JP7464565B2 - 重機周りの障害物検知システム - Google Patents

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Description

本発明は、ブーム及びアームを上部旋回体に備える油圧ショベル(例えばバックホウ)などの重機周りの障害物検知システムに関する。
鉄道工事に代表される狭隘な施工環境におけるバックホウの作業は、既設構造物への接触対策として、カメラ及びモニタの装着やオペレータの技能(注意力)に頼る場合が多い。しかし、特に夕方や夜間、あるいは暗所での作業では、カメラ等を用いても障害物を視認しづらく、オペレータの負担が増すことになる。
また、特許文献1には、既設構造物の直下において、重機を利用して工事を行う場合に、重機のブーム又はアームの側面に鉛直方向上向きにレーザ距離計(非接触距離計)を配置して、重機稼働時の既設構造物までの距離を測定し、測定された距離に応じて、警報、重機停止などの制御を行うことが記載されている。
特許第6696841号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、検知対象の障害物(既設構造物)が重機の上方にあることが前提であり、上部旋回体に設けられるブーム及びアームの側方に障害物がある場合など、障害物を特定できない場合には対応できない。
検知対象の障害物が特定できない場合に、二次元レーザスキャナを用いて障害物を検知することは有効である。しかし、二次元レーザスキャナを用いる場合、ブーム及びアームの姿勢に応じて検知エリアを適切に設定しないと、「過検知」に陥り、「過検知」による作業停止が頻発し、オペレータの作業性が著しく低下してしまう。
本発明は、このような実状に鑑み、ブーム及びアームの姿勢に応じた適切な検知エリアの設定により、オペレータの作業性を極力妨げない形で、障害物との接触リスクを回避できる、重機周りの障害物検知システムを提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る重機周りの障害物検知システムは、
ブーム及びアームを挟んで上部旋回体の左右に配置され、それぞれ自身を含む垂直面内にレーザを照射して当該垂直面内の障害物を検知可能な左右の垂直スキャナと、
前記ブーム及びアームを挟んで前記上部旋回体の左右に配置され、それぞれ自身を含む水平面内にレーザを照射して当該水平面内の障害物を検知可能な左右の水平スキャナと、
前記ブーム及びアームのそれぞれに配置され、前記ブーム及びアームの傾斜角を検知する傾斜センサと、
前記垂直スキャナ及び前記水平スキャナのそれぞれが検知可能な面内に、前記傾斜センサにより検知される前記ブーム及びアームの姿勢に応じて、前記ブーム及びアーム周りの検知エリアを設定する検知エリア設定手段と、
前記検知エリア内に障害物を検知したときに、障害物との接触を回避するための動作を行わせる接触回避動作手段と、
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、施工環境に応じ、ブーム及びアームの姿勢に応じた適切な検知範囲(動的検知エリア)の設定が可能となり、オペレータの作業性を極力妨げない形で、障害物との接触を回避できるようになるという効果を奏する。
本発明の一実施形態として示すバックホウの側面図 同上のバックホウの平面図 垂直スキャナ及び水平スキャナ等の具体的取付例を示す図 制御系のシステム構成図 図1に対応して設定される垂直スキャナの検知エリアの説明図 図2に対応して設定される水平スキャナの検知エリアの説明図 モニタ画面の表示例を示す図
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
なお、ここでは、重機として、バックホウを例示して説明するが、本発明は、これに限るものではなく、ブーム及びアームを上部旋回体に備える重機に適用できる。
図1は本発明の一実施形態として示すバックホウの模式的な側面図、図2は同上のバックホウの模式的な平面図である。
バックホウ1は、クローラ式の下部走行体2と、その上で旋回可能な上部旋回体3とを備える。
上部旋回体3は、前部中央に、作業装置として、ブーム4、アーム5及びバケット6を備え、前部左側にキャビン(運転席)7を備える。上部旋回体3の後部はバックホウ1の重心移動を許容範囲内に収めるためのカウンターウエイト8をなしている。
