JP7469582B2 - 触媒内包ポリビニル樹脂微粒子を含む水系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、触媒内包ポリビニル樹脂微粒子を含む水系樹脂組成物に関する。
従来、主剤としてのポリオール樹脂と硬化剤としてのポリイソシアネート化合物とを用いるウレタン樹脂組成物は、耐薬品性や基材への密着性といった塗膜物性が優れているため塗料用途等に工業的に広く用いられている。これらのウレタン樹脂組成物には溶剤として有機溶剤が広く用いられてきたが、環境への負荷低減を目的として水溶剤への代替が進められている。しかし、ポリイソシアネート化合物を水系塗料に用いる場合、水への分散性が低いために親水性のポリオール樹脂との相溶性が悪く硬化反応に長時間を必要とし、また、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基が水と反応するという問題がある。
水への分散性の改善のために、ポリイソシアネート化合物を親水性化合物で変性する方法が従来知られており、既に実用化されている(特許文献1)。しかし、親水性化合物を用いて変性した場合、水への分散性は改善するもののポリイソシアネート化合物と水との反応が促進されるため、ポットライフが著しく短くなる問題がある。
ポットライフを損なうことなく水への分散性を改善する方法として、ブロック化剤と呼ばれる低分子化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させることで得られる、ブロックポリイソシアネート化合物を用いる方法が従来知られており、こちらも既に実用化されている(特許文献2)。しかし、ブロックポリイソシアネート化合物とポリオール樹脂を反応させる場合、加熱によるブロックイソシアネート基の解離反応が必要であるためにブロック化していないポリイソシアネート化合物を用いる場合よりも長時間の乾燥が必要である問題がある。
また、従来解離反応に必要な加熱温度を低減させる検討は多くおこなわれているものの、乾燥時間を短縮する試みは十分ではなかった。乾燥時間を短縮する方法として、触媒活性を示す金属錯体触媒やカルボン酸基を有する化合物を用いる方法が知られている(非特許文献1)。しかし、水系塗料に用いられるポリオール樹脂には一般的に中和剤として低沸点のアミン化合物が含まれており、これらが塗料中で触媒化合物と中和反応を起こすことで失活するため、十分な乾燥時間の短縮ができない。また、金属錯体化合物は一般的に水に難溶であり、水系樹脂への利用は困難である。
以上の様に、ポリイソシアネート化合物を用いる水系塗料において、ポリイソシアネート化合物の水への分散性、ポットライフ、および硬化性の短縮というトレードオフの関係にある機能を共存させる方法が強く望まれているものの、その方法は限られたものであった。
特開昭56-110717号公報 特開2014-91768号公報
色材 1993 66 561
ポリオール樹脂とブロックポリイソシアネート化合物とを含む水系樹脂組成物において、短い硬化時間であっても硬化性を改善することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ポリオール樹脂とブロックポリイソシアネート化合物とを含む水系樹脂組成物において、ウレタン化触媒を内包するポリビニル樹脂微粒子を用いることで硬化性を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示す実施形態を含むものである。
本発明の水系樹脂組成物は、ポリオール樹脂(A)、ブロックポリイソシアネート化合物(B)、およびウレタン化触媒を内包するポリビニル樹脂微粒子(C)を含むことを特徴とする。
本発明のポリオール樹脂(A)は樹脂中に水酸基を有するアクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、およびウレタン樹脂から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
本発明のブロックポリイソシアネート化合物(B)は水分散性を有する自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物であることが好ましい。
本発明のウレタン化触媒を内包するポリビニル樹脂微粒子(C)が(メタ)アクリルモノマーから得られるポリビニル樹脂を構成成分とすることが好ましい。
前記ポリビニル樹脂を構成する(メタ)アクリルモノマーの分配係数LogPowが1.00以上であることが好ましい。
本発明のポリビニル樹脂微粒子(C)に内包されるウレタン化触媒がルイス酸であることが好ましい。
本発明のポリビニル樹脂微粒子(C)に内包されるウレタン化触媒が典型元素化合物であることが好ましい。
本発明のポリビニル樹脂微粒子(C)に内包されるウレタン化触媒が遷移金属化合物であることが好ましい。
本発明のポリビニル樹脂微粒子(C)に内包されるウレタン化触媒が、スズ、チタン、およびジルコニウムから選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明のウレタン化触媒を内包するポリビニル樹脂微粒子(C)の、ウレタン化触媒とポリビニル樹脂の質量比が、ウレタン化触媒/ポリビニル樹脂として10/90~90/10であることが好ましい。
本発明のウレタン化触媒を内包するポリビニル樹脂微粒子(C)において、ポリビニル樹脂のガラス転移温度が40~200℃であることが好ましい。
