JP7460203B2 - 細胞で産生された膜小胞に由来する塩基配列を解析する方法、その装置、及び、そのプログラム - Google Patents

細胞で産生された膜小胞に由来する塩基配列を解析する方法、その装置、及び、そのプログラム Download PDF

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Description

本発明は、細胞で産生された膜小胞に由来する塩基配列を解析する方法、その装置、及び、そのプログラムに関する。
細菌に由来する細胞外ベシクル(膜小胞)は種々の機能を有していると考えられており、例えば、細菌の病原性の発現等にも寄与しているとされ、注目されている。
特許文献1には「下記のステップを含む、細菌性重症感染疾患原因菌の同定方法:(A)細菌由来のナノベシクルを含有する患者サンプルからナノベシクル内の遺伝子を抽出するステップ;(B)上記の抽出された遺伝子に対して配列番号1および2のプライマーペアを用いてPCRを行うステップ;および(C)上記のPCR結果物が正常人に比べて増加されている場合、細菌性重症感染疾患の原因菌が存在するものと判定するステップ。」が記載されている。
特表2017-538421号公報
膜小胞の(膜小胞内部の)DNAの塩基配列の解析法としては、従来、精製した膜小胞から核酸を抽出し、その全体を網羅的に解析する方法等が用いられてきた。解析のターゲットとする膜小胞が明らかな場合には、特許文献1に記載されるような特定のプライマーによって所定の配列を増幅し、シークエンスする方法等も用いられてきた。
ところが、複数種の膜小胞が含まれる可能性のある検体を用い、個別の膜小胞のDNAの塩基配列を決定しようとする場合、検体に含まれる膜小胞の種類、及び、DNAの塩基長すらも未知であることが多い。そのため、検体のDNAを網羅的解析して複数の塩基配列(配列断片)を得ても、その配列が、膜小胞に由来する塩基配列の一部なのか、又は、全部なのか、更には、膜小胞の1種に由来するのか、又は、2種以上に由来するものかを認定することは容易ではなく、膜小胞の機能解明やその後の応用の妨げとなっていた。
そこで、本発明は、宿主細胞で産生された(典型的には宿主細菌により産生された)膜小胞に由来する塩基配列を解析できる方法を提供することを課題とする。また、本発明は、その装置、及び、そのプログラムを提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 宿主細胞で産生され、上記宿主細胞外に放出された膜小胞を含む第1試料を用い、上記膜小胞の1個体ずつを液滴中に封入することと、上記液滴をゲル化してゲルカプセルを生成することと、上記ゲルカプセルを溶解試薬と接触させて、上記膜小胞を溶解させ、上記膜小胞中のポリヌクレオチドが上記ゲルカプセルに溶出し、上記ゲルカプセル内に保持させることと、上記ポリヌクレオチドを増幅試薬に接触させて、上記ポリヌクレオチドを上記ゲルカプセル内で増幅することと、上記増幅したポリヌクレオチドから、上記ポリヌクレオチドの塩基配列である第1塩基配列を決定することと、上記第1塩基配列を参照配列に整列させて上記第1塩基配列が上記参照配列にマップするかを調べることと、上記第1塩基配列が上記参照配列にマップされる場合、上記第1塩基配列が、上記宿主細胞で産生された膜小胞に由来する塩基配列であると確認することと、を含む、方法。
[2] 上記宿主細胞が、宿主細菌である、[1]に記載の方法。
[3] 上記参照配列が、上記第1試料のメタゲノム解析によって得られた塩基配列である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 上記参照配列が、上記宿主細胞のゲノム配列である、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 上記参照配列が、ゲノム配列が既知の細胞の上記ゲノム配列の集合であり、上記第1塩基配列が上記参照配列にマップされる場合、上記マップされたゲノム配列を有する上記細胞を上記宿主細胞と決定することを更に含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[6] 上記第1塩基配列を決定した後、上記第1塩基配列におけるタンパク質コード領域を検出し、上記タンパク質コード領域をクエリー配列とした相同性検索によって、上記タンパク質コード領域と相同のタンパク質コード配列を有する上記細胞を選択し、上記細胞のゲノム配列から上記参照配列を作成することを含む、[5]に記載の方法。
[7] 更に、上記第1試料を核酸分解酵素で処理することを含む[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 更に、上記宿主細胞と、上記膜小胞とを含む懸濁液から、上記宿主細胞と上記膜小胞とを分離させ、上記膜小胞を含む上記第1試料と、上記宿主細胞を含む第2試料とを得ることと、を含む[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 更に、上記第2試料を用いて、上記参照配列を得ることと、を含む[8]に記載の方法。
[10] 上記参照配列を得ることが、上記第2試料をメタゲノム解析して、得られる塩基配列を上記参照配列とすることである、[9]に記載の方法。
[11] 上記参照配列を得ることが、上記第2試料を16S rRNA解析して、上記第2試料の細菌組成を推定し、上記細菌組成の塩基配列を上記参照配列とすることである、[9]に記載の方法。
[12] 上記参照配列を得ることが、上記第2試料をシングルセル解析して、得られる塩基配列を上記参照配列とすることである、[9]に記載の方法。
[13] 上記参照配列を得ることが、上記第2試料をメタゲノム解析して得られた塩基配列と、上記第2試料をシングルセル解析して得られた塩基配列とをマージして上記参照配列とすることである、[9]に記載の方法。
[14] 上記懸濁液が、ヒト又は動物から採取した、糞便、唾液、喀痰、手術洗浄液、血液、並びに、皮膚又は身体粘膜の拭い液、及び、スワブからなる群より選択される少なくとも1種の採取試料である、[8]~[13]のいずれかに記載の方法。
[15] 上記宿主細菌が、ポルフィロモナス属、プレボテラ属、ベイヨネラ属、フソバクテリウム属、パルビモナス属、アグリゲイティバクター属、アクチノマイセス属、アクチノバチルス属、バクテロイデス属、タンネレラ属、トレポネーマ属、カンピロバクター属、エイケネラ属、ストレプトコッカス属、及び、カプノサイトファーガ属からなる群より選択される少なくとも1種の細菌である、[2]に記載の方法。
[16] 更に、上記第1塩基配列をクラスタリングして、上記膜小胞の異種性を確認すること、を含む[1]~[15]のいずれかに記載の方法。
[17] 宿主細胞で産生され、上記宿主細胞外に放出された膜小胞の1個体ずつを液滴中に封入する液滴作製部と、上記液滴をゲル化してゲルカプセルを生成するゲル化部と、上記ゲルカプセルを溶解試薬と接触させる溶解部と、上記ゲルカプセルから夾雑物質を除去する除去部と、上記ゲルカプセルを増幅試薬に接触させ、ゲルカプセル内のポリヌクレオチドを増幅する増幅部と、上記ポリヌクレオチドの配列である第1塩基配列の決定を行う配列決定部と、上記第1塩基配列を参照配列に整列させて上記第1塩基配列が上記参照配列にマップするかを調べる参照部と、上記第1塩基配列が上記参照配列にマップされる場合、上記第1塩基配列が、上記宿主細胞で産生された膜小胞に由来する塩基配列であると確認するための情報を提供する確認部と、を有する装置。
[18] 宿主細胞で産生され、上記宿主細胞外に放出されたた膜小胞の1個体ずつを液滴中に封入する液滴作製部と、上記液滴をゲル化してゲルカプセルを生成するゲル化部と、上記ゲルカプセルを溶解試薬と接触させる溶解部と、上記ゲルカプセルから夾雑物質を除去する除去部と、上記ゲルカプセルを増幅試薬に接触させ、ゲルカプセル内のポリヌクレオチドを増幅する増幅部と、を有する装置に、コンピュータにより、宿主細胞で産生され、上記宿主細胞外に放出された膜小胞を含む第1試料を用い、上記膜小胞の1個体ずつを液滴中に封入する手順と、上記液滴をゲル化してゲルカプセルを生成する手順と、上記ゲルカプセルを溶解試薬と接触させて、上記膜小胞を溶解させ、上記膜小胞中のポリヌクレオチドが上記ゲルカプセルに溶出し、上記ゲルカプセル内に保持させる手順と、上記増幅したポリヌクレオチドから、上記ポリヌクレオチドの塩基配列である第1塩基配列を決定する手順と、上記第1塩基配列を参照配列に整列させて上記第1塩基配列が上記参照配列にマップするかを調べる手順と、上記第1塩基配列が上記参照配列にマップされる場合、上記第1塩基配列が、上記宿主細胞で産生された膜小胞に由来する塩基配列であると確認する手順と、を実行させるプログラム。
[19] [1]~[16]のいずれかに記載の方法により得られた上記膜小胞に由来する塩基配列。
本発明によれば、宿主細胞で産生された(典型的には宿主細菌により産生された)膜小胞に由来する塩基配列を解析できる方法が提供できる。また、本発明によれば、装置、及び、プログラムも提供できる。
本発明の方法の第1の実施形態のフローチャートである。 本発明の装置の第1の実施形態のハードウェア構成図である。 マイクロ流路の実施形態を示す模式的な断面図である。 本発明の装置の第1の実施形態の機能ブロック図である。 本発明の装置の第1の実施形態の制御部の動作を示すフローチャートである。 本発明の方法の第2の実施形態のフローチャートである。 本発明の装置の第2の実施形態の機能ブロック図である。 本発明の装置の第2の実施形態の制御部の動作を示すフローチャートである。 k-mer identityを指標にして各膜小胞粒子内の塩基配列と最も相同性の高い配列を探索し、それが宿主細菌株の塩基配列かを調べた結果である。 ヒト唾液サンプルから膜小胞を精製し、192個の膜小胞粒子について検出された塩基配列の情報を基に、各膜小胞内部の塩基配列が由来する細菌の分類群の特定を行なった結果である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「ポリヌクレオチド」は、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかの、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。この用語は上記分子の一次構造のみを指す。したがって、この用語は二本鎖と一本鎖のDNA、及び、RNAを含む。
