以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電圧調整装置の構成例を示すブロック図である。電圧調整装置(SVR=Step Voltage Regulator)100aは、一次側の三相の配電線11及び二次側の三相の配電線12の交流電圧を相互に変圧するタップ付きの三相の変圧器2aと、変圧器2aが有するタップを切り換えるタップ切換器3aと、タップ切換器3aにタップの切換指令を与える制御部4aとを備える。以下では、特に断りがない限り、配電線11の上流に変電所等の電気所10が接続されており、電圧調整装置100aが配電線12の交流電圧(以下、単に電圧とも言う)を調整するものとして説明する。
制御部4aは、機器全体を制御するCPU(Central Processing Unit )41を備え、CPU41は、制御プログラム等の情報を記憶するROM(Read Only Memory )42、一時的に発生した情報を記憶するRAM(Random Access Memory )43及び経過時間等を計時するタイマ44と互いにバス接続されている。制御部4aが、CPUを有するマイクロコンピュータを含んで構成されていてもよい。CPU41又はマイクロコンピュータは、予め処理手順を定めたコンピュータプログラムを実行するように構成されていてもよい。
CPU41には、また、電圧検出部47及び電圧検出部48のそれぞれから配電線11及び配電線12の電圧を取得すると共に、電流検出部49から配電線12の電流を取得するための入力部45と、タップ切換器3aに切換指令を与えるための出力部46とがバス接続されている。電圧検出部47,48及び電流検出部49が制御部4aに含まれていてもよい。
電圧検出部47は、電圧を降圧する計測用変圧器PT1を介して配電線11の電圧(以下、一次電圧とも言う)を検出し、検出した電圧を入力部45に与える。電圧検出部48は、計測用変圧器PT2を介して配電線12の電圧(以下、二次電圧とも言う)を検出し、検出した電圧を入力部45に与える。
電流検出部49は、変流器CT2を介して配電線12に流れる電流(以下、二次電流とも言う)を検出し、検出した電流を入力部45に与える。変流器CT2は配電線11に結合されていてもよい。なお、変流器CT2及び電流検出部49は、本実施形態1では用いず、後述する実施形態2及び3で用いる。
制御部4aは、タップ切換器3aにタップの切換指令を与える切換指令部の機能を、入力部45、出力部46及びCPU41のソフトウェア処理によって実現する。制御部4a、タップ切換器3a及び変圧器2aが、配電線11又は12の電圧を調整する電圧調整装置100aに相当する。
上述の通り構成された電圧調整装置100aの制御部4aは、電圧検出部47,48から配電線11,12の電圧を、例えば交流電圧の半周期毎に取得する。更に、制御部4aは、取得して計測した電圧に基づいて上述の切換指令部により切換指令を発令する。タップ切換器3aは、発令された切換指令に応じたタップ位置にタップ切換する。タップ切換中に2つのタップが橋絡された時に流れる循環電流は、不図示の限流抵抗器によって制限される。
切換指令部は、例えば、電圧検出部48によって計測した二次電圧が、動作時限を越えて不感帯領域を逸脱した場合に、タップの切換指令を発令する。具体的に、切換指令部は、二次電圧が不感帯領域の上限値より高い状態が動作時限以上継続した場合、配電線12の電圧を下げるべく切換指令を発令する。また、切換指令部は、二次電圧が不感帯領域の下限値より低い状態が動作時限以上継続した場合、配電線12の電圧を上げるべく切換指令を発令する。
さて、電力系統にあっては、機器、送電線等の運転停止や、電力需給の季節的変化に対応する潮流是正等のために、系統接続の変更が行われることがある。このような系統切替により、電圧調整装置100aから見た電気所10の接続方向が、例えば一次側から二次側に切り替わった場合、電圧調整装置100aは、電気所10の接続方向を適時判定して、一次側の配電線11の電圧を調整するようにしなければならない。ここでは、電気所10の接続方向が一次側である場合を順送電、二次側である場合を逆送電と言う。
通常、順送電の場合は、一次側の配電線11から二次側の配電線12に向けて電力が通過する順潮流となり、逆送電の場合は、二次側の配電線12から一次側の配電線11に向けて電力が通過する逆潮流となる。即ち、電気所10の接続方向とは逆方向に向けて電力が流れる。一方、PVシステム等の分散型電源から配電線12又は11に供給される電力が増大した場合、電気所10の接続方向に向けて電力が流れることがある。この場合は、順送電でありながら逆潮流となったり、逆送電でありながら順潮流となったりする。
以上のことから、順潮流であるか逆潮流であるかによって、即ち潮流方向によって電気所10の接続方向を判定することは適当ではないと言える。そこで、従来、タップ切換時を含む第1期間に一次電圧及び二次電圧を計測して各電圧の変化量を算出し、変化量が小さい方の側に電気所10が接続されていると判定する方法が採用されている。但し、配電線11,12には、タップ切換に伴う電圧変動とは別の電圧変動が常時発生しているため、例えば配電線11,12の電圧を平均化するか、又は上記変化量の比較を複数回行うことによって、誤判定を防ぐ必要がある。
本実施形態1では、第1判定として、一次電圧及び二次電圧について、タップ切換時より前の第1時間内の平均値及びタップ切換時より後の第1時間内の平均値からそれぞれの変化量を算出し、算出した変化量を比較して電気所10の接続方向を判定する。タップ切換時より前の第1時間とタップ切換時より後の第1時間とを含む期間が第1期間に相当する(後述する図4参照)。
