開口し、前記電解槽内の電解研磨液に前記ステンレスタンクの少なくとも半分を浸漬できるように構成されてなる、ステンレス製のタンク用電解研磨装置1。【選択図】図1

Description

本発明は、ステンレスタンク用電解研磨装置、およびステンレスタンクの電解研磨方法に関する。さらに詳しくは、大型のステンレスタンクを電解研磨するのに適したステンレスタンク用電解研磨装置、およびステンレスタンクの電解研磨方法に関する。電解研磨は表面層をミクロン単位で電気化学的に取り除いて研磨する方法である。
従来、大型のステンレスタンクを電解研磨するには、大型のステンレスタンクの全体を浸漬する電解研磨液を貯留することができる大型の電解槽を準備し、電解研磨を行っていた。また電解研磨処理には大型の電解研磨設備と多量の電解研磨液を必要としていた。
しかしながら、従来の大型の電解槽を用いた電解研磨では、電解処理を行うために広いスペースを使用した大規模な電解研磨設備を必要とし、ひいては大量の電解研磨液を必要とし、電解研磨液の貯留と排出にも多くの時間がとられ、またコストパフォーマンスがよくないという問題があった。また、大型のステンレスタンクの全体を一度に電解研磨するためには、大量の電流を流さなければならず、また、そのためには整流器や給配電トランスも、大量の電流に対応可能なものにしなければならないという問題があった。
特開2020-172681号公報
本発明は、少ない電解研磨液、および少ない電力量で全体の電解研磨をすることができる、SDGsに取り組む省スペースに特化したステンレスタンク用電解研磨装置、および省エネに特化したステンレスタンクの電解研磨方法を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、
電解槽と、陽極と陰極と、を有する電極体と、
電解研磨対象であるステンレスタンクを吊り上げて搬送する搬送用クレーンと、
前記ステンレスタンクを反転させるタンク反転機を備え、
前記タンク反転機は、前記電解槽の近傍に設置され、前記搬送用クレーンは、前記電解槽と前記タンク反転機との間でステンレスタンクを搬送できる位置に設置され、前記電解槽は、上面が開口し、前記電解槽内の電解研磨液に前記ステンレスタンクの少なくとも半分を浸漬できるように形成された、ステンレスタンク用電解研磨装置に関する。
請求項2に係る発明は、前記電極体は、前記ステンレスタンクを把持する把持部を有する、請求項1に記載のステンレスタンク用電解研磨装置に関する。
請求項3に係る発明は、電解層の内側の側部に、電解研磨液を一定量から漏出させる漏出孔が設けられている、請求項1に記載のステンレスタンク用電解研磨装置に関する。
請求項4に係る発明は、
請求項1乃至3に記載のステンレスタンク用電解研磨装置を用いた、タンクの電解研磨方法であって、
(1)前記反転機を用いて、前記ステンレスタンクを反転させる工程と、
(2)前記工程(1)の後、前記搬送用クレーンを用いて、前記ステンレスタンクを前記反転機から前記電解槽へ搬送し、前記電解槽に入れる工程と、
(3)前記工程(2)の後、前記ステンレスタンクの少なくとも半分を電解研磨する工程と、
(4)前記工程(3)の後、搬送用クレーンを用いて、前記ステンレスタンクを前記電解槽から前記反転機へ搬送する工程と、
(5)前記工程(4)の後、前記反転機を用いて、前記ステンレスタンクを反転させる工程と、
(6)前記工程(5)の後、搬送用クレーンを用いて、前記ステンレスタンクを前記反転機から前記電解槽へ搬送し、前記ステンレスタンクを前記電解槽に入れる工程と、
(7)前記工程(6)の後、前記ステンレスタンクの少なくとも半分を電解研磨する工程と、を含んでなる、ステンレスタンクの電解研磨方法に関する。
