<第1実施形態>
以下、本発明に係る送風機能付き衣服について、第1実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下、本発明に係る送風機能付き衣服について、衣服を、第1実施形態では、着用者上体に着衣するベストである場合を挙げて、説明する。
図1は、第1実施形態に係る空調温調ベストの外面を前身頃側から見た正面図であり、その後身頃側から見た背面図を、図2に示す。図3は、ペルチェ素子ユニットが装着されていない場合における第1実施形態に係る空調温調ベストの内側を前身頃側から見た正面図である。図4は、図1に示す空調温調ベストの内側を前身頃側から見た正面図である。なお、本発明に係る送風機能付き衣服は、本実施形態では、空調温調ベスト1と称す。
図1~図3に示すように、空調温調ベスト1は、ベスト本体2と、送風ユニット30と、ペルチェ素子ユニット40と、送風操作ユニット50と、温調操作ユニット60と、携帯用バッテリー54等とを備えている。送風操作ユニット50は、第1実施形態では、一例として1つ有している。
<ベスト本体2について>
はじめに、ベスト本体2について、図1~図3を用いて説明する。ベスト本体2は、図1~図2に示すように、本発明に係る送風機能付き衣服は、前身頃4と、後身頃5とを有したベスト(袖口が無い作業着)の形態に形成されている。しかしながら、この送風機能付き衣服は、長袖や半袖等の作業着であっても良い。
ベスト本体2では、その服地3が、表側服地3Aと裏側服地3Bによりベスト形状に形成されている。表側服地3Aと裏側服地3Bは双方とも、例えば、ナイロン(nylon)、ポリエステル(polyester)等、耐熱性、耐強度、蒸散性に優れた合成樹脂繊維により構成されている。しかしながら、これに限定されるものではなく、表側服地3Aと裏側服地3Bは双方とも、皮製であっても良い。ベスト本体2は、上部に着用時に着用者の首が位置するネックラインを形成する襟元部9が設けられている。ベスト本体2の左右の位置には、着用時の着用者の腕が通される袖ぐり部10(10A、10B)が設けられている。
図1に示すように、ベスト本体2の表側服地3Aには、例えば、ポケットである、第1収納部6及び第2収納部7が設けられている。第1収納部6及び第2収納部7は、表側服地3Aとベスト本体2の前身頃4の裏地との間に形成される内部空間に設けられている。これにより、送風ユニット30に接続する送風配線55や、ペルチェ素子ユニット40に接続する温調配線65や、携帯用バッテリー54は、第1収納部6や、第2収納部7から出し入れされる。
第1収納部6には、図2から図4に示すように、表側服地3Aとベスト本体2の前身頃4の裏地との間で、送風配線55や、温調配線65を挿通できるよう開口した部分である収納部開口部11が設けられている。これにより、送風配線55や、温調配線65が、携帯用バッテリー54側にある一端側で、第1収納部6に収められた状態にあっても、収納部開口部11を通じて空調温調ベスト1の内側に露出できる。
図2から図4に示すように、ベスト本体2には、配線用開口部8が、後身頃5の腰部16の左部と右部とに2箇所設けられている。配線用開口部8は、裏側服地3Bと裏地12との間で、送風配線55を挿通できるよう、裏側服地3Bの縁と裏地12の縁とを部分的に固着せず開口した部分である。これにより、送風配線55が、携帯用バッテリー54側にある一端側で、第1収納部6に収められた状態にあっても、配線用開口部8を通じて空調温調ベスト1の裏側服地3Bと裏地12との間に形成される内部空間に露出できる。図2に示すように、裏側服地3Bにおける送風ユニット30が設けられている箇所よりも上部に、ファスナ13が設けられている。このファスナ13を開けることで、空調温調ベスト1の裏側服地3Bと裏地12との間に形成される内部空間を露出させることができる。
そして、空調温調ベスト1は、前身頃4に設けられているファスナ(図示省略)を開けると、図3及び図4に示すように、前身頃4側から見てベスト本体2の後身頃5の裏地12全体を確認することができるように構成されている。なお、裏側服地3Bに一枚の裏地12が縫い付けられている。
図3及び図4に示すように、ベスト本体2の後身頃5の裏地12は、ダブルラッセル生地が含まれている。ダブルラッセル生地とは、経編という方法で編まれた生地であるとともに、ダブルラッセル生地の表裏二層が蜂の巣状のハニカム構造を持った通気性の良い生地であって、表裏二層をつなぐために多数の糸を有する。ダブルラッセル生地は、通気性の良い生地であり、二重になっているので強い弾力性を有し、速乾性も有るため着用者に与える不快感を軽減する生地である。
図3及び図4に示すように、裏地12には、送風ユニット30によるファン32の回転に伴う風、すなわち送風ユニット30から取り込まれた空気を襟元部9や袖ぐり10(10A、10B)に向かって導くために空気導流路14が形成されている。空気導流路14は、第1空気導流路14Aと、第2空気導流路14Bと、第3空気導流路14Cと、第4空気導流路14Dとから構成されている。空気導流路14は、図3及び図4に示すように、空調温調ベスト1の裏地12において十字型に形成されている。
裏地12には、4つの一対の空気通過規制部15(第1一対の空気通過規制部15A、第2一対の空気通過規制部15B、第3一対の空気通過規制部15C、及び第4一対の空気通過規制部15D)が設けられている。4つの一対の空気通過規制部15は、送風ユニット30により、ファン32の回転に伴って送り込まれた空気が、一対の空気通過規制部15自体を通過して、一対の空気通過規制部15外へと移動することを規制している。なお、4つの一対の空気通過規制部15(第1一対の空気通過規制部15Aと、第2一対の空気通過規制部15Bと、第3一対の空気通過規制部15Cと、第4一対の空気通過規制部15D)は、空調温調ベスト1の裏地12を熱圧着させることで形成されている。
図3及び図4に示すように、第1一対の空気通過規制部15Aは、裏側服地3Bに設けられている送風ユニット30の全体が介在するように裏地12を熱圧着させることで形成している。さらに、図3及び図4に示すように、第1一対の空気通過規制部15Aは、襟元部9に向かって空調温調ベスト1の腰部16付近から背中中央部17付近まで伸びるように形成している。これにより、送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送り込まれた空気は、第1一対の空気通過規制部15Aの間に形成されている第1空気導流路14Aを通って、襟元部9に向かって誘導されることになる。
図3及び図4に示すように、第2一対の空気通過規制部15Bは、第1袖ぐり部10Aに向かって空調温調ベスト1の背中中央部17付近から第1袖ぐり部10Aまで伸びるように裏地12を熱圧着させることで形成している。これにより、送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送り込まれた空気は、第2一対の空気通過規制部15Bの間に形成されている第2空気導流路14Bを通って、第1袖ぐり部10Aに向かって誘導されることになる。
図3及び図4に示すように、第3一対の空気通過規制部15Cは、第2袖ぐり部10Bに向かって空調温調ベスト1の背中中央部17付近から第2袖ぐり部10Bまで伸びるように裏地12を熱圧着させることで形成している。これにより、送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送り込まれた空気は、第3一対の空気通過規制部15Cの間に形成されている第3空気導流路14Cを通って、第2袖ぐり部10Bに向かって誘導されることになる。
図3及び図4に示すように、第4一対の空気通過規制部15Dは、襟元部9に向かって空調温調ベスト1の背中中央部17付近から襟元部9まで伸びるように裏地12を熱圧着させることで形成している。これにより、送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送り込まれた空気は、第4一対の空気通過規制部15Dの間に形成されている第4空気導流路14Dを通って、襟元部9に向かって誘導されることになる。
図3に示すように、裏地12には、ペルチェ素子ユニット40を装着可能な素子取付部20が、複数の部位に配設され、本実施形態では、後身頃5に3箇所に設けられている。後身頃5では、素子取付部20は、首筋部18に1箇所と、第1袖ぐり部10A付近に1箇所と、第2袖ぐり部10B付近に1箇所配置されている。
