JP7456424B2 - 湿気硬化型ホットメルト粘着剤及び粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は、湿気硬化型ホットメルト粘着剤及び粘着シートに関する。
溶剤を使用しないホットメルト粘着剤は、火災リスクが低く、食品包装、衛生材料、繊維、建材、自動車、電子部品分野等、広く利用されている。加えて、乾燥オーブンが不要なことから省スペース、省エネルギー化に向けて活用の幅が広がっており、ホットメルト粘着剤に求められる要求性能は日に日に増している。
例えば、寒冷地での使用を想定し、低温環境でも高い粘着力を維持する性能(以下、低温粘着力)が要求されている。さらに自動車や電子部品の用途を想定し、高温環境でも高い粘着力及び保持力を維持する性能(以下、耐熱粘着力及び耐熱保持力と省略)が求められている。
特許文献1には、結晶性脂肪族ポリエステルジオールおよび脂肪族ポリエーテルポリオールを含むポリオールと、ポリイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー、モルホリン環含有化合物およびカルボキシル基を有する化合物を含有してなることを特徴とする反応性ホットメルト接着剤が開示されている。
特許文献2には、ポリブタジエンポリオール及び水素化ポリブタジエンポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位並びにポリイソシアネートに由来する構造単位を含む重合鎖と、重合鎖の末端にイソシアネート基と、を有するウレタンプレポリマーを含有し、硬化後の引張弾性率が10MPa以下である湿気硬化型ホットメルト接着剤が開示されている。
特開2009-286883号公報 国際公開第2019/138893号
しかし、従来の湿気硬化型ホットメルト接着剤では、オープンタイムが短いため、基材の貼り合わせにおいて接着剤を塗布した直後に被着体を貼り合わせる必要があり、感圧接着できないという問題があった(以下、粘着性)。また、粘着性を有すると共に、低温粘着力、耐熱粘着力及び耐熱保持力が良好なホットメルト粘着剤が求められていた。
本発明の解決しようとする課題は、粘着性を有し、かつ、低温粘着力、耐熱粘着力及び耐熱保持力に優れる湿気硬化型ホットメルト粘着剤を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の実施態様は、ポリオール化合物(A)と、ポリイソシアネート(B)とを反応させてなるイソシアネート基を有するウレタンポリマーを含有する湿気硬化型ホットメルト粘着剤であり、前記粘着剤を25℃、相対湿度50%で7日間養生して形成された硬化物の-10℃における貯蔵弾性率E′(-10)が100MPa 以下であり、前記硬化物の23℃における貯蔵弾性率E′(23)が3.0MPa 以下である湿気硬化型ホットメルト粘着剤に関する。
また、本発明の実施態様は、前記粘着剤の硬化物が、-60℃~0℃において、損失正接tanδが極大値を有し、前記極大値が1.0~3.0である上記の湿気硬化型ホットメルト粘着剤に関する。
また、本発明の実施態様は、前記ポリオール化合物(A)が、ポリプロピレングリコール(a1)、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)、及びロジンポリオール(a3)を含む上記の湿気硬化型ホットメルト粘着剤に関する。
また、本発明の実施態様は、ポリプロピレングリコール(a1)が、数平均分子量が3,000~5,000のポリプロピレングリコールを含む上記の湿気硬化型ホットメルト粘着剤に関する。
また、本発明の実施態様は、前記ポリオール化合物(A)100質量%中、ポリプロピレングリコール(a1)と3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)を合計で70質量%以上含む上記の湿気硬化型ホットメルト粘着剤に関する。
また、本発明の実施態様は、粘着付与樹脂をさらに含有する上記の湿気硬化型ホットメルト粘着剤に関する。
また、本発明の実施態様は、粘着付与樹脂が水酸基価20~160mgKOH/gのテルペンフェノール樹脂である上記の湿気硬化型ホットメルト粘着剤に関する。
また、本発明の実施態様は、上記の湿気硬化型ホットメルト粘着剤から形成された硬化粘着剤層を有する粘着シートに関する。
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、従来の湿気硬化型ホットメルト粘着剤と比較して、粘着性を有することから、貼り合わせ工程が簡便となる。加えて、低温粘着力、耐熱粘着力及び耐熱保持力に優れる湿気硬化型ホットメルト粘着剤を提供することができる。さらに、本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、比較的低粘度で基材への適度な浸透性を有するため、服飾用途や不織布、布、革の貼り合わせにも好適に使用できる。
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤について説明する。
なお、本明細書では、湿気硬化型ホットメルト粘着剤の硬化物の-10℃における貯蔵弾性率E′および湿気硬化型ホットメルト粘着剤の硬化物の23℃における貯蔵弾性率E′をそれぞれE′(-10)、E′(23)と略記することがある。
本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
また「分子量」は、特に明記しない限り、数平均分子量(Mn)を意味するものとする。なお、「Mw」および「Mn」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量および数平均分子量である。
<湿気硬化型ホットメルト粘着剤>
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、イソシアネート基を有するウレタンポリマーを含むことを特徴とする。さらに前記粘着剤の硬化物の-10℃における貯蔵弾性率E′(-10)が100MPa 以下であり、前記粘着剤の硬化物の23℃における貯蔵弾性率E′(23)が3.0MPa 以下であることを特徴とする湿気硬化型ホットメルト粘着剤である。