具体的に、制御部4aは、一次電圧及び二次電圧それぞれを一定周期で計測してリングバッファB1a及びB2aに書き込むと共に、リングバッファB1a及びB2aそれぞれの内容の第1時間内の移動平均を算出してリングバッファB1b及びB2bに書き込む。リングバッファB1a及びB2aとリングバッファB1b及びB2bとは、RAM43にそれぞれの領域が確保されており、最新の書き込み時点から時間的に遡ってデータの読み出しができるようになっている。
制御部4aは、また、タップの切換指令を発令した時に、タップ切換時より前の一次電圧及び二次電圧それぞれの平均値をリングバッファB1b及びB2bから読み出しておく。制御部4aは、タップ切換時から第1時間の経過後に一次電圧及び二次電圧の平均値をリングバッファB1b及びB2bから読み出し、タップ切換時より前の一次電圧及び二次電圧それぞれの平均値との差分を算出して、一次電圧及び二次電圧の変化量とする。第1判定は、一次電圧及び二次電圧の変化量を比較して実行され、判定結果は電気所10の接続方向として記憶される。
以下では、上述した制御部4aの動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、ROM42に予め格納された制御プログラムに従ってCPU41により実行される。図2は、実施形態1に係る電圧調整装置100aで移動平均を算出するCPU41の処理手順を示すフローチャートである。図3は、実施形態1に係る電圧調整装置100aで第1判定を実行するCPU41の処理手順を示すフローチャートである。図2の処理は、例えば交流電圧の半周期毎に起動されるが、これに限定されるものではない。図3の処理は、電圧調整装置100aの運用中に適時起動される。
図2の処理が起動された場合、制御部4aのCPU41は、電圧検出部47から配電線11の電圧、即ち一次電圧を取得して計測し(S11:第1計測部に相当)、計測した一次電圧をリングバッファB1aに書き込む(S12)。同様に、CPU41は、電圧検出部48から配電線12の電圧、即ち二次電圧を取得して計測し(S13:第2計測部に相当)、計測した二次電圧をリングバッファB2aに書き込む(S14)。
その後、CPU41は、リングバッファB1aに書き込まれた最新の第1時間内の一次電圧について移動平均を算出し(S15)、算出した平均値をリングバッファB1bに書き込む(S16)。同様に、CPU41は、リングバッファB2aに書き込まれた最新の第1時間内の二次電圧について移動平均を算出し(S17)、算出した平均値をリングバッファB2bに書き込む(S18)。
その後更に、CPU41は、リングバッファB1aに書き込まれた最新の第2時間内の一次電圧について移動平均を算出し(S19:第1算出部に相当)、算出した平均値をリングバッファB1cに書き込む(S20)。同様に、CPU41は、リングバッファB2aに書き込まれた最新の第2時間内の二次電圧について移動平均を算出し(S21:第2算出部に相当)、算出した平均値をリングバッファB2cに書き込んで(S22)図2の処理を終了する。
なお、第2時間は第1時間より長い時間である。リングバッファB1c及びB2cは、リングバッファB1b及びB2bと同様に、RAM43にそれぞれの領域が確保されている。ステップS19からS22の処理は、後述する第2判定に係る処理にて参照される平均値を算出するものである。
次に、図3の処理が起動された場合、CPU41は、タップの切換指令を発令したか否かを判定し(S41)、発令していない場合(S41:NO)、発令するまで待機する。切換指令を発令した場合(S41:YES)、CPU41は、第1判定中であることを示すフラグを1にセットする(S42)。
その後、CPU41は、リングバッファB1bからタップ切換時より前の第1時間内の一次電圧の平均値を読み出し(S43)、更にリングバッファB2bからタップ切換時より前の第1時間内の二次電圧の平均値を読み出す(S44)。次いで、CPU41は、第1時間だけ待機する(S45)。この間に、リングバッファB1b及びB2bそれぞれには、タップ切換時より後の第1時間内の一次電圧及び二次電圧の平均値が書き込まれる。
第1時間の待機後、CPU41は、リングバッファB1bからタップ切換時より後の第1時間内の一次電圧の平均値を読み出し(S46)、更にリングバッファB2bからタップ切換時より後の第1時間内の二次電圧の平均値を読み出す(S47)。次いで、CPU41は、タップ切換時より前の一次電圧の平均値とタップ切換時より後の一次電圧の平均値との差分を一次電圧の変化量として算出する(S48)。同様に、CPU41は、タップ切換時より前の二次電圧の平均値とタップ切換時より後の二次電圧の平均値との差分を二次電圧の変化量として算出する(S49)。
その後、CPU41は、一次電圧の変化量と二次電圧の変化量とを比較して、電気所10の接続方向を判定する(S50:第1判定部に相当)。具体的には、変化量の絶対値が小さい側に電気所10が接続されているものとする。次いで、CPU41は、判定した電気所10の接続方向をRAM43に記憶し(S51)、第1判定中であることを示すフラグを0にクリアして(S52)図3の処理を終了する。
図2及び図3に示す第1判定にあっては、タップ切換時より前の第1時間内及びタップ切換時より後の第1時間内にて一次電圧及び二次電圧の平均値を算出したが、これに限定されるものではない。例えば、タップ切換時より前と後とで上記平均値を算出する時間の長さを変えてもよいし、平均値に代えて、タップ切換時の前後第1時間内に取得した一次電圧及び二次電圧をそのまま用いてもよい。
