JP7470360B2 - 発光素子、ディスプレイ、照明装置 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化亜鉛を用いた発光素子、及びこれが用いられるディスプレイ、照明装置に関する。
従来より広く使用されている蛍光灯等を置換する発光素子として、より低消費電力でありより長寿命であるLED(半導体のpn接合を利用した発光ダイオード)を用いたものが使用されている。このようなLEDとして、化合物半導体(GaN等)の単結晶ウェハを用いて製造されるものがある。この場合には、非常に高い発光強度が得られるものの、大面積のものを得ることが困難である、高価である等の問題がある。
これに対して、特許文献1には、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とする微粒子(粉末)を用いて製造される発光素子が記載されている。ZnOは近紫外域の発光素子を構成する安価な化合物半導体として有望であるが、発光素子を形成するためにはn型層とp型層とを形成することが必要であるところ、一般的にはp型層を得ることが困難であった。これに対し、特許文献2に記載のガス中蒸発法によって窒素ドープされたp型のZnO微粒子を容易に得ることができる。特許文献1に記載の発光素子においては、このZnO微粒子を用いてp型層が形成される。このZnO微粒子を用いたp型層等は、塗布・印刷を用いて形成することができるため、安価で大面積の発光素子を得ることができる。
一方、一般的にはLEDは、材料によって定まる特定の波長にピークをもつ単色での発光をするのに対し、照明装置に用いる発光素子では、白色の連続光が必要であり、ディスプレイの光源となるような発光素子としては、異なる波長の複数種類の発光をすることが望まれる。一般的には、このためには、LEDが発する光を吸収してこれと異なる波長の光を発する蛍光体をこのLEDと組み合わせることが必要である。これに対し、上記のようなZnO微粒子を用いて形成された発光素子においては、特許文献3に記載されたように、ZnO微粒子の製造条件を調整してZnO微粒子の結晶欠陥等を調整することによって、ZnO微粒子からの発光スペクトルを調整することもできる。このため、この発光素子を用いて構造が単純で安価な照明装置やディスプレイを得ることも期待される。
特開2008-244387号公報 特開2005-60145号公報 国際公開WO2013/125719号
特許文献1、3に記載の構造の発光素子における発光強度は、特に照明装置やディスプレイに応用するに際しては不十分であった。また、カラーディスプレイにおいては、例えば予め定まった3種類の異なる波長の発光を同一基板上で行わせることが必要であるが、特許文献3に記載の発光素子においては、こうした発光を行わせることは容易ではなかった。このため、蛍光体を組み合わせて高強度の発光をさせることができる、ZnO微粒子を用いた安価な発光素子が望まれた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記の問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の発光素子は、基板上に、共に酸化亜鉛(ZnO)を含む第1導電型の半導体層と、第1導電型と逆の第2導電型の半導体層が上下方向で接するように積層されたpn接合層と、ZnOが発する光を吸収し当該光と異なるスペクトルの光を発する複数の蛍光体層と、を具備する発光素子であって、第1導電型の前記半導体層、第2導電型の前記半導体層のうちの一方の面内方向における互いに異なる複数の領域に接続された電極を複数具備し、前記一方の前記半導体層は、平均粒径が50nm~500nmの範囲のZnO微粒子が結合されて構成され、膜厚方向において、前記半導体層のうちの他方と上下方向における一方の側で当接し、動作の際に発光する発光層と、前記ZnO微粒子と絶縁性のバインダーとを含んで構成され、上下方向における前記発光層の他方の側で前記発光層と当接し、かつ複数の前記電極と当接し、前記発光層よりも抵抗率が高い素子分離層と、を具備し、複数の前記蛍光体層の各々は、複数の前記電極の各々と対応して形成されたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、前記基板上に第1導電型の前記半導体層、第2導電型の前記半導体層が順次形成され、第2導電型の前記半導体層が前記一方の前記半導体層とされ、前記蛍光体層の各々は、複数の前記領域と対応して複数の前記電極の各々の周囲を覆って形成されたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、ZnOが発する光と異なるスペクトルの光を発する蛍光体材料が前記領域毎に、第1導電型または第2導電型の前記半導体層に混合されたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、前記蛍光体材料が前記素子分離層に混合されたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、前記他方の前記半導体層も、ZnO微粒子を含んで構成されたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、前記基板上に第1導電型の前記半導体層、第2導電型の前記半導体層が順次形成され、第1導電型の前記半導体層が前記一方の前記半導体層とされ、前記基板は透明かつ絶縁性とされ、複数の前記電極は、前記基板上に形成されたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、前記他方の前記半導体層も、ZnO微粒子を含んで構成され、前記蛍光体材料が前記他方の前記半導体層に混合されたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、前記基板上に第1導電型の前記半導体層、第2導電型の前記半導体層が順次形成され、第2導電型の前記半導体層が前記一方の前記半導体層とされ、前記基板は透明とされ、前記第1導電型の前記半導体層と前記基板との間に透明導電膜が、前記第1導電型の前記半導体層と接するように形成されたことを特徴とする
本発明の発光素子は、透明な前記基板上に第1導電型の前記半導体層、第2導電型の前記半導体層が順次形成され、前記蛍光体層は、前記基板と第1導電型の前記半導体層の間において、第1導電型の前記半導体層と別体として形成されたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、第2導電型の前記半導体層が前記一方の前記半導体層とされ、第1導電型の前記半導体層と前記基板との間に透明導電膜が、前記第1導電型の前記半導体層と接するように設けられたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、第1導電型の前記半導体層が前記一方の前記半導体層とされ、複数の前記電極が、前記蛍光体層毎に前記蛍光体層上に形成され、かつ第1導電型の前記半導体層は前記電極の上に形成されたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、電源と複数の前記電極との間の電気的接続を切り替えるスイッチング素子が前記基板に形成されたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、銀を含んで構成された金属コアの表面が誘電体層でコーティングされて構成され、特定の波長の光の電界強度を局在表面プラズモン共鳴によって増強する金属微粒子が使用されたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、銀を含んで構成された金属コアの表面が誘電体層でコーティングされて構成され、ZnOが発する光の電界強度を局在表面プラズモン共鳴によって増強する金属微粒子が前記発光層に含有されたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、銀を含んで構成された金属コアの表面が誘電体層でコーティングされて構成され、前記蛍光体材料が発する光の電界強度を局在表面プラズモン共鳴によって増強する金属微粒子が前記素子分離層に含有されたことを特徴とする。
本発明の発光素子において、前記発光層は、第2導電型のZnO微粒子を主とした中に第1導電型のZnO微粒子が混在した複数の微粒子が凝集して構成され、前記発光層の厚さが5μm以上10μmの範囲とされたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、複数の前記蛍光体層が同一のスペクトルの発光をするように設定されたことを特徴とする。
