JP7453915B2 - 栄養製品 - Google Patents

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Description

本発明は、一般的には、がんを有する対象における、転移を遅延させるか、または阻害するための療法および処置に対する応答性の増大の分野に関する。より具体的には、本発明は、食事中のアスパラギンを減少させることにより、または転移を遅延させるか、もしくは阻害する、および/または上皮間葉移行を防止するための他の手段により、対象の血清中のアスパラギンのレベルを変化させることに関する。本発明はまた、がん転移の特定のリスクがあるがんを有する患者集団の同定および処置にも関する。
がんは、細胞が未制御の増殖を受け、細胞増殖の正常な限界を超えて増殖し、分裂する疾患である。これらの細胞は、周囲の組織に侵入し、これを破壊し得る。さらに、がん細胞は、転移することがあり、それらは血液系またはリンパ系を介して体内の他の領域に拡散し得る。
がんの処置は、腫瘍を取り除くための外科手術、腫瘍サイズを減少させるための放射線療法、またはがんを処置するための薬物もしくは他の医薬を使用する薬物療法/化学療法を含んでもよい。がんの生存率は、がんの型に応じて変化する;しかしながら、転移したがんについては、生存率は特に低い。
例えば、乳がんで死亡する女性の大部分は、原発腫瘍によって殺されるのではなく、初期病変が除去された後に明らかとなる転移によって殺されるのである。細胞が転移に寄与するためには、それらは原発部位を離れ、血管系に進入し、血液中で生存し、次いで、浸出し、二次部位に定着しなければならない(Vanharanta et al. 2013)。乳房腫瘍不均一性のモデルの以前の研究により、血管擬態を必要とする非侵襲性機構を介して血管系に進入する能力を有する2つの4T1サブクローン株(4T1-Eおよび-T)が同定された(Wagenblast et al. 2015およびMiller at al. 1983)。しかしながら、これらの2つのクローンは、二次病変へのそれらの寄与において大きく異なっていた。
したがって、転移のドライバーを同定し、転移を遅延させるか、または阻害することができる薬剤を提供することが必要である。
本発明者らは驚くべきことに、原発腫瘍におけるアスパラギン合成酵素(ASNS)発現が後の転移性再発と強く相関すること、およびがんを有する対象におけるアスパラギン血清レベルの低下が転移を遅延させるか、または阻害することができることを発見した。さらに、本発明者らは驚くべきことに、食事またはその他の方法により、細胞外アスパラギンの利用可能性を低下させることが、転移を有利に遅延させる、または阻害することを示した。転移を遅延させる、または阻害する食事的手段は、有利には、現行のがん処置レジメンを補完することができる。
したがって、本発明の第1の態様では、全ての必須アミノ酸を含み、アスパラギンを実質的に含まない、複数のアミノ酸を含む栄養製品を提供する。好適には、栄養製品は、少なくとも12種のアミノ酸を含んでもよい。
好適には、栄養製品は、グルタミン、グリシン、セリン、システイン、チロシンおよびアルギニンからなる群から選択される、少なくとも1つまたは複数のさらなる非必須アミノ酸を実質的に含まなくてもよい。
好適には、栄養製品は、1つもしくは複数の主要栄養素および/または1つもしくは複数の微量栄養素をさらに含んでもよい。
好適には、栄養製品は、例えば、25mg/kg/日未満または20mg/kg/日未満または18mg/kg/日未満または16mg/kg/日未満のレベルでメチオニンをさらに含んでもよい。
好適には、製品を、1日平均総タンパク質消費量に基づく必須アミノ酸の少なくとも1日推奨摂取量を提供するように製剤化することができる。
好適には、栄養製品は、固体または液体の形態にあってもよい。それを、食事代用品としての経口投与のために製剤化することができる。あるいは、それを静脈内送達することができる。
別の態様では、本発明は、成分が水中に溶解もしくは分散され、噴霧乾燥された本発明の栄養製品を調製するプロセスを提供する。
さらなる態様では、本発明は、本発明の栄養製品または本発明のプロセスに従って生産された栄養製品と、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
好適には、医薬組成物は、がん細胞増殖の阻害剤、抗転移剤、免疫チェックポイント阻害剤、放射線療法剤および化学療法剤から選択される治療剤をさらに含んでもよい。好適には、治療剤は、血液中のアスパラギンレベルを低下させることができる。
好適には、治療剤は、アスパラギン合成酵素阻害剤またはL-アスパラギナーゼであってもよい。
本発明はさらに、療法における使用のための、本発明の栄養製品または本発明に従って生産された栄養製品または本発明の医薬組成物を提供する。
さらなる態様では、本発明は、がんを有する対象における転移を遅延させるか、または阻害する際に使用するための薬剤であって、がんを有する対象の血液中のアスパラギンレベルを低下させる(すなわち、血液中のアスパラギンのバイオアベイラビリティ、例えば、細胞外レベルを低下させる)、薬剤を提供する。
好適には、薬剤を、
a.本発明の栄養製品;
b.本発明のプロセスに従って生産された栄養製品;
c.本発明の医薬組成物;
d.アスパラギン合成酵素阻害剤;または
e.L-アスパラギナーゼ
からなる群から選択することができる。
好適には、がんを、乳がん、結腸がん、頭頸部扁平上皮がん、腎明細胞がんおよび子宮内膜がんからなる群から選択することができる。
好適には、薬剤は、L-アスパラギナーゼとの同時投与または連続投与のために製剤化することができる本発明の栄養製品または医薬組成物であってもよい。
好適には、薬剤(例えば、栄養製品)を、がん細胞増殖の阻害剤、抗転移剤、免疫チェックポイント阻害剤、放射線療法剤および化学療法剤から選択される治療剤と組み合わせて使用することができる。
好適には、対象は、対照または所定のレベルよりも高いアスパラギン合成酵素の発現レベルを有すると決定されていてもよい。好適には、アスパラギン合成酵素の発現レベルを、腫瘍試料中で決定することができる。
好適には、対象は、対照または所定のレベルよりも高い血清アスパラギンのレベルを有すると決定されていてもよい。
好適には、対照は、固形腫瘍を有してもよい。
別の態様では、本発明は、がんを有する対象における転移を遅延させる、または阻害するための薬剤の製造における化合物または組成物の使用であって、対象の血液中のアスパラギンレベルを低下させる(すなわち、血液中のアスパラギンのバイオアベイラビリティ、例えば、細胞外レベルを低下させる)、化合物または組成物の使用に関する。
好適には、化合物または組成物は、
a.本発明の栄養製品;
b.本発明のプロセスに従って生産された栄養製品;
c.本発明の医薬組成物;
d.アスパラギン合成酵素阻害剤;または
e.L-アスパラギナーゼ
であるか、またはそれを含んでもよい。
好適には、がんを、乳がん、結腸がん、頭頸部扁平上皮がん、腎明細胞がんおよび子宮内膜がんからなる群から選択することができる。
好適には、栄養製品または医薬組成物を、L-アスパラギナーゼとの同時投与または連続投与のために製剤化することができる。
好適には、化合物または組成物(例えば、栄養製品)を、がん細胞増殖の阻害剤、抗転移剤、免疫チェックポイント阻害剤、放射線療法剤および化学療法剤から選択される治療剤と組み合わせて使用することができる。
好適には、対象は、対照または所定のレベルよりも高いアスパラギン合成酵素の発現レベルを有すると決定されていてもよい。
好適には、対象は、対照または所定のレベルよりも高い血清アスパラギンのレベルを有すると決定されていてもよい。
好適には、対照は、固形腫瘍を有してもよい。
さらなる態様では、本発明は、対象におけるがんを処置する方法であって、治療有効量の薬剤を前記対象に投与することを含み、前記薬剤が、がんを有する対象の血液中のアスパラギンレベルを低下させる(すなわち、血液中のアスパラギンのバイオアベイラビリティ、例えば、細胞外レベルを低下させる)、方法を提供する。
好適には、薬剤は、
a.本発明の栄養製品;
b.本発明のプロセスに従って生産された栄養製品;
c.本発明の医薬組成物;
d.アスパラギン合成酵素阻害剤;または
e.L-アスパラギナーゼ
を含んでもよい。
好適には、がんを、乳がん、結腸がん、頭頸部扁平上皮がん、腎明細胞がんおよび子宮内膜がんからなる群から選択することができる。
好適には、治療有効量の薬剤(例えば、本発明の栄養製品または医薬組成物)を、治療有効量のL-アスパラギナーゼと同時投与または連続投与することができる。
好適には、治療有効量の薬剤(例えば、栄養製品)を、がん細胞増殖の阻害剤、抗転移剤、免疫チェックポイント阻害剤、放射線療法剤および化学療法剤から選択される治療剤と組み合わせて投与することができる。
好適には、対象は、対照または所定のレベルよりも高いアスパラギン合成酵素の発現レベルを有すると決定されていてもよい。
好適には、対象は、対照または所定のレベルよりも高い血清アスパラギンのレベルを有すると決定されていてもよい。
好適には、対照は、固形腫瘍を有してもよい。
好適には、栄養製品は、対象にとって唯一の栄養源であってもよい。
好適には、処置を、少なくとも24時間の期間にわたって、または治療のエンドポイントが観察されるまで投与してもよい。
好適には、薬剤を、1日に1~6回投与してもよい。
好適には、少なくとも1日推奨量の必須アミノ酸を、毎日、栄養製品の投与レジメンによって満たすことができる。
別の態様では、本発明は、転移のリスクが高い腫瘍を有する患者または患者集団を同定するためのバイオマーカーとしての血液(例えば、血清)アスパラギンレベルの使用を提供する。
さらなる態様では、本発明は、転移のリスクが高い腫瘍を有する患者または患者集団を同定するためのバイオマーカーとしてのアスパラギン合成酵素発現の使用を提供する。好適には、発現レベルを、原発腫瘍中で決定することができる。
本発明はさらに、転移の可能性が高いがんを有する対象を同定する方法であって、
a)対象から単離された生体試料(例えば、血清)中のアスパラギンのレベルを決定すること;
b)生体試料中のアスパラギンのレベルと、対照試料またはアスパラギンの所定の参照レベルとを比較すること
を含み、
対照試料と比較した、または所定の参照レベルと比較した生体試料中のアスパラギンレベルの増加が、転移の可能性が高いことを示す、方法を提供する。
好適には、方法は、治療有効量の薬剤を前記対象に投与することをさらに含んでもよく、前記薬剤は、がんを有する対象の血液中の細胞外アスパラギンレベルを低下させる。
好適には、薬剤は、
a.本発明の栄養製品;
b.本発明のプロセスに従って生産された栄養製品;
c.本発明の医薬組成物;
d.アスパラギン合成酵素阻害剤;または
e.L-アスパラギナーゼ
であってもよく、またはそれを含んでもよい。
本発明は、アスパラギンを実質的に含まない食事を供給した場合、またはL-アスパラギナーゼと共に投与した場合、がん処置に対する応答性または感受性の可能性が高い対象を同定する方法であって、
a)対象から単離された生体試料中のアスパラギンのレベルを決定すること;
b)生体試料中のアスパラギンのレベルと、対照試料またはアスパラギンの所定の参照レベルとを比較すること
を含み、
対照試料と比較した、または所定の参照レベルと比較した生体試料中のアスパラギンのレベルの増加が、アスパラギンを実質的に含まない食事と組み合わせた場合、またはL-アスパラギナーゼと共に投与した場合、前記がん処置に対する応答性または感受性を示す、方法をさらに含む。
好適には、方法は、対象がアスパラギンを実質的に含まない食事を供給された場合、またはL-アスパラギナーゼと共に投与された場合、がん処置に対する応答性または感受性の可能性が高いと同定された場合に、治療有効量の、本発明の栄養製品または本発明に従って生産された栄養製品または本発明による医薬組成物またはL-アスパラギナーゼを、化学療法剤と共に投与することをさらに含んでもよい。
好適には、生体試料は、血液試料(例えば、血清)であってもよい。
本発明は、がんを有する対象における転移の再発の可能性を決定する方法であって、
a)対象から単離された生体試料中のアスパラギン合成酵素のレベルを決定すること;
b)生体試料中のアスパラギン合成酵素のレベルと、対照試料またはアスパラギンの所定の参照レベルとを比較すること
を含み、
対照試料と比較した、または所定の参照レベルと比較した生体試料中のアスパラギン合成酵素のレベルの増加が、転移の再発の可能性が高いことを示す、方法をさらに提供する。
さらなる態様では、本発明は、対象における上皮間葉移行を逆転させるか、またはがんを有する対象における上皮間葉移行を防止する方法であって、治療有効量の、本発明の栄養製品または本発明のプロセスに従って生産された栄養製品または本発明の医薬組成物またはL-アスパラギナーゼを、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
これらの態様および他の態様は、詳細な説明に拡張される。
本明細書の記載および特許請求の範囲を通じて、単語「含む(comprise)」および「含有する(contain)」およびそれらの変形は、「限定されるものではないが、含む(including but not limited to)」を意味し、それらは他の部分、添加物、成分、整数またはステップを排除することを意図するものではない(排除しない)。
本明細書の記載および特許請求の範囲を通じて、単数は、本文が別途必要としない限り、複数を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、本文が別途必要としない限り、複数ならびに単数を企図するものと理解されるべきである。
本発明の特定の態様、実施形態または例と共に記載される特徴、整数、特性、化合物、化学的部分または基は、それと不適合でない限り、本明細書に記載される任意の他の態様、実施形態または例にも適用可能であると理解されるべきである。
本明細書に記載の特許、科学文献および技術文献は、出願の時点で当業者には利用可能であった知識を確立するものである。本明細書で引用される発行された特許、公開され、係属中の特許出願、および他の刊行物の全開示は、あたかもそれぞれが具体的かつ個別的に参照により組み込まれると示されたのと同程度に参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、本開示が優先するものとする。
本発明の様々な態様を、以下でさらに詳細に説明する。
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して以下でさらに説明する。
図1は、転移のドライバーの同定を示す。a)細胞の混合物を異なる濃度で尾静脈に導入されたNSGマウスの肺から抽出された4T1-Eおよび-T細胞の相対的割合。各バーは、試料または無関係のマウスもしくは試料を表す。b)様々な疾患サブタイプを有する患者の原発腫瘍中の4T1-Eと比較した、4T1-T中で過剰発現されると同定された遺伝子の発現レベル(囲みの端部は、第一および第三四分位数であり、エラーバーは値q3+w(q3-q1)およびq1-w(q3-q1)(式中、wは1.5であり、q1およびq3は第一および第三四分位数である)に拡張され、これはcについても当てはまり、ANOVAのp値<0.0001である)。c)無疾患生存者および肺に再発を有する患者における同じ遺伝子の発現レベル(順位和p値<0.01)。d)in vitroでの侵入のドライバーならびにin vivoでの溢出および定着を同定するためのRNAiスクリーニングのスキーム(shRNAプールあたりn=5のマウスまたはn=2のマトリゲル6ウェル侵入チャンバー、経験的ベイズモデレイテッドt検定FDRを用いた遺伝子レベルヒットコール<0.05)。e)dに記載されたRNAiスクリーンの各アームにおいて同定された遺伝子間の重複(超幾何学的検定のp値<0.0001)。 図2は、侵入および転移のドライバーとしてのアスパラギン合成酵素の検証を示す。a)Asnsをサイレンシングされた、またはAsnsを発現する4T1-T細胞を静脈内注射されたマウスの肺における転移の定量化(細胞株あたりn=10匹のマウス、囲みの端部は、第一および第三四分位数であり、エラーバーは値q3+w(q3-q1)およびq1-w(q3-q1)(式中、wは1.5であり、q1およびq3は第一および第三四分位数である)に拡張され、これはe、fおよびgについても当てはまり、順位和検定のp値<0.001である)。b)aに記載された肺の代表的な画像。c)Asnsをサイレンシングされた、およびAsnsを発現する細胞を24時間前に適用した後のマトリゲルアッセイの収集ウェルの代表的な画像(細胞株あたりn=3の侵入チャンバー)。d)aに記載された細胞の同所注射から得られる腫瘍体積(細胞株あたりn=10匹のマウス、エラーバーは第一および第三四分位数である)。e)dに記載された腫瘍に対応する動物におけるCTCの相対的存在量(細胞株あたりn=4匹のマウス、順位和p値<0.05)。CTC存在量を、全血ゲノムDNAに由来する、レトロウイルスshRNA送達ベクターから発現されるmCherryについてqPCRによって測定した。f)eに記載されたマウスに由来する、H&E染色された肺切片における転移の定量化(順位和p値<0.0002)。g)fに記載された転移の直径。 図3は、細胞外アスパラギンの利用可能性が侵入および転移を誘導することを示す。a)Asnsをサイレンシングされた、およびAsnsを発現する細胞に関する無細胞アスパラギンレベルのHPLCに基づく定量化(細胞株あたりn=3回反復)。b)示された非必須アミノ酸を添加した培養培地中での、マトリゲル侵入アッセイによって測定された、親4T1細胞侵入速度の定量化(n=5の侵入チャンバー、順位和p値<0.01)。c)Asnsをサイレンシングされた、またはAsnsを発現する4T1-T細胞を注射された動物における肺転移の定量化。それぞれの株について、半分の動物にはPBSを投与したが、他の半分には、L-アスパラギナーゼを投与した(条件あたりn=10匹のマウス、エラーバーは、第一および第三四分位数であり、これはeおよびfにも当てはまり、それぞれの株に関するL-アスパラギナーゼ対対照について、およびそれぞれの薬物条件におけるAsnsをサイレンシングされた細胞対サイレンシングされていない細胞について、順位和p値<0.0005である)。d)cで表されたそれぞれの実験条件に由来する代表的なH&E染色された肺切片。e)Asnsをサイレンシングされた、またはAsnsを発現する4T1-T細胞を注射された動物における肺転移の定量化。動物に、実験期間にわたって、0%、0.6%または4%のアスパラギン含量を含む食事を投与した(条件あたりn=10匹のマウス、全ての食事にわたるAsnsをサイレンシングされた細胞対Asnsを発現する細胞、0%対0.6%対4%の食事を用いたshRenilla細胞、ならびに4%対0%の食事を用いたshAsns-1および-2についての順位和p値<0.0005、0.6%対0%または0.6%対4%の食事を用いたshAsns-1およびshAsns-2についての順位和p値<0.05)。