JP7447179B2 - ガスバリア性積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリア性積層体に関する。
液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のディスプレイデバイスを含む、光学用途が要求される種々の電子デバイスなどに用いられるプラスチック基材等の被着体に対して、粘着剤層とガスバリア層とを有するガスバリア性積層体を貼付することが提案されている。
例えば、特許文献1には、粘着剤層/ガスバリア層/保護層をこの順で有しガスバリア性粘着シートを用いて、被着体に、上記粘着剤層を介して積層することが提案されている。
一方、シリコンウエハ上に半導体プロセス等を用いて光学センサー等を形成したセンサーデバイス等を製造する場合においても、高い封止性が求められる場合がある。このようなセンサーデバイスの製造に当たっては、最終段階でダイシングプロセスを経ることにより、個片化が行われる。通常、各センサーはモールド剤で封止されるが、例えば、光センサー等の封止剤に透明性を必要とするようなタイプのセンサーや、センシング領域が水分に対して敏感なセンサーの場合、上記モールド剤による封止では、十分な封止性が得られないことがあった。このため、従来提案されている封止方法とは異なる方法で封止性を高めることが望まれていた。
なお、特許文献1に記載されるガスバリア性粘着シートは、厚さの増加を避けつつ、耐折り曲げ性を向上させること等を目的とするものであり、粘着剤層の、23℃における貯蔵弾性率を10MPa以下という低い値に設定している。特許文献1には、上述したダイシングプロセスを含むような用途に用いられることについて考慮はなされていない。
特許第6626998号
本発明は、上記を鑑み、被着体に積層され前記被着体とともに個片化される際に、ガスバリア層の破断の発生が抑制された個片化物が得られるガスバリア性積層体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、基材、ガスバリア層、粘接着剤層をこの順に備えるガスバリア性積層体であって、上記粘接着剤層の貯蔵弾性率を所定の大きさとすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[]を提供するものである。
[1]基材、ガスバリア層、粘接着剤層をこの順に備えるガスバリア性積層体であって、
前記粘接着剤層の、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1が1.0GPa以上である、ガスバリア性積層体。
[2]前記粘接着剤層の23℃における貯蔵弾性率E0が0.01~10MPaである、上記[1]に記載のガスバリア性積層体。
[3]前記粘接着剤層の厚さが1μm以上である、上記[1]又は[2]に記載のガスバリア性積層体。
[4]前記ガスバリア層の、40℃、相対湿度90%雰囲気下での水蒸気透過率が、1.0×10 -2 /m/day以下である、上記[1]又は[2]に記載のガスバリア性積層体。
[5]前記ガスバリア層は、イオン注入による改質層、及び、化学気相成長層のうち少なくとも一方を含む、上記[1]又は[2]に記載のガスバリア性積層体。
[6]前記ガスバリア性積層体は、380~780nmの範囲の少なくともいずれかの波長において、光線透過率が85%以上である、上記[1]又は[2]に記載のガスバリア性積層体。
[7]上記[1]又は[2]に記載のガスバリア性積層体の前記粘接着剤層を、被加工体の表面に貼付して、前記被加工体の表面を封止する工程と、
前記ガスバリア性積層体によって表面が封止された前記被加工体を切断して、個片化された封止体を得る工程と、を有する、封止体の製造方法。
本発明によれば、被着体に積層され前記被着体とともに個片化される際に、ガスバリア層の破断の発生が抑制された個片化物が得られるガスバリア性積層体を提供することができる。
本発明のガスバリア性積層体の一例を示す断面図である。 電気配線付きウエハの一例を示す模式図である。 ガスバリア性積層体付きウエハの一例を示す模式図である。 電極出し後のガスバリア性積層体付きウエハの一例を示す模式図である。 電極出し後のガスバリア性積層体付きウエハの部分拡大図である。 個片化チップの模式図である。 問題点の説明図である。
本明細書において、好ましいとする規定は任意に選択でき、好ましいとする規定同士の組み合わせはより好ましいといえる。
本明細書において、「XX~YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
本明細書において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
なお、理解を容易にするために各所で図を用いて説明するが、本発明は図に示されるものに限られない。
[ガスバリア性積層体]
本発明の実施形態に係るガスバリア性積層体は、基材、ガスバリア層、粘接着剤層をこの順に備えるガスバリア性積層体であって、上記粘接着剤層の、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1が1.0GPa以上である。
粘接着剤層の、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1が1.0GPa以上であることにより、ガスバリア性積層体全体の剛性が高まる。このため、上記ガスバリア性積層体を被加工体に貼付し、粘接着剤層を硬化させた後、ガスバリア性積層体とともに被加工体を切断して個片化する際に、切断端部における変形が抑制され、ガスバリア層が破断することを回避しつつ被加工体の個片化が可能になるものと推測される。
なお、本明細書において、貯蔵弾性率E1の規定に含まれる「硬化後」とは、硬化処理を行うことにより、さらに硬化処理を行ってもゲル分率の上昇量が10ポイント以下となった状態をいう。なお、硬化処理としては、例えば、粘接着剤層を150℃、1時間の熱硬化を行う場合が挙げられる。
図1は、本発明のガスバリア性積層体の一例を示す断面模式図である。
図1(a)に示すガスバリア性積層体100は、基材10と、ガスバリア層20と、粘接着剤層30とがこの順に配置されたものである。
ガスバリア性積層体100は、図1(b)に示すように、粘接着剤層30を被着体150に貼付することにより、被着体150にガスバリア性を付与することができる。
基材10は、ガスバリア性積層体100の被着体150への貼付前及び貼付後において、外部の部材の接触等からガスバリア層20を保護する機能を果たす。
そして、粘接着剤層30は、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1が1.0GPa以上である。このため、ガスバリア性積層体を被着体に積層し、この被着体とともに個片化する際に、ガスバリア層の破断の発生が抑制された個片化物を得ることができる。
なお、粘接着剤層30の裏面(ガスバリア層20とは反対側の面)に剥離シートや保護フィルムを設けてもよいし、基材10の表面(ガスバリア層20とは反対側の面)に剥離シートや保護フィルムを設けてもよい。これらは、ガスバリア性積層体の保管・搬送時等に、粘接着剤層や基材を保護する役割を果たし、被着体にガスバリア性積層体が貼付される前に剥離除去される。
上記粘接着剤層の、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1は、測定に必要な厚さになるまで同じ材質の粘接着剤層を複数積層し、硬化処理を行った後、貯蔵弾性率測定装置を用いて、周波数11Hz、振幅5μm、昇温速度3℃/分の条件で測定を行ったときの23℃の値として得られる。具体的には、実施例に記載の方法によって測定される。
貯蔵弾性率E1は、個片化物の端部変形をより抑制しやすくする観点から、好ましくは1.1GPa以上、より好ましくは2.0GPa以上、更に好ましくは3.0GPa以上、より更に好ましくは4.0GPa以上、特に好ましくは5.0GPa以上である。上限に特に制限はないが、製造容易性の観点から、例えば10.0GPa以下である。
粘接着剤層の貯蔵弾性率E1を1.0GPa以上とするためには、例えば後述するような硬化性樹脂材料を含む粘接着性材料を用いて粘接着剤層を構成する等の方法を用いることができる。
上記ガスバリア性積層体は、380~780nmの範囲の少なくともいずれかの波長において、光線透過率が85%以上であることが好ましい。光線透過率が上記範囲であることにより、ガスバリア性積層体は高い光透過性を有するため、センサー等のデバイスに適用された場合、センサーの光学性能を低下させにくくなる。
なお、上記光線透過率は、JIS K 7361-1:1997に従って測定される。
ガスバリア性積層体の厚さは、被着体である個片化前の電子デバイス等の種類や用途によって適宜決定することができる。ガスバリア性積層体の厚さは、取り扱い性の観点から、好ましくは5~300μm、より好ましくは20~200μm、さらに好ましくは50~100μmである。
<ガスバリア性積層体の用途>
上記ガスバリア性積層体は、以下説明するように、被着体に貼付された後、この被着体とともに個片化されることにより、個片化物を封止するための封止層として機能する。以下、図面を用いて、上記ガスバリア性積層体の用途について具体的に説明する。
図2は、被着体の一例を示す模式図であり、具体的には、被着体としての電気配線付きウエハの一例を示す模式図である。
図2(a)は、電気配線が形成された表面の平面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIB-IIB線に沿う断面図である。
図2に示す電気配線付きウエハ201は、半導体ウエハ200上に、半導体プロセスや印刷、めっき、蒸着等の方法により、配線41や電極42等の電気配線40を含むセンサー等の機能素子が形成されたものである。以下、センサー等の機能素子も含めて電気配線40と称する。