本発明の発光素子は、複数の前記蛍光体層が一体化されて形成されたことを特徴とする。
本発明のディスプレイは、前記発光素子が用いられたことを特徴とする。
本発明の照明装置は、前記発光素子が用いられたことを特徴とする。
本発明は以上のように構成されているので、蛍光体を組み合わせて高強度の発光をさせることができる、ZnO微粒子を用いた安価な発光素子を得ることができる。
比較例となる従来の発光素子の断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る発光素子の断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る発光素子の断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る発光素子の断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る発光素子の断面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る発光素子の断面図である。 本発明の第6の実施の形態に係る発光素子の断面図である。 本発明の第7の実施の形態に係る発光素子の断面図である。 本発明の第8の実施の形態に係る発光素子の断面図である。 本発明の第10の実施の形態に係る発光素子の断面図である。 金属微粒子の構造を示す断面図である。 p型層への金属微粒子の添加の有無による発光強度の違いを測定した結果である。 本発明の第11の実施の形態に係る発光素子の原理を説明する図である。
本発明の実施の形態に係る発光素子においては、特許文献1、3に記載の発光素子と同様に、p型のZnO微粒子が発光層等を構成するために用いられる。このZnO微粒子は例えば特許文献2に記載のガス中蒸発法で容易に製造される。また、この発光素子は、主に照明装置やカラーディスプレイにおいて使用されるため、ZnOが発する波長380nm前後の近紫外光を吸収することによってZnOとは異なる波長の蛍光を発する蛍光体が用いられる。この蛍光体としては、白色発光するものや同時に複数の種類(3種類)のもの等が用いられる。
なお、本発明で用いられるp型のZnO微粒子は、平均粒径が50nm以上500nm以下のZnOである。このZnO微粒子の平均粒径は、JISZ8828に記載の方法で測定される。このZnO微粒子の平均粒径が50nm未満であると結晶表面が欠陥として働き発光特性が劣化し、500nmを超えると多結晶体になり粒子の内部に欠陥を含むようになり発光特性が悪化するためである。好ましくは、このZnO微粒子の平均粒径は100nm~500nmである。
また、本発明で用いられるp型のZnO微粒子は、窒素ドープされたZnO微粒子が好ましく、その場合は窒素濃度が1016cm-3以上1020cm-3以下である。窒素濃度を上記範囲とするのは、窒素濃度が1016cm-3未満であると、ホールの輸送が不十分となり、また、1020cm-3を超えると、欠陥を生成し発光特性が悪化するからである。
まず、比較例となる、従来の単色の発光をする発光素子について説明する。図1は、この発光素子190の構造を示す断面図である。ここでは、金属基板(基板)91上において、上側に向かってn型(第1導電型)の半導体層となるn型層92、p型(第2導電型)の半導体層となるp型層93が順次形成されている。n型層92におけるp型層93が形成されずに露出した部分にはn側電極(電極)94が、p型層93の表面の一部にはp側電極(電極)95がそれぞれ形成され、電源Bによってp側電極95に正側、n側電極94に負側となるように電圧が印加された場合に、n型層92、p型層93が発光する。この際、例えば鏡面加工されたAlを金属基板91とした場合には、下向きの発光を基板91で上側に向けて反射させ、この発光を図中上側に取り出すことができる。また、Alは熱伝導率が高いため、動作時における放熱を金属基板91を介して行わせることができる。n側電極94を構成する材料としては、AlやAu等、p側電極95を構成する材料としては、Au、Ni、Ptあるいは、これらの積層膜や合金等を用いることができ、特に上面側のp側電極95としては、光が透過しやすいように薄く、20nm~50nm程度の厚さのものを用いることができる。
n型層92としては、多結晶あるいは単結晶であるn型ZnOを用いることができる。n型ZnOは、例えばGaやAlをZnOにドープすることによって容易に形成することができ、その成膜はCVD法やマグネトロンスパッタリング法で行うことができる。そのキャリア濃度は1017cm-3~1020cm-3程度とされる。
また、前記の通り、特にp型層93としては、前記のようなp型のZnO微粒子(p型ZnO微粒子931)が凝集された微粒子層を用いることができる。p型層93は、例えば、(「p-Channel and n-Channel Thin-Film-Transistor Operation on Sprayed ZnO Nanoparticle Layers」、Daiki Itohara、Kazuto Shinohara、Toshiyuki Yoshida and Yasuhisa Fujita、Journal of Nanomaterials(2016年)、Vol.2016、Article ID.8219326、page.6)に記載されたような、スプレー法によって得ることができる。スプレー法においては、p型ZnO微粒子931からなる粉末と水とが均一に混合された分散液がスプレーで基板(上記の例ではn型層92が形成された金属基板91)に噴射された後に、熱処理が施される。ここでは、バインダーが用いられないために、p型ZnO微粒子931同士が高密度で焼成されて結合する。この場合においては、発光はn型層92及びp型層93で生じるため、発光スペクトルは主にZnOが発する近紫外域の光を主体とする。
カラーディスプレイにおいて要求されるような複数の波長の発光を得るためには、図1の構造におけるp型層93の上側に蛍光体を設ければよい。しかしながら、この発光素子190における上側への発光強度はこのような用途においては充分ではなかった。この原因としては、p側電極95による光の吸収以外に、p側電極95の存在自身によるp型層93内の発光の抑制(消光)があると考えられる。
このため、実施の形態に係る発光素子においては、(「酸化亜鉛ナノ粒子塗布型発光ダイオードにおけるホール輸送層の効果」、藤田恭久、Islam Mohammad Shafiqul、Lin Jie、吉田俊幸、第78回応用物理学会秋季学術講演会講演予稿集(2017年)、8a-PA4-3)に記載されたような、ホール輸送層を設けることによって発光層とp側電極とを離間させ、この消光の影響を低減している。この際、蛍光体層もこの構造に応じて発光素子内に設けることができる。この際、ホール輸送層等をp型ZnO微粒子931を用いて形成した場合には、ホール輸送層等を様々な構造とすることが容易である。ここで、以下の実施の形態に係る発光素子においては、上記のホール輸送層に対して面内方向で複数の電極が離間して形成され、この電極と接続された半導体層が、隣接する電極間で実質的に分離される。すなわち、このホール輸送層が素子分離層として機能する。また、後述するように、n型層も上記のp型層と同様に、ZnO微粒子を用いて形成することができる。このため、上記のような構造、すなわち電子輸送層を逆にn型層側においてのみ形成することもできる。すなわち、n型層を第1の半導体層、p型層を第2の半導体層としたpn接合層が形成される場合に、このような素子分離層をこのうちの一方の半導体層に設けることができる。以下に、このような構造の具体例について説明する。
(第1の実施の形態)
