JP7454481B2 - 貯蔵施設、及び、貯蔵方法 - Google Patents

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Description

本発明は、貯蔵施設及び貯蔵方法に関する。
地盤を掘削して発生する掘削岩石や土地造成時の掘削残土等は、自然由来の重金属等を含有している場合がある。重金属等の溶出濃度が環境基準値を超える場合は、これらの岩石又は土壌を貯蔵施設で貯蔵することが行われている。このとき、重金属等が環境中に漏れないように対処する必要があり、多くの場合、貯蔵施設の底部に遮水工又は吸着層を設けて岩石又は土壌を封じ込める方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、封じ込め構造の底部から排水された浸出水は適切に浄化処理する。
特許第6240041号公報
岩石又は土壌の重金属等の含有量は掘削を進めるに従って変化し得るので、予測を超える程度の重金属等が発生する場合がある。このとき、既存の封じ込め構造の見込みの計画量を超えると別途の封じ込め構造を構築して対処する必要が生じ、掘削工事が遅れる虞がある。また、当初は重金属等の含有量が十分に少ない健全な岩石又は土壌を貯蔵する予定であった貯蔵施設では、重金属等の含有量が想定外に多くなった場合はその貯蔵に対応できない。
そこで本発明は、貯蔵対象物の重金属等の含有総量が当初の計画量を超えた場合でも対応できる貯蔵施設、及び、貯蔵方法を提供することを目的とする。
本発明は、地山に設けられた第1の貯蔵部と、第1の貯蔵部の容積内に設けられた第2の貯蔵部とを備え、第2の貯蔵部は、遮水工を有する封じ込め構造である貯蔵施設を提供する。
この貯蔵施設では、第2の貯蔵部が遮水工を有しているので、重金属等の含有量が高い貯蔵対象物をここに貯蔵することができる。したがって、予測を超える量の重金属等が発生した場合でも対処可能である。
ここで、第2の貯蔵部は、第1の貯蔵部に任意の高さにまで貯蔵された貯蔵対象物の上に設けられていてもよい。例えば、第1の貯蔵部に健全な岩石又は土壌を貯蔵していた場合でも、重金属等の含有量が高い岩石又は土壌を貯蔵する必要が生じたときには、健全な岩石又は土壌を土台にして設けられた第2の貯蔵部に貯蔵することができる。
本発明において、第2の貯蔵部は、複数設けられていてもよい。第2の貯蔵部が複数設けられていると、重金属等の含有量が高い貯蔵対象物をより多く貯蔵することができる。
第2の貯蔵部における遮水工は、高分子化合物を含む遮水構造形成用組成物を第2の貯蔵部を設けるべき箇所に適用して形成されたものであってもよい。
また、第2の貯蔵部は、浸出水を外部へ排水する排水管が接続されており、排水管は、その内部を流れる水の水位が所定の高さに達するまで水の流れを堰き止める仕切り構造と、仕切り構造の上流側に交換可能に配置された吸着材と、を備え、所定の高さは吸着材の高さを超えない任意の高さであってもよい。この排水管によれば、浸出水に含まれている重金属等を効率よく吸着除去することができる。
本発明は、地山に設けられた第1の貯蔵部に貯蔵された貯蔵対象物の上に、遮水工を有する封じ込め構造である第2の貯蔵部を設け、第2の貯蔵部に汚染物質を含有する岩石又は土壌を貯蔵する貯蔵方法を提供する。この貯蔵方法によれば、例えば、第1の貯蔵部に健全な岩石又は土壌を貯蔵していた場合でも、重金属等の含有量が高い岩石又は土壌を貯蔵する必要が生じたときには、健全な岩石又は土壌を土台にして第2の貯蔵部を設けることで、そこに重金属等の含有量が高い岩石又は土壌を貯蔵することができる。
この貯蔵方法では、高分子化合物を含む遮水構造形成用組成物を第2の貯蔵部を設けるべき箇所に適用して遮水工を形成してもよい。
