以下、図面を参照して、本発明によるデータ処理方法、データ処理装置およびプログラムの実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
まず、図1を参照して、本発明によるデータ処理装置100の実施形態を説明する。図1は、本実施形態のデータ処理装置100および基板処理装置200の模式図である。
データ処理装置100は、データ処理を行う。具体的には、データ処理装置100は、基板処理装置200において生成された時系列データTDを処理する。
典型的には、基板処理装置200は、少なくとも1つの処理ユニット210を含む。処理ユニット210は、それぞれ時系列データTDを生成する。
時系列データTDは、基板処理装置200における物理量の時間変化を示すデータである。時系列データTDは、所定期間にわたって時系列に変化した物理量(値)の時間変化を示す。例えば、時系列データTDは、基板処理装置200が基板に対して行った処理についての物理量の時間変化を示すデータである。あるいは、時系列データTDは、基板処理装置200によって処理された基板の特性についての物理量の時間変化を示すデータである。
なお、時系列データTDにおいて示される値は、測定機器において直接測定された値であってもよい。または、時系列データTDにおいて示される値は、測定機器において直接測定された値を演算処理した値であってもよい。あるいは、時系列データTDにおいて示される値は、複数の測定機器において測定された値を演算したものであってもよい。
典型的には、時系列データTDは、10個以上の値を含む。時系列データTDは、100個以上の値から構成されてもよく、1000個以上の値から構成されてもよい。
データ処理装置100は、基板処理装置200と通信可能に接続されていてもよい。あるいは、基板処理装置200において生成された時系列データTDは、記憶素子を介してデータ処理装置100に転送されてもよい。
データ処理装置100は、処理部10を備える。処理部10は、プロセッサーを有する。処理部10は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、処理部10は、汎用演算機を有してもよい。
データ処理装置100は、記憶部20をさらに備えてもよい。記憶部20は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。記憶部20は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部20はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。処理部10は、記憶部20の記憶するコンピュータプログラムを実行する。
ここでは、コンピュータプログラムは、非一時的コンピュータ読取可能記憶媒体に記憶される。非一時的コンピュータ読取可能記憶媒体は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CD-ROM、磁気テープ、磁気ディスクまたは光データ記憶装置を含む。
記憶部20は、基板処理装置200において生成された時系列データを記憶する。データ処理装置100と基板処理装置200とは互いに通信可能に接続されており、時系列データTDは、基板処理装置200において生成されるごとにデータ処理装置100に転送されて、記憶部20は、時系列データTDを順次記憶してもよい。あるいは、基板処理装置200において所定数の時系列データTDが生成されるごとに、時系列データTDはまとめてデータ処理装置100に転送され、記憶部20は、時系列データTDをまとめて記憶してもよい。
処理部10は、データ取得部11と、評価値取得部12と、分類部13と、抽出部14とを含む。データ取得部11は、複数の時系列データを取得する。ここでは、データ取得部11は、記憶部20から時系列データTDを取得する。なお、本明細書において、データ取得部11を単に取得部11と記載することがある。
評価値取得部12は、複数の時系列データTDのそれぞれについて評価値を取得する。本明細書において、評価値取得部12を単に取得部12と記載することがある。
評価値取得部12は、複数の時系列データTDに対して同一の評価基準に従って評価値を取得する。評価値取得部12は、特定の評価基準に従って1つの時系列データTDに対応して1つの評価値を生成する。例えば、評価値取得部12は、時系列データTDの全体に対して同じ評価基準に従って評価値を取得する。あるいは、評価値取得部12は、時系列データTDの特定の一部分について同じ評価基準に従って評価値を取得する。なお、評価値取得部12は、時系列データTDの全体または特定の一部分を用いて、複数の評価基準を総合して評価値を生成してもよい。
典型的には、評価値取得部12は、データ処理装置100において設定された評価基準に従って時系列データTDの評価値を演算することによって生成する。例えば、評価値取得部12は、時系列データTDを示すグラフの波形を数値化することによって評価値を生成する。ただし、評価値取得部12は、他の構成要素に評価値を演算させ、演算させた評価値のみを取得してもよい。評価値は、時系列データTDと基準となるデータとの比較によって生成されてもよい。なお、基準となるデータでは、記憶部20に記憶されていることが好ましい。
評価値の取り得る数は、時系列データTDの数よりも少ない。典型的には、時系列データTDの数は100以上であるのに対して、評価値の取り得る数は20以上100未満である。
なお、時系列データTDの上限は特に限定されない。データ処理装置100が演算または記憶可能であれば、時系列データTDの数の上限は任意であってもよい。一例では、時系列データTDの上限は1万であり、時系列データTDの上限は1億であってもよい。
分類部13は、評価値に基づいて、複数の時系列データTDのそれぞれを複数の区分のいずれかに分類する。複数の区分の数は、時系列データTDの数または時系列データTDに応じて生成された評価値の取り得る数よりも少ない。典型的には、時系列データTDの数は100以上であり、評価値の取り得る数は20以上100未満であるのに対して、複数の区分の数は2以上10以下である。
時系列データTDの評価値は、一定の評価基準に従って生成される。このため、評価値を用いて時系列データTDの分類された区分は、評価基準の高低を示してもよい。本明細書の以下の説明において、評価基準の高低を示す区分をレベルと記載することがある。
例えば、分類部13は、評価値に基づいて、時系列データTDをレベル1~4のいずれかに分類する。典型的には、取得部12は、時系列データTDおよび基準データに基づいて、時系列データTDに対応する評価値を取得した後で、分類部13は、評価値に基づいて、時系列データTDをレベル1~4のいずれかに分類する。基準データは、記憶部20に記憶されていることが好ましい。
一例では、レベル1は、評価値が基準データまたは基準データに比較的近い区分であることを示し、レベル2は、評価値がレベル1の次に基準データに近い区分であることを示す。また、レベル3は、評価値がレベル2の次に基準データに近い区分であることを示し、レベル4は、評価値がレベル1~3のいずれもよりも基準データから離れた区分であることを示す。
なお、分類部13は、評価値に基づいて、時系列データTDを2つの区分に分類してもよい。例えば、区分1とされた時系列データTDは、基準データまたは基準データに比較的近いことを示し、区分2にされた時系列データTDは、区分1よりも基準データから離れていることを示す。
抽出部14は、分類部13において分類された区分のいずれかに対応する時系列データを抽出時系列データとして抽出する。これにより、複数の時系列データから、特定範囲の評価値を示す特定の時系列データを抽出時系列データとして収集できる。
例えば、抽出部14は、分類部13において分類された区分のうち基準データから最も離れた区分に対応する時系列データを抽出することが好ましい。これにより、理想値または平均値から離れた評価値に対応する時系列データを容易に抽出できる。このため、基板処理装置200において実体的な異常が生じるより前に基板処理装置200の変化を把握できる。この場合、基板処理装置200における基板処理に異常が生じるより前に基板処理装置200の変化を抑制するように基板処理装置200の制御を変更することが好ましい。
上述したように、抽出部14は、分類部13において分類された区分のうち基準データから最も離れた区分に対応する時系列データを抽出することが好ましい。また、抽出時系列データとして、基準データから離れた評価値を示す時系列データを抽出した場合、抽出時系列データをさらにクラスタリング処理することが好ましい。ただし、抽出部14によって抽出される抽出時系列データは、基準データから最も離れた区分に対応する時系列データでなくてもよい。
本実施形態のデータ処理装置100によれば、基板処理装置において生成された複数の時系列データから、特定の時系列データを容易に抽出できる。
次に、図1および図2を参照して本実施形態のデータ処理方法を説明する。図2は、本実施形態のデータ処理方法のフロー図を示す。
図2に示すように、ステップS2において、時系列データTDを取得する。時系列データTDは、基板処理装置200において生成されたデータである。取得部11は、複数の時系列データTDを取得する。複数の時系列データTDは、同一の処理ユニット210において生成されたデータであってもよく、異なる処理ユニット210において生成されたデータであってもよい。複数の時系列データTDのそれぞれは、基板処理装置200における特定単位の物理量の時間変化を示す。