f)L-アスパラギナーゼまたはPBSを投与された動物の乳腺、血清および肺におけるアスパラギンレベルの質量分析による定量化(全代謝物ピーク面積によって正規化された相対的存在量、条件あたりn>8個の組織切片、全ての組織にわたるPBS対L-アスパラギナーゼについての順位和p値<0.005、乳腺対肺についての順位和p値<0.05ならびに血清対肺および血清対乳腺についての順位和p値<0.0005)。 図4は、アスパラギン利用可能性が上皮間葉移行を調節することを示す。a)Asnsのサイレンシングによって誘導されるタンパク質対RNAレベルの発現変化のアミノ酸富化分析。負の相関を示すアミノ酸が、タンパク質レベルの変化が対応するRNAレベルの変化によって予想されたものよりも小さいタンパク質中で富化される。正の相関は、アミノ酸が、タンパク質レベルの変化がRNA量の変化によって予測されたものを超える遺伝子中で富化されることを示す。b)Asnsをサイレンシングされた、およびAsnsを発現する4T1-T細胞中のEMT-upタンパク質の相対的タンパク質存在量(細胞株あたりn=3回反復、囲みの端部は、第一および第三四分位数であり、エラーバーは値q3+w(q3-q1)およびq1-w(q3-q1)(式中、wは1.5であり、q1およびq3は第一および第三四分位数である)に拡張され、これはc、dおよびhについても当てはまり、順位和p値<0.05である)。c)通常の培地およびアスパラギンを添加した培地中で増殖させた場合の親4T1細胞中のEMT-upタンパク質の相対的タンパク質存在量(細胞株あたりn=3回反復、順位和p値<0.05)。d)親4T1細胞の同所注射に由来する肺転移対原発腫瘍におけるEMT-upおよびEMT-down遺伝子の相対的発現レベル(n=4匹のマウス、EMT-up遺伝子についての符号順位p値<0.001)。e)Asnsをサイレンシングされた、およびAsnsを発現する4T1-T細胞に由来する同所腫瘍におけるTwist1およびCdh1に関するIHC染色の代表的な画像。f)eに記載された、全てのTwist1染色の定量化(n=5個の腫瘍切片およびn>5の肺転移、エラーバーは、1標準偏差を表し、これはgについても当てはまり、それぞれ、Asnsをサイレンシングされた腫瘍および転移対Asnsを発現する腫瘍および転移について、順位和p値<0.01および<0.05)。g)eに記載された、全てのCdh1染色の定量化(n=5個の腫瘍切片およびn=9の肺転移、それぞれ、Asnsをサイレンシングされた腫瘍および転移対Asnsを発現する腫瘍および転移について、順位和p値<0.01および<0.05)。h)Asnsをサイレンシングされた、対Asnsを発現する4T1-T細胞に由来する腫瘍および肺から単離された細胞中でのTwist1、Cdh1、EMT-upおよびEMT-down遺伝子の相対的発現レベル(条件あたりn=2回反復、腫瘍におけるEMT-down遺伝子についての符号順位p値<0.05および肺におけるEMT-up遺伝子についての符号順位p値<0.001、Cdh1およびTwist1は、両組織において示差的に発現された、DESeq FDR<0.05)。 図5は、患者データにおけるASNS発現レベルの一次分析を示す。4T1-T対-Eにおいて上方調節されると同定されたそれぞれの遺伝子について、予後値を、3つの異なるデータセットを使用して算出した。1つは、3人の患者で一致した基底腫瘍と転移の対における遺伝子発現測定値からなっていた(患者A1、A7およびA11)。ここで、遺伝子を、発現がそれぞれの転移においてより高かった場合、進行と相関し、発現がそれぞれの原発腫瘍においてより高かった場合、負に相関すると分類した。他の2つのデータセットは、転帰が一致した原発腫瘍遺伝子発現プロファイルからなっていた。UNC254患者データセットについて、再発部位は利用可能ではなく、遺伝子を、それらが1を超える有意な無再発生存ハザード比を有する場合、進行と正に相関し、これらの比が有意(cox p値<0.05)かつ1未満である場合、負に相関すると見なした。UNC855データセットも再発部位の情報を有していたため、ここで、無再発生存ハザード比と肺の無再発生存(RFSおよびLRFS)の両方を使用して、UNC254データについて使用したものと同じ基準に基づいて遺伝子を進行と正または負に相関すると分類した。異なるデータセットにおいて測定したヒトオルソログを含む遺伝子を示す。 図6は、患者データにおけるASNS発現レベルの二次分析を示す。a)異なる疾患サブタイプを有する患者の原発腫瘍におけるアスパラギン合成酵素の発現レベル(囲みの端部は、第一および第三四分位数であり、エラーバーは値q3+w(q3-q1)およびq1-w(q3-q1)(式中、wは1.5であり、q1およびq3は第一および第三四分位数である)に拡張され、これはbについても当てはまり、ANOVAのp値<0.0001である)。b)それぞれの対応する部位に再発を有しない患者における発現レベルと比較した、非特異的再発およびリンパ節、骨、脳、肝臓または肺での再発を有する患者の原発腫瘍におけるアスパラギン合成酵素の発現レベル(順位和p値<0.005)。c)3つのさらなる乳がん患者セット(MDACC、METRABICおよびTCGA)におけるASNSの分析。生存プロットおよび関連統計値(cox p値<0.001)を示す。d)TCGA Pan Cancer実験データにおけるASNSの分析。データセットに表される10種の非乳固形腫瘍に関する生存プロットおよび関連統計値を示す(結腸、扁平上皮頭頸部、腎明細胞および子宮内膜がんに関するcox p値<0.05)。e)TCGA Pan Cancerデータセットに表される全腫瘍にわたるASNSの分析(cox p値<0.001)。 図7は、侵入および転移のドライバーとしてのAsnsの一次検証を示す。a)Asnsをサイレンシングされた、およびAsnsを発現する4T1-T細胞のマトリゲル侵入能力の定量化(細胞株あたりn=3回反復)。b)およそ50%の細胞を、ウミシイタケルシフェラーゼおよびアスパラギン合成酵素を標的とするshRNAを担持するmCherryを発現する構築物に感染させた後の、mCherry陽性4T1-T細胞の定量化。細胞を、図2cに記載されるマトリゲル侵入アッセイを実施した24時間増殖させた(細胞株あたりn=3回反復)。c)初期集団と比較した、Asnsをサイレンシングされた、およびAsnsを発現する4T1-T細胞のバイオレット細胞標識強度。細胞を、図2cに記載されるマトリゲル侵入アッセイを実施した24時間増殖させた(細胞株あたりn=3回反復)。d)Asnsをサイレンシングされた、およびAsnsを発現する4T1-T細胞をNSGマウスに同所的に注射した、図2dに記載される腫瘍の代表的なH&E染色切片。e)dに示された腫瘍を担持するマウスに由来する肺の代表的なH&E染色切片。 図8は、侵入および転移のドライバーとしてのAsnsの二次検証を示す。a)Asnsをサイレンシングされた、またはAsnsを発現する親4T1細胞の同所注射から得られる腫瘍の体積測定値(細胞株あたりn=10匹のマウス、囲みの端部は、第一および第三四分位数であり、エラーバーは値q3+w(q3-q1)およびq1-w(q3-q1)(式中、wは1.5であり、q1およびq3は第一および第三四分位数である)に拡張され、これはbについても当てはまる)。b)aに記載された腫瘍に対応する肺転移の定量化(順位和p値<0.002)。c)Asnsの基底(空)発現または強制的(Asns)発現を示す親4T1細胞の同所注射から得られる腫瘍の体積測定値(細胞株あたりn=10匹のマウス、囲みの端部は、第一および第三四分位数であり、エラーバーは値q3+w(q3-q1)およびq1-w(q3-q1)(式中、wは1.5であり、q1およびq3は第一および第三四分位数である)に拡張され、これはd、fおよびgについても当てはまる)。d)cに記載された腫瘍に対応する肺転移の定量化(順位和p値<0.02)。e)dに記載された肺の代表的なH&E染色切片。f)ASNSの基底(空)発現または強制的発現を示すMDA-MB-231細胞の同所注射から得られる腫瘍の体積測定値(反復あたりn=10匹のマウス)。g)fに記載された腫瘍に対応する肺転移の定量化(順位和p値<0.02)。h)fに記載されたMDA-MB-231由来細胞株に関するマトリゲル侵入の定量化(細胞株あたりn=3個の侵入チャンバー)。i)hに記載された侵入アッセイに関する収集ウェルの代表的な画像。 図9は、細胞外アスパラギン利用可能性が侵入および転移に影響することの一次検証を示す。a)無細胞アミノ酸の組成パーセンテージを、Asnsをサイレンシングされた細胞およびAsnsを発現する細胞についてHPLCを用いて測定した。アミノ酸あたりのこれらのパーセンテージのlog2倍数変化を示す(細胞株あたりn=3回反復、経験的ベイズモデレイテッドt検定FDR<0.05)。b)およそ50%の細胞を、ウミシイタケルシフェラーゼおよびAsnsを標的とするshRNAを担持するmCherryを発現する構築物に感染させた後の、mCherry陽性4T1-T細胞の定量化。感染細胞を、L-アスパラギンまたはD-アスパラギン添加培地中で増殖させた後、mCherryのパーセンテージを48および96時間で測定した(細胞株あたりn=3回反復、エラーバーは、1標準偏差を表し、これはcについても当てはまる)。c)L-アスパラギンを添加した、および添加していない培地中でアッセイした場合の、Asnsをサイレンシングされた、およびAsnsを発現する細胞に関するマトリゲル侵入の定量化。d)培地に、DMEM培養培地中にはないそれぞれの非必須アミノ酸を添加した場合の親4T1細胞の無細胞アミノ酸パーセンテージのHPLC定量化(細胞株あたりn=3回反復)。e)図3bに記載されたのと同じ条件下でのMDA-MB-231のマトリゲル侵入速度の定量化(条件あたりn=5個の侵入チャンバー、順位和p値<0.001)。f)dに記載された培地条件で培養した場合のMDA-MB-231細胞の無細胞アミノ酸パーセンテージのHPLC定量化(細胞株あたりn=3回反復)。g)図3bに記載されたマトリゲル侵入アッセイを行った24時間にわたってアスパラギンを含まない培地およびアスパラギンを添加した培地中で増殖させた場合の、親4T1細胞のバイオレット細胞標識強度(細胞株あたりn=3回反復)。h)eに記載されたマトリゲル侵入アッセイを行った24時間にわたってアスパラギンを含まない培地およびアスパラギンを添加した培地中で増殖させた場合の、MDAMB-231細胞のバイオレット細胞標識強度(細胞株あたりn=3回反復)。 図10は、細胞外アスパラギン利用可能性が侵入および転移に影響することの二次検証を示す。a)親4T1細胞の同所注射から得られる腫瘍体積。半分のマウスはL-アスパラギナーゼを受けたが、他の半分は同じ注射速度で等量のPBSを受けた(条件あたりn=10匹のマウス、囲みの端部は、第一および第三四分位数であり、エラーバーは値q3+w(q3-q1)およびq1-w(q3-q1)(式中、wは1.5であり、q1およびq3は第一および第三四分位数である)に拡張され、これはb、d、eおよびfについても当てはまる)。b)a)に記載された動物において検出された肺転移の定量化(順位和p値<0.0002)。c)aに記載された代表的なH&E染色された肺切片。d)Asnsをサイレンシングされた、およびAsnsを発現する4T1-T細胞をマウスに注射した、図3cおよび図3dに記載された肺転移に対応する腫瘍体積。半分のマウスはL-アスパラギナーゼを受けたが、他の半分は同じ注射速度で等量のPBSを受けた(条件あたりn=10匹のマウス、L-アスパラギナーゼ処置マウスにおけるAsnsをサイレンシングされた細胞対Asnsを発現する細胞についての順位和p値<0.05)。e)ASNSをサイレンシングされた、およびASNSを発現するMDA-MB-231細胞の同所注射、次いで、L-アスパラギナーゼまたはPBSによる注射された動物の処置から得られる腫瘍体積(細胞株あたりn=10匹のマウス)。f)eに記載された同所腫瘍に対応する肺転移(両方の処置下でのAsnsをサイレンシングされた細胞対Asnsを発現する細胞に関する、およびそれぞれの細胞株についてのPBS対L-アスパラギナーゼ処置動物に関する順位和p値<0.05)。 図11は、細胞外アスパラギン利用可能性が侵入および転移に影響することの三次検証を示す。a)0%、0.6%または4%のアスパラギン食を供給したマウス(食事あたりn=5匹のマウス、囲みの端部は、第一および第三四分位数であり、エラーバーは値q3+w(q3-q1)およびq1-w(q3-q1)(式中、wは1.5であり、q1およびq3は第一および第三四分位数である)に拡張され、これはb、d、eおよびhについても当てはまり、各食事間の順位和p値<0.05)についての、無血清アミノ酸プール中のアスパラギン含量(%)。b)Asnsをサイレンシングされた、およびAsnsを発現する4T1-T細胞を、0%、0.6%および4%アスパラギン食を供給したマウス(条件あたりn=10匹のマウス)に同所的に注射した、図3eに記載された肺転移に対応する同所腫瘍の体積。c)bに記載されたマウスにも対応する、図3eについて記載された肺転移の代表的な画像。d)0%、0.6%または4%アスパラギン食を供給したマウス(食事あたりn=10匹のマウス)への親4T1細胞の同所注射から得られる腫瘍の体積。e)dに記載された動物の肺における転移の定量化(それぞれの食事間の順位和p値<0.05)。f)eに記載された肺のH&E染色切片の代表的な画像。g)2つのプライマー対を用いるqPCRによって測定された、L-アスパラギナーゼまたはPBSで処置したマウスの乳腺、血清および肺におけるAsnsの相対的発現(条件あたりn=4、エラーバーは1標準偏差に拡張され、組織間の順位和p値<0.05である)。h)ヒト乳房、肺および全血試料におけるASNSに関する、100万のマッピングされたリード数あたりの転写物1キロベースあたりのリード数(RPKM)の発現測定値(それぞれの組織についてn>90、組織間の順位和p値<0.05)。 図12は、アスパラギン利用可能性がEMTを調節することの一次検証を示す。a)遺伝子を、転写レベルの変化(Asnsをサイレンシングされた細胞における変化のレベルに基づく遺伝子の上および下10%、それぞれ、Gene-upおよびGene-down)およびアスパラギン含量(アスパラギン含量に基づく遺伝子の上および下10%、それぞれ、Asp-highおよび-low、囲みの端部は、第一および第三四分位数であり、エラーバーは値q3+w(q3-q1)およびq1-w(q3-q1)(式中、wは1.5であり、q1およびq3は第一および第三四分位数である)に拡張され、両方の個々の変数に関する順位和p値<0.001であり、相互作用変数に関する順位和p値<0.05である)により階層化する場合のAsnsをサイレンシングされた細胞と、Asnsを発現する細胞との間のタンパク質レベルの変化。b)Asnsのサイレンシングによって誘導されるRNAおよびタンパク質レベルの発現変化に基づく遺伝子のアミノ酸富化分析。負の相関を示すアミノ酸は、存在量がサイレンシングによって誘導される対応するRNAまたはタンパク質レベルの変化と負に相関するものであるが、正の相関を示すものは、これらの発現変化と正に相関する。c)マウスEMT-upタンパク質におけるアミノ酸富化。d)ヒトEMT-upタンパク質におけるアミノ酸富化。e)少なくとも10のオルソログを担持するOrthologous MAtrixデータベースに列挙された126種における上皮間葉促進タンパク質オルソログのアスパラギン富化分析(全ての種に関する符号順位p値<1.0x10-13および哺乳動物対他の種に関する順位和p値<9.0x10-9)。 図13は、アスパラギン利用可能性がEMTを調節することの二次検証を示す。a)4T1-T細胞中でAsnsサイレンシングに応答して起こるEMT-upおよび-down遺伝子における転写レベルの変化(条件あたりn=2回反復、囲みの端部は、第一および第三四分位数であり、エラーバーは値q3+w(q3-q1)およびq1-w(q3-q1)(式中、wは1.5であり、q1およびq3は第一および第三四分位数である)に拡張され、これはb、c、fおよびgについても当てはまり、EMT-up遺伝子に関する符号順位p値<0.001である)。b)アスパラギンを添加される親4T1細胞の培地に応答して起こるEMT-upおよび-down遺伝子における転写レベルの変化(条件あたりn=2回反復、EMT-up遺伝子に関する符号順位p値<0.005)。c)Tgfβをサイレンシングされた、およびTgfβを発現する4T1-T細胞の同所注射から得られる腫瘍の体積(細胞株あたりn=10匹のマウス)。d)cに記載された腫瘍に由来する切片のIHC染色に基づくTwist1陽性領域のパーセント(細胞株あたりn=5個の腫瘍切片、エラーバーは1標準偏差に拡張され、これはeについても当てはまり、Asnsをサイレンシングされた細胞対Asnsを発現する細胞に関する順位和p値<0.01である)。e)cに記載された腫瘍に由来する切片のIHC染色に基づくCdh1陽性領域のパーセント(細胞株あたりn=5個の腫瘍切片、Asnsをサイレンシングされた細胞対Asnsを発現する細胞に関する順位和p値<0.01)。f)cに記載された腫瘍から得られる転移の定量化(順位和p値<0.05)。g)Tgfβをサイレンシングされた細胞およびTgfβを発現する細胞の静脈内注射から得られる転移の定量化(細胞株あたり10匹のマウス、順位和p値<0.05)。 図14は、アスパラギン利用可能性がEMTを調節することの三次検証を示す。a)マウスに、Asnsをサイレンシングされた、およびAsnsを発現する4T1-T細胞を同所注射した、図4fおよびgに記載された肺に由来する切片上でのTwist1およびCdh1のIHC染色の代表的な画像。b)aに記載された腫瘍および肺における、qPCRによって測定された相対的Twist1発現(細胞株あたりn=2の腫瘍および肺、エラーバーは1標準偏差に拡張され、これはc、d、e、fおよびgについても当てはまる)。c)aに記載された腫瘍および肺における、qPCRによって測定された相対的Cdh1発現(細胞株あたりn=2の腫瘍および肺)。d)PBSまたはL-アスパラギナーゼで処置された動物へのAsnsを発現する細胞およびAsnsをサイレンシングされた細胞の同所注射から得られる腫瘍におけるTwist1陽性領域の定量化(条件あたりn=5個の腫瘍切片、順位和p値<0.01)。e)dに記載された0%、0.6%または4%のアスパラギンを供給した動物へのAsnsを発現する細胞およびAsnsをサイレンシングされた細胞の同所注射から得られる腫瘍におけるCdh1陽性領域の定量化(条件あたりn=5個の腫瘍切片、順位和p値<0.01)。f)0%、0.6%または4%のアスパラギン食を供給したマウスへのAsnsを発現する細胞およびAsnsをサイレンシングされた細胞の同所注射から得られる腫瘍におけるTwist1陽性領域の定量化(条件あたりn=5個の腫瘍切片、Asnsをサイレンシングされた細胞とAsnsを発現する細胞との間および食事間の順位和p値<0.01)。g)fに記載された腫瘍におけるCdh1陽性領域の定量化(条件あたりn=5個の腫瘍切片、Asnsをサイレンシングされた細胞とAsnsを発現する細胞との間および食事間の順位和p値<0.01)。h)aに記載された腫瘍および転移から単離した後の培養細胞の画像。