請求項1に係るステンレスタンク用電解研磨装置は、電解槽と、陽極と陰極と、を有する電極体と、電解研磨対象であるステンレスタンクを吊り上げて搬送する搬送用クレーンと、前記ステンレスタンクを反転させるタンク反転機とを備え、前記タンク反転機は、前記電解槽の近傍に設置され、前記搬送用クレーンは、前記電解槽と前記タンク反転機との間でステンレスタンクを搬送できる位置に設置され、前記電解槽は、上面が開口し、前記電解槽内の電解研磨液に前記ステンレスタンクの少なくとも半分を浸漬できるように構成されてなることを構成上の特徴としているので、少ない電解研磨液および、少ない電力量で全体の電解研磨をすることができる。これまでのような大きな設備を建設することなく、限られたスペースであっても、電解研磨を実施することができる。
請求項2に係るステンレスタンク用電解研磨装置によれば、前記電極体は、前記ステンレスタンクを把持する把持部を有するので、電解槽内で、電解槽に入れたステンレスタンクを把持し、安定した状態で電解研磨をすることができる。
請求項3に係るステンレスタンク用電解研磨装置によれば、内側の側部に、電解研磨液を一定量から漏出させる漏出孔が設けられているので、電解研磨液の液面を一定に安定させることができる。
請求項4に係るステンレスタンクの電解研磨方法によれば、請求項1乃至3に記載のステンレスタンク用電解研磨装置を用いた電解研磨方法であって、(1)前記反転機を用いて、前記ステンレスタンクを反転させる工程と、(2)前記工程(1)の後、前記搬送用クレーンを用いて、前記ステンレスタンクを前記反転機から前記電解槽へ搬送し、前記電解槽に入れる工程と、(3)前記工程(2)の後、前記ステンレスタンクの少なくとも半分を電解研磨する工程と、(4)前記工程(3)の後、搬送用クレーンを用いて、前記ステンレスタンクを前記電解槽から前記反転機へ搬送する工程と、(5)前記工程(4)の後、前記反転機を用いて、前記ステンレスタンクを反転させる工程と、(6)前記工程(5)の後、搬送用クレーンを用いて、前記ステンレスタンクを前記反転機から前記電解槽へ搬送し、前記ステンレスタンクを前記電解槽に入れる工程と、(7)前記工程(6)の後、前記ステンレスタンクの少なくとも半分を電解研磨する工程と、を含んでなるので、少ない電解研磨液、少ない電力で電解研磨をすることができる。
本発明に係るステンレスタンク用電解研磨装置の一実形態である、ステンレスタンク用電解研磨装置の全体を示す図である。 本発明に係るステンレスタンク用電解研磨装置の電解槽を示す図である。 本発明に係るステンレスタンク用電解研磨装置の電極体を示す図である。 本発明に係るステンレスタンク用電解研磨装置の搬送用クレーンを示す図である。 本発明に係るステンレスタンク用電解研磨装置のタンク反転機を示す図である。 本発明に係るステンレスタンク用電解研磨装置の電解槽において電解研磨の対象であるステンレスタンクが電解研磨される様子を示す図である。 本発明に係るステンレスタンク用電解研磨装置の一実形態である、電解研磨の原理を示す図である。 本発明に係るステンレスタンク用電解研磨装置の一実形態である、電解研磨の処理の工程を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係るステンレスタンク用電解研磨装置について詳述する。
<ステンレスタンク用電解研磨装置>
図1を参照すると、本実施形態に係るステンレスタンク用電解研磨装置(1)は、電解槽(2)と、電極体(3)と、搬送用クレーン(4)と、タンク反転機(5)と、を備える。
図1、図2、および図6を参照すると、本実施形態に係る電解槽(2)は、少なくとも電解研磨対象であるステンレスタンク(ST)の直径の半分の深さと奥行きとを有し、電解研磨対象であるステンレスタンクの高さに相当する横幅を有し、電解研磨対象であるステンレスタンクが入る大きさを有する。ここで図2(a)は電解槽(2)を上から見た平面図であって、図2(b)、図2(c)は側面図である。
また電解槽(2)は、電解槽(2)内に貯留された電解研磨液(28)の液面高さを感知する液面センサー(29)、電解研磨液(28)の温度を感知する温度センサー(30)、電解槽(2)内でステンレスタンク(ST)を電解研磨する際に、ステンレスタンク(ST)の浸漬電解液液面を安定させるオーバーフロー機能、処理を効率化する循環器(10)を有する。また、電解槽(2)は、電解槽(2)内に貯留された電解研磨液(28)を排出する排出用フランジを有する。
