JP7471183B2 - 集水構造及び集水構造の施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、集水構造及び集水構造の施工方法に関する。
特許文献1には、液状化地盤に構築される構造物を対象とする液状化被害低減構造に関する技術が開示されている。この先行技術では、構造物の下方の液状化地盤中に水平ドレーンを設けるとともに構造物の周囲の液状化地盤中に鉛直ドレーンを設けてそれに水平ドレーンの両端部を接続し、構造物の下方の液状化地盤が液状化した際に過剰間隙水を水平ドレーンおよび鉛直ドレーンを通して地表部に排水するための排水ゾーンを形成している。
特許文献2には、地下水揚水設備の閉塞防止方法及び装置並びに閉塞防止型地下水揚水設備に関する技術が開示されている。この先行技術では、地下水を継続的に揚水する揚水設備の揚水井内に地下水位近傍に至る送気管を設け、送気管を介して揚水井内の地下水上部空間に低反応性ガスを充填し、上部空間からの低反応性ガスの漏洩速度に応じた流量で低反応性ガスを継続的に補給して地下水成分の酸化を抑制している。
特許文献3には、砂地盤などの液状化のおそれのある地盤上に建つ既設構造物の沈下および不同沈下を抑制する目的でなされる地盤改良工法に関する技術が開示されている。この先行技術では、複数のボーリング孔を構造物周辺の地上から構造物の直近まで、さらに構造物の直下に至るまで連続して削孔する。また、ボーリング孔を横方向に所定間隔おきにかつ二段に削孔する。さらに、地上から構造物の直近までを弧状に、それより先の構造物直下においては水平にそれぞれ削孔する。そして、上段側のボーリング孔から固化材を注入しつつ、他方のボーリング孔から吸引する。
特許5822200号公報 特開2006-104714号公報 特許3841679号公報
建物内部への地下水の浸水を抑制又は防止するために、建物の底部の底面に沿って横方向に集水管を設け、地下水を集水する工事を施工することがある。しかし、建物に隣接して別の建物が構築されている場合や建物に隣接する敷地が別の所有者である場合等では、集水管の両端部に集水した地下水を排水するための鉛直ドレーンを配置することができない場合がある。
本発明は、上記事実を鑑み、建物の底部の底面に沿って横方向に延びる集水管の両端部に鉛直ドレーンを配置することなく、地下水を集水管で集水することが目的である。
第一態様は、地下水を排水するための排水設備を備えた立坑と、前記立坑から建物の底部の下に延び、地下水を前記立坑へ流すカルバートと、前記カルバートから前記建物の底部の底面に沿って横方向に延び、地下水を前記カルバートに集水する複数の第一集水管と、を備えた集水構造である。
第一態様の集水構造では、地下水を排水するための排水設備を備えた立坑から建物の底部の下にカルバートが設けられている。また、カルバートから建物の底部の底面に沿って横方向に延びる複数の集水管が設けられている。そして、集水管からカルバートに地下水を集水し、カルバートから地下水が立坑に流れ、排水設備で地下水が排水される。したがって、建物の底部の底面に沿って横方向に延びる集水管の両端部に鉛直ドレーンを配置することなく、地下水が集水管で集水される。
第二態様は、前記カルバートが、前記建物に隣接すると共に前記建物の底面よりも上側に底面を有する付属建物との隣接部に沿って延び、前記カルバートから前記建物の下部側面に沿って縦方向に延び、地下水を前記カルバートに集水する複数の第二集水管が構築されている、第一態様に記載の集水構造である。
第二態様の集水構造では、付属建物との隣接部にカルバートから建物の底部下端部の側面に沿って縦方向に延びる複数の第二集水管によって、付属建物との隣接部の地下水がカルバートに集水される。
第三態様は、地下水を排水するための立坑を構築する工程と、前記立坑から建物の底部の下に延び、地下水を前記立坑へ流すカルバートを構築する工程と、前記カルバートから前記建物の底部の底面に沿って横平方向に延び、地下水を前記カルバートに集水する複数の第一集水管を構築する工程と、前記立坑に地下水を排水するための排水設備を設ける工程と、を備えた集水構造の施工方法である。
第三態様の集水構造の施工方法では、集水管からカルバートに地下水を集水し、カルバートから地下水が立坑に流れ、排水設備で地下水が排水さされる。したがって、建物の底部の底面に沿って横方向に延びる集水管の両端部に鉛直ドレーンを配置することなく、地下水が集水管で集水される。
なお、排水設備を設ける工程は、立坑が構築された後であれば、いつ行ってもよい。例えば、第一集水管を構築する工程よりも前に行ってもよいし、同時並行で行ってもよい。
