以下、本願の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、後述するモータおよびハイブリッド減速機の中心軸と平行な方向を「軸方向」、モータおよびハイブリッド減速機の中心軸に直交する方向を「径方向」、モータおよびハイブリッド減速機の中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願では、後述する図1,図2,図4,図6,図7,図8,図9において、軸方向を左右方向とし、右側を「軸方向一方側」、左側を「軸方向他方側」として、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、この左右方向の定義により、本発明に係るハイブリッド減速機、およびモータ付きハイブリッド減速機の使用時の向きを限定する意図はない。また、本願において「平行な方向」とは、略平行な方向も含む。また、本願において「直交する方向」とは、略直交する方向も含む。
<1.第1実施形態>
以下では、本発明の第1実施形態に係るモータ付きハイブリッド減速機1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るモータ付きハイブリッド減速機1の縦断面図である。
本実施形態のモータ付きハイブリッド減速機1は、例えば、ロボットの関節に用いられる。モータ付きハイブリッド減速機1は、モータ2、ハイブリッド減速機3、およびケーシング7を有する。モータ付きハイブリッド減速機1は、モータ2から得られる回転運動を、ハイブリッド減速機3において減速させて、例えば、ロボットのアームへ伝達する。アームは、ハイブリッド減速機3により減速された回転数で旋回する。ただし、本発明のモータ付きハイブリッド減速機1は、ロボット以外のアシストスーツ、ターンテーブル、工作機械の割出盤、車椅子、無人搬送車等の他の機器に組み込まれて、各種の回転運動を実現させるものであってもよい。
モータ2は、水平方向(図1における左右方向)に延びる中心軸20に沿って配置される。ハイブリッド減速機3は、水平方向(図1における左右方向)に延びる中心軸90に沿って配置される。なお、モータ2の中心軸20と、ハイブリッド減速機3の中心軸90とは、互いに一致するものとする。ケーシング7は、第1ケーシング筒部71、第2ケーシング筒部72、およびケーシング底板部73を有する。なお、第1ケーシング筒部71、第2ケーシング筒部72、およびケーシング底板部73は、ハイブリッド減速機3の構成要素でもある。
第1ケーシング筒部71および第2ケーシング筒部72はそれぞれ、中心軸90と同軸に配置された円筒状の部材である。第1ケーシング筒部71は、第2ケーシング筒部72およびケーシング底板部73よりも軸方向他方側に位置する。また、第1ケーシング筒部71における軸方向他方側の部位には、ケーシング縮径部711が形成されている。ケーシング縮径部711の外径は、第1ケーシング筒部71における軸方向一方側の部位の外径よりも小さい。また、第1ケーシング筒部71における軸方向一方側の端部には、径方向外側へ拡がる第1ケーシングフランジ部712が形成されている。
第2ケーシング筒部72は、第1ケーシング筒部71の軸方向一方側に隣接する。第2ケーシング筒部72における軸方向他方側の端部には、径方向外側へ拡がる第2ケーシングフランジ部721が形成されている。また、第2ケーシング筒部72における軸方向の中間位置付近には、径方向内側へ拡がるケーシング円環部74がさらに形成されている。ケーシング円環部74は、中心軸90の周囲に円環状に拡がる。第1ケーシング筒部71、第2ケーシング筒部72、およびケーシング円環部74によって囲まれる空間に、ハイブリッド減速機3が収容される。詳細を後述するとおり、第1ケーシング筒部71および第2ケーシング筒部72は、互いにネジ止めによって固定される。
ケーシング底板部73は、中心軸20を中心として径方向に円板状に拡がる。ケーシング底板部73は、第2ケーシング筒部72の軸方向一方側の端部の開口を覆う。ケーシング底板部73は、第2ケーシング筒部72の軸方向一方側の端部に、図示を省略した締結部材によって固定される。なお、ケーシング底板部73は、第2ケーシング筒部72の軸方向一方側の端部に、圧入によって固定されてもよく、接着によって固定されてもよい。第2ケーシング筒部72、ケーシング底板部73、およびケーシング円環部74によって囲まれる空間に、モータ2が収容される。第1ケーシング筒部71、第2ケーシング筒部72、およびケーシング底板部73を含むケーシング7は、モータ付きハイブリッド減速機1が配置される筐体等に対して移動不能および回転不能に固定される。
モータ2は、静止部22、回転部23、および軸受24(第3軸受)を有する。静止部22は、ステータ221を含む。ステータ221は、第2ケーシング筒部72の内周面に固定される。回転部23は、ロータ231と回転軸232とを含む。回転軸232は、中心軸20に沿って円柱状に延びる。回転軸232の軸方向一方側の端部は、軸受24を介してケーシング底板部73に支持される。ロータ231は、回転軸232の周囲に固定される。ロータ231の外周面は、ステータ221の内周面と径方向に僅かな間隙を空けて対向する。ロータ231を含む回転部23は、ステータ221を含む静止部22およびケーシング7に対して、中心軸20を中心として、軸受24を介して回転する。
ハイブリッド減速機3は、モータ2から得られる回転運動を減速させつつ、出力トルクを増加させる。図2は、第1実施形態に係るハイブリッド減速機3およびケーシング7の縦断面図である。図3は、図2のI-I位置を軸方向から見たときのハイブリッド減速機3およびケーシング7の横断面図である。なお、図2~後述する図7においては、モータ2の図示を省略している。図1~図3に示すように、ハイブリッド減速機3は、入力部材30と、第1減速機構40と、第2減速機構50と、出力部材60と、第1減速機構40および第2減速機構50を収容するケーシング7(第1ケーシング筒部71および第2ケーシング筒部72)とを有する。
入力部材30は、中心軸90に沿って円柱状に延びる部材である。入力部材30は、モータ2の回転軸232に対して、相対回転不能に固定される。また、図2に示すように、入力部材30は、ケーシング円環部74の内周面に、軸受31を介して支持される。これにより、入力部材30は、モータ2の回転軸232とともに、ケーシング7に対して回転可能となる。入力部材30は、モータ2の回転軸232とともに、中心軸90を中心として減速前の回転数である入力回転数N1で回転する。ただし、入力部材30とモータ2の回転軸232とは、単一部材から形成されてもよい。
なお、図1に示すように、入力部材30の外周面とケーシング円環部74の内周面との径方向の間、かつ、軸受31の軸方向一方側には、オイルシール301が配置されている。これにより、第1減速機構40および第2減速機構50の内部に充填される潤滑オイルが、第1減速機構40および第2減速機構50の外部に漏れることが抑制される。なお、オイルシール301は、入力部材30の回転を妨げない。また、図2、および後述する図4,図6,図7,図8,図9では、オイルシールの図示を省略している。