本実施形態では、オーバーフロー機能として、電解槽(2)が上段(6)と下段(7)とに分かれた2層構造となっている。下段(7)は上面の開口した槽状に形成され、上段(6)は下段(7)の開口近傍を取り囲むように形成されている。上段(6)には、下段(7)からあふれ出た電解研磨液(28)を漏出させる漏出孔(9)が形成されている。
下段(7)の開口部を超える量の電解研磨液(28)が電解槽(2)に入れられると、電解研磨液(28)が下段開口部からあふれ出し上段(6)に貯留され、その後漏出孔(9)から漏出される。
上段(6)の漏出孔(9)から漏出された電解研磨液(28)は、循環器(10)であるポンプにより吸引されて下段(7)に送られる。これにより電解研磨液(28)は循環できるように構成されている。
オーバーフロー機能の構成はこれに限定されず、漏出孔(9)が電解槽(2)の内側側面に設けられた構成などであってもよい。
ヒーター(8)は、電解研磨液(28)を60℃から90℃に加熱する。
電解研磨液(28)が60℃未満の場合、その弊害として、光沢が無くなる、表面が白っぽくなる、表面がざらつくなどがある。90℃を超えた場合の弊害として、90℃の場合、60℃の場合の約10分と比較して短い約3分で電解研磨が終わるところ、その時間が短すぎるため研磨した面の状態が安定せず、また電解研磨液(28)が非透明のため途中確認も難しく、対応する電力分のコストが増加するなどの弊害があり、ヒーター(8)により電解研磨液(28)を60℃から90℃に加熱することによって、これらの弊害を回避することができる。
また電解槽(2)または電極体(3)は、電解研磨対象であるステンレスタンク(ST)の位置を固定する位置決め治具としての把持部(27)を有していてもよい。
ステンレスタンク用電解研磨装置(1)は、ステンレスタンク(ST)に電圧を加えるための直流の電源である整流器などの電源をさらに備え、電源は、電解研磨対象であるステンレスタンク(ST)および電極体(3)とプラグボックスなどを介して接続されている。
図3を参照すると、本実施形態に係る電極体(3)は、陽極(11)と陰極(12)とを有する。陽極(11)と陰極(12)のうち、一方は複数の電極支柱(13)を梁のように組み立てることで形成される。複数の電極支柱(13)の材質は、無酸素銅などが用いられる。他方の電極は、ステンレスタンク(ST)に取り付けられるクランプなどである。本実施形態では、電極支柱(13)が陽極(11)で、ステンレスタンク(ST)の脚部に取り付けられる方が陰極(12)となっている。ここで図3(a)はステンレスタンク(ST)の縦断面図であり、図3(b)は図3(a)におけるステンレスタンク(ST)の横断面を矢印BB方向に見た断面図である。
図3(a)に示すように、複数の電極支柱(13)のそれぞれには、ジョイント金具(USU3t)(14)を取り付けるための取付孔(15)が形成されており、複数の電極支柱(13)は取付孔(15)にジョイント金具(14)を介してボルト固定することにより組み立てられる。電極支柱(13)の数や斜め配置される電極支柱(13)の角度は、電解研磨対象となるステンレスタンク(ST)の形状や重量に合わせて変更可能に構成される。陽極(11)は、複数の電極支柱(13)を梁のように組み立て、その外面に電極板(17)を張ることでテントのようにして組み立てられる。電極支柱(13)に剛性が必要な場合は、補強材(16)を用いることもできる。補強材(16)は、電極支柱(13)の形状に合わせた形状で、電極支柱(13)、ジョイント金具(14)との接続部分の合成を補強する。
複数の電極支柱(13)を組み立てて形成されることにより、ステンレスタンク(ST)のそれぞれの形状や大きさに合わせて組み立てを変更することができるため、本願発明に係るステンレスタンク用電解研磨装置(1)は、様々な形状や大きさのステンレスタンクを電解研磨することができる。
