JP7456971B2 - 稼働判定装置、設定方法、プログラム - Google Patents
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Description
例えば電流センサや振動センサなどを工作機械に取り付けて、その検出信号により工作機械の稼働状況を判定するものがある。
いずれの場合も、多種多様な工作機械に対応することが難しい。例えば工作機械によって、さらには工作機械の各部によって、稼働時やアイドリング状態の電流量には差があり、電流の有無や固定の閾値だけでは、適切な判定ができないためである。
工作機械に取り付けたセンサの検出信号を閾値と比較することで前記工作機械が稼働状態であるか否かの判定結果を出力する判定部と、
前記工作機械のアイドリング状態における前記センサの検出信号に基づく基準値を設定し、前記基準値の所定割合値と、あらかじめ設定した特定値の両方を前記基準値に加算するか、又は前記所定割合値と前記特定値の両方を前記基準値から減算することで前記閾値を設定する閾値設定処理を行う閾値設定部と、を備える。
所定割合値は基準値に応じた値である。特定値は基準値に関わらず閾値に反映されるようにする値である。
本発明のプログラムによれば、そのような稼働判定装置を容易に実現できる。
図1に工作機械10に対する稼働監視システム100の構成例を示している。
稼働監視システム100は、電流センサ1、稼働判定装置2、稼働監視ユニット3、中間処理機4、クラウド5としての構成要素を有する。
図2Aに電流センサ1の一例を示す。この電流センサ1はクランプ式の構造とされ、図2Bのようにケーブル12に装着できるものとされる。例えばこのような電流センサ1が、工作機械配電盤11における電源ケーブル、主軸ケーブル、送り軸ケーブルなど、必要箇所に取り付けられる。もちろんこれは一例で、電流センサ1の構造や被検出部への取り付け方式は各種の例が考えられる。
この稼働判定装置2は、1又は複数の電流センサ1のそれぞれについて、一定時間毎、例えば0.1秒毎に、検出された電流値を、あらかじめ設定した閾値と比較し、その比較結果を出力する。比較結果とは、工作機械10の状況、すなわち稼働状態であるか否かを示す判定情報となる。
例えば稼働監視ユニット3にて稼働/非稼働の判定情報をまとめる。そして現在の状況と1分間の稼働時間をまとめたデータを無線通信で中間処理機4に送信する。もちろん有線通信で送信してもよい。
クラウド5とは、例えばクラウドサーバとして機能するコンピュータ装置(情報処理装置)を示している。
クラウド5は、中間処理機4を介して送信されてきたデータを受信し、分析等を行い、稼働状況を可視化した画像を生成したり、分析情報を生成したりして、ユーザ、即ち工作機械10の管理者等に対して各種の情報提供を行う。
例えば以上のような稼働監視システム100に用いられる稼働判定装置2の構成を図3で説明する。
図3に示すように、稼働判定装置2は、コネクタ21、増幅回路22、演算装置23、メモリ部24、操作部25、表示部26、コネクタ27を有する。
この演算装置23は、増幅回路22を介して入力された検出信号、すなわち検出電流値Idを、所定の閾値thIと比較する処理を行い、比較結果を出力する。
例えば閾値thI≧検出電流値Idであれば「0」、閾値thI<検出電流値Idであれば「1」を出力する。この比較結果が稼働状態の判定結果となる。
閾値設定部31は、閾値thIを自動的に設定する閾値設定処理を行う機能である。閾値設定処理とは、工作機械10のアイドリング状態における電流センサ1の検出信号(検出電流値Id)に基づく基準値(基準電流値Ir)を設定し、その基準値の所定割合値と、あらかじめ設定した特定値とを、基準値に対して加算又は減算することで閾値thIを設定する処理である。閾値設定処理の詳細は後述する。
判定部32は、上記のように検出電流値Idと閾値thIを比較して、稼働状態の判定結果を出力する機能である。
このメモリ部24には、演算装置23の処理動作のためのプログラム、例えば閾値設定処理のプログラムが記憶される。また閾値設定処理により設定された閾値thIもメモリ部24に記憶される。
演算装置23によって、例えば0.1秒毎に得られる判定結果の情報は、コネクタ27を介して稼働監視ユニット3に送出される。
以上のような稼働判定装置2においては、工作機械10の稼働判定のためには、閾値thIが適切に設定されることが必要になる。
ただし固定値として閾値thIを設定しておくと、多種多様な工作機械10に適用することができない。また1つの工作機械10においても、電流センサ1による検出箇所によって電流量は異なることからも、閾値thIを固定設定することは適切ではない。