第1減速機構40は、入力部材30の入力回転数N1を、入力回転数N1よりも低い中間回転数N2に変換する装置である。第1減速機構40には、後述する太陽ローラ41の外周面と複数の遊星ローラ42の外周面とを、互いに接触させながら回転させることで動力を伝達する、いわゆるトラクション型の遊星摩擦減速機構が用いられている。これにより、第1減速機構40の回転時の騒音や振動を抑制できる。図1~図3に示すように、第1減速機構40は、太陽ローラ41、複数(本実施形態では、3つ)の遊星ローラ42、複数(本実施形態では、3つ)の第1遊星軸43、第1リング44、第2リング45、および押圧部材46を有する。
太陽ローラ41は、中心軸90と同軸に配置された円筒状の部材である。太陽ローラ41は、入力部材30の周囲に、相対回転不能に固定される。したがって、太陽ローラ41は、入力部材30とともに中心軸90を中心として入力回転数N1で回転する。ただし、入力部材30と太陽ローラ41とは、単一部材から形成されてもよい。
3つの遊星ローラ42はそれぞれ、太陽ローラ41の周囲において、中心軸90と略平行な第1自転軸91に沿って配置される。図3に示すように、本実施形態では、3つの遊星ローラ42が、中心軸90を中心として互いに周方向に120度の間隔を空けて配置されている。ただし、遊星ローラ42の数は、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。図4は、第1実施形態に係るハイブリッド減速機3およびケーシング7の部分縦断面図である。図4に示すように、3つの遊星ローラ42はそれぞれ、第1大径部421と、一方側第1小径部422と、他方側第1小径部423とを有する。第1大径部421と、一方側第1小径部422と、他方側第1小径部423とは、一繋がりに形成される。また、第1大径部421と、一方側第1小径部422と、他方側第1小径部423とは、それぞれ軸方向に見て第1自転軸91の周囲において同軸上で真円形状に拡がる。
第1大径部421は、各遊星ローラ42における軸方向の中央部に位置する。第1大径部421の外径は、一方側第1小径部422の外径および他方側第1小径部423の外径よりも大きい。また、第1大径部421は、各遊星ローラ42のうち最も径方向内側に位置する部位において、太陽ローラ41の外周面に接触して摩擦力を受ける。これにより、第1大径部421を含む遊星ローラ42は、当該摩擦力によって、それぞれ第1自転軸91を中心として、太陽ローラ41の回転方向とは逆方向に自転する。
一方側第1小径部422は、第1大径部421の軸方向一方側に隣接する。また、一方側第1小径部422は、第1大径部421から遠ざかる、すなわち、軸方向一方側へ向かうにつれて縮径する円錐台状の立体形状を有する。他方側第1小径部423は、第1大径部421の軸方向他方側に隣接する。また、他方側第1小径部423は、第1大径部421から遠ざかる、すなわち、軸方向他方側へ向かうにつれて縮径する円錐台状の立体形状を有する。上記のとおり、一方側第1小径部422および他方側第1小径部423はそれぞれ、第1大径部421よりも小径である。さらに、3つの遊星ローラ42はそれぞれ、貫通孔420を有する。各貫通孔420は、第1自転軸91に沿って遊星ローラ42を軸方向に貫通する。
3つの第1遊星軸43はそれぞれ、中心軸90よりも径方向外側において、第1自転軸91に沿って延びる。各第1遊星軸43は、軸方向一方側において、遊星ローラ42の貫通孔420に挿入される。また、第1遊星軸43と遊星ローラ42との径方向の間には、軸受424(例えば、すべり軸受)が挿入される。これにより、3つの第1遊星軸43は、それぞれの軸方向一方側において、3つの遊星ローラ42を、それぞれ第1自転軸91を中心として自転可能に支持する。ただし、第1遊星軸43の数は、遊星ローラ42の数に合わせて、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
第1リング44は、3つの第1自転軸91よりも径方向外側に位置し、中心軸90を中心として円環状に拡がる。第1リング44における周方向の1箇所には、第1リング凹部440が設けられている。第1リング凹部440は、第1リング44の外周面から径方向内側へ凹む。第1リング凹部440には、キー720が挿入される。キー720は、第2ケーシング筒部72に固定され、軸方向に延びる。これにより、第2ケーシング筒部72に対する第1リング44の周方向の相対回転が阻止される。すなわち、第1リング44は、キー720を介して、第2ケーシング筒部72に間接的に固定される。ただし、第1リング44は、キー720に沿って、軸方向に僅かに移動可能である。
第2リング45は、3つの第1自転軸91よりも径方向外側に位置し、中心軸90を中心として円環状に拡がる。第2リング45における周方向の1箇所には、第2リング凹部450が設けられている。第2リング凹部450は、第2リング45の外周面から径方向内側へ凹む。第2リング凹部450には、上記のキー720が挿入される。これにより、第2ケーシング筒部72に対する第2リング45の周方向の相対回転が阻止される。すなわち、第2リング45は、キー720を介して、第2ケーシング筒部72に間接的に固定される。ただし、第2リング45は、キー720に沿って、軸方向に僅かに移動可能である。
第1リング44は、各遊星ローラ42の一方側第1小径部422の外周面の一部である傾斜面に接触する。第1リング44は、一方側第1小径部422の当該傾斜面と第2ケーシング筒部72とに挟まれることによって、軸方向の移動が制限される。第2リング45は、各遊星ローラ42の他方側第1小径部423の外周面の一部である傾斜面に接触する。第2リング45は、他方側第1小径部423の当該傾斜面と後述する剛性内歯歯車53における軸方向一方側にある突出部532とに挟まれることによって、軸方向の移動が制限される。ただし、遊星ローラ42と、第1リング44および第2リング45との接触箇所は、これに限定されない。遊星ローラ42は、第1大径部421の軸方向一方側または軸方向他方側において、第1リング44または第2リング45と接触する位置関係にあればよい。
本実施形態では、各遊星ローラ42は、第1リング44および第2リング45と接触して摩擦力を受ける。ここで、第1リング44および第2リング45はそれぞれ、ケーシング7に対する周方向の相対回転が阻止されている。また、ケーシング7は、回転不能に固定されている。このため、3つの遊星ローラ42はそれぞれ、太陽ローラ41と接触して摩擦力を受けるとともに、第1リング44および第2リング45の双方に接触することによって、第1自転軸91を中心として自転しながら、中心軸90を中心として減速後の中間回転数N2で公転する。また、3つの遊星ローラ42はそれぞれ、太陽ローラ41の回転方向とは逆方向に自転しつつ、3つの第1遊星軸43とともに太陽ローラ41の回転方向と同じ方向に公転する。
押圧部材46は、第1リング44の軸方向一方側において、中心軸90と略平行に延びる弾性体である。押圧部材46には、例えば、コイルばね、板ばね、またはゴム等が用いられる。押圧部材46の軸方向一方側の端部は、第2ケーシング筒部72に固定される。より具体的には、押圧部材46は、ケーシング円環部74の軸方向他方側の端面から軸方向一方側へ凹む凹部740に収容される。押圧部材46の軸方向他方側の端部は、第1リング44に接触する。これにより、第1リング44には、押圧部材46によって軸方向他方側へ向かう付勢力が与えられる。ここで、第1リング44と接触する遊星ローラ42の一方側第1小径部422は、軸方向一方側へ向かうにつれて縮径する(軸方向他方側へ向かうにつれて拡径する)円錐台状の立体形状を有する。このため、本実施形態では、押圧部材46によって軸方向他方側へ向かう付勢力が与えられることにより、第1リング44が一方側第1小径部422により確実に接触する。また、遊星ローラ42は、第1リング44から受ける付勢力によって、径方向内側へ押圧される。その結果、遊星ローラ42が太陽ローラ41により確実に接触する。