本発明者らは驚くべきことに、アスパラギンを実質的に含まない食事が、がんなどの増殖性障害を有する対象において転移を遅延させるか、または阻害するのに有用であることを見出した。具体的には、マウスの食事からのアスパラギンの除去は、同所腫瘍からの転移を強く低減させた。理論によって束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、アスパラギン制限が、上皮間葉移行を促進するタンパク質の産生を低減させ、これがアスパラギンの利用可能性が転移の進行を調節する1つの潜在的な機構であり得ることを示した。さらに、アスパラギン制限は、対象におけるがん幹細胞表現型を低減させ得る。
「バイオアベイラビリティ」とは、循環中に進入するアスパラギンの割合を意味する。
好適には、本発明は、がんに罹患している対象の通常の食事を、アスパラギンを実質的に含まない規定食に部分的または完全に置換することを含んでもよい。そのような食事は、潜在的には、本明細書に詳述される栄養製品の提供によって、または同時的もしくは連続的に投与することができる2つ以上の栄養補助食品によって達成することができる。潜在的には、そのような食事が依然としてアスパラギンを実質的に含まないように、現在入手可能な成分を使用して、適切な食品選択を介して、食事にさらに添加することができる。
好適には、栄養製品が必須アミノ酸の必要な1日摂取量を提供するように、それを製剤化することができる。当業者であれば、これを様々な方法によって達成することができ、それが栄養製品のための投与レジメンに依拠することを容易に認識できる。例えば、栄養製品が1日あたり単回用量で投与される場合、その用量は、必須アミノ酸の少なくとも1日推奨量を含むが、1日3回投与される場合、合わせた3回の投与は、必須アミノ酸の少なくとも1日推奨量を提供するであろう。
好適には、がん細胞をさらなる療法に対して感作するためのがん処置の前に、血清アスパラギンレベルを低下させる食事または他の薬剤を使用することができる。本発明者らは驚くべきことに、食事アスパラギン含量は、原発腫瘍における上皮間葉特徴と正に相関することを示した。がん細胞中のアスパラギンレベルを低下させることによって、上皮間葉移行(EMT)を防止するか、または逆転させ、がん細胞の療法に対する感度を増大させることができる。
栄養製品
本発明の第1の態様では、全ての必須アミノ酸を含み、少なくともアスパラギンを実質的に含まない、複数のアミノ酸を含む栄養製品が提供される。
「必須アミノ酸」とは、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、リシン、トレオニン、ヒスチジンおよびトリプトファンを意味する。
「栄養製品」とは、所望のレベルのアミノ酸またはその塩もしくはエステルを、栄養製品を消費する対象に提供するために、食品中で使用されるか、または食品と共に使用もしくは消費される、1つまたは複数の必須アミノ酸またはその塩もしくはエステルを含む組成物を指す。これらの製品中の栄養成分は、ビタミン、ミネラル、ハーブまたは他のボタニカル、アミノ酸、ならびに酵素、臓器組織、腺、および代謝物などの物質を含んでもよい。本発明では、栄養製品を、単一の組成物中に、または組み合わさって、例えば、1日にわたって、全ての必須アミノ酸を提供する栄養補助食品の組合せの中に、全ての必須アミノ酸を含むように製剤化することができる。好適には、栄養補助食品は、アスパラギンを実質的に含まない。
一部の実施形態では、栄養製品は、食事の一部として対象によって消費される外因性アミノ酸の唯一の供給源である。好適には、一部の態様では、栄養製品は、対象の食事を実質的に、または単に置き換えることを意図するものであってもよい。したがって、一部の態様では、栄養製品は、対象のための完全食代用品であってもよい。
有利には、タンパク質などのアミノ酸の通常の供給源の消費の、本発明の栄養製品による置き換えにより、アスパラギンを実質的に含まない食事が得られる。これは、がんの対象に対して治療的利益を提供することができる。
本明細書で使用される場合、本発明の全ての態様によると、用語「対象」は、好ましくは、ヒト、獣医学的動物または農業用動物、家庭用動物またはペット、ならびに非ヒト霊長類、イヌおよびマウスなどの、通常は臨床研究に使用される動物を含む、哺乳動物を指す。より具体的には、本発明の対象は、ヒトであってもよい。
好適には、対象は、がん幹細胞表現型を有する細胞の集団を有してもよい。がん幹細胞は、当業界で公知であり、腫瘍再発に含まれるだけでなく、腫瘍原性、転移化および薬物耐性でもある。
好適には、栄養製品は、少なくとも9種のアミノ酸を含んでもよい。好適には、栄養製品は、少なくとも10種または少なくとも11種または少なくとも12種または少なくとも13種または少なくとも14種または少なくとも15種または少なくとも16種または少なくとも17種または18種のアミノ酸を含んでもよい。好適には、栄養製品は、例えば、9~18種のアミノ酸または12~18種のアミノ酸、または12~17種のアミノ酸または13~17種のアミノ酸または14~17種のアミノ酸を含んでもよい。
好適には、栄養製品は、1つまたは複数のさらなる非必須アミノ酸を実質的に含まなくてもよい。栄養製品中に実質的に含まれなくてもよいさらなるアミノ酸は、2つ以上の下記アミノ酸:グリシン、セリン、システイン、チロシン、プロリンおよびアルギニンを含んでもよい(または本質的にそれからなってもよい、もしくはそれからなってもよい)。あるいは、栄養製品は、アスパラギンに加えて、以下のアミノ酸:グリシン、セリン、システイン、チロシン、プロリン、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびグルタミンのうちの少なくとも2種または少なくとも3種または少なくとも4種または少なくとも5種または少なくとも6種を含まなくてもよい。
これに関連して、「本質的にそれからなる」とは、栄養製品が、本発明の栄養製品に対する重要な効果を有するさらなるアミノ酸を欠かないことを意味する。「重要な効果」とは、以下:a)健康な細胞とは反対にがんに対する特異性に対する有意な効果;b)転移の遅延もしくは阻害に対する有意な効果;c)がん細胞の毒性に対する有意な効果またはd)a)~c)の任意の組合せのうちの1つとして測定することができる有意な治療効果を意味する。一部の態様では、特定のアミノ酸を含む、および含まない栄養製品を比較し、アミノ酸の欠如が重要な効果を有するかどうかを決定することによって、これを測定することができる。
WO2017/144877は、セリンおよび/またはグリシンを実質的に含まない食事または栄養製品が、がん細胞の増殖および/または生存を低減するのに有用であることを開示する。本特許出願はまた、グリシン、セリンおよびシステインを実質的に含まない栄養製品が、結腸直腸がん(HCT116およびRKOなど)、肝臓がん(HepG2)、骨肉腫(U2OS)および乳がん(MDA MB 231)を含むいくつかのがん細胞株におけるがん細胞増殖の阻害およびがん細胞死の増加において有効である;グリシン、セリンおよびアルギニンを実質的に含まない栄養製品が驚くべきことに、結腸直腸がん細胞株(RKOおよびHCT116など)におけるがん細胞増殖の阻害および/またはがん細胞死の増加において有効である;グリシン、セリンおよびチロシンを実質的に含まない栄養製品が驚くべきことに、結腸直腸がん細胞株(RKOおよびHCT116など)におけるがん細胞増殖の阻害および/またはがん細胞死の増加において有効であり、食事がシステインを実質的に含まない場合、さらに有益な効果が生じることを示した。したがって、アスパラギンを実質的に含まないことに加えて、これらの非必須アミノ酸のいずれか1つまたは複数を実質的に含まないことが、本発明の栄養製品にとって有益である。
栄養製品は、25mg/kg対象体重/日未満または20mg/kg/日未満または18mg/kg/日未満または16mg/kg/日未満のレベルでメチオニンをさらに含んでもよい。
本発明の栄養製品を、本明細書で別途記述されない限り、1日平均総タンパク質消費量に基づく必須アミノ酸の少なくとも1日推奨摂取量を提供するように製剤化することができる。
1日平均総タンパク質消費量に基づく、Institute of Medicineによる必須アミノ酸の1日推奨摂取量は、ヒスチジン18mg/消費タンパク質1g;イソロイシン25mg/消費タンパク質1g;ロイシン55mg/消費タンパク質1g、リシン51mg/消費タンパク質1g;メチオニンおよびシステインの組合せ25mg/消費タンパク質1g;フェニルアラニンおよびチロシンの組合せ47mg/消費タンパク質1g、トレオニン27mg/消費タンパク質1g、トリプトファン7mg/消費タンパク質1gおよびバリン32mg/消費タンパク質1gである。チロシンおよびシステインは、非必須アミノ酸である。本発明の栄養製品がチロシンおよび/またはシステインのいずれかを実質的に含まない場合、栄養製品は、栄養製品が1日平均タンパク質消費量に基づいて、少なくとも25mg/消費タンパク質1gの量のメチオニンおよび少なくとも47mg/タンパク質1gの量のフェニルアラニンを提供するように製剤化されるように調整される。
好適には、システインが「制限された」栄養製品は、1日平均タンパク質消費量に基づいて1日推奨摂取量未満のシステインを提供するように製剤化されるよりも少ないものを提供するものである。例えば、システインが制限された栄養製品は、消費タンパク質1gあたり20mg未満または消費タンパク質1gあたり15mg未満または消費タンパク質1gあたり10mg未満または消費タンパク質1gあたり5mg未満を提供するものであってもよい。
好適には、栄養製品を、消費タンパク質1グラムあたり、制限されたレベルの総非必須アミノ酸を提供するように製剤化することができる。例えば、非必須アミノ酸の合わせた1日摂取量は、消費タンパク質1グラムあたりの総非必須アミノ酸の1日推奨摂取量と比較して、少なくとも1種または少なくとも2種または少なくとも3種または少なくとも4種または少なくとも5種または少なくとも6種または少なくとも7種の非必須アミノ酸を実質的に含まない食事と同等であってよい。
医学研究所は、タンパク質が、例えば、成人の体重1キログラムあたり0.8グラム/日の割合で消費されることを推奨している。栄養製品を、製品の1日推奨消費量の中で体重1kgあたり少なくとも0.8グラムのタンパク質を提供するように製剤化することができる。
好適には、本発明の栄養製品を、これらの上記の推奨レベルを提供するように製剤化することができる。例えば、1つまたは複数のアミノ酸を栄養製品中で製剤化して、1日平均総タンパク質消費量に基づいて1日平均摂取量の少なくとも2、3、4、5または6倍を提供することができる。
好適には、本発明の栄養製品中に存在するアミノ酸は、遊離形態、プロドラッグ形態のアミノ酸、塩またはアミノ酸エステルであってもよい。1つまたは複数のN末端またはC末端改変を有するアミノ酸、ならびにホモポリマー、ホモダイマー、ヘテロポリマーおよびヘテロダイマー形態も企図され得る。
好適には、栄養製品を、1日1回~8回投与されるように製剤化することができる。好ましくは、1日1回~4回である。したがって、栄養製品を、適切な単位剤形に製剤化することができる。
本発明の栄養製品は、1つまたは複数の主要栄養素および/または微量栄養素をさらに含んでもよい。
主要栄養素および提言された1日推奨量に関する指針を、2002年9月にInstitute of Medicineによって公表されたDietary Reference Intakes for Energy, Carbohydrate, Fiber, Fat, Fatty Acids, cholesterol, protein and amino acidsに見出すことができる。
栄養製品の追加成分であってよい主要栄養素の非包括的一覧としては、炭水化物、繊維および脂肪(n-6ポリ不飽和脂肪酸、n-3ポリ不飽和脂肪酸、飽和およびトランス脂肪酸ならびにコレステロールなど)が挙げられる。
微量栄養素の非包括的一覧としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、パントテン酸、ビオチン、コリン、カルシウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、モリブデン、リン、セレン、亜鉛、カリウム、ナトリウム、および塩化物が挙げられる。好適には、栄養製品を、刊行物「Dietary Reference Intakes: RDA and AI for Vitamins and Elements」、NAS. IOM. Food and Nutrition Boardに詳述された許容または推奨1日摂取量中にこれらのものを提供するように製剤化することができる。
本明細書に記載される栄養製品は、余剰の1つまたは複数の他のアミノ酸によって企図されてもよい、一般に2つ以上の非必須アミノ酸の欠損の形態にあるアミノ酸の不均衡を含有する。例えば、実質的に含まないアミノ酸は、他のアミノ酸の平均存在量よりも少なくとも10、15、20、30、45、50、100または1000倍低いものであってもよい。果物、野菜およびある特定のナッツなどの、タンパク質は少ないが、他の栄養素に富む食品を、栄養士の推奨に従って消費し、食事によるアミノ酸摂取比率が意図される比率で保持されることを確認することができる。この食事(本発明の栄養製品、および任意に、アスパラギンを実質的に含まない他の栄養源を含む)は、単独で、または抗がん活性を有するものなどの薬物療法と組み合わせて消費されることが意図される。
一部の実施形態では、本発明の栄養製品は、本発明の栄養製品を一緒になって提供する2つ以上の栄養補助食品にわたって製剤化される。栄養補助食品によって提供される合わせた平均的食事が本発明の栄養製品を提供するように、これらのものを、前記対象に同時的または連続的に投与することができる。これは、対象の食事に変化をもたらすのに有利であり得る。
栄養製品を、再構成された、シェイク、濃縮液、ピル、バー、錠剤、カプセルまたは即時使用可能な製品であってよい、粉末、ゲル、溶液、懸濁液、ペースト、固体、液体、液体濃縮物、粉末の形態で提供することができる。栄養製品はまた、栄養補助食品が錠剤、ピル、カプセル、液体、エアロゾル、注射可能溶液、または他の薬学的に許容される製剤の形態にある場合、医薬組成物であってもよいと考えられる。好適には、栄養製品は、飲料であってもよい。好適には、飲料を、1日に2~6回投与してもよい。
好適には、栄養製品は、天然に存在する食品でなくてもよい。
好適には、栄養製品は、特定のアミノ酸に対する追加の化合物を含んでもよい。好適には、そのような追加の化合物は、アミノ酸を実質的に含まないde novo合成を補助しなくてもよい。
本明細書で使用される場合、アミノ酸を参照する「実質的に含まない」とは、そのアミノ酸を完全に含まない、またはほぼ含まない(微量など)ことを意味する。
投与は、静脈内経路によるものであってもよい。非経口投与を、ボーラスで、または輸注によって提供してもよい。
好適には、栄養製品は、
a)経管栄養製品(NG管を介して投与することができる鼻-胃栄養製品;NJ管を介して投与することができる鼻-空腸栄養製品;もしくはPEG(経皮的内視鏡下胃瘻造設術)管栄養製品など);
b)非経口栄養製品(中心静脈投与によって、例えば、静脈カテーテル上の専用ルーメンを介して投与することができる);または
c)IV輸注製品
であってもよい。
好ましくは、投与は、食品または飲料としてのものであってもよい。
ある特定の実施形態では、本発明の食事または栄養製品は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、少なくとも2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間の期間にわたって、または治療のエンドポイントが観察されるまで、例えば、血清中のアスパラギンレベルが統計的に有意に低下するまで、もしくはがん細胞の上皮間葉(EMT)表現型の減少が観察されるまで投与される。
本発明は、アミノ酸が水中に溶解もしくは分散され、噴霧乾燥された本発明の栄養製品を調製するプロセスをさらに提供する。
好適には、アミノ酸を、主要栄養素および微量栄養素などの追加の成分と混合することができる。ヒトまたは動物の消費にとって好適な結合剤、乳化剤または他の成分を、所望により添加してもよい。
医薬組成物
別の態様では、本発明は、本発明の栄養製品または本発明に従って生産された栄養製品と、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
好適な医薬製剤の選択および調製のための従来の手順は、例えば、「Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs」, M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988に記載されている。
本発明の組成物は、経口使用にとって好適な形態にあってもよい(例えば、錠剤、ロゼンジ剤、硬質または軟質カプセル、水性または油性懸濁液、乳液、分散性粉末または顆粒、シロップ剤またはエリキシル剤として)。
本発明の組成物を、当業界で周知の従来の薬学的賦形剤を使用する従来の手順によって取得することができる。したがって、経口使用について意図される組成物は、例えば、1つまたは複数の着色料、甘味料、香料および/または防腐剤を含有してもよい。
好適には、医薬組成物は、治療有効量の本発明の栄養製品を提供するように製剤化される。
ある状態の療法における使用のための「有効量」は、温血動物、特に、ヒトにおいて、症状を症候的に緩和する、または状態の進行を減速させるのに十分な量である。一部の態様では、「有効量」は、対象の血清中のアスパラギンレベルを低下させる、および/または転移を遅延させるか、もしくは阻害するのに十分な量である。
用語「治療有効量」は、投与された場合、対象における転移の発生を防止する、またはそれをある程度軽減するのに十分である化合物または組成物の量を包含する。用語「治療有効量」はまた、研究者、医師または臨床医によって求められる、細胞、組織、臓器、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起するのに十分なものである化合物または組成物の量も包含する。個々の事例における適切な「有効」量は、当業者であれば、日常的な実験を使用して決定することができる。任意の特定の患者のための特定の用量レベルおよび投与頻度は変化してもよく、用いられる特定の化合物の活性;その化合物のバイオアベイラビリティ、代謝安定性、排出速度および作用の長さ;化合物の投与の様式および時間;患者の年齢、体重、一般的健康、性別および食事;ならびに処置される特定の状態の重症度を含む様々な因子に依存することが理解されるであろう。
用語「処置する」、「処置すること」および「処置」は、状態、障害もしくは疾患、または状態、障害もしくは疾患と関連する1つもしくは複数の症状を軽減すること、または廃止することを包含し、状態、障害もしくは疾患自体の原因を軽減すること、または根絶することを包含する。ある特定の実施形態では、用語「処置する」、「処置すること」および「処置」は、状態、障害もしくは疾患、またはそれと関連する症状、またはその原因を軽減する、廃止する、または防止する目的での、化合物、医薬組成物または医薬剤形の対象への投与を指す。