本発明のウレタン化触媒を内包するポリビニル樹脂微粒子(C)において、ポリビニル樹脂微粒子の平均粒径が30~2,000nmであることが好ましい。
本発明のウレタン化触媒を内包するポリビニル樹脂微粒子(C)において、製造方法が膜乳化法であることが好ましい。
本発明においてポリオール樹脂(A)が有する水酸基とブロックポリイソシアネート化合物(B)が有する有効イソシアネート基との官能基当量が、水酸基1.0に対して有効イソシアネート基が0.10~1.5であることが好ましい。
本発明のポリビニル樹脂微粒子(C)が内包するウレタン化触媒が、ポリオール樹脂(A)とブロックポリイソシアネート化合物(B)の固形分全質量に対して10~5000ppmであることが好ましい。
本発明の水系塗料組成物は、本発明の水系樹脂組成物を含むことを特徴とする。
本発明の塗膜は本発明の水系塗料組成物より形成されたことを特徴とする。
本発明の塗膜を有する物品は、本発明の塗膜を有することを特徴とする。
本発明によれば、ポリオール樹脂とブロックポリイソシアネート化合物とを含む水系樹脂組成物において、短い硬化時間であっても硬化性を改善することができる。
本発明の水系樹脂組成物は、ポリオール樹脂(A)、ブロックポリイソシアネート化合物(B)、及びウレタン化触媒を内包するポリビニル樹脂微粒子(C)を含むことを特徴とする。
本発明のポリオール樹脂(A)としては、特に限定するものではないが、例えば、水酸基を有するアクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらは水溶性であっても水分散性でも良く、塗膜物性の観点から水分散性が好ましい。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明のブロックポリイシソアネート化合物(B)としては、特に限定するものではないが、例えば、ジフェニルメタン―4,4’―ジイソシアネート、ジフェニルメタン―2,4’―ジイソシアネート、2,4―トルエンジイソシアネート、2,6―トルエンジイソシアネート、1,5―ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3―テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4―テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族骨格を持つイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタン―4,4’―ジイソシアネート、水添ジフェニルメタン―2,4’―ジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、2,2,4―トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4―トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族骨格を持つイソシアネート類等について、ブロック化されたものが挙げられる。
ブロック化のためのブロック化剤としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、クロロフェノール、エチルフェノール、p-ヒドロキシジフェニル、t-ブチルフェノール、o-イソプロピルフェノール、o-sec-ブチルフェノール、p-ノニルフェノール、p-t-オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸エステル等のフェノール系ブロック剤類、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤類、マロン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系ブロック剤類、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エチルヘキサノール、n-アミルアルコール、t-アミルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、メトキシメタノール、グリコール酸、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル等のグリコール酸エステル類、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、エチレンクロルヒドリン、エチレンブロムヒドリン、1,3-ジクロロ-2-プロパノール、ω-ハイドロパーフルオロアルコール、アセトシアンヒドリン等のアルコール系ブロック剤類、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、2-メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤類、アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤類、コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤類、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N-フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミン等のアミン系ブロック剤類、イミダゾール、2-エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、1,3-ジフェニル尿素等の尿素系ブロック剤類、N-フェニルカルバミン酸フェニル、2-オキサゾリドン等のカルバミン酸塩系ブロック剤類、エチレンイミン、プロピレンイミン等のイミン系ブロック剤類、ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系ブロック剤類、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩系ブロック剤類等が挙げられる。また、これらのブロック化ポリイソシアネート類は親水化した自己乳化型が好ましい。