前記E′(-10)が100MPa 以下であると、十分な低温粘着力が得られるとともに、粘着シートとして使用した際に、粘着剤の被着体への糊残りを防ぐことができる。前記E′(-10)は、低温粘着力を高める観点から、0.1~10MPaがより好ましく、0.5~3MPaがさらに好ましい。
前記E′(23)が3.0MPa 以下であると、粘着性が得られるとともに、十分な23℃粘着力が得られる。前記E′(23)は、粘着性を付与する観点から、0.1~2MPaがより好ましく、0.2~0.8MPaがさらに好ましい。
湿気硬化型ホットメルト粘着剤の硬化物は、-60℃~0℃において、損失正接tanδが極大値を有することが好ましい。損失正接tanδは、ある温度における損失弾性率E′′を貯蔵弾性率E′で除した下記式(1)にて求めることができる。
損失正接tanδ=損失弾性率E′′/貯蔵弾性率E′・・・(1)
各温度における損失正接tanδを算出し、tanδ曲線を作成することにより、極大点を求めることができる。湿気硬化型ホットメルト粘着剤の硬化物の損失弾性率E′′および貯蔵弾性率E′は、動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
前記tanδの極大値を示す温度を-60℃以上とすると、粘着剤の凝集力が向上し、耐熱保持力が良好となる。一方、前記tanδの極大値を示す温度を0℃以下とすると、低温粘着力が良好となる。損失正接tanδが極大値を示す範囲は、より好ましくは-50℃~-15℃である。
また、前記tanδの極大値は、1.0~3.0であることが好ましく、より好ましくは1.3~2.0である。前記tanδの極大値を1.0以上とすると、粘着性が良好となる。一方、前記tanδの極大値を3.0以下とすると、粘着剤の凝集力が向上し、耐熱保持力が良好となる。
湿気硬化型ホットメルト粘着剤は塗工して粘着剤層を形成して用いる。
粘着剤層は分子末端にイソシアネート基を有するウレタンポリマーが、空気中に含まれる湿気又は被着体の基材に含まれる水分と反応して架橋構造を形成し、硬化粘着剤層を形成する。上記の架橋構造を形成することによって耐熱粘着力及び耐熱保持力が向上する。
粘着剤層は養生して硬化粘着剤層を形成した後に被着体に貼り付けて使用する。または、粘着剤層を被着体に貼り付けた後、養生して硬化粘着剤層を形成してもよい。もしくは、湿気硬化型ホットメルト粘着剤を被着体に直接塗工して粘着剤層を形成し、その後硬化粘着剤層を形成してもよい。
<イソシアネート基を有するウレタンポリマー>
イソシアネート基を有するウレタンポリマーは、ポリオール化合物(A)と、ポリイソシアネート(B)とをウレタン化反応させた反応生成物である。
反応時に、ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基(イソシアナト基)は、ポリオール化合物(A)の水酸基よりも多くなるようなモル比(NCO/OH比)で使用することで、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンポリマーが得られる。このイソシアネート基が空気中やウレタンプレポリマーが塗布される基材中に存在する水分と反応して架橋構造を形成し得るのである。
イソシアネート基を有するウレタンポリマーは、単独または2種以上を併用できる。
イソシアネート基を有するウレタンポリマーの重量平均分子量(Mw)は、10,000~100,000が好ましく、20,000~80,000がより好ましく、2,0000~60,000がさらに好ましい。Mwを上記範囲に調整することで、粘着性と耐熱保持力を向上できる。
<ポリオール化合物(A)>
ポリオール化合物(A)は、1分子中に2つ以上の水酸基を有するポリオールであり、ポリプロピレングリコール(a1)、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)、ロジンポリオール(a3)、および(a1)~(a3)以外のその他ポリオール(a4)に分類される。本発明のポリオール化合物(A)は、ポリプロピレングリコール(a1)、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)、ロジンポリオール(a3)を含むことが好ましい。
前記ポリオール化合物(A)100質量%中、ポリプロピレングリコール(a1)及び3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)を合計で70質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがさらに好ましい。ポリプロピレングリコール(a1)及び3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)を合計で70質量%以上とすると、貯蔵弾性率E′(-10)、E′(23)、損失正接tanδの極大値を示す温度、及びtanδの極大値を本発明の好ましい範囲に制御し易く、粘着性と低温粘着力が良好となる。
<ポリプロピレングリコール(a1)>
ポリプロピレングリコール(a1)は、オキシプロピレンを繰り返し単位とし、両末端に水酸基を有する2官能の高分子化合物である。プロピレングリコール、エチレングリコール等のジオールを出発原料としてプロピレンオキサイドを付加重合させて製造され、ウレタン樹脂等に一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、三洋化成社のサンニックスPPシリーズや日油社のユニオールシリーズが挙げられる。
ポリプロピレングリコール(a1)は、数平均分子量3,000~5,000のポリプロピレングリコールを含むことが好ましく、数平均分子量3,500~4,500のポリプロピレングリコールを含むことがより好ましい。ポリプロピレングリコール(a1)の数平均分子量を3,000以上とすると、湿気硬化型ホットメルト粘着剤に含まれるイソシアネート基を有するウレタンポリマーのウレタン結合含有量を適度に設計することができ、粘着性を向上できる。一方、前記ポリプロピレングリコール(a1)の数平均分子量を5,000以下とすると、粘着剤の凝集力が向上し、耐熱保持力が良好となる。