図2は、第1の実施の形態に係る発光素子10の断面図である。発光素子10において、金属基板(基板)11、n型(第1導電型)の半導体層となるn型層12、n側電極(電極)14については、前記の金属基板11、n型層92、n側電極94と同様である。ここで、前記の発光素子190における単層構造のp型層93の代わりに、p型発光層13A、ホール輸送層13Bが上側(一方の側)に向けて順次形成された2層構造とされた、p型(第2導電型)の半導体層かつZnO微粒子層であるp型層13が設けられている。3種類の発光に対応して、図中左側からp側第1電極(電極)15A、p側第2電極(電極)15B、p側第3電極(電極)15Cが、ホール輸送層13Bの表面において互いに離間して設けられている。p側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cは、それぞれが前記のp側電極95と同様に、20nm~50nm程度の厚さのAu、またはNi、Ptまたはそれらの積層膜で形成される。図中横方向におけるp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cの大きさ、間隔はそれぞれ0.5μm×0.5μm以上、0.5μm以上とされる。一般的に、pnダイオードにおける各半導体層(発光層)における発光領域は、pn接合界面から順バイアス時の少数キャリアの拡散長程度の範囲である。このため、電極がこの拡散長の範囲にある場合に電極による消光の影響が現れ、電極がこの拡散長よりも離れた箇所にある場合には、この消光の影響は表れない。ZnO微粒子を用いた半導体層におけるこの拡散長はキャリア密度や膜の構造、粒子径等に依存するが、p型発光層13A、ホール輸送層13Bの厚さは、共に1~4μm程度とされ、p型層13全体として、5μm以上が望ましい。ただし、厚い場合には素子抵抗が高くなるため、その厚さは効率(消費電力等)を考慮の上、適宜設定される。
また、ホール輸送層13Bの上には、p側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cをそれぞれ囲むように、第1蛍光体層(蛍光体層)16A、第2蛍光体層(蛍光体層)16B、第3蛍光体層(蛍光体層)16Cが、互いに重複しないように形成されている。第1蛍光体層16A、第2蛍光体層16B、第3蛍光体層16Cは、その下側のp型発光層13A、n型層12が発した近紫外域の光を吸収し、異なる波長の光を発することができる。例えば、赤、緑、青の蛍光体を用いてカラーディスプレイに、あるいは白色に発光する蛍光体を用いれば、照明装置に用いることができる。以下では、各蛍光体層が三つの異なる波長あるいはスペクトルの光(第1蛍光体層16A:赤、第2蛍光体層16B:緑、第3蛍光体層16C:青)を発するものを一例とする。
ここで、p型発光層13Aは前記のp型層93と同様であり、p型ZnO微粒子931で構成され、n型層12と下側で接する。このため、n側電極14とp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cとの間に順方向の電圧を印加することによってn型層12、p型発光層13Aを発光させることができる。この際、図中下側に向かった光を金属基板11で上側に反射させることも同様である。このため、この発光で第1蛍光体層16A、第2蛍光体層16B、第3蛍光体層16Cを図中下側から照射し、これらの蛍光体層からの蛍光を上側に取り出すことができる。この際、電源Bとp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cとの間の接続を切り替えスイッチ素子(スイッチング素子)Sを介して行い、電圧を印加する電極をp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cの中から選択することによって、赤、緑、青の発光を切り替えて行わせることができる。
ここで、p型発光層13Aとp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cとの間には、ホール輸送層13Bが形成されている。ホール輸送層13Bは、p型ZnO微粒子931と絶縁性のバインダー131とで構成される。このため、ホール輸送層13Bの形成方法は前記のp型発光層13Aとは異なってもよい。ホール輸送層13Bの形成方法の一例として、熱処理後にバインダー131となるバインダー成分とp型ZnO微粒子931からなる粉末とが均一に混合され前記のスプレー法の場合と比べて低密度の分散液がスピン塗布された後に乾燥後、熱処理が加えられる。この場合、ホール輸送層13Bも前記のp型発光層13Aと同様に塗布・印刷によって形成することができるものの、p型発光層13Aとは異なり、p型ZnO微粒子931の密度は低くなり、隣接するp型ZnO微粒子931間が絶縁性のバインダー13で結合される。このため、p型発光層13Aと比べてホール輸送層13Bは抵抗率が高くなる。特に、ホール輸送層13Bは薄膜状態で形成されるため、薄い膜厚方向では十分な電気伝導を示す一方で、基板に平行な面内方向で、例えばp側第1電極15A、p側第2電極15B間の電気抵抗は絶縁性のバインダー13により非常に高く、実質的にはこれらの電極間は絶縁されているとみなせる。このため、この場合のホール輸送層13Bは素子分離層として機能する。こうした特性は、p型ZnO微粒子931と絶縁性のバインダー131とを混合させたことによって実現される。また、ホール輸送層13Bの発光効率は低く実質的には発光に寄与せず、各電極からp型発光層13Aまでの電流の経路として機能する。なお、バインダー131の成分は、例えば、シルセスキオキサン、シリコーン、アルミナ,エポキシ樹脂などであり、特にZnO粒子の発光に対して透明であり,絶縁性であることが好ましい。
このため、この構造においては、実質的に発光するのはn型層12、p型発光層13Aであり、かつ、p型発光層13Aは、実質的には発光しないホール輸送層(素子分離層)13Bによって各電極と隔てられている。また、p型発光層13Aにおける各電極による消光は発生しにくく、高い光強度が得られる点については、前記の「酸化亜鉛ナノ粒子塗布型発光ダイオードにおけるホール輸送層の効果」に記載された通りである。
例えば、同一の基板上のLEDと蛍光体の組み合わせを赤、緑、青に対応させて3つ配列し、LEDの発光を切り替えて行わせれば、この発光素子10と同様に、赤、緑、青の発光を切り替えて行わせることができる。ただし、この場合には、各LEDが電気的に分離されており、選択された単一のLEDにおいてのみ電流が流れるように、LEDの素子分離を行うことが必要である。
これに対して上記の発光素子10においては、前記のように、ホール輸送層(素子分離層)13Bによって、隣接するLED間の素子分離が行われる。ホール輸送層13Bの抵抗率は成膜時の分散液の組成等で調整することができ、絶縁性のバインダー131により、この抵抗率はp型発光層13Aよりも高い。このため、p型発光層13Aにおけるp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15C直下の部分は、図中横方向において実質的には電気的に分離された状態となる。あるいは、この構造においては実質的にはバインダー131により横方向における素子分離が行われる。一方で、横方向のサイズと比べてホール輸送層13Bの厚さは無視できる程度に小さいため、p型発光層13Aと各電極との間の抵抗は小さい。このように、第1の実施の形態においては、素子分離層が上側のp型層に形成される。
このため、この発光素子10は、切り替えスイッチ素子Sによって発色を切り替えることができ、カラーディスプレイとして好適に用いることができる。ここで、図2の構造において、ホール輸送層13B以下の構造においては、精密なパターニングは要求されず、かつ、前記のようにp型発光層13A、ホール輸送層13Bは容易に製造することができる。また、p側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cを形成する工程は、パターンが異なるだけで前記の発光素子190におけるp側電極95を形成する工程と同様である。このため、前記の発光素子190を製造する場合と比べて、発光素子10を製造する場合には、ホール輸送層13Bを形成する工程と各蛍光体層を形成する工程のみが異なる。このため、この発光素子10を容易かつ安価に製造することができる。
なお、前記のように、ホール輸送層13Bは、消光の影響を低減するホール輸送層として機能と、素子分離層としての機能をもつ。前記のように、p型層13全体の厚さを5μm以上とすることが望ましいが、p型発光層13Aが十分厚い場合には、ホール輸送層13Bによるホール輸送層として機能の割合は小さくなる。一方、素子分離層としての機能は、隣接する電極(領域)間の抵抗で定まり、p型発光層13Aやホール輸送層13B自身の厚さとは無関係である。このため、例えば、p型発光層13Aが十分厚い場合には、素子分離が行える限りにおいて、例えばホール輸送層13Bを1μm以下とすることもできる。