また、タップ切換時の前後における上記平均値の変化量を比較判定する方法によらずに、例えばタップ切換中(例えば不図示の限流抵抗器がタップ間に接続されている期間)に周期的に取得した一次電圧及び二次電圧それぞれの変化量の絶対値を積算し、それぞれの積算値を比較判定する方法によってもよい。更に、例えば、タップ切換開始時より前とタップ切換中及びタップ切換完了時より後とについて一次電圧及び二次電圧それぞれの変化量を各別に複数回算出し、各複数回の比較判定結果が、タップ切換中とタップ切換完了時より後とで一致することを確認する方法によってもよい。
上述のとおり、第1判定を実行する方法としていくつかの方法が考えられるが、何れの方法を採用した場合であっても、配電線12上の他の電圧調整機器による電圧調整の影響を受けることによって誤判定が生じる可能性がある。そこで、本実施形態1では、特定の場合に第1判定とは別に第2判定を実行し、第2判定を実施した場合は、第1判定の結果と第2判定の結果とが一致したときにのみ電気所10の接続方向の判定を有効とする。
第2判定を実行するのは、前回のタップ切換から一定時間以上経過する前に次のタップ切換が発生した場合、且つタップ切換の方向が前回と同一の場合とする。これは、自装置が他の電圧調整機器による電圧調整の影響を受けた場合に、切換の方向が同一のタップ切換が比較的短時間内に連続して発生することが多いからである。
図2及び図3に示す第1判定の場合、従来、第1時間は高々5秒程度に設定され、第1期間の長さは高々10秒程度に設定される。このような短期間内に行われる判定と対比される判定とすべく、第2判定では第1時間より十分に長い第2時間にわたって一次電圧及び二次電圧の統計値を算出し、それぞれの統計値の変化量を比較して電気所10の接続方向を判定する。第2時間は、例えば1分であり、1分より長い時間であってもよい。ここでは、統計値として移動平均による平均値を算出するが、中央値、最頻値等の他の統計値を算出してもよい。
図4は、第1判定及び第2判定の対象期間を模式的に示す説明図である。図中の横軸は時間軸であり、時刻t0にてタップ切換が発生するものとする。第1判定の対象期間である第1期間には、例えばタップ切換時である時刻t0より前の第1時間T1と、時刻t0より後の第1時間T1とが含まれる。即ち、第1期間は時刻t11(=t0-T1)から時刻t12(=to+T1)までの長さが2T1の期間である。上述したように、時刻t0の前後における第1時間T1は長さが等しくなくてもよい。換言すれば、時刻t0は、第1期間の中央時点でなくてもよく、時刻t11から時刻t12までの第1期間内の時点であればよい。
第2判定の対象期間である第2期間には、例えばタップ切換時である時刻t0より前の第2時間T2と、時刻t0より後の第2時間T2とが含まれる。即ち、第2期間は時刻t21(=t0-T2)から時刻t22(=to+T2)までの長さが2T2の期間である。第1期間に含まれる第1時間T1の長さと同様に、時刻t0の前後における第2時間T2は長さが等しくなくてもよい。換言すれば、時刻t0は、第2期間の中央時点でなくてもよく、時刻t21から時刻t22までの第2期間内の時点であればよい。但し、第2期間には第1期間が含まれる(即ち第1期間の全部が第2期間と重なっている)ものとする。
図5及び図6は、実施形態1に係る電圧調整装置100aで第2判定を実行するCPU41の処理手順を示すフローチャートである。図5の処理は、電圧調整装置100aの運用中に適時起動される。図中の判定回数は、判定結果が第1判定と一致しない第2判定を連続して実行した回数を計数するカウンタであり、初期値は0である。切換間タイマは、タップ切換が発生する間隔を監視するためにタイマ44が計時する計時手段であり、タップ切換が発生する毎に再スタートされる。ここでの監視時間は、例えば3分(所定時間に相当)であり、自装置がタップ切換する際の動作時限より多少長くしておけばよい。前回の指令値及び前回の切換方向はRAM43に記憶される。
図5の処理が起動された場合、CPU41は、タップの切換指令を発令したか否かを判定し(S61)、発令していない場合(S61:NO)、発令するまで待機する。切換指令を発令した場合(S61:YES)、CPU41は、タイマ44から切換間タイマの状態、即ち計時中であるか否かの状態を読み出す(S62)と共に、切換間タイマを再スタートさせる(S63)。
次いで、CPU41は、読み出した切換間タイマの状態が計時中であるか否かを判定し(S64)、計時中である場合(S64:YES)、前回の指令値をRAM43から読み出す(S65)と共に、現在の指令値をRAM43に上書きして記憶する(S66)。ここで記憶した現在の指令値は、次回のタップ切換時に前回の指令値として読み出される。CPU41は、現在の指令値と読み出した前回の指令値とを比較することによってタップの切換方向、即ち上げ/下げの方向を特定する(S67)。なお、タップの切換指令により、上げ/下げの方向が指令される場合は、ステップS65からS67までの処理の実行は不要である。
その後、CPU41は、前回の切換方向をRAM43から読み出す(S68)と共に、特定した現在の切換方向をRAM43に上書きして記憶する(S69)。ここで記憶した現在の切換方向は、次回のタップ切換時に前回の切換方向として読み出される。CPU41は、現在の切換方向が、読み出した前回の切換方向と同一であるか否かを判定し(S70)、同一である場合(S70:YES)、後述するステップS72に処理を移す。
一方、現在の切換方向が、読み出した前回の切換方向と同一ではない場合(S70:NO)、又は上述のステップS64で切換間タイマの状態が計時中ではない場合(S64:NO)、CPU41は、第1判定中であることを示すフラグが1であるか否かを判定する(S71)。該フラグが1である場合(S71:YES)、CPU41は、該フラグが1ではなくなるまで待機する。該フラグが1ではない場合(S71:NO)、即ち第1判定の処理が終了した場合、CPU41は、後述するステップS81に処理を移す。