本発明によれば、貯蔵対象物の重金属等の含有総量が当初の計画量を超えた場合でも対応できる貯蔵施設、及び、貯蔵方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る貯蔵施設の断面図である。 排水管が接続された第2の貯蔵部を示す図である。 (A),(B),(C)いずれも、貯蔵施設の構築方法を示す図である。 (A),(B),(C)いずれも、貯蔵施設の構築方法を示す図である。 (A),(B)いずれも、集排水管とその周囲に設けた吸着構造を示す断面図である。 排水管の側断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の貯蔵施設は、貯蔵対象物として地盤の掘削や土地造成の際に発生した岩石や土壌等を貯蔵するためのものである。これらの貯蔵対象物には重金属等の汚染物質が含有されている場合がある。本実施形態では便宜上、重金属等が環境基準値を超えて溶出し得る貯蔵対象物を「汚染岩石」と呼び、重金属等を含有していない又は重金属等が環境基準値を超えて溶出する虞の小さい貯蔵対象物を「健全岩石」と呼んで区別する。ここで「重金属等」とは、土壌汚染対策法における特定有害物質のうち第二種特定有害物質に区分されているカドミウム、六価クロム、シアン、水銀、セレン、鉛、ヒ素、フッ素、ホウ素、及びこれらの化合物を指している。従って、「重金属等」はシアン、ヒ素、フッ素及びホウ素をも含む概念である。
<第1の貯蔵部、第2の貯蔵部>
図1に示されているとおり、本実施形態の貯蔵施設1は、地山Mに設けられた第1の貯蔵部2と、第1の貯蔵部2の容積内に設けられた二つの第2の貯蔵部3(3A,3B)とを備えている。図1では、第1の貯蔵部2及び第2の貯蔵部3がいずれも貯蔵対象物で満たされた様子を示している。また、この貯蔵施設1は第2の貯蔵部3が二つ設けられているが、第2の貯蔵部3の数は一つであっても三つ以上であってもよい。
第1の貯蔵部2は健全岩石4を貯留するためのものであり、その底面には遮水工が設けられていない。他方、第2の貯蔵部3A,3Bは汚染岩石5を貯留するためのものであり、遮水工が設けられた封じ込め構造とされている。
第2の貯蔵部3について説明する。図2に示されているとおり、第2の貯蔵部3には、浸出水を集合させるための複数の集排水管が敷設されている。より詳細には、第2の貯蔵部3には、投入スペースの底部に設けられた底部遮水工6Aの上面に、幹線としての底部集排水管7Aと、底部集排水管7Aに接続された支線としての底部集排水管7Bと、底部集排水管7Bに接続された法面集排水管8と、底部集排水管7Aから立ち上がる竪形集排水管9とが設置されている。
底部集排水管7Aの下流側終点部分は、第2の貯蔵部3の出口において排水管10と接続されている。排水管10は、その下流の終点部分が、第2の貯蔵部3に隣接して設けられた集水ピット11に接続されている。集水ピット11内には送水ポンプ12が配置され、その送水先として水処理施設14がある。
底部集排水管7A、底部集排水管7B、法面集排水管8、および竪形集排水管9は、いずれも流れ方向に沿って複数の孔が開けられている有孔管であって、第2の貯蔵部3に投入された岩石又は土壌から浸出する浸出水をその内部に取り込むことができる。これらの集排水管はいずれも第2の貯蔵部3において所定の傾斜角度(すなわち勾配)をもって設置されている。特に、底部集排水管7Aは、他の集排水管を流れる浸出水を集合させて排水する役割があり、重力(すなわち自然流下)によって浸出水を流下させる。底部集排水管7Aの直径は、たとえば300~600mm程度である。
底部集排水管7A内を流下した浸出水は、排水管10を通過した後、集水ピット11に貯留される。集水ピット11に貯留された浸出水は、送水ポンプ12により、送水ライン13を通じて水処理施設14に移送される。水処理施設14に移送された浸出水は、所定の処理(たとえば前処理、凝集沈殿処理、生物分解処理等)が施されることにより浄化される。水処理施設14での処理は、重金属等を処理する工程を含んでいてもよいし含んでいなくてもよい。水処理施設14では、重金属等の濃度を測定できることが好ましい。
