JP7447459B2 - 積層フィルム、配線基板を製造する方法、及び半導体装置を製造する方法 - Google Patents

積層フィルム、配線基板を製造する方法、及び半導体装置を製造する方法 Download PDF

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Description

本発明は、液晶ポリマーフィルム及び硬化性樹脂層を有する積層フィルム、配線基板を製造する方法、及び半導体装置を製造する方法に関する。
半導体装置の高速且つ大容量の伝送を可能にするために、60~80GHzのミリ波帯を用いた無線通信の実現が期待されている。このような半導体装置は、高周波信号の伝搬損失が増大するため、低誘電材料で構成されることが求められる。
液晶ポリマーは、低誘電材料であることから、高周波基板の部材として注目されている。しかしながら、液晶ポリマーの融点が高いため、液晶ポリマーを含む配線基板を製造するためには、300℃以上の高温での熱プレスが必要とされる。比較的低温での加工によって液晶ポリマーを含む配線基板を形成し得る方法として、例えば、特許文献1では、液晶ポリマーフィルムをアルカリ薬液によって粗化することで、熱プレスの温度を260℃まで低下する方法が開示されている。
特開2006-179609号公報
しかしながら、生産効率及び配線の変形抑制等の観点からは、加工温度が260℃よりも更に低いことが望ましい。加えて、液晶ポリマーフィルムに十分な接着性を付与するためには表面粗度を大きくすることが必要であり、これにより配線へのダメージが大きくなる傾向もあった。
そこで、本発明は、低温での加工によって液晶ポリマーフィルムを有する配線基板を形成することのできる積層フィルムを提供する。
本発明の一側面は、液晶ポリマーフィルムと、前記液晶ポリマーフィルムの片面上又は両面上に設けられた硬化性樹脂層と、を備える積層フィルムを提供する。前記液晶ポリマーフィルムの前記硬化性樹脂層と接する面の表面エネルギーが40~80mJ/mである。
本発明の別の一側面は、液晶ポリマーフィルムの片面又は両面をプラズマ又は紫外線照射によって表面処理することにより、40~80mJ/mの表面エネルギーを有する処理面を形成することと、前記処理面上に硬化性樹脂層を積層することと、を含む積層フィルムを製造する方法を提供する。
本発明の更に別の一側面は、上記積層フィルムが有する前記硬化性樹脂層の前記液晶ポリマーフィルムとは反対側の面上に配線を形成することを含む、配線基板を製造する方法を提供する。
本発明の更に別の一側面は、液晶ポリマーフィルムの片面又は両面をプラズマ又は紫外線照射によって表面処理することにより、40~80mJ/mの表面エネルギーを有する処理面を形成することと、前記処理面上に配線を形成することと、前記処理面上に硬化性樹脂層を積層することにより、前記液晶ポリマーフィルム、前記硬化性樹脂層、及びこれらの間に配置された前記配線を有する配線基板を形成することと、を含む、配線基板を製造する方法を提供する。
本発明の更に別の一側面は、上記方法によって得られた配線基板に半導体素子を搭載する工程を含む、半導体装置を製造する方法を提供する。
本発明の一側面は、低温での加工によって液晶ポリマーフィルムを有する配線基板を形成することのできる積層フィルムを提供する。硬化性樹脂層の硬化後の配線基板は、硬化樹脂層を有することから、熱可塑性樹脂である液晶ポリマーだけから構成される配線基板と比較して、熱履歴に起因する配線の歪、反り及び応力の抑制の点でも有利である。
積層フィルムの一実施形態を示す断面図である。 積層フィルムの一実施形態を示す断面図である。 配線基板の一実施形態を示す断面図である。 配線基板の一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1及び図2は、それぞれ積層フィルムの一実施形態を示す断面図である。図1に示される積層フィルム11は、液晶ポリマーフィルム1と、液晶ポリマーフィルム1の片面側において液晶ポリマーフィルム1の主面Sに接して設けられた硬化性樹脂層3とを備える。図2に示される積層フィルム12は、液晶ポリマーフィルム1と、液晶ポリマーフィルム1の両面側において液晶ポリマーフィルム1の主面Sに接して設けられた硬化性樹脂層3とを備える。液晶ポリマーフィルム1の硬化性樹脂層3と接する面(主面S)の表面エネルギーが40~80mJ/mである。
図3及び図4は、それぞれ配線基板の一実施形態を示す断面図である。図3に示される配線基板21は、液晶ポリマーフィルム1と、液晶ポリマーフィルム1の片面側において液晶ポリマーフィルム1の主面Sに接して設けられた硬化性樹脂層3と、硬化性樹脂層3の液晶ポリマーフィルム1とは反対側の面上に配置された配線5とを備える。図4に示された配線基板22は、液晶ポリマーフィルム1と、液晶ポリマーフィルム1の片面側において液晶ポリマーフィルム1の主面Sに接して設けられた硬化性樹脂層3と、液晶ポリマーフィルム1と硬化性樹脂層3との間に配置された配線5とを備える。液晶ポリマーフィルム1の硬化性樹脂層3と接する面(主面S)の表面エネルギーが40~80mJ/mである。液晶ポリマーフィルムの両面上に硬化性樹脂層が設けられ、液晶ポリマーフィルムと2つの硬化性樹脂層との間、及び/又は、2つの硬化性樹脂層のうち少なくとも一方の液晶ポリマーフィルム1とは反対側の面上に配線が配置されてもよい。
例えば、図1又は図2に例示された積層フィルムを複数積層することを含む方法によって、配線基板を製造することができる。液晶ポリマーフィルム上に硬化性樹脂層が設けられていることから、比較的低い温度の加熱により積層フィルムを積層することができる。また、熱履歴を受けた時の配線の歪み、反り及び応力を硬化性樹脂層が抑制することから、インピーダンスの整合性と信頼性に優れた半導体装置を歩留まりよく、低コストで製造することができる。ロール状の積層フィルムを積層することも可能であるこから、生産効率性が大きく改善され得る。
液晶ポリマーフィルム1の硬化性樹脂層3と接する面(主面S)の表面エネルギーが40~80mJ/mであると、硬化性樹脂層3の硬化により形成される硬化樹脂層と液晶ポリマーフィルムとの十分な密着性を確保することができる。本明細書において、表面エネルギーは、Kaelbe-Uy法によって求められる値を意味する。具体的には、液晶ポリマーフィルム1の表面と純水及びホルムアミドとの静止接触角から下記式によって算出される、分散力成分γ 及び水素結合成分γ の和であることができる。
γ(1+cosθ)=2(γ ・γ )0.5+2(γ ・γ 0.5
γは試験液(ここでは純水又はホルムアミド)の表面エネルギー、γは液晶ポリマーフィルム1の表面の表面エネルギー、θは静止接触角であり、dは分散力成分、pは水素結合成分を表す。静止接触角は、1μLの純水及び1μLのホルムアミドを用いて測定することができる。
液晶ポリマーフィルム1の硬化性樹脂層3と接する面(主面S)の表面粗さRaが20~300nmであってもよい。表面粗さRaがこの範囲にあると、低い伝送損失を維持しながら、硬化性樹脂層3の硬化により形成される硬化樹脂層と、液晶ポリマーフィルムとの密着性が更に改善される。同様の観点から、主面Sの表面粗さRaは、30~200nm、又は20~150nmであってもよい。ここでの表面粗さRaは、接触式段差計(例えばブルカー製、DXT-S(DekTak XT-S))を用い、測定長5mm、測定荷重10.2mg、測定速度100μm/sの条件で測定される値である。