図3に示すように、素子取付部20は、素子取付部20に形成された素子挿入孔22と、この素子挿入孔22の周囲に素子外周縁部21を有している。図3及び図4に示すように、素子取付部20は、裏地12のダブルラッセル生地に比べて、剛性の高い材質(例えば、皮製)であるとともに、空気を通過させない生地で構成されている。また、素子外周縁部21も空気を通さない生地で構成されている。なお、素子取付部20は、ゴム製、樹脂製等の生地で構成されていても良い。素子外周縁部21を有する素子取付部20が空気を通過させない生地で構成されているため、ファン32の回転に伴って送り込まれた空気は、素子取付部20や素子外周縁部21、すなわちペルチェ素子ユニット40(第1ペルチェ素子ユニット40A、第2ペルチェ素子ユニット40B、第3ペルチェ素子ユニット40C)の周囲を通過せずに、襟元部9や袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)や空気孔47に向かって導かれる。なお、素子取付部20は、ダブルラッセル生地を用いた裏地12の上から縫い付けられている。
<送風ユニット30について>
次に、送風ユニット30について、図5~図8を用いて説明する。図5は、図2に示す送風ユニットの本体を示す正面図であり、図6は、図2に示す送風ユニットの本体の背面図である。図7は、図4に示す空調温調ベストのA-A線断面図である。図8は、空調温調ベストに装着されている送風ユニットの部分断面図である。
図5から図6に示すように、第1実施形態の送風ユニット30は、送風を行うファン32と、このファン32の回転をモータ(図示省略)で制御する駆動部33と、ファン32と駆動部33の周囲を通気可能に覆うケーシング34とを備えている。第1実施形態のファン32は、例えば、プロペラを有するプロペラ型のファンである。
送風ユニット30は、例えば、一次電池や二次電池等の蓄電池である携帯用バッテリー54を駆動部33のモータの電源として要している。空調温調ベスト1では、携帯用バッテリー54は、第1収納部6等に収容される。なお、第1実施形態に係る携帯用バッテリー54は、出力5V(ボルト)、バッテリー容量5200mA等の仕様で構成された汎用的な電源である。
携帯用バッテリー54と送風配線55とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)接続等、コネクタを介した接続により、自在に着脱可能となっている。携帯用バッテリー54の電力は、送風配線55を通じて駆動部33や駆動部33のモータに供給される。
送風配線55を通じて電圧5Vが供給されると、送風制御部51の制御によって駆動部33は駆動され、プロペラ型のファン32が回転される。プロペラ型のファン32の回転に伴って空調温調ベスト1外部の空気が図6に示す送風ユニット30本体の背面から取り込まれて、その空気が図5に示す送風ユニット30本体の正面から送風される。
例えば、空調衣服には、空調衣服自体を膨らませて空気の流路を形成することで気化熱により着用者の身体を冷却させているものがある。空調衣服を膨らませるためには、空調衣服専用のバッテリーから供給された大きな電圧(例えば、17V)に基づいて送風ユニットのファンが有するプロペラの回転に伴う最大風量は、約50~約90L/秒が必要となる。一方、第1実施形態の空調温調ベスト1は、ダブルラッセル生地を含む裏地12に形成された空気導流路14に空気を導かせて気化熱により着用者の身体を冷却させる構成となっている。これにより、第1実施形態の空調温調ベスト1自体を膨らませる必要がないため、汎用性がある携帯用バッテリー54から供給される電圧5V(ボルト)に基づくプロペラ型のファン32の回転に伴う最大風量は、約25L/秒となっている。
送風ユニット30は、図7に示すように、空調温調ベスト1の裏側服地3Bに設けられている。図7に示すように、第1一対の空気通過規制部15Aを形成している裏地12は、裏側服地3Bと接触するように縫い付けられていない。送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送り込まれた空気は、裏地12を通過して空調温調ベスト1の着用者HM自身の身体表面BSに向かう。そして、裏地12を通過して空調温調ベスト1の着用者HM自身の身体表面BSに向かった空気は、第1空気導流路14Aを通って襟元部9に向かって移動する。
送風ユニット30の装着では、本体31(図5~図6参照)は、空調温調ベスト1の裏側服地3Bに形成された送風ユニット開口内に、裏側服地3Bから挿入される。そして、送風ユニット開口の送風ユニット外周縁部にフランジ36を当接させた状態で、外部ケース35は送風ユニット開口内に配置される。
次に、押圧部材37は、裏側服地3Bの内側から送風ユニット開口の送風ユニット外周縁部付近に配置され、本体31と押圧部材37とを相対的に回転させて組み付けられる。そして、裏側服地3Bの送風ユニット外周縁部は、本体31の雄ネジと押圧部材37の雌ネジとを螺合で固着することにより、フランジ36と押圧部38によって挟み込まれる。本体31と押圧部材37とは、フランジ36と押圧部38で裏側服地3Bの送風ユニット外周縁部を挟み込んだ状態で、裏側服地3Bに固定される。このように固定することで、図8に示すように、送風ユニット30が、裏側服地3Bに固定される。
送風ユニット30は、図1~図4に示すように、送風配線55により、送風操作ユニット50を介して、携帯用バッテリー54と電気的に接続される。
<ペルチェ素子ユニット40について>
次に、ペルチェ素子ユニット40について、図9~図11を用いて説明する。図9は、第1実施形態に係る空調温調ベストで、ペルチェ素子ユニットを排出部側から示す説明図である。図10は、第1実施形態に係る空調温調ベスト1で、ペルチェ素子ユニットを放熱面側から示す説明図である。図11は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図9~図10に示すように、ペルチェ素子ユニット40は、ペルチェ素子をカバー部材に内蔵したものとなっている。ペルチェ素子は、板状の半導体熱電素子の一種である。ペルチェ素子に直流電流が供給されると、ペルチェ素子の平板部では、ペルチェ効果により、一面が、例えば、十℃程度に吸熱して吸熱下の状態(冷却面)になると同時に、その反対側の他面が、例えば、三十数℃程度に発熱して発熱下の状態(加熱面)となる。ペルチェ素子は、冷却面の熱を加熱面側に移動させ、加熱面側に大量の熱が発生させる素子である。
図9~図11に示すように、ペルチェ素子ユニット40は、その一面である放熱面41と、空調温調ベスト1内の空気を流入させる空気孔47と、円周に4つの空気孔47が形成された円筒状に形成された空気円筒部48と、雄ネジを有する凸部42とを有する。さらに、ペルチェ素子ユニット40は、ペルチェ素子による熱を取り込んで空気中に放散させて熱交換を行う熱交換面49と、熱交換面49により熱交換された空気をペルチェ素子ユニット40外部に排出する排出部43aを形成する蓋部43も有する。さらに、ペルチェ素子ユニット40は、熱交換面49により熱交換された空気を排出部43aへと送風する送風装置70と、カバー部材に形成された内側フランジ44と、リング締結具45等も有する。
放熱面41は、外部に露出した状態になっており、ペルチェ素子ユニット40(ペルチェ素子ユニット)では、放熱面41と排出部43aとが、互いに反対側に配置されている。
放熱面41の裏側に形成された熱交換面49は、例えば、アルミニウム、銅等、熱伝導性等に優れた金属製により構成されている。熱交換面49は、突起形状で構成されている複数(例えば、117)の冷却フィン49aを有する。冷却フィン49aは、突起形状で構成されていることで、冷却フィン49aの表面積の拡大によって空気に接触する部分が拡大され、ペルチェ素子の熱を効率良く放出することが可能となる。
図11に示すように、空気円筒部48の軸心AX方向において放熱面41(冷却面41A、加熱面41B)と反対側の端部である凸部42が設けられている。凸部42は、円筒状に形成され、外周端部から円環板形状に張り出した内側フランジ44が設けられている。
図11に示すように、第1実施形態の送風装置70は、送風を行う排熱ファン71と、この排熱ファン71の回転を行うモータ(図示省略)で制御する排熱ファン駆動部72とを備える。これにより、熱交換面49により熱交換された空気は、排熱ファン71の回転によって発生させた風によって排出部43aから排出される。
リング締結具45は、放熱面41(冷却面41A、加熱面41B)と反対側の端部である凸部42と自在に締結または、その解除可能に形成されている。リング締結具45は、円環板形状に張り出した環状の外側フランジ46を備えている。空調温調ベスト1では、3つのペルチェ素子ユニット40(第1ペルチェ素子ユニット40A、第2ペルチェ素子ユニット、第3ペルチェ素子ユニット40C)は、ベスト本体2にある3箇所の素子取付部20に装着される。
ペルチェ素子ユニット40では、ペルチェ素子は、図1及び図4に示すように、温調配線65により、温調操作ユニット60を介して、携帯用バッテリー54と電気的に接続される。