電気配線付きウエハ201は、ガスバリア性積層体が貼付される被着体であり、また、後述するダイシング工程が施される被加工体でもある。
図3は、ガスバリア性積層体付きの被着体としての、ガスバリア性積層体付きウエハの一例を示す模式図である。
図3に示す、ガスバリア性積層体付きウエハ202は、図2に示す電気配線付きウエハ201の電気配線形成面上に、粘接着剤層30、ガスバリア層20、基材10をこの順で有するガスバリア性積層体100が、粘接着剤層30と電気配線形成面とが向き合うように積層された複合体である。
図3(a)は、ガスバリア性積層体100が積層された表面の平面図であり、電気配線40を破線で示している。図3(b)は、図3(a)のIIIB-IIIB線に沿う断面図である。
ガスバリア性積層体を被着体上に配するに当たっては、ラミネーター等を用いて順次ガスバリア性積層体を被着体に向けて押圧しながら貼付することができる。
そして、ガスバリア性積層体が被着体に貼付された後に、硬化処理を行うことにより、粘接着剤層30を硬化させて硬化後の粘接着剤層となる(図4以降の各図においては、硬化後の粘接着剤層を符号30aで表す)。これにより、硬化後の粘接着剤層30aの、23℃における貯蔵弾性率E1を1.0GPa以上とすることができる。
上記硬化処理は、粘接着剤層を構成する硬化性樹脂材料として、熱硬化性樹脂成分を含むものを用いている場合、所定時間加熱して、粘接着剤層を硬化することにより行うことができる。
図4は、ガスバリア性積層体を貼付し、粘接着剤層の硬化処理を行った後、電極出しを行った後のウエハ(以下、「電極出し後のガスバリア性積層体付きウエハ」という)の一例を示す模式図である。
図4に示す、電極出し後のガスバリア性積層体付きウエハ203は、図3に示すガスバリア性積層体付きウエハ202から、ガスバリア性積層体100の一部が剥離除去され、電極42のうち取り出し電極となる部分を露出させたものである。
図4(a)は、電極出し後のガスバリア性積層体付きウエハ203の平面図であり、電気配線40を破線で示している。図4(b)は、図4(a)のIVB-IVB線に沿う断面図である。
図4(a)、(b)に示すように、電極42に対応する箇所において、ガスバリア性積層体100に由来する、硬化後の粘接着剤層30a、ガスバリア層20、及び基材10の各層が除去され、線状の切り欠きNが形成されている。これにより、電極42とウエハ200の一部が切り欠きNを介して外部に露出(電極出し)している。
ガスバリア性積層体100の部分的な除去は、例えば、レーザー加工により行ったり、カッターを用いてにより機械的に部分剥離することにより行ったりすることができる。なお、ガスバリア性積層体100を被着体である電気配線付きウエハ201の必要な部位のみに配することにより、切り欠きNが形成されるようにしてもよい。また、切り欠きNを形成した後に、粘接着剤層30の硬化処理を行うようにしてもよい。
図5は、電極出し後のガスバリア性積層体付きウエハの部分拡大図である。
より具体的には、図5(a)は、図4(a)の太線で囲んだ部位の拡大図であり、図5(b)は、それに対応する(つまり、図5(a)のVB-VB線に沿う)断面図である。
図5に一点鎖線で示すダイシングラインに沿って、それぞれがセンサー部を含むように、電極出し後の積層体付きウエハ203を切断することにより(すなわち、ガスバリア性積層体100に由来する各層とともに電気配線付きウエハ201を切断することにより)、個片化物としての個片化チップを得る。
なお、図5(a)においては、ガスバリア性積層体100に由来する、硬化後の粘接着剤層30a、ガスバリア層20、基材10に相当する領域を透視した状態で示してある。
図6は、ダイシング工程を経て得られる個片化チップの模式図である。
図6(a)は、図5(a)の太線で囲んだ部位に相当する個片化チップ300の平面図であり、図6(b)はそれに対応する(つまり、図6(a)のVIB-VIB線に沿う)断面図である。
なお、図6(a)においては、ガスバリア性積層体100に由来する基材10、ガスバリア層20、硬化後の粘接着剤層30aに相当する領域を破線で示している。
図6(a)、(b)に示すように、個片化チップ300は少なくともその電気配線形成面が、ガスバリア積層体100に由来する層によって封止されている。
個片化チップ300には、電極42上に外部配線への電気接続等に用いるための端子70が形成される。また、配線41、電極42、ガスバリア層20が露出している側面に側面封止層60a~60dが形成される。
図6(c)は、側面封止層60a~60dが形成された後の個片化チップ301の平面図であり、図6(a)に対応する平面図である。また、図6(d)は、封止層60a~60dが形成された後の個片化チップ301の断面図であり、図6(b)に対応する(つまり、図6(c)のVID-VID線に沿う)断面図である。
側面封止層60a~60dは、主として、ダイシングによって形成された断面のうち、ダイシングによって露出した配線41及び電極42の側面(断面)を覆うように封止し、水分等の侵入を抑制する。
側面封止層は、例えば、真空蒸着やめっき等の手法により、金属や金属酸化物の材料によって形成することができる。
図7は、ダイシング工程における問題点の説明図である。
図7(a)は、ダイサー80によって積層体付きウエハ203をダイシングラインに沿って切断する様子を示す図である。
図7(b)は、ダイシングによって得られた、正常な構造を持つ個片化チップを示す断面図である。
図7(c)は、ダイシングによって得られた、正常ではない構造を持つ個片化チップを示す断面図である。
本発明者らの検討によれば、図5で説明したように、ダイシングラインに沿って、電極出し後の積層体付きウエハ203を切断すると、ガスバリア性が低下してしまうという問題があることが判った。
これは、ダイシングの際の負荷によって、ガスバリア層にストレスが加わる結果、図7(c)に示すように、切断部付近でガスバリア層が破壊されたり、ガスバリア層にクラックが生じたりすることで、ガスバリア層に破断Dが発生することによるものと考えられる。
本実施形態に係るガスバリア性積層体は、粘接着剤層の、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1が1.0GPa以上であることにより、ガスバリア性積層体全体の剛性が高まる。これにより、個片化時における応力に対する変形を抑制することができ、図7(b)に示すように、ガスバリア層に断裂が生じていない個片化チップを得ることができる。結果として、正常な封止性能を発現し得る個片化物を得ることが可能となる。
一方、貯蔵弾性率E1が1.0GPa未満であると、ダイシング時に加えられる応力によって切断端部に生じる変形の度合いが大きくなり、図7(c)に符号Dで示すように、ガスバリア層が変形に耐えられずに破断するものと考えられる。このため、上述した側面封止層を設けたとしても、基材10及び破断部Dを介して水分等が侵入し、センサーの劣化を生じさせると推測される。
<粘接着剤層>
(1)物性
本実施形態に係るガスバリア性積層体において、粘接着剤層は硬化性を有する。ここで、硬化性を有するとは、粘接着剤層が加熱等によって硬化し得ることをいう。すなわち、粘接着剤層は、ガスバリア性積層体を構成している状態では未硬化である。粘接着剤層は、熱硬化性であってもよく、または、エネルギー線硬化性であってもよい。しかしながら、ガスバリア性積層体を個片化された封止体の製造方法に用いる場合に硬化を良好に行うことができるという観点から、粘接着剤層は、熱硬化性であることが好ましい。具体的には、ガスバリア性積層体を個片化された封止体の製造方法に用いる際、後述するように、粘接着剤層は、半導体ウエハ等の被着体に貼付された状態で個片化されて個片化された封止体となる。一般的に、半導体ウエハはエネルギー線に対する透過性を有しないか、当該透過性が非常に低い場合が多く、そのような場合であっても、粘接着剤層が熱硬化性を有するものであれば、粘接着剤層を速やかに硬化させることが可能となる。
(1-1)貯蔵弾性率
上記ガスバリア積層体において、粘接着剤層の、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1は、上述した通りである。
上記粘接着剤層の23℃における貯蔵弾性率E0は、配線・電極の形状に追従させ隙間なく被覆する観点、及び適切な層形状を維持する観点から、好ましくは0.01~10MPa、より好ましくは0.1~5Ma、更に好ましくは0.3~1MPaである。
粘接着剤層の貯蔵弾性率E0は、硬化処理を行わない以外は貯蔵弾性率E1と同様の手順で測定され、具体的には実施例に記載の方法によって測定される。
(1-2)接着剤層の厚さ等
上記粘接着剤層の厚さは、電気配線への埋め込み性の観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上である。上限に特に制限はないが、ダイシング時のガスバリア層の沈み込みを防止し、端部変形率を低く抑える観点から、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましく、30μm以下であることが特に好ましく、15μm以下であることが最も好ましい。換言すれば、粘接着剤層の厚さは、好ましくは1~200μmである。
なお、粘接着剤層の厚さは、50mm間隔で合計100点を測定した際の算術平均値とする。
基材の厚さ(T1)に対する粘接着剤層の厚さ(T2)の比(T2/T1)は、0.01以上であることが好ましく、特に0.05以上であることが好ましく、さらには0.08以上であることが好ましい。また、当該比(T2/T1)は、1.5以下であることが好ましく、特に1.0以下であることが好ましく、さらには0.9以下であることが好ましい。換言すれば、T2/T1は、好ましくは0.01~1.5である。