第四態様は、前記カルバートを、前記建物に隣接すると共に前記建物の底面よりも上側に底面を有する付属建物との隣接部に沿って延び、前記カルバートから前記建物の下部側面に沿って縦方向に延び、地下水を前記カルバートに集水する複数の第二集水管を構築する工程を備えた、第三態様に記載の集水構造の施工方法である。
第四態様の集水構造の施工方法では、付属建物との隣接部にカルバートから建物の下部側面に沿って縦方向に延びる複数の第二集水管によって、付属建物との隣接部の地下水がカルバートに集水される。
本発明によれば、建物の底部の底面に沿って横方向に延びる集水管の両端部に鉛直ドレーンを配置することなく、地下水を集水管で集水することができる。
集水構造の平面図である。 図1の2-2線に沿った縦断面図である。 図1の3-3線に沿った縦断面図である。 集水構造の要部の斜視図である。
<実施形態>
本実施形態の集水構造について説明する。なお、水平方向の直交する二方向をX方向及びY方向とし、それぞれ矢印X及び矢印Yで示す。また、X方向及びY方向と直交する鉛直方向をZ方向とし、矢印Zで示す。
図1、図2及び図3に示す建物10は、地盤Gに構築されている。また、この建物10には、隣接して第一付属建物52(図2も参照)及び第二付属建物54(図3も参照)が構築されている。
図1に示すように、本実施形態における建物10は、平面視矩形状とされ、第一側壁部11、第二側壁部12、第三側壁部13及び第四側壁部14を有する構造とされている。前述した第一付属建物52は建物10の第一側壁部11に隣接して構築され(図2も参照)、第二付属建物54は建物10の第二側壁部12に隣接して構築されている(図3も参照)。
なお、本実施形態では、第一付属建物52及び第二付属建物54は、それぞれ建物10の第一側壁部11及び第二側壁部12に対して、図示されていないエクスパンションジョイントで接続されているが、これに限定されるものではない。
また、本実施形態では、第一付属建物52及び第二付属建物54は、それぞれ建物10の第一側壁部11及び第二側壁部12に対して、間隔をあけて構築されているが、これに限定されるものではない。第一付属建物52及び第二付属建物54は、それぞれ建物10の第一側壁部11及び第二側壁部12に対して、一部又は全面が接触又は接続していてもよい。
図2及び図3に示すように、建物10は地下部分を有している。本実施形態では、建物10の地下部分の基礎スラブが底部20である。図2に示すように第一付属建物52は地下部分を有し、地下部分の基礎スラブが底部53である。同様に図3に示すように第二付属建物54は地下部分を有し、地下部分の基礎スラブが底部55である。なお、図2及び図3に示すKは、地下水の水位である。
図2に示すように第一付属建物52の底部53の底面53Aは、建物10の底部20の底面20Aよりも上方に位置している。同様に、図3に示すように第二付属建物54の底部55の底面55Aは、建物10の底部20の底面20Aよりも上方に位置している。
これらの底部の段差部分をそれぞれ第一段差部22(図2参照)及び第二段差部24(図3参照)とする。また、図2に示す第一側壁部11の第一段差部22部分を第一地下外壁11Aとする。同様に、図3に示す第二側壁部12の第二段差部24部分を第二地下外壁12Aとする。
図1、図2、図3及び図4に示すように、本実施形態の集水構造100は、立坑110、カルバート102、第一集水管150、第一側壁側第二集水管160(図1及び図2参照)及び第二側壁側第二集水管170を含んで構成されている。カルバート102は、第一カルバート120と第二カルバート130とで構成され、平面視でL字状を成している。
図1及び図3に示すように、立坑110は、建物10の第四側壁部14の外側且つ第一付属建物52の外側で寄り付き可能な場所に設けられている。立坑110は、地下水(図3及び図4参照)を地上に排水するための排水設備112を備えている。
図1、図2、図3及び図4に示すように、第一カルバート120は、平面視において、建物10の第一側壁部11と第一付属建物52の境界部分の下を立坑110の下端部114(図3参照)から底部20の底面22Aに沿ってX方向に延びている。第一カルバート120の先端部分122は、第一付属建物52の端部まで到達している(図1参照)。
第二カルバート130は、建物10の第二側壁部12と第二付属建物54の境界部分の下を第一カルバート120の側壁部128(図4参照)から底部20の底面20Aに沿ってY方向に延びている。第二カルバート130の先端部分132は、第二付属建物54の端部まで到達している(図1参照)。