組み立てられた電極支柱(13)には、外面に電極板(17)が張り付けられる。電極板(17)には均一の間隔で孔をあけたパンチングメタルが用いられる。電極板(17)には鍵穴加工がされた係止孔(18)が形成されており、電極板(17)の電極支柱(13)に対する取付には、共回り防止ボルト(19)が用いられる。共回り防止ボルト(19)を使用しているため、大型のステンレスタンク(ST)の中に作業者が入って陽極(11)を組み立てる場合であっても、電極板(17)を鍵穴加工がされた係止孔(18)で共回り防止ボルト(19)に掛け、電極板(17)の内側からナットを占めることができるため、電極板(17)を電極支柱(13)に取り付ける作業が容易になる。
下面配置の電極板(17)の重量の一例を例示するとその合計は9.5kg+2.6kgの合計12.1kgである。側面配置の電極板8枚の重量の合計は18.7kg×0.77kgの合計14.4kgである例が例示される。
図3(b)に示すように電極支柱(13)は、ステンレスタンク(ST)の内側の半分側にのみ組み立てられ、タンクの内面の形状に合わせて、四角錐形状と四角柱形状とを組み合わせた形状に形成される。
陰極(12)は、小さい万力のようなクランプ形状で、ステンレスタンク(ST)の脚部などを挟んで取り付けられる。
図4を参照すると、本実施形態に係る搬送用クレーン(4)は、タンク吊り上げ用の治具(20)を有する。治具(20)としては、電解研磨対象であるステンレスタンク(ST)を吊り上げて上昇、および吊り下げて下降する際に使用される。搬送用クレーン(4)は、工場側ホイストにより操作され、装置の動作方法はワイヤー吊り式が望ましい。
図5を参照すると、本実施形態に係るタンク反転機(5)は、ウォームギアとウォームホイールとが収納された、ギアボックス(21)を有する。ウォームギアはウォームギア軸を有し、ウォームホイールはウォームホイール軸を有する。ウォームホイール軸にはハンドルが接続されており、ウォームギア軸にはタンク反転機(5)のシャフトが接続されている。ハンドルを回転させると、ハンドルに接続されたウォームホイール軸を介してウォームホイールが回転する。ウォームギア軸が回転することにより、シャフトが回転してタンク反転機(5)に載置されたステンレスタンク(ST)が反転する。
ステンレスタンク(ST)を上下逆にするときの手順は、ステンレスタンク(ST)をタンク反転機(5)にセットし、ハンドルを例えば「右」に回す。ステンレスタンク(ST)が横向きになる。搬送用クレーン(4)でステンレスタンク(ST)を少し吊り上げ、水平方向位に回転させて頭の向きを入れ替え、タンク反転機(5)に再セットする。ハンドルを「左」に回す。これによりステンレスタンク(ST)が上下逆になる。
図1、および図6を参照すると、本実施形態に係るステンレスタンク用電解研磨装置(1)においては、電解研磨対象となるステンレスタンク(ST)が、電解研磨液(28)を貯留した電解槽(2)に横向きに載置される。電解研磨液(28)は、ステンレスタンク(ST)を電解研磨液(28)に浸漬した際に液面がステンレスタンク(ST)の少なくとも半分を浸すように設定されている。電解研磨液(28)が電解槽(2)に下段(7)の容量以上に入れられた場合、電解研磨液(28)は下段(7)の開口からあふれ出すため、電解槽(2)内の液面が下段(7)の開口以上に上がることは無い。当該構成によって、電解研磨液(28)の液面を安定させることができる。
電解研磨液(28)の移送には電動ケミカルハンドポンプが用いられ、電解研磨液(28)の充填や排出が行われる。初回液建ての投入の順番は、リン酸、硫酸、クロム酸水溶液となる。
本実施形態で用いられる電解研磨液(28)の組成は、組成物質のそれぞれの濃度がおおよそ、リン酸60wt%、硫酸22wt%、クロム酸1.5wt%である。当該組成の電解研磨液(28)を使用することにより、他の組成の電解研磨液(28)と比べて仕上がりが良い。