当該比(T2/T1)が上記範囲であることで、基材と粘接着剤層との厚さのバランスが良好なものとなり、半導体ウエハ等の被着体にガスバリア性積層体を貼付する際のハンドリング性が優れるとともに、当該貼付の際の貼付適性を調整することが容易となる。その結果、当該貼付を良好に行うことができ、最終的に優れた品質を有す個片化された封止体を得ることが可能となる。特に、当該比(T2/T1)が0.01以上であることで、ガスバリア性積層体における基材の相対的な厚みが比較的小さいものとなり、ガスバリア性積層体の相対的な剛性が比較的低く抑えられる。その結果、ガスバリア性積層体を半導体ウエハ等の被着体に貼付する時に、被着体上に形成された電気配線を、粘接着剤層に良好に埋め込み易くなる。一方、当該比(T2/T1)が1.5以下であることで、ガスバリア性積層体における基材の相対的な厚みが比較的大きいものとなり、ガスバリア性積層体の相対的な剛性が比較的高く維持される。その結果、ガスバリア性積層体のハンドリング性が優れたものとなり、半導体ウエハ等の被着体にガスバリア性積層体を貼付し易くなる。なお、基材の厚さ(T1)は、50mm間隔で合計100点を測定した際の算術平均値とする。
(2)材料
上記粘接着剤層は、好ましくは硬化性樹脂材料によって構成され、より好ましくは硬化性樹脂材料の塗膜の乾燥物である。
上記硬化性樹脂材料は、熱硬化性樹脂成分と、硬化剤及び硬化触媒のうち少なくとも一方と、他の樹脂成分と、フィラーとを含むことが好ましい。以下、硬化性樹脂材料に含まれ得る各成分について説明する。
(2-1)熱硬化性樹脂成分
上記粘接着剤層を構成する材料に含まれ得る熱硬化性樹脂成分としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などが挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、接着性等の観点から、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂が好ましく、エポキシ樹脂が特に好ましい。
エポキシ樹脂は、加熱を受けると三次元網状化し、強固な硬化物を形成する性質を有する。このようなエポキシ樹脂としては、従来より公知の種々のエポキシ樹脂が用いられるが、具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシノール、フェニルノボラック、クレゾールノボラック等のフェノール類のグリシジルエーテル;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテル;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸のグリシジルエーテル;アニリンイソシアヌレート等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したグリシジル型もしくはアルキルグリシジル型のエポキシ樹脂;ビニルシクロヘキサンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-ジシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等のように、分子内の炭素-炭素二重結合を例えば酸化することによりエポキシが導入された、いわゆる脂環型エポキシドを挙げることができる。その他、ビフェニル骨格、ジシクロヘキサジエン骨格、ナフタレン骨格等を有するエポキシ樹脂を用いることもできる。また、トリスヒドロキ シフェニルメタン型エポキシ樹脂および対応する芳香環がアルキル化されたエポキシ樹脂などの誘導体のような1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であってもよい。
使用可能な市販品としては、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型固形エポキシ樹脂であるジャパンエポキシレジン社製「E1032H60」、Bis-F型液状エポキシ樹脂であるジャパンエポキシレジン株式会社製「YL-983U」、長鎖Bis-F変性型エポキシ樹脂であるジャパンエポキシレジン株式会社製「YL-7175」等が挙げられる。
これらエポキシ樹脂は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘接着剤層を構成する材料における上記熱硬化性樹脂成分の含有量は、粘接着剤層を構成する材料の合計量を基準として、下限値が5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。また、上記熱硬化性樹脂成分の含有量は、上限値が75質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることがさらに好ましい。上記熱硬化性樹脂成分の含有量が、上記範囲であることで、硬化前後の23℃における貯蔵弾性率を前述の範囲内とし易くなる。
(2-2)硬化剤・硬化触媒
粘接着剤層を構成する材料が前述した熱硬化性樹脂成分を含有する場合、当該材料はさらに硬化剤および硬化触媒のうち少なくとも一方を含有することが好ましい。
硬化剤としては、特に限定されないが、フェノール類、アミン類、チオール類等が挙げられ、前述した熱硬化成分の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、熱硬化性樹脂成分としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂との反応性等の観点から、フェノール類が好ましい。
フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールA、ビフェノール、ビスフェノールF、ジアリルビスフェノールF、トリフェニルメタン型フェノール、テトラキスフェノール、ノボラック型フェノール、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、硬化触媒としては、特に限定されないが、イミダゾール系、リン系、アミン系等が挙げられ、前述した熱硬化成分等の種類に応じて適宜選択することができる。
例えば、硬化性樹脂成分としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂との反応性、保存安定性、硬化物の物性、硬化速度等の観点から、硬化触媒として、イミダゾール系硬化触媒を使用することが好ましい。イミダゾール系硬化触媒としては、公知ものが使用できるが、優れた硬化性や保存安定性等の観点から、トリアジン骨格を有するイミダゾール触媒が好ましい。これらは単独で用いてもよく、または2種以上を併用して用いてもよい。また、これらはマイクロカプセル化した潜在性硬化触媒として用いてもよい。イミダゾール系硬化触媒の融点は、優れた硬化性や保存安定性等の観点から、200℃以上であることが好ましく、特に250℃以上であることが好ましい。
上記粘接着剤層を構成する材料における硬化触媒の含有量は、粘接着剤層を構成する材料の合計量を基準として、下限値が0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましく、0.4質量%以上であることが特に好ましい。また、上記硬化触媒の含有量は、上限値が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。粘接着剤層を構成する材料において、硬化触媒の含有量が上記下限値以上であると、熱硬化性樹脂成分を十分に硬化させることができる。一方、硬化触媒の含有量が上記上限値以下であると、粘接着剤層の保存安定性が良好となる。
(2-3)他の樹脂成分
上記粘接着剤層を構成する材料は、前述した熱硬化性樹脂成分以外の樹脂成分を他の樹脂成分として含有することが好ましい。当該他の樹脂成分を含有することで、粘接着剤層の電気配線への埋め込み性を確保しやすく、また、硬化後の粘接着剤層の熱膨張が大きくなり過ぎることを抑制しやすくなる。
他の樹脂成分としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂をはじめとするポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-アクリル酸共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロン等が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前述した他の樹脂成分の中でも、ポリビニルアセタール樹脂、およびポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂からなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。
ここで、ポリビニルアセタール樹脂は、ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られるポリビニルアルコールを、アルデヒドによりアセタール化して得られるものである。アセタール化に用いられるアルデヒドとしては、n-ブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、n-バレルアルデヒド等が挙げられる。ポリビニルアセタール樹脂としては、n-ブチルアルデヒドを用いてアセタール化したポリビニルブチラール樹脂を用いることも好ましい。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンオキサレート樹脂等のジカルボン酸成分およびジオール成分を重縮合して得られるポリエステル樹脂;これらにポリイソシアネート化合物を反応させて得るウレタン変性ポリエステル樹脂等の変性ポリエステル樹脂;アクリル樹脂および/またはビニル樹脂をグラフト化したポリエステル樹脂などが挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
フェノキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプ、ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合タイプ、ビフェノールタイプ、ビフェニルタイプ等が例示される。
上記他の樹脂成分は、ガラス転移温度の下限値が50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがさらに好ましく、70℃以上であることが特に好ましい。また、上記他の樹脂成分は、ガラス転移温度の上限値が250℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがさらに好ましく、100℃以下であることが特に好ましい。ガラス転移温度が上記下限値以上である他の樹脂成分を含有させることにより、硬化後の粘接着剤層の熱膨張が大きくなり過ぎることを抑制しやすくなる。また、ガラス転移温度が上記上限値以下であると、他の材料との相溶性に優れたものとなる。なお、他の樹脂成分のガラス転移温度は、、動的粘弾性測定機器(ティー・エイ・インスツルメント社製、DMAQ800)を用い、周波数11Hz、振幅10μm、昇温速度3℃/分で、0℃から300℃まで昇温させて引張モードによる粘弾性を測定したときの、tanδ(損失弾性率/貯蔵弾性率)の最大点の温度である。
上記他の樹脂成分は、重量平均分子量が1万以上であることが好ましく、3万以上であることがさらに好ましく、5万以上であることが特に好ましい。また、上限値が100万以下であることが好ましく、50万以下であることがさらに好ましく、10万以下であることが特に好ましい。重量平均分子量が上記下限値以上であると、フィルム形成性を維持しつつ、電気配線への埋め込み性も確保しやすくなるため、好ましい。また、重量平均分子量が上記上限値以下であると、熱硬化性樹脂成分等の低分子量成分との相溶性が向上するため、好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
粘接着剤層を構成する材料における上記他の樹脂成分の含有量は、粘接着剤層を構成する材料の合計量を基準として、下限値が3質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがさらに好ましく、12質量%以上であることが特に好ましい。また、上記他の樹脂成分の含有量は、上限値が95質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましく、40質量%以下であることが特に好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。上記他の樹脂成分の含有量が、上記範囲にあると、得られる粘接着剤が、硬化前後の23℃の貯蔵弾性率について前記範囲を満たしやすくなる。
(2-4)フィラー
上記粘接着剤層は、加熱硬化時の体積収縮の抑制や高温耐久時の寸法変化の抑制の観点から、フィラーを含むことが好ましい。
フィラーとしては、無機フィラーを用いることが好ましい。
本実施形態において使用し得る無機フィラーは、特に限定されないが、シリカ、アルミナ、ガラス、酸化チタン、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、ムライト、コージェライト等の複合酸化物、モンモリロナイト、スメクタイト等を例示することができ、これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもシリカフィラーが好ましい。シリカフィラーの形状としては、球状が好ましい。
また、上記無機フィラーは、シランカップリング剤などで表面修飾されたものであることが好ましい。無機フィラーが表面修飾されている場合、フィラーと他の成分との間に結合を形成することができ、その結果、接着剤層を構成する材料が増粘することが抑えられ、低い溶融粘度とすることができると共に、当該材料の平均線膨張係数をより低減することができる。上記シランカップリング剤としては、溶融粘度を低下させ易いという観点から、アルキル基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、フェニル基、アミノフェニル基などの疎水性官能基を持つシランカップリング剤が好ましい。
上記フィラーの平均粒径は、下限値が10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがさらに好ましく、30nm以上であることが特に好ましい。また、上記フィラーの平均粒径は、上限値が200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがさらに好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。フィラーの平均粒径が上記下限値以上であると、粘接着剤層の透明性と、硬化時の体積収縮及び高温耐久時の寸法変化の抑制とを両立させやすくなる。また、フィラーの平均粒径が上記上限値以下であると、粘接着剤層を構成する材料における良好な電気配線への埋め込み性を確保しやすくなる。
なお、フィラー成分の平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分析装置(Malvern社製、マスターサイザー3000)を使用して粒度分布測定を行うことにより求められる。
また、上記フィラーの最大粒子径は、1,000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがさらに好ましい。フィラーの最大粒子径が1,000nm以下であることで、粘接着剤層中にフィラーを充填し易くなる。
また、粘接着剤層を構成する材料におけるフィラーの含有量は、粘接着剤層を構成する材料の合計量を基準として、下限値が10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。また、上記無機フィラーの含有量は、上限値が80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。粘接着剤層を構成する材料において、フィラーの含有量が上記範囲にあると、得られる粘接着剤が、硬化前後の23℃の貯蔵弾性率について前記範囲を満たしやすくなる。
(2-5)その他の成分
粘接着剤層は、当該粘接着剤層を構成する材料として、さらに、フラックス成分、可塑剤、安定剤、粘着付与材、着色剤、カップリング剤、帯電防止剤、酸化防止剤、導電性粒子等を含有してもよい。
例えば、電極表面に形成された金属酸化膜を除去する作用を有する成分であるフラックス成分を含有することにより、半田による電極間の電気的接続をより確実なものとし、半田接合部における接続信頼性を高めることができる。
(3)粘接着剤層の形成方法
粘接着剤層を形成するに当たっては、まず、粘接着剤層を構成する材料、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗工液を調製する。そして、剥離シートの剥離面上に、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター等によりその塗工液を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、粘接着剤層を形成することができる。上記塗工液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、粘接着剤層を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。上記剥離シートは工程材料として剥離してもよいし、半導体ウエハ等の被着体に貼付するまでの間、粘接着剤層を保護していてもよい。
<基材>
上記基材としては、各種の樹脂製フィルムを用いることができ、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリ乳酸(PLA)フィルム等が用いられる。
これらの基材は、安価で光透過性も良好なものを容易に入手できる。基材は、易接着処理されたものであってもよいし、易接着処理されていないものであってもよい。易接着処理としては、易接着層を設けることや、コロナ処理、火炎処理等が挙げられる。
基材フィルムは、アニール処理等の耐熱化処理がされていないものであってもよいし、耐熱化処理が施されたものであってもよい。
<ガスバリア層>
上記ガスバリア層としては、無機化合物の蒸着膜や金属の蒸着膜等の無機蒸着膜;高分子化合物を含む層(以下、「高分子層」ということがある。)にイオン注入等の改質処理を施して得られる層;等が挙げられる。なお、この場合、無機層とは、改質処理された領域のみを意味するのではなく、「改質処理された高分子層」全体を意味する。すなわち、無機層が、高分子層に改質処理を施して得られる層である場合には、層全体が無機化合物からなるものでなくともよい。
無機化合物の蒸着膜の原料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の無機酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の無機窒化物;無機炭化物;無機硫化物;酸化窒化珪素等の無機酸化窒化物;無機酸化炭化物;無機窒化炭化物;無機酸化窒化炭化物等が挙げられる。
これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属の蒸着膜の原料としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及びスズ等が挙げられる。
これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、ガスバリア性の観点から、無機酸化物、無機窒化物又は金属を原料とする無機蒸着膜が好ましく、さらに、透明性の観点から、無機酸化物又は無機窒化物を原料とする無機蒸着膜が好ましい。
無機蒸着膜を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD(物理的蒸着)法や、熱CVD(化学的蒸着)法、プラズマCVD法、光CVD法等のCVD法が挙げられる。
無機蒸着膜の厚さは、使用する無機化合物によっても異なるが、ガスバリア性確保の見地から、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは100nm以上、更に好ましくは300nm以上であり、また、クラック等の発生を抑制する見地から、通常5000nm以下、好ましくは1400nm以下、より好ましくは700nm以下である。また、無機蒸着膜は1層であっても良いし、合計厚さが上記範囲内となる2層以上の無機蒸着膜であっても良い。2層以上の無機蒸着膜の場合には、同じ材料同士を組み合わせても良いし、異なる材料同士を組み合わせても良い。
ケイ素含有高分子化合物を含む層(以下、「ケイ素含有高分子層」ということがある)から形成されるガスバリア層において、ケイ素含有高分子化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
ケイ素含有高分子化合物としては、ポリシラザン系化合物(特公昭63-16325号公報、特開昭62-195024号公報、特開昭63-81122号公報、特開平1-138108号公報、特開平2-84437号公報、特開平2-175726号公報、特開平4-63833号公報、特開平5-238827号公報、特開平5-345826号公報、特開2005-36089号公報、特開平6-122852号公報、特開平6-299118号公報、特開平6-306329号公報、特開平9-31333号公報、特開平10-245436号公報、特表2003-514822号公報、国際公開WO2011/107018号等参照)、及びポリカルボシラン系化合物(Journal of Materials Science,2569-2576,Vol.13,1978、Organometallics,1336-1344,Vol.10,1991、Journal of Organometallic Chemistry,1-10,Vol.521,1996、特開昭51-126300号公報、特開2001-328991号公報、特開2006-117917号公報、特開2009-286891号公報、特開2010-106100号公報等参照)、ポリシラン系化合物(R.D.Miller、J.Michl;Chemical Review、第89巻、1359頁(1989)、N.Matsumoto;Japanese Journal of Physics、第37巻、5425頁(1998)、特開2008-63586号公報、特開2009-235358号公報等参照)等が挙げられる。
これらの中でも、優れたガスバリア性を有するガスバリア層を形成できる観点から、ポリシラザン系化合物が好ましい。ポリシラザン系化合物としては、無機ポリシラザンや有機ポリシラザンが挙げられる。無機ポリシラザンとしてはペルヒドロポリシラザン等が挙げられ、有機ポリシラザンとしてはペルヒドロポリシラザンの水素の一部又は全部がアルキル基等の有機基で置換された化合物等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性、及び優れたガスバリア性を有するガスバリア層を形成できる観点から、無機ポリシラザンがより好ましい。
また、ポリシラザン系化合物は、ガラスコーティング材等として市販されている市販品をそのまま使用することもできる。
ポリシラザン系化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ケイ素含有高分子層は、上述したケイ素含有高分子化合物の他に、本発明の目的を阻害しない範囲で他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、硬化剤、他の高分子、老化防止剤、光安定剤、難燃剤等が挙げられる。
ケイ素含有高分子層中の、ケイ素含有高分子化合物の含有量は、優れたガスバリア性を発現するガスバリア層を形成する観点から、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
ケイ素含有高分子層を形成する方法としては、例えば、ケイ素含有高分子化合物の少なくとも1種、所望により他の成分、及び溶剤等を含有する層形成用溶液を、公知の方法によって基材フィルム上に塗布し、得られた塗膜を適度に乾燥して形成する方法が挙げられる。
上記ガスバリア層を形成する際に、例えば、上述したようなポリシラザン系化合物を用いる場合は、塗工後の加熱によってポリシラザンの転化反応が生じ、ガスバリア性を有する膜となる。
ケイ素含有高分子層の厚さは、好ましくは10~1,500nm、より好ましくは20~1,000nm、更に好ましくは30~600nm、より更に好ましくは40~400nmである。
ケイ素含有高分子層の厚さがナノオーダーであっても、後に改質処理を施すことで、充分なガスバリア性能を有するガスバリアフィルムを得ることができる。
改質処理の前に、ケイ素含有高分子化合物の転化反応を進行させるための処理を行ってもよい。このような処理の例としては、(a)紫外線照射処理、(b)ケイ素含有高分子化合物を含む組成物の塗膜に、水蒸気を噴霧するスチーム処理、(c)30~60℃程度の環境に180時間以上の長期間保管する方法等が挙げられる。処理の簡便さや短時間で実行できること等の観点から、紫外線照射により転化反応を進行させることが好ましい。
注入されるイオンとしては、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオン;フルオロカーボン、水素、窒素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素、硫黄等のイオン;
メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン系ガス類のイオン;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のアルケン系ガス類のイオン;ペンタジエン、ブタジエン等のアルカジエン系ガス類のイオン;アセチレン、メチルアセチレン等のアルキン系ガス類のイオン;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタレン、フェナントレン等の芳香族炭化水素系ガス類のイオン;シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロアルカン系ガス類のイオン;シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロアルケン系ガス類のイオン;
金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、クロム、チタン、モリブデン、ニオブ、タンタル、タングステン、アルミニウム等の導電性の金属のイオン;
シラン(SiH)又は有機ケイ素化合物のイオン;等が挙げられる。
これらのイオンは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
より簡便にイオン注入することができ、特に優れたガスバリア性を有するガスバリア層が得られることから、水素、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、及びクリプトンからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオンが好ましい。
イオンを注入する方法としては、特に限定されないが、電界により加速されたイオン(イオンビーム)を照射する方法、プラズマ中のイオンを注入する方法等が挙げられる。中でも、簡便にガスバリア性のフィルムが得られることから、後者のプラズマイオンを注入する方法が好ましい。
プラズマイオン注入法としては、(I)外部電界を用いて発生させたプラズマ中に存在するイオンを、ケイ素含有高分子層に注入する方法、又は(II)外部電界を用いることなく、上記層に印加する負の高電圧パルスによる電界のみで発生させたプラズマ中に存在するイオンを、ケイ素含有高分子層に注入する方法が好ましい。
上記(I)の方法においては、イオン注入する際の圧力(プラズマイオン注入時の圧力)を0.01~1Paとすることが好ましい。プラズマイオン注入時の圧力がこのような範囲にあるときに、簡便にかつ効率よく均一にイオンを注入することができ、目的のガスバリア層を効率よく形成することができる。
上記(II)の方法は、減圧度を高くする必要がなく、処理操作が簡便であり、処理時間も大幅に短縮することができる。また、上記層全体にわたって均一に処理することができ、負の高電圧パルス印加時にプラズマ中のイオンを高エネルギーでケイ素含有高分子層に連続的に注入することができる。更に、radio frequency(高周波、以下、「RF」と略す。)や、マイクロ波等の高周波電力源等の特別の他の手段を要することなく、層に負の高電圧パルスを印加するだけで、ケイ素含有高分子層に良質のイオンを均一に注入することができる。
