JP7466005B2 - 運動用タイツ - Google Patents

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Description

本発明は、例えばランニングタイツ等の、運動時に着用する運動用タイツに関する。
運動用タイツの一例として、ジョギングやランニング、そしてマラソン競技といった、比較的長距離、長時間走る人が着用するランニングタイツがある。ランニングタイツは、適度な締め付け感で脚をサポートするため、例えば、長距離ランニングに不慣れな初心者を中心に広く着用されている。
マラソンのような長距離、長時間のランニング動作は、身体への負担が大きい。特に着地の際に、体重の3~4倍の力が衝撃として加わると言われている。この衝撃により、障害が走行者の膝に発生することが多い。そのため、膝のサポート機能を充実させたランニングタイツが多く存在する。このランニングタイツは、例えば、着用者の膝関節の周囲を高強度領域で覆うことで、安定性を付与する「テーピング固定」の原理を応用した、着用者に高い着圧を付与する構造を有するものが多い。しかしながらランニングにおいては、遊脚期(脚が地面から離れている期間)において、膝関節を曲げる必要があるため、膝関節の周囲に高着圧が付与されると走りやすさが損なわれてしまう。いくらサポート力が高くても、走りにくければ着用者が疲労しやすくなるので、長時間快適に走行することは困難である。
本願の出願人は、日本国特開2018-104870号公報に記載のような、接地中の膝をサポートする構造を有する膝着用体を出願した。この膝着用体は、膝関節を固定する従来のサポート構造を有するものではなく、膝関節に伸展力を生み出すための高強度領域を配置しており、着用者の重心の上下運動を抑制しつつ膝関節の可動を妨げず、着用者に低い着圧を付与するものであった。しかしこの膝着用体は、短距離の走行競技を対象とし、サポート力が高い高剛性生地の活用を想定したものであった。
一方、長距離または長時間のランニングにおいては、着用者が快適に走行し続けられる機能が求められている。そしてこの機能は、ランニングタイツに限られるものではなく、例えば、ウォーキング、または、テニス、バスケットボール等の球技を行う者が着用するタイツにおいても、有していることが好ましい。
日本国特開2018-104870号公報
本発明は、適度なサポート性を有していて、かつ、着用者の疲労を軽減させる運動用タイツの提供を課題とする。
本発明は、タイツを構成する生地において、高強度領域と低強度領域とを有し、前記高強度領域は前記低強度領域に対して相対的に高い引張強度を有し、前記低強度領域は前記高強度領域に対して相対的に低い引張強度を有しており、前記高強度領域は、タイツにおける上端から下端まで連続的に配置されると共に、少なくとも第1頂点、第2頂点、第3頂点によって三角形以上の多角形状領域が画定され、前記第1頂点は、着用時における着用者の脛骨における上部に重なる位置に配置され、前記第2頂点は、着用者の脚部外側部でありかつ大腿外側広筋に重なる位置に配置され、前記第3頂点は、着用者の脚部内側部でありかつ大腿内側広筋に重なる位置であって前記第2頂点よりも低い位置に配置され、前記高強度領域のうち、着用時における着用者の膝蓋骨に対して上下方向で一致する部分が、着用時における着用者を基準とした膝関節の屈曲中心よりも前方に配置され、前記低強度領域は、前記多角形状領域内であって、着用時における着用者の膝蓋骨の前方に配置され、かつ、前記高強度領域に囲まれるように配置されている運動用タイツである。
また本発明は、タイツを構成する生地において、高強度領域と低強度領域と中強度領域とを有し、前記高強度領域は前記低強度領域に対して相対的に高い引張強度を有し、前記低強度領域は前記高強度領域に対して相対的に低い引張強度を有し、前記中強度領域は、前記高強度領域に対して相対的に低く、かつ、前記低強度領域に対して相対的に高い引張強度を有しており、縫い目が着用者の脚部内側に対応する左右いずれか一方の身頃を、縫製しないまま平置きした状態である基準状態にて、前記高強度領域と前記低強度領域とが、以下の(1)~(4)で特定された位置関係となっている運動用タイツである。
(1)前記高強度領域は、前記基準状態におけるウエスト側端部から裾側端部まで連続的に配置される。
(2)前記高強度領域により、前記基準状態において最も裾側にある第1頂点、後身頃側で前記第1頂点よりもウエスト側にある第2頂点、前身頃側で前記第1頂点よりもウエスト側にあって、かつ、前記第2頂点よりも裾側にある第3頂点の、少なくとも3つの頂点を有する三角形以上の多角形状領域が画定される。
(3)前記多角形状領域は、着用時に前記裾側端部が着用者の足首位置にある長タイツでは、前記ウエスト側端部の長さ1/2位置のウエスト半点と前記裾側端部の長さ1/2位置の裾半点とを結ぶ第1直線と、前記裾側端部の端縁に略平行で、前記第1直線に対して長さ1/2の位置で交差する第2直線と、により4個の領域に分けられたうち、前身頃側かつウエスト側の領域に大部分が位置し、
着用時に前記裾側端部が着用者の膝直下の位置にある短丈タイツでは、前記ウエスト側端部の長さ1/2位置のウエスト半点と前記裾側端部の長さ1/2位置の裾半点とを結ぶ第1直線と、前記裾側端部の端縁に略平行で、前記第1直線に対して前記裾側端部から長さ1/4の位置で交差する第2直線と、により4個の領域に分けられたうち、前身頃側かつウエスト側の領域に大部分が位置する。
(4)前記第1頂点は、前記長タイツ及び前記短タイツで、前記ウエスト側端部の前身頃側長さ1/4位置のウエスト四半点と前記裾側端部の前身頃側長さ1/4位置の裾四半点とを結ぶ第3直線の近傍に位置する。
