JP7467241B2 - 列車運転システム - Google Patents
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Description
また、列車重量に応じた走行パターンを地上のチェックポイントの通過速度を予測し、線区を走行中の全列車の走行パターンを運行管理装置で監視することで遅れが予測される列車の出発合図を調整するようにした発明が提案されている(特許文献3参照)。
しかし、特許文献4に記載されている発明は、予測混雑率情報と列車間隔情報を旅客が乗車列車を選択するのを支援するために提供することを目的としており、予測混雑率情報と列車間隔情報に基づいて列車の次駅停車時間や走行速度を制御することについては記載されていない。
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、列車間隔の乱れおよびそれに伴う遅延の拡大が予想される場合に、列車間隔の乱れを解消し遅延の拡大を防止することができる列車群制御装置および列車自動運転システムを提供することを目的とする。
走行する列車の位置を把握し列車の走行に関する制御情報を前記列車へ送信する機能を有する列車群制御装置と、予め設定された規定停車時間または前記列車群制御装置から送信されて来る停止時間情報に応じた時間だけ少なくとも駅に停止した後に発車する複数の列車と、を有する列車運転システムにおいて、
走行する列車の車両ごとの乗車率に関する情報を取得する乗車情報取得手段と、
前記列車が停止する駅のホームの混雑に関する情報を取得する混雑情報取得手段と、
前記乗車率に関する情報と駅ホームの混雑情報とから次停車駅における停車時間の予測値を算出する予測停車時間算出手段と、
各列車の位置情報と前記停車時間の予測値とに基づいて、列車間隔が最も長くなると予測される2台の列車をワーストペアとして抽出するワーストペア抽出手段と、
所定のアルゴリズムに従った群制御を開始するか否か判定する群制御開始判定手段と、
前記ワーストペアの列車間隔に基づいて予測停車時間の規定停車時間に対する超過時間を算出する超過時間算出手段と、
前記群制御開始判定手段が、群制御を開始すると判定した場合に、前記超過時間を先行の列車と後続の列車のうち基準となる列車に近い列車ほど配分量が多くなるように設定された傾斜配分係数で分配し、前記ワーストペアのうち後ろの列車を基準としてそれよりも先行の列車と後続の列車へ、前記規定停車時間に前記分配された時間を加算した停止時間情報を生成する停止時間情報生成手段と、
前記停止時間情報生成手段により生成された情報を、対応する先行の列車および後続の列車のそれぞれへ送信する情報送信手段と、を備えているように構成したものである。
また、超過時間を、前記先行の列車と後続の列車のうち基準となる列車に近い列車ほど配分量が多くなるように設定された傾斜配分係数に従って分配するため、超過時間を等分して先行列車や後続列車に分配する場合に比べて、精度の高い群制御を行うことができ、短時間に列車間隔の乱れを解消し遅延の拡大を防止することができる。
かかる構成によれば、車両の乗車率と駅ホームのスポットごとの混雑率を対応させて総合的に判断することができるため、より精度の高い次駅停止時間の予測を行うことができる。
前記情報送信手段は、前記停止時間情報生成手段により生成された情報と、前記コマンド生成手段により生成されたコマンドを、対応する後続の列車へ送信するように構成する。
かかる構成によれば、ワースト以外のペアの列車間隔に基づいて群制御を開始する場合に比べて、より短時間に列車間隔の乱れを解消し遅延の拡大を防止することができる。
前記自動運転列車が利用者の乗降のために停止する駅に対応して設けられ、対応する駅のホームの混雑状況に関する情報を提供する駅情報管理装置をさらに備えているように構成したものである。
駅のホームに設置された撮像装置からの画像情報を画像処理して利用者を識別可能な画像処理手段と、
駅の改札口に設置された改札機から入場者情報を取得する改札機情報取得手段と、
を備え、前記画像処理手段により識別された利用者情報と前記改札機情報取得手段によって取得した入場者情報とに基づいて、ホームを長手方向に分割したエリアごとの混雑を表わすスポット情報を生成するように構成する。