液晶ポリマーフィルム1は、液晶ポリマーの成形体である。液晶ポリマーフィルム1を構成する液晶ポリマーは、溶融状態で液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマーであってもよい。サーモトロピック液晶ポリマーの例としては、サーモトロピック液晶ポリエステル、及びサーモトロピック液晶ポリエステルアミドが挙げられる。サーモトロピック液晶ポリエステル及びサーモトロピック液晶ポリエステルアミドに、イミド結合、ウレタン結合、カルボジイミド結合、カーボネート結合、及びイソシアヌレート結合から選ばれる構造が導入されていてもよい。液晶ポリマーは、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位、及び/又は6-ヒドロキシー2-ナフトエ酸に由来する構成単位を含むポリマーであってもよい。
液晶ポリマーフィルム1は、誘電特性を過剰に損なわない範囲で、液晶ポリマー以外のポリマーを更に含んでもよい。液晶ポリマー以外のポリマーは、220℃以上、又は280~360℃の融点を有するポリマーであってもよく、その例としては、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、及びポリアリレートが挙げられる。
液晶ポリマーフィルム1の熱膨張係数が10~30ppm/℃であってもよい。必要に応じて液晶ポリマーフィルム1を加熱することにより、液晶ポリマーフィルム1の熱膨張係数を制御することができる。
硬化性樹脂層3は、熱硬化性樹脂組成物、又は光硬化性樹脂組成物を含む。
低温での加工性等の観点から、硬化性樹脂層3の80~220℃における最低溶融粘度が、30000Pa・s以下であってもよい。配線等を硬化性樹脂層3に平坦に埋め込むことができる点で、硬化性樹脂層3の80~220℃における最低溶融粘度が20000Pa・s以下であってもよい。より低温での加工性の観点から、硬化性樹脂層3の80~180℃における最低溶融粘度が30000Pa・s以下であってもよい。最低溶融粘度の測定方法の詳細は後述の実施例において説明される。
硬化性樹脂層3が熱硬化性樹脂組成物を含む場合、硬化性樹脂層3を200℃で2時間の加熱により硬化させることにより形成される硬化樹脂層の20GHzにおける25℃での誘電正接が、0.01以下であってもよい。これにより、液晶ポリマーフィルム1及び硬化樹脂層を含む配線基板の伝送損失の低下を抑制できる。同様の観点から、上記誘電正接が0.005以下であってもよい。伝送損失を更に低減できる点で、硬化性樹脂層3を200℃、2時間の加熱により硬化させることにより形成される硬化樹脂層の20GHzにおける誘電率が3.0以下であってもよい。
誘電正接及び誘電率は、200℃で2時間の加熱により硬化した厚さ300μmの硬化樹脂層から長さ60mm、幅2mmの短冊状の試験片を切り出し、この試験片を30℃で6時間真空乾燥してから測定される。誘電正接は、20GHzにおいて得られる共振周波数と無負荷Q値から算出される。測定は、キーサイトテクノロジー製ベクトル型ネットワークアナライザE8364Bと、関東電子応用開発製CP531及びCPMA-V2(プログラム)とを用い、25℃で行われる。
硬化性樹脂層3の厚さに対する液晶ポリマーフィルム1の厚さの比率は、伝送損失を低減する観点から、3.0以上、又は5.0以上であってもよく、2.0以下であってもよい。硬化性樹脂層3の厚さは、例えば4~40μmであってもよい。液晶ポリマーフィルム1の厚さは、例えば20~200μmであってもよい。
硬化性樹脂層3の硬化により形成される硬化樹脂層のガラス転移温度は、温度サイクル時のクラックを抑制する観点から120℃以上であってもよく、配線への応力を緩和できる点で140℃以上であってもよい。前記ガラス転移温度は、低温での容易なラミネートの点から240℃以下であってもよく、硬化収縮抑制の点から220℃以下であってもよい。
硬化樹脂層のガラス転移温度は、昇温しながら測定される粘弾性と温度との関係において、tanδが最大値を示す温度である。硬化性樹脂層3が熱硬化性樹脂組成物を含む場合、硬化樹脂層のガラス転移温度は、硬化性樹脂層3を200℃で2時間の加熱により硬化させることにより形成される厚さ300μmの硬化樹脂層から切り出される長さ30mm、幅4mmの短冊状の試験片を用いて測定することができる。例えばユービーエム社製動的粘弾性測定装置を用い、チャック間距離20mm、周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件で、40~260℃の範囲で試験片の粘弾性が測定される。
硬化樹脂層の破断伸びは、反り低減の点からで5%以上であってもよく、配線への応力緩和の点から10%以上であってもよく、温度サイクル信頼性向上の点から15%以上であってもよい。硬化性樹脂層3が熱硬化性樹脂組成物を含む場合、破断伸びは、硬化性樹脂層3を200℃で2時間の加熱により硬化させることにより形成される厚さ300μmの硬化樹脂層から切り出した長さ30mm、幅5mmの短冊状の試験片を用いて測定される。測定は、小型卓上試験機(例えば商品名「EZ-S」、株式会社島津製作所製)を用い、送り速度5mm/minの条件で行われる。
硬化樹脂層の5%重量減少温度は、耐熱信頼性の観点から300℃以上であってもよい。硬化性樹脂層3が熱硬化性樹脂組成物を含む場合、5%重量減少温度は、硬化性樹脂層3を200℃で2時間の加熱により硬化させることにより形成される厚さ300μmの硬化樹脂層を試験片として、示差熱熱重量同時測定装置(例えばエスアイアイ・ナノテクノロジー社製、商品名「TG/DTA6300」)を用い、昇温速度10℃/min、窒素フロー(400ml/分)の条件で測定される。
硬化性樹脂層3、及びこれを構成する硬化性樹脂組成物は、イミド骨格を有するポリマーを含んでいてもよい。このポリマーは、低い誘電正接を発現できる点で、下記式で表される化合物に由来する構成単位を含むポリイミドであってもよい。
Figure 0007447459000001

式中、Rは飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を示し、Rは4価の有機基を示し、nは1~10の整数を表す。
イミド骨格を有するポリマーは、例えば、ジアミンとビスマレイミドとの反応、又はジアミンと酸無水物との反応によって、合成することができる。
イミド骨格を有するポリマーの原料として用いられるジアミンの例としては、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテメタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3’-ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’-ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’-ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルケトン、3,4’-ジアミノジフェニルケトン、4,4’-ジアミノジフェニルケトン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2’-(3,4’-ジアミノジフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-(3,4’-ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’-(1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’-(1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’-(1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2-ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、及び3,5-ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン、下記式(4)で表される脂肪族エーテルジアミン、下記式(11)で表される脂肪族ジアミン、及び、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するジアミンが挙げられる。