図6に移って、ステップS70から処理が移った場合、CPU41は、リングバッファB1cからタップ切換時より前の第2時間内の一次電圧の平均値を読み出し(S72)、更にリングバッファB2cからタップ切換時より前の第2時間内の二次電圧の平均値を読み出す(S73)。次いで、CPU41は、第2時間だけ待機する(S74)。この間に、リングバッファB1c及びB2cそれぞれには、タップ切換時より後の第2時間内の一次電圧及び二次電圧の平均値が書き込まれる。
第2時間の待機後、CPU41は、リングバッファB1cからタップ切換時より後の第2時間内の一次電圧の平均値を読み出し(S75)、更にリングバッファB2cからタップ切換時より後の第2時間内の二次電圧の平均値を読み出す(S76)。次いで、CPU41は、タップ切換時より前の一次電圧の平均値とタップ切換時より後の一次電圧の平均値との差分を一次電圧の変化量として算出する(S77)。同様に、CPU41は、タップ切換時より前の二次電圧の平均値とタップ切換時より後の二次電圧の平均値との差分を二次電圧の変化量として算出する(S78)。
その後、CPU41は、一次電圧の変化量と二次電圧の変化量とを比較して、電気所10の接続方向を判定する(S79:第2判定部に相当)。ここでも、変化量の絶対値が小さい側に電気所10が接続されているものとする。次いで、CPU41は、判定結果が第1判定と一致するか否かを判定する(S80:比較部に相当)。具体的には、第1判定にて接続方向として記憶した内容と、第2判定による接続方向とが一致するか否かを判定する。
判定結果が第1判定と一致した場合(S80:YES)、CPU41は、RAM43に記憶した判定回数を0にクリアする(S81)。次いで、CPU41は、自装置のモード切換が有ったか否かを判定する(S82)、具体的なモード切換としては、例えば、手動でタップ切換を行うモードへの切り換え、又は試験を行うモードへの切り換えが挙げられる。モード切換が有った場合(S82:YES)、CPU41は、図5及び図6の処理を終了する。
一方、モード切換が無かった場合(S82:NO)、CPU41は、停電が発生したか否かを判定する(S83)。停電が発生した場合(S83:YES)、CPU41は、図5及び図6の処理を終了する。一方、停電が発生しなかった場合(S83:NO)、CPU41は、図5及び図6の処理を繰り返すために、ステップS61に処理を移す。この後、RAM43に記憶された接続方向が、前述の切換指令部の機能を実現する処理から参照されることとなる。
上述のステップS80で判定結果が第1判定と一致しない場合(S80:NO)、CPU41は、RAM43に記憶した判定回数を1だけインクリメントした(S84)後に、判定回数が3であるか否かを判定する(S85)。判定回数と比較される数は3に限定されない。判定回数が3ではない場合(S85:NO)、CPU41は、ステップS82に処理を移す。
一方、判定回数が3である場合(S85:YES)、即ち、タップ切換に伴って実行した第2判定の判定結果と第1判定の判定結果とが連続して3回不一致となった場合、CPU41は、RAM43に記憶する接続方向をデフォルト方向に書き換え(S86)、ステップS81に処理を移す。デフォルト方向とは、電気所10の接続方向の初期値である。
なお、本実施形態1にあっては、図4に示すように、第2期間における時刻t0の前後にそれぞれ第2時間T2が含まれるようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、第2期間における時刻t0より前に、第2時間T2及び第3時間がこの順序で含まれるようにしてもよいし、時刻t0より後に、第4時間及び第2時間T2がこの順序で含まれるようにしてもよい。これらの場合であっても、一次電圧及び二次電圧の移動平均を算出する時間である第2時間は、タップ切換時の前後で長さが異なるようにしてもよい。
以上のように本実施形態1によれば、タップ切換時を含む第1期間に計測した配電線11及び12の電圧の変化量に基づいて、電気所10の接続方向を判定する第1判定を実行する。また、第1期間より長い第2期間に計測した配電線11及び12の電圧の統計値を、タップ切換時の前後について各別に算出し、これらの算出結果に基づいて電気所10の接続方向を判定する第2判定を実行する。更に、第1判定及び第2判定の結果を比較して総合的な判定を行う。従って、電気所10の接続方向が的確に把握されるため、電気所10の接続方向の誤判定を抑制することが可能となる。
また、実施形態1によれば、第2期間における配電線11の電圧の統計値を、タップ切換時の前後について各別に算出して一次側の電圧の統計値の変化量を算出する。また、第2期間における配電線12の電圧の統計値を、タップ切換時の前後について各別に算出して二次側の電圧の統計値の変化量を算出する。更に、一次側の電圧の統計値の変化量と二次側の電圧の統計値の変化量とを比較して、電気所10の接続方向を判定する第2判定を実行する。従って、タップ切換時の前後における一次側及び二次側それぞれの電圧の変化を第1時間T1より長い時間をかけて評価するため、電気所10の接続方向をより的確に把握することができる。
更に、実施形態1によれば、タップ切換の時間間隔が例えば3分以内である場合に、電気所10の接続方向を判定する第2判定を実行する。従って、例えばタップ切換が動作時限に近い時間間隔で頻発する場合に、電気所10の接続方向を的確に把握することができる。
更に、実施形態1によれば、同一方向のタップ切換が連続した場合に、電気所10の接続方向を判定する第2判定を実行する。従って、例えばタップ切換の方向が適切でない場合に、電気所10の接続方向を的確に把握することができる。
(実施形態2)
