JP7448822B2 - 評価装置及び評価プログラム - Google Patents

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本開示は、金属材料の疲労特性を評価するための評価装置及び評価プログラムに関する。
従来、機械や構造物が使用中に意図せず破損するのを防止するため、これらを構成する金属材料の寿命特性の評価が行われている。金属材料の寿命は、多くの場合、その疲労寿命に支配される。疲労寿命とは、一般に、金属材料に繰返し負荷を与えた場合において、金属材料が破断又は破損するまでの負荷の繰返し数である。金属材料の寿命特性の評価とは、典型的には、金属材料の疲労寿命の特性(疲労特性)を評価することをいう。なお、以下では、破損も含めて破断と表記する。
金属材料の疲労特性を評価する際には、当該金属材料で形成された試料(試験片又は試験体)を複数準備し、これらの試料の疲労試験を実施する。疲労試験では、各試料で応力比を一定に保持し、試料ごとに応力振幅を変えながら繰返し応力を負荷して、試料が破断するまでの繰返し数を求める。応力比とは、最小負荷応力を最大負荷応力で除した値であり、応力振幅とは、最大負荷応力から最小負荷応力を減じた値の半分の値である。そして、疲労試験の結果をまとめ、繰返し応力と破断までの繰返し数との関係を表す線図を作成する。一般には、繰返し応力(応力振幅)を縦軸にとり、繰返し数を横軸にとる平面座標系において、疲労試験結果の近似線が求められる。
疲労試験結果の近似線は、S-N曲線と称される。S-N曲線は、繰返し応力を縦軸にとり、繰返し数を横軸にとる平面座標系において、右下がりの直線で表されることが多い。しかしながら、例えば、金属材料が鉄鋼材料である場合、繰返し数がいくら増加しても材料が破断に至らない、疲労限度と呼ばれる応力が存在することが知られている。疲労限度を有する金属材料の場合、S-N曲線は、右下がりの連続低下部と、疲労限度を示す水平部とで構成されることになる。連続低下部と水平部との接続点である折れ点は、典型的には、繰返し数が1000万回以下の領域で現れる。そのため、金属材料の疲労試験では、最大繰返し数が例えば1000万回程度に設定される。
最大繰返し数が1000万回程度に設定されている場合、金属材料の疲労試験には多大な時間が必要となる。例えば、繰返し速度(負荷周波数)を10Hzとした場合、試料に対する1000万回の応力負荷を達成するには2週間程度を要する。また、S-N曲線を得るためには、多数の試料を準備して試料ごとに疲労試験を実施する必要があるため、疲労試験の期間は長期にわたる。
疲労試験の期間を短縮し、金属材料の疲労特性を短期間で評価するため、従来、様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、試料に超音波振動を与えて疲労試験を行う技術が開示されている。特許文献1では、超音波振動子によって試料を共振させ、試料に応力を発生させる。この場合、試料に発生する応力の繰返し速度が大きくなり、各試料の疲労試験の時間が短縮されると考えられる。
特許文献2にも、試料に超音波振動を与えて疲労試験を行う技術が開示されている。特許文献2では、試料に対し、共振による曲げ変形を繰り返して与えることにより、応力振幅一定の高速な疲労試験が行われる。
特許文献3には、疲労試験において、試料に繰返し応力を発生させながら、初期温度に対する温度変化量を取得する技術が開示されている。特許文献3では、1つの試料に対し、発生させる応力を変化させつつ温度変化量の取得を繰り返し、複数の応力それぞれについて得られた温度変化量に基づいて試料の疲労限度を推定する。特許文献3には、試料が破断するまで繰返し応力を発生させる必要はないため、単一の試料を疲労試験に使用することができ、短時間で疲労限度を推定することができると記載されている。
特開2018-048889号公報 特許第6142074号公報 特許第6483568号公報
特許文献1及び2では、超音波振動を利用することにより、試料に発生する応力の繰返し速度(負荷周波数)が大きくなり、個々の試料の試験時間が短縮される。しかしながら、特許文献1及び2のように、試料に対する負荷周波数を増大させる技術では、試験の結果に影響が生じる可能性がある。この場合、材料の疲労特性を精度よく評価することは難しい。
特許文献3では、試料の温度変化量に基づいて疲労限度を推定することにより、材料の疲労特性の評価を行っている。しかしながら、特許文献3では、疲労特性の評価に際し、試料が破断するまでの応力繰返し数が直接的に測定されていない。そのため、特許文献3のような技術では、評価結果の誤差が大きくなるおそれがある。
本開示は、短期間で精度よく金属材料の疲労特性を評価することができる評価装置を提供することを課題とする。
本開示に係る評価装置は、金属材料の疲労特性を評価するための評価装置である。評価装置は、予測試験情報生成部と、疲労特性線取得部と、を備える。予測試験情報生成部は、金属材料からなる試料に繰返し負荷を与える疲労試験を実際に行って得られた複数の実試験情報の各々に基づき、複数の予測試験情報を生成する。実試験情報の各々は、負荷情報と、繰返し数情報と、実結果情報と、を含む。負荷情報は、疲労試験において試料に与えられた負荷を示す。繰返し数情報は、疲労試験において試料に与えられた負荷の繰返し数を示す。実結果情報は、疲労試験において試料が破断したか否かを示す。疲労特性線取得部は、複数の予測試験情報に基づき、疲労特性線を取得する。疲労特性線は、金属材料の負荷と、金属材料が破断するまでの負荷の繰返し数との関係を表す。疲労特性線は、金属材料の負荷を示す縦軸と、金属材料の負荷の繰返し数を示す横軸とを有する平面座標系において、連続低下部と、水平部と、折れ点と、を含む。連続低下部では、横軸座標が大きくなるにつれて縦軸座標が小さくなる。水平部では、縦軸座標が一定である。折れ点は、連続低下部と水平部との接続点である。
予測試験情報生成部は、実試験情報変換部と、仮想試験情報生成部と、結果情報割当部と、を含む。実試験情報変換部は、実試験情報ごとに、負荷情報を縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値に変換するとともに、繰返し数情報を横軸のパラメータ値である第2パラメータ値に変換する。仮想試験情報生成部は、実試験情報ごとに、複数の仮想試験情報を生成する。複数の仮想試験情報の各々は、縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値と、横軸のパラメータ値である第2パラメータ値と、を含む。結果情報割当部は、実試験情報の各々について、実結果情報が試料の破断及び未破断のうちいずれを示すかを判定する。結果情報割当部は、実結果情報が破断を示す場合、複数の仮想試験情報のうち、実試験情報における第1パラメータ値以下の第1パラメータ値を有し、且つ実試験情報における第2パラメータ値よりも小さい第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てる。結果情報割当部は、実結果情報が破断を示す場合、複数の仮想試験情報のうち、実試験情報における第1パラメータ値よりも小さい第1パラメータ値を有し、且つ実試験情報における第2パラメータ値以下の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てる。結果情報割当部は、実結果情報が破断を示す場合、複数の仮想試験情報のうち、実試験情報における第1パラメータ値以上の第1パラメータ値を有し、且つ実試験情報における第2パラメータ値以上の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、破断を示す予測結果情報を割り当てる。これにより、結果情報割当部は、複数の仮想試験情報から複数の予測試験情報を生成する。
疲労特性線取得部は、折れ点候補情報選択部と、連続低下部候補算出部と、水平部候補算出部と、を含む。折れ点候補情報選択部は、それぞれ横軸のパラメータ値である複数の折れ点候補情報から一の折れ点候補情報を選択する。連続低下部候補算出部は、予測試験情報のうち、選択された折れ点候補情報以下の第2パラメータ値を有する予測試験情報に基づき、連続低下部に対応する連続低下部候補を算出する。水平部候補算出部は、予測試験情報のうち、選択された折れ点候補情報以上の第2パラメータ値を有する予測試験情報に基づき、水平部に対応する水平部候補を算出する。疲労特性線取得部は、全ての折れ点候補情報が折れ点候補情報選択部によって選択されるまで、折れ点候補情報選択部による折れ点候補情報の選択、連続低下部候補算出部による連続低下部候補の算出、及び水平部候補算出部による水平部候補の算出を繰り返す。疲労特性線取得部は、算出された連続低下部候補及び水平部候補の中から予め定められた評価指標に基づき最適な連続低下部候補及び水平部候補を選択して、それぞれ連続低下部及び水平部として採用する。