Figure 0007447459000002

式中、Q、Q及びQは各々独立に、炭素数1~10のアルキレン基を示し、bは2~80の整数を示す。
Figure 0007447459000003

式中、cは5~20の整数を示す。
式(4)で表される脂肪族エーテルジアミンの例としては、下記式:
Figure 0007447459000004

で表され、式中、nは1以上の整数を示す、化合物、及び、下記式(12)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007447459000005

式中、eは0~80の整数を示す。
式(11)で表される脂肪族ジアミンの例として、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、及び1,2-ジアミノシクロヘキサンが挙げられる。
イミド骨格を有するポリマーの原料として用いられるジアミンは、その吸湿性及び誘電率を抑制でき、シリコンとの密着性を向上できる観点から、シロキサン鎖を有するジアミン化合物を含んでいてもよい。シロキサン鎖を有するジアミン化合物は、例えば下記式(5)で表されるシロキサンジアミンであってもよい。
Figure 0007447459000006

式中、Q及びQは各々独立に、炭素数1~5のアルキレン基又は置換基を有してもよいフェニレン基を示し、Q、Q、Q及びQは各々独立に、炭素数1~5のアルキル基、フェニル基又はフェノキシ基を示し、dは1~5の整数を示す。
シロキサンジアミンの例としては、式(5)中のdが1である、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(4-アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3-テトラフェノキシ-1,3-ビス(4-アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3-テトラフェニル-1,3-ビス(2-アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3-テトラフェニル-1,3-ビス(3-アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(2-アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(3-アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(3-アミノブチル)ジシロキサン、及び1,3-ジメチル-1,3-ジメトキシ-1,3-ビス(4-アミノブチル)ジシロキサン;式(5)中のdが2である、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス(4-アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,5,5-テトラフェニル-3,3-ジメチル-1,5-ビス(3-アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5-テトラフェニル-3,3-ジメトキシ-1,5-ビス(4-アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5-テトラフェニル-3,3-ジメトキシ-1,5-ビス(5-アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,5,5-テトラメチル-3,3-ジメトキシ-1,5-ビス(2-アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5-テトラメチル-3,3-ジメトキシ-1,5-ビス(4-アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5-テトラメチル-3,3-ジメトキシ-1,5-ビス(5-アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス(3-アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5-ヘキサエチル-1,5-ビス(3-アミノプロピル)トリシロキサン、及び1,1,3,3,5,5-ヘキサプロピル-1,5-ビス(3-アミノプロピル)トリシロキサンが挙げられる。
シロキサンジアミンの市販品の例としては、両末端にアミノ基を有する「PAM-E」(アミノ基当量:130g/mol)、「KF-8010」(アミノ基当量:430g/mol)、「X-22-161A」(アミノ基当量:800g/mol)、「X-22-161B」(アミノ基当量:1500g/mol)、「KF-8012」(アミノ基当量:2200g/mol)、「KF-8008」(アミノ基当量:5700g/mol)、「X-22-9409」(アミノ基当量:700g/mol、側鎖フェニルタイプ)、「X-22-1660B-3」(アミノ基当量:2200g/mol、側鎖フェニルタイプ)(以上、信越化学工業株式会社製)、「BY-16-853U」(アミノ基当量:460g/mol)、「BY-16-853」(アミノ基当量:650g/mol)、及び「BY-16-853B」(アミノ基当量:2200g/mol)(以上、東レダウコーニング株式会社製)が挙げられる。
以上例示されたシロキサンジアミンは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。マレイミド基との反応性の観点から、「PAM-E」、「KF-8010」、「X-22-161A」、「X-22-161B」、「BY-16-853U」、及び「BY-16-853」から選ばれるいずれかを用いてもよい。誘電特性の観点から、「PAM-E」、「KF-8010」、「X-22-161A」、「BY-16-853U」、及び「BY-16-853」から選ばれるいずれかを用いてもよい。ワニスの相溶性の観点から、「KF-8010」、「X-22-161A」、及び「BY-16-853」から選ばれるいずれかを用いてもよい。
シロキサン鎖を含むポリイミドにおいて。シロキサン鎖の含有量は特に限定されない。反応性及び相溶性の観点から、ポリイミド中のシロキサンジアミンに由来する構成単位の割合は、ジアミンに由来する構成単位の全質量に対して例えば5~50質量%である。耐熱性の観点から、シロキサンジアミンに由来する構成単位の割合が、ジアミンに由来する構成単位の全質量に対して5~30質量%であってもよい。硬化樹脂層の吸湿率をより低減できる観点から、シロキサンジアミンに由来する構成単位の割合が、ジアミンに由来する構成単位の全質量に対して10~30質量%であってもよい。
以上例示したジアミンは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