(5)前記中強度領域は、前記多角形状領域内であって、前記低強度領域のウエスト側方向に配置され、かつ、前記高強度領域に囲まれるように配置されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る運動用タイツ(具体的にはランニングタイツ)の、着用時の前側を示す正面図である。 図2は、前記ランニングタイツの、着用時の後側を示す背面図である。 図3は、前記ランニングタイツの、着用時の横側を示す右側面図である。 図4は、前記ランニングタイツの、左身頃の生地を広げた状態であって、ウエスト側を上側に、裾側を下側に示した展開図である。 図5は、図4の展開図において、三角形領域がいかに特定されるかを追加で示した図である。 図6は、図4の展開図において、三角形領域の生地上の位置の特定を追加で示した図である。 図7は、本発明の他の実施形態に係る運動用タイツ(具体的には短丈のランニングタイツ)の、左身頃の生地を広げた状態の展開図であって、三角形領域の生地上の位置の特定を示した図である。 図8は、前記ランニングタイツの着用時の左脚側であって、大腿外側に対応する部分を右側に、大腿内側に対応する部分を左側に示した要部拡大正面図であって、高強度領域、低強度領域、中強度領域の配置を示す。 図9は、前記ランニングタイツの着用者の、膝周辺の骨格例を側方から示した模式図である。 図10は、前記ランニングタイツの着用者の、膝周辺の筋肉の配置例を正面側から示した模式図である。 図11は、前記ランニングタイツの着用者の、膝周辺部分と高強度領域との関係を簡略的に示した図である。 図12Aは、前記ランニングタイツの中強度領域の形態例を示す図である。 図12Bは、前記ランニングタイツの中強度領域の形態例を示す図である。 図12Cは、前記ランニングタイツの中強度領域の形態例を示す図である。 図12Dは、前記ランニングタイツの中強度領域の形態例を示す図である。 図12Eは、前記ランニングタイツの中強度領域の形態例を示す図である。 図12Fは、前記ランニングタイツの中強度領域の形態例を示す図である。 図12Gは、前記ランニングタイツの中強度領域の形態例を示す図である。 図13は、ランニング動作において、走行者の重心の上下変化を説明するための図である。 図14は、走行効率性に関するグラフを含む模式図である(ただし、グラフ中の縦軸及び横軸の数値は一例に過ぎない)。 図15は、前記ランニングタイツの、大腿揺れ抑制作用を説明するための図である。 図16は、前記ランニングタイツの、臀部サポート作用を説明するための図である。
本発明につき、運動用タイツの一実施形態としてロングタイプのランニングタイツ(以下「タイツ」ともいう)1を、図面とともに例示する。なお、以下の説明における方向及び各部の位置関係は、ランニングタイツ1の着用時(使用時)の方向及び各部の位置関係に対応している。この位置関係の対応は、着用者の解剖学的な部位に対してランニングタイツの各部が理想的に一致した場合の対応(つまり、設計通りの対応)を示しているが、実際の着用状態では、着用者の体格の影響によりずれが生じることの考慮が必要である。なお、本発明の適用対象のタイツは、ロングタイプであって、裾側端部が着用者の足首位置にある長タイツに限定されず、例えば裾側端部が着用者の膝直下の位置にある短丈タイツであるカプリタイツも該当する。
本実施形態では、タイツ1を構成する生地であって、着用時に着用者の腰部及び脚部を覆う生地において、高強度領域Hと、低強度領域Lと、中強度領域Mと、を、生地に対して平面視した場合に異なる位置(重なり合わない位置)に有する。図1~図4において、高強度領域Hは白色表示された領域であり、低強度領域Lはドット表示された領域であり、中強度領域Mは縞状に表示された領域である。
なお、ここで言う「着用者」とは、日本国所在の一般社団法人人間生活工学センター(HQL)が規定する標準的な体型の人など、一般的な体形の人、あるいは、ランニングなどの競技に参加するアスリートを想定している。
高強度領域H(を構成する生地、以下同じ)は低強度領域Lに対して相対的に高い引張強度を有し(つまり、伸びにくい)、低強度領域Lは高強度領域Hを構成する生地に対して相対的に低い引張強度を有している(つまり、伸びやすい)。また、中強度領域Mは、高強度領域Hに対して相対的に低く、かつ、低強度領域Lに対して相対的に高い引張強度を有する。なお、本発明において中強度領域Mの形成は必須でなく、タイツ1を構成する生地において、高強度領域Hと低強度領域Lだけを有することもできる。高強度領域Hの引張強度は、低強度領域Lの引張強度に比べて1.1倍以上である。好ましくは1.3~10倍である。
本実施形態のタイツ1は、例えば複数の生地を組み合わせて縫製することによって、高強度領域H、低強度領域L、中強度領域Mを有するように形成できる。また、生地を部分的に溶解することによっても形成することができる。この場合、着用者の肌に触れる部分に生じる縫い目を減少させることができることにより、着用感が良好となるメリットがある。その他、高強度領域H、及び、中強度領域Mにおいて高強度領域Hを構成するのと同じ生地部分を、プリント加工やラバー加工を用い、樹脂を塗布して形成することもできる。
中強度領域Mは、高強度領域Hを構成するのと同じ生地と、低強度領域Lを構成するのと同じ生地とが、同一平面内において混在することで形成されている。こうすることで、有する引張強度に関して2種の生地で中強度領域Mを形成できるため、3種以上の生地を用意する必要がない。このため、原材料コスト(在庫コスト等)を低減できる可能性がある。ただし、例えばカットソー(裁断及び縫製)の手法でタイツ1を形成する場合、中強度領域Mを、高強度領域Hを構成するのと同じ、相対的に高い引張強度を有する生地と、低強度領域Lを構成するのと同じ、相対的に低い引張強度を有する生地のいずれとも異なる「第3の生地」を用いて形成することも可能である。