本開示に係る評価装置によれば、短期間で精度よく金属材料の疲労特性を評価することができる。
図1は、実施形態に係る評価装置の機能ブロック図である。 図2は、実施形態に係る評価装置として機能するコンピュータのハードウェア構成図である。 図3Aは、実施形態に係る評価装置が行う処理を示すフローチャートである。 図3Bは、実施形態に係る評価装置が行う処理を示すフローチャートである。 図3Cは、実施形態に係る評価装置が行う処理を示すフローチャートである。 図4は、実施形態に係る評価装置によって取得する疲労特性線の例を示す図である。 図5は、実施形態に係る評価装置によって取得した疲労特性線を利用して疲労特性の評価を行う手順を示すフローチャートである。 図6は、実施形態に係る評価装置により、実試験情報に基づいて予測される予測試験情報を説明するための模式図である。 図7は、実施形態に係る評価装置により、実試験情報に基づいて予測される予測試験情報を説明するための模式図である。 図8は、実施例における実試験情報、及び仮想試験情報となる格子点を模式的に示す図である。 図9は、実施例に係る手法において評価基準として使用された対数損失(LogLoss)を示す図である。 図10は、従来手法で求められたS-N曲線、実施例に係る手法で求められたS-N曲線、及び実試験情報を示す図である。
第1から第3の構成に係る評価装置は、それぞれ、金属材料の疲労特性を評価するための評価装置である。各評価装置は、予測試験情報生成部と、疲労特性線取得部と、を備える。予測試験情報生成部は、金属材料からなる試料に繰返し負荷を与える疲労試験を実際に行って得られた複数の実試験情報の各々に基づき、複数の予測試験情報を生成する。実試験情報の各々は、負荷情報と、繰返し数情報と、実結果情報と、を含む。負荷情報は、疲労試験において試料に与えられた負荷を示す。繰返し数情報は、疲労試験において試料に与えられた負荷の繰返し数を示す。実結果情報は、疲労試験において試料が破断したか否かを示す。疲労特性線取得部は、複数の予測試験情報に基づき、疲労特性線を取得する。疲労特性線は、金属材料の負荷と、金属材料が破断するまでの負荷の繰返し数との関係を表す。疲労特性線は、金属材料の負荷を示す縦軸と、金属材料の負荷の繰返し数を示す横軸とを有する平面座標系において、連続低下部と、水平部と、折れ点と、を含む。連続低下部では、横軸座標が大きくなるにつれて縦軸座標が小さくなる。水平部では、縦軸座標が一定である。折れ点は、連続低下部と水平部との接続点である。
第1の構成に係る評価装置において、予測試験情報生成部は、実試験情報変換部と、仮想試験情報生成部と、結果情報割当部と、を含む。実試験情報変換部は、実試験情報ごとに、負荷情報を縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値に変換するとともに、繰返し数情報を横軸のパラメータ値である第2パラメータ値に変換する。仮想試験情報生成部は、実試験情報ごとに、複数の仮想試験情報を生成する。複数の仮想試験情報の各々は、縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値と、横軸のパラメータ値である第2パラメータ値と、を含む。結果情報割当部は、実試験情報の各々について、実結果情報が試料の破断及び未破断のうちいずれを示すかを判定する。結果情報割当部は、実結果情報が破断を示す場合、複数の仮想試験情報のうち、実試験情報における第1パラメータ値以下の第1パラメータ値を有し、且つ実試験情報における第2パラメータ値よりも小さい第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てる。結果情報割当部は、実結果情報が破断を示す場合、複数の仮想試験情報のうち、実試験情報における第1パラメータ値よりも小さい第1パラメータ値を有し、且つ実試験情報における第2パラメータ値以下の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てる。結果情報割当部は、実結果情報が破断を示す場合、複数の仮想試験情報のうち、実試験情報における第1パラメータ値以上の第1パラメータ値を有し、且つ実試験情報における第2パラメータ値以上の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、破断を示す予測結果情報を割り当てる。これにより、結果情報割当部は、複数の仮想試験情報から複数の予測試験情報を生成する。
第2の構成に係る評価装置において、予測試験情報生成部は、実試験情報変換部と、仮想試験情報生成部と、結果情報割当部と、を含む。実試験情報変換部は、実試験情報ごとに、負荷情報を縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値に変換するとともに、繰返し数情報を横軸のパラメータ値である第2パラメータ値に変換する。仮想試験情報生成部は、実試験情報ごとに、複数の仮想試験情報を生成する。複数の仮想試験情報の各々は、縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値と、横軸のパラメータ値である第2パラメータ値と、を含む。結果情報割当部は、実試験情報の各々について、実結果情報が試料の破断及び未破断のうちいずれを示すかを判定する。結果情報割当部は、実結果情報が未破断を示す場合、複数の仮想試験情報のうち、実試験情報における第1パラメータ値以下の第1パラメータ値を有し、且つ実試験情報における第2パラメータ値以下の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てる。これにより、結果情報割当部は、複数の仮想試験情報から複数の予測試験情報を生成する。
第3の構成に係る評価装置において、予測試験情報生成部は、実試験情報変換部と、仮想試験情報生成部と、結果情報割当部と、を含む。実試験情報変換部は、実試験情報ごとに、負荷情報を縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値に変換するとともに、繰返し数情報を横軸のパラメータ値である第2パラメータ値に変換する。仮想試験情報生成部は、実試験情報ごとに、複数の仮想試験情報を生成する。複数の仮想試験情報の各々は、縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値と、横軸のパラメータ値である第2パラメータ値と、を含む。結果情報割当部は、実試験情報の各々について、実結果情報が試料の破断及び未破断のうちいずれを示すかを判定する。結果情報割当部は、実結果情報が破断を示す場合、複数の仮想試験情報のうち、実試験情報における第1パラメータ値以下の第1パラメータ値を有し、且つ実試験情報における第2パラメータ値よりも小さい第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てる。結果情報割当部は、実結果情報が破断を示す場合、複数の仮想試験情報のうち、実試験情報における第1パラメータ値よりも小さい第1パラメータ値を有し、且つ実試験情報における第2パラメータ値以下の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てる。結果情報割当部は、実結果情報が破断を示す場合、複数の仮想試験情報のうち、実試験情報における第1パラメータ値以上の第1パラメータ値を有し、且つ実試験情報における第2パラメータ値以上の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、破断を示す予測結果情報を割り当てる。また、結果情報割当部は、実結果情報が未破断を示す場合、複数の仮想試験情報のうち、実試験情報における第1パラメータ値以下の第1パラメータ値を有し、且つ実試験情報における第2パラメータ値以下の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てる。これにより、結果情報割当部は、複数の仮想試験情報から複数の予測試験情報を生成する。