例えば、空調温調ベスト1に3つのペルチェ素子ユニット40を装着する場合、温調配線65は、一条状にまとめた温調本線66から温調分岐部67で分割して延びる3本の温調支線66A、温調支線66B、温調支線66Cの態様となる。すなわち、温調支線66A、温調支線66B、温調支線66C等の本数は、ペルチェ素子ユニット40の数と一致している。
温調配線65の温調本線66は、携帯用バッテリー54に接続される。例えば、温調支線66Aは、第1ペルチェ素子ユニット40Aに接続される。例えば、温調支線66Bは、第2ペルチェ素子ユニット40Bに接続される。例えば、温調支線66Cは、第3ペルチェ素子ユニット40Cに接続される。しかしながら、これに限定されるものではない。温調支線66A、66B、66Cは、3つのペルチェ素子ユニット40(第1~第3ペルチェ素子ユニット40A,40B,40C)と、1対1の接続関係であれば、着用者HMによる判断の下、特に配線経路をシンプル化して、任意に接続されれば良い。
<ペルチェ素子ユニット40の装着について>
図12~図14を用いてペルチェ素子ユニット40を素子取付部20に装着方法について説明する。図12は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを空調温調ベストに装着する方法を示す説明図である。図13は、図4のB-B線、及びC-C線部分断面図である。図14は、図4のD-D線部分断面図である。
図12に示すように、ペルチェ素子ユニット40の装着では、ペルチェ素子ユニット40の凸部42側は、空調温調ベスト1の素子取付部20に形成された素子挿入孔22内に、素子取付部20の内側20aから挿入される。ペルチェ素子ユニット40は、素子挿入孔22の素子外周縁部21に内側フランジ44を当接させた状態で、素子挿入孔22内に配置する。素子挿入孔22は、ペルチェ素子ユニット40の放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)と空調温調ベスト1の着用者HM自身の身体を密着させるように取り付けるための孔である。
続いて、外側フランジ46は、素子取付部20の外側20bから素子挿入孔22の素子外周縁部21に当接させる。リング締結具45は、裏地12と裏側服地3Bとの間の内部空間に入れる。素子外周縁部21は、凸部42の内側フランジ44とリング締結具45の外側フランジ46により挟み込んだ状態となる。
裏地12と裏側服地3Bとの間の内部空間に入った凸部42の雄ネジとリング締結具45の雌ネジとを螺合で固着することにより、素子取付部20は、内側フランジ44と外側フランジ46によって挟み込まれる。かくして、図4に示すように、ペルチェ素子ユニット40は、素子取付部20に固着した状態で装着される。
袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)付近の素子取付部20にペルチェ素子ユニット40(第2ペルチェ素子ユニット40B、第3ペルチェ素子ユニット40C)が装着される。この場合、図13に示すように、放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)が、空調温調ベスト1の着用者HM自身の身体側(脇付近)に対向させて接触可能な状態となる。これにより、放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)が、着用者HM自身の身体表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させて、脇の下を冷却することができる。
図13に示すように、2つのペルチェ素子ユニット40(第2ペルチェ素子ユニット40B、第3ペルチェ素子ユニット40C)は、空気導流路14(第2空気導流路14B、第3空気導流路14C)に設けられた素子取付部20に装着される。図13に示すように、2つのペルチェ素子ユニット40(第2ペルチェ素子ユニット40B、第3ペルチェ素子ユニット40C)の放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)及び空気円筒部48は、空調温調ベスト1の身体側に取り付けられている。
図13に示すように、第2一対の空気通過規制部15Bのうち、素子取付部20に装着されている第2ペルチェ素子ユニット40Bよりも上側に位置する一方の空気通過規制部を形成している裏地12は、裏側服地3Bと接触するように縫い付けられている。図13に示すように、第3一対の空気通過規制部15Cのうち、素子取付部20に装着されている第3ペルチェ素子ユニット40Cよりも上側に位置する一方の空気通過規制部を形成している裏地12は、裏側服地3Bと接触するように縫い付けられている。
図13に示すように、第2一対の空気通過規制部15Bのうち、素子取付部20に装着されている第2ペルチェ素子ユニット40Bよりも下側に位置する一方の空気通過規制部を形成している裏地12は、裏側服地3Bと接触するように縫い付けられていない。図13に示すように、第3一対の空気通過規制部15Cのうち、素子取付部20に装着されている第3ペルチェ素子ユニット40Cよりも下側に位置する一方の空気通過規制部を形成している裏地12は、裏側服地3Bと接触するように縫い付けられていない。
首筋部18の素子取付部20に第1ペルチェ素子ユニット40Aが装着される。この場合、図14に示すように、放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)が、空調温調ベスト1の着用者HM自身の身体側(首筋)に対向させて接触可能な状態となる。これにより、放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)が、着用者HM自身の身体表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させて、着用者の首筋を冷やすことができる。
図14に示すように、第1ペルチェ素子ユニット40Aは、第4一対の空気通過規制部15Dによって形成された第4空気導流路14Dに設けられた素子取付部20に装着されている。図14に示すように、第1ペルチェ素子ユニット40Aの放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)及び空気円筒部48は、空調温調ベスト1の身体側に取り付けられている。図14に示すように、第4一対の空気通過規制部15Dを形成している裏地12は、裏側服地3Bと接触するように縫い付けられている。
<フランジの傾斜角度について>
図15~図16を用いて、内側フランジ44と外側フランジ46の傾斜角度について説明する。図15は、素子取付部に装着されたペルチェ素子ユニットの断面図である。図16は、図15に示す内側フランジと外側フランジの拡大断面図である。なお、図15及び図16は、ペルチェ素子ユニット40(第1ペルチェ素子ユニット40A、第2ペルチェ素子ユニット40B、第3ペルチェ素子ユニット40C)が素子取付部20に装着されている状態の図面である。
図15及び図16に示すように、ペルチェ素子ユニット40の内側フランジ44の表面44aと外側フランジ46の表面46aは、素子取付部20に接触、すなわち面接触している。内側フランジ44の表面44aと外側フランジ46の表面46aの面接触は、素子取付部20からペルチェ素子ユニット40が外れてしまうことを防止することができる。
図15及び図16に示すように、内側フランジ44の裏面44bと外側フランジ46の裏面46bは、素子取付部20に接触していない。
図15及び図16に示すように、内側フランジ44の表面44a及び裏面44bは、放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)と平行な面に対して、蓋部43に形成されている排出部43a側に傾斜している。なお、第1実施形態における内側フランジ44の表面44a及び裏面44bの傾斜角度θは、20°である。
図15及び図16に示すように、外側フランジ46の表面46a及び裏面46bは、内側フランジ44と同様に、放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)と平行な面に対して、蓋部43に形成されている排出部43a側に傾斜している。なお、第1実施形態における外側フランジ46の表面46a及び裏面46bの傾斜角度θは、20°である。
<フランジの空気の流れを変化させる機能について>