取得部11は、記憶部20から複数の時系列データTDを取得する。あるいは、取得部11は、基板処理装置200から直接時系列データTDを取得してもよい。例えば、時系列データは、基板処理装置200における基板処理または基板処理装置200の制御に伴い、順次生成される。次に、処理は、ステップS4に進む。
ステップS4において、評価値(スコア)を取得する。取得部12は、複数の時系列データTDのそれぞれに対する評価値Evを取得する。例えば、取得部12は、複数の時系列データTDのそれぞれに対して、特定の評価基準に従って評価値Evを生成する。評価基準は、データ処理装置100内に記憶されていてもよいし、データ処理装置100の外に記憶されていてもよい。1つの時系列データTDに対して1つの評価値Evが取得される。だたし、評価値Evは、時系列データTDに応じて複数の値を示し得る。
なお、評価値の最大値と最小値との範囲は決められていてもよい。例えば、評価値の最大値と最小値との間の差が1となるように評価値は規格化されてもよい。
評価値は、特定の評価基準に従って生成される。例えば、評価値が高いほど評価が高く、評価値が低いほど評価が低くなるように評価値は決められてもよい。または、評価値が高いほど評価が低く、評価値が低いほど評価が高くなるように評価値は決められてもよい。あるいは、評価値が特定値に近いほど評価が高く、評価値が特定値から離れるほど評価が高くなるように評価値は決められてもよい。次に、処理は、ステップS6に進む。
ステップS6において、評価値Evを用いて時系列データTDのそれぞれを複数の区分のいずれかに分類する。分類され得る区分の数は、評価値Evの示し得る値の数よりも少ない。次に、処理は、ステップS8に進む。
ステップS8において、複数の時系列データTDから、複数の区分のうちの対象となる対象区分に分類された特定の時系列データTDを抽出時系列データとして抽出する。典型的には、抽出時系列データは、記憶部20に記憶される。ただし、抽出時系列データは、外部の記憶素子に記憶されてもよい。
以上のようにして、本実施形態のデータ処理方法を行う。本実施形態のデータ処理方法によれば、基板処理装置200において生成された複数の時系列データから、特定の時系列データを容易に抽出できる。なお、ステップS2において取得された複数の時系列データTDのうち、抽出された抽出時系列データは記憶部20に保存される一方で、抽出されなかった時系列データTDは、記憶部20に保存されることなく消去されてもよい。これにより、必要な情報を効率的に保存できる。
時系列データTDの評価値は、基準データと比較して生成されてもよい。例えば、基準データは、良好な基板処理結果を示した複数の時系列データに基づいて生成されてもよい。一例では、基準データは、良好な基板処理結果を示した複数の時系列データを平均化することによって生成される。基準データが理想的なデータまたは良好な基板処理結果を示すときの時系列データである場合、時系列データは、基準データに近いほど高い評価となり、基準データから離れるほど低い評価となる。
次に、図3を参照して、時系列データTDおよび基準データRDを説明する。図3(a)は、時系列データTDを表したグラフであり、図3(b)は、基準データRDを表したグラフである。図3(a)および図3(b)のグラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は物理量を示す。例えば、時系列データTDおよび基準データRDは、それぞれ100個の物理量(値)の時間変化を示す。
時系列データTDおよび基準データRDは同じ物理量の時間変化を示しており、時系列データTDの示すグラフの形状は、基準データRDのグラフの形状と概ね同じである。ただし、厳密には、時系列データTDは、基準データRDとは一致しない。
図3(a)に示すように、時系列データTDにおいて、開始時点では物理量はほぼゼロである。物理量は、所定の期間経過するとゼロから増加し始める。物理量は、短期間に急速に増加してピークに達する。それから、物理量は一定期間ピークを維持する。ピーク期間にわたって、物理量は、若干変動するが、ほぼ一定である。その後、物理量は、短期間に急速に減少してほぼゼロに戻る。
図3(b)において、基準データRDは、基板処理装置200における基板処理が理想的な状態で進行した際の時系列データに基づいて作成される。例えば、基準データRDは、基板処理装置200における基板処理が最も理想的な状態で進行した際の時系列データであってもよい。あるいは、基準データRDは、基板処理装置200における基板処理が理想的な状態で進行した期間の時系列データの平均値を示してもよい。
図3(b)に示すように、基準データにおいて、物理量は、開始時点ではほぼゼロである。物理量は、所定の期間経過するとゼロから増加し始める。物理量は、短期間に急速に増加してピークに達する。それから、物理量は所定期間ピークを維持する。その後、物理量は、短期間に急速に減少してほぼゼロに戻る。
このように、時系列データTDによって示されるグラフは、基準データRDによって示されるグラフと同じ傾向を示すが、厳密には、時系列データは、基準データRDと同じではない。例えば、時系列データTDのグラフにおいてピークに達するまで立ち上がり期間は、基準データRDのグラフにおいてピークに達するまで立ち上がり期間とは異なる。また、時系列データTDのグラフにおけるピーク値は、基準データRDのグラフにおけるピーク値とは異なる。さらに、時系列データTDのグラフにおけるピークは、基準データRDのグラフと比べて多く変動する。
次に、図1~図5を参照して本実施形態のデータ処理方法を説明する。図4(a)は、時系列データTD1~TD100を示す模式図である。時系列データTD1~TD100のそれぞれは、同じ物理量の時間変化を示す。例えば、取得部11は、記憶部20から時系列データTD1~TD100を取得する。
取得部12は、時系列データTD1~TD100のそれぞれから評価値Evを取得する。例えば、取得部12は、時系列データTD1~TD100のそれぞれと基準データRDとの差分に基づいて評価値Ev1~Ev100を取得する。例えば、取得部12は、時系列データTDのそれぞれの値と基準データRDのそれぞれの値との差分の2乗を積算することで、評価値Evを生成する。この場合、時系列データが基準データに近いほど評価値は小さくなり、時系列データが基準データから離れるほど評価値は大きくなる。
図4(b)は、時系列データTDと基準データRDとを比較した結果を示すグラフである。図4(b)の斜線は、時系列データTDと基準データRDとの相違部分を示す。差分の2乗の積算によって評価値を取得する場合、評価値Evは、図4(b)の斜線部分の面積に相当する。
図4(c)は、時系列データTD1~TD25に対応する評価値Ev1~Ev25の変化を示した評価値グラフGEである。図4(c)では、図面の関係上、評価値グラフGEは、時系列データTD1~TD100のうちの時系列データTD1~TD25に対応する評価値Ev1~Ev25の変化を示す。図4(c)に示すように、時系列データTDの順番に応じて、評価値Evは変化する。ここでは、評価値Ev6は、評価値Ev1~Ev5およびEv7~Ev10と比べてかなり高い。また、評価値Ev20は、評価値Ev15~Ev19およびEv21~Ev25と比べてかなり高い。
図5(a)は、評価値Ev1~Ev25の変化を示した評価値グラフGEに対する分類を説明するためのグラフである。図5(a)に示すように、評価値Evは大きさに応じて分類される。例えば、評価値は、大きさに基づいて複数の区分のいずれかに分類される。
ここでは、分類部13は、評価値Ev1~Ev25に基づいて、時系列データTD1~TD25を4つのレベルのいずれかに分類する。分類部13は、評価値Evの大きさが閾値Th1を超えない時系列データTDをレベル1と分類する。分類部13は、評価値Evの大きさが閾値Th1以上閾値Th2を超えない時系列データTDをレベル2と分類する。分類部13は、評価値Evの大きさが閾値Th2以上Th3を超えない時系列データTDをレベル3と分類する。分類部13は、評価値Evの大きさが所定の値Th3以上の時系列データTDをレベル4と分類する。
図5(a)のグラフには、レベル1とレベル2との境界に境界線B1を示している。同様に、レベル2とレベル3との境界に境界線B2を示しており、レベル3とレベル4との境界に境界線B3を示している。
図5(a)のグラフにおいて、評価値Ev3、Ev8、Ev12、Ev13、Ev15、Ev17、Ev21、Ev23は、レベル1に相当する。評価値Ev1、Ev2、Ev4、Ev5、Ev7、Ev9、Ev10、Ev14、Ev16、Ev18、Ev19、Ev22、Ev24、Ev25は、レベル2に相当する。評価値Ev11は、レベル3に相当する。評価値Ev6、Ev20はレベル4に相当する。
図5(b)は、抽出部14による評価値Ev6およびEv20に対応する時系列データTD6および時系列データTD20の抽出を説明するためのグラフである。図5(b)に示すように、特定の評価基準に従って取得された評価値Evを比較すると、評価値Ev6および評価値Ev20の値は、他の評価値よりも大きい。このとき、評価値Ev6および評価値Ev20に対応する時系列データTD6および時系列データTD20は、他の時系列データTDと比べて特異な傾向を示すと考えられる。このため、抽出部14は、評価値Ev6および評価値Ev20に対応する時系列データTD6および時系列データTD20を抽出する。