充填の方法は、電解研磨液(28)の持ち出しにより、液面高さ900mmを下回る場合、アラームを発報する。オフラインで混合済みの電解研磨液(28)(新液)を上記同様に電動ハンドポンプで投入する。電解研磨液(28)の排出は、タンク底の排出用フランジに接続した配管などを介して、屋外設備の貯水タンクに貯蔵した後に回収し、外部に産業廃棄物として処理される。
また、図1に示すように、ステンレスタンク用電解研磨装置(1)は、純水オーバーフロー洗浄槽(22)をさらに備えていてもよい。純水オーバーフロー洗浄槽(22)は、純水用配管(23)を有しており、純水用配管(23)を介して、純水洗浄終了後の純水を他の場所へ送水し、再利用することができる。純水オーバーフロー洗浄槽(22)で用いられた純水をアルカリ脱脂液の洗浄や、電解研磨後の電解研磨液(28)の洗浄などに再利用することができる。使用済みの純水を再利用することにより、純水に必要な費用を減少させることができる。
また、ステンレスタンク用電解研磨装置(1)は、アルカリ脱脂槽(24)をさらに備えていてもよい。アルカリ脱脂槽(24)は、ポンプとヒーターとを有しており、アルカリ液を一定温度に維持することなどができる。搬送用クレーン(4)によりステンレスタンク(ST)を搬送できるため電解処理工程におけるアルカリ脱脂槽(24)は1台で処理できる。
また、ステンレスタンク用電解研磨装置(1)は、電極体(3)の組み立てに用いられる治具組撤去台(26)、昇降機(25)をさらに備えていてもよい。昇降機(25)によりステンレスタンク(ST)を上昇させ、作業者が治具組撤去台(26)においてステンレスタンク(ST)内に入って電極体(3)の組み立てや取り外しを容易に行うことができる。
<電解研磨の原理>
図6、および図7に示すように、電解研磨の原理は、以下の通りである。図7(a)に示すようにまずステンレスタンク(ST)に電極体(3)の陽極(11)と陰極(12)とを設置して、電極体(3)を電源となる整流器などに接続すると、電解研磨液(28)を通じてステンレスタンク(ST)に電流が流れる。図7(b)、および図7(c)に示すように通電して数秒後に厚さ10μm程度の初期酸化物(31)が形成される。初期酸化物(31)は電解研磨液(28)に比べて電気抵抗が十分大きい。そのため、電解研磨液(28)の抵抗は無視されて、あたかもカソードが初期酸化物(31)の直近まで近づいたのと電気的に等価になる。したがって、電流は初期酸化物(31)の薄い部分により多くの電流が流れステンレスが早く流出する、それに比べ初期酸化物(31)の厚い部分の電流は少ないので溶出速度は遅い。
溶出速度の違いにより、ステンレスの表面は次第に平坦化する。この時鉄とクロムではわずかに鉄の方が溶出速度が速いので、ステンレス表面では鉄が優先的に溶出する。その結果クロムが濃縮する。
図7(d)に示すようにステンレスタンク(ST)の表面は強固な不動態皮膜(32)を形成する。不動態皮膜(32)はステンレスに比して非常に電気抵抗が大きいので不動態皮膜(32)の薄い部分に優先的に電流が流れ、その結果、薄い不動態皮膜(32)の部分が厚みを増し、結果として不動態皮膜(32)の厚さが均一になる。陽極では酸化と還元が同時に起こっていると考えられる。
<電解研磨処理工程>
図1、図6、および図8を参照し、電解研磨の処理の工程を以下に説明する。本実施形態に係る電解研磨処理工程においては、ステンレスタンク(ST)を治具組撤去台(26)の近傍などで水洗した後、まず均一な電解研磨をするため、アルカリ脱脂槽(24)において、アルカリ脱脂液で表面の油脂を脱脂する。脱脂が終了すると、アルカリ脱脂液の洗浄をするために水洗をする。搬送用クレーン(4)とタンク反転機(5)によりステンレスタンク(ST)を上下反転させる。ステンレスタンク(ST)を治具組撤去台(26)へ移載し、昇降機(25)で上昇させて、電極体(3)である治具を設置する治具組み(1回目、電極治具設置1)を行う。ステンレスタンク(ST)を電解槽(2)に投入するため、タンク反転機(5)により、ステンレスタンク(ST)を90度反転させて、横向きにする。電極体(3)をステンレスタンク(ST)に接続するプラグセットを行う。ステンレスタンク(ST)を搬送用クレーン(4)により下降させ、電解槽(2)内の電解研磨液(28)に半身浴させる。ステンレスタンク(ST)の半身などの内側の電解研磨(1回目)を行う。