第1実施形態のペルチェ素子ユニット40の内側フランジ44の表面44a及び裏面44bの傾斜角度θは、放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)に対して20°である。これにより、ペルチェ素子ユニット40の内側フランジ44は、ペルチェ素子ユニット40の空気孔47に流入される空気の流れを下向きに変化させる機能を有している。図17から図18を用いて、第1実施形態のペルチェ素子ユニット40の内側フランジ44が有するペルチェ素子ユニット40の空気孔47に流入される空気の流れを下向きに変化させる機能について説明する。
図17Aは、比較例の空気孔に流入される空気の流れを示す説明図である。図17Bは、第1実施形態の空気孔に流入される空気の流れを示す説明図である。図18Aは、比較例の空気孔に流入される空気の速度分布を示す説明図である。図18Bは、第1実施形態の空気孔に流入される空気の速度分布を示す説明図である。
比較例におけるペルチェ素子ユニット40の内側フランジ44の表面44a及び裏面44bの傾斜角度θは、放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)に対して0°である。すなわち、図17Aを示すように、ペルチェ素子ユニット40の内側フランジ44は、放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)に対して平行である。これにより、比較例におけるペルチェ素子ユニット40の内側フランジ44は、ペルチェ素子ユニット40の空気孔47に流入される空気の流れを下向きに変化させる機能を有していない。
図17Aに示すように、比較例の内側フランジ44の傾斜角度θが0°であると、送風ユニット30により、ファン32の回転に伴って送られてきた空気の一部である空気AR(空気AR1、空気AR2、空気AR3、空気AR4)は、空気孔47に向かって流れる。空気AR(空気AR1、空気AR2、空気AR3、空気AR4)は、内側フランジ44に衝突することなく、空気孔47を流入し、ペルチェ素子ユニット40の内部へと流れる。ペルチェ素子ユニット40の内部に流れた空気AR(空気AR1、空気AR2、空気AR3、空気AR4)は、複数の冷却フィン49aや熱交換面49と接触することになる。
図17Bに示すように、内側フランジ44の傾斜角度θが20°である場合、送風ユニット30により、ファン32の回転に伴って送られてきた空気の一部である空気AR(空気AR4、空気AR5、空気AR6、空気AR7)は、空気孔47に向かって流れる。その後、図17Bに示すように、空気AR4は、内側フランジ44に衝突する。これにより、空気AR4の速度は速くなり、空気AR4に対する圧力は低くなる。図17Bに示すように、空気AR4は、傾斜角度θが20°の内側フランジ44に沿って、熱交換面49が有する冷却フィン49aの根元に向かって流れていく。
図17Bに示すように、空気孔47に向かって流れた空気AR5は、傾斜角度θが20°の内側フランジ44に沿って空気孔47に向かって流れている空気AR4によって下方に圧縮される。これにより、空気AR5の流れは、冷却フィン49aの根元側に変化される。
図17Bに示すように、空気孔47を通過した空気AR4は、ペルチェ素子ユニット40の内部へと流入する。図17Bに示すように、空気孔47を通過してペルチェ素子ユニット40の内部に流入した空気AR6は、ペルチェ素子ユニット40の内部に流入した空気AR4によって下方に圧縮される。これにより、空気AR6の流れは、冷却フィン49aの根元側に変化される。
図17Bに示すように、第1実施形態の内側フランジ44は、内側フランジ44に衝突した空気AR4の流れを下向きにすることで、空気孔47に向かう空気AR5及び空気AR6の流れを冷却フィン49aの根元に向かって流れるよう変化させる機能を有している。
次に、図18Aを用いて、比較例の内側フランジ44が放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)に対して平行である場合における空気の速度分布の変化について説明する。
図18Aに示す第1比較速度分布HP1は、送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送られてきた空気の一部の速度分布である。図18Aに示すように、比較例の内側フランジ44付近における第1比較速度分布HP1の頂点は、熱交換面49が有する冷却フィン49aと相対している。第1比較速度分布HP1は、熱交換面49が有する冷却フィン49aに向かって移動する。
送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送られてきた空気がペルチェ素子ユニット40の内側フランジ44の下方に移動した場合における空気の一部の速度分布は、図18Aに示す第2比較速度分布HP2である。図18Aに示すように、ペルチェ素子ユニット40の内側フランジ44付近における第2比較速度分布HP2の頂点は、第1比較速度分布HP1と同様に熱交換面49が有する冷却フィン49aと相対している。第2比較速度分布HP2は、熱交換面49が有する冷却フィン49aに向かって移動する。
送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送られてきた空気がペルチェ素子ユニット40の内部に移動した場合における空気の一部の速度分布は、図18Aに示す第3比較速度分布HP3である。図18Aに示すように、ペルチェ素子ユニット40の内部に移動した第3比較速度分布HP3の頂点は、熱交換面49が有する冷却フィン49aと相対している。比較例の内側フランジ44が放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)に対して平行である場合、内側フランジ44によって空気孔47に向かう空気の流れは変化せず、冷却フィン49aに向かって移動していくことになる。
次に、図18Bを用いて、第1実施形態の内側フランジ44が放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)に対して傾斜角度20°で傾斜している場合における空気の速度分布の変化について説明する。
図18Bに示す第1傾斜速度分布ZP1は、第1実施形態の内側フランジ44付近における送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送られてきた空気の一部の速度分布である。図18Bに示すように、第1実施形態の内側フランジ44付近における第1傾斜速度分布ZP1の頂点は、熱交換面49が有する冷却フィン49aと相対している。第1傾斜速度分布ZP1は、熱交換面49が有する冷却フィン49aに向かって移動する。
次に、送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送られてきた空気が第1実施形態の内側フランジ44によって下方に移動した場合における空気の一部の速度分布は、図18Bに示す第2傾斜速度分布ZP2である。送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送られてきた空気の一部は、傾斜角度θが20°の内側フランジ44に沿って、熱交換面49が有する冷却フィン49aの根元に向かって流れていく(図17B参照)。これにより、第2傾斜速度分布ZP2の頂点は、冷却フィン49aの根元側に移動して、熱交換面49が有する冷却フィン49aの根元と相対している。第2傾斜速度分布ZP2は、熱交換面49が有する冷却フィン49aの根元に向かって移動する。
次に、送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送られてきた空気がペルチェ素子ユニット40の内部に移動した場合における空気の速度分布は、図18Bに示す第3傾斜速度分布ZP3である。ファン32の回転に伴う空気は、傾斜角度θが20°の内側フランジ44に沿って、熱交換面49が有する冷却フィン49aの根元に向かって流れていく(図17B参照)。これにより、第3傾斜速度分布ZP3の頂点は、第2傾斜速度分布ZP2と同様に、熱交換面49が有する冷却フィン49aの根元と相対している。これにより、第1実施形態の空気孔47に向かって流入した空気は、第1実施形態の内側フランジ44に衝突して速度が上がって、圧力が下がることで、図18Bに示すように、空気の流れが冷却フィン49aの根元に向かうように変化する。