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央側の基端部(4a)を回動中心として、起立・倒伏可能に設けられている。
アーム5は、その基端部(5a)で、ブーム4の先端部(4b)に対して、揺動可能に取付けられている。
バケット6は、アーム5の先端部(5b)に対して、揺動可能に取付けられている。
ブーム4、アーム5及びバケット6は、ブームシリンダ10、アームシリンダ11及びバケットシリンダ12によりそれぞれ油圧駆動される。
ここにおいて、ブーム4及びアーム5を挟んで上部旋回体3の前部左右に、垂直スキャナ13L、13Rが設けられる。
左右の垂直スキャナ13L、13Rは、それぞれ自身を中心として含む垂直面内にレーザを照射して当該垂直面内の障害物の位置を検知可能である。
従って、左右の垂直スキャナ13L、13Rは、ブーム4及びアーム5の側方の垂直面を走査可能であり、ブーム4及びアーム5に側方から接近する障害物を検知可能である。
また、ブーム4及びアーム5を挟んで上部旋回体3の前部左右で、地表面から1m程度の高さ位置に、水平スキャナ14L、14Rが設けられる。
左右の水平スキャナ14L、14Rは、それぞれ自身を中心として含む水平面内にレーザを照射して当該水平面内の障害物の位置を検知可能である。
従って、左右の水平スキャナ14L、14Rは、ブーム4及びアーム5の側方で上部旋回体3の前方の1m程度の高さ位置の水平面を走査可能であり、上部旋回体3の前方の障害物を検知可能である。
また、前方左右の水平スキャナ14L、14Rについては、上部旋回体3の前部左右の角部(両角)に配置することで、上部旋回体3の前方のみならず、上部旋回体3の左右の側方を走査可能であり、上部旋回体3の側方の障害物をも検知可能となっている。
また、上部旋回体3(カウンターウエイト8)の後部で、地表面から1m程度の高さ位置に、後方水平スキャナ15が設けられる。
後方水平スキャナ15は、自身を中心として含む水平面内にレーザを照射して当該水平面内の障害物の位置を検知可能である。
従って、後方水平スキャナ15は、上部旋回体3の後方の1m程度の高さ位置の水平面を走査可能であり、上部旋回体3の後方の障害物を検知可能である。
ここで用いるレーザスキャナは、例えば、投光部及び受光部を所定の回転軸線回りに360°回転させながら、回転軸線と直交する方向にレーザを照射し、障害物からの反射光を受光することで障害物までの距離を測定する二次元LiDAR(Light Detection and Ranging 又は Laser Imaging Detection and Ranging)である。
このようなレーザスキャナを、その回転軸線が水平方向となるように配置することで、垂直スキャナ13L、13Rとなり、その回転軸線が垂直方向となるように配置することで、水平スキャナ14L、14R、15となる。
なお、本明細書でいう「水平」、「垂直」とは重機を水平な地表面上で使用したときの設計上の概念であり、実際の使用状態では異なる場合がある。
また、3つの傾斜センサ16~18が設けられる。
傾斜センサ(ブーム傾斜センサ)16は、ブーム4に、ブーム4の上部旋回体3側の支点4aとアーム5側の支点4bとを結ぶ直線L1に対し平行に、取付けられ、ブーム4の傾斜角を検知可能である。
傾斜センサ(アーム傾斜センサ)17は、アーム5に、アーム5のブーム4側の支点5aとバケット6側の支点5bとを結ぶ直線L2に対し平行に、取付けられ、アーム5の傾斜角を検知可能である。
傾斜センサ(上部旋回体傾斜センサ)18は、上部旋回体3に水平状態で取付けられ、地表面の傾斜などに起因する上部旋回体3の傾斜角(前後方向での傾斜角)を検知可能である。
また、ブーム4及びアーム5を挟んで上部旋回体3の前部左右に、前方に向けて、重機周りを撮影するためのカメラ19L、19Rが設けられる。
図3は垂直スキャナ及び水平スキャナ等の具体的取付例を示す図である。本図は特にバックホウの前部右側を斜め前方から見た図であり、垂直スキャナ13R、水平スキャナ14R、上部旋回体傾斜センサ18、及び、カメラ19Rの取付例を示している。
垂直スキャナ13Rは、上部旋回体3の前部右側に配置した取付フレーム31に、ヨー方向、ピッチ方向及びロール方向の調整機構32を介して取付けている。そして、取付フレーム31にはまた、チルト調整機構付きの上部旋回体傾斜センサ18を取付け、垂直スキャナ13Rと上部旋回体傾斜センサ18とをアッセンブリ化している。