一方で、工作機械10の種別や個体毎、或いは電流センサ1の取り付け箇所毎に応じて、閾値thIを調整するようにすると、設定作業の工数が増大し、また専門の作業者による設定作業が必要になってしまう。
演算装置23はステップS100として、操作部25としての押圧スイッチの長押し操作を監視する。
例えば工作機械10に対して電流センサ1を取り付けた際のユーザの初期設定作業としては、工作機械10をアイドリング状態にしたうえで、操作部25で長押し操作を行うというものとなる。
ステップS101で演算装置23は基準電流値Irを設定する。これは例えば、工作機械10がアイドリング状態にあるときに電流センサ1で検出される検出電流値Idを取得し、検出電流値Idに基づいて基準電流値Irを設定する処理である。
この場合、ある時点の検出電流値Idをそのまま基準電流値Irとしてもよいが、アイドリング状態での検出電流値Idの若干の変動やノイズの影響があることを考慮して、例えばある一定時間の検出電流値Idの平均値等を求めて、それを基準電流値Irとするようにしてもよい。
図4におけるステップS101では演算装置23は、工作機械10がアイドリング状態とされていることを前提として検出電流値Idを取得する。そして、このアイドリング状態の検出電流値Idに基づいて基準電流値Irを設定する。
α%値は、基準電流値Irに依存して決まる値である。従って、α%値を加算することで、電流センサ1を取り付けた工作機械10のアイドリング電流に応じた電流値が、閾値thIに反映されることになる。
β値は固定値である。従ってβ値を加算することで、閾値thIは、アイドリング電流よりも高い電流値となる。
例えば基準電流値Irが大きい工作機械10であると、それに応じてノイズも大きくなってしまう。そのためノイズによって稼働判定されないように閾値thIを設定する必要があるが、α%値の加算により相対的に大きい閾値thIを設定することができるためである。
また、基準電流値Ir=0の工作機械10もあるが、β値の加算により、その場合も基準電流値Irより高い閾値thIが設定できるためである。
一例としてα%値は+20%A(アンペア)、β値は+50Aとする。またノイズは基準電流値Irの±10%であると想定する。
・基準電流値Ir=0A
・稼働時の検出電流値Id=70A前後
この場合、設定される閾値thIは、
thI=0A+0A+50A=50A
となる。
稼働時の検出電流値Idが70A前後であることから、閾値thIにより稼動状態を適切に判定できる。
・基準電流値Ir=100A
・稼働時の検出電流値Id=250A前後
この場合、設定される閾値thIは、
thI=100A+20A+50A=170A
となる。
稼働時の検出電流値Idが250A前後であることから、閾値thIにより稼動状態を適切に判定できる。
・基準電流値Ir=1000A
・稼働時の検出電流値Id=1700A前後
この場合、設定される閾値thIは、
thI=1000A+200A+50A=1250A
となる。
稼働時の検出電流値Idが1700A前後であることから、閾値thIにより稼動状態を適切に判定できる。
また第1ケースのように、基準電流値Ir=0Aの場合でもβ値(50A)を加えることで、閾値thIを適切に設定できる。
その場合、α%値は、基準電流値Irのα%値とするほか、(基準電流値Ir+β値)のα%値とすることも考えられる。
またこのように所定割合値(α%値)及び特定値(β値)を基準電流値Irから減算して求めた閾値thIは、工作機械10の電源オン/オフの判定に用いることもできる。
稼働判定装置2は、所定割合値(α%値)及び特定値(β値)を予め固定値としてメモリ部24に記憶されていればよいが、例えば所定割合値(α%値)及び特定値(β値)を加算するか減算するかをユーザサイドで選択できるようにしてもよい。
例えば第2電流値I2を閾値thIuとし、第1電流値I1を閾値thIdとする。
閾値thIuは電流値の稼動開始のときの検出電流値Idの立ち上がりタイミングを判定する閾値とする。閾値thIdは、稼動状態からアイドリング状態への移行時の検出電流値Idの立ち下がりタイミングを判定する閾値とする。
このようにすることで稼働時の検出電流値Idの変動による誤判定を生じにくくなるようにすることができる。