本明細書において、「膜小胞」とは、典型的には、宿主細菌の細胞膜の一部が菌体外にくびり取られるようにして産生されたマイクロベシクルである「外膜小胞(OMV;outer membrane vesicle)」が挙げられ、その大きさは、特に制限されないが、10~1000nmである場合が多く、グラム陰性細菌では10~300nmであることが多く、グラム陽性細菌では50~150nmであることが多い。
なお、本明細書において、膜小胞には、宿主細菌等により産生される外膜小胞、動物細胞等により、エンドサイトーシス経路により産生、放出される「エクソソーム」、及び、アポトーシスによって生ずる「アポトーシス小体」も含まれるものとし、なかでも、膜小胞としては、外膜小胞(OMV)が好ましい。
宿主細胞としては特に制限されず、真核生物、細菌、又は、古細菌のいずれの細胞であってもよいが、以下では、典型例として、宿主細胞が宿主細菌である場合について述べる。なお、本明細書において「宿主細胞」とは、分析対象となる膜小胞を産生した細胞を意味し、「宿主細菌」とは、分析対象となる膜小胞を産生した細菌を意味する。
本明細書において、「シングルセル解析」とは、細胞(細菌)、及び、膜小胞等を1個体ずつ分離してその塩基配列を解析する方法を意味し、「単一粒子解析」等とも称される方法を意味する。
[方法(1)]
図1は、本発明の方法の第1の実施形態(以下「本方法」ともいう。)のフローチャートである。
ステップS101は、宿主細菌が産生した膜小胞の1個体ずつを液滴中に封入する工程(封入工程)である。封入工程で用いられる第1試料は、膜小胞を含む。試料に含まれる膜小胞は、1種でも2種以上でもよい。この膜小胞は、宿主細菌が産生し、菌体外に放出したものであり、第1試料は、典型的には、宿主細菌と、膜小胞とを含む懸濁液から、宿主細菌等の膜小胞以外の成分を分離除去することで得られたものである。
膜小胞を含む第1試料は、精製されたものであることが好ましい。第1試料に対する膜小胞以外の核酸成分の混入を抑制することで、最終的に、膜小胞の(膜小胞に由来する)ポリヌクレオチドが得られやすい。
第1試料は、宿主細菌が産生し、菌体外に放出した膜小胞を含んでいればよく、その膜小胞は、単一の宿主細菌株に由来するものであっても、複数種の細菌(群)に由来するものであってもよい。なお、複数種の細菌(群)には、1種又は2種以上の宿主細菌が含まれる。
本方法は、封入工程の前に、膜小胞を含む懸濁液から、上記膜小胞を分離取得する工程を有してもよい(前処理工程)。
懸濁液には、宿主細菌が含まれてもよく、宿主細菌が含まれている場合、上記工程は、膜小胞を含む第1試料と、細菌を含む第2試料とを得る工程であってもよい。
前処理工程で用いられる懸濁液は、膜小胞を含み、宿主細菌が含まれていてもよい。懸濁液に宿主細菌が含まれる場合、宿主細菌は培養された単一の細菌株として懸濁液に含まれてもよい。この場合、懸濁液は、典型的には液体培地で培養した上記細菌株の培養試料である。
また、懸濁液は、ヒトや動物から取得され、複数種の細菌(このうちの1種以上が難培養性細菌であってもよい)が含まれるものでもよい。
懸濁液としては、例えば、ヒト又は動物から採取した、糞便、唾液、喀痰、手術洗浄液、血液、皮膚・身体粘膜の拭い液、及び、スワブ等の採取試料であってもよい。一般に、採取試料中には、細菌群と、それに含まれる宿主細菌により産生された膜小胞とが含まれる場合がある。
このような採取試料を上記懸濁液として用いる場合、採取試料から膜小胞と細菌群とを分離して、第1試料と第2試料とにすればよい。
一般に、採取試料には難培養性細菌が含まれていることがある。従来、難培養性細菌に由来する膜小胞の分類、機能研究、及び、利用は特に困難で進まなかった。
細菌株の産生する膜小胞の機能解析には、細菌株を培養して膜小胞を大量に産生させて、それを解析する、という手法が適用できる。一方、難培養性細菌では、その手法が適用できなかった。難培養性細菌の産生する膜小胞の機能解析が進まないことは、それが一因となっていた。
また、採取試料中に難培養性細菌に由来する膜小胞が含まれていたとしても、絶対量、及び、相対量ともに従来法による網羅的解析に十分な量は含まれてないことが多いと考えられ、このことが解析をより一層困難にしていた。
一方で、本発明の方法によれば、採取試料、及び、培養試料に含まれる膜小胞の量が少なかったとしても、その1個体ずつを分離し、膜小胞の1個体の(1固体に由来する)ポリヌクレオチドを増幅して解析するため、所望のデータを得ることができる。
解析対象とする膜小胞を産生する宿主細菌としては特に制限されないが、真正細菌、大腸菌、枯草菌、藍色細菌、球菌、桿菌、ラセン菌、グラム陰性菌、グラム陽性菌、古細菌、及び、真菌等が挙げられる。細菌としては、例えば、Streptococcus mutans、Pseudomonas aeruginosa、Negibacteria、Eobacteria、Deinococci、Deinococci、Deinococcales、Thermales、Chloroflexi、Anaerolineae、Anaerolineales、Caldilineae、Chloroflexales、Herpetosiphonales、Thermomicrobia、Thermomicrobiales、Sphaerobacterales、Ktedonobacteria、Ktedonobacterales、Thermogemmatisporales、Glycobacteria、Cyanobacteria、Gloeobacterophyceae、Gloeobacterales、Nostocophyceae、Synechococcophycidae、Synechococcales、Nostocophycidae、Chroococcales、Oscillatoriales、Nostocales、Pseudanabaenales、Spirochaetes、Spirochaetes、Spirochaetales、Fibrobacteres、Fibrobacteria、Gemmatimonadetes、Gemmatimonadetes、Gemmatimonadales、Chlorobi、Chlorobea、Chlorobiales、Ignavibacteria、Ignavibacteriales、Bacteroidetes、Bacteroidia、Bacteroidales、Flavobacteriia、Flavobacteriales、Sphingobacteriia、Sphingobacteriales、Cytophagia、Cytophagales、Planctomycetes、Planctomycea、Planctomycetales、Phycisphaerae、Phycisphaerales、Chlamydiae、Chlamydiae、Chlamydiales、Verrucomicrobia、Verrucomicrobiae、Verrucomicrobiales、Opitutae、Opitutales、Puniceicoccales、Spartobacteria、Chthoniobacterales、Lentisphaerae、Lentisphaeria、Lentisphaerales、Victivallales、Proteobacteria、Alphaproteobacteria、Rhodospirillales、Rickettsiales、Rhodobacterales、Sphingomonadales、Caulobacterales、Rhizobiales、Parvularculales、Kordiimonadales、Sneathiellales、Kiloniellales、Betaproteobacteria、Burkholderiales、Hydrogenophilales、Methylophilales、Neisseriales、Nitrosomonadales、Rhodocyclales、Procabacteriales、Gammaproteobacteria、Chromatiales、Acidithiobacillales、Xanthomonadales、Cardiobacteriales、Thiotrichales、Legionellales、Methylococcales、Oceanospirillales、Pseudomonadales、Alteromonadales、Vibrionales、Aeromonadales、Enterobacteriales、Pasteurellales、Deltaproteobacteria、Desulfurellales、Desulfovibrionales、Desulfobacterales、Desulfarculales、Desulfuromonadales、Syntrophobacterales、Bdellovibrionales、Myxococcales、Epsilonproteobacteria、Campylobacterales、Nautiliales、Acidobacteria、Acidobacteria、Acidobacteriales、Holophagae、Holophagales、Acanthopleuribacterales、Aquificae、Aquificae、Aquificales、Deferribacteres、Deferribacteres、Geovibriales、Thermodesulfobacteria、Thermodesulfobacteria、Thermodesulfobacteriales、Nitrospirae、Nitrospira、Nitrospirales、Fusobacteria、Fusobacteriia、Fusobacteriales、Synergistetes、Synergistia、Synergistales、Caldiserica、Caldisericia、Caldisericales、Elusimicrobia、Elusimicrobia、Elusimicrobiales