水平スキャナ14Rは、上部旋回体3の前部右側の角部にある手摺りパイプ33の下部に、パイプ取付治具34と、ヨー方向、ピッチ方向及びロール方向の調整機構35とを介して、斜めに(前方かつ側方に)張り出すように取付けている。
なお、図では省略したが、垂直スキャナ13R、水平スキャナ14Rについては、レーザ投受光部のスリット以外を保護ケースなどで覆って保護するとよい。
カメラ19Rは、手摺りパイプ33の最上部にパイプ取付治具36を介して取付け、撮像部を前方に向けてある。
なお、バックホウの前部左側に配置される垂直スキャナ13L、水平スキャナ14L、及び、カメラ19Lについては、詳細な例示は省略するが、次のように取付けることができる。
例えば、垂直スキャナ13L及びカメラ19Lは、図1及び図2から分かるように、キャビン7の屋根部の前縁に、アッセンブリ化するなどして取付けることができる。
水平スキャナ14Lは、図1及び図2から分かるように、キャビン7の角部などに取付ければよい。
後方水平スキャナ15については、上部旋回体3(カウンターウエイト8)の後部に磁石などを用いて位置調整可能に取付けるとよい。
なお、前方左右の水平スキャナ14L、14R及び後方の水平スキャナ15を上部旋回体3に取付ける場合、上部旋回体3の底部に取付けて、上部旋回体3と下部走行体2との隙間から水平面を走査するように構成することもできる、
図4は制御系のシステム構成図である。
バックホウ1のキャビン7内に、障害物検知制御を実行する制御PC100と、障害物検知制御の可変設定と可視化とを実現するタッチパネルモニタ200とが設置される。
制御PC100は、電源などとともに制御ボックスに入れられて、キャビン7内のシート付近に設置される。タッチパネルモニタ200は、キャビン7内でオペレータが視認でき、かつタッチ操作可能な位置に設置される。
制御PC100には、前方左右の垂直スキャナ13L、13R、前方左右の水平スキャナ14L、14R、及び、後方の水平スキャナ15からの情報が有線(例えばEthernet)で入力される。
制御PC100にはまた、ブーム傾斜センサ16、アーム傾斜センサ17、及び、上部旋回体傾斜センサ18からの情報が例えばCAN(Controller Area Network)により入力される。
制御PC100にはまた、カメラ19L、19Rからの画像情報が例えばUSB接続により入力される。制御PC100は、内蔵又は外付けで、カメラ19L、19Rにより撮影された画像(動画を含む)を記憶可能(一時的な記憶と選択的な保存とが可能)な記憶装置(図示せず)を有している。
なお、前方左右の垂直スキャナ13L、13R、前方左右の水平スキャナ14L、14R、後方の水平スキャナ15、ブーム傾斜センサ16、アーム傾斜センサ17、上部旋回体傾斜センサ18、及び、カメラ19L、19Rからの情報をBluetoothなどのワイヤレス通信により制御PC100に入力してもよい。
制御PC100は、演算処理装置としてマイクロコンピュータ(CPU)を内蔵し、垂直スキャナ13L、13R及び水平スキャナ14L、14Rのそれぞれが検知可能な面内に、傾斜センサ16~18により検知されるブーム4及びアーム5の姿勢に応じて、ブーム4及びアーム5周りの検知エリアを設定(生成)し、その検知エリア内に障害物を検知したときに、障害物との接触を回避するための動作を行わせる。従って、制御PC100は、検知エリア設定手段及び接触回避動作手段としての機能をソフトウエア的に有している。
タッチパネルモニタ200は、制御PC100と例えばHDMI(登録商標)により接続されていて、オペレータのタッチ操作により制御PC100による障害物検知制御の各種設定が可能であるとともに、オペレータの視認用の表示装置として障害物検知制御を可視化することができる。
次に、前方左右の垂直スキャナ13L、13R、前方左右の水平スキャナ14L、14R、及び、後方の水平スキャナ15の検知エリアの設定について、図5及び図6により説明する。
図5は図1の側面図に対応して設定される垂直スキャナ13L、13Rの検知エリアの説明図、図6は図2の平面図に対応して設定される水平スキャナ14L、14R、15の検知エリアの説明図である。
ここでいう「検知エリア」とは、各スキャナが障害物を検知可能な範囲(各スキャナの検知面(垂直面又は水平面)内で、レーザによる検知が可能な距離範囲)の中から、「過検知」に陥ることなく、障害物を検知するために設定する範囲であり、検知時に接触回避動作を行わせる範囲ということもできる。
また、検知エリアの設定に際しては、演算処理の簡素化のため、検知エリアを長方形に2次元座標系として設定する。