好適には、本発明の医薬組成物は、がん細胞増殖の阻害剤、放射線療法剤、抗転移剤、免疫チェックポイント阻害剤、化学療法剤、アミノ酸代謝/回転/相互変換の阻害剤、非必須アミノ酸生合成の阻害剤、アミノ酸輸送の阻害剤、アミノ酸分解を促進する酵素もしくは薬物またはアミノ酸を隔離する物質から選択される治療剤をさらに含んでもよい。
がん療法
一態様では、本発明は、薬剤における使用のための、本発明の栄養製品または本発明のプロセスに従って生産された栄養製品または本発明の医薬組成物を提供する。
例えば、本発明は、転移を遅延させるか、または阻害するのに使用するための、本発明の栄養製品または本発明のプロセスに従って生産された栄養製品または本発明の医薬組成物を提供する。
本明細書で使用される用語「転移」とは、元のがん性腫瘍の臓器に直接接続されていない、臓器または身体部位中でのがん性腫瘍の増殖を指す。転移を、元の腫瘍部位からのがん細胞の逸脱、および身体の他の部分へのがん細胞の遊走および/または侵入などの、いくつかの段階のプロセスと定義することもできる。したがって、本発明は、元のがん性腫瘍の臓器に直接接続されていない臓器もしくは身体部位中での1つもしくは複数のがん性腫瘍のさらなる増殖および/またはその増殖をもたらすプロセスにおける任意の段階を遅延させること、または阻害することを企図する。
本発明は、驚くべきことに、がんを有する対象のアスパラギンレベル(例えば、血清中の)を低下させることによって、転移を遅延させるか、または阻害することができることを示した。これに関して、本発明者らは、アスパラギン合成酵素のサイレンシングが、in vivoでの転移能力と、in vitroでの侵入能力との両方を低減させることを示した。例えば、図2を参照されたい。細胞外アスパラギンレベル(すなわち、アスパラギンのバイオアベイラビリティ)を低下させるためのL-アスパラギナーゼによる処置は、4T1細胞を注射されたNSGマウスにおける転移負荷の有意な減少をもたらすことが示され、さらに、食事からアスパラギンを枯渇させることも、動物における転移負荷の減少を誘導することが示された。
したがって、本発明は、がんを有する対象における転移の遅延または阻害における使用のための薬剤であって、がんを有する対象の血液中の細胞外アスパラギンレベルを低下させる、前記薬剤を提供する。さらなる態様では、本発明は、がんを有する対象における転移を遅延させる、または阻害するための薬剤の製造における化合物または組成物の使用であって、対象の血液中の細胞外アスパラギンレベルを低下させる化合物または組成物の使用を提供する。本発明はまた、対象におけるがんを処置する方法であって、治療有効量の薬剤を前記対象に投与することを含み、前記薬剤が、がんを有する対象の血液中の細胞外アスパラギンレベルを低下させる、方法も提供する。
当業者であれば、がんを有する対象の血液中のアスパラギンレベルを低下させることができる様々な薬剤、化合物および組成物に容易に気付くであろう。これらのものとしては、アスパラギン合成酵素阻害剤、L-アスパラギナーゼならびに本明細書に詳述される栄養製品が挙げられる。
アスパラギン合成酵素阻害剤は、当業界で公知であり、グアニジノコハク酸;オキサロ酢酸;L-システインスルホン酸;ジエチルアミノマロネート;L-アスパラギン酸を含有するジペプチド(L-アスパルチルグリシン、L-アスパルチル-L-ロイシン、L-アスパルチル-L-フェニルアラニン、L-アスパルチル-L-プロリン、L-α-アスパルチル-L-セリンおよびL-α-アスパルチル-L-バリン);N-o-ニトロフェニルスルフェニル-L-アスパラギン酸;N-o-ニトロフェニルスルフェニル-L-グルタミン;S-アデノシル-L-メチオニン;L-ホモセリン-β-アデニレート;エタクリン酸;ムピロシン、ホスミドシン(phosmidosine)、β-アスパラギニルアデニレート、βAspAMP中間体のスルホンアミドアナログが挙げられる。療法における使用にとって好適である任意のアスパラギン合成酵素を、本発明において使用することができる。
全ての態様について、例示的ながんとしては、限定されるものではないが、副腎皮質癌、AIDS関連がん、AIDS関連リンパ腫、肛門がん、肛門直腸がん、肛門管がん、虫垂がん、小児小脳星細胞腫、小児大脳星細胞腫、基底細胞癌、皮膚がん(非黒色腫)、胆管がん、肝外胆管がん、肝内胆管がん、膀胱がん(bladder cancer)、膀胱がん(urinary bladder cancer)、骨および関節のがん、骨肉腫および悪性線維性組織球腫、脳がん、脳腫瘍、脳幹グリオーマ、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性グリオーマ、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視路視床下部グリオーマ、乳がん、気管支腺腫/気管支カルチノイド、カルチノイド腫瘍、消化管がん、神経系がん、神経系リンパ腫、中枢神経系がん、中枢神経系リンパ腫、子宮頸がん、小児がん、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ増殖性障害、結腸がん、結腸直腸がん、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ系新生物、菌状息肉腫、セザリー症候群、子宮内膜がん、食道がん、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼がん、眼内黒色腫、網膜芽腫、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍グリオーマ、頭頸部がん、肝細胞(肝臓)がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、眼がん、島細胞腫瘍(膵島)、カポジ肉腫、腎臓がん、腎がん、腎臓がん、喉頭がん、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、口唇および口腔がん、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、髄芽腫、黒色腫、眼内(眼)黒色腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、中皮腫、転移性頸部扁平上皮がん、口腔がん、舌がん、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性障害、上咽頭がん、神経芽腫、口腔がん、口腔がん、口腔咽頭がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣低悪性度腫瘍、膵がん、膵島細胞がん、副鼻腔および鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、松果体芽細胞腫およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、前立腺がん、直腸がん、腎盂尿管、移行上皮がん、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポジ肉腫、軟部組織肉腫、子宮がん、子宮肉腫、皮膚がん(非黒色腫)、皮膚がん(黒色腫)、メルケル細胞皮膚癌、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃がん、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、精巣がん、咽喉がん、胸腺腫、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺がん、腎盂尿管および他の泌尿器の移行細胞がん、妊娠性絨毛腫瘍、尿道がん、子宮内膜がん、子宮肉腫、子宮体がん、膣がん、外陰がん、ならびにウィルムス腫瘍が挙げられる。好適には、がんを、乳がん、結腸がん、頭頸部扁平上皮がん、腎明細胞がんおよび子宮内膜がんからなる群から選択することができる。
栄養製品は、システインを実質的に含まなくてもよい。好適には、システインを実質的に含まない食事は、肺がん、結腸直腸がんおよび乳がんなどの、外因性システインを熱心に消費するがんにおいて有用であり得る。好適には、システインを実質的に含まない食事は、MTAPの発現が下方調節されるがんにおいて有用であり得る。
栄養製品は、セリンおよび/またはグリシンを実質的に含まなくてもよい。好適には、セリンおよび/またはグリシンを実質的に含まない食事は、肺がん、結腸直腸がんおよび乳がん、リンパ腫、結腸直腸がん、肝臓がん、骨肉腫および乳がんなどの、外因性セリンおよび/またはグリシンを熱心に消費するがんにおいて有用であり得る。
栄養製品は、アルギニンおよび/またはチロシンを実質的に含まなくてもよい。好適には、アルギニンを実質的に含まない食事は、結腸直腸がんなどのがんにおいて有用であり得る。
組合せ療法
対象の血液中のアスパラギンレベルを低下させる薬剤、化合物および組成物(本発明の栄養製品または医薬組成物など)を単独で使用して、治療効果(例えば、転移を遅延させること、または阻害すること)を提供することができる。好適には、本発明の栄養製品または医薬組成物を、がん細胞増殖の阻害剤、抗転移剤、免疫チェックポイント阻害剤、化学療法剤および/または放射線療法剤のうちの1つまたは複数と組み合わせて使用することもできる。
そのような化学療法は、以下のカテゴリーの抗がん剤:
(i)抗増殖/抗新生物薬およびその組合せ、例えば、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、窒素マスタード、ウラシルマスタード、ベンダムスチン、メルファラン、クロラムブシル、クロルメチン、ブスルファン、テモゾロミド(temozolamide)、ニトロソウレア、イホスファミド、メルファラン、ピポブロマン、トリエチレン-メラミン、トリエチレンチオホポラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン(stroptozocin)およびダカルバジン);代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビンならびに抗葉酸剤、例えば、5フルオロウラシルおよびテガフルのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキサート、ペメトレキセド、シトシンアラビノシド、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、ならびにゲムシタビンおよびヒドロキシウレア);抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン-C、ダクチノマイシンおよびミトラマイシンのようなアントラサイクリン);抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンのようなビンカアルカロイドならびにタキソールおよびタキソテールのようなタキソイドならびにポロキナーゼ阻害剤);プロテアソーム阻害剤、例えば、カルフィルゾミブおよびボルテゾミブ;インターフェロン療法;およびトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン、ミトキサントロンならびにカンプトテシン);ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ara-C、パクリタキセル(Taxol(商標))、ナブパクリタキセル、ドセタキセル、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、インターフェロン(特に、IFN-アルファ)、エトポシド、テニポシド、DNA脱メチル化剤(例えば、アザシチジンまたはデシタビン);およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(例えば、ボリノスタット、MS-275、パノビノスタット、ロミデプシン、バルプロ酸、モセチノスタット(MGCD0103)およびプラシノスタットSB939);
(ii)細胞増殖抑制剤、例えば、抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンおよびヨードキシフェン)、抗アンドロゲン剤(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン、ロイプロレリンおよびブセレリン)、プロゲストゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールおよびエキセメスタン)およびフィナステリドなどの5*-リダクターゼの阻害剤;ならびにナベルベン、CPT-II、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサファム(reloxafme)、シクロホスファミド、イホスファミド、およびドロロキサフィン;
(iii)抗侵入剤、例えば、ダサチニブおよびボスチニブ(SKI-606)、およびメタロプロテイナーゼ阻害剤、ウロキナーゼプラスミノゲンアクチベータ受容体機能の阻害剤またはヘパラナーゼに対する抗体;
(iv)増殖因子機能の阻害剤:例えば、そのような阻害剤としては、増殖因子抗体および増殖因子受容体抗体、例えば、抗erbB2抗体トラスツズマブ[Herceptin(商標)]、抗EGFR抗体パニツムマブ、抗erbB1抗体セツキシマブ、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、表皮増殖因子ファミリーの阻害剤(例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、6-アクリルアミド-N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-(3-モルホリノプロポキシ)-キナゾリン-4-アミン(CI1033)、アファチニブ、バンデタニブ、オシメルチニブおよびロシレチニブなどのEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、ラパチニブなどのerbB2チロシンキナーゼ阻害剤)ならびにCTLA-4、4-IBBおよびPD-Iなどの共刺激分子に対する抗体、またはサイトカイン(IL-10、TGF-ベータ)に対する抗体;肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤;インスリン増殖因子ファミリーの阻害剤;細胞アポトーシスのタンパク質調節因子のモジュレータ(例えば、Bcl-2阻害剤);イマチニブおよび/またはニロチニブ(AMN107)などの血小板由来増殖因子ファミリーの阻害剤;セリン/トレオニンキナーゼの阻害剤(例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ソラフェニブ、チピファルニブおよびロナファルニブなどのRas/Rafシグナル伝達阻害剤)、MEKおよび/またはAKTキナーゼによる細胞シグナル伝達の阻害剤、c-kit阻害剤、ablキナーゼ阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、Plt3キナーゼ阻害剤、CSF-1Rキナーゼ阻害剤、IGF受容体キナーゼ阻害剤;オーロラキナーゼ阻害剤およびサイクリン依存性キナーゼ阻害剤、例えば、CDK2および/またはCDK4阻害剤;CCR2、CCR4またはCCR6アンタゴニスト;ならびにWO2006043090、WO2009077766、WO2011092469またはWO2015075483に記載のものなどのRAFキナーゼ阻害剤;
(v)血管内皮増殖因子の効果を阻害するものなどの抗血管新生剤[例えば、抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ(Avastin(商標))];サリドマイド;レナリドミド;および例えば、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、バンデタニブ、バタラニブ、スニチニブ、アキシチニブおよびパゾパニブ;
(vi)例えば、異常なp53または異常なBRCA1またはBRCA2などの異常遺伝子を置き換えるための手法を含む、遺伝子療法手法;
(vii)例えば、アレムツズマブ、リツキシマブ、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))およびオファツムマブなどの抗体療法;インターフェロンαなどのインターフェロン;IL-2(アルデスロイキン)などのインターロイキン;インターロイキン阻害剤、例えば、IRAK4阻害剤;HPVワクチン、例えば、Gardasil、Cervarix、OncophageおよびSipuleucel-T(Provenge)などの予防および処置ワクチンを含むがんワクチン;gp100;樹状細胞に基づくワクチン(Ad.p53 DCなど);toll様受容体モジュレータ、例えば、TLR-7またはTLR-9アゴニスト;PD-1、PD-L1、PD-L2およびCTL4-Aモジュレータ(例えば、ニボルマブ)、抗体およびワクチン;他のIDO阻害剤(インドキシモッドなど);抗PD-1モノクローナル抗体(MK-3475およびニボルマブなど);抗PDL1モノクローナル抗体(MEDI-4736およびRG-7446など);抗PDL2モノクローナル抗体;および抗CTLA-4抗体(イピルムマブなど);ならびに
(viii)細胞傷害剤、例えば、フルダリビン(フルダラ)、クラドリビン、ペントスタチン(Nipent(商標));
(ix)標的療法、例えば、PI3K阻害剤、例えば、イデラリシブおよびペリホシン;アポトーシスタンパク質阻害剤(IAP)アンタゴニスト(IAPアンタゴニスト)としても知られる、SMAC(カスパーゼの第2のミトコンドリア由来アクチベータ)模倣体。これらの薬剤は、IAP、例えば、XIAP、clAP1およびclAP2を抑制し、それによって、細胞アポトーシス経路を再確立するように作用する。特定のSMAC模倣体としては、ビリナパント(TL32711、TetraLogic Pharmaceuticals)、LCL161(Novartis)、AEG40730(Aegera Therapeutics)、SM-164(University of Michigan)、LBW242(Novartis)、ML101(Sanford-Burnham Medical Research Institute)、AT-406(Ascenta Therapeutics/University of Michigan)、GDC-0917(Genentech)、AEG35156(Aegera Therapeutics)、およびHGS1029(Human Genome Sciences);ならびにユビキチンプロテアソーム系(UPS)を標的とする薬剤、例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、マリゾミブ(NPI-0052)、およびMLN9708;ならびに
(xii)キメラ抗原受容体、抗がんワクチンおよびアルギナーゼ阻害剤
のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