第1から第3の構成に係る評価装置の各々において、疲労特性線取得部は、折れ点候補情報選択部と、連続低下部候補算出部と、水平部候補算出部と、を含む。折れ点候補情報選択部は、それぞれ横軸のパラメータ値である複数の折れ点候補情報から一の折れ点候補情報を選択する。連続低下部候補算出部は、予測試験情報のうち、選択された折れ点候補情報以下の第2パラメータ値を有する予測試験情報に基づき、連続低下部に対応する連続低下部候補を算出する。水平部候補算出部は、予測試験情報のうち、選択された折れ点候補情報以上の第2パラメータ値を有する予測試験情報に基づき、水平部に対応する水平部候補を算出する。疲労特性線取得部は、全ての折れ点候補情報が折れ点候補情報選択部によって選択されるまで、折れ点候補情報選択部による折れ点候補情報の選択、連続低下部候補算出部による連続低下部候補の算出、及び水平部候補算出部による水平部候補の算出を繰り返す。疲労特性線取得部は、算出された連続低下部候補及び水平部候補の中から予め定められた評価指標に基づき最適な連続低下部候補及び水平部候補を選択して、それぞれ連続低下部及び水平部として採用する。
第1から第3の構成に係る評価装置によれば、金属材料の疲労特性線の取得に際し、当該金属材料からなる試料の疲労試験を実際に実施して得られた各実試験情報に基づいて複数の予測試験情報が生成される。すなわち、実試験情報から、疲労特性線取得に利用可能な試験情報を増加させることができる。そのため、疲労特性線の取得に際して準備する実試験情報の数を従来よりも少なくすることができる。よって、疲労試験に費やす時間を減少させることができ、金属材料の疲労特性をより短期間で評価することができる。
第1及び第3の構成に係る評価装置では、実際の疲労試験において試料が破断した場合、この破断時よりも前には試料が未破断であった一方、一旦破断状態となった後には試料が未破断状態に回復することがなく、また、疲労試験の負荷以上の負荷であれば疲労試験での破断繰返し数以上の繰返し数で試料が破断し、疲労試験の負荷よりも小さな負荷であれば疲労試験での破断繰返し数までは試料が破断しないはずであるという合理的な考え方に基づき、実試験情報から予測試験情報が生成される。すなわち、実試験情報の実結果情報が破断を示す場合、予測試験情報の候補として生成された複数の仮想試験情報のうち、疲労特性線が描画される平面座標系の縦軸のパラメータ値(第1パラメータ値)が実試験情報のもの以下であり、且つ、横軸のパラメータ値(第2パラメータ値)が実試験情報のものよりも小さい仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報が割り当てられる。また、実試験情報の実結果情報が破断を示す場合、予測試験情報の候補として生成された複数の仮想試験情報のうち、第1パラメータ値が実試験情報のものよりも小さく、且つ、第2パラメータ値が実試験情報のもの以下である仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報が割り当てられる。さらに、実試験情報の実結果情報が破断を示す場合、複数の仮想試験情報のうち、第1及び第2パラメータ値がそれぞれ実試験情報のもの以上である仮想試験情報に対し、破断を示す予測結果情報を割り当てられる。このように、疲労試験を実際に実施して得られた実試験情報を使用し、予測試験情報を合理的に生成することにより、予測試験情報に基づいて取得される金属材料の疲労特性線の精度を確保することができる。よって、金属材料の疲労特性を精度よく評価することができる。
第2及び第3の構成に係る評価装置では、実際の疲労試験において試料が破断しなかった場合、疲労試験の負荷よりも小さな負荷であって、且つ疲労試験の破断繰返し数よりも小さな繰り返し数であれば試料が破断しないという合理的な予測に基づき、実試験情報から予測試験情報が生成される。すなわち、実試験情報の実結果情報が未破断を示す場合、予測試験情報の候補として生成された複数の仮想試験情報のうち、疲労特性線が描画される平面座標系の縦軸のパラメータ値(第1パラメータ値)が実試験情報のもの以下であり、且つ、横軸のパラメータ値(第2パラメータ値)が実試験情報のもの以下である仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報が割り当てられる。このように、疲労試験を実際に実施して得られた実試験情報を使用し、予測試験情報を合理的に生成することにより、予測試験情報に基づいて取得される疲労特性線の精度を確保することができる。よって、金属材料の疲労特性を精度よく評価することができる。
各評価装置において、疲労特性線取得部は、実試験情報及び予測試験情報に基づき、疲労特性線を取得してもよい。
各評価装置において疲労特性を評価する金属材料は、例えば、鉄鋼材料である。
各評価装置は、コンピュータであってもよい。すなわち、金属材料の疲労特性を評価するための評価プログラムにより、コンピュータを評価装置として機能させることができる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
[評価装置の構成]
図1は、本実施形態に係る評価装置10の機能ブロック図である。評価装置10は、金属材料の疲労特性を評価するために用いられる。例えば、機械もしくは構造物、又はそれらを構成する部品が金属材料からなる場合において、これらの設計段階等で評価装置10が利用される。金属材料は、典型的には鉄鋼材料である。ただし、金属材料は、チタン合金等の非鉄鋼材料であってもよい。
図1に示すように、評価装置10は、予測試験情報生成部1と、疲労特性線取得部2とを備えている。予測試験情報生成部1は、実試験情報変換部11と、仮想試験情報生成部12と、結果情報割当部13とを含む。疲労特性線取得部2は、折れ点候補情報選択部21と、連続低下部候補算出部22と、水平部候補算出部23と、疲労特性線決定部24とを含む。評価装置10の各部の機能については後述する。
評価装置10は、典型的にはコンピュータであり、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット、スマートフォン等といったユーザ端末である。図2は、評価装置10として機能するコンピュータ3のハードウェア構成図である。コンピュータ3は、中央演算処理装置(CPU)31、主記憶装置32、補助記憶装置33、入力装置34、及び出力装置35等を備えている。
CPU31は、補助記憶装置33から主記憶装置32にロードされた各種プログラムを実行し、情報の演算を行う。主記憶装置32は、CPU31が実行する各種プログラムや、CPU31が使用する情報、CPU31による演算結果等を一時的に保持する作業領域として使用される。補助記憶装置33は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、又はROM等である。入力装置34は、ユーザが入力操作を行うための装置であり、マウス、タッチパネル等といったポインティングデバイスや、キーボード等を含む。出力装置35は、CPU31の処理結果等を出力するための装置であり、ディスプレイ等を含む。
コンピュータ3は、補助記憶装置33に格納された評価プログラムをCPU31が実行することにより、評価装置10として機能する。すなわち、CPU31によって評価プログラムが実行されることにより、評価装置10の各部の機能が実現される。
[疲労特性の評価方法]
図3A~図3Cは、評価装置10が行う処理を示すフローチャートである。図3A~図3Cを参照して、評価装置10は、予測試験情報生成部1により、複数の実試験情報の各々に基づき、複数の予測試験情報を生成する(ステップS1)。また、評価装置10は、疲労特性線取得部2により、少なくとも予測試験情報に基づき、評価対象である金属材料の疲労特性線を取得する(ステップS2)。
予測試験情報生成部1が予測試験情報の生成に使用する各実試験情報は、金属材料からなる試料の疲労試験を実際に行って得られた試験情報である。試料は、例えば、機械、構造物、又は部品自体(試験体)であってもよいし、これらと同じ材料で形成された試験片であってもよい。疲労試験では、各試料に対して所定振幅の繰返し応力を負荷し、破断又は破損に至るまでの繰返し数を求める。本開示では、破損も含めて破断という。
各実試験情報は、対応する疲労試験において試料に与えられた負荷を示す負荷情報として、応力振幅σを含む。また、各実試験情報は、対応する疲労試験において試料に与えられた負荷の繰返し数を示す繰返し数情報として、繰返し数Nを含む。さらに、各実試験情報は、対応する疲労試験において試料が破断したか否かを示す実結果情報を含んでいる。本実施形態では、実結果情報として、破断フラグtを導入する。各実試験情報において、破断フラグt=0の場合、疲労試験で試料が破断しなかったことを示し、破断フラグt=1の場合、疲労試験で試料が破断したことを示す。
疲労特性線取得部2が取得する疲労特性線は、金属材料の負荷と、金属材料が破断するまでの負荷の繰返し数との関係を表すものであり、所定の平面座標系上に描画される。この平面座標系は、金属材料の負荷を示す縦軸と、金属材料の負荷の繰返し数を示す横軸とを有する。本実施形態の例では、応力振幅σに関するパラメータを縦軸(y軸)にとり、繰返し数Nに関するパラメータを横軸(x軸)にとった平面座標系を用いて、疲労特性線を作成する。この疲労特性線の例を図4に示す。