図3及び図4を参照しながら、貯蔵施設1の構築方法を説明する。始めに、地山Mをそのまま第1の貯蔵部2としての健全岩石4の貯蔵先とし、健全岩石4を貯蔵していく。汚染岩石5が発生してこれを処理する必要が生じた場合、貯蔵している健全岩石4の上面に、封じ込め構造を構築するための領域R1を用意する(図3(A))。領域R1に底部遮水工6Aを設け、その上面に底部集排水管7A等の各種の集排水管を配設する(図3(B))。ここで、底部遮水工6Aとは、領域R1における底部と法面部とを合わせた部分に設けた遮水工を指している。また、底部遮水工6Aは、底部集排水管7Aを配置する部分が最も低くなるように傾斜させることが好ましい(後述する図5も参照)。これを第2の貯蔵部3Aとし、ここに汚染岩石5を貯蔵していく。貯蔵すべき汚染岩石5が発生しなくなったら上部遮水工6Bを設けて第2の貯蔵部3Aをキャッピングする(図3(C))。上部遮水工6Bは水平に設けてもよいが、任意の方向に勾配をもたせて設けると、上部遮水工6Bに接触する雨水や第1の貯蔵部2の浸出水を自然に流下させることができる。
その後、健全岩石4の貯蔵を続けていき、その後、再度汚染岩石5が発生してこれを処理する必要が生じた場合、貯蔵している健全岩石4の上面に、第2の貯蔵部3Bである封じ込め構造を構築するための領域R2を用意する(図4(A))。そして領域R2に底部遮水工6Aを設け、その上面に底部集排水管7A等の各種の集排水管を配設する(図4(B))。これを第2の貯蔵部3Bとし、ここに汚染岩石5を貯蔵していく。第2の貯蔵部3Bでは、領域R2を健全岩石4の平坦な上面に用意したため側面の一部に遮水工を設けておらず、汚染岩石5の貯蔵と健全岩石4の貯蔵とを並行して行っている。このようにすると、汚染岩石5の発生量を確認しながら第2の貯蔵部3Bの大きさを後で決定することができる(図4(C))。
貯蔵すべき汚染岩石5が発生しなくなったら上部遮水工6Bを設けて第2の貯蔵部3Bをキャッピングする(図1の状態)。以上のようにして第1の貯蔵部2と第2の貯蔵部3A,3Bとが満たされた貯蔵施設1を構築することができる。なお、図1に示されている貯蔵施設1は第1の貯蔵部2と第2の貯蔵部3A,3Bとが満たされた状態を描いているが、本実施形態では、図3(B)のように第2の貯蔵部3Aのための遮水工を設けた時点で貯蔵施設1と呼んでよい。
<遮水工>
ここで、遮水工について説明する。底部遮水工6A及び上部遮水工6Bは、樹脂からなる遮水シートであってもよいが、遮水構造形成用組成物を散布して形成した高分子膜であってもよい。この場合、以下に挙げる成分を混合して遮水構造形成用組成物を調製し、これを領域R1,R2及び汚染岩石5の上面に散布することで、底部遮水工6A及び上部遮水工6Bをそれぞれ形成することができる。散布には、ハイドロシーダー(種子吹付機)、ハイウォッシャー(高圧洗浄機)、コンクリート吹付機等を使用することができる。散布した後、散布表面を目視観察する。散布ムラが生じている箇所には重ねて散布することができる。重ねて散布した場合でも、はじめに散布した遮水構造形成用組成物に対して次の遮水構造形成用組成物が接着できるため、別途の手当ては不要である。遮水構造形成用組成物を放置すると、自然乾燥して固化し、そして硬化剤を含んでいる場合は硬化反応が進んで固化し、遮水工(遮水構造)としての高分子膜が形成される。
遮水構造形成用組成物は、その全質量を基準として、高分子化合物が21質量%~57質量%の量で水に混合されてなる混合液である。遮水構造形成用組成物は、水溶液であってもよく、懸濁液であってもよい。液体としての均一性の観点からは、水溶液であることが好ましい。高分子化合物の含有割合は、25質量%~50質量%であることが好ましく、30質量%~45質量%であることがより好ましい。水の割合が過剰であると、遮水構造形成用組成物が固化する際に水が十分に蒸発する前に表面の固化が進むため、表面に気泡が発生し、生じる高分子膜の見栄えが悪くなる。