(1)前方左右の垂直スキャナ13L、13Rの検知エリアの設定(図5参照)
垂直スキャナ13L、13Rの検知エリアについては、ブーム4及びアーム5の旋回による障害物との接触を避けるため、(1-1)ブーム周りの垂直面検知エリアBL、BRと、(1-2)アーム周りの垂直面検知エリアAL、ARとを設定する。
(1-1)ブーム周りの垂直面検知エリアBL、BR
ブーム周りの垂直面検知エリアBL、BRは、ブーム4の基端部側(上部旋回体3側)の支点4aと先端部側(アーム5側)の支点4bとを結ぶ直線L1に対し長辺側が平行となる長方形のエリアとする。
詳しくは、ブーム4の基端部側の支点4aと先端部側の支点4bとを結ぶ直線L1を検知長さ方向(X軸)とし、この直線L1を含む垂直面内にて直線L1と直交する方向を検知幅方向(Z軸)として、ブーム4の周りに、図5に示されるような長方形状の垂直面検知エリアBL、BRを設定する。図5でBLとBRは重なっている。
なお、ブーム4の基端部側の支点4aの位置に対し、先端部側の支点4bの位置は、ブーム4の支点4a、4b間距離(固有値)と、ブーム傾斜センサ16により検出されるブーム傾斜角とに基づき、また、上部旋回体傾斜センサ18により検出される上部旋回体傾斜角を考慮して、決定できる。
ここで、検知長さ方向には、支点4aからの検知長さの減分(b1;-値)と、支点4bからの検知長さの増減分(b2;±値)とを可変設定可能である。
また、検知幅方向には、直線L1からブーム背側への検知幅(b3;+値)と、直線L1からブーム腹側への検知幅(b4;+値)とを可変設定可能である。
(1-2)アーム周りの垂直面検知エリアAL、AR
アーム周りの垂直面検知エリアAL、LRは、アーム5の基端部側(ブーム4側)の支点5aと先端部側(バケット6側)の支点5bとを結ぶ直線L2に対し長辺側が平行となる長方形のエリアとする。
詳しくは、アーム5の基端部側の支点5aと先端部側の支点5bとを結ぶ直線L2を検知長さ方向(X軸)とし、この直線L2を含む垂直面内にて直線L2と直交する方向を検知幅方向(Z軸)として、アーム5の周りに、図5に示されるような長方形状の垂直面検知エリアAL、ARを設定する。図5でALとARは重なっている。
なお、アーム5の基端部側の支点5aの位置は、ブーム4の先端部側の支点4bの位置と同じであり、前述のように決定できる。
アーム5の基端部側の支点5aの位置に対し、先端部側の支点5bの位置は、アーム5の支点5a、5b間距離(固有値)と、アーム傾斜センサ17により検出されるアーム傾斜角とに基づき、決定できる。
ここで、検知長さ方向には、支点5aからの検知長さの増減分(a1;±値)と、支点5bからの検知長さの増減分(a2;±値)とを可変設定可能である。
また、検知幅方向には、直線L2からアーム背側への検知幅(a3;+値)と、直線L2からアーム腹側への検知幅(a4;+値)とを可変設定可能である。
(2)前方左右の水平スキャナ14L、14Rの検知エリアの設定(図6参照)
前方左右の水平スキャナ14L、14Rの検知エリアについては、(2-1)ブーム及びアームの左右の水平面検知エリアFL、FR、(2-2)上部旋回体の左右の水平面検知エリアSL、SR、(2-3)下部走行体の前側部分の左右の水平面検知エリアSL2、SR2を設定する。すなわち、片側に3つの水平面検知エリアを設定する。
(2-1)ブーム及びアームの左右の水平面検知エリアFL、FR
ブーム及びアームの左右の水平面検知エリアFL、FRは、ブーム4及びアーム5の左右のイメージとしたエリアで、図示f1、f2値により可変設定可能な検知幅と、ブーム5及びアーム6の姿勢により変化する投影長さに基づく検知長さ(オフセット可能)とを縦・横とする長方形となる。すなわち、ブーム・アームの操作(動き)に連動させて検知範囲を変化(伸び縮み)させるのである。
(2-2)上部旋回体の左右の水平面検知エリアSL、SR
上部旋回体の左右の水平面検知エリアSL、SRは、上部旋回体3の側面をイメージしたエリアで、水平スキャナ14L、14Rの設置位置から後側への図示s1値により可変設定可能な検知長さと、図示s2値により可変設定可能な検知幅とを縦・横とする長方形となる。
(2-3)下部走行体の前側部分の左右の水平面検知エリアSL2、SR2
下部走行体の前側部分の左右の水平面検知エリアSL2、SR2は、下部走行体2付近をイメージしたエリアで、図示s21値により可変設定可能な検知長さと、図示s22値により可変設定可能な検知幅とを縦・横とする長方形となる。なお、検知エリアSL2、SR2は、検知エリアSL、SRとは異なり、上部旋回体3の旋回によって変化せず、下部走行体2の位置に追従する。