これらは単量体でも多量体でもよく、アロファネート変性やビウレット変性されたものでもよい。親水化方法は、界面活性剤を用いたエマルション化、ポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテル等の親水化剤を用いて変性する方法が挙げられる。水分散性の観点から、親水化剤を用いて変性する方法が好ましい。これらの中でも、耐光性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタン―4,4’―ジイソシアネート、水添ジフェニルメタン―2,4’―ジイソシアネートを親水化した後、ブロック化したものが好ましい。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
なお、ブロックポリイソシアネート化合物の有効イソシアネート基とは、ブロック化剤でブロックされたイソシアネート基であり、ブロック剤が解離することにより活性水素基と反応し得る有効なイソシアネート基となる。
本発明のウレタン化触媒を内包するポリビニル樹脂微粒子(C)としては、ウレタン化触媒を、ビニルモノマーの重合物であるポリビニル樹脂で覆った構造を持つポリビニル樹脂微粒子であることが好ましい。
本発明のビニルモノマーとしては、特に限定するものではなく、例えば、エチレンおよび酢酸ビニル、塩化ビニル、プロピレン、1,3-ブタジエン、1-ブテン、イソプレン、スチレン、1-ヘプテン、アクリロニトリル、アクロレイン、アクロレインジメチルアセタール等のエチレン誘導体類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2-エチルへキシルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,4-ブタンジオールビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等のビニルエーテル類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジペンチル、マレイン酸ジへキシル、マレイン酸ジ(2-エチルへキシル)等のマレイン酸類、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、およびメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチル-ヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ポリブタジエン末端ジアクリレート等のエステル基として脂肪族骨格を持つ(メタ)アクリル酸エステル類、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレン(メタ)アクリレート、ポリプロピレン(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、リン酸-2-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド、エチレングリコールジ(メタ)クリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)クリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)クリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)クリレート等のエステル基としてヘテロ原子を含む(メタ)アクリル酸エステル類、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のエステル基として芳香環を持つ(メタ)アクリル酸エステル類、ジンクモノ(メタ)アクリレート等のエステル基として金属原子を含む(メタ)アクリル酸エステル類、グリシジル(メタ)アクリレート、4―ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3-エチル-3-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)クリロイロキシエチルコハク酸、N,N’-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のエステル基として官能基を持つ(メタ)アクリル酸エステル類、N’,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N’,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基として脂肪族骨格をもつ(メタ)アクリルアミド類、N’,N-ジヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N’,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミドスルホン酸、アクリルアミド-tert-ブチルスルホン酸等のアミド基として官能基を持つ(メタ)アクリルアミド類、アクリロイルモルホリン等のアミド基としてヘテロ原子を含む(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。これらは単量体、オリゴマー体、重合体をそれぞれ単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