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態に係る発光素子20の断面図である。発光素子20において、金属基板11、n型層12、n側電極14、p型発光層13Aについては、前記の発光素子10と同様である。ここでは前記のp型層13に代わり、前記のホール輸送層13Bの代わりに基板面に平行な面内方向(図中左右方向)において3つの領域に区分されたホール輸送層(素子分離層)13BA、13BB、13BCが形成されたp型層113が、p型の半導体層あるいはZnO微粒子層として設けられる。ここで、ホール輸送層13BA、13BB、13BCにおいては、前記のホール輸送層13Bと同様にp型ZnO微粒子931がp型発光層13Aよりも低密度で分散されているが、使用されているバインダーが異なる。
ホール輸送層13BAにおいては前記の第1蛍光体層16Aと同一の発光色をもつ蛍光体材料を含む第1蛍光体バインダー131A、ホール輸送層13BBにおいては前記の第2蛍光体層16Bと同一の発光色をもつ蛍光体材料を含む第2蛍光体バインダー131B、ホール輸送層13BCにおいては前記の第3蛍光体層16Cと同一の発光色をもつ蛍光体材料を含む第3蛍光体バインダー131C、がそれぞれ用いられている。ここで、これらの蛍光体は0.5μmより小さい粒径をもつ絶縁性の微粒子からなる。これらのホール輸送層の形成方法は前記のホール輸送層13Bと同様である。ただし、これらのホール輸送層には上記のように蛍光体材料が混合されているために、これらのホール輸送層は蛍光体層としても機能する。このホール輸送層13BA、13BB、13BCの上に、それぞれp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cが形成されている。ここで、第1蛍光体バインダー131A、第2蛍光体バインダー131B、第3蛍光体バインダー131Cは、いずれも前記のバインダー131と同様に絶縁性である。このため、ホール輸送層13BA,13BB、13BCが素子分離層として機能することは前記の発光素子10と同様である。このように、第2の実施の形態においても、素子分離層が上側のp型層に形成され、蛍光体層もp型層に形成される。
この構造においては、前記の発光素子10とは異なり、ホール輸送層の上に新たに蛍光体層を形成する必要がない。このため、蛍光体層を形成する工程が不要となる。一方、p型発光層13Aにおけるp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15C直下の部分が実質的に横方向で電気的に分離された状態となることは、発光素子10と同様である。このため、この発光素子20も、同様にディスプレイとして好適に用いることができ、かつこれを容易かつ安価に製造することができる。
(第3の実施の形態)
図4は、第3の実施の形態に係る発光素子30の断面図である。発光素子30においては、前記の発光素子20におけるn型層12が、同様のn型の半導体層であるn型微粒子層31に代わっている。このn型粒子層31は、p型発光層13Aと同様に、n型であるn型ZnO微粒子932を用いて形成される。
なお、本発明で用いられるn型のZnO微粒子は、平均粒径が50nm以上500nm以下のZnOである。このZnO微粒子の平均粒径は、例えばJISZ8828に記載の方法で測定される。このZnO微粒子の平均粒径が50nm未満であると結晶表面が欠陥として働き発光特性が劣化し、500nmを超えると多結晶体になり粒子の内部に欠陥を含むようになり発光特性が悪化するためである。好ましくは、このZnO微粒子の平均粒径は100nm~500nmである。前記の通り、p型ZnO微粒子931は、ガス中蒸発法の際の窒素ドープによって得られるが、ここで、例えばGa等のIII族元素のドナーをドーピングすることによって、n型ZnO微粒子932を同様に得ることができる。このドーピングは、例えば高周波プラズマ中に原料粒子を投入する際に、原料の亜鉛粒子にドナーとなる元素の粒子を混合しておくことによって行うことができる。このn型ZnO微粒子932とバインダー131とを用いて、前記のホール輸送層13Bと同様にn型微粒子層31を形成することができ、これをn型層として同様に用いることができる。このようなn型微粒子層31は前記のn型層12と比べて緻密でないため、n型微粒子層31が十分に厚くない場合には、p型発光層13Aと金属基板11との間で短絡が発生するおそれがあるところ、絶縁性のバインダー131を用いることによって、これが抑制される。
n型ZnO微粒子932のドーピング濃度は、1017~1020cm-3程度とすることができる。これによってn型微粒子層31の抵抗率を低く調整することができ、動作電圧を調整し、発熱を抑制することができる。これによって、n型微粒子層31を厚くすることができ、前記のp型層93における場合と同様にn型微粒子層31における消光を抑制することができる。このドーピング濃度が1017cm-3未満の場合には抵抗率が高いためn型微粒子層31を厚くすることが困難となる。一方、このドーピング濃度が1020cm-3を超える場合には、n型微粒子層31におけるホールと電子の再結合においてオージェ再結合の影響が大きくなるために、この層における発光効率が低下する。n型微粒子層31が十分に厚い場合には、前記のようなp型発光層13Aと金属基板11との間の短絡が発生しないため、前記のp型発光層13Aと同様に、n型微粒子層31をバインダー131を用いずに形成することもできる。また、n型微粒子層31の厚さについては、前記の発光素子10におけるp型層13と同様であり、5μm以上とすることが好ましい。厚い場合には電気抵抗が高くなるため、消費電力等に応じてその厚さは設定される。このように、第3の実施の形態においては、p型層、n型層は共にZnO微粒子を用いて形成され、素子分離層、蛍光体層は上側のp型層に形成される。
この発光素子30においては、金属基板11上における電極以外の各層を全て塗布、印刷工程によって形成することができるため、これを大面積化することが特に容易であり、安価に製造することができる。また、p型発光層13An型微粒子層31の界面は微粒子で構成されるために平坦ではないため、pn接合界面の実質的な面積が大きくなり、特にpn接合界面付近での発光強度を高めることができる。
(第4の実施の形態)
図5は、第4の実施の形態に係る発光素子40の断面図である。この発光素子40においても、前記の発光素子30と同様に、n型ZnO微粒子932を用いてn型層が形成されているが、この発光素子40においては、前記の金属基板11の代わりに透明のガラス基板(基板)41が用いられ、発光が下側(ガラス基板41側)から取り出される。このため、ガラス基板41の上には透明導電膜42が形成される。
この場合、p型層13及びp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cについては、前記の発光素子10と変わるところがない。しかしながら、下側から発光を取り出すためには、前記の発光素子10とは逆に、蛍光体層を下側に設けることが好ましい。このため、下側のn型層を蛍光体層としても用いている。このため、ここで用いられるn型層は、前記の発光素子30と同様にn型ZnO微粒子932を含む同様のn型の半導体層であるn型微粒子層231が用いられ、n型微粒子層231においては、基板面に平行な面内方向で3つの領域に区分されたn型蛍光微粒子層31A、31B、31Cが、発光素子20におけるホール輸送層13BA、13BB、13BCに対応して形成されている。
n型蛍光微粒子層31Aにおいては前記のホール輸送層13BAと同様の第1蛍光体バインダー131A、n型蛍光微粒子層31Bにおいては前記のホール輸送層13BAと同様の第2蛍光体バインダー131B、n型蛍光微粒子層31Cにおいては前記のホール輸送層13BCと同様の第3蛍光体バインダー131C、がそれぞれバインダーとしてn型ZnO微粒子932と混合されて形成されている。これらの形成方法は、ホール輸送層13BA、13BB、13BCと同様とすることができる。n型蛍光微粒子層31A、31B、31Cは、n型ZnO微粒子が混合されるためにZnOによる発光層としても機能するが、この発光とp型発光層13Aからの発光を第1蛍光体バインダー131A、第2蛍光体バインダー131B、第3蛍光体バインダー131Cがそれぞれ吸収してそれぞれに対応した蛍光を発する蛍光体層としても機能する。
n型蛍光微粒子層31A、31B、31Cが設けられるのに伴い、p型発光層13Aよりも上側には蛍光体層を設ける必要がないため、発光素子30におけるホール輸送層13BA、13BB、13BCの代わりに、発光素子10と同様の面内方向で一様な構成のホール輸送層13Bが形成されている。前記の通り、ホール輸送層13Bは素子分離層として機能し、p側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cの直下における発光領域は実質的に分断されているため、n側の電極となる透明導電膜42はp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cの直下ではパターニングせずに一様とすることができる。