ポリプロピレングリコール(a1)は、その効果に限定されるものではないが、主に湿気硬化型ホットメルト粘着剤に粘着性を付与するために用いられる。前記ポリオール化合物(A)100質量%中、ポリプロピレングリコール(a1)の含有率は好ましくは50~80質量%であり、より好ましくは、60~75質量%である。ポリオール化合物(A)100質量%中、ポリプロピレングリコール(a1)を50質量%以上とすることにより、貯蔵弾性率E′(23)や損失正接tanδの極大値を本発明の好ましい範囲に制御し易く、粘着性と低温粘着力が良好となり、ポリプロピレングリコール(a1)を80質量%以下とすることにより耐熱保持力がより良好となる。
また、数平均分子量3,000~5,000のポリプロピレングリコールに加えて、数平均分子量200~500のポリプロピレングリコール(a1´)を併用することが好ましい。イソシアネート基を有するウレタンポリマー製造時において、数平均分子量200~500のポリプロピレングリコール(a1´)を重合後期に加えて、イソシアネート基を有するウレタンポリマーの鎖延長を行うことで、耐熱保持力を向上できる。
前記ポリオール化合物(A)100質量%中、数平均分子量3,000~5,000のポリプロピレングリコールの含有率は好ましくは50~80質量%であり、より好ましくは60~75質量%である。数平均分子量200~500のポリプロピレングリコール(a1´)を併用する場合、数平均分子量200~500のポリプロピレングリコール(a1´)の含有率は好ましくは1~10質量%であり、より好ましくは、2~4質量%である。ポリオール化合物(A)100質量%中、数平均分子量200~500のポリプロピレングリコール(a1´)を1質量%以上とすることにより耐熱保持力をより向上でき、ポリプロピレングリコール(a1´)を10質量%以下とすることにより粘着性がより良好となる。
<3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)>
3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)は、オキシプロピレンまたはオキシエチレンを繰り返し単位とし、末端に水酸基を3つ以上有する高分子化合物である。グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、芳香族ジアミン、ジエチレントリアミン、ソルビトール、スクロース等の3官能以上のポリオールを出発原料としてプロピレンオキサイドまたはエチレンオキサイドを付加重合させて製造される。ウレタン樹脂等に一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、三洋化成社のサンニックスGPシリーズやADEKA社のアデカポリエーテルシリーズが挙げられる。
3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)の数平均分子量は、好ましくは3,000~5,000であり、より好ましくは3,500~4,500である。3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)の数平均分子量を3,000以上とすると、湿気硬化型ホットメルト粘着剤に含まれるイソシアネート基を有するウレタンポリマーのウレタン結合含有量を適度に設計することができ、粘着性を向上できる。一方、前記3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)の数平均分子量を5,000以下とすると、粘着剤の凝集力が向上し、耐熱保持力が良好となる。
3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)は、その効果に限定されるものではないが、主に湿気硬化型ホットメルト粘着剤に耐熱保持力を付与するために用いられる。前記ポリオール化合物(A)100質量%中、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)の含有率は好ましくは5~30質量%であり、より好ましくは、10~20質量%である。
ポリオール化合物(A)100質量%中、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)を5質量%以上とすることにより耐熱保持力をより向上できる。また、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)を30質量%以下とすることにより溶融粘度を下げることができ、基材への投錨性、粘着力を向上できるため、不織布、布、革の貼り合わせに好適である。
<ロジンポリオール(a3)>
ロジンポリオール(a3)は、分子内にロジン骨格を有するロジン変性ポリオールであれば特に限定されない。分子内にロジン成分を有するポリオールは、ロジンポリオールと称されるが、これにはロジン成分を除く骨格がポリプロピレングリコールのようなポリエーテル型と、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールのようなポリエステル型とがある。ロジンポリオールとしては、例えば、ロジンと多価アルコールとを反応させて得られるロジンエステル、ロジンとエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ変性ロジンエステル、ロジン骨格を有するポリエーテル等の水酸基を有する変性ロジンなどが挙げられる。
上記ロジン成分としては、例えば、アビエチン酸とその誘導体であるデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、ジアビエチン酸、ネオアビエチン酸、レボピマル酸等のピマル酸型樹脂酸、これらを水素添加した水添ロジン、これらを不均化した不均化ロジンなどが挙げられる。
ロジンポリオール(a3)の市販品としては、例えば、荒川化学工業製のD-6011、D-6240、KE-359、KE-601、KE-615-3、KE-622、KE-623、KE-624などが挙げられる。これらのなかでも、分子内にロジン骨格と水酸基をほぼ2個ずつ有するロジンジオールが好ましい。例えば、ロジン成分とビスフェノールA型エポキシ樹脂とを反応させて得られるポリオールであるD-6011は、本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤に好適に用いることができる。