中強度領域Mを形成するための、相対的に高い引張強度を有する生地M1と、相対的に低い引張強度を有する生地M2との組み合わせ例は、例えば、図12A~図12Gに示すようなパターンが考えられる。図中で濃度の薄い領域が相対的に高い引張強度を有する生地M1に相当し、濃度の濃い領域が相対的に低い引張強度を有する生地M2に相当する。図12Aは、幾何学形状(図示例では円形)とされた相対的に高い引張強度を有する生地M1が複数、相対的に低い引張強度を有する生地に対して離間して配置されたものである。図示例では離間間隔は均等であるが不均等であってもよい。図12B、図12Cは、相対的に高い引張強度を有する生地M1が相対的に低い引張強度を有する生地に対して格子状に配置されたものである。図示例では格子の広さは均等であるが不均等であってもよい。また、図示例では相対的に高い引張強度を有する生地M1が直線状とされて直交しているが、鋭角や鈍角で交差していてもよい。図12D、図12Eは、相対的に高い引張強度を有する生地M1が相対的に低い引張強度を有する生地に対して縞状に配置されたものである。図12Fは、相対的に高い引張強度を有する生地M1が相対的に低い引張強度を有する生地に対して六角格子状に配置されたものである。図12Gは図12Fと逆パターンで、六角形状とされた相対的に高い引張強度を有する生地M1が複数、相対的に低い引張強度を有する生地に対して離間して配置されたものである。図示のように、相対的に低い引張強度を有する生地に対し、相対的に高い引張強度を有する生地M1が間欠的に配置されることで、中強度領域Mが形成される。
本実施形態の中強度領域Mは、高強度領域Hを構成するのと同じ生地M1と、低強度領域を構成するのと同じ生地M2と、が相互に縞状に並ぶことによって形成されている。こうすることで、有する引張強度に関して2種の生地で中強度領域Mを形成できると共に、帯状の生地(特に生地M1)により、生地の両端部間に張力を働かせることができる。本実施形態では、着用者の身体基準での前側及び後側のそれぞれにおいて、各脚の外側から内側に向かい、上方から斜めに下降する方向に帯状の生地が延びている。このため、例えば大腿においては、大腿の周方向に対して傾斜した方向に相対的に高い引張強度を有する帯状の生地の長手方向を沿わせることが可能なため、当該生地の張力を有効に大腿に作用させることができる。なお、前記「帯状の生地」には、他部分から独立した生地に限られず、例えば樹脂プリントにより形成されたドット状部分の集合体が帯状の形態となっているものも含まれる。
なお、各領域の引張強度は、例えば、JIS L 1096に準拠して測定した強度で評価することができる。本実施形態の場合、試験に供する生地の試験片は幅5cm、長さ20cmとしている。なお、試験片の長手方向は、タイツ1の使用時の長手方向に対応させる。引張試験機のチャック間寸法は10cmとする。試験実施時の引張速度は200mm/min、サンプリング周波数は5fps以上、試験時の設定最大伸長を100%(チャック間寸法20cm)とする。この条件のもとで、50%(チャック間寸法15cm)伸長時での試験片の張力が0.7N/cm以上4.0N/cm以下である生地を「高強度」とし、0.6N/cm以下(下限値は設定なし)の生地を「低強度」と規定する。ここで「中強度」に関しては、「高強度」の生地と「低強度」との組み合わせにより形成されることから、数値によっては規定しない。なお、ここに示した測定方法はあくまでも一例に過ぎず、各領域の引張強度を他の測定方法によって評価することもできる。特に、「高強度」、「低強度」は相対的な評価であるから、一定の測定方法で得られた結果により、引張強度の高低を相対的に評価すれば足りる。
高強度領域Hは、図1~図4(図4は、縫製前等で展開状態である半身頃(具体的には左身頃)のタイツ生地1aを示し、後述する基準状態を示す)に示すように、タイツ1の胴部における上端の腰周回部21、タイツ1の脚部における下端(厳密には下端よりもわずかに上方)の足首周回部22、そして、腰周回部21と足首周回部22の双方に連結して上下に延びる上下延長部23に位置している。そして、腰周回部21のうち背面側区間から下方に延びる上臀部対応部24に位置している。また、上下延長部23の上部から分岐した前大腿内側延長部25及び後大腿内側延長部26、上下延長部23の下部から分岐した下腿周回部27にも位置している。本実施形態のタイツ1では、腰周回部21(上下延長部23の上部、上臀部対応部24の上部も含む)が、着用者に対して上部で位置固定する上端固定部分として機能し、足首周回部22(上下延長部23の下部も含む)が、着用者に対して下部で位置固定する下端固定部分として機能する。
足首周回部22の裏面(肌当たりする部分)には、滑り止めが施されている。また、下降する上下延長部23は着用者の脚部に対し、図3に示すように腰部から大腿にかけては側方を通り、大腿から膝部にかけて側方から前方に向かい、下腿では脚部前方を通って足首周回部22に連結している。また、前大腿内側延長部25のうち上部、及び、後大腿内側延長部26は、着用者の大腿骨の略中央に対応し、大腿の最大周囲長を有する部分を周回している。
高強度領域Hは、上下延長部23として、タイツ1の着用時に着用者の腰部に相当する部分から膝下部に相当する部分まで連続的に配置される。なお、タイツ1がカプリタイツである場合は、高強度領域Hの下端は、脛骨X2の上部に対応した位置である。この配置により、着用者の腰部から膝下部に至るまで高強度領域Hの張力を伝達できる。よって、後述する高強度領域Hの膝関節の屈曲中心JCに対する作用が確実になされる。なお、前記張力の伝達を阻害しないため、前記連続的に配置された高強度領域Hの裏面(肌当たりする部分)については、滑り止めを施さないことが好ましい。