かかる構成によれば、駅のホームの所定時間後の混雑率を精度よく予測することができ、それによって着目する列車の次駅での停車時間の予測精度を高めることができる。
図1に示すように、本実施形態に係る列車自動運転システムは、列車10に搭載された自動運転制御機能を有する車上システム20と、列車の位置や進路を把握しダイヤに従って走行しているか監視して図示しない信号保安システムへ進路情報を出力するとともに走行中の列車へ各種制御情報を送信する列車運行システム30と、各駅に設けられプラットホーム(以下、ホームと略す)の混雑情報等を列車運行システム30へ送信する駅情報管理装置41によって構成されている。
上記ATO中央装置32は、マイクロプロセッサ(MPU)と、MPUが実行するプログラムを記憶するROMのような不揮発性記憶装置とRAMのような読み出し書き込み可能な記憶装置と、ネットワーク通信手段などから構成される。
一方、ATO車上装置22は、車両に搭載されている記憶装置24に予め記憶されている駅間ごとに作成された走行パターン(ATOパターン)を読み出して、あるいはATO中央装置32からの次駅停車時刻等の情報に基づいて走行パターンを生成して、その走行パターンとそのときの列車の位置や走行速度に基づいて必要なノッチ指令を力行/制動制御部へ出力し、走行駆動装置(モータ)およびブレーキ装置(制動装置)を制御して走行パターンに従って走行させる機能を有する。
さらに、通信ネットワーク33には、ATO中央装置32におけるATO車上装置22から収集した情報や駅情報管理装置41から収集した情報、制御モード等の状態監視情報を表示装置に表示させる機能を有する指令端末35が接続されている。この指令端末35は、ATO中央装置32に対して、個別制御モードまたは群制御モードの自動選択機能の有効/無効を設定したり、例えば豪雨や強風、事故等の発生時に、指定した区間で速度を抑えて運転する臨時速度制限のような指令(コマンド)をATO中央装置32に対して与えたりすることが可能に構成されている。
図2は、ATO中央装置32における列車および駅の混雑状況の把握の仕方を示す模式図である。このうち(A)は予測処理を実行する時点での着目する列車および次駅混の雑率、(B)は当該列車が次駅に到着する時点での列車および次駅の混雑率を表わしている。
後述の次駅停止時間の算出においては、最も乗車率の高い車両と最も混雑率の高いスポットに依存して停止時間が決定される。従って、最も乗車率の高い車両と最も混雑率の高いスポットが合致した場合に、その位置で想定される乗降時間が最も長くなる。
具体的には、各車両のうち最も乗車率の高い車両の乗車率と、次停車駅のホームのうち最も混雑率の高いスポットの混雑率と、予め統計処理により設定されデータベースに記憶されている情報(到着までに増加する混雑率、混雑率に対応した乗降所要時間)に基づいて利用者が乗降に要する時間を予測する。また、各車両の乗車率と次駅の各スポットの混雑率とから車両ごとに乗降所要時間を算出して、最も長いものを予測乗降時間として決定するように構成しても良い。
図3において、丸印は環状に敷設された鉄道線路12上を走行する列車、線路12に沿って所定の間隔をおいて設けられている矩形枠は駅であり、実線は実績停車時間のある駅、破線は停車時間予測対象の駅である。また、列車A,Bは最も列車間隔が開いた前後2台の列車である。なお、図3において、鉄道線路12上の各列車A,Bは半時計回り方向に走行するものとする。
そして、このような状況を放置しておくと、図3(C)に示すように、列車Bと先行の列車Aとの間隔がさらに長くなるとともに、後続の列車Cとの間隔がどんどん短くなって、複数の列車が団子状態で走行する状況が発生して輸送力が低下し、ますます遅延が増大することが知られている。
群制御は、先行列車間隔拡大の抑制制御と後続列車間隔縮小の抑制制御とに分けられる。このうち、先行列車間隔拡大の抑制制御は、列車間隔が予め定めたしきい値(距離)を超過した場合に、列車群の中で最も列車間隔の拡大した2列車のうち後続側列車(以降、基準車と称する)から数えてn本先、n-1本先、n-2本先、……1本先の先行列車群に対して、基準車の直近の駅停車時間(超過見込み時間)に相当する間隔調整用停車時間を、傾斜配分係数を乗じて分担させるという制御である。