ロジンポリオール(a3)の水酸基価(mgKOH/g)は、好ましくは20~300mgKOH/gであり、より好ましくは25~150mgKOH/gである。ロジンポリオール(a3)の水酸基価を20mgKOH/g以上とすると、湿気硬化型ホットメルト粘着剤の凝集力が向上し、耐熱保持力が良好となる。一方、粘着付与樹脂の水酸基価を300mgKOH/g以下とすると、湿気硬化型ホットメルト粘着剤の粘着性がより良好となる。なお、本発明で水酸基価は、JIS K 1557-1に準拠して測定した値を示す。
ロジンポリオール(a3)は、その効果に限定されるものではないが、主に湿気硬化型ホットメルト粘着剤の皮膜強度を向上させ、耐熱保持力を付与するために用いられる。前記ポリオール化合物(A)100質量%中、ロジンポリオール(a3)の含有率は好ましくは1~35質量%であり、より好ましくは、5~25質量%である。ポリオール化合物(A)100質量%中、ロジンポリオール(a3)を1質量%以上とすることにより耐熱保持力をより向上でき、ロジンポリオール(a3)を35質量%以下とすることにより粘着性を向上できる。
<その他ポリオール(a4)>
ポリオール化合物(A)は、前記ポリプロピレングリコール(a1)、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)、及びロジンポリオール(a3)を含むことが好ましく、さらに(a1)~(a3)以外のその他ポリオール(a4)を含有してもよい。
その他ポリオール(a4)としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジメチロールプロピオン酸またはジメチロールブタン酸(DMBA)等が挙げられる。
<ポリイソシアネート(B)>
ポリイソシアネート(B)は、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートであり、1分子中に2つのイソシアネート基を有する2官能イソシアネート(ジイソシアネートともいう)であることが好ましい。
ポリイソシアネート(B)は、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、p-フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5-オクチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加させたMDI(水添MDI)、水素添加させたXDI(水添XDI)、ポリメリックMDI等が挙げられる。
これらの中で、反応性の観点から芳香族ポリイソシアネートを用いることが好適である。中でも、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、またはポリメリックMDIが好ましく、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、またはポリメリックMDIがより好ましく、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートまたは2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートがさらに好ましい。
<イソシアネート基を有するウレタンポリマーの製造方法>
イソシアネート基を有するウレタンポリマーの製造方法を説明する。ただし、本発明は以下の製造方法に限定されるものではない。
イソシアネート基を有するウレタンポリマーは、ポリオール化合物(A)とポリイソシアネート(B)とを反応させることにより得られる。反応時に、ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基(イソシアナト基)は、ポリオール化合物(A)の水酸基よりも多くなるようなモル比(NCO/OH比)で使用する。これにより、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンポリマーが得られる。このイソシアネート基が空気中や接着の対象物中に存在する水分と反応して架橋構造を形成し得るのである。
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの製造工程を説明する。ただし、本発明は以下の製造工程に限定されるものではない。第一工程の反応は、例えば、ポリプロピレングリコール(a1)、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)、ロジンポリオール(a3)を反応容器に入れる。このとき、必要に応じてその他ポリオール(a4)、粘着付与樹脂、その他の添加剤を入れてもよい。(a1)~(a3)を加熱溶融し、均一な温度分布で制御し得る加熱器にて100~140℃に加熱しながら攪拌し、減圧脱水を十分に行う。次に、所定量のポリイソシアネート(B)を添加し、反応容器内にドライ窒素を吹き込み、水分が入らないようにして約4時間、90~140℃で反応を行うことによって製造される。さらに、第二工程の反応として、数平均分子量200~500のポリプロピレングリコール(a1´)を添加し、ウレタンプレポリマーを鎖延長してもよい。第二工程の反応は、そのまま同じ反応容器に数平均分子量200~500のポリプロピレングリコール(a1´)を添加し、さらに約2時間、90~140℃で反応を行うことによってイソシアネート基を有するウレタンポリマーが製造される。本反応は溶剤を必要としないが溶剤を用いてもよい。この場合、反応温度はその溶剤の沸点以下で行う必要がある。
前記ウレタンプレポリマーを製造する際には、ポリイソシアネート(B)が有するイソシアネート基と前記ポリオール化合物(A)が有する水酸基の当量比(NCO/OH比)は、湿気硬化型ホットメルト粘着剤の耐熱保持力及び基材への投錨性を高め粘着力を向上させるという点から、好ましくは1.1~2.0、より好ましくは、1.2~1.6である。
得られたウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有率( 以下、「NCO% 」と略記する。)は、好ましくは0.2~3.5%、より好ましくは、0.5~2.0%である。 イソシアネート基を有するウレタンポリマーのイソシアネート基含有率を0.2%以上とすると、湿気硬化型ホットメルト粘着剤の耐熱保持力が良好となり、イソシアネート基を有するウレタンポリマーのイソシアネート基含有率を3.5%以下とすると、粘着性を向上できる。なお、前記ウレタンプレポリマーのNCO% は、JISK1603-1に準拠し、電位差滴定法により測定した値を示す。