イミド骨格を有するポリマーの原料として用いられるビスマレイミドの例としては、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、及び2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。これらのビスマレイミドは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。反応性が高く、より誘電特性を向上できる観点から、ビスマレイミドが、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、及び2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンから選ばれる少なくとも1種であってもよい。溶剤への溶解性の観点から、ビスマレイミドが、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、及び2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンから選ばれる少なくとも1種であってもよい。安価である観点から、ビスマレイミドがビス(4-マレイミドフェニル)メタンであってもよい。絶縁性の観点から、ビスマレイミドが2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、又はDesigner Molecules Inc.社の「BMI-3000」(商品名)であってもよい。誘電特性を向上できる観点から、ビスマレイミドが下記式で示されるビスマレイミドであってもよい。
Figure 0007447459000007
イミド骨格を有するポリマーのガラス転移温度は、温度サイクル時のクラックを抑制する観点から100℃以上であってもよく、配線への応力を緩和できる点で120℃以上であってもよい。イミド骨格を有するポリマーのガラス転移温度は、該ポリマーを成形して得られる厚さ300μm、長さ30mm、幅4mmの短冊状の試験片について、昇温しながら測定される粘弾性と温度との関係において、tanδが最大値を示す温度である。粘弾性測定は、例えばユービーエム社製動的粘弾性測定装置を用い、チャック間距離20mm、周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件で、40~260℃の温度範囲で行われる。
硬化性樹脂層3、及びこれを構成する硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であってもよい。特定の表面エネルギーを有する表面を有する液晶ポリマーフィルム1との組み合わせによる電気特性と絶縁性向上の観点から、熱硬化性樹脂は、ビスマレイミド樹脂、エポキシ樹脂又はこれらの両方を含んでもよい。ビスマレイミドは、上述のイミド骨格を有するポリマーを構成するビスマレイミドとして例示されたものと同様のものであってもよい。
エポキシ樹脂は、2個以上のエポキシ基を有する化合物を含んでもよい。硬化樹脂層の特性の観点から、エポキシ樹脂がフェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂であってもよく、その例としては、ビスフェノールA型(又はAD型、S型、F型)のグリシジルエーテル、水添加ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、エチレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、プロピレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ナフタレン樹脂のグリシジルエーテル、3官能型(又は4官能型)のグリシジルエーテル、及びジシクロペンタジエンフェノール樹脂のグリシジルエーテルが挙げられる。エポキシ樹脂のその他の例として、ダイマー酸のグリシジルエステル、3官能型(又は4官能型)のグリシジルアミン、及びナフタレン樹脂のグリシジルアミンが挙げられる。以上例示されたエポキシ樹脂は、1種を単独で、2種以上を組み合わせて用いられる。
硬化性樹脂層3が、硬化性成分として(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含んでもよい。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4-ビニルトルエン、4-ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、1,2-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、トリス(β-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、下記式(13)で表される化合物、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、及び尿素アクリレートが挙げられる。
Figure 0007447459000008

式中、R41及びR42は各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、f及びgは各々独立に、1以上の整数を示す。
硬化性樹脂層3、及びこれを構成する硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂等を硬化させるための硬化剤を更に含んでもよい。硬化剤の例としては、過酸化物、イミダゾール及びその誘導体、有機リン系化合物、第二アミン類、三級アミン類、及び第四級アンモニウム塩が挙げられる。反応性の観点から、硬化剤が、過酸化物、リン系、及びイミダゾール類から選ばれる少なくとも1種であってもよい。マレイミド基の自己重合性が良好な観点から、硬化剤が過酸化物を含んでもよい。硬化剤としての過酸化物の含有量は、硬化性樹脂層3、及びこれを構成する硬化性樹脂組成物の質量(ただし、フィラーの質量は除く。)を基準として、0.1質量%~10質量%であってもよく、誘電特性及び積層フィルムの取り扱い性の観点から、過酸化物の含有量は、0.5質量%~5質量%、又は9.75質量%~3質量%であってもよい。
硬化性樹脂層3、及びこれを構成する硬化性樹脂組成物は、密着助剤を含んでいてもよい。密着助剤が、シランカップリング剤、トリアゾール系化合物、及びテトラゾール系化合物から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。
シランカップリング剤は、金属との密着性を向上させるため、窒素原子を含む化合物を含んでもよい。窒素原子を含むシランカップリング剤の例としては、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルーブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、及び3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。シランカップリング剤による効果の大きさ、耐熱性及び製造コスト等の観点から、シランカップリング剤の量は、硬化性樹脂層3又は硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0.1質量部~20質量部であってもよい。
トリアゾール系化合物の例としては、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3'-tert-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6'-tert-ブチル-4'-メチル-2,2'-メチレンビスフェノール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、及び2,2’-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノールが挙げられる。