これらの中でも、ハンドリング性の観点から、(メタ)アクリル酸エステル類および(メタ)アクリルアミド類であることが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル類であることがより好ましく、エステル基として脂肪族骨格を持つ(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族骨格を持つ(メタ)アクリル酸エステル類であることが最も好ましい。分散安定性の観点から(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、分配係数LogPowが1.00以上の(メタ)アクリル酸エステル類がより好ましく、分配係数LogPowが1.10以上の(メタ)アクリル酸エステル類が最も好ましい。
本発明のウレタン化触媒(以下、単に「触媒」とも言う。)としては、特に限定するものではなく、例えば、典型元素を含む錯体、塩、ハロゲン化物等の典型元素化合物類、遷移金属を含む錯体、塩、ハロゲン化物等の遷移金属化合物類、等のルイス酸類が挙げられる。典型元素化合物に含まれる典型元素としては、触媒活性の観点からスズ、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、ビスマス、ガリウムが好ましく、スズ、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、ビスマスがより好ましく、スズ、ビスマスが最も好ましい。具体的な典型元素化合物としては、ジメチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジノルマルオクチルスズマレイン酸塩等のスズ化合物類が挙げられる。遷移金属化合物に含まれる遷移金属としては、触媒活性の観点から、チタン、ジルコニウム、鉄、ルテニウム、ハフニウム、インジウム、スカンジウム、ランタン、クロム、銅、マンガン、モリブデン、ルテニウム、ホルミウム、エルビウム、イッテルビウムが好ましく、チタン、ジルコニウム、鉄、ルテニウム、ハフニウム、インジウム、スカンジウム、ランタン、クロム、銅、マンガン、モリブデン、ルテニウムがより好ましく、チタン、ジルコニウムが最も好ましい。具体的な遷移金属化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、テトラ-tert-ブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、テトラキス(2-エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルチタネート、イソプロポキシ(2-エチル-1,3-ヘキサンジオレート)チタン、ブチルチタネートダイマージイソプロポキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジノルマルブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン等のチタンアルコキシド類、トリノルマルブトキシチタンモノステアレート、ジイソプロポキシチタンジステアレート、チタンステアレート、チタンイソステアレート、ジイソプロポキシチタンジイソステアレート、(2-ノルマルブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン等のチタンアシレート類、等のチタン化合物類、テトラノルマルプロピルジルコネート、テトラノルマルブチルジルコネート等のジルコニウムアルコキシド類、ジルコニウムオクチレート、ジルコニウムステアレート、モノブトキシジルコニウム(IV)トリイソプロピルステアレート等のジルコニウムアシレート類、等のジルコニウム化合物類等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
これらの中でも、耐加水分解性の観点から、ジノルマルオクチルスズマレイン酸塩、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、チタニウムステアレート、チタンイソステアレート、ジルコニウムオクチレート、ジルコニウムステアレート、モノブトキシジルコニウム(IV)トリイソプロピルステアレートであることが好ましく、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、チタニウムステアレート、チタンイソステアレート、ジルコニウムオクチレート、ジルコニウムステアレート、モノブトキシジルコニウム(IV)トリイソプロピルステアレートであることがより好ましく、ジオクチル錫ジラウレート、チタニウムステアレート、モノブトキシジルコニウム(IV)トリイソプロピルステアレートであることが最も好ましい。