、Armatimonadetes、Armatimonadia、Armatimonadales、Chthonomonadetes、Chthonomonadales、Fimbriimonadia、Fimbriimonadales、Posibacteria、Thermotogae、Thermotogae、Thermotagales、Firmicutes、Bacilli、Bacillales、Lactobacillales、Clostridia、Clostridiales、Halanaerobiales、Thermoanaerobacterales、Natranaerobiales、Negativicutes、Selenomonadales、Erysipelotrichia、Erysipelotrichales、Thermolithobacteria、Thermolithobacterales、Tenericutes、Mollicutes、Mycoplasmatales、Entomoplasmatales、Acholeplasmatales、Anaeroplasmatales、Actinobacteria、Actinobacteria、Actinomycetales、Actinopolysporales、Bifidobacteriales、Catenulisporales、Corynebacteriales、Frankiales、Glycomycetales、Jiangellales、Kineosporiales、Micrococcales、Micromonosporales、Propionibacteriales、Pseudonocardiales、Streptomycetales、Streptosporangiales、Dictyoglomi、Dictyoglomia、Dictyoglomales、Chrysiogenetes、Chrysiogenetes、Chrysiogenales、Haloplasmatales等が挙げられる。
また、一形態として、宿主細菌は歯周病菌(歯周病の原因菌)が好ましい。歯周病菌としては、例えばポルフィロモナス(Porphyromonas)属、プレボテラ(Prevotella)属、ベイヨネラ(Veillonella)属、フソバクテリウム(Fusobacterium)属、パルビモナス(Parvimonas)属、アグリゲイティバクター(Aggregatibacter)属、アクチノマイセス(Actinomyces)属、アクチノバチルス(Actinobacillus)属、バクテロイデス(Bacteriorides)属、タンネレラ(Tannerella)属、トレポネーマ(Treponema)属、カンピロバクター(Campylobactar)属、エイケネラ(Eikenella)属、ストレプトコッカス(Streptococcus属)、及びカプノサイトファーガ(Capnocytophaga)属等が挙げられる。
より具体的には、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)又はバクテロイデス・ジンジバリス(Bacteriorides gingivalis)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、ベイヨネラ・パルブーラ(Veillonella parvula)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、パルビモナス・ミクラ(Parvimonas micra)、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)又はアクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、アクチノマイセス・ネスランディ(Actinomyces naeslundii)、タンネレラ・フォーサイセンシス(Tannerella forsythensis)、トレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)、カンピロバクター・レクタス(Campylobactar rectus)、エイケネラ・コローデンス(Eikenella corrodens)、カプノサイトファーガ・オクラセア(Capnocytophaga ochracea)、及び、ストレプトコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans)等が挙げられる。
なかでも、宿主細菌としては、「レッドコンプレックス」と呼ばれる、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、トレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)、及び、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)からなる群より選択される少なくとも1種の細菌が好ましい。
懸濁液において細菌(群)と膜小胞とを分離する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、単一の細胞株の液体培養液であれば、膜小胞は培養上清に含まれているため、遠心分離によって、培養液から菌体を取り除くことにより分離できる。細菌株を固体培養した場合には、コロニーを緩衝液中に懸濁して、同様の方法で分離できる。
分離した遠心上清をメンブランフィルター(例えば、孔径0.1~0.9μm)を用いてろ過すれば、上清に残留する菌体を容易に除去することができる。
遠心上清には、細菌体以外にもタンパク質等の夾雑物質が含まれている場合があるので、例えば、100~200kDaカットオフフィルタで濃縮した後、超遠心によって膜小胞を沈殿させて回収する方法も使用できる。
また、このようにして得られた沈殿物には、微生物由来の構造体(例えば、せん毛、及び、べん毛等)が含まれていることがあり、これらを除去するために、例えば、スクロース等を用いた密度勾配遠心法を用いて、更に精製する方法を用いてもよい。
また、本発明者らは、膜小胞の表面には、膜小胞に由来しない核酸成分が付着している場合が多いことを知見している。そこで、本方法は、得られた第1試料に更に核酸分解酵素を作用させ、これらの核酸成分を分解する工程を有することが好ましい。このような酵素としては、公知のものを使用でき、例えば、デオキシリボヌクレアーゼ等が挙げられる。
単一細胞株の培養液から第1試料を得る具体的な方法について説明する。
まず、所定の条件で所望の増殖相が達成されたら、培養液を容量が1~100mLの遠心管に入れ、3000~9000rpm、1~20℃で、1~30分間遠心する。
上清と沈殿物とに分離できたら沈殿物を廃棄し、上清を0.1~0.9μmのフィルターに通し、別の遠心管に収容し、1~10℃で保存する。
次に、上清を超遠心チューブに加え、例えば、遠心力として150,000~300,000×gで、1~10℃で1~3時間超遠心する。超遠心後、上清を破棄し、沈殿した外膜小胞(OMV)を緩衝液(例えば、pH7.4のPBSバッファー)に再懸濁し、1~10℃で保存する。更に、この超遠心の工程を複数回繰り返してもよい。
この懸濁液を第1試料としてもよい。この懸濁液に対して、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)を加えて、外膜小胞に付着した核酸を分解処理し、これを第1試料としてもよい。デオキシリボヌクレアーゼ処理を行うことで、夾雑物質(核酸成分)の混入が抑制されるため、より精度の高い測定ができる。
デオキシリボヌクレアーゼの添加量としては特に制限されないが、例えば、上記懸濁液の10μLを10倍希釈して、そこへ2μLのDNase(2000U)を添加する方法が挙げられる。
また、懸濁液の単位量あたりに含まれる膜小胞の数(濃度)を調整するために、懸濁液を希釈し、それを第1試料としてもよい。懸濁液を希釈して、膜小胞の濃度を調整することで、1つの液滴に膜小胞の2つ以上が封入される可能性がより低くなる。言い換えれば、より確実に1個体ずつを液滴中に封入しやすくなる。
懸濁液の希釈の方法としては特に制限されないが、例えば、膜小胞の濃度を動的光散乱法等により懸濁液中の膜小胞の濃度を観察しながら、適当な濃度に希釈する方法が挙げられる。
膜小胞の濃度の観察方法としては、粒子にレーザを照射し、その散乱光から各粒子のブラウン運動を追跡し(トラッキング法)、その拡散速度から、Stokes-Einsteinの式に基づき粒子の径と個数とを計算する方法が好ましい。
第1試料を用いて、第1試料に含まれる膜小胞の1個体ずつを液滴中に封入する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。
液滴の作製は、例えば、マイクロ流路を用いて行うことができる。上述した懸濁液をマイクロ流路中に流動させ、懸濁液の流れをせん断することにより、1個体ずつの膜小胞を封入した液滴を作製できる。せん断は、一定間隔で行うことができる。懸濁液のせん断の方法としては、例えば、オイルを用いればよい。オイルとしては、例えば、鉱物油、植物油、シリコーンオイル、及び、フッ素化オイル等が挙げられる。懸濁液中の膜小胞の量(濃度)、流路中の流速、せん断の間隔を調整し、当業者は、液滴あたり1個体の膜小胞が封入されるように液滴作製を行うことが可能である。
液滴の直径は、1~250μmが好ましく、10~200μmがより好ましい。
ステップS102は、液滴をゲル化してゲルカプセルを生成する工程である。ゲル化方法としては特に制限されない。液滴のゲル化は、液滴にゲルカプセルの材料が含まれるように構成し、作製した液滴を冷却することによって行うことができる。あるいは、液滴に対して光等の刺激を与えることによってゲル化を行うこともできる。液滴にゲルカプセルの材料が含まれるようにするには、例えば、第1試料にゲルカプセルの材料を含めておくことによって行うことができる。
ゲルカプセルの直径としては、1~250μmが好ましく、10~200μmがより好ましい。ゲルカプセルの直径は、作製する液滴と同じであってもよいが、ゲル化に際して直径が変化してもよい。