本実施形態によれば、複数の時系列データTD1~TD100に対応する評価値を基準として、複数の時系列データTD1~TD100のうちの特異な傾向を示す時系列データTD6および時系列データTD20を好適に抽出できる。このため、複数の時系列データTD1~TD100から対象区分に分類された時系列データTD6およびTD20を抽出することにより、過度に演算することなく基板処理装置200の特異な状態について把握および検討できる。
なお、上述の説明(特に、図3~図5を参照した説明)では、評価値Evを生成する際に、時系列データTDと基準データRDとを比較したが、本実施形態はこれに限定されない。基準データRDを用いることなく時系列データTDから評価値Evを生成してもよい。
例えば、取得部12は、時系列データTDの一部の値と記憶部20に記憶された特定の値とを比較することで評価値Evを生成してもよい。例えば、記憶部20には、時系列データTDのグラフのピーク値に相当する値(ピーク値相当値)が記憶されており、取得部12は、時系列データTDのピーク値と、記憶部20に記憶されたピーク値相当値とを比較して評価値Evを生成してもよい。
または、記憶部20には、時系列データのグラフの立ち上がり期間に相当する値(立ち上がり期間相当値)が記憶されており、取得部12は、時系列データTDの立ち上がり期間と、記憶部20に記憶された立ち上がり期間相当値とを比較して評価値Evを生成してもよい。あるいは、記憶部20には、時系列データのグラフのピーク期間中の変動値に相当する値(ピーク変動相当値)が記憶されており、取得部12は、時系列データTDのピーク変動値と、記憶部20に記憶されたピーク変動相当値とを比較して評価値Evを生成してもよい。
なお、データ処理装置100において、操作者または管理者からの指示を入力できることが好ましい。また、データ処理装置100において、操作者または管理者に情報を表示できることが好ましい。例えば、操作者または管理者に、評価値または時系列データ(特に、抽出時系列データ)を表示できることが特に好ましい。
次に、図6を参照して、本実施形態のデータ処理装置100を説明する。図6は、データ処理装置100および基板処理装置200の模式図である。図6のデータ処理装置100は、表示部30および入力部40をさらに備える点を除き、図1を参照して上述したデータ処理装置100と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
表示部30は、操作画面又は各種処理の結果を表示する。また、表示部30は、時系列データを示すグラフまたは評価値の変化を示す評価値グラフGEを表示する。
表示部30は、ディスプレイを有する。例えば、ディスプレイは液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイを含む。
なお、表示部30は、評価値の変化を示す評価値グラフGEを表示することが好ましい。また、表示部30は、評価値グラフGEを表示する場合、操作者または管理者が入力部140を介して評価値グラフGEの1つの値(評価値)を指定すると、表示部30は、指定された値に対応する時系列データを表示することが好ましい。
入力部40は、例えば、ジョブの種類およびジョブの内容を指示するための各種キーを含む。入力部40は、キーボードおよびマウスを含む。あるいは、入力部40は、タッチセンサーを含み得る。なお、表示部30および入力部40は、両者の一体化されたタッチパネルであってもよい。
次に、図4~図7を参照して、表示部30による評価値グラフGEおよび時系列データTDを示すグラフとの表示の切り替えを説明する。
図7(a)および図7(b)は、表示部30によって表示される評価値グラフGEを示す。図7(a)に示すように、表示部30は、時系列データTD1~TD100に対応する評価値Ev1~Ev100の値の変化を示す評価値グラフGEを表示する。操作者または管理者は、入力部40を介して評価値Evに対応する時系列データTDを確認するために、評価値Evに対応する時系列データTDを指定する。
図7(b)に示すように、操作者または管理者が入力部40を介してカーソルCUを動かして対象とする評価値Evにまで移動させて、評価値グラフGEのうちの特定の評価値Evを示す点を指定する。ここでは、カーソルCUは評価値Ev6を指定する。その場合、表示部30は、指定された評価値Ev6に対応する時系列データTD6を表示する。
図7(c)は、表示部30によって表示される時系列データTDを示すグラフである。ここでは、表示部30は、評価値Ev6に対応する時系列データTD6を表示する。
なお、表示部30は、時系列データTDを表示する場合も、評価値グラフGEに戻るためのボタンBGを表示することが好ましい。ボタンBGが選択されると、表示部30は、評価値グラフGEを再び表示する画面に切り替わる。このように、表示部30は、評価値Evの変化を示す評価値グラフGEと時系列データTDを示すグラフとを切り替えて表示することが好ましい。
なお、典型的には、記憶部20は、複数の時系列データを記憶する。記憶部20は、時系列データの生成した順番に複数の時系列データを記憶することが好ましい。この場合、表示部30は、所定の操作に応じて、複数の時系列データを切り替えて表示することが好ましい。
次に、図1~図8を参照して、表示部30による時系列データについて説明する。図8は、表示部30よる複数の時系列データの表示変化を示す模式図である。図8(a)~図8(c)は、表示部30の表示画面32を示す。
表示画面32は、表示領域33と、操作領域34とを含む。表示領域33は、1つの時系列データを表示する。ここでは、表示領域33は、水平方向に延びる。表示領域33の横方向の長さは、表示領域33の縦方向の長さよりも大きい。
操作領域34により、表示領域33に表示される時系列データを切り換えできる。ここでは、操作領域34は、表示領域33の下方に配置される。
図8では、操作領域34は、スクロールバーである。操作領域34は、アロー34aと、ノブ34bとを含む。アロー34aは、水平方向に線状に延びる。ノブ34bは、アロー34a内の一部分と重なるように、アロー34aに沿って移動可能である。アロー34a内のノブ34bの位置に応じて、表示領域33に表示される時系列データは切り替わる。
ノブ34bは、入力部40からの入力に応じてアロー34a内を水平方向に移動する。例えば、ノブ34bを選択した状態でノブ34bを左方向または右方向に移動させると、表示領域33に表示される時系列データTDが切り替わる。
例えば、図8(a)に示すように、ノブ34bがアロー34aの左端に位置する場合、表示領域33には、最初に生成された時系列データTD1が表示される。ノブ34bは、入力部40からの入力に応じてアロー34a内を水平方向に移動する。
図8(b)に示すように、ノブ34bを選択した状態でノブ34bを右方向に移動させると、表示領域33に表示される時系列データは切り替わる。例えば、ノブ34bがアロー34aの中央にまで移動すると、表示領域33に表示される時系列データは、時系列データTD50に切り替わる。
また、図8(c)に示すように、ノブ34bを選択した状態でノブ34bをさらに右方向に移動させると、表示領域33に表示される時系列データは、時系列データTD100に切り替わる。以上のように、表示部30は、所定の操作に応じて、複数の時系列データを切り替えて表示できる。
次に、図9を参照して、表示部30による評価値の変化を示すグラフおよび時系列データの表示の切り替えを説明する。図9(a)および図9(b)は、表示部30によって表示される抽出評価値グラフEGEを示す。抽出評価値グラフEGEは、複数の時系列データTDから抽出された抽出時系列データに対応する評価値の時間変化を示す。この場合、抽出時系列データの評価値の時間変化を表示できる。
図9(a)に示すように、表示部30は、抽出時系列データに対応する評価値Evの変化を示す抽出評価値グラフEGEを表示する。操作者または管理者は、入力部40を介して評価値Evに対応する抽出時系列データを確認するために、評価値Evに対応する時系列データを指定する。
図9(b)に示すように、操作者または管理者がカーソルCUを動かして対象とする評価値Evにまで移動させて、特定の評価値Evを指定する。ここでは、カーソルCUは評価値Evを指定する。その場合、表示部30は、指定された評価値Evに対応する抽出時系列データを表示する。
図9(c)は、表示部30によって表示される抽出時系列データを示すグラフである。このように、表示部30は、評価値Evの変化を示すグラフと抽出時系列データを示す抽出評価値グラフEGEとを切り替えて表示することが好ましい。これにより、抽出時系列データについての評価値の時間変化を表示できる。
なお、図1~図9を参照した上述の説明では、抽出時系列データを抽出したが、抽出時系列データを処理することが好ましい。例えば、抽出時系列データをクラスタリング処理することが好ましい。
次に、図10を参照して、本実施形態のデータ処理装置100を説明する。図10は、データ処理装置100および基板処理装置200の模式図である。図10のデータ処理装置100は、クラスタリング処理部15をさらに備える点を除いて図6を参照して上述したデータ処理装置100と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