図4に示すように、疲労特性線Lは、いわゆる疲労限度型S-N曲線であり、折れ線形状を有する。すなわち、疲労特性線Lは、連続低下部L1と、水平部L2と、折れ点BPとを含んでいる。連続低下部L1は、疲労特性線Lのうち、横軸座標が大きくなるにつれて縦軸座標が小さくなる部分であり、右下がりの直線である。水平部L2は、疲労特性線Lのうち縦軸座標が一定である部分であり、金属材料の疲労限度を示す。折れ点BPは、連続低下部L1と水平部L2との接続点である。疲労特性線Lが描画される平面座標系では、典型的には、横軸、あるいは縦軸及び横軸の双方が対数軸とされる。
図3A~図3Cに戻り、予測試験情報生成部1及び疲労特性線取得部2によって行われる処理を具体的に説明する。図3Aに示すように、金属材料の疲労特性の評価に際し、予測試験情報生成部1は、まず、複数の実試験情報を取得する(ステップS11)。予測試験情報生成部1は、少なくとも2つ、好ましくは3つ以上の実試験情報を取得する。実試験情報は、評価開始前に評価装置10にまとめて入力されてもよいし、疲労試験装置から定期的、不定期、又はリアルタイムに入力されていてもよい。
予測試験情報生成部1は、実試験情報変換部11により、各実試験情報の変換処理を行う。実試験情報変換部11は、以下の式(1)及び(2)に基づき、実試験情報の各々について、繰返し数Nを上述した平面座標系の横軸のパラメータ値Xに変換し、応力振幅σを縦軸のパラメータ値Yに変換する(ステップS12)。以下、N個の実試験情報のうち(N≧2)、i番目の実試験情報における繰返し数N及び応力振幅σをそれぞれ繰返し数Nfi及び応力振幅σaiと表記し、これに対応するパラメータ値X及びYをそれぞれパラメータ値X及びYと表記する(i=1~N)。
Figure 0007448822000001
次に、予測試験情報生成部1は、仮想試験情報生成部12により、複数の仮想試験情報を生成する(ステップS13)。仮想試験情報生成部12は、実試験情報ごとに、複数の仮想試験情報を生成する。本実施形態では、仮想試験情報生成部12は、全ての実試験情報について仮想試験情報を生成する。ただし、仮想試験情報生成部12は、一部の実試験情報についてのみ、仮想試験情報を生成してもよい。
仮想試験情報の各々は、横軸のパラメータ値であるαと、縦軸のパラメータ値であるβとを含む。以下、i番目の実試験情報について生成されたM個の仮想試験情報のうち(M≧2)、j番目の仮想試験情報のパラメータ値α及びβをそれぞれパラメータ値αji及びβjiと表記する(j=1~M)。
予測試験情報生成部1は、結果情報割当部13により、生成された仮想試験情報への予測結果情報の割り当てを行う。図3Bに示すように、結果情報割当部13は、実試験情報の各々について、まず、実結果情報が破断及び未破断のうちいずれを示すかを判定する(ステップS14)。
i番目の実試験情報の実結果情報が破断を示す場合(ステップS14でYES)、すなわち破断フラグt=1である場合、結果情報割当部13は、この実試験情報に対応する複数の仮想試験情報のうち、実試験情報におけるパラメータ値X以下のパラメータ値αjiを有し、且つ実試験情報におけるパラメータ値Yよりも小さいパラメータ値βjiを有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てる(ステップS15)。結果情報割当部13は、この実試験情報に対応する複数の仮想試験情報のうち、実試験情報におけるパラメータ値Xよりも小さいパラメータ値αjiを有し、且つ実試験情報におけるパラメータ値Y以下のパラメータ値βjiを有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てる(ステップS15)。つまり、パラメータ値αji,βjiの組み合わせを有する仮想試験情報が以下の式(3)又は式(4)を満たすとき、当該仮想試験情報に対し、破断フラグtji=0が与えられる。
Figure 0007448822000002
また、i番目の実試験情報の実結果情報が破断を示す場合(ステップS14でYES)、結果情報割当部13は、この実試験情報に対応する複数の仮想試験情報のうち、実試験情報におけるパラメータ値X以上のパラメータ値αjiを有し、且つ実試験情報におけるパラメータ値Y以上のパラメータ値βjiを有する仮想試験情報に対し、破断を示す予測結果情報を割り当てる(ステップS15)。結果情報割当部13は、実試験情報における第1パラメータ値Xと同等の第1パラメータ値αjiを有し、且つ実試験情報における第2パラメータ値Yと同等の第2パラメータ値βjiを有する仮想試験情報が存在する場合、当該仮想試験情報にも破断を示す予測結果情報を割り当てる。つまり、パラメータ値αji,βjiの組み合わせを有する仮想試験情報が以下の式(5)を満たすとき、当該仮想試験情報に対し、破断フラグtji=1が与えられる。
Figure 0007448822000003
i番目の実試験情報の実結果情報が破断を示す場合(ステップS14でYES)であって、パラメータ値αji,βjiの組み合わせを有する仮想試験情報が式(3)~(5)のいずれも満たさない場合、結果情報割当部13は、当該仮想試験情報には予測結果情報を割り当てない。
一方、i番目の実試験情報の実結果情報が未破断を示す場合(ステップS14でNO)、すなわち破断フラグt=0である場合、結果情報割当部13は、この実試験情報に対応する複数の仮想試験情報のうち、実試験情報におけるパラメータ値X以下のパラメータ値αjiを有し、且つ実試験情報におけるパラメータ値Y以下のパラメータ値βjiを有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てる(ステップS16)。つまり、パラメータ値αji,βjiの組み合わせを有する仮想試験情報が以下の式(6)を満たすとき、当該仮想試験情報に対し、破断フラグtji=0が与えられる。
Figure 0007448822000004
i番目の実試験情報の実結果情報が未破断を示す場合(ステップS14でNO)であって、パラメータ値αji,βjiの組み合わせを有する仮想試験情報が式(6)を満たさない場合、結果情報割当部13は、当該仮想試験情報には予測結果情報を割り当てない。
ステップS15及びステップS16で予測結果情報が割り当てられた仮想試験情報は、予測試験情報となる。全ての実試験情報についてステップS15及びステップS16の処理が終了すると、疲労特性線取得部2によって疲労特性線Lが取得される。本実施形態において、疲労特性線取得部2は、実試験情報と、ステップS15及びステップS16によって生成された複数の予測試験情報とに基づき、疲労特性線Lを算出する。ただし、疲労特性線取得部2は、予測試験情報だけを使用して疲労特性線Lを算出することもできる。疲労特性線取得部2は、全ての予測試験情報を使用して疲労特性線Lを算出してよいし、一部の予測試験情報を使用して疲労特性線Lを算出してもよい。
図3Cを参照して、疲労特性線取得部2は、折れ点候補情報選択部21により、疲労特性線Lの折れ点BPの候補の情報を設定する。折れ点候補情報選択部21は、複数の折れ点候補情報から一の折れ点候補情報を選択し、この折れ点候補情報を次のステップS22及びステップS23に用いる折れ点候補情報として設定する(ステップS21)。複数の折れ点候補情報は、それぞれ、金属材料の負荷の繰返し数を示す情報である。すなわち、各折れ点候補情報は、横軸のパラメータ値XBPである。
疲労特性線取得部2は、連続低下部候補算出部22により、疲労特性線Lの連続低下部L1に対応する連続低下部候補を算出する(ステップS22)。連続低下部候補算出部22は、ステップS15及びステップS16によって生成された複数の予測試験情報のうち、ステップS21で選択された折れ点候補情報XBP以下のパラメータ値αjiを有する予測試験情報に基づき、連続低下部候補を算出する。
本実施形態の例では、連続低下部候補算出部22は、予測試験情報に加え、選択された折れ点候補情報XBP以下のパラメータ値Xを有する実試験情報も使用して連続低下部候補を算出する。ただし、連続低下部候補算出部22は、予測試験情報だけを使用して連続低下部候補を算出することもできる。
連続低下部候補算出部22は、公知の機械学習の分類アルゴリズムを用いて、連続低下部候補を求める。分類アルゴリズムは、特に限定されるものではないが、例えば、ロジスティック回帰、パーセプトロン、サポートベクターマシン、プロビット回帰等である。本実施形態では、ロジスティック回帰によって連続低下部候補を求める例について説明する。