テトラゾール系化合物の例としては、1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、1-メチル-5-エチル-1H-テトラゾール、1-メチル-5-メルカプト-1H-テトラゾール、1-フェニル-5-メルカプト-1H-テトラゾール、1-(2-ジメチルアミノエチル)-5-メルカプト-1H-テトラゾール、2-メトキシ-5-(5-トリフルオロメチル-1H-テトラゾール-1-イル)-ベンズアルデヒド、4,5-ジ(5-テトラゾリル)-[1,2,3]トリアゾール、及び1-メチル-5-ベンゾイル-1H-テトラゾールが挙げられる。
添加による効果、耐熱性及び製造コストの観点から、トリアゾール系化合物又はテトラゾール系化合物の量は、硬化性樹脂層3又は硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0.1質量部~20質量部であってもよい。
硬化性樹脂層3、及びこれを構成する硬化性樹脂組成物は、イオン捕捉剤を更に含んでもよい。イオン捕捉剤によって硬化性樹脂組成物中のイオン性不純物を吸着することにより、硬化性樹脂層3の吸湿時の絶縁信頼性を向上できる。イオン捕捉剤の例としては、トリアジンチオール化合物、フェノール系還元剤、又は粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、ジルコニウム系、カルシウム系、チタン系、若しくはスズ系の無機化合物が挙げられる。
イオン捕捉剤の市販品の例としては、無機イオン捕捉剤(東亜合成株式会社製、商品名:IXE-300(アンチモン系)、IXE-500(ビスマス系)、IXE-600(アンチモン、ビスマス混合系)、IXE-700(マグネシウム、アルミニウム混合系)、IXE-800(ジルコニウム系)、及びIXE-1100(カルシウム系))が挙げられる。
以上例示されたイオン捕捉剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。添加による効果、耐熱性及び製造コスト等の観点から、イオン捕捉剤の量は、硬化性樹脂層3又は硬化性樹脂組成物100質量部に対して、100質量部に対して、0.01質量部~10質量部であることが好ましい。
硬化性樹脂層3、及びこれを構成する硬化性樹脂組成物は、低吸湿性及び低透湿性を付与する観点から、1種以上のフィラーを含んでもよい。フィラーは、無機材料からなる無機フィラーでもよく、有機材料からなる有機フィラーでもよい。無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等が挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、カーボン、ゴム系フィラー等が挙げられる。フィラーの形状は特に制限されない。
所望する機能に応じてフィラーを使い分けてもよい。例えば、無機フィラーは、硬化樹脂層に熱伝導性、低熱膨張性、低吸湿性等を付与する目的で添加される。有機フィラーは、例えば、硬化樹脂層に靭性等を付与する目的で添加される。フィラーは、無機フィラー又は有機フィラーの少なくともいずれかであってもよい。熱伝導性、低吸湿特性、絶縁性等を付与できる観点から、硬化性樹脂層3が無機フィラー又は絶縁性フィラーの少なくともいずれかを含んでもよい。無機フィラー及び絶縁性フィラーは、樹脂ワニスに対する分散性が良好である観点と、加熱時に高い接着力を付与できる観点とから、シリカフィラー又はアルミナフィラーのうち少なくともいずれかであってもよい。
フィラーの平均粒子径は、例えば10μm以下である。フィラーの最大粒子径は、例えば30μm以下である。フィラーの平均粒子径が5μm以下で、フィラーの最大粒子径が20μm以下であってもよい。フィラーの平均粒子径が10μm以下で、フィラーの最大粒子径が30μm以下であることにより、硬化樹脂層の破壊靭性がより向上し得る。硬化樹脂層の表面が粗くなることによる接着強度の低下も抑制できる。フィラーの平均粒子径の下限、及び最大粒子径の下限は特に制限はないが、通常、どちらも0.001μmである。
フィラーの最大粒子径が30μm以下で、フィラーの平均粒子径が10μmを超える場合、高い接着強度が得られ難くなる傾向にある。フィラーの平均粒子径が10μm以下でフィラーの最大粒子径が30μmを超えると、硬化樹脂層の接着強度にばらつきが大きくなる傾向がある。
フィラーの平均粒子径及び最大粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、20個程度のフィラーの粒径を測定する方法によって測定される。その場合、例えば、フィラーを含む硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物サンプルの中心部分を切断し、形成された断面をSEMで観察してもよい。断面における粒子径30μm以下のフィラーの存在確率が、全フィラーの80%以上であってもよい。
硬化性樹脂層3、及びこれを構成する硬化性樹脂組成物において、フィラーの含有量は、例えば、フィラーを含む硬化性樹脂層又は硬化性樹脂組成物の質量を基準として、1質量%~70質量%、2質量%~60質量%、又は5質量%~50質量%であってもよい。フィラーの含有量が多いと、硬化樹脂層の弾性率が高くなる傾向がある。これにより、ダイシング性(ダイサー刃による切断性)、ワイヤボンディング性(超音波効率)、及び加熱時の接着強度を有効に向上できる。フィラーの含有量が過剰であると、熱圧着性が低下する傾向がある。フィラーを含む硬化性樹脂組成物は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜組み合わせて調製することができる。
硬化性樹脂層3、及びこれを構成する硬化性樹脂組成物は、保存安定性、エレクトロマイグレーション防止、及び金属導体回路の腐食防止の観点から、酸化防止剤を含んでもよい。酸化防止剤の例としては、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ヒンダートアミン系、ベンゾトリアゾール系、及びフェノール系酸化防止剤が挙げられる。硬化性樹脂層3又は硬化性樹脂組成物における酸化防止剤の含有量は、添加による効果及び耐熱性、コスト等の観点から、硬化性樹脂層3又は硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0.01質量部~10質量部であってもよい。
硬化性樹脂層3、及びこれを構成する硬化性樹脂組成物は、線膨張係数を低減する観点から、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維、又はそれらの混合物を含んでもよい。
配線5は、回路を構成するパターンを有する。配線5の厚さは、例えば1~50μm、3~40μm、又は5~30μmであってもよい。
配線5は、電解銅めっきによって形成された電解銅めっき部を含んでいてもよい。配線5が、液晶ポリマーフィルム1に接して設けられた給電層と、給電層上に形成された電解銅めっき部とを有していてもよい。給電層は、無電解めっきによって形成された無電解めっき層であることができる。配線5が銅箔等の金属箔であってもよい。
図1及び図2に示される積層フィルム11,12は、例えば、液晶ポリマーフィルム1の片面又は両面をプラズマ又は紫外線照射によって表面処理することにより、40~80mJ/mの表面エネルギーを有する処理面(主面S)を形成することと、処理面上に硬化性樹脂層3を積層することとを含む方法により、製造することができる。