なお、上記制御におけるnやmの数は、間隔調整用停車時間の長さや走行環境(駅間距離の大小、カーブ区間の有無等)に応じて動的に変化させるようにする。また、先行列車に対しても運転モードをスロー運転に切り替える指令を送信するようにしても良い。
なお、群制御が開始される直前の初期状態においては、各列車は、個別制御モードすなわち各列車のATO車上装置22がATO中央装置32からの指令を受けることなく自己の判断で、自身の実施ダイヤ情報に基づいて決定したATOパターンに従って運転制御を実行して走行している(ステップS1)。また、各列車は、個別制御モードにおいて、運転中に遅延が生じた場合には遅延を回復するための制御(遅延回復運転)を実行可能に構成されている。これにより、ある程度の遅延は回復することができる。
そして、ステップS6で、「YES」すなわちワーストペアの列車間隔がしきい値距離よりも大きいと判定した場合は、ステップS7へ進み、最初のYES判定であるか否か判定する。ここで、最初のYES判定の場合にはステップS8へ進み、2回目以降のYES判定の場合にはステップS8をスキップしてステップS9へ移行する。
そして、ステップS8では、初期状態の個別制御モードをリセットして全列車の運転モードを、ATO中央装置32からの制御情報を受け付けて運転制御に反映する平常モードに戻し、群制御モードフラグをセットする。
さらに、上記実施形態の列車自動運転システムにおいては、汎用のマルチエージェントシミュレータ(一定のルール化で自律して移動する複数の座標を制御モデルとした模擬社会環境)を活用し、列車走行線区と駅停車、混雑や乗降時間等の列車運行モデルを構築した上で、上記実施形態の制御アルゴリズムを適用するように構成することができ、それによって、導入時のシステムの性能評価や運用後の制御調整を、上記シミュレーションを活用して実施することができる。なお、ステップS7では、ステップS6で「YES」と判定した回数を計数し、その回数を指令端末35へ送信して、指令端末35において予め設定された群制御許容時間の超過の判定を行い、超過した場合に表示装置に超過を表示して指令担当者に通知するようにしても良い。
次に、上記実施形態の列車運行システムの変形例について説明する。
列車やバスなどの群制御に関しては、以下のような乗客数と運転間隔のモデル式
m’=(1-β)*m+γ*s
s’=s+b*(β*m+γ*s)-c
を使って、乗客数mを縦軸、乗降時間に応じて増減する運行間隔sを横軸にとった図5に示すような制御判定マップを作成し、交通機関の利用者の待ち時間を減らす制御技術が知られている。なお、上記モデル式において、m’およびs’は着目する列車が次駅を発車する時の乗客数および先行列車との間隔(時間)、γは駅の乗客増加率、βは次駅の乗客の降車率、b,cは係数である。また、Aは不動点でありその座標は、m=c/2bβ、s=c/2brで与えられる。
平常時の列車の間隔と乗客数は、不動点Aの少し左下にあり、放っておけば列車の間隔はだんだん狭くなるが、通常はそうはならないように各駅で少しずつ発車時刻を遅らせて調整することが実施されている。
上記のような判定方式とすれば、前記実施形態におけるホーム混雑率等のリアルタイム情報を使った予測値を使う方式に加え、より定量的に制御モード切換指標を管理することができる。なお、各駅間が等距離である場合には、図5のマップ(テーブルデータ)は一つで良いこともあるが、実際の環状線は駅間距離がそれぞれ異なるので、駅ごとあるいは駅間ごとにマップ(テーブルデータ)を用意しておくようにするのが望ましい。
また、上記実施形態では、駅のホームの混雑状況に関する情報を、ホームを列車の車両長さに応じて長手方向に分割したエリアごとの混雑を表わすスポット情報として提供しているが、ホームの長手方向に沿って連続した混雑分布を示す情報として提供するようにしても良い。
11 地上子
12 鉄道線路
20 車上システム
21 ATC車上装置
22 ATO車上装置
23 車両インタフェース