着用時における着用者の脛周辺には、高強度領域Hによって、図8に示すように、第1頂点31、第2頂点32(第2頂点32は着用時に脚部側方に位置し、図8にはその位置が表示されている)、第3頂点33によって、着用者の大腿の前方を覆う三角形状領域Tが画定される。この三角形状領域Tは、着用者の脚部の前面のうち、大腿の一部、下腿の一部、膝の各々を含んで覆うように画定される。三角形状領域Tは、上下延長部23及び前大腿内側延長部25の幅方向略中央を通る仮想の辺34~36(図5~図8に破線で表示)を有する三角形状の領域である。各辺34~36は、図5~図8に示すように、着用者の脚部の前面に配置される高強度領域Hの内部に位置する。従って、後述のように走行効率性を向上させるよう機能する高強度領域Hは、三角形状領域Tよりも広がりをもった領域である。なお、三角形状領域Tにおける外縁(前記各頂点31~33及び各辺34~36を含む)は厳密に定められることは要さず、高強度領域H、中強度領域M、低強度領域Lの形成範囲をもとに、大まかに画定できれば足りる。着用時では、第1頂点31は、着用者の脛骨X2(図9参照)の上部に重なる位置に配置され、第2頂点32は、大腿外側広筋Y1(図10参照)に重なる位置に配置され、第3頂点33は、大腿内側広筋Y2(図10参照)に重なる位置であって第2頂点32よりも低い位置に配置されている。各頂点によって画定される領域の形状は、三角形状に限定されるものではなく、第4以上の頂点を含めて画定される四角以上の多角形状であってもよい。また、多角形(本実施形態では三角形)を構成する辺は直線であっても湾曲線であってもよい。つまり、視覚的に多角形のように見える形状は全て多角形(実質的な多角形)に該当する。また、多角形の頂点は明瞭に屈曲していなくてもよく、カーブを描くような変曲部分が頂点に相当していてもよい。
ここで、着用時では着用者の身体の表面形状の影響を受けることから、着用時ではなく、縫製前の平坦な状態(図4参照)のタイツ生地1aでも三角形状領域Tを特定しておく。図4には、縫い目が着用者の脚部内側に対応する(いわゆる「インシーム」での)左身頃であって、縫製しないまま(または縫い目をほどいて)平面上に平置きした状態としたタイツ生地1aが示されている。インシームの縫い目11,12(身頃前後縁部(図4上での左右縁部)に相当)は、着用者の内股から内くるぶしを通る位置に対応する。この図4に示した状態を、本実施形態における三角形状領域Tの特定のための基準状態とする。本実施形態では、高強度領域H、中強度領域M、低強度領域Lの各々が、以下に示す第1~第4の位置関係となっている。
第1の位置関係として、高強度領域Hは、基準状態におけるウエスト側端部(図4における上端部)から裾側端部(図4における下端部)まで連続的に配置される。
第2の位置関係として、高強度領域Hにより、基準状態において最も裾側にある第1頂点31、後身頃側で第1頂点31よりもウエスト側にある第2頂点32、前身頃側で第1頂点31よりもウエスト側にあって、かつ、第2頂点32よりも裾側にある第3頂点33の、少なくとも3つの頂点を有する三角形状領域Tが画定される。
ここで、第1頂点31、第2頂点32、第3頂点33は、以下のようにして定められる。まず、図5に示すタイツ生地1aにて、上下延長部23のうち、中強度領域M及び低強度領域Lの組み合わせによって形成された略三角形状の領域に対して身頃後方に隣接する上下延長部23の幅方向略中央を通る仮想線を第1辺34とする。そして、中強度領域M及び低強度領域Lの組み合わせによって形成された略三角形状の領域のうち最も裾側に位置する最下点41を通る垂線42と第1辺34との交点を第1頂点31とする。なお垂線42は、タイツ生地1aの裾側端部における端縁13に直交する仮想線である。
中強度領域M及び低強度領域Lの組み合わせによって形成された略三角形状の領域の身頃後方の頂点43を通る垂線44に沿い、ウエスト側5cmの位置の点45を定める。なお垂線44は、タイツ生地1aの裾側端部の端縁13に直交する仮想線である。そして、前記点45を通る水平線46(垂線44に直交する仮想線)と第1辺34との交点を第2頂点32とする。
タイツ生地1aの身頃前縁部13(図5上での左縁部)において高強度領域Hが位置する複数の部分のうち最もウエスト側に位置する点を第3頂点33とする。また、第1頂点31と第3頂点33とを結ぶ仮想線を第2辺35とし、第2頂点32と第3頂点33とを結ぶ仮想線を第3辺36とする。
このように、第1頂点31、第2頂点32、第3頂点33、及び、各頂点を結ぶ仮想線である、第1辺34、第2辺35、第3辺36が定められることで、三角形状領域Tが特定される。
以上、着用時に裾側端部が着用者の足首位置にある長タイツのタイツ生地1aの場合(図4~図6参照)について説明したが、着用時に裾側端部が着用者の膝直下の位置にある短丈タイツ(カプリタイツ)のタイツ生地1bの場合(図7参照)でも、第1頂点31、第2頂点32、第3頂点33を同じ要領で定めることができる。また、本実施形態では左身頃のタイツ生地1a,1bで三角形状領域Tを特定したが、右身頃のタイツ生地であっても、前述の要領を左右対称で適用することで、三角形状領域Tを特定することができる。更に、縫い目が着用者の脚部外側に対応するアウトシームのタイツであっても、インシームであった場合の縫い目の位置を仮定することにより、三角形状領域Tを特定することができる。
次に、第3の位置関係として、三角形状領域Tは、着用時に裾側端部が着用者の足首位置にある長タイツのタイツ生地1aでは、図6に示すように、ウエスト側端部における端縁14の長さ1/2位置のウエスト半点51と裾側端部における端縁13の長さ1/2位置の裾半点52とを結ぶ第1直線C1と、裾側端部における端縁13に略平行で、第1直線C1に対して長さ1/2の位置で交差する第2直線C2と、により4個の領域に分けられたうち、前身頃側かつウエスト側の領域に大部分が位置する。
一方、図7に示す、着用時に裾側端部が着用者の膝直下の位置にある短丈タイツ(カプリタイツ)のタイツ生地1bでは、図7に示すように、ウエスト側端部における端縁14の長さ1/2位置のウエスト半点51と裾側端部における端縁13の長さ1/2位置の裾半点52とを結ぶ第1直線C1と、裾側端部における端縁13に略平行で、第1直線に対して裾部から長さ1/4の位置で交差する第2直線C4と、により4個の領域に分けられたうち、前身頃側かつウエスト側の領域に大部分が位置する。