高分子化合物としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル・スチレン共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。高分子化合物を複数種含む場合は、ここに挙げた高分子化合物が高分子化合物全体の50質量%以上を占める主成分であることが好ましい。この場合、50質量%未満を占める副成分としては、ウレタン重合体、N-メチルピロドリン等であることが好ましい。
遮水構造形成用組成物は、高分子化合物を硬化させる硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤を含んでいると、高分子化合物がさらに硬化することとなるので、できあがる高分子膜の透水係数をさらに低下させることができる。硬化剤としては、使用する高分子化合物に対して働くものであれば特に制限はなく、例えば脂肪族ジイソシアネート、有機過酸化物を用いることができる。硬化剤としては、高分子化合物の化合物鎖間を架橋する架橋剤であることが好ましい。また、イソシアネート系化合物であることが好ましく、脂肪族ジイソシアネートプレポリマーが好ましい。硬化剤の含有割合は、遮水構造形成用組成物の全質量を基準として、10質量%以下であってもよく、0.5質量%~8質量%であってもよく、1質量%~5質量%以下であってもよく、2質量%~4質量%であってもよい。硬化剤の割合が過剰であると、遮水構造形成用組成物が固化する際に水が十分に蒸発する前に表面の固化が進むため、表面に気泡が発生し、生じる高分子膜の見栄えが悪くなる。
遮水構造形成用組成物は、増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤を含んでいると、遮水構造形成用組成物の粘性が増し、法面に適用したときに液だれを防止することができる。増粘剤としては、グアガム、キサンタンガム、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。増粘剤の含有割合は、遮水構造形成用組成物の全質量を基準として、0.1質量%~10.0質量%であることが好ましく、0.5質量%~5.0質量%であることがより好ましく、0.8質量%~3.0質量%であることがより好ましい。
遮水構造形成用組成物は、さらに他の成分を含んでいてもよい。例えば、食紅等の着色剤を含んでいると、散布の程度や散布ムラの有無を視覚的に確認することが容易になる。
この遮水構造形成用組成物を用いて遮水工を形成する場合、遮水すべき箇所に先に不織布を敷設してもよい。すなわち、遮水すべき箇所に不織布を敷設した後に、その不織布の上に遮水構造形成用組成物を同様に散布する。この場合、遮水構造形成用組成物が不織布に含浸して、不織布と高分子化合物との複合体が形成される。あるいは、不織布の表面に上記の高分子膜が形成され、不織布と高分子化合物との複合体が形成される。いずれの複合体も遮水工として機能する。
この遮水工としての複合体は、不織布を含んでいるので耐久性が高い。また、不織布は遮水構造形成用組成物の足場となるので、遮水構造形成用組成物の粘性が低い場合であっても法面において液だれが起きにくい。遮水すべき箇所が岩石質である場合、岩石間の空隙が多く遮水構造形成用組成物を単独で用いた場合は遮水構造形成用組成物がその空隙に流れ込むため高分子膜が形成されにくい場合があるが、不織布を用いるとその空隙に蓋をしたうえで遮水構造形成用組成物を散布する恰好となるので、遮水工を容易に構築することができる。
<集排水管の周囲での重金属等の吸着除去>
汚染岩石から浸出する浸出水から重金属等を除去することを目的として、集排水管の周囲に吸着構造を設けることが好ましい。集排水管の幹線である底部集排水管7Aを例にして説明する。
吸着構造の一例として、図5(A)に示されているとおり、吸着材を充填した透水性の吸着マット16を底部集排水管7Aに被せてもよい。ここで吸着マット16は、底部集排水管7Aの表面形状に倣って接触するとともに、続いて底部遮水工6Aの表面に接触しているので、浸出水が底部集排水管7A内に取り込まれる前に必ず吸着マット16に浸透して内部の吸着材に接触することになる。