NCO%=4.202×(V1-V2)×c/m
V1: 空試験に要した塩酸の使用量(mL)
V2: 試料の滴定に要した測定した塩酸の使用量(mL)
c: 塩酸の濃度(mol/L)
m: 試料の質量(g)
4.202:1000mg を g に,そして百分率に変換する,NCO当量(42.02mg/ミリ当量)の定数
<湿気硬化型ホットメルト粘着剤の製造方法>
湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、イソシアネート基を有するウレタンポリマーそのものを本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤とすることもできるし、あるいは必要に応じて、粘着付与樹脂等のその他の添加剤を加え、湿気硬化型ホットメルト粘着剤とすることもできる。
<粘着付与樹脂>
粘着付与樹脂は、例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、キシレン樹脂、シクロペンタジエン-フェノール樹脂、脂肪族系、脂環族系、及び芳香族系の石油樹脂、水素添加された脂肪族系、脂環族系、及び芳香族系の石油樹脂、フェノール-変性石油樹脂、水酸基価が20未満であるロジンエステル樹脂及び変性ロジンエステル樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂、水素添加されたテルペン樹脂などが挙げられる。これらは単独または2種以上併用できる。これらの中で相溶性が良好で、損失正接tanδの極大値が大きくなり低温粘着力を向上できるという点から、テルペンフェノール樹脂、水酸基価が20未満であるロジンエステル樹脂及びマレイン酸変性ロジンエステル樹脂、芳香族系石油樹脂が好ましく、テルペンフェノール樹脂がより好ましい。
テルペンフェノール樹脂は一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、ヤスハラケミカル社のYSポリスターシリーズや荒川化学社のタマノルシリーズが挙げられる。
粘着付与樹脂の軟化点は、好ましくは80~160℃であり、より好ましくは100~150℃である。粘着付与樹脂の軟化点を80℃以上とすると、湿気硬化型ホットメルト粘着剤の耐熱粘着力を向上できる。一方、粘着付与樹脂の軟化点を160℃以下とすると、前記ウレタンプレポリマーとの相溶性が良好で好適に使用できる。なお、本発明で軟化点は、環球法によるものであり、JIS K5601-2-2に準拠して測定した値を示す。
テルペンフェノール樹脂の水酸基価(mgKOH/g)は、好ましくは20~160mgKOH/gであり、より好ましくは60~120mgKOH/gである。テルペンフェノール樹脂の水酸基価を20mgKOH/g以上とすると、湿気硬化型ホットメルト粘着剤のtanδの極大値が大きくなり低温粘着力を向上できる。一方、粘着付与樹脂の軟化点を160mgKOH/g以下とすると、湿気硬化型ホットメルト粘着剤の耐熱保持力を向上できる。なお、本発明で水酸基価は、JIS K 1557-1に準拠して測定した値を示す。
粘着付与樹脂は、その効果に限定されるものではないが、前記ウレタンプレポリマーと併用することによりtanδの極大値が大きくなり湿気硬化型ホットメルト粘着剤の低温粘着力を向上できる。前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、粘着付与樹脂の含有率は好ましくは5~50質量部、より好ましくは、10~30質量部である。前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、粘着付与樹脂を5質量部以上とすることにより低温粘着力に優れ、粘着付与樹脂を50質量部以下とすることにより、粘着性を維持できる。
その他添加剤としては、例えば、鎖延長剤、硬化触媒、水分除去剤、酸化防止剤、可塑剤、安定剤、充填材、染料、顔料、蛍光増白剤、シランカップリング剤、ワックス、熱可塑性樹脂等を用いることができる。
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤の120℃における溶融粘度は、基材への投錨性を高め粘着力を向上させるという点から、点から好ましくは1,000~25,000mPa・s、より好ましくは、3,000~15,000mPa・sである。本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤の120℃における溶融粘度は、湿気硬化型ホットメルト粘着剤を120℃で1時間加熱溶解した後、100mLをマヨネーズ瓶にサンプリングし、B型粘度計(ローター♯3、回転数12rpm)にて測定した値を示す。
<粘着シート>
本発明の粘着シートは、本願のイソシアネート基を有するウレタンポリマーを含む湿気硬化型ホットメルト粘着剤から形成された硬化粘着剤層を有する単層粘着シート、前記硬化粘着剤層/基材の積層構成とした片面粘着シート、または前記硬化粘着剤層/基材/前記硬化粘着剤層の積層構成とした両面粘着シートである。
粘着シートの厚さは、単層粘着シートの場合には好ましくは1μm~2cmであり、より好ましくは5μm~0.4cmである。片面粘着シートまたは両面粘着シートの場合には好ましくは2μm~3cmであり、より好ましくは10μm~0.5cmである。粘着シートの厚みを上記範囲にすることにより粘着力が良好となり、粘着剤の被着体への糊残りを防ぐことができる。
<粘着シートの製造方法>
粘着シートの製造方法を説明する。本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤の使用形態の一例として、基材と被着体を貼り合わせる粘着シートの用途に使用できる。以下に、粘着剤シートの製造方法について説明する。基材の貼り合せ面に80~140℃、好ましくは90℃~120℃の温度で溶融された本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤を塗工し、粘着剤層を形成する。必要に応じて、前記粘着剤層を保護するためのカバーフィルムを貼り合わせる。さらに後述の条件で養生を行うことにより硬化粘着剤層を形成する。