(3)後方の水平スキャナ15の検知エリアの設定(図6参照)
後方の水平スキャナ15は、上部旋回体3の後方の障害物との接触を避けるために設けられており、上部旋回体3の後方に水平スキャナ15の水平面検知エリアRを設定する。
後方の水平面検知エリアRは、水平スキャナ15より後方の図示r1値により可変設定可能な検知長さと、図示r2、r3値により可変設定可能な左右の検知幅とを縦・横とする長方形となる。
図7はタッチパネルモニタ200のモニタ画面の表示例を示す図である。
モニタ画面には、上部に、左右のカメラ19L、19Rの撮影画像が表示され、下側に、検知エリアの表示を含むバックホウの平面画像(ビュー1)と左右の側面画像(ビュー2)とが模式的に表示される。また、検知エリア内に検知した障害物が例えば点群としてアイコン表示される(ビュー1の点群参照)。
なお、検知エリアの設定における検知長さ、検知幅及びオフセット量などの設定は、タッチパネルモニタ200を用い、設定タブにより設定画面に切り替えて、行うことができる。
次に、障害物検知制御(接触回避動作)について説明する。
垂直スキャナ13L、13R、水平スキャナ14L、14R及び15のいずれかがそれぞれの検知エリア内に障害物を検知したとき(スキャナが検知した障害物の位置が設定された検知エリア内のとき)に、障害物との接触を回避するための動作がなされる。
接触回避動作としては、タッチパネルモニタ200への適当な表示、あるいはオペレータへの音や光による警告等を挙げることができる。
また、制御PC100の出力でバックホウの制御が可能な場合は、停止信号を出力して、ブーム4、アーム5及びバケット6の動作停止、上部旋回体3の旋回動作の停止、下部走行体2の走行停止などを行うようにしてもよい。また、安全ロックレバーの電気回路にロック信号を介入させるなどしてもよい。また、即停止の代わりに減速、段階的に減速して停止などを行うようにしてもよい。
本実施形態によれば、施工環境に応じた適切な検知範囲(動的検知エリア)の細かな設定が可能となることから、オペレータの作業性を極力妨げない形で、他の物体への衝突リスクを抑制することができる。
特に夕方、夜間での架空線近くでの重機使用において、ブーム又はアームが架空線に接触する事故を防ぐのに有効なシステムである。
また、強制的(自動的)に停止させる機能を設定することにより、重大事故の発生リスクを大幅に低減することができる。
障害物については、作業員、架空線、工具類、フェンス、構造物(柱、壁)、ケーブル類など、どのようなものでも検知可能である。
なお、掘削対象の土は、障害物ではないので、輝度などから判別できるようになれば、過検知をより低減することができる。特に本実施形態にて用いた2次元LiDARは、測距情報のみならず、対象物の輝度(RSSI 1~255)情報を得ることができる。従って、例えば、検知した障害物がどのような輝度であったかをデータとして取り込むようにして分類・学習し、土砂特有の輝度を検知対象としないといった処理を行うことが考えられる。
また、本システムは基本的に外付け可能であるので、既存の重機への適用が可能かつ容易となる。
また、障害物検知においては、後の検証のため、カメラ19L、19Rにより撮影された画像(動画)を記憶する記憶装置を設けて、カメラ19L、19Rにより撮影された画像(動画)を一時的に記憶(一定の時間隔で上書き)するようにしておき、検知エリア内に障害物を検知したときに、その前後の画像を保存する画像保存手段として機能を制御PC100に持たせるとよい。
同様の理由から、タッチパネルモニタ200のモニタ画面について、例えば1秒周期でスクリーンショットを時系列で記憶しておくようにして、障害物検知時にその前後のスクリーンショットが保存されるようにするとよい。
検知対象の障害物が細い架空線の場合、その架空線に対し、垂直スキャナ13L、13Rによる検知が可能となる幅(例えば幅20cm以上)の反射体(リフレクタ)を設置するとよい。細い架空線は、レーザスキャナによる検知が困難だからである。また、2次元LiDARの場合、検知対象の障害物の反射率が少なくとも10%以上であることが必要条件であり、それ未満では検知できない。この場合も検知させたい障害物に反射体を取付けることで、検知が可能となる。