ゲルカプセルの材料は、アガロース、アクリルアミド、光硬化性樹脂(例えば、PEG-DA)、PEG(ポリエチレングリコール)、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、マトリゲル、及び、コラーゲン等を含んでもよい。
ゲルカプセルは、ヒドロゲルカプセルであってよい。「ヒドロゲル」とは、高分子物質又はコロイド粒子の網目構造によって保持されている溶媒あるいは分散媒が水であるものを意味する。
ステップS103は、ゲルカプセルを溶解試薬と接触させて、膜小胞を溶解させ、ポリヌクレオチドを溶出させ、ゲルカプセル内に保持する工程である。膜小胞を溶解することで、膜小胞中のポリヌクレオチドがゲルカプセル内に溶出し、ポリヌクレオチドに結合する物質が除去された状態でゲルカプセル内に保持され得る。溶解試薬としては、酵素、界面活性剤、その他変性剤、還元剤、及び、pH調製剤、並びに、これらの組合せ等が使用できる。
溶解試薬は、リゾチーム、ラビアーゼ、ヤタラーゼ、アクロモペプチダーゼ、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ、ザイモリアーゼ、キチナーゼ、リソスタフィン、ムタノライシン、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、フェノール、クロロホルム、グアニジン塩酸塩、尿素、2-メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、TCEP(Tris(2-carboxyethyl)phosphine)-HCl、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、Triton(登録商標)X-100、Triton X-114、Nonidet(登録商標) P-40、Brij(登録商標)-35、Brij-58、Tween(登録商標)20、Tween 80、オクチルグルコシド、オクチルチオグルコシド、CHAPS(3-[(3-Cholamidopropyl)dimethylammonio]propanesulfonate)、CHAPSO(3-[(3-Cholamidopropyl)dimethylammonio]-2-hydroxypropanesulfonate)、ドデシル-β-D-マルトシド、及び、Zwittergent(登録商標)3-12等が挙げられる。
また、溶解試薬は、リゾチーム、アクロモペプチダーゼ、プロテアーゼ、ドデシル硫酸ナトリウム、及び、水酸化カリウム等を含むことが好ましい。
ステップS104は、ゲルカプセル内の夾雑物質を除去する工程である。本方法では、膜小胞の1個体を封入したゲルカプセルを用いるため、精製した遺伝物質(例えば、DNA)をゲルカプセル内に保持することができ、また、外部からの分子の夾雑の可能性を排除することができる。
また、操作面でも非常に簡単な操作で、1単位ごとの大量の膜小胞を並列処理することができる。ゲル化した液滴を含む試験管を遠心し、上清を除去し、洗浄液に置換するというステップを行うことができる。あるいは、ゲル化した液滴をフィルターでろ過し、上清を除去したのち、洗浄液を通液させ、最後にゲルカプセルを回収するというステップでも行うことができる。ゲルカプセルを用いることにより、遺伝物質を保持したまま、残留試薬を希薄化することができる。このステップは繰り返すことも可能である。阻害が出ないレベルにまで試薬を希薄化することで、下流の操作、例えば、増幅反応をスムーズに行うことができる。
溶解試薬が下流の反応の前に十分に除去されると、DNA増幅等の反応が阻害されにくい点で好ましい。ゲルカプセルを用いる場合、ゲルカプセルによって解析又は増幅の対象となる遺伝物質が保持されるため、遺伝物質が少量である膜小胞1つあたりの解析においても溶解試薬の除去を行うことができ、そのため、強力な溶解試薬又は溶解試薬の組合せを用いることが可能である。
そして、強力な溶解試薬又は溶解試薬の組み合せを用いることは、より確実な核酸の増幅、及び、塩基配列の解析を可能にし得る。
ステップS105は、ポリヌクレオチドを増幅試薬に接触させてポリヌクレオチドをゲルカプセル内で増幅させる工程である。増幅試薬に浸漬した後、必要に応じて、ゲルカプセルの温度を調整してもよい。
加熱は、ゲル(例えば、アガロースゲル)が溶解しにくい観点で、60℃以下が好ましい。この範囲内での加熱は、DNAの増幅をより促進する点で好ましい。
増幅に用いる酵素としては、例えば、phi29ポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、Aacポリメラーゼ、及び、リコンビナーゼポリメラーゼが挙げられる。
本方法では、ゲル内の全DNAの増幅を行うために、ランダムプライマーを用いることが好ましい。
ステップS106は、増幅したポリヌクレオチドから、第1塩基配列を決定する工程である。増幅したポリヌクレオチドからその塩基配列を決定する方法としては、ライブラリー調製、シークエンス、及び、アセンブリ等のいずれも市販の試薬キット、装置、及び、アプリケーションソフトウェア等を特に制限なく使用できる。
ステップS107は、得られた第1塩基配列を参照配列に整列させて第1塩基配列が参照配列にマップするかを調べる工程である。
これが、参照配列にマップされる場合(ステップS108:YES)、第1塩基配列が宿主細菌で産生された膜小胞に由来する塩基配列である(膜小胞の内部の塩基配列)と確認される(ステップS109、確認工程)。
ここで、「マップされる」とは、第1塩基配列が、参照配列が有する塩基配列の一部の領域と一致することを意味する。一致とは、配列の90%以上が同一であることを意味し、95%以上が好ましく、99%以上がより好ましく、完全に同一であることが更に好ましい。
一形態として、参照配列は、第1試料のメタゲノム解析によって得られた塩基配列であってもよい。本明細書において、「第1試料のメタゲノム解析」とは、第1試料からDNAを抽出して、網羅的解析法により塩基配列を得る方法を意味する。メタゲノム解析の具体的な方法は、当業者にとって公知である。
本方法は、ゲルカプセル内でポリヌクレオチドを増幅する工程を有している。増幅工程においては、使用するプライマー同士が結合したり、キメラ配列が生成したりして、膜小胞のポリヌクレオチド以外のヌクレオチドが増幅される可能性がある。一方、第1試料をメタゲノム解析する場合、増幅を介さずに配列情報を得るため、これにより得られる配列を参照配列とすれば、この参照配列に第1塩基配列がマップすれば、増幅工程等におけるエラーが生じていないことが確認できる。
他の形態として、第1試料に含まれる膜小胞が単一の細胞株に由来するとき、すなわち、第1試料が、単一の細菌株が産生した膜小胞を精製したものであるとき、参照配列は、その細胞株のゲノム配列であってもよい。その細胞株のゲノム配列が既知であれば、その既知配列が参照配列となる。
また、その単一の細胞株のゲノム配列を解析(例えば、シングルセル解析)して、その配列を参照配列としてもよい。その際の解析法としては特に制限されず、例えば、国際公開2019-216271号に記載の方法等を用いることができる。
参照配列が細菌株のゲノム配列であるとき、第1塩基配列が参照配列にマップされることは、膜小胞がその細菌株に由来することを強く示唆する情報であり、正しく解析が行われたことの目安となる。
本方法は、ゲルカプセル内でポリヌクレオチドを増幅する工程を有している。増幅工程においては、使用するプライマー同士が結合したり、キメラ配列が生成したりして、膜小胞のポリヌクレオチド以外のヌクレオチドが増幅される可能性がある。このようなポリヌクレオチドのコンタミネーションが起こったか否かを、本工程によって確認できる。
すなわち、本工程において、第1塩基配列が参照配列にマップされる場合には、その塩基配列(第1塩基配列)は、各工程においてエラーやコンタミネーションが生じていないことを示すものであり、これによって、第1塩基配列が、上述した宿主細菌に由来することが確認できる。
一方で、第1塩基配列が参照配列にマップされない場合(ステップS108:NO)、上流の各工程において何らかのエラー(例えば、上述した増幅の問題)が生じている可能性が強く示唆されるため、解析を終了し、その第1塩基配列を破棄すればよい。
他の形態として、第1塩基配列に含まれる膜小胞の宿主(由来)が不明、すなわち、解析対象が、複数種の細菌が含まれる検体から精製した膜小胞である場合等は、参照配列は、複数種の細菌のゲノム配列の集合とすればよい。ゲノム配列の集合は、上記の「複数種の細菌」の組成が明らかであれば、「Genbank」等のデータベース等から「複数種の細菌」のそれぞれのゲノム配列を取得し、それをリスト化して用いればよい。
一方、宿主細菌の候補となるべき細菌(上記「複数種の細菌」)の組成、及び/又は、ゲノム配列が未知であれば、後述するように、第2試料の網羅的解析の結果を参照配列としてもよい。その場合、本方法は、第2試料のメタゲノム解析、及び/又は、シングルセル解析を行って参照配列を決定する工程を更に有していてもよい。
例えば、第1試料が、複数種の細菌と膜小胞とを有する懸濁液から分離されたものであり、膜小胞が上記複数種の細菌のいずれかによって産生されたものである場合、言い換えれば、複数種の細菌の中に、宿主細菌が含まれている場合について説明する。
このとき、第1塩基配列が、上記「複数種の細菌」のゲノム配列のリストである参照配列にマップされる場合、第1塩基配列は、マップされたゲノム配列に対応する細菌によって産生されたものと確認できる。また同時に、宿主細菌が、上記「対応する細菌」であると決定できる。
上記参照配列は、上記「複数種の細菌」を含む第2試料の解析から得られた塩基配列でもよいし、「Genbank」等の公共データベースに収録された既知の細菌のゲノム配列のリスト、及び、このゲノム配列から選択して取得されたゲノム配列のリスト等であってもよい。
一方で、第1塩基配列が参照配列に含まれるいずれの配列にもマップされない場合、第1塩基配列は上流工程における何らかのエラーによって生成されたことが強く示唆されるため、その場合、その第1塩基配列を破棄すればよい。