前記粘着シートの養生については、基材とカバーフィルムが貼り合わされた状態でもよいし、基材と被着体が貼り合わされた状態でもよいが、被着体への密着性を向上させる観点から、基材と被着体を接触させた状態で養生を行うことが好ましい。
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤の養生条件は、25℃、相対湿度50%で7日以上または40℃、相対湿度80%で1日以上養生を行うことが好ましい。
前記湿気硬化型ホットメルト粘着剤の塗布方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ブレードコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法、コンマコート法が挙げられる。
基材としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のプラスチック製フィルムまたは発泡体、ガラス板等の無機材料、不織布、紙等が挙げられる。基材は、シリコーン等の離型剤で表面が剥離処理されていてもよいし、コロナ処理されていてもよい。
カバーフィルムとしては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のプラスチック製フィルムが挙げられる。カバーフィルムは、シリコーン等の離型剤で表面が剥離処理されていてもよい。
また、本願の湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、粘着剤層単層の粘着シート、粘着剤層/基材の積層構成とした片面粘着シート、または粘着剤層/基材/粘着剤層の積層構成とした両面粘着シートとして使用することもできる。上記構成において粘着剤層はあらかじめ養生し硬化粘着剤層としてもよい。
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤の具体的な使用用途並びに被着体としては特に限定されず、例えば、自動車、建材、電気製品等に使用される緩衝材、遮音材、断熱材のポリオレフィン発泡体と各種基材との接着、自動車内装材用のドアパネルや天井材、ドアパネル、パーティション、家具、事務機器等の心材と表面材との接着、繊維、服飾用途に使用される不織布、布、革等の接着、画像表示装置(有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、量子ドットディスプレイ)、発光装置(有機EL照明、量子ドット照明)、各種電子部材(有機薄膜太陽電池、薄膜トランジスタ)、およびタッチパネルを含む入出力装置を構成する部材の接着、前記部材の封止等が挙げられる。
以下、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下実施例中および表中に記載された原料(溶剤を除く)の配合量は不揮発分換算である。
尚、本明細書において、「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を表す。また、RHは相対湿度を表す。
[分子量の測定]
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。測定条件は以下の通りである。なお、MwおよびMnはいずれも、ポリスチレン換算値である。
測定装置:昭光サイエンス社製GPC装置 「SHODEX GPC-101」
カラム:KF-G 4A/KF-805/KF-803/KF-802
温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
検出器:RI(示差屈折計)
[水酸基価の測定]
本発明の水酸基価は、JIS K 1557-1に準拠して測定した。
(実施例1)
撹拌機、温度計、窒素導入管、減圧装置を備えた反応容器に、ポリプロピレングリコール(a1)としてユニオールD-4000(日油社、数平均分子量4600)を72部、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)としてサンニックスGP―4000(三洋化成社、数平均分子量4000)を17部、ロジンポリオール(a3)としてパインクリスタルD-6011(荒川化学工業社、水酸基価125、軟化点90℃)を11部仕込み加熱溶融し、120℃で2時間減圧加熱した。窒素雰囲気下、70℃で加熱溶融したポリイソシアネート(B)として4,4’-MDI(東ソー社製「ミリオネートMT」)を13部加え、120℃で4時間反応させることで、イソシアネート基を有するウレタンポリマーを含有する湿気硬化型ホットメルト粘着剤を得た。
(実施例2~6、8)
表1に示すような組成で、ポリプロピレングリコール(a1)としてサンニックスPP―4000、サンニックスPP―3000、サンニックスPP―2000、またはサンニックスPP―400を用いた以外は実施例1と同様にして湿気硬化型ホットメルト粘着剤を得た。
(実施例7)
表1に示すような組成で、ポリプロピレングリコール(a1)としてサンニックスPP―4000、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)としてサンニックスGP―3000を用いた以外は実施例1と同様にして湿気硬化型ホットメルト粘着剤を得た。
(実施例9)
第一工程の反応として、撹拌機、温度計、窒素導入管、減圧装置を備えた反応容器に、ポリプロピレングリコール(a1)としてサンニックスPP―4000(三洋化成社、数平均分子量4000)を70部、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)としてサンニックスGP―4000(三洋化成社、数平均分子量4000)を17部、ロジンポリオール(a3)としてパインクリスタルD-6011(荒川化学工業社、水酸基価125、軟化点90℃)を11部仕込み加熱溶融し、120℃で2時間減圧加熱した。窒素雰囲気下、70℃で加熱溶融したポリイソシアネート(B)としてミリオネートMTを13部加え、120℃で4時間反応させた後、第二工程の反応として、平均分子量200~500のポリプロピレングリコール(a1´)としてサンニックスPP-400を2部添加し、120℃で2時間反応させ、ウレタンプレポリマーを鎖延長させることで、イソシアネート基を有するウレタンポリマーを含有する湿気硬化型ホットメルト粘着剤を得た。