データ処理装置100は、クラスタリング処理部15をさらに備える。クラスタリング処理部15は、処理部10に含まれる。
クラスタリング処理部15は、抽出時系列データに対してクラスタリング処理を行う。例えば、クラスタリング処理部15は、抽出時系列データの特徴に応じて、抽出時系列データを複数のクラスタのいずれかに分類する。一例では、クラスタリング処理部15は、抽出時系列データに示されるグラフの特徴に応じて、抽出時系列データを複数のクラスタのいずれかに分類する。
クラスタリング処理部15は、いわゆる教師なし学習によって抽出時系列データに対してクラスタリング処理を行うことが好ましい。例えば、クラスタリング処理部15は、抽出時系列データのすべての値を用いてクラスタリング処理を行ってもよい。例えば、クラスタリング処理部15は、階層クラスタリング、k平均法クラスタリング、混合ガウスモデルクラスタリング、自己組織化マッピングクラスタリング、隠れマルコフモデルクラスタリングのいずれかによってクラスタリング処理を行ってもよい。
例えば、複数のクラスタは、グラフの立ち上がりの遅い立ち上がり遅延クラスタ、グラフのピークの変動の大きいピーク変動クラスタおよびグラフのピーク値の低い低ピーククラスタを含む。この場合、クラスタリング処理部15は、抽出時系列データを立ち上がり遅延クラスタ、ピーク変動クラスタおよび低ピーククラスタの少なくとも1つに分類するようにクラスタリング処理を行う。なお、複数のクラスタは、さらに別のクラスタを含んでもよい。例えば、複数のクラスタは、グラフの立ち下がりの遅い立ち下がり遅延クラスタを含んでもよい。
なお、クラスタリング処理部15は、抽出時系列データの値のすべてを用いて、クラスタリング処理を行ってもよい。例えば、クラスタリング処理部15は、抽出時系列データの値のすべてをベクトル解析で処理してもよい。あるいは、クラスタリング処理部15は、抽出時系列データの値の一部を用いて、クラスタリング処理を行ってもよい。
次に、図11を参照して抽出時系列データをクラスタリング処理したクラスタについて説明する。図11(a)は、立ち上がり遅延クラスタに分類される抽出時系列データETD1を示すグラフであり、図11(b)は、ピーク変動クラスタに分類される抽出時系列データETD2を示すグラフであり、図11(c)は、低ピーククラスタに分類される抽出時系列データETD3を示すグラフである。なお、図11(a)~図11(c)のそれぞれには、抽出時系列データとともに基準データRDを併せて示す。
図11(a)に示すように、抽出時系列データと基準データとを比較した場合に、抽出時系列データETD1のグラフの立ち上がりは、基準データRDのグラフに対して遅れる。このような抽出時系列データは、立ち上がり遅延クラスタとして分類される。
図11(b)に示すように、抽出時系列データと基準データとを比較した場合に、抽出時系列データETD2のグラフのピークは、基準データRDのグラフと比べて大きく変動する。このような抽出時系列データは、ピーク変動クラスタとして分類される。
図11(c)に示すように、抽出時系列データと基準データとを比較した場合に、抽出時系列データETD3のグラフのピークは、基準データRDと比べて低い。このような抽出時系列データは、低ピーククラスタとして分類される。
なお、図11(a)~図11(c)を参照して、抽出時系列データの分類されるクラスタを例示して説明したが、本実施形態において、抽出時系列データの分類されるクラスタは、これらに限定されない。抽出時系列データは、他のクラスタに分類されてもよい。
次に、図1~図12を参照して、本実施形態のデータ処理方法を説明する。図12は、本実施形態のデータ処理方法のフロー図である。図12のフロー図は、ステップS10のクラスタリング処理が追加されている点を除き、図2を参照して上述したフロー図と同様である。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
図12に示すように、ステップS8に示すように、抽出時系列データを抽出する。抽出部14は、評価値の分類結果に基づいて、複数の時系列データから抽出時系列データを抽出する。次に、処理は、ステップS10に進む。
ステップS10において、抽出時系列データをクラスタリング処理する。クラスタリング処理部15は、抽出時系列データを複数のクラスタのいずれかに分類する。
以上のようにして、本実施形態のデータ処理方法を行う。本実施形態のデータ処理方法によれば、複数の時系列データから、特異な評価値を示した抽出時系列データをクラスタごとに分類できる。
一般に、すべての時系列データに対してクラスタリング処理を行うとすると、時系列データには通常の時系列データも含まれるため、特異的でないクラスタが不要に形成されてしまい、基板処理装置の特異的な状態を充分に把握できないおそれがある。これに対して、本実施形態のデータ処理方法によれば、複数の時系列データから、特異的な評価値を示した抽出時系列データに対してクラスタリング処理を行うため、基板処理装置200の特異的な状態をより正確にクラスタに分類できる。さらに、本実施形態のデータ処理方法によれば、すべての時系列データに対してクラスタリング処理を行わないため、不要な演算を避けることができる。
なお、表示部30は、クラスタごとに、対応する評価値の変化を示す評価値グラフを表示することが好ましい。この場合、操作者または管理者がグラフの1つの評価値を指定すると、表示部30は、指定された評価値に対応する時系列データを表示することが好ましい。
例えば、図9を参照した上述の説明では、表示部30は、抽出部14において抽出された抽出時系列データについての評価値の時間変化を示す抽出評価値グラフEGEを示したが、本実施形態はこれに限定されない。表示部30は、クラスタリング処理部15によってクラスタに分類された時系列データについての評価値の時間変化を示すグラフを表示してもよい。この場合、特定のクラスタ内の評価値の時間変化を表示できる。
なお、図10~図12を参照して上述したように、抽出時系列データに対してクラスタリング処理を行うことが好ましい。いうまでもなく、抽出時系列データは基板処理装置200の特異状態を反映したものであり、クラスタリング処理した結果は、基板処理装置200の特異状態の種類に応じて、基板処理装置200の状態を示すものである。したがって、クラスタリング処理の結果を、基板処理装置200の状態を学習するために用いることが好ましい。
次に、図1~図13を参照して、本実施形態のデータ処理方法を説明する。図13は、本実施形態のデータ処理方法のフロー図である。図13のフロー図は、ステップS8Aにおいて抽出時系列データが抽出されたか否かを判定するとともにステップS2B~S6B、ステップS9およびステップS22~S24が追加されている点を除き、図12を参照して上述したフロー図と同様である。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。図13に示したデータ処理方法は、基板処理装置200における学習データベースを作成するために好適に用いられる。
ステップS2において、時系列データを取得する。なお、ここでは、時系列データは、基板処理装置200の状態を学習するために用いられる。このため、本明細書において、時系列データを学習時系列データと記載することがある。
ここでは、取得部11は、基板処理装置200において生成された1つの学習時系列データを取得する。次に、処理は、ステップS4に進む。なお、ステップS4およびステップS6は、図12を参照して上述したフロー図と同様である。ステップ6の後、次に、処理は、ステップS8Aに進む。
ステップS8Aにおいて、学習時系列データが抽出時系列データとして抽出されるか否かを判定する。分類部13は、評価値Evに基づいて学習時系列データを対象区分に分類した場合、抽出部14は、学習時系列データを抽出時系列データとして抽出する。一方、分類部13が評価値Evに基づいて学習時系列データを非対象区分に分類した場合、抽出部14は、学習時系列データを抽出時系列データとして抽出しない。
例えば、分類部13が学習時系列データの評価値Evに基づいて学習時系列データをレベル4に分類した場合、抽出部14は、学習時系列データを抽出時系列データとして抽出する。また、分類部13が学習時系列データをレベル1から3のいずれかに分類した場合、抽出部14は、学習時系列データを抽出時系列データとして抽出しない。
抽出時系列データが抽出されなかった場合(ステップS8AでNo)、処理はステップS2に戻る。抽出時系列データが抽出された場合(ステップS8AでYes)、処理は、ステップS10に進む。なお、事前にクラスタリング処理が行われていない場合、教師なし学習が可能となる数のデータが抽出されてからステップS10に進んでもよい。
ステップS10において、抽出時系列データに対してクラスタリング処理を行う。これにより、学習時系列データは、複数のクラスタのいずれかに分類される。次に、処理は、ステップS22に進む。
ステップS22において、基板処理装置200の制御を変更する。具体的には、学習時系列データを生成した基板処理装置200または処理ユニット210の制御を変更する。基板処理装置200の制御の変更は、基板処理装置200の駆動を制御するプログラムにしたがって行われてもよい。あるいは、基板処理装置200の制御の変更は、基板処理装置200において手動で入力されてもよい。