送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送られてきた空気の一部は、傾斜角度θが20°の内側フランジ44に沿って、熱交換面49が有する冷却フィン49aの根元に向かって流れていく(図17B、図18B参照)。これにより、第1実施形態の内側フランジ44は、内側フランジ44よりも下側で流入する空気の流れを冷却フィン49aの根元側に変化させることができる。そのため、空調温調ベスト1に内在している冷却された空気(例えば、35℃)全体が冷却フィン49aを平面的に見たときに、比較例の空気孔47から流入した空気が接触し得なかった送風装置70の直下に位置する冷却フィン49aに届くことになる。したがって、第1実施形態のペルチェ素子ユニット40による冷却効率は、内側フランジ44が平行である場合(図17A、図18A参照)と比較して、10%程度高めることができる。ペルチェ素子ユニット40の冷却効率を10%程度高めることにより、排熱ファン71の回転を行うモータの消費電力を10%程度減少させることができ、空調温調ベスト1の有効冷時間を例えば、120分から132分に延ばすことができる。
<ダブルラッセル生地について>
次に第1実施形態の空調温調ベスト1の裏地12に含まれるダブルラッセル生地について図19~図20を用いて説明する。図19は、図7に示した裏地のF矢視図である。図20は、ダブルラッセル生地の拡大断面図である。
裏地12に含まれるダブルラッセル生地は、表層81と、裏層82と、多数の連結糸83とを有する。図19に示すように、図7に示した裏地12をFから矢印が指す方向に視認(F矢視)すると、裏地12に含まれるダブルラッセル生地の表層81は、糸状の繊維から形成されるとともに空隙率の極めて高い空孔の正六角形柱を隙間なく並べた構造となっている。
また、ダブルラッセル生地の裏層82は、表層81と同様の糸状の繊維からなるとともに空隙率の極めて高い空孔の正六角形柱を隙間なく並べた構造となっている。また、図20に示すように、ダブルラッセル生地の表層81及び裏層82は、連結糸83によって連結されており、空隙率の極めて高い空孔を有した構成となっている。
例えば、空気導流路14は、裏地12の厚さが小さい(例えば、約1cm)と、送風ユニット30により、ファン32の回転に伴って送り込まれた空気を襟元部9や袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)に向かって導くことが困難となる。一方で、裏地12の厚さが大きすぎると(例えば、10cm)、送風ユニット30から取り込まれた空気は、裏地12を通過することが困難となってしまう。そこで、第1実施形態の裏地12に含まれるダブルラッセル生地の厚さは、送風ユニット30から取り込まれた空気を裏地12を通過させて、襟元部9や袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)に導くために、約2cmとなっている。
<空調温調ベスト1内の空気の流れについて>
次に、図21~図23を用いて、空調温調ベスト1内の空気の流れについて説明する。図21は、図1に示す空調温調ベストの送風ユニットから送り込まれた空気の流れを説明するための説明図である。また、図22は、空調温調ベストを着用した状態において、送風ユニットから送り込まれた空気の流れを説明するための説明図である。また、図23は、空調温調ベストの送風ユニットから空気が送り込まれた場合における図4のE-E線断面図である。
図21に示すように、送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送り込まれた空気ARは、第1空気導流路14Aに導かれて背中中央部17に流れる。背中中央部17に流れた空気ARは、第2空気導流路14B、第3空気導流路14C、または第4空気導流路14Dのうち、いずれかの空気導流路に十字分岐する。
図21に示すように、第1空気導流路14Aから第2空気導流路14Bに分岐した空気ARは、第2空気導流路14Bによって第1袖ぐり部10Aに向かって導かれ、第1袖ぐり部10Aから空調温調ベスト1の外部に放出される。
図21に示すように、第1空気導流路14Aから第3空気導流路14Cに分岐した空気ARは、第3空気導流路14Cによって第2袖ぐり部10Bに向かって導かれ、第2袖ぐり部10Bから空調温調ベスト1の外部に放出される。
図21に示すように、第1空気導流路14Aから第4空気導流路14Dに分岐した空気ARは、第4空気導流路14Dによって襟元部9に向かって導かれ、襟元部9から空調温調ベスト1の外部に放出される。
図22に示すように、空調温調ベスト1を着用者HMが着用している場合に、空調温調ベスト1の外部から空気が取り込まれ、送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送り込まれた空気ARが流される。続いて、空気ARは第1空気導流路14Aから第2空気導流路14B、第3空気導流路14C、または第4空気導流路14Dのうち、いずれかの空気導流路に十字分岐する。
第2空気導流路14B、第3空気導流路14C、または第4空気導流路14Dのうち、いずれかの空気導流路を流れた空気ARは、襟元部9、第1袖ぐり部10A、または第2袖ぐり部10Bのうち、いずれかから空調温調ベスト1の外部に放出される。これにより、空気導流路14により導かれた空気によって身体を冷却させ、襟元部9及び袖ぐり部10(第1袖ぐり部10Aや、第2袖ぐり部10B)から効率的に空気を放出させることができる。
第1実施形態の空調温調ベスト1の裏側服地3B及び裏地12の間に内部空間が形成されている。送風ユニット30及びペルチェ素子ユニット40(第1ペルチェ素子ユニット40A、第2ペルチェ素子ユニット、第3ペルチェ素子ユニット40C)は、その内部空間に設けられている。
空調温調ベスト1は、空調温調ベスト1に内在する冷却された空気を空気孔47から流入させ、その空気によって冷却フィン49aを冷却させて、排出部43aから熱交換が行われた空気を排出させる熱交換機能を有している。図23を用いて空調温調ベスト1が有する熱交換機能について説明する。
図23に示すように、送風ユニット30によるファン32の回転に伴って送り込まれた空気ARは、ダブルラッセル生地の裏地12を通過して襟元部9に向かって流れるとともに、裏側服地3B及び裏地12の間に形成されている内部空間にも流れる。その後、空気ARは、襟元部9や、第1袖ぐり部10Aや、第2袖ぐり部10Bに向かって流れていくことになる。
例えば、第4空気導流路14Dにより襟元部9に向かって流れている空気ARや、裏側服地3B及び裏地12の間に内部空間から第4空気導流路14Dに流れ込んだ空気ARは、図23に示すように、第1ペルチェ素子ユニット40Aの空気孔47に流入する。空気孔47から流入した空気が熱交換面49や複数の冷却フィン49aに接触することで、熱交換面49による熱交換が行われる。熱交換面49と接触することで温まった空気は、排熱ファン71の回転に伴う発生した風によって排出部43aから裏側服地3B及び裏地12の間にある内部空間に排出される。
その後、裏側服地3B及び裏地12の間にある内部空間に排出された空気は、その内部空間内を襟元部9に向かって流れる空気ARによって、襟元部9から空調温調ベスト1の外部へと放出されることになる。
第2ペルチェ素子ユニット及び第3ペルチェ素子ユニット40Cも、第1ペルチェ素子ユニット40Aと同様に、空気孔47から流入した空気が熱交換面49や複数の冷却フィン49aと接触することで冷却される。その後、熱交換面49と接触することで温まった空気は、排熱ファン71の回転に伴って発生させた風によって排出部43aから裏側服地3B及び裏地12の間にある内部空間に排出される。裏側服地3B及び裏地12の間にある内部空間に排出された空気は、袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)に向かって内部空間を流れている空気ARによって、袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)から放出される。
ところで、猛暑下の屋外で働く作業者等は、外部の空気をファンを介して取り込んで空調衣服を膨らませ、空調衣服本体と着用者の身体又は下着との間の流路に沿って襟元に向かって導かれている間に着用者の身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する時の気化熱により身体を冷却させるファン付きの空調衣服を着用することがある。しかしながら、空調衣服内にファンを介して空気が取り込まれて空調衣服が膨らんでしまうと、膨らんだ空調衣服が狭所で作業を行い難いといった支障があるだけでなく、見栄えが悪くなってしまう。また、年々猛暑日の日中の気温が上昇しており、猛暑下の屋外で働く作業者や、屋内の蒸し暑い環境下で働く作業者にとっては、単に外部の空気をファンを介して取り込む空調衣服を着用して、発汗作用を促して体温調整を行わせるだけでは、十分に着用者を冷却させることができず、着用者にとって過酷である。そのため、暑さによる熱中症になるリスクを防止することが困難である。