図3に示すように、本実施形態では、第一カルバート120及び第二カルバート130は、断面が略矩形状のボックスカルバートで構成されている。また、第二カルバート130は、第一カルバート120よりも断面が小さい。第一カルバート120及び第二カルバート130の底面部124、134は幅方向の中央部に向かって傾斜し、この中央部には溝部126、136が形成されている。
図1及び図2、図3及び図4に示すように、第一集水管150は、第二カルバート130の側壁部138(図1、図3及び図4参照)から建物10の底部20の底面20A(図1~図3参照)に沿ってX向に延びている。第一集水管150は、Y方向に沿って間隔をあけて複数設けられている(図1、図2及び図4参照)。別の観点から説明すると、第一集水管150は、建物10の底部20全体の下に敷設されている(図1参照)。
図1及び図2に示すように、第一側壁側第二集水管160は、第一カルバート120の天井部129(図2参照)から第一地下外壁11A(図2参照)に沿ってZ方向に延びている。第一側壁側第二集水管160は、X方向に沿って複数設けられている(図1参照)。
図1及び図3に示すように、第二側壁側第二集水管170は、第二カルバート130の天井部139(図3参照)から第二地下外壁12A(図3参照)に沿ってZ方向に延びている。第二側壁側第二集水管170は、Y方向に沿って複数設けられている(図1参照)。
図1に示す第一集水管150、第一側壁側第二集水管160及び第二側壁側第二集水管170は、本実施形態では、いずれも外周に複数の孔202(図4参照)が形成された鋼管200(図4参照)で構成されている。
なお、本実施形態では、建物10の第三側壁部13及び第四側壁部14に沿ってZ方向に延びる第三集水管210が設けられているが、これに限定されるものではない。
(施工方法)
次に、本実施形態の集水構造100の施工方法に一例について説明する。
まず、建物10の第四側壁部14の外側且つ第一付属建物52の外側で寄り付き可能な場所に立坑110を設ける。
次に、建物10の第一側壁部11と第一付属建物52の境界部分の下を立坑110の下端部114から底部20の底面20Aに沿ってX方向に推進して第一カルバート120を設ける。
次に、建物10の第二側壁部12と第二付属建物54の境界部分の下を第一カルバート120から底部20の底面20Aに沿ってY方向に推進して第二カルバート130を設ける。
なお、本実施形態では、第一カルバート120及び第二カルバート130は、SFT工法で施工しているが、これに限定されるものではない。
第二カルバート130の側壁部138から建物10の底部20の底面20Aに沿ってX方向にボーリングを行って第一集水管150を敷設する。
また、第一側壁側第二集水管160を第一カルバート120の天井部129から第一地下外壁11Aに沿ってZ方向に敷設する。また、第二側壁側第二集水管170を第二カルバート130の天井部139から第二地下外壁12Aに沿ってZ方向に敷設する。
そして、立坑10に、地下水を地上に排水するための排水設備112を設ける。
なお、上記施工手順は一例であってこれに限定されるものではない。例えば、排水設備112は、立坑110を設けた後であれば、いつでも施工することができる。また、第一側壁側第二集水管160は第一カルバート120を設けた後であれば、いつでも施工することができ、第二側壁側第二集水管170は第二カルバート130を設けた後であれば、いつでも施工することができる。
<作用及び効果>
次に本実施形態の作用及び効果について説明する。
第一集水管150で集水された地下水は、第二カルバート130に集水される。第一側壁側第二集水管160で集水された地下水は、第一カルバート120に集水される。
このように、建物10の底部20の下の第一集水管150で地下水を集水することで、底部20に発生した亀裂等から建物10の内部への地下水の浸水が抑制又は防止される。
よって、建物10の底部20の底面20Aに沿って横方向に延びる第一集水管150の両端部に鉛直ドレーンを配置することなく、地下水を集水して地上に排水することができる。
また、第二側壁側第二集水管170で集水された地下水は、第二カルバート130に集水される。第二カルバート130の地下水は、第一カルバート120に流れる。第一カルバート120の地下水は、立坑110に向かって流れ、排水設備112で地上に排水される。
このように、第一カルバート120及び第二カルバート130を建物10と隣接する第一付属建物52及び第二付属建物54との境界部分の下に設ける。そして、第一カルバート120及び第二カルバート130から第一側壁側第二集水管160及び第二側壁側第二集水管170を縦方向に敷設することで、第一地下外壁11A及び第二地下外壁12Aの周囲の地下水を集水し、地上に排水することができる。