(実施例10)
撹拌機、温度計、窒素導入管、減圧装置を備えた反応容器に、ポリプロピレングリコール(a1)としてサンニックスPP―4000(三洋化成社、数平均分子量4000)を70部、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)としてサンニックスGP―4000(三洋化成社、数平均分子量4000)を17部、ロジンポリオール(a3)としてパインクリスタルD-6011(荒川化学工業社、水酸基価125、軟化点90℃)を11部、粘着付与樹脂としてYSポリスターU-115(ヤスハラケミカル社、テルペンフェノール樹脂、水酸基価20、軟化点115℃)を10部仕込み加熱溶融し、120℃で2時間減圧加熱した。窒素雰囲気下、70℃で加熱溶融したポリイソシアネート(B)として4,4’-MDI(東ソー社製「ミリオネートMT」)を13部加え、120℃で4時間反応させることで、イソシアネート基を有するウレタンポリマーを含有する湿気硬化型ホットメルト粘着剤を得た。
(実施例11~12、15~21)
表1、表2に示すような組成で、粘着付与樹脂を仕込んだ以外は実施例10と同様にして湿気硬化型ホットメルト粘着剤を得た。
(実施例13~14)
表2に示すような組成で粘着付与樹脂およびその他ポリオール(a4)としてジメチロールブタン酸(DMBA)を仕込んだ以外は実施例1と同様にして湿気硬化型ホットメルト粘着剤を得た。
(実施例22~23、比較例1、2)
表2、表3に示すような組成で実施例1と同様にして湿気硬化型ホットメルト粘着剤を得た。
<湿気硬化型ホットメルト粘着剤の物性値および評価>
得られた湿気硬化型ホットメルト粘着剤の硬化物の貯蔵弾性率E′及び損失正接tanδを測定し、前記湿気硬化型ホットメルト粘着剤の粘着性、低温及び耐熱粘着力、及び耐熱保持力を下記の方法により評価した。
(貯蔵弾性率E′(-10)、E′(23)及び損失正接tanδ)
湿気硬化型ホットメルト粘着剤を120℃で加熱溶融し、アプリケーターを使用して厚さ50μmの離形処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、湿気硬化型ホットメルト粘着剤の厚さが50μmとなるように塗工した。25℃、50%RHで7日間放置し、硬化粘着剤層付きPETフィルムを得た。硬化粘着剤層を8枚積層して400μmの厚さの硬化物を得、試験片とした。前記試験片を幅5mm及び長さ20mm の長方形状に切断し、動的粘弾性試験機を用いて-10℃及び23℃の引っ張り貯蔵弾性率E′(-10)及びE′(23)と損失正接tanδ(=損失弾性率E′′/貯蔵弾性率E′)を下記測定条件により評価した。
測定装置:アイティー計測制御株式会社製動的粘弾性測定装置「DVA-200」
測定モード:引っ張りモード
振動数:1Hz
昇温速度:10℃/min
負荷歪み:0.08%
測定温度範囲:-60~200℃
(粘着性)
湿気硬化型ホットメルト粘着剤を120℃で加熱溶融し、アプリケーターを使用して厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、湿気硬化型ホットメルト粘着剤の厚さが50μmとなるように塗工した。25℃、50%RHで7日間放置し、硬化粘着剤層付きPETフィルムを得た。これに指圧をかけ触感により、粘着性を以下のように評価した。
〇(良) :強く指に硬化粘着剤層付きPETフィルムが張り付く
△(可) :指に硬化粘着剤層付きPETフィルムが張り付くが、弱い力で剥がれる
×(不可) :指に硬化粘着剤層付きPETフィルムが張り付かない
(低温粘着力)
粘着性の評価と同様の方法で硬化粘着剤層付きPETフィルムを作製した。次いで幅25mm、長さ80mmに断裁し、被着体としてSUS板に、質量2kgの圧着ローラを1往復させることで圧着し試験片を得た。試験片を-10℃の恒温室中で1時間静置した後、-10℃の恒温室中で、試験片の180度角剥離強度(剥離速度:300mm/分)を測定し低温粘着力とした。
[評価基準]
〇(優良) :20N/25mm以上
〇△(良) :5N/25mm以上、20N/25mm未満
△(可) :0.1N/25mm以上、5N/25mm未満
×(不可) :0.1N/25mm未満
(23℃粘着力)
粘着性の評価と同様の方法で硬化粘着剤層付きPETフィルムを作製した。次いで幅25mm、長さ80mmに断裁し、被着体としてSUS板に、質量2kgの圧着ローラを1往復させることで圧着し試験片を得た。試験片を23℃の恒温室中で1時間静置した後、23℃の雰囲気中で、試験片の180度角剥離強度(剥離速度:300mm/分)を測定し23℃粘着力とした。
[評価基準]
〇(優良) :20N/25mm以上
〇△(良) :5N/25mm以上、20N/25mm未満
△(可) :0.1N/25mm以上、5N/25mm未満
×(不可) :0.1N/25mm未満
(耐熱粘着力)
粘着性の評価と同様の方法で硬化粘着剤層付きPETフィルムを作製した。次いで幅25mm、長さ80mmに断裁し、被着体としてSUS板に、質量2kgの圧着ローラを1往復させることで圧着し試験片を得た。試験片を80℃の恒温室中で1時間静置した後、80℃の雰囲気中で、試験片の180度角剥離強度(剥離速度:300mm/分)を測定し耐熱粘着力とした。
[評価基準]
〇(優良) :5N/25mm以上
〇△(良) :1N/25mm以上、5N/25mm未満
△(可) :0.1N/25mm以上、1N/25mm未満
×(不可) :0.1N/25mm未満
(耐熱保持力)
粘着性の評価と同様の方法で硬化粘着剤層付きPETフィルムを作製した。次いで幅25mm、長さ80mmに断裁し、被着体としてSUS板を用い、貼り合わせ面積を25mm×25mmとし、質量2kgの圧着ローラを1往復させることで圧着し試験片を得た。試験片を23℃の恒温室中で1時間静置した後、50℃のオーブン中で、1kgの荷重を粘着剤層面に対して平行方向にかけ、荷重付加開始から24時間後にもとの位置からのずれ長さ(mm)を測定し耐熱保持力を評価した。
[評価基準]
〇(優良) :0mm(ずれなし)
〇△(良) :0mmを超えて3mm未満
△(可) :3mm以上、25mm未満
×(不可) :25mm以上
表1
表2
表3
表1~3における材料の詳細は以下の通りである。