そこで、猛暑下の屋外で働く作業者等は、ペルチェ素子の一端が低温になることで着用者の身体を冷却させる衣服を着用することが考えられる。しかしながら、ペルチェ素子の一端が低温となって、ペルチェ素子の他端が高温になると、そのペルチェ素子の他端が高温になることで、温められた空気が衣服内に留まってしまう。この場合、ペルチェ素子の一端が低温になることで着用者の身体を冷却させる衣服を着用している着用者にとっては、ペルチェ素子の一端が低温になっている部分は冷たいが、それ以外の部分は温かいという不快感を与えることになる。また、ペルチェ素子の他端との熱交換が不十分であると、ペルチェ素子による冷却効率が下がってしまうため、着用者の身体を十分に冷やすことができない虞がある。
空調温調ベスト1では、電圧5Vに基づいてプロペラ型のファン32が回転して、空調温調ベスト1内に空気が取り込まれると、通気性の良いダブルラッセル生地を含む裏地12に形成されている空気導流路14(第1空気導流路14A、第2空気導流路14B、第3空気導流路14C、第4空気導流路14D)に導かれる。これにより、発汗作用を促して体温調整を行わせるだけでなく、空調温調ベスト1自体が膨らまないため狭所で作業を行い易くさせるとともに見栄えが悪くなってしまうことを抑制することができる。首筋や脇の下にはリンパ節が多く分布しており、リンパ節のある部分を冷やすことで、リンパ液が冷やされるので体温上昇を抑えることができるとされている。そこで、空調温調ベスト1の裏地12に首筋部18と第1袖ぐり部10Aと第2袖ぐり部10Bとにペルチェ素子ユニット40(第1~第3ペルチェ素子ユニット40A、40B、40C)を設けて、ペルチェ素子ユニット40の冷却面41Aによって空調温調ベスト1を着用している着用者の首筋と脇の下を冷やすことで体内を循環するリンパ液を効率良く冷やして体温上昇を抑えることができる。さらに、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気が、空気導流路14(第1空気導流路14A、第2空気導流路14B、第3空気導流路14C、第4空気導流路14D)を通って冷却されて、その冷却された空気を冷却フィン49aに接触させて熱交換を行わせて、排出部43aから排出させる。排出部43aから排出された空気は、空気導流路14(第1空気導流路14A、第2空気導流路14B、第3空気導流路14C、第4空気導流路14D)によって襟元部9や第1袖ぐり部10Aや第2袖ぐり部10Bに向かって導かれている空気と合流させて、襟元部9や第1袖ぐり部10Aや第2袖ぐり部10Bから放出させている。これにより、空調温調ベスト1を着用している着用者の身体表面とペルチェ素子ユニット40の冷却面41Aとが接触している箇所以外の部分が温かいという不快感を与えることを防止することができる。また、プロペラ型のファン32によって空気が取り込まれ、空調温調ベスト1に内在している冷却された空気(例えば、35℃)がペルチェ素子ユニット40の空気孔47から流入されて、その流入された空気が冷却フィン49aと接触して熱交換が行われることで、ペルチェ素子ユニット40の冷却面41Aの冷却効率が低くなってしまうことを回避しつつ冷却面41Aにより着用者の身体を十分に冷やすことができる。
<送風操作ユニットについて>
図24は、第1実施形態に係る空調温調ベストに具備する送風操作ユニットの構成を示すブロック図である。図24に示すように、送風操作ユニット50は、送風制御部51と、送風操作部52と、送風表示部53等を有する。送風操作ユニット50内では、送風操作部52と送風表示部53が、送風制御部51と電気的に接続されている。
送風操作部52は、送風操作ユニット50上面にある押下部を、所定の操作モードに基づいて、指で軽く押すことにより、駆動部33のモータへの通電のオン/オフの切替え操作を制御するための操作を可能とした態様で構成されている。送風表示部53は、送風操作ユニット50上面にある表示部で、白色に発光可能とした態様で構成されている。
<温調操作ユニットについて>
図25は、実施形態に係る空調温調ベストに具備する温調操作ユニットの構成を示すブロック図である。図25に示すように、温調操作ユニット60は、温調制御部61と、温調操作部62と、温調表示部63等を有する。温調操作ユニット60内では、温調操作部62と温調表示部63が、温調制御部61と電気的に接続されている。
温調操作部62は、温調操作ユニット60上面にある押下部の押下によって、第1~第3ペルチェ素子ユニット40A、40B、40Cに対し、ペルチェ素子への通電のオン/オフの切替え操作を制御するための操作を可能とした態様で構成されている。さらに、温調操作部62は、温調操作ユニット60上面にある押下部の押下によって、排熱ファン71の回転を行うモータ(図示省略)への通電のオン/オフの切替え操作を制御するための操作を可能とした態様で構成されている。温調表示部63は、温調操作ユニット60上面にある表示部で、複数種の色から選択的に発光可能とした態様で構成されている。
温調制御部61が、携帯用バッテリー54からペルチェ素子に供給する直流電流の向きを逆転させる制御を有する場合、温調操作部62は温調操作ユニット60上面にある押下部を通電のオン/オフの切替え操作とは異なった所定の操作モードに基づいて、軽く押す。これにより、第1~第3ペルチェ素子ユニット40A、40B、40Cに通電する電流の極性を切替ることが可能である。
ペルチェ素子ユニット40では、ペルチェ素子において、供給する直流電流の向きが逆方向になると、一面の機能と他面の機能が相互に反転する。そのため、温調制御部61が、ペルチェ素子に供給する電流の極性を逆転可能に構成されている場合、放熱面41は、温調制御部61により、吸熱によって冷却された冷却面41Aと、発熱によって加熱された加熱面41Bを、選択的に可変できるようになる。これにより、放熱面41では、冷却面41Aと加熱面41Bとが相互に入れ替わる。なお、温調制御部61が、ペルチェ素子に対し、電流の向きを切替える機能を有していない場合、放熱面41は、冷却面41Aまたは加熱面41Bのいずれか一方である。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態の空調温調ベスト1の特徴点を詳細に説明する。特に述べない限り、上記第1実施形態の空調温調ベスト1が第2実施形態にも適用される。勿論、第2実施形態に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。上記第1実施形態および下記第2実施形態中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記第1実施形態に係るペルチェ素子ユニット40の内側フランジ44の表面44a及び裏面44bの傾斜角度θは20°であった。上記第1実施形態に係るペルチェ素子ユニット40の外側フランジ46の表面46a及び裏面46bの傾斜角度θは20°であった。しかしながら、これに限定されるものではない。第2実施形態に係るペルチェ素子ユニット40の外側フランジ46の表面46a及び裏面46bの傾斜角度θの方が、ペルチェ素子ユニット40の内側フランジ44の表面44a及び裏面44bの傾斜角度θよりも大きい構成とする。
図26を用いて、第2実施形態に係るペルチェ素子ユニット40の内側フランジ44及び外側フランジ46について説明する。図26は、第2実施形態に係る内側フランジと外側フランジの拡大断面図である。なお、図26は、ペルチェ素子ユニット40(第1ペルチェ素子ユニット40A、第2ペルチェ素子ユニット40B、第3ペルチェ素子ユニット40C)が素子取付部20に装着されている状態の図面である。
図26に示すように、内側フランジ44の裏面44bと外側フランジ46の裏面46bは、素子取付部20に接触していない。
図26に示すように、内側フランジ44の表面44a及び裏面44bは、放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)と平行な面に対して、蓋部43に形成されている排出部43a側に傾斜している。なお、第2実施形態における内側フランジ44の表面44a及び裏面44bの傾斜角度θは、15°である。
図26に示すように、外側フランジ46の表面46a及び裏面46bは、内側フランジ44と同様に、放熱面41(冷却面41Aまたは加熱面41B)と平行な面に対して、蓋部43に形成されている排出部43a側に傾斜している。なお、第2実施形態における外側フランジ46の表面46a及び裏面46bの傾斜角度θは、20°である。