典型的には、基板処理装置200の制御は、基板処理装置200において、基板処理を一旦停止した状態で行われる。例えば、時系列データTDが基板を処理するための処理液の供給量の変化を示し、処理液の供給量が特異な状態であれば、供給量を正常に戻すために基板処理を一旦停止し、バルブを調整する。なお、基板処理装置200の制御の変更は、基板処理装置200による基板処理を継続しながら行われてもよい。次に、処理は、ステップS2Bに進む。
ステップS2Bにおいて、制御の変更された基板処理装置200から時系列データを取得する。本明細書において、制御の変更された基板処理装置200から取得された時系列データを変更時系列データと記載することがある。なお、ここでは、取得部11は、基板処理装置200において生成された1つの時系列データを変更時系列データとして取得する。次に、処理は、ステップS4Bに進む。
ステップS4Bにおいて、評価値(スコア)を取得する。取得部12は、制御の変更された基板処理装置200について、変更時系列データに対する評価値を取得する。例えば、取得部12は、学習時系列データと同様に、特定の評価基準に従って変更時系列データに対する評価値を生成する。次に、処理は、ステップS6Bに進む。
ステップS6Bにおいて、評価値を用いて変更時系列データを複数の区分のいずれかに分類する。次に、処理は、ステップS9に進む。
ステップS9において、変更時系列データについて、抽出時系列データとして抽出されるか否かを判定する。分類部13が変更時系列データを対象区分に分類した場合、抽出部14は、変更時系列データを抽出時系列データとして抽出する。一方、分類部13が変更時系列データを非対象区分に分類した場合、抽出部14は、対象となる時系列データを抽出時系列データとして抽出しない。
例えば、分類部13が変更時系列データの評価値Evに基づいて変更時系列データをレベル4に分類した場合、抽出部14は、変更時系列データを抽出時系列データとして抽出する。また、分類部13が変更時系列データをレベル1から3のいずれかに分類した場合、抽出部14は、変更時系列データを抽出時系列データとして抽出しない。
抽出時系列データが抽出された場合(ステップS9でYes)、処理は、ステップS22に戻る。この場合、再度、基板処理装置200の制御をさらに変更するように基板処理装置200を制御する。一方、抽出時系列データが抽出されなかった場合(ステップS9でNo)、処理はステップS24に進む。
ステップS24において、ステップS22において行われた基板処理装置200の制御の変更内容に関する情報を原因対策情報として記憶部20に記憶する。原因対策情報は、ステップS22において行われた基板処理装置200の制御の変更内容に関する情報である。例えば、原因対策情報は、基板処理装置200の制御の変更内容自体を示す情報であってもよい。あるいは、原因対策情報は、学習時系列データが特異状態を示した原因と考えられる情報であってもよい。
例えば、データ処理装置100および/または基板処理装置200の操作者または管理者は、入力部40を介して原因対策情報を入力し、記憶部20は、原因対策情報を記憶する。このとき、記憶部20には、ステップS10においてクラスタリング処理されたクラスタごとに、学習時系列データとともに原因対策情報を記憶することが好ましい。なお、記憶部20に記憶されたクラスタ、学習時系列データおよび原因対策情報は、学習データベースとして好適に用いられる。
以上のようにして、本実施形態のデータ処理方法を行う。本実施形態のデータ処理方法によれば、データ処理装置100の取得部11、取得部12、分類部13および抽出部14を用いて、基板処理装置200の特異状態を判定するとともに、基板処理装置200の制御変更後に、基板処理装置200の特異状態が解消されたか否かを判定できる。
また、本実施形態のデータ処理方法によれば、基板処理装置200が特定状態の場合の時系列データを抽出してクラスタリング処理した上で、原因対策情報を記憶する。このため、基板処理装置200の時系列データが特異な状態から元の状態に戻るために有効と考えられる原因対策情報を併せて記憶できる。
なお、記憶部20は、クラスタ、抽出時系列データおよび原因対策情報を学習データベースとして記憶することが好ましい。
次に、図14を参照して、記憶部20の学習データベースを説明する。図14は、記憶部20の学習データベースを説明するための模式的なテーブルである。
図14に示すように、学習データベースは、クラスタリング処理部15によって分類されたクラスタと、クラスタに含まれる時系列データと、そのクラスタに対応する原因対策情報とを含む。例えば、図14に示したテーブルでは、クラスタは、立ち上がり遅延クラスタ、ピーク変動クラスタおよび低ピーククラスタを含む。
具体的には、立ち上がり遅延クラスタは、時系列データとして時系列データTD6、TD40を含み、原因対策情報として処理液濃度低下/バルブ再締付を含む。ピーク変動クラスタは、時系列データとして時系列データTD20、TD41を含み、原因対策情報として基板保持力低下/過電流抑制を含む。低ピーククラスタは、時系列データとして時系列データTD80、TD95を含み、原因対策情報として雰囲気不均一/センサー再起動を含む。
なお、図14を参照した説明では、発明が過度に複雑になることを避けるために、1つのクラスタに対応して1セットの原因対策情報を示したが、1つのクラスタに2以上の原因対策情報が対応していてもよい。この場合、クラスタの生成および原因対策情報の対応関係は、いわゆる機械学習を用いて適宜学習されることが好ましい。
本実施形態において、学習データベースは、後に基板処理装置200および/または処理ユニット210から生成される時系列データを用いて、基板処理装置200および/または処理ユニット210の制御の変更に用いられる。データ処理装置100は、記憶部の学習データベースに記憶された学習内容に基づいて、基板処理装置200において生成される時系列データに応じて、基板処理装置200の制御を変更してもよい。
次に、図1~図15を参照して本実施形態のデータ処理装置100を説明する。図15は、本実施形態のデータ処理装置100の模式図である。データ処理装置100は、処理部110と、記憶部120と、表示部130と、入力部140とを含む。ここでは、記憶部120には、学習データベースが記憶されている。表示部130および入力部140は、図6を参照して上述した表示部30および入力部40に対応する。
処理部110は、データ取得部111と、評価値取得部112と、分類部113と、マッチング部114と、読出部115とを含む。データ取得部111、評価値取得部112および分類部113は、図6を参照して上述したデータ取得部11、評価値取得部12および分類部13に対応する。
マッチング部114は、分類部113によって対象区分に分類された時系列データと、記憶部120の学習データベースに記憶された抽出時系列データとをマッチングする。なお、本明細書において、分類部113によって対象区分に分類された時系列データを対象時系列データと記載することがある。また、学習データベースの時系列データのうち対象時系列データに類似する時系列データを類似時系列データと記載することがある。
マッチング部114は、学習データベースの時系列データのうち対象時系列データに類似する時系列データを類似時系列データとして特定する。典型的には、学習データベースの時系列データのうち対象時系列データに最も近い時系列データが類似時系列データとなる。ただし、学習データベースには、類似時系列データとなる時系列データがないこともある。
典型的には、マッチング部114は、特定の評価基準に従って対象時系列データと、学習データベースに記憶された時系列データとをマッチングする。例えば、マッチング部114は、時系列データの全体に対して、対象時系列データと、学習データベースの時系列データとをマッチングする。一例では、マッチング部114は、対象時系列データと、学習データベースの時系列データとをベクトル解析で処理してもよい。あるいは、マッチング部114は、時系列データの特定の一部分について、対象時系列データと学習データベースに記憶された時系列データとをマッチングしてもよい。マッチング部114により、記憶部120の学習データベースに記憶された時系列データのうち対象時系列データに近い類似時系列データを特定する。なお、対象時系列データと類似時系列データとのマッチングは、評価値取得部112と同じ評価基準にしたがって行われてもよく、評価値取得部112とは異なる評価基準にしたがって行われてもよい。
その後、読出部115は、記憶部120の学習データベースにおいて、類似時系列データに対応するクラスタを特定し、特定したクラスタに対応する原因対策情報を読み出す。典型的には、表示部130は、原因対策情報を表示する。
本実施形態のデータ処理装置100によれば、学習データベースから、対象時系列データに近い類似時系列データ、および、対応する原因対策情報を読み出す。このため、データ処理装置100は、特定の区分に分類された対象時系列データに対する適切な原因対策情報を取得できる。
次に、図1~図16を参照して本実施形態のデータ処理方法を説明する。図16は、本実施形態のデータ処理方法のフロー図を示す。図16のステップS102~S106は、図12のステップS2~S6に対応する。