懸濁液に含まれる複数種の細菌から参照配列を得る方法としては、特に制限されないが、一形態として、第2試料を用いて参照配列を得る方法が好ましい。第2試料を用いて参照配列を得るには、例えば、第2試料をメタゲノム解析して参照配列を得る方法、第2試料を16S rRNA解析して、既存のデータベースを用いて第2試料の細菌組成を推定し、その細菌組成から参照配列を推測する方法、及び、第2試料をシングルセル解析して参照配列を得る方法等が挙げられ、増幅工程を経ない観点では、第2試料をメタゲノム解析して参照配列を得る方法が好ましい。
本方法は膜小胞由来のポリヌクレオチドを増幅する工程を有しており、増幅工程を経ない解析方法により得られたゲノム配列にマップすることにより増幅によるエラーをより高感度に検知できるからである。
また、参照配列を得る方法としては、第2試料をメタゲノム解析して得られた配列と、第2試料をシングルセル解析して得られた配列とをマージして参照配列を得る方法であってもよい。シングルセル解析して得られる配列の全体と、メタゲノム解析して得られる配列とを対比して合成することで、互いの結果の不明確な部分が補完されてより解像度の高い参照配列が得られる。
第2試料をメタゲノム解析して得られた配列と、シングルセル解析して得られた配列とをマージする方法としては特に制限されず、従来公知の相同性検索アルゴリズムを使用して、アラインメントすればよい。より具体的には、公知のパラメータにより「FASTA」プログラム等のコンピュータアルゴリズムを利用して、相同性検索を実施すればよい。また、ニードルマン-ウンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズムを用いてもよい。BLAST、又は、ClustalWを用いてもよい。
本方法は、更に、得られた第1塩基配列をクラスタリングして、膜小胞の異種性を確認する工程を有していてもよい。従来、膜小胞のDNAの網羅的解析では、試料に1種の膜小胞が含まれているのか、又は、複数種の膜小胞が含まれているのかを確認するのは困難だった。例えば、ショットガンメタゲノミクス解析で得られた配列から、試料にいくつの膜小胞が含まれるのかを判断することは困難だった。なぜなら、膜小胞のポリヌクレオチドがどれほどの塩基長を有しているか、また、試料に複数の膜小胞が含まれているとして、そもそも何種類の膜小胞が含まれているのか、それぞれの塩基長が同一なのか異なるのか、という事すらも不明な場合が多く、得られた配列のどの部分が個々の膜小胞に対応しているのかを判別するのが困難だからである。
一方、本方法は、あらかじめ膜小胞を1固体ずつ分離し、そのDNAを解析するとともに、増幅等の工程によるエラーを排除するための工程(確認工程)を有しているため、確実に、膜小胞の各々に由来するポリヌクレオチドの塩基配列を得ることができる。そのため、これをクラスタリングすることで、第1試料に含まれる膜小胞の異種性を確認することができる。
膜小胞の異種性を確認することは、従来法では困難であり、本方法により初めて可能になったものである。第1試料中の膜小胞の異種性を確認することは、各々の膜小胞の機能解析、及び、その利用に不可欠である。
従来、OMVをメタゲノミクス解析しようとすると、解析に必要な量のDNAを得るために、大スケールで実験を行う必要があり、理論上は可能であるものの実現には多くの困難があり、実現しなかった。
しかし、本方法を用いれば、従来必要と考えられていたサンプル量の100分の1未満の量で、かつ、正確なOMVの配列を得ることができる。
[方法(2)]
図6は、本発明の方法の第2の実施形態(以下、「本方法」ともいう。)のフローチャートである。以下では、すでに説明した、本発明の方法の第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
すでに説明した本発明の方法の第1の実施形態と本方法との相違点の1つは、ステップS106(増幅したポリヌクレオチドから、第1塩基配列を決定する工程)の後に、ステップS601として、第1塩基配列におけるタンパク質コード領域を検出し、このタンパク質コード領域をクエリー配列とした相同性検索(リファレンスは、後述のデータベースのタンパク質コード配列でよい)によって、上記タンパク質コード領域と相同のタンパク質コード配列を有する細菌を選択し、上記細胞のゲノム配列から参照配列を作成する工程(参照配列作成工程)を有することである。
第1塩基配列におけるタンパク質コード領域の検出方法としては特に制限されず、当業者にとって公知の方法を使用することができる。例えば、ゲノムアノテーションのためのソフトウェアツールである「prokka」(Seemann, Prokka: rapid prokaryotic genome annotation. Bioinformatics, 30, 14, 2014)等を用いると、より容易に行うことができる。
検出されたタンパク質コード領域について、相同性検索を行う方法としては特に制限されないが、典型的には、NCBI(National Center for Biotechnology Information)、及び、EBI(European Bioinformatics Institute)等が提供する公共データベースの全ドメインにわたる生物のタンパク質コード配列をリファレンスとして相同性検索を行う方法が挙げられる。なお、相同性検索には公知のソフトウェアツールを用いることができる。
相同性検索の結果から得られた、相同なタンパク質コード配列をもとに細菌を選択する方法としては、データベース上でマッチングした各タンパク質コード配列情報にタグ付けされている注釈をもとに、対応する細菌を特定する方法が挙げられる。
上記の手順によって選択された細菌のゲノム配列(こちらも上記公共データベースから取得される)が参照配列となる。
このとき、選択された上記「細菌」は、いわば宿主細菌の候補となる細菌であり、複数種が含まれてもよい。その場合、参照配列は、複数の「細菌」のゲノム配列を含むリストとなる。
本方法は、上述のとおり、第1塩基配列のタンパク質コード領域を用いた相同性検索によって宿主細菌の候補となる細菌種を絞って、公共データベースの全体よりも小さなリストである参照配列を作成する工程を有する。
そのため、膜小胞の宿主細菌が不明である場合も、より簡便に参照配列の範囲を絞り込むことができ、後段の、第1塩基配列の参照配列への整列とマップの可否評価をより迅速に、かつ、より確実に行うことができる。
本発明の方法の第1の実施形態と本方法との相違点の2つ目は、ステップS107(得られた第1塩基配列を参照配列に整列させて第1塩基配列が参照配列にマップするかを調べる工程)の後に、これが、参照配列にマップされる場合(ステップS108:YES)、ステップS602として、マップされたゲノム配列を有する細胞を宿主細胞と決定する工程を含むことである。
解析対象の膜小胞が、ヒト又は動物から採取した採取試料から精製される等して、宿主細菌が不明な場合に、参照配列の中に、第1塩基配列がマップされる塩基配列があった場合(すなわち、第1塩基配列が参照配列にマップされた場合)、そのマップされた配列(ゲノム配列)を有する細菌は、その膜小胞の宿主細菌であると強く示唆される。
本方法は、上記工程を有するため、膜小胞がヒト又は動物から採取した採取試料から精製されたものである場合に好ましく適用できる。多くの場合、採取試料中に含まれる細菌種は不明であり、膜小胞の宿主細菌が不明であるからである。本方法によれば、第1塩基配列の確認とともに、宿主細菌の特定もできる。
[装置(1)]
本発明の装置の第1の実施形態は、宿主細胞で産生され、宿主細胞外に放出された膜小胞を1個体ずつ液滴中に封入する液滴作製部と、液滴をゲル化してゲルカプセルを生成するゲル化部と、ゲルカプセルを溶解試薬と接触させる溶解部と、ゲルカプセルから夾雑物質を除去する除去部と、ゲルカプセルを増幅試薬に接触させ、ゲルカプセル内のポリヌクレオチドを増幅する増幅部と、ポリヌクレオチドの配列である第1塩基配列の決定を行う配列決定部と、第1塩基配列を参照配列に整列させて第1塩基配列が参照配列にマップするかを調べる参照部と、第1塩基配列が参照配列にマップされる場合、第1塩基配列を宿主細菌で産生された膜小胞であると確認するための情報を提供する確認部と、を有する装置である。
上記装置について、図面を参照しながら詳述する。図2は、本装置のハードウェア構成図である。
装置200は、プロセッサ201と、記憶デバイス202と、入力デバイス203と、表示デバイス204と、マイクロ流路205と、温調器206と、分注器207(溶解試薬タンク208、及び、増幅試薬タンク209が接続されている)と、遠心分離器210と、シークエンサ211と、フローサイトメータ212と、を有しており、各ハードウェアはバスを介して相互にデータを授受できるよう構成されている。
プロセッサ201は、例えば、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC(application-specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)、及び、GPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)等である。
記憶デバイス202は、各種プログラム、及び、データを一時的に、及び/又は、非一時的に記憶する機能を有し、プロセッサ201の作業エリアを提供する。
記憶デバイス202は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、及び、SSD(Solid State Drive)等である。
入力デバイス203は、測定条件、及び、検体名等の入力を受け付け、また、装置200への指示の入力を受け付けることができる。入力デバイス203は、キーボード、マウス、スキャナ、及び、タッチパネル等でよい。
表示デバイス204は、測定結果、検体名、及び、操作手順等を表示できる。表示デバイス204は、液晶ディスプレイ、及び、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等でよい。
また、表示デバイス204は、入力デバイス203と一体として構成されていてもよい。この場合、表示デバイス204がタッチパネルディスプレイであって、GUI(Graphical User Interface)を提供する形態が挙げられる。