第2減速機構50は、各遊星ローラ42の中心軸90を中心とした公転に係る中間回転数N2を、中間回転数N2よりも低い出力回転数N3に変換して、出力回転数N3で出力部材60を回転させる装置である。第2減速機構50には、後述する可撓性外歯歯車52と後述する剛性内歯歯車53との差動を利用して、回転運動を変速しつつ動力を伝達する、いわゆる波動歯車減速機構が用いられる。図5は、図2のII-II位置を軸方向から見たときのハイブリッド減速機3の横断面図である。図2,図4,および図5に示すように、第2減速機構50は、波動発生器51、可撓性外歯歯車52、および剛性内歯歯車53を有する。
波動発生器51は、可撓性外歯歯車52を撓み変形させるための機構である。波動発生器51は、非真円カム511と、波動軸受512(第2軸受)とを有する。非真円カム511は、本発明における「キャリア」に相当する。波動軸受512は、本発明における「中継部材」に相当する。
非真円カム511は、3つの遊星ローラ42よりも軸方向他方側に配置され、中心軸90を中心として環状に拡がる部材である。非真円カム511の径方向内側における、入力部材30の周囲には、2つの軸受510(第1軸受)が設けられている。2つの軸受510(第1軸受)は、互いに軸方向に間隙を隔てて配置される。非真円カム511は、2つの軸受510の径方向外側において中心軸90を中心として環状に拡がる。軸受510には、例えば、ボールベアリングが用いられる。軸受510の内輪は、入力部材30の外周面に固定される。軸受510の外輪は、非真円カム511の内周面に固定される。これにより、非真円カム511は、入力部材30に対して軸受510を介して回転可能かつ安定して支持される。ただし、軸受510には、ボールベアリングに代えて、ローラベアリング等の他方式の軸受が用いられてもよい。
また、図4および図5に示すように、非真円カム511は、複数(本実施形態では、3つ)の貫通孔513を有する。本実施形態では、3つの貫通孔513が、中心軸90を中心として互いに周方向に略120度の間隔を空けて設けられている。各貫通孔513は、中心軸90よりも径方向外側において、非真円カム511を軸方向に貫通する。そして、第1減速機構40の3つの第1遊星軸43は、軸方向他方側において、3つの貫通孔513に挿入される。また、各第1遊星軸43は、貫通孔513において接着または圧入等により非真円カム511に固定される。これにより、各第1遊星軸43は、中心軸90よりも径方向外側において、非真円カム511と互いに相対回転不能に固定される。
3つの遊星ローラ42および3つの第1遊星軸43が中心軸90を中心として中間回転数N2で公転すると、3つの第1遊星軸43が固定された非真円カム511は、中心軸90を中心として中間回転数N2で回転する。なお、本実施形態の非真円カム511は、楕円形のカムプロフィールを有する。つまり、非真円カム511は、周方向の位置によって異なる外径を有する。
波動軸受512は、可撓性外歯歯車52の軸方向一方側の端部および剛性内歯歯車53の径方向内側に位置する可撓性の軸受である。波動軸受512の内周面は、非真円カム511の外周面に固定される。波動軸受512は、内輪63と、複数のボール64と、弾性変形可能な外輪65とを有する。内輪63は、非真円カム511の外周面に固定される。これにより、波動軸受512は、非真円カム511に支持され、非真円カム511とともに中心軸90を中心として中間回転数N2で回転する。複数のボール64は、内輪63と外輪65との間に介在し、周方向に沿って配列される。外輪65は、回転する非真円カム511のカムプロフィールを反映するように、内輪63およびボール64を介して弾性変形(撓み変形)する。このように、本実施形態の波動軸受512には、ボールベアリングが用いられる。ただし、ボールベアリングに代えて、ローラベアリング等の他方式の軸受が用いられていてもよい。
可撓性外歯歯車52は、中心軸90に沿って設けられる。可撓性外歯歯車52は、本発明における「出力歯車」に相当する。可撓性外歯歯車52は、可撓性筒状胴部521と、複数の第1外歯522と、円板部523とを有する。可撓性筒状胴部521は、中心軸90を中心として軸方向に筒状に延びる部位である。また、可撓性筒状胴部521は、可撓性を有し、径方向に撓み可能な円筒状の部位である。可撓性筒状胴部521の軸方向一方側の端部付近の外周面には、複数の第1外歯522が形成されている。複数の第1外歯522はそれぞれ、可撓性筒状胴部521の軸方向一方側の端部から径方向外側へ突出する。また、複数の第1外歯522は、周方向に沿って、一定のピッチで配列される。また、可撓性筒状胴部521の軸方向一方側の端部の内周面には、波動軸受512の外輪65が接触する。
円板部523は、可撓性筒状胴部521の軸方向他方側の端部から径方向内側に拡がる部位である。円板部523は、中心軸90を中心として円環状に拡がる。円板部523がこのような構造を有することにより、可撓性外歯歯車52を含む装置全体を径方向に小型化できる。円板部523は、可撓性筒状胴部521よりも撓み難い平板状の部位である。また、図2に示すように、円板部523における径方向内側の部位には、肉厚のボス部524が形成されている。ボス部524には、複数の貫通孔520が形成されている。複数の貫通孔520はそれぞれ、ボス部524を軸方向に貫通する。
剛性内歯歯車53は、中心軸90を中心として円環状に拡がる部材である。剛性内歯歯車53は、本発明における「固定内歯歯車」に相当する。剛性内歯歯車53の径方向内側には、可撓性筒状胴部521の軸方向一方側の端部が配置される。剛性内歯歯車53の剛性は、可撓性筒状胴部521の剛性よりも、はるかに高い。したがって、剛性内歯歯車53は、実質的に剛体とみなすことができる。図4および図5に示すように、剛性内歯歯車53の内周面には、複数の第1内歯531が形成されている。複数の第1内歯531は、周方向に沿って、一定のピッチで配列される。剛性内歯歯車53が有する第1内歯531の歯数と、可撓性外歯歯車52が有する第1外歯522の歯数とは、僅かに相違する。
また、剛性内歯歯車53には、複数(本実施形態では12個)の貫通孔530が、設けられている。複数の貫通孔530は、中心軸90を中心として、周方向に等間隔に並んでいる。また、各貫通孔530は、剛性内歯歯車53を軸方向に貫通する。剛性内歯歯車53は、第1ケーシングフランジ部712と第2ケーシングフランジ部721との軸方向の間に挟まれるとともに、各貫通孔530に挿入されるネジ533を、ネジ止めすることにより、第1ケーシングフランジ部712と第2ケーシングフランジ部721に軸方向に連結される。これにより、剛性内歯歯車53は、周方向、径方向、および軸方向の動きが制限される。
さらに、剛性内歯歯車53は、突出部532を有する。突出部532は、第2リング45の外周面よりも径方向内側に位置する。また、第2リング45は、突出部532の軸方向一方側に接触する。これにより、第2リング45の軸方向の移動を制限できる。この結果、第2リング45を遊星ローラ42の他方側第1小径部423に確実に接触させることができる。