図16に示すように、ステップS102において、時系列データを取得する。時系列データは、基板処理装置200において生成されたデータである。次に、処理は、ステップS104に進む。
ステップS104において、時系列データの評価値(スコア)を取得する。取得部12は、時系列データに対する評価値を取得する。例えば、取得部12は、学習データベースを作成した際と同じ評価基準に従って時系列データの評価値を取得する。次に、処理は、ステップS106に進む。
ステップS106において、時系列データの評価値を用いて時系列データを複数の区分のいずれかに分類する。例えば、分類部13は、学習データベースを作成する際と同じように評価値を用いて、時系列データを複数の区分のいずれかに分類する。次に、処理は、ステップS106aに進む。
ステップS106aにおいて、時系列データが対象区分に分類されたか否かを判定する。例えば、対象区分はレベル4である。
時系列データが対象区分に分類されなかった場合(ステップS106aでNo)、処理は、ステップS102に戻る。時系列データが対象区分に分類された場合(ステップS106aでYes)、処理は、ステップS108に進む。
ステップS108において、対象時系列データと、記憶部120の学習データベースに記憶された時系列データとをマッチングする。マッチング部114は、対象時系列データと、記憶部120の学習データベースに記憶された時系列データとをマッチングする。マッチング部114は、記憶部120の学習データベースに記憶された抽出時系列データのうち類似時系列データを特定する。次に、処理は、ステップS110に進む。
ステップS110において、学習データベースから、類似時系列データに対応する原因対策情報を読み出す。読出部115は、記憶部120の学習データベースにおいて、類似時系列データに対応するクラスタを特定し、特定したクラスタに対応する原因対策情報を読み出す。典型的には、その後、表示部130は、原因対策情報を表示する。なお、必要に応じて、データ処理装置100および/または基板処理装置200の操作者または管理者は、表示された原因対策情報に基づいて、基板処理装置200の制御を変更してもよい。
以上のようにして、本実施形態のデータ処理方法を行う。本実施形態のデータ処理方法によれば、評価値を介して特異と認定された対象時系列データに対してマッチングを行う。このため、マッチング処理に係る演算量を低減できる。
また、本実施形態によれば、学習データベースから、対象時系列データのクラスタに対応する原因対策情報を取得できる。このため、時系列データが特異であっても、学習データベースから、時系列データに対応する原因対策情報を取得できる。したがって、基板処理装置200の特異な状態を効率的に把握できる。
典型的には、基板処理装置の操作熟練者は、基板処理装置から取得される時系列データから基板処理装置の具合を推測できるものの、不慣れな操作者は、基板処理装置から取得される時系列データから基板処理装置の具合を推測できない。しかしながら、本実施形態のデータ処理方法によれば、基板処理装置200の対象時系列データが特異であれば、過去に作成された学習データベースを利用して、基板処理装置200の原因対策情報を取得できる。このため、基板処理装置200の操作者が不慣れであっても、基板処理装置200の不具合を解消できる。
なお、図16を参照した説明では、ステップS110において、原因対策情報が読み出され、その後、操作者または管理者は、表示された原因対策情報に基づいて基板処理装置200の制御を変更したが、本実施形態はこれに限定されない。基板処理装置200は、操作者または管理者を介することなく、読み出された原因対策情報に基づいて、基板処理装置200の制御を変更してもよい。
また、図16を参照した上述の説明では、ステップS108におけるマッチングにおいて、学習データベースから類似時系列データが特定されたが、ステップS102において取得した時系列データが極めて特異である場合、学習データベースから類似時系列データが特定されないことも考えられる。この場合、ステップS102において取得された時系列データは別途記憶部120に記憶されてもよい。
次に、図1~図17を参照して本実施形態のデータ処理方法を説明する。図17は、本実施形態のデータ処理方法のフロー図を示す。図17のデータ処理方法のフロー図は、ステップS108a、ステップS112~S114が追加されている点を除き、図16のフロー図と同様であるため、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
上述したように、ステップS108において、対象時系列データと記憶部120の学習データベースに記憶された時系列データとをマッチングする。マッチング部114は、対象時系列データと、記憶部120の学習データベースに記憶された時系列データとをマッチングする。例えば、マッチングは、対象時系列データと学習データベースの時系列データとのマッチング率を取得することによって行われる。次に、処理は、ステップ108aに進む。
ステップS108aにおいて、学習データベース内に対象時系列データに類似した類似時系列データがあるか否かを判定する。例えば、マッチング部114は、マッチング率が閾値を超えるか否かに応じて、学習データベース内に対象時系列データに類似した類似時系列データがあるか否かを判定してもよい。例えば、マッチング率が閾値よりも高い場合、マッチング部114は、類似時系列データがあると判定する。一方、マッチング率が閾値以下である場合、マッチング部114は、類似時系列データがないと判定する。
類似時系列データがあると判定された場合(ステップS108aでYes)、処理は、ステップS110に進む。類似時系列データがないと判定された場合(ステップS108aでNo)、処理は、ステップS114に進む。
ステップS110において、学習データベースから、類似時系列データに対応する原因対策情報を読み出す。読出部115は、記憶部120の学習データベースから、類似時系列データに対応する原因対策情報を読み出す。処理は、ステップS112に進む。
ステップS112において、原因対策情報に基づいて基板処理装置200の制御を変更する。例えば、処理部110は、原因対策情報を操作者または管理者に通知する。一例では、表示部130は、原因対策情報を表示する。
ステップS114において、対象時系列データを記憶部120の学習データベースに記憶する。このとき、記憶部120は、対象時系列データとともに対象時系列データに対応する新たなクラスタを示す情報を記憶することが好ましい。また、この場合、表示部130は、マッチング率が閾値以下であったことを表示してもよい。
以上のようにして、本実施形態のデータ処理方法を行う。本実施形態のデータ処理方法によれば、学習データベースから、対象時系列データのクラスタに対応する原因対策情報を読み出して表示するため、データ処理装置100の操作者または管理者は、基板処理装置200についての原因対策情報を取得できる。
次に、図18~図20を参照して、時系列データTDについて詳細に説明する。典型的には、時系列データTDは、グラフの形状に応じて、立ち上がり部分、安定期部分及び立ち下がり部分に分解できる。また、典型的には、時系列データTDは、所定の制御信号に対して応答した物理量を示す。
まず、図1および図18を参照して、時系列データTDについて説明する。図18(a)は、基板処理装置200における制御信号CSの時間変化を示すグラフである。図18(b)は、制御信号CSに応じて制御された物理量を表した時系列データTDを示すグラフである。
図18(a)に示すように、制御信号CSは、初期状態(時刻t0)ではローレベルである。制御信号CSは、時刻t1においてローレベルからハイレベルに変化し、時刻t2においてハイレベルからローレベルに変化する。
図18(b)に示すように、時系列データTDは、制御信号CSに応じて、初期レベルL0と目標レベルL1(ただし、L0<L1)の間で変化する。
時系列データTDは、初期状態(時刻t0)では初期レベルL0を有する。時刻t1において制御信号CSがローレベルからハイレベルに変化すると、時系列データTDは初期レベルL0から目標レベルL1に向けて上昇し始める。ここでは、時系列データTDは、目標レベルL1を超えて上昇した後に下降する。時系列データTDは、目標レベルL1付近で上昇と下降を繰り返し、最終的には目標レベルL1付近で安定する。
その後、時刻t2において制御信号CSがハイレベルからローレベルに変化すると、時系列データTDは目標レベルL1付近から初期レベルL0に向けて下降し始める。時系列データTDは、初期レベルL0またはその付近まで下降した後に上昇する。時系列データTDは、初期レベルL0付近で上昇と下降を繰り返し、最終的には初期レベルL0で安定する。
例えば、時系列データTDには、目標レベルL1を含む第1範囲R1と、初期レベルL0を含む第2範囲R2とが設定される。例えば、目標レベルL1の90%~110%の範囲が第1範囲R1として設定され、目標レベルL1の-10%~10%の範囲が第2範囲R2として設定される。第1範囲R1の上限および下限、並びに、第2範囲R2の上限および下限は、利用者によって任意に決定される。