吸着構造の他の例として、図5(B)に示されているとおり、吸着材と透水性の砂とを混合してなる土質材料18を底部集排水管7Aの周囲に盛土してもよい。ここで土質材料18は底部集排水管7Aと底部遮水工6Aとに接触しているので、浸出水が底部集排水管7A内に取り込まれる前に必ず土質材料18に浸透して吸着材に接触することになる。
<排水管>
第2の貯蔵部3の出口に接続されている排水管10について詳細に説明する。排水管10は、第2の貯蔵部3の集排水管で集められた浸出水に含まれている重金属等を吸着除去しながら浸出水を集水ピット11へ導くための流路である。排水管10は、第2の貯蔵部3A,3Bの出口に1%~5%程度の勾配をもたせて接続されている。排水管10は、通過する浸出水に含まれている重金属等を除去するためのものであり、具体的には、排水管10の内部に配置した吸着材によって重金属等を吸着する。排水管10は、例えばU字溝であり、蓋を設けてもよい。排水管10の全長は例えば4m~20m、幅が350mm~750mmである。排水管10の材質は例えば樹脂であってもよく、コンクリートであってもよい。
図6に示されているとおり、排水管10は上部が開放されたU字溝であり、その内部には第2の貯蔵部3A,3Bからの浸出水の流れを堰き止める仕切り板(仕切り構造)21が互いに間隔をあけて複数箇所に設けられているとともに、各仕切り板21の上流側に吸着材22が配置されている。ここで吸着材22は、透水性の袋又は容器に収容した状態で配置されているが、図示上は袋又は容器を省略している。なお、図6では排水管10を勾配を無視して水平に描いており、白抜き矢印の向きが浸出水が流れる向きを表している。仕切り板21の材質は例えば樹脂であってもよく、金属であってもよい。
ここで、仕切り板21は排水管10の底面に対して垂直に設けられており、仕切り板21の高さは吸着材22の高さを超えない高さとされている。すなわち、仕切り板21の高さは吸着材22の高さ以下とされている。この高さ関係は、浸出水が吸着材22を浸して更に水位が上昇していくときに、浸出水が吸着材22を全て浸す前にその水面が仕切り板21の高さに達し、浸出水が仕切り板21の上部を越えて下流へ流れることを意味している。ここで、仕切り板21の高さは吸着材22の高さの半分以上であることが好ましい。この場合、浸出水の水位が仕切り板21の上部に達する時間が長くなり、又は、浸出水が仕切り板21に堰き止められて仕切り板21の手前で滞留する時間が長くなり、その分浸出水が吸着材22に接触する時間が長くなる。なお、ここで「高さ」及び「水位」とは、排水管10の底面に対して垂直な方向への長さを表している。
吸着材は、重金属等を吸着できるものであればよく、例えばゼオライト、鉄、水酸化鉄系化合物、希土類元素が挙げられる。吸着材の粒径は乾式篩法で測定したときの値として500μm以上であってもよく、2mm以上であってもよい。
また、排水管10には、鉄イオン又はカルシウムイオンを吸着する補助材を同時に配置してもよい。補助材は、透水性の袋又は容器に収容し、仕切り板21の上流側に配置している一部の吸着材の代わりに配置してもよく、排水管10内の最上流に一つだけ配置してもよい。また、補助材は吸着材22と混合して吸着材と同じ袋又は容器に収容してもよい。補助材を用いることにより、排水管10内で赤水が発生したり、吸着材22が目詰まりしたりすることを防止できる。
以上に説明した排水管10によれば、底部集排水管7Aから排水管10へ流れ込んできた浸出水は、その水位が仕切り板21の高さに達するまでは仕切り板21に堰き止められてその上流側に配置された吸着材22に接触し続ける。この接触時間の確保により浸出水に含まれている重金属等が吸着材22によって効率的に除去される。やがて浸出水の水位が仕切り板21の高さを超えると、浸出水は仕切り板21の上部を越えて流れ、仕切り板21の下流側に配置された次の吸着材22に接触する。ここで、仕切り板21の高さは吸着材22の高さよりも低いので、仕切り板21の上部を越えて流れる浸出水は、必ず吸着材22に接触していることになる。したがって、浸出水から重金属等が除去される機会が確保されているといえる。