ポリビニル樹脂微粒子について、触媒とポリビニル樹脂との質量比は、触媒/ポリビニル樹脂として10/90~90/10が好ましく、20/80~80/20がより好ましく、25/75~75/25が最も好ましい。触媒の質量比が10未満であると、触媒活性が十分に得られない恐れがあり、90を超えると得られたポリビニル樹脂微粒子が脆くなり、ハンドリング性が悪くなる恐れがある。
本発明のポリビニル樹脂微粒子は、触媒及びポリビニル樹脂に加えて、本発明の目的を損なわない範囲内で、任意に他の成分を含有していても良い。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、ハイドロホーブ、重合開始剤、連鎖移動剤等が挙げられる。
ハイドロホーブとしては、特に限定するものではないが、例えば、ヘキサデカン、デカヒドロナフタレン、スチレンオリゴマー、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、テトラエチルシラン、ポリジメチルシロキサン、環状ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
ハイドロホーブの含有量は、特に限定されないが、ポリビニル樹脂微粒子100質量部に対して30質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが最も好ましい。ハイドロホーブを加えることで分散安定性が向上するが、必ずしも加える必要はない。含有量が30質量部を超えると、触媒内包ポリビニル樹脂を含む樹脂組成物を硬化させた際にハイドロホーブが硬化塗膜表面にブリードアウトし、外観不良を起こす恐れがある。
重合開始剤としては、特に限定するものではないが、例えば、過酸化水素の他、硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等の過酸化水素の過酸塩類、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシルベンゾエート等の有機過酸化物、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾホルムアミド]、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[2-(1-ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-エチルプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]等のアゾ化合物類等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明のポリビニル樹脂微粒子が重合開始剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、ビニルモノマー100質量部に対して0.010~10質量部であることが好ましく、0.050~5.0質量部であることがより好ましく、0.10~3.0質量部であることが最も好ましい。含有量が0.010質量部未満であると、十分な開始ラジカルが得られず重合反応が十分に進まない恐れがあり、10質量部を超えると、停止反応が起こり易くなることで重合反応が十分に進まない恐れがある。
連鎖移動剤としては、特に限定するものではないが、例えば、ラウリルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプトプロパンジオール、メルカプトブタンジオール等のメルカプト化合物類、1-ブタンチオール、ブチル-3-メルカプトプロピオネート、メチル-3-メルカプトプロピオネート、2,2-(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、エタンチオール、4-メチルベンゼンチオール、ドデシルメルカプタン、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、1-オクタンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、チオグリセロール、4,4-チオビスベンゼンチオール等のヒドロキシベンゼンチオール及びその誘導体類等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明のポリビニル樹脂微粒子が連鎖移動剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、ポリビニル樹脂微粒子100質量部に対して0.0010~1.0質量部であることが好ましく、0.0050~0.50質量部であることがより好ましく、0.010~0.10質量部であることが最も好ましい。含有量が0.0010質量部未満であると、連鎖移動剤の効果が十分に得られない恐れがあり、1.0質量部を超えると、十分な分子量のポリビニル樹脂が得られない恐れがある。
また、本発明のポリビニル樹脂微粒子は、界面活性剤を含むポリビニル樹脂微粒子組成物とすることが好ましい。