評価値取得部12は、時系列データTDから以下のように評価値を取得してもよい。まず、評価値取得部12は、制御信号CSがローレベルからハイレベルに変化を開始してから時系列データTDが第1範囲R1内に収まるまでの期間を「期間A(立ち上がり期間)」として求め、制御信号CSがハイレベルからローレベルに変化してから時系列データTDが第2範囲R2内に収まるまでの期間を「期間C(立ち下がり期間)」として求め、立ち上がり期間と立ち下がり期間との間の期間を「期間B(安定期間)」として求める。なお、「時系列データがある範囲内に収まる」とは、その時点以降に時系列データが範囲外の値を取らないことをいう。
評価値取得部12は、「期間A」、「期間B」および「期間C」のいずれかの部分から評価値を取得してもよい。例えば、評価値取得部12は「期間A」から評価値を取得してもよい。または、評価値取得部12は、「期間B」または「期間C」から評価値を取得してもよい。
例えば、評価値取得部12は、予め定めた方法で、立ち上がり期間におけるスコア、安定期間におけるスコア、および、立ち下がり期間におけるスコアを求める。例えば、評価値取得部12は、立ち上がり期間におけるスコアとして立ち上がり期間の長さを求め、立ち下がり期間におけるスコアとして立ち下がり期間の長さを求めてもよい。このように、評価値取得部12は、「期間A」、「期間B」および「期間C」の長さそれ自体を評価値として利用してもよい。あるいは、評価値取得部12は、「期間A」、「期間B」および「期間C」の長さの平均または合成値を評価値として利用してもよい。
あるいは、評価値取得部12は、「期間A」、「期間B」および「期間C」のそれぞれから何らかの値(スコア)を取得し、それらのスコアを判定、比較および/または合成することによって評価値を取得してもよい。
評価値取得部12は、「期間A」、「期間B」および「期間C」の評価値またはスコアとして、「期間A」、「期間B」および「期間C」内の時系列データTDの統計値を求めてもよい。
例えば、評価値取得部12は、安定期間におけるスコアとして、複数の時系列データを用いて安定期間における突発値を求めてもよい。評価値取得部12は、安定期間におけるスコアとして、安定期間内の時系列データTDの平均値、中央値、または、分散を求める。
図19は、複数の時系列データの値を示す図である。図19に示すn個の時系列データTD1、TD2、…、TDnは、それぞれ、m個の値を含む。ここでは、iを1以上n以下の整数、jを1以上m以下の整数としたとき、時系列データTDiに含まれるj番目のデータをxijという。この場合、評価値取得部12は、次式(1)~(4)に従い時系列データTDpのスコアSpを求める。
なお、式(1)において、値μpjは、対象となる時系列データTDpを除く(n-1)個の時系列データに含まれるj番目のデータの平均値を示す。式(2)において、値μpは、時系列データTDpを除く(n-1)個の時系列データに含まれるすべてのデータの平均値を示す。式(3)において、値σp
2は、時系列データTDpを除く(n-1)個の時系列データの分散を示す。
また、評価値取得部12は、立ち上がり期間におけるスコアとして、時系列データTDのオーバーシュート量を求めてもよい。時系列データTDの目標レベルをL1、時系列データTDの最大値をMとしたとき、評価値取得部12は、式(5)に従って時系列データのオーバーシュート量Vを求めてもよい。
V=(M-L1)/L1×100…(5)
あるいは、評価値取得部12は、式(6)に従い、時系列データのオーバーシュート量Vを求めてもよい。
V=M-L1…(6)
なお、上述した評価値の取得方法は、例示にすぎず、これらに限定されないことはいうまでもない。例えば、図4を参照して上述したように、時系列データTDの値と基準データRDの値との差分の2乗を積算することによって評価値を取得してもよい。
なお、分類部13(図1等)は、複数の時系列データTDのそれぞれの評価値Evを処理することによって複数の区分のいずれかに分類してもよい。
次に、図20を参照して、分類部13による分類処理の一例を説明する。図20(a)は、評価値分布を示すグラフである。評価値分布は、複数の時系列データTDのそれぞれについての評価値Evの頻度(度数)を示す。図20(a)のグラフにおいて、横軸は、評価値Evの大きさを示し、縦軸は、評価値Evの頻度(度数または出現回数)を示す。
図20(a)において、μは複数の評価値Evの平均値を示し、σは標準偏差を示す。図20(a)に示すように、評価値分布は、平均値μの近傍でピークを示す。評価値分布は、正規分布に近い形状を有する。
分類部13は、評価値分布を標準化する。具体的には、分類部13は、式(7)にしたがって評価値分布を標準化した標準化分布を生成する。
ここで、Soldは、評価値分布を示し、Snewは、標準化分布を示す。
図20(b)は、標準化分布を示すグラフである。標準化分布は、評価値分布の平均値μが0になるとともに標準偏差が1となるように標準化処理することによって生成される。
例えば、標準化分布はL1~L4に区分される。標準化分布において1未満であればレベル1(L1)とされ、1以上2未満であればレベル2(L2)とされ、2以上3未満であればレベル3(L3)とされ、3以上であればレベル4(L4)とされる。ここで、レベルは、異常度を示している。
なお、ここでは、区分は、標準偏差を用いて行われる。このため、操作者または管理者は、異常判定の際の閾値を個別に入力しなくてもよい。
なお、図18~図20を参照した説明は、主として、評価値取得部12および分類部13について説明したが、評価値取得部112および分類部113に適用されてもよい。また、クラスタリング処理部15および/またはマッチング部114に適用されてもよい。
なお、図10におけるデータ処理装置100では、処理部10が基板処理装置200の状態を示す学習データベースを記憶部20に記憶させる一方、図15におけるデータ処理装置100では、処理部110は、記憶部120に記憶された学習データベースを利用したが、データ処理装置100の処理部は、基板処理装置200の状態を示す学習データベースを記憶部に記憶させるとともに同じ記憶部に記憶された学習データベースを利用してもよい。
次に、図21を参照して、本実施形態のデータ処理装置100および基板処理装置200を説明する。図21は、データ処理装置100および基板処理装置200の模式図である。
図21に示すように、データ処理装置100は、処理部10と、記憶部20とを備える。処理部10は、データ取得部11と、評価値取得部12と、分類部13と、抽出部14と、クラスタリング処理部15に加えて、データ取得部111と、評価値取得部112と、分類部113と、マッチング部114と、読出部115とを含む。記憶部20は、学習データベースを記憶する。
処理部10は、データ取得部11、評価値取得部12、分類部13、抽出部14およびクラスタリング処理部15によって、記憶部20に学習データベースを記憶させることができる。また、処理部10は、データ取得部111、評価値取得部112、分類部113、マッチング部114および読出部115によって、記憶部20に記憶された学習データベースを活用できる。
なお、一般に、基板処理装置200は、枚葉型またはバッチ型に大別される。基板処理装置200は、枚葉型またはバッチ型のいずれであってもよい。
次に、図22を参照して、本実施形態のデータ処理装置100および基板処理装置200を説明する。図22は、データ処理装置100および基板処理装置200の模式図である。
データ処理装置100は、基板処理装置200において生成された時系列データTDを処理する。ここでは、基板処理装置200は、枚葉型である。
基板処理装置200は、基板Wを処理する。基板処理装置200は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板を含む。例えば、基板Wは略円板状である。基板処理装置200は、基板Wを一枚ずつ処理する。
基板処理装置200は、処理ユニット210として、チャンバー220と、基板保持部230と、液体供給部240とを備える。チャンバー220は、基板Wを収容する。基板保持部230は、基板Wを保持する。
チャンバー220は、内部空間を有する略箱形状である。チャンバー220は、基板Wを収容する。典型的には、チャンバー220は、空気雰囲気である。ただし、チャンバー220には、ダウンフロー等によって気流が形成されてもよい。
ここでは、基板処理装置200は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型であり、チャンバー220には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー220内に収容され、チャンバー220内で処理される。チャンバー220には、基板保持部230および液体供給部240のそれぞれの少なくとも一部が収容される。
基板保持部230は、基板Wを保持する。例えば、基板保持部230は、基板Wの端部を挟持する。基板保持部230は、基板Wの上面(表面)Waを上方に向け、基板Wの裏面(下面)Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部230は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。例えば、基板Wは、鉛直上方から見た場合に、反時計周りに回転する。
例えば、基板保持部230は、スピンベース231と、チャック部材232と、シャフト233と、電動モーター234と、基部235とを含む。例えば、スピンベース231は、XY平面に延びる板状である。ここでは、スピンベース231は、ディスク形状(薄い円板形状)である。スピンベース231は、基板Wと対向する。