用語「免疫チェックポイント」とは、抗腫瘍免疫応答を下方モジュレートまたは阻害することによって免疫応答を微調整するCD4+および/またはCD8+T細胞の細胞表面上の分子群を指す。免疫チェックポイントタンパク質は当業界で周知であり、限定されるものではないが、CTLA-4、PD-1、VISTA、B7-H2、B7-H3、PD-LI、B7-H4、B7-H6、2B4、ICOS、HVEM、PD-L2、CD160、gp49B、PIR-B、KIRファミリー受容体、TIM-1、TIM-3、TIM-4、LAG-3、BTLA、SIRPアルファ(CD47)、CD48、2B4(CD244)、B7.1、B7.2、ILT-2、ILT-4、TIGIT、HHLA2、ブチロフィリン、およびA2aR(例えば、WO2012/177624を参照されたい)が挙げられる。この用語はさらに、生物学的に活性なタンパク質断片、ならびに完全長免疫チェックポイントタンパク質をコードする核酸およびその生物学的に活性なタンパク質断片を包含する。一部の実施形態では、この用語は、本明細書に提供される相同性の説明に従う任意の断片をさらに包含する。
「免疫チェックポイント阻害剤」とは、免疫チェックポイント核酸および/またはタンパク質を阻害する薬剤を指す。1つまたは複数の免疫チェックポイントの阻害は、阻害的シグナル伝達を遮断するか、またはそうでなければ中和することによって、免疫応答を上方調節して、がんをより有効に処置することができる。免疫チェックポイントを阻害するのに有用な例示的な薬剤としては、免疫チェックポイントタンパク質、またはその断片に結合する、および/またはそれを不活化もしくは阻害することができる抗体、低分子、ペプチド、ペプチド模倣体、天然リガンド、および天然リガンドの誘導体;ならびに免疫チェックポイント核酸、またはその断片の発現および/または活性を下方調節することができる、RNA干渉、アンチセンス、核酸アプタマーなどが挙げられる。免疫応答を上方調節するための例示的な薬剤としては、タンパク質とその天然の受容体との相互作用を遮断する1つまたは複数の免疫チェックポイントタンパク質に対する抗体;非活性化形態の1つまたは複数の免疫チェックポイントタンパク質(例えば、ドミナントネガティブポリペプチド);1つまたは複数の免疫チェックポイントタンパク質とその天然の受容体との相互作用を遮断する低分子またはペプチド;その天然の受容体に結合する融合タンパク質(例えば、抗体または免疫グロブリンのFc部分に融合された免疫チェックポイント阻害タンパク質の細胞外部分);免疫チェックポイント核酸の転写または翻訳を遮断する核酸分子などが挙げられる。そのような薬剤は、1つまたは複数の免疫チェックポイントとその天然の受容体(例えば、抗体)との相互作用を直接遮断して、阻害的シグナル伝達を防止し、免疫応答を上方調節することができる。あるいは、薬剤は、1つまたは複数の免疫チェックポイントタンパク質とその天然の受容体との相互作用を間接的に遮断して、阻害的シグナル伝達を防止し、免疫応答を上方調節することができる。例えば、安定化された細胞外ドメインなどの可溶型の免疫チェックポイントタンパク質リガンドは、その受容体に結合して、適切なリガンドに結合する受容体の有効濃度を間接的に低下させることができる。好適には、抗PD-1抗体、抗PD-LI抗体、および抗CTLA-4抗体を、単独で、または組み合わせて使用して、免疫チェックポイントを阻害することができる。
用語「抗転移剤」は、がん細胞の転移を阻害する、低減する、または減少させる物質を意味する。抗転移剤としては、血管新生、組織因子活性、第VIIa因子活性、または組織因子/第VIIa因子複合体活性を阻害する、または低下させる物質が挙げられる。例としては、VEG阻害剤、抗VEGF抗体(すなわち、ベバシズマブ、AVASTIN)、非抗凝固剤ヘパリン、低分子量ヘパリン(LOVENOXなどのLMWH)、抗組織因子抗体、CRA-5(抗fVIIa)、BMS262084、TTP889、プロテインC、APC(ドロトレコジン)、sTM、イドラパリヌクス、DX9065a、BAY59-7939、LY-51.7717、BMS-562247、DU-176b、オタミキサバン、ラザキサバンおよびNAPタンパク質が挙げられる。
好適には、本発明の組成物を、アミノ酸を枯渇させる1つまたは複数の治療的酵素と組み合わせて使用することができる。そのような治療的酵素を、本発明の組成物と相関させることができる。例えば、アルギニンを実質的に含まない組成物については、アルギナーゼなどの治療的酵素を使用することができる。
さらに、またはあるいは、本発明の組成物を、アミノ酸のde novo合成の阻害に関与する1つまたは複数の化合物と組み合わせて使用することができる。そのような化合物を、本発明の組成物と相関させることができる。例えば、アスパラギンを実質的に含まない栄養製品を、アスパラギン合成酵素阻害剤と組み合わせて使用することができる。
本発明において使用される治療剤は、単一の薬剤または薬剤の組合せであってもよい。好ましい組合せは、異なる作用機構を有する薬剤を含むであろう。
ここで、使用される用語「組合せ」は、同時的な、別々の、または連続的な投与を指すと理解されるべきである。本発明の一態様では、「組合せ」は、同時的投与を指す。本発明の別の態様では、「組合せ」は、別々の投与を指す。本発明のさらなる態様では、「組合せ」は、連続的投与を指す。投与が連続的であるか、または別々である場合、第2の成分の投与の遅延は、組合せの有益な効果を失うなどするべきではない。
一態様では、血液中のアスパラギンレベルを低下させる薬剤、化合物または組成物(すなわち、薬剤)を、アスパラギンの血清レベルの低下またはEMT表現型の低減に関する所望の治療のエンドポイントを達成するための投薬レジメンで投与し、続いて、がん細胞増殖の阻害剤、抗転移剤、免疫チェックポイント阻害剤、放射線療法剤および化学療法剤から選択される治療剤を、がん細胞の成長または増殖に関する所望の治療のエンドポイントに達するまで、対象に投与する。
例えば、投薬レジメンの治療のエンドポイントは、
・血清中のアスパラギンの少なくとも10%または少なくとも20%または少なくとも25%または少なくとも30%または少なくとも40%または少なくとも45%または少なくとも50%の減少;
・0.4%未満または0.38%未満または0.36%未満または0.32%未満または0.3%未満である無血清アミノ酸プール中のアスパラギン含量(%);
・少なくとも20%または少なくとも30%または少なくとも40%または少なくとも50%または少なくとも60%または少なくとも70%または少なくとも80%または少なくとも90%の腫瘍細胞集団中のtwist、e-カドヘリンおよびsnailのうちの少なくとも1つまたは複数(例えば、少なくとも2つまたは3つ全部)の減少
をもたらし得る。
本明細書で使用される場合、用語「と組み合わせて投与される」および文法的等価物などは、単一の患者への選択された治療剤の投与を包含することを意味し、薬剤が同じか、もしくは異なる投与経路によって、または同じか、もしくは異なる時間に投与される処置レジメンを含むことが意図される。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、他の薬剤と同時投与される。これらの用語は、両方の薬剤および/またはその代謝物が同時に動物中に存在するような、2つ以上の薬剤の動物への投与を包含する。それらは、別々の組成物中での同時的投与、別々の組成物中での異なる時間での投与、および/または両方の薬剤が存在する組成物中での投与を含む。
本明細書に開示される薬剤を、皮内、皮下、経口、動脈内または静脈内などの任意の経路によって投与することができる。
組合せ処置を使用する一部の実施形態では、本発明の栄養製品または医薬組成物の量および他の薬学的に活性な薬剤の量は、組み合わせた場合、患者における標的障害を処置するのに治療的に有効である。これに関連して、組み合わせた量は、それらが、組み合わせた場合、障害の症状または他の有害な効果を低減する、または完全に軽減する;障害を治癒させる;障害の進行を逆転させる、完全に停止させる、または減速させる;転移を遅延させる、もしくは低減する、または障害悪化のリスクを低減するのに十分なものである場合、「治療有効量」である。典型的には、当業者であれば、そのような量を、例えば、本発明の化合物について本明細書に記載される用量範囲および他の薬学活性化合物の認可された、またはそうでなければ公開された用量範囲から出発することによって決定することができる。
本発明のさらなる態様によれば、がんの共同処置における使用のための、本明細書の以前に定義された本発明の栄養製品または医薬組成物および本明細書の以前に定義されたさらなる抗がん剤が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、がんに罹患しているヒトまたは動物の対象の処置のための方法であって、対象に、本明細書の以前に定義されたさらなる抗がん剤と同時的、連続的または別々に、治療有効量の本発明の栄養製品または医薬組成物を投与することを含む、方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、がんの処置において、本明細書の以前に定義されたさらなる抗がん剤と同時的、連続的または別々に使用するための本発明の栄養製品または医薬組成物が提供される。
本発明の栄養製品または医薬組成物を、放射線療法と組み合わせて使用することもできる。好適な放射線療法処置としては、例えば、X線療法、陽子線療法または電子線療法が挙げられる。放射線療法はまた、放射性核種剤、例えば、131I、32P、90Y、89Sr、153Smまたは223Raの使用を包含してもよい。そのような放射性核種療法は、周知であり、商業的に入手可能である。
本発明のさらなる態様によれば、放射線療法と共同したがんの処置における使用のための、本明細書の以前に定義された、本発明の栄養製品または医薬組成物またはその薬学的に許容される塩が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、がんに罹患しているヒトまたは動物の対象の処置のための方法であって、対象に、放射線療法と同時的、連続的または別々に、治療有効量の本発明の栄養製品もしくは医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。
一態様では、それぞれの化学療法剤の用量(または化学療法剤の合わせた総量)は、少なくとも0.1g/Kg患者体重/日、好ましくは少なくとも0.2g/Kg/日または0.3g/Kg/日または0.4g/Kg/日または0.5g/Kg/日と等価であってよい。好適には、化学療法剤の用量(または合わせた化学療法剤の組合せ)は、少なくとも1g/Kg/日、好ましくは2g/Kg/日と等価であってもよい。
さらに、別の態様では、本発明は、対象におけるがんを処置する方法であって、a)本発明の栄養製品およびb)化学療法剤の相乗的に有効な組合せを投与することを含む方法を提供する。
ある特定の実施形態では、アスパラギンを実質的に含まない食事は、栄養製品を含むか、またはそれからなる。
本発明に従って投与される治療剤の濃度は、投与される化合物の用量、用いられる化合物の薬物動態特性、および投与経路を含むいくつかの因子に応じて変化するであろう。薬剤を、単回用量で、または反復用量で投与することができる。処置を、患者の全体的な健康、ならびに選択された化合物の製剤および投与経路を含む、いくつかの因子に応じて、毎日またはより頻繁に投与してもよい。
好ましくは、前記がん処置は、治療有効量の前記治療剤の投与をさらに含む。本明細書で使用される用語「治療有効量」とは、特定の疾患または状態を処置または防止するのに十分である、投与される少なくとも1つの薬剤または化合物の量を指す。その結果は、疾患の兆候、症状、もしくは原因の低減および/もしくは軽減、または生物系の任意の他の所望の変化であってもよい。例えば、治療的使用のための「有効量」は、疾患における臨床的に有意な減少を提供するのに必要とされる、本明細書に開示される化合物を含む組成物の量である。任意の個々の事例における適切な「有効」量は、用量漸増試験などの技術を使用して決定することができる。
ある特定の実施形態では、食事は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、少なくとも2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間の期間にわたって、または治療のエンドポイントが観察されるまで投与される。
アスパラギンを実質的に含まない食事が栄養製品を含むか、またはそれからなる場合、栄養製品は、1日1~10回投与される。
階層化
本発明は、驚くべきことに、対象の原発腫瘍における上昇したレベルのアスパラギン合成酵素が、後の転移性再発と強く相関すること、およびがんを有する対象の血液中の上昇したアスパラギンレベルが、転移に寄与することを示した。
したがって、血清アスパラギンレベルまたはアスパラギン合成酵素発現(例えば、原発腫瘍中の)を、バイオマーカーとして使用して、転移のリスクが高い腫瘍を有する患者または患者集団を同定することができる。
したがって、本発明は、転移の可能性が高いがんを有する対象を同定する方法であって、
a)対象から単離された生体試料中のアスパラギンのレベルを決定すること;
b)生体試料中のアスパラギンのレベルと、対照試料またはアスパラギンの所定の参照レベルとを比較すること
を含み、
対照試料と比較した、または所定の参照レベルと比較した生体試料中のアスパラギンレベルの増加が、転移の可能性が高いことを示す、方法を提供する。方法は、治療有効量の薬剤を前記対象に投与することをさらに含んでもよく、前記薬剤は、がんを有する対象の血液中の細胞外アスパラギンレベルを低下させる。
本発明はまた、アスパラギンを実質的に含まない食事を供給した場合、またはL-アスパラギナーゼと共に投与した場合、がん処置に対する応答性または感受性の可能性が高い対象を同定する方法であって、
a)対象から単離された生体試料中のアスパラギンのレベルを決定すること;
b)生体試料中のアスパラギンのレベルと、対照試料またはアスパラギンの所定の参照レベルとを比較すること
を含み、
対照試料と比較した、または所定の参照レベルと比較した生体試料中のアスパラギンのレベルの増加が、アスパラギンを実質的に含まない食事と組み合わせた場合、またはL-アスパラギナーゼと共に投与した場合、前記がん処置に対する応答性または感受性を示す、方法も提供する。
本発明はまた、がんを有する対象における転移の再発の可能性を決定する方法であって、
a)対象から単離された生体試料中のアスパラギン合成酵素のレベルを決定すること;
b)生体試料中のアスパラギン合成酵素のレベルと、対照試料またはアスパラギン合成酵素の所定の参照レベルとを比較すること
を含み、
対照試料と比較した、または所定の参照レベルと比較した生体試料中のアスパラギン合成酵素のレベルの増加が、転移の再発の可能性が高いことを示す、方法も提供する。
そのような方法は、治療有効量の薬剤を前記対象に投与することをさらに含んでもよく、前記薬剤は、がんを有する対象の血液中の細胞外アスパラギンレベルを低下させる。
本明細書で使用される用語「生体試料」および「対象から単離された試料」は、互換的に使用され、患者から単離された組織、細胞および生体液、ならびに患者内に存在する組織、細胞および液体を指す。試料は、尿試料、血液試料、血清試料、喀痰試料、糞便試料、体組織の生検、例えば、移植された腎臓組織の生検、脳脊髄液試料、精液試料または塗抹試料であってもよい。好ましい試料は、血清または血漿である。
本明細書で使用される場合、「参照レベル」または「対照」とは、正常レベルのアスパラギン/アスパラギン合成酵素発現を有する試料、例えば、がんを有しない、もしくはがんを有すると疑われない健康な対象に由来する試料またはアスパラギン合成酵素発現に関して、がんに罹患していない同じ対象の組織に由来する試料を指す。あるいは、参照レベル/所定のレベルは、所定のカットオフ値、すなわち、症状もしくは疾患またはその欠如を統計的に予測する診断スコアを生成するために使用することができる、参照データベースに由来するレベルであってよいか、または標準的な集団試料に基づく所定の参照レベルであってもよい。
本明細書で別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。例えば、Singleton and Sainsbury, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, 2d Ed., John Wiley and Sons, NY (1 94);およびHale and Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology, Harper Perennial, NY (1991)は、本発明において使用される多くの用語の一般的な辞書を当業者に提供する。本明細書に記載のものと類似するか、または等価である任意の方法および材料は、本発明の実施において有用であるが、好ましい方法および材料を本明細書で説明する。したがって、直下で定義される用語は、全体として明細書を参照することによってより完全に説明される。また、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、本文が別途明確に指摘しない限り、複数の指示対象を含む。別途指摘しない限り、それぞれ、核酸は、左から右に、5’から3’に向かって書かれる;アミノ酸配列は、左から右に、アミノからカルボキシの向きに書かれる。本発明は、記載された特定の方法、プロトコール、および試薬が、当業者によって使用される文脈に応じて変化してもよいため、これらに限定されないことが理解されるべきである。
本発明の態様は、以下の非限定例によって示される。
調査は、腫瘍細胞が血流に進入した後にその効果を発揮する、転移のドライバーを同定するために、4T1-Tを、他の41Tクローンと比較して使用した。示差的発現と、焦点を当てたin vitroおよびin vivoでのRNAiスクリーニングとの組合せにより、これらのクローンを識別する転移の候補となるドライバーが示され、次いで、これを、乳がん患者に由来する遺伝子発現データセットにおいて評価した。これらのうち、患者の原発腫瘍中でのアスパラギン合成酵素(Asns)発現は、後の転移性再発と最も強く相関していた。Asnsのサイレンシングは、in vivoでの転移能力と、in vitroでの侵入能力との両方を低下させた。逆に、細胞外アスパラギンの利用可能性の増大は、マウスおよびヒト乳がん細胞の侵入能力を増大させ、Asns発現により促進される転移を強化した。L-アスパラギナーゼを用いる処置によって、またはさらには、食事制限によるマウスにおけるアスパラギン利用可能性の低下は、同所腫瘍からの転移を強く減少させた。アスパラギン利用可能性は、組織間で変化し、腫瘍進行の特定の段階に対する選択的効果を潜在的に説明する。アスパラギン制限は上皮間葉移行を促進するタンパク質の産生を減少させたが、単一のアミノ酸の利用可能性がどのように転移進行を調節することができるのかに関する1つの潜在的な機構を提供する。
4T1-TがCTC熟練クローン間でより高い転移能力を有するとの観察を検証するために、本発明者らは、同数の4T1-Eおよび-T細胞を混合し、これらの細胞を、尾静脈注射によって免疫不全レシピエント(NOD-SCID-II2rg-/-(NSG)マウス)の血流中に直接導入した。初期プールの配列決定により、2種のクローンが等しい存在量で存在することが示された(図1a)。しかしながら、細胞を肺から収獲した場合、クローンTが優勢であり、その相対的表示は、注射された総細胞数と逆相関していた。