よって、第一側壁側第二集水管160で地下水を集水することで、第一地下外壁11Aに発生した亀裂等から建物10の内部への地下水の浸水が抑制又は防止される。同様に、第二側壁側第二集水管170で地下水を集水することで、第二地下外壁12Aに発生した亀裂等から建物10の内部への地下水の浸水が抑制又は防止される。
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態では、第一集水管150は、第二カルバート130からX方向に沿って設けられていたが、これに限定されない。第一集水管150は、第一カルバート120からY方向に沿って設けられていてもよい。
また、例えば、上記実施形態では、第一カルバート120及び第二カルバート130は、断面が略矩形状のボックスカルバートで構成されていたが、これに限定されない。第一カルバート120及び第二カルバート130は、例えば断面が円筒状であってもよい。
また、例えば、上記実施形態では、第一付属建物52と第二付属建物54との間には、隙間が形成されているが、これに限定されるものではない。第一付属建物52と第二付属建物54とは、接触していてもよい。或いは、第一付属建物52と第二付属建物54とは一体的に構成、つまり平面視L字状の一つの建物であってもよい。
また、例えば、上記実施形態では、建物10の第一側壁部11に隣接して第一付属建物52が構築され、建物10の第二側壁部12に隣接して第二付属建物54が構築されているが、これに限定されない。
例えば、第一付属建物52のみが構築されていてもよい。なお、この場合、第一カルバート120のみを設け、第一集水管150は第一カルバート120からY方向に沿って設ければよい。
或いは、建物10の第三側壁部13に隣接して第三付属建物が構築されていてもよい。なお、この場合、建物10の第三側壁部13と第三付属建物との境界部分の下に第三カルバートを第二カルバート130から設けると共に段差部に第三壁側第二集水管を設ければよい。
また、建物10に離接して付属建物が構築されていなくてもよい。なお、この場合、第一カルバート120のみを設け、第一集水管150は第一カルバート120からY方向に沿って設ければよい。
また、上記実施形態では、集水した地下水を地上に排水したが、これに限定されない。集水した地下水を河川や海等に排水してもよい。
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
10 建物
11A 第一地下外壁(下部側面の一例)
12A 第二地下外壁(下部側面の一例)
20 底部
20A 底面
52 第一付属建物
53A 底面
54 第二付属建物
55A 底面
100 集水構造
102 カルバート
110 立坑
112 排水設備
150 第一集水管
160 第一側壁側第二集水管
170 第二側壁側第二集水管

Claims (4)

  1. 地下水を排水するための排水設備を備えた立坑と、
    前記立坑から建物の底部の下に延び、地下水を前記立坑へ流すカルバートと、
    前記カルバートから前記建物の底部の底面に沿って横方向に延び、地下水を前記カルバートに集水する複数の第一集水管と、
    を備えた集水構造。
  2. 前記カルバートが、前記建物に隣接すると共に前記建物の底面よりも上側に底面を有する付属建物との隣接部に沿って延び、
    前記カルバートから前記建物の下部側面に沿って縦方向に延び、地下水を前記カルバートに集水する複数の第二集水管が構築されている、
    請求項1に記載の集水構造。
  3. 地下水を排水するための立坑を構築する工程と、
    前記立坑から建物の底部の下に延び、地下水を前記立坑へ流すカルバートを構築する工程と、
    前記カルバートから前記建物の底部の底面に沿って横平方向に延び、地下水を前記カルバートに集水する複数の第一集水管を構築する工程と、
    前記立坑内に流れ込んだ地下水を、地上、河川及び海のいずれかに排水するための排水設備を設ける工程と、
    を備えた集水構造の施工方法。
  4. 前記カルバートを構築する工程は、前記建物に隣接すると共に前記建物の底面よりも上側に底面を有する付属建物との隣接部に沿って延びるように前記カルバートを構築するものであり
    前記カルバートから前記建物の下部側面に沿って縦方向に延び、地下水を前記カルバートに集水する複数の第二集水管を構築する工程をさらに備えた、
    請求項3に記載の集水構造の施工方法。
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