例えば、実試験情報のパラメータ値(X,Y)、及び予測試験情報のパラメータ値(αji,βji)を合わせて試験情報(x,y)とするとき(ただし、x≦XBP)、図4に示す平面座標系において、試験情報(x,y)を破断(破断フラグt=1)と未破断(破断フラグt=0)とに50%の確率で分類する直線は、以下の式(7)で表される。この直線と試験情報(x,y)との差は、以下の式(8)で表すことができる。
Figure 0007448822000005
Figure 0007448822000006
ここで、後の計算の便宜上、以下の式(9)によってΔYを定義しておく。
Figure 0007448822000007
Δy又はΔYの値が大きいほど、試験情報(x,y)が破断(破断フラグt=1)に分類される確率は単調に高くなる。試験情報(x,y)が破断に分類される確率zは、ロジスティック関数を使用して、以下の式(10)によって表される。
Figure 0007448822000008
ここで、試験情報(x,y)が未破断(破断フラグt=0)に分類される確率が1-zであることを利用すると、確率変数をTとして、分類確率pを以下の式(11)で表すことができる。この分類確率pを最大化するパラメータwの値を求めることで、連続低下部候補の近似式を求めることができる。
Figure 0007448822000009
以下、分類確率pを最大化するパラメータwの値を求める方法について説明する。
分類確率pをパラメータwの関数とみなした尤度関数は、以下の式(12)で表される。
Figure 0007448822000010
上記尤度関数の自然対数をとって符号を逆転させることにより、以下の式(13)で表される負の対数尤度関数E(w)が得られる。分類確率pの最大化問題は、このE(w)の最小化問題に帰着する。
Figure 0007448822000011
負の対数尤度関数E(w)を最小とするパラメータwの解は、例えば、確率的勾配降下法によって求めることができる。確率的勾配降下法を利用する場合、各試験情報(x,y)に対して逐次E(w)を求める。E(w)の勾配は以下の式(14)で表されるため、学習効率をηとすると、パラメータwをk回目からk+1回目に更新する式は、以下の式(15)となる。
Figure 0007448822000012
Figure 0007448822000013
連続低下部候補算出部22は、例えば、x≦XBPを満たす全ての試験情報(x,y)に対して式(15)によるパラメータwの最適化を行い、パラメータwの最適化が試験情報(x,y)を一巡するごとに学習効率ηを減少させる。連続低下部候補算出部22は、例えば、パラメータwの最適化の回数が予め定められた回数に到達した時点や、学習効率ηが予め定められた値を下回った時点で、パラメータwの最適化処理を停止することができる。連続低下部候補算出部22は、最終的なパラメータa,bの値を以下の式(16)により求め、連続低下部候補の近似式(7)を得ることができる。なお、パラメータw及び学習効率ηの初期値、並びに学習効率ηの減少量(減少率)には、適当な値を設定することができる。
Figure 0007448822000014
また、疲労特性線取得部2は、水平部候補算出部23により、疲労特性線Lの水平部L2に対応する水平部候補を算出する(ステップS23)。水平部候補算出部23は、ステップS15及びステップS16によって生成された複数の予測試験情報のうち、ステップS21で選択された折れ点候補情報XBP以上のパラメータ値αjiを有する予測試験情報に基づき、水平部候補を算出する。
本実施形態の例では、水平部候補算出部23は、予測試験情報に加え、選択された折れ点候補情報XBP以上のパラメータ値Xを有する実試験情報も使用して水平部候補を算出する。ただし、水平部候補算出部23は、予測試験情報だけを使用して水平部候補を算出することもできる。
水平部候補算出部23は、公知の機械学習の分類アルゴリズムを用いて、水平部候補を求める。分類アルゴリズムは、特に限定されるものではないが、例えば、ロジスティック回帰、パーセプトロン、サポートベクターマシン、プロビット回帰等である。本実施形態では、ロジスティック回帰によって水平部候補を求める例について説明する。ロジスティック回帰による水平部候補の算出手順は、連続低下部候補の算出手順とほぼ同じである。ここでは、連続低下部候補の算出手順と異なる部分を中心に説明する。
例えば、実試験情報のパラメータ値(X,Y)、及び予測試験情報のパラメータ値(αji,βji)を合わせて試験情報(x,y)として(ただし、x≧XBP)、水平部候補を求める際には、上述の式(9)を以下の式(17)に変更する。
Figure 0007448822000015
そして、連続低下部候補の算出時と同様の手順で、以下の式(19)で表される負の対数尤度関数E(w)を最小化するB,Cを求める。
Figure 0007448822000016
水平部候補は、求めたB,Cを用い、以下の式(20)で表すことができる。
Figure 0007448822000017
疲労特性線取得部2は、ステップS22で得た連続低下部候補、及びステップS23で得た水平部候補について、予め定められた評価指標を算出する(ステップS24)。
評価指標は、連続低下部候補及び水平部候補が最適なものであるか否かを判定するための指標である。評価指標としては、例えば、対数損失、指数損失、ヒンジ損失、Huber損失、又は0/1損失等が挙げられる。これらの損失が十分に小さい場合、連続低下部候補及び水平部候補が誤分類する確率が小さいということができる。損失が大きい場合、連続低下部候補及び水平部候補が分類を誤る確率が比較的大きいということができる。
本実施形態の例では、評価指標として対数損失(LogLoss)を採用する。対数損失は、以下の式(21)によって求めることができる。
Figure 0007448822000018
疲労特性線取得部2は、x≦XBPの試験情報(x,y)について、上記式(21)より、連続低下部候補の対数損失εを算出する。疲労特性線取得部2は、x≧XBPの試験情報(x,y)について、上記式(21)より、水平部候補の対数損失εを算出する。疲労特性線取得部2は、連続低下部候補の対数損失εと水平部候補の対数損失εとの和を求め、対数損失Eとする。
対数損失Eを算出した後、疲労特性線決定部24は、別の折れ点候補情報を選択するか否かを判定する(ステップS25)。疲労特性線決定部24は、例えば、複数の折れ点候補情報のうち、ステップS22~ステップS24の処理が行われていない折れ点候補情報が存在する場合、別の折れ点候補情報を選択すると判定する(ステップS25でYES)。この場合、ステップS21に戻り、未処理の折れ点候補情報から一の折れ点候補情報が選択され、処理対象の折れ点候補情報として設定される。この折れ点候補情報についてステップS22~ステップS24の処理が実行される。疲労特性線取得部2は、全ての折れ点候補情報が折れ点候補情報選択部21によって選択されるまで、折れ点候補情報選択部21による折れ点候補情報の選択(ステップS21)、連続低下部候補算出部22による連続低下部候補の算出(ステップS22)、水平部候補算出部23による水平部候補の算出(ステップS23)、及び評価基準の算出(ステップS24)を繰り返す。
ステップS21において選択対象となる折れ点候補情報の数は、特に限定されるものではない。例えば、経験上予測される折れ点BPでの繰返し数に基づき、数点の折れ点候補情報が予め定められていてもよい。この場合、ステップS21では、数点の折れ点候補情報の中から、予め定められた順序で、又はランダムに一の折れ点候補情報が選択される。また、例えば、所定の範囲内の繰返し数を走査するように折れ点候補情報をインクリメント又はデクリメントすることにより、ステップS21において折れ点候補情報を選択することもできる。
複数の折れ点候補情報の全てについて、ステップS22~ステップS24の処理が終了した場合、疲労特性線取得部2は、別の折れ点候補情報を選択しないと判定する(ステップS25でNO)。疲労特性線取得部2は、疲労特性線決定部24により、折れ点候補情報ごとに算出された連続低下部候補及び水平部候補の中から、評価基準に基づいて最適な連続低下部候補及び水平部候補を選択する。