以上のように実施の形態の稼働判定装置2は、工作機械10に取り付けた電流センサ1の検出信号である検出電流値Idを閾値thIと比較することで、工作機械10の稼働状態の判定結果を出力する判定部32を有する。また稼働判定装置2は、工作機械10のアイドリング状態における電流センサ1の検出電流値Idに基づく基準値、即ち基準電流値Irを設定し、基準電流値Irの所定割合値(α%値)及びあらかじめ設定した特定値(β値)を、基準電流値Irに対して加算又は減算することで閾値thIを設定する閾値設定処理を行う閾値設定部31を備える。
所定割合値(α%値)を反映することで、基準電流値Irの大小に応じた閾値thIが設定できる。基準電流値Irが大きいと、ノイズも大きくなるが、所定割合値(α%値)を反映することでノイズによる誤判定が生じにくい閾値thIが設定できることになる。
また特定値(β値)を反映することで、基準電流値Irがゼロの場合でも閾値thIが設定できるようになる。
つまり所定割合値(α%値)と特定値(β値)の両方を反映することで、多種多様な工作機械に適応し、かつ誤判定の生じにくい閾値thIが自動的に設定できるようになる。閾値thIの設定に専門の技術者による作業の必要もないため、稼動監視システムの導入も容易となる。
これにより、電流センサ1を用いた稼働監視システム100において、多種多様な工作機械に適応し、かつ誤判定の生じにくい稼働判定装置を実現できる。
すなわち工作機械を使用するユーザが所定の操作を行うことをトリガとして、自動的に閾値設定処理が行われ、閾値thIが設定される。ユーザは、工作機械に対して電流センサ1や稼働判定装置2をセットし、工作機械10をアイドリング状態としたうえで、操作部25で所定の操作を行えばよい。従ってユーザが専門の技術者でなくても容易に稼働判定装置2のセッティングができるようになる。
これにより、工作機械の現場においてきわめて簡単な操作で、その工作機械に適した稼働判定装置2のセットアップができることになる。また長押しであることで、誤操作により操作スイッチが瞬間的に押されてしまって閾値設定処理が行われるということも防止できる。
このようなプログラムは、メモリ部24としてのROMや不揮発性メモリに記録しておくことができるし、各種の情報処理装置のHDD(Hard Disk Drive)、固体メモリ等に記憶しておくこともできる。また、プログラムをダウンロードサイト等から提供できるようにしておくこともできる。
2 稼働判定装置
3 稼働監視ユニット
4 中間処理機
5 クラウド
10 工作機械
11 工作機械配電盤
12 ケーブル
23 演算装置
24 メモリ部
25 操作部
26 表示部
31 閾値設定部
32 判定部
100 稼働監視システム
Claims (6)
- 工作機械に取り付けたセンサの検出信号を閾値と比較することで前記工作機械が稼働状態であるか否かの判定結果を出力する判定部と、
前記工作機械のアイドリング状態における前記センサの検出信号に基づく基準値を設定し、前記基準値の所定割合値と、あらかじめ設定した特定値の両方を前記基準値に加算するか、又は前記所定割合値と前記特定値の両方を前記基準値から減算することで前記閾値を設定する閾値設定処理を行う閾値設定部と、を備えた
稼働判定装置。 - 前記センサは電流センサであって、
前記閾値設定部は、
前記工作機械のアイドリング状態における電流の検出信号に基づく前記基準値を用いて、前記閾値設定処理を行う
請求項1に記載の稼働判定装置。 - 前記閾値設定部は、所定の操作に応じて前記閾値設定処理を開始する
請求項1又は請求項2に記載の稼働判定装置。 - 前記所定の操作は、操作スイッチの長押し操作である
請求項3に記載の稼働判定装置。 - 工作機械に取り付けたセンサの検出信号を閾値と比較することで前記工作機械が稼働状態であるか否かの判定結果を出力する稼働判定装置の設定方法として、
前記工作機械のアイドリング状態における前記センサの検出信号に基づく基準値を設定し、前記基準値の所定割合値と、あらかじめ設定した特定値の両方を前記基準値に加算するか、又は前記所定割合値と前記特定値の両方を前記基準値から減算することで前記閾値を設定する
設定方法。 - 工作機械に取り付けたセンサの検出信号を閾値と比較することで前記工作機械が稼働状態であるか否かの判定結果を出力する稼働判定装置の演算装置に、
前記工作機械のアイドリング状態における前記センサの検出信号に基づく基準値を設定し、前記基準値の所定割合値と、あらかじめ設定した特定値の両方を前記基準値に加算するか、又は前記所定割合値と前記特定値の両方を前記基準値から減算することで前記閾値を設定する閾値設定処理を実行させる
プログラム。
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