データバスにより相互にデータを通信可能なプロセッサ201、記憶デバイス202、入力デバイス203、及び、表示デバイス204は、典型的にはコンピュータである。
マイクロ流路205は、液滴を作製し、液滴中に膜小胞の1個体ずつを封入することができるデバイスである。
図3は、マイクロ流路205の実施形態を示す模式的な断面図である。マイクロ流路205は、2本の流路が略直交して形成された十字型の流路301から構成されている。図面の上から下方向に延びる流路には、膜小胞303を含む第1試料302が図面上から下に流れており、これと略直交する方向の流路には、図面の左右から中央に向けてオイル304が流れている。
この流路の直径としては特に制限されず、目的に応じて適宜選択されればよいが、一般に、10~60μmが好ましい。
膜小胞303を含む第1試料302は、図面の左右から中央に流れるオイル304により剪断を受け、膜小胞303を含む液滴305となる。
第1試料302中の膜小胞303の含有量を調整することで、液滴305に膜小胞303の1個体が封入されるよう、調整することができ、この場合、膜小胞303が封入されていない液滴306も生成される場合があってもよい。
温調器206は、液滴をゲル化してゲルカプセルを生成することができるデバイスである。液滴に含まれるゲル化剤が低融点の場合、温調器で液滴の温度を低下させることによって液滴からゲルを生成できる。ゲル化の温度としては特に制限されないが、4~10℃が好ましい。
分注器207は溶解試薬タンク208から溶解試薬を取得し、それを各ゲルと接触させることにより、ゲルカプセル内に封入された膜小胞303を溶解させることができるデバイスである。分注器207は具体的には、溶解試薬タンク208から溶解試薬を吸引し、容器(例えば、マイクロチューブ、及び、マイクロプレートの各ウェル)に保持されたゲルカプセルに対して溶解試薬を吐出するための流路、及び、そのためのポンプ、弁等から構成されていてよい。
また、分注器207は、増幅試薬タンク209から増幅試薬を取得し、それを膜小胞303の溶解後の各ゲルカプセルと接触させることにより、ゲルカプセル内のDNA分子を増幅させることもできる。
分注器207は、増幅試薬タンク209から増幅試薬を吸引し、それを吐出するための流路を有している。
また、装置200は溶解試薬タンク208と、増幅試薬タンク209とに加えて更に、図示しない洗浄液タンクを有しており、これが分注器207と流路により接続され、ゲルカプセルに対して洗浄液を吐出できるよう構成されている。
ゲルカプセルを洗浄し、余剰の溶解試薬、及び、増幅試薬等を取り除くことができる。
遠心分離器210は、溶解試薬、増幅試薬、及び、洗浄液をゲルカプセルから取り除くことができる。すなわち、遠心分離器210によってゲルカプセルと液体成分(溶解試薬、増幅試薬、及び、洗浄液)を分離し、ゲルカプセルを取り出すことができる。
フローサイトメータ212は、所定以上に増幅したDNAを保持するゲルカプセルを選別し、収容容器に個別に回収するためのデバイスである。
シークエンサ211は、増幅されたDNAの塩基配列である第1塩基配列を決定する。シークエンサとしては、キャピラリシークエンサ、及び、次世代シークエンサ等が使用できる。
図4は、本装置の機能ブロック図である。装置400は、制御部401、記憶部402、入力部403、表示部404、配列決定部405、確認部406、液滴作製部407、ゲル化部408、溶解部409、除去部410、増幅部411、選択部412、及び、参照部413を有する。
制御部401はプロセッサ201を含んで構成される。制御部401は、各部を制御して、装置200の機能を実現する。
記憶部402は、記憶デバイス202を含んで構成される。記憶部402には予め各部の制御のためのプログラムが記憶され、また、後述する配列決定部405により決定された第1塩基配列等を記憶することができる。記憶部402は、制御部401によって制御され、データを読み出したり、書き込んだりすることができる。
入力部403は入力デバイス203を含んで構成される。また、表示部404は、表示デバイス204を含んで構成される。制御部401がこれらを制御することで、装置200の使用者からの入力を受け付けて、これを記憶部402に記憶させたり、記憶部402に記憶された配列情報を装置200の使用者に対して表示したりできる。
配列決定部405はシークエンサ211を含んで構成され、記憶部402に記憶されたプログラムを制御部401が実行し、シークエンサ211が制御されて実現される機能である。ゲルカプセル内で増幅された膜小胞に由来するポリヌクレオチドの塩基配列である第1塩基配列が配列決定部405により決定される。
確認部406は、記憶部402に記憶されたプログラムを制御部401が実行して実現される機能である。確認部406は、後述する参照部413によって参照配列に整列された第1塩基配列が参照配列にマップされる場合、第1塩基配列が宿主細菌で産生された膜小胞に由来する塩基配列だと確認するための情報を提供する。提供された情報は、制御部401により制御された表示部404に表示される。
液滴作製部407は、マイクロ流路205を含んで構成され、記憶部402に記憶されたプログラムを制御部401が実行し、マイクロ流路205が制御されて実現される機能である。液滴作製部407は第1試料に含まれる膜小胞の1個体ずつを液滴中に封入する。
ゲル化部408は、温調器206を含んで構成され、記憶部402に記憶されたプログラムを制御部401が実行し、温調器206が制御されて実現される機能である。ゲル化部408は、液滴作製部407により作製された液滴の温度を下げて、ゲル化させ、ゲルカプセルを生成する。
溶解部409は、溶解試薬タンク208に接続された分注器207を含んで構成され、記憶部402に記憶されたプログラムを制御部401が実行し、分注器207が制御されて実現される機能である。溶解部409は、ゲル化部408により生成されたゲルカプセルに対して、溶解試薬タンク208に収容されている溶解試薬を接触させ、ゲルカプセル内の膜小胞を溶解させる。
除去部410は、遠心分離器210を含んで構成され、記憶部402に記憶されたプログラムを制御部401が実行し、遠心分離器210が制御されて実現される機能である。除去部410は、ゲルカプセル、余剰の溶解試薬(又は後述する余剰の増幅試薬タンク)、及び、これらの反応により生じた夾雑物質を含む分散液から、ゲルカプセルを分離し、精製する。
増幅部411は、増幅試薬タンク209に接続された分注器207を含んで構成され、記憶部402に記憶されたプログラムを制御部401が実行し、分注器207が制御されて実現される機能である。増幅部411は、除去部410により精製されたゲルカプセルに増幅試薬を吐出し、ゲルカプセル内で膜小胞に由来するポリヌクレオチドを増幅する。
選択部412は、フローサイトメータ212を含んで構成され、記憶部402に記憶されたプログラムを制御部401が実行し、フローサイトメータ212が制御された実現される機能である。選択部412は、増幅部411により、所定以上に増幅されたポリヌクレオチドを保持するゲルカプセルを選別し、収容容器に個別に回収する。
参照部413は、記憶部402に記憶されたプログラムを制御部401が実行して実現される機能である。参照部413は、第1塩基配列を参照配列に整列させて、第1塩基配列が参照配列にマップするかを調べる。
図5は、本装置の制御部401の動作を示すフローチャートである。
ステップS501において、制御部401は液滴作製部407を制御して、細菌が産生し、菌体外に放出した膜小胞を含む第1試料から、膜小胞の1個体ずつを液滴中に封入させる。
ステップS502において、制御部401は、ゲル化部408を制御して、液滴の温度を低下させ、液滴をゲル化させてゲルカプセルを生成する。液滴の温度を低下させる方法としては、ゲル化部408を構成する温調器206の出力を記憶部402に記憶されたプログラムに基づいて制御する方法が挙げられる。
ステップS503において、制御部401は溶解部409を制御して、ゲルカプセルを溶解試薬と接触させる。膜小胞の1個体ずつが封入されたゲルカプセルは、ゲル化部408によって溶媒とともに容器に収容されており、この容器に溶解試薬が吐出される。これにより、ゲルカプセルに封入された膜小胞が溶解し、DNAがゲルカプセル内で溶出する。
ステップS504において、制御部401は除去部410を制御して、余剰の溶解試薬、及び、ゲルカプセルと溶解試薬との反応により生じた夾雑物質を除去する。具体的には、容器に収容されたゲルカプセル、溶解試薬、及び、夾雑物質から、遠心分離器210によって、ゲルカプセルを分離する。
ステップS505において、制御部401は増幅部411を制御して、精製されたゲルカプセルと増幅試薬とを接触させる。ゲルカプセル内には、膜小胞に由来するDNAが封入されており、これが増幅される。具体的には、増幅試薬タンク209から吸引された増幅試薬が分注器207により吐出され、ゲルカプセルと接触されることで、DNAが増幅される。
ステップS506において、制御部401は配列決定部405を制御して、ポリヌクレオチドの塩基配列である、第1塩基配列を決定する。具体的には、シークエンサ211によって、第1塩基配列が決定される。
なお、ステップS505とステップS506の間に、制御部401によって制御された選択部412によって、所定以上の増幅されたDNAを有するゲルカプセルを選択する工程を経てもよい。この工程により、ステップS501において膜小胞を含まずに生成された液滴をステップS506の測定対象から除外することができるため、装置の時間当たりの処理能力が向上することがある。
ステップS507において、制御部401は、参照部413を制御して、第1塩基配列を参照配列に整列させて第1塩基配列が参照配列にマップされるかを調べる。
第1塩基配列が参照配列にマップされる場合(ステップS508:YES)、制御部401は、確認部406を制御して、第1塩基配列が細菌で産生された膜小胞に由来する塩基配列であると確認するための情報を提供する。この情報は、制御部401により制御された表示部404に表示される。
一方、第1塩基配列が参照配列にマップされない場合(ステップS508:NO)、確認部406は、第1塩基配列には何らかのエラー(例えば、増幅のエラー)が含まれると判断するための情報を提供してもよい。この場合、制御部401は、表示部404を制御して、その情報を表示部404に表示させてもよい。