出力部材60は、中心軸90に沿って円柱状に延びる部材である。図2に示すように、出力部材60の軸方向一方側の端部には、径方向外側へ拡がる出力フランジ部601が形成される。また、出力フランジ部601の軸方向一方側の端面には、複数のネジ孔602が設けられている。出力部材60は、可撓性外歯歯車52の複数の貫通孔520に挿入される複数のネジ525を複数のネジ孔602にネジ止めすることにより、可撓性外歯歯車52と、互いに相対回転不能に連結される。すなわち、可撓性外歯歯車52は、軸方向他方側において、出力部材60に連結される。
また、出力部材60は、ケーシング縮径部711の内周面に、軸受61を介して支持される。これにより、出力部材60は、可撓性外歯歯車52とともに、ケーシング7に対して回転可能となる。また、入力部材30は、出力部材60の軸方向一方側の端部の内周面に、軸受62を介して支持される。これにより、出力部材60は、可撓性外歯歯車52とともに、入力部材30に対して相対回転可能となっている。
3つの遊星ローラ42および3つの第1遊星軸43が中心軸90を中心として中間回転数N2で公転すると、波動発生器51の非真円カム511、および非真円カム511の外周面に固定された波動軸受512は一体的に、中心軸90を中心として中間回転数N2で回転する。また、波動軸受512の外周面の周方向の一部は、可撓性筒状胴部521の内周面に接触する。このように、波動発生器51の中心軸90を中心とした回転に伴って、可撓性筒状胴部521が径方向内側から押されることにより、可撓性筒状胴部521が径方向に撓み、軸方向に見て楕円状に変形する。そして、非真円カム511がなす楕円の長軸の両端の2箇所の径方向外側付近において、可撓性外歯歯車52の第1外歯522と剛性内歯歯車53の第1内歯531とが噛み合う。非真円カム511がなす楕円の短軸の両端の2箇所の径方向外側付近においては、可撓性外歯歯車52の第1外歯522と剛性内歯歯車53の第1内歯531とが噛み合わない。すなわち、本実施形態では、第1外歯522と第1内歯531とが、互いに周方向において部分的に噛み合う。また、本実施形態では、中継部材である波動軸受512は、外周面の一部において、可撓性筒状胴部521を介して、剛性内歯歯車53の第1内歯531と間接的に接触する。
非真円カム511が回転すると、非真円カム511がなす楕円の長軸の両端の位置が周方向に移動するので、第1外歯522と第1内歯531との噛み合い位置も周方向に移動する。ここで、上記のように、剛性内歯歯車53の第1内歯531の歯数と、可撓性外歯歯車52の第1外歯522の歯数とは、僅かに異なる。このため、非真円カム511の1回転ごとに、第1外歯522と第1内歯531との噛み合い位置が歯数差の分だけ僅かに変化する。一方、上記のとおり、剛性内歯歯車53は、周方向、径方向、および軸方向の動きが制限されている。この結果、剛性内歯歯車53に対して、可撓性外歯歯車52、および可撓性外歯歯車52が固定された出力部材60が、中間回転数N2よりもさらに減速された出力回転数N3で、中心軸90を中心として回転する。つまり、可撓性外歯歯車52の第1外歯522と剛性内歯歯車53の第1内歯531との噛み合い位置を周方向に移動させながら、可撓性外歯歯車52および出力部材60は、第1外歯522と第1内歯531との歯数の違いによって、剛性内歯歯車53に対して相対回転する。
上記のとおり、本実施形態では、第1減速機構40および第2減速機構50を用いて高い減速比を実現するハイブリッド減速機3において、第1減速機構40からの出力の回転数で公転する3つの第1遊星軸43を、第2減速機構50の非真円カム511に直接的に固定する。そして、3つの第1遊星軸43の中心軸90を中心とした公転を、中心軸90よりも径方向外側において直接的に第2減速機構50に入力する。これにより、第1減速機構40と第2減速機構50とを連結する部分の構造を簡素化できるため、ハイブリッド減速機3全体を小型化できる。また、部品点数を抑制でき、コストを抑制できる。
なお、図1に示すように、本実施形態のモータ付きハイブリッド減速機1は、検出用円環部17および検出用センサ18をさらに有する。検出用円環部17は、第1遊星軸43に取り付けられ、外周面に凹凸形状からなる被検出パターンを有する。検出用センサ18は、検出用円環部17の径方向外側においてケーシング7に固定される。上述のとおり、第1遊星軸43は、非真円カム511(キャリア)とともに中心軸90の周りを回転する。検出用センサ18は、検出用円環部17の外周面の凹凸形状を検出することによって、非真円カム511(キャリア)の回転を検出する。また、検出結果に基づいて、モータ2の駆動を制御することによって、非真円カム511および出力部材60の回転を安定させることができる。
<2.第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態に係るモータ付きハイブリッド減速機の構成について説明する。なお、以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同等の部分については、重複説明を一部省略する。
本実施形態のモータ付きハイブリッド減速機は、モータ、ハイブリッド減速機3B、およびケーシング7を有する。本実施形態のモータは、第1実施形態のモータ2と同等の構成を有する。
本実施形態のケーシング7Bは、第1実施形態の第2ケーシング筒部72およびケーシング底板部73と同等の構成を有する第2ケーシング筒部72Bおよびケーシング底板部のみを有し、第1実施形態の第1ケーシング筒部71に相当する部位を有していない。
第2ケーシング筒部72Bにおける軸方向他方側の端部には、径方向外側へ拡がる第2ケーシングフランジ部721Bが形成されている。第2ケーシング筒部72Bおよびケーシング底板部を含むケーシング7Bは、モータ付きハイブリッド減速機が配置される筐体等に対して移動不能および回転不能に固定される。
ハイブリッド減速機3Bは、モータから得られる回転運動を減速させつつ、出力トルクを増加させる。図6は、第2実施形態に係るハイブリッド減速機3Bおよびケーシング7Bの縦断面図である。図6に示すように、ハイブリッド減速機3Bは、入力部材30Bと、第1減速機構40Bと、第2減速機構50Bと、出力部材60Bと、第1減速機構40Bおよび第2減速機構50Bの一部を収容する第2ケーシング筒部72Bとを有する。
入力部材30Bは、水平方向(図6における左右方向)に延びる中心軸90Bに沿って円柱状に延びる部材である。本実施形態の入力部材30Bは、第1実施形態の入力部材30と同等の構成を有する。入力部材30Bは、モータから得られる動力によって、モータの回転軸232Bとともに、中心軸90Bを中心として減速前の回転数である入力回転数N1で回転する。
第1減速機構40Bは、入力部材30Bの入力回転数N1を、入力回転数N1よりも低い中間回転数N2に変換する装置である。本実施形態の第1減速機構40Bは、第1実施形態の第1減速機構40と同等の構成を有する。3つの遊星ローラ42Bはそれぞれ、太陽ローラ41Bと接触して摩擦力を受けるとともに、第1リング44Bおよび第2リング45Bの双方に接触することによって、第1自転軸91Bを中心として自転しながら、中心軸90Bを中心として減速後の中間回転数N2で公転する。また、各遊星ローラ42Bを自転可能に支持する3つの第1遊星軸43Bが、中心軸90Bを中心として中間回転数N2で公転する。