界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンデシルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンイソデシルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンエーテル硫酸、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤類、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンデシルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル型のアニオン性界面活性剤類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩、ラウリルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩、高級脂肪酸塩、ナフテン酸塩等のカルボン酸型のアニオン性界面活性剤類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸塩、フェノールスルホン酸、ジオクチルスルホコハク酸塩、ラウリル硫酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸の塩類、ホルマリン重縮合物、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、アシル化ペプチド、N-アシルメチルタウリン等のスルホン酸型のアニオン性界面活性剤類(上記アニオン性界面活性剤の陽イオンとしては、例えばH+、Na+、K+、Li+、NH4+、エタノールアミン等の中から適宜選択することができる)、アルキルグルコシド類、アルキルチオグルコシド類、N-D-グルコ-N-メチルアルカンアミド類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビトールエステル類、ポリオキシエチレンセチルエーテル類等のノニオン性界面活性剤類等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。これらの中でも、分散安定性の観点からはアニオン性界面活性剤であることが好ましく、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤であることがより好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩であることが最も好ましい。
ポリビニル樹脂微粒子組成物が界面活性剤を含有する場合、その含有量は特に限定されないが、界面活性剤の臨界ミセル濃度の1.0~10倍となる量であることが好ましく、1.3~8.0倍となる量であることがより好ましく、1.5~6.0倍となる量であることが最も好ましい。1.0倍量未満の場合、ポリビニル樹脂微粒子を分散できない恐れがあり、10倍量を超えると経済性が悪くなる恐れがある。
中和剤としては、特に限定されず、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、3-(N-モルフォリノ)プロパンスルホン酸、メチル-3-アミノプロパンスルホン酸、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
ポリビニル樹脂微粒子の平均粒径は、特に限定されないが、30~2,000nmであることが好ましく、50~1,500nmであることがより好ましく、80~1,000nmであることが最も好ましい。平均粒径が30nm未満の場合、ハンドリング性が悪くなる恐れがあり、2,000nmを越える場合、触媒活性が低下する恐れがある。
ポリビニル樹脂微粒子のガラス転移温度は、特に限定されないが、40~200℃であることが好ましく、60~150℃であることがより好ましく、80~120℃であることが最も好ましい。ガラス転移温度が40℃未満の場合、貯蔵安定性が悪くなる恐れがあり、ガラス転移温度が200℃を越える場合、熱応答性が悪くなる恐れがある。
ポリビニル樹脂微粒を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、ホモジナイザー、超音波、SPG膜等を用いる方法が挙げられる。これらは単独でおこなっても良いし、2種以上を併用しても良い。製造時間の短時間化の観点からは、超音波、SPG膜を用いる方法が好ましい。製造方法の簡便さの観点から、SPG膜を用いる膜乳化法が好ましい。
このようにして得られたウレタン化触媒を内包するポリビニル樹脂微粒子を用いることで、水中においてウレタン化触媒が失活せず、また水系樹脂組成物に均一に分散するため、塗膜を形成する際にも効果的に触媒機能が発現する。
ポリオール樹脂(A)が有する水酸基とブロックポリイソシアネート化合物(B)が有する有効イソシアネート基との官能基当量は、特に限定されないが、水酸基1.0に対して有効イソシアネート基が0.10~1.5であることが好ましく、0.30~1.0であることがより好ましく、0.40~0.80であることが最も好ましい。水酸基1.0に対する有効イソシアネート基の当量が0.10未満の場合、ポリオール樹脂と解離したブロックポリイソシアネート化合物とが反応することで得られる架橋効果が減少し塗膜物性が悪くなる恐れがあり、有効イソシアネート基の当量が1.5を超える場合には解離した未反応のポリイソシアネート化合物が残留することで物性が悪化する恐れがある。
水系樹脂組成物中のウレタン化触媒の含有量は、ポリオール樹脂(A)とブロックポリイソシアネート化合物(B)の固形分全質量に対して10~5000ppmであることが好ましく、50~1000ppmであることがより好ましく、75~300ppmであることが最も好ましい。本発明においては、ウレタン化触媒はポリビニル樹脂に内包されているため、ウレタン化触媒が内包されているポリビニル樹脂微粒子(C)の添加量を調整することで、前記触媒量とすることができる。触媒量が10ppm未満の場合には十分なウレタン化反応の促進効果が得られず、5000ppmを超える場合には経済性が悪くなる恐れがある。