実施形態1は、タップ切換時の前後における一次電圧及び二次電圧それぞれの変化量の比較結果に基づいて第1判定を実行する形態であった。これに対し、実施形態2は、第1判定の実行に際し、二次側の無効電力の変化量を更に加味する形態である。実施形態2に係る電圧調整装置のブロック構成は、実施形態1に係る電圧調整装置100aと同様であるため、図示を省略すると共に、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態2では、順送電の状況にて配電線12に静止型無効電力補償装置(SVC=Static Var Compensator )、パワーコンディショナ-(PCS=Power Conditioning System )等の電圧調整機器が接続されている場合を想定する。この場合、配電線12の電圧が所定の範囲を逸脱したときに、極く短時間内(例えば1秒以内)に無効電力が配電線12に供給されて配電線12の電圧変動が補償される。その際、配電線12の電圧の変化量が、必ずしも配電線12の電圧の変化量よりも大きくなるとは限らず、電圧調整装置100aにおける第1判定が誤判定となる可能性が大きい。
そこで、本実施形態2にあっては、タップ切換時の前後における二次側の無効電力の平均値の変化量を算出し、タップ切換時に第1判定を実行する際に、算出した無効電力の平均値の変化量が所定の閾値より大きい場合は、第1判定を実行しないものとする。第1判定を実行せずに第2判定を実行した場合は、第1判定と第2判定の判定結果が一致しない扱いにすることにより、変電所の接続方向は変更されず、誤判定が防止される。また、実行した第1判定に誤りがあっても、第2判定に誤りがなければ、第1判定と第2判定の判定結果が一致しないため、やはり誤判定が防止される。
制御部4aは、電圧検出部48及び電流検出部49それぞれから二次側の電圧及び電流を取得して計測し、計測した電圧及び電流に基づいて二次側の無効電力を算出する。以下では、実施形態2に係る電圧調整装置100aの制御部4aの動作を、フローチャートを用いて説明する。
図7は、実施形態2に係る電圧調整装置100aで移動平均を算出するCPU41の処理手順を示すフローチャートである。図8は、実施形態2に係る電圧調整装置100aで第1判定を実行するCPU41の処理手順を示すフローチャートである。図7及び図8それぞれの処理は、実施形態1の図2及び図3に示す処理の途中に、二次側の無効電力に係る処理を追加したものである。従って、図2及び図3に示すステップ番号と同一の番号を付したステップについては、説明の大部分を省略する。
図7の処理が起動されて、一次電圧及び二次電圧それぞれの計測結果をリングバッファB1a及びB2aに書き込んだ(S11~S14)後、CPU41は、電流検出部49から配電線12の電流、即ち二次電流を取得して計測する(S14a)。次いで、CPU41は、計測した二次電流と先に計測した二次電圧とに基づいて二次側の無効電力を算出し(S14b)、算出した無効電力をリングバッファB3aに書き込む(S14c)。なお、リングバッファB3aは、リングバッファB1a及びB2a等と同様に、RAM43に領域が確保されている。
その後、CPU41は、ステップS15~S22の処理を実行し、更に、リングバッファB3aに書き込まれた最新の第1時間内の無効電力について移動平均を算出する(S23)。次いで、CPU41は、算出した平均値をリングバッファB3bに書き込んで(S24)図7の処理を終了する。以上の処理手順により、二次側の無効電力の平均値が時系列的にリングバッファB3bに書き込まれる。
次に、図8の処理が起動された場合、CPU41は、ステップS41~S44の処理を実行した後、リングバッファB3bからタップ切換時より前の第1時間内の無効電力の平均値を読み出しておく(S44a)。次いで、CPU41は、第1時間だけ待機する(S45)。この間に、リングバッファB1b、B2b及びB3bそれぞれには、タップ切換時より後の第1時間内の一次電圧、二次電圧及び無効電力それぞれの平均値が書き込まれる。
第1時間の待機後、CPU41は、リングバッファB3bからタップ切換時より後の第1時間内の無効電力の平均値を読み出し(S45a)、タップ切換時より前の無効電力の平均値とタップ切換時より後の無効電力の平均値との差分を無効電力の変化量として算出する(S45b)。次いで、CPU41は、算出した変化量が所定の閾値より大きいか否かを判定する(S45c)。
算出した変化量が所定の閾値より大きい場合(S45c:YES)、CPU41は、RAM43に記憶する接続方向をクリアする(S45d)。この内容が、前述の切換指令部の機能を実現する処理から参照された場合は、接続方向を現状維持にすればよい。次いで、CPU41は、第1判定中であることを示すフラグを0にクリアするためにステップS52に処理を移す。
一方、算出した変化量が所定の閾値より大きくない場合(S45c:NO)、CPU41は、実施形態1の図3の場合と同様にステップS46~S52の処理を実行して図8の処理を終了する。以上の処理手順によれば、無効電力の変化量が所定の閾値より大きい場合に、第1判定が実行されることはない。
以上のように本実施形態2によれば、タップ切換時を含む第1期間に計測した二次側の無効電力の変化量が所定の閾値より小さい場合に、一次側及び二次側それぞれの配電線11及び12の電圧の変化量に基づいて、電気所10の接続方向を判定する第1判定を実行する。従って、電気所10の接続方向の誤判定を、実施形態1の場合よりも抑制することが可能となる。
なお、実施形態2にあっては、二次側の無効電力の変化量が所定の閾値より小さい場合に第1判定を実行したが、これに限定されるものではない。例えば、一次側又は二次側の有効電力に対する皮相電力の位相角の変化量が所定の閾値より小さい場合に第1判定を実行してもよい。また例えば、一次側又は二次側の力率の変化量が所定の閾値より小さい場合に第1判定を実行してもよい。