なお、本実施形態の押圧部材46Bには、第1実施形態のような弾性体からなる押圧部材46の替わりに、調圧カム83Bを含む付勢機構が用いられる。調圧カム83Bは、第2ケーシング筒部72Bと第1リング44Bとの間に配置される。調圧カム83Bは、周方向に沿って設けられた複数のフェースカムで構成されており、各フェースカムは、周方向視においてV字状の断面を有するV溝である。第1リング44Bの軸方向一方側端面にも、調圧カム83Bの各V溝に対向する位置にV溝が形成される。また、軸方向に対向する、調圧カム83BのV溝と第1リング44BのV溝との間には、ボールが配置される。
第1リング44Bに周方向のトルクが作用すると、V溝の底部に配置されたボールが、V溝を乗り上げ、第1リング44Bが軸方向他方側へ変位する。つまり、この変位量に応じて、第1リング44Bが、第1リング44Bに加わる周方向のトルクに比例した付勢力で付勢される。すなわち、本実施形態の押圧部材46Bは、当該ボールを介して、第1リング44Bを軸方向他方側へ間接的に押圧する。調圧カム83Bは、図示を省略したキー結合を介して、第2ケーシング筒部72Bに連結される。また、第1リング44Bは第2ケーシング筒部72Bに対して規制されない。
このように、本実施形態では、第1リング44Bの付勢が調圧カム83Bによって行われるため、付勢機構の軸方向寸法を小さくすることができる。また、調圧カム83Bは、負荷に比例した付勢力を発生させることができるので、第1実施形態のような弾性体からなる押圧部材46に比べて耐久性が向上する。
第2減速機構50Bは、各遊星ローラ42Bの中心軸90Bを中心とした公転に係る中間回転数N2を、中間回転数N2よりも低い出力回転数N3に変換して、出力回転数N3で出力部材60Bを回転させる装置である。第2減速機構50Bは、波動発生器51B、可撓性外歯歯車52B、剛性内歯歯車53B、第1連結部151B、および第2連結部152Bを有する。
波動発生器51Bは、可撓性外歯歯車52Bを撓み変形させるための機構である。波動発生器51Bは、非真円カム511Bと、波動軸受512B(第2軸受)とを有する。非真円カム511Bは、本発明における「キャリア」に相当する。非真円カム511Bは、第1実施形態の非真円カム511と同等の構成を有する。各第1遊星軸43Bは、非真円カム511Bの貫通孔513Bに挿入され、固定される。これにより、各第1遊星軸43Bは、中心軸90Bよりも径方向外側において、非真円カム511Bと互いに相対回転不能に固定される。波動軸受512Bは、本発明における「中継部材」に相当する。波動軸受512Bは、第1実施形態の波動軸受512と同等の構成を有する。波動軸受512Bの内周面は、非真円カム511Bの外周面に固定される。
可撓性外歯歯車52Bは、中心軸90Bに沿って設けられる。可撓性外歯歯車52Bは、本発明における「出力歯車」に相当する。可撓性外歯歯車52Bは、可撓性筒状胴部521Bと、複数の第1外歯522Bと、フランジ部526Bとを有する。可撓性筒状胴部521Bは、中心軸90Bを中心として軸方向に筒状に延びる部位である。また、可撓性筒状胴部521Bは、可撓性を有し、径方向に撓み可能な円筒状の部位である。可撓性筒状胴部521Bの軸方向一方側の端部付近の外周面には、複数の第1外歯522Bが形成されている。複数の第1外歯522Bはそれぞれ、可撓性筒状胴部521Bの軸方向一方側の端部から径方向外側へ突出する。また、複数の第1外歯522Bは、周方向に沿って、一定のピッチで配列される。また、可撓性筒状胴部521Bの軸方向一方側の端部の内周面には、波動軸受512Bが接触する。
フランジ部526Bは、可撓性筒状胴部521Bの軸方向他方側の端部から径方向外側に拡がる部位である。フランジ部526Bは、中心軸90Bを中心として円環状に拡がる。フランジ部526Bは、可撓性筒状胴部521Bよりも撓み難い平板状の部位である。また、図6に示すように、フランジ部526Bにおける径方向外側の部位には、肉厚のボス部524Bが形成されている。ボス部524Bには、複数の貫通孔520Bが形成されている。複数の貫通孔520Bはそれぞれ、ボス部524Bを軸方向に貫通する。
剛性内歯歯車53Bは、中心軸90Bを中心として円環状に拡がる部材である。剛性内歯歯車53Bは、本発明における「固定内歯歯車」に相当する。剛性内歯歯車53Bは、第1実施形態の剛性内歯歯車53と同等の構成を有する。剛性内歯歯車53Bが有する第1内歯531Bの歯数と、可撓性外歯歯車52Bが有する第1外歯522Bの歯数とは、僅かに相違する。
また、剛性内歯歯車53Bには、複数の貫通孔530Bが、設けられている。各貫通孔530Bは、剛性内歯歯車53Bを軸方向に貫通する。剛性内歯歯車53Bは、剛性内歯歯車53Bの軸方向他方側に隣接する第1連結部151Bと第2ケーシングフランジ部721Bとの軸方向の間に挟まれるとともに、各貫通孔530Bに挿入されるネジ533Bを、ネジ止めすることにより、第1連結部151Bおよび第2ケーシングフランジ部721に固定される。これにより、剛性内歯歯車53は、周方向、径方向、および軸方向の動きが制限される。
第1連結部151Bは、中心軸90Bを中心として軸方向に円筒状に延びる部材である。第1連結部151Bの径方向外側には、第2連結部152Bが配置されている。第2連結部152Bは、第1連結部151Bの外径よりも僅かに大きな内径を有し、中心軸90Bを中心として軸方向に円筒状に延びる部材である。第1連結部151Bおよび第2連結部152Bは、ともに高い剛性を有する。第2連結部152Bには、ネジ525Bを挿入するための複数の貫通孔154Bが、設けられている。各貫通孔154Bは、第2連結部152Bを軸方向に貫通する。
第1連結部151Bは、第2連結部152Bに対して、軸受16Bによって回転可能に接続される。本実施形態の軸受16Bには、クロスローラベアリングが用いられる。図6に示すように、軸受16Bは、第2連結部152Bの内周面と、第1連結部151Bの外周面との間に、複数の円筒ころ161Bを有する。複数の円筒ころ161Bは、第2連結部152Bの内周面に設けられた環状のV溝と、第1連結部151Bの外周面に設けられた環状のV溝との間に、向きを交互に変えながら配置される。これにより、第2連結部152Bに対する第1連結部151Bの回転を許容しながら、第2連結部152Bと第1連結部151Bとが高剛性に接続される。このようなクロスローラベアリングは、ボールベアリングのように一対で用いずとも、軸方向および径方向に、十分な剛性を得ることができる。すなわち、クロスローラベアリングを用いることで、第2減速機構50Bに設けられるベアリング(軸受)の数を減らすことができる。これにより、軸受16Bの重量を低減できるとともに、軸受16Bの軸方向の寸法を抑えることができる。
出力部材60Bは、中心軸90Bを中心として径方向に円板状に拡がる部材である。出力部材60Bにおける径方向外側に位置する部位には、複数のネジ孔602Bが設けられている。そして、出力部材60Bは、可撓性外歯歯車52Bのボス部524Bの貫通孔520Bおよび第2連結部152Bの貫通孔154Bに挿入されるネジ525Bを、ネジ孔602Bにネジ止めすることにより、可撓性外歯歯車52Bおよび第2連結部152Bと、互いに相対回転不能に連結される。
また、入力部材30Bは、出力部材60Bの軸方向一方側の端部の内周面に、軸受61Bを介して支持される。これにより、出力部材60Bは、可撓性外歯歯車52Bおよび第2連結部152Bとともに、入力部材30Bに対して相対回転可能となっている。