表面処理される液晶ポリマーフィルム1はロール状又は板状であってもよい。生産性の観点から、ロール状の液晶ポリマーフィルム1を表面処理してもよい。その場合、大気圧プラズマ又は紫外線照射によって液晶ポリマーフィルム1の片面又は両面を表面処理してもよい。
プラズマによる表面処理の場合、表面エネルギー上昇の観点から、酸素濃度10%以上の雰囲気下で、液晶ポリマーフィルム1の主面Sを表面処理してもよい。処理時間短縮の観点から、酸素濃度が20%以上であってもよい。液晶ポリマーフィルム1の表面における脆弱層形成に起因する密着性低下を抑制するために、プラズマにより表面処理が、酸素濃度が70%以下の雰囲気下で行われてもよい。液晶ポリマーフィルム1の表面のダメージを低減できる点で、アルゴンを含む雰囲気下で表面処理が行われてもよい。紫外線照射による表面処理の場合、表面エネルギー上昇の観点から、300nm以下の波長の紫外線を用いてもよい。紫外線照射のために、効率的な改質と生産性の観点から、低圧水銀灯を用いてもよい。
表面処理の後、硬化性樹脂層3が液晶ポリマーフィルム1の処理面(主面S)上に積層される。予め形成された硬化性樹脂層3を、硬化性樹脂層3及び液晶ポリマーフィルム1を220℃以下に加熱しながら、処理面上に積層してもよい。
図3に示される配線基板21は、例えば、上述の方法により液晶ポリマーフィルム1と硬化性樹脂層3とを有する積層フィルム11を形成することと、硬化性樹脂層3の液晶ポリマーフィルム1とは反対側の面上に配線5を形成することとを含む方法により、製造することができる。
配線5は、例えば、硬化性樹脂層3の液晶ポリマーフィルム1とは反対側の面上に無電解めっきによって給電層を形成することと、給電層の一部を覆うレジストパターンを形成することと、給電層のうちレジストパターンに覆われていない部分の表面上に電解銅めっきによって電解銅めっき部を形成することと、レジストパターンを剥離することと、電解銅めっき部によって覆われていない部分の給電層をエッチングによって除去して、給電層及び電解銅めっき部からなる配線5を形成することとを含む方法によって、形成することができる。
給電層を形成する前に、通常、無電解めっきのための触媒を液晶ポリマーフィルム1の表面に吸着させる。触媒は例えばパラジウムイオンである。パラジウムイオンの吸着の前に、液晶ポリマーフィルム1の表面を、前処理液で洗浄してもよい。前処理液は水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含む市販のアルカリ性前処理液であってもよい。水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの濃度は1~30質量%であってもよい。液晶ポリマーフィルム1を前処理液に浸漬してもよく、浸漬時間は1~60分であってもよい。浸漬の間の前処理液の温度は25~80℃であってもよい。前処理液による洗浄の後、余分な前処理液を除去するため、市水、純水、超純水又は有機溶剤で液晶ポリマーフィルム1を洗浄してもよい。
前処理液による洗浄の後、液晶ポリマーフィルム1の表面からアルカリイオンを除去するために、液晶ポリマーフィルム1が酸性水溶液に浸漬することによって洗浄される。酸性水溶液は濃度1~20質量%の硫酸水溶液であってもよい。浸漬時間は1~60分の間で実施される。酸性水溶液を除去するため、市水、純水、超純水又は有機溶剤で洗浄してもよい。
酸性水溶液による洗浄の後、液晶ポリマーフィルム1をパラジウムイオンを含む液に浸漬することにより、液晶ポリマーフィルム1の表面にパラジウムを付着させる。パラジウムを含む液は、市販のパラジウム-スズコロイド溶液、パラジウムイオンを含む水溶液、又はパラジウムイオン懸濁液であってもよい。パラジウムイオンを含む水溶液を用いることにより、特に効率的にパラジウムを液晶ポリマーフィルム1の表面に吸着させることができる。
液晶ポリマーフィルム1が浸漬される、パラジウムイオンを含む水溶液の温度は、25~80℃であってもよい。吸着のための浸漬時間は、1~60分であってもよい。浸漬後、余分なパラジウムイオンを除去するため、液晶ポリマーフィルム1を市水、純水、超純水又は有機溶剤で洗浄してもよい。
パラジウムイオンの吸着後、パラジウムイオンを触媒として作用させるための活性化の処理が行われる。そのために、市販の活性化剤(活性化処理液)に液晶ポリマーフィルム1を浸漬してもよい。活性化剤の温度は、25~80℃であってもよい。浸漬時間は1~60分であってもよい。パラジウムイオンの活性化後、余分な活性化剤を除去するため、液晶ポリマーフィルム1を市水、純水、超純水又は有機溶剤で洗浄してもよい。
続いて、パラジウムイオンが吸着された液晶ポリマーフィルム1の表面上に、無電解めっきにより給電層が形成される。給電層を形成するための無電解めっきは、例えば、無電解純銅めっき(純度99質量%以上)、又は無電解銅ニッケルリンめっき(ニッケル含有率:0.25~10質量%、リン含有量:1~13質量%)であってもよく、密着性の観点から、無電解銅ニッケルリンめっきであってもよい。無電解銅ニッケルリンめっき液は市販のめっき液でよく、例えば、無電解銅ニッケルリンめっき液(株式会社JCU製、商品名「AISL-570」)を用いることができる。無電解銅ニッケルリンめっきは、60~90℃の無電解銅ニッケルリンめっき液中で実施される。無電解めっきにより形成される給電層の厚さは、20~200nm、40~200nm、又は60~200nmであってもよい。無電解めっきの後、余分なめっき液を除去するため、市水、純水、超純水又は有機溶剤で液晶ポリマーフィルム1及び給電層を洗浄してもよい。
次に、給電層の一部を覆うレジストパターンが形成される。レジストパターンは、例えば、ネガ型フィルム状の感光性レジスト(例えば、日立化成株式会社製、Photec RY-5107UT)を用いて形成することができる。例えば、ロールラミネータを用いて感光性レジストを給電層上に成膜し、感光性レジストの膜にパターンを形成したフォトツールを密着させ、その状態で感光性レジストを露光する。次いで、炭酸ナトリウム水溶液等を用いたスプレー現像により、レジストパターンが形成される。ネガ型に代えてポジ型の感光性レジストを用いてもよい。
続いて、レジストパターンによって覆われていない部分の給電層上に、電解銅めっきによって銅めっき部が形成される。
電解銅めっきの後、レジストパターンを剥離する。レジストパターンは、市販のはく離液を用いて剥離することができる。その後、電解銅めっき部によって覆われていない部分の給電層を除去することにより、配線5が形成される。給電層の除去とともに、給電層の下に残存しているパラジウムを除去してもよい。給電層の除去は、市販の除去液(エッチング液)を使用して行うことができる。市販の除去液の例として、酸性のエッチング液(株式会社JCU製、BB-20、PJ-10、SAC-700W3C)が挙げられる。
あるいは、配線5を、硬化性樹脂層3の液晶ポリマーフィルム1とは反対側の面上に金属箔を積層することと、金属箔の一部を除去することにより配線5を形成することとを含む方法によって、形成してもよい。例えば、金属箔の一部を覆うレジストパターンを形成することと、レジストパターンによって覆われていない部分の金属箔をエッチングにより除去することと、レジストパターンを剥離することとを含む方法によって金属箔の一部を除去することにより、金属箔からなる配線5を形成することができる。
金属箔は、例えば、ラミネート、プレスなどの方法によって積層することができる。ロール状の金属箔を適用し易い点でラミネートを採用してもよい。配線の変形、及び応力の観点から、液晶ポリマーフィルム1及び金属箔を80~220℃に加熱しながら、金属箔を積層してもよい。