上記(I)及び(II)のいずれの方法においても、負の高電圧パルスを印加するとき、すなわちイオン注入するときのパルス幅は、1~15μsecであるのが好ましい。パルス幅がこのような範囲にあるときに、より簡便にかつ効率よく、均一にイオンを注入することができる。
また、プラズマを発生させるときの印加電圧は、好ましくは-1~-50kV、より好ましくは-1~-30kV、特に好ましくは-5~-20kVである。印加電圧が-1kVより大きい値でイオン注入を行うと、イオン注入量(ドーズ量)が不十分となり、所望の性能が得られない。一方、-50kVより小さい値でイオン注入を行うと、イオン注入時にフィルムが帯電し、またフィルムへの着色等の不具合が生じ、好ましくない。
プラズマイオン注入するイオン種としては、上記注入されるイオンとして例示したのと同様のものが挙げられる。
ケイ素含有高分子層にプラズマ中のイオンを注入する際には、プラズマイオン注入装置を用いる。
プラズマイオン注入装置としては、具体的には、(i)ケイ素含有高分子層(以下、「イオン注入する層」ということがある。)に負の高電圧パルスを印加するフィードスルーに高周波電力を重畳してイオン注入する層の周囲を均等にプラズマで囲み、プラズマ中のイオンを誘引、注入、衝突、堆積させる装置(特開2001-26887号公報)、(ii)チャンバー内にアンテナを設け、高周波電力を与えてプラズマを発生させてイオン注入する層周囲にプラズマが到達後、イオン注入する層に正と負のパルスを交互に印加することで、正のパルスでプラズマ中の電子を誘引衝突させてイオン注入する層を加熱し、パルス定数を制御して温度制御を行いつつ、負のパルスを印加してプラズマ中のイオンを誘引、注入させる装置(特開2001-156013号公報)、(iii)マイクロ波等の高周波電力源等の外部電界を用いてプラズマを発生させ、高電圧パルスを印加してプラズマ中のイオンを誘引、注入させるプラズマイオン注入装置、(iv)外部電界を用いることなく高電圧パルスの印加により発生する電界のみで発生するプラズマ中のイオンを注入するプラズマイオン注入装置等が挙げられる。
これらの中でも、処理操作が簡便であり、処理時間も大幅に短縮でき、連続使用に適していることから、(iii)又は(iv)のプラズマイオン注入装置を用いるのが好ましい。
上記(iii)及び(iv)のプラズマイオン注入装置を用いる方法については、国際公開WO2010/021326号公報に記載のものが挙げられる。
上記(iii)及び(iv)のプラズマイオン注入装置では、プラズマを発生させるプラズマ発生手段を高電圧パルス電源によって兼用しているため、RFやマイクロ波等の高周波電力源等の特別の他の手段を要することなく、負の高電圧パルスを印加するだけで、プラズマを発生させ、ケイ素含有高分子層に連続的にプラズマ中のイオンを注入し、表面部にイオン注入により改質された部分を有するケイ素含有高分子層、すなわちガスバリア層が形成されたガスバリア性積層体を量産することができる。
イオンが注入される部分の厚さは、イオンの種類や印加電圧、処理時間等の注入条件により制御することができ、ケイ素含有高分子層の厚さ、ガスバリア性積層体の使用目的等に応じて決定すればよいが、通常、5~1,000nmである。
イオンが注入されたことは、例えば、X線光電子分光分析(XPS)を用いてケイ素含有高分子層の表面から10nm付近の元素分析測定を行うことによって確認することができる。
改質処理を行う前の状態におけるケイ素含有高分子層の、40℃、相対湿度90%雰囲気下における水蒸気透過率は、通常1.0g/m/day以下であり、好ましくは0.8g/m/day以下であり、より好ましくは0.5g/m/day以下であり、更に好ましくは0.1g/m/day以下である。水蒸気透過率は、公知の方法で測定することができる。
ケイ素含有高分子化合物の転化反応を適度に進行させる観点から、上記改質領域においては、X線光電子分光において、厚さ方向における平均元素比率(改質領域の厚さ全域における、等間隔での15点平均)[酸素原子の平均at%]/[窒素原子の平均at%]で表される酸素原子と窒素原子の比率が、好ましくは1.0~6.0であり、より好ましくは1.0~5.5であり、更に好ましくは1.0~5.2であり、より更に好ましくは1.0~4.9である。
上記ガスバリア層は、高いガスバリア性を確保する観点から、イオン注入による改質層、及び、化学気相成長層のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。
上記ガスバリア層の、40℃、相対湿度90%雰囲気下での水蒸気透過率は、ガスバリア性を高める観点から、好ましくは1.0×10-2g/m/day以下であり、好ましくは5.0×10-3g/m/day以下であり、好ましくは9.0×10-4g/m/day以下である。
なお、上記水蒸気透過率は、具体的には、実施例に記載の方法によって測定される。
<剥離シート及び保護フィルム>
剥離シートは、ガスバリア性積層体を保存、運搬等する際に、基材フィルムを保護する役割を有し、所定の工程において剥離されるものである。
剥離シートは、シート状又はフィルム状のものが好ましい。シート状又はフィルム状とは、長尺のものに限らず、短尺の平板状のものも含まれる。
剥離シートとしては、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;上記紙基材に、セルロース、デンプン、ポリビニルアルコール、アクリル-スチレン樹脂等で目止め処理を行ったもの;あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムやポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム等のプラスチックフィルム;ガラス等が挙げられる。
また、剥離シートとしては、取り扱い易さの点から、紙基材や、プラスチックフィルム上に剥離剤層を設けたものであってもよい。剥離剤層を設ける場合には、剥離層は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、アルキッド系剥離剤、オレフィン系剥離剤等、従来公知の剥離剤を用いて形成することができる。
保護フィルムは、ガスバリア性積層体を保存、運搬等する際に、ガスバリア層を保護する役割を有し、所定の工程において剥離されるものである。
保護フィルムは、シート状またはフィルム状のものが好ましい。シート状またはフィルム状とは、長尺のものに限らず、短尺の平板状のものも含まれる。
保護フィルムは、通常、ガスバリア層が形成された後に、ガスバリア層の表面に貼付されるので、ガスバリア層から保護フィルムが意図せず脱落したりしないようにする観点から、基材上に粘着剤層を設けた構成であることが好ましい。この場合、保護フィルムのガスバリア層側の表面に粘着剤層を設ける。保護フィルムが粘着剤層を有するものであることによって、保護フィルムがガスバリア層に対して剥離可能に付着することになる。保護フィルムの基材としては、剥離シートと同じ材質・厚さのものを用いることができる。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリオレフィン系重合体を含む粘着剤、ポリオレフィン系共重合体を含む粘着剤を含む粘着剤等が挙げられる。粘着剤層が、ポリオレフィン系重合体及びポリオレフィン系共重合体の少なくとも一方を含むことがより好ましい。ポリオレフィン系重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられ、ポリオレフィン系共重合体としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
また、保護フィルム(β)として利用可能な、市販のポリオレフィン系粘着剤を含む保護フィルムとしては、株式会社サンエー化研製サニテクトPAC-3-50THK、サニテクトPAC-2-70等が挙げられる。
(ガスバリア性積層体の製造方法)
本発明の実施形態に係るガスバリアフィルムの製造方法は、以下の各工程を有する。
・工程1:基材上にガスバリア層を形成する。
・工程2:上記ガスバリア層上に粘接着剤層を形成する。
上記工程1としては、ケイ素含有高分子化合物を含む組成物を基材上に塗布して塗膜を形成する塗布工程と、上記塗膜を加熱してケイ素含有高分子層を形成する工程が挙げられる。上記加熱工程の後に、改質処理を施す改質工程を含むことが好ましい。
また、上記工程1としては、化学気相成長等の蒸着法によって、無機化合物や金属の蒸着膜からなるガスバリア層を形成する工程が挙げられる。
各工程の詳細は、「ガスバリア性積層体の用途」等において上述したとおりである。
上記工程2としては、上述したように粘接着剤層を構成する材料を含む塗工液を調製した上で、支持体上に塗布して粘接着剤層を形成し、これをガスバリア層上に転写する方法や、ガスバリア層上に粘接着材料を塗布して粘接着材料層を形成する方法が挙げられる。
[個片化された封止体]
本発明の実施形態に係る個片化された封止体は、基材、ガスバリア層、粘接着剤層をこの順に備えるガスバリア性積層体と、上記ガスバリア性積層体の粘接着剤層が貼付されて、表面が封止された被加工体と、を備える複合体の個片化物であり、好ましくは、上記粘接着剤層の、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1が1.0GPa以上である。
上記個片化された封止体は、粘接着剤層の貯蔵弾性率E1が1.0GPa以上であることにより、上記複合体を切断して個片化する際に、切断端部における変形が抑制され、ガスバリア層が破断することが回避される。このため、意図した封止性を発現する封止体となる。
上記個片化された封止体は、個片化物の切断面が側面封止層によって封止されていてもよい。側面封止層を設けることにより、封止性を更に高めることができる。