3つの遊星ローラ42Bおよび3つの第1遊星軸43Bが中心軸90Bを中心として中間回転数N2で公転すると、波動発生器51Bの非真円カム511B、および非真円カム511Bの外周面に固定された波動軸受512Bは一体的に、中心軸90Bを中心として中間回転数N2で回転する。また、波動軸受512Bの外周面の周方向の一部は、可撓性筒状胴部521Bの内周面に接触する。このように、波動発生器51Bの中心軸90Bを中心とした回転に伴って、可撓性筒状胴部521Bが径方向内側から押されることにより、可撓性筒状胴部521Bが径方向に撓み、軸方向に見て楕円状に変形する。そして、非真円カム511Bがなす楕円の長軸の両端の2箇所の径方向外側付近において、可撓性外歯歯車52Bの第1外歯522Bと剛性内歯歯車53Bの第1内歯531Bとが噛み合う。非真円カム511Bがなす楕円の短軸の両端の2箇所の径方向外側付近においては、可撓性外歯歯車52Bの第1外歯522Bと剛性内歯歯車53Bの第1内歯531Bとが噛み合わない。すなわち、本実施形態では、第1外歯522Bと第1内歯531Bとが、互いに周方向において部分的に噛み合う。
非真円カム511Bが回転すると、非真円カム511Bがなす楕円の長軸の両端の位置が周方向に移動するので、第1外歯522Bと第1内歯531Bとの噛み合い位置も周方向に移動する。ここで、上記のように、剛性内歯歯車53Bの第1内歯531Bの歯数と、可撓性外歯歯車52Bの第1外歯522Bの歯数とは、僅かに異なる。このため、非真円カム511Bの1回転ごとに、第1外歯522Bと第1内歯531Bとの噛み合い位置が歯数差の分だけ僅かに変化する。一方、上記のとおり、剛性内歯歯車53Bは、周方向、径方向、および軸方向の動きが制限されている。この結果、剛性内歯歯車53Bに対して、可撓性外歯歯車52Bと、可撓性外歯歯車52Bが固定された第2連結部152Bおよび出力部材60Bとが、中間回転数N2よりもさらに減速された出力回転数N3で、中心軸90Bを中心として回転する。つまり、可撓性外歯歯車52Bの第1外歯522Bと剛性内歯歯車53の第1内歯531Bとの噛み合い位置を周方向に移動させながら、可撓性外歯歯車52B、第2連結部152B、および出力部材60Bは、第1外歯522Bと第1内歯531Bとの歯数の違いによって、剛性内歯歯車53Bに対して相対回転する。
第1実施形態と同様に、本実施形態では、第1減速機構40Bおよび第2減速機構50Bを用いて高い減速比を実現するハイブリッド減速機3Bにおいて、第1減速機構40Bからの出力の回転数で公転する3つの第1遊星軸43Bを、第2減速機構50Bの非真円カム511Bに直接的に固定する。そして、3つの第1遊星軸43Bの中心軸90Bを中心とした公転を、中心軸90Bよりも径方向外側において直接的に第2減速機構50Bに入力する。これにより、第1減速機構40Bと第2減速機構50Bとを連結する部分の構造を簡素化できるため、ハイブリッド減速機3B全体を小型化できる。また、部品点数を抑制でき、コストを抑制できる。
<3.第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態に係るモータ付きハイブリッド減速機の構成について説明する。なお、以下では、第1実施形態および第2実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態および第2実施形態と同等の部分については、重複説明を一部省略する。
本実施形態のモータ付きハイブリッド減速機は、モータ、ハイブリッド減速機3C、およびケーシング7Cを有する。本実施形態のモータおよびケーシング7Cは、第1実施形態のモータ2およびケーシング7と同等の構成を有する。
ハイブリッド減速機3Cは、モータから得られる回転運動を減速させつつ、出力トルクを増加させる。図7は、第3実施形態に係るハイブリッド減速機3Cおよびケーシング7Cの縦断面図である。図7に示すように、ハイブリッド減速機3Cは、入力部材30Cと、第1減速機構40Cと、第2減速機構50Cと、出力部材60Cと、第1減速機構40Cおよび第2減速機構50Cを収容する第1ケーシング筒部71Cおよび第2ケーシング筒部72とを有する。
入力部材30Cは、水平方向(図7における左右方向)に延びる中心軸90Cに沿って円柱状に延びる部材である。本実施形態の入力部材30Cは、第1実施形態の入力部材30および第2実施形態の入力部材30Bと同等の構成を有する。入力部材30Cは、モータから得られる動力によって、モータの回転軸232Cとともに、中心軸90Cを中心として減速前の回転数である入力回転数N1で回転する。
第1減速機構40Cは、入力部材30Cの入力回転数N1を、入力回転数N1よりも低い中間回転数N2に変換する装置である。本実施形態の第1減速機構40Cは、第1実施形態の第1減速機構40および第2実施形態の第1減速機構40Bと同等の構成を有する。3つの遊星ローラ42Cはそれぞれ、太陽ローラ41Cと接触して摩擦力を受けるとともに、第1リング44Cおよび第2リング45Cの双方に接触することによって、第1自転軸91Cを中心として自転しながら、中心軸90Cを中心として減速後の中間回転数N2で公転する。また、各遊星ローラ42Cを自転可能に支持する3つの第1遊星軸43Cが、中心軸90Cを中心として中間回転数N2で公転する。
第2減速機構50Cは、各遊星ローラ42Cの中心軸90Cを中心とした公転に係る中間回転数N2を、中間回転数N2よりも低い出力回転数N3に変換して、出力回転数N3で出力部材60Cを回転させる装置である。第2減速機構50Cには、後述する遊星歯車54Cの第2大径部541Cと後述する第2小径部542Cとの径差を利用して、回転運動を変速しつつ動力を伝達する、いわゆる遊星差動歯車減速機構が用いられる。図7に示すように、第2減速機構50Cは、キャリア511Cと、可動内歯歯車52Cと、固定内歯歯車53Cと、複数(本実施形態では、3つ)の遊星歯車54Cと、複数(本実施形態では、3つ)の第2遊星軸55Cとを有する。
キャリア511Cは、3つの遊星ローラ42Cよりも軸方向他方側、かつ、3つの遊星歯車54Cよりも軸方向一方側に配置され、中心軸90Cを中心として環状に拡がる部材である。キャリア511Cを設けることによって、これらの3つの遊星ローラ42C、および3つの遊星歯車54Cを安定して保持することができる。キャリア511Cの径方向内側における、入力部材30Cの周囲には、2つの軸受510C(第1軸受)が設けられている。2つの軸受510C(第1軸受)は、互いに軸方向に隣接して配置される。キャリア511Cは、2つの軸受510Cの径方向外側において中心軸90Cを中心として環状に拡がる。軸受510Cには、例えば、ボールベアリングが用いられる。軸受510Cの内輪は、入力部材30Cの外周面に固定される。軸受510Cの外輪は、キャリア511Cの内周面に固定される。これにより、キャリア511Cは、入力部材30Cに対して軸受510Cを介して回転可能かつ安定して支持される。
また、キャリア511Cは、複数(本実施形態では、3つ)の貫通孔513Cを有する。本実施形態では、3つの貫通孔513Cが、中心軸90Cを中心として互いに周方向に略120度の間隔を空けて設けられている。各貫通孔513Cは、中心軸90Cよりも径方向外側において、キャリア511Cを軸方向に貫通する。そして、第1減速機構40Cの3つの第1遊星軸43Cはそれぞれ、1つの貫通孔513Cに挿入される。また、各第1遊星軸43Cは、貫通孔513Cにおいて接着または圧入等によりキャリア511Cに固定される。これにより、各第1遊星軸43Cは、中心軸90Cよりも径方向外側において、キャリア511Cと互いに相対回転不能に固定される。この結果、3つの遊星ローラ42Cおよび3つの第1遊星軸43Cが中心軸90Cを中心として中間回転数N2で公転すると、3つの第1遊星軸43Cが固定されたキャリア511Cは、中心軸90Cを中心として中間回転数N2で回転する。