透明導電膜42としては、Gaのドーピング量がn型ZnO微粒子932よりも高くされたGZOを用いることができ、その成膜はマグネトロンスパッタリング法やCVD法によって行うことができる。
この場合には、上側に発せられた光を下側に向けて反射させることが好ましい。このため、前記の発光素子10等と比べてp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cを厚く、例えば厚さを50nm以上とし、例えばAu/Ni等の2層構造とし、p側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cで上側に向かう光を下向きに反射させることが好ましい。
また、この発光素子40においては、n型の半導体層となるn型微粒子層231と接続される電極は透明導電膜42となる。この場合には、金属で構成された電極とは異なり、消光の影響は小さい、あるいは透明導電膜42自身が前記のホール輸送層と同様の電子輸送層として機能するために、n型微粒子層231(n型蛍光微粒子層31A、31B、31C)の厚さは、前記の発光素子30におけるn型微粒子層31よりも薄く設定することができる。
この発光素子40においては、素子分離層となるホール輸送層13Bを上側(p側)に設けると共に、各蛍光体層をホール輸送層13Bとは別に下側(n側)に設けることによって、下向きに発光(蛍光)を取り出すことができる。こうした構成も、p型層13とn型層(n型微粒子層231)を、ZnO微粒子を用いて構成するために、容易に実現することができる。この発光素子40においても、使用される半導体層を全て塗布、印刷で形成することができるため、これを安価に製造することができる。この際、発光をガラス基板41側から取り出すことができる。このように、第4の実施の形態においては、p型層、n型層は共にZnO微粒子を用いて形成され、蛍光体層がn型層に、素子分離層は上側のp型層に、それぞれ分かれて形成される。
(第5の実施の形態)
図6は、第5の実施の形態に係る発光素子50の断面図である。この発光素子50においても、前記の発光素子40と同様に、発光が下側(ガラス基板41側)から取り出され、下側のn型の半導体層かつZnO微粒子層として、n型ZnO微粒子932を含み前記と同様のn型蛍光微粒子層31A、31B、31Cを具備するn型微粒子層331が設けられる。ただし、ここでは、発光素子10におけるp型発光層13Aと同様に、バインダーが用いられず、低抵抗であり発光層となるn型発光層331Aがp型層213と接するように形成される。ただし、発光素子40においてはp側の電極が発色に応じて分割されてn側の電極が共通とされていたのに対し、この発光素子50においては、n側の電極が発色に応じて分割されp側の電極が共通とされる。
ここでは、ガラス基板41上にn側第1電極14A、n側第2電極14B、n側第3電極14Cが分断されて形成され、n側第1電極14A上にn型蛍光微粒子層31Aが、n側第2電極14B上にn型蛍光微粒子層31Bが、n側第3電極14C上にn型蛍光微粒子層31Cが、それぞれ形成される。このため、n型蛍光微粒子層31A、n型蛍光微粒子層31B、n型蛍光微粒子層31Cは、発光素子20におけるホール輸送層13BA、13BB、13BCと同様に、蛍光層かつ素子分離層として機能する。このため、n側で素子分離が行われ、p側では電極を共通とすることができるために、共通のp側電極15が大面積で設けられる。
ここで、n型蛍光微粒子層31A、n型蛍光微粒子層31B、n型蛍光微粒子層31Cは、ガラス基板41上におけるそれぞれn側第1電極14A、n側第2電極14B、n側第3電極14Cを覆うように成膜される。n型蛍光微粒子層31A、n型蛍光微粒子層31B、n型蛍光微粒子層31Cは、それぞれ塗布・印刷によって形成されるため、こうした成膜は容易である。この際、n型蛍光微粒子層31A、n型蛍光微粒子層31B、n型蛍光微粒子層31Cの厚さは3μm以上とすることができる。n側第1電極14A、n側第2電極14B、n側第3電極14Cは、これによる光の吸収を抑制するために、前記のp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cと同様に薄く形成される。p側電極15が上側に発せられた光を下側に向けて反射させることが好ましいことは前記のp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cと同様であるため、その膜厚設定等についても同様である。
また、ここで用いられるp型層213は、発光素子10と同様のp型発光層13Aと、ホール輸送層213Bを具備する。ホール輸送層213Bは、前記のホール輸送層13Bと同様にバインダーを用いて構成してもよいが、p型発光層13Aと同様にバインダーを用いずに形成してもよい。この場合には、ホール輸送層213Bは実質的にはp型発光層13Aと変わるところがなく、実質的にはp型発光層13Aを厚くした場合と等価である。前記の通り、このようにp型発光層13Aを厚くした場合にも、消光の影響を低減することができる。すなわち、このように、発光層あるいはpn接合からp側電極15を離間させることによって、p側電極15による消光の影響を低減することができる。一方、素子分離はn型微粒子層331によって行われるため、領域間にわたり広がる共通のp側電極15を用いることができる。すなわち、この場合には、ホール輸送層はn側、p側の両方で設けられ、素子分離層及び蛍光体層はn側で設けられる。こうした構成も、各半導体層をZnO微粒子を用いて構成するために、容易に製造することができる。このように、第5の実施の形態においては、p型層、n型層は共にZnO微粒子を用いて形成され、蛍光体層、素子分離層がn型層に形成される。
また、図6において、切り替えスイッチ素子Sはガラス基板41上において形成されたTFT(薄膜トランジスタ:スイッチング素子)を用いて形成することができる。このため、この発光素子50は、TFTやn側第1電極14A、n側第2電極14B、n側第3電極14C等が予め形成されたガラス基板41上に対して、各層を塗布、印刷によって形成することによって製造することができる。図6において、p側電極15はスパッタリング法等によって形成されるが、そのパターニングは不要である。このため、この発光素子50を安価かつ容易に製造することができる。
(第6の実施の形態)
図7は、第6の実施の形態に係る発光素子60の断面図である。この発光素子60においては、前記の発光素子10、20、30と同様に上側に発光を取り出すが、前記の発光素子50と同様の分断されたn側第1電極14A、n側第2電極14B、n側第3電極14Cと、共通のp側電極15が用いられる。ここでは、前記の発光素子50におけるガラス基板41の代わりに、金属基板11の上に絶縁層61が形成された構造が用いられ、絶縁層61の上にn側第2電極14B、n側第3電極14Cが形成される。
この発光素子60においては、下側のn型の半導体層かつZnO微粒子層として、低抵抗であり発光層となる前記の発光素子60と同様のn型発光層331Aを具備するn型微粒子層431が設けられる。ただし、ここでは、上側に発光を取り出すために下側には蛍光体層は設けられず、n型発光層331Aと電極との間には面内方向において一様な電子輸送層431Bが設けられる。電子輸送層431Bは発光素子30におけるn型微粒子層31と同様に、n型ZnO微粒子932とバインダー131とを用いて構成されるが、発光素子10におけるホール輸送層13Bと同様の抵抗率(バインダー131の組成)とすることによって、電子輸送層431Bを素子分離層として用いることができる。この場合には、n型微粒子層431においては、実質的にはn型発光層331Aのみが発光する。この場合においてもn側第1電極14A、n側第2電極14B、n側第3電極14Cに起因した段差が形成されているが、代わりに前記のn型微粒子層431を塗布によって容易に形成することができる。