本装置は、膜小胞の1個体ずつを封入したゲルカプセル内でポリヌクレオチド(典型的にはDNA)を増幅し、更に、それを参照配列に整列し、マップした場合にそのDNAが細菌によって産生された膜小胞に由来すると確認するための情報を提供する。そのため、例えば、DNAをPhi29 DNA polymeraseを用いてDNA増幅した場合にバイアスが生じたとしても、得られた塩基配列を参照配列に整列し、マップした場合に膜小胞由来と判断するため、より正確に膜小胞に由来する塩基配列を解析することができる。
[装置(2)]
本発明の装置の第2の実施形態は、すでに説明した本発明の装置の第1の実施形態が有する、液滴作製部と、ゲル化部と、溶解部と、除去部と、増幅部と、配列決定部と、整列部と、参照部とを有し、更に、宿主決定部と、参照配列作成部とを含む装置である。
本実施形態は、宿主決定部と参照配列作成部を有すること以外は第1の実施形態と同様なので、以下では相違点についてのみ説明する。
図7は、本装置の機能ブロック図である。
装置700は、制御部401、記憶部402、入力部403、表示部404、配列決定部405、確認部406、液滴作製部407、ゲル化部408、溶解部409、除去部410、増幅部411、選択部412、参照部413、参照配列作成部701、及び、宿主決定部702を有する。
参照配列作成部701は、記憶部402に記憶されたプログラムを制御部401が実行して実現される機能である。参照配列作成部701は、配列決定部405によって決定された第1塩基配列のタンパク質コード領域を検出し、このタンパク質コード領域をクエリー配列としたこの相同性検索の結果から、相同のタンパク質コード配列を有する細菌を選択し、この細菌のゲノム配列から参照配列を作成する。
宿主決定部702は、記憶部402に記憶されたプログラムを制御部401が実行して実現される機能である。宿主決定部702は、第1塩基配列が参照配列にマップされる場合、マップされたゲノム配列を有する細菌を宿主細菌と決定する。
図8は、本装置の制御部401の動作を示すフローチャートである。以下では、本発明の装置の第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ステップS801において、制御部401は、参照配列作成部701を制御して、第1塩基配列のタンパク質コードを検出し、公共データベース等に収録されたゲノム配列が既知の細菌のタンパク質コード配列と相同性検索を行う。その結果、相同のタンパク質コード配列を有する細菌を選択し、その細菌のゲノム配列から参照配列を作成させる。
ステップS802において、制御部401は、宿主決定部702を制御して、マップされた塩基配列を有する細菌を細菌と決定する。
また、本装置は、ステップS509において、表示部に、上記宿主細胞(細菌)の情報を併せて表示してもよい。
本装置は、膜小胞がヒト又は動物から採取した採取試料から精製されたものである場合に好ましく適用できる。多くの場合、採取試料中に含まれる細胞(細菌)種は不明であり、膜小胞の宿主細胞(細菌)は不明であるからである。
本装置は、膜小胞のより高品質な塩基配列を得られるうえ、その膜小胞の宿主細胞(細菌)の情報も併せて提供することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(単一細胞株に由来する膜小胞を含む検体の準備)
ストレプトコッカス ミュータンス(以下「SM」:Streptococcus mutans NG8)、カプノサイトファーガ・オクラセア(以下、「CO」:Capnocytophaga ochracea DSM 7271)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(以下、「PG」:Porphyromonas gingivalis W83)、及び、シュードモナス エルギノーザ(以下、「PAO1」:Pseudomonas aeruginosa PAO1)を細菌株として用いて、それらをDSMZ培地又はGifu培地を用いて37℃で培養した。
始めに、細菌株と培地とを入れたバイアル瓶に、20分間N/CO(80:20v/v)混合ガスを充填し、嫌気条件とした。
その後、培養液の光学濃度(OD600)が1.0に到達するまで培養を行なった。培養後、細菌株の培養液を7800rpm、4℃で10分間遠心分離した。
膜小胞はこの上清に含まれるため、以下の方法で精製した。
まず、上清を0.22μmのフィルターに通して細胞の残骸を除去し、ろ過した上澄み液を得た。
次に、ろ過した上澄み液を126,000×g、4℃で2時間超遠心した。超遠心分離後、上清を除去し、ペレット状になった膜小胞を再度懸濁し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に入れて4℃で保存した。
更に、膜小胞の精製は、ヨードキサノール(OptiPrep)密度勾配を用いて行った。60%ヨードキサノール原液をPBSで35%、30%、25%、20%、15%、10%に希釈した。保存していた膜小胞を含む懸濁液を、4℃で140,000×g、2時間超遠心した。
得られたペレットを35%ヨードキサノール溶液に再懸濁した。準備した6つのヨードキサノール溶液を密度の低い順に超遠心チューブに充填した。この際、膜小胞を含む35%の懸濁液が一番下に、10%の溶液が一番上になるように7mL超遠心チューブに入れた。このチューブを、スイングローターを用いて140,000×g、4℃で16時間超遠心分離した。超遠心後、各層から1mLの画分を採取し、それぞれ別々のエッペンドルフチューブに入れて保存した。得られた各画分中に含まれる粒子の大きさと数を、ナノ粒子トラッキング装置を用いて測定し、直径100~200nm程度の粒子を最も多く含む画分を「膜小胞が濃縮されている画分」であるとし、更なる解析に用いた。
(シングルセル解析)
国際公開2019-216271号を参考に各膜小胞ごとに得た、膜小胞由来DNA断片を次世代シークエンサにより解析し、ショートリードの塩基配列を得た。
これらのショートリード塩基配列(150 bp程度)の中でシークエンスのクオリティが低い配列を、「fastp」を用いて除去した。その後、「SPAdes」を用いて、これらのショートリード配列を結合(assembly)させ、数k~数十kbp程度のコンティグ(contig)と呼ばれる長い塩基配列を作成した。これらのより長く再構成された塩基配列を用いて、データベース上の参照配列に対する相同性検索を行なった。
なお、「fastp」については、Chen et al., fastp: an ultra-fast all-in-one FASTQ preprocessor. Bioinformatics 34,17,2018に記載され、「SPAdes」についてはBankevic et al., SPAdes: A New Genome Assembly Algorithm and Its Applications to Single-Cell Sequencing. J.Comput.Biol.,19,5,2012に記載されている。
(参照配列とのマップ)
シングルセル解析で得られた各膜小胞に由来する塩基配列を、k-merを指標として、NCBI(National Center for Biotechnology Information)にリファレンスゲノム配列として登録されている全ての生物のゲノム配列から生成されたk-merプロファイルとの間で、最も相同性の高い参照配列を、「BBSketch」(U.S. Department of Energy (DOE) Joint Genome Institute (JGI)が提供する次世代シークエンサ向け解析ツール)を用いて探索した。その結果、それぞれの宿主細菌株が属する種のレベルにおいて高い割合で一致した。
図9は上記の結果である。
図9のグラフは、横軸が宿主細菌の種類を表している。縦軸は、正しい宿主細菌由来と判定された膜小胞の割合を百分率(%)で示したものである。
各宿主細菌から取得された96個の膜小胞粒子について解析した結果、PAO1、SM、CO、及び、PGから取得された膜小胞粒子のコンティグは、95%以上の割合で正しい宿主(すなわち、PAO1、SM、CO、及び、PG)にマップされた。特に、PAO1、SM、COについては、ほぼ100%正しくマップされた。
[実施例2]
(唾液由来の膜小胞を含む検体の準備)
唾液採取キットを用いて、歯周病患者の唾液を採取した。採取した唾液を0.22μmのフィルターに通して細胞の残骸を除去し、ろ過した上澄み液から、実施例1と同様の手順によって、膜小胞を精製した。その結果得られた192個の膜小胞粒子について、実施例1と同様の手順によってシングルセル解析を行った。
(参照配列とのマップ)
検出された塩基配列の情報を基に、各膜小胞内部の塩基配列が由来する細菌の分類群を特定した。
具体的には、各膜小胞内部の塩基配列のうちタンパク質コード領域(CDS)をゲノムアノテーションのためのソフトウェアツールである「prokka」を用いて予測・検出し、それらの塩基配列の一つ一つに対し、NCBIに登録されている全ドメインにわたる生物のタンパク質コード配列(nr)との相同性検索を行なった。
相同性検索には、シーケンスアライナー(sequence aligner)ソフトウェアツールである「diamond」(Buchfunk et al., Sensitive protein alignments at tree-of-life scale using DIAMOND, Nat. Methods., 18, 2021)を使用した。
データベース上でマッチした各タンパク質コード配列情報にタグ付けされている系統群情報を、taxonkit(Shen and Ren, TaxonKit: A practical and efficient NCBI taxonomy toolkit, J. Genetics and Genomics., 2021)とentrez-direct(Kans, Entrez Direct: E-utilities on the Unix(登録商標) Command Line, 2021)の二つのツールを組み合わせたパイプラインによって抽出し、各CDSが由来する細菌の分類群の特定を行なった。