(実施形態3)
実施形態1は、タップ切換時の前後における一次電圧及び二次電圧それぞれの統計値の変化量の比較結果に基づいて第2判定を実行する形態であった。これに対し、実施形態3は、一次側及び二次側のインピーダンスの比較結果に基づいて第2判定を実行する形態である。実施形態3に係る電圧調整装置のブロック構成は、実施形態1に係る電圧調整装置100aと同様であるため、図示を省略すると共に、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
実施形態1における第2判定では、タップ切換時の前後における一次電圧及び二次電圧それぞれの統計値の変化量を比較して、変化量の絶対値が小さい側に電気所10が接続されていると判定した。一次側と二次側とでは、配電線11及び12を通過する電流が概ね同等であるから、電圧の変化量が小さいということは、インピーダンスに相当する量(以下、単にインピーダンスという)が小さいということに他ならない。そこで、本実施形態3では、インピーダンスが小さい側に電気所10が接続されていると判定する。
電圧調整装置100aから一次側及び二次側のそれぞれを見たインピーダンスを直接的に計測することは困難である。但し、インピーダンスと電流の変化量との積が電圧の変化量に相当するから、電圧の統計値の変化量を電流の統計値の変化量で除してインピーダンスを間接的に求めることができる。ここでは、電流の統計値として移動平均による平均値を算出するが、中央値、最頻値等の他の統計値を算出してもよい。
制御部4aは、電流検出部49から二次側の電流を取得して計測する。一次側の電流は、二次側の電流の計測値を、変圧器2aの変圧比で除して算出することができる。一次側の配電線11にも変流器を結合させて、一次側の電流を計測するようにしてもよい。
以下では、実施形態3に係る電圧調整装置100aの制御部4aの動作を、フローチャートを用いて説明する。図9は、実施形態3に係る電圧調整装置100aで移動平均を算出するCPU41の処理手順を示すフローチャートである。図10は、実施形態3に係る電圧調整装置100aで第2判定を実行するCPU41の処理手順を示すフローチャートの一部である。図9の処理は、実施形態1の図2に示す処理の後半に、一次側及び二次側の電流に係る処理を追加したものである。図10の処理は、実施形態1の図3に示す処理に、一次側及び二次側のインピーダンスに係る処理を追加したものの一部である。従って、図2及び図3に示すステップ番号と同一の番号を付したステップについては、説明の大部分を省略する。
図9の処理が起動された場合、CPU41は、一次電圧及び二次電圧それぞれについて算出した第2時間内の移動平均をリングバッファB1c及びB2cに書き込む(S11~S22)。その後、CPU41は、電流検出部49から配電線12の電流、即ち二次電流を取得して計測し(S25:第4計測部に相当)、計測した二次電流をリングバッファB4aに書き込む(S26)。次いで、CPU41は、計測した二次電流を、現在のタップ位置に応じた変圧器2aの変圧比で除算することにより、一次電流を間接的に計測し(S27:第3計測部に相当)、計測した一次電流をリングバッファB3aに書き込む(S28)。
その後、CPU41は、リングバッファB3aに書き込まれた最新の第2時間内の一次電流について移動平均を算出し(S29:第3算出部に相当)、算出した平均値をリングバッファB3bに書き込む(S30)。同様に、CPU41は、リングバッファB4aに書き込まれた最新の第2時間内の二次電流について移動平均を算出し(S31:第4算出部に相当)、算出した平均値をリングバッファB4bに書き込んで(S32)図9の処理を終了する。なお、リングバッファB4a及びB4bは、リングバッファB3a及びB3bと同様に、RAM43にそれぞれの領域が確保されている。
次に、図10の処理が起動された場合、CPU41は、ステップS61~S73の処理を実行する。次いで、CPU41は、リングバッファB3bからタップ切換時より前の第2時間内の一次電流の平均値を読み出し(S73a)、更にリングバッファB4bからタップ切換時より前の第2時間内の二次電流の平均値を読み出す(S73b)。次いで、CPU41は、第2時間だけ待機する(S74)。この間に、リングバッファB3b及びB4bそれぞれには、タップ切換時より後の第2時間内の一次電流及び二次電流の平均値が書き込まれる。
その後、CPU41は、ステップS75~S78の処理を実行して一次電圧及び二次電圧それぞれの変化量を算出する。次いで、CPU41は、リングバッファB3bからタップ切換時より後の第2時間内の一次電流の平均値を読み出し(S78a)、更にリングバッファB4bからタップ切換時より後の第2時間内の二次電流の平均値を読み出す(S78b)。次いで、CPU41は、タップ切換時より前の一次電流の平均値とタップ切換時より後の一次電流の平均値との差分を一次電流の変化量として算出する(S78c)。同様に、CPU41は、タップ切換時より前の二次電流の平均値とタップ切換時より後の二次電流の平均値との差分を二次電流の変化量として算出する(S78d)。
その後、CPU41は、一次電圧の変化量を一次電流の変化量で除算して一次側のインピーダンスを算出する(S78e)と共に、二次電圧の変化量を二次電流の変化量で除算して二次側のインピーダンスを算出する(S78f)。次いで、CPU41は、一次側のインピーダンスと二次側のインピーダンスとを比較して、電気所10の接続方向を判定する(S79a:第2判定部に相当)。CPU41は、判定結果が第1判定と一致するか否かを判定し(S80:比較部に相当)、判定結果に応じてステップS81又はステップS84(何れも図6参照)へ処理を移す。