(ポリオール(A))
(a1);ポリプロピレングリコール
・D―4000;「ユニオールD-4000」(日油社、数平均分子量4600)
・PP―4000;「サンニックスPP-4000」(三洋化成社、数平均分子量4000)
・PP―3000;「サンニックスPP-3000」(三洋化成社、数平均分子量3000)
・PP―2000;「サンニックスPP-2000」(三洋化成社、数平均分子量2000)
・PP―400;「サンニックスPP-400」(三洋化成社、数平均分子量400)
(a2);3官能以上のポリエーテルポリオール
・GP―4000;「サンニックスGP-4000」(三洋化成社、数平均分子量4000、ポリオキシプロピレントリオール、3官能)
・GP-3000;「サンニックスGP-3000」(三洋化成社、数平均分子量3000、ポリオキシプロピレントリオール、3官能)
(a3);ロジンポリオール
・D-6011;「パインクリスタルD-6011」(荒川化学工業社、水酸基価125、軟化点90℃)
(a4);その他ポリオール
・HS-350S;「HS-350S」(豊国製油社、結晶性ポリエステルジオール、数平均分子量3500)
・DMBA;ジメチロールブタン酸
(ポリイソシアネート(B))
・4,4’-MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート);「ミリオネートMT」(東ソー社)
(粘着付与樹脂)
・U-115;「YSポリスターU-115」(ヤスハラケミカル社、テルペンフェノール樹脂、水酸基価20、軟化点115℃)
・T-115;「YSポリスターT-115」(ヤスハラケミカル社、テルペンフェノール樹脂、水酸基価60、軟化点115℃)
・T-145;「YSポリスターT-145」(ヤスハラケミカル社、テルペンフェノール樹脂、水酸基価60、軟化点145℃)
・G-125;「YSポリスターG-125」(ヤスハラケミカル社、テルペンフェノール樹脂、水酸基価120、軟化点125℃)
・N-125;「YSポリスターN-125」(ヤスハラケミカル社、テルペンフェノール樹脂、水酸基価160、軟化点125℃)
・K-125;「YSポリスターK-125」(ヤスハラケミカル社、テルペンフェノール樹脂、水酸基価200、軟化点125℃)
・A-100;「スーパーエステルA-100」(荒川化学工業社、不均化ロジンエステル樹脂、水酸基価16、軟化点100℃)
表1、表2の実施例1~23に示す本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、粘着性を有し、かつ、低温粘着力、耐熱粘着力及び耐熱保持力に優れていた。
一方、表3の比較例1、2に示す湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、E′(23)が3.0MPa以上である様態であり、粘着性が不可であったため、粘着力を測定することができなかった。
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、自動車、建材、電気製品等に使用される緩衝材、遮音材、断熱材のポリオレフィン発泡体と各種基材との接着、自動車内装材用のドアパネルや天井材、ドアパネル、パーティション、家具、事務機器等の心材と表面材との接着、繊維、服飾用途に使用される不織布、布、革等の接着、画像表示装置(有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、量子ドットディスプレイ)、発光装置(有機EL照明、量子ドット照明)、各種電子部材(有機薄膜太陽電池、薄膜トランジスタ)、およびタッチパネルを含む入出力装置を構成する部材の接着に好適に使用できる。

Claims (7)

  1. ポリオール化合物(A)と、ポリイソシアネート(B)とを反応させてなる、イソシアネート基を有するウレタンポリマーおよび任意成分として粘着付与樹脂を含有する湿気硬化型ホットメルト粘着剤であり、
    前記ポリオール化合物(A)が、ポリプロピレングリコール(a1)、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)、及びロジンポリオール(a3)を含み、
    前記ポリオール化合物(A)100質量%中、ポリプロピレングリコール(a1)の含有率は50~80質量%であり、3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)の含有率は5~30質量%であり、ロジンポリオール(a3)の含有率は1~35質量%であり、
    前記粘着剤を25℃、相対湿度50%で7日間養生して形成された硬化物の-10℃における貯蔵弾性率E’(-10)が100MPa以下であり、
    前記硬化物の23℃における貯蔵弾性率E’(23)が3.0MPa以下である湿気硬化型ホットメルト粘着剤。
  2. 前記粘着剤の硬化物が、-60℃~0℃において、損失正接tanδが極大値を有し、前記極大値が1.0~3.0である、請求項1に記載の湿気硬化型ホットメルト粘着剤。
  3. ポリプロピレングリコール(a1)が、数平均分子量が3,000~5,000のポリプロピレングリコールを含む、請求項1または2に記載の湿気硬化型ホットメルト粘着剤。
  4. 前記ポリオール化合物(A)100質量%中、ポリプロピレングリコール(a1)と3官能以上のポリエーテルポリオール(a2)を合計で70質量%以上含む、
    請求項1~3いずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト粘着剤。
  5. ウレタンプレポリマー100質量部に対して、粘着付与樹脂を5~50質量部含有する、請求項1~4いずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト粘着剤。
  6. 粘着付与樹脂が水酸基価20~160mgKOH/gのテルペンフェノール樹脂である、請求項に記載の湿気硬化型ホットメルト粘着剤。
  7. 請求項1~いずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト粘着剤から形成された硬化粘着剤層を有する粘着シート。
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