また、吸着材22は交換可能であるので、重金属等を十分に吸着して吸着能が低下した吸着材22を新品に交換することで、浸出水から重金属等を除去する能力を確保することができる。吸着材22の吸着能が低下したかどうかの判断は、例えば排水管10から排出された浸出水が貯められる集水ピット11において、又は、そこから送水される水処理施設14において、重金属等の濃度を確認することで行うことができる。
また、本実施形態の排水管10によれば、浸出水の重金属等の濃度を十分に低減できるので、その後に重金属等を処理するための工程を設ける必要性を小さくすることができる。
<貯蔵施設の効果>
以上に説明した貯蔵施設1によれば、第2の貯蔵部3が遮水工を有しているので、重金属等の含有量が高い貯蔵対象物をここに貯蔵することができる。すなわち、第1の貯蔵部2に健全岩石を貯蔵していた場合でも、重金属等の含有量が高い汚染岩石を貯蔵する必要が生じたときには、健全岩石を土台にして第2の貯蔵部3を設けることで、そこに汚染岩石を貯蔵することができる。したがって、本実施形態によれば、発生した重金属等の含有総量が当初の計画量を超えた場合でも柔軟に対応することができる貯蔵方法が提供される。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記実施形態では第1の貯蔵部2には健全岩石を貯蔵する態様としているが、第1の貯蔵部2にも遮水工を設け汚染岩石を貯蔵する態様としてもよい。また、上記実施形態では集水ピット11からの送水先として水処理施設14を設けているが、水処理施設14を設けずに直接放流してもよい。
本発明は、重金属等を多く含有する岩石又は土壌の貯蔵に利用することができる。
1…貯蔵施設、2…第1の貯蔵部、3(3A,3B)…第2の貯蔵部、4…健全岩石、5…汚染岩石、6A…底部遮水工、6B…上部遮水工、7A,7B…底部集排水管、8…法面集排水管、9…竪形集排水管、10…排水管、11…集水ピット、12…送水ポンプ、13…送水ライン、14…水処理施設、16…吸着マット、18…土質材料、21…仕切り板、22…吸着材、M…地山、R1,R2…領域。

Claims (7)

  1. 地山に設けられ、健全岩石が貯蔵された第1の貯蔵部と、
    前記第1の貯蔵部の容積内に設けられ、汚染岩石が貯蔵された第2の貯蔵部と、を備え、
    前記第2の貯蔵部は、遮水工を有する封じ込め構造である、貯蔵施設。
  2. 前記第2の貯蔵部は、前記第1の貯蔵部に任意の高さにまで貯蔵された貯蔵対象物の上に設けられている、請求項1記載の貯蔵施設。
  3. 前記第2の貯蔵部は、複数設けられている、請求項1又は2記載の貯蔵施設。
  4. 前記遮水工は、高分子化合物を含む遮水構造形成用組成物を前記第2の貯蔵部を設けるべき箇所に適用して形成されたものである、請求項1~3のいずれか一項記載の貯蔵施設。
  5. 前記第2の貯蔵部は、浸出水を外部へ排水する排水管が接続されており、
    前記排水管は、その内部を流れる水の水位が所定の高さに達するまで前記水の流れを堰き止める仕切り構造と、前記仕切り構造の上流側に交換可能に配置された吸着材と、を備え、前記所定の高さは前記吸着材の高さを超えない任意の高さである、請求項1~4のいずれか一項記載の貯蔵施設。
  6. 地山に設けられた第1の貯蔵部に貯蔵された健全岩石の上に、遮水工を有する封じ込め構造である第2の貯蔵部を設け、
    前記第2の貯蔵部に汚染岩石を貯蔵する、貯蔵方法。
  7. 高分子化合物を含む遮水構造形成用組成物を前記第2の貯蔵部を設けるべき箇所に適用して前記遮水工を形成する、請求項6記載の貯蔵方法。
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