以上のように本実施形態3によれば、第1期間より長い第2期間に計測した配電線11及び12それぞれの電圧と電流の統計値を、タップ切換時の前後について各別に算出し、一次側の電圧及び電流の統計値に基づく値と、二次側の電圧及び電流の統計値に基づく値との比較結果に基づいて電気所10の接続方向を判定する第2判定を実行する。従って、電気所10の接続方向が的確に把握されるため、電気所10の接続方向の誤判定を抑制することが可能となる。
また、実施形態3によれば、第2期間における配電線11の電圧及び電流それぞれの統計値を、タップ切換時の前後について各別に算出して、一次側の電圧及び電流それぞれの統計値の変化量を算出する。また、第2期間における配電線12の電圧及び電流それぞれの統計値を、タップ切換時の前後について各別に算出して、一次側の電圧及び電流それぞれの統計値の変化量を算出する。更に、一次側の電圧の統計値の変化量を一次側の電流の統計値の変化量で除算して一次側のインピーダンスに相当する量を算出すると共に、二次側の電圧の統計値の変化量を二次側の電流の統計値の変化量で除算して二次側のインピーダンスに相当する量を算出する。そして、一次側のインピーダンスに相当する量と二次側のインピーダンスに相当する量とを比較して、電気所10の接続方向を判定する第2判定を実行する。従って、タップ切換時の前後における一次側及び二次側それぞれのインピーダンスの変化を第1時間T1より長い時間をかけて評価するため、電気所10の接続方向をより的確に把握することができる。
(実施形態4)
実施形態1に係る電圧調整装置100aが、配電線11及び12に変圧器2aが直接接続される直接式であるのに対し、実施形態4に係る電圧調整装置100bは、調整変圧器の出力電圧を直列変圧器を通して配電線11及び12の間の線路に加える間接式である。図11は、実施形態4に係る電圧調整装置100bの構成例を示すブロック図である。サイリスタ式の電圧調整装置(TVR=Thyristor type step Voltage Regulator)100bは、一次側の配電線11u,11v,11wの交流電圧及び二次側の配電線12u,12v,12wの交流電圧を相互に変圧して調整する。
電圧調整装置100bは、配電線11u,11v,11wそれぞれと、配電線12u,12v,12wとの間に二次巻線112,122,132が直列に接続される直列変圧器1と、配電線12u,12v,12wに一次巻線211,221,231がΔ結線される調整変圧器2bとを備える。電圧調整装置100bは、更に、調整変圧器2bの二次巻線212,222,232及び直列変圧器1の一次巻線111,121,131の間に設けられたタップ切換器3bと、該タップ切換器3bに対する切換指令を発令する制御部4bと、切換指令に応じた駆動信号によって各切換スイッチをオンに駆動する駆動部40とを備える。
調整変圧器2bの二次巻線212,222,232のそれぞれは、一端及び他端から引き出されたタップt1及びt4と,一端及び他端の間から引き出された中間のタップt2及びt3とを有する。二次巻線212,222,232のそれぞれは、タップt1~t4の何れか1つがタップ切換器3bを介して直列変圧器1の一次巻線111,121,131の一端と、一次巻線121,131,111の他端とに接続され、該1つと同一又は異なる他の1つがタップ切換器3bを介して中性点Nに接続される。同一のタップが中性点Nに接続されるのは、いわゆる素通しタップの場合である。
配電線11u,11v、11wには、線間電圧を検出するための計測用変圧器PT11,PT12がV結線されている。同様に、配電線12u,12v、12wには、線間電圧を検出するための計測用変圧器PT21,PT22がV結線されている。
タップ切換器3bは、調整変圧器2bの二次巻線212のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThm_U(m=A,B,C,D,1,2,3,4)と、二次巻線222のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThm_と、二次巻線232のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThm_Wとを有する。各切換スイッチは、例えば双方向に導通するトライアック又は逆並列に接続されたサイリスタ対を含む。
タップ切換器3bの構成は図1に示すものに限定されず、例えば、直列変圧器1に印加する電圧の極性を切り換える極性切換用タップ選択スイッチを含む構成であってもよい。
制御部4bは、CPUを有し、予めROMに記憶された制御プログラムに従って、電圧の調整を制御する。一時的に発生した情報はRAMに記憶される(CPU,ROM,RAMは何れも不図示)。制御部4bには、計測用変圧器PT11,PT12,PT21,PT22の二次巻線が接続されている。制御部4bと各計測用変圧器との接続、及び駆動部40と各切換スイッチとの接続は、図示を省略する。
二次巻線212のタップt1は、保護用のヒューズ(不図示:以下同様)を介して切換スイッチThA_U及びTh1_Uの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_U及びTh2_Uの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_U及びTh3_Uの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_U及びTh4_Uの一端に接続されている。切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの他端同士は、接続線3uを介して直列変圧器1の一次巻線111の一端及び一次巻線121の他端に接続されている。