前記「大部分」とは、三角形状領域Tの面積で評価した場合、全面積の50%以上をいう。
第4の位置関係として、第1頂点31は、図5及び図6に示す長タイツのタイツ生地1a、図7に示す短タイツのタイツ生地1bのいずれであっても、ウエスト側端部の前身頃側長さ1/4位置のウエスト四半点53と裾側端部の前身頃側長さ1/4位置の裾四半点51とを結ぶ第3直線C3の近傍に位置する。具体的には、第3直線C3の、タイツ生地1a,1bにおける身頃前後(図上の左右)3cm以内に第1頂点31が位置する。
第1頂点31と第2頂点32の距離(第1辺34の長さ)は、第1頂点31と第3頂点33の距離(第2辺35の長さ)よりも大きく設定されている。これは、第1頂点31から第2頂点32の区間が重なる大腿外側広筋Y1の方が、第1頂点31から第3頂点33の区間が重なる大腿内側広筋Y2よりも大きな筋肉であることに対応している。また、伸びにくい高強度領域Hが着用者の股に当たって不快感を生じることを避けるためである。着用者の大腿の前側にて内側と外側とを通る高強度領域H(図1、図8参照)のうち、着用時における着用者の膝蓋骨X1(図9参照)に側面視で重なる部分H1が、図11に示すように、大腿Z1と下腿Z2との間に位置していて、着用時における着用者の膝関節の屈曲中心JC(図8には、二点鎖線で直線状の軸として示されている)よりも前方に配置されている。
低強度領域Lは、前述のように高強度領域Hが三角形状に配置されて形成された、三角形状領域Tの内部であって、着用時における着用者の膝蓋骨X1の前方、つまり、膝蓋骨X1の正面側を覆うように配置されている。本実施形態では、この部分の低強度領域Lは図8に示すような三角形状であり、下側の頂点41が、着用者の脚部を正面視した場合での、膝蓋骨X1の正中線に略一致するように配置されている。また、上側の二つの頂点は着用者の膝蓋骨X1の正面視における上下方向中心よりも上方に配置される。これらのうち、大腿外側に対応する頂点は、大腿内側に対応する頂点よりも上方に配置される。三角形を構成する辺は直線であっても湾曲線であってもよい。この三角形状により、低強度領域Lの伸長が阻害されにくい。なお、低強度領域Lの下部形状は本実施形態ではV字状であるが、頂点部が湾曲したU字状であってもよい。なお、本実施形態の「V字状」も、厳密には大きな曲率で湾曲した形状となっている。低強度領域Lにつき、三角形状の大腿外側(図8の左側)に対応する斜辺の長さは、大腿内側(図8の右側)に対応する斜辺の長さよりも大きく設定されている。
中強度領域Mは、三角形状領域Tの内部であって、低強度領域Lの上方に配置されている。なお、中強度領域Mは、図1に示すように三角形状領域Tの上方または前大腿内側延長部25の上方、及び、図2に示すように後大腿内側延長部26の上方にも設けられているが、ここでは、三角形状領域Tの内部に配置されたものにつき説明する。本実施形態では、この部分の中強度領域Mは図8に示すような略菱形状であって、菱形における長手方向が、上方から斜めに下降する方向 に沿って配置される。この配置は、高強度領域Hである上下延長部23が、着用者の大腿骨上端(いわゆる大転子X3(図10参照))に対応して配置されることから、着用者の膝関節内側から大転子X3に斜めに向かう方向に一致させたものである。また、この部分の中強度領域Mは、前述のように、高強度領域Hを構成するのと同じ生地M1と、低強度領域を構成するのと同じ生地M2と、が相互に縞状に並ぶことによって形成されている。各生地M1,M2の縞状の並びは、図8に示すように、略菱形状の少なくとも一辺に沿うようにされている。
図8に示すように、低強度領域L及び中強度領域Mは、高強度領域Hに囲まれるように配置されている。高強度領域Hによる三角形状領域Tの面積に対し、三角形状領域Tの内部に位置する中強度領域Mの面積は小さく、低強度領域Lの面積はさらに小さい。
三角形状領域Tにおいて、高強度領域Hは、着用者の脚部を正面視した場合での、膝関節の正中線から内外に外れた部分H1にて、図11に示すように、着用者の膝関節の屈曲中心JCよりも前方に配置されていることで、着地時に膝関節が受動的に曲げられる力に抵抗する、伸ばす力を膝関節に与えることができる。一方、蹴り出しによる推進力の獲得の局面においては、高強度領域Hが収縮することにより、伸ばす力を膝関節に与えることができる。この高強度領域Hのサポートにより、走行時の膝関節の過度な曲げ伸ばしを抑制できるため、走行時における着用者の重心の上下変化を小さくできる。そして、三角形状領域Tの内部のうち上方(着用者の大腿中央に近い部分)に高強度領域Hと低強度領域Lの中間的な引張強度を有する中強度領域Mを配置することにより、大腿の揺れを抑制できる。そして、三角形状領域Tの内部のうち下方(着用者の膝関節に近い部分)に配置された低強度領域Lにより、膝蓋骨X1の上方の張力を、隣接する高強度領域Hに比べて弱めることで、遊脚期の膝関節を曲げることが許容される。これら各部が奏する作用は、以下で更に説明する。
以上のように構成された本実施形態のランニングタイツ1が奏する作用効果を詳しく説明する。ランニングにおける支持期(片方の脚のみで体重を支える期間)において、体重が足部の中央にかかる局面(図13の中央に示す)がある。その際の脚は、膝関節が中心となり曲がっているが、それは着地による衝撃を緩衝することと、体重移動を円滑に行うためとにより発現する。しかしながら、水平に(図13上では左から右の方向に)移動をするランニングにおいては、膝関節の曲がり(屈曲)と戻り(伸展)は、移動方向に交わる方向である身体の上下運動を促進してしまうため、走行効率の観点で非効率である。よって、身体重心(図13中の「Center of Gravity」部分)を、いかに上下に揺らさずに安定的に走行することが、重要である。また、膝関節の曲がりは自体重や重力によって受動的に生じるため、膝関節の曲がりに伴い、膝関節に付着する大腿や下腿の筋が引っ張られることで、筋の微細な損傷を引き起こすことがある。これらは、肉離れや遅発性筋肉痛を誘発する。したがって、ランニングタイツ1においては、着地による膝曲がりを抑えるようなサポート機能が有効である。