チャック部材232は、スピンベース231に設けられる。チャック部材232は、基板Wを固定(チャック)する。典型的には、スピンベース231には、複数のチャック部材232が設けられる。
シャフト233は、中空軸でもよい。シャフト233は、回転軸Axに沿って鉛直方向に延びている。シャフト233の上端には、スピンベース231が結合されている。基板Wは、スピンベース231の上方に載置される。
シャフト233は、スピンベース231の中央部から下方に延びる。電動モーター234は、シャフト233に回転力を与える。シャフト233は、基部235に対して回転する。基部235は、シャフト233を回転可能に支持する。電動モーター234は、シャフト233を回転方向に回転させることにより、回転軸Axを中心に基板Wおよびスピンベース231を回転させる。電動モーター234は、回転部材の一例である。
液体供給部240は、基板Wに液体を供給する。典型的には、液体供給部240は、基板Wの上面Waに液体を供給する。例えば、液体は、リンス液または薬液を含む。
リンス液は、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、アンモニア水、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、または、還元水(水素水)のいずれかを含んでもよい。
薬液は、フッ酸を含む。例えば、フッ酸は、40℃以上70℃以下に加熱されてもよく、50℃以上60℃以下に加熱されてもよい。ただし、フッ酸は、加熱されなくてもよい。また、薬液は、水または燐酸を含んでもよい。
さらに、薬液は、過酸化水素水をさらに含んでもよい。また、薬液は、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)または王水(濃塩酸と濃硝酸との混合物)を含んでもよい。
基板処理装置200は、カップ250をさらに備える。カップ250は、基板Wから飛散した液体を回収する。カップ250は昇降する。例えば、カップ250は、液体供給部240が基板Wに液体を供給する期間にわたって基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇する。この場合、カップ250は、基板Wの回転によって基板Wから飛散する液体を回収する。また、カップ250は、液体供給部240が基板Wに液体を供給する期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方に下降する。
制御装置201は、制御部201aおよび記憶部201bを含む。制御部201aは、基板保持部230、液体供給部240および/またはカップ250を制御する。一例では、制御部201aは、電動モーター234、バルブ240bおよび/またはカップ250を制御する。
本実施形態の基板処理装置200は、半導体の設けられた半導体装置の作製に好適に用いられる。基板処理装置200は、半導体装置の製造時に、半導体装置の洗浄および/または加工(例えば、エッチング、特性変化等)に好適に用いられる。
上述したように、基板処理装置200は、枚葉型であってもよい。この場合、基板処理装置200は、処理ユニット210を複数備えていることが好ましい。
次に、図23を参照して、本実施形態のデータ処理装置100および基板処理装置200を説明する。図23は、データ処理装置100および基板処理装置200の模式図である。ここでは、基板処理装置200は、複数の処理ユニット210を備える。処理ユニット210のそれぞれは、基板Wを処理する。複数の処理ユニット210は、所定の配列で配置されている。
図23に示すように、基板処理装置200は、複数の処理ユニット210と、流体キャビネットLCと、流体ボックスLBと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置201とを備える。制御装置201は、ロードポートLP、インデクサーロボットIRおよびセンターロボットCRを制御する。制御装置201は、制御部201aおよび記憶部201bを含む。
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理ユニット210との間で基板Wを搬送する。処理ユニット210の各々は、基板Wに液体を吐出して、基板Wを処理する。例えば、液体は、処理液、リンス液および/または薬液を含む。流体キャビネットLCは、液体を収容する。なお、流体キャビネットLCは、ガスを収容してもよい。
具体的には、複数の処理ユニット210は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の処理ユニット210(図1では3つの処理ユニット210)を含む。流体ボックスLBは、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。流体キャビネットLC内の液体は、いずれかの流体ボックスLBを介して、流体ボックスLBに対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット210に供給される。また、流体キャビネットLC内のガスは、いずれかの流体ボックスLBを介して、流体ボックスLBに対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット210に供給される。
基板処理装置200は、制御装置201をさらに備える。制御装置201は、基板処理装置200の各種動作を制御する。
制御装置201は、制御部201aおよび記憶部201bを含む。制御部201aは、プロセッサーを有する。制御部201aは、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部201aは、汎用演算機を有してもよい。
記憶部201bは、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容および処理手順を規定する。
記憶部201bは、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部201bはリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部201aは、記憶部201bの記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
なお、図22および図23を参照した上述の説明では、基板処理装置200および/または処理ユニット210は、枚葉型であったが、本実施形態はこれに限定されない。基板処理装置200および/または処理ユニット210は、バッチ型であってもよい。
図24を参照して、本実施形態のデータ処理装置100および基板処理装置200を説明する。図24は本実施形態のデータ処理装置100および基板処理装置200の模式図である。ここでは、基板処理装置200は、バッチ型であり、基板Wを複数枚まとめて処理できる。
基板処理装置200は、処理槽260と、基板保持部270と、制御装置201とを備える。処理槽260は、基板Wを処理するための処理液Lを貯留する。
基板保持部270は、基板Wを保持する。基板保持部270によって保持された基板Wの主面の法線方向はY方向に平行である。基板保持部270は、基板Wを保持したまま基板Wを移動させる。例えば、基板保持部270は、基板Wを保持したまま鉛直方向に沿って鉛直上方または鉛直下方に移動する。
典型的には、基板保持部270は、複数の基板Wをまとめて保持する。ここでは、複数の基板Wは、Y方向に沿って一列に配列される。なお、基板保持部270は、一枚のみの基板Wを保持してもよい。
図1~図24に示したデータ処理装置100は、1つの基板処理装置200において生成された時系列データを処理したが、本実施形態はこれに限定されない。データ処理装置100は、異なる場所に配置された基板処理装置200において生成された時系列データを処理してもよい。
次に、図25を参照して、本実施形態のデータ処理装置100および基板処理装置200を説明する。図25は、本実施形態のデータ処理装置100および基板処理装置200の模式図である。図25に示すように、基板処理装置200は、基板処理装置200Aと、基板処理装置200Bとを備える。基板処理装置200Aおよび基板処理装置200Bは、データ処理装置100と通信可能に接続されている。
典型的には、基板処理装置200Aおよび基板処理装置200Bは互いに離れた場所に配置される。例えば、基板処理装置200Aおよび基板処理装置200Bは同じ国の異なる場所に配置されてもよい。あるいは、基板処理装置200Aおよび基板処理装置200Bは異なる国に配置されてもよい。
データ処理装置100は、例えば、サーバーである。例えば、基板処理装置200Aは、データ処理装置100を介して基板処理装置200Bと情報を通信可能である。
なお、図25を参照した上述の説明では、データ処理装置100は、基板処理装置200A、200Bと通信可能であったが、基板処理装置200Aおよび基板処理装置200Bは同時刻に存在しなくてもよい。
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。