二次巻線222のタップt1は、ヒューズを介して切換スイッチThA_V及びTh1_Vの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_V及びTh2_Vの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_V及びTh3_Vの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_V及びTh4_Vの一端に接続されている。切換スイッチThA_V,ThB_V,ThC_V,ThD_Vの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_V,Th2_V,Th3_V,Th4_Vの他端同士は、接続線3vを介して直列変圧器1の一次巻線121の一端及び一次巻線131の他端に接続されている。
二次巻線232のタップt1は、ヒューズを介して切換スイッチThA_W及びTh1_Wの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_W及びTh2_Wの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_W及びTh3_Wの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_W及びTh4_Wの一端に接続されている。切換スイッチThA_W,ThB_W,ThC_W,ThD_Wの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_W,Th2_W,Th3_W,Th4_Wの他端同士は、接続線3wを介して直列変圧器1の一次巻線131の一端及び一次巻線111の他端に接続されている。
接続線3u及び3v間には、限流抵抗器R_UV及び矯絡用スイッチThS_UVの直列回路と、電磁接触器MC_UVとが並列に接続されている。接続線3v及び3w間には、限流抵抗器R_VW及び矯絡用スイッチThS_VWの直列回路と、電磁接触器MC_VWとが並列に接続されている。制御部4bと、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VW及び電磁接触器MC_UV,MC_VWとの接続は、図示を省略する。
矯絡用スイッチThS_UV及びThS_VWは、二次巻線212,222,232のタップt1~t4を切り換える過程で、それぞれ限流抵抗器R_UV及びR_VWを介してタップ間を矯絡させておくために、タップ間への限流抵抗器R_UV及びR_VWの接続及び切り離しを行うためのものである。電磁接触器MC_UV及びMC_VWは、過電流が検出されて全ての切換スイッチがオフされる場合、又はタップ切換器3bの運用が停止される場合に、直列変圧器1の一次巻線111,121,131の両端を矯絡して、開放状態にしないようにするためのものである。
上述の通り構成された電圧調整装置100bの制御部4bは、計測用変圧器PT11,PT12及びPT21,PT22から配電線11u,11v,11w及び12u,12v,12wの電圧を、例えば交流電圧の半周期毎に取得する。更に、制御部4bは、取得して計測した電圧に基づいて切換指令部により切換指令を発令する。駆動部40は、切換指令に応じた駆動信号によって各切換スイッチをオンに駆動する。タップ切換器3bは、発令された切換指令に応じたタップ位置にタップ切換する。タップ切換中に2つのタップが橋絡された時に流れる循環電流は、限流抵抗器R_UV,R_VWによって制限される。
切換指令部による切換指令の発令についても、実施形態1の場合と同様である。本実施形態4に係る電圧調整装置100bで移動平均を算出するCPU(不図示)の処理手順を示すフローチャート、及び第1判定を実行するCPUの処理手順を示すフローチャートは、それぞれ実施形態1で示した図2及び図3のフローチャートと同様であるため、ここでの図示を省略する。
以上のように本実施形態4によれば、タップ切換時を含む第1期間に計測した配電線11u,11v,11w及び12u,12v,12wの電圧の変化量に基づいて、電気所10の接続方向を判定する第1判定を実行する。また、第1期間より長い第2期間に計測した配電線11u,11v,11w及び12u,12v,12wの電圧の統計値を、タップ切換時の前後について各別に算出し、これらの算出結果に基づいて電気所10の接続方向を判定する第2判定を実行する。更に、第1判定及び第2判定の結果を比較して総合的な判定を行う。従って、電気所10の接続方向が的確に把握されるため、電気所10の接続方向の誤判定を抑制することが可能となる。
なお、実施形態4にあっては、調整変圧器2bの二次巻線212,222,232がタップ切換器3bを介してY結線され、直列変圧器1の一次巻線111,121,131がΔ結線されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、調整変圧器2bの二次巻線212,222,232がタップ切換器を介してΔ結線され、直列変圧器1の一次巻線111,121,131がY結線されていてもよい。また、調整変圧器2bの二次巻線212,222がタップ切換器を介してV結線され、直列変圧器1の一次巻線111,121,131がY結線されていてもよい。これらの場合であっても、制御部4bの動作に本質的な差異がないため、実施形態1と同様の効果を奏する。
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。