ピーラブル銅箔を用いて銅箔を液晶ポリマーフィルム1上に積層してもよい。ピーラブル銅箔は、例えば、2枚の銅箔とそれらの間に介在する剥離層とを有する。ピーラブル銅箔は剥離可能なキャリアを有していてもよい。金属箔の表面の表面粗さRzは、伝送損失を低減できる点で10μm以下、又は5μm以下であってもよい。表面粗さRzは、レーザー顕微鏡(例えばオリンパス株式会社製「LEXT OLS3000」)を用いて、100μm×100μmの範囲をスキャンすることによって測定される。ピーラブル銅箔の市販品の例としては、福田金属箔粉工業製FUTF-5DA-5、FUTF-5DA-3、FUTF-5DA-2、FUTF-5DA-1.5、三井金属製MT18Ex、MT18FL、JX日鉱日石金属製JXUT-I、JXUT-II、JXUT-IIIが挙げられる。
金属箔の積層後、硬化性樹脂層3を硬化させることにより、硬化樹脂層を形成してもよい。硬化性樹脂層3が熱硬化性樹脂組成物である場合、例えば、180~220℃で1~3時間の加熱により、硬化性樹脂層3を硬化させることができる。
図4に示される配線基板22は、例えば、液晶ポリマーフィルム1の片面をプラズマ又は紫外線照射によって表面処理することにより、40~80mJ/mの表面エネルギーを有する処理面(主面S)を形成することと、処理面上に配線5を形成することと、処理面上に硬化性樹脂層3を積層することにより、液晶ポリマーフィルム1、硬化性樹脂層3、及びこれらの間に配置された配線5を有する配線基板22を形成することとを含む方法によって、製造することができる。液晶ポリマーフィルム1の両面上に硬化性樹脂層3が形成される場合、通常、液晶ポリマーフィルム1の両面がプラズマ又は紫外線照射によって表面処理される。処理面上に積層された硬化性樹脂層3を硬化させて、硬化樹脂層を形成してもよい。
液晶ポリマーフィルム1の表面処理の方法の例は、上述の実施形態のとおりである。配線5は、例えば、処理面上に給電層を形成することと、給電層の一部を覆うレジストパターンを形成することと、給電層のうちレジストパターンに覆われていない部分の表面上に電解銅めっきによって電解銅めっき部を形成することと、レジストパターンを剥離することと、電解銅めっき部によって覆われていない部分の給電層をエッチングによって除去して、給電層及び電解銅めっき部からなる配線5を形成することとを含む方法によって形成される。あるいは、配線5を、処理面上に金属箔を積層することと、金属箔の一部を除去することにより配線5を形成することとを含む方法によって、形成してもよい。これらの方法を構成する各工程の詳細は、上述の実施形態と同様である。
図3又は図4の配線基板21,22に半導体素子を搭載することにより、半導体装置を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.液晶ポリマーフィルム
液晶ポリマーフィルムA:べクスターCTQ100(クラレ製、厚さ100μm)
液晶ポリマーフィルムB:ペリキュールLCP(千代田インテグレ製、厚さ50μm)
2.硬化性樹脂層
硬化性樹脂層A
長鎖アルキルビスマレイミド樹脂(アルキル鎖中に側鎖を有する長鎖アルキルビスマレイミド樹脂、BMI-3000(商品名)、Designer Molecules Inc.製)10gを含む濃度70質量%のトルエン溶液、ビスアリルナジイミド(商品名、BANI-X、丸善石油化学株式会社製)3g、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名、A-DCP、新中村化学株式会社製)2g、疎水性フュームドシリカ1gを含むシクロペンタノン分散液(商品名、R-972、日本アエロジル株式会社製)、シリカ粒子1gを含むシクロペンタノン分散液(商品名、SE-2050-SEJ、アドマテックス製、濃度50質量%)、ジクミルパーオキサイド0.2gを含む溶液(商品名、パークミルD、日油株式会社製)、及びシクロペンタノン2gを混合し、混合物を均一になるように30分間撹拌して、硬化性樹脂組成物Aを得た。得られた硬化性樹脂組成物Aを、離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:A-31、帝人フィルムソリューション株式会社製)上に卓上コータを用いて塗工した。塗膜を120℃で10分間乾燥して、硬化性樹脂層(厚さ20μm)を形成させた。
硬化性樹脂層B
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名、YDF-8170C、新日鉄住金化学株式会社製)3g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名、YDCN-700-10、新日鉄住金化学株式会社製)1g、フェノールノボラック樹脂(商品名、LF2882、DIC株式会社製)3g、エポキシ基を有するアクリル系共重合体(商品名、HTR-860P-3、ナガセケムテックス株式会社製)3g、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール(商品名、2P4MHZ、四国化成工業株式会社製)0.1g、及びシリカフィラー(商品名、SO-C2、アドマファイン株式会社製)1gの混合物に、シクロヘキサノンを10g加え、均一になるように混合物を30分間撹拌して、硬化性樹脂組成物Bを得た。得られた硬化性樹脂組成物Bを、離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:NR-1、厚み38μm)上に卓上コータを用いて塗工した。塗膜を120℃で10分間乾燥して、硬化性樹脂層(厚さ20μm)を形成させた。
硬化樹脂層の誘電正接
硬化性樹脂組成物A又はBから形成された硬化性樹脂層をそれぞれ200℃で2時間加熱することによって硬化させた。形成された硬化樹脂層(厚さ300μm)から、縦60mm、横2mmの試験片を切り出し、これを30℃で6時間真空乾燥した。乾燥後の試験片の誘電正接及び誘電率を、ベクトル型ネットワークアナライザE8364B(キーサイト・テクノロジー社製)、共振器CP531(株式会社関東電子応用開発製)、及びプログラムCPMA-V2を用いて、温度25℃で測定した。誘電正接は20GHzにおいて得られる共振周波数及び無負荷Q値から算出した。測定結果が表1に示される。
硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度
低粘度粘弾性測定装置MCR-301(株式会社アントンパール・ジャパン(AntonPaar社)製)を用いて最低溶融粘度を測定した。硬化性樹脂組成物A又はBから形成された硬化性樹脂層から、縦30mm×横30mm×厚さ300μmの測定サンプルを切り出した。この測定サンプルを直径4cm、深さ5mmのアルミニウム製円形プレート(EMS/CTD600、株式会社アントンパール・ジャパン製)の円形の底面中央に貼付し、円形プレートを装置のステージに固定した。測定セルMesskorperachse D-CP/PP7(株式会社アントンパール・ジャパン製)を装置に取り付け、セルの先端に円柱状の治具SPPYU08-07(株式会社アントンパール・ジャパン製)を装着した。治具の先端が円形プレートの底面から200μmの高さとなるように測定セルを下降し、治具の先端を測定サンプルに埋没させた。昇温10℃/min、周波数1Hzの測定条件で、80~220℃の範囲で溶融粘度を測定した。この温度範囲における溶融粘度の最低値を、最低溶融粘度として記録した。最低溶融粘度が示された温度も記録した。測定結果が表1に示される。
Figure 0007447459000009
(実施例1)
液晶ポリマーフィルムAの表面に対して、UVランプを有する表面処理装置(セン特殊光源社製,SSP-16)を用いて、UVランプから液晶ポリマーフィルムAの表面までの距離が40mm、強度6mW/cmの条件で、5分間、紫外線を照射した。液晶ポリマーフィルムの紫外線照射を受けた表面(処理面)の静止接触角を1μLの純水及び1μLのホルムアミドを用いて測定した。得られた静止接触角から、表面エネルギーをKaelble-Uy法により算出した。Kaelble-Uy法では接触角と表面エネルギーの関係は下記式で与えられる。