そこで本実施形態のタイツ1では、図11に示すように、膝関節の屈曲中心JCを跨るように大腿および下腿に重なるように高強度領域Hを配置し、走行効率性を高めている。ここで、走行効率性は、図14に示す通り、支持期中間を基準として、前半は膝関節に受動的な力の加わる局面であり、後半は、蹴り出す際に膝関節を伸ばしていく局面であって、走行者に生じる能動的な力を元に導かれる。前半においては、着地時の衝撃を減らすことで、走行者において負の仕事量を減らすことができる。そして後半においては、蹴り出しによる推進力の獲得に要するパワーを抑制することで、走行者において能動的な力発揮が抑えられる。これらによって走行効率性(走行者基準の効率に関する)を高めることができる。すなわち、膝関節の曲げ伸ばしにかかる力(仕事量)を減らすためには、一定速度による走行条件において、膝関節の曲げ伸ばし、つまりは、膝関節角度変位を減らすことが重要である。
支持期中の膝関節角度変位に関しては、図14における、負の仕事が発現する局面で生じる着地時の衝撃緩衝につき、膝関節の曲げでなされることを抑制することが必要である(なお、図14のグラフの縦軸、横軸の数値は一例に過ぎず、この数値に何ら限定されるものではない)。そのためには、膝関節が曲げられる力に抵抗するために、伸ばす力を膝関節に与えてやることが必要となる。本実施形態のタイツ1では、図11に示すように、膝関節を跨ぐ大腿から下腿にかけて、高強度領域Hが配置されている。膝関節が受動的に曲げられる際に、高強度領域Hに張力が発生することで、膝関節が曲がることを抑制できる(図14の上部に記載した脚部略図のうち左側のものを参照)。一方、この生地の膝曲がり抑制作用は、図14のグラフ右側における、正の仕事が発現する局面、つまり、蹴り出しによる推進力の獲得に要するパワー増大にも有効に働く。着地時の衝撃により膝関節が受動的に曲げられる際に、高強度領域Hに、曲げに応じた張力が発生するが、その張力が、推進力獲得の局面においては、高強度領域Hが収縮するため、膝関節に対し伸ばす力を与えることができる。要するに、図14のグラフにおける「谷」と「山」とで着色された領域のパワーの一部を、高強度領域Hが負担することにより、着地時における膝関節の曲がり抑制、及び、蹴り出し時における膝関節の伸長補助がなされる。
高強度領域Hは、着用者の大腿の内側と外側とを通るようにしてそれぞれ上下に延びる。つまり、図16に略三角形で示した通り、高強度領域Hは着用者の大腿の周囲に、大腿の前方を覆うように配置されている。大腿には、脚部の他の部分に比較して大きな筋肉が集まっており、大腿の周囲に高強度領域Hを配置することによって、着地により生じる大腿の揺れ(図15参照)を抑えることができる。また、大腿の揺れが伝播すること(図15の右端参照)を高強度領域Hが抑制することによって、膝関節の安定性を高めることができ、走行効率性の向上に寄与する。更に本実施形態では、高強度領域Hの、着用者の大腿の内側を通るものと大腿の外側を通るものとが、大腿の上下方向の実質的な中央で連結されている。このように連結することで、着地時における大腿の振動を抑制することをより効果的にできる。
ここで、高強度領域Hの、着用者の大腿の内側を通るものと大腿の外側を通るものの有する張力を、例えば幅寸法や生地自体の張力を変えることにより、内外で差をつけることもできる。そうすることで、走行中に膝関節が内側に曲がってしてしまうこと(ニーイン)や、外側に曲がってしてしまうこと(ニーアウト)を、張力差によって抑制できる。
中強度領域Mは、高強度領域Hと同じ生地を一定間隔で配し、単位面積あたりの強度を高めてもよいし、高強度領域H、低強度領域Lの中間的な引張強度を有する生地片を、縫製やテープ貼付などで連結し、配置してもよい。いずれの場合においても、高強度領域Hを大腿周囲全体に覆うと、作用効果的には優れたものとなる一面、締め付けが強くなってしまうため、タイツ1の着用がしにくくなり、着用後のフィット感も良くない。このため、高強度領域Hは三角形状領域Tにおける周縁部分に配置し、三角形状領域Tの内部で高強度領域Hに囲まれた部分には、高強度領域Hではなく中強度領域M及び低強度領域Lを配置することが好ましい。
低強度領域Lは、膝関節の曲げ伸ばしといった運動動作を妨げないように配置されている。特に、遊脚期においては膝関節を曲げる必要が生じるため(角速度増大のため)、図8に二点鎖線で示すように、膝部中央に対応して低強度領域Lを配置することで、曲げ角度増大に伴う過度な生地張力(つまり、高強度領域Hによる支持期中の膝曲がり抑制作用の発揮を超えた過度な生地張力)を生じさせない。着用者の脚部に対する正面視にて、V字状に配置された高強度領域Hの間に配置された低強度領域Lが、膝関節が曲がる際、脚部の周方向に引き伸ばされることになる。このため、支持期中の膝曲がり抑制作用を有効に働かせつつ、膝関節の曲げも両立できる。低強度領域Lの配置は、膝蓋骨X1の下端または脛骨X2の上端に略一致する部分を最下部とし、その上方で膝関節の屈曲中心JCを跨ぐようにされている。そして、低強度領域Lは、外側広筋Y1と内側広筋Y2(図10参照)に沿うように上方に向かう二つの斜辺を有する三角形状に配置されている。
また高強度領域Hは、着用時における着用者の膝蓋骨X1に正面視で重なる部分よりも下方にて、着用者の下腿を周回するように配置されている。つまり、下腿に対応する部位には、膝関節に対応する部位から伸びた高強度領域Hが、下腿の周囲を覆う形で連結される。この構成により、下腿の筋の収縮を促進することで着用者の筋力発揮を促進すること、また、下腿の筋肉の揺れを抑制することで膝関節への負担を軽減すること、また、膝関節に対して高強度領域Hの張力を働かせることで膝関節の結合力を高めることができる。