3つの遊星歯車54Cはそれぞれ、入力部材30Cの周囲において、中心軸90Cと略平行な第2自転軸92Cに沿って配置される。3つの遊星歯車54Cは、本発明における「中継部材」に相当する。3つの遊星歯車54Cは、入力部材30Cとは接触しない。本実施形態では、3つの遊星歯車54Cが、中心軸90Cを中心として互いに周方向に120度の間隔を空けて配置されている。ただし、遊星歯車54Cの数は、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。3つの遊星歯車54Cはそれぞれ、第2大径部541Cと、第2小径部542Cとを有する。第2大径部541Cと、第2小径部542Cとは、一繋がりに形成される。また、第2大径部541Cと、第2小径部542Cとは、それぞれ軸方向に見て、第2自転軸92Cの周囲において同軸上で真円形状に拡がる。
第2大径部541Cの外径は、第2小径部542Cの外径よりも大きい。また、第2大径部541Cの外径は、軸方向の全体に亘って略一定である。第2大径部541Cの外周面には、複数の第2外歯81Cが形成されている。複数の第2外歯81Cはそれぞれ、径方向外側へ突出する。また、複数の第2外歯81Cは、周方向に沿って、一定のピッチで配列される。
第2小径部542Cの外径は、第2大径部541Cの外径よりも小さい。第2小径部542Cは、第2大径部541Cの軸方向他方側に隣接する。また、第2小径部542Cの外径は、軸方向の全体に亘って略一定である。第2小径部542Cの外周面には、複数の第3外歯82Cが形成されている。複数の第3外歯82Cはそれぞれ、径方向外側へ突出する。また、複数の第3外歯82Cは、周方向に沿って、一定のピッチで配列される。第2大径部541Cが有する第2外歯81Cの歯数と、第2小径部542Cが形成される第3外歯82Cの歯数とは、僅かに相違する。さらに、3つの遊星歯車54Cはそれぞれ、貫通孔540Cを有する。各貫通孔540Cは、第2自転軸92Cに沿って遊星歯車54Cを軸方向に貫通する。
3つの第2遊星軸55Cはそれぞれ、中心軸90Cよりも径方向外側において、第2自転軸92Cに沿って延びる。3つの第2遊星軸55Cはそれぞれ、軸方向他方側において、遊星歯車54Cの貫通孔540Cに挿入される。また、第2遊星軸55Cと遊星歯車54Cとの径方向の間には、軸受543C(例えば、すべり軸受)が挿入される。これにより、第2遊星軸55Cは、軸方向他方側において、遊星歯車54Cを、第2自転軸92Cを中心として自転可能に支持する。ただし、第2遊星軸55Cの数は、遊星歯車54Cの数に合わせて、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。さらに、各遊星歯車54Cとキャリア511Cとの軸方向の間で、かつ、各第2遊星軸55Cの周囲には、軸受544C(例えば、すべり軸受)が配置される。これにより、3つの遊星歯車54Cはそれぞれ、キャリア511Cに接触することなく、第2自転軸92Cを中心として相対回転可能である。
3つの第2遊星軸55Cは、それぞれの軸方向一方側において、キャリア511Cの貫通孔513Cに挿入される。また、各第2遊星軸55Cは、貫通孔513Cにおいて接着または圧入等によりキャリア511Cに固定される。これにより、3つの第2遊星軸55Cはそれぞれ、中心軸90Cよりも径方向外側において、キャリア511Cと互いに相対回転不能に固定される。これにより、キャリア511Cが中心軸90Cを中心として中間回転数N2で回転すると、3つの第2遊星軸55Cおよび3つの遊星歯車54Cは、中心軸90Cを中心として中間回転数N2で公転する。ここで、本実施形態では、3つの第2遊星軸55Cのそれぞれと、第1減速機構40Cの3つの第1遊星軸43Cのそれぞれとは、互いに同一部材である。これにより、装置全体の部品点数が抑制されている。
可動内歯歯車52Cは、中心軸90Cに沿って設けられる。可動内歯歯車52Cは、本発明における「出力歯車」に相当する。可動内歯歯車52Cは、可動歯車筒状部527Cと、複数の第2内歯528Cと、円環部529Cとを有する。可動歯車筒状部527Cは、中心軸90Cを中心として軸方向に筒状に延びる部位である。可動歯車筒状部527Cの軸方向一方側の端部付近の内周面には、複数の第2内歯528Cが形成されている。複数の第2内歯528Cはそれぞれ、可動歯車筒状部527Cの軸方向一方側の端部から径方向内側へ突出する。また、複数の第2内歯528Cは、周方向に沿って、一定のピッチで配列される。複数の第2内歯528Cは、遊星歯車54Cの第2小径部542Cに形成された複数の第3外歯82Cと噛み合う。
円環部529Cは、可動歯車筒状部527Cの軸方向他方側の端部から径方向内側に拡がる部位である。円環部529Cは、中心軸90Cを中心として円環状に拡がる。入力部材30Cの軸方向他方側の端部の外周面は、円環部529Cの内周面に、軸受62Cを介して支持される。これにより、可動内歯歯車52Cは、入力部材30Cに対して相対回転可能となっている。
固定内歯歯車53Cは、第1ケーシング筒部71Cの径方向内側において、中心軸90Cを中心として円環状に拡がる部材である。本実施形態では、固定内歯歯車53Cは、第1ケーシング筒部71Cと単一部材から形成される。すなわち、固定内歯歯車53Cは、周方向、径方向、および軸方向の動きが制限される。ただし、固定内歯歯車53Cは、第1ケーシング筒部71Cとは互いに別部材であってもよい。固定内歯歯車53Cの内周面には、複数の第1内歯531Cが形成されている。複数の第1内歯531Cは、周方向に沿って、一定のピッチで配列される。固定内歯歯車53Cが有する第1内歯531Cの歯数と、可動内歯歯車52Cが有する第2内歯528Cの歯数とは、僅かに相違する。複数の第1内歯531Cは、遊星歯車54Cの第2大径部541Cの外周面に形成された複数の第2外歯81Cと噛み合う。すなわち、本実施形態では、3つの遊星歯車54Cは、外周面の一部において固定内歯歯車53Cの第1内歯531Cと直接的に接触する。
出力部材60Cは、中心軸90Cに沿って円柱状に延びる部材である。本実施形態の出力部材60Cは、可動内歯歯車52Cのうち軸方向他方側にある円環部529Cと単一部材から形成される。すなわち、出力部材60Cは、可動内歯歯車52Cと互いに相対回転不能に連結されている。ただし、出力部材60Cは、円環部529Cとは互いに別部材であってもよい。また、出力部材60Cは、可動内歯歯車52Cとともに、軸受62Cを介して、入力部材30Cを相対回転可能に支持する。なお、出力部材60Cは、入力部材30Cとは接触していない。また、出力部材60Cは、ケーシング縮径部711Cの内周面に、軸受61Cを介して支持される。これにより、出力部材60Cは、可動内歯歯車52Cとともに、ケーシング7Cに対して回転可能となる。
上記のとおり、キャリア511Cが、中心軸90Cを中心として中間回転数N2で回転すると、3つの第2遊星軸55Cおよび3つの遊星歯車54Cは、中心軸90Cを中心として中間回転数N2で公転する。各遊星歯車54Cは、外周面の一部において、第2大径部541Cの第2外歯81Cが固定内歯歯車53Cの第1内歯531Cと噛み合い、第2小径部542Cの第3外歯82Cが可動内歯歯車52Cの第2内歯528Cと噛み合う。ここで、固定内歯歯車53Cは、周方向、径方向、および軸方向の動きが制限されている。このため、固定内歯歯車53Cは回転せず、3つの遊星歯車54Cは、中心軸90Cを中心として公転するとともに、可動内歯歯車52Cおよび固定内歯歯車53Cと噛み合いながら自転する。