γ(1+cosθ)=2(γ ・γ )0.5+2(γ ・γ 0.5
ここで、γは液体(ここでは純水又はホルムアミド)の表面エネルギー、γは液晶ポリマーフィルムの表面エネルギー、θは接触角であり、dは分散力成分、pは水素結合成分を表す。液晶ポリマーフィルムAの処理面の表面エネルギー(γS+γS)は51mJ/mであった。
液晶ポリマーフィルムAの処理面の表面粗さRaを、接触式段差計(ブルカー製、DXT-S(DekTak XT-S))を用い、測定長5mm、測定荷重10.2mg、測定速度100μm/sの条件で測定した。表面粗さRaは60nmであった。
液晶ポリマーフィルムAの処理面に、硬化性樹脂組成物AからPETフィルム上に形成された硬化性樹脂層を、ラミネート装置(ラミーコーポレーション)を用いて100℃で積層し、硬化性樹脂層からPETフィルムを剥離した。次いで、硬化性樹脂層が間に挟まれるように、紫外線照射を受けたもう1枚の液晶ポリマーフィルムAを、その処理面が硬化性樹脂層に接する向きで、ラミネート装置を用いて100℃で積層した。液晶ポリマーフィルムA/硬化性樹脂層/液晶ポリマーフィルムAの3層から構成される積層フィルムを、オーブンを用いて200℃で2時間加熱して、硬化性樹脂層から形成された硬化樹脂層を有する複合基板を得た。
得られた複合基板における液晶ポリマーフィルムAと硬化樹脂層との間のピール強度を、卓上ピール試験機(島津製作所製、EZ-S)を用いて測定した。室温環境下、試験幅15mm、試験角度90°、ピール速度10mm/min、試験数3の条件で測定した。ピール強度(3サンプルの平均値)は0.8kN/mであった。
(実施例2)
液晶ポリマーフィルムAの表面に対する紫外線照射時間を30分間に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で複合基板を作製し、液晶ポリマーフィルムAの処理面の表面エネルギー及び表面粗さRaと、複合基板のピール強度を測定した。
(実施例3)
液晶ポリマーフィルムAの表面を、表面処理装置(Nordson March PX-250)を用いて、Arを100sccm、Oを100sccm、出力300W、真空度150mTorrの条件で、5分間のプラズマで表面処理した。プラズマで表面処理された表面(処理面)を有する液晶ポリマーフィルムAを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で複合基板を作製し、液晶ポリマーフィルムAの処理面の表面エネルギー及び表面粗さRaと、複合基板のピール強度を測定した。
(実施例4)
硬化性樹脂組成物Bから形成された硬化性樹脂層を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で複合基板を作製し、液晶ポリマーフィルムAの処理面の表面エネルギー及び表面粗さRaと、複合基板のピール強度を測定した。
(実施例5)
液晶ポリマーフィルムAに代えて液晶ポリマーフィルムBを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で複合基板を作製し、液晶ポリマーフィルムAの処理面の表面エネルギー及び表面粗さRaと、複合基板のピール強度を測定した。
(比較例1)
表面処理を受けていない液晶ポリマーフィルムAを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で複合基板を作製し、液晶ポリマーフィルムAの表面エネルギー及び表面粗さRaと、複合基板のピール強度を測定した。
Figure 0007447459000010
表2に示される通り、各実施例の積層フィルムから形成される複合基板において、液晶ポリマーフィルムと硬化樹脂層とが十分に高い密着性で接着することが確認された。したがって、各積層フィルムを配線基板を形成するために好適に用いることができるといえる。
1…液晶ポリマーフィルム、3…硬化性樹脂層、5…配線、11,12…積層フィルム、21,22…配線基板。

Claims (10)

  1. 液晶ポリマーフィルムと、
    前記液晶ポリマーフィルムの片面上又は両面上に設けられた硬化性樹脂層と、
    を備え、
    前記液晶ポリマーフィルムの前記硬化性樹脂層と接する面の表面エネルギーが40~80mJ/mであ
    前記硬化性樹脂層の80~220℃における最低溶融粘度が30000Pa・s以下である、積層フィルム。
  2. 液晶ポリマーフィルムと、
    前記液晶ポリマーフィルムの片面上又は両面上に設けられた硬化性樹脂層と、
    を備え、
    前記硬化性樹脂層を200℃で2時間の加熱により硬化させることにより形成される硬化樹脂層の20GHzにおける25℃での誘電正接が、0.01以下である、積層フィルム。
  3. 前記液晶ポリマーフィルムの前記硬化性樹脂層と接する面の表面粗さRaが20~300nmである、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 液晶ポリマーフィルムの片面又は両面をプラズマ又は紫外線照射によって表面処理することにより、40~80mJ/mの表面エネルギーを有する処理面を形成することと、
    前記処理面上に硬化性樹脂層を積層することと、
    を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の積層フィルムを製造する方法。
  5. 液晶ポリマーフィルムと、
    前記液晶ポリマーフィルムの片面上又は両面上に設けられた硬化性樹脂層と、
    を備え、
    前記液晶ポリマーフィルムの前記硬化性樹脂層と接する面の表面エネルギーが40~80mJ/m である、積層フィルムを製造する方法であって、
    当該方法が、
    液晶ポリマーフィルムの片面又は両面をプラズマ又は紫外線照射によって表面処理することにより、40~80mJ/m の表面エネルギーを有する処理面を形成することと、
    前記処理面上に硬化性樹脂層を積層することと、
    を含み、
    前記硬化性樹脂層が、前記液晶ポリマーフィルム及び前記硬化性樹脂層を220℃以下に加熱しながら前記処理面上に積層される、方法。
  6. 請求項1~のいずれか一項に記載の積層フィルムが有する前記硬化性樹脂層の前記液晶ポリマーフィルムとは反対側の面上に配線を形成することを含む、配線基板を製造する方法。
  7. 液晶ポリマーフィルムの片面又は両面をプラズマ又は紫外線照射によって表面処理することにより、40~80mJ/mの表面エネルギーを有する処理面を形成することと、
    前記処理面上に配線を形成することと、
    前記処理面上に硬化性樹脂層を積層することにより、前記液晶ポリマーフィルム、前記硬化性樹脂層、及びこれらの間に配置された前記配線を有する配線基板を形成することと、
    を含む、配線基板を製造する方法。
  8. 前記硬化性樹脂層が、前記液晶ポリマーフィルム及び前記硬化性樹脂層を220℃以下に加熱しながら前記処理面上に積層される、請求項に記載の方法。
  9. 前記硬化性樹脂層を硬化させることを更に含む、請求項~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 請求項6~のいずれか一項に記載の方法によって得られた配線基板に半導体素子を搭載することを含む、半導体装置を製造する方法。
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