レーザスキャナ等については、自己診断機能を持たせ、信号レベルなどから故障を検知してモニタ上に知らせるようにすることが望ましい。また、泥などをかぶって検知できなくなることも考えられるので、投受光部の汚れなどを信号レベルの低下などから診断して報知できるようにするとよい。いずれにしてもレーザスキャナ等の定期的な清掃は必要である。
なお、図示の実施形態はあくまで本発明を概略的に例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
1 バックホウ
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 キャビン
8 カウンターウエイト
10 ブームシリンダ
11 アームシリンダ
12 バケットシリンダ
13L、13R 前方左右の垂直スキャナ
14L、14R 前方左右の水平スキャナ
15 後方水平スキャナ
16 ブーム傾斜センサ
17 アーム傾斜センサ
18 上部旋回体傾斜センサ
19L、19R カメラ
100 制御PC
200 タッチパネルモニタ

Claims (8)

  1. ブーム及びアームを上部旋回体に備える重機周りの障害物検知システムであって、
    前記ブーム及びアームを挟んで前記上部旋回体の左右に配置され、それぞれ自身を含む垂直面内にレーザを照射して当該垂直面内の障害物を検知可能な左右の垂直スキャナと、
    前記ブーム及びアームを挟んで前記上部旋回体の左右に配置され、それぞれ自身を含む水平面内にレーザを照射して当該水平面内の障害物を検知可能な左右の水平スキャナと、
    前記ブーム及びアームのそれぞれに配置され、前記ブーム及びアームの傾斜角を検知する傾斜センサと、
    前記垂直スキャナ及び前記水平スキャナのそれぞれが検知可能な面内に、前記傾斜センサにより検知される前記ブーム及びアームの姿勢に応じて、前記ブーム及びアーム周りの検知エリアを設定する検知エリア設定手段と、
    前記検知エリア内に障害物を検知したときに、障害物との接触を回避するための動作を行わせる接触回避動作手段と、
    を含むことを特徴とする、重機周りの障害物検知システム。
  2. 前記左右の水平スキャナは、前記上部旋回体の前側の両角に配置されて、前記上部旋回体の左右の前方及び側方を走査可能であり、前記上部旋回体の前方及び側方の障害物を検知可能であることを特徴とする、請求項1記載の重機周りの障害物検知システム。
  3. 前記上部旋回体の後側に配置され、自身を含む水平面内にレーザを照射して当該水平面内の障害物を検知可能な後方水平スキャナを更に含み、前記上部旋回体の後方の障害物を検知可能であることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の重機周りの障害物検知システム。
  4. 前記上部旋回体に配置され、前記上部旋回体の傾斜角を検知する傾斜センサを更に含むことを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の重機周りの障害物検知システム。
  5. 前記検知エリア設定手段は、前記検知エリアを長方形に2次元座標系として設定することを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の重機周りの障害物検知システム。
  6. 重機周りを撮影するカメラと、撮影された画像を記憶する記憶装置とを備えて、前記検知エリア内に障害物を検知したときに、その前後の画像を保存する画像保存手段を更に含むことを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の重機周りの障害物検知システム。
  7. 検知対象の障害物が架空線の場合、その架空線に対し、前記垂直スキャナによる検知が可能となる幅の反射体を設置することを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか1つに記載の重機周りの障害物検知システム。
  8. 重機のキャビン内に配置されるオペレータの視認用の表示装置を更に含み、
    前記表示装置は、前記検知エリアの表示を含む重機の側面画像及び平面画像を表示するとともに、前記検知エリア内に検知した障害物をアイコン表示する機能を有していることを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の重機周りの障害物検知システム。
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