図16に、臀部サポートに関して示す。ランニング時、走行者は両脚を交互に振り出すため、股関節及び骨盤が左右方向に揺れる(図16の中央囲み部分参照)。その揺れが高まると、脚全体の関節角度変化が高まり、特に、膝関節への影響が大きくなる。そこで本実施形態では高強度領域Hを、着用者の股関節及び骨盤の側方に配置している。すなわち、タイツ1における臀部及びウエスト部の周囲における、上下延長部23の一部、上臀部対応部24、前大腿内側延長部25、後大腿内側延長部26に高強度領域Hを配置して、臀部の筋肉(大臀筋、中臀筋)を前記各部の高強度領域Hがサポートすることで、着用者(走行者)の左右姿勢変化を抑制する。
以上、本実施形態のランニングタイツ1により、主体的には膝関節が制御され、加えて、下腿や股関節の筋や動作が制御されることで、走行効率性を高められる。生地の強度、幅、長さは、それぞれの目的に応じて設計することができ、これら一体化された構造が、適正な走行効率性を導く。
ここで、本発明の実施形態に係る構成と奏する作用につきまとめる。本実施形態は、タイツ1を構成する生地において、高強度領域Hと低強度領域Lとを有し、前記高強度領域Hは前記低強度領域Lに対して相対的に高い引張強度を有し、前記低強度領域Lは前記高強度領域Hに対して相対的に低い引張強度を有しており、前記高強度領域Hは、タイツ1の着用時に着用者の腰部に相当する部分から膝下部に相当する部分まで連続的に配置されると共に、少なくとも第1頂点、第2頂点、第3頂点によって三角形以上の多角形状領域が画定され、前記第1頂点は、着用時における着用者の脛骨X2の上部に重なる位置に配置され、前記第2頂点は、大腿外側広筋Y1に重なる位置に配置され、前記第3頂点は、大腿内側広筋Y2に重なる位置であって前記第2頂点よりも低い位置に配置され、前記高強度領域Hのうち、着用時における着用者の膝蓋骨X1に側面視で重なる部分が、着用時における着用者の膝関節の屈曲中心JCよりも前方に配置され、前記低強度領域Lは、前記多角形状領域内であって、着用時における着用者の膝蓋骨X1の前方に配置され、かつ、前記高強度領域Hに囲まれるように配置されている運動用タイツ1である。
この構成によれば、高強度領域Hは、着地時に膝関節が受動的に曲げられる力に抵抗する、伸ばす力を膝関節に与えることができる。一方、蹴り出しによる推進力の獲得の局面においては、高強度領域Hが収縮することにより、伸ばす力を膝関節に与えることができる。これにより、走行時の膝関節の過度な曲げ伸ばしを抑制できるため、走行時における着用者の重心の上下変化を小さくできる。
また、前記タイツ1を構成する生地において、更に、前記高強度領域Hに対して相対的に低く、かつ、前記低強度領域Lに対して相対的に高い引張強度を有する中強度領域Mを有し、前記中強度領域Mは、前記多角形状領域内であって、前記低強度領域Lの上方に配置され、かつ、前記高強度領域Hに囲まれるように配置されているようにできる。
この構成によれば、多角形状の領域の内部に高強度領域Hと低強度領域Lの中間的な引張強度を有する中強度領域Mを配置することにより、大腿の揺れを抑制できる。
また、前記中強度領域Mは、前記高強度領域Hを構成するのと同じ生地M1と、前記低強度領域Lを構成するのと同じ生地M2とが混在することで形成されているようにできる。
この構成によれば、有する引張強度に関して2種の生地で中強度領域Mを形成できる。
また、前記中強度領域Mは、前記高強度領域Hを構成するのと同じ生地であって帯状の生地と、前記低強度領域Lを構成するのと同じ生地であって帯状の生地とが相互に並ぶことによって形成されているようにできる。また、前記高強度領域Hの引張強度は、前記低強度領域Lの引張強度に比べて1.1倍~10倍であるようにできる。
これらの構成によれば、有する引張強度に関して2種の生地で中強度領域Mを形成できると共に、帯状の生地により、生地の両端部間に張力を働かせるようにできる。
また、前記高強度領域Hは、着用時における着用者の大腿の内側と外側とを通るようにしてそれぞれ上下に延びるようにできる。
この構成によれば、大腿の内側と外側とを通る高強度領域Hが着地時における大腿の振動を抑えることで、膝関節の安定性を高められる。
また、前記高強度領域Hの、前記大腿の内側を通るものと前記大腿の外側を通るものとは、前記大腿の上下方向の実質的な中央で連結されているようにできる。
この構成によれば、着地時における大腿の振動を抑制することを効果的にできる。
また、前記高強度領域Hは、着用時における着用者の膝蓋骨X1に重なる部分よりも下方にて、着用者の下腿を周回するように配置されているようにできる。
この構成によれば、下腿の筋の収縮の促進、下腿の筋肉の揺れを抑制、膝関節に対して高強度領域Hの張力を働かせることで膝関節の結合力を高めることができる。
また、前記高強度領域Hは、着用時における着用者の股関節及び骨盤の側方に配置されているようにできる。
この構成によれば、股関節及び骨盤の左右姿勢変化を抑制することで、膝関節の角度変化を低減する。
以上、本実施形態の運動用タイツ1は、適度なサポート性を有していて、かつ、着用者の疲労を軽減させることができる。
以上、本発明につき実施形態を取り上げて説明してきたが、この説明はあくまでも例示に過ぎない。本発明に係る運動用タイツ1は、前記実施形態に限定されない。このため、本発明に係る運動用タイツ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。前記変更には、例えば、前記実施形態を構成する複数の要素の一部入れ替えや一部省略、また、別々の例に属する要素を適宜組み合わせることが含まれる。また、運動用タイツ1に関して技術常識に属する事項を組み合わせることも含まれる。
1 運動用タイツ、ランニングタイツ、タイツ