図26に示すように、外側フランジ46の表面46aは、素子取付部20に面接触している。一方で、図26に示すように、外側フランジ46の表面46aの傾斜角度θは、内側フランジ44の表面44aの傾斜角度θよりも5°大きい。素子取付部20にペルチェ素子ユニット40を装着している場合、内側フランジ44の表面44aの一部は、素子取付部20に接触(例えば、線接触、点接触)することになる。そのため、素子取付部20と第2実施形態の内側フランジ44の表面44aの接触面積が、第1実施形態よりも小さくなるため、接触面の面圧が大きくなる。そのため、内側フランジ44の表面44a及び外側フランジ46の表面46aが素子取付部20に面接触している場合よりも、素子取付部20からペルチェ素子ユニット40が外れてしまうことをより防止することができる。
次に、本実施形態に係る空調温調ベスト1の作用・効果について説明する。
(1)上記第1実施形態及び上記第2実施形態に係る空調温調ベスト1は、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気が空調温調ベスト1の襟元部9から放出させるようにし、例えば、温調操作ユニット60によって制御された第1ペルチェ素子ユニット40Aの冷却面41Aが空調温調ベスト1の着用時に着用者の首筋に接触することで、着用者の首筋に分布しているリンパ節を冷却する。また、送風ユニット30が介在してプロペラ型のファン32から取り込まれた空気の通過を規制するとともに衣服の襟元に向かって伸びる第1一対の空気通過規制部15Aによって、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気が襟元部9に向かって導く第1空気導流路14Aが裏地12に形成されている。これにより、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気が空調温調ベスト1の襟元部9に向かって導き襟元部9から放出される。さらに、第1空気導流路14Aが糸状の繊維で形成された空隙率の極めて高い空孔の正六角形柱を隙間なく並べた構造からなるとともに約2cmの厚みを有するダブルラッセル生地が含まれることで、プロペラ型のファン32から取り込まれて第1ペルチェ素子ユニット40Aの熱交換面49に接触して温められた空気を空調温調ベスト1内に留まらせることなく、第1空気導流路14Aによって空調温調ベスト1の襟元部9に向かって導く。
この特徴により、空気がダブルラッセル生地を含む第1空気導流路14Aによって空調温調ベスト1の襟元部9に向かって導かれている間に気化熱により着用者の身体を冷却させ、空調温調ベスト1の襟元部9から空気が放出されて空調温調ベスト1の膨らみを抑制する。これにより、狭所での作業に支障をきたすことを防止し、且つ空調温調ベスト1の膨らみによって見栄えが悪くなることも抑制することができる。また、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気が空調温調ベスト1の襟元部9へと導かれて、熱交換面49に接触して熱交換が行われて温められた空気が衣服の襟元部9から放出される。これにより、着用者に不快感を与えてしまうことを軽減するとともに、ペルチェ素子ユニット40の熱交換面49による熱交換を十分に行わせて、第1ペルチェ素子ユニット40Aの冷却面41Aに接触させて首筋のリンパ節を冷却させて着用者の体温上昇を抑制することができる。
(2)上記第1実施形態及び上記第2実施形態に係る空調温調ベスト1では、第2ペルチェ素子ユニット40Bと第3ペルチェ素子ユニット40Cの冷却面41Aが空調温調ベスト1の第1袖ぐり部10A付近と第2袖ぐり部10B付近、すなわち脇の下に分布しているリンパ節を冷却する。また、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気の通過を規制して空調温調ベスト1の袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)に向かって伸びる第2一対の空気通過規制部15Bにより形成された第2空気導流路14Bと第3一対の空気通過規制部15Cにより形成された第3空気導流路14Cから第1空気導流路14Aを経て分岐された空気を空調温調ベスト1の袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)から放出させる。
この特徴により、第1空気導流路14Aから分岐されたダブルラッセル生地を含む第2空気導流路14Bや、第3空気導流路14Cに導かれた空気が、空調温調ベスト1の袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)から放出される。これにより、空調温調ベスト1の膨らみをより抑制するとともに、狭所での作業に支障をきたすことを防止して空調温調ベスト1の膨らみによって見栄えが悪くなることをより抑制することができる。また、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気が熱交換面49に接触して熱交換が行われて袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)から放出されることで、着用者に不快感を与えてしまうことをより軽減する。さらに、袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)付近に設けられた2つのペルチェ素子ユニット40(第2ペルチェ素子ユニット40B、第3ペルチェ素子ユニット40C)の熱交換面49による熱交換を十分に行わせて、2つのペルチェ素子ユニット40(第2ペルチェ素子ユニット40B、第3ペルチェ素子ユニット40C)の冷却面41Aを接触させて脇の下に分布しているリンパ節を冷却させて着用者の体温上昇を十分に抑制することができる。
(3)上記第1実施形態及び上記第2実施形態に係る空調温調ベスト1では、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気の通過を規制するとともに衣服の襟元に向かって伸びる第4一対の空気通過規制部15Dによって第4空気導流路14Dが形成される。ダブルラッセル生地を含む第4空気導流路14Dによって空気を空調温調ベスト1の襟元部9に向かって導き、空調温調ベスト1の襟元部9から放出させる。
この特徴により、第1空気導流路14Aにより導かれた空気を第4一対の空気通過規制部15Dにより形成された第4空気導流路14Dによって導くことで空調温調ベスト1の襟元部9から効率的に放出させ、空調温調ベスト1を着用している着用者に不快感を与えてしまうことを軽減する。さらに、第4空気導流路14Dによって導かれた空気を第1ペルチェ素子ユニット40Aの熱交換面49と接触させて熱交換を十分に行わせて、第1ペルチェ素子ユニット40Aの冷却面41Aを着用者の首筋に接触させて首筋に分布しているリンパ節を冷却させて着用者の体温上昇をより十分に抑制することができる。
(4)上記第1実施形態及び上記第2実施形態に係る空調温調ベスト1では、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気を第1空気導流路14Aから第2空気導流路14Bと、第3空気導流路14Cと、第4空気導流路14Dとに十字分岐させる。
この特徴により、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気が第1空気導流路14Aを経て第2空気導流路14Bや第3空気導流路14Cに分岐されると、袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)から効率的に放出させるとともに、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気が第1空気導流路14Aを経て第4空気導流路14Dに分岐されると、襟元部9から効率的に放出させることができる。これにより、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気が空調温調ベスト1内に留まらせずに、空調温調ベスト1の襟元部9及び袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)から放出させて、衣服を着用している着用者にとって快適性を高めることができる。
(5)上記第1実施形態及び上記第2実施形態に係る空調温調ベスト1では、第1ペルチェ素子ユニット40Aが装着されている素子外周縁部21は、空気を通過させない生地で構成されているため、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気が第1ペルチェ素子ユニット40Aの素子外周縁部21を通過させることを防ぐ。