24 記憶装置
30 列車運行システム
31 ダイヤ管理装置
32 ATO中央装置(列車制御装置)
33 通信ネットワーク
41 駅情報管理装置
Claims (6)
- 走行する列車の位置を把握し列車の走行に関する制御情報を前記列車へ送信する機能を有する列車群制御装置と、予め設定された規定停車時間または前記列車群制御装置から送信されて来る停止時間情報に応じた時間だけ少なくとも駅に停止した後に発車する複数の列車と、を有する列車運転システムにおいて、
走行する列車の車両ごとの乗車率に関する情報を取得する乗車情報取得手段と、
前記列車が停止する駅のホームの混雑に関する情報を取得する混雑情報取得手段と、
前記乗車率に関する情報と駅ホームの混雑情報とから次停車駅における停車時間の予測値を算出する予測停車時間算出手段と、
各列車の位置情報と前記停車時間の予測値とに基づいて、列車間隔が最も長くなると予測される2台の列車をワーストペアとして抽出するワーストペア抽出手段と、
所定のアルゴリズムに従った群制御を開始するか否か判定する群制御開始判定手段と、
前記ワーストペアの列車間隔に基づいて予測停車時間の規定停車時間に対する超過時間を算出する超過時間算出手段と、
前記群制御開始判定手段が、群制御を開始すると判定した場合に、前記超過時間を先行の列車と後続の列車のうち基準となる列車に近い列車ほど配分量が多くなるように設定された傾斜配分係数で分配し、前記ワーストペアのうち後ろの列車を基準としてそれよりも先行の列車と後続の列車へ、前記規定停車時間に前記分配された時間を加算した停止時間情報を生成する停止時間情報生成手段と、
前記停止時間情報生成手段により生成された情報を、対応する先行の列車および後続の列車のそれぞれへ送信する情報送信手段と、
を備えていることを特徴とする列車運転システム。 - 前記駅のホームの混雑に関する情報は、前記ホームを列車の車両長さに応じて長手方向に分割したエリアごとの混雑を表わすスポット情報として提供されることを特徴とする請求項1に記載の列車運転システム。
- 前記群制御開始判定手段が、群制御を開始すると判定した場合に、前記停止時間情報生成手段が生成した停止時間情報に応じて、後続の列車へ通常時の走行速度よりも遅い速度で走行することを指示するコマンドを生成するコマンド生成手段を備え、
前記情報送信手段は、前記停止時間情報生成手段により生成された情報と、前記コマンド生成手段により生成されたコマンドを、対応する後続の列車へ送信するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の列車運転システム。 - 前記群制御開始判定手段は、前記ワーストペア抽出手段により抽出されたワーストペアの列車間隔が所定のしきい値を超えた場合に群制御を開始することを決定するように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の列車運転システム。
- 前記複数の列車は、各々所定の走行パターンに従って走行駆動装置およびブレーキ装置を制御する運転制御手段および車両ごとの乗客数に関連する情報を検出する乗客数関連情報検出手段を有する自動運転列車であり、
前記自動運転列車が利用者の乗降のために停止する駅に対応して設けられ、対応する駅のホームの混雑状況に関する情報を提供する駅情報管理装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の列車運転システム。 - 前記駅情報管理装置は、
駅のホームに設置された撮像装置からの画像情報を画像処理して利用者を識別可能な画像処理手段と、
駅の改札口に設置された改札機から入場者情報を取得する改札機情報取得手段と、
を備え、前記画像処理手段により識別された利用者情報と前記改札機情報取得手段によって取得した入場者情報とに基づいて、ホームを長手方向に分割したエリアごとの混雑を表わすスポット情報を生成するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の列車運転システム。
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