示差遺伝子発現分析により、4T1-Eと比較して4T1-T中でより高い発現を示す192個の遺伝子が同定された(データは提示しないが、2を超える倍数変化、FDR<0.05であった)。その対応する遺伝子オントロジータームを、転移の拡散にとって重要なプロセスについて富化した(データは提示しないが、例えば、上皮細胞遊走の正の調節および運動の調節)(Ashburner et al 2000)。乳がん患者データのレトロスペクティブ分析により、セット内の遺伝子が、侵攻性の腫瘍サブタイプにおいてより高度に発現されることが示された(図1b、BasalおよびClaudin-low、ANOVA p値<0.0001、Harrell et al 2012)。さらに、それらは無再発生存者と比較して、骨、脳および肺に後に再発した患者の原発腫瘍においてより高度に発現される(肺についての図1c、順位和p値<0.01)。
示差的に発現される遺伝子のこのセットが転移のドライバーを含有していたかどうかを決定するために、本発明者らは、2つのパラレルアームを用いてRNAiスクリーニングを実行した(図1d)。合計で、192個の遺伝子を標的とする約50個のshRNAの26のプール(遺伝子1個あたり約6個のshRNAを累積的に構成する)を、4T1-T細胞に導入した(Knott et al. 2014)。それぞれのプールを、2つの別々の6ウェルマトリゲル侵入チャンバー上に播種したか、または尾静脈注射によって5回反復でNSGマウスに導入した。24時間後、マトリゲルを通って侵入した細胞を収集し、7日後、肺をマウスから収獲し、かん流して、血管系から残留CTCを排除した。高効率スクリーニングを使用して、本発明者らは、おそらく、shRNAがこれらのプロセスにとって重要な遺伝子を標的としたため、侵入した細胞集団または肺転移中で枯渇したshRNAを同定した(経験的ベイズモデレイテッドt検定FDR<0.05)。in vitroおよびin vivoでの候補を比較した場合、強い重複が観察された(図1e、超幾何学検定のp値<0.0001)。少なくとも2つの対応するshRNAがスクリーニングの各アーム中で枯渇した場合、遺伝子を候補として分類した(データは提示しない)。
in vitroおよびin vivoアッセイの両方においてスコア化された候補遺伝子のうち、アスパラギン合成酵素(Asns)が、疾患進行とのその関連性を支持する最もロバストな臨床的証拠を有していた(図5)。ヒトオルソログASNSの発現レベルは、2つの乳がん患者データセットにおける全身的および肺特異的再発を予測していた(coxのp値<0.001)。また、一致した腫瘍および肺転移の小さい収集物を転写的にプロファイルした場合、ASNSは二次病変においてより高度に発現されることが見出された。ASNSは、侵攻性の腫瘍サブタイプにおいてより高度に発現され(Basal、Claudin-lowおよびHer2+、図6a、ANOVA p値<0.0001)、無再発生存者と比較して、リンパ節、脳、肝臓および肺に再発を有する患者においてより高度に発現される(図6b、順位和p値<0.005)。その後の分析により、ASNSは、3つのさらなる乳がん患者データセットにおいて生存を予測するものとして同定された(拡張データ、図2c、cox p値<0.001)。乳がんに加えて、ASNSは、TCGA Pan-Cancerデータセットに表される10種の他の固形腫瘍のうちの4種において生存と負に相関する(図6d、cox p値<0.05)。最後に、ASNSはまた、固形腫瘍の全体的に予測的なバイオマーカーである(図6e、cox p値<0.001)。
転移のドライバーとしてのAsnsを検証するために、本発明者らは、4T1-T細胞に、Asnsを標的とする2つのshRNA、またはウミシイタケルシフェラーゼを標的とする対照shRNAを感染させ、これらの細胞をNSGマウスに静脈内的に導入した(データは提示しない)。注射の9日後に肺を評価した場合、Asnsをサイレンシングされた細胞を受けるこれらの動物は、転移負荷の有意な減少を示した(図2aおよび図b、順位和検定p値<0.001)。Asnsをサイレンシングされた細胞はまた、マトリゲルへの弱い侵入を示した(図2cおよび図7a)。Asnsのサイレンシングは、in vitroでの増殖に影響した;しかしながら、この欠陥は、侵入アッセイにおいて観察されたものと比較して小さかった(拡張データ、図7bおよび図7c)。
Asnsをサイレンシングされた細胞を乳腺脂肪体に同所的に注射した場合、原発腫瘍形成の有意な変化は観察されなかった(図2dおよび図7d)。しかしながら、対応するCTCおよび肺転移は、Asnsをサイレンシングされた細胞に由来する腫瘍については低減された(図2e、図2fおよび図7e、それぞれ、順位和p値<0.05および<0.0002)。サイレンシングされた細胞によって開始される転移は、顕著により小さかった(図2g)。この差異は統計的に有意でないと見なされたが、それは増殖が転移部位で影響されることを示唆する。同様の結果が、Asnsをサイレンシングされた親4T1細胞について観察されたが、これは、Asns依存性がこの単一のクローン株の特性ではないことを示している(図8aおよび図8b、順位和p値<0.002)。親4T1集団中でのAsns発現の強化は、原発腫瘍増殖に影響しなかったが、対応する転移の数は有意に増加した(図8c~8e、順位和p値0.02)。同様の転帰が、ヒト乳がん細胞株、MDA-MB-231におけるASNS発現の強化の際に観察された(図8f~8i、ASNS発現強化対通常転移に関する順位和p値<0.02)。
細胞内遊離アスパラギンの有意な減少が、4T1-T細胞中でのAsnsのサイレンシングの際に検出された(図3aおよび図9a、経験的ベイズモデレイテッドt検定FDR<0.05)。さらに、侵入し、増殖する能力は、培地にアスパラギンを添加した場合、Asnsをサイレンシングされた細胞において増大した(図9bおよび図9c)。したがって、本発明者らは、侵入を促進する能力が、DMEM培養培地中で欠いている非必須アミノ酸(アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸およびプロリン)のうちでユニークであるかどうかを問うた。本発明者らは、これらのアミノ酸のそれぞれ、ならびに陰性対照としてのグリシンを培地に別々に添加し、それぞれの条件で増殖した細胞の侵襲性をアッセイした。HPLCにより、取込みのレベルが、アスパラギン酸とグルタミン酸を除いて、それぞれのアミノ酸について類似することが確認された(図9d)。4T1細胞は、アスパラギン添加に対してユニークに応答し、侵襲性が約2倍増加した(図3b、順位和p値<0.01)。同様の転帰が、MDA-MB-231細胞について観察された(図9eおよび図9f)。増殖は、いずれかの細胞株についてアスパラギン添加によって影響されなかった(図9gおよび図9h、順位和p値<0.01)。
これらのin vitroアッセイは、侵入が、生合成能力と局部環境との両方によって決定されるアスパラギン利用可能性によって影響されることを示した。したがって、本発明者らは、転移が細胞外アスパラギン利用可能性の低下によって影響され得るかどうかを問うた。アスパラギンの利用可能性のがん細胞への制限は、細胞外アスパラギンを減少させるために、細菌アスパラギン加水分解酵素であるL-アスパラギナーゼを使用して、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(Richards et al. 1998、Richards et al. 2006)を有する患者を処置するために上手く使用される戦略である。L-アスパラギナーゼは、Asns発現が原発部位での増殖のための要件ではないことを示す結果と一致して、固形腫瘍の処置にとって無効であることが証明された(Tallal et al. 1970)。疾患進行が全身アスパラギンレベルによって影響されるかどうかを決定するために、本発明者らは、親4T1細胞をNSGマウスに同所的に注射し、半分の動物を60UのL-アスパラギナーゼで週5回、19日間にわたって処置し、血清アスパラギンを、HPLCによって検出不可能なレベルまで低下させた(データは示さない)。原発腫瘍体積の有意差は検出されなかったが、転移負荷の有意な減少が、L-アスパラギン処置マウスにおいて観察された(図10a~c、順位和p値<0.0002)。
ALL患者は、典型的には、TELAML1融合遺伝子について陽性または陰性であると分類される。陽性である患者は、L-アスパラギナーゼを含有する化学療法剤カクテルで処置した場合、高い応答率を示す(Ramakers-van Woerden et al. 2000、 Stams et al. 2005)。しかしながら、TELAML1陰性患者は、より耐性を得やすく、それは、高いASNSレベルが療法後に観察されるこれらの患者におけるものであり、耐性を生合成産生によって達成することができることを示している。本発明のモデルでは、ASNSをサイレンシングされた4T1細胞を、L-アスパラギン処置マウスに同所的に注射した場合、得られる転移はほぼ検出不可能であった(図3cおよび図d、順位和P値<0.0005)。この場合、原発腫瘍体積の減少も観察された(拡張データ、図6d、順位和p値<0.05)。同様の結果が、ASNSをサイレンシングされたMDA-MB-231細胞に関して観察された(図10eおよび図10f、順位和p値<0.05)。
細胞外アスパラギンの利用可能性を、L-アスパラギナーゼを用いた処置だけでなく、食事からアスパラギンを枯渇させることによっても操作することができる。shRNAに感染した4T1-T細胞を、対照、低アスパラギン食または高アスパラギン食(それぞれ、0.6%、0%および4%)のいずれかを受けたマウスに同所的に注射した。HPLCにより、血清アスパラギンレベルが、食事摂取と一致して有意に変化することが確認された(図11a)。アスパラギン制限は、Asns発現状態に関係なく、原発腫瘍増殖に影響しなかった(図11b)。対照的に、転移負荷は、Asns発現状態に関係なく、低アスパラギン食を供給した動物において減少し、高アスパラギン食を与えた動物において増加した(図3eおよび図11c、順位和p値<0.0005)。転移は、Asnsをサイレンシングされた細胞を注射し、低アスパラギン食を供給したマウスにおいてほぼ検出不可能であった。同様の結果が、親4T1細胞を、これらの同じアスパラギン制御食を供給した動物に同所的に注射した場合に観察された(図11d~f、順位和p値<0.05)。
質量分析による乳腺、血清および肺のメタボロミクス分析により、正常な生理的条件下で、アスパラギンレベルは乳腺において最も高く、血清において最も低いことが示された(図3f、順位和p値<0.0005)。アスパラギンは、L-アスパラギナーゼ処置動物の血清においてほぼ検出不可能であった。qPCR分析により、アスパラギン存在量はこれらの組織においてAsns発現レベルと相関することが決定された(図11g、順位和p値<0.05)。乳腺における高いアスパラギン利用可能性は、Asnsサイレンシングの影響または全体的なアスパラギンレベルの変化を緩衝化し、腫瘍増殖速度が維持される。しかしながら、血清中の低レベルにより、細胞はこれらの変化の影響を受けやすくなる。最後に、肺における中間レベルは、Asnsサイレンシングの結果生じる、より小さい転移を説明することができる。ASNS発現レベルは、ヒト組織間で類似するパターンに従うが、ここで、肺における発現は、乳腺におけるものよりもわずかに高い(図11h)。
アスパラギン利用可能性が侵入および転移に影響し得る基礎となる機構を理解するために、本発明者らは、RNAレベルとタンパク質レベルの両方において、Asnsサイレンシングによって誘導される発現変化を検査した。RNA測定値は、タンパク質レベルの変化の最も強力な予測因子であった(図12a、順位和p値<0.001)。L-アスパラギナーゼ処置細胞中のアスパラギン残基での翻訳停止の以前の報告と一致して、本発明者らは、アスパラギン含量が対応するタンパク質レベルの変化を予測することも見出した(図12a、順位和p値<0.001、Loayza-Puch et al. 2016)。これは、対応するRNA測定値によって予測されたものから変化した、正規化されていない差異と変化との両方について当てはまった(図12bおよび図4a、順位和p値<0.001)。
Asnsサイレンシング時に発現が減少したアスパラギン富化タンパク質のうち、本発明者らは、ヒトオルソログが、上皮間葉移行(EMT)が誘導された場合に上方調節されると以前に同定された遺伝子の過剰表示を見出した(Taube et al. 2010)(図4a、図4bおよび図12c、EMT-upタンパク質、超幾何学的p値<0.005)。枯渇したタンパク質は、分析されたタンパク質プールよりも18%高いアスパラギン含量を有するが、EMT-upタンパク質の含量は20%高い。これらの同じタンパク質の発現は、親4T1細胞の培地にアスパラギンを添加した場合に増加した(図4c、符号順位p値<0.05)。ヒトオルソログはまた、アスパラギンに富み(図12d、順位和p値<0.001)、2番目に最も富化されたアミノ酸は、細胞内アスパラギン生合成のための基質であるアスパラギン酸である。さらに、アスパラギン富化は、EMT-upタンパク質の全体的に保存された特性であり(図12e、符号順位p値<1.0x10-13)、そのレベルは哺乳動物において最も高い(順位和p値<9.0x10-9)。
EMT-up遺伝子はまた、Asnsをサイレンシングされた細胞において転写レベルで下方調節された(図13a、符号順位p値<0.001)。さらに、2つのプロトタイプEMTマーカー(Twist1およびE-カドヘリン)のmRNAレベルを変化させて、摂動EMTプログラム(DESeq、FDR<0.05)を示した。EMT-up遺伝子はまた、親4T1細胞をアスパラギン添加培地中で増殖させた場合、そのmRNAレベルが増加した(図13b、符号順位p値<0.005)。また、存在するデータの再分析により、ASNS転写を調節するATF4を1倍体細胞中で欠失させた場合、EMT-up遺伝子の発現減少が示され、L-アスパラギナーゼ処置されたATF4ノックアウトマウスに由来する肝臓細胞は、同様に処置されたWTマウスよりもそのEMTプログラムにおいてより摂動した。総合して考えると、これらのデータは、アスパラギンのバイオアベイラビリティが、少なくとも部分的には、EMTの調節によって転移に影響し得ることを示唆していた。
EMTは、転移に強く関与していたが、その重要度は不明である。一致した親4T1腫瘍および肺転移の遺伝子発現プロファイルを比較した場合、EMT-up遺伝子は、二次病変において有意に増加することが見出された(図4d、符号順位p値<0.001)。対照的に、EMTが誘導された場合に下方調節される遺伝子(EMT-down遺伝子)は変化しなかった。このモデルにおけるEMTの役割を機能的に検証するために、本発明者らは、本発明者らがEMTの重要なドライバーであるTgf-βの発現をサイレンシングさせた4T1-T細胞を同所的に注射した。同所部位での増殖は、Tgf-βのサイレンシングによって影響されなかった(図13c)。しかしながら、腫瘍切片のIHCにより、Twist1およびE-カドヘリン(2つのプロトタイプEMTマーカー)が、Tgf-βをサイレンシングされた腫瘍において変化することが示された(図13dおよび図13e、順位和p値<0.01)。EMTの重要な役割と一致して、EMTが損傷した腫瘍を担持するマウスにおいては、より少ない転移が観察された(拡張データ9f、順位和p値<0.05)。Tgf-βをサイレンシングされた細胞も、それらを静脈内注射した場合により少ない転移をもたらしたが、これは、EMTが、腫瘍細胞が血流に進入した後に転移において役割を果たすことを示している(図13c、順位和p値<0.05)。
Asnsをサイレンシングされた細胞に由来する腫瘍においては形態学的な差異は検出されなかったが、TwistおよびE-カドヘリンに関するIHC染色は、EMTがこれらの病変において摂動し、この同じパターンが対応する転移において観察されることを示唆する(図4e~gおよび図14a)。これらの病変に由来する悪性細胞をFACSにより単離し、qPCRによって分析した場合、Twist1およびE-カドヘリンの発現レベルは、染色と一致する様式で変化することが見出された(図14bおよび図14c、順位和p値<0.05)。同様のパターンが、L-アスパラギナーゼで処置されたマウスの原発腫瘍においても観察された(図14dおよび図14e)。そこで、サイレンシングは最も大きい影響を有していたが、L-アスパラギナーゼを使用する細胞外アスパラギンの枯渇は有意な発現変化を惹起した(順位和p値<0.01)。食事アスパラギンも発現に影響し、アスパラギン含量は原発腫瘍中のEMT特徴と正に相関していた(図14fおよび図14g、順位和p値<0.01)。
これらの病変内の悪性細胞をより密接に検査するために、本発明者らは、腫瘍および肺転移から、6-TG選択によってshRNAに感染した4T1-T細胞を単離した。転移細胞は、Asns発現状態に関係なく、間葉形態(伸長した形状および紡錘の形状)を示した(図14h)。しかしながら、原発腫瘍から単離されたAsnsをサイレンシングされた細胞は、より上皮に近い形態を示した。これらの細胞中で、EMT-down遺伝子は上方調節され、TwistおよびE-カドヘリン発現レベルも、摂動するEMTプログラムと一致する様式で変化する(図4h、符号順位p値<0.05およびDESeq FDR<0.05)。EMT-up遺伝子は、Asnsをサイレンシングされた転移細胞において下方調節され、TwistおよびE-カドヘリンは、ここで同様に発現が変化する(順位和p値<0.001およびDESeq FDR<0.05)。
乳房腫瘍不均一性の我々のモデルは、転移進行の調節因子としてのアスパラギンバイオアベイラビリティを強く暗示した。高いASNS発現は多くの腫瘍型の予後不良のマーカーであるため、これもまたヒトがんにおいて関連する可能性が高い。本発明者らの知見の基礎となる1つの機構は、in vitroおよびin vivoで観察することができる、アスパラギンバイオアベイラビリティとEMTとの関連である可能性が高い。本発明者らの乳がんモデルでは、ゲート化ステップはおそらく、アスパラギンレベルが低く、L-アスパラギナーゼ処置または食事制限のいずれかによって強く影響される循環中で起こる。それにも拘わらず、本発明者らは、腫瘍進行と療法に対する応答の両方に影響し得る、原発部位および二次部位での上皮間葉様腫瘍細胞の比率に対する効果を見る。
実験方法
細胞培養物