この特徴により、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気が、空調温調ベスト1の着用時に着用者の首筋と接触する位置に配設されている第1ペルチェ素子ユニットAが装着されている素子外周縁部21を通過されない。これにより、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気が素子外周縁部21を通過せずに襟元部9から適切に放出させることができる。そのため、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気が空調温調ベスト1内に留まらないため、空調温調ベスト1を着用している着用者にとって快適性を高めることができる。
(6)本実施形態に係る空調温調ベスト1において、温調操作ユニット60は、プロペラ型のファン32のモータに電力を供給する携帯用バッテリー54から供給された5ボルトの電圧に基づいてプロペラ型のファン32のモータを駆動させる。
例えば、17ボルトの電圧に基づいてプロペラ型のファンのモータを駆動させる空調衣服では、17ボルトを供給させる専用のバッテリーが必要となるため、一般的に利用し難いものとなる。上記第1実施形態及び上記第2実施形態の特徴により、汎用性のあるバッテリーから供給された5ボルトという低い電圧に基づいて、駆動部33によってプロペラ型のファン32のモータを駆動させるため、一般的に利用し易い衣服を提供することができる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、ベスト本体2に装着する送風ユニット30の数は、2以上の場合であっても良く、上記第1実施形態及び上記第2実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能である。また、ペルチェ素子ユニット40は、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、一例として、3つ有している。なお、ベスト本体2に装着するペルチェ素子ユニット40の数は、4つ以上の場合や、2つ以下の場合であっても良く、上記第1実施形態及び上記第2実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能である。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態における第1一対の空気通過規制部15Aは、裏側服地3Bに設けられているプロペラ型のファン32の全体が介在していたが、これに限定されるものではない。例えば、第1一対の空気通過規制部15Aは、少なくともプロペラ型のファン32の一部が介在すれば、プロペラ型のファン32の半分や、プロペラ型のファン32の三分の一であっても良い。また、例えば、第1一対の空気通過規制部15Aは、裏地12に設けられているプロペラ型のファン32の少なくとも一部が介在する構成であっても良い。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態における裏地12には、ダブルラッセル生地が含まれていた。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、裏地12における空気導流路14はダブルラッセル生地で構成され、裏地12における空気導流路14以外の部分はダブルラッセル生地以外の生地(例えば、皮製、ゴム製等の生地)で構成されていても良い。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、空気導流路14は十字型となっていたが、これに限定されるものではない。例えば、空気導流路14は、T字型に形成されても良いし、Y字型に形成されても良いし、適宜変更可能である。また、例えば、裏地12に第2空気導流路14Bと第3空気導流路14Cと第4空気導流路14Dとを形成せずに、第1空気導流路14Aのみから形成されていても良い。例えば、第1空気導流路14Aは、空調温調ベスト1の腰部16付近から襟元部9まで伸びてI字型に形成されても良い。この場合、第1空気導流路14Aの首筋部18に第1ペルチェ素子ユニット40Aを設けても良い。これにより、プロペラ型のファン32から取り込まれた空気を襟元部9に向かって一直線に導き、第1ペルチェ素子ユニット40A内に流入させて、流入された空気を熱交換面49に接触させて熱交換を行わせて、襟元部9から放出させることができる。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、携帯用バッテリー54から出力された5V(ボルト)に基づいて駆動部33がモータを駆動させてプロペラ型のファン32を回転させていたが、これに限定されることはない。例えば、駆動部33の駆動に必要な電圧は、5V以上であって12V以下であっても良い。なお、駆動部33の駆動に必要な電圧が5V未満であると、プロペラ型のファン32を適切に回転させることが困難となるため、好ましくない。一方で、駆動部33の駆動に必要な電圧が12Vを超えると、バッテリーの消費電力が高くなり、その駆動部33を駆動させるための専用のバッテリーが必要となるため、好ましくない。
ダブルラッセル生地の裏層82は、表層81と同様の糸状の繊維からなるとともに空隙率の極めて高い空孔の正六角形柱を隙間なく並べた構造となっていた。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、ダブルラッセル生地の裏層82の正六角形柱の大きさと、表層81の正六角形柱の大きさとは異なるものであっても良い。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態のダブルラッセル生地の表層81と裏層82は、糸状の繊維からなるとともに空隙率の極めて高い空孔の正六角形柱を隙間なく並べた構造となっていた。しかしながら、表層81と裏層82の構造は、正六角形柱に限定されるものではなく、多角形柱であれば、四角形柱、五角形柱等であっても良く、上記第1実施形態及び上記第2実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能である。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態の裏地12に含まれるダブルラッセル生地の厚さは、2cmとなっていたが、これに限定されるものではなく、2cm未満であっても良いし、2cmを超えても良いし、適宜変更可能である。なお、裏地12の厚さが小さい(例えば、約1cm)と、送風ユニット30により、ファン32の回転に伴って送り込まれた空気を襟元部9や袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)に向かって導くことが困難となるため、好ましくない。一方で、裏地12の厚さが大きすぎると(例えば、10cm)、送風ユニット30から取り込まれた空気は、裏地12を通過することが困難となってしまうため、好ましくない。
例えば、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、素子取付部23を服地3の裏側服地3Bに全3箇所設けたベスト本体2を挙げたが、服地に設ける素子取付部の数、配置位置、並び方は、実施形態に限定されるものではなく、本発明に係る送風機能付き衣服(製品)の用途、着用者の体格等、製品の仕様に応じて、適宜変更可能である。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、3つのペルチェ素子ユニット40をベスト本体2に装着する空調温調ベスト1を挙げたが、装着するペルチェ素子の数は、実施形態に限定されるものではなく、本発明に係る送風機能付き衣服(製品)の用途、着用者の体格等、製品の仕様に応じて、適宜変更可能である。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、ペルチェ素子において、吸熱下の冷却面の温度は、一例として挙げた十℃程度としたが、このような温度に限定されず、例えば、零℃より高く、十℃近傍までの温度域であっても良く、ペルチェ素子での吸熱特性は、適宜変更可能である。同様に、発熱下の熱交換面の温度は、一例として挙げた三十数℃程度としたが、このような温度に限定されず、例えば、体温より少し高く、火傷をしない四十℃前後の温度であっても良く、ペルチェ素子での発熱特性は、適宜変更可能である。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、裏側服地3Bに1枚の裏地12が縫い付けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、裏側服地3Bに2枚の裏地12が重なって縫い付けられていても良い。なお、2枚の裏地12のうち、空調温調ベスト1を着用している着用者の身体表面に接触する裏地12に素子取付部20が設けられていることとする。