上記被加工体は、例えば電気配線が形成された半導体ウエハである。そして、上記個片化された封止体は、例えばセンサーデバイス等の半導体モジュールである。
個片化された封止体を構成する各部の詳細は、上述したとおりである。
<個片化された封止体の製造方法>
本発明の実施形態に係る封止体の製造方法は、ガスバリア性積層体の上記粘接着剤層を、被加工体の表面に貼付して、上記被加工体の表面を封止する工程と、
上記ガスバリア性積層体によって表面が封止された上記被加工体を切断して、個片化された封止体を得る工程と、を有する。
ガスバリア層を含むガスバリア性積層体が貼付された状態で、被加工体を切断することにより、ガスバリア層に破断を生じることなく個片化することができ、ガスバリア性・封止性に優れた個片化物を得ることができる。
上記粘接着剤層は、被加工体に貼付された後に硬化処理を行うことにより、硬化させることが好ましく、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1が1.0GPa以上であることがより好ましい。
各工程の詳細は、「ガスバリア性積層体の用途」等において上述したとおりである。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例及び比較例で作製した粘接着剤層の貯蔵弾性率、及びガスバリア性積層体の水蒸気透過率は、以下の手順で測定した。また、実施例及び比較例における個片化チップの作製と、個片化チップの端部変形率及び電気抵抗変化率の測定は以下の手順で行った。
[粘接着剤層の貯蔵弾性率]
硬化前の粘接着剤層a~dを、それぞれラミネーターを用いて23℃で、合計厚さが200μmになるように複数積層した後、下記「個片化チップの作製」に記載の熱硬化条件にて熱硬化させて測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルを、貯蔵弾性率測定装置(TAインスツルメント社製、商品名:DMAQ800)を用い、周波数11Hz、振幅5μm、昇温速度3℃/分の条件で、-20℃~+150℃の温度範囲の貯蔵弾性率を測定し、23℃の値を、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1とした。また、粘接着剤層a~cについては、熱硬化させないこと以外は同様の手順で測定を行い、23℃の値を粘接着剤層の23℃における貯蔵弾性率E0とした。
比較例1及び比較例2の硬化前の粘接着剤層dについては、ラミネーターを用いて23℃で、合計厚さが1mmになるように積層して測定用サンプルを作製した。そして、この測定用サンプルを、貯蔵弾性率測定装置(Anton Paar社製、商品名:Physica MCR301)を使用し、周波数1Hz、ひずみ1%、昇温速度3℃/分の条件で、-20℃~+150℃の温度範囲の貯蔵弾性率を測定し、23℃の値を貯蔵弾性率E0とした。
[粘接着剤層の硬化確認]
下記「粘接着剤層a~cの作製」及び「粘接着剤層d」と同様に、粘接着剤層a~dを作製した。その後、以下の熱硬化条件A又はBの環境下に置いた後、以下の方法にてゲル分率を測定した。当該測定結果に基づき、サンプルBのゲル分率からサンプルAのゲル分率を差し引くことにより、ゲル分率の差分(ポイント)を求めた。結果、粘接着剤層a~dのいずれにおいても上記差分は10ポイント以下であり、熱硬化条件Aにて硬化が十分であることを確認した。
<熱硬化条件>
A:150℃、1時間
B:150℃、3時間
但し、粘接着剤層dは、150℃に替えて100℃とした。
<ゲル分率測定>
熱硬化条件AまたはBに付された粘接着剤層を、80mm×80mmのサイズに裁断して、剥離フィルムを剥がし、その粘接着剤層をポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包み、その質量を精密天秤にて秤量し、上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘接着剤層のみの質量を算出した。このときの質量をM1とする。
次に、上記ポリエステル製メッシュに包まれた粘接着剤層を、室温(23℃)下で酢酸エチルに24時間浸漬させた。その後粘接着剤層を取り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間風乾させ、さらに80℃のオーブン中にて12時間乾燥させた。乾燥後、その質量を精密天秤にて秤量し、上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘着剤のみの質量を算出した。このときの質量をM2とする。ゲル分率(%)は、(M2/M1)×100で表される。
[ガスバリア性積層体の水蒸気透過率]
水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、AQUATRAN-2)を用いて、実施例及び比較例で得られたガスバリア性積層体の、RH90%、40℃の条件下における水蒸気透過率を測定した。
[ガスバリア性積層体の光線透過率]
実施例および比較例で得られたガスバリア性積層体について、剥離フィルムを剥がし、紫外可視近赤外(UV-Vis-NIR)分光光度計(株式会社島津製作所製、製品名「UV-3600」)を使用して光線透過率(%)を測定した。波長380~780nmのいずれかの波長領域において85%以上の光線透過率を有する場合を「G」、そうでない場合を「NG」とした。結果を表2に示す。
[個片化チップの作製]
シリコンウエハ(200mm径、厚さ500μm)を基板とし、真空蒸着装置(エイエルエステクノロジー社製、E200LL)を用いて、所定のパターンで、配線を構成するためのカルシウムを線幅3mm、厚さ200nmで成膜し、次いで電極を構成するための銅を線幅5mm、厚さ1μmで成膜し、電気配線付きウエハを作製した。
次に、後述する手順で作製されたガスバリアフィルム(ガスバリア層/PET)のガスバリア面に、ラミネーターにより、後述する手順で作製された粘接着剤層を貼合させてガスバリア性積層体を作製した。
次に、上記電気配線付きウエハの電気配線形成面に、上記ガスバリア性積層体の粘接着剤層を貼合して、複合体を得た。
この複合体を加熱処理して上記粘接着剤層を熱硬化させた(熱硬化処理)。熱硬化処理の条件は、後述する実施例1~7においては、150℃、1時間とし、後述する比較例1においては、100℃、1時間とした。後述する比較例2においては、熱硬化処理を行わなかった。
そして、上記複合体から、上記電気配線の取り出し用電極が露出するように、一部のガスバリア性積層体を剥離除去した。
その後、フルオートマルチウエハマウンタ(リンテック株式会社製RAD-2700F/12)を用いて、シリコンウエハの裏面(すなわち、電気配線形成面とは反対側の面)に紫外線硬化型ダイシングテープ(リンテック株式会社製 Adwill D-678)を貼付し、このダイシングテープによって上記複合体をリングフレームに固定した。
続いて、フルオートダイシングソー(株式会社ディスコ製DFD651)を用いて上記複合体のダイシングを行い、複数の四角形状の個片化チップ(10mm×10mm)を得た。なお、ダイシングを行うに当たっては、カルシウムの層及び銅の層が切断されるようにした。
さらに、整列した状態の個片化チップが付着したダイシングテープに対して、セミオートUV照射装置(リンテック株式会社製RAD-2000m/12)を用いてUV照射を行い(照度230mW/cm、光量180mJ/cm、窒素雰囲気下)、ダイシングテープの粘着力を低下させてダイシングテープから剥離することにより、単体の個片化チップを得た。
[端部変形率]
実施例及び比較例で得られた四角形状の個片化チップの端部切断面を、光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、VHX-5000、倍率3,000倍)を用いて観測し、上記個片化チップの辺部(非変形部)の厚さ及び角部(変形部)の厚さに基づいて、以下の式(1)を用いて、ダイシング後の粘接着剤層の端部変形率を算出した。
端部変形率[%]=(角部の厚さ/辺部の厚さ)×100・・・式(1)
[電気抵抗変率]
実施例及び比較例で得られた個片化チップの4つの側面(断面)に、DCマグネトロンスパッタリング法によってSiО2を厚さ500nmで成膜し、側面封止層を形成した。そして、側面封止層を設けた個片化チップの金属配線の電気抵抗を測定した。次に、側面封止層を設けた個片化チップを、RH90%、60℃の湿熱環境下に500時間投入した後、配線の電気抵抗を測定した。そして、湿熱環境への投入前後における電気抵抗値に基づいて、以下の式(2)を用いて電気抵抗の変化率を算出した。
電気抵抗変率[%]=(湿熱環境投入後の電気抵抗/初期値)×100・・・式(2)
[ガスバリアフィルムの作製]
<ガスバリアフィルムA>
厚さ50μmの、片面易接着処理がされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、A-4160)の非処理面(PET面)に、ペルヒドロポリシラザン(Merck社製、アクアミカNL110A)を塗工し、これを120℃で2分間加熱硬化させることで、ポリシラザン層を形成した。ポリシラザン層の厚さは200nmとした。
次いで、プラズマイオン注入装置を用いて、上記のポリシラザン層に下記条件にてプラズマイオン注入を行い、ポリシラザン層の表面を改質し、1層目のガスバリア層を得た。次に同様の手順で2層目のガスバリア層を形成し、ガスバリアフィルムAを得た。なお、ガスバリアフィルムAの水蒸気透過率は4.8×10-4g・m-2・day-1であった。
上記の改質処理に用いたプラズマイオン注入装置、及びプラズマイオン注入条件は以下のとおりである。
(プラズマイオン注入装置)