疲労特性線決定部24は、折れ点候補情報ごとに求められた対数損失Eに基づき、最適な連続低下部及び水平部を選択する。疲労特性線決定部24は、例えば、横軸のパラメータ値XBPである折れ点候補情報の昇順又は降順に対数損失Eを並べたとき、隣り合う対数損失Eであってその差が最大となる2つの対数損失Eのうち、小さい方の対数損失Eに対応する折れ点候補情報を取得する。疲労特性線決定部24は、この折れ点候補情報に対応する連続低下部候補及び水平部候補を最適であると判定する。ただし、どの連続低下部候補及び水平部候補が最適であるかを判定する方法は、これに限定されるものではない。例えば、疲労特性線決定部24は、複数の折れ点候補情報それぞれに対応して求められた連続低下部候補及び水平部候補のうち、対数損失Eが最小となる連続低下部候補及び水平部候候補を最適であると判定してもよい。また、例えば、疲労特性線決定部24は、最小の対数損失Eよりも所定の割合(例:5%)以上大きくならない対数損失Eを有する連続低下部候補及び水平部候候補を最適であると判定してもよい。要するに、連続低下部候補及び水平部候候補を最適か否か判定するための合理的なルールを予め定めておき、当該ルールに従って最適な連続低下部候補及び水平部候候補を疲労特性線決定部24に選択させればよい。
疲労特性線決定部24は、選択した最適な連続低下部候補及び水平部候補を、それぞれ連続低下部L1及び水平部L2として採用する(ステップS26)。また、疲労特性線決定部24は、この連続低下部候補及び水平部候補に対応する折れ点候補情報を折れ点BPとして採用する。これにより、疲労限度型S-N曲線である疲労特性線Lの近似式が得られる。
疲労特性線取得部2は、ステップS26で得られた疲労特性線Lの近似式を出力装置35に出力(画面表示)することができる。疲労特性線取得部2は、図4に示すように、疲労特性線Lを線図として出力装置35に出力することもできる。得られた疲労特性線L(S-N曲線)は、例えば、機械もしくは構造物、又はそれらを構成する部品の設計段階において、疲労特性の評価に利用される。
図5は、疲労特性線Lを利用して金属材料の疲労特性の評価を行う手順を示すフローチャートである。疲労特性の評価は、例えば、評価装置10として機能するコンピュータ3を用い、疲労特性線Lの取得に続いて行われる。ただし、評価装置10とは別のコンピュータを用いて、疲労特性線Lを用いた疲労特性の評価を行ってもよい。本実施形態では、評価装置10として機能するコンピュータ3を用い、疲労特性の評価を行う例について説明する。
図5を参照して、ユーザは、入力装置34を使用し、設計条件を評価装置10に入力する。設計条件は、少なくとも金属材料の負荷を示す情報を含む。例えば、ユーザは、応力振幅σを入力する。評価装置10は、ユーザによる設計条件の入力を受け付ける(ステップS31)。
評価装置10は、上記式(2)により、ユーザによって入力された応力振幅σを縦軸のパラメータ値Yに変換する(ステップS32)。
次に、評価装置10は、図3CのステップS26で取得した疲労特性線Lの近似式を使用し、ステップS32で得たパラメータ値Yに対応する横軸のパラメータ値Xを求める(ステップS33)。
続いて、評価装置10は、上記式(1)に基づき、ステップS33で得たパラメータ値Xを繰返し数Nに変換する(ステップS34)。評価装置10は、例えば、得られた繰返し数Nを出力装置35に出力(画面表示)する。これにより、ユーザは、入力した応力振幅σについて、金属材料が破断に至るまでの繰返し数Nを知ることができる。
[効果]
本実施形態に係る評価装置10によれば、疲労試験を実際に行って得られた実試験情報の各々に基づき、複数の予測試験情報が生成される。評価装置10は、実試験情報及び予測試験情報に基づき、金属材料の負荷と、金属材料が破断するまでの負荷の繰返し数との関係を示す疲労特性線、すなわち疲労限度型S-N曲線Lを取得する。このS-N曲線Lを用いて、金属材料の疲労特性を評価することができる。
本実施形態に係る評価装置10では、実試験情報に基づき、疲労限度型S-N曲線Lの取得に用いる予測試験情報が生成される。すなわち、実試験情報を基に、S-N曲線Lの取得用の試験情報を増加させることができる。そのため、S-N曲線Lの取得に際して準備する実試験情報の数を従来よりも少なくすることができる。よって、実試験情報を得るために疲労試験に費やす時間を減少させることができ、金属材料の疲労特性をより短期間で評価することができる。また、少ない実試験情報でS-N曲線を取得することが可能であるため、疲労試験のために用意する試料(試験体又は試験片)の数も低減することができる。
本実施形態において、予測試験情報は、実試験情報から合理的に予測される情報である。この点に関し、図6及び図7を参照して具体的に説明する。
図6に示すように、ある実試験情報の実結果情報が破断を示す場合、すなわち疲労試験で試料が破断した場合、疲労試験における応力振幅以下の応力振幅であれば、疲労試験において試料が破断した繰返し数(破断繰返し数)未満の繰返し数では、試料の破断が生じないと予測できる。また、疲労試験における応力振幅未満の応力振幅であれば、疲労試験における破断繰返し数以下の繰返し数では、試料の破断が生じないと予測できる。一方、疲労試験で試料が破断した場合において、疲労試験における応力振幅以上の応力振幅であれば、疲労試験における破断繰返し数以上の繰返し数では、試料の破断が生じると予測できる。
図7に示すように、ある実試験情報の実結果情報が未破断を示す場合、すなわち疲労試験で試料が破断しなかった場合、疲労試験における応力振幅以下の応力振幅であれば、疲労試験における破断繰返し数以下の繰返し数では、試料の破断が生じないと予測できる。
このような合理的な予測に基づき、本実施形態に係る評価装置10は、実試験情報の実結果情報に応じ、予測試験情報の候補として生成された複数の仮想試験情報に予測結果情報を割り当てる。
評価装置10は、ある実試験情報の実結果情報が破断を示す場合(破断フラグt=1)、この実試験情報に対応する複数の仮想試験情報のうち、応力振幅に対応するパラメータ値βjiが実試験情報のパラメータ値Y以下であり、且つ繰返し数に対応するパラメータ値αjiが実試験情報のパラメータ値Xよりも小さい仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報(破断フラグtji=0)を割り当てる。また、評価装置10は、ある実試験情報の実結果情報が破断を示す場合(破断フラグt=1)、この実試験情報に対応する複数の仮想試験情報のうち、応力振幅に対応するパラメータ値βjiが実試験情報のパラメータ値Yよりも小さく、且つ繰返し数に対応するパラメータ値αjiが実試験情報のパラメータ値X以下である仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報(破断フラグtji=0)を割り当てる。さらに、評価装置10は、ある実試験情報の実結果情報が破断を示す場合(破断フラグt=1)、この実試験情報に対応する複数の仮想試験情報のうち、応力振幅に対応するパラメータ値βjiが実試験情報のパラメータ値Y以上であり、且つ繰返し数に対応するパラメータ値αjiが実試験情報のパラメータ値X以上である仮想試験情報に対し、破断を示す予測結果情報(破断フラグtji=1)を割り当てる。
評価装置10は、ある実試験情報の実結果情報が未破断を示す場合(破断フラグt=0)、この実試験情報に対応する複数の仮想試験情報のうち、応力振幅に対応するパラメータ値βjiが実試験情報のパラメータ値Y以下であり、且つ繰返し数に対応するパラメータ値αjiが実試験情報のパラメータ値X以下である仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報(破断フラグtji=0)を割り当てる。
予測結果情報が割り当てられた各仮想試験情報は、予測試験情報となる。予測試験情報は、上述した合理的な予測に基づいて実試験情報から生成されたものであるため、試験情報としての信頼性を有する。そのため、実試験情報及び予測試験情報に基づいて疲労限度型S-N曲線Lを取得したとき、このS-N曲線Lの精度を確保することができる。よって、金属材料の疲労特性を精度よく評価することができる。
本実施形態に係る評価装置10は、複数の折れ点候補情報各々について、パラメータ値X,αjiが折れ点候補情報以下である実試験情報及び予測試験情報を使用して連続低下部候補を算出する。また、評価装置10は、複数の折れ点候補情報各々について、パラメータ値X,αjiが折れ点候補情報以上である実試験情報及び予測試験情報を使用して水平部候補を算出する。評価装置10は、算出された連続低下部候補及び水平部候補の中から最適なものを選択し、選択された連続低下部候補及び水平部候補を疲労限度型S-N曲線Lの連続低下部L1及び水平部L2として採用する。評価装置10は、例えば対数損失等といった所定の評価基準に基づき、連続低下部候補及び水平部候補の双方ともが最適であるかを総合して判定する。これにより、得られるS-N曲線Lの精度を向上させることができる。