マウス乳腺腫瘍細胞株4T1(ATCC)および任意の誘導クローン細胞株を、5%ウシ胎仔血清(FBS)、5%ウシ胎仔血清(FCS)、MEM非必須アミノ酸(NEAA)およびペニシリンストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific)を添加したDMEM高グルコース中で培養した。ヒト乳腺腫瘍細胞株MDAMB-231(ATCC)を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、NEAAおよびペニシリンストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific)を添加したDMEM高グルコース中で培養した。4T1およびMDA-MB-231細胞株は、ATCCによって試験および認証されたものであった。ウイルス産生のためのPlatinum-A(Cell BioLabs)および293FT(Thermo Fisher Scientific)パッケージング細胞株を、10%ウシ胎仔血清(FBS)およびペニシリンストレプトマイシンを添加したDMEM高グルコース中で培養した。全ての細胞株を、マイコプラズマ汚染について日常的に試験した。
ウイルス産生
レトロウイルスベクターを、Platinum-A(Cell BioLabs)細胞株を使用してパッケージングし、レンチウイルスベクターを、Wagenblast et al. 2015に以前に記載されたように293FT細胞株(Thermo Fisher Scientific)を使用してパッケージングした。
動物試験
全てのマウス実験は、Cold Spring Harbor Animal Care and Use Committeeによって認可されたものであった。任意の方向で20mmの最大許容腫瘍サイズは決して超えなかった。全てのマウスの注射を、6~8週齢のメスのNOD-SCID-Il2rg-/-(NSG)マウス(JAX)を用いて実行した。異なるクローン細胞株はレンチウイルスバーコードベクターに起因して可変的なGFPレベルを有するため、Balb/cマウスはこの試験では使用しなかった。尾静脈注射を、100μlのPBS中に再懸濁し、尾静脈を介して注射した、5x105個のマウス乳腺腫瘍細胞を使用して実行した。同所注射を、1x105個のマウス乳腺腫瘍細胞または5x105個のMDA-MB-231細胞を使用して実施した。このために、細胞を、PBSと増殖因子を低減させたMatrigel(BD Biosciences)との1:1混合物中に再懸濁した。20μlの容量を、マウス乳腺腫瘍細胞については乳腺に4回注射し、MDA-MB-231細胞については40μlの容量を注射した。原発腫瘍体積を、式V=1/2(LxW2)(式中、Lは、原発腫瘍の長さであり、Wは幅である)を使用して測定した。L-アスパラギナーゼ試験のために、マウスに、腹腔内注射により、週あたり5回、60UのL-アスパラギナーゼ200μlを投与した。L-アスパラギナーゼ調整食のために、マウスに、対照アミノ酸食(0.6%アスパラギン)、アスパラギン欠損食(0%アスパラギン)またはアスパラギンリッチ食(4%アスパラギン)を与えた。全ての食事は、等窒素であり、同様のカロリー密度を含有していた。標準的な統計検定を用いて有意性を呼び出すための十分な力を得るように試料サイズを選択した。そのようなin vivo実験において観察される変動を説明するために、マウス実験を、条件あたり10匹の動物を用いて実施した。動物を、ランダムケージ選択によって処置群に割り当てた。
バーコード分析
4T1-Eおよび4T1-T細胞のバーコードを、Wagenblast et al. 2015に以前に記載されたように、増幅および配列決定した。
in vivoでのshRNAの肺スクリーニングおよびin vitroでの侵入スクリーニング
shRNAを、Knott et al. 2014に記載されたSherwoodアルゴリズムに基づいて予測した。約50のshRNAのプールを、Platinum-A細胞中でパッケージングした。それぞれのプールについて、1000万個の4T1-T細胞を、0.3の感染多重度(MOI)で感染させた。感染した細胞を、5日間にわたって500μg/mlのヒグロマイシンを用いて選択し、それぞれのプールを、尾静脈を介してそれぞれ5匹のマウスに注射した。注射前のプールを、注射の時点で収集して、それぞれのshRNAの等しい表示を検証した。7日後、マウスを犠牲にし、PBSでかん流して、肺から血液および非浸出細胞を除去した。肺を収獲し、フェノールクロロホルム抽出を使用してゲノムDNAを単離した。注射前のプールのゲノムDNAを、QIAamp DNA Blood Mini Kit(Qiagen)を使用して単離した。
in vitro侵入アッセイを、同時に実行した。それぞれのプールを、2個の6ウェルBioCoat Matrigel侵入プレート(Corning)上に播種した。6x105個の細胞を、血清を含まない細胞培養培地中、各ウェルの頂部に播種した。細胞を、マトリゲルを介して、5%ウシ胎仔血清(FBS)および5%ウシ胎仔血清(FCS)を含有する培地中に24時間侵入させた。侵入した細胞を擦り取り、PBSで洗浄し、QIAamp DNA Blood Mini Kitを使用してゲノムDNAを単離した。
shRNAを、次世代シーケンシングのためにKnott et al. 2014に以前に記載された2段階PCRプロトコールを使用して増幅した。
第1のPCRフォワードプライマー1:5-CAG AAT CGT TGC CTG CAC ATC TTG GAA AC-3(配列番号1)およびリバースプライマー1:5-CTG CTA AAG CGC ATG CTC CAG ACT GC-3(配列番号2)。
第2のPCRフォワードプライマー2:5-AAT GAT ACG GCG ACC ACC GAG ATC TAC ACT AGC CTG CGC ACG TAG TGA AGC CAC AGA TGT A-3(配列番号3)およびリバースプライマー2:5-CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT NNN NNN GTG ACT GGA GTT CAG ACG TGT GCT CTT CCG ATC TCT GCT AAA GCG CAT GCT CCA GAC TGC-3(配列番号4)。リバースプライマーは、多重化を可能にするバーコード(NNNNNN)を含有していた。
スクリーニングデータの分析
それぞれのスクリーニングプールを、Knott et al. 2014に記載されたように分析した。
遺伝子オントロジー富化分析
遺伝子オントロジー富化分析を、GOrillaウェブポータルを使用して実施した。4T1-E細胞と比較して、4T1-T細胞中で過剰発現されると同定された遺伝子のRefseq識別子を、前景として使用し、全Refseq遺伝子一覧を背景として使用した。
発現サブタイプおよび再発分析
全ての臨床データ分析を、https://genome.unc.eduで公開されたデータとして利用可能なUniversity of North Carolina「855患者セット」を使用して実施した。全データは、水平軸上に患者を、垂直軸上に遺伝子を整列させた初期マトリックスに由来するものであった。初期の正規化は、それぞれの患者の全体的な発現プロファイルが類似することを確保するための分位点正規化を含んでいた。この後、それぞれの遺伝子を、患者間でzスコア正規化した。図1bについては、それぞれの遺伝子の平均発現レベルを、それぞれの患者サブタイプについて算出した。図1cについては、それぞれの遺伝子の平均発現レベルを、それぞれの二次部位に再発を有する、および有しない患者のそれぞれの遺伝子について算出した。図6aについては、サブタイプによって階層化された、それぞれの患者におけるASNSのレベルをプロットする。図6bについては、それぞれのボックスプロットは、それぞれの二次部位に再発を有する、および有しないそれぞれの患者におけるASNSのレベルを表す。
個々のin vitro侵入アッセイ
細胞のin vitroでの侵入能力を、6ウェルBioCoat Matrigel侵入プレートを使用して測定した。親4T1細胞については、1x106個の細胞を個々のウェル上に播種し、4T1-T細胞については、8x105個の細胞を個々のウェル上に播種し、MDA-MB-231細胞については、個々のウェルあたり5x105個の細胞を使用した。細胞を、血清を含まない培地中に再懸濁し、細胞を、5%ウシ胎仔血清(FBS)および5%ウシ胎仔血清(FCS)を含む培地中に侵入させた。図3bおよび図9eについては、4T1およびMDA-MB-231細胞を、100倍濃度の特定のアミノ酸(1xNEAA中の濃度と比較して)を含有する培地中で、それぞれ、2日または3日にわたって培養した後、侵入アッセイを開始した。24時間後、非侵入細胞を除去し、侵入ウェルをPBS中で洗浄し、2%グルタルアルデヒド中で2分間固定し、0.5%クリスタルバイオレットで10分間染色した。ウェルを、蒸留したH2O中で洗浄し、空気乾燥し、Odyssey赤外線スキャナーを使用して走査した。シグナルを、ImageJ(NIH)を使用して定量した。
競合および増殖アッセイ
mCherry競合アッセイのために、shRNAを形質導入したmCherry陽性細胞を、形質導入されていない細胞と混合した。mCherry蛍光を、LSR IIフローサイトメーター(BD Biosciences)上で定量した。増殖アッセイを、CellTrace Violet Cell Proliferation Kit(Thermo Fisher Scientific)を使用して実行した。図3bおよび図9eについては、4T1およびMDA-MB-231細胞を、100倍濃度の特定のアミノ酸(1xNEAA中の濃度と比較して)を含有する培地中で、それぞれ、2日または3日にわたって培養した後、増殖アッセイを開始した。細胞を、CellTraceバイオレットで染色した後、トリプシン処理し、培地中に再懸濁した。24時間後、細胞を収集して、SH800フローサイトメーター(Sony)を使用してスミレ色の蛍光強度を定量した。
腫瘍および肺転移細胞の単離
腫瘍および肺組織を、Wagenblast et al. 2015に以前に報告されたように収獲し、細断し、単一の細胞に消化した。細胞を、間質細胞を枯渇させるために60μMの6-チオグアニンを含有する4T1細胞培養培地中で増殖させたか、またはFACSAria III細胞選別装置(BD Biosciences)を使用してmCherry発現に基づいて直接選別した。
RNAseqライブラリーの調製
培養された4T1-T細胞に由来するRNAseqライブラリーを、Wagenblast et al. 2015に以前に記載されたように2回調製した。それぞれの試料を、Illumina HiSeq配列決定装置上で配列決定し、76ntの単一末端(SE)リードを得た。
RNAseq分析
Illumina配列決定リードを、bowtie2をデフォルトパラメータで使用して(Langmead at al. 2012)、マウスゲノム(mm10)と整列させた。遺伝子に、HTseqcount(Anders et al. 2015)を使用して、計数を割り当てた。示差発現分析を、DESeq(Anders et al. 2010)を使用して実施した。
shRNAノックダウンおよびcDNA過剰発現試験
マウスおよびヒト細胞株に、それぞれ、レトロウイルスまたはレンチウイルス構築物を発現するshRNAを形質導入した。感染後、4T1-T細胞を、500μg/mlのヒグロマイシンを用いて5日間にわたって選択し、MDA-MB-231細胞を、2μg/mlのピューロマイシンを用いて4日間にわたって選択した。レトロウイルス構築物を過剰発現するcDNAに感染した細胞株を、G418を用いて1週間にわたって選択した。親4T1細胞株を、600μg/mlのG418を用いて選択し、MDA-MB-231細胞を、1500μg/mlのG418を用いて選択した。
cDNA過剰発現遺伝子:
マウスASNS:NM_012055.1
ヒトASNS:NM_001673.2。
shRNAノックダウン配列:
マウスshAsns-1(配列番号5):
TGCTGTTGACAGTGAGCGCCACTGCCAATAAGAAAGTATATAGTGAAGCCACAGATGTATATACTTTCTTATTGGCAGTGTTGCCTACTGCCTCGGA
マウスshAsns-2(配列番号6):
TGCTGTTGACAGTGAGCGCCACTATGAAGTTTTGGATTTATAGTGAAGCCACAGATGTATAAATCCAAAACTTCATAGTGTTGCCTACTGCCTCGGA
マウスshTgfb1-1(配列番号7):
TGCTGTTGACAGTGAGCGCCAGTATATATATGTTCTTCAATAGTGAAGCCACAGATGTATTGAAGAACATATATATACTGTTGCCTACTGCCTCGGA
マウスshTgfb1-2(配列番号8):
TGCTGTTGACAGTGAGCGAAGTATATATATGTTCTTCAAATAGTGAAGCCACAGATGTATTTGAAGAACATATATATACTGTGCCTACTGCCTCGGA
ヒトshASNS-1(配列番号9):
TGCTGTTGACAGTGAGCGCCAGAAGCTAAAGGTCTTGTTATAGTGAAGCCACAGATGTATAACAAGACCTTTAGCTTCTGATGCCTACTGCCTCGGA
ヒトshASNS-2(配列番号10):
TGCTGTTGACAGTGAGCGCAGCAATGACAGAAGATGGATATAGTGAAGCCACAGATGTATATCCATCTTCTGTCATTGCTTTGCCTACTGCCTCGGA。
qRT-PCR
RNeasy Mini Kit(Qiagen)を使用して、細胞に由来する全RNAを精製し、DNAse処理した。全組織については、TRIzol Plus RNA Purification Kit(Thermo Scientific)を使用してRNAを単離した。組織溶解物を、Dounceホモジェナイザーを使用してホモジェナイズし、カラムホモジェナイザー(Thermo Fisher Scientific)を通過させて粘度を低下させた。RNAの完全性(RNA完全性スコア>9)を、Agilent Bioanalyzer(RNA nano kit)上で測定した。cDNAを、SuperScript III逆転写酵素(Sigma)を使用して合成した。定量的PCR分析を、Eppendorf Mastercycler ep realplex上で実施した。全てのシグナルを、ΔCt法を使用して定量し、Gapdhのレベルに対して正規化した。mCherry陽性のフローサイトメーターにより選別された腫瘍および肺転移細胞については、TaqMan Gene Expression Cells-to-Ct Kit(Thermo Fisher Scientific)を使用して、溶解した細胞から直接的にcDNAを生産した。定量的PCR分析を、TaqManプライマー/プローブセットを使用してCFX96(Bio-Rad)上で実施し、全てのシグナルを上記のように定量した。
qRT-PCRプライマー
マウスAsns(エクソン1~2)(配列番号11):
5’-CCT CTG CTC CAC CTT CTC T-3’ 5’-GAT CTT CAT CGC ACT CAG ACA-3’
マウスAsns(エクソン6~7)(配列番号12):
5’-CCA AGT TCA GTATCC TCT CCA G-3’ 5’-CTT CAT GAT GCT CGCTTC CA-3’
マウスTgfb1(エクソン1~2)(配列番号13):
5’-CCG AAT GTC TGA CGT ATT GAA GA-3’ 5’-GCG GAC TAC TAT GCT AAA GAG G-3’マウスTgfb1(エクソン3~4)(配列番号14):
5’-GTT ATC TTT GCT GTC ACA AGA GC-3’ 5’-CCC ACT GAT ACG CCT GAG-3’
マウスGapdh(エクソン2~3)(配列番号15):
5’-AAT GGT GAA GGT CGGTGT G-3’ 5’-GTG GAGTCA TACTGG AAC ATG TAG-3’
ヒトAsns(エクソン8~9)(配列番号16):
5’-GAGTCA GAC CTT TGT TTA AAG CA-3’ 5’-GGA GTG CTT CAATGT AAC AAG AC-3’
ヒトAsns(エクソン12~13)(配列番号17):
5’-CTG GAT GAA GTC ATATTT TCC TTG G-3’ 5’-CAG AGA AGATCA CCA CGCTAT C-3’
ヒトGAPDH(エクソン2~3)(配列番号18):
5’-ACA TCG CTC AGA CAC CAT G-3’ 5’-TGT AGT TGA GGT CAA TGA AGG G-3’。
TaqManプローブ:
マウスAsns:Mm00803785_m1
マウスE-カドヘリン(Cdh1):Mm01247357_m1
マウスTwist1:Mm00442036_m1
マウスGapdh:Mm99999915_g1。
循環腫瘍細胞(CTC)のためのqPCR:
CTCを、Wagenblast et al. 2015に以前に記載されたように定量した。ゲノムDNAを血液から単離し、レトロウイルスshRNA送達ベクターから発現されるmCherryに対するqPCRアッセイを使用して定量した。
mCherryプローブおよびプライマー:
プライマー1:5’-GACTACTTGAAGCTGTCCTTCC-3’(配列番号19)
プライマー2:5’-CGCAGCTTCACCTTGTAGAT-3’(配列番号20)
HEXプローブ:5’-/56-FAM/TTCAAGTGG/ZEN/GAGCGCGTGATGAA/3IABkFQ//-3’(配列番号21)。
ハウスキーピングプローブおよびプライマー:
プライマー1:5’-GACTTGTAACGGGCAGGCAGATTGTG-3’(配列番号22)
プライマー2:5’-GAGGTGTGGGTCACCTCGACATC-3’(配列番号23)
HEXプローブ:5’-/5HEX/CCGTGTCGC/ZEN/TCTGAAGGGCAATAT/3IABkFQ/-3’(配列番号24)。
肺転移の定量化
それぞれの肺について、5μmの切片を調製し、標準的なH&Eプロトコールを用いて染色した。肺転移負荷を、1つの切片上の個々の肺結節を計数することによって決定した。
E-カドヘリンおよびTwist1の分析:
免疫組織化学分析のために、原発腫瘍および肺を、Wagenblast et al. 2015に以前に記載されたようにプロセシングした。E-カドヘリン(24E10)ウサギmAb(3195、Cell Signaling)を、1:400希釈率で使用し、Twist1(Twist2C1a)マウスmAb(ab50887、Abcam)を、1:00の希釈率で使用した。EカドヘリンおよびTwist1のジアミノベンジジン染色(DAB)およびヘマトキシリン染色を、ImageJ(NIH)を使用して定量した。このために、画像を、Ruifrok et al. 2001に従って色解析し、E-カドヘリンおよびTwist1陽性染色の面積パーセントを測定した。
HPLCを使用した遊離アミノ酸の定量化
遊離アミノ酸を、培養細胞および血清中で定量した。培養細胞については、4T1およびMDA-MB-231細胞を、100倍濃度の特定のアミノ酸(1xNEAA中の濃度と比較して)を含有する培地中で、それぞれ、2日または3日にわたって培養した。全ての培養細胞を、Dounceホモジェナイザーを使用してホモジェナイズした後、溶解物を濾過した。それぞれの試料を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および蛍光検出器を使用して3回定量した。それぞれの反復物について、それぞれのアミノ酸のナノモル濃度を測定した。それぞれの3回反復物の平均を使用して、それぞれのアミノ酸のモルパーセント組成を算出した。