RF電源:型番号「RF56000」、日本電子株式会社製
高電圧パルス電源:「PV-3-HSHV-0835」、株式会社栗田製作所製
(プラズマイオン注入条件)
・プラズマ生成ガス:Ar
・ガス流量:100sccm
・Duty比:0.5%
・繰り返し周波数:1,000Hz
・印加電圧:-10kV
・RF電源:周波数13.56MHz、印加電力1,000W
・チャンバー内圧:0.2Pa
・パルス幅:5μsec
・処理時間(イオン注入時間):200秒
<ガスバリアフィルムB>
厚さ50μmの、片面易接着処理がされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、A-4160)の非処理面(PET面)に、プラズマ化学気相成長法により、厚さ500nmの酸化ケイ素膜(SiO膜:x=2.33)を形成し、ガスバリアフィルムBを得た。
なお、ガスバリアフィルムBの水蒸気透過率は8.9×10-4g・m-2・day-1であった。
上記プラズマ化学気相成長法の条件は以下の通りである。
・プリカーサー:ヘキサメチルジシロキサン
・ヘキサメチルジシロキサンの流量:50sccm
・アルゴンガスの流量:15sccm
・酸素ガスの流量:10sccm
・チャンバー内圧:0.3Pa
・RF電源電力:1,000W
・成膜時間:250秒
<ガスバリアフィルムC>
ガスバリアフィルムBのガスバリア面にガスバリアフィルムAの作製条件と同様にしてペルヒドロポリシラザン(Merck社製、アクアミカNL110A)を塗工し、これを120℃で2分間加熱硬化させることによって、ポリシラザン層を形成した。ポリシラザン層の厚さは200nmとした。
次いで、プラズマイオン注入装置を用いて、上記ポリシラザン層に下記条件にてプラズマイオン注入を行い、ポリシラザン層の表面を改質し、ガスバリアフィルムCを得た。なお、ガスバリアフィルムCの水蒸気透過率は5.9×10-5g・m-2・day-1であった。
[粘接着剤層a~cの作製]
表1に示す配合に従って各成分を混合し、メチルエチルケトンを溶媒として添加することにより固形分濃度を20質量%に調整して粘接着剤a~cを調製した。これらの粘接着剤を個別にシリコーン処理された剥離フィルム(リンテック株式会社製、SP-PET381031)上に塗布し、得られた塗膜をオーブンにて100℃で1分間乾燥し、表2に示す厚さを有する粘接着剤層を作製した。以下、粘接着剤a~cをそれぞれ用いて作製した粘接着剤層を粘接着剤層a~cともいう。
粘接着剤a~cの調製に用いた材料は以下のとおりである。
・ビスフェノールA(BPA)/ビスフェノールF(BPF)共重合型フェノキシ樹脂:東都化成株式会社製「ZX-1356-2」(ガラス転移温度71℃、重量平均分子量6万)
・トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型固形エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン社製、E1032H60
・Bis-F型液状エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン株式会社製、YL-983U
・長鎖Bis-F変性型エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン株式会社製、YL-7175
・2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン:四国化成工業株式会社製「2MZA-PW」
・表面修飾シリカフィラー:平均粒径100nm,最大粒子径450nm
(粘接着剤層d)
変性ポリオレフィン系樹脂(酸変性α-オレフィン重合体、三井化学株式会社製、商品名:ユニストールH-200、重量平均分子量:52,000、官能基:カルボキシル基、ガラス転移温度:25℃)100質量部、環状エーテル基を有する化合物(日産化学株式会社製、商品名:TEPIC-FL、分子量:525、官能基:グリシジル基)100質量部、硬化触媒として、カチオン重合開始剤(三新化学工業株式会社製、商品名:SAN-AID SI-B2A)1質量部、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM4803)0.2質量部をメチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度20質量%の塗工液を調製した。
この塗工液を剥離フィルム(リンテック株式会社製、商品名:SP-PET382150)の剥離処理面上に塗工し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥し、厚さが10μmの粘接着剤層dを作製した。
<実施例1>
ガスバリアフィルムAのガスバリア面側に、ラミネーターを用いて、厚さ20μmの粘接着剤層aを60℃にて積層し、ガスバリア性積層体を得た。次に、粘接着剤層側の剥離フィルムを剥離し、上記電気配線付きシリコンウエハの電気配線形成面に、ラミネーターを用いて60℃で貼り合わせ、シリコンウエハ周囲にはみ出したガスバリア積層体を切り落とした。そして、上述した熱硬化処理を行った。その後、上述の手順でダイシングによる個片化を行って、個片化チップを得た。
<実施例2>
厚さ10μmの粘接着剤層aを用いた以外は実施例1と同様に個片化チップを得た。
<実施例3>
厚さ5μmの粘接着剤層aを用いた以外は実施例1と同様に個片化チップを得た。
<実施例4>
厚さ10μmの粘接着剤層bを用いた以外は実施例1と同様に個片化チップを得た。
<実施例5>
厚さ10μmの粘接着剤層cを用いた以外は実施例1と同様に個片化チップを得た。
<実施例6>
ガスバリアフィルムBを用いた以外は実施例2と同様に個片化チップを得た。
<実施例7>
ガスバリアフィルムCを用いた以外は実施例2と同様に個片化チップを得た。
<比較例1>
厚さ10μmの粘接着剤層dを用い、上述した熱硬化処理条件に変更した以外は実施例1と同様に個片化チップを得た。
<比較例2>
厚さ10μmの粘接着剤層dを用い、熱硬化処理を行わないようにした以外は実施例1と同様に個片化チップを得た。
表2に示す結果から、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1が1.0GPa(1,000MPa)以上の粘接着剤層を有する実施例1~7のガスバリア性積層体は、良好な光線透過率を有しており、粘接着剤層の貯蔵弾性率が1.0GPa未満である比較例1及び2のガスバリア性積層体と比べて、粘接着剤層の端部変形率が著しく小さく、また、得られる個片化チップの電気抵抗率の変化が著しく小さいことが判る。
また、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1が1.0GPa(1,000MPa)未満の粘接着剤層を有する比較例1及び2のガスバリア性積層体は、実施例1~7のガスバリア性積層体と比べて、粘接着剤層の端部変形率が著しく大きく、また、得られる個片化チップの電気抵抗率の変化が極めて大きく、個片化チップ中のガスバリア層に断裂等が発生していることが理解できる。
本発明のガスバリア性積層体によれば、被着体に積層され、この被着体とともに個片化される際に、ガスバリア層に断裂が生じていない個片化物を得ることができる。したがって、シリコンウエハ上に電気配線を形成してなる光センサー等の電子デバイス等に広く適用することができる。特に、湿熱環境下で使用される電子デバイスに好適に適用することができる。
10:基材
20:ガスバリア層
30:粘接着剤層
30a:硬化後の粘接着剤層
40:電気配線
41:配線
42:電極
60a~60d:側面封止層
70:端子
80:ダイサー
100:ガスバリア性積層体
150:被着体
200:半導体ウエハ
201:電気配線付きウエハ
202:ガスバリア性積層体付きウエハ
203:電極出し後のガスバリア性積層体付きウエハ
300:封止前の個片化チップ
301:側面封止後の個片化チップ
D:ガスバリア層の破断部
N:切り欠き

Claims (7)

  1. 基材、ガスバリア層、粘接着剤層をこの順に備えるガスバリア性積層体であって、
    前記粘接着剤層の、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1が2.0GPa以上であり、
    前記粘接着剤層の23℃における貯蔵弾性率E0が0.01~10MPaである、ガスバリア性積層体。
  2. 前記粘接着剤層の23℃における貯蔵弾性率E0が0.1~5MPaである、請求項1に記載のガスバリア性積層体。
  3. 前記粘接着剤層の厚さが1μm以上である、請求項1又は2に記載のガスバリア性積層体。
  4. 前記ガスバリア層の、40℃、相対湿度90%雰囲気下での水蒸気透過率が、1.0×10-2g/m/day以下である、請求項1又は2に記載のガスバリア性積層体。
  5. 前記ガスバリア層は、イオン注入による改質層、及び、化学気相成長層のうち少なくとも一方を含む、請求項1又は2に記載のガスバリア性積層体。
  6. 前記ガスバリア性積層体は、380~780nmの範囲の少なくともいずれかの波長において、光線透過率が85%以上である、請求項1又は2に記載のガスバリア性積層体。
  7. 基材、ガスバリア層、粘接着剤層をこの順に備えるガスバリア積層体であって、前記粘接着剤層の、硬化後の23℃における貯蔵弾性率E1が1.0GPa以上であるガスバリア性積層体の前記粘接着剤層を、被加工体の表面に貼付して、前記被加工体の表面を封止する工程と、
    前記ガスバリア性積層体によって表面が封止された前記被加工体を切断して、個片化された封止体を得る工程と、を有する、封止体の製造方法。
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