本発明の水系塗料組成物は、本発明の水系樹脂組成物を含む。水系塗料組成物とする際には、分散剤、消泡剤、沈降防止剤、防腐剤等の各種添加剤、及び顔料等を必要に応じて添加しても良い。
本発明の塗膜は、本発明の水系塗料組成物から形成される。本発明の水系塗料組成物を用いて樹脂塗膜を形成する方法としては、特に限定されないが、本発明の水系塗料組成物を基材の少なくとも一つの面に塗布した後、乾燥させる方法等が挙げられる。
本発明の水系塗料組成物を塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、アプリケーター法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ノズルコート法、グラビアコート法、リバースロールコート法、ダイコート法、エアドクターコート法、ブレードコート法、ロッドコート法、カーテンコート法、ナイフコート法、トランスファロールコート法、スクイズコート法、含浸コート法、キスコート法、カレンダコート法、押出コート法等が挙げられる。
乾燥させる際の乾燥温度は、特に限定されないが、20~300℃であることが好ましく、20~150℃であることがより好ましく、60~120℃であることが最も好ましい。乾燥温度が20℃未満であると、水溶剤が揮発せずに乾燥性が問題となる恐れがあり、300℃を超えると、樹脂の種類に関わらず塗膜が熱分解する恐れがある。また、乾燥時間は、特に限定されないが1分間~10日間であることが好ましく、1~30分間であることが更に好ましい。乾燥時間が1分間未満であると、乾燥不良となる恐れがあり、10日間を超えると、工程に要する時間が長くなるため生産性の観点から好ましくない。
本発明の水系塗料組成物から形成される塗膜の厚みは、特に限定されないが、0.05~300μmであることが好ましく、0.1~200μmであることがより好ましい。厚みが0.05μm未満であると、十分な塗膜物性が得られなくなる恐れがあり、300μmを超えると、内部応力により剥離する恐れがある。
このように得られた水系塗料組成物は、優れた塗膜を得ることができ、該塗膜を有する物品は、車両用関連部品、電子材料、構造材料、建材、家具、化粧シート、スポーツ用品、文房具等に好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りがない場合、%表記は質量基準である。
(実施例1)
以下の方法でウレタン化触媒を内包するポリビニル樹脂微粒子および水系樹脂組成物の製造、および塗膜物性の評価を行った。結果を表1に示す。
<ポリビニル樹脂微粒子の製造>
撹拌機、温度計、加熱装置、還流管を備えた容量2Lの四口セパラブルフラスコに、水を1201g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名 ラムテルE-118B、花王社製、cmc 0.55%)を54.0g、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業社製、食品添加物級)を1.77g、それぞれ室温下で仕込んだ。これらを25℃条件下で10分間撹拌し均一にすることで水層を得た。500mLのビーカーにメチルメタクリレート(東京化成工業社製、試薬特級、分配係数LogPow 1.25、ホモポリマーTg 378K)を236g、ベンジルアクリレート(商品名 ビスコート#160、大阪有機化学工業社製、分配係数LogPow 2.11、ホモポリマーTg 279K)を32.0g、ジオクチル錫ジラウレート(キシダ化学社製)を30.0g、それぞれ室温下で仕込んだ。これらを25℃条件下で10分間撹拌し均一にすることで有機層を得た。有機層を水層の入ったセパラブルフラスコへ移し、250rpmの撹拌速度で10分間撹拌することで、プレエマルション溶液を得た。
送液ポンプ、SPG膜(平均孔径1.5μm、SPGテクノ社製)を備えたSPG膜モジュール(SPGテクノ社製)、圧力計を連結させた容量2Lのタンクにプレエマルション溶液を室温下で全量移し、平均送液圧0.80MPaで10分間循環させることで、エマルション溶液を得た。
続いて、撹拌機、温度計、加熱装置、還流管を備えた容量2Lの四口セパラブルフラスコに、得られたエマルション溶液を室温下で全量移した後、窒素ガスを吹き込むことでフラスコ内を窒素置換した。これらを80℃まで昇温した後、過硫酸カリウム(和光純薬工業社製、試薬1級)4.66gおよび水40.4gから成る水溶液を加え、同条件下で均一に撹拌しながら3時間反応させることでウレタン化触媒内包ポリビニル樹脂微粒子の水分散物を得た。得られたポリビニル樹脂微粒子について、以下に記載の方法で平均粒径を測定した。
<平均粒径の測定>
動的光散乱法により求めた。条件は以下の通りである。装置として粒径測定装置(大塚電子社製ELSZ-2000)、セルとしてポリスチレン製プラスチックセル(SARSTEDT AG社製)をそれぞれ用いた。
<ガラス転移温度の算出>
ガラス転移温度(Tg)は下記に示すFOX式を用いて算出した。
1/Tg=m1/Tg1+m2/Tg2+m3/Tg3+・・・mn/Tgn (式)
ここで、m1、m2、m3およびmnは用いた各モノマーの質量部、Tg1、Tg2、Tg3およびTgnは用いた各モノマーのホモポリマーのTg(K)を表す。