各遊星歯車54Cの第3外歯82Cが可動内歯歯車52Cの第2内歯528Cと噛み合いながら自転および公転することによって、可動内歯歯車52Cおよび出力部材60Cは、中心軸90Cを中心として、中間回転数N2よりも低い出力回転数N3で回転する。すなわち、可動内歯歯車52Cおよび出力部材60Cは、固定内歯歯車53Cに対して相対回転する。ここで、各遊星歯車54Cの第2小径部542Cの外径は、第2大径部541Cの外径よりも小さい。このため、遊星歯車54Cの自転に伴う、第2小径部542Cの第3外歯82Cの移動距離は、第2大径部541Cの第2外歯81Cの移動距離よりも短くなる。このため、第2小径部542Cの第3外歯82Cと噛み合う可動内歯歯車52Cの回転数は、より小さくなる。このように、本実施形態の第2減速機構50Cは、第2大径部541Cと第2小径部542Cとの径差に応じて、減速比をより大きくすることができる。
第1実施形態および第2実施形態と同様に、本実施形態では、第1減速機構40Cおよび第2減速機構50Cを用いて高い減速比を実現するハイブリッド減速機3Cにおいて、第1減速機構40Cからの出力の回転数で公転する3つの第1遊星軸43Cを、第2減速機構50Cのキャリア511Cに直接的に固定する。そして、3つの第1遊星軸43Cの中心軸90Cを中心とした公転を、中心軸90Cよりも径方向外側において直接的に第2減速機構50Cに入力する。これにより、第1減速機構40Cと第2減速機構50Cとを連結する部分の構造を簡素化できるため、ハイブリッド減速機3C全体を小型化できる。また、部品点数を抑制でき、コストを抑制できる。
<4.第4実施形態>
続いて、本発明の第4実施形態に係るモータ付きハイブリッド減速機1Dの構成について説明する。なお、以下では、第1実施形態~第3実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態~第3実施形態と同等の部分については、重複説明を一部省略する。
図8は、第4実施形態に係るモータ付きハイブリッド減速機1Dの縦断面図である。図8に示すように、本実施形態のモータ付きハイブリッド減速機1Dは、モータ2D、ハイブリッド減速機3D、ケーシング7D、連結部101D、およびロータリエンコーダ102Dを有する。本実施形態のモータ2Dは、第1実施形態のモータ2と同等の構成を有する。ただし、モータ2Dの回転軸は、後述する入力部材30Dと単一部材から形成される。
ケーシング7Dは、第1ケーシング筒部71D、第2ケーシング筒部72D、ケーシング底板部73D、およびエンコーダ収容部75Dを有する。第1ケーシング筒部71D、第2ケーシング筒部72D、およびケーシング底板部73Dは、第1実施形態の第1ケーシング筒部71、第2ケーシング筒部72、およびケーシング底板部73と同等の構成を有する。エンコーダ収容部75Dは、ケーシング底板部73Dの軸方向一方側に固定される。エンコーダ収容部75Dとケーシング底板部73Dとによって形成される空間の内部において、ロータリエンコーダ102Dや制御基板107D等が収容される。
ハイブリッド減速機3Dは、入力部材30Dと、第1減速機構40Dと、第2減速機構50Dと、出力部材60Dと、第1減速機構40Dおよび第2減速機構50Dを収容する第1ケーシング筒部71Dおよび第2ケーシング筒部72Dとを有する。第1減速機構40D、第2減速機構50D、および出力部材60Dは、第1実施形態の第1減速機構40、第2減速機構50、および出力部材60と同等の構成を有する。
上記のとおり、本実施形態の入力部材30Dは、モータ2Dの回転軸と一体形成されており、モータ2Dの軸方向一方側まで延びる。入力部材30Dは、貫通孔300Dを有する。貫通孔300Dは、中心軸90Dの周囲において入力部材30Dを軸方向に貫通する。連結部101Dは、中心軸90Dに沿って円柱状に延びる。連結部101Dは、入力部材30Dの貫通孔300Dを貫通する。また、連結部101Dは、入力部材30Dの内周面に、軸受68D(第4軸受)を介して支持される。これにより、連結部101Dは、中心軸90Dを中心として、入力部材30Dに対して相対回転可能となる。
連結部101Dの軸方向他方側の端部は、連結板103Dに固定される。連結板103Dは、中心軸90Dを中心として円環板状に拡がる部材である。連結板103Dには、非真円カム511D(キャリア)がネジ止めされる。すなわち、連結部101Dは、連結板103Dを介して、非真円カム511D(キャリア)に間接的に固定される。ただし、連結部101Dは、連結板103D等を介さず、非真円カム511D(キャリア)に直接的に固定されてもよい。連結部101Dは、非真円カム511D(キャリア)とともに、中心軸90Dを中心として回転する。
連結部101Dは、モータ2Dよりも軸方向一方側まで延びる。また、ロータリエンコーダ102Dは、モータ2Dよりも軸方向一方側に位置する。ロータリエンコーダ102Dは、別途設けられる補助部材105Dに取り付けられる。そして、補助部材105Dが、連結部101Dに固定される。すなわち、本実施形態では、ロータリエンコーダ102Dは、補助部材105Dを介して連結部101Dに間接的に固定される。ただし、ロータリエンコーダ102Dは、連結部101Dに直接的に固定されてもよい。
本実施形態では、非真円カム511D(キャリア)の回転を連結部101Dへ伝達した上で、ロータリエンコーダ102Dによって検出する。また、検出結果に基づいて、モータ2の駆動を制御することによって、非真円カム511Dおよび出力部材60Dの回転を安定させることができる。なお、本実施形態では、中空の入力部材30Dおよび連結部101Dを用いることによって、比較的スペースを確保しやすいモータ2の軸方向一方側にロータリエンコーダ102D(配線、および回転を検出して補正するための制御基板107D等を含む)を配置することができる。
<5.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
上記の第3実施形態において、第1減速機構40Cの3つの第1遊星軸43Cのそれぞれと、第2減速機構50Cの3つの第2遊星軸55Cのそれぞれとは、互いに同一部材であった。しかしながら、第1減速機構40Cの各第1遊星軸43Cと、第2減速機構50Cの各第2遊星軸55Cとは、互いに別の部材であってもよい。そして、キャリア511Cに対して、軸方向一方側から各第1遊星軸43Cを挿入して固定し、軸方向他方側から各第2遊星軸55Cを挿入して固定すればよい。この場合、各第1遊星軸43Cの位置と、各第2遊星軸55Cの位置とを、必要に応じて互いに周方向または径方向にずらすことができる。また、必要に応じて、遊星ローラ42Cおよび第1遊星軸43Cの個数と、遊星歯車54Cおよび第2遊星軸55Cの個数とを、互いに相違させることができる。
また、ハイブリッド減速機、およびモータ付きハイブリッド減速機の細部の形状については、上記の実施形態および変形例に示された構成と相違していてもよい。上記の第1実施形態~第3実施形態において、異なる第2減速機構の構成が開示されたが、本発明のハイブリッド減速機、およびモータ付きハイブリッド減速機においては、これらのいずれか1つの第2減速機構を有していればよい。