この場合には上側に蛍光体層が設けられるため、p型の半導体層の構造は、前記の発光素子20と同様である。すなわち、ここでは、p型発光層13Aと、基板面に平行な面内方向で分割されたホール輸送層13BA、13BB、13BCが形成されたp型層113が設けられる。ここで、ホール輸送層13BA、13BB、13BCが蛍光体層として機能する点については発光素子20と同様である。ただし、ここでは共通のp側電極15が用いられるために、ホール輸送層13BA、13BB、13BCはこの場合には素子分離層としては機能しない。すなわち、この発光素子60においては、n型の半導体層側に素子分離層が、p型の半導体層側に蛍光体層がそれぞれ個別に設けられる。こうした構成も、n型の半導体層側、p型の半導体層を共にZnO微粒子を用いて構成することができるため、前記の他の発光素子と同様に、容易に製造することができる。この場合には、p側電極15は光を透過させる必要があるために、発光素子10、20、30におけるp側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cと同様に、薄く形成される。また、下側の金属基板11によって、下向きの光を上側に反射させることができる。このように、第6の実施の形態においては、p型層、n型層は共にZnO微粒子を用いて形成され、素子分離層がn型層に、蛍光体層は上側のp型層に、それぞれ分かれて形成される。
この場合においても、発光素子50の場合と同様に、絶縁層61上あるいは絶縁層61中に形成したTFTを切り替えスイッチ素子Sとして用いることができる。この発光素子60は、TFTやn側第1電極14A、n側第2電極14B、n側第3電極14C等が予め形成された金属基板11上に対して、各層を塗布、印刷によって形成することによって製造することができる。
(第7の実施の形態)
前記の発光素子20~60においては、半導体層中に蛍光体層が形成され、蛍光体層が素子分離層も兼ねる、あるいは素子分離層が蛍光体層とは別に反対側の半導体層に形成された。ここで、前記の通り、各半導体層の膜厚は5μm以上が好ましいのに対して、粒径が数十μm程度の粒子状の蛍光体材料も存在する。こうした蛍光体材料を用いる場合には、半導体層(n型層、p型層)の厚さと蛍光体材料となる粒子の大きさが整合せず、蛍光体層と半導体層とを別体として形成することが好ましい。前記の発光素子10はその一例であり、蛍光体層が上側(基板11と反対側)に設けられたが、蛍光体層を下側(基板側)に設けることもできる。発光は蛍光体層がある側に取り出されることが好ましいため、この場合には、透明な基板が用いられる。第7、第8の実施の形態となる発光素子は、こうした構成を具備する。
図8は、第7の実施の形態に係る発光素子70の断面図である。この発光素子70においては、ガラス基板41の上に、第1蛍光体層16A(蛍光体層)、第2蛍光体層(蛍光体層)16B、第3蛍光体層(蛍光体層)16Cが基板面に平行な面内方向で分離されて形成され、その上に透明導電膜42が形成される。この発光素子70の構造は、図5の発光素子40と類似しているが、図5におけるn型微粒子層231以下の構造が、発光素子40とは異なる。ここで用いられるn型の半導体層は、前記の発光素子60と同様のn型発光層331Aのみを具備するn型微粒子層531が用いられる。この場合、前記のように、透明導電膜42が用いられるために電子輸送層は不要である、あるいはn型発光層331Aを薄くすることもできる。
p型発光層13A、n型発光層331Aが上側に発した光は、p側第1電極15A、p側第2電極15B、p側第3電極15Cによって下向きに反射され、これらから下向きに発せられた光と共に第1蛍光体層16A、第2蛍光体層16B、第3蛍光体層16Cを領域毎に入射し、これによって下向きに3種類の発光をさせることができる。
この場合においては、前記の発光素子40と同様に、p型層13におけるホール輸送層13BA、13BB、13BCが素子分離層として機能する。一方、蛍光体層は基板41と透明導電膜42の間において、半導体層とは別に設けられる。このように、第7の実施の形態においては、p型層、n型層は共にZnO微粒子を用いて形成され、素子分離層は上側のp型層に形成され、蛍光体層はp型層、n型層とは別体で形成される。この発光素子70において、透明導電膜42よりも上側の構造は、前記の発光素子40と同様に製造することができる。第1蛍光体層16A、第2蛍光体層16B、第3蛍光体層16Cをガラス基板41上に形成する手法は、蛍光体材料に応じて適宜設定でき、塗布、印刷以外の方法を用いてもよい。これによって、例えば半導体層中に混入させることが困難な蛍光体材料を用いて各蛍光体層を形成することができる。
(第8の実施の形態)
図9は、第8の実施の形態に係る発光素子80の断面図である。この発光素子80は、図6の発光素子50と類似しているが、図6におけるn型微粒子層331以下の構造が、発光素子50とは異なる。ここで用いられるn型の半導体層は、前記の発光素子60におけるn型微粒子層431と同様であり、n型発光層331Aと面内方向で一様な電子輸送層431Bを具備する。前記の発光素子70とは異なり、ここではp側で共通のp側電極15が用いられ、n側でn側第1電極14A、n側第2電極14B、n側第3電極14Cが分割されて設けられる。
また、この発光素子80におけるp型の半導体層として、発光素子50と同様でのp型発光層13Aとホール輸送層213Bとを具備するp型層213が設けられる。これらの膜厚設定についても前記の発光素子50と同様である。ガラス基板41と第1蛍光体層16A、第2蛍光体層16B、第3蛍光体層16Cについては前記の発光素子70と同様であり、分離されたn側第1電極14A、n側第2電極14B、n側第3電極14Cが用いられるために透明導電膜42が設けられない点が発光素子70とは異なる。この場合、n側第1電極14A、n側第2電極14B、n側第3電極14Cは、それぞれ絶縁体である第1蛍光体層16A、第2蛍光体層16B、第3蛍光体層16Cの上に形成される。また、光が透過するようにn側第1電極14A、n側第2電極14B、n側第3電極14Cが薄く形成される点についても発光素子50と同様である。一方、p側電極15は光を下向きに反射させるように形成される点については発光素子50、70と同様である。
この場合においては、前記の発光素子60と同様に、電子輸送層431Bが素子分離層として機能する。一方、蛍光体層はガラス基板41上かつn側の電極の下に形成される。このように、第8の実施の形態においては、p型層、n型層は共にZnO微粒子を用いて形成され、素子分離層は下側のn型層に形成され、蛍光体層はp型層、n型層とは別体で形成される。ガラス基板41上に各蛍光体層及び各n側電極を形成した後は、この発光素子80を、前記の発光素子60等と同様の製造方法によって製造することができる。この場合においても、半導体層中に混入させることが困難な蛍光体材料を用いて各蛍光体層を形成することができる。また、この場合には、前記の発光素子50、60と同様に、切り替えスイッチ素子SとなるTFTを、ガラス基板41上に形成することができる。
(第9の実施の形態)
上記の全ての実施の形態においては、3種類の異なる波長(スペクトル)の発光をする蛍光体層が用いられ、各蛍光体層から発せられる光が切り替えられる構成とされ、この場合における蛍光体層に対応するLEDの素子分離が素子分離層によって行われた。こうした構成はカラーディスプレイにとって特に好ましい。一方、例えば、照明装置においては、白色の1種類のみの発光を広い面積で行わせることが有効である。
例えば、上記の実施の形態における各蛍光体層を全て同一の材料とし、ZnOが発する光とこの蛍光体層が発する光とで(擬似)白色光が発せられるようにすれば、白色光を発する発光素子を得ることができる。この際、半導体層(n型層、p型層)を大面積化することも、上記のようにこれらの層をZnO微粒子を用いて形成すれば容易であるため、大面積での発光をさせることも可能である。この場合において、例えば上記のような素子分離層を設けない場合には、半導体層の不均一性に起因して、面内方向において半導体層における特定の領域のみを優先的に電流が流れる場合がある。この場合には、面内で均一な発光強度を得ることが困難となり、かつ、この不均一性の制御は困難である。
これに対して、上記のような素子分離層を設けた場合には、隣接する電極間の半導体層が実質的に分離されるため、このように特定の領域に電流が集中することが抑制される。このため、この場合には、面内で均一な発光強度が得られる。上記の実施の形態では蛍光体層及びこれに対応した電極は発色に対応して3つとされたが、この場合には、この数を4つ以上としてもよい。この際、蛍光体が同一であるために、電極のみが複数設けられ、全ての蛍光体層が一体化されていてもよい。また、この場合には、切り替えスイッチ素子Sを設ける必要はない。こうした構成によって、大面積で均一な発光をすることのできる発光素子を実現することができ、これを照明装置に好ましく用いることができる。
(第10の実施の形態)