<水系樹脂組成物の製造>
容量200mLのガラス瓶に、アクリルポリオール樹脂(商品名 バーノックWE-303、DIC社製、固形分換算水酸基価84mgKOH/g、固形分45%)、親水化変性ブロックポリイソシアネート硬化剤(商品名 BWD-102、東ソー社製、有効イソシアネート含量7.0%)、製造例1で得られたウレタン化触媒内包ポリビニル樹脂微粒子の水分散液および水を、表1に示す通りに仕込んだ後、ハンドミキサーを用いて均一となるまで攪拌することで水系樹脂組成物を得た。
<試験片の作成>
水系樹脂組成物をカラー鋼板基材(ユタカパネルサービス社製)にバーコーターを用いて塗布し、室温条件下で5分間静置した後、熱風乾燥器を用いて150℃で5分間乾燥させ、乾燥膜厚13μmの塗膜を有する試験片を得た。
<MEKラビング試験>
脱脂綿を重さ1kgの分銅に輪ゴムで固定し、メチルエチルケトン(MEK)を液が垂れない量まで浸み込ませた。これを得られた試験片上の塗膜に乗せ、塗膜と水平方向に移動させることで塗膜表面を擦った。10回擦る毎に塗膜表面を観察し、塗膜が剥離するまでの回数を確認した。ただし、100回を上限とした。100回以上であれば良好と言える。
(比較例1)
水系樹脂組成物を、ブロックポリイソシアネート硬化剤およびウレタン化触媒内包ポリビニル樹脂微粒子を加えない条件で製造し、150℃での乾燥時間を30分とした点を除いて実施例1に示す試験片作成およびラビング試験と同様の方法で塗膜物性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
水系樹脂組成物を、ウレタン化触媒内包ポリビニル樹脂微粒子を加えない条件で製造し、実施例1に示す試験片作成およびラビング試験と同様の方法で塗膜物性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例3)
水系樹脂組成物を、ウレタン化触媒内包ポリビニル樹脂微粒子を加えない条件で製造し、150℃での乾燥時間を30分とした点を除いて実施例1に示す試験片作成およびラビング試験と同様の方法で塗膜物性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例4)
水系樹脂組成物を、触媒としてジオクチル錫ジラウレートをそのまま加えた条件で製造し、実施例1に示す試験片作成およびラビング試験と同様の方法で塗膜物性を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の水系樹脂組成物によれば、ポリオール樹脂とブロックポリイソシアネート化合物とを含むことによって、短い硬化時間であっても硬化性を改善することができる。

Claims (9)

  1. ポリオール樹脂(A)、ブロックポリイソシアネート化合物(B)、およびウレタン化触媒を内包するポリビニル樹脂微粒子(C)を含み、
    ポリオール樹脂(A)が有する水酸基とポリイソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基との官能基当量が、水酸基1.0に対してイソシアネート基が0.10~0.8であり、
    ポリビニル樹脂微粒子(C)が、メチルメタクリレート及びベンジルアクリレートからなるポリビニル樹脂を構成成分とし、
    ポリビニル樹脂微粒子(C)の平均粒径が、30~2,000nmであることを特徴とする水系樹脂組成物。
  2. ポリオール樹脂(A)が、樹脂中に水酸基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、およびウレタン樹脂から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の水系樹脂組成物。
  3. ポリビニル樹脂微粒子(C)の、ウレタン化触媒とポリビニル樹脂の質量比が、ウレタン化触媒/ポリビニル樹脂として、10/90~90/10であることを特徴とする、請求項1または2に記載の水系樹脂組成物。
  4. ポリビニル樹脂のガラス転移温度が40~200℃であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の水系樹脂組成物。
  5. ポリビニル樹脂微粒子(C)が内包するウレタン化触媒が、ポリオール樹脂(A)とブロックポリイソシアネート化合物(B)の固形分全質量に対して10~5000ppmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水系樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の水系樹脂組成物を製造する方法であって、
    前記ウレタン化触媒、前記メチルメタクリレート及び前記ベンジルアクリレートを含む有機層と、水を含む水層と、を撹拌し、プレエマルション溶液を得ることと、
    該プレエマルション溶液から膜乳化法によりエマルション溶液を得ることと、
    該エマルション溶液よりウレタン化触媒を内包するポリビニル樹脂微粒子(C)を得ることと、を含む、水系塗料組成物の製造方法。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の水系樹脂組成物を含む水系塗料組成物。
  8. 請求項7に記載の水系塗料組成物から形成された塗膜。
  9. 請求項8に記載の塗膜を有する物品。
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