相対および絶対タンパク質定量のための等圧タグ(iTRAQ)を使用するプロテオミックプロファイリング
細胞を、氷冷PBS中で洗浄し、Ross et al. 2004に以前に記載されたようにiTRAQ定量プロテオミクスのために収獲した。3回の反復物を、それぞれの細胞株について使用した。
液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)を使用する代謝物プロファイリング
代謝物抽出を、以前に記載されたように実施した(26)。臓器組織試料を、乳腺については1.4mmのセラミックビーズまたは肺については2.8mmのセラミックビーズおよび予め冷やした80%メタノール1mlを予め充填した2mlの溶解チューブ中に入れた。試料を、6500Hzで3回の30秒サイクルおよび4分の停止時間でプログラムされたPrecellys24ホモジェナイザー(Bertin Instruments)を用いてホモジェナイズした。各サイクルの終わりに、試料を、液体窒素中で簡易凍結し、ドライアイス上に置いた。血清試料(50μl)の代謝物抽出を、-80℃の80%メタノール200μlを使用して実施した。10分間遠心分離した後(13.2kRPM、4℃)、上清を蒸発乾固させて、LC-MS/MS分析を行うまで-80℃で保存した。
ドライダウンした抽出物を、25μlのHPLC等級水中に再懸濁し、タンデム質量分析(LC-MS/MS)にカップリングした親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)を使用して、1μlを分析した。分析機器は、電子スプレーイオン源を備えたQTRAP6500ハイブリッド三連四重極/線形イオントラップ質量分析計(SCIEX)にカップリングしたNexera X2(Shimadzu)液体クロマトグラフィーからなっていた。生のLC-SRM-MSデータを、Analyst 1.6.2(SCIEX)を用いて獲得し、それぞれの代謝物のLC-SRM-MSトレースのピーク面積を、MultiQuant 1.1ソフトウェア(SCIEX)を使用して積分した。代謝物の差異を、試料を全ピーク面積に対して正規化し、多重比較と共に一元配置分散分析を使用して各群の反復物を比較することによって分析した。
アミノ酸組成分析
図4aについて、転写レベルおよびタンパク質レベルの対数倍数変化を、同じ分布に分位点正規化した。次いで、RNAレベルの変化を、タンパク質レベルの変化から差し引いた。次いで、10%の最高および最低後続値を有する遺伝子におけるアミノ酸表示を、順位和検定を使用して比較して、存在量が転写レベルの変化によって説明されないタンパク質レベルの変化と相関するアミノ酸を同定した。図12bについて、アミノ酸表示を、同じ順位和検定を使用して、RNAおよびタンパク質発現の最大の増加/減少を示す遺伝子間で比較した。図12cおよび図12dについて、同じ分析を実施し、この時点で、他の全ての遺伝子と比較してEMTの間に上方調節されると検出された遺伝子のタンパク質を比較した。図12cの場合、EMT-up遺伝子は、EMT-upヒト遺伝子のマウスオルソログであった。
図12eについて、図12dに記載されたプロ-EMTヒト遺伝子のオルソログであった最小で10個の遺伝子を担持するそれぞれの生物を分析した。それぞれの生物について、それぞれのタンパク質のアスパラギンのパーセンテージを算出した。次いで、プロ-EMTタンパク質の中央アスパラギンパーセンテージの、残りの生物特異的タンパク質に対する比を算出することによって、それぞれの生物のアスパラギン富化レベルを算出した。富化の統計的有意性を、図12cおよび図12dについて記載されたように算出した。
リボソームプロファイリング分析
分析のために、クオリティトリミングおよびリンカー除去を、cutadapt19を使用して実施した。bowtie2を使用して、汚染RNA(例えば、rRNAおよびtRNA配列)14にマッピングされるリードを除去した。続いて、STARを使用して、長さ29~33のリードを、ヒトトランスクリプトーム20にマッピングした。リード長に基づいて各リードについてオフセットを補正し、12および15ヌクレオチド下流をPおよびA部位とマーキングした。次いで、それぞれの遺伝子について、本発明者らは、全ての位置での事象数を算出し、各コドン、続いて、アミノ酸の計数を合計した。
参考文献
Figure 0007453915000001

Figure 0007453915000002

Figure 0007453915000003
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕全ての必須アミノ酸を含み、アスパラギンを実質的に含まない、複数のアミノ酸を含む栄養製品。
〔2〕少なくとも12種のアミノ酸を含む、前記〔1〕に記載の栄養製品。
〔3〕グルタミン、グリシン、セリン、システイン、チロシンおよびアルギニンからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる非必須アミノ酸を実質的に含まない、前記〔1〕または〔2〕に記載の栄養製品。
〔4〕1つもしくは複数の主要栄養素および/または1つもしくは複数の微量栄養素をさらに含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の栄養製品。
〔5〕25mg/kg/日未満のレベルでメチオニンをさらに含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の栄養製品。
〔6〕1日平均総タンパク質消費量に基づく必須アミノ酸の少なくとも1日推奨摂取量を提供するように製剤化される、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の栄養製品。
〔7〕固体または液体の形態にある、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の栄養製品。
〔8〕成分が水中に溶解または分散され、噴霧乾燥される、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の栄養製品を調製する方法。
〔9〕前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の栄養製品または前記〔8〕に従って生産された栄養製品と、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含む医薬組成物。
〔10〕がん細胞増殖の阻害剤、抗転移剤、免疫チェックポイント阻害剤、放射線療法剤および化学療法剤から選択される治療剤をさらに含む、前記〔9〕に記載の医薬組成物。
〔11〕治療剤が血液中のアスパラギンレベルを低下させる、前記〔10〕に記載の医薬組成物。
〔12〕治療剤がアスパラギン合成酵素阻害剤またはL-アスパラギナーゼである、前記〔11〕に記載の医薬組成物。
〔13〕療法における使用のための、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の、もしくは前記〔8〕に従って生産された栄養製品または前記〔9〕~〔12〕のいずれか1項に記載の医薬組成物。
〔14〕がんを有する対象における転移の遅延または阻害における使用のための薬剤であって、がんを有する対象の血液中のアスパラギンレベルを低下させる、使用のための薬剤。
〔15〕a.前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の栄養製品;
b.前記〔8〕に従って生産された栄養製品;
c.前記〔9〕~〔12〕のいずれか1項に記載の医薬組成物;
d.アスパラギン合成酵素阻害剤;または
e.L-アスパラギナーゼ
からなる群から選択される、前記〔14〕に記載の使用のための薬剤。
〔16〕がんが、乳がん、結腸がん、頭頸部扁平上皮がん、腎明細胞がんおよび子宮内膜がんからなる群から選択される、前記〔14〕または〔15〕に記載の使用のための薬剤。
〔17〕栄養製品または医薬組成物がL-アスパラギナーゼとの同時投与または連続投与のために製剤化される、前記〔15〕または〔16〕に記載の使用のための薬剤。
〔18〕栄養製品が、がん細胞増殖の阻害剤、抗転移剤、免疫チェックポイント阻害剤、放射線療法剤および化学療法剤から選択される治療剤と組み合わせて使用される、前記〔15〕~〔17〕のいずれか1項に記載の使用のための薬剤。
〔19〕対象が、対照または所定のレベルよりも高いアスパラギン合成酵素の発現レベルを有すると決定された、前記〔14〕~〔18〕のいずれか1項に記載の使用のための薬剤。
〔20〕対象が、対照または所定のレベルよりも高い血清アスパラギンのレベルを有すると決定された、前記〔14〕~〔19〕のいずれか1項に記載の使用のための薬剤。
〔21〕対象が固形腫瘍を有する、前記〔14〕~〔20〕のいずれか1項に記載の使用のための薬剤。
〔22〕がんを有する対象における転移を遅延させる、または阻害するための薬剤の製造における化合物または組成物の使用であって、前記化合物または組成物は、対象の血液中の細胞外アスパラギンレベルを低下させる、使用。
〔23〕化合物または組成物が、
a.前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の栄養製品;
b.前記〔8〕に従って生産された栄養製品;
c.前記〔9〕~〔12〕のいずれか1項に記載の医薬組成物;
d.アスパラギン合成酵素阻害剤;または
e.L-アスパラギナーゼ
である、前記〔22〕に記載の使用。
〔24〕がんが、乳がん、結腸がん、頭頸部扁平上皮がん、腎明細胞がんおよび子宮内膜がんからなる群から選択される、前記〔22〕または〔23〕に記載の使用。
〔25〕栄養製品または医薬組成物が、L-アスパラギナーゼとの同時投与または連続投与のために製剤化される、前記〔23〕または〔24〕に記載の使用。
〔26〕栄養製品が、がん細胞増殖の阻害剤、抗転移剤、免疫チェックポイント阻害剤、放射線療法剤および化学療法剤から選択される治療剤と組み合わせて使用される、前記〔23〕~〔25〕のいずれか1項に記載の使用。
〔27〕対象が、対照または所定のレベルよりも高いアスパラギン合成酵素の発現レベルを有すると決定された、前記〔22〕~〔26〕のいずれか1項に記載の使用。
〔28〕対象が、対照または所定のレベルよりも高い血清アスパラギンのレベルを有すると決定された、前記〔22〕~〔27〕のいずれか1項に記載の使用。
〔29〕対象が固形腫瘍を有する、前記〔22〕~〔28〕のいずれか1項に記載の使用。
〔30〕対象におけるがんを処置する方法であって、治療有効量の薬剤を前記対象に投与することを含み、前記薬剤が、がんを有する対象の血液中のアスパラギンレベルを低下させる、方法。
〔31〕薬剤が、
a.前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の栄養製品;
b.前記〔8〕に従って生産された栄養製品;
c.前記〔9〕~〔12〕のいずれか1項に記載の医薬組成物;
d.アスパラギン合成酵素阻害剤;または
e.L-アスパラギナーゼ
を含む、前記〔30〕に記載の方法。
〔32〕がんが、乳がん、結腸がん、頭頸部扁平上皮がん、腎明細胞がんおよび子宮内膜がんからなる群から選択される、前記〔30〕に記載の方法。
〔33〕治療有効量の栄養製品または医薬組成物が、治療有効量のL-アスパラギナーゼと同時投与または連続投与される、前記〔31〕に記載の方法。
〔34〕治療有効量の栄養製品が、がん細胞増殖の阻害剤、抗転移剤、免疫チェックポイント阻害剤、放射線療法剤および化学療法剤から選択される治療剤と組み合わせて投与される、前記〔31〕に記載の方法。
〔35〕対象が、対照または所定のレベルよりも高いアスパラギン合成酵素の発現レベルを有すると決定された、前記〔30〕に記載の方法。
〔36〕対象が、対照または所定のレベルよりも高い血清アスパラギンのレベルを有すると決定された、前記〔30〕に記載の方法。
〔37〕対象が固形腫瘍を有する、前記〔30〕に記載の方法。
〔38〕栄養製品が対象のための唯一の栄養源である、前記〔31〕に記載の方法。
〔39〕処置が、少なくとも24時間の期間にわたって、または治療のエンドポイントが観察されるまで投与される、前記〔30〕に記載の方法。
〔40〕薬剤が1日1~6回投与される、前記〔30〕に記載の方法。
〔41〕少なくとも1日推奨量の必須アミノ酸が、毎日の栄養製品の投与レジメンによって満たされる、前記〔31〕に記載の方法。
〔42〕転移のリスクが高い腫瘍を有する患者または患者集団を同定するためのバイオマーカーとしての血清アスパラギンレベルの使用。
〔43〕転移のリスクが高い腫瘍を有する患者または患者集団を同定するためのバイオマーカーとしてのアスパラギン合成酵素発現の使用。
〔44〕転移の可能性が高いがんを有する対象を同定する方法であって、
a)対象から単離された生体試料中のアスパラギンのレベルを決定すること;
b)生体試料中のアスパラギンのレベルと、対照試料またはアスパラギンの所定の参照レベルとを比較すること
を含み、
対照試料と比較した、または所定の参照レベルと比較した生体試料中のアスパラギンレベルの増加が、転移の可能性が高いことを示す、方法。
〔45〕治療有効量の薬剤を前記対象に投与することをさらに含み、前記薬剤が、がんを有する対象の血液中のアスパラギンレベルを低下させる、前記〔44〕に記載の方法。
〔46〕薬剤が、
a.前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の栄養製品;
b.前記〔8〕に従って生産された栄養製品;
c.前記〔9〕~〔12〕のいずれか1項に記載の医薬組成物;
d.アスパラギン合成酵素阻害剤;または
e.L-アスパラギナーゼ
である、前記〔45〕に記載の方法。
〔47〕アスパラギンを実質的に含まない食事を供給した場合、またはL-アスパラギナーゼと共に投与した場合、がん処置に対する応答性または感受性の可能性が高い対象を同定する方法であって、
a)対象から単離された生体試料中のアスパラギンのレベルを決定すること;
b)生体試料中のアスパラギンのレベルと、対照試料またはアスパラギンの所定の参照レベルとを比較すること
を含み、
対照試料と比較した、または所定の参照レベルと比較した生体試料中のアスパラギンのレベルの増加が、アスパラギンを実質的に含まない食事と組み合わせた場合、またはL-アスパラギナーゼと共に投与した場合、前記がん処置に対する応答性または感受性を示す、方法。
〔48〕対象が、アスパラギンを実質的に含まない食事を供給された場合、またはL-アスパラギナーゼと共に投与された場合、がん処置に対する応答性または感受性の可能性が高いと同定された場合に、治療有効量の、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の栄養製品または前記〔8〕に従って生産された栄養製品または前記〔9〕~〔12〕のいずれか1項に記載の医薬組成物またはL-アスパラギナーゼを、化学療法剤と共に投与することをさらに含む、前記〔47〕に記載の方法。
〔49〕生体試料が血清である、前記〔44〕または〔47〕に記載の方法。
〔50〕がんを有する対象における転移の再発の可能性を決定する方法であって、
a)対象から単離された生体試料中のアスパラギン合成酵素のレベルを決定すること;
b)生体試料中のアスパラギン合成酵素のレベルと、対照試料またはアスパラギンの所定の参照レベルとを比較すること
を含み、
対照試料と比較した、または所定の参照レベルと比較した生体試料中のアスパラギン合成酵素のレベルの増加が、転移の再発の可能性が高いことを示す、方法。
〔51〕対象における上皮間葉移行を逆転させるか、またはがんを有する対象における上皮間葉移行を防止する方法であって、治療有効量の、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の栄養製品または前記〔8〕に従って生産された栄養製品または前記〔9〕~〔12〕のいずれか1項に記載の医薬組成物またはL-アスパラギナーゼを、それを必要とする対象に投与することを含む方法。

Claims (13)

  1. 全ての必須アミノ酸を含み、アスパラギンを実質的に含まず、少なくとも12種のアミノ酸を含み、少なくともアルギニン実質的に含まない、複数のアミノ酸を含む栄養製品。
  2. 1つもしくは複数の主要栄養素および/または1つもしくは複数の微量栄養素をさらに含む、請求項に記載の栄養製品。
  3. 25mg/kg/日未満のレベルでメチオニンをさらに含む、請求項1または2に記載の栄養製品。
  4. 1日平均総タンパク質消費量に基づく必須アミノ酸の少なくとも1日推奨摂取量を提供するように製剤化される、請求項1~のいずれか1項に記載の栄養製品。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の栄養製品と、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含む医薬組成物。
  6. がん細胞増殖の阻害剤、抗転移剤、免疫チェックポイント阻害剤、放射線療法剤および化学療法剤から選択される治療剤をさらに含む、請求項に記載の医薬組成物。
  7. 治療剤が血液中のアスパラギンレベルを低下させ、好ましくは、治療剤がアスパラギン合成酵素阻害剤またはL-アスパラギナーゼである、請求項に記載の医薬組成物。
  8. がんを有する対象における転移の遅延または阻害における使用のための薬剤であって、前記薬剤が、がんを有する対象の血液中のアスパラギンレベルを低下させ、
    a.請求項1~のいずれか1項に記載の栄養製品;および
    b.請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物;
    からなる群から選択され、任意でアスパラギン合成酵素阻害剤;またはL-アスパラギナーゼと組み合わされてもよい、薬剤。
  9. がんが、乳がん、結腸がん、頭頸部扁平上皮がん、腎明細胞がんおよび子宮内膜がんからなる群から選択される、請求項に記載の使用のための薬剤。
  10. 栄養製品または医薬組成物がL-アスパラギナーゼとの同時投与または連続投与のために製剤化される、請求項またはに記載の使用のための薬剤。
  11. 栄養製品が、がん細胞増殖の阻害剤、抗転移剤、免疫チェックポイント阻害剤、放射線療法剤および化学療法剤から選択される治療剤と組み合わせて使用される、請求項10のいずれか1項に記載の使用のための薬剤。
  12. 対象が、対照または所定のレベルよりも高い、アスパラギン合成酵素の発現レベルおよび/または血清アスパラギンのレベルを有すると決定された、請求項11のいずれか1項に記載の使用のための薬剤。
  13. がんを有する対象における上皮間葉移行を逆転させるか、またはがんを有する対象における上皮間葉移行を防止するのに使用するための、治療有効量の、請求項1~のいずれか1項に記載の栄養製品または請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物
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