21 腰周回部
22 足首周回部
23 上下延長部
24 上臀部対応部
25 前大腿内側延長部
26 後大腿内側延長部
27 下腿周回部
31 第1頂点
32 第2頂点
33 第3頂点
H 高強度領域
H1 高強度領域で膝蓋骨に側面視で重なる部分
L 低強度領域
M 中強度領域
JC 膝関節の屈曲中心
M1 高強度領域を構成するのと同じ生地、相対的に高い引張強度を有する生地
M2 低強度領域を構成するのと同じ生地、相対的に低い引張強度を有する生地
T 多角形状(三角形状)領域

Claims (10)

  1. タイツを構成する生地において、高強度領域と低強度領域とを有し、
    前記高強度領域は前記低強度領域に対して相対的に高い引張強度を有し、前記低強度領域は前記高強度領域に対して相対的に低い引張強度を有しており、
    前記高強度領域は、タイツにおける上端から下端まで連続的に配置されると共に、少なくとも第1頂点、第2頂点、第3頂点によって三角形以上の多角形状領域が画定され、前記第1頂点は、着用時における着用者の脛骨における上部に重なる位置に配置され、前記第2頂点は、着用者の脚部外側部でありかつ大腿外側広筋に重なる位置に配置され、前記第3頂点は、着用者の脚部内側部でありかつ大腿内側広筋に重なる位置であって前記第2頂点よりも低い位置に配置され、
    前記高強度領域のうち、着用時における着用者の膝蓋骨に対して上下方向で一致する部分が、着用時における着用者を基準とした膝関節の屈曲中心よりも前方に配置され、
    前記低強度領域は、前記多角形状領域内であって、着用時における着用者の膝蓋骨の前方に配置され、かつ、前記高強度領域に囲まれるように配置されている運動用タイツ。
  2. 前記タイツを構成する生地において、更に、前記高強度領域に対して相対的に低く、かつ、前記低強度領域に対して相対的に高い引張強度を有する中強度領域を有し、
    前記中強度領域は、前記多角形状領域内であって、前記低強度領域の上方に配置され、かつ、前記高強度領域に囲まれるように配置されている、請求項1に記載の運動用タイツ。
  3. 前記中強度領域は、前記高強度領域を構成するのと同じ生地と、前記低強度領域を構成するのと同じ生地とが混在することで形成されている、請求項2に記載の運動用タイツ。
  4. 前記中強度領域は、前記高強度領域を構成するのと同じ生地であって帯状の生地と、前記低強度領域を構成するのと同じ生地であって帯状の生地とが相互に並ぶことによって形成されている、請求項3に記載の運動用タイツ。
  5. 前記高強度領域の引張強度は、前記低強度領域の引張強度に比べて1.1倍以上である、請求項1~4のいずれかに記載の運動用タイツ。
  6. 前記高強度領域は、着用時における着用者の大腿の内側と外側とを通るようにしてそれぞれ上下に延びる、請求項1~5のいずれかに記載の運動用タイツ。
  7. 前記高強度領域の、前記大腿の内側を通るものと前記大腿の外側を通るものとは、前記大腿の上下方向の実質的な中央で連結されている、請求項6に記載の運動用タイツ。
  8. 前記高強度領域は、着用時における着用者の膝蓋骨に重なる部分よりも下方にて、着用者の下腿を周回するように配置されている、請求項1~7のいずれかに記載の運動用タイツ。
  9. 前記高強度領域は、着用時における着用者の股関節及び骨盤の側方に配置されている、請求項1~8のいずれかに記載の運動用タイツ。
  10. タイツを構成する生地において、高強度領域と低強度領域と中強度領域とを有し、
    前記高強度領域は前記低強度領域に対して相対的に高い引張強度を有し、前記低強度領域は前記高強度領域に対して相対的に低い引張強度を有し、前記中強度領域は、前記高強度領域に対して相対的に低く、かつ、前記低強度領域に対して相対的に高い引張強度を有しており、
    縫い目が着用者の脚部内側に対応する左右いずれか一方の身頃を、縫製しないまま平置きした状態である基準状態にて、前記高強度領域と前記低強度領域とが、以下の(1)~(4)で特定された位置関係となっている運動用タイツ。
    (1)前記高強度領域は、前記基準状態におけるウエスト側端部から裾側端部まで連続的に配置される。
    (2)前記高強度領域により、前記基準状態において最も裾側にある第1頂点、後身頃側で前記第1頂点よりもウエスト側にある第2頂点、前身頃側で前記第1頂点よりもウエスト側にあって、かつ、前記第2頂点よりも裾側にある第3頂点の、少なくとも3つの頂点を有する三角形以上の多角形状領域が画定される。
    (3)前記多角形状領域は、着用時に前記裾側端部が着用者の足首位置にある長タイツでは、前記ウエスト側端部の長さ1/2位置のウエスト半点と前記裾側端部の長さ1/2位置の裾半点とを結ぶ第1直線と、前記裾側端部の端縁に略平行で、前記第1直線に対して長さ1/2の位置で交差する第2直線と、により4個の領域に分けられたうち、前身頃側かつウエスト側の領域に大部分が位置し、
    着用時に前記裾側端部が着用者の膝直下の位置にある短丈タイツでは、前記ウエスト側端部の長さ1/2位置のウエスト半点と前記裾側端部の長さ1/2位置の裾半点とを結ぶ第1直線と、前記裾側端部の端縁に略平行で、前記第1直線に対して前記裾側端部から長さ1/4の位置で交差する第2直線と、により4個の領域に分けられたうち、前身頃側かつウエスト側の領域に大部分が位置する。
    (4)前記第1頂点は、前記長タイツ及び前記短タイツで、前記ウエスト側端部の前身頃側長さ1/4位置のウエスト四半点と前記裾側端部の前身頃側長さ1/4位置の裾四半点とを結ぶ第3直線の近傍に位置する。
    (5)前記中強度領域は、前記多角形状領域内であって、前記低強度領域のウエスト側方向に配置され、かつ、前記高強度領域に囲まれるように配置されている。
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