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、実試験情報の実結果情報が破断を示す場合と、未破断を示す場合との双方において、仮想試験情報への予測結果情報の割り当てを実施している(図3BのステップS15及びステップS16)。しかしながら、実試験情報の実結果情報が破断を示す場合(図3BのステップS14でYES)にのみ、仮想試験情報への予測結果情報の割り当てを実施してもよいし(図3BのステップS15)、実試験情報の実結果情報が未破断を示す場合(図3BのステップS14でNO)にのみ、仮想試験情報への予測結果情報の割り当てを実施してもよい(図3BのステップS16)。
例えば、上記実施形態において、疲労特性線取得部2は、図3Cに示すように、連続低下部候補の算出(ステップS22)、水平部候補の算出(ステップS23)、連続低下部候補の評価基準の算出(ステップS24)、及び水平部候補の評価基準の算出(ステップS24)の順で、折れ点候補情報の各々について処理を行っている。しかしながら、連続低下部候補の算出(ステップS22)、水平部候補の算出(ステップS23)、連続低下部候補の評価基準の算出(ステップS24)、及び水平部候補の評価基準の算出(ステップS24)の順序は自由に入れ替えることができる。
以下、実施例によって本開示をさらに詳しく説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
本開示の効果と比較するため、従来例として、日本材料学会標準:(JSMS-SD-6-04)金属材料疲労信頼性評価標準「S-N曲線回帰法」に付属の解析ソフトウェアを使用し、従来手法によって表1に示す実試験情報から疲労限度型S-N曲線を求めた。表1における「耐久」とは、疲労試験において試料が最大繰返し数(1000万回)まで未破断であったことを意味している。
Figure 0007448822000019
従来手法によって求められた疲労限度型S-N曲線の近似式は、以下の通りであった。
Figure 0007448822000020
次に、上記実施形態に係る手法と同様の手法(本実施例に係る手法)により、表1に示す実試験情報に基づいて疲労限度型S-N曲線の計算を実施した。本実施例に係る手法では、S-N曲線を描画する平面座標系において、縦軸(y軸)方向及び横軸(x軸)方向に13点ずつの格子点をとり、実試験情報の各々に対して、これらの格子点を仮想試験情報(予測試験情報の候補)とした。実試験情報、及び仮想試験情報となる格子点を図8に模式的に示す。本実施例に係る手法により、実試験情報ごとに、仮想試験情報への予測結果情報の割り当てを行って予測試験情報を生成した。
本実施例に係る手法では、上記実施形態と同様、S-N曲線を得るための機械学習の分類アルゴリズムとして、ロジスティック回帰を採用した。確率的勾配降下法において、パラメータwの初期値をランダムに設定し、学習効率ηを0.1から開始させた。パラメータwの最適化が試験情報(試験情報及び予測試験情報)を一巡するごとに学習効率ηを0.9倍し,全50回(50巡回)の最適化を実施してS-N曲線を求めた。折れ点候補情報として、2万回、50万回、100万回、200万回、500万回、及び1000万回の6点を準備した。S-N曲線を求める評価プログラムは、Pythonで実装した。
図9は、折れ点候補情報ごとに求められる連続低下部候補の対数損失ε、水平部候補の対数損失ε、及びεとεとの和である対数損失Eを示す図である。図9に示すように、折れ点候補:50万回と折れ点候補:100万回との間で対数損失Eが最も大きく変化している。一方、折れ点候補:20万回と折れ点候補:50万回との間では、他の区間と比較し、対数損失Eの変化が緩やかになっている。これは、連続低下部候補の対数損失εが折れ点候補:50万回と折れ点候補:100万回との間で急増する一方で、折れ点候補:100万回未満では、折れ点候補の増加とともに水平部候補の対数損失εが減少することが原因である。
この結果より、対数損失Eの差が最も大きい、隣り合う2つの折れ点候補:50万回及び100万回のうち、小さい方の折れ点候補:50万回を折れ点として採用した。従来手法によって求めた折れ点が概ね34万回であることを考えると,評価基準としての対数損失(LogLoss)に基づいて採用した折れ点は、従来手法で求められた折れ点と結果的に近い値になっているといえる。
図10に、従来手法によって求められたS-N曲線、及び本実施例に係る手法によって求められたS-N曲線を実試験情報と併せて示す。図10に示すように、折れ点を50万回として本実施例に係る手法によって求めたS-N曲線は、従来手法によって求められたS-N曲線と近く、その精度が確保されているといえる。
本実施例に係る手法によって求められたS-N曲線は、従来手法によって求められたS-N曲線と若干の差異がある。しかしながら、従来手法では、破断繰返し数N=7.63×10、応力振幅σ=270MPaの実試験情報が近似の際に無視され、当該実試験情報とS-N曲線との乖離が大きい。そのため、上記差異は、本実施例に係る手法によって求めたS-N曲線の精度が従来手法によって求められたS-N曲線の精度よりも劣ることを意味するものではないと考えられる。
10:評価装置
1:予測試験情報生成部
11:実試験情報変換部
12:仮想試験情報生成部
13:結果情報割当部
2:疲労特性線取得部
21:折れ点候補情報選択部
22:連続低下部候補算出部
23:水平部候補算出部

Claims (6)

  1. 金属材料の疲労特性を評価するための評価装置であって、
    前記金属材料からなる試料に繰返し負荷を与える疲労試験を実際に行って得られた複数の実試験情報の各々に基づき、複数の予測試験情報を生成する予測試験情報生成部と、
    前記複数の予測試験情報に基づき、前記金属材料の負荷と、前記金属材料が破断するまでの負荷の繰返し数との関係を表す疲労特性線を取得する疲労特性線取得部と、
    を備え、
    前記実試験情報の各々は、前記疲労試験において前記試料に与えられた負荷を示す負荷情報と、前記疲労試験において前記試料に与えられた負荷の繰返し数を示す繰返し数情報と、前記疲労試験において前記試料が破断したか否かを示す実結果情報と、を含み、
    前記疲労特性線は、前記金属材料の負荷を示す縦軸と、前記金属材料の負荷の繰返し数を示す横軸とを有する平面座標系において、横軸座標が大きくなるにつれて縦軸座標が小さくなる連続低下部と、縦軸座標が一定である水平部と、前記連続低下部と前記水平部との接続点である折れ点と、を含み、
    前記予測試験情報生成部は、
    前記実試験情報ごとに、前記負荷情報を前記縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値に変換するとともに、前記繰返し数情報を前記横軸のパラメータ値である第2パラメータ値に変換する実試験情報変換部と、
    前記実試験情報ごとに、前記縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値と、前記横軸のパラメータ値である第2パラメータ値と、を各々含む複数の仮想試験情報を生成する仮想試験情報生成部と、
    前記実試験情報の各々について、前記実結果情報が前記試料の破断及び未破断のうちいずれを示すかを判定し、前記実結果情報が破断を示す場合、前記複数の仮想試験情報のうち、前記実試験情報における第1パラメータ値以下の第1パラメータ値を有し、且つ前記実試験情報における第2パラメータ値よりも小さい第2パラメータ値を有するか、あるいは、前記実試験情報における第1パラメータ値よりも小さい第1パラメータ値を有し、且つ前記実試験情報における第2パラメータ値以下の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てるとともに、前記実試験情報における第1パラメータ値以上の第1パラメータ値を有し、且つ前記実試験情報における第2パラメータ値以上の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、破断を示す予測結果情報を割り当てることにより、前記複数の仮想試験情報から前記複数の予測試験情報を生成する結果情報割当部と、
    を含み、
    前記疲労特性線取得部は、
    それぞれ前記横軸のパラメータ値である複数の折れ点候補情報から一の折れ点候補情報を選択する折れ点候補情報選択部と、
    前記予測試験情報のうち、選択された前記折れ点候補情報以下の第2パラメータ値を有する予測試験情報に基づき、前記連続低下部に対応する連続低下部候補を算出する連続低下部候補算出部と、
    前記予測試験情報のうち、選択された前記折れ点候補情報以上の第2パラメータ値を有する予測試験情報に基づき、前記水平部に対応する水平部候補を算出する水平部候補算出部と、
    を含み、