本発明の発光素子においては、前記のように発光に関連する各層をp型ZnO微粒子931、n型ZnO微粒子932を用いて構成できるが、同様に、他の作用をする他の微粒子をこの層に混合させることもできる。
こうした微粒子としては、特定の波長の光の電界を局在表面プラズモン共鳴(効果)によって増強する金属微粒子がある。例えば、可視光付近の波長の光に対しては、銀と誘電体との間の界面でこの効果を発生させるものが有効である。このため、このような金属微粒子として、銀の周囲がシリカ(SiO)でコーティングされた微粒子を上記のp型ZnO微粒子931等と混合させることができる。図10は、第2の実施の形態に係る発光素子20にこの構成を適用した発光素子90の構造を示す図である。ここで用いられるZn微粒子層であるp型層73は、発光素子20と同様のホール輸送層13BA、13BB、13BCと、前記のp型発光層13Aとは異なり、p型ZnO微粒子931と金属微粒子933とが混合されて構成されたp型発光層73Aを具備する。
図11は、この金属微粒子933の構造を模式的に示す断面図である。この金属微粒子933においては、核となる平均粒径が5~50nmの銀ナノ粒子コア(金属コア)933Aの周囲に、平均厚さが20~60nmのシリカ層(誘電体層)933Bが形成されている。なお、金属コア(銀ナノ粒子コア)の平均粒径はJISZ8828に記載の方法で測定される。また、誘電体層(シリカ層)の平均厚さは例えばJISZ8828に記載の方法で測定される平均粒径から求められる。
なお、金属微粒子933は、p型ZnO微粒子931に対して、0.1%以上10%以下の質量比で混合するのが望ましい。金属微粒子933の質量比が0.1%未満であると増強効果が少なくなり、10%を超えると絶縁性のシリカの効果により微粒子層の抵抗が高くなりすぎるからである。
図12は、本実施の形態の一例として、銀ナノ粒子の直径を10nm、シリカ層933Bの厚さを58.6nmとした金属微粒子933を図1の発光素子190におけるp型層93に添加し、この添加の有無による発光強度の違いを測定した結果である。この例では、金属微粒子933は、p型ZnO微粒子931に対して0.6%の質量比で混合したものになる。金属微粒子933の添加によって発光強度が2倍程度になっていることが確認できる。
このため、この発光素子90においては、p型発光層73Aからの発光強度を高めることができ、これによってホール輸送層13BA(第1蛍光体バインダー131A)、ホール輸送層13BB(第2蛍光体バインダー131B)、ホール輸送層13BC(第3蛍光体バインダー131C)からの蛍光の発光強度も高めることができる。この際、p型発光層73Aを形成するに際しては、原材料となるp型ZnO微粒子931に金属微粒子933を混合させる以外は、前記のp型発光層13Aを形成する場合と同様とすることができる。このため、この発光素子90を容易に形成することができる。なお、上記の発光素子90においては、p型発光層73Aに金属微粒子933が混合されたが、例えば発光素子40等におけるn型微粒子層31Cに同様の金属微粒子層933を添加してもよい。
また、発光素子20等において蛍光を発するホール輸送層13BA、13BB、13BCにおいて、同様の金属微粒子933を添加してもよい。ただし、図11の金属微粒子933において、銀ナノ粒子933Aの平均粒径、シリカ層933Bの平均厚さは、増強する光の波長に応じて最適化される。核となる金属には、銀ナノ粒子の他にそれぞれの蛍光体の吸収波長や発光波長に共鳴する粒径や形状をもつ金などの金属ナノ粒子が用いることができる。このため、ホール輸送層13BA、13BB、13BCに添加される金属微粒子933におけるこれらの設定は、これらに添加される第1蛍光体バインダー131A、第2蛍光体バインダー131B、第3蛍光体バインダー131Cが発する光の波長に応じて設定することができ、これによってそれぞれが発する蛍光の強度を高めることができる。この場合においても、金属微粒子933を混合すること以外については、前記のホール輸送層13BA、13BB、13BC等を形成する場合の製造方法と変わるところがない。このため、この場合においてもこの発光素子を容易に製造することができる。
また、このような金属微粒子933を第2の実施の形態以外の実施の形態の発光素子においても、適宜用いることができる。例えば、発光素子40において蛍光を発するn型微粒子層31A、31B、31Cにおいて、ホール輸送層13BA、13BB、13BCに添加された金属微粒子933と同様の金属微粒子933を添加してもよい。あるいは、ホール輸送層13BA、13BB、13BC等に、蛍光ではなく励起光(ZnOが発した光)を増強させるような金属微粒子933を添加してもよい。いずれの場合でも、金属微粒子933が添加される層がZnO微粒子を用いて構成される場合には、金属微粒子933を容易に添加することができる。
(第11の実施の形態)
例えば図2の構成における、n側電極(電極)14とp側第1電極(電極)15A、p側第2電極(電極)15B、p側第3電極(電極)15Cの各々の間における電流―電圧特性は、n型層12とp型発光層13Aとで構成されるpnダイオードの特性を反映する。このため、これらが順バイアスの場合には大きな電流(順方向電流)が流れてp型発光層13Aが発光し、これらが逆バイアスの場合には発光はせずに僅かなリーク電流しか流れない。しかしながら、図2の構成においては、リーク電流が大きくなる場合があった。
発明者は、この原因を調べたところ、p型発光層13A中で局所的に電流が流れる経路が形成されており、p型発光層13Aは本来p型ZnO微粒子931のみで構成されるところ、微量のn型ZnO微粒子932が混入していることがその一因であることを知見した。これは、前記のように平均粒径が50nm以上500nm以下のp型ZnO微粒子931を特許文献2に記載の製造方法で製造する際に、微量のn型ZnO微粒子932が混在することに起因する。この場合の状況を図2に対応させて図13に示す。この場合には、n型ZnO微粒子932を介した電流経路がp型発光層13Aの厚さ方向で形成される。p型発光層13Aを上記のようにバインダー131を用いずにp型ZnO微粒子931のみで形成することによって、p型発光層13Aの発光効率を高めることができる一方、p型発光層13Aにおいてこのようにn型ZnO微粒子932が混在した場合の影響は大きくなる。
このようなn型ZnO微粒子932による電流経路を遮断するためには、厚さ方向で隣接するn型ZnO微粒子932間にp型ZnO微粒子931を介在させることが有効である。このためには、p型発光層13Aを、p型ZnO微粒子931の平均粒径(50nm~500nm)よりも十分に厚くすることが有効である。一般的に薄膜における厚さ方向の抵抗は厚さに比例するところ、この場合には、前記のようにn型ZnO微粒子932を介した電流経路をp型ZnO微粒子931によって遮断することができるため、通常知られる薄膜の抵抗の単純な厚さ依存性よりも顕著に逆バイアス時の抵抗を増大させ、これによってリーク電流を低減することができる。この場合、p型ZnO微粒子931、n型ZnO微粒子932の平均粒径が前記の通りである場合、p型発光層13Aの厚さは5μm以上とすることが好ましい。ただし、これに伴い順方向抵抗も大きくなるため、この厚さは10μm以下とすることが好ましい。すなわち、p型発光層13Aを形成するにあたりp型ZnO微粒子931にn型ZnO微粒子932が微量混在する場合には、第1の実施の形態における場合よりもp型発光層13Aを厚く、その厚さを5~10μmの範囲とすることが好ましい。この場合、ホール輸送層13Bは、上記の効果を奏する限りにおいて、薄くすることが好ましく、例えば0.2μm程度としてもよい。
上記の例は、第1の実施の形態(発光素子10)におけるp型発光層13A中にn型ZnO微粒子が微量混入した場合であったが、第2~第8の実施の形態(発光素子20~80)においても同様である。また、第9の実施の形態(発光素子90)におけるp型発光層73Aについても同様である。すなわち、バインダー131が用いられないp型発光層中にn型ZnO微粒子932が微量混入する場合には、p型発光層の厚さを上記の範囲とすることによって、リーク電流を低減することができる。
なお、上記各実施形態では、基板として絶縁性のガラス基板や金属基板が用いられたが、単結晶サファイア、フレキシブルなフィルムやフィルム上の金属を蒸着してもの等適宜他の基板を用いることができる。また、上記と同様に発光を行わせることができる限りにおいて、上記のような発光層、素子分離層や、蛍光体層以外の他の層を設けてもよい。