ステンレスタンク(ST)を搬送用クレーン(4)により上昇させ、ステンレスタンク(ST)に接続されていた電極を取り外すプラグリリースを行う。ステンレスタンク(ST)を搬送用クレーン(4)で吊り上げた状態で静置して、ステンレスタンク内にたまった電解研磨液(28)を電解槽(2)に戻す。タンク反転機(5)により、ステンレスタンク(ST)を90度反転させて縦向きにする。搬送用クレーン(4)でステンレスタンク(ST)を少し吊り上げ、水平方向位に180度回転させる。電解研磨液(28)の洗浄をするために水洗をする。ステンレスタンク(ST)を乾燥させるために、エアーブローを行う。ステンレスタンク(ST)を、治具組撤去台(26)へ移載して、電極体(3)を外す(1回目)を行う。電解研磨液(28)に半身浴をさせた半身部分近傍、すなわち電解研磨液(28)の液面があった場所にマスキングを行い、1回目と2回目とで電解研磨処理が重複することを防止し、電解研磨のむらなどが発生することを防止する。





















ステンレスタンク(ST)を治具組撤去台(26)へ移載し、昇降機(25)で上昇させて、電極体(3)である治具を反対側に設置する、治具組み(2回目、電極治具設置2(反対側))を行う。タンク反転機(5)により、ステンレスタンク(ST)を90度反転させ、横向きにする。ステンレスタンクに電極を接続するプラグセットを行う。ステンレスタンク(ST)を搬送用クレーン(4)により下降させ、電解槽(2)内の電解研磨液(28)に半身浴させる。ステンレスタンクの半身などの内側の電解研磨(2回目)を行う。
ステンレスタンク(ST)を搬送用クレーン(4)により上昇させ、ステンレスタンク(ST)に接続されていた電極を取り外すプラグリリースを行う。ステンレスタンク(ST)を搬送用クレーン(4)で吊り上げた状態で静置して、ステンレスタンク(ST)内にたまった電解研磨液(28)を電解槽(2)に戻す。タンク反転機(5)により、ステンレスタンク(ST)を90度反転させて縦向きにする。電解研磨液(28)を洗浄するために水洗をする。ステンレスタンク(ST)を乾燥させるためにエアーブローを行う。治具組撤去台(26)へ移載して、昇降機(25)で上昇させて、ステンレスタンク(ST)から電極体(3)を外す(2回目)。目視検査を行い、後処理工程へと移る。搬送用クレーン(4)とタンク反転機(5)により、ステンレスタンク(ST)を上下反転させる。ステンレスタンク(ST)を高圧ジェット洗浄する。ステンレスタンク(ST)を乾燥させるためにエアーブローを行う。
大型のステンレスタンク(ST)であっても、搬送用クレーン(4)により電解槽(2)、タンク反転機(5)、および治具組撤去台(26)との間で搬送することができる。また、タンク反転機(5)、昇降機(25)、および治具組撤去台(26)を使用してステンレスタンク(ST)の半分ずつのみに電極体(3)を組み立てることができるため、限られたスペースであっても、大型のステンレスタンク(ST)を少ない電解研磨液(28)で電解研磨面の安定した電解研磨を行うことができる。また本実施形態に係るステンレスタンク用電解研磨装置(1)における各構成や条件などは、本実施形態に限定されず、当業者には自明の範囲で種々の変形、修正、変更を行うことが可能である。
<電解研磨の各研磨条件(例えば電圧や処理時間等)>
本実施形態における電解研磨の各研磨条件は以下の通りである。電解研磨における電力は、8000Aの整流器を2台用い、合計16000Aの電流を使用し、当該電流の電流密度は、約30A/cmである。
<電解研磨処理工程の詳細>