    前記疲労特性線取得部は、全ての前記折れ点候補情報が前記折れ点候補情報選択部によって選択されるまで、前記折れ点候補情報選択部による折れ点候補情報の選択、前記連続低下部候補算出部による連続低下部候補の算出、及び前記水平部候補算出部による水平部候補の算出を繰り返し、算出された前記連続低下部候補及び前記水平部候補の中から予め定められた評価指標に基づき最適な連続低下部候補及び水平部候補を選択して、それぞれ前記連続低下部及び前記水平部として採用する、評価装置。
  2. 金属材料の疲労特性を評価するための評価装置であって、
    前記金属材料からなる試料に繰返し負荷を与える疲労試験を実際に行って得られた複数の実試験情報の各々に基づき、複数の予測試験情報を生成する予測試験情報生成部と、
    前記複数の予測試験情報に基づき、前記金属材料の負荷と、前記金属材料が破断するまでの負荷の繰返し数との関係を表す疲労特性線を取得する疲労特性線取得部と、
    を備え、
    前記実試験情報の各々は、前記疲労試験において前記試料に与えられた負荷を示す負荷情報と、前記疲労試験において前記試料に与えられた負荷の繰返し数を示す繰返し数情報と、前記疲労試験において前記試料が破断したか否かを示す実結果情報と、を含み、
    前記疲労特性線は、前記金属材料の負荷を示す縦軸と、前記金属材料の負荷の繰返し数を示す横軸とを有する平面座標系において、横軸座標が大きくなるにつれて縦軸座標が小さくなる連続低下部と、縦軸座標が一定である水平部と、前記連続低下部と前記水平部との接続点である折れ点と、を含み、
    前記予測試験情報生成部は、
    前記実試験情報ごとに、前記負荷情報を前記縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値に変換するとともに、前記繰返し数情報を前記横軸のパラメータ値である第2パラメータ値に変換する実試験情報変換部と、
    前記実試験情報ごとに、前記縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値と、前記横軸のパラメータ値である第2パラメータ値と、を各々含む複数の仮想試験情報を生成する仮想試験情報生成部と、
    前記実試験情報の各々について、前記実結果情報が前記試料の破断及び未破断のうちいずれを示すかを判定し、前記実結果情報が未破断を示す場合、前記複数の仮想試験情報のうち、前記実試験情報における第1パラメータ値以下の第1パラメータ値を有し、且つ前記実試験情報における第2パラメータ値以下の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てることにより、前記複数の仮想試験情報から前記複数の予測試験情報を生成する結果情報割当部と、
    を含み、
    前記疲労特性線取得部は、
    それぞれ前記横軸のパラメータ値である複数の折れ点候補情報から一の折れ点候補情報を選択する折れ点候補情報選択部と、
    前記予測試験情報のうち、選択された前記折れ点候補情報以下の第2パラメータ値を有する予測試験情報に基づき、前記連続低下部に対応する連続低下部候補を算出する連続低下部候補算出部と、
    前記予測試験情報のうち、選択された前記折れ点候補情報以上の第2パラメータ値を有する予測試験情報に基づき、前記水平部に対応する水平部候補を算出する水平部候補算出部と、
    を含み、
    前記疲労特性線取得部は、全ての前記折れ点候補情報が前記折れ点候補情報選択部によって選択されるまで、前記折れ点候補情報選択部による折れ点候補情報の選択、前記連続低下部候補算出部による連続低下部候補の算出、及び前記水平部候補算出部による水平部候補の算出を繰り返し、算出された前記連続低下部候補及び前記水平部候補の中から予め定められた評価指標に基づき最適な連続低下部候補及び水平部候補を選択して、それぞれ前記連続低下部及び前記水平部として採用する、評価装置。
  3. 金属材料の疲労特性を評価するための評価装置であって、
    前記金属材料からなる試料に繰返し負荷を与える疲労試験を実際に行って得られた複数の実試験情報の各々に基づき、複数の予測試験情報を生成する予測試験情報生成部と、
    前記複数の予測試験情報に基づき、前記金属材料の負荷と、前記金属材料が破断するまでの負荷の繰返し数との関係を表す疲労特性線を取得する疲労特性線取得部と、
    を備え、
    前記実試験情報の各々は、前記疲労試験において前記試料に与えられた負荷を示す負荷情報と、前記疲労試験において前記試料に与えられた負荷の繰返し数を示す繰返し数情報と、前記疲労試験において前記試料が破断したか否かを示す実結果情報と、を含み、
    前記疲労特性線は、前記金属材料の負荷を示す縦軸と、前記金属材料の負荷の繰返し数を示す横軸とを有する平面座標系において、横軸座標が大きくなるにつれて縦軸座標が小さくなる連続低下部と、縦軸座標が一定である水平部と、前記連続低下部と前記水平部との接続点である折れ点と、を含み、
    前記予測試験情報生成部は、
    前記実試験情報ごとに、前記負荷情報を前記縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値に変換するとともに、前記繰返し数情報を前記横軸のパラメータ値である第2パラメータ値に変換する実試験情報変換部と、
    前記実試験情報ごとに、前記縦軸のパラメータ値である第1パラメータ値と、前記横軸のパラメータ値である第2パラメータ値と、を各々含む複数の仮想試験情報を生成する仮想試験情報生成部と、
    前記実試験情報の各々について、前記実結果情報が前記試料の破断及び未破断のうちいずれを示すかを判定し、前記実結果情報が破断を示す場合、前記複数の仮想試験情報のうち、前記実試験情報における第1パラメータ値以下の第1パラメータ値を有し、且つ前記実試験情報における第2パラメータ値よりも小さい第2パラメータ値を有するか、あるいは、前記実試験情報における第1パラメータ値よりも小さい第1パラメータ値を有し、且つ前記実試験情報における第2パラメータ値以下の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てるとともに、前記実試験情報における第1パラメータ値以上の第1パラメータ値を有し、且つ前記実試験情報における第2パラメータ値以上の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、破断を示す予測結果情報を割り当て、前記実結果情報が未破断を示す場合、前記複数の仮想試験情報のうち、前記実試験情報における第1パラメータ値以下の第1パラメータ値を有し、且つ前記実試験情報における第2パラメータ値以下の第2パラメータ値を有する仮想試験情報に対し、未破断を示す予測結果情報を割り当てることにより、前記複数の仮想試験情報から前記複数の予測試験情報を生成する結果情報割当部と、
    を含み、
    前記疲労特性線取得部は、
    それぞれ前記横軸のパラメータ値である複数の折れ点候補情報から一の折れ点候補情報を選択する折れ点候補情報選択部と、
    前記予測試験情報のうち、選択された前記折れ点候補情報以下の第2パラメータ値を有する予測試験情報に基づき、前記連続低下部に対応する連続低下部候補を算出する連続低下部候補算出部と、
    前記予測試験情報のうち、選択された前記折れ点候補情報以上の第2パラメータ値を有する予測試験情報に基づき、前記水平部に対応する水平部候補を算出する水平部候補算出部と、
    を含み、
    前記疲労特性線取得部は、全ての前記折れ点候補情報が前記折れ点候補情報選択部によって選択されるまで、前記折れ点候補情報選択部による折れ点候補情報の選択、前記連続低下部候補算出部による連続低下部候補の算出、及び前記水平部候補算出部による水平部候補の算出を繰り返し、算出された前記連続低下部候補及び前記水平部候補の中から予め定められた評価指標に基づき最適な連続低下部候補及び水平部候補を選択して、それぞれ前記連続低下部及び前記水平部として採用する、評価装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の評価装置であって、
    前記疲労特性線取得部は、前記実試験情報及び前記予測試験情報に基づき、前記疲労特性線を取得する、評価装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の評価装置であって、
    前記金属材料は、鉄鋼材料である、評価装置。
  6. 金属材料の疲労特性を評価するための評価プログラムであって、
    コンピュータを、請求項1から5のいずれか1項に記載の評価装置として機能させる、評価プログラム。
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