また、上記の各実施形態では、p型ZnO微粒子931、n型ZnO微粒子932には、窒素(N)、III族元素がそれぞれドーピングされるものとしたが、特許文献3に記載のように、他の元素を適宜ドープし、これによってもZnO微粒子の発光波長を調整してもよい。また、上記の全ての例において、n型(第1の導電型)とp型(第2の導電型)を逆転させても、同様の効果を奏することは明らかである。
さらに、上記の各実施形態では、3つの異なる波長の光(例えば、第1の実施の形態では、第1蛍光体層16A:赤、第2蛍光体層16B:緑、第3蛍光体層16C:青)を発するものを一例に説明したが、光(色)の数は3個に限らない。また、色も、赤、緑、青に限らず、シアン、マゼンダ、黄色のような別の色を用いてもよい。また、前記の通り、蛍光体層を白色発光に対応するように設定してこの発光素子を照明装置に用いることができる。この際には、各蛍光体層を、白色の発光の色温度が異なるように設定することができる。この場合には、切り替えスイッチ素子Sによって色温度の切り替えが可能な照明装置が得られる。
10、20、30、40、50,60,70、80、90、190 発光素子
11、91 金属基板(基板)
12、92 n型層
13、73、93、113、213 p型層
13A、73A p型発光層(発光層)
13B ホール輸送層(素子分離層)
13BA、13BB、13BC ホール輸送層(蛍光体層、素子分離層)
14、94 n側電極
14A n側第1電極(電極)
14B n側第2電極(電極)
14C n側第3電極(電極)
15、95 p側電極
15A p側第1電極(電極)
15B p側第2電極(電極)
15C p側第3電極(電極)
16A 第1蛍光体層(蛍光体層)
16B 第2蛍光体層(蛍光体層)
16C 第3蛍光体層(蛍光体層)
31、231、331、431、531 n型微粒子層(n型層)
31A、31B、31C n型蛍光微粒子層(n型層、蛍光体層)
41 ガラス基板(基板)
42 透明導電膜
61 絶縁層
131 バインダー
131A 第1蛍光体バインダー
131B 第2蛍光体バインダー
131C 第3蛍光体バインダー
213B ホール輸送層
331A n型発光層
431B 電子輸送層(素子分離層)
931 p型ZnO微粒子
932 n型ZnO微粒子
933 金属微粒子
933A 銀ナノ粒子コア(金属コア)
933B シリカ層(誘電体層)
B 電源
S 切り替えスイッチ素子(スイッチング素子)

Claims (20)

  1. 基板上に、共に酸化亜鉛(ZnO)を含む第1導電型の半導体層と、第1導電型と逆の第2導電型の半導体層が上下方向で接するように積層されたpn接合層と、ZnOが発する光を吸収し当該光と異なるスペクトルの光を発する複数の蛍光体層と、を具備する発光素子であって、
    第1導電型の前記半導体層、第2導電型の前記半導体層のうちの一方の面内方向における互いに異なる複数の領域に接続された電極を複数具備し、
    前記一方の前記半導体層は、平均粒径が50nm~500nmの範囲のZnO微粒子が結合されて構成され、
    膜厚方向において、
    前記半導体層のうちの他方と上下方向における一方の側で当接し、動作の際に発光する発光層と、
    前記ZnO微粒子と絶縁性のバインダーとを含んで構成され、上下方向における前記発光層の他方の側で前記発光層と当接し、かつ複数の前記電極と当接し、前記発光層よりも抵抗率が高い素子分離層と、を具備し、
    複数の前記蛍光体層の各々は、複数の前記電極の各々と対応して形成されたことを特徴とする発光素子。
  2. 前記基板上に第1導電型の前記半導体層、第2導電型の前記半導体層が順次形成され、
    第2導電型の前記半導体層が前記一方の前記半導体層とされ、
    前記蛍光体層の各々は、複数の前記領域と対応して複数の前記電極の各々の周囲を覆って形成されたことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. ZnOが発する光と異なるスペクトルの光を発する蛍光体材料が前記領域毎に、第1導電型または第2導電型の前記半導体層に混合されたことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  4. 前記蛍光体材料が前記素子分離層に混合されたことを特徴とする請求項3に記載の発光素子。
  5. 前記他方の前記半導体層も、ZnO微粒子を含んで構成されたことを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
  6. 前記基板上に第1導電型の前記半導体層、第2導電型の前記半導体層が順次形成され、
    第1導電型の前記半導体層が前記一方の前記半導体層とされ、
    前記基板は透明かつ絶縁性とされ、複数の前記電極は、前記基板上に形成されたことを特徴とする請求項5に記載の発光素子。
  7. 前記他方の前記半導体層も、ZnO微粒子を含んで構成され、
    前記蛍光体材料が前記他方の前記半導体層に混合されたことを特徴とする請求項3に記載の発光素子。
  8. 前記基板上に第1導電型の前記半導体層、第2導電型の前記半導体層が順次形成され、
    第2導電型の前記半導体層が前記一方の前記半導体層とされ、
    前記基板は透明とされ、前記第1導電型の前記半導体層と前記基板との間に透明導電膜が、前記第1導電型の前記半導体層と接するように形成されたことを特徴とする請求項7に記載の発光素子。
  9. 透明な前記基板上に第1導電型の前記半導体層、第2導電型の前記半導体層が順次形成され、
    前記蛍光体層は、前記基板と第1導電型の前記半導体層の間において、第1導電型の前記半導体層と別体として形成されたことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  10. 第2導電型の前記半導体層が前記一方の前記半導体層とされ、
    第1導電型の前記半導体層と前記基板との間に透明導電膜が、前記第1導電型の前記半導体層と接するように設けられたことを特徴とする請求項9に記載の発光素子。
  11. 第1導電型の前記半導体層が前記一方の前記半導体層とされ、
    複数の前記電極が、前記蛍光体層毎に前記蛍光体層上に形成され、
    かつ第1導電型の前記半導体層は前記電極の上に形成されたことを特徴とする請求項9に記載の発光素子。
  12. 電源と複数の前記電極との間の電気的接続を切り替えるスイッチング素子が前記基板に形成されたことを特徴とする請求項6又は11に記載の発光素子。
  13. 銀を含んで構成された金属コアの表面が誘電体層でコーティングされて構成され、特定の波長の光の電界強度を局在表面プラズモン共鳴によって増強する金属微粒子が使用されたことを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の発光素子。
  14. 銀を含んで構成された金属コアの表面が誘電体層でコーティングされて構成され、ZnOが発する光の電界強度を局在表面プラズモン共鳴によって増強する金属微粒子が前記発光層に含有されたことを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載の発光素子。
  15. 銀を含んで構成された金属コアの表面が誘電体層でコーティングされて構成され、前記蛍光体材料が発する光の電界強度を局在表面プラズモン共鳴によって増強する金属微粒子が前記素子分離層に含有されたことを特徴とする請求項3から請求項までのいずれか1項に記載の発光素子。
  16. 前記発光層は、第2導電型のZnO微粒子を主とした中に第1導電型のZnO微粒子が混在した複数の微粒子が凝集して構成され、
    前記発光層の厚さが5μm以上10μmの範囲とされたことを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載の発光素子。
  17. 複数の前記蛍光体層が同一のスペクトルの発光をするように設定されたことを特徴とする請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の発光素子。
  18. 複数の前記蛍光体層が一体化されて形成されたことを特徴とする請求項17に記載の発光素子。
  19. 請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の発光素子が用いられたことを特徴とするディスプレイ。
  20. 請求項1から請求項18までのいずれか1項に記載の発光素子が用いられたことを特徴とする照明装置。
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