次に、膜小胞内部の塩基配列の出自を相同性検索によって明らかにした上で、出現頻度が高かった細菌株をリストアップした。それらの候補となる細菌株のゲノム配列に対し、膜小胞内部の塩基配列をbowtie2(Langmead and Salzberg, Fast gapped-read alignment with Bowtie 2, Nat, Methods, 9, 4, 2012)を使ってアラインメントさせ、最もアラインメントできた塩基配列(リード)の割合が高かった細菌株を、その膜小胞の宿主細菌株とした。
図10は上記の結果であり、各細菌株を綱レベルで分け、192個の膜小胞の内部の塩基配列をマップした結果(頻度)を表すヒートマップである。各膜小胞が、参照配列にマップされ、かつ、その宿主細菌(網)が特定されていることがわかる。
200 :装置
201 :プロセッサ
202 :記憶デバイス
203 :入力デバイス
204 :表示デバイス
205 :マイクロ流路
206 :温調器
207 :分注器
208 :溶解試薬タンク
209 :増幅試薬タンク
210 :遠心分離器
211 :シークエンサ
212 :フローサイトメータ
301 :流路
302 :第1試料
303 :膜小胞
304 :オイル
305 :液滴
306 :液滴
401 :制御部
402 :記憶部
403 :入力部
404 :表示部
405 :配列決定部
406 :確認部
407 :液滴作製部
408 :ゲル化部
409 :溶解部
410 :除去部
411 :増幅部
412 :選択部
413 :参照部

Claims (20)

  1. 宿主細菌と、前記宿主細菌で産生され、前記宿主細菌外に放出された膜小胞と、を含む懸濁液から、前記宿主細菌と前記膜小胞とを分離し、前記膜小胞を含む第1試料を得ることと、
    前記第1試料を用い、前記膜小胞の1個体ずつを液滴中に封入することと、
    前記液滴をゲル化してゲルカプセルを生成することと、
    前記ゲルカプセルを溶解試薬と接触させて、前記膜小胞を溶解させ、前記膜小胞中のポリヌクレオチドが前記ゲルカプセルに溶出し、前記ゲルカプセル内に保持させることと、
    前記ポリヌクレオチドを増幅試薬に接触させて、前記ポリヌクレオチドを前記ゲルカプセル内で増幅することと、
    前記増幅したポリヌクレオチドから、前記ポリヌクレオチドの塩基配列である第1塩基配列を決定することと、
    前記第1塩基配列を参照配列に整列させて前記第1塩基配列が前記参照配列にマップするかを調べることと、
    前記第1塩基配列が前記参照配列にマップされる場合、前記第1塩基配列が、前記宿主細菌で産生された膜小胞に由来する塩基配列であると確認することと、
    を含む、方法。
  2. 前記第1塩基配列を前記参照配列に整列させたとき、前記第1塩基配列が、前記参照配列が有する塩基配列の一部の領域と90%以上同一である場合、前記第1塩基配列が前記参照配列にマップされると判断する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記参照配列が、前記第1試料のメタゲノム解析によって得られた塩基配列である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記参照配列が、前記宿主細菌のゲノム配列である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記参照配列が、ゲノム配列が既知の細胞の前記ゲノム配列の集合であり、
    前記第1塩基配列が前記参照配列にマップされる場合、
    前記マップされたゲノム配列を有する前記細胞を前記宿主細菌と決定することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
  6. 前記第1塩基配列を決定した後、前記第1塩基配列におけるタンパク質コード領域を検出し、前記タンパク質コード領域をクエリー配列とした相同性検索によって、前記タンパク質コード領域と相同のタンパク質コード配列を有する前記細胞を選択し、前記細胞のゲノム配列から前記参照配列を作成することを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 更に、前記第1試料を核酸分解酵素で処理することを含む請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記懸濁液から、前記宿主細菌と前記膜小胞とを分離させ、前記膜小胞を含む前記第1試料と、前記宿主細菌を含む第2試料とを得ることと、を含む請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 更に、前記第2試料を用いて、前記参照配列を得ることと、を含む請求項8に記載の方法。
  10. 前記参照配列を得ることが、前記第2試料をメタゲノム解析して、得られる塩基配列を前記参照配列とすることである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記参照配列を得ることが、前記第2試料を16S rRNA解析して、前記第2試料の細菌組成を推定し、前記細菌組成の塩基配列を前記参照配列とすることである、請求項9に記載の方法。
  12. 前記参照配列を得ることが、前記第2試料をシングルセル解析して、得られる塩基配列を前記参照配列とすることである、請求項9に記載の方法。
  13. 前記参照配列を得ることが、前記第2試料をメタゲノム解析して得られた塩基配列と、前記第2試料をシングルセル解析して得られた塩基配列とをマージして前記参照配列とすることである、請求項9に記載の方法。
  14. 前記懸濁液が、ヒト又は動物から採取した、糞便、唾液、喀痰、手術洗浄液、血液、並びに、皮膚又は身体粘膜の拭い液、及び、スワブからなる群より選択される少なくとも1種の採取試料である、請求項8~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記宿主細菌が、ポルフィロモナス属、プレボテラ属、ベイヨネラ属、フソバクテリウム属、パルビモナス属、アグリゲイティバクター属、アクチノマイセス属、アクチノバチルス属、バクテロイデス属、タンネレラ属、トレポネーマ属、カンピロバクター属、エイケネラ属、ストレプトコッカス属、及び、カプノサイトファーガ属からなる群より選択される少なくとも1種の細菌である、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 更に、前記第1塩基配列をクラスタリングして、前記膜小胞の異種性を確認すること、を含む請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 宿主細菌と、前記宿主細菌で産生され、前記宿主細菌外に放出された膜小胞とを含む懸濁液から、前記宿主細菌と前記膜小胞とを分離して得られた、前記膜小胞を含む第1試料を用いて、前記第1試料中の前記膜小胞の1個体ずつを液滴中に封入する液滴作製部と、
    前記液滴をゲル化してゲルカプセルを生成するゲル化部と、
    前記ゲルカプセルを溶解試薬と接触させる溶解部と、
    前記ゲルカプセルから夾雑物質を除去する除去部と、
    前記ゲルカプセルを増幅試薬に接触させ、ゲルカプセル内のポリヌクレオチドを増幅する増幅部と、
    前記ポリヌクレオチドの配列である第1塩基配列の決定を行う配列決定部と、
    前記第1塩基配列を参照配列に整列させて前記第1塩基配列が前記参照配列にマップするかを調べる参照部と、
    前記第1塩基配列が前記参照配列にマップされる場合、前記第1塩基配列が、前記宿主細菌で産生された膜小胞に由来する塩基配列であると確認するための情報を提供する確認部と、
    前記液滴作製部、前記ゲル化部、前記溶解部、前記除去部、前記増幅部、前記配列決定部、前記参照部、及び前記確認部を制御するように構成された制御部と、
    を有する装置。
  18. 前記制御部は、前記参照部を制御して、前記第1塩基配列を前記参照配列に整列させたとき、前記第1塩基配列が、前記参照配列が有する塩基配列の一部の領域と90%以上同一である場合、前記第1塩基配列が前記参照配列にマップされると判断するように構成される、請求項17に記載の装置。
  19. 宿主細菌と、前記宿主細菌で産生され、前記宿主細菌外に放出された膜小胞とを含む懸濁液から、前記宿主細菌と前記膜小胞とを分離して得られた、前記膜小胞を含む第1試料を用いて、前記第1試料中の前記膜小胞の1個体ずつを液滴中に封入する液滴作製部と、前記液滴をゲル化してゲルカプセルを生成するゲル化部と、前記ゲルカプセルを溶解試薬と接触させる溶解部と、前記ゲルカプセルから夾雑物質を除去する除去部と、前記ゲルカプセルを増幅試薬に接触させ、ゲルカプセル内のポリヌクレオチドを増幅する増幅部と、を有する装置に、コンピュータにより、
    前記第1試料を用い、前記膜小胞の1個体ずつを液滴中に封入する手順と、
    前記液滴をゲル化してゲルカプセルを生成する手順と、
    前記ゲルカプセルを溶解試薬と接触させて、前記膜小胞を溶解させ、前記膜小胞中のポリヌクレオチドが前記ゲルカプセルに溶出し、前記ゲルカプセル内に保持させる手順と、
    前記増幅したポリヌクレオチドから、前記ポリヌクレオチドの塩基配列である第1塩基配列を決定する手順と、
    前記第1塩基配列を参照配列に整列させて前記第1塩基配列が前記参照配列にマップするかを調べる手順と、
    前記第1塩基配列が前記参照配列にマップされる場合、前記第1塩基配列が、前記宿主細菌で産生された膜小胞に由来する塩基配列であると確認する手順と、を実行させるプログラム。
  20. 前記第1塩基配列が前記参照配列にマップするかを調べる手順において、
    前記第1塩基配列を前記参照配列に整列させたとき、前記第1塩基配列が、前記参照配列が有する塩基配列の一部の領域と90%以上同一である場合に、前記第1塩基配列が前記参照配列にマップされると判断する、請求項19に記載のプログラム。
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