本実施形態の電解研磨処理工程における各処理工程の詳細は以下の通りである。アルカリ洗浄工程における、洗浄では60℃の温水が用いられ、電解研磨の対象であるステンレスタンク(ST)をアルカリ洗浄する際は、備え付けの作業ステップ上に作業員が上り、ハンドシャワーを用いて洗浄する。搬送用クレーン(4)でステンレスタンク(ST)を吊る際、長さ違いのワイヤーを使用し傾斜をつけ、電解研磨後の電解研磨液(28)がタンクへ戻るようにする。脱脂は循環ポンプが用いられ、液飛散防止蓋がある。メンテナンスエリアでは、コンプレッサー7.5kwが用いられる。
本発明に係るステンレスタンク用電解研磨装置は、大型のステンレス製のタンクを電解研磨するに適するステンレスタンク用電解研磨装置を提供することができ、本発明に係るステンレスタンク用電解研磨装置は、大型のタンクであっても、少ない電解研磨液、および少ない電力量で全体の電解研磨をすることに大いに寄与することができる。
1 ステンレスタンク用電解研磨装置
2 電解槽
3 電極体
4 搬送用クレーン
5 タンク反転機
6 上段
7 下段
8 ヒーター
9 漏出孔
10 循環器
11 陽極
12 陰極
13 電極支柱
14 ジョイント金具
15 取付孔
16 補強材
17 電極板
18 係止孔
19 共回り防止ボルト
20 治具
21 ギアボックス
22 純水オーバーフロー洗浄槽
23 純水用配管
24 アルカリ脱脂槽
25 昇降機
26 治具組撤去台
27 把持部
28 電解研磨液
29 液面センサー
30 温度センサー
31 初期酸化物
32 不動態皮膜
ST ステンレスタンク

Claims (4)

  1. 電解槽と、
    陽極と陰極と、を有する電極体と、
    電解研磨対象であるステンレスタンクを吊り上げて搬送をし、前記ステンレスタンクを吊り上げ、前記ステンレスタンクの向きを水平方向に180度回転させることができる搬送用クレーンと、
    前記ステンレスタンクを90度回転させるタンク反転機と
    を備え、
    前記タンク反転機は、前記電解槽の近傍に設置され、
    前記搬送用クレーンは、前記電解槽と前記タンク反転機との間で前記ステンレスタンクを搬送できる位置に設置され、
    前記電解槽は、上面が開口し、前記電解槽内の電解研磨液に前記ステンレスタンクの少なくとも半分を浸漬できるように形成された、ステンレスタンク用電解研磨装置。
  2. 前記電極体は、前記ステンレスタンクを把持する把持部を有する、請求項1に記載のステンレスタンク用電解研磨装置。
  3. 前記電解槽は、内側の側部に、電解研磨液を一定量から漏出させる漏出孔が設けられている、請求項1に記載のステンレスタンク用電解研磨装置。
  4. 請求項1乃至3に記載の、ステンレスタンク用電解研磨装置を用いた、タンクの電解研磨方法であって、
    (1)前記タンク反転機を用いて、前記ステンレスタンクを90度回転させる工程と、
    (2)前記工程(1)の後、前記搬送用クレーンを用いて、前記ステンレスタンクを前記タンク反転機から前記電解槽へ搬送し、前記電解槽に入れる工程と、
    (3)前記工程(2)の後、前記ステンレスタンクの少なくとも半分を電解研磨する工程と、
    (4)前記工程(3)の後、前記搬送用クレーンを用いて、前記ステンレスタンクを前記電解槽から前記タンク反転機へ搬送する工程と、
    (5)前記工程(4)の後、前記タンク反転機を用いて、前記ステンレスタンクを90度回転させる工程と、
    (6)前記工程(5)の後、前記搬送用クレーンによってステンレスタンクを吊り上げ、180度水平方向位に回転させる工程と、
    (7)前記工程(6)の後、前記タンク反転機を用いて、前記ステンレスタンクを90度回転させる工程と、
    )前記工程()の後、前記搬送用クレーンを用いて、前記ステンレスタンクを前記タンク反転機から前記電解槽へ搬送し、前記ステンレスタンクを前記電解槽に入れる工程と、
    )前記工程()の後、前記ステンレスタンクの少なくとも半分を電解研磨する工程と、を含んでなる、ステンレスタンクの電解研磨方法。
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